混成型液圧および電気作動式移動ロボット

申请号 JP2016571398 申请日 2015-07-21 公开(公告)号 JP2017524546A 公开(公告)日 2017-08-31
申请人 グーグル インコーポレイテッド; グーグル インコーポレイテッド; 发明人 サンダース,ジョン,アーロン; キリピン,アレックス; ポッター,スティーブン; マーフィー,マイケル,パトリック; ソーン,クリストファー,エバレット;
摘要 【課題】効率、制御、および堅牢性が向上し得る混成型液圧および電気作動式ロボットシステムを提供することである。【解決手段】例示的な実施形態は、いずれも関節に結合された液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを具備するロボットシステムに関していてもよい。アクチュエータの動作は、所望の関節パラメータ等、さまざまな因子に基づいていてもよい。たとえば、このような所望の関節パラメータとしては、数ある可能性の中でも、関節の所望の出 力 トルク/力、関節の所望の出力速度、関節の所望の出力 加速 度、および/または所望の関節 角 度が挙げられる。動力消費のモデルおよびアクチュエータのモデルを前提として、ロボットシステムは、特に、液圧および電気動作パラメータのほか、動力システムパラメータ等の動作パラメータを決定してもよい。そして、ロボットシステムは、決定した動作パラメータを用いてアクチュエータの動作を制御することにより、システムのワット損が最小限に抑えられるように(すなわち、作動効率が最大化されるように)、所望の関節パラメータを得るようにしてもよい。【選択図】図7B
权利要求

移動ロボット装置の関節に結合された液圧アクチュエータと、 前記移動ロボット装置の前記関節に結合された電動アクチュエータであって、動作するように構成された、電動アクチュエータと、 前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータを動作させるように構成された制御装置であって、 前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータにより適用される総出トルクならびに前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータにより適用される総出力速度を決定し、 前記総出力トルクおよび前記総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータのワット損および前記電動アクチュエータのワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定し、 前記液圧動作パラメータが前記液圧アクチュエータの起動を示すものと判定し、 前記液圧動作パラメータが前記液圧アクチュエータの起動を示す旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動し、前記決定した液圧動作パラメータで動作させる一方、前記電動アクチュエータを前記決定した電気動作パラメータで動作させる、 ようにさらに構成された、制御装置と、 を備えた、システム。前記制御装置が、 前記関節が静止しているものと判定し、 前記関節が静止している旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動するとともに、前記電動アクチュエータによる作動を停止させる、 ようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。前記制御装置が、 物体が前記関節に支持されているものと判定し、 前記物体が前記関節に支持されている旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動するとともに、前記電動アクチュエータによる作動を停止させる、 ようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。前記関節が、前記移動ロボット装置の脚の一部であり、前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータが、前記移動ロボット装置の運動中、前記脚を動かすように構成された、請求項1に記載のシステム。前記制御装置が、 前記移動ロボット装置の運動中、前記脚が地面に接触しているものと判定し、 前記脚が地面に接触している旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動するとともに、前記電動アクチュエータの動作を維持させる、 ようにさらに構成された、請求項4に記載のシステム。前記制御装置が、 前記移動ロボット装置の運動中、前記脚が地面に接触していないものと判定し、 前記脚が地面に接触していない旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータによる作動を停止させるとともに、前記電動アクチュエータの動作を維持させる、 ようにさらに構成された、請求項5に記載のシステム。前記制御装置が、 前記移動ロボット装置の運動中、算出時間に前記脚が地面に接触するものと判定し、 前記算出時間に前記脚が地面に接触する旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記算出時間前に前記液圧アクチュエータを起動するとともに、前記電動アクチュエータの動作を維持させる、 ようにさらに構成された、請求項4に記載のシステム。前記制御装置が、 衝撃荷重が前記関節に加わったものと判定し、 衝撃荷重が前記関節に加わった旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動するとともに、前記電動アクチュエータの動作を維持させる、 ようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。移動ロボット装置の関節に結合された液圧アクチュエータであって、動作するように構成された、液圧アクチュエータと、 前記移動ロボット装置の前記関節に結合された電動アクチュエータと、 前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータを動作させるように構成された制御装置であって、 前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータにより適用される総出力トルクならびに前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータにより適用される総出力速度を決定し、 前記総出力トルクおよび前記総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータのワット損および前記電動アクチュエータのワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定し、 前記電気動作パラメータが前記電動アクチュエータの起動を示すものと判定し、 前記電気動作パラメータが前記電動アクチュエータの起動を示す旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記電動アクチュエータを起動し、前記決定した電気動作パラメータで動作させる一方、前記液圧アクチュエータを前記決定した液圧動作パラメータで動作させる、 ようにさらに構成された、制御装置と、 を備えた、システム。前記関節が、前記移動ロボット装置の手の一部であり、前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータが、前記手を動かすように構成された、請求項9に記載のシステム。前記制御装置が、 前記移動ロボット装置の前記手が静止しているものと判定し、 前記移動ロボット装置の前記手が静止している旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動するとともに、前記電動アクチュエータによる作動を停止させる、 ようにさらに構成された、請求項10に記載のシステム。ロボットシステムの関節にいずれも結合された液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを具備する前記ロボットシステムで実行し得る方法であって、 制御装置により、前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータにより適用される総出力トルクならびに前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータにより適用される総出力速度を決定する工程と、 前記総出力トルクおよび前記総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、前記制御装置により、前記液圧アクチュエータのワット損および前記電動アクチュエータのワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定する工程と、 前記制御装置により、前記液圧動作パラメータが前記液圧アクチュエータの起動を示すとともに前記電気動作パラメータが前記電動アクチュエータの起動を示すものと判定する工程と、 前記液圧動作パラメータが前記液圧アクチュエータの起動を示すとともに前記電気動作パラメータが前記電動アクチュエータの起動を示す旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動し、前記決定した液圧動作パラメータで動作させ、前記電動アクチュエータを起動し、前記決定した電気動作パラメータで動作させる工程と、 を含む、方法。前記関節が、前記ロボットシステムの脚の一部であり、前記液圧アクチュエータおよび前記電動アクチュエータが、前記ロボットシステムの運動中、前記脚を動かすように構成された、請求項12に記載の方法。前記ロボットシステムの運動中、前記脚の動きにより前記脚を第1の速度で動かす必要があるものと判定する工程と、 前記第1の速度が閾値速度より高いものと判定する工程と、 前記第1の速度が前記閾値速度より高い旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータによる作動を停止させるとともに、前記電動アクチュエータを起動する工程と、 をさらに含む、請求項13に記載の方法。前記ロボットシステムの運動中、前記脚の動きにより前記脚を第2の速度で動かす必要があるものと判定する工程と、 前記第2の速度が前記閾値速度より低いものと判定する工程と、 前記第2の速度が前記閾値速度より低い旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、前記液圧アクチュエータを起動するとともに、前記電動アクチュエータによる作動を停止させる工程と、 をさらに含む、請求項14に記載の方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 [0001] 本願は、2014年7月22日に出願された米国仮特許出願第62/027,517号および2014年8月1日に出願された米国特許出願第14/449,471号に対する優先権を主張するものであり、これらのすべての内容を本明細書に援用する。

[0002] 本明細書において別段の指示がない限り、本項に記載の内容は、本願の特許請求の範囲の先行技術ではなく、本項に含むことで先行技術となり得るものではない。

[0003] ロボットシステムは、特に、材料の取り扱い、溶接、組み立て、および調剤を伴う用途に使用可能である。これらのロボットシステムが動作する様態は、徐々に、より知的、効率的、および直観的になっている。現代生活の多くの局面において、ロボットシステムが増々普及すると、効率的なロボットシステムの必要性が明らかとなる。このため、効率的なロボットシステムに対する需要により、アクチュエータ、検知技術のほか、構成要素の設計および組み立てにおける革新の場が広がっている。

[0004] 例示的な実施形態は、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを備えたロボットシステムに関していてもよい。両アクチュエータとも、ロボットシステムの同じ関節に結合されていてもよい。あるいは、各アクチュエータがロボットシステムの異なる関節に結合されていてもよい。アクチュエータの動作は、数ある可能性の中でも、関節に加わる荷重、所望の/トルクプロファイルの満足、所要動作速度、加わる衝撃荷重、ロボット脚の地面との接触、および物体の搬送等、さまざまな因子に基づいて決定されるようになっていてもよい。このような混成型液圧および電気作動式ロボットシステムによれば、効率、制御、および堅牢性が向上し得る。

[0005] 一態様においては、システムが提供される。このシステムは、移動ロボット装置の関節に結合された液圧アクチュエータを備える。また、このシステムは、移動ロボット装置の関節に結合された電動アクチュエータであって、動作するように構成された、電動アクチュエータを備える。さらに、このシステムは、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを動作させるように構成された制御装置を備える。特に、制御装置は、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力トルクならびに液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力速度を決定するように構成されている。また、制御装置は、総出力トルクおよび総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータのワット損および電動アクチュエータのワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定するように構成されている。さらに、制御装置は、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータの起動を示すものと判定するように構成されている。さらに、制御装置は、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータの起動を示す旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータを起動し、決定した液圧動作パラメータで動作させる一方、電動アクチュエータを決定した電気動作パラメータで動作させるように構成されている。

[0006] 別の態様においては、第2のシステムが提供される。このシステムは、移動ロボット装置の関節に結合された液圧アクチュエータであって、動作するように構成された、液圧アクチュエータを備える。また、このシステムは、移動ロボット装置の関節に結合された電動アクチュエータを備える。さらに、このシステムは、制御装置を備える。制御装置は、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを動作させるように構成されている。また、制御装置は、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力トルクならびに液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力速度を決定するように構成されている。また、制御装置は、総出力トルクおよび総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータのワット損および電動アクチュエータのワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定するように構成されている。さらに、制御装置は、電気動作パラメータが電動アクチュエータの起動を示すものと判定するように構成されている。さらに、制御装置は、電気動作パラメータが電動アクチュエータの起動を示す旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、電動アクチュエータを起動し、決定した電気動作パラメータで動作させる一方、液圧アクチュエータを決定した液圧動作パラメータで動作させるように構成されている。

[0007] さらに別の態様においては、方法が提供される。この方法は、ロボットシステムの関節にいずれも結合された液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを具備する当該ロボットシステムで実行し得る。この方法は、制御装置により、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力トルクならびに液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力速度を決定する工程を含む。また、この方法は、総出力トルクおよび総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、制御装置により、液圧アクチュエータのワット損および電動アクチュエータのワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定する工程を含む。また、この方法は、制御装置により、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータの起動を示すとともに電気動作パラメータが電動アクチュエータの起動を示すものと判定する工程を含む。さらに、この方法は、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータの起動を示すとともに電気動作パラメータが電動アクチュエータの起動を示す旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータを起動し、決定した液圧動作パラメータで動作させ、電動アクチュエータを起動し、決定した電気動作パラメータで動作させる工程を含む。

[0008] さらに別の態様においては、第3のシステムが提供される。このシステムは、ロボットシステムの関節にいずれも結合された液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを備えていてもよい。また、このシステムは、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力トルクならびに液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力速度を決定する手段を備えていてもよい。また、このシステムは、総出力トルクおよび総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータのワット損および電動アクチュエータのワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定する手段を備えていてもよい。また、このシステムは、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータの起動を示すとともに電気動作パラメータが電動アクチュエータの起動を示すものと判定する手段を備えていてもよい。また、このシステムは、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータの起動を示すとともに電気動作パラメータが電動アクチュエータの起動を示す旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータを起動し、決定した液圧動作パラメータで動作させ、電動アクチュエータを起動し、決定した電気動作パラメータで動作させる手段を備えていてもよい。

[0009] 上記および他の態様、利点、および選択肢については、必要に応じて添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に明らかとなるであろう。

[0010]例示的な一実施形態に係る、ロボットシステムの例示的な構成を示した図である。

[0011]例示的な一実施形態に係る、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータの例示的な効率プロットを示した図である。

[0012]例示的な一実施形態に係る、ロボットシステムの液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを動作させる例示的なフローチャートである。

[0013]例示的な一実施形態に係る、ロボットシステムの液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを動作させる第2の例示的なフローチャートである。

[0014]例示的な一実施形態に係る、ロボットシステムの液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータを動作させる第3の例示的なフローチャートである。

[0015]例示的な一実施形態に係る、例示的な関節制御装置を示した図である。

[0016]例示的な一実施形態に係る、例示的な四足歩行ロボットを示した図である。

[0017]例示的な一実施形態に係る、例示的な四足歩行ロボットの側面図である。

[0018]例示的な一実施形態に係る、第1の時点における例示的な四足歩行ロボットの側面図である。

[0019]例示的な一実施形態に係る、第2の時点における例示的な四足歩行ロボットの側面図である。

[0020]例示的な一実施形態に係る、例示的な所望の力プロファイルを示した図である。

[0021]例示的な一実施形態に係る、第2の例示的な所望の力プロファイルを示した図である。




[0022] 本明細書においては、例示的な方法およびシステムを説明する。当然のことながら、本明細書において、単語「例示的であること(example、exemplary、およびillustrative)」は、「一例、事例、または実例となる」ことの意味に使用する。「例示的(example、exemplary、またはillustrative)」なものとして本明細書に記載の任意の実施形態または特徴は、必ずしも、他の実施形態または特徴よりも好適または有利であるとは解釈されないものとする。本明細書に記載の例示的な実施形態は、何ら限定的なものではない。本明細書に概説するとともに図面に示す本開示の態様は、多種多様な異なる構成に配置、置換、組み合わせ、分離、および設計可能であることが容易に了解され、そのすべてを本明細書において明示的に検討する。


I.概要 [0023] 種々の実施形態によれば、本明細書には、移動ロボット等の混成型液圧および電気作動式ロボットシステムに関するシステムおよび方法が記載される。アクチュエータは、機械的な動作の導入に利用可能な機構である。ロボットシステムにおいて、アクチュエータは、蓄積エネルギーを当該ロボットシステムのさまざまな部分の動きに変換するように構成されていてもよい。たとえば、人型ロボットまたは四足歩行ロボットにおいて、アクチュエータは、特に、ロボットの腕、脚、手、および頭の動きに関与していてもよい。


[0024] また、アクチュエータへの動力供給には、さまざまな機構が用いられるようになっていてもよい。たとえば、アクチュエータは、数ある可能性の中でも、化学物質、圧縮空気、または電気により動力供給されるようになっていてもよい。さらに、場合により、アクチュエータは、回転型の運動を伴うシステム(たとえば、人型ロボットの関節)に利用可能な回転アクチュエータであってもよい。ただし、別の場合、アクチュエータは、直線運動を伴うシステムに利用可能な線形アクチュエータであってもよい。


[0025] 開示のロボットシステムは、たとえば当該ロボットシステムの同じ関節に結合された電動アクチュエータおよび液圧アクチュエータを具備していてもよい。電動アクチュエータおよび液圧アクチュエータはそれぞれ、動作中、異なる特性を示していてもよい。このため、ロボットシステムは、さまざまな状況において、各アクチュエータの動作を制御することにより、上記異なる特性を利用して、考え得る数ある進歩の中でも特に、効率の向上を実現させるように構成された内臓コンピュータシステムを具備していてもよい。


II.ロボットシステムにおける例示的な混成型液圧および電気的作動 [0026] ここで図面を参照して、図1は、ロボットシステム100の例示的な構成を示している。ロボットシステム100は、数ある例の中でも特に、人型ロボットまたは四足歩行ロボットであってもよい。また、ロボットシステム100は、特に、移動ロボット装置またはロボットと称する場合がある。


[0027] ロボットシステム100は、プロセッサ102、データストレージ104、プログラム命令106、制御装置108、センサ110、動力源112、液圧アクチュエータ114、および電動アクチュエータ116を具備するものとして示している。なお、ロボットシステム100は、例示を目的として示したものに過ぎないため、本発明の範囲から逸脱することなく、付加的な構成要素の具備ならびに/または1つもしくは複数の構成要素の削除が可能である。さらに、ロボットシステム100のさまざまな構成要素は、任意の様態で接続されていてもよい。


[0028] プロセッサ102は、汎用プロセッサであってもよいし、専用プロセッサ(たとえば、デジタルシグナルプロセッサ、特定用途向け集積回路等)であってもよい。プロセッサ102は、データストレージ104に格納され、本明細書に記載のロボットシステム100の機能を提供するように実行可能なコンピュータ可読プログラム命令106を実行するように構成可能である。たとえば、プログラム命令106は、制御装置108の機能を提供するように実行可能であってもよく、制御装置108は、液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116を起動するとともに、これらによる作動を停止させるように構成されていてもよい。


[0029] なお、アクチュエータの起動には、コマンドの増大(たとえば、より大きなトルク)、アクチュエータのオン、またはアクチュエータのシステムへの接続(たとえば、クラッチによる係合)を含んでいてもよい。これに対して、アクチュエータによる作動の停止には、コマンドの低減(たとえば、より小さなトルク)、アクチュエータのオフ(たとえば、惰行)、またはアクチュエータのシステムからの切断(たとえば、クラッチによる解除)を含んでいてもよい。


[0030] データストレージ104は、プロセッサ102により読み出しまたはアクセス可能な1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含んでいてもよいし、その形態であってもよい。1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体としては、全体的または部分的にプロセッサ102と一体化可能な光学的、磁気的、有機的、または他のメモリもしくはディスクストレージ等、揮発性および/または不揮発性のストレージ構成要素が挙げられる。いくつかの実施形態において、データストレージ104は、単一の物理的デバイス(たとえば、1つの光学的、磁気的、有機的、または他のメモリもしくはディスクストレージユニット)を用いて実装可能である一方、他の実施形態においては、2つ以上の物理的デバイスを用いて実装可能である。さらに、コンピュータ可読プログラム命令106のほか、データストレージ104は、数ある可能性の中でも、診断データ等の付加的なデータを含んでいてもよい。


[0031] ロボットシステム100は、数ある可能性の中でも、力センサ、近接センサ、運動センサ、荷重センサ、位置センサ、触覚センサ、深度センサ、超音波距離センサ、および赤外線センサ等、1つまたは複数のセンサ110を具備していてもよい。センサ110は、センサデータをプロセッサ102に与えることにより、ロボットシステム100の環境との適当な相互作用を可能にするものであってもよい。また、以下に詳述する通り、さまざまな因子の評価においてセンサデータを使用することにより、制御装置108によって、アクチュエータ114および116を起動するとともに、これらの作動を停止させてもよい。


[0032] さらに、ロボットシステム100は、当該ロボットシステム100のさまざまな構成要素に動力を供給するように構成された1つまたは複数の動力源112を具備していてもよい。場合によっては、液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116がそれぞれ、異なる動力源に接続されていてもよい。別の場合には、両アクチュエータ114および116が同じ動力源により動力供給されるようになっていてもよい。たとえば、ガソリンエンジンまたはバッテリ等、任意の種類の動力源が用いられるようになっていてもよい。また、他の構成が可能であってもよい。


[0033] ここでアクチュエータを参照して、液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116は、任意の形態であってもよく、ロボットシステム100の任意の場所に位置決めされ、たとえば人型ロボットの脚および手等、システムのさまざまな部分を動かしてもよい。本明細書に開示の実施形態は、単一の液圧アクチュエータ114および単一の電動アクチュエータ116の背景にて論じているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の数および種類のアクチュエータが用いられるようになっていてもよい。


[0034] 液圧アクチュエータ114は、両側の圧力差に基づいてピストンが動き得る中空円筒管を具備していてもよい。液圧アクチュエータ114により与えられる力は、ピストンの表面領域に印加される圧力に依存していてもよい。表面領域が有限であることから、圧力の変化によって、液圧アクチュエータ114により与えられる力が変化するようになっていてもよい。


[0035] 液圧アクチュエータ114の圧力は、流体の制限により変更されるようになっていてもよい。より具体的には、流体がオリフィスを介してシリンダに流れ込み、その流れがバルブにより管理されるようになっていてもよい。所望量の流体がシリンダに流れ込むと、バルブが閉じられて、動力をさらに(または、任意に)追加することなく、液圧アクチュエータ114によって荷重が支えられるようになっていてもよい(たとえば、移動ロボット保持位置)。このため、液圧アクチュエータ114は、より大きな荷重および衝撃荷重を取り扱う場合に、特に有利となり得る。


[0036] また、液圧アクチュエータ114が動作する速度は、流体の流速に依存していてもよい。必要な力に関わらず高速で動作するには、より大きな動力の入力が必要となり得る。したがって、高速かつ小さな力で動作する液圧アクチュエータ114は、非効率となる可能性がある。また、液圧アクチュエータ114の他の例示的な構成が可能であってもよい。


[0037] これに対して、電動アクチュエータ116は、高速で効率的な動作が可能となり、低速で大きな力を与える場合に非効率な動作となり得る。特に、電動アクチュエータ116は、数ある構成要素の中でも特に、ロータ、ステータ、およびシャフトを具備していてもよい。ロータは、ステータの磁界と相互作用してシャフトを機械的に回転させる力を発生する電流を流すように構成された導体を具備していてもよい。ただし、電動アクチュエータ116の他の例示的な構成が可能であってもよい。


[0038] 液圧アクチュエータ114とは異なり、低速で動作しつつ(または、位置を保持しつつ)荷重を支えるため、電動アクチュエータ116は、より大きなトルクを与えることが必要となり得る。このため、機械的な運動がほとんど(または、全く)生じないようにするには、大きなエネルギーの入力が必要となり得ることから、電動アクチュエータ116の動作は非効率になる。


[0039] 液圧アクチュエータ114と電動アクチュエータ116との違いをさらに評価するため、例示的な効率プロット200および202を示す図2について考察する。効率プロット200は、従来の液圧アクチュエータの場合、印加する力および動作速度(たとえば、進行速度)によって異なり得る。一方、効率プロット202は、従来の電動アクチュエータの場合、適用するトルクおよび動作速度(たとえば、進行速度)によって異なり得る。


[0040] プロット200および202は、さまざまな色を用いて効率を示している。特に、凡例212および214で示すように、色が濃いほど効率が高く、色が薄いほど効率が低い。プロット200および202に示す効率は、たとえば動力損の計算の観点で決定されていてもよく、凡例212および214で示すように、高い効率が低い動力損に関連し、低い効率が高い動力損に関連していてもよい。たとえば、動力損は、出力動力に対する入力動力に基づいて決定されるようになっていてもよい。出力動力が入力動力よりも大幅に小さい場合は、動力損が大きいものと判定される。このため、大きな動力損(たとえば、凡例212および214の0.9)が低効率を示す一方、小さな動力損(たとえば、凡例212および214の0.1)が高効率を示し得る。また、効率を決定する他の例が可能であってもよい。


[0041] なお、プロット200および202は、縮尺通りでなくてもよい。また、プロット中の数字は、例示を目的として示したものに過ぎず、実際のデータではなく正規化データ(たとえば、実際の速度ではなく正規化速度)を表していてもよい。


[0042] プロット200は、領域204および206を含む。プロット200の領域204は、従来の液圧アクチュエータにおける効率的な動作領域を示している。図示のように、領域204は、印加する力に関わらず低速で動作する時、液圧アクチュエータの効率が最大となり得ることを示している。一方、プロット200の領域206は、従来の液圧アクチュエータにおける非効率的な動作領域を示している。図示のように、領域206は、高速で動作するとともに小さな力を印加する時、液圧アクチュエータが非効率となり得ることを示している。


[0043] これに対して、プロット202は、領域208および210を含む。プロット202の領域208は、従来の電動アクチュエータにおける効率的な動作領域を示している。図示のように、領域208は、動作速度に関わらず小さなトルクを適用する時、電動アクチュエータの効率が最大となり得ることを示している。一方、プロット200の領域210は、従来の電動アクチュエータにおける非効率的な動作領域を示している。図示のように、領域210は、低速で動作するとともに大きなトルクを適用する時、電動アクチュエータが非効率となり得ることを示している。なお、従来の電動アクチュエータの効率的な動作範囲(すなわち、領域208)は一般的に、従来の液圧アクチュエータの効率的な動作範囲(すなわち、領域204)よりも広い。


[0044] 本明細書には、液圧および電動アクチュエータのさまざまな特性および効率に基づいて各種アクチュエータを使用するさまざまな構成および状況を開示している。各種のアクチュエータは、ロボットシステム100の異なる関節に使用されていてもよい。これに対して、両種のアクチュエータがロボットシステム100の同じ関節に結合されていてもよい。


[0045] 液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116がロボットシステム100の異なる関節に結合された状況を考える。例示的な一実施態様において、たとえば、ロボットシステム100(たとえば、移動ロボットとして構成)が歩いている場合あるいは荷重が小さく速度が高い関節運動の場合は、電動アクチュエータ116が用いられるようになっていてもよい。一方、たとえば、移動ロボットが位置を保持し、大きな荷重が加わっている場合は、液圧アクチュエータ114が用いられるようになっていてもよい。結果としては、一部のロボット関節に液圧アクチュエータ114が備わることで大きな荷重を保持/支持するように構成される一方、他のロボット関節には、電動アクチュエータ116が備わることで高速動作するように構成されていてもよい。


[0046] たとえば、移動ロボットの膝関節および股関節は、ロボットの体重を支えるとともにロボットの移動時に衝撃荷重が加わる傾向にあることから、大きな荷重が加わる可能性がある。その結果、このような関節には、液圧アクチュエータ114が備わっていてもよい。一方、たとえば首関節および手首関節は、大きな荷重が加わることなく頻繁に動く可能性がある。この場合、このような関節には、電動アクチュエータ116が備えられることにより、高速で効率的に動作可能となっていてもよい。なお、本明細書に記載の例示的な実施態様は、例示を目的として提供しているに過ぎない。


[0047] 液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116の両者が同じ関節に結合された状況においては、各アクチュエータの動作がさまざまな因子によって異なり得る。ある場合には、電動アクチュエータ116が(たとえば、効率的な動作範囲が広いことから)一定動作するように構成される一方、液圧アクチュエータ114がさまざまな因子に応じて起動および作動停止するように構成されていてもよい。別の場合には、液圧アクチュエータ114が一定動作するように構成される一方、電動アクチュエータ116がさまざまな因子に応じて起動および作動停止するように構成されていてもよい。さらに別の場合には、両アクチュエータが同時に動作せず、特定の動作条件(すなわち、切り替えモード)に用いられるようになっていてもよい。この場合は、たとえば低い速度で大きな荷重を支えるのに液圧アクチュエータが用いられる一方、たとえば高い速度の動作に電動アクチュエータが用いられるようになっていてもよい。さらに別の場合には、両アクチュエータが常に動作するようになっていてもよい。また、他の例および組み合わせが可能であってもよい。


[0048] ここで、液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116の動作を(たとえば、制御装置108を用いて)制御するさまざまな因子を導入するが、両アクチュエータとも、ロボットシステム100の同じ関節に結合されている。以下に導入するさまざまな因子は、別個に考えてもよいし、組み合わせて考えてもよい(たとえば、各因子が異なる重み付けであってもよい)。また、液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116の動作を制御する他の因子が可能であってもよい。


[0049] 例示的な一実施態様において、液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116の動作は、関節に加わる荷重に少なくとも部分的に基づいていてもよい。荷重は、関節またはその近傍に位置決めされた荷重センサ等、1つまたは複数のセンサ110を用いて決定されるようになっていてもよい。例示のため、関節に加わる荷重に基づくアクチュエータの例示的な動作方法を示す図3および図4について考察する。ただし、これらの例示的な方法は、数ある例の中でも特に、動作効率、動力損、および/または動作速度の背景において、追加または代替として用いられるようになっていてもよい。


[0050] 図3は、例示的な一実施形態に係る、方法300を示したフローチャートである。また、図4は、例示的な一実施形態に係る、方法400を示したフローチャートである。方法300および400等の例示的な方法は、図1に示すロボットシステム100の構成要素のうちの1つまたは複数等、ロボットシステムの1つまたは複数の構成要素によって全体的または部分的に実行されるようになっていてもよい。ただし、方法300および400等の例示的な方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実体または実体組み合わせ(すなわち、他のコンピュータ装置および/またはコンピュータ装置の組み合わせ)により実行されるようになっていてもよいことが了解されるものとする。


[0051] 方法300は、ロボットシステム100において実行可能であってもよく、電動アクチュエータ116が動作(たとえば、一定動作)するように構成されるとともに、制御装置108が、関節に加わる荷重に応じて液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116を動作させるように構成されていてもよい。


[0052] ブロック302に示すように、方法300は、関節に荷重が加わっているものと判定する工程を含む。上述の通り、荷重は、関節またはその近傍に位置決めされた荷重センサ等、1つまたは複数のセンサ110を用いて決定されるようになっていてもよい。なお、荷重の測定結果は、データストレージ104に格納されるようになっていてもよい。


[0053] ブロック304に示すように、方法300は、荷重が閾値荷重より大きいものと判定する工程を含む。ある場合には、閾値荷重が(たとえば、液圧アクチュエータ114および/または電動アクチュエータ116の既知の製造能力に基づいて)予め決められていてもよい。別の場合には、たとえば過去の荷重測定結果ならびに/またはアクチュエータ114および116の動作効率に基づいて、閾値荷重が経時的に更新されるようになっていてもよい。また、他の場合および例が可能であってもよい。


[0054] ブロック306に示すように、方法300は、荷重が閾値荷重より大きい旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、電動アクチュエータの動作を維持しつつ、液圧アクチュエータを起動する工程を含む。


[0055] 上述の通り、電動アクチュエータ116の効率的な動作範囲は、液圧アクチュエータ114の効率的な動作範囲よりも広い可能性がある。その結果、電動アクチュエータ116は、関節に加わる荷重に関わらず、一定動作するように構成されていてもよい。ただし、この場合、液圧アクチュエータ114は、関節に加わる荷重が閾値荷重を超えた場合に起動されることで、より大きな荷重を支えるようにしてもよい。


[0056] 特に、上述の通り、電動アクチュエータ116は、低速で動作するとともに大きなトルクを適用する時、非効率となり得る。これに対して、液圧アクチュエータ114は、印加する力に関わらず低速で動作する時、効率が最大となり得る。このため、方法300は、電動アクチュエータ116をその高トルク動作の非効率動作範囲で動作させる必要性を排除(または、低減)することによって、効率が高くなる可能性がある。また、液圧アクチュエータ114が電動アクチュエータ116よりも衝撃荷重に対する耐性があることから、方法300によれば、衝撃荷重による電動アクチュエータ116の損傷を低減(または、回避)可能である。


[0057] 一例において、方法300は、ロボットシステム100が動いており、関節が、ロボットシステムの脚が地面に接触する際に大きな荷重が加わる膝関節である例示的な状況において適用可能であってもよい。別の例において、方法300は、ロボットシステム100がそのロボットの手に物体を保持した人型ロボットであって、関節が、手の一部であり、物体により大きな荷重が加わっている場合に適用可能であってもよい。また、他の例示的な状況が可能であってもよい。


[0058] 方法400は、ロボットシステム100において実行可能であってもよい。液圧アクチュエータ114は、閾値荷重量よりも大きな所与の荷重が関節に加わった場合に起動するように構成されていてもよい。一方、電動アクチュエータ116は、閾値荷重量よりも小さな所与の荷重が関節に加わった場合に起動するように構成されていてもよい。このため、方法400は、関節に加わる荷重に応じた液圧アクチュエータ114の動作と電動アクチュエータ116の動作との間の動作モードの切り替えを対象としていてもよい。動作モードの切り替えは、制御装置108により実行されるようになっていてもよい。


[0059] ブロック402に示すように、方法400は、関節に加わる第1の荷重が閾値荷重量より大きいものと判定する工程を含む。上述の通り、荷重は、関節またはその近傍に位置決めされた荷重センサ等、1つまたは複数のセンサ110を用いて決定されるようになっていてもよい。


[0060] ブロック404に示すように、方法400は、関節に加わる第1の荷重が閾値荷重量より大きい旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータを起動するとともに、電動アクチュエータによる作動を停止させる工程を含む。


[0061] 図2に関して上述した通り、電動アクチュエータ116は、低速で動作するとともに大きなトルクを適用する時、非効率となり得る。ただし、図2に示すように、電動アクチュエータ116は、動作速度に関わらず小さなトルクを適用する時、効率的となり得る。このため、方法400のブロック402および404は、たとえば低速動作において適用可能とすることで、関節に大きな荷重が加わった場合に、電動アクチュエータ116による作動が停止されて、電動アクチュエータ116の非効率的な動作範囲(すなわち、領域210)での動作が回避されるとともに、液圧アクチュエータ114の起動によって大きな荷重が支えられるようになっていてもよい。ただし、方法400は、低速動作に限定されない。


[0062] 方法400(すなわち、ブロック402および404)を使用する例示的な状況としては、たとえば、ロボットシステム100(たとえば、人型ロボット)が静止位置にあり、関節が、重力およびロボットシステム100の体重を支える必要性から大きな荷重が加わる膝関節である場合が挙げられる。この例示的な状況においては、動作速度が低速(または、ゼロ)であることから、電動アクチュエータ116による作動を停止させるのが望ましい場合がある。電動アクチュエータ116は、大きな荷重を取り扱う場合、大きな動力入力が必要となるのに、機械的出力はほとんど(または、全く)生じないことから、非効率となり得るためである。ただし、この例示的な状況においては、液圧アクチュエータ114の起動が望ましい場合がある。液圧アクチュエータ114では、このように大きな常時荷重を取り扱う場合に、動力入力を全く(または、ほとんど)追加する必要がないためである。すなわち、所望量の流体が液圧アクチュエータ114のシリンダに流れ込むと、(たとえば、制御装置108からの電気信号により)バルブが閉じられて、動力をさらに(または、任意に)追加することなく、液圧アクチュエータ114によって荷重が支えられるようになっていてもよい。また、他の例示的な状況が可能であってもよい。


[0063] ブロック406に示すように、方法400は、関節に加わる第2の荷重が閾値荷重量より小さいものと判定する工程を含む。なお、方法400は、第1および第2の荷重が関節に特定の順序で加わることを示しているが、本明細書に開示の実施形態は、任意特定の順序で関節に加わる荷重に限定されない。


[0064] ブロック408に示すように、方法400は、関節に加わる第2の荷重が閾値荷重量より小さい旨の判定に少なくとも部分的に基づいて、電動アクチュエータを起動するとともに、液圧アクチュエータによる作動を停止させる工程を含む。


[0065] 図2に関して上述した通り、電動アクチュエータ116は、動作速度に関わらず小さなトルクを適用する時、効率が最大となり得る。これに対して、液圧アクチュエータ114は、高速で動作するとともに小さな力を印加する時、非効率となり得る。このため、方法400のブロック406および408は、たとえば高速動作において適用可能とすることで、関節に小さな荷重が加わった場合に、液圧アクチュエータ114による作動が停止されて、液圧アクチュエータ114の非効率的な動作範囲(すなわち、領域206)での動作が回避されるとともに、電動アクチュエータ116の起動によって小さな荷重が効率的に支えられるようになっていてもよい。ただし、方法400は、高速動作に限定されない。


[0066] 方法400(すなわち、ブロック406および408)を使用する例示的な状況としては、たとえば、ロボットシステム100(たとえば、人型ロボット)が手を動かしており、関節(たとえば、ロボットシステム100の手の関節)に小さな荷重が加わる場合(たとえば、手が物体を保持していない場合)が挙げられる。この例示的な状況においては、動作速度が高速であることから、液圧アクチュエータ114による作動を停止させるのが望ましい場合がある。液圧アクチュエータ114は、高速で動作する場合、大きな動力入力によって液圧アクチュエータ114中の流体の流速を増大させる必要があることから、非効率となり得るためである。ただし、この例示的な状況においては、電動アクチュエータ116の起動が望ましい場合がある。電動アクチュエータ116は、比較的小さな動力入力により、(小さなトルクを適用しつつ)高速で効率的に動作可能なためである。また、他の例示的な状況が可能であってもよい。


[0067] 例示的な一実施態様において、このシステムは、上述の閾値荷重の検討ではなく、所望の関節パラメータに基づいて、アクチュエータ114および116の動作を制御するように構成されていてもよい。たとえば、このような所望の関節パラメータとしては、数ある可能性の中でも、関節の所望の出力トルク/力、関節の所望の出力速度、関節の所望の出力加速度、および/または所望の関節度が挙げられる。より具体的には、動力消費のモデルならびにアクチュエータ114および116のモデルを前提として、ロボットシステム100は、アクチュエータ114および116の動作を制御することにより、システムのワット損が最小限に抑えられるように(すなわち、作動効率が最大化されるように)、所望の関節パラメータを得るようにしてもよい。


[0068] 例示のため、アクチュエータ114および116の動作を効率的に制御して所望の関節パラメータを得るためにロボットシステム100が使用し得る方法を示したフローチャート500を示す図5について考察する。なお、本明細書に開示の本発明の範囲から逸脱することなく、フローチャート500の一部の工程が削除されてもよく、他の工程が追加されてもよい。また、他の実施態様においては、本明細書に開示の本発明の範囲から逸脱することなく、フローチャート500のさまざまな工程が異なる順序で実行されるようになっていてもよい。


[0069] フローチャート500の工程502は、液圧アクチュエータおよび電動アクチュエータにより適用される総出力トルク(すなわち、関節の所望の出力トルク/力)ならびに液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116により適用される総出力速度(すなわち、関節の所望の出力速度)を決定する工程を含む。


[0070] 液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116は、同時(または、別個)に動作して、ロボットシステム100の関節を駆動してもよい。特に、アクチュエータ114および116は、関節を駆動することによって、総出力トルクおよび総出力速度等の特定の関節パラメータを実現してもよい。このように、総出力トルクおよび総出力速度によって、関節に接続された1つまたは複数のロボットリンクが特定の動作を行う。


[0071] プロセッサ102および/または制御装置108等、ロボットシステム100の1つまたは複数の構成要素は、適用される総出力トルクおよび適用される総出力速度を決定するように構成されていてもよい。たとえば、制御装置108は、現在の総出力トルクおよび現在の総出力速度に関する情報を取得し得る。また、制御装置108は、センサ110から環境情報を取得し得る。このような環境情報を前提として、制御装置108は、現在の総出力トルクおよび現在の総出力速度を将来の時点で(たとえば、2秒以内に)更新する必要があるものと判定することができる。その結果、制御装置108は、将来の時点で適用される総出力トルクおよび適用される総出力速度を決定してもよい。


[0072] 関節がロボットシステム100の脚の一部である例示的なシナリオを考える(簡素化のため、システムの他の関節の関節パラメータは無視)。この例示的なシナリオにおいて、環境情報は、ロボットシステム100の経路に障害物が存在することを示していてもよい。そして、制御装置108は、ロボットシステム100が減速するとともに経路を変更して障害物との衝突を回避する必要があるものと判定してもよい。減速の場合は、たとえばロボットシステム100の脚が地面に接触する際の衝撃荷重のため、関節の総出力速度を低く、総出力トルクを大きくすることが必要となり得る。このため、制御装置108は、将来の時点(たとえば、ロボットシステム100の脚が地面に接触する推定時間)で適用される総出力トルクおよび適用される総出力速度を決定してもよい。なお、制御装置108は、特に、適用される角度(たとえば、関節に接続された2つのロボットリンク間の角度)および適用される総出力加速度(または、減速度)等の他の関節パラメータを決定してもよい。


[0073] フローチャート500の工程504は、総出力トルクおよび総出力速度に少なくとも部分的に基づいて、液圧アクチュエータ114のワット損および電動アクチュエータ116のワット損が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータおよび電気動作パラメータを決定する工程を含む。


[0074] 適用される総出力トルクおよび適用される総出力速度の決定に際して、ロボットシステムの1つまたは複数の構成要素(たとえば、プロセッサ102および/または制御装置108)は、液圧アクチュエータ114の液圧動作パラメータおよび電動アクチュエータ116の電気動作パラメータを決定(たとえば、演算)してもよい。液圧および電気動作パラメータは、アクチュエータの総ワット損が最小限に抑えられ、効率が最大化されるように演算されてもよい。


[0075] このような演算は、数ある可能性の中でも、最適化問題として取り扱われるようになっていてもよい。たとえば、制御装置108は、アクチュエータの総ワット損、液圧および電気動作パラメータ、適用される総出力トルク、ならびに適用される総出力速度の間の特定の関係を表す数式(または、数式集合)を含み得るプログラム命令106をデータストレージ104から取得してもよい。決定した適用対象の総出力トルクおよび決定した適用対象の総出力速度を前提として、数式の使用により、アクチュエータの総ワット損(すなわち、液圧アクチュエータ114のワット損および電動アクチュエータ116のワット損)が最小限に抑えられるように、液圧および電気動作パラメータを決定してもよい。なお、他の演算因子としては、特に、動力システムパラメータ(すなわち、動力源112のパラメータ)、現在の総出力トルク、および現在の総出力速度が挙げられる。


[0076] 以下、アクチュエータの総ワット損が最小限に抑えられるように液圧および電気動作パラメータの決定に使用できる例示的な数式集合の例示的な簡易派生物について論じる。なお、以下の例示的な簡易派生物は、例示を目的として論じたものに過ぎず、限定的に捉えるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の例示的な派生物および数式が可能であってもよい。また、以下に論じる演算因子および仮定のうちの1つまたは複数が削除される一方、付加的な演算因子および仮定が考慮されるようになっていてもよい。


[0077] 例示的な簡易派生物は、仮定集合に従い得る。たとえば、液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116によって並列に関節が駆動されるとの仮定が可能である。また、液圧アクチュエータ114の構成の場合は、(1)液圧アクチュエータ114が一方的(すなわち、1つの方向にのみ力を印加可能)であり、(2)液圧アクチュエータ114を供給および/または戻り圧力ラインに接続可能なバルブによって液圧アクチュエータ114の圧力が制御され、(3)バルブの流量制限がない(すなわち、バルブの圧力低下が大流量時にも無視できる)ものと仮定することができる。また、アクチュエータ114および116の構成の場合は、摩擦、コア損、およびアイドル損(たとえば、モータ制御装置の回路をオンにするコスト等)といった演算因子を無視可能であるものと仮定することができる。さらに、考えられる唯一の物理的限界が(1)液圧アクチュエータ114の圧力および(2)電動アクチュエータ116の固定電流制限にあるものと仮定することができる。特に、液圧アクチュエータ114の圧力は無視できず、バルブの圧力低下はバルブの流れに整合する必要があり、この流れは圧力低下の方向である。


[0078] 上記仮定を前提として、例示的な簡易派生物は、以下のアクチュエータ114および116のモデルを含む。関節での総出力速度(ω)を考える。総出力速度(ω)と電動アクチュエータ116の出力速度(ωM)との関係は、電動アクチュエータ116のギア比(GM)に基づいていてもよい。特に、電動アクチュエータ116の出力速度(ωM)は、電動アクチュエータ116のギア比(GM)と総出力速度(ω)との積であってもよい。すなわち、(ωM)=(GM)*(ω)。


[0079] 同様に、総出力速度(ω)と液圧アクチュエータ114の加圧流体流量(Q)との関係は、液圧アクチュエータ114の有効ギア比(GH)に基づいていてもよい。特に、液圧アクチュエータ114の加圧流体流量(Q)は、液圧アクチュエータ114の有効ギア比(GH)と総出力速度(ω)との積であってもよい。すなわち、(Q)=(GH)*(ω)。なお、液圧アクチュエータ114の有効ギア比(GH)は、数ある関数の中でも特に、液圧アクチュエータの面積および機械的リンク機構の関数であってもよく、ピストンの位置に応じて変化するものであってもよい。


[0080] 関節での総出力トルク(τ)を考える。関節での総出力トルク(τ)は、電動アクチュエータ116により生じるトルク(τM)と電動アクチュエータ116のギア比(GM)との積および液圧アクチュエータ114の圧力低下(P)と液圧アクチュエータ114の有効ギア比(GH)との積であってもよい。すなわち、(τ)=(GM)*(τM)+(GH)*(P)。なお、総出力トルク(τ)には、電動アクチュエータ116および電動アクチュエータ116ギアボックスの加速に必要なトルクを含んでいてもよい。


[0081] 上記仮定を前提として、アクチュエータ114および116のワット損を以下のようにモデル化することができる。特に、以下のワット損モデルには、電動アクチュエータ116の抵抗ワット損(WE)および液圧アクチュエータ114の液圧ワット損(すなわち、スロットル損)(WH)を含む。ただし、他の派生物では、システムの他の動力損を考慮してもよい。


[0082] 電動アクチュエータ116により生じるトルク(τM)は、電動アクチュエータ116のトルク定数(KT)と電動アクチュエータ116に印加された電流(I)との積であってもよい。すなわち、(τM)=(KT)*(I)。また、電動アクチュエータ116の抵抗ワット損(WE)は、電動アクチュエータ116の抵抗(R)と電動アクチュエータ116に印加された電流(I)の2乗との積であってもよい。すなわち、(WE)=(I)2*(R)。このため、電動アクチュエータ116の抵抗ワット損(WE)は、(WE)=(τM/KT)2*(R)と決定可能である。


[0083] 液圧アクチュエータ114の液圧ワット損(WH)を決定するには、液圧アクチュエータ114が接続される圧力レールの圧力(PS)を考慮する必要がある。例示的な液圧システムにおいては、流量が圧力に従う。特に、液圧アクチュエータ114の加圧流体流量(Q)がゼロより大きい場合(Q>0)、圧力(PS)は、液圧アクチュエータ114の圧力低下(P)よりも大きくなり得る。これに対して、液圧アクチュエータ114の加圧流体流量(Q)がゼロより小さい場合(Q<0)、圧力(PS)は、液圧アクチュエータ114の圧力低下(P)よりも小さくなり得る。このため、圧力(PS)は、供給圧力(Psupply)(すなわち、高圧)または戻り圧力(Preturn)(すなわち、低圧)として選択可能である。なお、(PS)は、固定と仮定または選択されていてもよい。


[0084] 液圧アクチュエータ114の液圧ワット損(WH)は、液圧アクチュエータ114の加圧流体流量(Q)と、圧力レールの圧力(PS)と液圧アクチュエータ114の圧力低下(P)の差との積として決定されるようになっていてもよい。すなわち、(WH)=(Q)*((PS)-(P))=((GH)*(ω))*((PS)-(P))。


[0085] 電動アクチュエータ116の抵抗ワット損(WE)および液圧アクチュエータ114の液圧ワット損(WH)を前提として、総ワット損(Wtotal)を決定することができる。特に、総ワット損(Wtotal)は、電動アクチュエータ116の抵抗ワット損(WE)を液圧アクチュエータ114の液圧ワット損(WH)に加算することによって決定可能である。すなわち、(Wtotal)=(WH)+(WE)=[(τM/KT)2*(R)]+[((GH)*(ω))*((PS)−(P))]。


[0086] 上記仮定および数式を前提として、(現在既知または将来的に開発される)さまざまな最適化手法の使用により、システムの効率を最大化することができる。特に、所望の出力トルク(すなわち、適用される総出力トルク(τ))および所望の出力速度(すなわち、適用される総出力速度(ω))を前提として、最適化手法の使用により、総ワット損(Wtotal)が最小限に抑えられるように、液圧動作パラメータ(たとえば、(Q)、(P)、および(PS))、電気動作パラメータ(たとえば、(τM)および(ωM))、および動力システムパラメータ(たとえば、(I))を決定してもよい。


[0087] なお、上述の演算因子の一部は、一定であってもよい(たとえば、(GM)、(GH)、(KT)、および(R))。また、上述していない他の液圧動作パラメータとしては、ポンプモータ温度、チャンバ圧力、およびピストン位置が挙げられる。さらに、上述していない別の電気動作パラメータとしては、電動アクチュエータ温度が挙げられる。さらに、上述していない動力システムパラメータとしては、(動力源112がバッテリであるものと仮定して)電圧、充電状態、およびバッテリ温度が挙げられる。また、他のパラメータおよび演算因子が可能であってもよい。


[0088] フローチャート500の工程506Aは、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータ114の起動を示すか否かを判定する工程を含む。また、フローチャート500の工程506Bは、電気動作パラメータが電動アクチュエータ116の起動を示すか否かを判定する工程を含む。


[0089] 例示のため、関節制御装置602を示す図6について考察する。ある場合は、関節制御装置602が制御装置108の一部(または、制御装置108と同一)であってもよい。別の場合には、関節制御装置602が制御装置108とは別個であり、たとえばロボットシステム100の関節に位置決めされていてもよい。また、いくつかの実施態様において、関節制御装置602は、上述の最適化手法を実行してもよい。別の実施態様においては、ロボットシステム100の他の構成要素(たとえば、制御装置108および/またはプロセッサ102)が上述の最適化手法を実行した後、(図6の「入力」の下に示すように)決定したパラメータに関する情報を関節制御装置602に送ってもよい。また、他の実施態様が可能であってもよい。


[0090] 液圧動作パラメータの決定に関する情報を受信したら、関節制御装置602は、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータ114の起動を示すか否かを判定してもよい。工程508Aに示すように、関節制御装置602は、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータ114の起動を示すと判定した場合(たとえば、加圧流体流量(Q)が非ゼロ値であると判定した場合)、(図6の「出力」の下に示すように)液圧システム/アクチュエータコマンドを送信することにより、液圧アクチュエータ114を起動して、決定した液圧動作パラメータで動作させてもよい。このような液圧システム/アクチュエータコマンドとしては、たとえば液圧作動のモード選択(たとえば、運動方向および/または力レベルの選択)のほか、絞り(たとえば、バルブのポート開口の制御)が挙げられる。また、他のコマンドが可能であってもよい。


[0091] なお、液圧アクチュエータ114が動作するように構成済みである場合、コマンドには、決定した液圧動作パラメータで液圧アクチュエータ114を動作させつつ当該液圧アクチュエータ114の動作を維持する指示を含んでいてもよい。


[0092] これに対して、工程510Aに示すように、関節制御装置602は、液圧動作パラメータが液圧アクチュエータ114による作動の停止を示すと判定した場合(たとえば、加圧流体流量(Q)がゼロ値であると判定した場合)、液圧システム/アクチュエータコマンドを送信することにより、液圧アクチュエータ114による作動を停止させてもよい。


[0093] なお、液圧アクチュエータ114による作動が停止済みである(すなわち、動作するように構成されていない)場合、コマンドには、液圧アクチュエータ114による作動の停止を継続する指示を含んでいてもよい。


[0094] 上述の通り、フローチャート500の工程506Bは、電気動作パラメータが電動アクチュエータ116の起動を示すか否かを判定する工程を含む。電気動作パラメータの決定に関する情報を受信したら、関節制御装置602は、電気動作パラメータが電動アクチュエータ116の起動を示すか否かを判定してもよい。工程508Bに示すように、関節制御装置602は、電気動作パラメータが電動アクチュエータ114の起動を示すと判定した場合(たとえば、電動アクチュエータ116の出力速度(ωM)が非ゼロ値であると判定した場合)、(図6の「出力」の下に示すように)電動システム/アクチュエータコマンドを送信することにより、電動アクチュエータ116を起動して、決定した電気動作パラメータで動作させてもよい。このような電動システム/アクチュエータコマンドとしては、たとえば電流、トルク、速度、および/または位置コマンドが挙げられる。また、他のコマンドが可能であってもよい。


[0095] なお、電動アクチュエータ116が動作するように構成済みである場合、コマンドには、決定した電気動作パラメータで電動アクチュエータ116を動作させつつ当該電動アクチュエータ116の動作を維持する指示を含んでいてもよい。


[0096] これに対して、工程510Bに示すように、関節制御装置602は、電気動作パラメータが電動アクチュエータ116による作動の停止を示すと判定した場合(たとえば、電動アクチュエータ116の出力速度(ωM)がゼロ値であると判定した場合)、電動システム/アクチュエータコマンドを送信することにより、電動アクチュエータ116による作動を停止させてもよい。


[0097] なお、電動アクチュエータ116による作動が停止済みである(すなわち、動作するように構成されていない)場合、コマンドには、電動アクチュエータ116による作動の停止を継続する指示を含んでいてもよい。


[0098] このように、関節制御装置602は、現在の関節パラメータ(たとえば、現在の総出力トルクおよび現在の総出力速度)、所望の関節パラメータ(たとえば、適用される総出力トルクおよび適用される総出力速度)、液圧動作パラメータ、電気動作パラメータ、および動力システム動作パラメータに関する情報を受信してもよい。このようなパラメータを前提として、関節制御装置602は、コマンドを(たとえば、アクチュエータ114および116に)送信することにより、現在の関節パラメータでの動作から所望の関節パラメータでの最大効率動作へと関節パラメータが遷移する(すなわち、総ワット損が最小限に抑えられる)ようにしてもよい。


[0099] ここで、アクチュエータ114および116の動作(すなわち、起動および停止作動)に考慮し得る別の因子を参照する。このような別の因子は、方法300および400ならびにフローチャート500に関する上述の検討の追加または代替として考慮され得る。別の因子を例示するため、例示的なロボット700を示す図7Aについて考察する。なお、ロボット700は、ロボットシステム100および関節制御装置602の構成要素のいずれかを具備していてもよい。また、上述の方法300および400ならびにフローチャート500がロボット700に実装されていてもよい。


[00100] 図7Aに示すように、ロボット700は、4つの脚702A〜702Dを備えた四足歩行ロボットである。ロボット700は、複数の物体704を搬送するものとして示している。なお、以下の因子は四足歩行ロボット700の背景において論じるが、これらの実施形態は、任意の種類のロボットシステムに適用可能である。


[00101] 図7Bは、ロボット700の側面図である。脚702A(および、図7Bには示していない脚702B〜702D)は、関節706で接続された大腿部材708および脛部材710を具備する。液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116は、関節706に結合されて、脛部材710を関節706周りに動かす。足712は、脛部材710の底部に接続されたものとして示しており、ロボット700の移動中、地面に接触するように構成されている。


[00102] 図7Bに最初に示したロボット700の側面図を示す図8Aについて考察する。ロボット700は、図8Aに示す方向に進んでいる。なお、図8Aには、電動アクチュエータ116を示していない。また、図8Aは、経時的な脚702Aの「歩行経路」を示している。特に、「歩行経路」は、経時的な足712の進行経路を示しており、足712が地面に接触する点を示した接触点A〜Dを含む。


[00103] 図8Aは、脚702Aが「空中」(すなわち、地面に非接触)である時点を示している。脚702A(たとえば、足712)には、力センサ等のセンサが位置決めされ、脚702Aが地面に接触していない(たとえば、力センサからの所与の力データがゼロを示す)ものと判定するように構成されていてもよい。このような判定に基づいて、システムは、電動アクチュエータ116を起動するとともに、液圧アクチュエータ114による作動を停止させてもよい。これは、関節に加わる荷重が小さいと動作速度が高くなり、電動アクチュエータ116を効率的に使用可能となるため、望ましい場合がある。なお、電動アクチュエータ116は、脚702Aが「空中」である限り、起動したままであってもよい。


[00104] 図8Aに最初に示したロボット700の側面図を示す図8Bについて考察するが、これは、図8Aより後の時点である。図8Bに示すように、足712は、後の時点で地面に接触する(すなわち、接触点B)。この場合、力センサは、脚702Aが地面に接触している(たとえば、力センサからの所与の力データが力の閾値量を示す)ものと判定するように構成されていてもよい。脚702Aが地面に接触している旨の判定に基づいて、システムは、液圧アクチュエータ114を起動するとともに、電動アクチュエータ116の動作を維持してもよい。これは、関節706に大きな荷重が加わり、液圧アクチュエータ114を効率的に使用可能となるため、望ましい場合がある。なお、液圧アクチュエータ114は、脚702Aが地面に接触している限り、起動したままであってもよい。また、関節706が重力に対してロボット700の質量を保持している場合(すなわち、ロボット700の体重を支えている場合)は、(液圧アクチュエータ114の動作を維持しつつ)電動アクチュエータ116による作動が停止されるようになっていてもよい。


[00105] 別の態様において、システムは、脚702Aが地面から離れる(または、離れようとする)タイミングを決定するように構成されている。このような決定は、たとえば力センサからの力データが力の閾値量を示す状態からゼロを示す状態に遷移することを前提として可能である。脚702Aが地面から離れる(または、離れようとしている)旨の判定に基づいて、システムは、電動アクチュエータ116を起動するとともに、液圧アクチュエータ114による作動を停止させてもよい。


[00106] さらに別の態様においては、脚702Aが「空中」にある状態を示す図8Aについて再び考察する。場合により、システムは、地面との接触の時点(および/または、位置)を推定(または、計算)するように構成されていてもよい。たとえば、ロボット700は、脚702A(たとえば、足712)上に位置決めされ、脚と地面との間の距離を決定するように構成された近接センサを具備していてもよい(たとえば、近接センサから放出された電磁放射の特定の戻り信号が与えられる)。また、ロボット700は、脚702Aが動く速度を決定するように構成された(たとえば、関節706に位置決めされた)運動センサを具備していてもよい。


[00107] 近接センサからの近接データおよび運動センサからの速度データを前提として、システムは、地面との接触の時点(および/または、位置)を推定(または、計算)することができる。計算した時間に脚が地面に接触する旨の判定に基づいて、システムは、液圧アクチュエータ114を起動するとともに、電動アクチュエータ116の動作を維持してもよい。このようなアクチュエータの動作は、事前(すなわち、計算した時間の前)または計算した時間に起こるようになっていてもよい。


[00108] 図8Aおよび図8Bに関して上述したイベントの流れをさらに例示するため、経時的な膝関節706の例示的な出力としての力/トルクプロファイルを示す図9について考察する。特に、図9は、経時的な所望の出力としての力プロファイルを示すとともに、所望の力プロファイルを満足するための液圧作動および電動作動の使用方法を図示している。なお、この例示的な力プロファイルは、例示を目的として示したものに過ぎず、限定的なものではない。


[00109] 図9の領域Aは、脚702Aが「空中」(すなわち、地面に非接触)である時点を示している。上述の通り、ロボット700は、脚702Aが地面に接触していないものと判定してもよい。このような判定に基づいて、システムは、電動アクチュエータ116を起動するとともに、液圧アクチュエータ114による作動を停止させてもよい。領域Aに示すように、電動アクチュエータ116の動作範囲は、脚702Aが「空中」にある間の所望の力プロファイルを満足すフトしていてもよい。特に、電動アクチュエータ116の出力としての力は、液圧アクチュエータ114による作動が停止している間、関節706の所望の力プロファイルに整合するように構成されている。


[00110] 図9の領域Bは、脚702Aが地面に接触している後の時点を示している。特に、領域Bは、地面に接触する際の衝撃荷重等、大きな荷重が膝706に加わった場合の所望の力プロファイルを示している。上述の通り、脚702Aが地面に接触している旨の判定に基づいて、システムは、液圧アクチュエータ114を起動するとともに、電動アクチュエータ116の動作を維持してもよい。領域Bに示すように、液圧アクチュエータ114は、起動(たとえば、絞り弁による動作範囲のシフト)により、電動アクチュエータ116を補助して、所望の力プロファイルを満足してもよい。より具体的には、図示のように、液圧アクチュエータ114が離散的な力レベルを与える一方、電動アクチュエータ116は、所望の力プロファイルの満足に要する十分な量の力を別途供給することによって十分な力追従を得るように用いられるようになっていてもよい。


[00111] 図9の領域Cは、脚702Aが地面に接触するとともに関節706が重力に対してロボット700の質量を保持している時点を示している。上述の通り、関節706が重力に対してロボット700の質量を保持している場合は、液圧アクチュエータ114の動作を維持しつつ、電動アクチュエータ116による作動が停止されるようになっていてもよい。領域Cに示すように、関節706が重力に対してロボット700の質量を保持している場合の所望の力プロファイルを満足するには、電動アクチュエータ116による作動なく、(たとえば、二値的なバルブ制御(オン/オフ)によって)液圧アクチュエータ114により生じる離散レベルの力で十分となる可能性がある。


[00112] 図9の領域Dは、脚702Aが地面から離れた時点を示している。上述の通り、脚702Aが地面から離れた旨の判定に基づいて、システムは、電動アクチュエータ116を起動するとともに、液圧アクチュエータ114による作動を停止させてもよい。領域Dに示すように、アクチュエータの動作は、領域Aに関して上述したアクチュエータの動作と同様である。特に、電動アクチュエータ116の出力としての力は、液圧アクチュエータ114による作動が停止している間、関節706の所望の力プロファイルに整合するように構成されている。


[00113] さらに別の態様において、アクチュエータの動作は、脚702Aの移動に必要な速度に基づいていてもよい。たとえば、ロボット700は、特定の速度で進行したい場合があるため、脚702A(または、脚702Aの特定部材)の移動に特定の速度が必要となる。この所要速度が閾値速度を超える場合、システムは、電動アクチュエータ116を起動するとともに、液圧アクチュエータ114による作動を停止させてもよい。これは、図2に関して上述した通り、液圧アクチュエータ114が高速で非効率となる一方、電動アクチュエータ116が高速で効率的となり得ることから、望ましい場合がある。


[00114] これに対して、所要速度が閾値速度よりも低い場合、システムは、液圧アクチュエータ114を起動するとともに、電動アクチュエータ116による作動を停止させてもよい。これは、図2に関して上述した通り、印加する力に関わらず液圧アクチュエータ114が低速で効率的となる一方、電動アクチュエータ116は、適用されるトルクが小さい場合にのみ低速で効率的となり得ることから、望ましい場合がある。なお、場合により、所要速度が閾値速度よりも低い場合は、両アクチュエータが起動されるようになっていてもよい。また、他の例および組み合わせが可能であってもよい。


[00115] また、例示的な一実施形態において、アクチュエータの動作は、衝撃荷重の決定に基づいていてもよい。特に、より短い時間により大きな荷重が加わる場合に(たとえば、荷重センサからの荷重データを用いて)衝撃荷重が評価されるようになっていてもよい。このため、関節に衝撃荷重が加わっている旨の判定に基づいて、システムは、液圧アクチュエータ114を起動する(または、その動作を維持する)とともに、電動アクチュエータ116を起動(または、その動作を維持)してもよい。


[00116] 一例において、上記のような衝撃荷重は、たとえば脚702Aが特定の速度で地面に接触する場合に加わる可能性がある。別の例において、上記のような衝撃荷重は、ロボットシステム100が不意に制御できなくなって地面に落ち、地面との大きな衝撃が起こった場合に加わる可能性がある。この例において、液圧アクチュエータ114は、ロボットシステム100が制御できなくなり、地面に衝突しようとしている旨の判定に応じて起動されるようになっていてもよい。このような判定は、たとえば上述のような近接検知および/または衝撃荷重検知のほか、ロボットシステム100の平衡喪失を示す制御装置108からの情報によって可能である。


[00117] また、例示的な一実施形態において、アクチュエータの動作は、ロボットシステム100の特定の部分(たとえば、手または関節)が固定されている旨および/またはロボットシステム100が静止している旨の判定に基づいていてもよい。一例においては、ロボットシステム100が静止している旨の判定が可能である。このような判定に基づいて、システムは、液圧アクチュエータ114を起動するとともに、電動アクチュエータ116による作動を停止させてもよい。別の例において、関節がロボットシステム100の手の一部である場合は、手(または、関節)が固定されている(すなわち、動かない)旨の判定が可能である。手が固定されている判定に基づいて、システムは、液圧アクチュエータ114を起動するとともに、電動アクチュエータ116による作動を停止させてもよい。別の場合は、このような判定に応じて両アクチュエータが起動されるようになっていてもよい。なお、このような判定は、ロボットシステム100の任意の部分の背景にて適用可能である。


[00118] また、例示的な一実施形態において、アクチュエータの動作は、1つまたは複数の物体(たとえば、図7Aの物体704)がロボットシステム100により搬送されている(たとえば、ロボットシステム100の関節により支持されている)旨の判定に基づいていてもよい。たとえば、人型ロボットの場合、このような物体は、(たとえば、人型ロボットが静止または運動している間に)人型ロボットの手で搬送されるようになっていてもよい。1つまたは複数の物体がロボットシステム100により搬送されている旨の判定は、特に、荷重センサおよび/または触覚センサ等の1つまたは複数のセンサ110を用いて可能である。1つまたは複数の物体がロボットシステム100により搬送されている(および/または、ロボットシステムの関節により支持されている)旨の判定に基づいて、システムは、液圧アクチュエータ114を起動するとともに、電動アクチュエータ116による作動を停止させてもよい。別の場合は、このような判定に応じて両アクチュエータが起動されるようになっていてもよい。また、他の例および組み合わせが可能であってもよい。


[00119] 同じ関節に位置決めされた液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116であれば、電動アクチュエータ116のクラッチおよびブレーキの必要性をさらに排除可能である。たとえば、人型ロボットが手に箱を保持する状況を考える。人型ロボットの腕の関節に電動アクチュエータしか備わっていなければ、人型ロボットが箱を保持している間に動力を消耗してしまう可能性がある。このような場合、電動アクチュエータ116にはクラッチおよび/またはブレーキが備えられ、箱(すなわち、荷重)の保持に付加的な動力入力が一切(または、ほとんど)必要なくなるように、電動アクチュエータ116ギアボックスをロックアウトしていてもよい。ただし、電動アクチュエータ116のほかに液圧アクチュエータ114が存在することで、動力の消耗を回避(または、最小化)しつつ液圧アクチュエータ114により荷重を保持することができるため、クラッチおよび/またはブレーキの必要性が排除される。


[00120] さらに、同じ関節に位置決めされた液圧アクチュエータ114および電動アクチュエータ116であれば、電動アクチュエータ116による高周波制御の調整が可能である。特に、電動アクチュエータ116の使用により、液圧アクチュエータ114の離散的なレベル切り替えに制御忠実性を追加することで、液圧アクチュエータ114のバルブ類のスロットル損および帯域幅要件を抑えてもよい。より具体的に、液圧アクチュエータ114は、離散的な力レベルを生じるように、離散化多段式圧力レールシステムおよびオン/オフバルブ制御器に接続されていてもよい。一方において、電動アクチュエータ116は、十分な力を供給して、液圧アクチュエータ114により生成された離散的な力レベルを「平準化」することにより、所望の力プロファイルが効率的に満たされるようにしてもよい。


[00121] 例示のため、経時的な別の所望の力プロファイルを示す図10について考察する。なお、図10の力プロファイルは、例示を目的として示したものに過ぎず、限定的なものではない。図10に示すように、液圧アクチュエータ114は、所望の力プロファイルの満足に可能な限り近づくように、離散的な力レベルを適用するように構成されている。そして、電動アクチュエータ116の使用により、任意の必要な作動を(たとえば、液圧作動のほかに)提供して、システムの最大効率を維持しつつ所望の力プロファイルに追従してもよい。


III.結論 [00122] 本開示は、種々態様の例示を意図した本願に記載の特定の実施形態の観点で限定されるものではない。当業者には明らかなように、その主旨および範囲から逸脱することなく、多くの改良および変形が可能である。以上の説明から、本明細書に列挙したもののほか、本開示の範囲内の機能的に均等な方法および装置が当業者には明らかとなるであろう。このような改良および変形についても、添付の特許請求の範囲に含まれることになる。


[00123] 上記詳細な説明では、添付の図面を参照しつつ、開示のシステム、装置、および方法のさまざまな特徴および機能を記述している。図中、文脈上の別段の指示のない限り、類似の記号は通常、類似の構成要素を識別している。本明細書および図面に記載の例示的な実施形態は、何ら限定的なものではない。本明細書に提示の主題の主旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用可能であるとともに、他の変更も可能である。本明細書に概説するとともに図面に示す本開示の態様は、多種多様な異なる構成に配置、置換、組み合わせ、分離、および設計可能であることが容易に了解され、そのすべてを本明細書において明示的に検討している。


[00124] 図面に示す特定の構成は、限定的に捉えるべきではない。他の実施形態においては、所与の図面に示す各要素を増やすことも減らすことも可能であることが了解されるものとする。さらに、図示の要素の一部は、組み合わせまたは省略可能である。さらに、例示的な一実施形態においては、図面に示していない要素を含み得る。


[00125] 本明細書においては、種々態様および実施形態を開示したが、当業者には他の態様および実施形態も明らかとなるであろう。本明細書に開示の種々態様および実施形態は、例示を目的としており、何ら限定的なものではなく、真の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。



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