Composite plating film with a sliding member

申请号 JP2001350100 申请日 2001-11-15 公开(公告)号 JP3754353B2 公开(公告)日 2006-03-08
申请人 大同メタル工業株式会社; 发明人 雅昭 坂本; 利明 川地; 日出夫 石川;
摘要
权利要求
  • 軸受合金上に、無機物粒子を共析させたCuを含む鉛合金複合めっき被膜を有する摺動部材において、
    前記無機物粒子の前記複合めっき被膜中に占める割合が全体として0.3〜25容量%、前記Cuの前記複合めっき被膜中に占める割合が全体として0.1〜10質量%であり、
    その複合めっき被膜厚さの10〜40%に当たる最表面層部に前記無機物粒子およびCuを含有しないことを特徴とする複合めっき被膜付き摺動部材。
  • 前記複合めっき被膜のPb合金は、Sn、Inの一つ以上を合計で2〜30質量%含有することを特徴とする請求項1記載の複合めっき被膜付き摺動部材。
  • 前記軸受合金と複合めっき被膜との間には、Ni、Ag、Cu、Co、若しくはその合金からなる中間めっき層が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の複合めっき被膜付き摺動部材。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、自動車、船舶、航空機、その他一般産業機械などの軸受として使用される摺動部材に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    この種の摺動部材としては、鋼裏金の上に銅合金やアルミニウム合金等の軸受合金を重ね、更に軸受合金の表面に中間めっき層を介して鉛合金めっき被膜を形成したものが知られている。
    【0003】
    ところで、最近の自動車エンジンでは、価格低減化の要請から、球状黒鉛鋳鉄等の鋳鉄製シャフトが使用されるようになり、この鋳鉄製シャフトにおいては、シャフト表面における黒鉛の周辺に存在するバリ等により、シャフトを支承する軸受の表面層が早期に摩耗し、その結果、中間めっき層或いは軸受合金層が露出し、急速に焼付きを起こすという問題があった。
    また、一般に使用されている鋼製シャフトにあっても、高速回転、高荷重の下で使用される傾向にあり、そのため軸受の表面層の摩耗の進行が早く、同様の問題を生じていた。
    【0004】
    かかる問題を解消するため、本発明者等は、先に出願した特願平2−49132号において、摺動部材のオーバレイ層を複合めっき被膜とすることを提案した。 この発明は、Sn、In、Sb、Cuから選ばれた一種または二種以上を合計で2〜30質量%含有する鉛合金に無機物粒子を0.3〜25容量%分散共析させた複合めっき被膜であって、この複合めっき被膜を軸受合金の表面に形成することによって、当該複合めっき被膜中の相対的に硬い無機質物質がPbマトリックスを保護し、摺動部材の表面層の摩耗を防止する、というものである。
    【0005】
    しかしながら、この複合めっき被膜では、無機物粒子の存在によってめっき被膜の表面が粗くなり、このために、摺動部材の耐摩耗性は向上するものの、相手軸の摩耗が増加するという問題があった。
    そこで、本発明者等は、鉛合金複合めっき被膜の表面層における無機物粒子の分散量を低減し、複合めっき被膜が深くなるに従って段階的に或いは連続的に無機物粒子の分散量を増加すると、運転開始の初期段階での相手軸と摺動部材との馴染みを改善できると共に、爾後の摺動部材の耐摩耗性を確保できることを着想し、新たに特願平3−97090号として出願した。
    【0006】
    【発明が解決しようとする課題】
    特願平3−97090号のものでは、エンジンの高出化に伴う高軸受面圧化に対処するために、鉛合金複合めっき被膜にCuを含有させている。 Cuを含有すると、その複合めっき被膜の機械的強度は向上するが、Cuは硬いため、馴染み性に劣り、突発的な焼付きが起きるという問題を内在していた。
    【0007】
    従って、本発明の目的は、Cuを含有する鉛合金に無機物粒子を分散させてなる複合めっき被膜を有した摺動部材において、高速回転および高荷重下で使用されても、初期焼付きが生ぜず、相手材の摩耗量と共に摺動部材自身の摩耗量も少なく、耐疲労性にも優れた摺動部材を提供することにある。
    【0008】
    【課題を解決するための手段】
    上記の目的を達成するために、本発明は、
    軸受合金上に、無機物粒子を共析させたCuを含む鉛合金複合めっき被膜を有する摺動部材において、
    前記無機物粒子の前記複合めっき被膜中に占める割合が全体として0.3〜25容量%、前記Cuの前記複合めっき被膜中に占める割合が全体として0.1〜10質量%であり、
    その複合めっき被膜厚さの10〜40%に当たる最表面層部に前記無機物粒子およびCuを含有しないことを特徴とするものである。
    【0009】
    鉛合金複合めっき被膜の最表面層には、無機物粒子が含有されていないので、運転開始時すなわち初期摩耗段階で摩擦係数を低減でき、相手材の摩耗量が低減されると共に、摺動部材自身の摩耗量も少なくなる。 また、鉛合金複合めっき被膜の最表面層には、Cuも含有されておらず、存在していても微量であるので、運転開始時における複合めっき被膜の初期馴染みが改善され、突発的な焼付きの問題を解消できる。
    【0010】
    鉛合金複合めっき被膜は、摺動部材が自動車用エンジンの構成部材である場合、一般に10〜30μmの厚さにされる。 この厚さは限定的なものではなく、例えば船舶用エンジン等の摺動部材のような低面圧で使用される場合は、厚さ50〜100μmの例もある。
    そして、初期に摺動部材の相手部材とが良く馴染んだ後に正常摩耗に移行すると、最表面層下の無機物粒子およびCuを含有した層が露出するので、摺動部材の摩耗が防止され、また、疲労し難くなる。
    【0011】
    無機物粒子およびCuを含有しない最表面層の厚さが複合めっき被膜厚さの10未満では、初期馴染み性に劣り、40%を越えると、耐摩耗性および耐疲労性の向上効果を期待することができない。
    【0012】
    複合めっき被膜のPb合金は、Sn、Inの一つ以上を合計で2〜30質量%含有することが好ましい。 これらSn、Inは複合めっき被膜の最表面層の機械的強度および潤滑油に対する耐食性を高める。 これらの元素が2質量%未満では、機械的強度が低く且つ長時間における耐食性が低下し、また含有量が30質量%を越えると、高温での機械的強度が著しく低下する。 従って、これらの元素の含有量は2〜30質量%とする。 好ましくは3〜25質量%である。
    【0013】
    本発明における摺動部材は、鋼裏金と、軸受銅合金層或いはアルミニウム合金層と、オーバレイ層としての鉛合金複合めっき被膜とからなる多層体として構成される。 複合めっき被膜と軸受銅合金層或いはアルミニウム合金層との間には、中間めっき層を設けることが好ましい。
    【0014】
    この中間めっき層としては、Ni、Ag、Cu、Coから選ばれたいずれか一つの金属または該金属を主成分とする合金が用いられる。 Ni、Coは表面層として複合めっき被膜中のSn、Inが素地合金(軸受合金)中に拡散してマトリクスの強度或いは耐食性が低下する現象を防ぐ作用を有しており、Cu、AgはInとの間の拡散合金の生成が摺動特性上好ましく、またアルミニウム合金上へのめっきにより耐焼付性の向上を図り得るという効果も有している。
    【0015】
    【発明の実施の形態】
    以下に本発明の実施例を説明し、比較例品との比較により本発明の効果を明らかにする。
    図1は本発明の摺動部材の断面図であり、鋼裏金1の片面に軸受合金層2が形成され、この軸受合金層2上に中間めっき層3を介して鉛合金複合めっき被膜4が施されている。 この複合めっき被膜4は、Sn、Inを含む鉛合金を主体とした上下2層からなり、下層4 はCuを含有し、Si 34などの無機物粒子を分散させている。 これに対し、上層である最表面層は、Cuを含有せず、無機物粒子も分散されていない。 この鉛合金複合めっき被膜4全体の厚さは、自動車エンジンの場合、10〜30μmとすることが好ましく、最表面層の厚さは、複合めっき被膜4全体の厚さの10〜40%とすることが好ましい。
    【0016】
    このような摺動部材の製造方法は次の通りである。 まず、鋼裏金1の片面に銅合金粉末(例えばCu−2Pb−3.5Sn)を焼結し、或いは軸受用アルミニウム合金薄板(例えばAl−6Sn−1Cu−1Ni)を重ねてロール圧延法により圧延し、軸受合金層2を形成する。 次に、これを切断後、機械加工して軸受に仕上げる。
    【0017】
    この軸受を通常の溶剤脱脂、電解脱脂、酸洗いの順で前処理を行い、次いで軸受合金層2に、Ni、Cu、Ag、Co、或いはこれらの合金からなる厚さ1.5μmの中間めっき層3を施す。
    続いて、軸受を通常のフッ化鉛合金めっき浴に無機物粒子としてSi 粉末(粒子径1μm以下)を15〜25g/lだけ分散させて、浴温25℃で陰極電流密度3〜5A/dm にて共析させることにより、無機物粒子を分散して含むPb−Sn−CuのPb合金層を中間めっき層3上に形成し、更に、そのPb合金層上にInをめっきする。
    【0018】
    そして、最後に軸受を熱処理する。 この熱処理によってPb鉛合金層のPb、SnがIn層に拡散(Cuは拡散しない)し、In層のInが下層のPb合金層に拡散する。 これにより、下層4 にはCuと無機物粒子を含むが、最表面層にはそれらCuと無機物粒子を含有しないPb合金からなる複合めっき被膜4が形成される。
    【0019】
    本発明者等は本発明による効果を確認するために、次の表1に示すPb合金成分の複合めっき被膜を持つ実施例品1〜8、比較例品1〜3を上記の方法によって製造し、焼付試験および疲労試験を行った。
    表1では、「軸受合金」欄に軸受合金の種類がCu系、Al系の別だけで示されている。 「鉛合金」欄には、下層および最表面層のCuおよび無機物粒子を除いた成分が示されている。 「最表面層比率」には、最表面層の厚さの複合めっき被膜全体の厚さに占める割合が示されている。
    【0020】
    なお、実施例品2の複合めっき被膜はSnを含有していない。 比較例品1は、軸受合金層の上に無機物粒子を含有しないPb合金を1層だけめっきしたものであり、従って比較例品1の場合は複合めっき被膜と称することは適当でないので、オーバレイ層と称することとする。 また、比較例品1、3のPb合金中には、Inは含有しておらず、比較例品2のPb合金中にはCuは含有されていない。
    【0021】
    【表1】

    【0022】


    焼付試験および疲労試験は、サファイア試験機を用い、試験用軸受をハウジング中心から2mmオフセットした状態で組み付け、表

    に示す条件にて試験を行った。 焼付試験は、10分毎に試験荷重を10MPaずつ増加させ、焼付きを起こさない最大荷重で結果を示した。 疲労試験は交番荷重にて20時間運転し、目視によりクラックが確認できたものを疲労有りとし、確認できなかったものを疲労無しと判定した。 この焼付試験の結果を図2に示し、疲労試験の結果を表

    に示した。


    【0023】


    【表2】


    【0024】


    【表3】


    【0025】


    上記試験結果から、本発明品は、初期の馴染み性に優れ、非焼付性が高く、また、耐疲労性に優れていることが理解される。 これに対し、比較例品1はオーバレイ層にCuを含んでいるので、耐疲労性に優れるが、Cuはオーバレイ層の最表面層にも含まれているので、初期馴染み性が低く、非焼付性に劣る。 比較例品2は、複合めっき被膜の最表面層にCuを含まないが、下層もCuを含んでいないので、非焼付性の向上は見られるが、耐疲労性は低い。 また、比較例品3は、Cuおよび無機物粒子を含まない最表面層の厚さが厚すぎるので、初期馴染み

    に正常摩耗に移行しても、Cu、無機物粒子を含む層が露出しないので、耐疲労性に劣る。


    【0026】


    なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。


    複合めっき被覆の下層はPb−Sn−Cuの合金と無機物粒子との複合めっきにより形成し、最表面層はPb−Sn−Inの合金のめっきにより形成しても良い。


    複合めっき被膜の下層は複数層とし、深い層程、Cu、無機物粒子の含有量が多くなるように構成しても良い。 また、下層は複数層とせず、Cu、無機物粒子の含有量が連続的に多くなるように構成しても良い。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】本発明の実施例を示す摺動部材の断面図【図2】焼付試験の結果を示すグラフ【符号の説明】


    図中、1は鋼裏金、2は軸受合金層、3は中間めっき層、4は複合めっき被膜、4aは

    最表面層部 、4bは

    層である。

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