自動分析装置、分析システム及び自動分析装置の動作方法

申请号 JP2016520811 申请日 2014-05-19 公开(公告)号 JP6323816B2 公开(公告)日 2018-05-16
申请人 システム・インスツルメンツ株式会社; 国立大学法人弘前大学; 国立大学法人神戸大学; 发明人 濱田 和幸; 秋場 猛; 大山 力; 米山 徹; 飛澤 悠葵; 竹内 俊文;
摘要
权利要求

少なくとも1つの平面を有し、光が透過可能な測定セル部を有するピペットチップを、1または複数保持可能なピペットチップラックと、 前記ピペットチップを装着して試料を吸入、吐出するピペットと、 前記ピペットチップを装着した状態の前記ピペットを搬送する搬送手段と、 前記ピペットチップを内部に受け入れる開口を有し、前記ピペットチップ内の試料が発する光を測定する測定ユニットと、 前記ピペットに一端が閉じられた筒を備え、前記検出ユニットの前記開口に前記筒と径の異なる1または複数の筒を同心に備える、入れ子構造の遮光手段と、を備える自動分析装置であって、 前記ピペットチップラックは、前記ピペットチップの1つの平面を、平面の特定の向きに揃えるガイドを有し、 前記搬送手段は、前記ピペットチップラックに配置されたピペットチップを前記ピペットに装着した後、前記ピペットチップを前記測定ユニットの内部に搬送して前記ピペットチップの前記平面を前記測定ユニットの光軸に直交する配置とし、 前記測定ユニットは、前記ピペットチップ内の試料から発する光または前記試料を透過した光を測定することを特徴とする自動分析装置。前記遮光手段は、前記ピペットに一端が閉じられた円筒または多形筒を備え、かつ前記開口に前記円筒または多角形筒と径の異なる1または複数の円筒または多角形筒を同心円状または同心多角形筒に備える、入れ子構造であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。前記ピペットチップラックは、前記ピペットチップの1つの平面を、前記測定ユニットの光軸に垂直な向きに、揃える前記ガイドを有し、 前記搬送手段は、前記ピペットチップラックに配置されたピペットチップを前記ピペットに装着した後、平行移動で前記ピペットチップを前記測定ユニットの内部に搬送することを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。前記ピペットチップラックは、前記ガイドの上部にテーパーを形成していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載に記載の自動分析装置。前記搬送手段及び前記検出ユニットを制御する制御手段を備え、 前記制御手段は、前記ピペットを、前記開口の位置で上下させ、複数の高さで静止する指示を前記搬送手段に出し、 前記制御手段は、前記検出ユニットが受光した信号強度を、前記ピペットが静止する高さ毎に区別して出力することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動分析装置。前記ピペットにガスを送出するポンプユニットを備え、 前記ピペットは、前記ポンプユニットから前記ピペットチップまでを連通し、前記ガスを前記ピペットチップに供給する中空部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動分析装置。請求項1から6のいずれかに記載された分析装置と、少なくとも1つの平面を有し、光が透過可能な測定セル部を有するピペットチップとを備える分析システムであって、 前記搬送手段は、前記ピペットチップラックに配置された前記ピペットチップを前記ピペットに装着した後、前記ピペットチップを前記測定ユニットの内部に搬送して前記ピペットチップの前記平面を前記測定ユニットの光軸に直交する配置とし、 前記測定ユニットは、前記ピペットチップ内の試料が発する光を測定することを特徴とする分析システム。前記分析装置は、試薬を個々に収容するウェルを1または複数備える試薬ラックを備え、 前記ピペットチップは、反応板をチップ内に備え、 前記ピペットは、前記ウェルに備える試薬を前記ピペットチップ内に吸引して、前記反応板と前記試薬とを反応させることを特徴とする請求項7に記載の分析システム。前記分析装置は、試薬を個々に収容するウェルを1または複数備える試薬ラックを備え、 前記ピペットチップは、試薬を表面に備える反応板をチップ内に備え、 前記ピペットは、前記ウェルに備える試薬を前記ピペットチップ内に吸引して、前記反応板に備える試薬と、吸引した試薬とを反応させることを特徴とする請求項7または8に記載の分析システム。前記試薬ラックは、各ウェルに、末端シアル基がα2,3の位置でガラクトースに結合した前立腺特異抗原に対して特異的に反応する抗体及び蛍光標識を収容し、 前記反応板は、遊離した前立腺特異抗原に対して特異的に反応する抗体を固定化し、 サンドイッチELISA法により、試料中の前立腺特異抗原に対して各抗体及び蛍光標識が反応して複合体を形成し、 前記測定ユニットは、前記複合体が発する蛍光を測定することを特徴とする請求項8または9に記載の分析システム。前記反応板は、異なる試薬を固定化した複数の区画を有することを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の分析システム。前記区画の1つは試薬を固定化しないことを特徴とする請求項11に記載の分析システム。請求項1から6のいずれかに記載された自動分析装置の動作方法であって、 前記搬送手段が、前記ピペットチップラックに置かれた前記ピペットチップの直上に、前記ピペットを移動させる行程と、 前記搬送手段が、前記ピペットを上下に移動させて前記ピペットチップを前記ピペットに装着させる行程と、 前記ピペットが、前記ピペットチップ内に試料を吸引する工程と、 前記搬送手段が、前記ピペットチップを前記検出ユニット内部に搬送して前記ピペットチップの前記平面を前記測定ユニットの光軸に直交する配置とする行程と、 前記検出ユニットは、前記ピペットチップ内の試料から発する光を測定する行程と、 を有することを特徴とする自動分析装置の動作方法。

说明书全文

本発明は分析装置に関し、例えば前立腺特異抗原等の試料を検出する自動分析装置に関する。

従来、自動分析装置では、試料容器から試料を吸引し、プレート上のウェルや測定セルに試料を導入し、蛍光や分光により測定を行い、試料濃度を決定していた。これらの自動分析装置では、測定の高感度化が要求されている。

高感度に検出する分析が要求される分野として、血中の前立腺特異抗原(PSA:prostate specific antigen)の濃度測定がある。この血中の前立腺特異抗原の濃度測定は、前立腺癌の診断において有望であり、特許文献1には測定の一例が記載されている。

特許文献1では、8A6モノクローナル抗体磁性ビーズに固定した後、プレートの各ウェルに磁性ビーズを注入する。そしてサンドイッチELISA法の手順に従い、ブロッキングし、一次抗体であるHYB4モノクローナル抗体を添加し、検体に混合する。その後、蛍光色素標識抗体を加え、室温で放置した後、プレートをフローサイトメトリーにセットして蛍光を検出している。

国際公開2014−057983号

特開平2−13857号公報

特表2009−516188号公報

特許文献1のように、ウェルを備えるプレートに各試薬及び検体を投入して蛍光分析を行う場合、使用後のプレートを廃棄するので、廃棄物が増加する問題がある。またピペットで試料をウェルに移しかえる際に、測定に使用できる試料の量が減少してしまう問題がある。またウェル内の試料が発する蛍光を測定する場合に、隣接するウェルに残った他の試料の蛍光がノイズとなる問題もある。また隣接するウェルの試料を測定後に除去したとしても完全に洗浄しきれず、ウェルに残った試料が残光を発し、ノイズとなる場合もある。

上記問題を解決する方法として、特許文献2及び特許文献3には、ピペットまたはピペットチップ内に試料を吸入した状態で測定を行うことが記載されている。

しかしながら、ピペットまたはピペットチップ内の試料を測定した場合、ピペットチップの断面形状が円形であるため、入射光及び出射光がピペットチップの曲面で屈折して迷光となり測定のノイズになるという問題がある。特に前立腺特異抗原を検出する場合、微量の試料で高感度の測定が望まれており、迷光によるノイズが高感度測定の障害になっている。

本発明では、迷光によるノイズを減少させて高感度測定を実現する自動分析装置を実現することを目的としている。特に前立腺特異抗原を検出する自動分析装置において迷光及び他の試料によるノイズを減少させて高感度測定を実現することを目的とする。

本発明の自動分析装置は、少なくとも1つの平面を有し、光が透過可能な測定セル部を有するピペットチップを、1または複数保持可能なピペットチップラックと、前記ピペットチップを装着して試料を吸入、吐出するピペットと、前記ピペットチップを装着した状態の前記ピペットを搬送する搬送手段と、前記ピペットチップを内部に受け入れる開口を有し、前記ピペットチップ内の試料が発する光を測定する測定ユニットと、を備える自動分析装置であって、前記ピペットチップラックは、前記ピペットチップの1つの平面を、平面の特定の向きに揃えるガイドを有し、前記搬送手段は、前記ピペットチップラックに配置されたピペットチップを前記ピペットに装着した後、前記ピペットチップを前記測定ユニットの内部に搬送して前記ピペットチップの前記平面を前記測定ユニットの光軸に直交する配置とし、前記測定ユニットは、前記ピペットチップ内の試料から発する光または前記試料を透過した光を測定することを特徴とするものである。

このような構成により、測定時に入射光及び発光が曲面により迷光となることが少なく、ノイズが減少し、高感度測定を行うことができる。

本発明の自動分析装置は、前記ピペットチップラックは、前記ピペットチップの1つの平面を、前記測定ユニットの光軸に垂直な向きに、揃える前記ガイドを有し、前記搬送手段は、前記ピペットチップラックに配置されたピペットチップを前記ピペットに装着した後、平行移動で前記ピペットチップを前記測定ユニットの内部に搬送することを特徴とするものである。

このような構成により、ピペットチップを特定の向きとして光軸に合わせるための追加の構成も動作も必要がない。すなわち自動分析装置の部品点数の減少と工程の減少、且つピペットチップの消費数の減少と、高感度測定とをすべて実現することができる。

本発明の自動分析装置は、前記ピペットチップラックは、前記ガイドの上部にテーパーを形成していることを特徴とするものである。

このような構成により、ピペットチップを保持し、且つピペットチップの測定セル部の平面を、水平面に対する方向において一定の方向に揃えることができる。

本発明の自動分析装置は、前記検出ユニットの前記開口と前記ピペットとに、対応する入れ子構造の遮光手段を備えることを特徴とするものである。

このような構成により、暗箱と遮光部材の接触なしに遮光を実現しており、高い精度の加工なしに、開口部からピペットを挿入する空間においても十分に遮光をすることができる。

本発明の自動分析装置は、前記搬送手段及び前記検出ユニットを制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記ピペットを、前記開口の位置で上下させ、複数の高さで静止する指示を前記搬送手段に出し、前記制御手段は、前記検出ユニットが受光した信号強度を、前記ピペットが静止する高さ毎に区別して出力することを特徴とするものである。

このような構成により、反応板に対応する複数の位置で測定を行う場合に、迷光及び外部光によるノイズを減少させ、高感度の光測定を行うことができる。

本発明の自動分析装置は、前記ピペットにガスを送出するポンプユニットを備え、前記ピペットは、前記ポンプユニットから前記ピペットチップまでを連通し、前記ガスを前記ピペットチップに供給する中空部を有することを特徴とするものである。

このような構成により、試料や試薬の吸引、吸引および吐出による攪拌、洗浄、反応、検出をピペットチップ内ですべて実現することができる。

本発明の分析システムは、上記分析装置と、少なくとも1つの平面を有し、光が透過可能な測定セル部を有するピペットチップとを備える分析システムであって、前記搬送手段は、前記ピペットチップラックに配置された前記ピペットチップを前記ピペットに装着した後、前記ピペットチップを前記測定ユニットの内部に搬送して前記ピペットチップの前記平面を前記測定ユニットの光軸に直交する配置とし、前記測定ユニットは、前記ピペットチップ内の試料が発する光を測定することを特徴とするものである。

このような構成により、測定時に入射光及び発光が曲面により迷光となることが少なく、ノイズが減少し、高感度測定を行うことができる。

本発明の分析システムは、前記分析装置は、試薬を個々に収容するウェルを1または複数備える試薬ラックを備え、前記ピペットチップは、反応板をチップ内に備え、前記ピペットは、前記ウェルに備える試薬を前記ピペットチップ内に吸引して、前記反応板と前記試薬とを反応させることを特徴とするものである。

本発明の分析システムは、前記分析装置は、試薬を個々に収容するウェルを1または複数備える試薬ラックを備え、前記ピペットチップは、試薬を表面に備える反応板をチップ内に備え、前記ピペットは、前記ウェルに備える試薬を前記ピペットチップ内に吸引して、前記反応板に備える試薬と、吸引した試薬とを反応させることを特徴とするものである。

これらの構成により、試料や試薬の吸引、吸引および吐出による攪拌、洗浄、反応、検出をピペットチップ内ですべて実現することができる。

本発明の分析システムは、前記試薬ラックは、各ウェルに、末端シアル基がα2,3の位置でガラクトースに結合した前立腺特異抗原に対して特異的に反応する抗体及び蛍光標識を収容し、前記反応板は、遊離した前立腺特異抗原に対して特異的に反応する抗体を固定化し、サンドイッチELISA法により、試料中の前立腺特異抗原に対して各抗体及び蛍光標識が反応して複合体を形成し、前記測定ユニットは、前記複合体が発する蛍光を測定することを特徴とするものである。

このような構成により、前立腺特異抗原を高感度で検出することができる。

本発明の分析システムは、前記反応板は、異なる試薬を固定化した複数の区画を有することを特徴とするものである。

このような構成により、複数の分析項目に対応することができる。

本発明の分析システムは、前記区画の1つは試薬を固定化しないことを特徴とするものである。

このような構成により、ブランク測定用とすることができる。また、このような構成により、後から修飾することもできる。

本発明の分析システムは、上記自動分析装置の動作方法であって、前記搬送手段が、前記ピペットチップラックに置かれた前記ピペットチップの直上に、前記ピペットを移動させる行程と、前記搬送手段が、前記ピペットを上下に移動させて前記ピペットチップを前記ピペットに装着させる行程と、前記ピペットが、前記ピペットチップ内に試料を吸引する工程と、前記搬送手段が、前記ピペットチップを前記検出ユニット内部に搬送して前記ピペットチップの前記平面を前記測定ユニットの光軸に直交する配置とする行程と、前記検出ユニットは、前記ピペットチップ内の試料から発する光を測定する行程と、を有することを特徴とするものである。

このような構成により、測定時に入射光及び発光が曲面により迷光となることが少なく、ノイズが減少し、高感度測定を行うことができる。

このように本発明の自動分析装置によれば、光が当たる面が平面であるピペットチップと測定の光軸とが垂直である度で測定を行うことができるので、ピペットチップの消費量の減少とともに、高感度測定を実現することができる。

実施の形態1に係る自動分析装置の平面図である。

実施の形態1に係る自動分析装置の正面図である。

実施の形態1に係る検出ブロックユニットの詳細を示す図である。

実施の形態1に係るピペットチップの斜視図である。

実施の形態1に係るピペットチップの正面図である。

実施の形態1に係るピペットチップの断面図である。

実施の形態1に係るピペットチップラックの正面図である。

実施の形態1に係るピペットチップラックの平面図である。

実施の形態1に係るピペットチップラックの斜視図である。

実施の形態1の自動分析装置の遮光に関する構成を示す図である。

実施の形態1に係る自動分析装置のピペット側遮光部と暗箱側遮光部との入れ子構造を表す断面の模式図である。

実施の形態1に係る分析システムのポンプユニットの概略を示す図である。

実施の形態1 以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。 図1は実施の形態1に係る自動分析装置の平面図である。図1では、通常の使用状態において当該自動分析装置を試験台等に載置した状態を上面から見た図である。即ち、図1の紙面に垂直な方向が使用状態における上下方向である。

図2は実施の形態1に係る自動分析装置の正面図である。図2では、通常の使用状態において当該自動分析装置を試験台等に載置した状態を正面から見た図である。即ち、図1の紙面において上下方向が使用状態における上下方向である。

自動分析装置10は、ピペットチップを保管するチップラック11と、試料を注入するピペット12と、ピペット12を平行移動で搬送する搬送ユニット13と、試薬ラック14と、反応ユニット15と、検出ユニット16と、検出ブロックユニット17と、廃液ボトル18と、チップ廃棄箱19とを備える。

チップラック11が保管するピペットチップは、試料を直接光検出するために平面構造を有している。したがって、チップラック11は、ピペットチップを受け入れる孔に、このピペットチップの構造に対応するガイドを有している。チップラック11はガイドを有する孔を1または複数有する。チップラック11が複数の孔を有する場合は、孔が一直線に並び、各孔のガイドが結合しても良く、直線の延長上に搬送ユニット13のスタートポジションがある配置とするのが好適である。また孔を複数の列に配置しても良い。受け入れるピペットチップの構造とチップラック11の詳細については後述する。

ピペット12は、先端にピペットチップを装着する、中空且つ先細りの構造を有し、他方に内部ポンプまたは外部のポンプユニットと接続する内管を有し、先端の中空と内部ポンプまたは内管を連通した構造とする。ピペット12はポンプの駆動により、先端に装着したピペットチップを介して試料を注入または吐出する。

搬送ユニット13は、ピペット12を把持し、また前後、左右、上下の三軸でピペット12を平行移動する搬送機構を有する。搬送ユニット13は、例えば、ステッピングモータやパルスモータ等の駆動手段、プーリやベルト等の伝達手段、ピペット12を把持する把持手段、駆動手段を制御する制御ユニットを備えている。また、搬送ユニット13は、ピペット12を把持できるロボットアームを駆動制御する機構によっても実現できる。

試薬ラック14は、複数のウェルを有する。各ウェル内にはサンプル、試薬が入れられる。 反応ユニット15は、ピペット12に装着されたピペットチップを受け入れる孔と、反応に必要な温度に調整するための温度調整機構を備え、検体及び試料を一定の反応温度に保って反応を進行させる。ここで、温度調整機構は、例えば、ヒータまたはペルチェ素子と、温度センサと、温度センサにより検出された温度に応じて、ピペットチップが所定の温度になるようにヒータを制御する制御ユニットを備えている。

検出ユニット16は、ピペット12を内部に収容して、外部光によるノイズのない環境を提供する構成である。すなわち、検出ユニット16は、暗箱と、暗箱にピペット12に装着されたピペットチップを受け入れる開口を有している。 検出ブロックユニット17は、ピペットチップ内の試料から発せられる光を検出するための構成である。具体的には、検出ブロックユニット17は、所定の波長の光をピペットチップ内の試料に照射し、試料が発する蛍光を検出する。

廃液ボトル18は、測定後の試料及び未反応の試薬を受けるボトルである。チップ廃棄箱19は、測定後のピペットチップをピペット12から外し、収容する箱である。

次に、実施の形態1に係る自動分析装置10の特徴である、チップラック11と検出ユニット16との向きの関係について説明する。自動分析装置10は、発光部より発した光を受光する面が平面である形状のピペットチップに対応し、ピペットチップが、最初に配置されるチップラック11での水平面での向きと、最後に配置される測定における水平面での向きが平行となる構成となっている。以下、具体的な構造について説明する。

チップラック11は、平面形状を有するピペットチップを収容するために、対応する平面形状を有するガイドを備えている。より具体的には、ピペットチップの外表面が平面の部分に対して、所定のクリアランスを介して一部又は全部の内周面が当接するようなガイドが、チップラック11に設けられている。

従って、チップラック11のガイドは、載置状態のピペットチップの上下方向の軸回りの回転を規制するガイドとして機能する。即ち、チップラック11の平面形状とピペットチップの平面形状が向かい合って、ピペットチップがチップラック11のガイドに配置されることによりピペットチップは水平面における向きが、特定の向きで揃えられて配置される。

一方、検出ユニット16において、ピペットチップは、受光する平面を光軸に対して垂直となる向きに配置して、測定を行う。 そして、実施の形態1の自動分析装置10では、チップラック11の平面が前述の光軸に対して垂直な位置関係で配置している。すなわち、チップラック11に収容された状態のピペットチップの平面の向きと、検出ブロックユニット内に収容されて測定される状態のピペットチップの平面の向きとは、水平面における向きにおいて平行な関係になる。

この結果、搬送ユニット13はピペット12及びピペットチップを回転させる機構を有する必要はなく、三軸で平行移動させる搬送機構のみでピペットチップの受光する平面を光軸に垂直とすることができる。また、搬送ユニット13及び検出ユニット16は、ピペットチップの平面を光軸に対して垂直な向きに調整する機構を備える必要がない。

このような配置関係とすることにより、ピペットチップを特定の向きとして光軸に合わせるための追加の構成も動作も必要がない。すなわち自動分析装置の部品点数の減少と工程の減少、且つピペットチップの消費数の減少と、高感度測定とをすべて実現することができる。

なお、ガイドは、ピペットチップの平面形状を特定の向きに揃える機能を有する物であれば、平面以外の形状でも良い。例えば、ピペットチップの平面に対応する三つの支点以上からなる押さえ部と、平面の背面側から押さえる一つの支点以上の押さえ部材とから構成しても良い。また、支点の一部を直線または曲線状の押さえ部材に置き換えても良い。

また、上記説明における光軸は、ハーフミラーを用いて光が屈折する場合、ハーフミラーとピペットチップの間における光軸に対応する。ハーフミラーを用いた検出機構を、図3を用いて説明する。

図3は、実施の形態1に係る検出ブロックユニットの詳細を示す図である。 図3において、検出ブロックユニット17は、暗箱17a内に発光部17bと、ハーフミラー17cと、検出器17dとを備える。そして検出ブロックユニット17は、検出ユニット16と暗室同士を一体化している。暗箱同士の間には光路となる位置に貫通穴17eを有する。すなわち、発光部17bより発した光がハーフミラー17cと貫通穴17eを介して検出ユニット16に受け入れられたピペットチップに当たる。そしてピペットチップが発する蛍光が、貫通穴17eとハーフミラー17cを介して検出器17dに届く。

このようにハーフミラーを用いて光を屈折させ、屈折後の光を検出器で測定する場合には、ピペットチップの平面を、ピペットチップとハーフミラーの間での光軸に対して垂直とする配置とする。

また、ピペットにピペットチップの水平面での向きを回転させるステッピングモータやパルスモータ等の回転手段を有しても良い。この場合、チップラック11がピペットチップを水平面の向きにおいて、いずれの向きに揃えていても対応できる。そして、予め制御手段にチップラック11におけるピペットチップの揃える水平面の向きと、光軸との角度を記憶させ、回転手段により、ピペットチップの平面を光軸に対して直交する向きになる角度にまで回転させるように制御することもできる。

次にピペットチップ側の構造について説明する。図4〜6は実施の形態1に係るピペットチップの図である。図4は斜視図、図5は正面図、図6は図5のVI−VIにおける断面図である。

ピペットチップ20は、試料や試薬の吸引、吸引および吐出による攪拌、洗浄、反応、検出をピペットチップ20内ですべて実現するオールインワン構造を有している。また、ピペットチップ20は、光が内部に到達するまでの減衰を抑制するために透明樹脂により構成されている。

すなわち、ピペットチップ20は、ピペット12の先端に対応する円筒形状の開口部21を上端に備え、外面及び内面に1または複数の平面を有する直方体または筒形状の測定セル部22を中央に備え、試料及び試薬を吸引または吐出を行うための先細りの円筒形状のノズル部23を下端に備えている。そして開口部21と測定セル部22とノズル部23とは内部空間が連通している。

また測定セル部22には内部に直方体の反応板24を配置し固定するために一対の溝26を有している。測定セル部22の平面25と、一対の溝26とは、平行に位置し、且つ各溝26と平面25との距離が等しくなるように形成する。すなわち、溝26をガイドとして反応板24が固定された状態で、反応板24の平面27と測定セル部22の平面25が平行な関係となる。この結果、測定セル部22の平面25に対して垂直に入射した光は、反応板24の平面27に対して垂直に当たるので、光と反応板24とは、測定に最適な角度の関係となる。測定セル部22の平面25は、測定のための光が拡散することがないように、凹凸がない平坦面であることが好ましい。

なお、反応板24は、表面を抗体等の試薬で予め修飾してもよいし、未修飾でもよい。表面を未修飾とする反応板は、試薬をピペットチップ20の測定セル部20内に吸引することにより、後から修飾することもできる。

次にピペットチップに対応するチップラックの構造について説明する。 図7〜9は実施の形態1に係るピペットチップラックの図である。図7は正面図、図8は左側面図、図9は斜視図を示す。図7に示すようにチップラック11は、上部構造体31と、下部構造体32とを備える。

上部構造体31は、ピペットチップ20を受け入れる孔33を1または複数有している。孔33は内面にピペットチップ20の測定セル部22の平面に対応する形状、すなわち平面構造を有する。例えばピペットチップ20が2つの平行な平面を有する場合、孔33は、同じく二つの平面33a,bを平行に有し、2つの平面の距離は、ピペットチップ20の平面間の厚みにスライド可能な隙間を加えた距離とする。

また、孔33は上部にテーパー部34を有し、孔33の上部がより大きな孔となっている。ピペットチップ20がどのような向きで挿入されたとしても、挿入時の力及び重力により下に移動する時に、テーパー部34の斜面34aから平面33aに対して揃うように向きを変える。

すなわち、ピペットチップ20の平面25が上部構造体31の平面33aと異なる向きである場合、重力等による下向きの力がテーパー部34の斜面34aに作用する。下向きの力は、斜面34aに対して、斜面の下り側向きの力とテーパー部の斜面に垂直な力との成分として働くが、後者は斜面の反発力と釣り合い、前者のみがピペットチップ20に作用する。

この結果、ピペットチップ20は、測定セル部22の平面25が、上部構造体31の平面33aに沿い、水平面に対する向きについて同じ方向で配置される。

下部構造体32は、上部構造体31と重ね合わせた時に、孔33と位置が対応する孔35を有している。孔35は、ピペットチップ20のノズル部23の断面と等しい、または大きい形状を有しており、そしてピペットチップ20の測定セル部22の断面より小さい形状を有している。すなわち、下部構造体32は、上部構造体31の孔33から挿入されたピペットチップ20を測定セル部22とノズル部23との境界位置で落下を止めるストッパーとしての機能を有する。

これらの構造により、チップラック11は、ピペットチップ20を保持し、且つピペットチップ20の測定セル部22の平面を、水平面に対する方向において一定の方向に揃えることができる。

なお、チップラックの孔とピペットチップの外面の形状は、一面が平面であれば他の部分については様々な形状が考えられる。例えば、セミシリンドリカル形状(かまぼこ形状)のように平面以外が曲面であるもの、多角柱、あるいは平面と曲面の複合した柱状の形状なども考えられる。またピペットチップの内面の形状についても平面に向かい合う部分が平面かつ外面の平面と平行であれば、他の形状については特に限定されず、多面形、曲面、あるいは平面と曲面の複合した形状で良い。

次に自動分析装置10を用いた前立腺癌に関連する特異的な抗原を測定する例について説明する。 試薬ラック14の各ウェルには、サンプル(血清)、ブロック液、抗体試薬、蛍光試薬が入れられている。他方ピペットチップ20内の反応板24には、表面に抗体が固定化されている。前立腺癌の診断に用いる場合には、抗フリーPSA特異的モノクローナル抗体を固定する。抗フリーPSA特異的モノクローナル抗体はクローン2E2由来のコンプレックスPSAと反応しない抗フリーPSA抗体である。具体的な抗体としては、フナコシ社の8A6モノクローナル抗体がある。

まず、ピペット12は、チップラック11の直上まで移動し、下降に移動することによりピペットチップ20をピペット12の先端に装着する。

次に、ピペット12は上昇した後、試薬ラック14の直上まで移動する。そして、ピペット12は、試薬ラック14のウェル内にピペットチップ20が位置する高さまで下降し、ポンプの駆動により吸引、反応、吐出及び洗浄を行う。この吸引、反応、吐出及び洗浄の動作はサンプル(血清)、ブロック液、抗体試薬、蛍光試薬のそれぞれにおいて、実行される。

まずピペット12はブロッキング液を吸引する。ブロッキング液により、反応板24の表面がブロッキングされる。

次にピペット12はブロッキング液を吐出し、サンプルを吸引する。ピペットチップ20の測定セル部22内にサンプルが満たされる。その後4℃で5分〜1時間放置することにより、反応板24に固定化された抗体とサンプル内に含まれるフリーPSAとが、反応する。

次にピペット12はサンプルを吐出し、抗体試薬を吸引する。前立腺癌の診断に用いる場合には、抗α2,3結合糖鎖用抗体、すなわち末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合した糖鎖を特異的に認識するモノクローナル抗体が好適である。具体的な抗体としては、和光純薬社のHYB4モノクローナル抗体がある。そして4℃で5分〜1時間放置することにより、抗フリーPSA抗体−フリーPSA−抗α2,3結合糖鎖用抗体という複合体が、反応板24上に形成される。

次にピペット12は抗体試薬を吐出し、蛍光試薬を吸引する。具体的な蛍光試薬としては、蛍光色素標識抗マウスIgG3抗体がある。室温で5分〜45分放置することにより、抗フリーPSA抗体−フリーPSA−抗α2,3結合糖鎖用抗体−蛍光試薬という複合体が、反応板24上に形成される。

複合体の形成後、ピペット12はピペットチップ20を検出ユニット16の位置まで移動し、開口40aの位置で下降する。そして検出ブロックユニット17はピペットチップ20の測定セル部22からの蛍光を検出する。

蛍光検出の後、ピペット12は、上昇及び平行移動により廃液ボトル18の直上まで移動し、蛍光試薬を吐出して、蛍光試薬を廃液ボトル18内に捨てる。

最後に、ピペット12はチップ廃棄箱19まで移動し、チップ廃棄箱19の取り外し機構によりピペットチップ20を取り外し、ピペットチップ20をチップ廃棄箱19内に捨てる。 以上の動作により、自動分析装置10は前立腺特異抗原を高感度で検出することができる。

前立腺癌の診断の分野では、前立腺特異抗原を10〜100pg/mLのオーダーで検出することが要求されているが、実施の形態1では、受光のための平面を有するピペットチップに対応した自動分析装置を実現している。したがって、断面が円形である一般的なピペットチップの内部にサンプルを導入した状態で測定する場合と比べて、蛍光等の測定時に入射光及び発光が曲面により迷光となることが少なく、ノイズが減少し、高感度測定を行うことができる。

また高感度測定においては、迷光とともに、外部からの光によるノイズの減少も重要である。特にピペットチップを挿入するための、暗箱の開口部分は遮光のための構成が必要である。

次に実施の形態1の自動分析装置の検出ユニット16がピペットチップを受け入れる開口部分の遮光について説明する。 図10は、実施の形態1の自動分析装置の遮光に関する構成を示す図である。具体的には、図10は検出ユニット16内にピペットチップを収容した状態における、検出ユニット16とピペット12と組み合わせを説明する図である。

図10において、検出ユニット16は、暗箱40と、暗箱40にピペット12に装着されたピペットチップを受け入れる開口40aを有し、開口40aの直上の位置に円筒形状の暗箱側遮光部42を備える。

なおピペット12も一方が蓋で閉じられた円筒形状のピペット側遮光部41を有し、ピペット12のピペット側遮光部41と検出ユニット16の遮光部42は相異なる直径を有する筒であり、検出ユニット16の開口40aにピペットチップを受け入れた際に筒同士が互いに入れ子となる形状を有している。また、図10では入れ子形状により遮光する構成をわかりやすく示すため、ピペット12の先端に装着するピペットチップは図に記載していないが、実際の測定では、ピペット12の先端にピペットチップを装着する。

すなわち、検出ユニット16とピペット12は一体となった状態で外部から光が入射できない構造となっている。また、暗箱40、ピペット側遮光部41および遮光部42の表面を黒色とする等の構成により、ノイズとなる光を吸収する構成としている。

ピペット12はピペット側遮光部41を有し、検出ユニット16は暗箱側遮光部42を有する。検出ユニット16は暗箱40で構成されており、ピペットチップ20を受け入れるための開口40aを有する。従って、開口40aの内径は、ピペットチップ20の先端近傍の外径よりも若干のクリアランスを介して大きい。そして暗箱側遮光部42は開口40aに対応する位置に設置される。

暗箱側遮光部42は開口40aと同じ開口40aを有し、且つ径の異なる筒形状の内径部42bと外径部42cとを有する。ピペット側遮光部41は、一方が閉じられた筒形状である。

ピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42とは、筒型形状部分が互いに入れ子構造となる構成となっている。図11は、ピペット側遮光部と暗箱側遮光部との入れ子構造を表す断面の模式図である。すなわち図11は、ピペット12が検出ユニット16と一体となった状態で、ピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42とが重なり合い、入れ子となっている状態における、ピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42の断面を表している。

これらの構成の直径を比較すると、小さい方から、開口40a、内径部42b、ピペット側遮光部41、外径部42cの順となる。より具体的には、内径部42bの内径はピペット12が挿入可能なように外径よりも大きい。ピペット側遮光部41が、内径部42bの外周面と、外径部42cの内周面との間で挿入可能なように、ピペット側遮光部41の内径は、内径部42bの外径よりも大きく、外径部42cの内径よりも小さい。

またピペット側遮光部41、開口40a、内径部42b、外径部42cは、中心が一致する同心円構造の配置となっている。すなわち、ピペット12が下降して検出ユニット16の開口40aにピペットチップ20を挿入させた時に、ピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42とが互いに入れ子構造になる。

一般に光は直線的に進むが、入れ子構造となるピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42により、暗箱40の外から中に直線の光路が存在しないので、光は外部から暗箱40の中に入ることができない。またピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42との間を反射により暗箱40に外部の光が入ることを防ぐために、ピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42は光を吸収する表面とするのが好適である。具体的には黒色の材料を用いる、または黒色に塗装する等が考えられる。

一般的に、開口に対する遮光は蓋等を用いるが、隙間より外部から光が入るのを防ぐために、蓋と暗箱との接触部分の隙間を少なくする必要がある。したがって蓋を用いて遮光を行う場合は、形状加工に高い精度が要求される。

一方、実施の形態1の自動分析装置10は、互いに入れ子となる構造により遮光を実現しているので、暗箱と遮光部材の接触なしに遮光を実現しており、高い精度の加工なしに、開口部からピペット12を挿入する空間においても十分に遮光をすることができる。

また、上述するピペット側遮光部41と暗箱側遮光部42は、さらにピペット12の上下移動方向に対して自由度を有するという効果もある。すなわち、ピペット側遮光部41のピペット側遮光部と、暗箱側遮光部42の内径部及び外径部が、水平面方向に対して重複する部分があれば、どの位置でも遮光することができる。 したがって、測定位置を高さ方向の複数の位置で行うことも可能である。

例えば、ピペットチップ20に挿入する反応板の表面を、開口部21とノズル部23とを結ぶ軸方向で複数の区画に分けて、各区画に異なる抗体を固定化し、複数の分析項目に対応することが考えられる。また一つの区画をブランク測定用とすることもできる。

複数の区画を有する反応板をピペットチップ20に挿入して測定する場合、自動分析装置10は、所定の高さにピペット12を静止させて測光を行う。測光後、自動分析装置10は、ピペット12の高さを変更し、静止させて測光を行う。以下、区画の数だけ、区画に対応する高さで測光を実行する。ピペット12の高さの制御及び測光した信号を高さで区別して出力する処理は、CPU等の制御装置により実現する。

このように、実施の形態1に係る自動分析装置は、一つのピペットチップ内に複数の区画を有する反応板を備え、反応板に対応する複数の位置で測定を行う場合に、迷光及び外部光によるノイズを減少させ、高感度の光測定を行うことができる。

なお入れ子構造について図10、11では円筒形状としているが、多角形等の形状としても良い。

一方、入れ子構造が円筒形状である場合には、ピペット及びピペットチップを回転させた場合にも対応できるという利点もある。 例えば、反応板の両面を異なる修飾を行う、または一面のみを修飾して他面をブランクとする等、両面の測定に対応することもできる。また、ピペット及びピペットチップを回転させずに、測定ユニット及び測定ブロックユニット側を回転させる、または反応板の両面の測定用に測定ブロックユニットを2つ備えて、向かい合うように配置しても良い。

また実施の形態1の自動分析装置及びピペットチップからなる分析システムは、試料や試薬の吸引、吸引および吐出による攪拌、洗浄、反応、検出をピペットチップ20内ですべて実現するオールインワンシステムとなっている。 これらのオールインワンシステムに対応するポンプユニットについて説明する。

図12は、実施の形態1に係る分析システムのポンプユニットの概略を示す図である。 図12において、ポンプユニット50は、試料を吸引する吸引ポンプ51と、三方弁52、53と、送液ポンプ54と、ガスボンベ55、56と、洗浄液ボトル57とから構成される。

三方弁52は、ピペット12からの配管と接続し、吸引ポンプ51、または送出系に接続する三方弁53のいずれかに切り替えて、ピペット12と接続する弁である。 三方弁53は、溶液を送出する送液ポンプ54、攪拌用のガスを送出するガスボンベ55、または空気を送出するガスボンベ56のいずれかに切り替えて、三方弁53に連通する弁である。

送液ポンプ54は、洗浄液ボトル57と接続し、ボトル内の洗浄液をピペット12へ送液するポンプである。

ガスボンベ56は、攪拌用のガスが充填されたボンベである。攪拌用のガスとしては、一般に窒素、アルゴン等の不活性ガスが好適である。またガスボンベ56の代わりにPSA(Pressure Swing Adsorption:圧力変動吸着)装置を用いて窒素ガスを供給してもよい。

ガスボンベ56は、窒素と酸素を空気とほぼ同じ比率にした合成空気が充填されたボンベである。ガスボンベ56もガスボンベ55と同様に攪拌用として合成空気を送出する。また、ガスボンベ56の代わりに、ポンプ及びフィルタを用いて大気を攪拌用に送出しても良い。ガスボンベ55、56は、実際には圧力調整弁、流量調整弁を介して送出に適した圧力、流量でガスを送出する。

次にポンプユニット50の動作について説明する。各動作における三方弁、ポンプの制御はシーケンサー、ワンチップコンピューター等の制御機器を用いて行うことができる。この場合、三方弁は電動三方弁を用いるのが好適である。

まず試料または試薬をピペットチップ20内に吸引する場合、ポンプユニット50は、ピペット12と吸引ポンプ51とを接続するように三方弁52を切り替え、吸引ポンプ51を稼働させ、試薬ラック14内の試料または試薬をピペットチップ内に吸引する。

次にピペットチップ20内の試料及び試薬を攪拌する場合、ポンプユニット50は、三方弁52及び53を介してガスボンベ55または56をピペット12に接続する。そして、ピペットチップ20に、所定のウェル内に配置された状態で、ガスを流通させる。

試料及び試薬の反応が進行した後、未反応の試料を捨てることになる。ポンプユニット50は、送液ポンプ54を駆動し、三方弁52及び53を介して、洗浄液ボトル57内の洗浄液をピペット12に送液する。洗浄液は、ピペットチップ20内の未反応の試薬を押しだして、廃棄ボトル18に送り出す。

その後ピペットチップ20内の洗浄を行う場合には、ポンプユニット50は、洗浄液をさらに流通させて、ピペットチップ20内の測定セル部22及び反応板24を洗浄し、未反応の試薬を洗い流す。洗い流した未反応の試薬及び洗浄液は廃棄ボトル18に捨てられる。

これら試薬の吸引、攪拌、反応、洗浄を繰り返し、測定に必要な複合体の形成を行う。

その後、ピペットチップ20を前述の測定ユニット16内に搬送し、測定を行う。 このように実施の形態1の分析システムは、ピペットに連通するポンプユニットを備え、吸引及び、液体または気体の送出を行う機構を備えることにより、ピペットチップ内で、試料や試薬の吸引、吸引および吐出による攪拌、洗浄、反応、検出のすべてを実行することができる。なお、図11では、ポンプユニット50を自動分析装置10の外部に備えているが、自動分析装置内にポンプユニット50を備えるようにしても良い。例えば、自動分析装置の下部にポンプユニット50を配置して一体化する形態などが好適である。 実施の形態2

次に自動分析装置10を用いた前立腺癌に関連する特異的な抗原を測定する例について説明する。 試薬ラック14の各ウェルには、サンプル(血清)、ブロック液、抗体試薬、蛍光試薬が入れられている。他方ピペットチップ20内の反応板24には、表面に抗体が固定化されている。前立腺癌の診断に用いる場合には、抗フリーPSA特異的モノクローナル抗体を固定する。抗フリーPSA特異的モノクローナル抗体はクローン2E2由来のコンプレックスPSAと反応しない抗フリーPSA抗体である。具体的な抗体としては、フナコシ社の8A6モノクローナル抗体がある。

まず、ピペット12は、チップラック11の直上まで移動し、下降に移動することによりピペットチップ20をピペット12の先端に装着する。

次に、ピペット12は上昇した後、試薬ラック14の直上まで移動する。そして、ピペット12は、試薬ラック14のウェル内にピペットチップ20が位置する高さまで下降し、ポンプの駆動により吸引、反応、吐出及び洗浄を行う。この吸引、反応、吐出及び洗浄の動作はサンプル(血清)、ブロック液、抗体試薬、蛍光試薬のそれぞれにおいて、実行される。

まずピペット12はブロッキング液を吸引する。ブロッキング液により、反応板24の表面がブロッキングされる。

次にピペット12はブロッキング液を吐出し、サンプルを吸引する。ピペットチップ20の測定セル部22内にサンプルが満たされる。その後4℃で5分〜1時間放置することにより、反応板24に固定化された抗体とサンプル内に含まれるフリーPSAとが、反応する。

次にピペット12はサンプルを吐出し、抗体試薬を吸引する。前立腺癌の診断に用いる場合には、抗α2,3結合糖鎖用抗体、すなわち末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合した糖鎖を特異的に認識するモノクローナル抗体が好適である。具体的な抗体としては、和光純薬社のHYB4モノクローナル抗体がある。そして4℃で5分〜1時間放置することにより、抗フリーPSA抗体−フリーPSA−抗α2,3結合糖鎖用抗体という複合体が、反応板24上に形成される。

次にピペット12は抗体試薬を吐出し、蛍光試薬を吸引する。具体的な蛍光試薬としては、蛍光色素標識抗マウスIgG3抗体がある。室温で5分〜45分放置することにより、抗フリーPSA抗体−フリーPSA−抗α2,3結合糖鎖用抗体−蛍光試薬という複合体が、反応板24上に形成される。

複合体の形成後、ピペット12はピペットチップ20を検出ユニット16の位置まで移動し、開口40aの位置で下降する。そして検出ブロックユニット17はピペットチップ20の測定セル部22からの蛍光を検出する。

蛍光検出の後、ピペット12は、上昇及び平行移動により廃液ボトル18の直上まで移動し、蛍光試薬を吐出して、蛍光試薬を廃液ボトル18内に捨てる。

最後に、ピペット12はチップ廃棄箱19まで移動し、チップ廃棄箱19の取り外し機構によりピペットチップ20を取り外し、ピペットチップ20をチップ廃棄箱19内に捨てる。 以上の動作により、自動分析装置10は前立腺特異抗原を検出することができる。 なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ピペットを8連ピペッタ等の多連ピペッタとすることによりスループットを向上することも考えられる。

10 自動分析装置 11 チップラック 12 ピペット 13 搬送ユニット 14 試薬ラック 15 反応ユニット 16 検出ユニット 17 検出ブロックユニット 17a 暗箱 20 ピペットチップ 22 測定セル部 24 反応板 31 上部構造体 32 下部構造体 34 テーパー部 40 暗箱 41 ピペット側遮光部 42 暗箱側遮光部 42b 内径部 42c 外径部

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