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オリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドを有効成分として含有する脂質異常症治療剤

申请号 JP2012150292 申请日 2012-07-04 公开(公告)号 JP2015165772A 公开(公告)日 2015-09-24
申请人 国立大学法人大阪大学; 国立研究開発法人国立循環器病研究センター; 发明人 小比賀 聡; 中谷 萌夏; 安原 秀典; 斯波 真理子; 山本 剛史;
摘要 【課題】PCSK9遺伝子を標的としたより低い用量でより高い脂質異常症治療効果を奏するオリゴヌクレオチドを提供する。 【解決手段】糖修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドであって、該糖修飾ヌクレオシドが、4’位と2’位との間に架橋構造を有し、ヒトPCSK9遺伝子と結合し得、該ヒトPCSK9遺伝子が、特定の塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなるDNAまたはRNAである、オリゴヌクレオチド。 【選択図】なし
权利要求

糖修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドであって、 該糖修飾ヌクレオシドが、4’位と2’位との間に架橋構造を有し、そして 該オリゴヌクレオチドが、ヒトPCSK9遺伝子と結合し得、 該ヒトPCSK9遺伝子が、以下の塩基配列: 配列番号18で示される塩基配列;配列番号20で示される塩基配列;配列番号26で示される塩基配列;配列番号28で示される塩基配列;配列番号30で示される塩基配列;配列番号31で示される塩基配列;配列番号42で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号51で示される塩基配列;配列番号52で示される塩基配列;配列番号57で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号59で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号94で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;配列番号117で示される塩基配列;配列番号118で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなるDNAまたはRNAである、オリゴヌクレオチド。前記ヒトPCSK9遺伝子が、以下の塩基配列: 配列番号18で示される塩基配列;配列番号28で示される塩基配列;配列番号31で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号51で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなるDNAまたはRNAである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。前記ヒトPCSK9遺伝子が、以下の塩基配列: 配列番号28で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなるDNAまたはRNAである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。前記架橋構造が、−CH2−O−、−(CH2)2−O−、−CH2−NR1−O−、−(CH2)2−NR1−O−、−CO−NR1−、−CH2−CO−NR1−、−(CH2)2−CO−NR1−、−CO−NR1−X−、または−CH2−CO−NR1−X−で表され、 ここで、R1は、原子; 分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基; 分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基; 水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなるα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基; または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;を表し、そして Xは、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、またはメチレン基を表す、請求項1から3のいずれかの項に記載のオリゴヌクレオチド。前記オリゴヌクレオチドの塩基配列の長さが、10〜25塩基である、請求項1から4のいずれかの項に記載のオリゴヌクレオチド。請求項1から5のいずれかの項に記載のオリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、ヒトPCSK9遺伝子発現抑制剤。請求項1から5のいずれかの項に記載のオリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、脂質異常症治療剤および予防剤。

说明书全文

本発明は、オリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドを有効成分として含有する脂質異常症治療剤に関する。

LDL受容体の遺伝子に変異を有する家族性高コレステロール血症は、500人に1人(国内で25万人)の割合で発症する疾患であり、遺伝性代謝疾患の中で頻度が最も高い。患者の血清総コレステロール値は230〜500mg/dLを示し(健常者:200mg/dL以下)、皮膚およびの黄色腫、若年性動脈硬化症による冠動脈疾患などの症状がみられる。患者の平均寿命は男性で54歳、女性で69歳と全人口の平均寿命を大きく下回る。代表的な治療法としては、LDLアフェレーシス治療が挙げられるが、この治療法は患者に多大な負担を強いる。薬物療法としては、スタチンの投与が挙げられるが、家族性高コレステロール血症に対しては、スタチンは十分な効果を示さない。

一方、高脂血症は、癌に次ぐ死因の心筋梗塞や脳卒中の原因となる生活習慣病である。

これらの高コレステロール血症(脂質代謝異常症)に対する治療開発において、最近では、LDL(low densityリポタンパク質)受容体の代謝を調節しているPCSK9遺伝子を標的とした戦略が注目されている。LDL受容体を分解するPCSK9の遺伝子発現を抑制することにより、LDL受容体の発現量が上昇し、LDLの細胞内への取り込みや代謝を促進させることによって血中LDL濃度を低下させる狙いがある。核酸医薬の一手法であるアンチセンス法を利用した治療実験も進められている。

特許文献1には、PCSK9遺伝子を標的とした種々の4’,2’−架橋型糖修飾ヌクレオシドを含有する脂質異常症治療用アンチセンスオリゴヌクレオチドが記載されている。しかしながら、より低い用量でより高い治療効果を奏するオリゴヌクレオチドが求められている。

国際公開第2012/029870

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S. M. A. Rahmanら、J. Am. Chem. Soc.、2008年、第130巻、p. 4886-4896

本発明は、PCSK9遺伝子を標的としたより低い用量でより高い脂質異常症治療効果を奏するオリゴヌクレオチドを提供することを目的とする。

本発明者らは、上記課題を解決するために、PCSK9遺伝子の特定の領域を標的配列とすることによって、4’,2’−架橋型糖修飾オリゴヌクレオシドを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドがより低い用量でより高い脂質異常症治療効果を奏することを見出し、本発明を完成させた。

本発明のオリゴヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドであって、該糖修飾ヌクレオシドが、4’位と2’位との間に架橋構造を有し、そして該オリゴヌクレオチドが、ヒトPCSK9遺伝子と結合し得、該ヒトPCSK9遺伝子が、以下の塩基配列:配列番号18で示される塩基配列;配列番号20で示される塩基配列;配列番号26で示される塩基配列;配列番号28で示される塩基配列;配列番号30で示される塩基配列;配列番号31で示される塩基配列;配列番号42で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号51で示される塩基配列;配列番号52で示される塩基配列;配列番号57で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号59で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号94で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;配列番号117で示される塩基配列;配列番号118で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなるDNAまたはRNAである。

1つの実施態様では、上記ヒトPCSK9遺伝子は、以下の塩基配列:配列番号18で示される塩基配列;配列番号28で示される塩基配列;配列番号31で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号51で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなるDNAまたはRNAである。

1つの実施態様では、上記ヒトPCSK9遺伝子は、以下の塩基配列:配列番号28で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなるDNAまたはRNAである。

1つの実施態様では、上記架橋構造は、−CH2−O−、−(CH2)2−O−、−CH2−NR1−O−、−(CH2)2−NR1−O−、−CO−NR1−、−CH2−CO−NR1−、−(CH2)2−CO−NR1−、−CO−NR1−X−、または−CH2−CO−NR1−X−で表され、ここで、R1は、原子;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基;水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなるα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基;または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;を表し、そしてXは、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、またはメチレン基を表す。

1つの実施態様では、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列の長さは、10〜25塩基である。

本発明のヒトPCSK9遺伝子発現抑制剤は、上記オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する。

本発明の脂質異常症治療剤および予防剤は、上記オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する。

本発明によれば、PCSK9遺伝子を標的としたより低い用量でより高い脂質異常症治療効果を奏するオリゴヌクレオチドを提供することができる。

オリゴヌクレオチド(5nM)で処理したNMuli細胞のPCSK9のmRNA発現レベルを示すグラフである。

オリゴヌクレオチド(50nM)で処理したNMuli細胞のPCSK9のmRNA発現レベルを示すグラフである。

オリゴヌクレオチド(0.4、2または10nM)で処理したNMuli細胞のPCSK9のmRNA発現レベルを示すグラフである。

オリゴヌクレオチド(5または50nM)で処理したHuH7細胞のPCSK9のmRNA発現レベルを示すグラフである。

オリゴヌクレオチドを投与したマウスの肝臓でのPCSK9のmRNA発現レベルを示すグラフである。

オリゴヌクレオチドを投与したマウスの血清ALT(GPT)値および血清AST(GOT)値を示すグラフである。

まず、本明細書中で用いられる用語を定義する。

本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキル基」は、炭素数1〜6の任意の直鎖アルキル基をいい、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、またはn−ヘキシル基をいう。

本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」は、炭素数1〜6の任意の直鎖アルキル基を有するアルコキシ基を包含する。例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基などが挙げられる。

本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基」は、炭素数1〜6の任意の直鎖アルキル基を有するアルキルチオ基を包含する。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基などが挙げられる。

本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基」は、炭素数1〜6の任意の直鎖アルキル基を1つまたは2つ有するアルキルアミノ基を包含する。例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられる。

本明細書において、用語「分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基」は、炭素数1〜7の任意の直鎖アルキル基、炭素数3〜7の任意の分岐鎖アルキル基、炭素数3〜7の任意の環状アルキル基および炭素数3〜7のこれらの組み合わせを包含する。単に、「低級アルキル基」という場合もある。例えば、炭素数1〜7の任意の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、およびn−ヘプチル基などが挙げられ、炭素数3〜7の任意の分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基などが挙げられ、そして炭素数3〜7の任意の環状アルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、炭素数3〜7のこれらの組み合わせとしては、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基などが挙げられる。

本明細書において、用語「分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基」は、炭素数2〜7の任意の直鎖アルケニル基、炭素数3〜7の任意の分岐鎖アルケニル基、炭素数3〜7の任意の環状アルケニル基および炭素数2〜7のこれらの組み合わせを包含する。単に、「低級アルケニル基」という場合もある。例えば、炭素数2〜7の任意の直鎖アルケニル基としては、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基などが挙げられ、炭素数3〜7の任意の分岐鎖アルケニル基としては、イソプロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−2−ブテニル基などが挙げられ、そして炭素数3〜7の任意の環状アルケニル基としては、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられ、炭素数2〜7のこれらの組み合わせとしては、メチルシクロブテニル基、メチルシクロペンテニル基などが挙げられる。

本明細書において、用語「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基」は、炭化水素のみで構成された炭素数6〜12の任意の芳香族炭化水素または環構造を構成する1以上の炭素原子が同種または異種のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、または硫黄原子)で置換された炭素数3〜12の任意の複素芳香族化合物を包含する。炭化水素のみで構成された炭素数6〜12の芳香族炭化水素としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基などが挙げられ、そして環構造にヘテロ原子を含む炭素数3〜12の任意の複素芳香族化合物としては、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基などが挙げられる。

本明細書において、用語「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基」の例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、ピリジルメチル基、インドリルメチル基、フリルメチル基、チエニルメチル基、ピロリルメチル基、2−ピリジルエチル基、1−ピリジルエチル基、3−チエニルプロピル基などが挙げられる。

本明細書において、用語「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。

本明細書において、用語「ヌクレオシド」とは、核酸塩基および糖を含むグリコシルアミンをいう。ヌクレオシドとしては、天然に存在するヌクレオシド、無塩基ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、ならびに、擬似塩基および/または糖基を有するヌクレオシドが挙げられるがこれらに限定されない。

本明細書において、用語「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドとリン酸とで構成される化合物であって、ヌクレオシドの糖部分とリン酸とがエステル結合を形成している化合物をいう。

本明細書において、用語「デオキシリボヌクレオチド」は、ヌクレオチドの糖部分の2’位に水素を有するヌクレオチドをいう。

本明細書において、用語「デオキシリボ核酸(DNA)」は、デオキシリボヌクレオチドを含む核酸をいう。

本明細書において、用語「リボヌクレオチド」は、ヌクレオチドの糖部分の2’位にヒドロキシを有するヌクレオチドをいう。

本明細書において、用語「リボ核酸(RNA)」は、リボヌクレオチドを含む核酸をいう。

本明細書において、用語「修飾ヌクレオシド」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖とが結合した「ヌクレオシド」のうち非天然型のもの、ならびに、プリンおよびピリミジン以外の芳香族複素環および芳香族炭化水素環でプリンまたはピリミジン塩基との代用が可能なものと糖が結合したものいう。例えば、糖部分が修飾された糖修飾ヌクレオシドが挙げられる。

本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」とは、同一または異なる「ヌクレオシド」がリン酸ジエステル結合で2〜50個結合した「オリゴヌクレオチド」をいう。「オリゴヌクレオチド」の非天然型誘導体も含む。そのような誘導体としては、例えば、糖部分が修飾された糖誘導体;リン酸ジエステル部分がチオエート化されたチオエート誘導体;リン酸ジエステル結合中のリン酸基の酸素原子が硫黄原子で置換されたホスホロチオエート誘導体;末端のリン酸部分がエステル化されたエステル体;プリン塩基上のアミノ基がアミド化されたアミド体が挙げられる。

以下、本発明について詳述する。

本発明のオリゴヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオシドを任意の位置に少なくとも1つ含む。その位置および数は、特に限定されず、目的に応じて適宜設計され得る。2つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。

本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するDNAまたはRNAが化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドを含む。このような修飾は、オリゴヌクレオチドの活性を変更する。例えば、標的核酸に対する親和性を高め、核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)に対する耐性を高め、オリゴヌクレオチドの薬物動態または組織分布を変更する。その標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高めることにより、より短いオリゴヌクレオチドの使用を可能にし得る。

本発明のオリゴヌクレオチドは、ヒトPCSK9遺伝子と結合し得る。

ここで、「結合し得る」とは、異なる複数の1本鎖のオリゴヌクレオチドまたは核酸が、核酸塩基の相補性により2本鎖以上の鎖の核酸を形成し得ることをいう。好適には、2本鎖の核酸を形成し得ることをいう。2本鎖以上の鎖の核酸の融解温度(Tm)は特に限定されない。例えば、2本鎖核酸を形成する異なる2つの1本鎖のオリゴヌクレオチドまたは核酸は、2本鎖を形成する領域の塩基配列が完全に相補性を有する必要はない。

ヒトPCSK9遺伝子は、配列番号1で示される塩基配列(GenBankアクセッション番号:NM_174936;コーディング領域、2079塩基)を含み、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする。PCSK9遺伝子はLDL受容体の分解に関与する。

本発明のオリゴヌクレオチドが結合し得るヒトPCSK9遺伝子の領域としては、好適には次の塩基配列:配列番号18で示される塩基配列;配列番号20で示される塩基配列;配列番号26で示される塩基配列;配列番号28で示される塩基配列;配列番号30で示される塩基配列;配列番号31で示される塩基配列;配列番号42で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号51で示される塩基配列;配列番号52で示される塩基配列;配列番号57で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号59で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号94で示される塩基配列;配列番号117で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;配列番号118で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなる領域である。

より好適には次の塩基配列:配列番号28で示される塩基配列;配列番号50で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;配列番号89で示される塩基配列;配列番号100で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなる領域である。

さらに好適には次の塩基配列:配列番号50で示される塩基配列;配列番号58で示される塩基配列;またはこれらに相補的な塩基配列のいずれかを含む塩基配列からなる領域である。

本発明のオリゴヌクレオチドが結合し得るヒトPCSK9遺伝子は、好適には、上記塩基配列からなるDNAまたはRNAである。

本発明のオリゴヌクレオチドが含む糖修飾ヌクレオシドは、同一のヌクレオシド内の4’位と2’位との間に架橋構造を有する。

上記架橋構造の1つは、−CH2−O−、または−(CH2)2−O−で表される。このような架橋構造を、以下、「BNA」という場合がある。

BNAとしては、例えば、α−L−メチレンオキシ(4’−CH2−O−2’)、β−D−メチレンオキシ(4’−CH2−O−2’)、エチレンオキシ(4’−(CH2)2−O−2’)が挙げられるが、これらに限定されない。BNAヌクレオシド(モノマー)は、例えば、オリゴDNA合成用アミダイト体として、非特許文献1〜5に記載の方法により合成することができる。

上記架橋構造の他の1つは、−CH2−NR1−O−、または−(CH2)2−NR1−O−で表され、 ここで、R1は、水素原子; 分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基; 分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基; 水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなるα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基; または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表す。このような架橋構造を、以下、「NC」という場合がある。

NCとしては、例えば、オキシアミノ(4’−CH2−NH−O−2’)、N−メチルオキシアミノ(4’−CH2−NCH3−O−2’)が挙げられるが、これらに限定されない。NCヌクレオシド(モノマー)は、例えば、オリゴDNA合成用アミダイト体として、非特許文献6〜9に記載の方法により合成することができる。

上記架橋構造の他の1つは、−CO−NR1−、−CH2−CO−NR1−、−(CH2)2−CO−NR1−、−CO−NR1−X−、または−CH2−CO−NR1−X−で表され、 ここで、R1は、水素原子; 分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基; 分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基; 水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなるα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基; または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;を表し、そして Xは、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、またはメチレン基を表す。このような架橋構造を、以下、「CON」という場合がある。

CONとしては、例えば、無置換アミド(4’−CO−NH−2’)、N−メチルアミド(4’−CO−NCH3−2’)、アセトアミド(4’−CH2−CO−NH−2’)、N−メチルアセトアミド(4’−CH2−CO−NCH3−2’)、N−オキシアセトアミド(4’−CH2−CO−NH−O−2’)、N−メチル−N−オキシアセトアミド(4’−CH2−CO−NCH3−O−2’)が挙げられるが、これらに限定されない。CONヌクレオシド(モノマー)は、例えば、オリゴDNA合成用アミダイト体として、特許文献1に記載の方法により合成することができる。

本発明のオリゴヌクレオチドは、同一のヌクレオシド内の4’位と2’位との間に上記架橋構造「BNA」、「NC」または「CON」のいずれか1つを有する糖修飾ヌクレオシドを少なくとも1種類含む。

本発明のオリゴヌクレオチドの塩基配列の長さは、特に限定されないが、好適には10〜25塩基である。より好適には10〜16塩基である。

本発明のオリゴヌクレオチドの5’−末端または3’−末端の構造は、特に限定されない。例えば、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナンスリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリンおよび色素からなる群より選択される1つが結合している。好適には5’−末端または3’−末端にコレステロールが結合している。コレステロールの結合により、オリゴヌクレオチドの生体内安定性の向上や標的臓器である肝臓への取り込み向上が期待できる。5’−末端または3’−末端にコレステロールを結合させる方法は、特に限定されない。例えば、コレステロールをアミダイト体として導入する方法、オリゴヌクレオチド合成の固相担体として導入する方法、オリゴヌクレオチドを合成した後にコンジュゲート化する方法が挙げられる。

糖修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、上述のように、同一のヌクレオシド内の4’位と2’位との間の架橋構造により固定されているため、各種ヌクレアーゼにより分解されにくく、生体に投与されると、長時間生体内に存在することができる。

本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、アンチセンス核酸として、ヒトPCSK9のmRNAと結合して、ヒトPCSK9の遺伝子発現を抑制し得る。すなわち、ヒトPCSK9遺伝子発現抑制剤としての効果を奏する。ヒトPCSK9の遺伝子発現が抑制されると、LDL受容体タンパク質の発現量が上昇し、LDLの細胞内への取り込みや代謝が促進されることによって血中LDL濃度が低下し得る。すなわち、ヒトPCSK9遺伝子発現抑制剤は、例えば、血中LDL濃度を低減させるための医薬として利用でき、あるいは、例えば、血中LDL濃度が病態に及ぼす影響を調べるための試薬として利用できる。このようにして、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヒトPCSK9遺伝子発現抑制剤としての効果を奏し、この結果、血中LDL低減剤としての効果、および家族性高コレステロール血症や高脂血症などの高コレステロール血症(脂質異常症)の治療剤および予防剤としての効果を奏する。特に、より低い用量でより高い脂質異常症治療効果を奏する。

本発明のオリゴヌクレオチドを有効成分として含有する脂質異常症治療剤および予防剤は、例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、酸化安定剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤などの医薬の製剤技術分野において通常用いられる補助剤をさらに含有し得、例えば、非経口投与製剤とすることができる。または、当該技術分野において通常用いられる医薬用担体をさらに含有し得、例えば、液剤、クリーム剤、軟膏剤などの局所用の製剤とすることができる。

以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでない。

(実施例1)オリゴヌクレオチドの合成 非特許文献1〜5に記載の方法によりBNAモノマー(アミダイト体)を合成した。これをオリゴDNA合成用モノマー体として用いて、DNA合成機により、表1−1〜表1−3に記載のオリゴヌクレオチド(マウスPCSK9遺伝子の塩基配列からなるBNA−ヌクレオシドを含むBNA−オリゴヌクレオチド、in vivoグレード、必要に応じて1〜100mg)を合成した。なお、表1−1〜表1−3において、PS骨格とは、リン酸ジエステル結合中のリン酸基の酸素原子が硫黄原子で置換された構造(リン酸基に対応する基をホスホロチオエート基という)をいう。また、本明細書において、オリゴヌクレオチドのリン酸基がすべてホスホロチオエート基に置き換わったオリゴヌクレオチドを特にS−オリゴヌクレオチドという。表1−1〜表1−3に記載のオリゴヌクレオチドは、すべてS−オリゴヌクレオチドである。

次いで、合成したオリゴヌクレオチドをHPLC精製、凍結乾燥処理に供した。得られた各オリゴヌクレオチドの純度および構造をHPLCおよびMALDI−TOF−MSにより確認した。

(実施例2)オリゴヌクレオチドによるin vitroでのPCSK9遺伝子発現抑制効果1 マウス肝臓細胞株NMuliの細胞を1.5×105個/ウェルとなるように12ウェルプレートに播き、5%CO2下37℃にて24時間培養した。実施例1で合成した各オリゴヌクレオチドを最終濃度5または50nMとなるようにLipofectamine2000(Invitrogen社製)を用いて各ウェルに添加した(トランスフェクション)。4時間後に培地を交換し、さらに20時間後に細胞を回収し、細胞からRNeasy mini kit (QIAGEN社製)を用いてTotal RNAを抽出した。

Total RNAからHigh capacity cDNA reverse Transcription kit(Applied Biosystems社製)を用いてcDNAを得た。得られたcDNAおよびTaqMan(登録商標)Gene Expression ID(Applied Biosystems社製)を用いてStepOnePlus(TM)リアルタイムPCR解析システム(AppliedBiosystems社)によりリアルタイムPCRを行い、PCSK9のmRNA量を定量した。リアルタイムPCRでは、ハウスキーピング遺伝子のGAPDHのmRNA量も同時に定量し、GAPDHのmRNA量に対するPCSK9のmRNA量をPCSK9mRNA発現レベルとして評価した。トランスフェクション操作を行わなかった細胞をコントロールとして用いた。結果を図1および2に示す。

なお、用いたプライマーは、TaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)であり、Assay IDは、以下のとおりであった: マウスPCSK9定量用:Mm01263610_m1およびMm00463738_m1 マウスGAPDH定量用:Mm99999915_m1

図1および2から明らかなように、特定の標的領域に対するオリゴヌクレオチド、すなわちオリゴヌクレオチド16(標的配列:配列番号18)、オリゴヌクレオチド18(標的配列:配列番号20)、オリゴヌクレオチド24(標的配列:配列番号26)、オリゴヌクレオチド26(標的配列:配列番号28)、オリゴヌクレオチド28(標的配列:配列番号30)、オリゴヌクレオチド29(標的配列:配列番号31)、オリゴヌクレオチド40(標的配列:配列番号42)、オリゴヌクレオチド48(標的配列:配列番号50)、オリゴヌクレオチド49(標的配列:配列番号51)、オリゴヌクレオチド50(標的配列:配列番号52)、オリゴヌクレオチド55(標的配列:配列番号57)、オリゴヌクレオチド56(標的配列:配列番号58)、オリゴヌクレオチド57(標的配列:配列番号59)、オリゴヌクレオチド87(標的配列:配列番号89)、オリゴヌクレオチド92(標的配列:配列番号94)、オリゴヌクレオチド98(標的配列:配列番号100)、オリゴヌクレオチド115(標的配列:配列番号117)およびオリゴヌクレオチド116(標的配列:配列番号118)はPCSK9のmRNAの発現レベルを著しく低下させた。

(実施例3)オリゴヌクレオチドによるin vitroでのPCSK9遺伝子発現抑制効果2 実施例1で合成したオリゴヌクレオチドのうち、特定のオリゴヌクレオチドを用いたこと、および各ウェルに添加した各オリゴヌクレオチドの最終濃度として、5または50nMに代えて0.4、2または10nMとしたこと以外は実施例2と同様にして、in vitroでのPCSK9遺伝子発現抑制効果を調べた。結果を図3に示す。

図3から明らかなように、特に、オリゴヌクレオチド16(標的配列:配列番号18)、オリゴヌクレオチド26(標的配列:配列番号28)、オリゴヌクレオチド29(標的配列:配列番号31)、オリゴヌクレオチド48(標的配列:配列番号50)、オリゴヌクレオチド49(標的配列:配列番号51)、オリゴヌクレオチド56(標的配列:配列番号58)、オリゴヌクレオチド87(標的配列:配列番号89)、およびオリゴヌクレオチド98(標的配列:配列番号100)は濃度依存的にPCSK9のmRNAの発現レベルを著しく低下させた。

(実施例4)オリゴヌクレオチドによるin vitroでのPCSK9遺伝子発現抑制効果3 実施例1で合成したオリゴヌクレオチドのうち、ヒトPCSK9遺伝子とマウスPCSK9遺伝子とで共通する塩基配列からなる標的配列に対するオリゴヌクレオチドを用いたこと、およびマウス肝臓細胞株NMuliの細胞に代えてヒト肝臓細胞株HuH7の細胞を用いたこと以外は実施例2と同様にして、in vitroでのPCSK9遺伝子発現抑制効果を調べた。結果を図4に示す。

なお、用いたプライマーは、TaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)であり、Assay IDは、以下のとおりであった: ヒトPCSK9定量用:Hs00545399_m1 ヒトGAPDH定量用:Hs02758997_g1

図4から明らかなように、in vitroでのPCSK9遺伝子発現抑制効果は、マウス細胞とヒト細胞とでほぼ同様の傾向を示した。特に、オリゴヌクレオチド48(標的配列:配列番号50)およびオリゴヌクレオチド56(標的配列:配列番号58)は、マウス細胞、ヒト細胞ともに高い発現抑制効果を示した。一方で、オリゴヌクレオチド71(標的配列:配列番号73)のように、マウス細胞ではあまり発現抑制効果を示さなかったのに対しヒト細胞では高い発現抑制効果を示した例もあった。

(実施例5)オリゴヌクレオチドによるin vivoでのPCSK9遺伝子発現抑制効果 実施例3および4において、in vitroでのPCSK9遺伝子発現抑制効果を示した、オリゴヌクレオチド26(標的配列:配列番号28)、オリゴヌクレオチド48(標的配列:配列番号50)、オリゴヌクレオチド56(標的配列:配列番号58)、オリゴヌクレオチド87(標的配列:配列番号89)、およびオリゴヌクレオチド98(標的配列:配列番号100)を被験動物に投与し、in vivoでのPCSK9遺伝子発現抑制効果を調べた。

被験動物として8週齢のマウスC57BL6/J(オス:日本エスエルシー株式会社)を各投与群で例数4匹となるように準備した。1週間後、尾静脈より各オリゴヌクレオチドを10mg/kgの投与量で単回投与した。

4日後に各マウスを屠殺し、各マウスから肝臓と全血を採取した。肝臓は、PBSで洗浄した後、細切し、液体窒素で瞬間凍結した後、−80℃にて保存した。凍結肝臓の切片を1mLのTRIzol Regent(Invitrogen社製)内でホモジナイズし、クロロホルム200μLを加えた後、13,200rpm、4℃にて15分間遠心した。上清220μLをイソプロパノール400μLに添加して転倒混和し、13,200rpm、4℃にて15分間遠心した後、イソプロパノールを除去した。次いで、75%エタノール800μLを加えた後、13,200rpm、4℃にて5分間遠心した。Total RNAを含む沈殿をRNaseフリー水(Water,DEPC treated,RNase tested;ナカライテスク株式会社)80μLに溶解した。抽出したTotal RNAを分光光度計で定量し、RNAの長さをアガロースゲル電気泳動で確認した。

Total RNA10μgからHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems社製)を用いてcDNAを作製した。得られたcDNAおよびFast SYBR(登録商標)Green Master Mix(Applied Biosystems社製)を用いてリアルタイムPCRを行い、PCSK9のmRNA量を定量した。リアルタイムPCRでは、ハウスキーピング遺伝子のGAPDHのmRNA量も同時に定量し、GAPDHのmRNA量に対するPCSK9のmRNA量を評価した。結果を図5に示す。

なお、用いたプライマーは、TaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)であり、Assay IDは以下のとおりであった: マウスPCSK9定量用:Mm00463738_m1 マウスGAPDH定量用:Mm99999915_m1

次いで、採取した全血を室温にて20分間静置した後、5000rpm、4℃にて20分間遠心して血清を分離した。それぞれの血清について、トランスアミナーゼCII−テストワコー(和光純薬工業株式会社製)を用いてAST値およびALT値を定量し、肝毒性を調べた。結果を図6に示す。

図5から明らかなように、in vitroでの高いPCSK9遺伝子発現抑制効果を示したオリゴヌクレオチド26(標的配列:配列番号28)、オリゴヌクレオチド48(標的配列:配列番号50)、オリゴヌクレオチド56(標的配列:配列番号58)、オリゴヌクレオチド87(標的配列:配列番号89)、およびオリゴヌクレオチド98(標的配列:配列番号100)はいずれもin vivoでの高いPCSK9遺伝子発現抑制効果を示した。

一方、図6から明らかなように、オリゴヌクレオチド87(標的配列:配列番号89)を投与したマウスには、著しい肝毒性が認められた。

以上より、オリゴヌクレオチド26(標的配列:配列番号28)、オリゴヌクレオチド48(標的配列:配列番号50)、オリゴヌクレオチド56(標的配列:配列番号58)およびオリゴヌクレオチド98(標的配列:配列番号100)は、肝毒性を示すことなく、in vivoでの著しいPCSK9遺伝子発現抑制効果を示すことがわかった。

本発明によれば、ヒトPCSK9のmRNAと結合して、ヒトPCSK9の遺伝子発現を抑制し得るオリゴヌクレオチドを提供することができる。本発明のオリゴヌクレオチドは、ヒトPCSK9遺伝子発現抑制剤としての効果を奏し、この結果、血中LDL低減剤としての効果、および家族性高コレステロール血症や高脂血症などの高コレステロール血症(脂質異常症)の治療剤および予防剤としての効果を奏する。特に、より低い用量でより高い脂質異常症治療効果を奏する。

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