鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置及びその使用方法

本発明は、船舶及び海洋工学技術分野に属し、鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置及びその使用方法に関する。

船舶及び海洋工学の装備は、通常大寸法の特長を有し、例えば鋼製船体大表面、甲板及び隔壁構造等であり、それら構造物が製造プロセスにおいて複数回の清掃、塗装、溶接継目検査等といった作業を行う必要があり、それら施工設備が船体大表面、甲板及び隔壁構造上で移動できる搭載装置を必要とし、該搭載装置は磁気吸着力を通じて重力を克服して自ら移動できる以外に、施工作業中の偶発的な転落事故を防止するため、自律型の緊急時自己保護機能を持たなければならない。また該搭載装置は、省力で作業効率をアップし、作業の安全性を高めることができる。よって、本発明は、鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置及び使用方法に関するもので、該装置の構造が簡単で使用にも便利で、信頼性が高く、船舶及び海洋工学の製品の製造過程中に応用させることができ、特に、大型船体ブロック生産及び製品組立後の構造大表面の検査及び塗装工程に対し、幅広い工学的応用性がある。

従来技術に存在している問題点を克服するため、本発明は鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置及びその使用方法を提供するものであり、鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置及びその使用方法は磁気吸着力を通じて重力を克服して自ら移動する以外に、更に自律型吸着静止機能を持ち、緊急時自己保護を働かせて施工作業中の偶発的な転落事故を防止できる。該装置は、構造が簡単で使用にも便利で、信頼性が高く、施工機材を搭載して鋼製船体大表面、甲板及び隔壁構造上で検査及び塗装作業を行うことができる。

本発明の解決策としては、板枠磁石機構を含む鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置であって、更にステージ機構とスライド機構とを含み、前記板枠磁石機構は外板と第1溝車輪と永久磁石とを含み、外板が第1側板、第2側板の一端を天板と直角式固結し、第1側板及び第2側板の他端に永久磁石が固結され、2個の第1溝車輪が各自の第1ブラケットを通じて天板の内側に固定され;前記ステージ機構は、ステージプレートと磁性のあるステージ用キャスターと第2ガイドレールと引張りばねとを含み、永久磁石の上方にある第1側板、第2側板の内側壁上に各々2個のステージプレートのガイドレール構造が設けられ、ガイドレール構造の第1ガイドレールがステージプレート上の案内溝とマッチし、ステージプレート下方にある第1ガイドレールの端部に制限板が設けられ、第1ガイドレール頂部のバネストッパーとステージプレートとの間に引張りばねが設けられ、ステージプレートの下平面が4個の第2ブラケットを通じて船体構造面上を転がる4個のステージ用キャスターに連結され;前記スライド機構は、溝形スライドブロックとハンドルと底部摺動溝と第2溝車輪とを含み、溝形スライドブロックの一端の側摺動溝内に位置する凸型摺動板が圧縮ばねを通じて第2側板上を突っ張り、溝形スライドブロックの他端が第1側板上のハンドル用溝を挿通するハンドルと固結され、溝形スライドブロックの上部に設けられている2つのセクションを連結する上部ガイドレール、傾斜式ガイドレール及び下部ガイドレールが2個の第1溝車輪とマッチし、溝形スライドブロックの下部にある第3ブラケットを通じて連結する第2溝車輪がステージプレート上部にある第2ガイドレールとマッチし、前記永久磁石上にステージプレート上の丸孔を挿通する円柱型タッチロッドが固結され、円柱型タッチロッドが溝形スライドブロック内の底部摺動溝のタッチ丸穴内に挿入する。

前記鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置の使用方法としは、 (a)モーションモードにおいて、船体構造面が水平面、垂直面又は空間における任意の角度であり、磁性のある4個のステージ用キャスターと永久磁石が共同作用し、永久磁石が装置全体と船体構造面を吸着し;永久磁石と船体構造面との間は、一定の間隔を保持し、4個のステージ用キャスターの転がりを通じて装置全体を移動させ;この時、第1溝車輪は上部ガイドレール上にあり、円柱型タッチロッドの上端がタッチ丸穴内にあり、凸型摺動板が圧縮ばねの付勢作用下で、溝形スライドブロックの相対的な安定性を保持させ; (b)吸着静止モードにおいて、ステージ用キャスターが支障物に遭遇した時、又は装置本体が外部の揺れ動きに遭遇した時、板枠磁石機構とスライド機構は相対方向の変位が生じたことで、円柱型タッチロッドの上端がタッチ丸穴から離脱させ、溝形スライドブロックが圧縮ばねの付勢作用下で移動し、第1溝車輪が上部ガイドレールから傾斜式ガイドレールを通過して下部ガイドレール上を転がり、この時円柱型タッチロッドの上端が底部摺動溝内に摺動し、圧縮ばねの圧力が解放され、溝形スライドブロックがまた相対的な安定平衡状態を保持し;ただし、この時永久磁石は迅速に落下して船体構造面との間隔が縮小し、磁気吸着力が迅速に増大し、装置全体が吸着して静止状態になり; (c)復帰モードにおいて、ハンドルが圧力の作用下で、溝形スライドブロックを押動して圧縮ばねが改めて圧縮状態に戻り、この時2個の第1溝車輪は下部ガイドレールから傾斜式ガイドレールを通過して上部ガイドレール上に転がり、装置全体がモーションモードに戻る。

本発明に係る鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置は、板枠磁石機構とステージ機構とスライド機構とを含む。板枠磁石機構の第1溝車輪は、溝形スライドブロックの上部ガイドレール上を移動し、溝形スライドブロックが第2溝車輪を通じてステージプレートの上部ガイドレール上を移動し、ステージプレート上のステージ用キャスターが船体構造面上を移動し、永久磁石上に固定される円柱型タッチロッドは溝形スライドブロック内の底部摺動溝のタッチ丸穴内に挿入される。該装置は、磁性のあるステージ用キャスターと永久磁石の磁気吸着力を通じて重力を克服して自ら移動できる以外に、自律型吸着静止機能を持ち、緊急時自己保護を働かせて施工作業中の偶発的な転落事故を防止できる。該装置は、構造が簡単で使用にも便利で、信頼性が高く、施工機材を搭載して鋼製船体大表面、甲板及び隔壁構造上で検査及び塗装作業を行うことができる。

鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置の立体図

図1の正面図

外板の説明図

図1の外板構造を外した場合の立体図

図1の別の外板構造を外した場合の立体図

図2内のA−A線断面図

図2内のB−B線断面図

図2内のC−C線断面図

図2内のD−D線断面図

図2内のE−E線断面図

図2内のF−F線断面図

図5内のG部拡大図(溝形スライドブロックの側摺動溝端部)

図5内のH部拡大図(ガイドレール構造)

図7内のI部拡大図

装置のモーションモードを示す模式図(円柱型タッチロッドがタッチ丸穴内にある)

装置の吸着静止モードを示す模式図(円柱型タッチロッドが底部摺動溝内にある)

図1乃至図14は、鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置の構造を示す図である。図に示す鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置は、板枠磁石機構とステージ機構とスライド機構とを含む。

板枠磁石機構は、外板11と第1溝車輪13と永久磁石21とを含み、外板11が第1側板12b、第2側板12cの一端を天板12aと直角式固結し、第1側板12b及び第2側板12cの他端に永久磁石21が固結され、2個の第1溝車輪13が各自の第1ブラケット14を通じて天板12aの内側に固定される。

前記ステージ機構は、ステージプレート31と磁性のあるステージ用キャスター34と第2ガイドレール35と引張りばね18とを含み、永久磁石21の上方にある第1側板12b、第2側板12cの内側壁上に各々2個のステージプレート31のガイドレール構造19が設けられ、ガイドレール構造19の第1ガイドレール17がステージプレート31上の案内溝33とマッチし、ステージプレート31下方にある第1ガイドレール17の端部に制限板17bが設けられ、第1ガイドレール17頂部のバネストッパー17aとステージプレート31との間に引張りばね18が設けられ、ステージプレート31の下平面が4個の第2ブラケット34aを通じて船体構造面51上を転がる4個のステージ用キャスター34に連結される。

前記スライド機構は、溝形スライドブロック41とハンドル42と底部摺動溝46と第2溝車輪49とを含み;溝形スライドブロック41の一端の側摺動溝48内に位置する凸型摺動板16は、圧縮ばね15を通じて第2側板12c上を突っ張り、溝形スライドブロック41の他端が第1側板12b上のハンドル用溝12dを挿通するハンドル42と固結され、溝形スライドブロック41の上部に設けられている2つのセクションを連結する上部ガイドレール43、傾斜式ガイドレール44及び下部ガイドレール45が2個の第1溝車輪13とマッチし、溝形スライドブロック41の下部にある第3ブラケット49aを通じて連結する第2溝車輪49がステージプレート31上部にある第2ガイドレール35とマッチする。

永久磁石21上にステージプレート31上の丸孔を挿通する円柱型タッチロッド22が固結され、円柱型タッチロッド22が溝形スライドブロック41内の底部摺動溝46のタッチ丸穴47内に挿入する。

鋼製船体構造面に用いられる磁石吸着型移動車モーションの制御装置の使用方法としは、 (a)モーションモードにおいて、船体構造面51が水平面、垂直面又は空間における任意の角度であり、磁性のある4個のステージ用キャスター34と永久磁石21が共同作用し、永久磁石21が装置全体と船体構造面51を吸着し;永久磁石21と船体構造面51との間は、一定の間隔を保持し、4個のステージ用キャスター34の転がりを通じて装置全体を移動させ;この時、第1溝車輪13は上部ガイドレール43上にあり、円柱型タッチロッド22の上端がタッチ丸穴47内にあり、凸型摺動板16が圧縮ばね15の付勢作用下で、溝形スライドブロック41の相対的な安定性を保持させ(図15); (b)吸着静止モードにおいて、ステージ用キャスター34が支障物に遭遇した時、又は装置本体が外部の揺れ動きに遭遇した時、板枠磁石機構とスライド機構は相対方向の変位が生じたことで、円柱型タッチロッド22の上端がタッチ丸穴47から離脱させ、溝形スライドブロック41が圧縮ばね15の付勢作用下で移動し、第1溝車輪13が上部ガイドレール43から傾斜式ガイドレール44を通過して下部ガイドレール45上を転がり、この時円柱型タッチロッド22の上端が底部摺動溝46内に摺動し、圧縮ばね15の圧力が解放され、溝形スライドブロック41がまた相対的な安定平衡状態を保持し;ただし、この時永久磁石21は迅速に落下して船体構造面51との間隔が縮小し、磁気吸着力が迅速に増大し、装置全体が吸着して静止状態になり(図16); (c)復帰モードにおいて、ハンドル42が圧力の作用下で、溝形スライドブロック41を押動して圧縮ばね15が改めて圧縮状態に戻り、この時2個の第1溝車輪13は下部ガイドレール45から傾斜式ガイドレール44を通過して上部ガイドレール43上に転がり、装置全体がモーションモードに戻る。

11 外板 12a 天板 12b 第1側板 12c 第2側板 12d ハンドル用溝 13 第1溝車輪 14 第1ブラケット 15 圧縮ばね 16 凸型摺動板 17 第1ガイドレール 17a バネストッパー 17b 制限板 18 引張りばね 19 ガイドレール構造 21 永久磁石 22 円柱型タッチロッド 31 ステージプレート 32 丸孔 33 案内溝 34 ステージ用キャスター 34a 第2ブラケット 35 第2ガイドレール 41 溝形スライドブロック 42 ハンドル 43 上部ガイドレール 44 傾斜式ガイドレール 45 下部ガイドレール 46 底部摺動溝 47 タッチ丸穴 48 側摺動溝 49 第2溝車輪 49a 第3ブラケット 51 船体構造面