Movable tensegrity structure

申请号 JP2009553378 申请日 2009-01-13 公开(公告)号 JP5299291B2 公开(公告)日 2013-09-25
申请人 コニカミノルタ株式会社; 发明人 一裕 二瓶;
摘要 Provided is a movable tensegrity structure capable of performing bending operation, torsional operation, contracting operation, etc, by itself, The movable tensegrity structures (1, 1*, 10) is constituted by combining a plurality of rigid members (2, 11) and tension members (3, 1 2) for connecting between the end points (E, F) of the rigid members (2, 11), respectively. The tensegrity structure is characterized in that all or a part of the plurality of tension members (3, 12) is formed of a contraction-controllable member,
权利要求
  • 複数の剛体部材と、前記剛体部材同士の端点間を結ぶ複数のテンション材とを組み合わせて構成される 円筒形状のテンセグリティ構造体であって、前記 円筒形状の内部空間には前記剛体部材が存在せず、前記複数のテンション材の全部または一部を 収縮可能な部材で構成し たことを特徴とする可動式テンセグリティ構造体。
  • 前記剛体部材は、それぞれ、他の2つの剛体部材および当該他の2つの剛体部材の端点間を結ぶ前記テンション材の計3つの部材により当該剛体部材の周囲を取り巻かれないように構成されており、当該テンション材が前記 収縮可能な部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可動式テンセグリティ構造体。
  • 前記テンション材は、少なくとも2つの前記剛体部材および当該2つの剛体部材の端点間を結ぶ当該テンション材の計3つの部材が、他の剛体部材の周囲を取り巻いていない場合に、前記 収縮可能な部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載の可動式テンセグリティ構造体。
  • 前記複数の剛体部材のうちの一定数の剛体部材が組み合わされて形成された層を、1本の軸方向に積み重ねて構成されて おり、
    前記一定数の剛体部材は、その配置が、自らが属する前記層に隣接する層に属する前記一定数の剛体部材の配置と互いに鏡像とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可動式テンセグリティ構造体。
  • 前記テンション材は、少なくとも、同一の前記層に属する前記剛体部材同士の端点間を結ぶように構成されていることを特徴とする請求項 4に記載の可動式テンセグリティ構造体。
  • 前記テンション材は、少なくとも、1つの前記層に属する前記剛体部材の端点と、当該層に隣接する層にさらに隣接する層に属する前記剛体部材の端点との間を結ぶように構成されていることを特徴とする請求項4 または請求項 5に記載の可動式テンセグリティ構造体。
  • 前記テンション材は、少なくとも、隣接する2つの前記層の境界部分に存する当該2つの層にそれぞれ属する前記剛体部材同士の端点間を結ぶように構成されていることを特徴とする請求項 または請求項 に記載の可動式テンセグリティ構造体。
  • 说明书全文

    本発明は、テンセグリティ構造体に係り、特に、可動式とされたテンセグリティ構造体に関する。

    近年、Kenneth Snelsonが考案し、R. Buckminstar Fullerが命名したとされるテンセグリティ構造体が種々開発されている(例えば特許文献1、2参照)。 また、テンセグリティ構造体の種々の技術分野への応用が図られている(例えば特許文献3、4参照)。

    テンセグリティ構造体は、通常、圧縮に耐える棒状の剛体等(コンプレッション材、圧縮部材)と、引き伸ばし力に耐えるワイヤ等(テンション材、緊張部材)とを組み合わせて構成される。 近年、テンション材としてワイヤ等の代わりに引き伸ばしも可能なゴムやバネ等の弾性体が用いられたものもテンセグリティ構造体と呼ばれる場合がある。

    特許第2524202号公報

    特開平9−166286号公報

    特開2000−5225号公報

    特開2002−132432号公報

    ところで、テンセグリティ構造体は、テンション材として細い線状部材を用いることで剛体部材が宙に浮いて見えるという特徴を有するため、もともと建築分野や芸術的な分野で活用されることが多かった。 このテンセグリティ構造体は、軽量に構成することが可能であり、しかも、外力に対して柔軟に変形するが外力の作用がなくなると元の形状に戻るという特性を有するため、そのような特性を効果的に活用できる他の分野での応用の研究も進められている。

    本願発明者は、上記のように外力に対しては柔軟に変形するが自ら変形することはないものとされてきたテンセグリティ構造体を、自ら変形することができるように改良し、いわゆる可動式のテンセグリティ構造体とすることの研究を重ねてきた。 そして、鋭意開発に努めたところ、種々の新規な知見が得られた。 そして、このような自ら動作することができる可動式テンセグリティ構造体は、その構成のしかたによっては、屈曲動作や一定の軸周りのねじれ動作、一定の軸方向への収縮動作等の複雑な動きを実現できることが見出された。

    このように、屈曲やねじれ、収縮等の動きが可能な可動式テンセグリティ構造体は、例えば製造ラインにおけるロボットアームや、尺取虫のごとく自ら移動する自走式ロボット、或いは人間の筋力を増強するために着用して利用する動作補助装置(強化服、パワーアシスト装置等とも呼ばれる。)等の種々の技術分野に応用することが可能であると考えられる。

    本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、屈曲動作やねじれ動作、収縮動作等を自ら行うことが可能な可動式テンセグリティ構造体を提供することを目的とする。

    前記目的を達成するために、請求項1に記載の可動式テンセグリティ構造体は、複数の剛体部材と、前記剛体部材同士の端点間を結ぶ複数のテンション材とを組み合わせて構成される円筒形状のテンセグリティ構造体であって、前記円筒形状の内部空間には前記剛体部材が存在せず、前記複数のテンション材の全部または一部を収縮可能な部材で構成したことを特徴とする。

    請求項2に記載の発明は、 請求項1に記載の可動式テンセグリティ構造体において、前記剛体部材は、それぞれ、他の2つの剛体部材および当該他の2つの剛体部材の端点間を結ぶ前記テンション材の計3つの部材により当該剛体部材の周囲を取り巻かれないように構成されており、当該テンション材が前記収縮制御可能な部材で構成されていることを特徴とする。

    請求項3に記載の発明は、 請求項1に記載の可動式テンセグリティ構造体において、前記テンション材は、少なくとも2つの前記剛体部材および当該2つの剛体部材の端点間を結ぶ当該テンション材の計3つの部材が、他の剛体部材の周囲を取り巻いていない場合に、前記収縮制御可能な部材で構成されることを特徴とする。

    請求項に記載の発明は、 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可動式テンセグリティ構造体において、 前記複数の剛体部材のうちの一定数の剛体部材が組み合わされて形成された層を、1本の軸方向に積み重ねて構成されており、前記一定数の剛体部材は、その配置が、自らが属する前記層に隣接する層に属する前記一定数の剛体部材の配置と互いに鏡像とされていることを特徴とする。

    請求項に記載の発明は、請求項4に記載の可動式テンセグリティ構造体において、前記テンション材は、少なくとも、同一の前記層に属する前記剛体部材同士の端点間を結ぶように構成されていることを特徴とする。

    請求項に記載の発明は、請求項4 または請求項5に記載の可動式テンセグリティ構造体において、前記テンション材は、少なくとも、1つの前記層に属する前記剛体部材の端点と、当該層に隣接する層にさらに隣接する層に属する前記剛体部材の端点との間を結ぶように構成されていることを特徴とする。

    請求項に記載の発明は、請求項または請求項に記載の可動式テンセグリティ構造体において、前記テンション材は、少なくとも、隣接する2つの前記層の境界部分に存する当該2つの層にそれぞれ属する前記剛体部材同士の端点間を結ぶように構成されていることを特徴とする。

    請求項1に記載の発明によれば、テンセグリティ構造体を構成する剛体部材同士の端点間を結ぶ複数のテンション材の全部または一部を収縮制御可能な部材(人工筋肉)で構成したことにより、テンセグリティ構造体を可動式とすることができる。 また、収縮制御可能な部材とされたテンション材を収縮させることで、可動式テンセグリティ構造体に、屈曲動作やねじれ動作、収縮動作等を行わせることが可能となる。

    請求項2および請求項3に記載の発明によれば、 請求項1に記載の発明の効果に加え、剛体部材が他の2つの剛体部材とテンション材の計3つの部材でその周囲を取り巻かれないように構成した部分の当該テンション材を収縮制御可能な部材(人工筋肉)で構成することで、この剛体部材が他の2つの剛体部材の動きに対していわばてこの支点のように作用して、収縮制御可能な部材とされたテンション材が収縮する際に可動式テンセグリティ構造体の他の部分も収縮してしまうことを回避することが可能となる。

    そのため、収縮制御可能な部材とされた1つのテンション材の収縮により複数の部分が収縮する場合には可動式テンセグリティ構造体の動作の制御構成が複雑になってしまうが、上記のように、収縮制御可能な部材とされた1つのテンション材を収縮させた場合にそのテンション材の部分のみが収縮するように構成すれば、可動式テンセグリティ構造体の動作を容易に制御することが可能となり、制御構成をより単純なものとすることが可能となる。

    請求項に記載の発明によれば、前記各発明の効果に加え、各層ごとに層に属する一定数の剛体部材の配置を互いに鏡像とすることで、一定数の剛体部材を組み合わせて形成した層を軸方向に積み重ねて可動式テンセグリティ構造体を構成する際に構成し易くなるとともに、ある層と、当該層の剛体部材の配置が鏡像関係にある剛体部材で形成された層とで、層のねじれ方向を逆方向とすることが可能となり、層を軸方向に積み重ねて形成される可動式テンセグリティ構造体に、いわば左右両方向へのねじれ動作を行わせることが可能となる。

    請求項 、請求項および請求項に記載の発明によれば、前記各発明の効果に加え、テンション材で、同一の層に属する剛体部材同士の端点間や、ある層に属する剛体部材の端点と他の層に属する剛体部材の端点と間や、隣接する2つの層の境界部分に存する剛体部材同士の端点間を結ぶように構成することで、層を軸方向に積み重ねて形成される可動式テンセグリティ構造体を安定した状態に構成することが可能となる。

    第1の実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体の構成を示す正面図である。

    図1の可動式テンセグリティ構造体の剛体部材のみを示した図である。

    (A)層Laに属する剛体部材の平面図であり、(B)層Lbに属する剛体部材の平面図である。

    図1の可動式テンセグリティ構造体の各層のねじれ方向を示す図である。

    (A)図1の可動式テンセグリティ構造体の剛体部材と人工筋肉とを示す正面図であり、(B)(A)の人工筋肉を収縮させた状態を説明する図である。

    (A)図5(A)の変形例を示す正面図であり、(B)(A)の人工筋肉を収縮させた状態を説明する図である。

    屈曲させた可動式テンセグリティ構造体を示す正面図である。

    層の人工筋肉に収縮力が働く状態を説明する図である。

    図1の可動式テンセグリティ構造体における剛体部材、人工筋肉、軸および内部空間を説明する平面図である。

    剛体部材の本数を4本とした場合の内部空間等を説明する平面図である。

    剛体部材の本数を6本とした場合の内部空間等を説明する平面図である。

    (A)第2の実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体の構成を示す正面図であり、(B)(A)の円Aで示される部分の拡大図である。

    第3の実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体の構成を示す正面図である。

    図13の可動式テンセグリティ構造体の剛体部材のみを示した図である。

    図13の可動式テンセグリティ構造体の各層のねじれ方向を示す図である。

    符号の説明

    1、1 可動式テンセグリティ構造体。

    2、2a、2b 剛体部材 3、3a、3b、3c、3d、3e テンション材 10 可動式テンセグリティ構造体。

    11、11a、11b 剛体部材 12、12a、12b、12e、12f テンション材 C 軸 D 軸 E、E2a、E2b 端点 F、F11a、F11b 端点 L、La、Lb 層 M、Ma、Mb 層 S 内部空間

    以下、本発明に係る可動式テンセグリティ構造体の実施の形態について、図面を参照して説明する。

    なお、本発明では、テンセグリティ構造体を構成する圧縮力に耐える剛体等を剛体部材といい、異なる剛体部材同士の端点間を引き離す力に対抗する力を付与する部材をテンション材というが、テンション材としてゴムやバネ等の弾性体を用いる場合を排除するものではない。
    [1. 第1の実施の形態]
    [1−1. 可動式テンセグリティ構造体の構成]
    本発明の第1の実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1の最も単純な構成を図1に示す。 図1に示すように、可動式テンセグリティ構造体1は、複数の剛体部材2と、剛体部材2同士の端点E間を結ぶ複数のテンション材3とが組み合わされて構成されている。
    [1−1−1. 剛体部材]
    まず、剛体部材2の配置について説明する。 各剛体部材2同士はテンション材3を介して接続されるようになっており、各剛体部材2同士が直接には接続されないようになっている。 また、図1や、図1における剛体部材2のみを示した図2に示すように、本実施形態では、各剛体部材2は、長さや径が等しい棒状の部材で構成されている。

    また、本実施形態では、3本の剛体部材2を1つの組として1つの層Lが形成されており、各層Lが、1本の軸Cに沿う方向に積み重ねられるようにして可動式テンセグリティ構造体1が構成されている。 各剛体部材2は、それぞれいずれか1つの層Lに属するようになっており、自らが属する層Lを越えて他の層Lに属することがないようになっている。 すなわち、1つの層Lを形成する剛体部材2が他の層Lを形成する剛体部材2となることはない。

    なお、本実施形態および下記の実施形態においては、部材の配置等について簡潔に記載するため、可動式テンセグリティ構造体の各部材等についての上下関係や平方向の位置関係を言う場合、図1や後述する図12、図13等における上下関係や水平方向の位置関係を表すこととする。 そのため、本明細書において例えばある部材が他の部材の上方に存在する旨が記載されていても、それは、軸Cが水平方向に延在するように可動式テンセグリティ構造体1が配置されている状態では当該部材は当該他の部材に対して横方向に存在することを意味している。

    互いに隣接する2層を層La、Lbとし、層La、Lbに属する剛体部材2をそれぞれ剛体部材2a、2bと表した場合の層La、Lbにおける各剛体部材2a、2bをそれぞれ図3(A)、(B)の平面図に示す。 図3(A)、(B)に示すように、各層Lに属する3本の剛体部材2は、各剛体部材2がそれぞれ、他の2本の剛体部材2のうち、1本の剛体部材2に対してはその上方を、残りの1本の剛体部材2に対してはその下方を通過するように、いわばねじれた状態で組み合わされて配置されている。

    また、本実施形態では、層Laに属する3本の剛体部材2aの配置と、層Lbに属する3本の剛体部材2bの配置とは、互いに鏡像の関係とされている。

    すなわち、図3(A)に示す層Laでは、仮に各剛体部材2aの下側の端点E2aの位置を固定した系で考えると、上側の端点E2aを図中矢印で示す回転方向に動かした場合には各剛体部材2aはその回転方向に自由に移動するが、図中の矢印方向とは反対の回転方向に動かそうとしても、各剛体部材2aは互いにぶつかりあって移動させることができなくなる。

    それに対して、図3(B)に示す層Lbでは、同様に、仮に各剛体部材2bの下側の端点E2bを固定した系で考えると、上側の端点E2bを図中矢印で示す回転方向に動かした場合には各剛体部材2bはその回転方向に自由に移動するが、図中の矢印方向とは反対の回転方向に動かそうとしても、各剛体部材2bは互いにぶつかりあって移動させることができなくなる。

    このように、本実施形態では、層Laに属する3本の剛体部材2aの配置と、層Lbに属する3本の剛体部材2bの配置とが互いに鏡像の関係とされているため、各剛体部材2a、2bが束縛されずに回転し得る方向が、層Laと層Lbとでは相対的に逆向きになっている。

    これを、図1に示した可動式テンセグリティ構造体1について示すと、図4に示すように、層Laでは、各剛体部材2aの上側の端点E2a側は図中の手前の位置で軸C周りに右向きに回転でき、下側の端点E2a側は図中の手前の位置で軸C周りに左向きに回転することができる。 また、層Lbでは、逆に、各剛体部材2bの上側の端点E2b側は図中の手前の位置で軸C周りに左向きに回転でき、下側の端点E2b側は図中の手前の位置で軸C周りに右向きに回転することができる。

    このように、層Laと層Lbとでは、各剛体部材2a、2bの組み合わされ方によって各剛体部材2a、2bが回転し得る方向が異なるため、層Laがねじれる方向と層Lbがねじれる方向が相対的に逆向きになっている。
    [1−1−2. テンション材および収縮制御可能な部材]
    次に、テンション材3の配置について説明する。 本実施形態では、テンション材3は、上記のように配置された各剛体部材2に対して、以下の3通りの手法でそれらの端点Eを結ぶようになっている。

    第一に、同一の層Lに属する3本の剛体部材2のうち、任意の2本の剛体部材2について、1本の剛体部材2の上側の端点Eと、その剛体部材2の下方を通過するもう1本の剛体部材2の下側の端点Eとを結ぶテンション材3が存在する。 このように、同一の層Laに属する2本の剛体部材2a同士の端点E2a間を結ぶテンション材3を、以下、テンション材3aといい、同一の層Lbに属する2本の剛体部材2b同士の端点E2b間を結ぶテンション材3をテンション材3bという。

    第二に、1つの層Lに属する剛体部材2の端点Eと、当該層Lに隣接する層Lにさらに隣接する層Lに属する剛体部材2の端点Eとの間を結ぶテンション材3が存在する。 すなわち、例えば、1つの層Laに属する剛体部材2aの上側の端点E2aと、当該層Laに上方に隣接する層Lbのさらに上方に隣接する層Laに属する剛体部材2aの下側の端点E2aとの間がテンション材3で結ばれている。 また、1つの層Laに属する剛体部材2aの下側の端点E2aと、当該層Laに下方に隣接する層Lbのさらに下方に隣接する層Laに属する剛体部材2aの上側の端点E2aとの間がテンション材3で結ばれている。 このようなテンション材3を、以下、テンション材3cという。

    また、層Lbに属する剛体部材2bについても、その端点E2bと、その層Lbの上方または下方に隣接する層Laのさらに上方または下方に隣接する層Lbに属する剛体部材2bの端点E2bとの間がテンション材3で結ばれている。 このようなテンション材3を、以下、テンション材3dという。

    第三に、隣接する2つの層La、Lbの境界部分に存し、これらの2つの層La、Lbにそれぞれ属する剛体部材2a、2b同士の端点E2a、E2b間を結ぶテンション材3が存在する。 このようなテンション材3を、以下、テンション材3eという。

    本実施形態では、上記の3種類のテンション材3(テンション材3a、3b、テンション材3c、3d、テンション材3e)のうち、いわば上下の剛体部材2の端点E間を結ぶテンション材3a、3bおよびテンション材3c、3dの2種類のテンション材3が収縮制御可能な部材で構成されている。 本発明では、このようにして、テンション材3の全部または一部を収縮制御可能な部材で構成することにより、テンセグリティ構造体が可動式とされている。

    収縮制御可能な部材としては、本実施形態では、通電により容易に収縮を制御することが可能で、迅速に収縮する導電性プラスチックを用いた高分子型の人工筋肉が用いられている。 この他にも、収縮制御可能な部材として、例えば、空気圧型やMcKibben型等の空気式人工筋肉や、バイオメタル等を用いたメタル式人工筋肉、形状記憶合金等を用いた人工筋肉、等を用いることも可能である。

    なお、以下、収縮制御可能な部材を人工筋肉と略称し、上記のように収縮制御可能な部材で構成されるテンション材3a、3bやテンション材3c、3dを人工筋肉3a、3bや人工筋肉3c、3dという場合がある。

    また、例えばテンション材3a、3bの組のみ、またはテンション材3c、3dの組のみを人工筋肉で構成することも可能であるが、上記の2組のうち少なくとも1組は人工筋肉で構成される。 また、テンション材3eを人工筋肉で構成してもよい。 さらに、人工筋肉を用いないテンション材3は、例えばワイヤを用いて構成することが可能であり、また、前述した従来技術で述べたようにゴムやバネ等の弾性体としてもよい。

    なお、例えば同一の層Laに属する2本の剛体部材2aの端点E2a間を結ぶ人工筋肉3aを収縮させた場合には、当該層Laの人工筋肉3a部分がいわば潰れるように収縮する。 しかし、例えば1つの層Laに属する剛体部材2aの端点E2aと、当該層Laに隣接する層Lbにさらに隣接する層Laに属する剛体部材2aの端点E2aとの間を結ぶ人工筋肉3cを収縮させた場合には、2つの層La、Laに挟まれた層Lbの人工筋肉3c部分が潰れるように収縮する。

    このように、人工筋肉3aと人工筋肉3cは、ともに剛体部材2aの端点E2a間を結ぶものであるが、人工筋肉3aの収縮力は層Laに作用するのに対して、人工筋肉3cの収縮力は層Lbに作用する点で、両者の作用する層が異なっている。 従って、本実施形態では、層Laに収縮力を及ぼす場合には人工筋肉3a、3dを作用させ、層Lbに収縮力を及ぼす場合には人工筋肉3b、3cを作用させるようになっている。

    ところで、前述したように、本実施形態では、層Laに属する3本の剛体部材2aの配置と層Lbに属する3本の剛体部材2bの配置とが互いに鏡像とされているため、各層Lに属する3本の剛体部材2の組み合わせ方によって、図4に示したように各層Lで各剛体部材2の上側の端点E側と下側の端点E側の軸C周りに回転し得る方向が決まる。 そして、層Laと層Lbとではねじれる方向が相対的に逆向きになっている。

    そのため、上記の人工筋肉3a、3dや人工筋肉3b、3cが各層Lに収縮力を及ぼす際に、各層Lの各剛体部材2の上側の端点E側と下側の端点E側の軸C周りに回転し得る方向に収縮力が及ぶように、すなわち層Lがねじれ得る方向に収縮力が及ぶように、人工筋肉3a、3dや人工筋肉3b、3cは、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cに対してそれぞれ傾斜して設けられている。 また、前述したように、層Laと層Lbとではねじれる方向が相対的に逆向きになっているため、層Laを収縮させる人工筋肉3a、3dと、層Lbを収縮させる人工筋肉3b、3cとでは、軸Cに対する傾斜の向きが逆になるように構成されている。
    [1−1−3. 剛体部材と人工筋肉との関係]
    次に、剛体部材2と人工筋肉(テンション材)3との関係について説明する。 本願発明者らは研究の結果、以下の知見を得た。 なお、下記の図5(A)、(B)は図1における層La内の3本の剛体部材2aと人工筋肉3aとを示す正面図であり、図6(A)、(B)は図5(A)、(B)の変形例を示す正面図である。

    各層Lを形成する3本の剛体部材2を図2や図3(A)、(B)に示したように組み合わせた際に、例えば層Laを形成する剛体部材2aにおいて、図6(A)に示すように、2本の剛体部材2aと、それらの端点E2aを結ぶ人工筋肉3fの計3本の部材で形成される三形の内部を、もう1本の別の剛体部材2a が通過するように構成したとする。 より正確に言えば、層Laを形成する3本の剛体部材2aのうち、1本の剛体部材2a が、他の2本の剛体部材2aとそれらの端点E2a間を結ぶ人工筋肉3fの計3本の部材でその周囲を少なくとも1周取り巻かれる構成であるとする。

    この場合、人工筋肉3fを収縮させると、他の2本の剛体部材2aの端点E2a間の間隔が狭まり、剛体部材2a を他の2本の剛体部材2aが挟みつける形になる。 すると、剛体部材2a が他の2本の剛体部材2aの動きに対して、いわばてこの支点のように作用するため、図6(B)に示すように、2本の剛体部材2aの人工筋肉3fで結ばれた側の端点E2a間だけでなく、その反対側の端点E2a間の間隔も収縮する。 すなわち、図6(A)のような構成の場合、人工筋肉3fの収縮に連動して2本の剛体部材2aの両側の端点E2a間の間隔が収縮するようになる。

    一方、図5(A)に示す本実施形態のように、例えば層Laを形成する剛体部材2aにおいて、2本の剛体部材2aと、それらの端点E2aを結ぶ人工筋肉3fの計3本の部材で形成される三角形の外側を、もう1本の別の剛体部材2a が通過するような構成であるとする。 より正確に言えば、層Laを形成する3本の剛体部材2aのうち、1本の剛体部材2a が、他の2本の剛体部材2aとそれらの端点E2a間を結ぶ人工筋肉3fの計3本の部材によりその周囲を取り巻かれない構成であるとする。

    この場合、人工筋肉3aを収縮させると、他の2本の剛体部材2aの端点E2a間の間隔が狭まっても、剛体部材2a を他の2本の剛体部材2aが挟みつけることはなく、寧ろ他の2本の剛体部材2aは剛体部材2a から遠ざかり、図5(B)に示すように、2本の剛体部材2aの人工筋肉3aで結ばれた側の端点E2a間の間隔だけが収縮する。 すなわち、本実施形態のような構成の場合、人工筋肉3aの収縮により、2本の剛体部材2aの一方側の端点E2a間の間隔だけが収縮し、反対側の端点E2a間の間隔は維持されることが分かった。

    本実施形態では、このように、剛体部材2の人工筋肉3で結ばれていない端点E間の間隔が人工筋肉3の収縮に連動して収縮しないように、図5(A)の構成が採用されている。

    なお、図1に示すように、層Laにおいて、1本の剛体部材2a が、2本の剛体部材2aと2本のテンション材3eと1本の人工筋肉3cの計5本の部材でその周囲を取り巻かれている。 この場合、人工筋肉3cが収縮すると、2本の剛体部材2aは、各テンション材3eが人工筋肉3cの収縮に引き摺られることで剛体部材2a を挟みつける方向に多少動くが、剛体部材2a がこれら2本の剛体部材2aの動きに対して、てこの支点のように作用するまでには至らず、反対側の人工筋肉3a側は事実上収縮しない。

    このように、図6(A)に示したように1本の剛体部材2を他の2本の剛体部材2とそれらの端点E間を結ぶ人工筋肉3の計3本の部材でその周囲を取り巻く構成としない限り、人工筋肉3の収縮に連動して2本の剛体部材2の両側の端点E間の間隔が収縮することはない。
    [1−1−4. その他の構成]
    なお、人工筋肉3を収縮させるための通電を行う電源装置や配線、制御装置等については、図1〜図5では図示を省略したが、電源装置については人工筋肉3を作動させるために適した電力を供給できるものであれば、公知の電源装置を用いることが可能である。 また、制御装置は、例えばコンピュータに対するプログラミングによって制御を行うことが可能であり、その他、直接手動ですなわちスイッチのオン、オフ等によって人工筋肉に電力を入力するように構成することも可能である。

    また、配線については、後述する可動式テンセグリティ構造体1の屈曲等の動作の妨げにならないように、例えば棒状の剛体部材2の内部に配線を通して、剛体部材2の端点Eで人工筋肉3と接続するように構成することが可能である。 また、図3(A)、(B)に示したように、各層Lに属する3本の剛体部材2によって可動式テンセグリティ構造体1の軸Cの周囲に三角形の内部空間Sが形成されるが、その軸C周囲の内部空間S内で各人工筋肉3と接続される配線を束ねて内部空間S内を通して外部の電源装置や制御装置とつなぐように構成することも可能である。
    [1−2. 可動式テンセグリティ構造体の作用]
    次に、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1の作用について説明する。
    [1−2−1. 可動式テンセグリティ構造体の屈曲動作]
    本実施形態では、前述した図5(A)に示したように、可動式テンセグリティ構造体1の各層Lでは、層Lを形成する3本の剛体部材2のうち、1本の剛体部材2(2a )が他の2本の剛体部材2とそれらの端点E間を結ぶ人工筋肉3の計3本の部材によりその周囲を取り巻かれないように構成されている。

    そのため、図1に示した可動式テンセグリティ構造体1において、上記のように構成された層Laの例えば図中最左端側に示された人工筋肉3aを収縮させても、前述したように当該層Laの図中右側の部分がそれに連動して収縮することはない。 そして、人工筋肉3aの収縮により、層Laの一部、すなわちこの場合は層Laの図中左側の部分が軸C方向に収縮し、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cを屈曲させることができる。

    例えば、図1における当該層Laより下側の部分を動かないように固定すれば、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cは、当該層Laより下側の部分に対して当該層Laから上の部分が左側に屈曲し、可動式テンセグリティ構造体1が当該層Laの部分で屈曲する。 このようにして、例えば人工筋肉3を収縮させて1つの層Lの一部を軸C方向に収縮させることで、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cを屈曲させることが可能となる。

    上記の場合、層Laの人工筋肉3aのみを収縮させてもよいが、人工筋肉3aだけでなく、当該人工筋肉3aの近傍にある当該層La中の人工筋肉3d等も適度に収縮させれば、図7に示すように、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cをより安定して屈曲させることができる。 また、当該層Laの当該人工筋肉3a等をさらに収縮させたり、当該層Laの上方または下方の単数または複数の層La、Lbの同一箇所、すなわち図7の例では層Lの図中最左端側の人工筋肉3等を屈曲させることで、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cを同一方向にさらに大きく屈曲させることができる。

    前述したように、人工筋肉3は、各層Lの各剛体部材2の上側の端点E側と下側の端点E側の軸C周りに回転し得る方向に収縮力が及ぶように可動式テンセグリティ構造体1の軸Cに対してそれぞれ傾斜して設けられている。 そのため、上記のように人工筋肉3aを収縮させると、当該層Laの人工筋肉3aの部分、すなわち図7の例では当該層Laの図中最左端側の部分で、人工筋肉3aが結び付けられた上側の端点E2aや下側の端点E2aが図4に示した方向に若干ねじれを生じる。

    そのため、可動式テンセグリティ構造体1が当該層Laの部分で軸C周りに僅かにねじれを生じる場合があり、可動式テンセグリティ構造体1の屈曲動作を、複数の層Lの人工筋肉3を収縮させて生じさせた場合、屈曲と同時に軸C周りにねじれを生じる場合がある。

    このようなねじれは、例えば屈曲を生じさせる層Lの数を層Laと層Lbとで同数になるように選択する等して、層La、Lbで逆方向に生じるねじれを相殺することで、解消することができる。 そして、このようにすれば、可動式テンセグリティ構造体1に屈曲のみを生じさせることが可能となる。
    [1−2−2. 可動式テンセグリティ構造体の収縮動作]
    また、層Laでは人工筋肉3a、3dを全部または一部を適宜収縮させると、図8に示すように、人工筋肉3a、3dの収縮により層Laの上側と下側との間隔を狭めるように収縮力が働く。 このように、層Laでは人工筋肉3a、3dを、層Lbでは人工筋肉3b、3cをそれぞれ全部または一部を適宜収縮させることで、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cを屈曲させることなく各層Lを軸C方向に収縮させることができる。

    そして、例えば、図8において、収縮させる層Laより下側の部分を動かないように固定すれば、可動式テンセグリティ構造体1は、当該層Laより上側の部分全体が軸C方向に下がる。 そのため、可動式テンセグリティ構造体1の一部または全部を軸C方向に収縮させることが可能となる。

    その際、上記のように、人工筋肉3が可動式テンセグリティ構造体1の軸Cに対してそれぞれ傾斜して設けられているため、各層Lごとに特有のねじれ方向にねじれが生じる。 しかし、例えば収縮を生じさせる層Lの数を層Laと層Lbとで同数になるように選択する等して層La、Lbで逆方向に生じるねじれを相殺することでねじれを解消することができ、軸C方向の収縮動作のみを生じさせることが可能となる。

    また、上記のようにして一旦収縮させた可動式テンセグリティ構造体1を、各層Lの人工筋肉3の収縮を解除しまたは緩めて各層Lを軸C方向に伸長させることで、軸C方向に伸長させることも可能となる。
    [1−2−3. 可動式テンセグリティ構造体のねじれ動作]
    また、上記のように、層Laでは人工筋肉3a、3dをすべて収縮させると、図8に示したように、人工筋肉3は可動式テンセグリティ構造体1の軸Cに対してそれぞれ傾斜して設けられているため、人工筋肉3a、3dの収縮力により、可動式テンセグリティ構造体1の軸Cを屈曲させることなく、図4に示したねじれ方向に層Laをねじれさせることができる。

    例えば、図8において、収縮させる層Laより下側の部分を動かないように固定すれば、可動式テンセグリティ構造体1は、当該層Laより上側の部分全体が軸C周りにねじれる。 そのため、可動式テンセグリティ構造体1の一部または全部を軸C方向に収縮させることが可能となる。 これは、層Lbについても同様であるが、人工筋肉3b、3cの傾斜の向きが層Laの場合と逆であるため、層Laとは逆方向のねじれを生じる。

    そして、層Laのみを複数選択し、或いは層Lbのみを複数選択して、各層Lの人工筋肉3を収縮させて各層Lごとにねじれを生じさせることで、可動式テンセグリティ構造体1を、その軸C周りに、各層Lに特有のねじれ方向に大きくねじれさせることが可能となる。

    なお、このねじれ動作においては、層Laの人工筋肉3a、3dや、層Lbの人工筋肉3b、3cをそれぞれすべて収縮させるため、前述したように、必然的に収縮動作を伴う。 しかし、例えば、予め各層Lの人工筋肉3をある程度収縮させておき、ねじれ動作を生じさせる層Lの収縮の度合に応じて、ねじれ動作を生じさせる層L以外の層Lを同時に伸長させることで、可動式テンセグリティ構造体1を、必要な箇所でねじれ動作を生じさせつつ、全体的には収縮しないようにすることが可能となる。
    [1−2−4. 可動式テンセグリティ構造体の他の動作]
    詳しい説明を省略するが、上記の屈曲動作やねじれ動作、収縮・伸長動作を組み合わせれば、可動式テンセグリティ構造体1により複雑な動作をさせることが可能となる。

    例えば、上記の屈曲動作や収縮(伸長)動作では、例えば屈曲や収縮(伸長)を生じさせる層Lの数を層Laと層Lbとで同数になるように選択する等して、同時にねじれ動作が生じないようにする場合を示したが、屈曲や収縮(伸長)の際に、各層Lごとのねじれを相殺させないように層La、Lbの数や場所を選択して、屈曲動作や収縮(伸長)動作とねじれ動作とを同時に生じさせることも可能である。 また、可動式テンセグリティ構造体1を、屈曲させつつ収縮(伸長)させるようにその動作を制御することも可能である。
    [1−3. 可動式テンセグリティ構造体の効果]
    以上のように、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1によれば、テンセグリティ構造体を構成する剛体部材2同士の端点E間を結ぶ複数のテンション材3の全部または一部を収縮制御可能な部材(人工筋肉)で構成したことにより、テンセグリティ構造体を可動式とすることができる。 また、収縮制御可能な部材とされたテンション材3を収縮させることで、可動式テンセグリティ構造体1に、屈曲動作やねじれ動作、収縮動作等を行わせることが可能となる。

    また、剛体部材2が、他の2本の剛体部材2および当該他の2本の剛体部材2の端点E間を結ぶテンション材3の計3本の部材でその周囲を取り巻かれないように構成し、そのテンション材3を収縮制御可能な部材(人工筋肉)で構成することで、この剛体部材2が他の2本の剛体部材2の動きに対していわばてこの支点のように作用して、収縮制御可能な部材とされたテンション材3を収縮させる際に可動式テンセグリティ構造体1の他の部分も収縮してしまうことを回避することが可能となる。

    そのため、上記のように、収縮制御可能な部材とされた1本のテンション材3の収縮により複数の部分が収縮する場合には、可動式テンセグリティ構造体1の動作の制御構成が複雑になってしまうが、本実施形態のように、収縮制御可能な部材とされた1本のテンション材3を収縮させた場合にそのテンション材3の部分のみが収縮するように構成すれば、可動式テンセグリティ構造体1の動作を容易に制御することが可能となり、制御構成をより単純なものとすることが可能となる。

    さらに、可動式テンセグリティ構造体1を、一定数(本実施形態では3本)の剛体部材2を組み合わせて形成した層Lを1本の軸C方向に積み重ねて構成した場合、収縮制御可能な部材とされたテンション材3の収縮により当該テンション材3の部分のみを収縮させることで、屈曲動作を実現することが可能となる。 また、このような可動式テンセグリティ構造体1では、テンション材3の全部または一部を収縮制御可能な部材とすることで、容易かつ的確に屈曲動作やねじれ動作、収縮動作等を行わせることが可能となる。
    [2. 第2の実施の形態]
    上記の第1の実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1では、3本の剛体部材2を1つの組として1つの層Lが形成される場合について説明した。 本実施形態では、層Lに属する剛体部材2の本数をさらに増加させた場合の可動式テンセグリティ構造体1 について説明する。

    なお、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1 の基本的な構成は、上記の第1実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1と同様であり、可動式テンセグリティ構造体1の部材と同様の機能を奏する部材については、第1の実施形態と同じ符号を付して説明する。

    前記図3(A)、すなわち、層Laに属する3本の剛体部材2aを上方から見た図に人工筋肉3aをあわせて記載すると、図9に示す平面図のように表される。 これは、前述した第1の実施形態における可動式テンセグリティ構造体1の構成である。 この基本的な構成を維持したまま、層Laに属する剛体部材2aの本数を4本、6本と増やし、人工筋肉3aをあわせて記載すると、可動式テンセグリティ構造体1 は、図10および図11のように表すことができる。

    その際、層Laにおいては、層Laに属する剛体部材2aの組み合わせ方により、そのねじれ方向が第1の実施形態の図4に示したように決まっている。 そのため、図9に示した剛体部材2aが3本の場合と同様に、図10、図11に示した剛体部材2aが4本、6本の場合においても、剛体部材2aの上側の端点E2a(図中手前側の端点)と他の剛体部材2aの下側の端点E2aとを結ぶ人工筋肉3aの方向性が一定となるように、剛体部材2aの端点E2aとが結ばれる。

    図9〜図11に示したように、層Lに属する剛体部材2の本数を増加させていくと、各層Lに属する一定数の剛体部材2によって可動式テンセグリティ構造体1 の軸Cの周囲に形成される内部空間Sが拡大していくことが分かる。 そして、このような層Lが軸Cに沿う方向に積み重ねられるようにして形成される可動式テンセグリティ構造体1 は、層Lの内部空間Sが拡大していくと筒状になっていくことが理解される。

    層Lを形成する剛体部材2等をより細小に構成してその数をさらに増加させ、層Lの軸C方向の厚さを短縮していくと、可動式テンセグリティ構造体1 は、図12(A)の正面図に示すように、肉薄の円筒形状になる。

    しかし、その際も、図12(A)に円Aで示す部分の拡大図である図12(B)に示されるように、可動式テンセグリティ構造体1 は、上記の第1の実施形態に示した可動式テンセグリティ構造体1の基本的な構成に従って各層La、Lbが交互に積み重ねられ、剛体部材2a、2b、人工筋肉3a、3b、3c、3d、およびテンション材3eが組み合わされて構成される。 テンション材3eを人工筋肉で構成してもよいこと等は第1の実施形態と同様である。

    なお、図9〜図11では可動式テンセグリティ構造体1 の軸C周囲の内部空間Sが正多角形状に形成される場合を示し、図12(A)、(B)では可動式テンセグリティ構造体1 が円筒形状に形成される場合を示したが、必ずしもこのように形成される必要はない。 例えば図12(A)の可動式テンセグリティ構造体1 を、断面が楕円形状やその他の形状の筒状に形成することも可能である。

    以上のように、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1 によれば、上記の第1の実施形態に示した基本的な構成に従って構成されているため、第1の実施形態の可動式テンセグリティ構造体1と同様の効果を奏することが可能となる。

    また、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1 は、図12(A)、(B)に示したように、層Lを形成する剛体部材2等をより細小に構成してその数を増加させ、層Lの軸C方向の厚さを短縮することで、肉薄の筒状に形成することが可能となる。 このように可動式テンセグリティ構造体1 を構成する部材を細小化することで、可動式テンセグリティ構造体1 に、より滑らかでしなやかに屈曲やねじれ、収縮等の動作を行わせることが可能となる。

    さらに、可動式テンセグリティ構造体1 の内部空間Sに人体等を挿入して、人間等が可動式テンセグリティ構造体1 を着用する形とすることで、可動式テンセグリティ構造体1 を、人間の筋力を増強するために着用する動作補助装置(強化服、パワーアシスト装置等)として用いることが可能となる。

    なお、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体1 を動作補助装置として用いる際、図12(A)、(B)に示した層Lを形成する剛体部材2等を極細小に構成して、可動式テンセグリティ構造体1 をサポータ状或いはストッキング状に形成すれば、剛体部材2等が例えば人体に刺さる等して人体を刺激することもなく、サポータやストッキングを着用する時のように滑らかな感触で可動式テンセグリティ構造体1 (動作補助装置)を着用することが可能となる。 また、このようにサポータ等のように着用した状態で可動式テンセグリティ構造体1 を作動させることで、上記の効果が実現されて、着用者の身体に屈曲等の動作を生じさせたり、着用者の動作を補助、補強することが可能となる。
    [3. 第3の実施の形態]
    [3−1. 可動式テンセグリティ構造体の構成]
    本発明の第3の実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体10の最も単純な構成を図13に示す。 図13に示すように、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体10も、複数の剛体部材11と、剛体部材11同士の端点F間を結ぶ複数のテンション材12とが組み合わされて構成されている。

    なお、図13では、可動式テンセグリティ構造体10を真正面から見るとテンション材12eが重なりあって見づらくなるため、テンション材12eが重なりあわないようにやや上方から見た正面図が記載されている。 また、図14に、図13における剛体部材11のみを示した図を示す。
    [3−1−1. 剛体部材]
    本実施形態において、剛体部材11自体の構成および各剛体部材11同士の組み合わせ方等は、第1の実施形態の剛体部材2の場合と同様であり、また、3本の剛体部材11を1つの組として形成された各層Mが、1本の軸Dに沿う方向に積み重ねられるようにして可動式テンセグリティ構造体10が構成されている点においても同様である。

    また、互いに隣接する2層を層Ma、Mbとし、層Ma、Mbに属する剛体部材11をそれぞれ剛体部材11a、11bと表した場合、層Ma、Mbにおける各剛体部材11a、11bを上方から見ると、第1の実施形態における図3(A)、(B)に示したものと同様の状態となる。 なお、図3(A)、(B)における層L、La、Lb、剛体部材2、2a、2b、端点E、E2a、E2bが、本実施形態の層M、Ma、Mb、剛体部材11、11a、11b、端点F、F11a、F11bにそれぞれ対応する。

    このように、本実施形態においても、層Maに属する3本の剛体部材11aの配置と、層Mbに属する3本の剛体部材11bの配置とが互いに鏡像の関係とされており、各剛体部材11a、11bが束縛されずに回転し得る方向が、層Maと層Mbとでは相対的に逆向きになっている。

    そのため、図15に示すように、層Maでは、各剛体部材11aの上側の端点F11a側は図中の手前の位置で軸D周りに右向きに回転でき、下側の端点F11a側は図中の手前の位置で軸D周りに左向きに回転することができる。 また、層Mbでは、逆に、各剛体部材11bの上側の端点F11b側は図中の手前の位置で軸D周りに左向きに回転でき、下側の端点F11b側は図中の手前の位置で軸D周りに右向きに回転することができる。

    このように、層Maと層Mbとでは、各剛体部材11a、11bの組み合わされ方によって各剛体部材11a、11bが回転し得る方向が異なるため、層Maがねじれる方向と層Mbがねじれる方向が相対的に逆向きになっている。
    [3−1−2. テンション材および収縮制御可能な部材]
    本実施形態では、テンション材12の配置が第1の実施形態の場合と異なっている。

    本実施形態では、テンション材12は、隣接する2つの層Ma、Mbの境界部分に存し、これらの2つの層Ma、Mbにそれぞれ属する剛体部材11a、11b同士の端点F11a、F11b間を結ぶテンション材11eが存在する。 これは第1の実施形態におけるテンション材3eと同様であり、本実施形態においても、テンション材11eは、例えば、ワイヤや、ゴムやバネ等の弾性体を用いて構成することが可能であり、人工筋肉(収縮制御可能な部材)で構成することも可能である。

    しかし、本実施形態では、第1の実施形態におけるテンション3c、3dのように、層Mに属する剛体部材11の端点Fと、当該層Mの上方または下方に隣接する層Mのさらに上方または下方に隣接する層Mに属する剛体部材11の端点Fとの間を結ぶテンション材は存在しない。

    また、同一の層Mに属する3本の剛体部材11については、各剛体部材11の上側の端点Fと他の2本の剛体部材11の下側の端点Fとの間が計6本のテンション材12で結ばれるようになっている。 本実施形態では、これらの同一の層Mに属する3本の剛体部材11の上側および下側の端点F間を結ぶテンション材12が収縮制御可能な部材(人工筋肉)で構成されている。 収縮制御可能な部材としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
    [3−1−3. 剛体部材と人工筋肉との関係]
    本実施形態では、同一の層Mに属する3本の剛体部材11の端点Fが上記のようにして収縮制御可能な部材である計6本のテンション材12すなわち人工筋肉12で結ばれている。

    そのため、第1の実施形態の図5(A)に示した関係と同様に、層Mを形成する3本の剛体部材11のうち、1本の剛体部材11が、他の2本の剛体部材11とそれらの端点F間を結ぶ人工筋肉12の計3本の部材により取り巻かれない構成となっている人工筋肉12が、各層Mごとに3本存在する。 このような人工筋肉12を、以下、人工筋肉12aまたは人工筋肉12bという。

    しかし、それと同時に、第1の実施形態の図6(A)に示した関係と同様に、層Mを形成する3本の剛体部材11のうち、1本の剛体部材11が、他の2本の剛体部材11とそれらの端点F間を結ぶ人工筋肉12の計3本の部材で取り巻かれる構成となっている人工筋肉12も、各層Mごとに3本存在する。 このような人工筋肉12を、以下、人工筋肉12fという。

    そして、図13に示すように、同一の層M内では、隣接する3本の人工筋肉が人工筋肉12aまたは人工筋肉12bとなり、残りの隣接する3本の人工筋肉が人工筋肉12fとなっている。 また、層Maでは図中左側の隣接する3本の人工筋肉が人工筋肉12a、図中右側の隣接する3本の人工筋肉が人工筋肉12fであるのに対し、層Mbでは図中右側の隣接する3本の人工筋肉が人工筋肉12b、図中左側の隣接する3本の人工筋肉が人工筋肉12fである。 このように、層Ma内で人工筋肉12aが偏在する位置と、層Mb内で人工筋肉12bが偏在する位置が、逆の位置関係になっている。 人工筋肉12fが偏在する位置関係についても同様である。

    人工筋肉12a、12bは、第1実施形態の図5(A)、(B)に示した場合と同様に、人工筋肉12a、12bが端点Fに結び付けられていない剛体部材11は他の2本の剛体部材11に対して、てこの支点のようには作用しないから、人工筋肉12a、12bを収縮させても、他の2本の剛体部材11の反対側の端点Fの間隔は収縮しない。

    また、人工筋肉12fは、第1実施形態の図6(A)、(B)に示した場合と同様に、人工筋肉12fが端点Fに結び付けられていない剛体部材11が他の2本の剛体部材11に対して、てこの支点のように作用するから、人工筋肉12fを収縮させると、他の2本の剛体部材11の反対側の端点Fの間隔が人工筋肉12fの収縮に連動して収縮する。
    [3−1−4. その他の構成]
    その他の電源装置や配線、制御装置等については、第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
    [3−2. 可動式テンセグリティ構造体の作用]
    次に、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体10の作用について説明する。
    [3−2−1. 可動式テンセグリティ構造体の屈曲動作]
    本実施形態では、前述したように、層Ma内の人工筋肉12aおよび層Mb内の人工筋肉12bは、それぞれ収縮させても2本の剛体部材11の反対側の端点Fの間隔を収縮させることがない。 また、人工筋肉12aの層Ma内での偏在位置と人工筋肉12bの層Mb内での偏在位置とが逆になっている。 そのため、人工筋肉12aを収縮させると、図13に示した層Maの図中左側の部分が軸D方向に収縮し、人工筋肉12bを収縮させると、層Maの図中右側の部分が軸D方向に収縮する。

    従って、これを利用して、単数または複数の層Maにおいて1〜3本の人工筋肉12aを収縮させることで、図示を省略するが第1の実施形態の図7に示した場合と同様に、可動式テンセグリティ構造体10の軸Dを左側に屈曲させることができる。 なお、この場合、図13に示した層Ma内の図中最左端側の人工筋肉12aや図中奥側の人工筋肉12aのみを収縮させると、剛体部材11a同士がぶつかりあう場合があるため、図中手前側の人工筋肉12aも同時に収縮させて剛体部材11a同士がぶつかりあうことを回避させることが好ましい。

    また、同様に、単数または複数の層Mbにおいて1〜3本の人工筋肉12bを収縮させれば、可動式テンセグリティ構造体10の軸Dを右側に屈曲させることができる。 なお、この場合も、図13に示した層Mb内の図中最右端側の人工筋肉12bや図中奥側の人工筋肉12bのみを収縮させると、剛体部材11b同士がぶつかり合う場合があるため、図中手前側の人工筋肉12bも同時に収縮させて剛体部材11b同士がぶつかり合うことを回避させることが好ましい。
    [3−2−2. 可動式テンセグリティ構造体の収縮動作]
    可動式テンセグリティ構造体10の収縮動作においては、各層Ma、Mbの人工筋肉12a、12b、12fの全部または一部を適宜収縮させることで、可動式テンセグリティ構造体10の軸Dを屈曲させることなく、各層Mを軸D方向に収縮させることができる。 そのため、可動式テンセグリティ構造体10の一部または全部を軸D方向に収縮させることが可能となる。

    また、上記のようにして一旦収縮させた可動式テンセグリティ構造体10を、各層Mの人工筋肉3の収縮を解除しまたは緩めて各層Mを軸D方向に伸長させることで、軸D方向に伸長させることも可能となる。

    なお、その際、各層Mの人工筋肉12はそれぞれ軸Dに対して特定の方向に傾斜して設けられているため、可動式テンセグリティ構造体10に収縮(伸長)動作のみを行わせる場合には、各層Mにねじれが生じないように、人工筋肉12a、12b、12fを均等に収縮(伸長)させることが好ましい。 人工筋肉12fのみを収縮(伸長)させるようにしても、各層Mにねじれを生じさせずに各層Mを収縮(伸長)させることができ、可動式テンセグリティ構造体10を、ねじれを生じさせずに収縮(伸長)させることができる。
    [3−2−3. 可動式テンセグリティ構造体のねじれ動作]
    図15に示したように、本実施形態の可動式テンセグリティ構造体10においても、層Maと層Mbは、各剛体部材11a、11bの組み合わされ方によって層Maと層Mbとでそれぞれねじれ得る方向が決まってくる。 そして、層Maと層Mbとでは、ねじれる方向が相対的に逆向きになっている。

    この層Mごとのねじれを実現するために、図15に示すように、層Maでは、層Maをそのねじれ方向にねじれさせることができる人工筋肉12α、12β、12γを、また、層Mbでは、層Mbをそのねじれ方向にねじれさせることができる人工筋肉12δ、12ε、12ζを収縮させることで、各層Mで、そのねじれ方向のねじれが実現される。 これを複数の層Maまたは複数の層Mbで行うことで、可動式テンセグリティ構造体10に軸D周りの所定のねじれ動作を行わせることが可能となる。

    なお、層Maや層Mbで、人工筋肉12α、12β、12γ、12δ、12ε、12ζ以外の人工筋肉を収縮させると、剛体部材11a同士または剛体部材11b同士が互いにぶつかり合うため、各層Mにねじれを生じさせることができず、可動式テンセグリティ構造体10に軸D周りのねじれ動作を行わせることができない。

    また、このねじれ動作においては、層Maや層Mbの軸D方向の収縮動作を必然的に伴うが、例えば、予め各層Mの人工筋肉12をある程度収縮させておき、ねじれ動作を生じさせる層Mの収縮の度合に応じて、ねじれ動作を生じさせる層M以外の層Mを伸長させることで、可動式テンセグリティ構造体10を、必要な箇所でねじれ動作を生じさせつつ、全体的には収縮しないようにすることが可能となる。
    [3−2−4. 可動式テンセグリティ構造体の他の動作]
    詳しい説明を省略するが、上記の屈曲動作やねじれ動作、収縮・伸長動作を組み合わせれば、可動式テンセグリティ構造体1により複雑な動作をさせることが可能となることは第1の実施形態と同様である。
    [3−3. 可動式テンセグリティ構造体の効果]
    以上のように、本実施形態に係る可動式テンセグリティ構造体10においても、第1の実施形態と同様に、テンセグリティ構造体を構成する剛体部材11同士の端点F間を結ぶ複数のテンション材12の全部または一部を収縮制御可能な部材(人工筋肉)で構成したことにより、テンセグリティ構造体を可動式とすることができる。 また、収縮制御可能な部材とされたテンション材12を収縮させることで、可動式テンセグリティ構造体10に、屈曲動作やねじれ動作、収縮動作等を行わせることが可能となる。

    また、少なくとも2本の剛体部材11および当該2本の剛体部材11の端点F間を結ぶテンション材12の計3本の部材で他の剛体部材11を取り巻いていない場合に、その部分のテンション材12を収縮制御可能な部材(人工筋肉)で構成することで、収縮制御可能な部材で構成したテンション材12を収縮させても、2本の剛体部材11の反対側の端点F間の間隔が収縮されてしまうことを回避することが可能となる。 そのため、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。

    なお、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、層Mに属する剛体部材11の本数を増加させて組み合わせて、可動式テンセグリティ構造体10の軸Dの周囲に内部空間を形成することが可能である。 そして、図12に示した可動式テンセグリティ構造体1 と同様に、可動式テンセグリティ構造体10を肉薄の筒状に形成すれば、可動式テンセグリティ構造体10に、より滑らかでしなやかに屈曲やねじれ、収縮等の動作を行わせることが可能となる。

    また、上記の第1〜第3の実施形態では、剛体部材2や剛体部材11が長さや径が等しい棒状の部材で構成されている場合を示したが、本発明の効果を奏し得るものであれば、剛体部材2、11の長さや径、形状等は必ずしもすべての剛体部材2、11で同一でなくてもよい。 テンション材や人工筋肉についても同様である。

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