【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、中凹の横断面のコースを循環する、そり付き又はキャスター付きリュージュのような小型乗物用の機械的引き上げ装置に関する。 【0002】 【従来の技術】したがって本発明はレジャー施設、特に冬期スポーツではあるが夏のシーズン中にも利用できる行楽地向けの施設に関係があり、そこではリュージュの速度をもった軽い1人乗り乗物が、多少きつい傾斜の適当な人工コースに沿って重力によって滑降する。 乗物に席を占めた子供又は大人の使用者は、自分が動かすか又は動かさずに、いずれにせよ高速でコースを滑降し、ブレーキは、コース面へ直接か、車輪が備えられていれば乗物の車輪へかの摩擦によってかけられる。 【0003】各コースはある程度の長さ及び相当大きな標高差を有するので、滑降の前に各リュージュとその使用者をコースの頂点へ引き上げたり再引き上げしたりすることが当然問題提起される。 これまでの解決策は、ロープトウ又はスキーリフトのような現行の冬の引き上げ設備とそのコースを組み合わせることからなり、このことは夏のシーズン中に機械的な引き上げの採算がとれるようにする。 しかしながらこのような組み合わせは欠点を有している。 すなわちロープトウの通常のバーは、リュージュとその使用者で構成されるセットの牽引には不適当であり、いずれにせよ雪のない状態では、特別の引き上げ道がロープトウによって牽引されるリュージュの循環を可能にするようにロープトウの行程に設けられなくてはならず、これは一種の束縛となる。 スキーリフトの場合には、リュージュはコースの下部で引張り出されてスキーリフトのゴンドラに吊され、次いでゴンドラからはずされてコースの頂点でコース上の位置に戻されねばならず、このことは特にレジャーの環境では合理的でない矛盾した一連の操作に相当する。 したがって、問題のリュージュ用により適しており矛盾の少い機械的引き上げ装置の真の必要が存在している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に簡単で合理的な、しかも安全な、そのような装置を供給することを目的とし、その装置では、リュージュを引き上げるリュージュ牽引手段はコースに直接組み込まれ、このことは他のすべての機械的引き上げ設備から逃れることを可能とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】そのため本発明は、 −機械化された駆動手段と組み合わされた無端ケーブルが通る引き上げコース部分、 −各リュージュによって支持され、前記ケーブルの引き上げロープに一時的に係止されるように設けられた少くとも一つの牽引ピン、 −引き上げコース部分の下部で前記ケーブルに各リュージュの牽引ピンを閉じ、引き上げコース部分の頂点にリュージュが到達したときに前記牽引ピンを開くようにする操作手段を組み合わせて有する、リュージュのような小型乗物用の機械的引き上げ装置を主として対象としている。 【0006】したがって本発明は、リュージュが引き上げコースの下部に位置するときに駆動ケーブルを自動的に補捉し、そのリュージュが引き上げコースの頂点に到達したときにケーブルから自動的に離れるピンを各リュージュが有し、リュージュは前記離れたときに解放され、コースの頂点までケーブルによって再び引張られる下方の出発点に戻るように下降コース部分を滑走又は走行でき、引き上げコース部分と下降コース部分とが閉循環路を形成する引き上げ装置を提案している。 【0007】駆動ケーブルの引き上げロープは、引き上げコース部分の中線平面内でこの部分の底部から比較的わずかの距離に配置され、一方各リュージュの牽引ピンは、リュージュの下方に固定され、その下方部分を開くように設けられるのが有利である。 駆動ケーブルの下降戻りロープは下降コース部分又は引き上げコース部分の下を通るのが好ましい。 プーリは、前記ケーブルの位置決め、案内及び駆動用に、適当な数を適当な位置に設けられる。 【0008】好ましい実施態様によれば、各リュージュの牽引ピンは、リュージュの下に固定された共通の支持座金にその頂部で連接された二つの対称な顎部を有し、 二つの顎部の後方への同時軸支回動は両者を離れさせ、 一方、ばね手段は、収縮を引き起こすことによって二つの顎部を前方へ戻すように設けられている。 この効果は、特に互いに対してある角度を形成する方向に従って、二つの顎部のそれぞれの連接軸を中線平面に配置することによって得ることができる。 各牽引ピンについて、戻し手段は単一のばねによって構成され、その端部は支持座金に締結され、その他端は二つの顎部をつなぐU字金具に接続される。 【0009】上に述べた牽引ピンの構造と組み合わせることによって、このピンの開閉用の操作手段は、本発明の他の実施態様によれば、引き上げコース部分の下部に設けられ、戻しばねの効果で牽引ケーブルに再び係止されるように解放する前に、二つの顎部の後方への回動と両者の離隔を引き起こすように顎部の下端部と一緒に作用する少くとも一つの第1固定傾斜部、及び引き上げコース部分の頂点付近に設けられ、ケーブルからピンをはずすように、二つの顎部の後方への回動と両者の離隔を再び引き起こすように二つの顎部の下端部と一緒に作用する少くとも一つの第2固定傾斜部によって構成される。 第2傾斜部は、係止解除を容易にするようにすでに軽く下降しているコース部分に形成されるのが好ましく、この第2傾斜部の高さで駆動ケーブルが前記コース部分の下方に引き込められる。 【0010】上に明らかにされた好ましい実施態様では、装置は、リュージュの引き上げ行程中に、ケーブルに牽引ピンを確実に自動係止し、ケーブルへの顎部の挾みつけは、傾斜が大きくなればなるほど、またリュージュに席を占めた使用者の重量が重くなればなるほど一層強力であることは注目されるであろう。 いずれにせよ、 本発明は、限定しない例としてリュージュのような小型乗物用の本発明による機械的引き上げ装置の一実施態様を示す添付の図面を参照して以下になされる記述によって、一層よく理解されるであろう。 【0011】 【実施例】図1は、リュージュのような小型乗物用のコース、さらに詳しくは、ここには示されていない下降コース部分の下部に到達したリュージュの引き上げに用いられる引き上げコース部分1を示し、引き上げコース部分と下降コース部分は、一緒に閉循環路を形成する。 図3も参照すると、コース1は、非常に開いたV字断面の底部2及び溝のように高くなった側面3をもった中凹の横断面を有している。 【0012】この実施例では図2及び図3によって示されたように、さらに簡潔には“リュージュ”と呼ばれる各小型乗物4は、ここでは細部を示されていない公知のやり方でコース上でリュージュを停止、回転させる2対の、それぞれ前部の1対及び後部の1対からなるキャスター5を有している。 各リュージュ4は前部の下に、無端駆動ケーブル7に一時的に係止されるために設けられた牽引ピン6を支持している。 【0013】図1について見ると、駆動ケーブル7はコースに沿っており、特に上昇コース部分の全長に存在する引き上げロープを有し、プーリ8によって案内されるケーブルの引き上げロープは、引き上げコース部分1の中線平面内にあって、コースの底部2から比較的わずかしか離れずに循環している。 その帰りの下降行程では、 ケーブル7はコースの下を通るか、他の行程に沿うことができ、さらに例えば0.4m/sec 〜2m/sec の選ばれて速度で、矢印Fで示される方向にケーブルを駆動するための機械化手段(図示せず)が備えられている。 【0014】図4ないし図6が示すように、牽引ピン6 は、リュージュ4の底部の下に固定された共通の支持座金11に各軸10周りに頂部によって連接された二つの対称的顎部9を有している。 二つの顎部9は一般のやり方では下方に回動され、各顎部9は、その下方自由端部付近に、他方の顎部9の対応するくぼみと向い合って位置する。 半円形断面のくぼみ12を有する。 【0015】二つの顎部9のそれぞれの連接軸10は、 リュージュ4の横断方向に対してそれぞれ角度Aを形成するので、これら二つの軸10の方向は、互いに角度2 Aを形成する(図6参照)。 したがって二つの顎部9が引き上げられるように後方に回動すると、両者は互から同時に離れ、これは牽引ピン6の開に対応する。 これとは反対に、二つの顎部9が前方に回動すると、両者は同時に接近し、これは牽引ピン6の閉に対応する。 【0016】二つの顎部9は、引張り方向に働くらせんばね13によって、ピンを閉にする前進位置に戻される。 戻しばねの一端部は小リング14によって支持座金11に取りつけられ、ばね13の他端部は二つの顎部9 をつなぐU字金具15に接続される。 閉にする前進位置では、ピン6の接近させられた二つの顎部9は前方に傾斜させられ、これらの顎部9の長手方向は、支持座金1 1と直角な方向に対して角度Bを形成する。 【0017】いくつかのリュージュにより支持されている牽引ピン6の開/閉運動を操作するため、引き上げコース部分1の下に位置する第1固定傾斜部16及びこの引き上げコース部分1の頂点付近に形成された第2固定傾斜部17がさらに設けられる。 傾斜部16及び17 は、コース1を循環するリュージュ4が有している顎部9の軌道上にあるように配置される。 【0018】したがって、1台のリュージュ4がコースの下降部分の下部に達すると、牽引ピン6の顎部9は第1傾斜部16に出会ってこのピン6が開かれ、顎部9 は、例えば約20mm互に離れる。 傾斜部16の前端部を通ると二つの顎部9はばね13によって接近させられ、そのときくぼみ12の高さを正確に通るように案内されている駆動ケーブル7を捕捉する。 したがってケーブル7は二つの顎部9の間に挾まれ、くぼみ12によって形成される通路の寸法は、十分に強くケーブルを挾むようにケーブル7の直径に合わされる。 【0019】さらに矢印Fに従った上方へのケーブル7 の移動、二つの顎部9の挾みつけ、これらの顎部の前方傾斜及び結果としてのケーブル7の軽い部分的変形の複合効果は、ピン6のケーブル7への真の係止を引き起こす。 ケーブル7への顎部9の挾みつけは、引き上げコース1の傾斜が大きく、リュージュ4と使用者の全重量が重くなるほど一層強力である。 【0020】したがって各リュージュ4は、引き上げコース部分1上を走行しながらケーブル7によって高い方へ、そしてこのコース部分1の頂点まで引張られる。 頂点では、コースの長手方向断面が円くなった部分を形成し、したがって例えばほぼ10°の傾斜をもった、すでに軽く下降したコース部分18が存在し、そこには常に顎部9への作用によって牽引ピン6を開かせる第2傾斜部17が形成されている。 【0021】さらに詳しくは、コース部分18が傾斜していることから、リュージュ4がこのコース部分18に達したときには、リュージュ4は、そのピン6の顎部9 にもはや牽引作用を及ぼさない。 リュージュ4は重力によって滑降しはじめ、その速度はケーブル7の速度を超えるようになる。 したがってピン6の開が抵抗なしに実際行われ、戻しばね13の限定された力のみがまだ残される。 ピン6は開きながら、第2の傾斜部17の高さにあるコース部分18で引き込められるケーブル7からリュージュ4を解放する。 第2傾斜部17を通過すると、 ピン6は戻しばね13によって閉じられる。 【0022】そのときリュージュ4は通常の使用である下降コース部分の下部まで重力によって滑降でき、運動減速装置は滑降中に1対の後方キャスター5に作用する。 コースの麓に到達すると、リュージュ4はそのピン6を開かせる第1傾斜部16に再び出会い、このピン6 は、前記第1傾斜部16の下に再び現われた駆動ケーブル7上で再び閉まる。 【0023】言うまでもないように、本発明は、上に述べられた機械的引き上げ装置の一実施態様のみに限定されることなく、むしろ反対に、同じ原理を尊重した実施態様及び応用例のすべての変形を含むものである。 したがって牽引ピンの構成細部の変更又はキャスターではなくて滑走そり板をもったリュージュ装置への適用は本発明の範囲から離れるものではない。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による機械的引き上げ装置の全体側面図。 【図2】図1による引き上げ装置に適用される牽引ピンを備えたキャスター付きリュージュの側面図。 【図3】牽引ピンをもった図2のリュージュの先端の図。 【図4】牽引ピンの詳細正面図。 【図5】牽引ピンの詳細側面図。 【図6】牽引ピンの下方から見た詳細平面図。 【符号の説明】 1 引き上げコース部分 2 引き上げコース部分1の底部 3 引き上げコース部分1の側面 4 リュージュ(小型乗物) 5 キャスター 6 牽引ピン 7 無端駆動ケーブル 8 プーリ 9 牽引ピン6の顎部 10 連接軸 11 支持座金 12 顎部9のくぼみ 13 らせんばね(戻しばね) 14 小リング 15 U字金具 16 第1傾斜部 17 第2傾斜部 18 軽く下降したコース部分 |