The wheels and the friction drive and all-direction moving body using the same

申请号 JP2010541223 申请日 2009-12-01 公开(公告)号 JP5443387B2 公开(公告)日 2014-03-19
申请人 本田技研工業株式会社; 发明人 透 竹中; 平野  允; 秀治 和泉; 和也 ▲桑▼原; 泰司 小山; 政雄 佐々木; 洋 五味; 慎一郎 小橋;
摘要
权利要求
  • 環状体と、前記環状体に各々当該環状体の接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられた複数のフリーローラとにより構成された車輪であって、
    互いに隣接する前記フリーローラ間に できる楔形状の空隙に、前記環状体の断面中心を中心として放射状に延在する複数の羽根板状部材により構成された補填部材が配置されている車輪。
  • 環状体と、前記環状体に各々当該環状体の接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられた複数のフリーローラとにより構成された車輪であって、
    前記環状体に鍔付きスリーブが回転不能に取り付けられ、前記鍔付きスリーブに前記フリーローラが回転可能に取り付けられており、前記鍔付きスリーブの鍔部は互いに隣接する前記フリーローラ間にあり、当該鍔部に、前記フリーローラ間にできる楔形状の空隙を埋める補填部材が取り付けられている車輪。
  • 請求項1 または2に記載の車輪と、
    前記車輪の中心軸線方向の両側に前記環状体の環中心と同心の軸線周りに回転自在に配置された回転部材と、
    前記回転部材の各々に、当該回転部材の回転中心と同心の円周上に複数個配置され、各々、前記回転部材の回転軸線に対してねじれの関係をなす回転軸線周りに回転可能で、外周面をもって前記フリーローラの外周面に接触する駆動ローラと、
    を有する摩擦式駆動装置。
  • 請求項1 または2に記載の車輪と、
    前記車輪の軸線方向の一方の側に前記環状体の環中心と同心の軸線周りに回転自在に配置され、前記車輪の前記環状体を支持する車輪支持回転部材と、
    前記車輪の他方の側に前記環状体の環中心と同心の軸線周りに回転自在に配置された回転部材と、
    前記回転部材に当該回転部材の回転中心と同心の円周上に複数個配置され、各々、前記回転部材の回転軸線に対してねじれの関係をなす回転軸線周りに回転可能で、外周面をもって前記フリーローラの外周面に接触する駆動ローラと、
    を有する摩擦式駆動装置。
  • 請求項 3あるいは4に記載の摩擦式駆動装置を含み、前記車輪によって走行する全方向移動体。
  • 说明书全文

    本発明は、車輪及びそれを用いた摩擦式駆動装置及び全方向移動体に関し、特に、全方向移動体に用いられるオムニホイール式の車輪及びそれを用いた摩擦式駆動装置及び全方向移動体に関する。

    床面上を自在に動き回れる全方向移動体のための駆動装置として、無端の環状体と当該環状体に各々自転可能に取り付けられた複数個のフリーローラとにより構成された車輪と、外周面をもって前記フリーローラの外周面に接触するように配置された駆動ローラとを有し、前記駆動ローラの回転を摩擦によって前記フリーローラに伝達する摩擦式駆動装置が知られている(例えば、特許第3820239号公報の図17、図18に示されている第3実施形態)。

    全方向移動体用の車輪として、大径と小径との2種類の樽型フリーローラが交互に配列され、大径の樽型フリーローラの内部に当該大径の樽型フリーローラの軸および軸受ならびに小径の樽型フリーローラの一部が位置する空所を構成し、各樽型フリーローラの曲率を円の曲率と一致するように設定することによって外形(外郭)が極めて円に近似した単列の樽型フリーローラよりなる車輪が提案されている(例えば、特許第3421290号公報)。

    上述の摩擦式駆動装置に用いられている車輪では、互いに隣接するフリーローラ間に、側方(車輪の環中心の軸線方向と同じ方向)から見て、楔形状の空隙(空所)が生じる。 このため、走行時に石などの異物がフリーローラ間にできる空隙に噛み込む虞がある。 この空隙に石などの異物が噛み込むと、フリーローラの自転が阻害され、全方向移動体の旋回や斜め移動が適切に行われなくなる原因になる。

    また、各フリーローラ間に空隙があることにより、車輪の環中心方向(公転方向)で見て、当該車輪の外郭形状に繰り返しの凸凹ができ、車輪が環中心に回転によって走行する際に、「ガタガタ」する振動、騒音が生じる。

    本発明が解決しようとする課題は、全方向移動体に用いられる車輪において、フリーローラ間の空隙に石などの異物が噛み込みことを回避し、併せて車輪回転時の走行振動、騒音の低減を図ることである。

    本発明による車輪は、環状体と、前記環状体に各々当該環状体の接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられた複数のフリーローラとにより構成された車輪であって、互いに隣接する前記フリーローラ間に、当該フリーローラ間の空隙を埋める補填部材が配置されている。

    補填部材は、フリーローラの回転を妨げないものでなくてはならず、この補填部材としては、車輪の中心軸線に近い側が薄い楔形状で、少なくとも接地面側が前記フリーローラの回転方向と同方向に移動可能であるもの、楔形状をしていて前記環状体に回転不能に取り付けられているもの、前記環状体の断面中心を中心として放射状に延在する複数の羽根板状部材により構成されたブラシ状のもの等がある。

    本発明による摩擦式駆動装置は、上述の発明による車輪と、前記車輪の中心軸線方向の両側に前記環状体の環中心と同心の軸線周りに回転自在に配置された回転部材と、前記回転部材の各々に、当該回転部材の回転中心と同心の円周上に複数個配置され、各々、前記回転部材の回転軸線に対してねじれの関係をなす回転軸線周りに回転可能で、外周面をもって前記フリーローラの外周面に接触する駆動ローラとを有する。

    また、本発明による摩擦式駆動装置は、上述の発明による車輪と、前記車輪の軸線方向の一方の側に前記環状体の環中心と同心の軸線周りに回転自在に配置され、前記車輪の前記環状体を支持する車輪支持回転部材と、前記車輪の他方の側に前記環状体の環中心と同心の軸線周りに回転自在に配置された回転部材と、前記回転部材に当該回転部材の回転中心と同心の円周上に複数個配置され、各々、前記回転部材の回転軸線に対してねじれの関係をなす回転軸線周りに回転可能で、外周面をもって前記フリーローラの外周面に接触する駆動ローラとを有する。

    本発明による全方向移動体は、上述の発明による摩擦式駆動装置を含み、前記車輪によって走行する。

    本発明による車輪によれば、フリーローラ間の空隙が補填部材によって埋められることにより、フリーローラ間に石などの異物が噛み込むことが未然に回避される。 また、車輪外郭の凸凹が少なくなり、車輪回転時の走行振動、騒音が低減する。

    本発明による車輪およびそれを用いた摩擦式駆動装置、全方向移動体の実施形態1を示す斜視図

    実施形態1による車輪およびそれを用いた摩擦式駆動装置、全方向移動体の要部を示す拡大正面

    実施形態1による車輪を示す拡大断面図

    実施形態1による車輪の要部の拡大斜視図

    本発明による車輪の他の実施形態の要部の拡大斜視図

    本発明による車輪の他の実施形態の要部の拡大斜視図

    本発明による車輪の他の実施形態の要部の拡大部分断面図

    図7の線VIII−VIIIに沿った断面図

    本発明による摩擦式駆動装置およびそれを用いた全方向移動体の実施形態2の要部を示す拡大斜視図。

    以下に、本発明による車輪およびそれを用いた摩擦式駆動装置、全方向移動体の実施形態1を、図1〜図4を参照して説明する。

    本実施形態の全方向移動体1は、図1、図2に示されているように、ヨーク状(門形)の下部車体7を有し、下部車体7が、間接的ではあるが、車輪2を回転可能に支持している。

    下部車体7は、ヒンジ軸11によって互いにヒンジ接続された左右一対の右側脚部材7R、左側脚部材7Lを有する。 右側脚部材7Rには右側ステップ32Rが、左側脚部材7Lには左側ステップ32Lが各々略平に取り付けられている 部車体7の右側脚部材7Rにはポール33の下端部が固定されている。 ポール33は、下部車体7より上方に垂直に立てられており、ポール33の上端部には水平方向に延在するハンドルバー34が取り付けられている 部車体7の右側脚部材7Rと左側脚部材7Lとの間には圧縮コイルばね8が設けられている。 圧縮コイルばね8は、下部車体7の脚部をなす右側脚部材7Rと左側脚部材7Lを互い近づける方向に付勢する。

    下部車体7、左右のステップ32R、32L、ポール33、ハンドルバー34は、互いに一体構造であり、本実施形態では、下部車体7、左右のステップ32R、32L、ポール33、ハンドルバー34の全体が、全方向移動体1の車体であるとえる。

    下部車体7にはアーム36によって補助輪35が取り付けられている。 アーム36は、上端を下部車体7の後面(背面)に枢支され、跳ね上げ可能になっている。 補助輪35は、アーム36の先端部(下端)に水平軸線周りに回転可能に取り付けられており、車輪2の前後方向後方に位置している。 ハンドルバー34にはグリップレバー37が設けられている。 グリップレバー37は、公知のボーデンケーブル(図示せず)によってアーム36と連結され、手にて握られことにより、アーム36の跳ね上げを行う。

    右側脚部材7Rは支持軸6Rによって右側の回転部材4Rを回転可能に支持している。 左側脚部材7Lは支持軸6Lによって左側の回転部材4Lを回転可能に支持している。 これにより、左右の回転部材4R、4Lは、所定の軸線方向間隔(左右方向間隔)をおいて、下部車体7に、互いに同一の中心軸線(A)周りに、各々回転可能に取り付けられる。

    回転部材4R、4Lには、プーリ9R、9L(或いはスプロケット)が同心位置に一体的に形成されている。 右側脚部材7Rと、左側脚部材7Lには、各々、電動モータ5R、5Lが取り付けられている。 電動モータ5Rは、無端ベルト10R(或いはリンクチェーン)によってプーリ9Rと駆動連結され、回転部材4Rを支持軸6Rの中心軸線周り(A)に回転駆動する。 電動モータ5Lは、無端ベルト10L(或いはリンクチェーン)によってプーリ9Lと駆動連結され、回転部材4Lを支持軸6Lの中心軸線周り(A)に回転駆動する。 これにより、左右の回転部材4R、4Lが、電動モータ5R、5Lによって個別に独立駆動される。

    なお、下部車体7、ポール33には、図示していないが、電動モータ5R、5Lの電源として、リーチャージブルなバッテリ電源、全方向移動体1の倒立振子制御と走行制御のための制御装置が搭載される。

    回転部材4R、4Lは、互い対向する側にテーパ外周面12R、12Lを有切頭円錐形をしている。 回転部材4Rのテーパ外周面12Rには、第2のフリーローラである複数個の右側駆動ローラ3Rが、各々、ブラケット13Rに支持軸14Rによって、回転部材4Rの移動方向である円周方向に沿って等間隔において、回転(自転)自在に取り付けられている。 回転部材4Lのテーパ外周面12Lには、同じく第2のフリーローラである複数個の左側駆動ローラ3Lが、各々、ブラケット13Lに支持軸14Rによって、回転部材4Lの移動方向である円周方向に沿って等間隔をおいて、回転(自転)自在に取り付けられている

    車輪2は、左右の回転部材4R、4Lの間に配置され、当該車輪2の中心軸線(対称軸)の両側(左右両側)より左右の回転部材4R、4Lの右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lによって挟まれるようにして左右の回転部材4R、4Lの中心軸線(A)と同一の中心軸線(B)(対称軸)周りに回転可能に支持されている。

    車輪2は、左右の回転部材4R、4Lの間に配置され、当該車輪2の中心軸線(対称軸)の両側(左右両側)より左右の回転部材4R、4Lの右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lによって挟まれるようにして左右の回転部材4R、4Lの中心軸線(A)と同一の中心軸線(B)(対称軸)周りに回転可能に支持されている。 換言すると、左右の回転部材4R、4Lは、車輪2の左右両側に車輪中心(後述する環状体22の環中心)と同心の軸線周りに回転自在に配置されている。

    車輪2は、円環状の環状体22と、環状体22の外周に、各々、当該環状体22の接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられた複数のフリーローラ25と、補填部材53により構成されている。

    より詳細には、図3に示されているように、環状体22は、金属製の正六形柱体により構成されている。 環状体22の外周には、当該環状体22の曲率と同じ曲率で曲がった正六角形孔による装着孔23Aを有する多数のインナスリーブ23が周方向に移動不能かつ回転不能に嵌着されている。 インナスリーブ23の外周面23Bは円筒面になっている。 なお、環状体22は、多角形や円環ユニットを組み合わせたものであってもよい。

    複数のフリーローラ25は、各々、円筒状の金属製スリーブ25Aと、金属製スリーブ25Aの外周に接合されてフリーローラ25の外周面25Cを構成する円筒状のゴム状弾性体製の外周部材25Bとにより構成され、各々、インナスリーブ23の外周面23Bにニードルベアリング51を介して回転可能に装着されている。

    フリーローラ25は、駆動を作用させる対象物に接触するローラであって、数珠繋ぎ状に環状体22に装着され、各々、環状体22の接線方向軸線周り、つまり、断面中心線(C)周りと同等の軸線周りに回転可能、更に換言すると、各フリーローラ25自体の中心軸線周りに回転可能になっている。 このフリーローラ25の回転をフリーローラ25の自転と云う。

    右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、前述の圧縮コイルばね8のばね力によってフリーローラ25の外周面25Cに向けて付勢されて外周面をもってフリーローラ25の外周面25Cに接触し、摩擦によって動力をフリーローラ25に伝達する。 つまり、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの外周面がフリーローラ25の外周面25Cに摩擦力をもって回転部材4R、4Lの回転を車輪2に伝達するトルク伝達関係で接触している。

    この場合、フリーローラ25と右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lとの関係(個数)は、接地しているフリーローラ25には必ず少なくとも一つの右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lが接触し、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lより接地状態にあるフリーローラ25に常に動力が与えられるような設定になっている。

    この実施形態の車輪2の断面中心線は、フリーローラ25の回転軸線同士をリング状に繋げたものとなり、車輪2の断面中心線(C)周りの回転は、フリーローラ25自体の回転(自転)によって得られる。

    互いに隣接するフリーローラ25間には補填部材53が配置されている。 補填部材53は、車輪の中心軸線に近い側が薄い楔形状、好ましくは、図4に示されているように、隣接するフリーローラ25間の空隙を補完する楔形状をしており、環状体22の正六角形横断面形状に外接する円形孔53Aを有し、外側が、フリーローラ25の外周面25Cと同心で、フリーローラ25の外径に等しいか、それより少し小さい外径の円弧面(接地面)53Bになっている。 補填部材53は、合成樹脂、ゴム状弾性体、エラストマ部材、スポンジ等により構成することができる。

    補填部材53は、車輪2の中心軸線(B)に直交する仮想平面で見て、つまり、図3で見て、車輪2の中心軸線(B)側が薄い楔形をしており、円形孔53Aをもって環状体22の外周に回動(揺動)可能に嵌合し、環状体22より当該環状体22の断面中心線(C)周りに回動(揺動)可能に支持され、隣接するフリーローラ25間にできる楔形状の空隙(空所)の概ね全体を埋めている。

    換言すると、補填部材53は、接地可能な円弧面53Bがフリーローラ25の回転方向と同方向に移動可能である。 なお、車輪2が転動球体の外周面に当接して転動球体を回転させるような使用では、接地可能な円弧面53Bは転動球体の外周面との当接側になる。

    車輪2は、互いに隣接するフリーローラ25間にできる楔形状の空隙を補填部材53によって埋められることにより、中心軸線(B)周りの凸凹が低減あるいはなくなる。

    なお、補填部材53は、フリーローラ25との干渉を避けるために、楔厚みが薄くなる側(車輪2の内周側)を直線的に切除されており、正面から見てD形をしている。 また、補填部材53は、楔厚みが薄くなる側にスリット53Cを有しており、スリット53Cを境にして、その両側を楔厚み方向に互いにずらすことにより、環状体22に交換可能に装着できるようになっている。

    右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、前述の圧縮コイルばね8のばね力によってフリーローラ25の外周面25Cに向けて付勢されて外周面3Ra、3Laをもってフリーローラ25の外周面25Cに接触し、摩擦によって推進力(回転力)をフリーローラ25に伝達する。 つまり、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの外周面3Ra、3Laが、フリーローラ25の外周面25Cに摩擦力をもって運動を車輪2に伝達する動力伝達関係で接触している。

    右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、車輪2の中心軸線(B)周り(回転部材4R、4Lの中心軸線(A)周りと同じ)の回転方向(より正確には、接触箇所における中心軸線(B)周りの円周の接線方向)に対して、直交および平行の何れでもない方向に延在する中心軸線(D)周りに回転自在に配置されている。 つまり、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、車輪2の中心軸線(B)周りの回転方向に対して傾斜し、回転部材4R、4Lの回転軸線(中心軸線(A))に対してねじれの関係をなす回転軸線(中心軸線(D))を有する。

    つまり、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの中心軸線は、各ローラの配置部位における中心軸線(A)方向への投影平面で見て、フリーローラ25の中心軸線に対して所定の傾斜角をもって傾斜している。 右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの中心軸線は、フリーローラ25の中心軸相当の環状体 22の半径線に対してある角度をもって傾いていると同時に、 環状体 22の中心線が接する仮想平面に対してある角度をもって傾いている。 この三次元的な軸線の傾きは、喩えると、ある角度の円錐面上に置かれた「はす歯傘歯車」の歯の傾きに似ている。

    この幾何学的配置により、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、フリーローラ25との外周面同士の接触による摩擦によって、回転部材4R、4Lの回転を横力としてフリーローラ25に伝達する。

    この実施形態の車輪2では、回転部材4R、4Lと共に回転移動する右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lとの接触によってフリーローラ25が環状体22の周り(断面中心線(C)周り)に回転し、左右方向への駆動力を接地面に作用させることができると共に、車輪2全体の中心軸線(B)周りの回転による円周方向移動により、前後方向への駆動力を接地面に作用させることができる。

    本実施形態の全方向移動体1では、左右の電動モータ5R、5Lによって左右の回転部材4R、4Lを同じ回転方向に同じ回転速度で回転させると、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、各々自転することなく回転部材4R、4Lの回転に伴って公転し、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの公転による横力が車輪2のフリーローラ25に回転軸線方向(母線方向)の分力として作用する。 これにより、フリーローラ25が自転することなく、車輪2が公転(中心軸線(B)周りの回転)する。

    これに対し、左右の電動モータ5R、5Lによって左右の回転部材4R、4Lの回転方向あるいは(および)回転速度を互いに違えると、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lが各々自転しながら公転し、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの自転による横力が車輪2のフリーローラ25に円周方向(回転軸線周り)の分力として作用する。 これにより、フリーローラ25が自転(断面中心線(C)周りの回転)する。

    このフリーローラ25の断面中心線(C)周りの回転は、回転部材4R、4L同士の回転速度差によって定まる。 例えば、回転部材4R、4Lを互いに同一速度で逆向きに回転させると、車輪2は中心軸線(B)(対称軸線)周りには回転(公転)せず、フリーローラ25だけが断面中心線(C)周りに回転することになる。 これにより、車輪2には、車輪2の中心軸線(B)の延在方向、つまり左右方向の駆動力が加わることになり、全方向移動体1は、左右方向移動する。

    このように、電動モータ5R、5Lによって回転部材4R、4Lの回転速度および回転方向を独立に制御することにより、全方向移動体1は、路面上で全方向へ移動することができる。

    また、補助輪35を接地させた状態で、電動モータ5R、5Lによって車輪2を断面中心線(C)周りに回転させると、補助輪35の接地による左右方向(車輪2の中心軸線(B)の方向)の横力により進行方向が拘束されることから、車輪2にはヨー軸(垂直方向)周りのモーメントが作用し、下部車体7(全方向移動体1)は旋回することができる。 つまり、補助輪35を用いて、車輪2の接地点と補助輪35の接地点とを結ぶ直線に一致しない方向に摩擦力を発生させることにより、ヨー軸方向のモーメントを作用させことができる。 これにより、下部車体7は、比較的小さな旋回半径をもって方向転換を行うことができる。

    車輪2は、互いに隣接するフリーローラ25間にできる楔形状の空隙を補填部材53によって埋められ、中心軸線(B)周りの車輪外郭の凸凹が低減あるいは凸凹がないから、車輪2が中心軸線(B)周りに回転して全方向移動体1が走行する際に、大きい走行振動、騒音が生じることが回避され、走行振動、騒音が低減する。

    また、フリーローラ25間にできる楔形状の空隙が補填部材53によって埋められフリーローラ25間に石などの異物が噛み込むことが未然に回避され、異物噛み込みによりフリーローラ25の自転(断面中心線(C)周りに回転)が阻害されるような事態に陥ることがなく、全方向移動体1の旋回が適切に行われることが保証される。

    補填部材53は、フリーローラ25の自転に可及的に抵抗を与えないよう、フリーローラ25との接触面は摩擦抵抗が少ない高滑性面であることが好ましい。 本実施形態では、補填部材53は、円形孔53Aをもって環状体22の外周に回動可能に嵌合しているから、フリーローラ25の自転に対して少しは連れ回りすることができる。 補填部材53がスポンジ等、楔厚さ方向に圧縮変形できるものであれば、補填部材53はフリーローラ25の自転に伴って断面中心線(C)周りに360度回転することができ、補填部材53が接地している状態にある時の全方向移動体1の旋回性能が損なわれることがない。

    補填部材53は、他の実施形態として、図5に示されているように、正六角形柱による環状体22に嵌合する正六角形孔53Dを有し、正六角形孔53Dをもって環状体22の外周に回転不能に嵌合していてもよい。

    この場合には、補填部材53は、フリーローラ25の自転に対して連れ回りすることがなく、フリーローラ25と補填部材53との相対関係が一定に保たれる。 補填部材53が断面中心線(C)周りに回転しない場合には、補填部材53が接地しないよう、円弧面53Bの外径は、異物噛み込み防止の効果を実質的に阻害しない範囲で、フリーローラ25の外径より小さいことが好ましい。

    図6は、補填部材の他の実施形態を示している。 本実施形態の補填部材55は、正六角形柱による環状体22に嵌合する正六角形孔55Aを有する金属あるいは合成樹脂製の正六角形環体55Bと、正六角形環体55Bの外周に取り付けられて正六角形孔55Aの中心を中心として放射状に延在する複数の羽根板状部材55Cにより構成され、ブラシ状をしている。 羽根板状部材55Cは、金属板、合成樹脂板あるいは繊維状部材により構成され、幅方向(フリーローラ25の公転方向)には高剛性を有し、板厚方向(フリーローラ25の自転方向)には比較的弱い力で曲げ弾性変形可能になっている。

    補填部材55は、正六角形孔55Aをもって環状体22の外周に回転不能に嵌合し、環状体22より固定支持されている。 これにより、複数の羽根板状部材55Cは、環状体22の断面中心を中心として放射状に延在する。 複数の羽根板状部材55Cの先端を結ぶ包絡円弧aは、フリーローラ25の外周面25Cと同心で、フリーローラ25の外径に等しいか、それより少し小さい外径になっている。

    補填部材55は、互いに隣接するフリーローラ25間にできる楔形状の空隙を、幅方向(断面中心線(C)の延在方向)には高剛性を有する複数の羽根板状部材55Cをもって埋める。 これにより、車輪2は、中心軸線(B)周りの車輪外郭の凸凹が低減あるいは凸凹がないから、車輪2が中心軸線(B)周りに回転して全方向移動体1が走行する際に、大きい走行振動、騒音が生じることが回避され、走行振動、騒音が低減する。

    互いに隣接する羽根板状部材55C間の間隙が狭いことにより、石などの異物の噛み込みが回避される。 これにより、異物噛み込みによりフリーローラ25の自転(断面中心線(C)周りに回転)が阻害されるような事態に陥ることが未然に回避され、全方向移動体1の旋回が適切に行われることが保証される。

    補填部材55は羽根板状部材55Cの端面でしかフリーローラ25に接触しないので、フリーローラ25の自転に大きい摩擦抵抗を与えることがない。 補填部材55が接地している状態でフリーローラ25が自転した場合には、羽根板状部材55Cが板厚方向には比較的弱い力で曲げ弾性変形可能であることから、羽根板状部材55Cが曲げ弾性変形する。 これにより、補填部材55が接地している状態にある時の全方向移動体1の旋回性能が大きく損なわれることがない。

    つぎに、本発明による車輪の他の実施形態を、図7、図8を参照して説明する。

    本実施形態では、正八角形柱体による円環の環状体61が用いられている。 環状体22の外周には、当該環状体61の曲率と同じ曲率で曲がった装着孔62Aを有する鍔付きインナスリーブ62が周方向に移動不能かつ回転不能に複数個嵌着されている。

    フリーローラ25は、前述の実施形態のものと同等のものであり、各々、円筒状の金属製スリーブ25Aと、金属製スリーブ25Aの外周に接合されてフリーローラ25の外周面25Cを構成する円筒状のゴム状弾性体製の外周部材25Bとにより構成されており、各々、鍔付きインナスリーブ23の円筒面による外周面23Bにボールベアリング63を介して回転可能に装着されている。

    鍔付きインナスリーブ62は、各フリーローラ25毎に設けられていて環状体61の環方向に連続して配置されており、スリーブ自体の軸線方向(環状体61の環方向)の端部に鍔部64を有する。 鍔部64は、互いに隣接するフリーローラ25間にあり、隣接するフリーローラ25の間隔を設定するディスタンス部材として機能する。 換言すると、鍔部64は、互いに隣接するフリーローラ25間にできる楔形状の空隙内に存在している。 鍔部64は、図8に示されているように、二面取り形状になっている。

    鍔部64には、当該鍔部64を車輪2の外周側から跨ぐように補填部材65が取り付けられている。 補填部材65は、図7で見て(側面から見て)フリーローラ25間の楔形状の空隙を埋めるように楔状をなし、図8で見て(正面から見て)鞍状をしていて鍔部64の二面取り部を両側から挟む形状になっている。 補填部材65がこの二面取り部を挟む部分には突起66が形成されている。 突起66は鍔部64の二面取り部に形成された凹部67に嵌り込み係合している。 この係合により、補填部材65が鍔部64に固定される。

    補填部材65は、ABS樹脂等の合成樹脂やゴム状弾性材により構成されていることにより、凹部67に対する突起66の係脱を弾性変形によって行うことができる。 これにより、補填部材65の着脱交換を簡便に行うことが可能になる。

    この実施形態でも、補填部材65は、フリーローラ25間の楔形状の空隙を埋めるから、フリーローラ25間に石などの異物が噛み込むことが防止される。

    つぎに、本発明による車輪、摩擦式駆動装置およびそれを用いた全方向移動体の実施形態2を、図9を参照して説明する。 なお、図9において、図2に対応する部分は、図2に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。

    本実施形態では、下部車体7の左側部材7Lと右側部材7とに、切頭円錐形の回転部材71、72が各々支持軸73、74によって中心軸線(A)上に互いに同心に回転自在に取り付けられている。

    下部車体7の左側部材7Lには電動モータ75が取り付けられている。 回転部材71にはプーリ(或いはスプロケット)76が同心に一体形成されている。 電動モータ75は、無端ベルト(或いはリンクチェーン)77によってプーリ76と駆動連結され、回転部材71を支持軸73の中心軸線(A)周りに回転駆動する。

    下部車体7の右側部材7Rにはもう一つの電動モータ78が取り付けられている。 回転部材72にはプーリ(或いはスプロケット)79が同心に一体形成されている。 電動モータ78は、無端ベルト(或いはリンクチェーン)80によってプーリ79と駆動連結され、回転部材72を支持軸74の中心軸線(A)周りに回転駆動する。

    回転部材71は、そのテーパ外周面81よりもう一方の回転部材72の側(図9で見て右側)に延出した複数個のアーム82を有し、アーム82によって前述の実施形態の車輪2の同等の環状体 22とフリーローラ25とによる車輪2の環状体 22を固定支持している。 これにより、車輪2は回転部材71と共に下部車体7より中心軸線(A)周りに回転自在に支持されている。 換言すると、下部車体7は、回転部材71によって車輪2を中心軸線(A)周りに回転自在に支持している。

    回転部材72のテーパ外周面83には、複数個の駆動ローラ84が、各々、ブラケット85に支持軸86によって、回転部材72の円周方向に沿って等間隔をおいて、回転(自転)自在に取り付けられている。

    駆動ローラ84は、圧縮コイルばね8のばね力によって左側部材7Lと右側部材7Rとが互い近付く方向に付勢されることにより、 フリーローラ25の外周面にトルク伝達関係で接触し、相手側のフリーローラ25の中心軸線(C)に対してねじれの関係にある方向に延在する中心軸線(D)の周りに回転可能に取り付けられている。 これにより、駆動ローラ84の回転軸線は、接触するフリーローラ25の回転軸線に対してねじれの関係をなす。

    つまり、駆動ローラ84の中心軸線は、各ローラの配置部位における中心軸線(A)方向への投影平面で見て、フリーローラ25の中心軸線に対して所定の傾斜角をもって傾斜している。 駆動ローラ84の中心軸線は、フリーローラ25の中心軸相当の円環部材22の半径線に対してある角度をもって傾いていると同時に、円環部材22の中心線が接する仮想平面に対してある角度をもって傾いている。 この三次元的な軸線の傾きは、喩えると、ある角度の円錐面上に置かれた「はす歯傘歯車」の歯の傾きに似ている。

    この幾何学的配置により、回転部材71と72とを相対回転させた際に、フリーローラ25の駆動ローラ84との接触点には、フリーローラ25の回転軸線周りと回転軸線方向(母線方向)の摩擦力(横力)が作用することになる。

    これにより、電動モータ75、78によって回転部材71、72を同じ回転方向に同じ回転速度で回転させると、駆動ローラ84は、自転することなく回転部材71、72の回転に伴って公転し、駆動ローラ84の公転による横力が車輪2のフリーローラ25に回転軸線方向の分力として作用する。 これにより、フリーローラ25が自転することなく、車輪2が回転部材71からも回転駆動されつつ公転(中心軸線(B)周りの回転)する。

    これに対し、電動モータ75、78によって左右の回転部材71、72の回転方向あるいは(および)回転速度を互いに違えると、駆動ローラ84が自転しながら公転し、駆動ローラ84の自転による横力が車輪2のフリーローラ25に円周方向の分力として作用する。 これにより、フリーローラ25が自転(断面中心線(C)周りの回転)する。

    このように、電動モータ75、78によって回転部材71、72の回転速度および回転方向を独立に制御することにより、全方向移動体1は、路面上で全方向へ移動することができる。

    なお、この実施形態でも、フリーローラ25と駆動ローラ84との関係(個数)は、接地しているフリーローラ25には必ず少なくとも1つの駆動ローラ84が接触し、駆動ローラ84より接地状態にあるフリーローラ25に常に動力が与えられるような設定になっている。

    本実施形態の車輪2は、前述した実施形態の車輪2と同じ構造のものであるから、本実施形態でも、フリーローラ25間に石などの異物が噛み込むことを防止すること、走行振動、騒音を低減することについて、前述した実施形態と同等の効果を得ることができる。

    1 全方向移動体 2 車輪 3R 右側駆動ローラ 3L 左側駆動ローラ 4R、4L 回転部材 7 下部車体 22 環状体 25 フリーローラ 53、55 補填部材 62 鍔付きインナスリーブ 64 鍔部 65 補填部材 71、72 回転部材 84 駆動ローラ

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