ポリペプチドおよびその使用

申请号 JP2016571311 申请日 2015-06-05 公开(公告)号 JP2017524345A 公开(公告)日 2017-08-31
申请人 オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド; オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド; 发明人 マイルズ・ナン; スーザン・メアリー・リー; マテイス・ミクラス・ジョア;
摘要 本発明は、ポリペプチドに関し、特に、補体系の活性または活性化を阻害することができるポリペプチドに関する。該ポリペプチドをコードする核酸および該ポリペプチドの使用にも関する。補体系は、 生物 から病原菌を排除する 抗体 および食細胞の能 力 を補助する、または“補う”。それは、自然免疫系の一部を構成する。補体活性化の下方制御は、動物モデル試験および生体外(ex vivo)試験において、いくつかの疾患の適応症の処置に有効であることが実証されている。本発明は、1つまたは複数の補体経路の不適切な活性化に関連する疾患または障害の処置のために使用できる新規なポリペプチドを提供する。
权利要求

(a)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のいずれか1つのアミノ酸配列; (b)(a)と少なくとも60%の配列同一性を有する変異体アミノ酸配列; (c)(a)と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または (d)少なくとも40アミノ酸長、42アミノ酸長、50アミノ酸長、60アミノ酸長、65アミノ酸長、70アミノ酸長または75アミノ酸長である、(a)、(b)または(c)の活性フラグメント を含むか、またはそれからなる、単離されたポリペプチド。(a)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に記載のアミノ酸配列; (b)(a)と少なくとも60%の配列同一性を有する変異体アミノ酸配列; (c)(a)と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または (d)少なくとも40アミノ酸長、42アミノ酸長、50アミノ酸長、60アミノ酸長、65アミノ酸長、70アミノ酸長または75アミノ酸長である、(a)、(b)または(c)の活性フラグメント からなる、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。(e)配列番号12、13、14、15、16、17、18または19に記載の配列;または (f)(e)と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する活性変異体アミノ酸配列 を含むか、またはそれからなる、請求項1または2に記載の単離されたポリペプチド。配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列と、その一端および/または両端に追加アミノ酸を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。N末端および/またはC末端にて1または複数のさらなるポリペプチドと融合した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)の配列を含む融合タンパク質からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。補体経路の活性を低下させる、または補体経路の活性化を阻害する、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。古典経路、第二経路および/またはレクチン経路の活性を低下させるか、またはその活性化を阻害する、請求項1から6のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。第二経路の活性化を低下させるか、またはその活性化を阻害するよりも強に、古典経路および/またはレクチン経路の活性を低下させるか、またはその活性化を阻害する、請求項1から7のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。好適なアッセイにおいて、補体活性化を少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または100%低下させる、請求項1から8のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。1またはそれ以上の特定の組織において、補体系の全活性を10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上低下させるか、あるいは1またはそれ以上の特定の組織において、補体系の活性を100%低下させ得る、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。C5に結合し、例えばC5転換酵素によるC5の活性化を阻害する、請求項1から10のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。例えば遺伝子治療用ベクターである、請求項12に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。請求項12に記載のポリヌクレオチドおよび/または請求項13に記載のベクターを含む、宿主細胞。請求項1から11のいずれか一項に記載の1つまたは複数の単離されたポリペプチドを含む、組成物。(i)請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;(ii)請求項12に記載のポリヌクレオチド;(iii)請求項13に記載のベクター;および、(iv)請求項14に記載の宿主細胞、の1つまたはそれ以上を含む医薬組成物であって、要すれば、さらなる成分、例えば、1またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤または担体をさらに含んでいてよい、医薬組成物。1つまたは複数のさらなる活性成分をさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。医薬としての使用のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;請求項12に記載のポリヌクレオチド;請求項13に記載のベクター;または、請求項14に記載の宿主細胞、を含む組成物;あるいは、請求項16または17に記載の医薬組成物。補体経路の活性を低下させるか、または補体経路の活性化を阻害するのに使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;請求項12に記載のポリヌクレオチド;請求項13に記載のベクター;または、請求項14に記載の宿主細胞、を含む医薬組成物;あるいは、請求項16または17に記載の医薬組成物補体経路の増大した活性に関連する疾患または障害の予防または治療に使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;請求項12に記載のポリヌクレオチド;請求項13に記載のベクター;または、請求項14に記載の宿主細胞、を含む医薬組成物;あるいは、請求項16または17に記載の医薬組成物。補体が介在する疾患または病状の予防的または治療的処置において使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;請求項12に記載のポリヌクレオチド;請求項13に記載のベクター;または、請求項14に記載の宿主細胞、を含む医薬組成物;あるいは、請求項16または17に記載の医薬組成物。臓器移植における拒絶反応;全身性エリテマトーデス、重症筋無力症およびグッドパスチャー症候群などの自己免疫疾患において生じ得る、自己抗体および免疫複合体の沈着に起因する組織損傷;移植内皮への予め形成された宿主抗体の直接結合によって発症する超急性異種移植片拒絶における組織損傷;例えば脳卒中および心筋梗塞中ならびに大手術後に発生する虚血再灌流障害;抗リン脂質症候群および寒冷凝集疾患;関節炎;視神経脊髄炎;血栓性微小血管;シェーグレン症候群;乾癬;疱性類天疱瘡および関連する皮膚疾患;心血管疾患;または、高密度のデポジット疾患の予防的または治療的処置において使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;請求項12に記載のポリヌクレオチド;請求項13に記載のベクター;または、請求項14に記載の宿主細胞、を含む医薬組成物;あるいは、請求項16または17に記載の医薬組成物。炎症性疾患、虚血、再灌流障害、自己免疫疾患、感染症、感染性疾患、移植拒絶、眼疾患、癌、全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、心肺バイパスおよび血液透析の合併症、臓器移植における超急性拒絶、心筋梗塞、再灌流障害、外傷、成人呼吸窮迫症候群、熱傷、喘息、アナフィラキシーショック、腸炎、蕁麻疹、血管性浮腫、脈管炎、多発性硬化症、重症筋無力症、膜性増殖性糸球体腎炎、シェーグレン症候群、腎疾患、敗血症、発作性夜間血色素尿症、乾癬、移植拒絶、癌、脳卒中、加齢黄斑変性症、非定型溶血性尿毒症症候群、クローン病およびアルツハイマー病、抗体が介在する補体活性化による神経障害(例えば、重症筋無力症、ギランバレー症候群、ミラー・フィッシャー症候群、視神経脊髄炎)および抗リン脂質症候群の予防的または治療的処置において使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;請求項12に記載のポリヌクレオチド;請求項13に記載のベクター;または、請求項14に記載の宿主細胞、を含む医薬組成物;あるいは、請求項16または17に記載の医薬組成物。インビトロでの、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物の使用。補体系の活性化を試験するための診断アッセイにおける、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの使用。補体経路の異常に増大した活性と関連する対象における疾患または障害の処置法であって、有効量の、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド;請求項12に記載のポリヌクレオチド;請求項13に記載のベクター;または、請求項14に記載の宿主細胞、を含む医薬組成物;あるいは、請求項16または17に記載の医薬組成物を該対象に投与することを含む、方法。好適な細胞内でポリペプチドを発現させることを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリペプチドを提供する方法。ショウジョウバエS2細胞内でポリペプチドを発現させることを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリペプチドを提供する方法。本明細書ならびに図面および実施例に記載の、ポリペプチド、組成物、医薬組成物または方法。

说明书全文

本発明は、ポリペプチドに関し、特に補体系の活性または活性化を阻害できるポリペプチドに関する。本発明はまた、該ポリペプチドをコードする核酸および該ポリペプチドの使用に関する。

補体系は、生体から病原菌を排除する抗体および食細胞の能を補助する、または“補う”。それは、自然免疫系の一部を構成する。補体系は、血中および細胞膜上に見いだされる30以上のタンパク質からなり、溶液中のものは、一般的に、肝臓で合成され、通常は、不活性な前駆体(プロタンパク質)として循環している。幾つかの誘引物質の1つによって刺激を受けると、該系内のプロテアーゼが特定のタンパク質を切断して、さらなる切断の増幅カスケードが開始される。この活性化カスケードの最終結果は、応答の大幅な増幅であり、殺細胞膜侵襲複合体(cell-killing membrane attack complex)が活性化され、白血球細胞が動員され、炎症性メディエーターが放出される。補体タンパク質は、血清グロブリン画分の約5%を占め、オプソニンとして機能することができる。

補体系は、主に3つの異なる生化学的経路:古典経路、第二経路およびレクチン経路によって活性化され得る。非特異的プロテアーゼ依存的経路もまた、補体活性化においてより限定された役割を果たし得る。

古典経路は、一般的に、補体系タンパク質C1qが抗原−抗体複合体、ペントラキシン、またはアポトーシス細胞に結合することよって活性化される。古典経路の活性化は、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症およびグッドパスチャー症候群などの自己免疫疾患で生じる可能性のある、自己抗体および免疫複合体の沈着に起因する組織損傷に関与している。古典経路の活性化は、移植片内皮への予め形成されている宿主抗体の直接結合によって誘発される超急性異種移植片拒絶における組織損傷の原因である。不適切な補体活性化はまた、例えば、脳卒中および心筋梗塞において、および大手術後に発生する虚血再灌流障害の重要なメディエーターでもある。

レクチン経路は、一般的には、マンノース結合レクチンが結合する生物糖類により、または病原体に反応するフィコリンにより、活性化される。

第二経路は、一般的に、中性または陽性電荷特性を有し、そして補体阻害物質を発現しないか、または含まない、病原体の表面により活性化される。

補体系の活性化は、病原体に対する最初の防御機構として、および獲得免疫の増強因子(ファシリテーター)として、免疫における多くの保護機能を有している。一方、補体活性化は、多くの病的状態における組織損傷の主な原因である。

補体活性化の下方制御は、動物モデル試験および生体外(ex vivo)試験において、全身性エリテマトーデスおよび糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、心バイパスおよび血液透析、臓器移植における超急性拒絶、心筋梗塞、再灌流障害、および成人呼吸窮迫症候群を含む、いくつかの疾患の適応症の処置に有効であることが実証されている。加えて、熱傷、重度の喘息、アナフィラキシーショック、腸炎、蕁麻疹、血管性浮腫、脈管炎、多発性硬化症、重症筋無力症、膜性増殖性糸球体腎炎、シェーグレン症候群、腎疾患、敗血症、発作性夜間血色素尿症、乾癬、移植拒絶、癌、脳卒中、加齢黄斑変性症、非定型溶血性尿毒症症候群、クローン病およびアルツハイマー病を含む、他の炎症状態および自己免疫/免疫複合体疾患もまた、補体活性化と密接に関連している。

販売承認を得るための最初の補体特異的薬物は、補体成分C5に対する抗体であるエクリズマブであった。しかし、補体活性化が関連する疾患が広範囲に亘るため、補体の活性または活性化を低下させるまたは阻害することができる治療剤の必要性が高まっている。また、いくつかの経路のみ、例えば、3つの経路(古典経路、レクチン経路または第二経路)全てではなく、そのうち1つまたは2つのみの活性を阻害するまたは低下させることができる治療剤を発見することも有益であり得る。活性化経路の特定の時点で活性を低下させるまたは阻害することができる治療剤を提供することもまた有利である。例えば、補体活性化経路内のより早い時点を阻害する阻害剤は、より狭く作用し得るので、特定の疾患をより良く標的とすることができる。

本発明の目的は、1つまたは複数の補体経路の不適切な活性化に関連する疾患または障害の処置のために使用することができる新規ポリペプチドを提供することである。

第一の面において、本発明は、 (a)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のいずれかのアミノ酸配列; (b)(a)と少なくとも60%の配列同一性を有する変異体アミノ酸配列; (c)(a)と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または (d)少なくとも40アミノ酸長、42アミノ酸長、50アミノ酸長、60アミノ酸長、65アミノ酸長、70アミノ酸長または75アミノ酸長である、(a)、(b)または(c)の活性フラグメント を含むか、またはそれからなる、単離されたポリペプチドを提供する。

該単離されたポリペプチドは、 (e)配列番号12、13、14、15、16、17、18または19に記載の配列;または (f)(e)と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する活性変異体アミノ酸配列 を含んでいてよいか、またはそれから構成されていてよい。

配列番号9、10および11のポリペプチドは全て、配列番号1の配列を含み、配列番号9および10は、シグナル配列を含む。配列番号10および11は、6個のヒスチジンタグ配列を含む。

本発明のポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19に示すアミノ酸配列と、その5’もしくは3’末端に6個のヒスチジンタグ、または5’もしくは3’末端に別の精製タグとを含むかまたはそれからなる、ポリペプチドであり得る。

ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列と、その一端および/または両端に追加のアミノ酸を含んでいてよい。例えば、精製タグまたは別の配列は、N末端および/またはC末端に付加されてよい。ポリペプチドは、1または複数のさらなるポリペプチドと融合した(a)、(b)、(c)または(d)の配列を含む融合タンパク質を含み得るか、またはそれからなり得る。さらなるポリペプチドは、例えば、タンパク質の1つまたは複数の活性または不活性ドメイン、1つまたは複数の活性または不活性な完全長タンパク質、および/または1つまたは複数の活性または不活性なタンパク質フラグメントであり得る。

ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の配列を有するポリペプチドの活性フラグメントを含み得る。活性フラグメントは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に記載の配列の、少なくとも少なくとも40、少なくとも42、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70または少なくとも75の連続アミノ酸を含むか、またはそれからなり得る。活性フラグメントは、42個のアミノ酸を有し得て、そして/または配列番号12、13、14、15、16、17、18または19に記載の配列を有する。

活性フラグメントは、配列番号12、13、14、15、16、17、18または19に記載の配列と、70%、80%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。

ポリペプチドは、配列番号12、13、14、15、16、17、18または19と、70%、80%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11のフラグメントまたは変異体であってよい。

好ましくは、本発明の活性フラグメントは、補体系に関して、それが由来するポリペプチドの阻害活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上の活性を示す。すなわち、例えば、該フラグメントは、補体活性化に関して、それが由来するポリペプチドの阻害活性の少なくとも50%を有する。本発明の活性フラグメントは、特定の組織において補体系に関して、それが由来するポリペプチドの活性の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%またはそれ以上を示し得る。特定の組織に特異的であるか、または特定の組織に標的化される場合、より低い活性を有する活性フラグメント、例えば、特定の組織における補体活性化に関して、それが由来するポリペプチドと比較して、約20%、30%、40%または50%の阻害活性である活性フラグメントであってもよい。

本発明のポリペプチドがシグナルおよび/またはタグ配列を含む場合、これらの1つまたはそれ以上は、該ポリペプチドの活性形態を遊離させるために除去され得る。

本発明はまた、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する変異体アミノ酸配列を提供する。本発明の配列番号1、9、10および11のポリペプチドは、ダニのリピケファルス−アッペンジクラトス(Rhipicephalus appendiculatus)から最初に単離され、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のアミノ酸配列と少なくとも約60%の配列同一性を有する、他のダニ種由来の相同体を含むその変異体を提供する。相同体には、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の配列のパラログおよびオーソログが含まれてよく、例えば、クリイロコイタマダニ(R.sanguineus)、リピセファラス・ブルサ(R.bursa)、アンブリオマ・アメリカナム(Amblyomma.americanum)、アンブリオマ・カジェネンス(Amblyomma.cajennense)、アンブリオマ・ヘブラエウム(Amblyomma.hebraeum)、オウシマダニ(Boophilus microplus)、ブーフィラス・アニュラタス(B.annulatus)、ブーフィラス・デコロラタス(B.decoloratus)、デルマセントール・レティキュラタス(Dermacentor reticulatus)、デルマセントール・アンデルソニ(D.andersoni)、デルマセントール・マルギナタス(D.marginatus)、デルマセントール・バリアビリス(D.variabilis)、ヘマフィサリス・イネルミス、ヘマフィサリス・レアチ(Ha.leachii)、ヘマフィサリス・パンクタータ(Ha.punctata)、ヒアロンマ・アナトリクム・アナトリクム(Hyalomma anatolicum anatolicum)、Hy.ドロメダリー、Hy.マルギナツム・マルギナツム、マダニ(Ixodes ricinus)、シュルツェマダニ(I.persulcatus)、シカダニ(I.scapularis)、イクソデス・ヘキサゴナス(Ixodes hexagonus)、ナガヒメダニ(Argas persicus)、アルガス・リフレクサス(Argas.reflexus)、オルニソドロス・エラティカス(Ornithodoros erraticus)、オルニソドロス・モウバタ・モウバタ(O.moubata moubata)、オルニソドロス・モウバタ・ポルシナス(O.m.porcinus)、およびオルニソドロス・サヴィギニュイ(O.savignyi)を含む、他のダニ種由来のポリペプチドが含まれ得る。

アミノ酸同一性は、任意の好適なアルゴリズムを用いて計算することができる。例えば、UWGCGパッケージは、相同性を計算するために使用できるBESTFITプログラムを提供する(例えば、その初期設定で使用される)(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, 387-395)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムは、例えばAltschul S. F. (1993) J MoI Evol 36:290-300; Altschul, S, F et al (1990) J MoI Biol 215:403-10に記載のように、相同性を計算するか、例えば、配列をラインアップするのに(同等のまたは対応する配列を同定するのに(一般的には、それらの初期設定で))使用することができる。

BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(NCBI)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列において同じ長さのワードと共に整列された場合、ある程度の正の値の閾値スコアTに一致するかまたはこれを満たす、クエリー配列中の長さWの短いワードを同定することでより高スコアリング配列対合(HSP)を同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前出)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして機能する。このワードヒット(複数)は、累積アライメントスコアが増大し得る限り、各配列に沿って両方向に伸長される。各方向におけるワードヒットの伸長は、以下の場合に終了する:累積アライメントスコアが、その最大達成値から数量Xだけ低下したとき;1つまたは複数の負のスコアの残基アライメントが蓄積したために、累積スコアがゼロまたはゼロ未満になったとき;あるいは、いずれかの配列が末端に到達したとき。BLASTアルゴリズムパラメータのW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTプログラムは、初期設定として、ワードの長さ(W)11、BLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. ScL USA 89: 10915-10919参照)アライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=4、および両鎖の比較を使用する。

BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計解析を行う;例えば、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787を参照のこと。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、2種のポリヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間で偶然に一致が生じるであろう確率の指標を提供する、最小合計確率(P(N))である。例えば、ある配列が別の配列と類似していると考えられるのは、第1の配列と第2の配列との比較における最小合計確率が、約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満の場合である。

変異体配列は、一般的に、少なくとも1、2、3、5、10、20、30、50またはそれ以上の変異により異なる(それは、アミノ酸の置換、欠失または挿入であり得る)。例えば、1から50、2から40、3から30または5から20個のアミノ酸置換、欠失または挿入を行うことができる。置換は、好ましくは保存的置換であり、例えば以下の表に従う。2列目の同じブロック中のアミノ酸および好ましくは3列目の同じ行のアミノ酸は、相互に置換され得る。

本発明のポリペプチドはまた、遺伝子的にまたは化学的に別のペプチドに融合された本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質として提供されてもよい。他のペプチドの目的は、タンパク質の検出、発現、分離または精製を補助する目的を含む、任意の目的であってもよい。あるいは、該タンパク質は、タンパク質の循環半減期を増大させるためにFcペプチドなどのペプチドに融合されてもよい。他の融合パートナーの例としては、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、またはルシフェラーゼが含まれる。

本発明のポリペプチドは、例えば、翻訳後修飾のように化学的に修飾されてもよい。例えば、それらは、グリコシル化、ペグ化、リン酸化されてよいか、または修飾アミノ酸残基を含む。それらは、精製を補助するためのヒスチジン残基の付加により、または細胞膜への挿入を促進するためのシグナル配列の付加により、修飾されてもよい。かかる修飾ポリペプチドは、本明細書で用いる用語“ポリペプチド”の範囲内に包含される。

本発明のポリペプチドは、実質的に単離された形態であってよい。ポリペプチドは、該ポリペプチドの意図される目的を妨げない担体または希釈剤と混合されてもよく、また該ポリペプチドは、その場合でもなお実質的に単離されたとみなされ得ることが理解される。本発明における使用のためのポリペプチドはまた、実質的に精製された形態であってよい。この場合、一般に、調製物中のポリペプチドの50重量%以上、例えば60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上または99重量%以上が本発明のポリペプチドである、ポリペプチド調製物が含まれる。

本発明のポリペプチドは、合成により、または組換えにより産生され得る。例えば、組換えポリペプチドは、培養中の哺乳動物細胞、真菌細胞、細菌細胞または昆虫細胞を、好適な調節配列に作動可能に連結されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターでトランスフェクションし、該細胞を培養し、該細胞により産生された本発明のポリペプチドを抽出および精製することにより、産生され得る。本発明における使用のためのポリペプチドのアミノ酸配列は、非天然アミノ酸を含むように修飾され得るか、または化合物の安定性を増加させるために修飾され得る。ポリペプチドが合成手段によって産生されたとき、そのようなアミノ酸は、製造中に導入されてもよい。ポリペプチドは、合成または組換え産生のいずれかの後に修飾されてもよい。

本発明のポリペプチドはまた、D−アミノ酸を用いて産生され得る。多数の側鎖修飾が当技術分野で公知であり、ポリペプチドの活性を保持しながら、本発明のポリペプチドの側鎖を修飾し得る。

好ましくは、本発明のポリペプチドまたは組成物は、補体系の活性または活性化を阻害または低下させる能力を有する。“阻害する”とは、ポリペプチドが、補体活性化の第二経路、古典経路またはレクチン経路の1つまたはそれ以上の活性化または活性を阻害または低下させることができることを意味する。好ましくは、本発明のポリペプチドまたは組成物は、補体系のレクチン経路および/または古典経路を阻害し得る。好ましくは、本発明のポリペプチドまたは組成物は、補体活性化の第二経路にほとんど効果を有しないか、または有意な効果を有しない。補体経路の効果を低下させるポリペプチドまたは組成物の能力は、任意の標準的な溶血アッセイまたは当該分野で公知の他の好適なアッセイ、例えば実施例に記載のもの、およびGiclasら(1994)に記載されているものなど、またはSeelen et al. Journal of Immunological Methods Volume 296, Issues 1-2, January 2005, Pages 187-198に記載のアッセイ(Wieslab(登録商標)アッセイとしても公知)などの、ヒト血清における機能的な古典経路、MBLおよび/または第二経路の定性的な決定のための酵素免疫アッセイなどによって決定することができる。

好ましくは、本発明のポリペプチドまたは組成物の存在は、本発明のポリペプチドまたは組成物の不存在下での同じアッセイと比較して、好適なアッセイにおいて赤血球の溶解を減少させるか、または好適なアッセイにおいて補体活性化を少なくとも20%低下させることが証明されている。本発明の、補体阻害剤分子であるポリペプチドまたは組成物は、より好ましくは、好適なアッセイにおいて、補体活性化を少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または100%低下させ得る。

補体活性化のための好適なアッセイは、例えば、Seelenら(Journal of Immunologucal Methods Volume 296, Issues 1-2, January 2005, Pages 187−198)に記載の通り、ヒト血清における機能的な古典経路、MBLおよび/または第二経路の定性的な決定のための酵素免疫アッセイであり得る。ポリペプチドの活性は、任意の補体阻害アッセイを用いて試験することができる。ポリペプチドは、補体阻害アッセイを用いて試験するとき、補体経路の阻害活性を有し得る。

ポリペプチドは、補体系の総活性を10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上低下させ得るか、またはポリペプチドは、補体の活性を100%低下させ得る。

ポリペプチドは、1以上の特定の組織における補体系の総活性を10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上低下させ得るか、またはポリペプチドは、1以上の特定の組織における補体系の活性を100%低下させ得る。

本発明のポリペプチドまたは組成物は、C5に結合し、C5の活性を阻害または低下させることにより、補体経路に作用することができる。例えば、ポリペプチドは、C5に結合し、そしてC5転換酵素、例えばC4b2a3bおよび/またはC3bBbC3bおよび/またはC3bBbC3bPによるC5の活性化を阻害または低下させ得る。

本発明のポリペプチドまたは組成物は、補体経路に作用し、MBL、C1q、C1r、C1s、MASP−1、MASP−2、MASP−3、C1複合体(C1qr2s2)、C2、C3、C3b、C4、C4b、C3転換酵素(C4b2aまたはC3bBbまたはC3bBbP)、C5転換酵素(C4b2a3bまたはC3bBbC3bまたはC3bBbC3bP))、プロパージン、C5、C5b、C6、C7、C8またはC9の1つまたはそれ以上の活性を阻害または低下させることができる。

本発明のポリペプチドまたは組成物は、補体経路に作用し、MBL、C1q、C1r、C1s、MASP−1、MASP−2、MASP−3、C1複合体(C1qr2s2)、C2、C3、C3b、C4、C4b、C3転換酵素(C4b2aまたはC3bBbまたはC3bBbP)、C5転換酵素(C4b2a3bまたはC3bBbC3bまたはC3bBbC3bP)またはプロパージンの1つまたはそれ以上の活性を阻害または低下させることができる。

本発明のポリペプチドまたは組成物は、補体経路に作用し、MBL、C1q、C3、C3b、C4a、C4b、C4b2、C2、C2bおよびC4b2aの1つまたはそれ以上、より好ましくは、C2、C4b2またはC4b2aの1つまたはそれ以上の活性を阻害または低下させることができる。

本発明のポリペプチドまたは組成物は、補体経路に作用し、1つまたはそれ以上の補体成分の活性を阻害または低下することができるが、プロパージン、C6、C7、C8またはC9の1つまたはそれ以上の活性を低下させることができない。

ポリペプチドは、MBL、C1q、C1r、C1s、MASP−1、MASP−2、MASP−3、C1複合体(C1qr2s2)、C2、C3、C3b、C4、C4b、C3転換酵素(C4b2aまたはC3bBbまたはC3bBbP)、C5転換酵素(C4b2a3bまたはC3bBbC3bまたはC3bBbC3bP))、プロパージン、C5、C5b、C6、C7、C8およびC9から選択される1つまたはそれ以上の因子と結合するか相互作用することができ、その活性を低下させ得る。補体経路の下流因子の活性もまた、上流因子の低下した活性のために低下し得る。

ポリペプチドは、MBL、C1q、C1r、C1s、MASP−1、MASP−2、MASP−3、C1複合体(C1qr2s2)、C2、C3、C3b、C4、C4b、C3転換酵素(C4b2aまたはC3bBbまたはC3bBbP)、C5転換酵素(C4b2a3bまたはC3bBbC3bまたはC3bBbC3bP)またはプロパージンから選択される1つまたはそれ以上の因子と結合するか相互作用することができ、その活性を低下させ得る。補体経路の下流因子の活性もまた、上流因子の低下した活性のために低下し得る。

ポリペプチドは、MBL、C1q、C3、C3b、C4a、C4b、C4b2、C2、C2bおよびC4b2aから選択される1つ以上の因子、より好ましくはC2、C4b2またはC4b2aの1つまたはそれ以上と結合するか、またはそれと相互作用して、その活性を低下させることができる。補体経路における下流因子の活性もまた、上流因子の低下した活性のために低下し得る。

本発明のポリペプチドまたは組成物は、レクチン経路、第二経路および/または古典経路に関与する1種以上のタンパク質に作用し得る。好ましくは、本発明のポリペプチドまたは組成物は、レクチン経路、第二経路および古典経路において1種以上のタンパク質の活性に作用する。本発明のポリペプチドまたは組成物は、第二経路に作用するよりも強力にレクチン経路および古典経路に作用し得る。ポリペプチドは、第二経路の活性を低下させるよりも強力に、古典経路およびレクチン経路の活性を低下させ得る。このことは、ポリペプチドの適当な投薬レベルが、細菌および他の感染症を処置/予防するのに十分なレベルで、完全に古典経路およびレクチン経路の活性を排除するが、第二経路の活性の一部を残すことができるため、有利である。本発明のポリペプチドまたは組成物は、第二経路に関与するたんぱく質に作用し得ない。

さらなる面により、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、DNAであっても、RNAであってもよい。

本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、例えば発現ベクターを提供し得る。そのような発現ベクターは、分子生物学の分野で常套的に構築されており、例えば、プラスミドDNAならびに適当なイニシエーター、プロモーター、エンハンサー、および他の要素、例えば、タンパク質を発現させるために必要で、正しい方向に配置された、ポリアデニル化シグナルなどの使用を含んでいてよい。コーディング配列もまた、使用される宿主生物に適した好ましいコドン使用をもたらすように選択することができる。他の好適なベクターは、当業者には明らかである。

好ましくは、本発明においてベクター中に使用するためのポリヌクレオチドは、宿主細胞によるコーディング配列の発現をもたらすことができる調節配列に作動可能に連結されており、すなわち、ベクターは、発現ベクターである。用語“作動可能に連結された”とは、記載される成分が、それらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある並列関係を意味する。コーディング配列に“作動可能に連結された”調節配列、例えば、プロモーターは、コーディング配列の発現が調節配列と適合する条件下で達成されるように配置されている。

ベクターは、例えば、複製の起点、所望によりポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター、および所望によりプロモーターの調節因子を備えた、プラスミド、ウイルスまたはファージベクターであってよい。ベクターは、一般的に、インビボでの使用に適する。ベクターは、遺伝子治療用ベクター、例えばアデノウイルスベクター、レンチウイルスベクターまたはCRISP−Rベクターであってよい。

プロモーターおよび他の発現調節シグナルは、発現が設計される宿主細胞と適合性であるように選択され得る。例えば、β−アクチンプロモーターなどの哺乳動物プロモーターを使用可能である。組織特異的プロモーターが特に好ましい。ウイルスプロモーター、例えばモロニーマウス白血病ウイルス由来の末端反復配列領域(MMLV LTR)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時型(IE)プロモーター、アデノウイルスプロモーター、HSVプロモーター(HSV IEプロモーターなど)、またはHPVプロモーター、特にHPV上流調節領域(URR)もまた使用可能である。ウイルスプロモーターは、当技術分野で容易に入手可能である。

ベクターは、真核生物のゲノム配列、好ましくは哺乳動物のゲノム配列に相同な配列を含むポリヌクレオチドをもたらす、ポリヌクレオチドに隣接する配列をさらに含んでいてよい。これは、本発明の該ポリヌクレオチドを真核細胞のゲノム内へ相同組換えによって導入することを可能にする。特に、ウイルスの配列が隣接している発現カセットを含むプラスミドベクターは、本発明のポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に送達するのに好適なウイルスベクターを調製するために用いることができる。好適なウイルスベクターの他の例には、ヘルペス単純ウイルスベクターならびにレンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびHPVウイルスを含むレトロウイルスが含まれる。これらのウイルスを用いる遺伝子導入技術は、当業者に公知である。レトロウイルスベクターは、例えば、宿主ゲノムにポリヌクレオチドをもたらすポリヌクレオチドを安定に組み込むために使用され得る。これに対して、複製欠損型アデノウイルスベクターは、エピソームのままであり、従って、一過性発現を可能にする。

本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはベクター含む宿主細胞をさらに提供し得る。宿主細胞は、処置される対象の細胞であってよい。

さらなる面において、本発明は、本発明の1つまたはそれ以上の単離されたポリペプチドを含む組成物を提供する。本発明の組成物は、インビトロでの使用のためのものであり得る。本発明の組成物は、ヒトにおいて、例えば、インビボでの使用のためのものであり得る。本発明の組成物は、動物、例えば、哺乳動物、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、齧歯動物、魚類、爬虫類または鳥類での使用のためのものであり得る。本発明の組成物は、医薬組成物であり得る。

別のさらなる面において、本発明は、(i)本発明の単離されたポリペプチド;(ii)本発明のポリヌクレオチド;(iii)本発明のベクター;および、(iv)本発明の宿主細胞のうち1つまたはそれ以上を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、さらなる成分、例えば、1つまたはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含んでいてよい。

本発明の医薬組成物は、本発明の1つ以上の単離されたポリペプチドに加えて、1つまたは複数のさらなる活性成分を含んでいてよい。医薬組成物は、免疫系を調節する1個または複数のさらなる活性成分を含んでいてよい。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、経口、口腔、肛門、肺、静脈内、皮下、動脈内、筋肉内、腹腔内、関節内、局所、吸入、眼内を介するような経腸経路または非経腸経路、あるいは他の適当な投与経路で投与されることが意図され得る。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、種々の剤形で投与されることが意図されてもよい。これは、経口投与(例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、溶液または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒として)、非経腸投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、眼内投与、鼻腔内投与、経皮投与、局所投与または点滴技術によって投与されてよい。

一般的に、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に使用するために剤形化され、これは、薬学分野で常套の方法を用いて行うことができる。医薬担体または希釈剤は、例えば、等張溶液であってよい。例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン;滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤;例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;脱凝集剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩またはデンプングリコール酸ナトリウム;発泡性混合物;染料;甘味剤;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩など;ならびに、医薬製剤において使用される、一般的な非毒性物質および薬理学的に不活性な物質を含んでいてよい。そのような医薬製剤は、既知の方法で、例えば混合、造粒、打錠、糖衣、またはフィルムコーティング処理によって製造することができる。経口投与用の液体分散液は、シロップ剤、エマルジョンおよび懸濁剤であってもよい。シロップ剤は、担体として、例えば、サッカロースまたはグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールと共にサッカロースを含有してもよい。

懸濁液およびエマルジョンは、担体として、例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含有してもよい。筋肉内注射用の懸濁液または溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、および所望により、好適な量のリドカイン塩酸塩を含有してもよい。

静脈内投与または点滴用の溶液は、担体として、例えば、滅菌水を含んでいてよく、または好ましくはそれらは、滅菌、水性、等張食塩水の形態であってもよい。

坐薬について、伝統的な結合剤および担体には、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれ得る。そのような坐薬は、0.5%から10%、好ましくは1%から2%の範囲で活性成分を含有する混合物から形成され得る。

経口製剤は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常用いられる賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放性製剤または粉末の形態をとり、活性成分の10%から95%、好ましくは25%から70%を含有する。医薬組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥物質は、投与前に、例えば懸濁液に再構成され得る。再構成は、好ましくは、緩衝液中で行われる。

患者への経口投与用のカプセル、錠剤および丸剤は、例えば、オイドラギット“S”、オイドラギット“L”、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む腸溶性コーティングを備えていてもよい。

無針注射による送達、例えば経皮送達に適する医薬組成物もまた、使用することができる。本発明の組成物は、局所適用に通常使用される全ての投与量形態で提供することができ、特に水性、水性−アルコール性または油性の溶液の形態、ローションまたは血清型の分散液の形態、無水または親油性ゲルの形態、水相に油相を分散させる(O/W)またはその逆(W/O)によって得られるミルクタイプの液体または半固体の粘性エマルジョン形態、あるいはクリームまたはゲルタイプの希薄な半固体の粘性の懸濁液またはエマルジョンの形態、あるいは、マイクロエマルジョン形態、マイクロカプセル形態、微小粒子形態、またはイオン性および/または非イオン性の小胞分散液形態で提供できる。これらの組成物類は、標準的な方法により調製される。それらはまた、水性、アルコール性または水性−アルコール性溶液の形態、クリーム形態、ゲル形態、エマルジョン形態または泡状形態、あるいは加圧下にて噴射剤を含有するエアロゾル組成物の形態で、頭皮に使用することもできる。

本発明の組成物の異なる成分の量は、当技術分野において従来から使用されているものである。

好ましくは、治療的有効量の本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物が投与されるか、または投与が意図される。用量は、種々のパラメーター、特に使用されるポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物;処置される患者の年齢、体重および状態;投与経路;および、必要なレジメンに応じて、決定され得る。そして、医師は、任意の特定の患者のための必要な投与経路および投与量を決定することができる。一般的な1日用量は、体重1kg当たり、約0.001から50mg、好ましくは約0.0lmgから10mgであり、ポリペプチドの活性、処置される患者の年齢、体重および状態、疾患の種類および重篤度、ならびに投与の頻度および経路によって変わる。好ましくは、1日用量レベルは、0.5mgから2gまでである。より低用量を、局所投与のために使用することができる。

さらなる面により、本発明は、医薬としての使用のための、本発明のポリペプチドを含む組成物;本発明のポリヌクレオチド;本発明のベクター;または、本発明の宿主細胞を提供する。

さらなる面により、本発明は、補体が介在する疾患または病状の処置における使用のための、本発明のポリペプチドを含む組成物;本発明のポリヌクレオチド;本発明のベクター;または本発明の宿主細胞を提供する。

処置とは、治療的または予防的処置であり得る。

別の面により、本発明は、それを必要とする対象に、有効量の本発明のポリペプチド;本発明のポリヌクレオチド;本発明のベクター;または本発明の宿主細胞を投与することを含む、補体が介在する疾患または病状の処置法を提供する。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物により処置可能または予防可能な、補体が介在する疾患または障害は、対象における補体系の活性化、または増加した活性化に起因する、または結果として補体系の活性化または増加した活性化をもたらす、任意の疾患または障害であり得る。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物または医薬組成物は、補体系の異常な活性化、または補体系の異常な活性化に関連する任意の疾患もしくは障害のリスクがある個体において正常レベルが維持されるように、補体系の活性化を予防するのに有用であり得る。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物または医薬組成物は、第二経路に顕著な効果を有さず、古典経路および/またはレクチン経路の活性化を予防するのに特に有用であり得る。これは、細菌感染および他の感染症を軽減または予防するのに十分ないくつかの第二経路の活性を残したまま、臓器移植における急性拒絶反応;全身性エリテマトーデス、重症筋無力症およびグッドパスチャー症候群などの自己免疫疾患において生じ得る、自己抗体および免疫複合体の沈着に起因する組織損傷;移植内皮への予め形成された宿主抗体の直接結合によって発症する超急性異種移植片拒絶における組織損傷;例えば脳卒中および心筋梗塞中ならびに大手術後に発生する虚血再灌流障害;抗リン脂質症候群および寒冷凝集疾患;関節炎;視神経脊髄炎;血栓性微小血管;シェーグレン症候群;乾癬;水疱性類天疱瘡および関連する皮膚疾患;心血管肺疾患;および、高密度のデポジット疾患の予防に有用あり得る。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物または医薬組成物は、異常に活性な補体系を有する対象において、補体系の活性を低下するのに有用であり得る。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物または医薬組成物は、古典経路、第二経路および/またはレクチン経路の活性を低下させるのに有用であり得る。これは、臓器移植における急性拒絶反応;全身性エリテマトーデス、重症筋無力症およびグッドパスチャー症候群などの自己免疫疾患において生じ得る、自己抗体および免疫複合体の沈着に起因する組織損傷;移植内皮への予め形成された宿主抗体の直接結合によって発症する超急性異種移植片拒絶における組織損傷;例えば脳卒中および心筋梗塞中ならびに大手術後に発生する虚血再灌流障害;抗リン脂質症候群および寒冷凝集疾患;関節炎;視神経脊髄炎;血栓性微小血管;シェーグレン症候群;乾癬;水疱性類天疱瘡および関連する皮膚疾患;心血管肺疾患;および、高密度のデポジット疾患の処置に有用であり得る。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、1つまたは複数の補体経路の活性を低下させる、または補体経路のうちの1つまたは複数の活性を阻害するのに使用するためのものであり得る。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、1つまたは複数の補体経路の増加した活性に関係する疾患または障害の処置のためのものであり得る。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、1つまたは複数の補体経路の不適切な活性化に関連する疾患または障害の処置のためのものであり得る。

補体が介在する疾患または障害には、炎症性疾患、虚血、再灌流障害、自己免疫疾患、感染、感染性疾患、移植拒絶、眼疾患または癌が含まれ得る。

補体が介在する疾患または障害にはまた、全身性エリテマトーデスおよび糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、心肺バイパスおよび血液透析、臓器移植における超急性拒絶、心筋梗塞、再灌流障害、外傷、成人呼吸窮迫症候群、熱傷、喘息、アナフィラキシーショック、腸炎、蕁麻疹、血管性浮腫、脈管炎、多発性硬化症、重症筋無力症、膜性増殖性糸球体腎炎、シェーグレン症候群、腎疾患、敗血症、発作性夜間血色素尿症、乾癬、移植拒絶、癌、脳卒中、加齢黄斑変性症、非定型溶血性尿毒症症候群、クローン病およびアルツハイマー病から選択される疾患または障害が含まれ得る。

本発明のポリペプチドおよび組成物は、急性拒絶、抗体が介在する補体活性化による神経障害(例えば、重症筋無力症、ギランバレー症候群、ミラー・フィッシャー症候群、視神経脊髄炎)および抗リン脂質症候群の処置または予防に特に有用であり得る。

本発明はさらに、対象において古典経路、第二経路(第二経路)および/またはレクチン経路の活性または活性化を低下させる方法であって、有効量の本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物を投与する工程を含む方法を提供する。

本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、ポリペプチドの単位用量が、古典経路および/またはレクチン経路、好ましくは両方の経路の活性を、第二経路よりも約7倍低下させることができるため、有利であり得る。従って、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物は、第二経路に有意な影響なしに、古典経路およびレクチン経路の活性を低下させるために使用できる。この面は、二次感染の危険性が高い(例えば、移植または熱傷)病状である場合、または感染性生物によって発症する病状が、補体活性化の第二経路によって制御される場合に特に有用であり得る。好適な投与量にて、古典経路およびレクチン経路の活性は大幅に低下され得るが、第二経路の活性は、わずかしか低下しない。

本発明はさらに、対象における補体経路の異常な、および/または増加した活性に関連する疾患または障害の処置法であって、有効量の本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。

本発明はさらに、インビトロでの本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物の使用を提供する。例えば、本発明のポリペプチドは、補体経路を調査するために使用できる。本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生するために使用できる。本発明の単離された核酸は、インビトロ法においてポリヌクレオチドプローブとして使用することができる。

本発明のポリペプチドまたは本発明のポリヌクレオチドは、補体系の活性化を試験するための診断アッセイにおいて使用することができる。例えば、本発明のポリペプチドまたは単離された核酸は、古典経路またはレクチン経路の活性化と第二経路の活性化とを区別するための診断アッセイにおいて使用することができる。

本発明は、本発明のポリペプチドを提供する方法であって、好適な細胞中でポリペプチドを発現させることを含む方法を提供する。

細胞は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞であり得る。細胞は、ショウジョウバエS2細胞であり得る。

ポリペプチドは、インビトロで化学的に合成することができる。

当業者は、いずれか1つの態様および/または面および/または特許請求の範囲の好適な特徴は、全ての他の態様および/または面および/または特許請求の範囲に適用できることを理解する。

一例としてのみ、添付の図面を参照して、本発明の詳細な説明を以下に記載する。

図1は、補体系の古典経路、レクチン経路および第二経路の概要を示す。

図2は、RaCIのアミノ酸配列を示す。配列番号1は、本明細書中、RaCIとも言い、それは、シグナル配列または6−Hisタグを有していない。配列番号2、3、4、5、6、7および8は、配列番号1(RaCI)のホモログを示し、それらは全て、シグナル配列または6−Hisタグを有していない。配列番号9は、N末端に下線を付したシグナル配列を有する配列番号1(RaCI)を示す。配列番号10は、下線を付したシグナル配列に続いて6−Hisタグを有する配列番号1(RaCI)を示す。配列番号11は、6−Hisタグを有し、シグナル配列を有しない、配列番号1(RaCI)を示す。

図3は、配列番号1から8のCLUSTAL 2.1マルチプル配列アラインメントを示す。

図4は、配列番号1から8のClustal 2.1により作成されたパーセント単位行列(Percentage Identity Matrix)を示す。

図5は、古典経路、レクチン経路および第二経路のそれぞれについての、配列番号1(標識したRaCI)および配列番号11(標識したHis−RaCI)のペプチドを使用した補体阻害アッセイの結果を示す。His−Negポリペプチドは、陰性対照として使用する無関係のHisタグを付したタンパク質の上清である。17μgの精製したCoversin(OmCI)を陽性対象として用い、これは、補体系の終末経路を阻害するため、全ての補体経路を阻害する。血清の活性のみを100%に設定する。示される値は、2つの反復試験の平均である。

図6は、古典経路(CP)、レクチン経路(LP)および第二経路(AP)に対する6−His−RaCIの効果を示す。近似曲線のそれぞれの最大値および最小値を、それぞれ100%および0%活性に設定した。値は、3つの反復試験の平均であり、エラーバーは標準誤差を示す。

図7は、RaCIおよびその複数種のホモログの補体阻害活性を示す。配列番号1−6に対応するタンパク質を試験した。タンパク質のいくつかは、例えば“His−Seq_ID2”と示すように、N末端に6Hisタグを付して試験し、タンパク質のいくつかは、例えば“SEQ_ID2”のように、6Hisタグを付さないで試験した。6Hisタグは、顕著に活性に影響を与えないことが分かった。安定なS2細胞株の上清を、Giclas PCにより記載されたプロトコル(National Jewish Center for Immunology and Respiratory Medicine、デンバー、コロラド州、製品名:免疫学の現在のプロトコル、ユニット番号:ユニット13.1、DOI:10.1002/0471142735.im1301s09)に従い、感作されたヒツジ赤血球を用いて、溶血アッセイにおいて阻害活性を調べた。正常ヒト血清は、1/80の最終希釈に使用した。

図8は、本発明の阻害剤によるC5のプルダウンアッセイの結果を示す。4つの阻害剤を、NHS活性化磁気ビーズ(Pierce Thermo Scientific)に共有結合させた。これらは全て、ヒト血清由来のC5に結合し、これは、ポリクローン性抗C5抗体(CompTech、USA)を用いたウェスタンブロット分析によって確認した。(−)として示されるC5を欠く血清を陰性対照として用いた。これらの阻害剤は全て、C5に結合することにより作用し、これを本発明者らは、血清サンプルからヒトC5をプルダウンするためにビーズに共有結合された阻害剤を使用することができるという事実によって証明した。

図9は、C5−OmCI−RmCI−エクリズマブ複合体のサイズ排除溶出プロファイルおよびクマシーゲルを示す。C5は、Hisタグを付したOmCIを用いてヒト血清から精製した。次いで、純粋なOmCI−C5複合体を、3倍モル過剰量のエクリズマブ(Ab)およびRmCIと混合した。ゲルの写真は、最初のピークの集めた画分を示している。第二のピークは、遊離抗体およびRmCIを含む。これらの阻害剤は、既知のダニタンパク質(OmCI/Coversin)またはエクリズマブの両方と異なる方法でC5に結合し、これを本発明者らは、4つのタンパク質の四次複合体を形成することができるという事実によって証明した。

図10は、3つの阻害剤の配列アライメントを示し、これにより本発明者らは構造を得た。ジスルフィド結合のパターンを黄色の線で示し、アライメントの上部に番号を付した。最高解像度構造(DaCI)における二次構造の程度(DSSPにより定義される)は、下に青色で示した。これらの3つの阻害剤の完全な構造は、ファミリーに見られる配列多様性のレベル(機能のために必要とされるタンパク質の折り畳まれたコア内の50%未満の配列同一性)を表す。

図11は、スティック表示されたジスルフィド結合を有するDaCI構造のcartoon表示(N末端からC末端へ青色から赤色に着色)を示す。90度回転させた図も表示する。

図12は、構造DaCI(青色から赤色へ着色)、RaCI(黒色)およびRmCI(灰色)を有する、3つの阻害剤のリボン表示の重なりを示す。ルートは、該構造の骨格原子間の二乗偏差が1Å2であることを意味する。本発明者らは、C5と複合体形成したこれらの3つの阻害剤のそれぞれの完全な構造を解析し、阻害剤がC5と干渉する方法を正確に定義した。これは、機能に必要な分子の一部が、最初と最後のCYS間にある42残基のみであることに加えて、厳密には、この領域内の残基がC5に直接結合していることを明らかにする。

図13は、RmCIの欠失変異体による補体阻害を示す。変異体および野生型RmCIを大腸菌シャッフルT7細胞中で発現させ、細胞溶解物を、溶血アッセイにおいて阻害活性について試験した。空のベクターを陰性対照として用いた。値は、2つの反復試験の平均である。

図14は、C5に結合した阻害剤の構造に基づく配列アライメントを示す。緑色に着色された残基は、C5との複合体の形成に伴い埋もれる(内在する)。緑のイタリック体で示されているものは、C5中の残基と架橋形成する特定の塩である。

図15は、補体C5の異種間アライメントを示す。ヒトC5は、各ブロックの上の配列であり、青色で強調された残基は、DaCI/RaCI/RmCIとの複合体形成に伴い埋もれる残基である。下の配列に注目すると、他の種で保存されている相互作用残基(contact residue)が示されている。本発明者らは、これらの阻害剤がヒトおよびモルモットの血清に対して完全に活性であり(アライメントの上と下の配列)、ブタの血清に対して部分的に活性であり(上から4番目の配列)、そしてラットおよびマウスに対して活性がない(下から3番目および4番目の配列)ことを明らかにした。

図16は、古典経路の溶血アッセイにおいて試験したDaCI/RaCI/RmCI/HmCIの異種間活性を示す。アッセイにおける最終血清濃度は、1/80(ヒト)および1/640(モルモット)である。値は、3つの反復試験の平均であり、エラーバーは、標準誤差を示す。ただし、マウスアッセイにおいて、値は、2つの反復試験の平均である。値は、PBS(100%活性)および空のウェル(0%)に対して正規化した。

図17は、DaCI(N末端の青色からC末端の赤色で着色)と補体C5(小麦)との複合体の図を示す。本発明者らは、これらの阻害剤が、C5転換酵素との相互作用を停止すること(以前のC5阻害剤の仮定される機序であった)により作用しないことを明らかにする競合アッセイを行い、そして本発明の構造は、活性化を抑制する立体構造にC5を固定する可能性が高いことを示唆している。治療の観点では、このことは、患者における阻害されたC5の存在が、活性化酵素への結合について競合することにより、存在する阻害されていないC5の活性化を防止するようにさらに作用することを意味する。

図18は、C5−リガンド複合体との競合アッセイを示す。純粋なC5(CompTech、USA)を2倍モル過剰量のリガンドと混合し、そして複合体をサイズ排除クロマトグラフィー工程により精製した。精製された複合体を、Wieslabベースの古典経路ELISAにおいて希釈した血清と混合した。抗体は、エクリズマブ薬に基づくFabフラグメントであり、陰性対照は標的補体ではないダニタンパク質である。値は、3つの反復試験の平均であり、エラーバーは、標準誤差を示す。

材料および方法 ポリペプチドの配列および発現 配列番号1から11の配列を、ショウジョウバエS2細胞(ExpreS2ion Biotechnologies, Denmark)においてpExpres2−2ベクターから発現させた。配列番号9および配列番号10は、シグナル配列に下線を付して示される。配列番号1から8、11および12は、シグナル配列なしで示される。シグナル配列はショウジョウバエS2細胞での発現中に切断されて、配列番号1−8、11および12で示されるペプチドが提供される。相同体である配列番号2から8のシグナル配列は、配列番号9で下線を付したシグナル配列と同じか、またはそれと類似であり得る。

配列番号9 (MNAMLVLFIASALFISEHNTEEVKTTPIPNHQCVNATCERKLDALGNAVITKCPQGCLCVVRGASNIVPANGTCFQLATTKPPMAPGDNKDNKEEESN)、および 配列番号10 (MKLCILLAVVAFVGLSLGHHHHHHAGEEVKTTPIPNHQCVNATCERKLDALGNAVITKCPQGCLCVVRGASNIVPANGTCFQLATTKPPMAPGDNKDNKEEESN) は、SignalP 4.1 (http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)により予測される、分泌のためのシグナルペプチド(下線)を含む。タンパク質を、業者のプロトコル(ExpreS2ion Biotechnologies、Denmark)に従い、72時間、一過的に発現させた。使用済みの培地を遠心分離によって除き、補体阻害アッセイを用いて、抗補体活性について試験した。

His6−RaCIの精製 N末端His6タグ(His6−RaCI)に融合したRaCIを、ショウジョウバエS2細胞(ExpreS2ion Biotechnologies, Denmark)においてpExpres2−2ベクターから発現させた。安定な細胞株の作製およびHis6−RaCIの発現を、業者のプロトコル(ExpreS2ion Biotechnologies, Denmark)に従って行った。細胞培養物を遠心によって清澄化し、His6−RaCIを、完全なHisタグ精製カラム(Roche)を用いて上清から精製し、次いでゲル濾過工程により精製した。

His−6−RaCIについての補体阻害アッセイ His6−RaCIの段階希釈の補体阻害活性を、Complement System Screen WIESLAB(Euro Diagnostica, Sweden)を、以下の変更を加えて、業者のプロトコルに従って用いて決定した。正常ヒト血清を全ての条件で用いた。補体阻害を試験するために、2μlの精製したHis6−RaCIを100μlの希釈した血清に添加し、その後、インキュベーション工程を行った。3つの経路のそれぞれでのHis6−RaCIの効果を、キットに付属の異なる緩衝液およびELISAストリップで試験した。段階希釈を、各経路についてHis6−RaCIのIC50値を計算するために用いた。

このアッセイの結果を図4に示す。His6−RaCIの古典経路(CP)、レクチン経路(LP)および第二経路(AP)に対する効果。各近似曲線の最大値および最小値を、それぞれ100%および0%活性に設定した。値は3つの反復試験の平均であり、エラーバーは標準誤差を示す。

使用済み培地についての補体阻害アッセイ 使用済み培地についての補体阻害活性を、Complement System Screen WIESLAB(Euro Diagnostica, Sweden)を、以下の変更を加えて、業者のプロトコルに従って用いて決定した。正常ヒト血清を全ての条件で用いた。補体阻害を試験するために、5μlの使用済み培地に100μlの希釈した血清を添加し、その後、インキュベーション工程を行った。3つの経路のそれぞれでの配列番号1の効果を、Wieslabのキットに付属の異なる緩衝液およびELISAストリップで試験した。Wieslabのキットは、3つの経路のそれぞれを活性化するためにELISAプレート上の3つの異なるコーティングを有するELISAキットである。阻害剤を、ELISAウェルに添加する前に、血清に添加した。アッセイは、Seelenらの Journal of Immunological Methods Volume 296, Issues 1-2, January 2005, Pages 187−198に記載の通りに行った。

結果 使用済み培地についての補体阻害アッセイの結果を図3に示し、配列番号1の、古典経路、レクチン経路および第二経路に対する効果が示される。His−Negは、陰性対照として用いる無関係のHisタグを付したタンパク質の上清である。17μgの精製したCoversin(OmCI)を陽性対照として用い、それは、補体系の終末経路を阻害するため、全ての経路を阻害する。血清のみの活性を100%に設定する。値は、2つの反復試験の平均である。

QQ群二维码
意见反馈