ロボットアームの操作システム

申请号 JP2015131119 申请日 2015-06-30 公开(公告)号 JP2017013167A 公开(公告)日 2017-01-19
申请人 株式会社デンソーウェーブ; 发明人 神谷 孝二;
摘要 【課題】操作経験が少ない操作者でも、作業用ボックスの内部に配置されているロボットアームの操作を外部から容易且つ安全に行うことができる操作システムを提供する。 【解決手段】密閉された作業用ボックス20の内部にスレーブアーム5を配置し、作業用ボックス20の外部に、オペレータAがスレーブアーム5の操作指令を入 力 するための操作装置としてマスタアーム2を配置する。そして、仮想反力演算部50は、作業用ボックス20の内部におけるスレーブアーム5の可動領域を示す可動領域情報に基づき、スレーブアーム5が可動領域の限界に近付くのに応じて、オペレータAがマスタアーム2を前記限界に近付く方向に動かす力に反する力を増大させる。 【選択図】図1
权利要求

密閉され、且つ外部より内部を目視できる作業用ボックスの内部に配置されるロボットアームと、 前記作業用ボックスの外部に配置され、操作者が操作子を操作することで、前記ロボットアームの操作指令を入するための操作装置と、 この操作装置によりに帰された操作指令に応じて、前記ロボットアームを動作させる制御装置と、 前記作業用ボックスの内部における前記ロボットアームの可動領域を示す可動領域情報に基づき、前記ロボットアームが前記可動領域の限界に近付くのに応じて、前記操作装置において、操作者が操作子を、前記限界に近付く方向に動かす力に反する力である反力を増大させるように制御する反力制御部とを備えるロボットアームの操作システム。前記操作装置における操作子は、前記ロボットアームと同じ軸構成となるように構成されている請求項1記載のロボットアームの操作システム。前記反力制御部は、前記可動領域の限界に至る前に反力発生境界を設けており、 前記ロボットアームが前記反力発生境界を超えるまでは前記反力を発生させず、前記ロボットアームが前記反力発生境界を超えると前記反力を発生させるように制御する請求項1又は2記載のロボットアームの操作システム。前記反力制御部は、前記ロボットアームが前記反力発生境界を超えて移動すると、前記ロボットアームの移動速度が速くなるのに応じて、前記反力がより大きくなるように制御する請求項3記載のロボットアームの操作システム。前記反力制御部は、前記制御装置に配置され、 前記ロボットアームが前記可動領域の限界に近づくのに応じて、前記操作装置に前記反力の増加指令を送信し、 前記操作装置は、受信した指令に応じて前記反力を増大させる請求項1から4の何れか一項に記載のロボットアームの操作システム。

说明书全文

本発明は、密閉された作業用ボックスの内部に配置されるロボットアームを、前記ボックスの外部より操作するシステムに関する。

近年、ロボットが医薬や医療に関連した作業を行うために適用されている。このような医療等の関連作業に使用するロボットは、その動作環境から耐滅菌性やサニタリー性を備える必要があり、そのような要求に対応するように表面処理がなされているロボットも市場に投入されている。

上記の医療等の関連作業の中には、密閉された作業用ボックスの内部において、例えば細胞の培養作業等を行うものも想定される。その場合、作業用ボックスの内部にロボットのアームを配置し、操作者が、作業用ボックスの外部からロボットアームの動作指令を与えるような作業形態も必要となる。このような作業形態に適用されるものとして、所謂マスタ−スレーブ方式と称されるロボットの遠隔操縦システムが従来より存在する(例えば特許文献1,2参照)。

上記の遠隔操縦システムを適用すると、作業用ボックスの外部において操作装置を操作する側がマスタとなり、その操作に連動して、作業用ボックスの内部にあるロボットアームがスレーブとして動作することになる。

特開平8−318479号公報

特開平8−90461号公報

しかしながら、医療等の関連作業を行うためのボックスには、極めて高い密閉性が要求され、加えて、作業用ボックスの内部には、ロボットアーム以外にも様々な装置や作業対象となるもの等も配置されるので、実際のスレーブ側のロボットアームの可動領域は極めて制限されている。 しかも、マスタ側の操作時に、スレーブ側のロボットアームが実際もどれくらい配置物に近付いているかの確認は、高い密閉性を持つボックスが仇となり、操作者が正確に把握できるとは言い難い状態にある。

更にまた、ロボットアームを操作する医療関係者は、ロボットの操作経験が無いものが多いと考えられるため、不用意に操作子を操作すれば、ロボットアームが可動領域を越えてしまう。すると、例えば作業用ボックスの内壁や、内部に配置されている装置等にダメージを与えたり、ロボットアーム自体にダメージを与えてしまうことも想定される。

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作経験が少ない操作者でも、作業用ボックスの内部に配置されているロボットアームの操作を、ボックスの外部から容易且つ安全に行うことができるロボットアームの操作システムを提供することにある。

請求項1記載のロボットアームの操作システムによれば、密閉され、外部より内部を目視できる作業用ボックスの内部にロボットアームを配置し、作業用ボックスの外部に、操作者がロボットアームの操作指令を入するための操作装置を配置する。そして、反力制御部は、作業用ボックスの内部におけるロボットアームの可動領域を示す可動領域情報に基づき、ロボットアームが可動領域の限界に近付くのに応じて、操作装置において、操作者が操作子を前記限界に近付く方向に動かす力に反する力を増大させる。

このように構成すれば、操作者は、ロボットアームが可動領域の限界に近付くのに従い、操作子を限界に近付く方向に移動させようとすると、漸次増加する反力により抵抗を受けて操作感が重くなるように感じる。したがって、操作者は、その抵抗によりロボットアームが可動領域の限界に近付いていることを、前記限界に到達する以前に触覚を通じて認識することができ、自発的に可動領域の限界に近付く方向へのアーム操作を抑制するようになる。よって、ロボットの操作経験が少ない操作者が、精密な確認がしっかりとできないような作業用ボックスで、しかもその内部でロボットアームを極めて限定されている可動領域内で動作させる場合でも、ロボットアームを、作業用ボックスの内壁やその他の装置等に衝突させることを容易に回避できる。

請求項2記載のロボットアームの操作システムによれば、操作装置における操作子を、ロボットアームと同じ軸構成となるように構成する。このように構成すれば、ロボットの操作経験が少ない操作者であっても、ロボットアームと外形的に同様の形態で構成されている操作子を操作することで、作業用ボックス内のロボットアームの動作をより直感的に把握しつつ操作指令を与えることができる。

請求項3記載のロボットアームの操作システムによれば、反力制御部は、可動領域の限界に至る手前に反力発生境界を設け、ロボットアームが前記反力発生境界を超えるまでは反力を発生させず、前記反力発生境界を超えると反力を発生させるように制御する。このように構成すれば、ロボットアームが反力発生境界を超えると急に反力が発生するので、操作者に操作上での違和感を与えることができる。そして、その違和感により操作者は、ロボットアームが可動領域の限界に近付いていることを容易に気付くことができる。

請求項4記載のロボットアームの操作システムによれば、反力制御部は、ロボットアームが反力発生境界を超えて移動すると、ロボットアームの移動速度が速くなるのに応じて反力がより大きくなるように制御する。これにより、距離と移動速度との双方のパラメータに応じて付与する反力の強度を制御することができる。

請求項5記載のロボットアームの操作システムによれば、反力制御部を制御装置側に配置して、ロボットアームが可動領域の限界に近づくのに応じて、操作装置に反力の増加指令を送信する。すると、操作装置は、受信した指令に応じて操作子に付与する反力を増大させる。すなわち、制御装置は、操作装置より入力される操作指令に関わらず、ロボットアームの動作が可動領域を越えることが無いように制限をかける必要がある。そのため、可動領域に関する情報は、制御装置が保持管理するのが適切である。そして、上記のように構成すれば、操作装置側で複雑な計算処理等を行う必要がなくなる。

第1実施形態であり、遠隔操作システムの全体構成を示す図

マスタ−スレーブのシステム構成を示す機能ブロック図

マスタ側,スレーブ側の処理を示すフローチャート

スレーブアームの手先位置から、可動領域の限界位置までの距離に応じて発生する反力の相対値の一例を示す図

仮想反力モデルを示す図

図5に示す関係をイメージ的に説明する図

第2実施形態であり、マスタ−スレーブのシステム構成を示す機能ブロック図

(第1実施形態) 以下、第1実施形態について説明する。全体構成の概略的な外観を示す図1において、操縦装置であるマスタ1は、操作子であるマスタアーム2,コントローラ3から構成されている。また、作業装置であるスレーブ4は、スレーブアーム5,コントローラ6から構成されている。コントローラ6は制御装置に相当する。コントローラ3,6間は、通信ケーブル7により接続されている。

マスタ1において、マスタアーム2は、操作卓10上に配設されており、先端部に設けられたグリップ11は、3つの関節機構により回転可能に設けられると共に、各関節機構部において軸回りに捩じる方向にも回転可能に設けられている。すなわちグリップ11は、操作卓10に対して並進3自由度で且つ回転3自由度で操作可能に設けられている。これにより、グリップ11は、所定の可動範囲内において、後述するようにオペレータ(操作者)Aにより任意の位置姿勢をとることができるように構成されている。

また、マスタアーム2には、グリップ11がオペレータAによって操作されたときに受ける力を検出する力検出部12が配設されている。この力検出部12は、グリップ11の移動によって受ける力をマスタアーム2の直交座標系のx,y,z軸方向への並進力の力覚データと、各座標軸回りの回転力の力覚データとして検出し、ケーブル13を介してコントローラ3に出力する。

そして、マスタアーム2には、図示しないが駆動部としてモータなどからなる駆動機構が配設されており、コントローラ3から制御信号が与えられるとこれに応じてグリップ11を駆動させる。また、マスタアーム2には、各駆動機構を構成するモータの回転位置を検出する位置検出部(エンコーダ)16を備えている(図2参照)。

コントローラ3は、力覚データを演算処理して通信装置3を介してスレーブ4側に送信したり、位置検出部16が検出した位置情報を送信したり、力検出部12からの力覚データおよびスレーブ4側から伝達される力覚データ及び仮想反力データに基づいてマスタアーム2を駆動制御する。「仮想反力データ」については後述する。さらに、マスタアーム2には、後述するスレーブアーム5のハンド14による作業対象物の把持を行なわせるための指令を行うスイッチが、グリップ11又は別途に設けられている。

次に、スレーブ4において、スレーブアーム5は、作業用ボックス20の内部に配置されている。作業用ボックス20は、例えば細胞培養などのような医療系の作業を行うためのもので、内部は密閉空間となっている。スレーブアーム5は、作業用ボックス20外部のコントローラ6とケーブル15を介して接続されているが、そのケーブル15が作業用ボックス20の外部から内部に進入する部分についても、細菌等が内外共に漏出しないように密閉処理が施されている。

スレーブアーム5は、作業用ボックス20の床板21に回転可能に設置されており、先端部に設けられたハンド14は3つの関節機構により回転可能に設けられると共に、各関節機構部において軸回りにねじる方向にも回転可能に設けられており、したがって並進3自由度で且つ回転3自由度とされている(垂直6軸構成)。これにより、ハンド14は、所定の可動範囲内において、任意の位置姿勢をとることができる。また、ハンド14は、作業対象となる物体を把持可能に構成されており、後述するようにマスタ1側からの制御内容に基づいて把持動作を行う。

そして、スレーブアーム5には、ハンド14が駆動制御されたときに受ける力を検出する力検出部22が配設されている(図2参照)。この力検出部22は、ハンド14の移動によって受ける力をスレーブアーム5の直交座標系のx,y,z軸方向への並進力の力覚データと、各座標軸回りの回転力の力覚データとして検出し、ケーブル15を介してコントローラ6に出力する。

また、スレーブアーム5には、図示しないが駆動部としてモータなどからなる駆動機構が配設されており、コントローラ6から制御信号が与えられるとこれに応じてハンド14を駆動させる。また、マスタアーム2には、各駆動機構を構成するモータの回転位置を検出する位置検出部(エンコーダ)17を備えている(図2参照)。

コントローラ6は、力覚データを演算処理して通信制御部23を介してマスタ1側に送信したり、位置検出部16が検出した位置情報を送信したり、力検出部22からの力覚データ,およびマスタ1側から伝達される力覚データに基づいてスレーブアーム5を駆動制御する。

作業用ボックス20は、概ね直方体状の箱体であり、その内部には、スレーブアーム5の外、天井24の下部全面に接して配置される配置物25,配置物25の下面の一部に接して、且つ作業用ボックス20の奥壁26に接して配置される直方体状の配置物27,配置物27と所定の間隔を置いて、床板21の一部に接して、且つ奥壁26に接して配置される直方体状の配置物28,間にスレーブアーム5を挟むようにして何れも床板21に載置される配置物29及び30などがある。

例えば配置物28及び29の上面は、スレーブアーム5が作業を行うための作業台となっている。また、これらの配置物の少なくとも一部は、作業用の器材又は器材を含む物である。そして、配置物28及び29が接して並ぶ作業用ボックス20の壁面には、器材等を出し入れするための扉31が設けられている。この扉31が閉じられた状態で、作業用ボックス20の内部は密閉状態となる。

作業用ボックス20の内部レイアウトが上記の様である結果、スレーブアーム5が可動できる空間(可動領域)は極めて限定されている。すなわち、スレーブアーム5の構造に基づく部分は除き、スレーブアーム5は、配置物25の下方において配置物27〜30が存在しない空間しか稼働できない状態にある。そして、作業用ボックス20において、少なくとも配置物29及び30が共に接して配置されている正面側の壁面と、配置物28及び29が共に接して配置されている側面側の壁面とは透明なガラス又は樹脂で構成され、オペレータAは、作業用ボックス20の外部よりスレーブアーム5の動作を目視しながらマスタアーム2の操作を行うことが可能である。

次に、図2を参照してコントローラ3,6内部のブロック構成について概略的に説明する。マスタ1側のコントローラ3は、通信制御部32,座標変換部33,加算部34,フィルタ演算部35,軌道計画部36,加算部37,逆変換演算部38およびサーボ部39を備えている。通信制御部32は、スレーブ4側の通信制御部23との通信を行う。座標変換部33は、マスタアーム2の力検出部12が検出する力覚データを内部で用いる標準的な座標に変換する。これは、例えばスレーブ4側の規模やタイプが異なる場合に、両者の間で整合性を持たせるもので、換言すると座標変換部33を設けることで、マスタアーム2とスレーブアーム5との規模やタイプの違いに柔軟に対応できる。この座標変換部33は、変換した力覚データを通信制御部32及び加算部34に与える。

加算部34は、座標変換部33を介して変換された力覚データが与えられると共に、通信制御部32を介してスレーブ4側から送信される力覚データや仮想反力データが与えられる。また以下では、力覚データと仮想反力データとを合わせたものを「作用力データ」と称する。加算部34は、これらを加算した値をフィルタ演算部35に出力する。フィルタ演算部35は、現在出力中の作用力データ値に対して新たに与えられた作用力データの値が異なる場合に、その偏差に相当する作用力データの量を徐々に変化させて出力するローパスフィルタのような機能を有する。

軌道計画部36は、マスタアーム2を制御プログラムに従って動作させる場合の、時間経過に応じた位置のデータ,すなわち、軌道データを生成する。逆変換演算部38には加算部37を介して、軌道データと作用力データに応じた位置データとの加算値が目標位置データとして入力される。そして、逆変換演算部38は、入力された目標位置データをマスタアーム2に実際に対応する関節目標データに逆変換してサーボ部39に出力する。

サーボ部39は、マスタアーム2のグリップ11を駆動制御する。尚、作用力データに仮想反力データが含まれている場合、サーボ部39はその仮想反力データに応じてグリップ11の操作方向に反する反力(逆トルク,抵抗トルク)を発生させる。また、通信制御部32は、作用力データを記憶するためのメモリを内部に備えており、座標変換部33から与えられる力覚データおよび通信制御部23より入力される作用力データをそれぞれ所定のアドレスに格納記憶する。

スレーブ4のコントローラ6は、座標変換部41,加算部42,フィルタ演算部43,軌道計画部44,加算部45,逆変換演算部46,サーボ部47,装置モデル48,距離演算部49及び仮想反力演算部50を備えている。座標変換部41は、スレーブアーム5の力検出部22が検出する力覚データを内部で用いる標準的な座標に変換するもので、マスタアーム2の座標変換部33と同様の働きをする。この座標変換部41は通信制御部23に変換した力覚データを与える。加算部42は、座標変換部41を介して変換された力覚データを与えられると共に、送受信制御部32を介してマスタ1側から送信される力覚データが与えられる。

装置モデル48には、作業用ボックス20内における配置物25,27〜30のレイアウトに応じて決定される、スレーブアーム5の可動領域を示す3次元座標の情報が格納されている。すなわち、スレーブアーム5を動作させる際に、作業用ボックス20の内壁や配置物25,27〜30に接触・衝突する事態は防止する必要がある。そこで、装置モデル48では、スレーブアーム5がそれらに接触しないように所定のマージンをとり、可動領域の限界を設定している。

距離演算部49は、位置検出部17より入力されるスレーブアーム5の現在位置と、装置モデル48より得られるスレーブアーム5の可動領域の限界位置との距離を演算し、仮想反力演算部50に入力する。仮想反力演算部50は、入力される距離及びスレーブアーム5の手先の移動速度に応じてスレーブアーム5及びマスタアーム2に作用させる仮想反力を演算し、仮想反力データを通信制御部23及び加算部42に入力する。前記移動速度は、位置検出部17より検出される位置変化量から取得する。仮想反力演算部50は、反力制御部に相当する。

加算部42には、上述した各力覚データと共に、上記の仮想反力データが入力されており、加算部42は、これらを加算した結果をフィルタ演算部43に出力する。フィルタ演算部43は、マスタ1側のフィルタ演算部35と同様の作用を成す。軌道計画部44は、スレーブ側の軌道計画部36と同様の機能をマスタ1側に適用したものである。また、加算部45,逆変換演算部46についても同様である。

サーボ部49は、スレーブアーム5のハンド14を駆動制御する。また、通信制御部323は、作用力データを記憶するためのメモリを内部に備えており、座標変換部41および通信制御部32より入力される力覚データ,並びに仮想反力演算部50より入力される仮想反力データをそれぞれ所定のアドレスに格納記憶する。

次に本実施形態の作用について説明する。本実施形態における力覚データの授受に基づく駆動制御の原理については、特許文献1と同様である。基本的には、オペレータAが手によりマスタアーム2を把持して操作する方向に連動して、スレーブアーム5が動作する。本実施形態における特徴的な作用は、スレーブ4側でスレーブアーム5が動作した際に、装置モデル48,距離演算部49及び仮想反力演算部50の作用により仮想反力データが生成されると、その仮想反力データがマスタ1側に伝達されて、オペレータAによるマスタ1側のマスタアーム2の操作感に影響を与える部分である。以下、この点について説明する。

図3に示すように、オペレータAがマスタアーム2を操作して動かすと、マスタアーム2の各軸位置が検出されて手先座標が求められ(M1)、その手先座標の情報がスレーブ4側に送信される(M2)。スレーブ4側では、マスタ1が送信した手先座標を受信すると(S1;YES)、コントローラ6は、スレーブアーム5の手先(ハンド14)を、受信した手先座標に応じた位置に至るように動作させる(S2)。

そして、コントローラ6は、動作中におけるスレーブアーム5の手先座標を計算し(S3)、手先座標がスレーブアーム5の可動領域内に設定されている「反力発生境界」を越えたか否かを判断する(S4)。ここで、「反力発生境界」とは、可動領域の限界に対して所定のマージンを持たせ、前記限界の近傍に設定した3次元的な境界である。反力発生境界から可動領域の限界までは「反力発生域」となる。手先座標が反力発生境界を越えなければ(NO)反力値はゼロとする(S7)。

一方、手先座標が反力発生域を越えると(S4;YES)、仮想反力演算部50が手先位置と可動領域の限界との距離に応じた反力値を計算し(S5)、マスタ1側に計算した反力値を送信する(S6)。スレーブ4側では、上記反力値を受信すると(M3;YES)、コントローラ3のサーボ部39において、その時点でオペレータAがマスタアーム2を操作している方向に対して反対方向となる力,反力を付与するように、対応する軸のモータに抵抗トルクを発生させる(M4)。

例えば図4に示すように、スレーブアーム5の手先位置が、可動領域の限界,つまり作業用ボックス20内の配置物25,27〜30等の障害部に接触するまでの距離が100mm→50mm→1mmといったように縮まるのに応じて、反力の相対値を、1→50→99と漸次増加させる。少なくとも反力値「99」は、オペレータAがその反力に抗して、マスタアーム2を操作することが実質的に不能な力に設定する。尚、前記距離が0mmになると、コントローラ3が別途制御プログラムにより操作を制限する「ソフトリミット」が機能して、マスタアーム2は完全に動かなくなる。

図5は、スレーブアーム5の仮想反力発生モデルであり、スレーブアーム5の手先と、障害物(配置物25,27〜30)との間が仮想的なバネ及びダンパにより接続されている。そして、図6に示すように、スレーブアーム5の手先が反力発生境界を越えなければ反力値は「0」であるから、オペレータ(ユーザ)Aは、マスタアーム2を操作する際に特段の抵抗を受けることなく、与えた操作力に応じてマスタアーム2を操作できる。

スレーブアーム5の手先が反力発生境界を越えると、上述のようにマスタアーム2の駆動機構に反力が発生するように作用し、オペレータAは、マスタアーム2の操作感に抵抗を受けるようになる。この時、移動限界である障害物モデル位置までの距離に応じた反力管理と(仮想バネに対応)、マスタアーム2の手先の移動速度に応じた反力管理(仮想ダンパに対応)とが並行して行われる。

距離に応じた反力管理は、図5(b)に示すように、移動限界までの近いほど付与される反力値が大きくなる。図5(b)では、例示として反力値が線形に変化するように示しているが、例えば二次曲線に従い変化させても良い。また、速度に応じた反力管理は、図5(c)に示すように、速度が速くなるほど付与される反力値が大きくなる。図5(c)も例示として反力値が線形に変化するように示しているが、距離に応じた反力管理と同様に二次曲線等に従い変化させても良い。

つまり、マスタアーム2に作用する反力値は、距離に応じて付与される値と、速度に応じて付与される値との合計になる。例えば、距離,速度に応じて発生する反力値の相対的なイメージは、下記のようになる。 距離 速度 反力値 中 中 大 遠 遅 小 限界 中 大 遠 最速 大 遠 中 中 中 遅 中

図6に示すパターンでは、距離が移動限界に到達する直前になるか、反力発生域内の移動速度が最速になるかの何れか一方を満たすと、反力値が最大となるようにパラメータが設定されている。これにより、付与される反力値は大きくなる傾向になり易く、スレーブアーム5の衝突が確実に防止される。また、反力発生域もより狭い領域で設定可能になる。個別の設計によっては、距離が移動限界に到達する直前になり、且つ反力発生域内の移動速度が最速になった際に反力値が最大となるように設定することも想定される。その場合、付与される反力値は全体的に小さくなる傾向を示すが、オペレータの操作感に与える影響は小さくなりオペレータに動かし易さを感じさせることができる。但し、反力発生域はより広く設定する必要がある。

尚、以上は例示としてスレーブアーム5の手先が反力発生境界を越えるか否かで説明したが、手先に限ることなく、スレーブアーム5のどの部分についても反力発生境界を越えた際には、同じように反力を発生させる。また、スレーブアーム5のハンド14が作業を行う領域に近接する反力発生境界については、反力によって作業に支障が生じることがないように設定する。

以上のように本実施形態によれば、密閉された作業用ボックス20の内部にスレーブアーム5を配置し、作業用ボックス20の外部に、オペレータAがスレーブアーム5の操作指令を入力するための操作装置としてマスタアーム2を配置する。そして、仮想反力演算部50は、作業用ボックス20の内部におけるスレーブアーム5の可動領域を示す可動領域情報に基づき、スレーブアーム5が可動領域の限界に近付くのに応じて、オペレータAがマスタアーム2を前記限界に近付く方向に動かす力に反する反力を増大させるようにした。

これにより、オペレータAは、スレーブアーム5が可動領域の限界に近づくのに従い、マスタアーム2をそのまま同じ方向に移動させようとすると、漸次増加する抵抗を受けて操作感が重く感じる。したがって、オペレータAは、その抵抗によりスレーブアーム5が可動領域の限界に近付いていることを感覚的に認識することができ、自発的に限界に近づく方向へのアーム操作を抑制するようになる。よって、ロボットの操作経験が少ない操作者が、作業用ボックス20内のスレーブアーム5を、可動領域が極めて限定されている範囲で動作させる場合でも、スレーブアーム5を作業用ボックス20の内壁や、その他の配置物25,27〜30等に衝突させることを容易に回避できる。

また、操作装置における操作子を、スレーブアーム5と同じ軸構成のマスタアーム2にした。このように構成すれば、ロボットの操作経験が少ないオペレータであっても、外形がスレーブアーム5とほぼ同様の形態であるマスタアーム2を操作することで、作業用ボックス20内のスレーブアーム5の動作を、マスタアーム2に受ける反力によって直感的に把握しつつ、操作指令を与えることができる。

更に、仮想反力演算部50は、可動領域の限界に至る手前に反力発生境界を設け、スレーブアーム5が反力発生境界を超えるまでは反力を発生させずにゼロとし、反力発生境界を超えると反力を発生させるように制御する。このように構成すれば、スレーブアーム5がロボットアームが反力発生境界を超えると急に反力が発生するので、オペレータAに操作上での違和感を与えることができる。そして、その違和感により操作者は、スレーブアーム5が可動領域の限界に近付いていることを容易に気付くことができる。

加えて、反力演算部50は、スレーブアーム5が反力発生境界を超えて移動すると、手先の移動速度が速くなるのに応じて反力がより大きくなるように制御するので、これにより、距離と移動速度との双方のパラメータに応じて付与する反力の強度を制御するこができる。

そして、仮想反力演算部50をスレーブ4側のコントローラ6に配置して、スレーブアーム5が可動領域の限界に近づくのに応じてマスタ1側に反力の増加指令を送信し、マスタ1のコントローラ3は、受信した指令に応じてマスタアーム2に付与する反力を増大させるようにした。すなわち、スレーブ4のコントローラ6は、マスタ1より入力される操作指令に関わらず、スレーブアーム5の動作が可動領域を越えることが無いように制限をかける必要がある。そのため、可動領域に関する情報は、コントローラ6が保持管理するのが適切であり、このように構成すれば、コントローラ3側で複雑な計算処理等を行う必要がなくなる。

(第2実施形態) 以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図7に示すように、第1実施形態ではスレーブ4側のコントローラ6に配置されていた装置モデル48,距離演算部49及び仮想反力演算部50を、マスタ1側のコントローラ3内に備えた構成である。この場合、仮想反力演算部50より出力される仮想反力データは、加算部34に入力される。 以上のように構成される第2実施形態による場合も、第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。また、スレーブ4側からマスタ1側への通信データ量を削減できる。

本発明は上記した、又は図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。 作業用ボックス20内で行う作業は、医療系の作業に限ることなく、密閉空間内で行うのに適している作業であれば良い。 スレーブアーム5にカメラなどの撮像装置を配置し、作業用ボックス20の内部を3次元的にスキャンすることで、内部のレイアウトに応じた可動領域情報を生成して装置モデル48に初期設定しても良い。 操作装置の操作子は、必ずしもロボットアームと同じ軸構成である必要はない。例えば操作装置はティーチングペンダントでも良い。

図面中、1はマスタ、2はマスタアーム(操作子)、3はコントローラ、4はスレーブ4、5はスレーブアーム、6はコントローラ、20は作業用ボックス、48は装置モデル、49は距離演算部、50は仮想反力演算部を示す。

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