PCSK9iRNA組成物及びその使用方法

申请号 JP2015545846 申请日 2013-12-05 公开(公告)号 JP2016506240A 公开(公告)日 2016-03-03
申请人 アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッドAlnylam Pharmaceuticals, Inc.; アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッドAlnylam Pharmaceuticals, Inc.; 发明人 アナ・ボロドフスキー; ラジーブ・ジー・カラントッタティル; ケビン・フィッツジェラルド; マリア・フランク−カメネツキー; ウィリアム・クアーベス; マルティン・マイアー; クラウス・カリセ; サティアナラヤーナ・クチマンチ; ムティア・マノハラン; スチュアート・ミルスタイン;
摘要 本発明は、PCSK9遺伝子を標的とするRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤、及びPCSK9の発現を阻害するためのこのようなRNAi剤の使用方法及び高脂血症などの脂質障害に罹患している対象の処置方法に関する。
权利要求

細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤であって、前記二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、前記二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、np’、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し; Nb上の修飾が、Y上の前記修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の前記修飾と異なり; 前記センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされている) によって表される二本鎖RNAi剤。iが0であり;jが0であり;iが1であり;jが1であり;i及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。kが0であり;lが0であり;kが1であり;lが1であり;k及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。XXXが、X’X’X’に相補的であり、YYYが、Y’Y’Y’に相補的であり、ZZZが、Z’Z’Z’に相補的である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記YYYモチーフが、前記センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記Y’Y’Y’モチーフが、前記5’末端の前記アンチセンス鎖の11位、12位及び13位に存在する、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記Y’が、2’−O−メチルである、請求項6に記載の二本鎖RNAi剤。式(III)が、式(IIIa): センス:5’np−Na−YYY−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIa) によって表される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。式(III)が、式(IIIb): センス:5’np−Na−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Nb’−Z’Z’Z’−Na’−nq’5’(IIIb) (式中、各Nb及びNb’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す) によって表される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。式(III)が、式(IIIc): センス:5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−X’X’X’−Nb’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIc) (式中、各Nb及びNb’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す) によって表される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。式(III)が、式(IIId): センス:5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−X’X’X’−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−Z’Z’Z’−Na’−nq’5’(IIId) (式中、各Nb及びNb’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各Na及びNa’が、独立して、2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す) によって表される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記二本鎖領域が、15〜30ヌクレオチド対長である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記二本鎖領域が、17〜23ヌクレオチド対長である、請求項12に記載の二本鎖RNAi剤。前記二本鎖領域が、17〜25ヌクレオチド対長である、請求項12に記載の二本鎖RNAi剤。前記二本鎖領域が、23〜27ヌクレオチド対長である、請求項12に記載の二本鎖RNAi剤。前記二本鎖領域が、19〜21ヌクレオチド対長である、請求項12に記載の二本鎖RNAi剤。前記二本鎖領域が、21〜23ヌクレオチド対長である、請求項12に記載の二本鎖RNAi剤。各鎖が、15〜30のヌクレオチドを有する、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記ヌクレオチド上の修飾が、LNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−アルキル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−デオキシ、2’−ヒドロキシル、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記ヌクレオチド上の修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾である、請求項19に記載の二本鎖RNAi剤。前記リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記リガンドが、 である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記リガンドが、前記センス鎖の3’末端に結合される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。以下の概略図 (式中、Xが、O又はSである)に示される前記リガンドにコンジュゲートされている、請求項23に記載の二本鎖RNAi剤。少なくとも1つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を更に含む、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合が、1つの鎖の3’末端にある、請求項25に記載の二本鎖RNAi剤。前記鎖が、前記アンチセンス鎖である、請求項26に記載の二本鎖RNAi剤。前記鎖が、前記センス鎖である、請求項26に記載の二本鎖RNAi剤。前記ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合が、1つの鎖の5’末端にある、請求項25に記載の二本鎖RNAi剤。前記鎖が、前記アンチセンス鎖である、請求項29に記載の二本鎖RNAi剤。前記鎖が、前記センス鎖である、請求項29に記載の二本鎖RNAi剤。前記ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合が、1つの鎖の5’末端及び3’末端の両方にある、請求項25に記載の二本鎖RNAi剤。前記鎖が、前記アンチセンス鎖である、請求項32に記載の二本鎖RNAi剤。前記二本鎖の前記アンチセンス鎖の5’末端の1位における塩基対が、AU塩基対である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記Yヌクレオチドが、2’−フルオロ修飾を含む、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。前記Y’ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾を含む、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。p’>0である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。p’=2である、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。q’=0、p=0、q=0、及びp’オーバーハングヌクレオチドが、前記標的mRNAに相補的である、請求項38に記載の二本鎖RNAi剤。q’=0、p=0、q=0、及びp’オーバーハングヌクレオチドが、前記標的mRNAに非相補的である、請求項38に記載の二本鎖RNAi剤。前記センス鎖が、合計で21のヌクレオチドを有し、前記アンチセンス鎖が、合計で23のヌクレオチドを有する、請求項28に記載の二本鎖RNAi剤。少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される、請求項37〜41のいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤。全てのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される、請求項42に記載の二本鎖RNAi剤。表1、表2、表9、表10、表12、及び図12Aに列挙されるRNAi剤の群から選択される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。AD−53815、AD−56663、AD−56658、AD−56676、AD−56666、AD−57928、及びAD−60212からなる群から選択される、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤であって、前記二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、前記二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、np’、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、前記修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の前記修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の前記修飾と異なり; 前記センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされている) によって表される二本鎖RNAi剤。細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤であって、前記二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、前記二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、前記修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の前記修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の前記修飾と異なり; 前記センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされている) によって表される二本鎖RNAi剤。細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤であって、前記二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、前記二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、前記修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の前記修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の前記修飾と異なり; 前記センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、前記リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である) によって表される二本鎖RNAi剤。細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤であって、前記二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、前記二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、前記修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の前記修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の前記修飾と異なり; 前記センス鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み; 前記センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、前記リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である) によって表される二本鎖RNAi剤。細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤であって、前記二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、前記二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−YYY−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIa) (式中: それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; YYY及びY’Y’Y’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、前記修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; 前記センス鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み; 前記センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、前記リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である) によって表される二本鎖RNAi剤。表1、表2、表9、表10、表12、及び図12Aに列挙されるRNAi剤の群から選択されるRNAi剤。請求項1及び46〜51のいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤を含有する細胞。請求項1及び46〜51のいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤を含む医薬組成物。RNAi剤が、非緩衝液中で投与される、請求項53に記載の医薬組成物。前記非緩衝液が、生理食塩又は水である、請求項54に記載の医薬組成物。前記siRNAが、緩衝液とともに投与される、請求項53に記載の医薬組成物。前記緩衝液が、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、プロラミン緩衝液、炭酸緩衝液、若しくはリン酸緩衝液又はそれらの任意の組合せを含む、請求項56に記載の医薬組成物。前記緩衝液が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項57に記載の医薬組成物。細胞内でのPCSK9発現の阻害方法であって、 (a)前記細胞を、請求項1及び46〜51のいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤又は請求項53〜58のいずれか一項に記載の医薬組成物と接触させる工程と; (b)工程(a)で生成された前記細胞を、PCSK9遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって維持し、それにより、前記細胞内での前記PCSK9遺伝子の発現を阻害する工程とを含む方法。前記細胞が、対象中にある、請求項59に記載の方法。前記対象がヒトである、請求項60に記載の方法。前記PCSK9発現が、少なくとも約30%だけ阻害される、請求項59〜61のいずれか一項に記載の方法。PCSK9発現によって媒介される障害に罹患している対象の処置方法であって、治療有効量の請求項1及び46〜51のいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤又は請求項53〜58のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与し、それにより、前記対象を処置する工程を含む方法。前記対象がヒトである、請求項63に記載の方法。前記ヒトが、高コレステロール血症に罹患している、請求項64に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、約0.01mg/kg〜約10mg/kg又は約0.5mg/kg〜約50mg/kgの用量で投与される、請求項63に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、約10mg/kg〜約30mg/kgの用量で投与される、請求項66に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、皮下投与される、請求項66に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、静脈内投与される、請求項66に記載の方法。前記RNAi剤が、2つ以上の用量で投与される、請求項66に記載の方法。前記RNAi剤が、初期投与段階と、その後の維持段階を含む投与計画で投与され、 前記初期投与段階が、週に5回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含み、 前記維持段階が、週に1回、週に2回、週に3回、2週間に1回、3週間に1回、月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、又は6ヶ月に1回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含む、請求項70に記載の方法。前記RNAi剤が、約12時間に1回、約24時間に1回、約48時間に1回、約72時間に1回、及び約96時間に1回からなる群から選択される間隔で投与される、請求項70に記載の方法。対象における高コレステロール血症の処置方法であって、治療有効量の請求項1及び46〜51のいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤又は請求項53〜58のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与し、それにより、前記対象を処置する工程を含む方法。前記対象が、霊長類又はげっ歯類である、請求項73に記載の方法。前記対象がヒトである、請求項73に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、約0.01mg/kg〜約10mg/kg又は約0.5mg/kg〜約50mg/kgの用量で投与される、請求項73に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、約10mg/kg〜約30mg/kgの用量で投与される、請求項73に記載の方法。前記RNAi剤が、2つ以上の用量で投与される、請求項73に記載の方法。前記RNAi剤が、初期投与段階と、その後の維持段階を含む投与計画で投与され、 前記初期投与段階が、週に5回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含み、 前記維持段階が、週に1回、2回、若しくは3回、2週間に1回、3週間に1回、月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、又は6ヶ月に1回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含む、請求項73に記載の方法。前記RNAi剤が、約12時間に1回、約24時間に1回、約48時間に1回、約72時間に1回、及び約96時間に1回からなる群から選択される間隔で投与される、請求項73に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、皮下投与される、請求項73に記載の方法。前記二本鎖RNAi剤が、静脈内投与される、請求項73に記載の方法。前記対象のLDLR遺伝子型又は表現型を決定する工程を更に含む、請求項73に記載の方法。投与により、前記対象における血清コレステロールが低下される、請求項73に記載の方法。前記対象における前記血清コレステロールレベルを決定する工程を更に含む、請求項73に記載の方法。

说明书全文

関連出願 本出願は、2012年12月5日に出願された米国仮特許出願第61/733,518号;2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/793,530号;2013年10月4日に出願された米国仮特許出願第61/886,916号;及び2013年10月17日に出願された米国仮特許出願第61/892,188号の優先権を主張するものである。本出願は、2011年11月18日に出願された米国仮特許出願第61/561,710号にも関する。上記の仮特許出願のそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。

配列表 本出願は、全体が参照により本明細書に援用される、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含む。2013年10月29日に作成された前記ASCIIのコピーの名称は、121301−00420_SL.txtであり、サイズは433,512バイトである。

プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)は、サブチリシンセリンプロテアーゼファミリーのメンバーである。他の8つの哺乳動物サブチリシンプロテアーゼ、PCSK1−PCSK8(PC1/3、PC2、フーリン、PC4、PC5/6、PACE4、PC7、及びS1P/SKI−1とも呼ばれる)は、分泌経路において様々なタンパク質をプロセシングし、多様な生物学的過程において役割を果たすプロタンパク質転換酵素である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、及び非特許文献5)。

PCSK9は、コレステロール代謝において役割を果たすことが提案されている。PCSK9 mRNA発現は、コレステロール生合成酵素及び低比重リポタンパク質受容体(LDLR)と同様に、マウスにおいて食事性コレステロール摂食によって下方制御され(非特許文献6)、HepG2細胞においてスタチンによって上方制御され(非特許文献7)、ステロール調節要素結合タンパク質(SREBP)トランスジェニックマウスにおいて上方制御される(非特許文献8)。更に、PCSK9ミスセンス突然変異が、常染色優性高コレステロール血症の一形態(Hchola3)と関連していることが分かっている(非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)。一塩基多型(SNP)が、日本人集団のコレステロールレベルに関連しているため、PCSK9は、一般集団のLDLコレステロールレベルを決定する役割も果たし得る(非特許文献12)。

常染色優性高コレステロール血症(ADH)は、患者が、総コレステロール及びLDLコレステロールレベルの上昇、黄色腫、及び早期のアテローム性動脈硬化症を示す単一遺伝子疾患である(非特許文献13)。ADH及び劣性型の常染色体劣性高コレステロール血症(ARH)(非特許文献14)の病因は、肝臓によるLDL取り込みの欠陥によるものである。ADHは、LDL取り込みを防止する、LDLR突然変異によって、又はLDLRに結合するLDL上のタンパク質である、アポリポタンパク質Bの突然変異によって引き起こされ得る。ARHは、クラスリンとのその相互作用を介したLDLR−LDL複合体のエンドサイトーシスに必要なARHタンパク質の突然変異によって引き起こされる。したがって、PCSK9突然変異が、Hchola3ファミリーにおいて原因である場合、PCSK9が、受容体を介したLDL取り込みにおいて役割を果たす可能性が高いと考えられる。

過剰発現の研究は、LDLRレベル、ひいては、肝臓によるLDL取り込みを制御するPCSK9の役割を指摘している(非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17)。マウスにおける3日間又は4日間のマウス又はヒトPCSK9のアデノウイルス媒介性過剰発現は、総コレステロール及びLDLコレステロールレベルの上昇をもたらし;この効果は、LDLRノックアウト動物では見られない(非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17)。更に、PCSK9過剰発現は、LDLR mRNAレベル、SREBPタンパク質レベル、又はSREBPタンパク質核対細胞質比に影響を及ぼさずに、肝臓LDLRタンパク質の著しい減少をもたらす。

高コレステロール血症自体は無症候性であるが、血清コレステロールの長期にわたる上昇が、アテローム性動脈硬化症につながり得る。何十年にわたって、慢性的に上昇した血清コレステロールは、動脈中の粥状斑の形成の原因となり、これが、病変動脈の進行性の狭窄又は更には完全な閉塞につながり得る。更に、より小さい斑が破裂して、凝血塊を形成させ、血流を妨げて、例えば、心筋梗塞及び/又は卒中をもたらし得る。狭窄又は閉塞の形成が漸進的である場合、組織及び器官への血液供給は、器官の機能が損なわれるまで、ゆっくりと減少する。

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したがって、高脂血症、例えば、高コレステロール血症などのPCSK9に関連する疾病の有効な処置が当該技術分野において必要とされている。

以下により詳細に記載されるように、PCSK9を標的とするRNAi剤、例えば、二本鎖iRNA剤を含む組成物が本明細書に開示される。PCSK9発現を阻害し、PCSK9発現に関連する病態、例えば、高コレステロール血症を処置するための本発明の組成物の使用方法も開示される。

したがって、一態様において、本発明は、細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、np’、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し; Nb上の修飾が、Y上の修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり; センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされている) によって表される二本鎖RNAi剤を提供する。

一実施形態において、iが0であり;jが0であり;iが1であり;jが1であり;i及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である。別の実施形態において、kが0であり;lが0であり;kが1であり;lが1であり;k及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である。

一実施形態において、XXXが、X’X’X’に相補的であり、YYYが、Y’Y’Y’に相補的であり、ZZZが、Z’Z’Z’に相補的である。

一実施形態において、YYYモチーフが、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。

一実施形態において、Y’Y’Y’モチーフが、5’末端のアンチセンス鎖の11位、12位及び13位に存在する。

一実施形態において、Y’が、2’−O−メチルである。

一実施形態において、式(III)が、式(IIIa): センス:5’np−Na−YYY−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIa) によって表される。

別の実施形態において、式(III)が、式(IIIb): センス:5’np−Na−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Nb’−Z’Z’Z’−Na’−nq’5’(IIIb) (式中、各Nb及びNb’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す) によって表される。

更に別の実施形態において、式(III)が、式(IIIc): センス:5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−X’X’X’−Nb’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIc) (式中、各Nb及びNb’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す) によって表される。

一実施形態において、式(III)が、式(IIId): センス:5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−X’X’X’−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−Z’Z’Z’−Na’−nq’5’(IIId) (式中、各Nb及びNb’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各Na及びNa’が、独立して、2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す) によって表される。

一実施形態において、二本鎖領域は、15〜30ヌクレオチド対長である。別の実施形態において、二本鎖領域は、17〜23ヌクレオチド対長である。更に別の実施形態において、二本鎖領域は、17〜25ヌクレオチド対長である。一実施形態において、二本鎖領域は、23〜27ヌクレオチド対長である。別の実施形態において、二本鎖領域は、19〜21ヌクレオチド対長である。別の実施形態において、二本鎖領域は、21〜23ヌクレオチド対長である。一実施形態において、各鎖は、15〜30のヌクレオチドを有する。

一実施形態において、ヌクレオチド上の修飾は、LNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−アルキル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−デオキシ、2’−ヒドロキシル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。別の実施形態において、ヌクレオチド上の修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾である。

一実施形態において、リガンドは、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である。別の実施形態において、リガンドは、

である。

一実施形態において、リガンドは、センス鎖の3’末端に結合される。

一実施形態において、RNAi剤は、以下の概略図

(式中、XがO又はSである)に示されるリガンドにコンジュゲートされている。特定の実施形態において、XがOである。

一実施形態において、剤は、少なくとも1つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を更に含む。

一実施形態において、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合は、1つの鎖の3’末端にある。一実施形態において、鎖は、アンチセンス鎖である。別の実施形態において、鎖は、センス鎖である。

一実施形態において、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合は、1つの鎖の5’末端にある。一実施形態において、鎖は、アンチセンス鎖である。別の実施形態において、鎖は、センス鎖である。

一実施形態において、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合は、1つの鎖の5’末端及び3’末端の両方にある。一実施形態において、鎖は、アンチセンス鎖である。

一実施形態において、二本鎖のアンチセンス鎖の5’末端の1位における塩基対が、AU塩基対である。

一実施形態において、Yヌクレオチドが、2’−フルオロ修飾を含む。

一実施形態において、Y’ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾を含む。

一実施形態において、p’>0である。別の実施形態において、p’=2である。

一実施形態において、q’=0であり、p=0であり、q=0であり、p’オーバーハングヌクレオチドが、標的mRNAに相補的である。別の実施形態において、q’=0であり、p=0であり、q=0であり、p’オーバーハングヌクレオチドが、標的mRNAに非相補的である。

一実施形態において、センス鎖が、合計で21のヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖が、合計で23のヌクレオチドを有する。

一実施形態において、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。

一実施形態において、全てのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。

一実施形態において、RNAi剤は、表1、表2、表9、表10、表12、及び図12に列挙されるRNAi剤の群から選択される。

一実施形態において、RNAi剤は、AD−53815、AD−56663、AD−56658、AD−56676、AD−56666、AD−57928、及びAD−60212からなる群から選択される。

別の態様において、本発明は、細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、np’、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり; センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされている) によって表される二本鎖RNAi剤を提供する。

更に別の態様において、本発明は、細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり; センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされている) によって表される二本鎖RNAi剤を提供する。

更なる態様において、本発明は、細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり; センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である) によって表される二本鎖RNAi剤を提供する。

別の態様において、本発明は、細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; Nb上の修飾が、Y上の修飾と異なり、Nb’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり; センス鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み; センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である) によって表される二本鎖RNAi剤を提供する。

更に別の態様において、本発明は、細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、PCSK9をコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III): センス:5’np−Na−YYY−Na−nq3’ アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIa) (式中: それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され; 各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; YYY及びY’Y’Y’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり; センス鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み; センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である) によって表される二本鎖RNAi剤を提供する。

本発明は、本発明の二本鎖RNAi剤を含む、細胞、ベクター、宿主細胞、及び医薬組成物も提供する。

一実施形態において、本発明は、表1、表2、表9、表10、表12、及び図12に列挙されるRNAi剤の群から選択されるRNAi剤を提供する。

ある実施形態において、RNAi剤は、医薬組成物を用いて投与される。

好ましい実施形態において、RNAi剤は、溶液中で投与される。あるこのような実施形態において、siRNAは、非緩衝液中で投与される。一実施形態において、siRNAは、中で投与される。他の実施形態において、siRNAは、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、プロラミン緩衝液、炭酸緩衝液、若しくはリン酸緩衝液又はそれらの任意の組合せなどの緩衝液とともに投与される。ある実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。

一実施形態において、医薬組成物は、脂質製剤を更に含む。一実施形態において、脂質製剤は、LNP、又はXTCを含む。別の実施形態において、脂質製剤は、MC3を含む。

一態様において、本発明は、細胞内でのPCSK9発現の阻害方法を提供する。本方法は、細胞を、本発明のRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤、又はベクターと接触させる工程と;工程(a)で生成された細胞を、PCSK9遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって維持し、それにより、細胞内でのPCSK9遺伝子の発現を阻害する工程とを含む。

一実施形態において、細胞は、対象中にある。

一実施形態において、対象はヒトである。

一実施形態において、PCSK9発現は、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%だけ阻害される。

別の態様において、本発明は、PCSK9発現によって媒介される障害に罹患している対象の処置方法を提供する。本方法は、治療有効量の本発明のRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤、又はベクターを対象に投与し、それにより、対象を処置する工程を含む。

一実施形態において、対象はヒトである。

一実施形態において、ヒトは、高コレステロール血症に罹患している。

一実施形態において、RNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤は、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.5mg/kg〜約50mg/kg、約10mg/kg〜約30mg/kg、約10mg/kg〜約20mg/kg、約15mg/kg〜約20mg/kg、約15mg/kg〜約25mg/kg、約15mg/kg〜約30mg/kg、又は約20mg/kg〜約30mg/kgの用量で投与される。

一実施形態において、RNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤は、皮下又は静脈内投与される。

一実施形態において、RNAi剤は、初期投与段階(loading phase)と、その後の維持段階(maintenance phase)を含む投与計画で投与され、初期投与段階は、週に5回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含み、維持段階は、週に1回、2回、若しくは3回、2週間に1回、3週間に1回、月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、又は6ヶ月に1回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含む。

一実施形態において、RNAi剤は、2つ以上の用量で投与される。特定の実施形態において、RNAi剤は、約12時間に1回、約24時間に1回、約48時間に1回、約72時間に1回、及び約96時間に1回からなる群から選択される間隔で投与される。

更に別の態様において、本発明は、対象における高コレステロール血症の処置方法を提供する。本方法は、治療有効量の本発明のRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤、又はベクターを対象に投与し、それにより、対象を処置する工程を含む。

一実施形態において、対象は、霊長類又はげっ歯類である。別の実施形態において、対象はヒトである。

一実施形態において、RNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤は、約0.01mg/kg〜約10mg/kg又は約0.5mg/kg〜約50mg/kgの用量で投与される。別の実施形態において、二本鎖RNAi剤は、約10mg/kg〜約30mg/kgの用量で投与される。

一実施形態において、RNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤は、皮下又は静脈内投与される。

一実施形態において、RNAi剤は、初期投与段階と、その後の維持段階を含む投与計画で投与され、初期投与段階は、週に5回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含み、維持段階は、週に1回、2回、若しくは3回、2週間に1回、3週間に1回、月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、又は6ヶ月に1回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量を投与することを含む。

一実施形態において、RNAi剤は、2つ以上の用量で投与される。特定の実施形態において、RNAi剤は、約12時間に1回、約24時間に1回、約48時間に1回、約72時間に1回、及び約96時間に1回からなる群から選択される間隔で投与される。

一実施形態において、本方法は、対象のLDLR遺伝子型又は表現型を決定する工程を更に含む。

一実施形態において、投与により、対象における血清コレステロールが低下される。

一実施形態において、本方法は、対象における血清コレステロールレベルを決定する工程を更に含む。

本発明は、以下の詳細な説明及び図面によって更に例示される。

試験される全ての3つの投与量でGalNAcにコンジュゲートされるAD−48400による用量応答効果があることを示すグラフである。GalNAcにコンジュゲートされるAD−48399は、対照として働く。

示されるsiRNAについてのインビボでの有効性及び応答の持続時間を示すグラフである。

インビボでの有効性及びリード最適化について分析された二本鎖のセンス(出現する順にそれぞれ、配列番号1633〜1642)鎖及びアンチセンス(出現する順にそれぞれ、配列番号1643〜1652)鎖の配列を示す表である。

リード最適化のためのインビボでの有効性アッセイの結果を示すグラフである。

PCSK9トランスジェニックマウスにおいて行われるインビボでの用量応答アッセイの結果を示すグラフである。10mg/kg、3mg/kg、1mg/kg、及び0.3mg/kgのAD−57928の単回投与の72時間後、PCSK9タンパク質レベルを、ELISAによって測定した。

「初期投与段階」中の5×2mg/kgの用量及び「維持段階」中の1×2mg/kg又は2×2mg/kgの用量でのAD−57928の投与の後のPCSK9トランスジェニックマウスの血清中のPCSK9タンパク質のレベルを示すグラフである。

「初期投与段階」中の5×1mg/kgの用量及び「維持段階」中の1×1mg/kg又は2×1mg/kgの用量でのAD−57928の投与の後のPCSK9トランスジェニックマウスの血清中のPCSK9タンパク質のレベルを示すグラフである。

「初期投与段階」中の5×0.5mg/kgの用量及び「維持段階」中の1×0.5mg/kg又は2×0.5mg/kgの用量でのAD−57928の投与の後のPCSK9トランスジェニックマウスの血清中のPCSK9タンパク質のレベルを示すグラフである。

PCSK9トランスジェニックマウスにおいて行われるインビボでの用量応答アッセイの結果を示すグラフである。0.3mg/kgのsiRNAの単回投与の72時間後、PCSK9タンパク質レベルを、ELISAによって測定した。

1mg/kgのAD−57928又はAD−58895の単回用量を投与した後のC57B6野生型マウスの肝臓のナノグラム当たりのAD−57928及びAD−58895の量を示すグラフである。

1mg/kgのAD−57928又はAD−58895の単回用量を投与した後のC57B6野生型マウスの肝臓中の理論量における%として表されるAD−57928及びAD−58895の量を示すグラフである。

AD−57928配列と比較した際の、最適化された配列を含む本発明のiRNA剤を示す表である。図12Aには、出現する順にそれぞれ、配列番号1653〜1658としての「センス」配列、及び出現する順にそれぞれ、配列番号1659〜1664としての「アンチセンス」配列が開示されている。

示されるiRNA剤のIC

50値を示すグラフである。

示されるiRNA剤の単回の1mg/kgの用量の投与の後の、野生型マウスの肝臓中の示されるiRNA剤のレベルを示すグラフである。

qdx5+qwx3での示されるiRNA剤の投与の後の、PCSK9の前採血(pre−bleed)のレベルに対して残っているPCSK9のパーセントとして表される非ヒト霊長類の血清中のPCSK9タンパク質の量を示すグラフである。

qdx5+qwx3での示されるiRNA剤の投与の後の、非ヒト霊長類の血清中のPCSK9タンパク質の絶対量を示すグラフである。

qdx5+qwx3での示されるiRNA剤の投与の後の、LDLの前採血のレベルに対して残っているLDLのパーセントとして表される非ヒト霊長類の血清中の低比重リポタンパクコレステロール(LDL又はLDLc)の量を示すグラフである。

2mg/kg、q1w及び1mg/kg、2xwでのAD−57928の投与の後の、LDLの前採血のレベルの平均量におけるパーセントとして表される非ヒト霊長類の血清中の低比重リポタンパクコレステロール(LDL又はLDLc)の量を示すグラフである。

2mg/kg、q1w及び1mg/kg、2xwでのAD−57928の投与の後の、非ヒト霊長類の血清中の前採血の量に対するPCSK9タンパク質の量を示すグラフである。

2mg/kg、2xw及び単回の25mg/kgの用量でのAD−57928の投与の後の、LDLの前採血のレベルの平均量におけるパーセントとして表される非ヒト霊長類の血清中の低比重リポタンパクコレステロール(LDL又はLDLc)の量を示すグラフである。2mg/kg、2xw群の最終投与は、36日目であった。

2mg/kg、2xw及び単回の25mg/kgの用量でのAD−57928の投与の後の、非ヒト霊長類の血清中の前採血の量に対するPCSK9タンパク質の量を示すグラフである。

qdx5+qwx3での示されるiRNA剤の投与の後の、LDLの前採血のレベルに対して残っているLDLのパーセントとして表される非ヒト霊長類の血清中の低比重リポタンパクコレステロール(LDL又はLDLc)の量を示すグラフである。

qdx5+qwx3での示されるiRNA剤の投与の後の、LDLの前採血のレベルに対して残っているLDLのパーセントとして表される非ヒト霊長類の血清中の低比重リポタンパクコレステロール(LDL又はLDLc)の量を示すグラフである。

本発明は、PCSK9を標的とするRNAi剤、例えば、二本鎖iRNA剤を含む組成物を提供する。PCSK9発現を阻害し、PCSK9発現に関連する病変、例えば、高コレステロール血症を処置するための本発明の組成物の使用方法も開示される。

I.定義 本発明がより容易に理解され得るように、いくつかの用語がまず定義される。更に、変数の値又は値の範囲が記載されるときは常に、記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図されることに留意されたい。

冠詞「a」及び「an」は、その冠詞の文法的目的語の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素、例えば、複数の要素を意味する。

「〜を含む(including)」という用語は、「〜を含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」という語句を意味するために本明細書において使用され、この語句と同義的に使用される。

「又は」という用語は、文脈上明らかに他の意味を示さない限り、「及び/又は」という用語を意味するために本明細書において使用され、この用語と同義的に使用される。

本明細書において使用される際、「PCSK9」は、プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9遺伝子又はタンパク質を指す。PCSK9は、FH3、HCHOLA3、NARC−1、又はNARClとしても知られている。CSK9という用語は、ヒトPCSK9(そのアミノ酸及びヌクレオチド配列が、例えば、GenBank登録番号GI:299523249に見られる);マウスPCSK9(そのアミノ酸及びヌクレオチド配列が、例えば、GenBank登録番号GI:163644257に見られる);ラットPCSK9(そのアミノ酸及びヌクレオチド配列が、例えば、GenBank登録番号GI:77020249に見られる)を含む。PCSK9 mRNA配列の更なる例が、例えば、GenBankを用いて容易に利用可能である。

本明細書において使用される際、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、PCSK9遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続する部分を指す。

本明細書において使用される際、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチドの命名法を用いて示される配列によって表されるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。

「G」、「C」、「A」及び「U」はそれぞれ、一般に、それぞれ、塩基としてグアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルを含むヌクレオチドを表す。「T」及び「dT」は、本明細書において同義的に使用され、核酸塩基が、チミン、例えば、デオキシリボチミン、2’−デオキシチミジン又はチミジンであるデオキシリボヌクレオチドを指す。しかしながら、「リボヌクレオチド」又は「ヌクレオチド」又は「デオキシリボヌクレオチド」という用語は、以下に更に詳述されるように、修飾ヌクレオチド、又は代理置換部分(surrogate replacement moiety)も指し得ることが理解されよう。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルが、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性をそれほど変化させずに他の部分によって置換され得ることを十分に認識している。例えば、限定はされないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドが、アデニン、シトシン、又はウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合し得る。したがって、ウラシル、グアニン、又はアデニンを含むヌクレオチドは、本発明のヌクレオチド配列において、例えば、イノシンを含むヌクレオチドによって置換され得る。このような置換部分を含む配列は、本発明の実施形態である。

本明細書において同義的に使用される「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」という用語は、その用語が本明細書において定義されるように、RNAを含有し、且つRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写物の標的化された切断を仲介する剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として公知のプロセスによってmRNAの配列に特異的な分解を導く。iRNAは、細胞、例えば、哺乳動物対象などの対象中の細胞内でのPCSK9の発現を調節する(例えば阻害する)。

一実施形態において、本発明のRNAi剤は、標的RNA配列、例えば、PCSK9標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く一本鎖RNAを含む。理論に制約されるのを望むものではないが、細胞中に導入される長い二本鎖RNAが、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解されると考えられる(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、dsRNAをプロセシングして、特徴的な2つの塩基3’オーバーハングを有する19〜23塩基対の短干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、ここで、1つ又は複数のヘリカーゼが、siRNA二本鎖をほどいて、相補的なアンチセンス鎖が、標的認識を導くことを可能にする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC中の1つ又は複数のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。ここで、一態様において、本発明は、細胞中で生成され、且つ標的遺伝子、すなわち、PCSK9遺伝子のサイレンシングをもたらすRISC複合体の形成を促進する一本鎖RNA(siRNA)に関する。したがって、「siRNA」という用語はまた、上記のRNAiを指すために本明細書において使用される。

別の実施形態において、RNAi剤は、標的mRNAを阻害するために細胞又は生物に導入される一本鎖siRNAであり得る。一本鎖RNAi剤は、RISCエンドヌクレアーゼArgonaute 2に結合し、これが、次に、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、一般に、15〜30のヌクレオチドであり、化学的に修飾される。一本鎖siRNAの設計及び試験が、米国特許第8,101,348号明細書及びLima et al.,(2012)Cell 150:883−894に記載され、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。本明細書に記載されるアンチセンスヌクレオチド配列のいずれかが、本明細書に記載されるような又はLima et al.,(2012)Cell 150;:883−894に記載される方法によって化学的に修飾される一本鎖siRNAとして使用され得る。

別の実施形態において、本発明の組成物、使用及び方法に使用するための「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書において「二本鎖RNAi剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」、又は「dsRNA」と呼ばれる。「dsRNA」という用語は、標的RNA、すなわち、PCSK9遺伝子に対する「センス」及び「アンチセンス」配向を有することが示される、2本の逆平行で且つ実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を指す。本発明のある実施形態において、二本鎖RNA(dsRNA)は、本明細書においてRNA干渉又はRNAiと呼ばれる、転写後遺伝子サイレンシング機構による、標的RNA、例えば、mRNAの分解を引き起こす。

一般に、dsRNA分子のそれぞれの鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載されるように、それぞれの又は両方の鎖は、1つ又は複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドも含み得る。更に、本明細書において使用される際、「RNAi剤」は、化学的修飾を有するリボヌクレオチドを含んでいてもよく;RNAi剤は、複数のヌクレオチドにおける実質的な修飾を含み得る。このような修飾は、本明細書に開示されるか又は当該技術分野において公知のあらゆるタイプの修飾を含み得る。siRNAタイプの分子に使用される際のいずれのこのような修飾も、本明細書及び特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」によって包含される。

二本鎖構造を形成する2本の鎖は、1つのより大きいRNA分子の異なる部分であってもよく、又はそれらは別個のRNA分子であってもよい。2本の鎖が、1つのより大きい分子の一部であり、したがって、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖によって結合された場合、結合するRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。2本の鎖が、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖以外の手段によって共有結合された場合、結合構造は、「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は、同じか又は異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖のヌクレオチドの数から、二本鎖に存在するオーバーハングを引いた数である。二本鎖構造に加えて、RNAi剤は、1つ又は複数のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。

一実施形態において、本発明のRNAi剤は、標的RNA配列、例えば、PCSK9標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く24〜30のヌクレオチドのdsRNAである。理論に制約されるのを望むものではないが、細胞中に導入される長い二本鎖RNAは、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解される(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、dsRNAをプロセシングして、特徴的な2つの塩基3’オーバーハングを有する19〜23塩基対短干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、ここで、1つ又は複数のヘリカーゼが、siRNA二本鎖をほどいて、相補的なアンチセンス鎖が、標的認識を導くことを可能にする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC中の1つ又は複数のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。本明細書において使用される際、「ヌクレオチドオーバーハング」は、RNAi剤の1本の鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて延びるか、又はその逆である場合、RNAi剤の二本鎖構造から突出する1つ又は複数の不対ヌクレオチドを指す。「平滑な」又は「平滑末端」は、二本鎖RNAi剤の該当する末端に不対ヌクレオチドが存在しない、即ち、ヌクレオチドオーバーハングが存在しないことを意味する。「平滑末端」RNAi剤は、その全長にわたって二本鎖である、即ち、分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングが存在しないdsRNAである。本発明のRNAi剤は、一方の末端にヌクレオチドオーバーハングを有するRNAi剤(即ち、1つのオーバーハング及び1つの平滑末端を有する剤)又は両方の末端にヌクレオチドオーバーハングを有するRNAi剤を含む。

「アンチセンス鎖」という用語は、標的配列に実質的に相補的な領域を含む二本鎖RNAi剤(例えば、ヒトPCSK9 mRNA)の鎖を指す。本明細書において使用される際、「トランスサイレチンをコードするmRNAの一部に相補的な領域」という用語は、PCSK9 mRNA配列の一部に実質的に相補的なアンチセンス鎖の領域を指す。相補性の領域が、標的配列に完全には相補的でない場合、ミスマッチは、末端領域において最も許容され、存在する場合、一般に、1つ又は複数の末端領域、例えば、5’末端及び/又は3’末端の6、5、4、3、又は2つのヌクレオチド中に存在する。

本明細書において使用される際の「センス鎖」という用語は、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含むdsRNAの鎖を指す。

本明細書において使用される際、「切断領域」という用語は、切断部位に直接隣接して位置する領域を指す。切断部位は、標的における、切断が生じる部位である。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した3つの塩基を含む。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した2つの塩基を含む。ある実施形態において、切断部位は、アンチセンス鎖のヌクレオチド10及び11によって結合される部位で特異的に生じ、切断領域は、ヌクレオチド11、12及び13を含む。

本明細書において使用される際、特に示されない限り、「相補的な」という用語は、当業者により理解されるように、第1のヌクレオチド配列を第2のヌクレオチド配列と関連して記載するのに使用される場合、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、所定の条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能を指す。このような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ここで、ストリンジェントな条件は、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、50℃又は70℃で12〜16時間と、それに続く洗浄を含み得る。生物の内部で起こり得る生理学的に関連した条件などの他の条件を適用することができる。例えば、相補的な配列は、核酸の関連する機能、例えば、RNAiを進行させるのに十分である。当業者は、ハイブリダイズされたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適切な条件の組を決定することができるであろう。

配列は、第1及び第2のヌクレオチド配列の全長にわたる、第1のヌクレオチド配列を含むヌクレオチドと、第2のヌクレオチド配列を含むヌクレオチドとの塩基対合がある場合、互いに対して「完全に相補的」であり得る。しかしながら、第1の配列が、本明細書において第2の配列に対して「実質的に相補的な」と称される場合、2つの配列は、完全に相補的であり得、又は、それらの最終的な適用に最も関連する条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、ハイブリダイゼーションを行うと、それらは、1つ又は複数であるが、一般に、4、3又は2以下のミスマッチ塩基対を形成し得る。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーションの際に1つ又は複数の一本鎖オーバーハングを形成するように設計されている場合、このようなオーバーハングは、相補性の決定に関してはミスマッチと見なされないものとする。例えば、本明細書に記載される目的のために、21ヌクレオチド長の一方のオリゴヌクレオチドと、23ヌクレオチド長の別のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAは、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含む場合、「完全に相補的な」と称されてもよい。

本明細書において使用される際の「相補的な」配列は、それらのハイブリダイズする能力に関連した上記の要求が満たされる限り、非ワトソン−クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含むことができ、又はこのような塩基対から完全に形成され得る。このような非ワトソン−クリック塩基対としては、限定はされないが、G:Uゆらぎ又はフーグスティーン型塩基対が挙げられる。

本明細書における「相補的な」、「完全に相補的な」及び「実質的に相補的な」という用語は、それらの使用の状況から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間で、又はdsRNAのアンチセンス鎖と標的配列との間で、一致する塩基に関連して使用され得る。

本明細書において使用される際、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部に実質的に相補的な」ポリヌクレオチドは、5’UTR、オープン・リーディング・フレーム(ORF)、又は3’UTRを含む目的のmRNA(例えば、PCSK9をコードするmRNA)の連続する部分に実質的に相補的なポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列がPCSK9をコードするmRNAの連続する部分と実質的に相補的である場合、PCSK9 mRNAの少なくとも一部に相補的である。

本明細書において使用される際の「阻害する」という用語は、「低下させる」、「サイレンシングする」、「下方制御する」、「抑制する」及び他の類似語と同義的に使用され、任意のレベルの阻害を含む。

本明細書において使用される際の「PCSK9の発現を阻害する」という語句は、任意のPCSK9遺伝子(例えば、マウスPCSK9遺伝子、ラットPCSK9遺伝子、サルPCSK9遺伝子、又はヒトPCSK9遺伝子など)ならびに変異体、(例えば、自然発生変異体)、又はPCSK9遺伝子の突然変異体の発現の阻害を含む。したがって、PCSK9遺伝子は、野生型PCSK9遺伝子、突然変異体PCSK9遺伝子、又は遺伝子組み換えされた細胞、細胞群、又は生物の文脈におけるトランスジェニックPCSK9遺伝子であり得る。

「PCSK9遺伝子の発現を阻害する」は、PCSK9遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%,少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%などの、PCSK9遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を含む。

PCSK9遺伝子の発現は、PCSK9遺伝子の発現に関連する任意の変数のレベル、例えば、PCSK9 mRNAレベル、PCSK9タンパク質レベル、又は血清脂質レベルに基づいて評価され得る。阻害は、対照のレベルと比較したこれらの変数の1つ又は複数の絶対的又は相対的レベルの低下によって評価され得る。対照のレベルは、当該技術分野において用いられる任意のタイプの対照のレベル、例えば、投与前ベースライン(pre−dose baseline)レベル、又は非処理又は対照(例えば、緩衝液のみの対照又は不活性な剤の対照など)で処理された同様の対象、細胞、又は試料から測定されるレベルであり得る。

本明細書において使用される際の「細胞を二本鎖RNAi剤と接触させる」という語句は、任意の可能な手段によって細胞を接触させることを含む。細胞を二本鎖RNAi剤と接触させる工程は、細胞をRNAi剤とインビトロで接触させる工程又は細胞をRNAi剤とインビボで接触させる工程を含む。接触は、直接又は間接的に行われ得る。したがって、例えば、RNAi剤は、方法を個々に行うことによって細胞と物理的に接触されてもよく、あるいは、RNAi剤は、それを後に細胞と接触させるのを可能にするか又はそれを後に細胞と接触させる状況に置かれてもよい。

細胞をインビトロで接触させる工程は、例えば、RNAi剤とともに細胞をインキュベートすることによって行われ得る。細胞をインビボで接触させる工程は、RNAi剤が接触される細胞が位置する組織に後に到達するように、例えば、RNAi剤を、細胞が位置する組織中又は組織の近傍に注入することによって、又はRNAi剤を、別の領域、血流又は皮下腔中に注入することによって行われ得る。例えば、RNAi剤は、目的の部位、例えば、肝臓にRNAi剤を指向するリガンド、例えば、GalNAc3リガンドを含んでいてもよく、及び/又はそれに結合され得る。インビトロ及びインビボでの接触方法の組合せも可能である。本発明の方法に関連して、細胞はまた、RNAi剤とインビトロで接触され、その後、対象に移植されてもよい。

本明細書において使用される際の「患者」又は「対象」は、ヒト又は非ヒト動物のいずれか、好ましくは、哺乳動物、例えば、サルを含むことが意図される。最も好ましくは、対象又は患者はヒトである。

本明細書において使用される際の「PCSK9に関連する疾病」は、PCSK9遺伝子又はタンパク質に関連する任意の疾病を含むことが意図される。このような疾病は、例えば、PCSK9タンパク質の過剰な産生によって、PCSK9遺伝子の突然変異によって、PCSK9タンパク質の異常な切断によって、PCSK9と他のタンパク質との間の異常な相互作用又は他の内因性若しくは外因性物質によって引き起こされ得る。例示的なPCSK9に関連する疾病としては、脂肪血症、例えば、高脂質血症、ならびに高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び心疾患及び循環器系疾患などのこれらの障害に関連する病態などの他の形態の脂質の不均衡が挙げられる。

本明細書において使用される際の「治療有効量」は、PCSK9に関連する疾病を処置するために患者に投与される場合、(例えば、既存の疾病又は疾病の1つ又は複数の症状を軽減し、改善し、又は維持することによって)この疾病の処置を行うのに十分な、RNAi剤の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi剤、RNAi剤が投与される方法、疾病及びその重症度ならびに処置される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、PCSK9発現によって媒介される病理学的過程の段階、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び他の個体特性に応じて変化し得る。

本明細書において使用される際の「予防的に有効な量」は、PCSK9に関連する疾病の症状をまだ生じても又は示してもいないが、この疾病に罹患しやすい可能性のある対象に投与される場合、この疾病又はこの疾病の1つ又は複数の症状を予防又は改善するのに十分な、RNAi剤の量を含むことが意図される。疾病の改善は、この疾病の経過を遅らせること又は後から発症する疾病の重症度を軽減することを含む。「予防的に有効な量」は、RNAi剤、薬剤が投与される方法、疾病に罹患する危険度、ならびに処置される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び他の個体特性に応じて変化し得る。

「治療有効量」又は「予防的に有効な量」はまた、任意の処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比(benefit/risk ratio)である所望の局所又は全身的作用を生じる、RNAi剤の量を含む。本発明の方法に用いられるiRNA剤(gent)は、このような処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比を得るのに十分な量で投与され得る。

本明細書において使用される際の「試料」という用語は、対象から単離された類似の体液、細胞、又は組織、ならびに対象中に存在する体液、細胞、又は組織の集合体を含む。生体液の例としては、血液、血清及び漿膜液、血漿、脳脊髄液、眼液、リンパ液、尿、唾液などが挙げられる。組織試料は、組織、器官又は局所領域に由来する試料を含み得る。例えば、試料は、特定の器官、器官の部分、あるいはそれらの器官中の体液又は細胞に由来し得る。特定の実施形態において、試料は、肝臓(例えば、全肝臓又は肝臓の特定の部分又は、例えば、肝細胞などの肝臓中の特定のタイプの細胞)に由来し得る。好ましい実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる血液又は血漿を指す。更なる実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる肝臓組織(又はその小部分(subcomponent))を指す。

II.本発明のiRNA 対象、例えば、哺乳動物(脂質障害、例えば、高コレステロール血症に罹患しているヒトなど)中の細胞などの細胞内でのPCSK9遺伝子の発現を阻害する改良された二本鎖RNAi剤及びこのような二本鎖RNAi剤の使用が本明細書に記載される。

本発明の二本鎖RNAi剤としては、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、2011年11月18日に出願された米国仮特許出願第61/561,710号明細書に開示される化学的修飾を有する薬剤が挙げられる。

本明細書及び米国仮特許出願第61/561,710号明細書に示されるように、より優れた結果が、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを、RNAi剤のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖中、特に、切断部位又はその近傍に導入することによって得られる。ある実施形態において、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、あるいは完全に修飾され得る。これらのモチーフの導入により、存在する場合、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾パターンが中断される。RNAi剤は、例えば、センス鎖上で、GalNAc誘導体リガンドと任意選択でコンジュゲートされ得る。得られたRNAi剤は、より優れた遺伝子サイレンシング活性を示す。

より詳細には、二本鎖RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖が、RNAi剤の少なくとも1つの鎖の切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを有するように完全に修飾される場合、RNAi剤の遺伝子サイレンシング活性が優位に向上されたことが意外にも発見された。

したがって、本発明は、インビボでの標的遺伝子(即ち、プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)遺伝子)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤を提供する。RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。RNAi剤の各鎖は、12〜30ヌクレオチド長の範囲であり得る。例えば、各鎖は、14〜30ヌクレオチド長、17〜30ヌクレオチド長、25〜30ヌクレオチド長、27〜30ヌクレオチド長、17〜23ヌクレオチド長、17〜21ヌクレオチド長、17〜19ヌクレオチド長、19〜25ヌクレオチド長、19〜23ヌクレオチド長、19〜21ヌクレオチド長、21〜25ヌクレオチド長、又は21〜23ヌクレオチド長であり得る。

センス鎖及びアンチセンス鎖は、典型的に、本明細書において「RNAi剤」とも呼ばれる二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成する。RNAi剤の二本鎖領域は、12〜30ヌクレオチド対長であり得る。例えば、二本鎖領域は、14〜30ヌクレオチド対長、17〜30ヌクレオチド対長、27〜30ヌクレオチド対長、17〜23ヌクレオチド対長、17〜21ヌクレオチド対長、17〜19ヌクレオチド対長、19〜25ヌクレオチド対長、19〜23ヌクレオチド対長、19〜21ヌクレオチド対長、21〜25ヌクレオチド対長、又は21〜23ヌクレオチド対長であり得る。別の例では、二本鎖領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、及び27ヌクレオチド長から選択される。

一実施形態において、RNAi剤は、1つ又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は両方の末端において1つ又は複数のオーバーハング領域及び/又はキャッピング基を含み得る。オーバーハングは、1〜6ヌクレオチド長、例えば、2〜6ヌクレオチド長、1〜5ヌクレオチド長、2〜5ヌクレオチド長、1〜4ヌクレオチド長、2〜4ヌクレオチド長、1〜3ヌクレオチド長、2〜3ヌクレオチド長、又は1〜2ヌクレオチド長であり得る。オーバーハングは、1つの鎖が他の鎖より長い結果であるか、又は同じ長さの2つの鎖が互い違いになっている結果であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。第1及び第2の鎖がまた、例えば、ヘアピンを形成するように更なる塩基によって、又は他の非塩基リンカーによって結合され得る。

一実施形態において、RNAi剤のオーバーハング領域中のヌクレオチドはそれぞれ、独立して、限定はされないが、2−F、2’−Oメチル、チミジン(T)、2’−O−メトキシエチル−5−メチルウリジン(Teo)、2’−O−メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2’−O−メトキシエチル−5−メチルシチジン(m5Ceo)、及びそれらの任意の組合せなどの、2’−糖修飾を含む、修飾又は非修飾ヌクレオチドであり得る。例えば、TTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のためのオーバーハング配列であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。

RNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖における5’−又は3’−オーバーハングは、リン酸化され得る。ある実施形態において、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含み、ここで、2つのヌクレオチドは、同じか又は異なり得る。一実施形態において、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に存在する。一実施形態において、この3’−オーバーハングは、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態において、この3’−オーバーハングは、センス鎖中に存在する。

RNAi剤は、その全体的安定性に影響を与えずに、RNAiの干渉活性を強化し得る1つのみのオーバーハングを含み得る。例えば、一本鎖オーバーハングは、センス鎖の3’末端、あるいは、アンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiは、アンチセンス鎖の5’末端(又はセンス鎖の3’末端)又はその逆に位置する平滑末端も有し得る。一般に、RNAiのアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’末端は平滑である。理論に制約されるのを望むものではないが、アンチセンス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングにおける非対称の平滑末端は、RISCプロセスへのガイド鎖導入に有利に働く。

一実施形態において、RNAi剤は、19ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖(double ended bluntmer)であり、センス鎖は、5’末端から7位、8位、9位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。

別の実施形態において、RNAi剤は、20ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から8位、9位、10位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。

更に別の実施形態において、RNAi剤は、21ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。

一実施形態において、RNAi剤は、21ヌクレオチドセンス鎖及び23ヌクレオチドアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み;アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、RNAi剤の一方の末端が平滑である一方、他方の末端は、2つのヌクレオチドオーバーハングを含む。好ましくは、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にある。2つのヌクレオチドオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある場合、末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合があり得、3つのうちの2つのヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方における末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有する。一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。一実施形態において、各残基が、独立して、例えば、交互のモチーフ中で、2’−O−メチル又は3’−フルオロで修飾される。任意選択で、RNAi剤は、リガンド(好ましくは、GalNAc3)を更に含む。

一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、RNAi剤は、少なくとも25且つ29以下のヌクレオチド長を有する第1の鎖と、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む、30ヌクレオチド長以下を有する第2の鎖とを含み;第1の鎖の3’末端及び第2の鎖の5’末端が、平滑末端を形成し、第2の鎖は、その3’末端で第1の鎖より1〜4ヌクレオチド長く、二本鎖領域は、少なくとも25ヌクレオチド長であり、第2の鎖は、RNAi剤が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、第2の鎖長の少なくとも19のヌクレオチドに沿って標的mRNAに十分に相補的であり、RNAi剤のダイサー切断(dicer cleavage)が、第2の鎖の3’末端を含むsiRNAを優先的にもたらし、それにより、哺乳動物における標的遺伝子の発現を低下させる。任意選択で、RNAi剤は、リガンドを更に含む。

一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、モチーフの1つは、センス鎖の切断部位に存在する。

一実施形態において、RNAi剤のアンチセンス鎖も、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含むことができ、モチーフの1つは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。

17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有するRNAi剤では、アンチセンス鎖の切断部位は、典型的に、5’末端から10位、11位及び12位の付近である。したがって、3つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて、又は、アンチセンス鎖の5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。アンチセンス鎖中の切断部位はまた、5’末端からのRNAiの二本鎖領域の長さに応じて変化し得る。

RNAi剤のセンス鎖は、鎖の切断部位に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含んでいてもよく;アンチセンス鎖は、鎖の切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを有し得る。センス鎖及びアンチセンス鎖がdsRNA二本鎖を形成する場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、センス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフ及びアンチセンス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフが、少なくとも1つのヌクレオチドの重複を有し、即ち、センス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、アンチセンス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つと塩基対を形成するように整列され得る。あるいは、少なくとも2つのヌクレオチドが重複してもよく、又は全ての3つのヌクレオチドが重複してもよい。

一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含み得る。第1のモチーフは、鎖の切断部位又はその近傍に存在してもよく、他のモチーフは、ウイング修飾(wing modification)であり得る。本明細書における「ウイング修飾」という用語は、同じ鎖の切断部位又はその近傍のモチーフから離れた鎖の別の部分に存在するモチーフを指す。ウイング修飾は、第1のモチーフに隣接するか、又は少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている。モチーフが、互いに直接隣接している場合、モチーフの化学構造は、互いに異なり、モチーフが、1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている場合、化学構造は、同じか又は異なり得る。2つ以上のウイング修飾が存在し得る。例えば、2つのウイング修飾が存在する場合、各ウイング修飾は、切断部位又はその近傍の第1のモチーフに対して1つの端部に又はリードモチーフ(lead motif)のいずれかの側に存在し得る。

センス鎖と同様に、RNAi剤のアンチセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含んでいてもよく、モチーフの少なくとも1つが、鎖の切断部位又はその近傍に存在する。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖に存在し得るウイング修飾と同様の配列で1つ又は複数のウイング修飾を含み得る。

一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端に第1の1つ又は2つの末端ヌクレオチドを含まない。

別の実施形態において、RNAi剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端の二本鎖領域内に第1の1つ又は2つの対合ヌクレオチドを含まない。

RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも1つのウイング修飾を含む場合、ウイング修飾は、二本鎖領域の同じ末端に位置してもよく、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し得る。

RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも2つのウイング修飾を含む場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の1つの末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の他方の末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がリードモチーフの各側に位置して、二本鎖領域中に1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有するように整列され得る。

一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが修飾され得る。各ヌクレオチドは、同じ又は異なる修飾で修飾されてもよく、この修飾は、非結合リン酸酸素及び/又は結合リン酸酸素の1つ又は複数の一方又は両方の1つ又は複数の変更;リボース糖の成分、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの変更;「脱リン(dephospho)」リンカーによるリン酸部分の大規模な置換;天然の塩基の修飾又は置換;及びリボース−リン酸骨格の置換又は修飾を含み得る。

核酸が、サブユニットのポリマーであるため、例えば、塩基、又はリン酸部分、又はリン酸部分の非結合Oの修飾といった修飾の多くは、核酸内の繰り返される位置に存在する。場合によっては、修飾は、核酸中の目的の位置の全てに存在し得るが、多くの場合、そうではない。例として、修飾は、3’又は5’末端位置のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、又はその両方に存在してもよい。修飾は、RNAの二本鎖領域のみに存在してもよく、又はRNAの一本鎖領域のみに存在してもよい。例えば、非結合O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方又は両方の末端のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよく、又は二本鎖及び一本鎖領域、特に、末端に存在してもよい。5’末端又は両方の末端が、リン酸化され得る。

例えば、安定性を高めること、オーバーハング中に特定の塩基を含むこと、又は一本鎖オーバーハング、例えば、5’又は3’オーバーハング、又はその両方に修飾ヌクレオチド又はヌクレオチド代用物(surrogate)を含むことが可能であり得る。例えば、オーバーハング中にプリンヌクレオチドを含むことが望ましいことがある。ある実施形態において、3’又は5’オーバーハング中の塩基の全て又は一部が、例えば、本明細書に記載される修飾で修飾されてもよい。修飾は、例えば、当該技術分野において公知の修飾によるリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりにデオキシリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロ(2’−F)又は2’−O−メチル修飾の使用、及びリン酸基の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。

一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、LNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−デオキシ、2’−ヒドロキシル、又は2’−フルオロで修飾される。鎖は、2つ以上の修飾を含み得る。一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、2’−O−メチル又は2’−フルオロで修飾される。

少なくとも2つの異なる修飾が、典型的に、センス鎖及びアンチセンス鎖に存在する。それらの2つの修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾、又は他のものであり得る。

一実施形態において、Na及び/又はNbは、交互のパターンの修飾を含む。本明細書において使用される際の「交互のモチーフ」という用語は、1つ又は複数の修飾を有するモチーフを指し、各修飾が、1つの鎖の交互のヌクレオチドに存在する。交互のヌクレオチドは、1つおきのヌクレオチドに1つ又は3つおきのヌクレオチドに1つ、又は同様のパターンを指し得る。例えば、A、B及びCがそれぞれ、ヌクレオチドに対する1つのタイプの修飾を表す場合、交互のモチーフは、「ABABABABABAB・・・」、「AABBAABBAABB・・・」、「AABAABAABAAB・・・」、「AAABAAABAAAB・・・」、「AAABBBAAABBB・・・」、又は「ABCABCABCABC・・・」などであり得る。

交互のモチーフに含まれる修飾のタイプは、同じか又は異なり得る。例えば、A、B、C、Dがそれぞれ、ヌクレオチド上の1つのタイプの修飾を表す場合、交互のパターン、即ち、1つおきのヌクレオチドにおける修飾は、同じであってもよいが、センス鎖又はアンチセンス鎖のそれぞれが、「ABABAB・・・」、「ACACAC・・・」「BDBDBD・・・」又は「CDCDCD・・・」などの交互のモチーフ内の修飾のいくつかの可能性から選択され得る。

一実施形態において、本発明のRNAi剤は、アンチセンス鎖における交互のモチーフの修飾パターンに対してシフトされた、センス鎖における交互のモチーフの修飾パターンを含む。このシフトは、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なる修飾の基に対応するか、その逆であるようなシフトであり得る。例えば、センス鎖は、dsRNA二本鎖におけるアンチセンス鎖と対合される場合、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「ABABAB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BABABA」から開始され得る。別の例として、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「AABBAABB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BBAABBAA」から開始してもよく、それにより、センス鎖とアンチセンス鎖との間の修飾パターンの完全な又は部分的なシフトが存在する。

一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖における2’−O−メチル修飾及び2’−F修飾の交互のモチーフのパターンを含み、このパターンは、最初に、アンチセンス鎖における2’−O−メチル修飾及び2’−F修飾の交互のモチーフのパターンに対するシフトを有し、即ち、センス鎖における2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが、アンチセンス鎖における2’−F修飾ヌクレオチドと塩基対を形成し、その逆も同様である。センス鎖の1位は、2’−F修飾から開始してもよく、アンチセンス鎖の1位は、2’−O−メチル修飾から開始してもよい。

センス鎖及び/又はアンチセンス鎖への、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフの導入は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖中に存在する最初の修飾パターンを中断する。センス鎖及び/又はアンチセンス鎖に3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを導入することによる、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾パターンのこの中断は、標的遺伝子の対する遺伝子サイレンシング活性を意外にも高める。

一実施形態において、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフが、鎖のいずれかに導入される場合、モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、モチーフの修飾と異なる修飾である。例えば、モチーフを含む配列の一部は、「・・・NaYYYNb・・・」であり、ここで、「Y」は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、「Na」及び「Nb」は、Yの修飾と異なる、モチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドの修飾を表し、Na及びNbは、同じか又は異なる修飾であり得る。あるいは、Na及び/又はNbは、ウイング修飾が存在する場合、存在していても又は存在していなくてもよい。

RNAi剤は、少なくとも1つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を更に含み得る。ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾は、鎖のいずれかの位置の、センス鎖又はアンチセンス鎖又は両方の鎖の任意のヌクレオチドに存在し得る。例えば、ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖における全てのヌクレオチドに存在してもよく;各ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖において交互のパターンで存在してもよく;又はセンス鎖又はアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合の修飾を含み得る。センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖と同じか又は異なっていてもよく、センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンに対するシフトを有し得る。

一実施形態において、RNAiは、オーバーハング領域にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を有する2つのヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチド間結合の修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを、二本鎖領域内の末端の対合ヌクレオチドと結合するために形成され得る。例えば、少なくとも2、3、4、又は全てのオーバーハングヌクレオチドが、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合によって結合されてもよく、任意選択で、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドと結合する更なるホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合が存在し得る。例えば、末端の3つのヌクレオチド間に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在してもよく、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。これらの末端の3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、及び/又はアンチセンス鎖の5’末端に存在し得る。

一実施形態において、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在し、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。任意選択で、RNAi剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方において、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有し得る。

一実施形態において、RNAi剤は、標的とのミスマッチ、二本鎖内のミスマッチ、又はそれらの組合せを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域又は二本鎖領域で生じ得る。塩基対は、解離又は融解(例えば、特定の対合の結合又は解離の自由エネルギーに対してであり、最も簡単な手法は、個々の対ごとに対を調べることであるが、類似の又は同様の分析も使用され得る)を促進する傾向に基づいて評価され得る。解離の促進に関して:A:Uが、G:Cより好ましく;G:Uが、G:Cより好ましく;I:Cが、G:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非正準又は正準以外の対合(本明細書の他の箇所に記載される)が、正準な(A:T、A:U、G:C)対合より好ましく;ユニバーサル塩基を含む対合が、正準な対合より好ましい。

一実施形態において、RNAi剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立して選択されるアンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの塩基対のうちの少なくとも1つ、及び二本鎖の5’末端におけるアンチセンス鎖の解離を促進するためのミスマッチ対、例えば、非正準又は正準以外の対合又はユニバーサル塩基を含む対合を含む。

一実施形態において、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、U、及びdTからなる群から選択される。あるいは、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1、2又は3塩基対のうちの少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の第1の塩基対は、AU塩基対である。

一実施形態において、センス鎖配列は、式(I): 5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’(I) (式中: i及びjがそれぞれ、独立して、0又は1であり; p及びqがそれぞれ、独立して、0〜6であり; 各Naが、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nbが、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; 各np及びnqが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; ここで、Nb及びYが、同じ修飾を有さず; XXX、YYY及びZZZがそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す) によって表され得る。好ましくは、YYYが、全て2’−F修飾ヌクレオチドである。

一実施形態において、Na及び/又はNbは、交互のパターンの修飾を含む。

一実施形態において、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、RNAi剤が、17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在し得る(例えば:6位、7位、8位、7位、8位、9位、8位、9位、10位、9位、10位、11位、10位、11位、12位又は11位、12位、13位に存在し得る)。

一実施形態において、iが1であり、jが0であり、又はiが0であり、jが1であり、又はi及びjの両方が1である。したがって、センス鎖は、以下の式によって表され得る: 5’np−Na−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’(Ib); 5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Na−nq3’(Ic);又は 5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’(Id)。

センス鎖が、式(Ib)によって表される場合、Nbは、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。

センス鎖が、式(Ic)として表される場合、Nbは、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。

センス鎖が、式(Id)として表される場合、各Nbは、独立して、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5又は6である。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。

X、Y及びZのそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。

他の実施形態において、iが0であり、jが0であり、センス鎖は、以下の式によって表され得る: 5’np−Na−YYY−Na−nq3’(Ia)。

センス鎖が、式(Ia)によって表される場合、各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。

一実施形態において、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II): 5’nq’−Na’−(Z’Z’Z’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(X’X’X’)l−N’a−np’3’(II) (式中: k及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; p’及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; 各Na’が、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb’が、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; 各np’及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; ここで、Nb’及びY’が、同じ修飾を有さず; X’X’X’、Y’Y’Y’及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す) によって表され得る。

一実施形態において、Na’及び/又はNb’は、交互のパターンの修飾を含む。

Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、RNAi剤が、17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。好ましくは、Y’Y’Y’モチーフは、11位、12位、13位に存在する。

一実施形態において、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’−OMe修飾ヌクレオチドである。

一実施形態において、kが1であり、lが0であり、又はkが0であり、lが1であり、又はk及びlの両方が1である。

したがって、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る: 5’nq’−Na’−Z’Z’Z’−Nb’−Y’Y’Y’−Na’−np’3’(IIb); 5’nq’−Na’−Y’Y’Y’−Nb’−X’X’X’−np’3’(IIc);又は 5’nq’−Na’−Z’Z’Z’−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−X’X’X’−Na’−np’3’(IId)。

アンチセンス鎖が、式(IIb)によって表される場合、Nbは、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。

アンチセンス鎖が、式(IIc)として表される場合、Nb’は、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。

アンチセンス鎖が、式(IId)として表される場合、各Nb’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5又は6である。

他の実施形態において、kが0であり、lが0であり、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る: 5’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’3’(Ia)。

アンチセンス鎖が、式(IIa)として表される場合、各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。

X’、Y’及びZ’のそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。

センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、LNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−ヒドロキシル、又は2’−フルオロで修飾され得る。例えば、センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、2’−O−メチル又は2’−フルオロで修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’及びZ’は、特に、2’−O−メチル修飾又は2’−フルオロ修飾を表し得る。

一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、二本鎖領域が21のヌクレオチドである場合、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の9位、10位及び11位に存在するYYYモチーフを含んでいてもよく;Yは、2’−F修飾を表す。センス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてXXXモチーフ又はZZZモチーフを更に含んでいてもよく;XXX及びZZZはそれぞれ、独立して、2’−OMe修飾又は2’−F修飾を表す。

一実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の11位、12位、13位に存在するY’Y’Y’モチーフを含んでいてもよく;Y’は、2’−O−メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてX’X’X’モチーフ又はZ’Z’Z’モチーフを更に含んでいてもよく;X’X’X’及びZ’Z’Z’はそれぞれ、独立して、2’−OMe修飾又は2’−F修飾を表す。

上の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び(Id)のいずれか1つによって表されるセンス鎖はそれぞれ、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)のいずれか1つによって表されるアンチセンス鎖と二本鎖を形成する。

したがって、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含んでいてもよく、各鎖は、14〜30のヌクレオチドを有し、RNAi二本鎖は、式(III): センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’ アンチセンス:3’np−Na−(X’X’X’)k−Nb−Y’Y’Y’−Nb−(Z’Z’Z’)l−Na−nq5’ (III) (式中: i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり; p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり; 各Na及びNaが、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み; 各Nb及びNbが、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し; ここで、 それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np’、np、nq’、及びnqが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し; XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す) によって表される。

一実施形態において、iが0であり、jが0であり;又はiが1であり、jが0であり;又はiが0であり、jが1であり;又はi及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である。別の実施形態において、kが0であり、lが0であり;又はkが1であり、lが0であり;kが0であり、lが1であり;又はk及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である。

RNAi二本鎖を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖の例示的な組合せは、以下の式を含む: 5’np−Na−YYY−Na−nq3’ 3’np−Na−Y’Y’Y’−Nanq5’ (IIIa) 5’np−Na−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’ 3’np−Na−Y’Y’Y’−Nb−Z’Z’Z’−Nanq5’ (IIIb) 5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Na−nq3’ 3’np−Na−X’X’X’−Nb−Y’Y’Y’−Na−nq5’ (IIIc) 5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’ 3’np−Na−X’X’X’−Nb−Y’Y’Y’−Nb−Z’Z’Z’−Na−nq5’ (IIId)

RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。

RNAi剤が、式(IIIb)によって表される場合、各Nbは、独立して、1〜10、1〜7、1〜5又は1〜4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。

RNAi剤が、式(IIIc)として表される場合、各Nb、Nb’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。

RNAi剤が、式(IIId)として表される場合、各Nb、Nb’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na、Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。Na、Na’、Nb及びNbのそれぞれは、独立して、交互のパターンの修飾を含む。

式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)中のX、Y及びZのそれぞれは、互いに同じか又は異なり得る。

RNAi剤が、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される場合、Yヌクレオチドの少なくとも1つが、Y’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Yヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はYヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。

RNAi剤が、式(IIIb)又は(IIId)によって表される場合、Zヌクレオチドの少なくとも1つが、Z’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Zヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はZヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。

RNAi剤が、式(IIIc)又は(IIId)として表される場合、Xヌクレオチドの少なくとも1つが、X’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Xヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はXヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。

一実施形態において、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾と異なり、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾と異なり、及び/又はXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾と異なる。

一実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾である。別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。更に別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。

一実施形態において、RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。

一実施形態において、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される少なくとも2つの二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。

一実施形態において、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。

一実施形態において、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される2つのRNAi剤は、5’末端、及び3’末端の一方又は両方で互いに結合され、任意選択で、リガンドにコンジュゲートされる。RNAi剤のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又はRNAi剤のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。

様々な刊行物に、本発明の方法に使用され得る多量体RNAi剤が記載されている。このような刊行物としては、国際公開第2007/091269号パンフレット、米国特許第7858769号明細書、国際公開第2010/141511号パンフレット、国際公開第2007/117686号パンフレット、国際公開第2009/014887号パンフレット及び国際公開第2011/031520号パンフレットが挙げられ、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。

RNAi剤に対する1つ又は複数の炭水化物部分のコンジュゲーションを含むRNAi剤は、RNAi剤の1つ又は複数の特性を最適化することができる。多くの場合、炭水化物部分は、RNAi剤の修飾サブユニットに結合される。例えば、dsRNA剤の1つ又は複数のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが結合される非炭水化物(好ましくは環状の)担体で置換され得る。サブユニットのリボース糖がこのように置換されたリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書において、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と呼ばれる。環状担体は、炭素環系であってもよく、即ち、全ての環原子が、炭素原子であり、又は複素環系、即ち、1つ又は複数の環原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄であり得る。環状担体は、単環系であってもよく、又は2つ以上の環、例えば縮合環を含み得る。環状担体は、完全に飽和した環系であってもよく、又は1つ又は複数の二重結合を含み得る。

リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合され得る。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは、2つの「骨格結合点」及び(ii)少なくとも1つの「テザー結合点(tethering attachment point)」を含む。本明細書において使用される際の「骨格結合点」は、官能基、例えば、ヒドロキシル基、又は一般に、骨格、例えば、リン酸塩、又は修飾リン酸塩、例えば、硫黄を含有する、リボ核酸の骨格中への担体の組み込みに利用可能であり且つそれに適した結合を指す。「テザー結合点」(TAP)は、ある実施形態において、選択された部分を接続する環状担体の構成環原子、例えば、炭素原子又はヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子と異なる)を指す。この部分は、例えば、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖及び多糖であり得る。任意選択で、選択された部分は、介在するテザー(intervening tether)によって環状担体に接続される。したがって、環状担体は、多くの場合、官能基、例えば、アミノ基を含み、又は一般に、構成環への別の化学成分、例えば、リガンドの組み込み又は連結(tethering)に適した結合を提供する。

RNAi剤は、担体を介してリガンドにコンジュゲートされてもよく、この担体は、環式基又は環式基であり得;好ましくは、環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル(pyridazinonyl)、テトラヒドロフリル及びデカリンから選択され;好ましくは、環式基は、セリノール骨格又はジエタノールアミン骨格から選択される。

ある特定の実施形態において、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、表1及び表2に列挙される剤の群から選択される剤である。

これらの剤は、リガンドを更に含み得る。

A.リガンド 本発明の二本鎖RNA(dsRNA)剤は、任意選択で、1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートされ得る。リガンドは、3’末端、5’末端又は両方の末端において、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖に結合され得る。例えば、リガンドは、センス鎖にコンジュゲートされ得る。好ましい実施形態において、リガンドは、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる。好ましい一実施形態において、リガンドは、GalNAcリガンドである。特に好ましい実施形態において、リガンドは、GalNAc3である:

ある実施形態において、リガンド、例えば、GalNAcリガンドは、RNAi剤の3’末端に結合される。一実施形態において、RNAi剤は、以下の概略図

(式中、Xが、O又はSである)に示されるように、リガンド、例えば、GalNAcリガンドにコンジュゲートされる。一実施形態において、XがOである。

様々な構成要素が、本発明のRNAi剤に結合され得る。好ましい部分は、介在するテザーを介して直接又は間接的に、好ましくは共有結合で結合されるリガンドである。

好ましい実施形態において、リガンドは、リガンドが組み込まれる分子の分布、標的化又は寿命を変化させる。好ましい実施形態において、リガンドは、例えば、このようなリガンドが存在しない種と比較して、選択された標的、例えば、分子、細胞又は細胞型、区画、受容体、例えば、細胞若しくは器官の区画、組織、器官又は身体の領域に対する向上した親和性を提供する。選択された標的に対する向上した親和性を提供するリガンドは、標的化リガンドとも呼ばれる。

一部のリガンドは、エンドソーム溶解特性を有し得る。エンドソーム溶解リガンドは、エンドソームの溶解及び/又は本発明の組成物、又はその成分の、エンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する。エンドソーム溶解リガンドは、pH依存性の膜活性及び融合性(fusogenicity)を示すポリアニオン性ペプチド又はペプチド模倣体であり得る。一実施形態において、エンドソーム溶解リガンドは、エンドソームのpHでその活性立体配座を取る。「活性」立体配座は、エンドソーム溶解リガンドが、エンドソームの溶解及び/又は本発明の組成物、又はその成分の、エンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する立体配座である。例示的なエンドソーム溶解リガンドとしては、GALAペプチド(Subbarao et al.,Biochemistry,1987,26:2964−2972)、EALAペプチド(Vogel et al.,J.Am.Chem.Soc.,1996,118:1581−1586)、及びそれらの誘導体(Turk et al.,Biochem.Biophys.Acta,2002,1559:56−68)が挙げられる。一実施形態において、エンドソーム溶解成分は、pHの変化に応じて電荷の変化又はプロトン化を起こす化学基(例えば、アミノ酸)を含み得る。エンドソーム溶解成分は、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。

リガンドは、輸送、ハイブリダイゼーション、及び特異性の特性を向上させることができ、得られる天然若しくは修飾オリゴリボヌクレオチド、又は本明細書に記載されるモノマーの任意の組合せを含むポリマー分子及び/又は天然若しくは修飾リボヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性も向上させ得る。

リガンドは、一般に、例えば、取り込みを向上させるための、治療用の修飾因子;例えば、分布を監視するための診断化合物又はレポーター基;架橋剤;及びヌクレアーゼ耐性を与える部分を含み得る。一般的な例としては、脂質、ステロイド、ビタミン、糖、タンパク質、ペプチド、ポリアミン、及びペプチド模倣体が挙げられる。

リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、高比重リポタンパク(HDL)、又はグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン又はヒアルロン酸);又は脂質などの天然の物質を含み得る。リガンドはまた、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸、オリゴヌクレオチド(例えば、アプタマー)などの、組み換え又は合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリアミノ酸は、ポリリジン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、又はポリホスファジンである。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、擬似ペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、又はα−へリックスペプチドが挙げられる。

リガンドはまた、標的基、例えば、細胞又は組織標的剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質又はタンパク質、例えば、腎細胞などの特定の細胞型に結合する抗体を含み得る。標的基は、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤タンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビオチン、RGDペプチド、RGDペプチド模倣体又はアプタマーであり得る。

リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ又はキレート剤(例えばEDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸(cholenic acid)、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチド複合体(例えば、アンテナペディア(antennapedia)ペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター(cluster)、アクリジン−イミダゾール複合体、Eu3+テトラアザ大員環複合体)、ジニトロフェニル、HRP、又はAPが挙げられる。

リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、又はペプチド、例えば、コリガンド(co−ligand)、又は抗体、例えば、癌細胞、内皮細胞、又は骨細胞などの特定の細胞型に結合する抗体に対する特異親和性を有する分子であり得る。リガンドはまた、ホルモン及びホルモン受容体を含んでもよい。リガンドはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース又はアプタマーなどの非ペプチド種を含み得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、38MAPキナーゼの活性化因子、又はNF−κBの活性化因子であり得る。

リガンドは、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、及び/又は中間径フィラメントを破壊することによって、例えば、細胞骨格を破壊することによって、細胞中へのiRNA剤の取り込みを向上させ得る物質、例えば、薬剤であり得る。薬剤は、例えば、タクソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、又はミオセルビンであり得る。

リガンドは、例えば、炎症反応を活性化することによって、細胞中へのオリゴヌクレオチドの取り込みを増加させ得る。このような効果を与え得る例示的なリガンドとしては、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1β、又はγインターフェロンが挙げられる。

一態様において、リガンドは、脂質又は脂質ベースの分子である。このような脂質又は脂質ベースの分子は、好ましくは、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合リガンドは、身体の標的組織、例えば、非腎臓標的組織へのコンジュゲートの分配を可能にする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝臓であり得る。HSAに結合し得る他の分子も、リガンドとして使用され得る。例えば、ナプロキセン又はアスピリンが使用され得る。脂質又は脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大し、(b)標的細胞又は細胞膜への標的化又は輸送を増大し、及び/又は(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するのに使用され得る。

脂質ベースのリガンドを用いて、標的組織へのコンジュゲートの結合を調節すること、例えば、制御することができる。例えば、より強くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドは、腎臓に対して標的化される可能性が低く、したがって、身体から除去される可能性が低い。より弱くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドを用いて、コンジュゲートを腎臓に対して標的化することができる。

好ましい実施形態において、脂質ベースのリガンドは、HSAに結合する。好ましくは、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが好ましくは非腎臓組織に分配されるような十分な親和性でHSAに結合する。しかしながら、親和性は、HSA−リガンド結合が反転され得ないほど強力でないのが好ましい。

別の好ましい実施形態において、コンジュゲートが好ましくは腎臓に分配されるように、脂質ベースのリガンドは、HSAに弱く結合するか又は全く結合しない。腎細胞を標的とする他の部分も、脂質ベースのリガンドの代わりに又はそれに加えて使用され得る。

別の態様において、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖細胞によって取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。これらは、例えば、悪性又は非悪性の望ましくない細胞増殖、例えば、癌細胞を特徴とする障害を処置するのに特に有用である。例示的なビタミンは、ビタミンA、E、及びKを含む。他の例示的なビタミンは、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール又は他のビタミンあるいは癌細胞によって取り込まれる栄養素を含む。HAS、低比重リポタンパク(LDL)及び高比重リポタンパク(HDL)も含まれる。

別の態様において、リガンドは、細胞透過剤(cell−permeation agent)、好ましくは、らせん状細胞透過剤である。好ましくは、この剤は両親媒性である。例示的な剤は、tat又はアンテノペディア(antennopedia)などのペプチドである。この剤がペプチドである場合、それは、ペプチジル模倣体、逆転異性体、非ペプチド又は擬ペプチド結合、及びD−アミノ酸の使用を含めて修飾され得る。らせん状剤は、好ましくはα−へリックス剤であり、これは、好ましくは、親油性及び疎油性相を有する。

リガンドは、ペプチド又はペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体とも呼ばれる)は、天然ペプチドと類似した明確な三次元構造に折り畳まれることが可能な分子である。ペプチド又はペプチド模倣体部分は、約5〜50個のアミノ酸の長さ、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個のアミノ酸の長さであり得る。ペプチド又はペプチド模倣体は、例えば、細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、又は疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、Trp又はPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、構造規制(constrained)ペプチド又は架橋ペプチドであり得る。別の代替例において、ペプチド部分は、疎水性膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号1)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号2)も、標的部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を介してペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質を含む大型極性分子を運搬することができる「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質に由来する配列(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号3)及びショウジョウバエアンテナペディア(Drosophila Antennapedia)タンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号4)は、送達ペプチドとして機能することが可能であることが分かっている。ペプチド又はペプチド模倣体は、ファージディスプレイライブラリー、又は1ビーズ1化合物(one−bead−one−compound)(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから特定されたペプチドなどの、DNAのランダム配列によってコードされ得る(Lam et al.,Nature,354:82−84、1991)。好ましくは、組み込まれたモノマー単位を介してiRNA剤に結合されたペプチド又はペプチド模倣体は、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)−ペプチド、又はRGD模倣体などのペプチドである。ペプチド部分は、約5つのアミノ酸から約40個のアミノ酸の長さの範囲であり得る。ペプチド部分は、安定性又は直接配座特性を高めるためなどの構造修飾を有し得る。後述される構造修飾のいずれも用いられ得る。RGDペプチド部分は、内皮腫瘍細胞又は乳癌腫瘍細胞などの腫瘍細胞を標的とするのに使用され得る(Zitzmann et al.,Cancer Res.,62:5139−43,2002)。RGDペプチドは、、腎臓、脾臓、又は肝臓を含む様々な他の組織の腫瘍に対するiRNA剤の標的化を促進することができる(Aoki et al.,Cancer Gene Therapy 8:783−787,2001)。好ましくは、RGDペプチドは、腎臓に対するiRNA剤の標的化を促進する。RGDペプチドは、直鎖状又は環状であり得、特定の組織に対する標的化を促進するために、修飾、例えば、グリコシル化又はメチル化され得る。例えば、グリコシル化RGDペプチドは、iRNA剤を、αVβ3を発現する腫瘍細胞に送達することができる(Haubner et al.,Jour.Nucl.Med.,42:326−336,2001)。増殖細胞に豊富なマーカーを標的とするペプチドが使用され得る。例えば、RGD含有ペプチド及びペプチド模倣体は、癌細胞、特に、インテグリンを示す細胞を標的とすることができる。したがって、RGDペプチド、RGDを含有する環状ペプチド、D−アミノ酸を含むRGDペプチド、ならびに合成RGD模倣体を使用し得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用することができる。一般に、このようなリガンドは、増殖細胞及び血管新生を制御するのに使用され得る。このタイプのリガンドの好ましいコンジュゲートは、PECAM−1、VEGF、又は他の癌遺伝子、例えば、本明細書に記載される癌遺伝子を標的とする。

「細胞透過性ペプチド」は、細胞、例えば、細菌又は真菌細胞などの微生物細胞、あるいはヒト細胞などの哺乳動物細胞を透過することが可能である。微生物細胞を透過するペプチドは、例えば、α−へリックス直鎖状ペプチド(例えば、LL−37又はCeropin P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α−デフェンシン、β−デフェンシン又はバクテネシン(bactenecin))、又は1つ若しくは2つの支配的アミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR−39又はインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV−1 gp41の融合ペプチドドメイン及びSV40大型T抗原のNLSに由来する、MPGなどの二分両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717−2724,2003)。

一実施形態において、標的化ペプチドは、両親媒性α−へリックスペプチドであり得る。例示的な両親媒性α−へリックスペプチドとしては、限定はされないが、セクロピン、リコトキシン(lycotoxin)、パラダキシン(paradaxin)、ブフォリン、CPF、ボンビニン様ペプチド(BLP)、カテリシジン、セラトトキシン(ceratotoxin)、エボヤ(S.clava)ペプチド、メクラウナギの腸由来の抗菌性ペプチド(HFIAP)、マガイニン、ブレビニン−2、デルマセプチン、メリチン、プレウロシジン、H2Aペプチド、アフリカツメガエル(Xenopus)ペプチド、エスクレンチニス−1(esculentinis−1)、及びカエリン(caerin)が挙げられる。いくつかの因子が、好ましくは、へリックス安定性の完全性を維持するものと考えられる。例えば、最大数のヘリックス安定化残基(例えば、leu、ala、又はlys)が用いられ、最小数のヘリックス不安定化残基(例えば、プロリン、又は環状モノマー単位が用いられる。キャッピング残基が考えられる(例えば、Glyが、例示的なN−キャッピング残基であり、及び/又はC末端アミド化が、へリックスを安定させるために追加のH結合を提供するのに使用され得る。i±3位、又はi±4位だけ離間された、反対の電荷を有する残基間の塩架橋の形成により、安定性が提供され得る。例えば、リジン、アルギニン、ホモ−アルギニン、オルニチン又はヒスチジンなどのカチオン性残基が、アニオン性残基であるグルタミン酸又はアスパラギン酸と塩架橋を形成し得る。

ペプチド及びペプチド模倣体リガンドとしては、天然又は修飾ペプチド、例えば、D又はLペプチド;α、β、又はγペプチド;N−メチルペプチド;アザペプチド;1つ又は複数の尿素結合、チオ尿素結合、カルバメート結合、又はスルホニル尿素結合で置換された1つ又は複数のアミド結合、即ち、ペプチド結合を有するペプチド;又は環状ペプチドを有するリガンドが挙げられる。

標的化リガンドは、特定の受容体を標的とすることが可能な任意のリガンドであり得る。例は、葉酸塩、GalNAc、ガラクトース、マンノース、マンノース−6P、GalNAcクラスター、マンノースクラスター、ガラクトースクラスターなどの糖のクラスター、又はアプタマーである。クラスターは、2つ以上の糖単位の組合せである。標的化リガンドは、インテグリン受容体リガンド、ケモカイン受容体リガンド、トランスフェリン、ビオチン、セロトニン受容体リガンド、PSMA、エンドセリン、GCPII、ソマトスタチン、LDL及びHDLリガンドも含む。リガンドはまた、核酸、例えば、アプタマーに基づき得る。アプタマーは、非修飾であり得、又は本明細書に開示される修飾の任意の組合せを有し得る。

エンドソーム放出剤としては、イミダゾール、ポリ又はオリゴイミダゾール、PEI、ペプチド、融合性ペプチド、ポリカルボキシレート、ポリカチオン、マスクオリゴ又はポリカチオン又はアニオン、アセタール、ポリアセタール、ケタール/ポリケタール、オルトエステル、マスク又は非マスクカチオン又はアニオン電荷を有するポリマー、マスク又は非マスクカチオン又はアニオン電荷を有するデンドリマーが挙げられる。

PK調節剤は、薬物動態学的調節剤(pharmacokinetic modulator)を表す。PK調節剤としては、親油性物質(lipophile)、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPK調節剤としては、限定はされないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。いくつかのホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドも、血清タンパク質に結合することが知られており、したがって、骨格に複数のホスホロチオエート結合を含む短鎖オリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基又は20塩基のオリゴヌクレオチドも、リガンドとして(例えば、PK調節リガンドとして)本発明に適している。

更に、血清成分(例えば、血清タンパク質)に結合するアプタマーも、PK調節リガンドとして本発明に適している。

本発明に適した他のリガンドコンジュゲートが、2004年8月10日に出願された米国特許出願第10/916,185号明細書;2004年9月21日に出願された米国特許出願第10/946,873号明細書;2007年8月3日に出願された米国特許出願第10/833,934号明細書;2005年4月27日に出願された米国特許出願第11/115,989号明細書、及び2007年11月21日に出願された米国特許出願第11/944,227号明細書に記載されており、これらの文献は、あらゆる目的のために、全体が参照により援用される。

2つ以上のリガンドが存在する場合、リガンドは、全て同じ特性を有してもよく、全て異なる特性を有してもよく、又は一部のリガンドが同じ特性を有する一方、他のリガンドが異なる特性を有する。例えば、リガンドは、標的化特性を有してもよく、エンドソーム溶解活性を有してもよく、又はPK調節特性を有してもよい。好ましい実施形態において、全てのリガンドが、異なる特性を有する。

リガンドは、様々な位置、例えば、3’末端、5’末端、及び/又は内部位置で、オリゴヌクレオチドに結合され得る。好ましい実施形態において、リガンドは、介在するテザー、例えば、本明細書に記載される担体を介してオリゴヌクレオチドに結合される。リガンド又は連結配位子は、モノマーが、成長している鎖に組み込まれるとき、モノマーに存在し得る。ある実施形態において、リガンドは、「前駆体」モノマーが、成長している鎖に組み込まれた後、「前駆体」モノマーへの結合によって組み込まれ得る。例えば、アミノ末端のテザーを例えば有するモノマー(即ち、リガンドが結合されてない)、例えばTAP−(CH2)nNH2が、成長しているオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれ得る。その後の作業において、即ち、前駆体モノマーを鎖に組み込んだ後、求電子基を有する、例えば、ペンタフルオロフェニルエステル基又はアルデヒド基を有するリガンドが、その後、リガンドの求電子基を前駆体モノマーのテザーの末端求電子基と結合することによって、前駆体モノマーに結合され得る。

別の例では、クリック化学反応に関与するのに適した化学基を有するモノマーが、例えば、アジド又はアルキン末端のテザー/リンカーに組み込まれ得る。その後の作業において、即ち、前駆体モノマーを鎖に組み込んだ後、相補的な化学基、例えば、アルキン又はアジドを有するリガンドが、アルキン及びアジドを一緒に結合することによって、前駆体モノマーに結合され得る。

二本鎖オリゴヌクレオチドの場合、リガンドが、一方又は両方の鎖に結合され得る。ある実施形態において、二本鎖iRNA剤は、センス鎖にコンジュゲートされるリガンドを含む。他の実施形態において、二本鎖iRNA剤は、アンチセンス鎖にコンジュゲートされるリガンドを含む。

ある実施形態において、リガンドは、核酸分子の核酸塩基、糖部分、又はヌクレオシド間結合にコンジュゲートされ得る。プリン核酸塩基又はその誘導体に対するコンジュゲーションは、環内及び環外原子を含む任意の位置に生じ得る。ある実施形態において、プリン核酸塩基の2位、6位、7位、又は8位が、コンジュゲート部分に結合される。ピリミジン核酸塩基又はその誘導体に対するコンジュゲーションも、任意の位置に生じ得る。ある実施形態において、ピリミジン核酸塩基の2位、5位、及び6位が、コンジュゲート部分で置換され得る。ヌクレオシドの糖部分に対するコンジュゲーションは、任意の炭素原子に生じ得る。コンジュゲート部分に結合され得る糖部分の炭素原子の例としては、2’、3’、及び5’炭素原子が挙げられる。1’位も、脱塩基残基中など、コンジュゲート部分に結合され得る。ヌクレオシド間結合も、コンジュゲート部分を有し得る。リン含有結合(例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデートなど)の場合、コンジュゲート部分は、リン原子に直接結合されるか、又はリン原子に結合されたO、N、若しくはS原子に結合され得る。アミン含有又はアミド含有ヌクレオシド間結合(例えば、PNA)の場合、コンジュゲート部分は、アミン若しくはアミドの窒素原子又は隣接する炭素原子に結合され得る。

RNA干渉の分野における任意の好適なリガンドが使用され得るが、リガンドは、典型的に、炭水化物、例えば、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、多糖である。

リガンドを核酸にコンジュゲートするリンカーは、上述されるリンカーを含む。例えば、リガンドは、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合される1つ又は複数のGalNAc(N−アセチルグルコサミン)誘導体であり得る。

一実施形態において、本発明のdsRNAは、式(IV)〜(VII)のいずれかに示される構造を含む二価及び三価の分枝鎖状リンカーにコンジュゲートされる:

式中: q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5B及びq5Cは、各存在に関して独立して0〜20を表し、反復単位は、同一又は異なっていてもよく; P2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4B、P5A、P5B、P5C、T2A、T2B、T3A、T3B、T4A、T4B、T4A、T5B、T5Cは、各々、各存在に関して独立して不在、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH2、CH2NH又はCH2Oであり; Q2A、Q2B、Q3A、Q3B、Q4A、Q4B、Q5A、Q5B、Q5Cは、各存在に関して独立して不在、アルキレン、置換されたアルキレンであり、ここで、1つ又は複数のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(RN)、C(R’)=C(R’’)、C≡C又はC(O)のうちの1つ又は複数により中断又は終結されてもよく; R2A、R2B、R3A、R3B、R4A、R4B、R5A、R5B、R5Cは、各々、各存在に関して独立して不在、NH、O、S、CH2、C(O)O、C(O)NH、NHCH(Ra)C(O)、−C(O)−CH(Ra)−NH−、CO、CH=N−O、

又はヘテロシクリルであり; L2A、L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L5A、L5B及びL5Cは、リガンドを表し;即ち、それぞれ、各存在に関して独立して、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、又は多糖であり; Raが、H又はアミノ酸側鎖である。

式(VII)のものなどの、三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、RNAi剤とともに使用されて、標的遺伝子の発現を阻害するのに特に有用である:

式中、L5A、L5B及びL5Cは、GalNAc誘導体などの単糖を表す。

GalNAc誘導体にコンジュゲートする好適な二価及び三価の分枝鎖状結合基の例としては、限定はされないが、以下の化合物が挙げられる:

他の実施形態において、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、AD−53815、AD−56663、AD−56658、AD−56676、AD−56666、AD−57928、及びAD−60212からなる群から選択される剤である。

III.本発明のiRNAの送達 細胞、例えば、ヒト対象(例えば、脂質異常症などの脂質障害に罹患している対象などの、iRNA剤を必要とする対象)などの対象中の細胞への本発明のiRNA剤の送達は、いくつかの様々な方法で行うことができる。例えば、送達は、細胞を、本発明のiRNAとインビトロ又はインビボのいずれかで接触させることによって行われ得る。インビボ送達はまた、iRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を対象に投与することによって直接行われ得る。あるいは、インビボ送達は、iRNAの発現をコードし、それを導く1つ又は複数のベクターを投与することによって、間接的に行われ得る。これらの代替例は、以下に更に説明される。

一般に、核酸分子を(インビトロ又はインビボで)送達する任意の方法は、本発明のiRNAとともに使用するために適合され得る(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Akhtar S.and Julian RL.,(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139−144及び国際公開第94/02595号パンフレットを参照)。インビボ送達の場合、iRNA分子を送達するために考慮される因子としては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、及び標的組織における送達される分子の蓄積が挙げられる。iRNAの非特異的効果は、局所投与によって、例えば、組織への直接注入又は移植によって、あるいは製剤を局所的に投与することによって、最小限に抑えられ得る。処置部位への局所投与は、剤の局所濃度を最大にし、剤によって悪影響を受け得るか又は剤を分解し得る、全身組織への剤の曝露を制限し、投与されるiRNA分子の総投与量を少なくすることができる。いくつかの研究が、iRNAが局所投与される場合の遺伝子産物のノックダウンの成功を示している。例えば、カニクイザルの硝子体内注射によるVEGF dsRNAの眼内送達(Tolentino,MJ.et al.,(2004)Retina 24:132−138)及びマウスの網膜下注射(Reich,SJ.et al.(2003)Mol.Vis.9:210−216)は両方とも、加齢性黄斑変性症の実験モデルにおける新血管形成を防ぐことを示した。更に、マウスにおけるdsRNAの直接腫瘍内投与が腫瘍容積を減少させ(Pille,J.et al.(2005)Mol.Ther.11:267−274)、担癌マウスの生存を延長することができる(Kim,WJ.et al.,(2006)Mol.Ther.14:343−350;Li,S.et al.,(2007)Mol.Ther.15:515−523)。RNA干渉は、直接注入による中枢神経系への局所送達(Dorn,G.et al.,(2004)Nucleic Acids 32:e49;Tan,PH.et al.(2005)Gene Ther.12:59−66;Makimura,H.et al.(2002)BMC Neurosci.3:18;Shishkina,GT.,et al.(2004)Neuroscience 129:521−528;Thakker,ER.,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:17270−17275;Akaneya,Y.,et al.(2005)J.Neurophysiol.93:594−602)及び鼻腔内投与による肺への局所送達(Howard,KA.et al.,(2006)Mol.Ther.14:476−484;Zhang,X.et al.,(2004)J.Biol.Chem.279:10677−10684;Bitko,V.et al.,(2005)Nat.Med.11:50−55)による成功も示している。疾病の処置のためにiRNAを全身投与するために、RNAは、修飾され得るか、あるいは薬剤送達システムを用いて送達され得;両方の方法は、インビボでのエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによるdsRNAの急速な分解を防ぐ働きをする。RNA又は医薬担体の修飾は、標的組織へのiRNA組成物の標的化を可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避することもできる。iRNA分子は、細胞取り込みを向上させ、分解を防ぐコレステロールなどの親油基への化学的結合によって修飾され得る。例えば、親油性コレステロール部分にコンジュゲートされるApoBに対するiRNAを、マウスに全身投与し、肝臓及び空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを得た(Soutschek,J.et al.,(2004)Nature 432:173−178)。アプタマーへのiRNAのコンジュゲートは、前立腺癌のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害し、腫瘍退縮を仲介することが示されている(McNamara,JO.et al.,(2006)Nat.Biotechnol.24:1005−1015)。代替的な実施形態において、iRNAは、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、又はカチオン性送達システムなどの薬剤送達システムを用いて送達され得る。正に帯電したカチオン性送達システムは、iRNA分子(負に帯電した)の結合を促進し、また、負に帯電した細胞膜における相互作用を向上させて、細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、又はポリマーは、iRNAに結合され得るか、又はiRNAを包む小胞又はミセル(例えば、Kim SH.et al.,(2008)Journal of Controlled Release 129(2):107−116を参照)を形成するように誘導され得る。小胞又はミセルの形成は、全身投与される場合のiRNAの分解を更に防ぐ。カチオン性iRNA複合体を作製し、投与するための方法は、十分当業者の能力の範囲内である(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Sorensen、DR.,et al.(2003)J.Mol.Biol 327:761−766;Verma,UN.et al.,(2003)Clin.Cancer Res.9:1291−1300;Arnold,AS et al.,(2007)J.Hypertens.25:197−205を参照)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,DR.,et al(2003)、上記参照;Verma,UN.et al.,(2003)、上記を参照)、Oligofectamine、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann,TS.et al.,(2006)Nature 441:111−114)、カルジオリピン(Chien,PY.et al.,(2005)Cancer Gene Ther.12:321−328;Pal,A.et al.,(2005)Int J.Oncol.26:1087−1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME.et al.,(2008)Pharm.Res.Aug 16 Epub ahead of print;Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg−Gly−Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472−487)、及びポリアミドアミン(Tomalia,DA.et al.,(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61−67;Yoo,H.et al.,(1999)Pharm.Res.16:1799−1804)が挙げられる。ある実施形態において、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンとともに複合体を形成する。投与のための方法及びiRNAs及びシクロデキストリンの医薬組成物が、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第7,427,605号明細書に見出され得る。

A.ベクターでコードされた本発明のiRNA PCSK9遺伝子を標的とするiRNAは、DNA又はRNAベクターに挿入された転写単位から発現され得る(例えば、Couture,A,et al.,TIG.(1996),12:5−10;Skillern,A.らの国際PCT公開番号国際公開第00/22113号パンフレット、Conradの国際PCT公開番号国際公開第00/22114号パンフレット、及びConradの米国特許第6,054,299号明細書を参照)。発現は、使用される特定の構築物及び標的組織又は細胞型に応じて、一時的(およそ数時間から数週間)であるか又は持続され得る(数週間から数カ月又はそれ以上)。これらの導入遺伝子は、線状構築物、環状プラスミド、又はウイルスベクターとして導入することができ、これらは、組み込み又は非組み込みベクターであり得る。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継承されるのを可能にするように構築することもできる(Gassmann,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:1292)。

iRNAの個々の1つ又は複数の鎖は、発現ベクターにおけるプロモーターから転写され得る。2本の別個の鎖が発現されて、例えば、dsRNAを生成する場合、2つの別個の発現ベクターが、(例えば、トランスフェクション又は感染によって)標的細胞中に共導入され得る。あるいは、dsRNAの各個々の鎖が、同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写され得る。一実施形態において、dsRNAは、ステム・ループ構造を有するように、リンカーポリヌクレオチド配列によって接合される逆方向反復ポリヌクレオチドとして発現される。

iRNA発現ベクターは、一般に、DNAプラスミド又はウイルスベクターである。真核細胞と適合する発現ベクター、好ましくは、脊椎動物細胞と適合する発現ベクターを用いて、本明細書に記載されるiRNAの発現のための組み換え構築物を産生することができる。真核細胞の発現ベクターは、当該技術分野において周知であり、多くの商業的供給源から入手可能である。通常、所望の核酸セグメントを挿入するのに好都合な制限部位を含むこのようなベクターが提供される。iRNA発現ベクターの送達は、例えば、静脈内又は筋肉内投与によるか、患者から移植された標的細胞に投与した後に患者に再導入することによるか、又は所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段などによる全身送達であり得る。

iRNA発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えば、Oligofectamine)又は非カチオン性の脂質ベースの担体(例えば、Transit−TKO(商標))との複合体として標的細胞中にトランスフェクトされ得る。1週間以上の期間にわたる標的RNAの異なる領域を標的とするiRNAを介したノックダウンのための複数回の脂質のトランスフェクションも、本発明によって想定される。宿主細胞中へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いて監視され得る。例えば、一過性のトランスフェクションは、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光マーカーなどのレポーターを用いて示され得る。エクスビボでの細胞の安定したトランスフェクションは、トランスフェクト細胞に、ハイグロマイシンB耐性などの、特定の環境因子(例えば、抗生物質及び薬剤)に対する耐性を与えるマーカーを用いて確実にすることができる。

本明細書に記載される方法及び組成物とともに用いられ得るウイルスベクター系としては、限定はされないが、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなどを含むがこれらに限定されないレトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルソポックス(orthopox)、例えば、ワクシニアウイルスベクター又は鳥ポックス、例えばカナリア痘又は鶏痘などのポックスウイルスベクター;及び(j)ヘルパー依存性又は弱毒アデノウイルスが挙げられる。複製欠損ウイルスも有利であり得る。異なるベクターが、細胞のゲノムに組み込まれるか又は組み込まれないであろう。構築物は、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えばEPV及びEBVベクターに組み込まれ得る。iRNAの組み換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞内でのiRNAの発現を確実にするために、調節要素、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを必要とする。ベクター及び構築物について考慮される他の態様が、更に後述される。

iRNAの送達に有用なベクターは、所望の標的細胞又は組織におけるiRNAの発現に十分な調節要素(プロモーター、エンハンサーなど)を含むであろう。調節要素は、構成的発現又は調節性/誘導性発現のいずれかを提供するように選択され得る。

iRNAの発現は、例えば、特定の生理的調節因子、例えば、血中グルコースレベル、又はホルモンに対して感受性がある誘導性調節配列を使用することによって、正確に調節され得る(Docherty et al.,1994,FASEB J.8:20−24)。細胞又は哺乳動物におけるdsRNAの発現の制御に好適なこのような誘導性発現系は、例えば、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量化の化学誘導物質、及びイソプロピル−β−D1−チオガラクトピラノシド(IPTG)による調節を含む。当業者は、iRNA導入遺伝子の目的とする使用に基づいて、適切な調節/プロモーター配列を選択することができるであろう。

iRNAをコードする核酸配列を含むウイルスベクターが使用され得る。例えば、レトロウイルスベクターが使用され得る(Miller et al.,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)を参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの適切なパッケージング及び宿主細胞DNAへの組み込みに必要な構成要素を含有する。iRNAをコードする核酸配列は、患者への核酸の送達を促進する、1つ又は複数のベクターにクローニングされる。レトロウイルスベクターについての更なる詳細は、例えば、Boesen et al.,Biotherapy 6:291−302(1994)に見出すことができ、これには、造血幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、造血幹細胞にmdr1遺伝子を送達するレトロウイルスベクターの使用が記載されている。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を示す他の参照文献は、Clowes et al.,J.Clin.Invest.93:644−651(1994);Kiem et al.,Blood 83:1467−1473(1994);Salmons and Gunzberg,Human Gene Therapy 4:129−141(1993);及びGrossman and Wilson,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110−114(1993)である。使用のために考えられるレンチウイルスベクターとしては、例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許第6,143,520号明細書;同第5,665,557号明細書;及び同第5,981,276号明細書に記載されるHIVに基づいたベクターが挙げられる。

アデノウイルスも、本発明のiRNAの送達における使用のために考えられる。アデノウイルスは、例えば、呼吸上皮に遺伝子を送達するための特に魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、本来、呼吸上皮に感染し、軽度の疾病を引き起こす。アデノウイルスに基づいた送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、及び筋肉である。アデノウイルスには、非分裂細胞に感染することが可能であるという利点がある。Kozarsky and Wilson,Current Opinion in Genetics and Development 3:499−503(1993)には、アデノウイルスに基づいた遺伝子療法の概説が示されている。Bout et al.,Human Gene Therapy 5:3−10(1994)は、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移送するアデノウイルスベクターの使用を示した。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeld et al.,Science 252:431−434(1991);Rosenfeld et al.,Cell 68:143−155;Mastrangeli et al.(1992),J.Clin.Invest.91:225−234(1993);PCT公報の国際公開第94/12649号パンフレット;及びWang et al.,Gene Therapy 2:775−783(1995)に見出すことができる。本発明に取り上げられるiRNAを発現するのに好適なAVベクター、組み換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞中に送達するための方法が、Xia H et al.(2002),Nat.Biotech.20:1006−1010に記載されている。

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターも、本発明のiRNAを送達するのに使用され得る(Walsh et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300(1993);米国特許第5,436,146号明細書)。一実施形態において、iRNAは、例えば、U6若しくはH1 RNAプロモーター、又はサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組み換えAAVベクターから、2つの別個の相補的な一本鎖RNA分子として発現され得る。本発明に取り上げられるdsRNAを発現するのに好適なAAVベクター、組み換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞中に送達するための方法が、全開示内容が参照により本明細書に援用される、Samulski R et al.(1987),J.Virol.61:3096−3101;Fisher K J et al.(1996),J.Virol,70:520−532;Samulski R et al.(1989),J.Virol.63:3822−3826;米国特許第5,252,479号明細書;米国特許第5,139,941号明細書;国際特許出願番号国際公開第94/13788号パンフレット;及び国際特許出願番号国際公開第93/24641号パンフレットに記載されている。

本発明のiRNAの送達に好適な別のウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば、改変ウイルスアンカラ(Modified Virus Ankara)(MVA)又はNYVACなどの弱毒化ワクシニア、鶏痘又はカナリア痘などの鳥ポックスなどのポックスウイルスである。

ウイルスベクターの指向性は、エンベロープタンパク質又は他のウイルスからの他の表面抗原を用いてベクターをシュードタイピングする(pseudotype)ことによって、又は異なるウイルスカプシドタンパク質を必要に応じて置換することによって、改変され得る。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどからの表面タンパク質を用いてシュードタイピングされ得る。AAVベクターは、異なるカプシドタンパク質血清型を発現するようにこのベクターを操作することによって、異なる細胞を標的とするように作製され得る。例えば、全開示内容が参照により本明細書に援用されるRabinowitz J E et al.(2002),J Virol 76:791−801を参照。

ベクターの医薬製剤は、許容できる希釈剤中のベクターを含むことができ、又は遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる徐放性マトリックスを含むことができる。あるいは、組み換え細胞から、完全な遺伝子送達ベクター、例えば、レトロウイルスベクターが無傷で産生され得る場合、医薬製剤は、遺伝子送達システムを産生する1つ又は複数の細胞を含むことができる。

V.本発明の医薬組成物 本発明は、本発明のiRNAを含む医薬組成物及び製剤も含む。一実施形態において、本明細書に記載されるiRNAと、薬学的に許容され得る担体とを含有する医薬組成物も本明細書に提供される。iRNAを含有する医薬組成物は、PCSK9遺伝子の発現又は活性に関連する疾病又は障害、例えば、脂質障害を処置するのに有用である。このような医薬組成物は、送達様式に基づいて製剤化される。一例は、非経口投与を介した、例えば、静脈内(IV)送達による全身投与用に製剤化される組成物である。別の例は、例えば、持続性ポンプ注入などによる脳への注入による、脳実質への直接送達用に製剤化される組成物である。

本発明のRNAi剤を含む医薬組成物は、例えば、緩衝液を含むか又は含まない溶液、又は薬学的に許容され得る担体を含有する組成物であり得る。このような組成物としては、例えば、水性又は結晶性組成物、リポソーム製剤、ミセル製剤、エマルション、及び遺伝子治療ベクターが挙げられる。

本発明の方法において、RNAi剤は、溶液中で投与され得る。遊離RNAi剤は、非緩衝液、例えば、生理食塩水又は水中で投与され得る。あるいは、遊離siRNAはまた、好適な緩衝液中で投与され得る。緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、又はリン酸塩、又はそれらの任意の組合せを含み得る。好ましい実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。RNAi剤を含有する緩衝液のpH及び浸透圧は、対象に投与するのに好適なように調整され得る。

ある実施形態において、浸透圧が、所望の値、例えば、ヒト血漿の生理学的値(physiologic value)に保持されるように、緩衝液は、溶液の浸透圧を制御するための剤を更に含む。浸透圧を制御するために緩衝液に加えられ得る溶質としては、限定はされないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、非代謝ポリマー、ビタミン、イオン、糖、代謝産物、有機酸、脂質、又は塩が挙げられる。ある実施形態において、溶液の浸透圧を制御するための剤は、塩である。特定の実施形態において、溶液の浸透圧を制御するための剤は、塩化ナトリウム又は塩化カリウムである。

本発明の医薬組成物は、PCSK9遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与され得る。一般に、本発明のiRNAの好適な用量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラムにつき約0.001〜約200.0ミリグラムの範囲、一般に、1日当たり体重1キログラムにつき約1〜50mgの範囲である。例えば、dsRNAは、単回投与当たり約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、又は約50mg/kgで投与され得る。

例えば、RNAi剤、例えばdsRNAは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8.8、9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10mg/kgの用量で投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。

別の実施形態において、RNAi剤、例えばdsRNAは、約0.1〜約50mg/kg、約0.25〜約50mg/kg、約0.5〜約50mg/kg、約0.75〜約50mg/kg、約1〜約50mg/mg、約1.5〜約50mg/kb、約2〜約50mg/kg、約2.5〜約50mg/kg、約3〜約50mg/kg、約3.5〜約50mg/kg、約4〜約50mg/kg、約4.5〜約50mg/kg、約5〜約50mg/kg、約7.5〜約50mg/kg、約10〜約50mg/kg、約15〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約30〜約50mg/kg、約35〜約50mg/kg、約40〜約50mg/kg、約45〜約50mg/kg、約0.1〜約45mg/kg、約0.25〜約45mg/kg、約0.5〜約45mg/kg、約0.75〜約45mg/kg、約1〜約45mg/mg、約1.5〜約45mg/kb、約2〜約45mg/kg、約2.5〜約45mg/kg、約3〜約45mg/kg、約3.5〜約45mg/kg、約4〜約45mg/kg、約4.5〜約45mg/kg、約5〜約45mg/kg、約7.5〜約45mg/kg、約10〜約45mg/kg、約15〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約30〜約45mg/kg、約35〜約45mg/kg、約40〜約45mg/kg、約0.1〜約40mg/kg、約0.25〜約40mg/kg、約0.5〜約40mg/kg、約0.75〜約40mg/kg、約1〜約40mg/mg、約1.5〜約40mg/kb、約2〜約40mg/kg、約2.5〜約40mg/kg、約3〜約40mg/kg、約3.5〜約40mg/kg、約4〜約40mg/kg、約4.5〜約40mg/kg、約5〜約40mg/kg、約7.5〜約40mg/kg、約10〜約40mg/kg、約15〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約30〜約40mg/kg、約35〜約40mg/kg、約0.1〜約30mg/kg、約0.25〜約30mg/kg、約0.5〜約30mg/kg、約0.75〜約30mg/kg、約1〜約30mg/mg、約1.5〜約30mg/kb、約2〜約30mg/kg、約2.5〜約30mg/kg、約3〜約30mg/kg、約3.5〜約30mg/kg、約4〜約30mg/kg、約4.5〜約30mg/kg、約5〜約30mg/kg、約7.5〜約30mg/kg、約10〜約30mg/kg、約15〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約25〜約30mg/kg、約0.1〜約20mg/kg、約0.25〜約20mg/kg、約0.5〜約20mg/kg、約0.75〜約20mg/kg、約1〜約20mg/mg、約1.5〜約20mg/kb、約2〜約20mg/kg、約2.5〜約20mg/kg、約3〜約20mg/kg、約3.5〜約20mg/kg、約4〜約20mg/kg、約4.5〜約20mg/kg、約5〜約20mg/kg、約7.5〜約20mg/kg、約10〜約20mg/kg、又は約15〜約20mg/kgの用量で投与される。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。

例えば、RNAi剤、例えばdsRNAは、約0..01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10mg/kgの用量で投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。

別の実施形態において、RNAi剤、例えばdsRNAは、約0.5〜約50mg/kg、約0.75〜約50mg/kg、約1〜約50mg/mg、約1.5〜約50mg/kg、約2〜約50mg/kg、約2.5〜約50mg/kg、約3〜約50mg/kg、約3.5〜約50mg/kg、約4〜約50mg/kg、約4.5〜約50mg/kg、約5〜約50mg/kg、約7.5〜約50mg/kg、約10〜約50mg/kg、約15〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約30〜約50mg/kg、約35〜約50mg/kg、約40〜約50mg/kg、約45〜約50mg/kg、約0.5〜約45mg/kg、約0.75〜約45mg/kg、約1〜約45mg/mg、約1.5〜約45mg/kb、約2〜約45mg/kg、約2.5〜約45mg/kg、約3〜約45mg/kg、約3.5〜約45mg/kg、約4〜約45mg/kg、約4.5〜約45mg/kg、約5〜約45mg/kg、約7.5〜約45mg/kg、約10〜約45mg/kg、約15〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約30〜約45mg/kg、約35〜約45mg/kg、約40〜約45mg/kg、約0.5〜約40mg/kg、約0.75〜約40mg/kg、約1〜約40mg/mg、約1.5〜約40mg/kb、約2〜約40mg/kg、約2.5〜約40mg/kg、約3〜約40mg/kg、約3.5〜約40mg/kg、約4〜約40mg/kg、約4.5〜約40mg/kg、約5〜約40mg/kg、約7.5〜約40mg/kg、約10〜約40mg/kg、約15〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約30〜約40mg/kg、約35〜約40mg/kg、約0.5〜約30mg/kg、約0.75〜約30mg/kg、約1〜約30mg/mg、約1.5〜約30mg/kb、約2〜約30mg/kg、約2.5〜約30mg/kg、約3〜約30mg/kg、約3.5〜約30mg/kg、約4〜約30mg/kg、約4.5〜約30mg/kg、約5〜約30mg/kg、約7.5〜約30mg/kg、約10〜約30mg/kg、約15〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約25〜約30mg/kg、約0.5〜約20mg/kg、約0.75〜約20mg/kg、約1〜約20mg/mg、約1.5〜約20mg/kb、約2〜約20mg/kg、約2.5〜約20mg/kg、約3〜約20mg/kg、約3.5〜約20mg/kg、約4〜約20mg/kg、約4.5〜約20mg/kg、約5〜約20mg/kg、約7.5〜約20mg/kg、約10〜約20mg/kg、又は約15〜約20mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、dsRNAは、約10mg/kg〜約30mg/kgの用量で投与される。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。

例えば、対象に、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、31、32、33、34、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は約50mg/kgなどの治療量のiRNAを投与してもよい。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。

医薬組成物は、一日1回投与することができ、又はiRNAは、1日を通して適切な間隔で、2、3以上のサブ用量として投与され、又は更には、連続注入若しくは徐放製剤を介した送達を用いて投与されてもよい。その場合、各サブ用量に含まれるiRNAは、総一日投与量を達成するように、対応してより少量である必要がある。投与単位はまた、例えば数日間の期間に亘るiRNAの持続放出を提供する従来の持続放出製剤を使用して、数日間に亘る送達用に配合されてもよい。持続放出製剤は当技術分野にて周知であり、薬剤を特定の部位に送達するのに特に有用であるため、本発明の薬剤と共に使用することができる。この実施形態において、投与単位は、一日用量の対応する倍数を含む。

他の実施形態において、医薬組成物の単回投与は、長続きすることができるため、その後の用量は、3、4、又は5日以下の間隔、あるいは1、2、3、又は4週間以下の間隔で投与される。本発明のある実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与は、週に1回投与される。本発明の他の実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与は、2ヶ月に1回(bi−monthly)投与される。

当業者は、非限定的に疾病又は疾患の重篤さ、以前の処置、対象の全体的な健康及び/又は年齢、並びに存在する他の疾病を含む所定の因子が対象を効果的に処置するのに必要な投与量及び時間に影響し得ることを認識するであろう。更に、治療的有効量の組成物による対象の処置は、単一の処置又は一連の処置を含み得る。本発明により包含される個々のiRNAに関する有効な投与量、及びインビボでの半減期は、従来の方法論を用いて、又は、本明細書の他の箇所に記載されるような適切な動物モデルを使用したインビボでの試験に基づいて概算することができる。

マウス遺伝学の進歩により、PCSK9の発現の低下から利益を得られ得る出血性疾患などの、様々なヒトの疾病の研究用の多くのマウスモデルが生成された。このようなモデルは、iRNAのインビボ試験のために、ならびに治療に有効な用量を決定するために使用され得る。好適なマウスモデルは、当該技術分野において公知であり、これらとしては、例えば、ヒトPCSK9を発現する導入遺伝子を含むマウスが挙げられる。

本発明の医薬組成物は、局所的又は全身的処置が必要かどうか及び処置される部位に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、局所投与(例えば、経皮パッチによる)、例えば、噴霧器などによる、粉末又はエアロゾルの吸入又は吹送による経肺投与;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮、経口又は非経口投与であり得る。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射又は注入;例えば、埋め込みデバイスによる皮下投与;又は例えば、実質内、髄腔内若しくは脳室内投与による頭蓋内投与が挙げられる。

iRNAは、肝臓(例えば、肝臓の肝細胞)などの特定の組織を標的とするように送達され得る。

局所投与用の医薬組成物及び製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐薬、噴霧剤、液剤及び散剤が挙げられる。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが必要であり、又は所望され得る。被覆コンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所製剤は、本発明を特徴付けるiRNAが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤及び界面活性剤などの局所送達薬剤との混合物であるものを含む。好適な脂質及びリポソームは、中性(例えば、ジオレイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰イオン性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及び陽イオン性(例えば、ジオレイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)を含む。本発明を特徴付けるiRNAは、リポソーム中に封入されることができ、又はリポソームに対して、特に陽イオン性リポソームに対して錯体を形成することができる。代替的に、iRNAは、脂質に対して、特に陽イオン性脂質に対して錯体化されてもよい。好適な脂肪酸及びエステルには、非限定的にアラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、又はC1〜20アルキルエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピルIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド又はこれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる)。局所製剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,747,014号明細書に詳細に記載されている。

A.膜分子集合体を含むiRNA製剤 本発明の組成物及び方法に使用するためのiRNAは、膜分子集合体、例えば、リポソーム又はミセル中の送達用に製剤化され得る。本明細書において使用される際、「リポソーム」という用語は、少なくとも1つの二重層、例えば、1つの二重層又は複数の二重層に配置された両親媒性の脂質から構成される小胞を指す。リポソームは、親油性材料及び水性内部から形成される膜を有する単層及び多層小胞を含む。水性部分は、iRNA組成物を含有する。親油性材料は、水性外部から水性内部を分離し、通常、iRNA組成物を含まないが、場合によっては、含むことがある。リポソームは、作用部位への活性成分の移送及び送達に有用である。リポソーム膜は生体膜と構造が類似しているため、リポソームが組織に付着されると、リポソームの二重層が、細胞膜の二重層と融合する。リポソーム及び細胞の融合が進むにつれて、iRNAを含む内部の水性内容物が、細胞に送達され、ここで、iRNAは、標的RNAに特異的に結合することができ、RNAiを仲介することができる。場合によっては、リポソームはまた、例えば、iRNAを特定の細胞型に指向するように、特異的に標的化される。

RNAi剤を含有するリポソームは、様々な方法によって調製され得る。一例において、リポソームの脂質成分は、ミセルが脂質成分で形成されるように、洗剤に溶解される。例えば、脂質成分は、両親媒性のカチオン性脂質又は脂質コンジュゲートであり得る。洗剤は、高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性であり得る。例示的な洗剤としては、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、及びラウロイルサルコシンが挙げられる。次に、RNAi剤の調製物は、脂質成分を含むミセルに加えられる。脂質におけるカチオン性基は、RNAi剤と相互作用し、RNAi剤の周りで縮合して、リポソームを形成する。縮合の後、洗剤は、例えば透析によって除去されて、RNAi剤のリポソーム製剤が得られる。

必要に応じて、縮合を補助する担体化合物が、例えば、制御添加によって、縮合反応中に加えられ得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミン又はスペルミジン)であり得る。縮合を補助するためにpHも調整され得る。

送達ビヒクルの構成成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込む安定したポリヌクレオチド送達ビヒクルを生成するための方法が、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される国際公開第96/37194号パンフレットに更に記載されている。リポソーム形成は、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413−7417,1987;米国特許第4,897,355号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;Bangham et al.,M.Mol.Biol.23:238,1965;Olson et al.,Biochim.Biophys.Acta 557:9,1979;Szoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194,1978;Mayhew et al.,Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984;Kim et al.,Biochim.Biophys.Acta 728:339,1983;及びFukunaga et al.,Endocrinol.115:757,1984に記載される例示的な方法の1つ又は複数の態様も含み得る。送達ビヒクルとして使用するのに適切なサイズの脂質集合体を調製するための一般的に使用される技術としては、超音波処理ならびに凍結融解及び押し出しが挙げられる(例えば、Mayer et al.,Biochim.Biophys.Acta 858:161,1986を参照)。一貫して小さく(50〜200nm)且つ比較的均一な集合体が所望される場合、顕微溶液化(microfluidization)が使用され得る(Mayhew et al.,Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984)。これらの方法は、RNAi剤の調製物をリポソームにパッケージングするのに容易に適合される。

リポソームは、2つの大きなクラスに分かれる。陽イオン性リポソームは、負に帯電された核酸分子と相互作用して安定な複合体を形成する正に帯電されたリポソームである。正に帯電された核酸/リポソーム複合体は負に帯電された細胞表面に結合し、エンドソーム内に移行される。エンドソーム内の酸性pHによって、リポソームが破裂され、それらの内容物を細胞質内に放出する(Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1987,147,980−985)。

pH感受性かつ負に帯電されたリポソームは、核酸と複合するのではなく、核酸を捕捉する。核酸及び脂質の両方は同様に帯電されるため、複合体形成ではなく反発が起こる。にも係わらず、いくつかの核酸はこれらのリポソームの水性内部内に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を培養物中の細胞単層に送達するよう使用されている。標的細胞内で外来遺伝子の発現が検出された(Zhou et al.,Journal of Controlled Release,1992,19,269〜274)。

リポソーム組成物の主要な一タイプは、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。例えば中性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。陰イオン性リポソーム組成物は一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成される一方、陰イオン性膜融合リポソームは、主としてジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。他のタイプのリポソーム組成物は、例えば、大豆PC、及び卵PCなどのホスファチジルコリン(PC)から形成される。他のタイプは、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。

リポソームを細胞中にインビトロ及びインビボで導入するための他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;国際公開第94/00569号パンフレット;国際公開第93/24640号パンフレット;国際公開第91/16024号パンフレット;Felgner,J.Biol.Chem.269:2550,1994;Nabel,Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307,1993;Nabel,Human Gene Ther.3:649,1992;Gershon,Biochem.32:7143,1993;及びStrauss,EMBO J.11:417,1992が挙げられる。

非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系も試験されて、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性が決定されている。Novasome(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)及びNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤を使用して、シクロスポリン−Aをマウス皮膚の真皮に送達した。結果はそのような非イオン性リポソーム系が皮膚の異なる層中へのシクロスポリン−Aの堆積を促進するのに有効であることを示した(Hu et al.S.T.P.Pharma.Sci.,1994,4(6)466)。

リポソームは、「立体的に安定化された」リポソームも含み、本明細書で使用されるこの用語は、1つ又は複数の特定化脂質を含むリポソームを指し、該特定化脂質は、リポソームに組み込まれた際、そのような特定化脂質を欠いたリポソームと比較して増強された循環寿命をもたらす。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームのベシクル形成脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1などの1つ又は複数の糖脂質を含むもの、又は(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分などの1つ又は複数の親水性ポリマーにより誘導体化されているものである。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、当技術分野では、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン、又はPEG−誘導体化脂質を含む立体的に安定化されたリポソームに関しては、これらの立体的に安定化されたリポソームの増強された循環半減期は、細網内皮系(RES)の細胞内への取り込みの低下に由来すると考えられている(Allen et al.,FEBS Letters,1987,223,42;Wu et al.,Cancer Research,1993,53,3765)。

1つ又は複数の糖脂質を含む様々なリポソームが、当技術分野にて既知である。Papahadjopoulos et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.,1987,507,64)は、リポソームの血中半減期を改善するモノシアロガングリオシドGM1硫酸ガラクトセレブロシド及びホスファチジルイノシトールの能力を報告している。これらの発見は、Gabizon et al.により詳説されている(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1988,85,6949)。両方ともAllen et al.に付与された米国特許第4,837,028号明細書及び国際公開第88/04924号パンフレットは、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1又は硫酸ガラクトセレブロシドエステルを含むリポソームを開示している。米国特許第5,543,152号明細書(Webb et al.)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示している。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、国際公開第97/13499号パンフレット(Lim et al.)に開示されている。

一実施形態において、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームには、細胞膜に融合することができるという利点がある。非カチオン性リポソームは、それほど効率的に細胞膜と融合することができないが、インビボでマクロファージによって取り込まれ、RNAi剤をマクロファージに送達するのに使用され得る。

リポソームの更なる利点としては以下が挙げられる:天然のリン脂質から得られるリポソームは、生体適合性があり且つ生分解性可能であり;リポソームは、広範囲の水溶性及び脂溶性薬剤を組み込むことができ;リポソームは、その内部の区画中に封入されたRNAi剤を代謝及び分解から保護することができる(Rosoff,in “Pharmaceutical Dosage Forms,”Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,volume1,p.245)。リポソーム製剤の調製における重要な考慮事項は、脂質表面電荷、小胞サイズ及びリポソームの水性容積である。

正に帯電した合成カチオン性脂質である、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を用いて、核酸と自発的に相互作用して、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合し、RNAi剤の送達をもたらすことが可能な脂質−核酸複合体を形成する、小さいリポソームを形成することができる(例えば、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413−7417,1987、及びDOTMA及びDNAとのその使用の説明については米国特許第4,897,355号明細書を参照)。

DOTMA類似体である、1,2−ビス(オレイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)は、リン脂質と組み合わせて使用して、DNA複合小胞を形成することができる。Lipofectin(商標)Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,Md.)は、負に帯電したポリヌクレオチドと自発的に相互作用して、複合体を形成する正に帯電したDOTMAリポソームを含む生体組織培養細胞中に高度にアニオン性の核酸を送達するための効果的な薬剤である。十分に正に帯電したリポソームが使用される場合、得られる複合体の正味電荷も正である。このように調製される正に帯電した複合体は、負に帯電した細胞表面に自発的に付着し、細胞膜と融合し、機能性核酸を、例えば、組織培養細胞中に効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質である、1,2−ビス(オレイルオキシ)−3,3−(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indiana)は、オレオイル部分がエーテル結合ではなく、エステルによって結合された点でDOTMAとは異なる。

他の報告されているカチオン性脂質化合物としては、2つのタイプの脂質のうちの1つにコンジュゲートされ、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(Transfectam(商標),Promega,Madison,Wisconsin)及びジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミル−アミド(「DPPES」)などの化合物を含む、例えば、カルボキシスペルミンを含む様々な部分にコンジュゲートされたものが挙げられる(例えば、米国特許第5,171,678号明細書を参照)。

別のカチオン性脂質コンジュゲートは、DOPEと組み合わせてリポソームに製剤化されたコレステロール(「DC−Chol」)による脂質の誘導体化を含む(Gao,X.及びHuang,L.,Biochim.Biophys.Res.Commun.179:280,1991を参照)。ポリリジンをDOPEにコンジュゲートすることによって作製されるリポポリリジンは、血清の存在下におけるトランスフェクションに有効であると報告されている(Zhou,X.et al.,Biochim.Biophys.Acta 1065:8,1991)。特定の細胞株では、コンジュゲートされたカチオン性脂質を含有するこれらのリポソームは、DOTMA含有組成物より低い毒性を示し、より効率的なトランスフェクションを提供するとされている。他の市販のカチオン性脂質製品としては、DMRIE及びDMRIE−HP(Vical,La Jolla,California)及びLipofectamine(DOSPA)(Life Technology,Inc.,Gaithersburg,Maryland)が挙げられる。オリゴヌクレオチドの送達に好適な他のカチオン性脂質が、国際公開第98/39359号パンフレット及び国際公開第96/37194号パンフレットに記載されている。

リポソーム製剤は、局所投与に特に適しており、リポソームは、他の製剤に優るいくつかの利点を示す。このような利点としては、投与される薬剤の高い全身性吸収率に関連する副作用の減少、所望の標的における投与される薬剤の蓄積の増加、及びRNAi剤を皮膚に投与する能力が挙げられる。ある実施において、RNAi剤を表皮細胞に送達するために、また、真皮組織、例えば、皮膚へのRNAi剤の浸透を促進するために、リポソームが使用される。例えば、リポソームは、局所的に適用され得る。リポソームとして製剤化される薬剤の皮膚への局所送達が報告されている(例えば、Weiner et al.,Journal of Drug Targeting,1992,vol.2,405−410及びdu Plessis et al.,Antiviral Research,18,1992:259−265;Mannino,R.J.and Fould−Fogerite,S.,Biotechniques 6:682−690,1988;Itani,T.et al.,Gene 56:267−276,1987;Nicolau,C.et al.(1987)Meth.Enz.149:157−176,1987;Straubinger,R.M.and Papahadjopoulos,D.Meth.Enz.101:512−527,1983;Wang,C.Y.and Huang,L.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855,1987を参照)。

また、非イオン性リポソーム系、特に、非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系は、皮膚への薬剤の送達におけるそれらの有用性を決定するために調べられた。Novasome I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)及びNovasome II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、マウス皮膚の真皮に薬剤を送達するのに使用された。RNAi剤を含むこのような製剤は、皮膚疾患を処置するのに有用である。

iRNAを含むリポソームは、高度に変形可能に作製され得る。このような変形性は、リポソームが、リポソームの平均半径より小さい孔を透過するのを可能にし得る。例えば、トランスフェルソーム(transfersome)は、変形可能なリポソームの一種である。トランスフェルソームは、表面縁活性化因子、通常、界面活性剤を、標準的なリポソーム組成物に加えることによって作製され得る。RNAi剤を含むトランスフェルソームは、皮膚のケラチノサイトにRNAi剤を送達するために、例えば、皮下感染によって送達され得る。無傷の哺乳動物皮膚を横断するために、脂質小胞は、好適な経皮勾配の影響下で、50nm未満の直径をそれぞれ有する一連の微細孔を透過しなければならない。更に、脂質特性のため、これらのトランスフェロソームは、自己最適化(例えば、毛穴の形状に適応可能)、自己修復性であり得、多くの場合、破砕せずにそれらの標的に到達し、多くの場合、自己充填性(self−loading)であり得る。

本発明に適した他の製剤が、2008年1月2日に出願された米国仮特許出願第61/018,616号明細書;2008年1月2日に出願された同第61/018,611号明細書;2008年3月26日に出願された同第61/039,748号明細書;2008年4月22日に出願された同第61/047,087号明細書及び2008年5月8日に出願された同第61/051,528号明細書に記載されている。2007年10月3日に出願されたPCT出願第PCT/US2007/080331号明細書にも、本発明に適した製剤が記載されている。

トランスファーソームは、リポソームの更なる別の一タイプであり、薬物送達ビヒクルの候補として魅力的な、高く変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、脂質小滴として記載することもでき、この脂質小滴は、高く変形可能であるため、小滴よりも小さい孔内を容易に透過することができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適合可能であり、例えば自己最適性(皮膚内の孔の形状に適応する)であり、自己修復性であり、しばしば細分化することなくそれらの標的に到達し、また多くの場合、自己負荷性である。トランスファーソームを作製するためには、通常は界面活性剤である表面縁部活性化因子を標準的なリポソーム組成物に加えることが可能である。トランスファーソームは、皮膚に血清アルブミンを送達するのに使用されている。トランスファーソーム仲介による血清アルブミンの送達は、血清アルブミンを含む溶液の皮下注射と同様に効果的であることが示されている。

界面活性剤は、エマルション(マイクロエマルションを含む)及びリポソームなどの製剤に広い用途を見出している。天然及び合成の両方の多数の異なるタイプの界面活性剤を分類及び順位付けする最も一般的な方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用によるものである。親水性基(「頭部」としても既知)の性質は、製剤中に使用される異なる界面活性剤を類別する最も有用な手段を提供する(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。

界面活性剤分子がイオン化されていない場合、この界面活性剤は非イオン性界面活性剤に分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬及び美容製品に広い用途を見出し、広い範囲のpH値に亘って使用可能である。一般に、それらのHLB値は、それらの構造に応じて2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤には、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、及びエトキシル化エステルなどの非イオン性エステルが挙げられる。非イオン性アルカノールアミド、及び、脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーなどのエーテルも、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最も人気のあるメンバーである。

界面活性剤分子が水中に溶解又は分散した際に負電荷を保有する場合、この界面活性剤は陰イオン性に分類される。陰イオン性界面活性剤には、せっけんなどのカルボキシレート、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルスルフェート及びエトキシル化アルキルスルフェートなどの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネート、並びにホスフェートが挙げられる。陰イオン性界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、アルキルスルフェート及びせっけんである。

界面活性剤分子が水中に溶解又は分散した際に正電荷を保有する場合、この界面活性剤は陽イオン性に分類される。陽イオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、最も使用されているこのクラスのメンバーである。

界面活性剤分子が正又は負電荷のいずれかを保有する能力を有する場合、この界面活性剤は両性に分類される。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン及びホスファチドが挙げられる。

薬物製品、製剤及びエマルション中での界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。

本発明の方法に使用するためのiRNAはまた、ミセル製剤として提供され得る。「ミセル」は、分子の全ての疎水性部分が内側を向いて、親水性部分を周囲の水相と接触したままにするように、両親媒性分子が球体構造で配置される、特定のタイプの分子集合体として本明細書において定義される。環境が疎水性である場合、逆の配置が存在する。

経皮膜を介した送達に好適な混合ミセル製剤は、siRNA組成物の水溶液、アルカリ金属C8〜C22アルキル硫酸塩、及びミセル形成化合物を混合することによって調製され得る。例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容され得る塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ルリヂサ油、月見草油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシン及びその薬学的に許容され得る塩、グリセリン、ポリグリセリン、リジン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテル及びその類似体、ポリドカノールアルキルエーテル及びその類似体、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、及びそれらの混合物が挙げられる。ミセル形成化合物は、アルカリ金属アルキル硫酸塩の添加と同時に又はその後に加えられてもよい。混合ミセルは、成分の実質的に任意の種類の混合で形成されるが、より小さいサイズのミセルを提供するためには激しい混合で形成される。

一方法において、siRNA組成物及び少なくともアルカリ金属アルキル硫酸塩を含有する第1のミセル組成物が調製される。次に、第1のミセル組成物は、少なくとも3つのミセル形成化合物と混合されて、混合ミセル組成物が形成される。別の方法において、ミセル組成物は、siRNA組成物、アルカリ金属アルキル硫酸塩及びミセル形成化合物の少なくとも1つを混合し、続いて、激しく混合しながら残りのミセル形成化合物を加えることによって調製される。

フェノール及び/又はm−クレゾールが、混合ミセル組成物に加えられて、製剤を安定化し、細菌増殖から保護してもよい。あるいは、フェノール及び/又はm−クレゾールは、ミセル形成成分とともに加えられてもよい。グリセリンなどの等張剤も、混合ミセル組成物の形成後に加えられてもよい。

スプレーとしてのミセル製剤の送達では、製剤は、エアロゾルディスペンサーに入れることができ、ディスペンサーに噴射剤が充填される。圧力下にある噴射剤は、ディスペンサー中で液体形態である。成分の比率は、水相及び噴射剤相が1つになるように、すなわち、1つの相が存在するように調整される。2つの相が存在する場合、例えば、定量弁によって、内容物の一部を投薬する前にディスペンサーを振とうする必要がある。医薬品の投薬用量は、微細なスプレー状で定量弁から噴射される。

噴射剤は、水素含有クロロフルオロカーボン、水素含有フルオロカーボン、ジメチルエーテル及びジエチルエーテルを含み得る。特定の実施形態において、HFA 134a(1,1,1,2テトラフルオロエタン)が使用されてもよい。

必須成分の特定の濃度は、比較的単純な実験によって決定され得る。口腔を介した吸収では、注射又は胃腸管を介した投与のための投与量の、例えば、少なくとも2倍又は3倍に増加させることが望ましいことが多い。

B.脂質粒子 本発明のiRNAすなわちdsRNAは、脂質製剤中、例えばLNP中に完全に封入されてもよく、又は他の核酸−脂質粒子を形成してもよい。

本明細書で使用される用語「LNP」は、安定な核酸−脂質粒子を指す。LNPは、典型的には、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、及び粒子の凝集を防止する脂質(例えば、PEG−脂質コンジュゲート)を含む。LNPは、静脈内(i.v.)注射後に延長された循環寿命を有し、かつ遠位部位(例えば、投与部位から物理的に分離された部位)に蓄積するため、全身適用に極めて有用である。LNPは「pSPLP」を含み、pSPLPは、PCT公開第国際公開第00/03683号パンフレットに示されているように、封入された縮合剤−核酸複合体を含む。本発明の粒子は、典型的には、約50nm〜約150nm、より典型的には約60nm〜約130nm、より典型的には約70nm〜約110nm、最も典型的には約70nm〜約90nmの平均粒径を有し、かつ実質的に無毒である。加えて、核酸は、本発明の核酸−脂質粒子中に存在する場合、水性溶液中で、ヌクレアーゼによる分解に耐性である。核酸−脂質粒子、及びそれらの調製方法は、例えば米国特許第5,976,567号明細書;米国特許第5,981,501号明細書;米国特許第6,534,484号明細書;米国特許第6,586,410号明細書;米国特許第6,815,432号明細書;米国特許出願公開第2010/0324120号明細書及びPCT公開国際公開第96/40964号パンフレットに開示されている。

一実施形態において、脂質対薬物の比(質量/質量比)(例えば、脂質対dsRNAの比)は、約1:1〜約50:1、約1:1〜約25:1、約3:1〜約15:1、約4:1〜約10:1、約5:1〜約9:1、又は約6:1〜約9:1の範囲内であろう。上記の範囲の中間の範囲も、本発明の一部であるものと考えられる。

陽イオン性脂質は、例えば、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイ(Dilinoley)オキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイ(Dilinoley)オキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、又は3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオ(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)又はその類似体、(3aR,5s,6aS)−N,N−ジメチル−2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’−(2−(4−(2−((2−(ビス(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン−1−イル)エチルアザネジイル)ジドデカン−2−オール(Tech G1)、又はこれらの混合物であってもよい。陽イオン性脂質は、粒子中に存在する全脂質の約20mol%〜約50mol%、又は約40mol%からなり得る。

別の実施形態において、化合物2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランが、脂質−siRNAナノ粒子を調製するのに使用され得る。2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランの合成は、参照により本明細書に援用される、2008年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/107,998号明細書に記載されている。

一実施形態において、脂質−siRNA粒子は、40%の2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン:10%のDSPC:40%のコレステロール:10%のPEG−C−DOMG(モルパーセント)を含み、63.0±20nmの粒度及び0.027siRNA/脂質比を有する。

イオン性/非陽イオン性脂質は、非限定的にジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−トランスPE、1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジ(phosphatidy)エタノールアミン(SOPE)、コレステロール、又はこれらの混合物を含む陰イオン性脂質又は中性脂質とすることができる。非陽イオン性脂質は、コレステロールが含まれる場合、粒子中に存在する全脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%、又は約58mol%であってもよい。

粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質は、例えば、非限定的にPEG−ジアシルグリセロール(DAG)、PEG−ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG−リン脂質、PEG−セラミド(Cer)、又はそれらの混合物を含むポリエチレングリコール(PEG)−脂質とすることができる。PEG−DAAコンジュゲートは、例えば、PEG−ジラウリルオキシプロピル(Ci2)、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(Ci4)、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(Ci6)、又はPEG−ジステアリルオキシプロピル(C]8)とすることができる。粒子の凝集を防止するコンジュゲート脂質は、粒子中に存在する全脂質の0mol%〜約20mol%、又は2mol%とすることができる。

いくつかの実施形態において、核酸−脂質粒子は更に、粒子中に存在する全脂質の例えば約10mol%〜約60mol%又は約48mol%のコレステロールを含む。

一実施形態において、リピドイド(lipidoid)ND98・4HCl(MW 1487)(参照により本明細書に援用される、2008年3月26日に出願された米国特許出願第12/056,230号明細書を参照)、コレステロール(Sigma−Aldrich)、及びPEG−Ceramide C16(Avanti Polar Lipids)が、脂質−dsRNAナノ粒子(すなわち、LNP01粒子)を調製するのに使用され得る。エタノール中のそれぞれの原液が、以下のとおりに調製され得る:ND98、133mg/ml;コレステロール、25mg/ml、PEG−Ceramide C16、100mg/ml。次に、ND98、コレステロール、及びPEG−Ceramide C16原液は、例えば、42:48:10のモル比で組み合わせられ得る。組み合わされた脂質溶液は、最終的なエタノール濃度が約35〜45%であり、最終的な酢酸ナトリウム濃度が約100〜300mMであるようにdsRNA水溶液(例えば酢酸ナトリウム(pH5)中)と混合され得る。脂質−dsRNAナノ粒子は、通常、混合時に自然に形成される。所望の粒度分布に応じて、得られるナノ粒子混合物が、例えば、Lipex Extruder(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレル押出機(thermobarrel extruder)を用いて、ポリカーボネート膜(例えば、100nmのカットオフ)を通して押し出され得る。場合によっては、押し出し工程は省略され得る。エタノール除去及び同時の緩衝液交換は、例えば、透析又は接線流ろ過によって達成され得る。緩衝液は、例えば、約pH7、例えば、約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3、又は約pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と交換され得る。

LNP01製剤が、例えば、参照により本明細書に援用される国際出願公開番号国際公開第2008/042973号パンフレットに記載されている。

更なる例示的な脂質−dsRNA製剤が、表Aに記載される。

DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン DPPC:ジパルミトイルホスファチジルコリン PEG−DMG:PEG−ジジミリストイル(didimyristoyl)グリセロール(C14−PEG、又はPEG−C14)(2000の平均分子量を有するPEG) PEG−DSG:PEG−ジスチリルグリセロール(C18−PEG、又はPEG−C18)(2000の平均分子量を有するPEG) PEG−cDMA:PEG−カルバモイル−1,2−ジミリスチルオキシプロピルアミン(2000の平均分子量を有するPEG) LNP(l,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミンプロパン(DLinDMA))を含む製剤が、参照により本明細書に援用される、2009年4月15日に出願された国際公開第2009/127060号パンフレットに記載されている。

XTCを含む製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年1月29日出願の米国特許仮出願第61/148,366号明細書;2009年3月2日出願の米国特許仮出願第61/156,851号明細書;2009年6月10日出願の米国特許仮出願第 号明細書;2009年7月24日出願の米国特許仮出願第61/228,373号明細書2009年9月3日出願米国特許仮出願第61/239,686号明細書、及び2010年1月29日出願の国際出願第PCT/US2010/022614号明細書に記載されている。

MC3を含む製剤が、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、2010年6月10日に出願された米国特許出願公開第2010/0324120号明細書に記載されている。

ALNY−100を含む製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年11月10日出願の国際特許出願第PCT/US09/63933号明細書に記載されている。

C12−200を含む製剤は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年5月5日出願の米国特許仮出願第61/175,770号明細書及び2010年5月5日出願の国際出願第PCT/US10/33777号明細書に記載されている。

イオン性/カチオン性脂質の合成 本発明の核酸−脂質粒子に使用される、例えば、カチオン性脂質などの化合物のいずれも、実施例により詳細に記載される方法を含む公知の有機合成技術によって調製され得る。全ての置換基は、特に示されない限り、以下に定義されるとおりである。

「アルキル」は、1〜24個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝鎖状、非環状又は環状の、飽和脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖状アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを含む一方;飽和分枝鎖状アルキルは、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどを含む。代表的な飽和環状アルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む一方;不飽和環状アルキルは、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルなどを含む。

「アルケニル」は、隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含有する、上で定義されるアルキルを意味する。アルケニルは、シス及びトランス異性体の両方を含む。代表的な直鎖状及び分枝鎖状アルケニルは、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどを含む。

「アルキニル」は、隣接する炭素間に少なくとも1つの三重結合を更に含有する、上で定義される任意のアルキル又はアルケニルを意味する。代表的な直鎖状及び分枝鎖状アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1ブチニルなどを含む。

「アシル」は、結合点における炭素が以下に規定されるオキソ基で置換される、任意のアルキル、アルケニル、又はアルキニルを意味する。例えば、−C(=O)アルキル、−C(=O)アルケニル、及び−C(=O)アルキニルが、アシル基である。

「複素環」は、飽和、不飽和、又は芳香族のいずれかであり、且つ窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1又は2つのヘテロ原子(ここで、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意選択で四級化されていてもよい)を含有する5員〜7員の単環式、又は7員〜10員の二環式の複素環を意味し、この複素環には、上記の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合された二環式の環が含まれる。複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合され得る。複素環は、以下に規定されるヘテロアリールを含む。複素環は、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizynyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどを含む。

「任意選択で置換されるアルキル」、「任意選択で置換されるアルケニル」、「任意選択で置換されるアルキニル」、「任意選択で置換されるアシル」、及び「任意選択で置換される複素環」という用語は、置換されるとき、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されることを意味する。オキソ置換基(=O)の場合、2つの水素原子が置換される。これに関して、置換基は、オキソ、ハロゲン、複素環、−CN、−ORx、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx及び−SOnNRxRyを含み、式中、nが、0、1又は2であり、Rx及びRyが、同じか又は異なっており、独立して、水素、アルキル又は複素環であり、前記アルキル及び複素環置換基のそれぞれが、オキソ、ハロゲン、−OH、−CN、アルキル、−ORx、複素環、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx及び−SOnNRxRyのうちの1つ又は複数で更に置換され得る。

「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。

ある実施形態において、本発明の方法は、保護基の使用を必要とし得る。保護基の方法は、当業者に周知である(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,Green,T.W.et al.,Wiley−Interscience,New York City,1999を参照)。簡潔には、本発明の文脈における保護基は、官能基の望ましくない反応性を低下させるか又はなくす任意の基である。保護基は、官能基に加えられて、特定の反応中のその反応性を遮蔽し、その後、除去されることで、元の官能基が現れ得る。ある実施形態において、「アルコール保護基」が使用される。「アルコール保護基」は、アルコール官能基の望ましくない反応性を低下させるか又はなくす任意の基である。保護基は、当該技術分野において周知の技術を用いて、加えられ、除去され得る。

式Aの合成 ある実施形態において、本発明の核酸−脂質粒子は、式A:

のカチオン性脂質を用いて製剤化され、式中、R1及びR2が、独立して、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、それぞれが任意選択で置換されていてもよく、R3及びR4が、独立して、低級アルキルであり、又はR3及びR4が、一緒になって、任意選択で置換される複素環を形成することができる。ある実施形態において、カチオン性脂質は、XTC(2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン)である。一般に、上の式Aの脂質は、以下の反応スキーム1又は2によって作製され得、ここで、全ての置換基は、特に示されない限り、上で定義されるとおりである。

スキーム1

脂質A(式中、R1及びR2が、独立して、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、それぞれが任意選択で置換されていてもよく、R3及びR4が、独立して、低級アルキルであり、又はR3及びR4が、一緒になって、任意選択で置換される複素環を形成することができる)は、スキーム1にしたがって調製され得る。ケトン1及び臭化物2は、購入されるか又は当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。1及び2の反応により、ケタール3が得られる。アミン4によるケタール3の処理により、式Aの脂質が得られる。式Aの脂質は、式5(式中、Xが、ハロゲン、水酸化物、ホスフェート、サルフェートなどから選択されるアニオン対イオンである)の有機塩を用いて、対応するアンモニウム塩に転化され得る。

スキーム2

あるいは、ケトン1の出発材料は、スキーム2にしたがって調製され得る。グリニャール試薬6及びシアン化物7は、購入されるか又は当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。6及び7の反応により、ケトン1が得られる。式Aの対応する脂質へのケトン1の転化は、スキーム1に表される。

MC3の合成 DLin−M−C3−DMA(すなわち、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート)の調製は以下のとおりであった。ジクロロメタン(5mL)中の(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−オール(0.53g)、4−N,N−ジメチルアミノ酪酸塩酸塩(0.51g)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.61g)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.53g)の溶液を、室温で一晩撹拌した。溶液を、希塩酸で洗浄し、続いて、希炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機画分を、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を回転蒸発器において除去した。残渣を、1〜5%のメタノール/ジクロロメタン溶出勾配を用いてシリカゲルカラム(20g)に通した。精製された生成物を含有する画分を組み合わせて。溶媒を除去し、無色油(0.54g)を得た。ALNY−100の合成

ケタール519[ALNY−100]の合成を、スキーム3にしたがって行った:

515の合成 二口丸底フラスコ(1L)中で、200mlの無水THF中のLiAlH4(3.74g、0.09852mol)の撹拌懸濁液に、70mLのTHF中の514(10g、0.04926mol)の溶液を、窒素雰囲気下で、00Cでゆっくりと加えた。完全に加えた後、反応混合物を室温まで温め、次に、4時間加熱還流させた。反応の進行をTLCによって監視した。(TLCによる)反応の完了後、混合物を00Cに冷却し、飽和Na2SO4溶液の慎重な添加によってクエンチした。反応混合物を室温で4時間撹拌し、ろ過して取り除いた。残渣をTHFで十分に洗浄した。ろ液及び洗浄液を混合し、400mLのジオキサン及び26mLの濃HClで希釈し、室温で20分間撹拌した。揮発性物質を、減圧下で取り除いて、白色の固体として515の塩酸塩を得た。収量:7.12g 1H−NMR(DMSO、400MHz):δ=9.34(broad,2H)、5.68(s,2H)、3.74(m,1H)、2.66〜2.60(m,2H)、2.50〜2.45(m,5H)。

516の合成 250mLの二口丸底フラスコ中で、100mLの乾燥DCM中の化合物515の撹拌溶液に、NEt3を加え(37.2mL、0.2669mol)、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。50mLの乾燥DCM中のN−(ベンジルオキシ−カルボニルオキシ)−スクシンイミド(20g、0.08007mol)をゆっくりと加えた後、反応混合物を、室温まで温めた。反応(TLCによって2〜3時間)の完了後、混合物を、1NのHCl溶液(1×100mL)及び飽和NaHCO3溶液(1×50mL)で連続して洗浄した。次に、有機層を、無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、粗材料を得て、それを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、粘着性の塊として516を得た。収量:11g(89%)。1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ=7.36〜7.27(m,5H)、5.69(s,2H)、5.12(s,2H)、4.96(br.,1H)2.74(s,3H)、2.60(m,2H)、2.30〜2.25(m,2H)。LC−MS[M+H]−232.3(96.94%)。

517A及び517Bの合成 シクロペンテン516(5g、0.02164mol)を、500mLの一口丸底フラスコ中で、220mLのアセトン及び水(10:1)の溶液に溶解させ、それに、N−メチルモルホリン−N−オキシド(7.6g、0.06492mol)、続いて、4.2mLの、tert−ブタノール中のOsO4(0.275g、0.00108mol)の7.6%溶液を室温で加えた。反応(約3時間)の完了の後、混合物を、固体Na2SO3の添加によってクエンチし、得られた混合物を、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を、DCM(300mL)で希釈し、水(2×100mL)、続いて、飽和NaHCO3(1×50mL)溶液、水(1×30mL)及び最後に塩水(1×50mL)で洗浄した。有機相を、無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗材料のシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製により、ジアステレオマーの混合物を得て、それを、分取HPLCによって分離した。収量:−6gの粗517A−ピーク−1(白色の固体)、5.13g(96%)。1H−NMR(DMSO、400MHz):δ=7.39〜7.31(m,5H)、5.04(s,2H)、4.78〜4.73(m,1H)、4.48〜4.47(d,2H)、3.94〜3.93(m,2H)、2.71(s,3H)、1.72〜1.67(m,4H)。LC−MS−[M+H]−266.3、[M+NH4+]−283.5存在、HPLC−97.86%。X線により確認された立体化学。

518の合成 化合物505の合成について記載されるのと同様の手順を用いて、化合物518(1.2g、41%)を無色油として得た。1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ=7.35〜7.33(m,4H)、7.30〜7.27(m,1H)、5.37〜5.27(m,8H)、5.12(s,2H)、4.75(m,1H)、4.58〜4.57(m,2H)、2.78〜2.74(m,7H)、2.06〜2.00(m,8H)、1.96〜1.91(m,2H)、1.62(m,4H)、1.48(m,2H)、1.37〜1.25(br m,36H)、0.87(m,6H)。HPLC−98.65%。

化合物519の合成のための一般的な手順 ヘキサン(15mL)中の化合物518(1当量)の溶液を、THF(1M、2当量)中のLAHの氷冷した溶液に滴下して加えた。完全に加えた後、混合物を、0.5時間にわたって40℃で加熱し、次に、氷浴上で再度冷却した。混合物を、飽和Na2SO4水溶液を用いて慎重に加水分解し、次に、セライトを通してろ過し、還元して油にした。カラムクロマトグラフィーにより、純粋な519(1.3g、68%)が得られ、これは、無色油として得られた。13C NMR δ=130.2、130.1(×2)、127.9(×3)、112.3、79.3、64.4、44.7、38.3、35.4、31.5、29.9(×2)、29.7、29.6(×2)、29.5(×3)、29.3(×2)、27.2(×3)、25.6、24.5、23.3、226、14.1;エレクトロスプレーMS(+ve):C44H80NO2についての分子量(M+H)+計算値654.6、実測値654.6。

標準的な又は押し出しフリー(extrusion−free)方法のいずれかにより調製された製剤は、同様の方法で特徴付けることができる。例えば、製剤は典型的には視認検査により特徴付けられる。製剤は凝集体又は沈殿物を含まない白みがかった半透明溶液である筈である。脂質−ナノ粒子の粒子サイズ及び粒子サイズ分布は、例えば、Malvern Zetasizer Nano ZS(Malvern,USA)を使用した光散乱により測定することができる。粒子は、そのサイズが約20〜300nm、例えば40〜100nmである必要がある。粒子サイズ分布は、単峰形である必要がある。製剤中の総dsRNA濃度、及び捕捉された割合は、色素排除アッセイを用いて概算される。処方されたdsRNAのサンプルは、製剤崩壊界面活性剤、例えば0.5%トリトン−X100の存在又は不在下、Ribogreen(Molecular Probes)などのRNA結合染料と共にインキュベートされてもよい。製剤中の総dsRNAは、標準的な曲線に対する界面活性剤を含むサンプルからの信号により決定され得る。捕捉された割合は、総dsRNA含有量から「遊離」dsRNA含有量(界面活性剤の不在下で信号により測定した)を減算することにより決定される。捕捉されたdsRNAのパーセントは、典型的には>85%である。LNP製剤の場合、粒子サイズは、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、及び少なくとも120nmである。好適な範囲は、典型的には少なくとも約50nm〜少なくとも約110nm、少なくとも約60nm〜少なくとも約100nm、又は少なくとも約80nm〜少なくとも約90nmである。

経口投与用の組成物及び製剤には、散剤又は顆粒、微粒子、ナノ粒子、縣濁剤、又は水若しくは非水性媒体中の液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、薬袋、錠剤又は小型錠剤が挙げられる。増粘剤、風味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤は、所望され得る。いくつかの実施形態では、経口製剤は、本発明を特徴付けるdsRNAが、1種又は複数種の透過促進剤界面活性剤及びキレート剤と共に投与されるものである。好適な界面活性剤には、脂肪酸及び/若しくはエステル又はその塩、胆汁酸及び/又はその塩が挙げられる。好適な胆汁酸/塩には、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。好適な脂肪酸には、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、若しくはモノグリセリド、ジグリセリド、又はこれらの薬学的に許容され得る塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。いくつかの実施形態において、浸透促進剤の組み合わせ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩が使用される。例示的な1つの組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。更なる浸透促進剤には、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルが挙げられる。本発明を特徴付けるDsRNAは、噴霧乾燥粒子、又はマイクロ若しくはナノ粒子を形成するために錯体化されたものを含む顆粒形態で経口的に送達され得る。dsRNA錯体化剤には、ポリ−アミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート、ポリオキセタン、ポリアルキルシアノアクリレート;陽イオン化ゼラチン、アルブミン、澱粉、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)及び澱粉;ポリアルキルシアノアクリレート;DEAE−誘導体化ポリイミン、プルラン、セルロース及び澱粉が挙げられる。好適な錯体化剤には、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リシン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノ(cynao)アクリレート)、DEAE−メタクリレート、DEAE−ヘキシルアクリレート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミン及びDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)、アルギン酸塩、及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNA用の経口製剤、及びそれらの製剤は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,887,906号明細書、米国特許出願公開第20030027780号明細書及び米国特許第6,747,014号明細書に記載されている。

非経口、実質内(脳内へ)、くも膜下腔内、脳室内又は肝内投与用の組成物及び製剤には、無菌水性溶液を挙げることができ、該無菌水性溶液は、緩衝液、希釈剤、並びに、非限定的に浸透促進剤、担体化合物、及び他の薬学的に許容され得る担体又は賦形剤などの他の好適な添加剤も含み得る。

本発明の医薬組成物は、非限定的に、液剤、乳剤、及びリポソーム含有製剤を含む。これらの組成物は、非限定的に予め形成された液剤、自己乳化型固体及び自己乳化型半固体を含む多様な構成成分から生成され得る。肝癌腫などの肝疾患を処置する際、肝臓を標的とする製剤が特に好ましい。

単位剤形にて都合よく存在し得る本発明の医薬製剤は、医薬産業にて周知の従来の技術に従って調製することができる。そのような技術は、活性成分を医薬担体又は賦形剤と関連させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体又は微粉化固体担体又は両方と均一かつ親密に関連させた後、必要であれば、製品を成形することにより調製される。

本発明の組成物は、非限定的に錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、ソフトゲル剤、坐薬、及び浣腸などの多数の可能な剤形のいずれかに処方され得る。本発明の組成物はまた、水性、非水性又は混合媒体中の懸濁液として処方され得る。水性縣濁液は、更に、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含んでもよい。縣濁液はまた、安定剤を含み得る。

C.更なる製剤 i.エマルション 本発明の組成物は、エマルションとして、調製され、製剤化され得る。エマルションは、典型的に、1つの液体が、通常、直径が0.1μmを超える液滴の形態の別の液体中に分散された不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchi et al.,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301を参照)。エマルションは、多くの場合、互いに親密に混合され及び分散された2つの非混和性液体相を含む二層系である。一般に、エマルションは、油中水(w/o)又は水中油(o/w)の種類のいずれかであり得る。水性相が微小液滴として塊の油相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、油中水(w/o)エマルションと呼ばれる。代替的に、油相が微小液滴として塊の水性相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、水中油(o/w)エマルションと呼ばれる。エマルションは、分散相及び活性薬物に加えて追加の構成成分を含むことができ、該構成成分は、水性相、油相中の溶液として、又はそれ自体が別個の相として存在し得る。必要に応じてエマルション中に乳化剤、安定剤、染料、及び抗酸化剤などの医薬賦形剤も存在し得る。医薬エマルションは、例えば、油中水中油(o/w/o)及び水中油中水(w/o/w)エマルションの場合など、3つ以上の相からなる多エマルションであり得る。そのような複合製剤は、多くの場合、単純な二成分エマルションが提供しない所定の利点を提供する。o/wエマルションの個々の油小滴が小さい水小滴を囲い込む多エマルションは、w/o/wエマルションを構成する。同様に、油の連続相中で安定化された水の小球中に囲い込まれた油小滴の系は、o/w/oエマルションを提供する。

エマルションは、熱力学的安定性を殆ど又は全く有さないことにより特徴付けられる。多くの場合、エマルションの分散又は不連続相は、外部又は連続相中に良好に分散され、乳化剤の手段、又は製剤の粘度を介してこの形態に維持される。エマルションの相のいずれかは、エマルション型軟膏ベース及びクリームの場合のように半固体又は固体であり得る。エマルションを安定化させる他の手段には、エマルションのいずれかの相に組み込まれ得る乳化剤の使用が含まれる。乳化剤は、合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基剤、及び微細に分散した固体の4つのカテゴリーに大きく分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。

表面活性剤としても知られている合成界面活性剤は、エマルションの製剤化に広範な適用性が見出されており、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199を参照)。界面活性剤は、通常、両親媒性であり、親水性部分及び疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比率は、親水性/親油性バランス(HLB)と称されており、製剤の調製の際の界面活性剤の分類及び選択の際の貴重な手段である。界面活性剤は、親水性基の性質に基づいて、異なる種類、すなわち、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性に分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285を参照)。

エマルション製剤中に使用される、天然に存在する乳化剤には、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチン及びアカシアが挙げられる。吸収ベースは、無水ラノリン及び親水性ワセリンのように、水を取り入れてw/oエマルションを形成するが、尚それらの半固体稠度を維持する親水性特性を所有する。微粉化固体は、特に界面活性剤の組み合わせ中、及び粘稠な製剤中で、良好な乳化剤として使用されている。これらには、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム及びコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの非膨潤粘土、顔料、及び炭素などの非極性固体又はトリステアリン酸グリセリルが挙げられる。

非常に多様な非乳化材料もエマルション製剤中に含まれ、エマルションの特性に寄与する。それらには、脂肪、油、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、湿潤剤、親水性コロイド、保存剤及び抗酸化剤が挙げられる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。

親水性コロイド又は親水コロイドには、多糖(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グァーガム、カラヤガム、及びトラガカント)などの天然に存在するゴム及び合成ポリマー、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)、及び合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、及びカルボキシビニルポリマー)が挙げられる。これらは水中に分散し又は水中で膨潤して、分散相の小滴の周囲に強力な界面フィルムを形成することにより、また、外部相の粘度を増大させることにより、エマルションを安定化するコロイド溶液を形成する。

エマルションは、多くの場合、微生物の増殖を容易に支持し得る炭水化物、タンパク質、ステロール及びホスファチドなどの多数の成分を含むため、これらの製剤は、多くの場合、保存剤を組み込んでいる。製剤に含まれる、通常使用される保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンズアルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、及びホウ酸が挙げられる。抗酸化剤も、通常、エマルション製剤に加えられて、製剤の変質を防止する。使用される抗酸化剤は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの遊離基スカベンジャー、又はアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤、並びにクエン酸、酒石酸及びレシチンなどの抗酸化剤共力剤であり得る。

皮膚、経口及び非経口経路を介したエマルション製剤の適用ならびにそれらの製造方法は、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。経口送達用のエマルション製剤は、製剤化の容易さ、ならびに吸収及び生物学的利用能の観点からの有効性のため、非常に広範に使用されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。鉱油基剤の緩下剤、油溶性ビタミン及び高脂肪栄養製剤が、o/w型エマルションとして一般的に経口投与されている材料に含まれる。

ii.マイクロエマルション 本発明の一実施形態において、iRNA及び核酸の組成物は、マイクロエマルションとして製剤化される。マイクロエマルションは、単一の光学的に等方性で且つ熱力学的に安定した液体溶液である、水、油及び両親媒性物質の系として定義され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245を参照)。典型的には、マイクロエマルションは、最初に油を水性界面活性剤溶液中に分散した後、十分な量の第四の構成成分、一般に中間の鎖長のアルコールを加えて透明系を形成することにより調製される。従って、マイクロエマルションは、表面活性分子の界面フィルムにより安定化されている2つの非混和性液体からなる熱力学的に安定な、等方的に透明な分散物として記載されている(Leung and Shah,in:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pp.185−215)。マイクロエマルションは通常、油、水、界面活性剤、補助界面活性剤及び電解質を含む3〜5つの構成成分の組み合わせを用いて調製される。マイクロエマルションが油中水(w/o)タイプ又は水中油(o/w)タイプのいずれのものであるかは、使用される油及び界面活性剤の特性と、界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素尾部の構造及び幾何学的充填(geometric packing)とに依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。

状態図を用いる現象論的手法が広範に研究されており、マイクロエマルションを製剤化する方法についての広範な知識を当業者に与えている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335を参照)。従来のエマルションと比較して、マイクロエマルションは、自発的に形成する熱力学的に安定な小滴の製剤中で水不溶性薬物を可溶化する利点を提供する。

マイクロエマルションの調製に使用される界面活性剤には、単独で又は補助界面活性剤との組み合わせで、非限定的に、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、モノラウリン酸テトラグリセロール(ML310)、モノオレイン酸テトラグリセロール(MO310)、モノオレイン酸ヘキサグリセロール(PO310)、ペンタオレイン酸ヘキサグリセロール(PO500)、モノカプリン酸デカグリセロール(MCA750)、モノオレイン酸デカグリセロール(MO750)、セスキオレイン酸(sequioleate)デカグリセロール(SO750)、デカオレイン酸デカグリセロール(DAO750)が挙げられる。通常、エタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールなどの短鎖アルコールである補助界面活性剤は、界面活性剤フィルム中に浸透し、その結果、界面活性剤分子間に生成された空隙空間によって不規則フィルムを形成することにより、界面流動性を増大させる役割を果たす。しかしながら、マイクロエマルションは、補助界面活性剤を使用することなく調製されることができ、アルコールフリー自己乳化型マイクロエマルション系は、当技術分野にて既知である。水性相は、典型的には、非限定的に水、薬物の水性溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、及びエチレングリコールの誘導体とすることができる。油相は、非限定的にCaptex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8〜C12)モノ、ジ、及びトリ−グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、植物油及びシリコーン油などの材料を含むことができる。

マイクロエマルションは、薬物可溶化及び薬物吸収向上の観点から特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルション(o/w及びw/oの両方)は、ペプチドを含む薬物の経口バイオアベイラビリティの向上に提案されている(例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385−1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205を参照されたい)。マイクロエマルションは、薬物可溶化の改善、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤誘導による膜流動性及び透過性の変更に起因する薬物吸収の可能な向上、調製の容易さ、固体剤形を超える経口投与の容易さ、臨床的効能の改善、及び毒性の低下の利点を提供する(例えば例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Ho et al.,J.Pharm.Sci.,1996,85,138−143を参照されたい)。多くの場合、マイクロエマルションは、マイクロエマルションの構成成分が周囲温度で一緒にされた際に自発的に形成され得る。このことは、易熱性薬物、ペプチド又はiRNAを処方する際に特に有利であり得る。マイクロエマルションはまた美容及び医薬用途の両方において活性構成成分の経費送達に有効である。本発明のマイクロエマルション組成物及び製剤が胃腸管からのiRNA及び核酸の全身吸収の増大、並びにiRNA及び核酸の局部細胞取り込みの改善を促進することが期待される。

本発明のマイクロエマルションはまた、モノステアリン酸ソルビタン(Grill 3)、ラブラソール(Labrasol)、及び透過促進剤などの追加の構成成分及び添加剤を含んで、製剤の特性を改善し、かつ本発明のiRNA及び核酸の吸収を向上させ得る。本発明のマイクロエマルション中で使用される浸透促進剤は、5つの広いカテゴリーの1つに属するものとして分類され得る−−界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、及び非キレート化非界面活性剤(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらのクラスの各々は、上記に論じられている。

iii.微粒子 本発明のRNAi剤は、粒子、例えば、微粒子に組み込まれてもよい。微粒子は、噴霧乾燥によって生成され得るが、凍結乾燥、蒸発、流体床乾燥、真空乾燥、又はこれらの技術の組合せを含む他の方法によって生成されてもよい。

iv.浸透促進剤 一実施形態において、本発明は、動物の皮膚への、核酸、特にiRNAの効率的な送達を行うために様々な浸透促進剤を用いる。ほとんどの薬剤が、イオン化及び非イオン化の両方の形態で溶液中に存在する。しかしながら、通常、脂溶性又は親油性の薬剤のみが、細胞膜を容易に横断する。横断される膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤でも細胞膜を横断することができることが発見されている。細胞膜をわたる非親油性薬剤の拡散の補助に加えて、浸透促進剤は、親油性薬剤の浸透性も向上させる。

浸透促進剤は、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、及び非キレート非界面活性剤の5つの大きいカテゴリーのうちの1つに属するものとして分類され得る(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照)。浸透促進剤の上記の種類のそれぞれが、以下により詳細に記載される。

界面活性剤(又は「表面活性剤」)は、水溶液に溶解されると、溶液の表面張力又は水溶液と別の液体との間の界面張力を低下させ、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化学物質である。胆汁塩及び脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照);及びFC−43などのペルフルオロ化合物エマルション(Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が挙げられる。

浸透促進剤として作用する様々な脂肪酸及びそれらの誘導体としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1〜20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル及びt−ブチル)、ならびにそれらのモノグリセリド及びジグリセリド(すなわち、オレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が挙げられる(例えば、Touitou,E.,et al.Enhancement in Drug Delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651−654を参照)。

胆汁の生理学的役割には、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進が含まれる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Brunton,Chapter 38 in:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.Eds.,McGraw−Hill,New York,1996,pp.934−935を参照)。様々な天然の胆汁塩、及びそれらの合成誘導体が、浸透促進剤として作用する。したがって、「胆汁塩」という用語は、胆汁の天然成分のいずれかならびにそれらの合成誘導体のいずれかを含む。好適な胆汁塩としては、例えば、コール酸(又はその薬学的に許容され得るナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(glucholic acid)(グルコール酸ナトリウム(sodium glucholate))、グリコール酸(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ナトリウムタウロ−24,25−ジヒドロ−フシデート(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム及びポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In:Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pages 782−783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579−583を参照)。

本発明に関連して使用されるキレート剤は、金属イオンとの錯体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化合物として定義され得る。本発明における浸透促進剤としてのキレート剤の使用に関して、ほとんどの特徴付けられたDNAヌクレアーゼが触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、したがって、キレート剤によって阻害されるため、キレート剤は、DNアーゼ阻害剤としても作用するという更なる利点を有する(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315−339)。好適なキレート剤としては、限定はされないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えば、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレート及びホモバニレート(homovanilate))、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9及びβ−ジケトンのN−アミノアシル誘導体(エナミン)が挙げられる(例えば、Katdare,A.et al.,Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43−51を参照)。

本明細書において使用される際、非キレート非界面活性剤の浸透促進化合物は、キレート剤又は界面活性剤としてのわずかな活性を示すが、それにもかかわらず、消化器粘膜を通るiRNAの吸収を促進する化合物として定義され得る(例えば、Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33を参照)。この種類の浸透促進剤としては、例えば、不飽和環状尿素、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92);ならびにジクロフェナクナトリウム、インドメタシン及びフェニルブタゾンなどの非ステロイド性抗炎症剤(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621−626)が挙げられる。

細胞レベルにおけるiRNAの取り込みを促進する剤も、本発明の医薬組成物及び他の組成物に加えられ得る。例えば、リポフェクチン(lipofectin)などのカチオン性脂質(Junichiらの米国特許第5,705,188号明細書)、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリリジンなどのポリカチオン性分子(LolloらのPCT出願の国際公開第97/30731号パンフレット)も、dsRNAの細胞取り込みを促進することが知られている。市販のトランスフェクション試薬の例としては、特に、例えば、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine 2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、DMRIE−C(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、FreeStyle(商標)MAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)2000 CD(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、RNAiMAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、X−tremeGENE Q2 Transfection Reagent(Roche;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOSPER Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、又はFugene(Grenzacherstrasse,Switzerland)、Transfectam(登録商標)Reagent(Promega;Madison,WI)、TransFast(商標)Transfection Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−20 Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−50 Reagent(Promega;Madison,WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille,France)、TransPassa D1 Transfection Reagent(New England Biolabs;Ipswich,MA,USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invitrogen;San Diego,CA,USA)、PerFectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、NeuroPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER 2 Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、Cytofectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、BaculoPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、TroganPORTER(商標)transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、RiboFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、PlasFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、UniFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、SureFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、又はHiFect(商標)(B−Bridge International,Mountain View,CA,USA)が挙げられる。

エチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、2−ピロールなどのピロール、アゾン、ならびにリモネン及びメントンなどのテルペンを含む、他の剤を用いて、投与される核酸の浸透を促進することができる。

v.担体 本発明の所定の組成物は、製剤中に担体化合物も組み込んでいる。本明細書で使用される「担体化合物」又は「担体」は、不活性(即ち、生物学的活性perseを所有しない)であり得るが、例えば、生物学的に活性な核酸を分解し、又は循環からの核酸の除去を促進することによる、生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビリティを低下させるインビボでのプロセスによって、核酸であると認識される核酸又はその類似体を指すことができる。核酸及び担体化合物の共投与、典型的には過剰な後者の物質による共投与により、おそらくは共通の受容体に対する担体化合物と核酸との競合に起因して、肝臓、腎臓又は他の循環外リザーバ(extracirculatory reservoir)中で回収される核酸の量が実質的に低下し得る。例えば、肝組織内での部分的ホスホロチオエートの回収は、それがポリイノシン酸、デキストラン硫酸塩、ポリシチジル酸(polycytidic acid)又は4−アセトアミド−4’イソチオシアノ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸と共投与された際、低下され得る(Miyao et al.,DsRNA Res.Dev.,1995,5,115−121;Takakura et al.,DsRNA&Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177−183。

vi.賦形剤 担体化合物とは対照的に、「医薬担体」又は「賦形剤」は、動物に1つ又は複数の核酸を送達するための薬学的に許容され得る溶媒、懸濁剤、又は任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体又は固体とすることができ、計画された投与方法を考慮に入れて、核酸及び医薬組成物の他の所定の構成成分と組み合わされた際に、所望の嵩、稠度などを提供するように選択される。典型的な医薬担体には、非限定的に、結合剤(例えば、α化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、乳糖及び他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート又はリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、水素化植物油、トウモロコシ澱粉、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);錠剤崩壊剤(例えば、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウムなど);及び湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。

核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤も本発明の組成物の処方に使用され得る。薬学的に許容され得る好適な担体には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。

核酸の局所投与用の製剤には、アルコールなどの通常の溶媒中の無菌及び非無菌水性溶液、非水性溶液、又は液体若しくは固体油ベース中の核酸溶液を挙げることができる。溶液は、緩衝剤、希釈剤及び他の好適な添加剤も含み得る。核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤を使用し得る。

薬学的に許容され得る好適な賦形剤には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。

vii.他の構成成分 本発明の組成物は更に、医薬組成物中に従来見出される他の補助構成成分も、当技術分野にて確立されたそれらの使用レベルで含有し得る。それ故、例えば、組成物は、例えば、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬若しくは抗炎症薬剤などの更なる、適合可能な、医薬的に活性な材料を含有することができ、又は、染料、風味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤などの、本発明の組成物の様々な剤形を物理的に処方するのに有用な更なる材料を含有することができる。しかしながら、それらの材料は、加えられた際、本発明の組成物の構成成分の生物学的活性を過度に妨害しない必要がある。製剤は滅菌されてもよく、また所望の場合、製剤の核酸と有害に相互作用しない補助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色料、調味料及び/又は芳香性物質などと混合される。

水性縣濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含み得る。縣濁液は、安定剤も含み得る。

ある実施形態において、本発明に取り上げられる医薬組成物は、(a)1つ又は複数のiRNA化合物と、(b)非RNAi機構によって機能し、出血性疾患を処置するのに有用な1つ又は複数の剤とを含む。このような剤の例としては、限定はされないが、抗炎症剤、抗脂肪症剤、抗ウイルス剤、及び/又は抗線維症剤が挙げられる。更に、シリマリンなどの、肝臓を保護するのに一般的に使用される他の物質も、本明細書に記載されるiRNAとともに使用され得る。肝疾患を処置するのに有用な他の剤としては、テルビブジン、エンテカビル、及びテラプレビルなどのプロテアーゼ阻害剤ならびに、例えば、Tungらの米国特許出願公開第2005/0148548号明細書、同第2004/0167116号明細書、及び同第2003/0144217号明細書;及びHaleらの米国特許出願公開第2004/0127488号明細書に開示されている他の剤が挙げられる。

このような化合物の毒性及び処置効果は、例えば、LD50(個体群の50%の致死量)及びED50(個体群の50%に治療に有効な用量)を決定するための、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性作用と処置効果との間の用量比は、処置指数であり、LD50/ED50比として表され得る。高い処置指数を示す化合物が好ましい。

細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトに使用するためのある範囲の投与量を製剤化するのに使用され得る。本発明における本明細書に取り上げられる組成物の投与量は、一般に、ほとんど又は全く毒性を伴わずにED50を含む血中濃度の範囲内である。投与量は、用いられる剤形及び用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。本発明に取り上げられる方法に使用される任意の化合物では、治療に有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推測され得る。用量は、細胞培養物中で測定して、IC50(即ち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む、化合物の、又は、適切な場合、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度範囲を動物モデル内で達成する(例えば、ポリペプチドの濃度の低下を達成する)ように処方され得る。そのような情報を使用して、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。

上記に述べたそれらの投与に加えて、本発明を特徴付けるiRNAは、PCSK9発現により仲介される病理過程の処置に有効な他の既知の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。いずれの場合でも、投与する医師は、観察された結果に基づいて、当技術分野にて既知の又は本明細書に記載される標準的な有効性の尺度を使用して、iRNAの量及び投与時間を調整することができる。

IV.PCSK9発現の阻害方法 本発明は、細胞内でのプロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の発現の阻害方法を提供する。本方法は、細胞を、細胞内でのPCSK9の発現を阻害するのに有効な量のRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤と接触させ、それにより、細胞内でのPCSK9の発現を阻害する工程を含む。

細胞を二本鎖RNAi剤と接触させる工程は、インビトロ又はインビボで行われ得る。細胞をRNAi剤とインビボで接触させる工程は、対象、例えば、ヒト対象内の細胞又は細胞群を、RNAi剤と接触させる工程を含む。インビトロ及びインビボでの接触方法の組合せも可能である。接触は、上述されるように、直接又は間接的に行われ得る。更に、細胞を接触させる工程は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知の任意のリガンドを含む標的化リガンドによって行われ得る。好ましい実施形態において、標的化リガンドは、炭水化物部分、例えば、GalNAc3リガンド、又はRNAi剤を目的の部位、例えば、対象の肝臓に指向する任意の他のリガンドである。

本明細書において使用される際の「阻害する」という用語は、「低下させる」、「サイレンシングする」、「下方制御する」及び他の類似語と同義的に使用され、任意のレベルの阻害を含む。

本明細書において使用される際の「PCSK9の発現を阻害する」という語句は、任意のPCSK9遺伝子(例えば、マウスPCSK9遺伝子、ラットPCSK9遺伝子、サルPCSK9遺伝子、又はヒトPCSK9遺伝子など)ならびにPCSK9遺伝子の変異体又は突然変異体の発現の阻害を指すことが意図される。したがって、PCSK9遺伝子は、野生型PCSK9遺伝子、突然変異体PCSK9遺伝子、又は遺伝子組み換えされた細胞、細胞群、又は生物の文脈におけるトランスジェニックPCSK9遺伝子であり得る。

「PCSK9遺伝子の発現を阻害する」は、PCSK9遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、PCSK9遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を含む。PCSK9遺伝子の発現は、PCSK9遺伝子の発現に関連する任意の変数のレベル、例えば、PCSK9 mRNAレベル、PCSK9タンパク質レベル、又は脂質レベル、又はレベルの変化に基づいて評価され得る。このレベルは、例えば、対象に由来する試料を含む、個々の細胞又は細胞群中で評価され得る。

阻害は、対照のレベルと比較したPCSK9発現に関連する1つ又は複数の変数の絶対的又は相対的レベルの低下によって評価され得る。対照のレベルは、当該技術分野において用いられる任意のタイプの対照のレベル、例えば、投与前ベースライン(pre−dose baseline)レベル、又は非処理又は対照(例えば、緩衝液のみの対照又は不活性な剤の対照など)で処理された同様の対象、細胞、又は試料から測定されるレベルであり得る。

本発明の方法のある実施形態において、PCSK9遺伝子の発現は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%.少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%だけ阻害される。

PCSK9遺伝子の発現の阻害は、PCSK9遺伝子が転写され、PCSK9遺伝子の発現が阻害されるように(例えば、1つ又は複数の細胞を、本発明のRNAi剤と接触させることによって、又は本発明のRNAi剤を、細胞が存在する又は存在していた対象に投与することによって)処理されている第1の細胞又は細胞群(このような細胞は、例えば、対象に由来する試料中に存在し得る)によって発現されるmRNAの量の、そのように処理されていない以外は第1の細胞又は細胞群と実質的に同一の第2の細胞又は細胞群(対照細胞)と比較した際の低下に現れる。好ましい実施形態において、阻害は、以下の式を用いて、対照細胞中のmRNAのレベルにおけるパーセンテージとして、処理された細胞中のmRNAのレベルを表すことによって評価される:

あるいは、PCSK9遺伝子の発現の阻害は、脂質レベル、コレステロールレベル、例えば、LDLcレベルなどの、PCSK9遺伝子の発現、例えば、PCSK9タンパク質の発現に機能的に関連するパラメータの低下に関して評価され得る。PCSK9遺伝子サイレンシングは、構造的に又はゲノム工学によって、及び当該技術分野において公知の任意のアッセイによって、PCSK9を発現する任意の細胞中で測定され得る。肝臓は、PCSK9発現の主要部位である。発現の他の実質的な部位は、膵臓、腎臓、及び腸を含む。

PCSK9タンパク質の発現の阻害は、細胞又は細胞群によって発現されるPCSK9タンパク質のレベル(例えば、対象に由来する試料中で発現されるタンパク質のレベル)の低下に現れる。mRNAの抑制の評価について上で説明されるように、処理された細胞又は細胞群中のタンパク質の発現レベルの阻害は、対照細胞又は細胞群中のタンパク質のレベルにおけるパーセンテージとして同様に表され得る。

PCSK9遺伝子の発現の阻害を評価するのに使用され得る対照細胞又は細胞群は、本発明のRNAi剤とまだ接触されていない細胞又は細胞群を含む。例えば、対照細胞又は細胞群は、RNAi剤による対象の処理の前に、個々の対象(例えば、ヒト又は動物対象)から得られる。

細胞又は細胞群によって発現されるPCSK9 mRNAのレベルは、mRNAの発現を評価するために当該技術分野において公知の任意の方法を用いて測定され得る。一実施形態において、試料中のPCSK9の発現のレベルは、転写されたポリヌクレオチド、又はその一部、例えば、PCSK9遺伝子のmRNAを検出することによって測定される。RNAは、例えば、酸フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B;Biogenesis)、RNeasy RNA調製キット(Qiagen)又はPAX遺伝子(PreAnalytix,Switzerland)の使用を含む、RNA抽出技術を用いて、細胞から抽出され得る。リボ核酸のハイブリダイゼーションを用いる典型的なアッセイ形式としては、核ランオンアッセイ(nuclear run−on assay)、RT−PCR、RNase保護アッセイ(Melton et al.,Nuc.Acids Res.12:7035)、ノーザンブロット法、インサイチュハイブリダイゼーション、及びマイクロアレイ分析が挙げられる。

一実施形態において、PCSK9の発現のレベルは、核酸プローブを用いて測定される。本明細書において使用される際の「プローブ」という用語は、特定のPCSK9に選択的に結合することが可能な任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成可能であり、又は適切な生物学的調製から得られる。プローブは、標識されるように特に設計され得る。プローブとして用いられ得る分子の例としては、限定はされないが、RNA、DNA、タンパク質、抗体、及び有機分子が挙げられる。

単離されたmRNAは、サザン又はノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析及びプローブアッセイを含むがこれらに限定されない、ハイブリダイゼーション又は増幅アッセイに使用され得る。mRNAレベルを測定するための一方法は、単離されたmRNAを、PCSK9 mRNAにハイブリダイズし得る核酸分子(プローブ)と接触させる工程を含む。一実施形態において、mRNAは、固体表面に固定され、例えば、アガロースゲル上に単離されたmRNAを流し、ゲルからニトロセルロースなどの膜へとmRNAを転写することによって、プローブと接触される。代替的な実施形態において、プローブは、固体表面に固定され、mRNAは、例えば、Affymetrix遺伝子チップアレイ中で、プローブと接触される。当業者は、PCSK9 mRNAのレベルを測定するのに使用するための公知のmRNA検出方法を容易に適合させることができる。

試料中のPCSK9の発現のレベルを測定するための代替的な方法は、例えば、RT−PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号明細書に記載される実験実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189−193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−βレプリカーゼ(Q−Beta Replicase)(Lizardi et al.(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiらの米国特許第5,854,033号明細書)又は任意の他の核酸増幅方法による、例えば、試料中のmRNAの(cDNAを調製するための)核酸増幅及び/又は逆転写酵素のプロセス、続いて、当業者に周知の技術を用いた増幅分子の検出を含む。これらの検出スキームは、核酸分子がごく少数で存在する場合、核酸分子の検出に特に有用である。本発明の特定の態様において、PCSK9の発現のレベルは、定量的な蛍光性RT−PCR(即ち、TaqMan(商標)System)によって測定される。

PCSK9 mRNAの発現レベルは、膜ブロット(ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析に使用されるものなど)、又はマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズ又は繊維(又は結合された核酸を含む任意の固体担体)を用いて監視され得る。参照により本明細書に援用される、米国特許第5,770,722号明細書、同第5,874,219号明細書、同第5,744,305号明細書、同第5,677,195号明細書及び同第5,445,934号明細書を参照されたい。PCSK9発現レベルの測定は、溶液中での核酸プローブの使用も含み得る。

好ましい実施形態において、mRNAの発現のレベルは、分岐DNA(bDNA)アッセイ又はリアルタイムPCR(qPCR)を用いて評価される。これらの方法の使用は、本明細書に提供される実施例に記載され、例示される。

PCSK9タンパク質の発現のレベルは、タンパク質レベルの測定のための当該技術分野において公知の任意の方法を用いて測定され得る。このような方法としては、例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィー、流体又はゲル内沈降素反応、吸光分光法、比色分析法、分光光度アッセイ、フローサイトメトリー、(単純又は二重)免疫拡散法、免疫電気泳動、ウエスタンブロット法、放射免疫定量法(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどが挙げられる。

本明細書において使用される際の「試料」という用語は、対象から単離された類似の体液、細胞、又は組織、ならびに対象中に存在する体液、細胞、又は組織の集合体を含む。生体液の例としては、血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ液、尿、脳脊髄液、唾液、眼液などが挙げられる。組織試料は、組織、器官又は局所領域に由来する試料を含み得る。例えば、試料は、特定の器官、器官の部分、あるいはそれらの器官中の体液又は細胞に由来し得る。特定の実施形態において、試料は、肝臓(例えば、全肝臓又は肝臓の特定の部分又は、例えば、肝細胞などの肝臓中の特定のタイプの細胞)に由来し得る。好ましい実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる血液又は血漿を指す。更なる実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる肝臓組織を指す。

本発明の方法のある実施形態において、RNAi剤は、RNAi剤が対象内の特定の部位に送達されるように、対象に投与される。PCSK9の発現の阻害は、対象内の特定の部位からの体液又は組織に由来する試料中のPCSK9 mRNA又はPCSK9タンパク質のレベル又はレベルの変化の測定を用いて評価され得る。好ましい実施形態において、部位は肝臓である。部位はまた、上記の部位のいずれか1つからの細胞の小区分(subsection)又は部分群(subgroup)であり得る。部位は、特定のタイプの受容体を発現する細胞も含み得る。

V.PCSK9に関連する疾病の処置又は予防方法 本発明は、PCSK9遺伝子発現を下方制御することによって調節され得る疾病及び病態の処置又は予防方法も提供する。例えば、本明細書に記載される組成物は、脂肪血症、例えば、高脂血症ならびに高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び心疾患及び循環器系疾患などのこれらの障害に関連する病態などの他の形態の脂質の不均衡を処置するのに使用され得る。PCSK9遺伝子発現を下方制御することによって調節され得る他の疾病及び病態としては、ニーマン・ピック病、テイ・サックス病、リソソーム酸リパーゼ欠損症、及びゴーシェ病を含むがこれらに限定されないリソソーム蓄積症が挙げられる。本方法は、治療有効量又は予防的に有効な量の本発明のRNAi剤を対象に投与する工程を含む。ある実施形態において、本方法は、有効な量のPCSK9 siRNAを、ヘテロ接合性LDLR遺伝子型を有する患者に投与する工程を含む。

減少したPCSK9遺伝子の効果は、哺乳動物の血液、より特定的には血清中のLDLc(低比重リポタンパクコレステロール)レベルの低下をもたらすのが好ましい。ある実施形態において、LDLcレベルは、処置前のレベルと比較して、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上だけ低下される。

本明細書において使用される際、「対象」は、ヒト又は非ヒト動物、好ましくは、脊椎動物、より好ましくは、哺乳動物を含む。対象は、トランスジェニック生物を含み得る。最も好ましくは、対象は、PCSK9に関連する疾病に罹患しているか、又はPCSK9に関連する疾病を発症しやすいヒトなどのヒトである。

本発明の方法のある実施形態において、PCSK9発現は、例えば、少なくとも1週間、2週間、3週間、又は4週間又はそれ以上の長期間にわたって低下される。例えば、場合によっては、PCSK9遺伝子の発現は、本明細書に記載されるiRNA剤の投与によって、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%だけ抑制される。ある実施形態において、PCSK9遺伝子は、iRNA剤の投与によって、少なくとも約60%、70%、又は80%だけ抑制される。ある実施形態において、PCSK9遺伝子は、二本鎖オリゴヌクレオチドの投与によって、少なくとも約85%、90%、又は95%だけ抑制される。

本発明のRNAi剤は、皮下、静脈内、筋肉内、眼内、気管支内、胸膜内、腹腔内、動脈内、リンパ管、脳脊髄、及びそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない、当該技術分野において公知の任意の投与方法を用いて、対象に投与され得る。好ましい実施形態において、RNAi剤は、皮下投与される。

ある実施形態において、投与は、蓄積注射による。蓄積注射は、長期間にわたって持続的にRNAi剤を放出し得る。したがって、蓄積注射は、所望の効果、例えば、PCSK9の所望の阻害、又は治療又は予防効果を得るのに必要な投与頻度を減少させ得る。蓄積注射は、より一貫した血清濃度も提供し得る。蓄積注射は、皮下注射又は筋肉内注射を含み得る。好ましい実施形態において、蓄積注射は、皮下注射である。

ある実施形態において、投与は、ポンプによる。ポンプは、外部ポンプ又は手術により埋め込まれたポンプであってもよい。特定の実施形態において、ポンプは、皮下に埋め込まれた浸透圧ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、注入ポンプである。注入ポンプは、静脈内、皮下、動脈内、又は硬膜外注入に使用され得る。好ましい実施形態において、注入ポンプは、皮下注入ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、RNAi剤を肝臓に送達する手術により埋め込まれたポンプである。

他の投与方法としては、硬膜外、脳内、脳室内、経鼻投与、動脈内、心臓内、骨内注入、くも膜下腔内、及び硝子体内、及び経肺が挙げられる。投与方法は、局所又は全身的処置が所望されるかどうかに基づいて、及び処置される部位に基づいて選択され得る。投与の経路及び部位は、標的化を促進するように選択され得る。

本方法は、例えば、少なくとも5、より好ましくは7、10、14、21、25、30又は40日間にわたってPCSK9 mRNAのレベルを低下させるのに十分な用量でiRNA剤を投与する工程と;任意選択で、第2の単回用量のdsRNAを投与する工程とを含み、ここで、第2の単回用量は、第1の単回用量が投与された少なくとも5、より好ましくは、7、10、14、21、25、30又は40日後に投与され、それにより、対象内でのPCSK9遺伝子の発現を阻害する。

一実施形態において、本発明のiRNA剤の用量は、4週間に1回以下、3週間に1回以下、2週間に1回以下、又は週に1回以下投与される。別の実施形態において、投与は、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、又は6ヶ月間、又は1年間又はそれ以上にわたって維持され得る。

別の実施形態において、投与は、低比重リポタンパクコレステロール(LDLc)レベルが、70mg/dL、130mg/dL、150mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、又は400mg/dL超などの所定の最小レベルに達するか又はそれを超えたときに提供され得る。

一般に、iRNA剤は、免疫系を活性化せず、例えば、TNF−α又はIFN−αレベルなどのサイトカインレベルを増加させない。例えば、本明細書に記載されるものなどのインビトロPBMCアッセイなどのアッセイによって測定される場合、TNF−α又はIFN−αのレベルの増加は、PCSK9を標的としないdsRNAなどの対照dsRNAで処理された対照細胞の30%、20%、又は10%未満である。

例えば、対象には、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は2.5mg/kgのdsRNAなどの、治療量のiRNA剤が投与され得る。iRNA剤は、5分間、10分間、15分間、20分間、又は25分間などの期間にわたって、静脈内注射によって投与され得る。投与は、例えば、隔週(即ち、2週間ごと)で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間又はそれ以上など、定期的に繰り返される。最初の処置計画の後、処置剤は、より少ない頻度で投与され得る。例えば、隔週で3ヶ月間の投与後、投与は、月に1回で6ヶ月間又は1年間又はそれ以上にわたって繰り返され得る。iRNA剤の投与は、例えば、細胞、組織、血液、尿又は患者の他の区画内のPCSK9レベルを、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%又はそれ以上だけ低下させ得る。

iRNA剤の総用量を投与する前に、患者により少ない用量を投与し(5%未満の注入反応など)、アレルギー反応などの副作用、又は脂質レベル又は血圧の上昇を監視し得る。別の例では、サイトカイン(例えば、TNF−α又はINF−α)レベルの増加などの望ましくない免疫賦活作用に関して患者を監視し得る。

処置又は予防の効果は、疾病状態の1つ又は複数のパラメータの統計的に有意な改善が存在した場合、又は悪化若しくはさもなくば予想されていた症状が発生しないことにより明らかである。一例として、疾病の測定可能なパラメータの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%、又はそれを上回る好ましい変化は、有効な処置を示し得る。本発明の特定のiRNA剤、又はそのiRNA剤の所定の製剤に関する有効性も、当技術分野にて既知のように、所定の疾病に関して実験動物モデルを使用して判断することができる。実験動物モデルを使用する際、処置の有効性は、マーカー又は症状において統計的に有意な低下が観察された場合に証明される。

一実施形態において、RNAi剤は、約0.25mg/kg〜約50mg/kg、例えば、約0.25mg/kg〜約0.5mg/kg、約0.25mg/kg〜約1mg/kg、約0.25mg/kg〜約5mg/kg、約0.25mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約10mg/kg、約5mg/kg〜約15mg/kg、約10mg/kg〜約20mg/kg、約15mg/kg〜約25mg/kg、約20mg/kg〜約30mg/kg、約25mg/kg〜約35mg/kg、又は約40mg/kg〜約50mg/kgの用量で投与される。

ある実施形態において、RNAi剤は、約0.25mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg又は約50mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、iRNA剤は、約25mg/kgの用量で投与される。

対象に投与され得るRNAi剤の用量は、望ましくない副作用を避けると同時に、例えば、所望のレベルのPCSK9遺伝子の抑制(例えば、PCSK9 mRNAの抑制、PCSK9タンパク質の発現、又は脂質レベルの低下に基づいて評価した際の)又は所望の治療又は予防効果を得るために、特定の用量のリスク及びベネフィットを釣り合わせるように調整され得る。

ある実施形態において、RNAi剤は、2つ以上の用量で投与される。反復される又は高頻度の注入を促進することが必要とされる場合、送達デバイス、例えば、ポンプ、半永久的なステント(例えば、静脈内、腹腔内、嚢内又は関節包内)、又はリザーバの埋め込みが望ましいことがある。ある実施形態において、その後の投与の回数又は量は、所望の効果の達成、例えば、PCSK9遺伝子の抑制、又は治療又は予防効果の達成、例えば、高コレステロール血症の症状の減少に応じて決まる。ある実施形態において、RNAi剤は、計画にしたがって投与される。例えば、RNAi剤は、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、又は週に5回投与され得る。ある実施形態において、計画は、例えば、1時間ごと、4時間ごと、6時間ごと、8時間ごと、12時間ごと、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、毎週、隔週、又は毎月での、規則的間隔の投与を含む。他の実施形態において、計画は、狭い間隔の投与、続いて、RNAi剤が投与されないより長い期間を含む。例えば、計画は、比較的短い期間(例えば、約6時間ごと、約12時間ごと、約24時間、約48時間ごと、又は約72時間ごと)で投与される最初の組の投与、続いて、RNAi剤が投与されないより長い期間(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、又は約8週間)を含む。一実施形態において、RNAi剤は、最初に1時間ごとに投与され、その後、より長い間隔(例えば、毎日、毎週、隔週、又は毎月)で投与される。別の実施形態において、RNAi剤は、最初に毎日投与され、その後、より長い間隔(例えば、毎週、隔週、又は毎月)で投与される。特定の実施形態において、より長い間隔は、時間とともに増加し、又は所望の効果の達成に基づいて決定される。特定の実施形態において、RNAi剤は、第1週の間は1日1回投与され、その後、投与の8日目に週1回投与が開始する。別の特定の実施形態において、RNAi剤は、第1週の間は1日おきに投与され、その後、投与の8日目に週1回投与が開始する。

一実施形態において、iRNA剤は、週に2回投与される。一実施形態において、iRNA剤は、1mg/kgの用量で週に2回投与される。別の実施形態において、iRNA剤は、2mg/kgの用量で週に2回投与される。

一実施形態において、iRNA剤は、2週間に1回投与される。一実施形態において、iRNA剤は、1mg/kgの用量で2週間に1回投与される。別の実施形態において、iRNA剤は、2mg/kgの用量で2週間に1回投与される。

一実施形態において、iRNA剤は、週に1回投与される。一実施形態において、iRNA剤は、0.5mg/kgの用量で週に1回投与される。一実施形態において、iRNA剤は、1mg/kgの用量で週に1回投与される。別の実施形態において、iRNA剤は、2mg/kgの用量で週に1回投与される。

ある実施形態において、RNAi剤は、狭い間隔の投与の「初期投与段階」と、後に続き得る、RNAi剤がより長い間隔で投与される「維持段階」を含む投与計画で投与される。一実施形態において、初期投与段階は、第1週の間、RNAi剤の1日1回の投与を5回含む。別の実施形態において、維持段階は、RNAi剤の週に1回又は2回の投与を含む。更なる実施形態において、維持段階は、5週間継続する。一実施形態において、初期投与段階は、週に5回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量の投与を含む。別の実施形態において、維持段階は、週に1回、2回、若しくは3回、2週間に1回、3週間に1回、月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、又は6ヶ月に1回、2mg/kg、1mg/kg又は0.5mg/kgの用量の投与を含む。

これらの計画のいずれも、任意選択で、1回又は複数回の反復で繰り返され得る。反復回数は、所望の効果の達成、例えば、PCSK9遺伝子の抑制、及び/又は治療又は予防効果の達成、例えば、血清コレステロールレベルの低下又は高コレステロール血症の症状の減少に応じて決まる。

更なる実施形態において、siRNAの投与は、更なる治療剤と組み合わせて投与される。siRNA及び更なる治療剤は、同じ組成物中で組み合わせて、例えば、非経口投与され得、又は更なる治療剤は、別個の組成物の一部として又は本明細書に記載される別の方法によって投与され得る。

更なる治療剤の例としては、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症又は脂質異常症などの脂質障害を処置することが知られている治療剤が挙げられる。例えば、本発明に取り上げられるsiRNAは、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例えば、スタチン)、フィブラート、胆汁酸封鎖剤、ナイアシン、抗血小板薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(例えば、Merck & Co.’s Cozaar(登録商標)などのロサルタンカリウム)、アシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤、ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTTP)阻害剤、コレステロール調節剤、胆汁酸調節剤、ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)アゴニスト、遺伝子療に基づく治療、複合血管保護剤(例えば、Atherogenics製のAGI−1067)、糖タンパク質Ilb/IIIa阻害剤、アスピリン又はアスピリン様の化合物、IBAT阻害剤(例えば、Shionogi製のS−8921)、スクアレンシンターゼ阻害剤、又は単球走化性タンパク質(MCP)−I阻害剤とともに投与され得る。例示的なHMG−CoA還元酵素阻害剤としては、アトルバスタチン(PfizerのLipitor(登録商標)/Tahor/Sortis/Torvast/Cardyl)、プラバスタチン(Bristol−Myers SquibbのPravachol、三共(Sankyo)のMevalotin/Sanaprav)、シンバスタチン(MerckのZocor(登録商標)/Sinvacor、Boehringer IngelheimのDenan、万有(Banyu)のLipovas)、ロバスタチン(MerckのMevacor/Mevinacor、BexalのLovastatina、Cepa;Schwarz PharmaのLiposcler)、フルバスタチン(NovartisのLescol(登録商標)/Locol/Lochol、藤沢(Fujisawa)のCranoc、SolvayのDigaril)、セリバスタチン(BayerのLipobay/GlaxoSmithKlineのBaycol)、ロスバスタチン(AstraZenecaのCrestor(登録商標))、及びピタバスタチン(イタバスタチン/リシバスタチン(risivastatin))(日産化学(Nissan Chemical)、興和(Kowa Kogyo)、三共(Sankyo)、及びNovartis)が挙げられる。例示的なフィブラートとしては、例えば、ベザフィブラート(例えば、RocheのBefizal(登録商標)/Cedur(登録商標)/Bezalip(登録商標)、KisseiのBezatol)、クロフィブラート(例えば、WyethのAtromid−S(登録商標))、フェノフィブラート(例えば、FournierのLipidil/Lipantil、AbbottのTricor(登録商標)、武田(Takeda)のLipantil、ジェネリック薬品)、ゲムフィブロジル(例えば、PfizerのLopid/Lipur)及びシプロフィブラート(Sanofi−SynthelaboのModalim(登録商標))が挙げられる。例示的な胆汁酸封鎖剤としては、例えば、コレスチラミン(Bristol−Myers SquibbのQuestran(登録商標)及びQuestran Light(商標))、コレスチポール(例えば、PharmaciaのColestid)、及びコレセベラム(Genzyme/三共(Sankyo)のWelChol(商標))が挙げられる。例示的なナイアシン治療としては、例えば、AventisのNicobid、Upsher−SmithのNiacor、AventisのNicolar、及び三和化学(Sanwakagaku)のPerycitなどの即時放出製剤が挙げられる。ナイアシン持続放出製剤としては、例えば、Kos PharmaceuticalsのNiaspan及びUpsher−SmithのSIo−Niacinが挙げられる。例示的な抗血小板薬としては、例えば、アスピリン(例えば、Bayerのアスピリン)、クロピドグレル(Sanofi−Synthelabo/Bristol−Myers SquibbのPlavix)、及びチクロピジン(例えば、Sanofi−SynthelaboのTiclid及び第一(Daiichi)のPanaldine)が挙げられる。PCSK9を標的とするdsRNAと組み合わせて有用な他のアスピリン様の化合物としては、例えば、Asacard(Pharmacia製の持続放出アスピリン)及びパミコグレル(カネボウ(Kanebo)/Angelini Ricerche/CEPA)が挙げられる。例示的なアンジオテンシン変換酵素阻害剤としては、例えば、ラミプリル(例えば、AventisのAltace)及びエナラプリル(例えば、Merck & Co.のVasotec)が挙げられる。例示的なアシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼ(AC AT)阻害剤としては、例えば、アバシミブ(Pfizer)、エフルシミブ(BioMsrieux Pierre Fabre/Eli Lilly)、CS−505(三共(Sankyo)及び京都(Kyoto))、及びSMP−797(Sumito)が挙げられる。例示的なコレステロール吸収阻害剤としては、例えば、エゼチミブ(Merck/Schering−Plough Pharmaceuticals Zetia(登録商標))及びPamaqueside(Pfizer)が挙げられる。例示的なCETP阻害剤としては、例えば、Torcetrapib(CP−529414とも呼ばれる、Pfizer)、JTT−705(日本たばこ産業(Japan Tobacco))、及びCETi−I(Avant Immunotherapeutics)が挙げられる。例示的なミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTTP)阻害剤としては、例えば、インプリタピド(implitapide)(Bayer)、R−103757(Janssen)、及びCP−346086(Pfizer)が挙げられる。他の例示的なコレステロール調節剤としては、例えば、NO−1886(大塚(Otsuka)/TAP Pharmaceutical)、CI−1027(Pfizer)、及びWAY−135433(Wyeth−Ayerst)が挙げられる。

例示的な胆汁酸調節剤としては、例えば、HBS−107(久光(Hisamitsu)/万有(Banyu))、Btg−511(British Technology Group)、BARI−1453(Aventis)、S−8921(Shionogi)、SD−5613(Pfizer)、及びAZD−7806(AstraZeneca)が挙げられる。例示的なペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)アゴニストとしては、例えば、テサグリタザル(AZ−242)(AstraZeneca)、Netoglitazone(MCC−555)(三菱(Mitsubishi)/Johnson & Johnson)、GW−409544(Ligand Pharniaceuticals/GlaxoSmithKline)、GW−501516(Ligand Pharmaceuticals/GlaxoSmithKline)、LY−929(Ligand Pharmaceuticals及びEli Lilly)、LY−465608(Ligand Pharmaceuticals及びEli Lilly)、LY−518674(Ligand Pharmaceuticals及びEli Lilly)、及びMK−767(Merck及びキョーリン(Kyorin))が挙げられる。例示的な遺伝子に基づく治療としては、例えば、AdGWEGF 121.10(GenVec)、ApoAl(UCB Pharma/Groupe Fournier)、EG−004(Trinam)(Ark Therapeutics)、及びATP結合カセット輸送体−Al(ABCA1)(CV Therapeutics/Incyte、Aventis、Xenon)が挙げられる。例示的な糖タンパク質Ilb/IIIa阻害剤としては、例えば、ロキシフィバン(roxifiban)(DMP754とも呼ばれる、Bristol−Myers Squibb)、Gantofiban(Merck KGaA/山之内(Yamanouchi))、及びCromafiban(Millennium Pharmaceuticals)が挙げられる。例示的なスクアレンシンターゼ阻害剤としては、例えば、BMS−1884941(Bristol−Myers Squibb)、CP−210172(Pfizer)、CP−295697(Pfizer)、CP−294838(Pfizer)、及びTAK−475(武田(Takeda))が挙げられる。例示的なMCP−I阻害剤は、例えば、RS−504393(Roche Bioscience)である。抗アテローム性動脈硬化剤BO−653(中外製薬(Chugai Pharmaceuticals))、及びニコチン酸誘導体ナイクリン(山之内製薬(Yamanouchi Pharmacuticals))も、本発明に取り上げられるdsRNAと組み合わせて投与するのに適している。PCSK9を標的とするdsRNAとともに投与するのに適した例示的な併用療法としては、例えば、アドビコール(advicor)(Kos Pharmaceuticals製のナイアシン/ロバスタチン)、アムロジピン/アトルバスタチン(Pfizer)、及びエゼチミブ/シンバスタチン(例えば、Merck/Schering−Plough Pharmaceuticals製のVytorin(登録商標)10/10、10/20、10/40、及び10/80錠剤)が挙げられる。高コレステロール血症を処置するための薬剤であって、PCSK9を標的とするdsRNAと組み合わせて投与するのに適した薬剤としては、例えば、ロバスタチン、ナイアシンAltoprev(登録商標)持続放出錠剤(Andrx Labs)、ロバスタチンCaduet(登録商標)錠剤(Pfizer)、ベシル酸アムロジピン、アトルバスタチンカルシウムCrestor(登録商標)錠剤(AstraZeneca)、ロスバスタチンカルシウムLescol(登録商標)カプセル(Novartis)、フルバスタチンナトリウムLescol(登録商標)(Reliant、Novartis)、フルバスタチンナトリウムLipitor(登録商標)錠剤(Parke−Davis)、アトルバスタチンカルシウムLofibra(登録商標)カプセル(Gate)、Niaspan持続放出錠剤(Kos)、ナイアシンPravachol錠剤(Bristol−Myers Squibb)、プラバスタチンナトリウムTriCor(登録商標)錠剤(Abbott)、フェノフィブラートVytorin(登録商標)10/10錠剤(Merck/Schering−Plough Pharmaceuticals)、エゼチミブ、シンバスタチンWelChol(商標)錠剤(三共(Sankyo))、コレセベラム塩酸塩Zetia(登録商標)錠剤(Schering)、エゼチミブZetia(登録商標)錠剤(Merck/Schering−Plough Pharmaceuticals)、及びエゼチミブZocor(登録商標)錠剤(Merck)が挙げられる。

一実施形態において、iRNA剤は、エゼチミブ/シンバスタチンの組合せ(例えば、Vytorin(登録商標)(Merck/Schering−Plough Pharmaceuticals))と組み合わせて投与される。一実施形態において、iRNA剤が、患者に投与され、次に、更なる治療剤が、患者に投与される(又はその逆も同様である)。別の実施形態において、iRNA剤及び更なる治療剤は、同時に投与される。

別の態様において、本発明は、本明細書に記載されるiRNA剤をどのように投与するかについて、最終使用者、例えば、介護者又は対象に指示する方法を取り上げる。本方法は、任意選択で、1回又は複数回の用量のiRNA剤を最終使用者に提供する工程と、本明細書に記載される投与計画でiRNA剤を投与するように最終使用者に指示し、それにより、最終使用者に指示する工程とを含む。

一態様において、本発明は、患者が、LDLの低下、HDLの低下を伴わないLDLの低下、ApoBの低下、又は総コレステロールの低下を必要としていることに基づいて患者を選択することによる、患者の処置方法を提供する。本方法は、例えば、HDLレベルを実質的に低下させずに、患者のLDLレベル又はApoBレベルを低下させるのに十分な量のsiRNAを患者に投与する工程を含む。

遺伝性素因が、標的遺伝子に関連する疾病、例えば、高脂血症の発症に役割を果たす。したがって、家族歴を聴取することによって、又は、例えば、1つ又は複数の遺伝子マーカー又は遺伝的変異をスクリーニングすることによって、siRNAを必要とする患者が特定され得る。高脂血症に関与する遺伝子の例としては、限定はされないが、例えば、LDL受容体(LDLR)、アポリポタンパク質(ApoAl、ApoB、ApoEなど)、コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、肝臓リパーゼ(LIPC)、血管内皮リパーゼ(EL)、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)が挙げられる。

医者、看護師、又は家族の一員などの医療介護提供者が、本発明のiRNA剤を処方又は投与する前に、家族歴を聴取することができる。更に、遺伝子型又は表現型を決定するための試験が行われ得る。例えば、PCSK9 dsRNAが患者に投与される前に、PCSK9遺伝子型及び/又は表現型を特定するために、患者に由来する試料、例えば、血液試料に対してDNA試験が行われ得る。別の実施形態において、関連する遺伝子型及び/又は表現型、例えば、LDLR遺伝子型を特定するための試験が行われる。LDLR遺伝子に関する遺伝的変異の例が、当該技術分野において、例えば、参照により援用される以下の刊行物:Costanza et al(2005)Am J Epidemiol.15;161(8):714−24;Yamada et al.(2008)J Med Genet.Jan;45(l):22−8,Epub 2007 Aug 31;及びBoes et al(2009)Exp.Gerontol 44:136−160,Epub 2008 Nov 17において見られる。

VI.キット 本発明は、iRNA剤のいずれかを使用し、及び/又は本発明の方法のいずれかを行うためのキットも提供する。このようなキットは、1つ又は複数のRNAi剤と、使用説明書、例えば、細胞を、PCSK9の発現を阻害するのに有効な量のRNAi剤と接触させることによって、細胞内でのPCSK9の発現を阻害するための説明書とを含む。キットは、任意選択で、細胞をRNAi剤と接触させるための手段(例えば、注射器具)、又はPCSK9の阻害を測定するための手段(例えば、PCSK9 mRNA又はTTRタンパク質の阻害を測定するための手段)を更に含み得る。PCSK9の阻害を測定するためのこのような手段は、例えば、血漿試料などの、対象に由来する試料を得るための手段を含み得る。本発明のキットは、任意選択で、RNAi剤を対象に投与するための手段又は治療有効量又は予防的に有効な量を決定するための手段を更に含み得る。

特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者により通常に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載したものと同様の又は等価な方法及び材料を、本発明を特徴付けるiRNA及び方法の実践又は試験に使用できるが、好適な方法及び材料は下記に記載されている。本明細書に言及した全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。加えて、材料、方法及び実施例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。

材料及び方法 以下の材料及び方法を実施例に使用した。

ABI高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA,Cat #4368813)を用いたcDNA合成 反応当たり2μlの10倍緩衝液、0.8μlの25倍dNTPs、2μlのランダムプライマー、1μlの逆転写酵素、1μlのRNase阻害剤及び3.2μlのH2Oのマスターミックスを、10μlの総RNAに加えた。以下の工程を介して、Bio−Rad C−1000又はS−1000サーモサイクラー(Hercules,CA)を用いて、cDNAを生成した:25℃で10分間、37℃で120分間、85℃で5秒間、4℃で保持。

細胞培養及びトランスフェクション Hep3B、HepG2又はHeLa細胞(ATCC,Manassas,VA)を、10%のFBS及びグルタミン(ATCC)を補充した推奨培地(ATCC)中で、5%のCO2の雰囲気中で、37℃でほぼコンフルエンスまで増殖させた後、トリプシン処理によりプレートから解放した。96ウェル形式でスクリーニングされる二本鎖の場合、ウェル当たり44.75μlのOpti−MEM及び0.25μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.cat # 13778−150)を、96ウェルプレート内の個々のウェルに5μlの各siRNA二本鎖に加えることによりトランスフェクションを行った。次に、混合物を、室温で15分間インキュベートした。次に、約2×104個の細胞を含む、抗生物質を有さない50μlの完全増殖培地を、siRNA混合物に加えた。384ウェル形式でスクリーニングされる二本鎖の場合、5μlのOpti−MEM及び0.1μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.cat # 13778−150)を、個々のウェル当たり5μlの各siRNA二本鎖と混合した。次に、混合物を、室温で15分間インキュベートした後、約8×103個の細胞を含む、抗生物質を有さない更なる40μlの完全増殖培地を加えた。RNA精製の前に、細胞を、24時間インキュベートした。10nM及び0.1nMの最終二本鎖濃度で単回投与実験を行い、2nMから開始する8×5倍の段階希釈を用いて、用量応答実験を行った。

自由取り込みトランスフェクション PBS中の5μlの各GalNacコンジュゲートsiRNAを、96ウェルプレートの各ウェル中で、95μlのIn Vitro Gro CP媒体(In Vitro Technologies−Celsis,Baltimore,MD)に再懸濁された3×104個の、融解したばかりの凍結保存カニクイザル肝細胞(In Vitro Technologies−Celsis,Baltimore,MD;lot#JQD)、又は384ウェルプレート形式の場合、5ulのsiRNA及び1.2×103個の細胞を含む45μlの媒体と組み合わせた。混合物を、5%のCO2の雰囲気中で、37℃で約24時間インキュベートした。siRNAを、単回投与実験では、500〜0.1nMの複数の濃度で、及び用量応答実験では、500nMから開始する8×5倍の段階希釈を用いて試験した。

DYNABEADS mRNA単離キット(Invitrogen,part #:610−12)を用いた総RNA単離 細胞を採取し、150μlの溶解/結合緩衝液中に溶解させた後、エッペンドルフサーモミキサー(Eppendorf Thermomixer)を用いて、850rpmで5分間混合した(混合速度は、プロセス全体を通して同一であった)。10マイクロリットルの磁気ビーズ及び80μlの溶解/結合緩衝液混合物を丸底プレートに加え、1分間混合した。磁気スタンドを用いて磁気ビーズを捕捉し、ビーズを乱すことなく上清を除去した。上清の除去後、溶解した細胞を残りのビーズに加え、5分間混合した。上清の除去後、磁気ビーズを150μlの洗浄緩衝液Aで2回洗浄し、1分間混合した。ビーズを再度捕捉し、上清を除去した。次に、ビーズを150μlの洗浄緩衝液Bで洗浄し、捕捉し、上清を除去した。次に、ビーズを150μlの溶出緩衝液で洗浄し、捕捉し、上清を除去した。ビーズを2分間乾燥させた。乾燥後、50μlの溶出緩衝液を加え、70℃で5分間混合した。ビーズを磁石上で5分間捕捉した。50μlの上清を除去し、別の96ウェルプレートに加えた。

384ウェル形式の場合、細胞を1分間溶解させた後、50μlの溶解/結合緩衝液を加えた。ウェル当たり2μlの磁気ビーズを使用した。所要の体積のビーズを分取し(aliquot)、磁気スタンド上に捕捉し、ビーズ貯蔵溶液を除去した。次に、ビーズを、所要の体積の溶解/結合緩衝液(ウェル当たり25μl)に再懸濁させ、25μlのビーズ懸濁液を溶解された細胞に加えた。溶解物−ビーズ混合物を、設定番号7でのVibraTransaltor(UnionScientific Corp.,Randallstown,MD)で10分間インキュベートした。その後、ビーズを、磁気スタンドを用いて捕捉し、上清を除去し、ビーズを、90μlの緩衝液Aで1回洗浄した後、90μlの緩衝液B及び100μlの溶出緩衝液による1回の洗浄工程を行った。ビーズを、約1分間にわたって各洗浄緩衝液中に浸漬した(混合を伴わない)。最後の洗浄工程の後、ビーズを、70℃で5分間にわたって15μlの溶出緩衝液に再懸濁させた後、ビーズを捕捉し、cDNA合成及び/又は精製されたRNAの貯蔵(−20℃)のために上清(最大で8μl)を除去した。

リアルタイムPCR 2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Roche cat # 04887301001)中で、ウェル当たり、ヒト細胞については、0.5μlのヒトGAPDH TaqManプローブ(Applied Biosystems Cat #4326317E)、0.5μlのヒトPCSK9 TaqManプローブ(Applied Biosystems cat # Hs03037355_m1)、又はカニクイザル細胞については、0.5μlのカニクイザルGAPDH custom TaqMan Assay(150nMのcyno GAP Fプライマー−5’GCATCCTGGGCTACACTGA(配列番号5);150nMのcyno GAP Rプライマー−5’−TGGGTGTCGCTGTTGAAGTC(配列番号6)250nMのcyno GAP プローブ−5’−5HEX−CCAGGTGGTCTCCTCC−BHQ1−Q−3’(配列番号7))、0.5μlのカニクイザルPCSK9 custom TaqMan Assay(900nMのcyno PCSK9 Fプライマー5’−ACGTGGCTGGCATTGCA(配列番号8);900nMのcyno PCSK9 Rプライマー5’−AAGTGGATCAGTCTCTGCCTCAA(配列番号9);250nMのcyno PCSK9プローブ5’−6FAM−CATGATGCTGTCTGCCGAGCCG−BHQ1−Q−3’(配列番号10))及び5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Roche Cat #04887301001)を含むマスターミックスに加えた。ΔΔCt(RQ)アッセイを用いて、Roche LC480 Real Time PCRシステム(Roche)中でリアルタイムPCRを行った。特に断りのない限り、各二本鎖を2つの独立トランスフェクションにおいて試験し、各トランスフェクションを二回アッセイした。

相対的な倍加変化を計算するために、ΔΔCt方法を用いて、リアルタイムデータを分析し、10nMのAD−1955でトランスフェクトした細胞、又は疑似トランスフェクト細胞を用いて行ったアッセイに対して正規化した。自由取り込みアッセイのために、データを、PBS又はGalNAc−1955(実験化合物に使用される最高濃度)で処理した細胞に対して正規化した。XLFitを用いて4パラメータ適合モデルを用いてIC50を計算し、同じ用量範囲にわたってAD−1955でトランスフェクトした細胞、又はそれ自体の最低用量に対して正規化した。

AD−1955のセンス配列及びアンチセンス配列は、センス:5’−cuuAcGcuGAGuAcuucGAdTsdT−3’(配列番号11);及びアンチセンス:5’−UCGAAGuACUcAGCGuAAGdTsdT−3’(配列番号12)である。

実施例1.GalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドの合成 上述される技術を用いて、PCSK9 mRNAの配列にわたる一連のsiRNA二本鎖を設計し、合成し、センス鎖の3末端において三価のGalNAcとコンジュゲートさせた。これらの二本鎖の配列が、表1に示される。様々なヌクレオチド修飾を有するこれらの同じ配列も合成し、三価のGalNAcとコンジュゲートさせた。修飾二本鎖の配列が、表2に示される。

実施例2.インビトロ及びインビボスクリーニング これらの二本鎖のサブセットを、カニクイザル肝細胞内での単回投与自由取り込みアッセイにおいて有効性について評価した。簡潔には、初代カニクイザル肝細胞(PCH)を、3つの濃度、500nM、100nM及び10nMで、コンジュゲートされた修飾siRNA二本鎖で処理した。100nM及び10nMの自由取り込みアッセイを2回行い、データが、対照に対して残る平均メッセージ±標準偏差(SD)として表される。500nMのスクリーニングを1回行った。表3は、これらのアッセイの結果を示す。

修飾され、コンジュゲートされたPCSK9 siRNA二本鎖も、3つのヒト細胞株内でのトランスフェクションアッセイによって有効性について評価した。PCSK9 siRNAを、2つの用量、10nM及び0.1nMで、3つの異なる細胞株、HeLa、Hep3B及びHepG2中にトランスフェクトした。これらのアッセイの結果が、表4に示され、データが、対照に対して残るメッセージの割合として表される。

図1は、自由取り込みアッセイとトランスフェクションアッセイとの間にPCSK9二本鎖のサイレンシング活性の一般的な再現性があることを示す。

カニクイザル細胞における自由取り込み及びHep3B細胞におけるトランスフェクションによって選択された二本鎖のIC50値が、表5に示される。

AD−48400も、内因性PCSK9遺伝子を破壊せずにゲノムに無作為に挿入されたヒトPCSK9導入遺伝子を有する雌のマウスにおいて、インビボでの有効性についてアッセイした。簡潔には、マウスに、0日目に単回の20mg/kgの用量、0日目に単回の100mg/kgの用量、ならびに0、1、2、3、4、及び5日目に5回の20mg/kgの用量を皮下注射した。−6、−3、0、1、2、3、4、及び7日目に血清を採取し、PCSK9タンパク質の量を、ELISAアッセイによって測定した。これらの分析の結果が、図2に示され、試験される全ての3つの投与において、GalNAcにコンジュゲートされたAD−48400による用量応答効果があることを示す。

上述されるインビトロスクリーニングによって特定された6つの最も有効な二本鎖を、インビボでの有効性及び応答の持続時間について評価した。トランスジェニックPCSK9マウスに、5mg/kg又は25mg/kgのAD−48400、AD−53830、AD−53806、AD−53815、AD−53748、又はAD−53798のいずれかを、0、1、2、3、及び4日目に注射した。血清中PCSK9タンパク質レベルを、−3、0、1、2、3、4、8、11、15、18、22、26、31、及び36日目にELISAによって測定した。結果が、図3A及び3Bに示される。

実施例3.リード最適化 上記の実施例2に記載される有効性アッセイに基づいて、様々な化学的修飾を有するAD−53815及びAD−53806の親配列に基づくPCSK9 siRNAを、200nM、20nM、2nM、及び0.2nMで、初代カニクイザル肝細胞(PCH)における自由取り込みアッセイにおいて、有効性について評価した。0.2nMの用量以外の全ての用量で、アッセイを2回行い、データが、対照に対して残るメッセージの平均割合(average fraction message)として表される。0.2nMの用量を、1回アッセイした。これらのアッセイの結果が、表6に示される。

AD−53815及びAD−53806の親配列に基づく様々な化学的修飾を有するsiRNAも、10nM及び0.1nMにおいて、Hep3B細胞におけるトランスフェクションによって、インビトロ有効性についてスクリーニングした。この構造−活性関係スクリーニングの結果が、表7に示され、対照に対して残るメッセージの平均割合±SDとして表される。

インビトロSARスクリーニングからsiRNAのいずれかが、親siRNA(AD−53815)より、PCSK9をサイレンシングするのにより有効であるかどうかを決定するために、PCSK9トランスジェニックマウスに、単回の3mg/kgの用量の、図4に示されるsiRNAを投与し、投与の72時間後、PCSK9タンパク質レベルを、ELISAアッセイによって測定した。図5に示される結果は、AD−57928が、意外にも、PCSK9をサイレンシングするのに有効であることを示す。図6は、AD−57928の単回投与が、PCSK9タンパク質を有効にノックダウンするだけでなく、AD−57928を用いて用量応答もあることを示す。

実施例4.AD−57928を用いた分割投与試験 AD−57928がPCSK9タンパク質の発現を抑制する能力を、AD−57928の投与の後のhPCSK9トランスジェニックマウスの血清中のヒトPCSK9(hPCSK9)タンパク質のレベルを測定することによって評価した。以下の表8に記載されるように、AD−57928を、第1週の間の「初期投与段階」(0.5mg/kg、1mg/kg又は2mg/kgの毎日1回の投与を、連続5日間)、続いて、「維持段階」(0.5mg/kg、1mg/kg又は2mg/kgのいずれかの週に1回又は2回の投与を5週間)を含む6つの異なる投与計画を用いて皮下投与した。最終投与を、38日目に投与した。各投与計画を、2匹の雄及び1匹の雌を含む3匹のマウスの群を用いて試験した。対照群にPBSによる注射を与えた。

血清を、第1の投与の3日前ならびに第1の投与の1、4、7、10、14、17、21、24、28、31、35、38、42、45、52、59及び65日後に採取した。血清中のPCSK9タンパク質レベルを、ELISAアッセイによって評価した。結果が、図6、7及び8に示される。

hPCSK9血清タンパク質レベルの低下が、第1の投与の72時間後に観察され、38日まで持続した。5×2mg/kg、5×1mg/kg及び5×0.5mg/kgの初期量におけるAD−57928の投与により、それぞれ、hPCSK9血清タンパク質レベルの約90%、約70%及び約60%の低下が得られた(図6〜8を参照)。2×維持投与計画を用いて投与された群では、hPCSK9の低下されたレベルが、1×維持投与計画を用いて投与された群より1週間長く持続し、最終投与の4週間後にベースラインに戻った(図6〜8を参照)。

実施例5.ホスホロチオエートの滴定(titration) dsRNAがPCSK9の発現を阻害する能力に対する、ホスホロチオエート修飾の数及び位置の影響を決定するために、表9に示されるようにAD−57928、AD−53806及びAD−53830の親配列に基づくいくつかのsiRNAを調製し、試験した。siRNAのいずれかが、AD−57928より、PCSK9をサイレンシングするのにより有効であるかどうかを決定するために、PCSK9トランスジェニックマウスに、単回の0.3mg/kgの用量の、表9中のsiRNAを投与し、投与の72時間後、PCSK9タンパク質レベルを、ELISAアッセイによって測定した。図9に示される結果は、AD−57928が、意外にも、PCSK9をサイレンシングするのに有効であることを示す。AD−58893、AD−58894、AD−58896、AD−58897、AD−58898及びAD−58899も、対照と比較して、PCSK9をサイレンシングすることができた。

実施例6.AD−57928及びAD−58895の肝臓薬剤レベル この試験の目的は、薬剤レベルスクリーニングのために適切な条件を規定するために、野生型マウスの肝臓中のsiRNAレベルを定量化することであった。実験に使用されるsiRNAは、AD−57928及びAD−58895であった(これは、実施例5においてPCSK9タンパク質レベルを低下させなかった)。AD−58895を、有効性を反映する薬剤レベルの差が観察可能な時点を規定するために、比較例として使用した。

合計で33匹のC57B6の雌のマウスを実験に使用した(群当たり3匹のマウス)。これらのマウスに、AD−57928、AD−58895又は対照としてのPBSのいずれかを、単回の皮下投与で投与した。肝臓を、投与の4、24、48、72、96及び168時間後に採取した。試料当たり2つの組織アリコートを採取し、肝臓中のsiRNAの濃度を、新たに設計されたアンチセンス配列に特異的なqRT−PCRアッセイを用いて測定した。肝臓のグラム当たりのAD−57928及びAD−58895の経時的な測定量が、図10に示され、総理論用量におけるパーセンテージとして表されるAD−57928及びAD−58895の量が、図11に示される。qRT−PCRアッセイの検出限界(LOD)は、肝臓のg当たり約1ngであり、アッセイは、良好な性能及び正確な複製の再現性を示した。結果は、AD−57928が、肝臓においてより安定しており、AD−58895がより安定性が低く、両方が全ての時点にわたって検出され得ることを示す。投与の7日後の時点で、AD−57928のレベルは、qRT−PCRアッセイのLODより100倍超高く、AD−58895のレベルは、LODより10倍超高い。AD−57928及びAD−58895の濃度は、平均して、それらの予測される安定性より10倍超異なり、有効性が観察された。投与の72〜120時間後の時点が、siRNA濃度に基づくスクリーニングに適切であり得る。

実施例7.AD−57928の最適化 AD−57928のインビボ活性及び安定性を高めるために、AD−57928の親配列に基づく更なるiRNA剤を調製し、試験した(表10;表10中の「センス」配列が、出現する順にそれぞれ、配列番号1653〜1658として開示され、「アンチセンス」配列が、出現する順にそれぞれ、配列番号1659〜1664として開示され;表10に開示される同じセンス配列及びアンチセンス配列が、図12Aにも開示されている)。

AD−60212の非修飾センス配列及びアンチセンス配列は、 センス−5’−CUAGACCUGUTUUGCUUUUGU−3’(A−122088.3;配列番号1665);及び アンチセンス−5’−ACAAAAGCAAAACAGGUCUAGAA−3’(A−120190.19;配列番号1666)である。

一般に、これらの化合物は、より少ない2’−フルオロ修飾を含み、フルオロ修飾されたウリジンが除去された。これらの二本鎖のインビトロでの効力を、HeLa及びHep3b細胞のトランスフェクションによって試験した。図12Bに示されるように、AD−59849、AD−59228、及びAD−60212は、親(AD−57928)と同等のIC50値を有する。

これらの二本鎖が、肝臓中で、インビボで残存する能力も、1mg/kgの各二本鎖を野生型マウスに投与し、定量PCRによってsiRNAレベルを測定することによって測定した。図13に示されるように、二本鎖の全てが、投与の時点の120時間後から開始して、親二本鎖より、肝臓におけるより高い残存(persistence)を示す。

これらの二本鎖がPCSK9タンパク質の発現を抑制する能力も、非ヒト霊長類(NHP)の血清中のPCSK9タンパク質、LDL、HDL、総コレステロール(Tc)、トリグリセリド(Tgs)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びアルカリホスファターゼ(ALP)のレベルを測定することによって、インビボで評価した。注射部位反応の存在も監視した。二本鎖を、以下の表11に記載されるように、第1週の間の「初期投与段階」(2mg/kgの毎日1回の投与を、連続5日間、qdx5)、続いて、「維持段階」(3週間にわたって、2mg/kgの週に1回の投与を3回、qwx3)を含む投与計画を用いて投与した。

図14A及び14Bに示されるように、AD−60688を除く全ての化合物が、80%超のPCSK9サイレンシングを達成し、AD−60212群の個々の動物が、90%超のPCSK9サイレンシングを達成する。図15は、スタチンの非存在下で、AD−60688を除く全ての化合物が、60%のLDLコレステロールの低下を達成し、AD−59223群の個々の動物が、最大で77%のLDLコレステロールの低下を達成することを示す。意外なことに、図18に示されるように、示される剤は、コレステロールの低下を、示される剤の最終投与の46日後に維持していた。更により意外なことに、図19に示されるように、AD−60212及びAD−59849は、最大で60%のLDLコレステロールの低下を、少なくとも120日目(最終投与の93日後)まで維持しており、これは、インビボのRNAi剤について観察される効果より長く、このことは、初期投与段階の後、これらの化合物が、維持段階の間、月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、又は6ヶ月に1回の頻度で投与され得ることを示す。

実施例8.更なるAD−57928に基づくPCSK9配列の調製 AD−57928の親配列に基づく更なるiRNA剤を調製し(以下の表12を参照)、HeLa及びHep3B細胞をこれらの剤でトランスフェクトすることによって、効力についてインビトロで試験した。これらの剤のIC50値が、表13に示される。

実施例9.AD−57928の反復投与の有効性 PCSK9タンパク質の発現を抑制する際のAD−57928の反復投与の有効性を、非ヒト霊長類(NHP)の血清中のPCSK9タンパク質、LDL、HDL、総コレステロール(Tc)、トリグリセリド(Tgs)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びアルカリホスファターゼ(ALP)のレベルを測定することによって、インビボで評価した。注射部位反応の存在も監視した。AD−57928二本鎖を、以下の表14に記載される投与計画を用いて皮下投与した。第5群の動物に、92日目に単回の25mg/kgの用量を再投与した。更に1つの群の動物に、単回用量の25mg/kgを投与した。「2xw」は、週に2回であり;「q2w」は、2週間に1回であり;「q1w」は、週に1回である。

図16Aに示されるように、LDLを低下させるのに最も有効な投与計画は、週に2回の投与計画(2xw)であり、これは、LDLレベルの約60%の低下を達成した。より低い頻度で投与された同じ累積用量は、週に2回の投与計画より有効性が低かった。図16Bは、2xwの投与計画が80%超のPCSK9サイレンシングを達成したことを示す。

図17A及び17Bは、AD−57928の単回の25mg/kgの投与が、週に2回(2xw)投与される2mg/kgのAD−57928のより少ない量の複数回投与と、LDL及びPCSK9の低下の同じ開始、PCSK9及びLDLの低下の同じ最下点、及びLDLの低下の同等の速度を有することを示す。これらのグラフは、単回の25mg/kgの投与でPCSK9の低下がより速い傾向があること及び25mg/kgの単回投与の場合、PCSK9レベル及びLDLレベルの両方の回復が、最下点に達した(7日目の)約20日後に開始することも示す。25mg/kgの単回投与の場合の最下点は、7日目にある。

実施例10.最適化されたAD−57928 iRNA剤の忍容性 図12A(及び表10)に記載されるAD−57928の親配列に基づいて調製された更なるiRNA剤を、ラットにおける忍容性について評価した。雄のラットに、1、8、及び15日目に225mg/kgの示されるiRNA剤を皮下投与し、殺処分し、16日目に剖検を行った(表15を参照)。動物の臨床症状を毎日観察し、動物の体重を、試験前、及び試験中は毎週測定した。16日目に、動物からの血液を、凝固及び血清化学について血液学的に評価し;iRNA剤の薬剤代謝及び薬物動態を、動物からの肝臓試料;及び心臓、(吸気)肺、腎臓、肝臓、脾臓、精巣を用いて決定し、最初及び最終の注射部位の変化について分析した。臨床兆候の変化、視覚的な注射部位の観察、血清化学、凝固又は肝臓、脾臓、肺、心臓、若しくは精巣の微細な病変はなかった。表16は、試験される各剤についての、肝臓の重量、最終体重、最終注射部位及び腎臓についての血液学的分析の結果及び病変の重症度スコアのまとめを提供する。

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