ホイール及びホイールシステム

申请号 JP2016220765 申请日 2016-11-11 公开(公告)号 JP2017088170A 公开(公告)日 2017-05-25
申请人 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構; National Research And Development Agency Japan Aerospace Exploration Agency; 发明人 OTSUKI SHINJI; ISSA A NESNAS;
摘要 【課題】小さな沈下量で大きな牽引 力 が得られるホイール及びホイールシステムを提供すること。【解決手段】ホイール1は、円形のホイール本体2と、複数のグローサ3とを有する。複数のグローサ3のそれぞれは、ホイール本体2の外周沿って設けられ、ホイール本体2の中心線よりホイール本体2の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を持つ 接触 表面を有する。【選択図】図1
权利要求
  • 円形のホイール本体と、
    前記ホイール本体の外周に沿って設けられ、前記ホイール本体の中心線より前記ホイール本体の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を持つ接触表面を有する複数のグローサと を具備するホイール。
  • 前記複数のグローサのそれぞれは、前記ホイール本体の中心線より前記ホイール本体の回転方向の反対側に傾いて設けられ、矩形の前記接触表面を有する突起部材により構成される 請求項1に記載のホイール。
  • 前記ホイール本体の中心線と前記突起部材の前記接触表面とがなす角度は、ほぼ90°である 請求項2に記載のホイール。
  • 前記複数のグローサのそれぞれは、ほぼ4分の1の円弧状の前記接触表面を有する1/4円筒状部材により構成される 請求項1に記載のホイール。
  • 前記ホイール本体の中心線と前記ホイール本体の外周の位置における前記1/4円筒状部材の第2の接線とは、ほぼ一致する 請求項4に記載のホイール。
  • 前記ホイール本体の中心線の方向に対する前記1/4円筒状部材の高さをh とし、前記1/4円筒状部材の半径をr としたとき、
    0.5≦r /h ≦3
    である 請求項5に記載のホイール。
  • 前記r /h は、ほぼ1である 請求項6に記載のホイール。
  • 前記複数のグローサの数は、1〜48である 請求項1に記載のホイール。
  • 前記複数のグローサの数は、24である 請求項8に記載のホイール。
  • 円形のホイール本体と、
    前記ホイール本体の外周に沿って設けられ、第1の接触表面及び第2の接触表面を有する複数のグローサと を具備し、
    前記第1の接触表面は、前記ホイール本体の第1の中心線より前記ホイール本体の第1の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を有し、
    前記第2の接触表面は、前記ホイール本体の第2の中心線より前記第1の回転方向と反対方向の第2の回転方向の反対側に傾いた第2の接線を有する ホイール。
  • 前記複数のグローサのそれぞれは、前記第1の接触表面と前記第2の接触表面とが交差する稜線を有する 請求項10に記載のホイール。
  • 前記ホイール本体の前記第1及び第2の中心線と前記第1及び2の接触表面とがそれぞれなす角度は、ほぼ90°である 請求項11に記載のホイール。
  • 前記複数のグローサの数は、6である 請求項12に記載のホイール。
  • 前記複数のグローサのそれぞれは、ほぼ4分の1の円弧状の前記第1の接触表面とほぼ4分の1の円弧状の前記第2の接触表面とが連続する1/2円柱状部材により構成される 請求項10に記載のホイール。
  • 前記ホイール本体の中心線と前記ホイール本体の外周の位置における前記1/2円柱状部材の第3の接線及び第4の接線とは、それぞれ、ほぼ一致する 請求項14に記載のホイール。
  • 前記ホイール本体の中心線の方向に対する前記1/2円柱状部材の高さをh とし、円弧状の前記第1及び第2の接触表面の半径をr としたとき、
    0.5≦r /h ≦3
    である 請求項15に記載のホイール。
  • 前記r /h は、ほぼ1である 請求項16に記載のホイール。
  • 各軸のそれぞれが同軸となるように配置された複数のホイールを具備し、
    前記複数のホイールのそれぞれは、
    円形のホイール本体と、
    前記ホイール本体の外周に沿って設けられ、第1の接触表面及び第2の接触表面を有する複数のグローサと を有し、
    前記第1の接触表面は、前記ホイール本体の第1の中心線より前記ホイール本体の第1の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を有し、
    前記第2の接触表面は、前記ホイール本体の第2の中心線より前記第1の回転方向と反対方向の第2の回転方向の反対側に傾いた第2の接線を有する ホイールシステム。
  • 前記複数のホイールのそれぞれの、前記複数のグローサのそれぞれは、前記第1の接触表面と前記第2の接触表面とが交差する稜線を有する 請求項18に記載のホイールシステム。
  • 前記複数のホイールのそれぞれの前記複数の稜線の数は、等しく、
    前記複数のホイールのそれぞれの、前記複数の稜線のそれぞれの前記複数のホイールの軸の方向の位置が、隣接する前記ホイールの前記複数の稜線のそれぞれの前記複数のホイールの軸の方向の位置と一致しないように、前記複数のホイールは、配置されている 請求項19に記載のホイールシステム。
  • 说明书全文

    本発明は、典型的には砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を走行する機械車両に用いられるホイール及びホイールシステムに関する。

    柔軟な土質の地形を移動する機械車両としては、惑星探査用車両やオフロード車、建設土木機械車両、農耕機械車両などがある。 これらの車両に用いられるホイールは、地形への沈下量に比例して大きな牽引を獲得する必要がある。

    月惑星探査用ローバに搭載された金属車両は、例えば中心線の方向に突出する複数のグローサが外周に沿って設けられたホイールを有する(非特許文献1及び2参照)。

    Squyres, SW, Arvidson, RE, and et.al (2003). Athena mars rover science investigation. J. Geophysical Researchs, 108(E12):8062. Welch, R., Limonadi, D., and Manning, R. (2013). Systems engineering the curiosity rover: A retrospective. Proc.2013 8th International Conference on System of Systems Engineering, pages 70-75.

    上記のホイールは、柔軟な土質の地形を走行する際に、地形への沈下量に比例して大きな牽引力を獲得することができるが、沈下量の増加は走行抵抗(走行効率の低下)の増加を招く。 ときには、ホイールは、地中深くに埋まって動かなくなる状態、つまりスタックを招く。 この場合に、ホイールの数を増やすことで、接地面積を大きくし、沈下量を低減できるが、大きさや重量などの点で問題がある。

    以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、小さな沈下量で大きな牽引力が得られるホイール及びホイールシステムを提供することにある。

    上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るホイールは、円形のホイール本体と、複数のグローサとを有する。 複数のグローサは、前記ホイール本体の外周に沿って設けられ、前記ホイール本体の中心線より前記ホイール本体の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を有する接触表面を有する。 或いは、複数のグローサは、中心線と交わる、前記ホイール本体の回転方向の反対側に延伸した第1の接線を有する接触表面を備える。

    本発明者等は、Resistive Force Theory(Li, C., Zhang, T., and Goldman, DI (2013). A terradynamics of legged locomotion on granular media. Science, 339:1408-1412.参照)と呼ばれる実験的に求められた沈下−圧力関係式に基づいてホイール表面のグローサの形状の最適設計を行った。

    変分法を基礎とした解析的最適化計算の結果、回転度に応じてグローサの形状を変化させると最良であるという結果が導出されたが、回転角度に応じてグローサの形状を変化させることは実用的ではない。 そこで、線形での最適化計算を行ったところ、グローサの形状は、ブカナン外車やモルガン車などに用いられる形状と同じとなったが、本発明者等は、更になる最適化計算を行い、様々なグローサの形状を検証し、本発明を案出するに至った。

    ここで、前記複数のグローサのそれぞれは、前記ホイール本体の中心線より前記ホイール本体の回転方向の反対側に傾いて設けられ、矩形の前記接触表面を有する突起部材により構成されることが好ましい。

    前記ホイール本体の中心線と前記突起部材の前記接触表面とがなす角度は、ほぼ90°であることが好ましい。

    前記複数のグローサのそれぞれは、例えばほぼ4分の1の円弧状の前記接触表面を有する1/4円筒状部材により構成されることが好ましい。 その部材は、一部が円弧状でもよく、例えばその一部の断面が1/2円弧状或いは1/4円弧状であってもよい。

    前記ホイール本体の中心線と前記ホイール本体の外周の位置における前記1/4円筒状部材の第2の接線とは、ほぼ一致することが好ましい。

    前記ホイール本体の中心線の方向に対する前記1/4円筒状部材の高さをh とし、前記1/4円筒状部材の半径をr としたとき、
    0.5≦r /h ≦3
    であることが好ましい。

    前記r /h は、ほぼ1であることがより好ましい。 r /h をほぼ1とすることで、ホイールの製造や車両などへの実装が容易になる。

    前記複数のグローサの数は、1〜48であることが好ましい。

    前記複数のグローサの数は、24であることがより好ましい。

    本発明の別形態に係るホイールは、円形のホイール本体と、前記ホイール本体の外周に沿って設けられ、第1の接触表面及び第2の接触表面を有する複数のグローサとを具備する。 前記第1の接触表面は、前記ホイール本体の第1の中心線より前記ホイール本体の第1の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を有する。 前記第2の接触表面は、前記ホイール本体の第2の中心線より前記第1の回転方向と反対方向の第2の回転方向の反対側に傾いた第2の接線を有する。

    ここで、前記複数のグローサのそれぞれは、前記第1の接触表面と前記第2の接触表面とが交差する稜線を有することが好ましい。

    前記ホイール本体の第1及び第2の中心線と前記第1及び2の接触表面とがそれぞれなす角度は、ほぼ90°であることが好ましい。

    前記複数のグローサの数は、6であることが好ましい。 グローサの数を増やした方がより小さな沈下量でより大きな牽引力が得られるが、グローサの数を6とすることでホイール本体の外周に複数のグローサを重なりなく設置することが可能となる。

    前記複数のグローサのそれぞれは、ほぼ4分の1の円弧状の前記第1の接触表面とほぼ4分の1の円弧状の前記第2の接触表面とが連続する1/2円柱状部材により構成されることが好ましい。

    前記ホイール本体の中心線と前記ホイール本体の外周の位置における前記1/2円柱状部材の第3の接線及び第4の接線とは、それぞれ、ほぼ一致することが好ましい。

    前記ホイール本体の中心線の方向に対する前記1/2円柱状部材の高さをh とし、円弧状の前記第1及び第2の接触表面の半径をr としたとき、
    0.5≦r /h ≦3
    であることが好ましい。

    前記r /h は、ほぼ1であることがより好ましい。

    本発明の一形態に係るホイールシステムは、各軸のそれぞれが同軸となるように配置された複数のホイールを具備する。 前記複数のホイールのそれぞれは、円形のホイール本体と、前記ホイール本体の外周に沿って設けられ、第1の接触表面及び第2の接触表面を有する複数のグローサとを有する。 前記第1の接触表面は、前記ホイール本体の第1の中心線より前記ホイール本体の第1の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を有する。 前記第2の接触表面は、前記ホイール本体の第2の中心線より前記第1の回転方向と反対方向の第2の回転方向の反対側に傾いた第2の接線を有する。

    ここで、前記複数のホイールのそれぞれの、前記複数のグローサのそれぞれは、前記第1の接触表面と前記第2の接触表面とが交差する稜線を有することが好ましい。

    前記複数のホイールのそれぞれの前記複数の稜線の数は、等しく、前記複数のホイールのそれぞれの、前記複数の稜線のそれぞれの前記複数のホイールの軸の方向の位置が、隣接する前記ホイールの前記複数の稜線のそれぞれの前記複数のホイールの軸の方向の位置と一致しないように、前記複数のホイールは、配置されていることが好ましい。

    本発明により、小さな沈下量で大きな牽引力が得られ、更に沈下量自体を小さくできる。

    本発明の第1の実施形態に係るホイールの斜視図である。

    図1に示したホイールの側面図である。

    図1及び図2に示したホイールの一部拡大図である。

    矩形状グローサの傾斜角度とホイールの牽引力との関係の分析結果を示すグラフである。

    矩形状グローサの傾斜角度とホイールの牽引力との関係の別の分析結果を示すグラフである。

    矩形状グローサの沈下量とホイールの牽引力との関係を求めるために行った実験結果を示すグラフである。

    矩形状グローサを有するホイールが走行時に地面から受ける抵抗力の分析結果を示すグラフである。

    本発明の第2の実施形態に係るホイールの側面図である。

    図8に示したホイールの一部拡大図である。

    円弧状グローサの傾斜角度とホイールの牽引力との関係の分析結果を示すグラフである。

    円弧状グローサの傾斜角度とホイールの牽引力との関係の別の分析結果を示すグラフである。

    円弧状グローサの沈下量とホイールの牽引力との関係を求めるために行った実験結果を示すグラフである。

    円弧状グローサを有するホイールが走行時に地面から受ける抵抗力の分析結果を示すグラフである。

    本発明の第3の実施形態に係るホイールの斜視図である。

    図14に示したホイールの一部拡大図である。

    本発明の第4の実施形態に係るホイールの斜視図である。

    図16に示したホイールの一部拡大図である。

    本発明の第5の実施形態に係るホイールシステムの斜視図である。

    本発明に係るグローサの更に別の形態を示す概略図である。

    本発明に係るグローサのまた別の形態を示す概略図である。

    以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。

    <第1の実施形態>
    図1は、本発明の第1の実施形態に係るホイールを示す斜視図である。 図2は、図1に示したホイールの側面図である。 図3は、図1及び図2に示したホイールの一部拡大図である。

    これらの図に示すように、ホイール1は、円形のホイール本体2と、複数のグローサ3とを有する。 グローサ3は、例えば三角形状、台形状、円形状、半円形状など、様々な断面形状を有してもよい。 半円形状の断面は、半円筒状と呼ぶことができる。 円の1/4の断面は、1/4円筒状と呼ぶことができる。 これらの断面は、中空(円筒)でも充填(円柱)でもよいし、例えば、図8に示すグローサは、円筒の一部により構成され、実際の円筒断面は、円弧とすることができる。 また、円柱の一部により構成し、例えば断面を1/4円柱に形成してもよい。

    ホイール1は、典型的には、惑星探査用車両やオフロード車、建設土木機械車両、農耕機械車両などの柔軟な土質の地形を移動する機械車両に用いられる。

    ホイール本体2は、典型的には、リム21と、複数のスポーク22とから構成される。 ホイール本体2は勿論さまざまな形態が考えられる。 ホイール本体2は、円形で所定の幅の外周23を有する。 勿論、円形とは実質的な意味においての形状である。

    複数のグローサ3は、ホイール本体2の外周23に沿って典型的には所定の間隔をもって設けられる。 複数のグローサ3のそれぞれは、典型的には、すべて実質的に同一の形状かつ大きさである。 ただし、これらのグローサ3が異なる形状であっても勿論構わない。

    複数のグローサ3のそれぞれは、ホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側に傾いた接線TDを有する接触表面31を有する。 図3において、Cは円形のホイール本体2の中心点を示す。 接触表面31は、典型的には、矩形状の平面である。

    複数のグローサ3のそれぞれは、典型的には、ホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側に傾いて設けられ、接触表面31を有する突起部材により構成される。

    ホイール本体2の中心線CLとグローサ3の接触表面31とがなす角度θは、0°よりも大きく、90°以下であればよい。 ホイール本体2の中心線CLとグローサ3の接触表面31とがなす角度θは、10°以上で、90°以下であることが好ましい。 ホイール本体2の中心線CLとグローサ3の接触表面31とがなす角度θは、ほぼ90°であることがより好ましい。 ここにいうほぼ90°とは、典型的には、89°〜90°である。

    複数のグローサ3の数は、1〜48であることが好ましい。 複数のグローサ3の数は、24であることがより好ましい。 グローサ3の数を増やした方がより小さな沈下量でより大きな牽引力が得られるが、グローサ3の数をこのようにすることでホイール本体2の外周23に複数のグローサ3を重なりなく設置することが可能となる。 グローサ3の数は、ホイール本体2の半径に応じて決めてもよい。

    ホイール本体2及びグローサ3は、典型的には、実質的に剛体である。 ホイール1は、ホイール本体2にグローサ3を取り付けて構成される。 ホイール1は、ホイール本体2とグローサ3とを一体的に構成してもよい。 グローサ3及び/又はホイール本体2の一部は、例えば自動車のタイヤのようにゴムなどの弾性体により構成してもよい。

    このホイール1を搭載する車両が砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を走行する場合、図3に示したようにホイール1は回転方向RDに回転する。 柔軟な地盤の表面に対し、ホイール1のグローサ3の腹である接触表面31はホイールの回転により徐々に沈んでいく。 その後、柔軟な地盤の表面に対し、接触表面31はホイールの回転により徐々に浮上する。 ホイール1の回転方向に位相の異なる各グローサ3が順次このような動作を繰り返す。 これにより、ホイール1を搭載する車両は牽引力を得て図3中左から右に移動する。

    このホイール1を搭載する車両は、砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を走行する場合に、従来型のホイールを搭載した場合と比べ、ホイール1から小さな沈下量で大きな牽引力が得られ、更にホイール1の沈下量自体が小さくなる。

    図4及び図5は、グローサ3の傾斜角度とホイール1の牽引力との関係を示すグラフである。 図4はホイール本体2の直径が840mmの場合であり、図5はホイール本体2の直径が200mmの場合である。 これらの値は、ホイール1の1枚のグローサ3に着目して求めている。

    これらの図におけるx軸のθ(rad)は、地面とホイール本体2の中心線CLから所定のグローサ3の取り付け位置に結ぶ線とがなす角度を示している。 所定のグローサ3の地面への入り側は、θがプラスとなり、所定のグローサ3の地面からの出側がマイナスとなっている。 φはホイール本体2の中心線CLとグローサ3とがなす角度を示している。 グローサ3がホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側に傾いている場合、その角度φはマイナスの角度としている。

    これらの図から分かるように、角度φが−10°、−45°、−89°の場合、つまりグローサ3がホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側に10°、45°、89°傾いている場合、牽引力のピーク及び牽引力の積算値が0°や20°の場合に比べて大きくなる。 角度φが−89°の場合、つまりグローサ3がホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側にほぼ90°傾いている場合、牽引力のピーク及び牽引力の積算値が最大となる。

    図6は、グローサ3の沈下量とホイール1の牽引力との関係を求めるために行った実験結果を示すグラフである。

    図6において、hgはグローサ3の長さ、φはホイール本体2の中心線CLとグローサ3とがなす角度を示している。 グローサ3がホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側に傾いている場合、その角度φはマイナスの角度としている。

    Inclined rectangular with height restriction (所定高さを持つ傾斜した矩形、hg=10mm,‐90deg)は、高さ10mmのグローサ3がホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側に90°傾いているホイール1の沈下量と牽引力との関係、つまり本発明に係るホイールの沈下量と牽引力との関係を示している。

    Flat and rectangular (傾斜せず矩形、hg=10mm,0deg)は、高さ10mmのグローサ3がホイール本体2の中心線CLと同じ方向のホイール1の沈下量と牽引力との関係、つまり従来のホイールの沈下量と牽引力との関係を示している。

    Plain wheel with no grouser (グローサのない平坦ホイール、R=110mm)は、グローサがなく、半径110mmの従来のホイールの沈下量と牽引力との関係を示している。

    各ポイントにおける横方向の線は、測定ばらつきの範囲を示している。

    この測定結果から、本発明に係るホイール1は、従来のホイールと比べると、より小さい沈下量でより大きな牽引力が得られること、沈下量自体が小さくなることが分かる。 更に、本発明に係るホイール1は、沈下量が0であっても牽引力が得られることが分かった。 この点は従来のホイールでは全く考えられなったことである。

    図7は、走行時にホイール1が地面から受ける抵抗力の分析結果を示すグラフである。

    図7におけるx軸のθ(rad)は、地面とホイール本体2の中心線CLから所定のグローサ3の取り付け位置に結ぶ線とがなす角度を示している。 所定のグローサ3の地面への入り側は、θがプラスとなり、所定のグローサ3の地面からの出側がマイナスとなっている。

    図7におけるφ(deg)は、ホイール本体2の中心線CLとグローサ3とがなす角度を示している。 グローサ3がホイール本体2の中心線CLよりホイール本体2の回転方向RDの反対側に傾いている場合、その角度φはマイナスの角度としている。

    図7におけるOptimal with considering soil property は土を考慮した場合の理想値、Optimal without considering soil property は土を考慮しない場合の理想値を示している。

    φ(deg)が−45deg、−30deg、−10deg、−5degの場合、つまり本発明に係るグローサ3の場合には、ホイール1が地面から受ける抵抗力が小さいことが分かる。

    <第2の実施形態>
    図8は、本発明の第2の実施形態に係るホイールを示す側面図である。 図9は、図8の一-部拡大図である。

    これらの図に示すように、ホイール101は、円形のホイール本体102と、複数のグローサ103とを有する。

    ホイール本体102は、典型的には、リム121と、複数のスポーク122とから構成される。 ホイール本体102は、円形で所定の幅の外周123を有する。

    複数のグローサ103は、ホイール本体102の外周123に沿って典型的には所定の間隔をもって設けられる。 複数のグローサ103のそれぞれは、典型的には、すべて実質的に同一の形状かつ大きさである。 複数のグローサ103のそれぞれは、接触表面131を有する部材を有し、その部材は円筒の1/4の領域に延びているが、図9に示されるように、その部材(1/4円筒状部材)はその領域内にある。 複数のグローサ103は、ホイール本体102の中心線CLよりホイール本体102の回転方向RDの反対側に傾いた接線TDを有するほぼ4分の1の円弧状の接触表面131を有する1/4円筒状部材により構成される。

    ホイール本体102の中心線CLとホイール本体102の外周123の位置における1/4円筒状部材(グローサ103)の接線TD 123とは、ほぼ一致する。

    ホイール本体102の中心線CLの方向に対する1/4円筒状部材の高さをh とし、1/4円筒状部材の半径をr としたとき、
    0.5≦r /h ≦3
    であることが好ましい。 より好ましくはr /h は、ほぼ1である。

    複数のグローサ103の数は、1〜48であることが好ましい。 複数のグローサ103の数は、24であることがより好ましい。 グローサ103の数を増やした方がより小さな沈下量でより大きな牽引力が得られるが、グローサ103の数をこのようにすることでホイール本体102の外周123に複数のグローサ103を重なりなく設置することが可能となる。

    ホイール本体102及びグローサ103は、典型的には、実質的に剛体である。 ホイール101は、ホイール本体102にグローサ103を取り付けて構成される。 ホイール101は、ホイール本体102とグローサ103とを一体的に構成してもよい。 グローサ103及び/又はホイール本体102の一部は、例えば自動車のタイヤのようにゴムなどの弾性体により構成してもよい。

    第1の実施形態と同様に、このホイール101を搭載する車両が砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を走行する場合、図9に示したようにホイール101は回転方向RDに回転する。 柔軟な地盤の表面に対し、ホイール101のグローサ103の腹である接触表面131はホイール101の回転により徐々に沈んでいく。 その後、柔軟な地盤の表面に対し、接触表面131はホイール101の回転により徐々に浮上する。 ホイール101の回転方向に位相の異なる各グローサ103が順次このような動作を繰り返す。 これにより、ホイール101を搭載する車両は牽引力を得て図9中左から右に移動する。

    このホイール101を搭載する車両も、砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を走行する場合に、従来型のホイールを搭載した場合と比べ、ホイール101から小さな沈下量で大きな牽引力が得られ、更にホイール101の沈下量自体が小さくなる。

    図10及び図11は、グローサ103の円弧の半径r とホイール101の牽引力との関係を示すグラフである。 図10はグローサ103の高さh が5cmの場合であり、図11はグローサ103の高さh が10.0mmの場合である。 これらの値は、ホイール101の1枚のグローサ103に着目して求めている。

    これらの図におけるx軸のθ(rad)は、地面とホイール本体102の中心線CLから所定のグローサ103の取り付け位置に結ぶ線とがなす角度を示している。 所定のグローサ103の地面への入り側は、θがプラスとなり、所定のグローサ103の地面からの出側がマイナスとなっている。 r はグローサ103の円弧の半径の大きさを示している。 グローサ103の接触表面131の接線TDがホイール本体102の中心線CLよりホイール本体102の回転方向RDの反対側に傾いている場合、そのr はマイナスの値としている。

    これらの図から分かるように、グローサ103の円弧の半径r がマイナスの値の場合、つまりグローサ103の接触表面131の接線TDがホイール本体102の中心線CLよりホイール本体102の回転方向RDの反対側に傾いている場合、牽引力のピーク及び牽引力の積算値がプラスのr の場合に比べて大きくなる。 図10ではr が10cm、図11ではr が25mmの場合、つまりr /h がほぼ2の場合、牽引力のピーク及び牽引力の積算値が最大となる。

    図12は、グローサ103の沈下量とホイール101の牽引力との関係を求めるために行った実験結果を示すグラフである。

    図12において、hgはグローサ103の高さ、r はグローサ103の円弧の半径の大きさを示している。 グローサ103の接触表面131の接線TDは、ホイール本体102の中心線CLよりホイール本体102の回転方向RDの反対側に傾いている。

    Flat and rectangular (傾斜せずに矩形、hg=10mm,φ=0deg)は、高さ10mmの矩形状のグローサを有するホイールの沈下量と牽引力との関係、つまり従来のホイールの沈下量と牽引力との関係を示している。

    各ポイントにおける横方向の線は、測定ばらつきの範囲を示している。

    この測定結果から、本発明に係るホイール101は、従来のホイールと比べると、より小さい沈下量でより大きな牽引力が得られること、沈下量自体が小さくなることが分かる。 更に、本発明に係るホイール101は、第1の実施形態に係るホイール1と同様に、沈下量が0であっても牽引力が得られることが分かった。

    図13は、走行時にホイール101が地面から受ける抵抗力の分析結果を示すグラフである。

    図13におけるx軸のθ(rad)は、地面とホイール本体102の中心線CLから所定のグローサ103の取り付け位置に結ぶ線とがなす角度を示している。 所定のグローサ103の地面への入り側は、θがプラスとなり、所定のグローサ103の地面からの出側がマイナスとなっている。

    図13におけるr は、グローサ103の円弧の半径の大きさを示している。 グローサ103の接触表面131の接線TDがホイール本体102の中心線CLよりホイール本体102の回転方向RDの反対側に傾いている場合、そのr はマイナスの値としている。

    がマイナスの場合、つまり本発明に係るグローサ103の場合には、ホイール101が地面から受ける抵抗力が小さいことが分かる。

    <第3の実施形態>
    図14は、本発明の第3の実施形態に係るホイールの斜視図である。 図15は、そのホールの一部拡大図である。

    これらの図に示すように、ホイール201は、円形のホイール本体202と、複数のグローサ203とを有する。

    ホイール本体202は、典型的には、リム221と、複数のスポーク222とから構成される。

    複数のグローサ203は、ホイール本体202の外周223に沿って典型的には所定の間隔をもって設けられる。 複数のグローサ203の数は、例えば6である。 しかし、複数のグローサ203の数は、これに限定されない。 複数のグローサ203のそれぞれは、典型的には、すべて実質的に同一の形状かつ大きさである。

    複数のグローサ203のそれぞれは、ホイール本体202の外周に沿って設けられ、第1の接触表面231及び第2の接触表面232を有する。

    第1の接触表面231は、ホイール本体202の中心線CL よりホイール本体202の第1の回転方向RD の反対側に傾いた第1の接線TD を有する。 第2の接触表面232は、ホイール本体202の中心線CL より第1の回転方向RD と反対方向の第2の回転方向RD の反対側に傾いた第2の接線TD を有する。 第1の接触表面231及び第2の接触表面232は、典型的には、矩形状の平面である。 複数のグローサ203のそれぞれは、第1の接触表面231と第2の接触表面232とが交差する直線状の稜線233を有する。 複数のグローサ203のそれぞれは、典型的には、稜線233を境にして第1の接触表面231及び第2の接触表面232を有する突起部材により構成される。

    ホイール本体202の中心線CL 及びCL と第1の接触表面231及び第2の接触表面232とがそれぞれなす角度θ 、θ は、典型的には、それぞれほぼ90°である。 しかし、角度θ 、θ は、10°以上で、90°以下であればよい。 角度θ と角度θ とは、同じ角度でもよく、異なる角度であってもよい。 異なる角度とすることで、異なる走行方向に対してそれぞれ異なる性能を発揮させることができる。

    ホイール本体202及びグローサ203は、典型的には、実質的に剛体である。 しかし、これまでの実施形態に係るホイールと同様にゴムなどの弾性体により構成してもよい。

    このホイール201を搭載する車両が砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上の一方向を走行する場合、図15に示したようにホイール201は第1の回転方向RD に回転する。 柔軟な地盤の表面に対し、ホイール201のグローサ203の腹である第1の接触表面231はホイール201の回転により徐々に沈んでいく。 その後、柔軟な地盤の表面対し、第1の接触表面231はホイール201の回転により徐々に浮上する。 ホイール201の回転方向に位相の異なる各グローサ203が順次このような動作を繰り返す。 これにより、ホイール201を搭載する車両は牽引力を得て図15中左から右に移動する。

    一方、このホイール201を搭載する車両が柔軟な地盤上の他方向を走行する場合、図15に示したようにホイール201は第2の回転方向RD に回転する。 柔軟な地盤の表面に対し、ホイール201のグローサ203の他方の腹である第2の接触表面232はホイール201の回転により徐々に沈んでいく。 その後、柔軟な地盤の表面に対し、第2の接触表面232はホイール201の回転により徐々に浮上する。 ホイール201の回転方向に位相の異なる各グローサ203が順次このような動作を繰り返す。 これにより、ホイール201を搭載する車両は牽引力を得て図15中右から左に移動する。

    このホイール201を搭載する車両は、砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を前進走行する場合及び後退走行する場合に、従来型のホイールを搭載した場合と比べ、いずれの走行方向に対してもホイール201から小さな沈下量で大きな牽引力が得られ、更にホイール201の沈下量自体が小さくなる。

    <第4の実施形態>
    図16は、本発明の第4の実施形態に係るホイールの斜視図である。 図17は、そのホイールの一部拡大図である。

    これらの図に示すように、ホイール301は、円形のホイール本体302と、複数のグローサ303とを有する。

    ホイール本体302は、典型的には、リム321と、複数のスポーク322とから構成される。

    複数のグローサ303は、ホイール本体302の外周323に沿って典型的には所定の間隔をもって設けられる。 複数のグローサ303の数は、例えば30である。 しかし、複数のグローサ303の数は、これに限定されない。 複数のグローサ303のそれぞれは、典型的には、すべて実質的に同一の形状かつ大きさである。

    複数のグローサ303のそれぞれは、ホイール本体302の外周323に沿って設けられ、ほぼ4分の1の円弧状の第1の接触表面331とほぼ4分の1の円弧状の第2の接触表面332とが連続する1/2円柱状部材により構成される。 第1の接触表面331は、ホイール本体302の中心線CL よりホイール本体302の第1の回転方向RD の反対側に傾いた第1の接線TD を有する。 第2の接触表面332は、ホイール本体302の中心線CL より第1の回転方向RD と反対方向の第2の回転方向RD の反対側に傾いた第2の接線TD を有する。 第1の接触表面331と第2の接触表面332とは、典型的には線対称とすればよい。 しかし、第1の接触表面331と第2の接触表面332とを異なる形状とすることで、異なる走行方向に対してそれぞれ異なる性能を発揮させることができる。

    ホイール本体302の中心線CL 及びCL とホイール本体302の外周323の位置における1/2円柱状部材であるグローサ303の第3の接線TD 323‐3及び第4の接線TD 323‐4とは、それぞれ、一致する。

    ホイール本体302の中心線CL 及びCL の方向に対する1/2円柱状部材であるグローサ303の高さをh とし、円弧状の第1の接触表面331及び第2の接触表面332の半径をr としたとき、
    0.5≦r /h ≦3
    であるであることが好ましい。 より好ましくはr /h は、ほぼ1である。

    ホイール本体302及びグローサ303は、典型的には、実質的に剛体である。 しかし、これまでの実施形態のホイールと同様にホイール301の一部又は全部をゴムなどの弾性体により構成してもよい。

    このホイール301を搭載する車両が砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上の一方向を走行する場合、図17に示したようにホイール301は第1の回転方向RD に回転する。 柔軟な地盤の表面に対し、ホイール301のグローサ303の腹である第1の接触表面331はホイール301の回転により徐々に沈んでいく。 その後、柔軟な地盤の表面に対し、第1の接触表面331はホイール301の回転により徐々に浮上する。 ホイール301の回転方向に位相の異なる各グローサ303が順次このような動作を繰り返す。 これにより、ホイール301を搭載する車両は牽引力を得て図17中左から右に移動する。

    一方、このホイール301を搭載する車両が柔軟な地盤上の他方向を走行する場合、図17に示したようにホイール301は第2の回転方向RD に回転する。 柔軟な地盤の表面に対し、ホイール301のグローサ303の他方の腹である第2の接触表面332はホイール301の回転により徐々に沈んでいく。 その後、柔軟な地盤の表面に対し、第2の接触表面332はホイール301の回転により徐々に浮上する。 ホイール301の回転方向に位相の異なる各グローサ303が順次このような動作を繰り返す。 これにより、ホイール301を搭載する車両は牽引力を得て図17中右から左に移動する。

    このホイール301を搭載する車両は、砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を前進走行する場合及び後退走行する場合に、従来型のホイールを搭載した場合と比べ、いずれの方向に対してもホイール301から小さな沈下量で大きな牽引力が得られ、更にホイール301の沈下量自体が小さくなる。

    <第5の実施形態>
    図18は、本発明の第5の実施形態に係るホイールシステムの斜視図である。

    図18に示すように、このホイールシステム401は、同一形状の4つの図14に示したホイール201を各ホイール201の軸のそれぞれが同軸となるように配置して構成される。 ホイール201の数は4に限らず、複数であればよい。

    この実施形態に係るホイールは、円形のホイール本体と、ホイール本体の外周に沿って設けられ、第1の接触表面及び第2の接触表面を有する複数のグローサとを有し、第1の接触表面は、ホイール本体の第1の中心線よりホイール本体の第1の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を有し、第2の接触表面は、ホイール本体の第2の中心線より第1の回転方向と反対方向の第2の回転方向の反対側に傾いた第2の接線を有するものであればよい。 典型的には、ホイール201の代わりに図16に示したホイール301を用いてもよい。 本実施形態に係るホイールシステムは、異なる形態のホイールを組み合わせてもよい。 例えば、これまでの実施形態で示したいずれかのホイール本体といずれかのグローサとを組み合わせてもよい。

    複数のホイール201のそれぞれの複数の稜線233の数は、等しく、例えば6である。

    複数のホイール201のそれぞれの、複数の稜線233のそれぞれの複数のホイール201の軸の方向AXの位置が、隣接するホイール201の複数の稜線233のそれぞれの複数のホイール201の軸の方向AXの位置と一致しないように、複数のホイール201は、配置されている このホイールシステム401を搭載する車両は、砂、土、泥、畑といった柔軟な地盤上を前進走行する場合及び後退走行する場合に、従来型のホイールを搭載した場合と比べ、いずれの方向に対してもホイールシステム401からホイール201の数にほぼ比例して小さな沈下量で大きな牽引力が得られ、更に各ホイール201の沈下量自体が小さくなる。

    <まとめ>
    この実施形態により、以下の本発明に係る効果が確認された。

    従来の平坦突起のホイールと比べて、任意の沈下量に対する牽引力が第1の実施形態に係るホイールでは、30%〜200%、第2の実施形態に係るホイールでは、10%〜100%の性能向上が実験的に確認された。 これは、少ない沈下量で大きな牽引力を出すことを意味する。

    同じスリップ量でも沈下量が少ない。

    沈下量が少ないため走行効率が向上する。

    同じ許容包絡域に入る車輪形状の中で優れた特性を示すため、質量及び体積あたりの牽引力が大きい。

    土質の特性が違った場合でも同様に良好な特性を示すことができる。 すなわち、特性は土質に依存しない。

    <グローサの他の形態>
    本発明に係るグローサは、上記の実施形態で示した形態以外にも以下に示す様々形態が考えられる。

    例えば、図19に示すホイール601は、ホイール本体602に正弦/余弦形状のグローサ603を配置して構成される。

    例えば、図20に示すホイール701は、ホイール本体702に反転する2つの円弧形状の組み合わせからなるグローサ703を配置して構成される。

    要するに、本発明に係るグローサは、ホイール本体の中心線よりホイール本体の回転方向の反対側に傾いた第1の接線を持つ接触表面を有するものであればよい。

    本発明に係るホイールやホイールシステムは、典型的には、惑星探査用車両やロボットの走行機構の金属車輪表面の突起形状として使用される。

    本発明に係るホイールやホイールシステムは、この用途以外にも様々な用途に使用することができる。

    <本発明の利用分野>
    本発明は、以下に例示するように様々な分野で適応可能である。

    本発明に係るホイールやホイールシステムは、例えば、建設土木機械車両の走行機構のゴムタイヤの形状として使用することができる。

    本発明に係るホイールやホイールシステムは、例えば、水や粒状媒質など、走行機構の作用により変形する媒体から大きな反力を得るための形状として使用することができる。

    本発明に係るホイールやホイールシステムは、例えば、船舶のパドルホイール等の水かき形状として使用することができる。

    本発明に係るホイールやホイールシステムは、例えば、粒状物質の攪拌装置の接触部の形状として使用することができる。

    <解析的最適化計算の結果>
    既に説明したとおり、本発明者等は、Resistive Force Theory(Li, C., Zhang, T., and Goldman, DI (2013). A terradynamics of legged locomotion on granular media. Science, 339:1408-1412.参照)と呼ばれる実験的に求められた沈下−圧力関係式に基づいてホイール表面のグローサの形状の最適設計を行った。

    変分法を基礎とした解析的最適化計算の結果、回転角度に応じてグローサの形状を変化させると最良であるという結果が導出されたが、回転角度に応じてグローサの形状を変化させることは実用的ではない。

    そこで、線形での最適化計算を行ったところ、グローサの形状は、ブカナン外車やモルガン水車などに用いられる形状と同じとなったが、本発明者等は、更なる最適化計算を行い、様々なグローサの形状を検証し、本発明を案出するに至った。 以下に示す計算は、特定の前提条件や限定が行われているが、本発明に係る車輪とグローサは、計算に使用されるものと異なる場合がある。 以下に示す計算における仮定又制限は、本発明の実施形態に係る例として考えることができる。

    以下、解析的最適化計算の結果を示す。

    グローサ形状関数g(q)を最適化するための簡略化された式は以下のとおりである。

    式中、w(q)は座標軸に沿ったホイール幅であり、qは一定のホイール幅としてbに等しい。 ホイール半径Rはここでは定数とされ、クロスホイールパターンs(r)は平面とされる。

    ここで、ひとつのグローサの牽引力を最適化する点を検討する。 加えて、大きなグローサを有するホイールの場合、相互作用は主にグローサと、ホイール本体というよりは地表との間で起こるので、ホイールのグローサ形状の前後における地表の表面レベルは同一であるとし、Z max =0と仮定する。 この仮定は、大きなグローサを有するホイールについては妥当である。 なぜなら、これらは小さなグローサを有するかグローサを有していないホイールと同じブルドーザー効果を示さないからである。

    最大牽引力についてグローサ形状を最適化するため、以下のオイラーの公式をグローサに適用した変分法を利用する。

    式中、g'はgの導関数であり、gθの下付き文字はθの導関数である。

    上記式の解は極小値、極大値、変曲点を示すので、それらは大域最適性を保証するものではない。

    ここで、平坦グローサの場合について検討する。

    平面矩形状のグローサの場合を検討すると、g"=0であるが、平坦グローサの角度は変更可能である。ここでは(a)グローサ形状の空間導関数が土壌特性に依存しない場合に、g'のαの導関数、すなわち、

    であるケース

    (b)当該導関数が土壌特性に依存するケース、の二例を検討する。
    式(33)を(34)に代入してこれらのオイラーの公式を解くことで、先の仮定に対する、最適なグローサ形状のための式を得られる。 後述する式56〜式76は、土壌特性に依存しないケースの解を、後述する式77〜式96は、土壌特性に依存するケースの解をそれぞれ示している。 土壌特性に依存しないケース(a)のための最適なグローサ形状は以下の式により得られる。

    導関数が土壌特性に依存する場合(ケース(b))、すなわち、

    の場合、最適な形状は以下の式により得られる。

    式中、g'のαの導関数は

    α d

    により得られる。

    式中、C m,nとD m,nは、上記のResistive Force Theory(Li, C., Zhang, T., and Goldman, DI (2013). A terradynamics of legged locomotion on granular media. Science, 339:1408-1412.)に記載のフーリエ係数である。

    z方向への力を算出するため、

    C m,n →A m,n

    及び

    D m,n →B m,n

    と考えられる。

    g'のαの二次導関数α ddは以下の式により得られる。

    式中、

    が得られる。

    パラメータα d及びα ddは、式(35)(36)で表される土壌特性に依存するケースと土壌特性に依存しないケースの両方に最適な形状の解において、土壌特性を定義するスケーリング係数ζを含むが、ζは相殺される。

    したがって、平坦グローサに最適な形状はスケーリング係数に依存しないということが分かる。

    座標軸からの傾斜角φを有する平面矩形状のグローサに最適な形状qを算出するため、以下の式を使用する。

    式中、グローサ長さはh gに制限され、地表下に沈んだグローサの出発点q sは以下の式により得られる。

    上記制約に関してそれぞれ式(35)(36)を解くことで、以下の結果を得られる。

    及び

    図3、図9、図19及び図20は、最大牽引力、その積算値、グローサの長さあたりの最大牽引力、及び土壌抵抗、という観点から検討し数値的に検証したグローサ形状である。 ホイール-バウンド直径を採用する場合、グローサ長さは、図3、図9、図19及び図20に示すように、グローサの傾斜角度をより大きくするため更に長くされる。
    ここで、グローサ全体は半径R+h gの境界円内にあり、既定の傾斜φに対するグローサ長さの最大値l maxは、以下の式により得られる。

    図4及び図5はホイール-バウンド直径の場合の結果を示す。 この場合、φ=-90度の平坦グローサは最大牽引力、続いて最大積算値を発生する。 グローサ長さは式(33)において特徴的であるα(β,γ)ではなく、グローサ長さに深く依存するので、これは予想されていた結果である。

    要するに、平坦グローサについて、分析モデルは、直径−バウンドのケースでは傾斜φ=-90度が数値的に最適な解であり、グローサ長さを制限するケースではφ=θ+0.16radが最適な解であることを示している。

    次に、円弧状グローサの場合について検討する。
    もう一度、ここで土壌特性に依存しないケースと土壌特性に依存するケースの両方を検討する。 前者では、

    であり、g"≠0である。

    その結果として、この場合の曲線状グローサに最適な条件は以下の式により得られる(導出については後述する式56〜式76を参照)。

    土壌特性に依存するケースでは、

    g"≠0である。

    最適条件は以下の式により得られる(導出については後述する式77〜式96参照)。

    前項の平坦グローサの場合における結果のように、式(46)及び(47)における最適条件はスケーリング係数sの差に影響を受けない。 これらの条件により極小、極大、又は変曲点における解析解を得られるが、これらの解は帯域最適性を保証することができない。

    これらの式を代数的に解くことは難しいため、最適な形状関数gを数字的に算出したが、グローサの因数を得ることはできなかった。 特に、土壌特性を考慮した場合、解の中に複素数が現れるため、グローサ形状はほとんど現れない。

    これらの結果から、最適な牽引力は、1/4の円弧又は楕円に近似できるが回転角θに依存する形状を示す傾向にある。 形状可変型のグローサを設計することは実用的ではないので、代わりに、ほぼ最適な性能を持つ固定形状のグローサを検討する。

    グローサの主軸の半分及び短軸の半分をr 1 、r 2として、パラメータ化された1/4円弧形状を調査する。

    図3、図9、図19及び図20に示すようなグローサを有するホイールについて、直径の増加をh gに制限する。 以下の式はr 1 、r 2 、及びh gの関係性を表す。

    また、グローサの形状は以下の式により得られる。

    図10は牽引力の結果がホイールパラメータに影響されないことを示す。 1/4円弧状では、r 1 ≧r 2であり、地中では凸状部分が地表に向かって移動する。

    このようなグローサの単位長さあたりの牽引力は、ホイール本体に垂直に設けられた、長さの等しい平坦グローサよりも高い性能を示す。

    後者のグローサはまた、歩行移動となる可能性が高い。

    次に、グローサ幅の最適化について検討する。

    グローサの全長にわたって、その全幅w(q)=bが地表との接触を最大化し最大牽引力を生じさせることは直感的に理解される。

    我々はこれを、前項で定義した土壌特性に依存しないケースを考慮に入れることで、分析的に検証する。 そこでは、g"≠0であり、

    である。

    その場合のグローサ長さに沿ってグローサ幅の変化を考慮することで、次の式が得られる。

    式中、wはグローサの幅であり、w'はqに対するwの導関数である。

    g"≠0である場合、最適条件は以下の式となる。

    傾斜角φを有する矩形状の傾斜したグローサとして、グローサの傾斜は最適条件φ=θ及びg'=tanφを満たすことになる。

    結果として得られる、グローサ幅関数の最適条件は以下の式に簡約される.

    したがって、このケースにより、一定の幅を有するグローサは牽引力を最大化する最適解のひとつであることが示されている。

    g"≠0である場合、式(50)の解は一意的には得られないであろう。

    次に、異なるグローサのモデル結果の比較をする。

    まず、その正確さを検証するために、モデルを他のグローサに適用し、その結果をResistive Force Theory(Li, C., Zhang, T., and Goldman, DI (2013). A terradynamics of legged locomotion on granular media. Science, 339:1408-1412.)により発表された結果と比較した。

    図3、図9、図19及び図20に示したホイール/土壌パラメータを利用して、Resistive Force Theory(Li, C., Zhang, T., and Goldman, DI (2013). A terradynamics of legged locomotion on granular media. Science, 339:1408-1412.)によって使用されたものと同じ形状である、グローサ高さh gと放物線パラメータaとにより定義された半円弧による牽引力を比較した。 グローサ形状関数gは以下のように定義される。

    Qsのプロファイルは次のように表される。

    式中sign(・)は符号関数である。

    同様に、後述の図19や図20に示される半正弦波及び二重の1/4円弧を含む他のグローサ形状を定義する。

    表1及び2は、あらゆるグローサ形状の全ての回転角度について最大牽引力とその対応する積算値の結果をまとめたものである。

    これらの結果から、図10及び図11に示すように、ホイール本体の接線方向に長く平面的なグローサ(φ=-89度)を除いたその他のグローサと比較すると、1/4円弧を有するグローサは優れた性能を示している。

    これらの放物曲線形状から得られた結果は、Resistive Force Theory(Li, C., Zhang, T., and Goldman, DI (2013). A terradynamics of legged locomotion on granular media. Science, 339:1408-1412.)で得られたものと同様であり、凸状グローサが地表と接触するとき、牽引力は平面放射状グローサのそれよりも大きいことを示している。

    しかしながら、直径境界内で最大の長さを有する、接線方向に平面的なグローサは、グローサの単位長さあたりの牽引力に関してではなく、牽引力に関して最良の性能を発揮する。 より長いグローサのホイール質量はより大きくなってしまっていたため、惑星探査のためのホイール設計においては、凸状円弧のような、ホイール質量を最小化しつつ牽引力を最大化する他の設計を検討してきたものである。

    このような形状により、非常に長いグローサを必要とせずにより大きな牽引力を生じさせることができる。

    ここで、上記の式46の導出プロセスは、以下のとおりである。

    グローサ形状の最適化についてオイラーの公式(56)を検討し、式(57)によって算出される全牽引力を最大化する。

    である場合、式(56)の各因数は次のように算出される。

    最適化の問題は、以下の式を満たすgを見つけることである。

    α(β,γ)≠0であるので、単位深度あたりの法線応力の分布αは最適化プロセスに関連していない。 それゆえ、以下の式の展開によりw'=0という前提のもと、式(63)が抽出される。

    1+g' 2 ≠0であるので、以下の式が得られ抽出される。

    最後に、

    の場合のグローサ形状の最適化条件が以下の式により表される。

    上記最適化条件を満たすgの解が得られた場合、解は極小値、極大値、又は変曲点の解であってもよい。

    次に、

    であるがw'≠0である場合、式(63)は以下の式により抽出される。

    1+g' 2 ≠0であるので、上記式は以下のように抽出される。

    最後に、ホイールとグローサの幅形状を考慮した最適化条件として、次の式が得られる。

    ここで、上記の式47の導出プロセスは、以下のとおりである。

    以下の場合

    を検討し、引用文献(Li, C., Zhang, T., and Goldman, DI (2013). A terradynamics of legged locomotion on granular media. Science, 339:1408-1412.)に示された以下の式により、xおよびz方向におけるαを求める。

    式中、ホイール-グローサ形状のパラメータβおよびγは以下の式により求められる。

    さらに、スケーリングされたαと一般的なαとは次のような関係性がある。

    式中、?は土壌の差異を示すスケーリング係数である.
    土壌特性を考慮した最適化について、式(56)の内容は以下の式から導出される。

    最適化の問題は、以下の式を満たすgを見つけることである。

    w'=0という前提のもと、以下の式の展開により式(87)が抽出される。

    式中、α(β,γ)はαと略す。

    1+g'2≠0であるので、以下の式が得られる。

    この時点で、分子に着目して計算する。

    式中、以下の関係式が上記抽出に利用される。

    また、分母は以下の式に要約される。

    最後に、土壌特性を考慮した最適化条件が次のように表される。

    上記最適化条件を満たすgの解が得られた場合、解は最小値、最大値、または変曲点の解であってもよい。

    1、101、201、301、501、601、701…ホイール2、102、202、302、502、602、702…ホイール本体3、103、203、303、503、603、703…グローサ23…ホイール本体の外周31、131…接触表面231、331…第1の接触表面232、332…第2の接触表面401…ホイールシステムCL、CL 、CL …ホイール本体の中心線RD…ホイール本体の回転方向TD…接線

    QQ群二维码
    意见反馈