Protease enzyme and its use

申请号 JP2014501649 申请日 2012-03-30 公开(公告)号 JP2014511681A 公开(公告)日 2014-05-19
申请人 アーベー・エンジュメス・オサケユキテュアAb Enzymes Oy; 发明人 レーナ・バルタカリ; カリ・ユントゥネン; マルヤ・パロヘイモ; ペンッティ・オヤパロ;
摘要 本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18に定義されているマルブランケアALKO4122成熟プロテアーゼのアミノ酸配列または配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するアミノ酸配列を含む 真菌 セリンプロテアーゼ酵素に関する。 単離された核酸分子、該プロテアーゼをコードする核酸配列、セリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチドを生産する宿主細胞および方法も記載されている。 該プロテアーゼは、洗浄剤組成物において適用できる酵素調製物として、および繊維、羊毛、髪、革または絹を処理するために、食物または飼料を処理するために、またはタンパク質性素材の修飾、分解または除去を含むあらゆる適用のために有用である。
权利要求
  • セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するアミノ酸配列を含むことを特徴とする、セリンプロテアーゼ酵素。
  • 配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも85%同一性を有するアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • 配列番号:18に示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • 配列番号:18に示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • マルブランケア(Malbranchea)ALKO4122寄託株CBS128533またはマルブランケアALKO4178寄託株CBS128564から得られることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • 成熟形態が、20から35kDa、好ましくは25から33kDa、より好ましくは28から30kDaの分子量を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • 30分の反応時間および基質としてカゼインを使用してpH8.5で、30℃から80℃、好ましくは40℃から70℃、さらに好ましくは50℃から80℃、より好ましくは70℃で最適温度を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • 30分の反応時間および基質としてカゼインを使用して温度50℃で、少なくともpH6からpH10、好ましくはpH9からpH10、より好ましくはpH10で最適pHを有することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • 洗浄剤の存在下で0℃から90℃、好ましくは5℃から60℃、特に好ましくは10℃から40℃の温度でタンパク質性汚点を分解または除去することができることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素。
  • (a)セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18において記載されているアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子;
    (b)セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも66%の同一性を含むポリペプチドをコードする核酸分子;
    (c)配列番号:17において記載されているヌクレオチド配列のコード配列を含む核酸分子;
    (d)DSM24410に含まれるポリヌクレオチド配列のコード配列を含む核酸分子;
    (e)遺伝子コードの縮重によって、(c)から(d)のいずれか1つの核酸分子のコード配列と異なるコード配列を含む核酸分子;および(g)DSM24426に含まれる核酸分子、または、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18において記載されているアミノ酸配列と少なくとも66%の同一性を示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列番号:17に対し、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む核酸分子からなる群から選択されるセリンプロテアーゼ酵素をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
  • 受入番号DSM24426の下に寄託されている大腸菌RF8758において配列番号:11のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3092に含まれているポリヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするか、受入番号DSM24427の下に大腸菌RF8759において寄託されている配列番号:12のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3093に含まれているポリヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、請求項10に記載の単離された核酸分子。
  • 適当な宿主における該セリンプロテアーゼ酵素の発現を指示することができる調節配列に作動可能に連結している、請求項10または11に記載の核酸分子を含む組換え発現ベクター。
  • 請求項12に記載の組換え発現ベクターを含む宿主細胞。
  • 微生物宿主であることを特徴とする、請求項13に記載の宿主細胞。
  • 糸状菌であることを特徴とする、請求項13または14に記載の宿主細胞。
  • 該宿主が、属トリコデルマ(Trichoderma)、アスペルギルス(Aspergillus)、フザリウム(Fusarium)、フミコーラ(Humicola)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、アカパンカビ(Neurospora)、クモノスカビ(Rhizopus)、ペニシリウム(Penicillium)、マイセリオフトーラ(Myceliophthora)およびモルティエラ(Mortiriella)であることを特徴とする、請求項13から15のいずれかに記載の宿主細胞。
  • 該宿主が、トリコデルマまたはアスペルギルスであることを特徴とする、請求項16に記載の宿主細胞。
  • 該宿主が、トリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)であることを特徴とする、請求項17に記載の宿主細胞。
  • セリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチドを生産する方法であって、請求項13から18のいずれかに記載の宿主細胞を培養する工程、および該ポリペプチドを回収する工程を含む方法。
  • 請求項10に記載の核酸配列によってコードされ、請求項19に記載の方法により得ることができる、セリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチド。
  • 酵素調製物を得るための方法であって、請求項13から18のいずれかに記載の宿主細胞を培養する工程、および該細胞から該ポリペプチドを回収する工程か、または該培養培地から該細胞を分離して上清を得る工程のいずれかを含む方法。
  • 請求項21に記載の方法により得ることができる酵素調製物。
  • 請求項1から9のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素を含む、酵素調製物。
  • プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼおよびオキシダーゼからなる群から選択される他の酵素をメディエーターと共にまたはメディエーターなしで含むことを特徴とする、請求項22または23に記載の酵素調製物。
  • 安定剤、バッファー、界面活性剤、ビルダー(builder)、漂白剤、メディエーター、防食剤、再付着防止剤、腐食剤、研磨剤、光学的光沢剤、色素、香料、顔料および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の添加物を含むことを特徴とする、請求項22から24のいずれかに記載の酵素調製物。
  • 液体、粉末、粒状または錠剤の形態であることを特徴とする、請求項22から25のいずれかに記載の酵素調製物。
  • 洗浄剤のための、繊維を処理するための、好ましくは、羊毛、髪、革、絹から選択されるタンパク質性素材を処理するための、食物または飼料を処理するための、またはタンパク質性素材の修飾、分解または除去を含む適用のための、請求項1から9のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素または請求項22から26のいずれかに記載の酵素調製物の使用。
  • 好ましくは、液体の洗浄剤、粉末の洗浄剤および錠剤の洗浄剤における洗浄剤添加物としての、請求項1から9のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素または請求項22から26のいずれかに記載の酵素調製物の使用。
  • 請求項1から9のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ酵素または請求項22から26のいずれかに記載の酵素調製物、ならびに、安定剤、バッファー、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、メディエーター、防食剤、再付着防止剤、腐食剤、研磨剤、光学的光沢剤、色素、香料、顔料および防腐剤からなる群から選択される添加物を含むことを特徴とする、界面活性剤組成物。
  • プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼおよびオキシダーゼからなる群から選択される他の酵素をメディエーターと共にまたはメディエーターなしで含むことを特徴とする、請求項29に記載の界面活性剤組成物。
  • 说明书全文

    技術分野 本発明は、種々の適用、特に洗浄剤において有用であるセリンプロテアーゼ酵素、特に真菌セリンプロテアーゼ酵素に関する。 本発明は、該酵素をコードする核酸分子、組換えベクター、該酵素を生産するための宿主細胞、該酵素を含む酵素組成物ならびにこのような組成物を調製するための方法に関する。 本発明はまた、該酵素の種々の使用または該酵素を含む組成物に関する。

    背景 生物プロテアーゼは、最も重要な加分解酵素の1つであり、種々の産業分野における適用、例えば、洗浄剤、食物、革、医薬、診断、廃棄物管理および銀回収において見られる。 微生物細胞外プロテアーゼは、全世界の産業的酵素売買の大部分を占める(Cherry and Fidantsef, 2003)。 市販のプロテアーゼの約90%は、界面活性酵素である(Guptaら 2002)。 現在使用されている市販の界面活性調製物は、バチルス種起源のサブチリシンファミリーの天然アルカリ性セリンプロテアーゼ(EC3.4.21)またはサブチリシン(EC3.4.21.62)を含むか、またはその組換えプロテアーゼ調製物である(Maurer, 2004)。

    市販のプロテアーゼの例は、例えば、サブチリシン カールスバーグ(Carlsberg)(Alcalase(登録商標))、サブチリシン309(Savinase(登録商標))、サブチリシン147(Esperase(登録商標))、Kannase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、および冷洗浄(cold-wash)プロテアーゼ Polarzyme(登録商標)(Novozymes A/S、DK)、Purafect(登録商標)、Purafect(登録商標)Ox、Purafect(登録商標)Primeおよび Properase(登録商標)(Genencor Int., Inc., USA)ならびにBLAP SおよびXシリーズ(Henkel, DE)である。

    いくつかのアルカリ性セリンプロテアーゼおよびこれらの酵素をコードする遺伝子はまた、酵母菌および糸状菌(filamentous fungi)を含む真核生物から単離されている。 米国特許第3,652,399号およびEP519229(Takeda Chemical Industries, Ltd., JP)は、洗浄剤および他の洗浄剤組成物の製剤化において有用な属フザリウム(Fusarium)(無性状態、テレオモルフ)またはジベレラ(Gibberella)(有性状態、アナモルフ)、特にフザリウム種S−19−5(ATCC 20192、IFO 8884)、フザリウム・オキシスポルム(oxysporum)フザリウム種リニ(lini)(IFO 5880)またはジベレラ・サンビネッティ(saubinetti)(ATCC 20193、IFO6608)由来のアルカリプロテアーゼを記載している。 WO1994025583(NovoNordisk A/S, DK)は、フザリウム種、特にフザリウム・オキシスポルムの株(DSM 2672)から誘導できる活性なトリプシン様プロテアーゼ酵素、および同じものをコードするDNA配列を記載している。 フザリウム・エクイセチ(F. equiseti)およびフザリウム・アクミナタム(F. acuminatum)由来のプロテアーゼのアミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、WO2010125174およびWO2010125175(AB Enzymes Oy, FI)に記載されている。 また、真菌種、例えば、トリチラキウム(Tritirachium)およびコニディオボルス(Conidiobolus)由来のアルカリプロテアーゼが報告されている(Anwar and Saleemuddin, 1998、参照)。

    液体洗浄剤におけるプロテアーゼの使用における主な問題は、それらの不安定性である。 液体洗浄剤において、酵素は、不可逆性変性を引き起こし得る水およびカオトロピック(chatropic)剤、例えば、陰イオン性界面活性剤および錯化剤と直接的接触である。 プロテアーゼは、洗浄剤製剤における他の酵素を含むタンパク質および洗浄剤製剤自体を破壊する。 自己タンパク質分解は、界面活性剤および熱により増強される。 したがって、プロテアーゼを含む液体洗浄剤の安定性は、製品開発のための主な挑戦を示す(Maurer, 2010)。

    種々の方法は、産業的セリンプロテアーゼの安定性を改良するために使用されている。 WO92/03529(NovoNordisk A/S, DK)、US2009/096916(Genencor Int. Inc., US)およびWO2007/145963(Procter & Gamble Co., US)は、ペプチドまたはタンパク質型の可逆性プロテアーゼ阻害剤の使用を記載している。 プロテアーゼを含む液体洗浄剤組成物は、しばしば、ポリオールと共に、またはポリオールなしにプロテアーゼ阻害剤、例えば、ホウ酸を含み、プロテアーゼの活性を阻害する。 このような阻害剤の一例は、US2010/0120649(Novozymes A/S, DK)に記載されている4−ホルミルフェニルボロン酸(4−FPBA)である。 プロテアーゼの安定性はまた、ハロゲン化物塩とポリオールとの組合せを使用することにより改良されている(WO02/08398、Genencor Int. Inc., US)。 EP0352244A2(NovoNordisk A/S, DK)は、両性化合物、例えば界面活性剤を使用してBacillus由来の酵素の安定性の改良を示唆する。

    同種タンパク質間の結晶構造および配列類似性比較から得られる情報に基づいて、改良された安定性および/または改良された能を有する変異体が設計され得る。 温度酸化剤および種々の洗浄条件ならびに液体洗浄剤における改良された保存安定性に対して改良された触媒効率および/またはより良い安定性を有する天然セリンプロテアーゼの変異体は、部位特異的および/またはランダム変異誘発を介して開発されている。

    細胞外アルカリエンドペプチダーゼとして単離されるサーモマイコリン(Thermomycolin)EC 3.4.21.65は、好熱性真菌マルブランケア(Malbranchea)プルチェラ(pulcella) var. サルフレア(sulfurea)により生産される。 サーモマイコリンは、325残基の一本鎖タンパク質として記載されている。 それは、サブチリシンファミリーのメンバーの典型である活性部位配列−Leu−Ser−(Gly)−Thr−Ser*−Met−を有する。 サーモマイコリンは、珍しい1つのジスルフィド架橋を有する。 サーモマイコリンは、好熱性細菌の細胞外セリンプロテイナーゼほど熱安定性ではないが、大多数の真菌プロテイナーゼよりも安定である(Gaucher and Stevenson, 2004)。 Ong and Gaucher(1975)によると、サーモマイコリンの熱不活性化は、10mMのCa 2+の存在下で73℃で起こる。 サーモマイコリンは、広範なpH範囲においてカゼインを加水分解する。 カゼインの加水分解に対する最適pHは約8.5である。

    Abu-Shadyら(2001)は、エジプトの解体所から回収され、プロテアーゼ酵素を得るために培養された土サンプルからの地域(local)分離株であるマルブランケアサルフレアからのプロテアーゼの特性を記載している。 該文献は、15−60分のプレインキュベーション時間を使用して30−90℃で低い濃度(0.7%)である洗浄剤の存在下で、すなわち洗浄条件と類似した条件で、M. サルフレアプロテアーゼの相対活性を記載している。 しかしながら、洗浄剤製剤におけるプロテアーゼの使用に対する適合性について重要な特性である洗浄剤自体における該プロテアーゼの汚点除去能力または保存安定性を何ら示していない。 該文献はまた、部分的に精製されたプロテアーゼ温度およびpHプロフィールを記載している。 プロテアーゼの最適温度は50℃であり、最適pHは9.0である。

    多数の特許公報、論評および論文は、種々の微生物由来の真菌セリンプロテアーゼ、例えば、例えばEP0290567およびEP0290569(Novo Nordisk A/S, DK)における放線菌(actinomycete)(ノカルジオプシス・ダソンヴィレィ(Nocardiopsis dassonvillei))および真菌(ペシロミセス・マルクアンディ(Paecilomyces marquandii))微生物由来の低温アルカリプロテアーゼを公開している事実にもかかわらず、特に低い温度または中程度の温度範囲で異なる株のタンパク質性素材の修飾、分解および除去において適当および有効であり、非常に様々な特性を有する洗浄剤の存在下で安定である新規プロテアーゼのかなりの必要性が未だ存在する。 セリンプロテアーゼの自己触媒特性によって、保存中の安定性もまた、非常に重要である。

    セリンプロテアーゼは高収率において生産することができ、発酵培養液および菌糸から容易な分離によりコスト的に有効な下流処理できることもまた望ましい。

    発明の概要 本発明の目的は、広範なpH範囲で活性であり、低い温度および中程度の温度で特によく機能する真菌起源のセリンプロテアーゼを提供することである。 洗浄剤の適用のためのセリンプロテアーゼは、洗浄剤の存在下でも安定であり、洗浄剤と適合性であるべきである。 特に、本発明の目的は、市販の酵素調製物よりも低い温度で洗濯用および食器用の洗浄において汚点を含むタンパク質性素材を除去し、それにより、例えばより感受性の材料を洗浄することができ、エネルギーを節約することができるセリンプロテアーゼを提供することである。 さらに、本発明の目的は、該酵素をコードする核酸分子、組換えベクター、該酵素を生産するための宿主細胞、該酵素を含む組成物、このような組成物を製造するための方法、ならびに該酵素および該酵素を含む組成物の使用を提供することである。

    本発明の真菌セリンプロテアーゼは、真菌宿主において高収率で生産することができ、その下流処理、例えば、発酵培養液および菌糸の分離は実施することが容易である。

    本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18に定義されているアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するアミノ酸配列を含む真菌セリンプロテアーゼ酵素に関する。 好ましいセリンプロテアーゼは、マルブランケア・シナモメア(Malbranchea cinnamomea)(Lib.) Oorschot de Hoog由来である。

    文脈において、「由来」は、問題となっている生物体の株により生産されるか、または生産することができるセリンプロテアーゼだけでなく、このような株から単離されるDNA配列によってコードされ、該DNA配列で形質転換された宿主生物において生産されるセリンプロテアーゼもまた示すことが意図される。 最後に、該用語は、合成および/またはcDNA起源のDNA配列によってコードされ、問題となっているセリンプロテアーゼの同定できる特性を有するセリンプロテアーゼを示すことを意図する。

    好ましくは、本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18に定義されている成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼのアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号:18に定義されている成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼのアミノ酸配列を含む真菌セリンプロテアーゼ酵素に関する。

    本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素は、マルブランケア、好ましくはマルブランケア・シナモメア (Lib.) Oorschot de Hoog (マルブランケア プルチェラ var. サルフレア (Miehe) Cooney & R. Emers.の同義語)から得ることができる。 特に好ましい態様において、本発明のセリンプロテアーゼ酵素は、受入番号CBS128533の下に寄託されたマルブランケアALKO4122株または受入番号CBS128564の下に寄託された株マルブランケア ALKO4178から得ることができる。 マルブランケア ALKO4178のプロテアーゼ酵素は、マルブランケアALKO4122株のプロテアーゼ酵素と本質的に同一である。

    真菌セリンプロテアーゼ酵素は、20から35kDaの分子量を有する。 該酵素の最適温度は、pH8.5にて30℃から80℃の範囲、好ましくは約70℃である。 酵素の最適pHは、50℃にて少なくともpH6からpH10の範囲、好ましくはpH10である。 温度およびpH特性は、30分の反応時間および基質としてカゼインを使用して決定した。

    本発明の真菌セリンプロテアーゼは、洗浄剤の存在下で0℃から90℃の温度、好ましくは5℃から60℃の温度、特に好ましくは10℃から40℃の温度にてタンパク質性汚点を分解または除去することができる。

    本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素は、受入番号DSM24426の下に大腸菌RF8758において寄託されている配列番号:11のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3092に含まれているポリヌクレオチド配列と、または配列番号:17の成熟ALKO4122プロテアーゼをコードする配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチド配列によってコードされる。 あるいは、本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素は、受入番号DSM24427の下に大腸菌RF8759において寄託されている配列番号:12のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3093に含まれているポリヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチド配列によってコードされる。

    該酵素は、配列番号:18に定義されている成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼのアミノ酸配列または配列番号:18に定義されている成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼのアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列によってコードされる。 好ましくは、該酵素は、配列番号:17のヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子によってコードされる。

    本発明の全長真菌セリンプロテアーゼ酵素は、受入番号DSM24410の下に大腸菌RF8791において寄託されているpALK3094に含まれるポリヌクレオチド配列によってコードされる。

    該真菌セリンプロテアーゼ酵素は、適当な宿主におけるセリンプロテアーゼ酵素の発現を指示することができる調節配列に作動可能に連結した本発明の真菌セリンプロテアーゼをコードする核酸分子を含む組換え発現ベクターから生産される。 適当な宿主は、異種宿主、好ましくは属トリコデルマ(Trichoderma)、アスペルギルス(Aspergillus)、フザリウム(Fusarium)、フミコーラ(Humicola)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、アカパンカビ(Neurospora)、クモノスカビ(Rhizopus)、ペニシリウム(Penicillium)、マイセリオフトーラ(Myceliophthora)およびモルティエラ(Mortiriella)の微生物宿主を含む。

    好ましくは、該酵素は、トリコデルマまたはアスペルギルス、さらに好ましくはトリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)において生産される。

    本発明は、また:
    (a)セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18において記載されているアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子;
    (b)セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも66%の同一性を含むポリペプチドをコードする核酸分子;
    (c)配列番号:17において記載されているヌクレオチド配列のコード配列を含む核酸分子;
    (d)DSM24410に含まれるポリヌクレオチド配列のコード配列を含む核酸分子;
    (e)遺伝子コードの縮重によって、(c)から(d)のいずれか1つの核酸分子のコード配列と異なるコード配列を含む核酸分子;および(f)DSM24426に含まれる核酸分子、または、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18において記載されているアミノ酸配列と少なくとも66%の同一性を示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列番号:17に対し、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む核酸分子からなる群から選択されるセリンプロテアーゼ酵素をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子に関する。

    本発明は、適当な宿主における該セリンプロテアーゼ遺伝子の発現を指示することができる調節配列に作動可能に連結した本発明のヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターにさらに関する。 適当な宿主は、異種宿主、好ましくは属トリコデルマ、アスペルギルス、フザリウム、フミコーラ、クリソスポリウム、アカパンカビ、クモノスカビ、ペニシリウム、マイセリオフトーラおよびモルティエラの微生物宿主を含む。 好ましくは、該酵素は、トリコデルマまたはアスペルギルス、さらに好ましくはトリコデルマ・リーゼイにおいて生産される。

    本発明は、また、上記組換え発現ベクターを含む宿主細胞に関する。 好ましくは、該宿主細胞は、微生物宿主、例えば、糸状菌である。 好ましい宿主は、属トリコデルマ、アスペルギルス、フザリウム、フミコーラ、クリソスポリウム、アカパンカビ、クモノスカビ、ペニシリウム、マイセリオフトーラおよびモルティエラである。 より好ましくは、該宿主は、トリコデルマまたはアスペルギルス、さらに好ましくは糸状菌トリコデルマ・リーゼイである。

    本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチドを生産する方法であって、本発明の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを回収する工程を含む方法に関する。 また、本発明の核酸配列によってコードされ、上記方法により得ることができるセリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチドも本発明の範囲内である。

    本発明は、酵素調製物を得るための方法であって、本発明の宿主細胞を培養し、該細胞から該ポリペプチドを回収するか、または該培養培地から該細胞を分離して上清を得る工程を含む方法に関する。 また、上記方法により得ることができる酵素調製物も本発明の範囲内である。

    本発明は、本発明のセリンプロテアーゼ酵素を含む酵素調製物に関する。

    本発明はさらに、本発明のセリンプロテアーゼ酵素を含む組成物に関する。

    本発明のプロテアーゼ酵素を含む酵素調製物または組成物(例えば、洗浄剤製剤)は、プロテアーゼ(本発明以外の他のプロテアーゼ)、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼおよびオキシダーゼからなる群から選択される他の酵素をメディエーターと共にまたはメディエーターなしでならびに安定剤、バッファー、界面活性剤、漂白剤、メディエーター、防食剤、増進剤、再付着防止剤、光学的光沢剤、色素、顔料、香料、腐食剤、研磨剤および防腐剤などからなる群から選択される適当な添加物をさらに含み得る。

    生産宿主の消費された培養培地はそれ自体使用することができ、または該宿主細胞を除去され得、および/またはそれは濃縮、濾過または分画され得る。 それは、また、乾燥され得る。 本発明のセリンプロテアーゼ酵素を含む酵素調製物および組成物は、液体、粉末、粒状または錠剤の形態であり得る。 該酵素は、調製物または組成物において固定された形態であり得る。

    また、洗浄剤のための、繊維を処理するための、タンパク質性素材、例えば、羊毛、髪、革、絹を処理するための、食物または飼料を処理するための、またはタンパク質性素材の修飾、分解または除去を含むあらゆる適用のための、本発明のセリンプロテアーゼ酵素または酵素調製物の使用も本発明の範囲内である。 特に、該酵素または酵素調製物は、液体の洗浄剤、粉末の洗浄剤および錠剤の洗浄剤において洗浄剤添加物として有用である。

    図1(1Aおよび1B)は、マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子のヌクレオチド配列、その部分的なプロモーター(ATGの上流50ヌクレオチド)およびターミネーター配列(終始コドンの下流60ヌクレオチド)およびコードされたプロテアーゼの推定アミノ酸配列を示す。 シグナルP V3.0 プログラムにより分析される推定シグナルペプチドは、小文字であり、下線が引かれている。 プロ配列およびプロ配列の推定アミノ酸は小文字である。 成熟ヌクレオチドおよびペプチド配列は、大文字である。 3つの推定イントロン配列は、小文字のイタリック体であり、ヌクレオチド配列下で点線によりマークされている。 終始コドンは、配列下のアステリスクにより示されている。 マルブランケアALKO4178プロテアーゼ遺伝子のPCRクローニングにおいて使用されるプライマーDET27(5'−センスプライマー、s)およびDET28(3'−アンチセンスプライマー、as)の位置は二重線を引かれている。 図1Aは、マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子およびその部分的なプロモーターのヌクレオチド配列を示す。 プロテアーゼ遺伝子配列は、51からの960のヌクレオチドを含み、配列領域は、Met1からVal279のアミノ酸配列およびプロテアーゼのAla280の第1のコドンをコードする。 図1Bは、マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子およびその部分的なターミネーターのヌクレオチド配列を示す。 プロテアーゼ遺伝子配列は、961から1486(終始コドンTAAを含む)のヌクレオチドを含み、配列領域は、プロテアーゼのAla280(最後2つのコドン)からArg401のアミノ酸配列をコードする。

    図2は、pALK3097発現カセットを構築するための骨格として使用されるpALK2777プラスミドのマップを概略的に示す。 マルブランケアプロテアーゼ遺伝子を、cbh1(cel7A)プロモーター(SacII部位を介する正確な融合)とターミネーター配列(リンカーにおけるBamHI部位を介する)間に、SacII−BamHI開裂pALK2777にライゲートした。 より詳細について、実施例2参照。 pALK2777プラスミドは、形質転換体スクリーニングのための合成amdSマーカー遺伝子を含む。 pcbh1、cbh1プロモーター;tcbh1、cbh1ターミネーター;s_amdS、合成amdSマーカー遺伝子(cDNA);リンカー、例えばBamHI部位を含むリンカー配列。

    図3は、NotI消化によりベクター骨格から単離され、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)においてマルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子を発現するために使用されるpALK3097カセットを概略的に示す。 pcbh1、cbh1プロモーター;tcbh1、cbh1ターミネーター;s_amdS、合成amdSマーカー遺伝子(cDNA);リンカー、リンカー配列。

    図4は、12%のSDS PAGEゲルにおいて分析された部分的に精製された組換えタンパク質を示す。 レーン1. 部分的に精製されたマルブランケアプロテアーゼのサンプル、レーン2. MWマーカー(Page Ruler Unstained Protein Ladder, Fermentas)。

    図5(5Aおよび5B)は、異なる温度およびpH値での酵素の相対活性を示す。 図5Aは、30分の反応時間および基質としてカゼインを使用してpH8,5でアッセイされた組換えマルブランケアプロテアーゼおよびSavinase(登録商標)16Lの温度プロフィールを示す。 データ点は3つの異なる測定の平均である。 図5Bは、組換えMalbracheaプロテアーゼおよびSavinase(登録商標)16Lの活性におけるpHの影響を示す。 使用されるバッファーは40mMのBritton−Robinsonバッファーであり、カゼインは基質として使用され、反応時間は30分であり、反応温度は50℃であった。 データ点は3つの異なる測定の平均である。

    図6(6A、6B、6Cおよび6D)は、5g/lの濃度での市販の液体洗浄剤の存在下で60分間、約pH8、10−50℃で、血液/ミルク/インク汚点(Art.117, CO+PES, Serial No. 11-08, new batch, EMPA)での組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの汚点除去能力を示す。 市販のプロテアーゼ調製物Savinase(登録商標)16LおよびSavinase(登録商標)Ultra 16Lを比較のために使用した。 図6Aは、10℃での汚点除去能力を示す。 図6Bは、20℃での汚点除去能力を示す。 図6Cは、30℃での汚点除去能力を示す。 図6Dは、50℃での汚点除去能力を示す。

    図7(7A、7B、7Dおよび7C)は、5g/lの濃度での市販の液体洗浄剤の存在下で60分間、約pH8、10−50℃で、血液/ミルク/インク汚点(Art.117, CO+PES, Serial No. 10-07, old batch, EMPA)での組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの汚点除去能力を示す。 Savinase(登録商標)Ultra 16Lを比較のために使用した。 図7Aは、10℃での汚点除去能力を示す。 図7Bは、20℃での汚点除去能力を示す。 図7Cは、30℃での汚点除去能力を示す。 図7Dは、50℃での汚点除去能力を示す。

    図8(8A、8B、8Cおよび8D)は、5g/lの濃度での市販の液体洗浄剤の存在下で60分間、約pH8、10−50℃で、血液/ミルク/インク汚点(Art.117, CO+PES, Serial No. 11-08, new batch, EMPA)での組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの汚点除去能力を示す。 Savinase(登録商標)16LおよびSavinase(登録商標)Ultra 16Lを比較のために使用した。 図8Aは、10℃での汚点除去能力を示す(酵素量はタンパク質として計算した)。 図8Bは、20℃での汚点除去能力を示す(酵素量はタンパク質として計算した)。 図8Cは、30℃での汚点除去能力を示す(酵素量はタンパク質として計算した)。 図8Dは、50℃での汚点除去能力を示す(e酵素量はタンパク質として計算した)。

    図9(9A、9B、9C、9D、9E、9F、9Gおよび9H)は、5g/lの濃度での市販の液体洗浄剤の存在下で30および60℃で、60分間、約pH8で、Launder Ometer試験において種々の汚点に対する組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの能力を示す。 市販の調製物Savinase(登録商標)Ultra 16Lを比較のために使用した。 図9Aは、30℃で草、綿、Art.164(Serial No. 23-03)、EMPAの能力を示す。 図9Bは、60℃で草、綿、Art.164(Serial No. 23-03)、EMPAの能力を示す。 図9Cは、30℃で血液/ミルク/インク、綿、Art. 116(Serial No. 18-16)、EMPAの能力を示す。 図9Dは、60℃で血液/ミルク/インク、綿、Art. 116(Serial No. 18-16)、EMPAの能力を示す。 図9Eは、30℃で血液/ミルク/インク、CO+PES、Art. 117(Serial No. 11-08, new batch)、EMPAの能力を示す。 図9Fは、60℃で血液/ミルク/インク、CO+PES、Art. 117(Serial No. 11-08, new batch)、EMPAの能力を示す。 図9Gは、30℃で血液/ミルク/インク、CO+PES、Art. 117(Serial No. 10-07, old batch)、EMPAの能力を示す。 図9Hは、60℃で血液/ミルク/インク、CO+PES、Art. 117(Serial No. 10-07, old batch)、EMPAの能力を示す。

    図10(10Aおよび10B)は、洗浄剤粉末の存在下でプロテアーゼの能力を示す。 図10Aは、(実施例8に記載されている)5g/lの市販の従来の洗浄剤粉末の存在下で50℃、60分間、約pH10.5で、血液/ミルク/インク、CO+PES、Art. 117 (Serial No. 11-08)、EMPAに対する組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの能力を示す。 Savinase(登録商標)Ultra 16Lを比較のために使用した。 図10Bは、洗浄剤粉末Art. 601、EMPAの存在下で5g/l、50℃、60分間、約pH10で、血液/ミルク/インク、CO+PES、Art. 117(Serial No. 11-08)、EMPAに対する組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの能力を示す。 Savinase(登録商標)Ultra 16Lを比較のために使用した。

    図11(11Aおよび11B)は、37℃で保存中のプロテアーゼの安定性を示す。 図11Aは、Proxel LVまたはプロピレングリコール(PG)で保存/安定化されているとき、37℃で保存中の組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの安定性を示す。 図11Bは、Proxel LVまたはプロピレングリコールで保存/安定化されているとき、37℃で保存中の組換えプロテアーゼFe_RF6318(WO2010125174A1)の安定性を示す。

    図12(12Aおよび12B)は、洗浄剤におけるプロテアーゼの安定性を示す。 図12Aは、37℃で約pH7でEcolabel参照洗浄剤における組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの安定性を示す。 市販の調製物Savinase(登録商標)Ultra 16Lおよび組換えプロテアーゼFe_RF6318(WO2010125174A1)を比較のために使用した。 洗浄剤において使用される酵素調製物の量は、4%(w/w)であった。 図12Bは、37℃(約pH8)で市販の液体洗浄剤におけるマルブランケアALKO4122プロテアーゼの安定性を示す。 市販の調製物Savinase(登録商標)Ultra 16Lおよび組換えプロテアーゼFe_RF6318(WO2010125174A1)を比較のために使用した。 洗浄剤において使用される酵素調製物の量は、4%(w/w)であった。

    配列表配列番号:1 マルブランケアプロテアーゼプローブ合成のためのPCRにおいて使用されるDET1センスプライマーの配列。
    配列番号:2 マルブランケアプロテアーゼプローブ合成のためのPCRにおいて使用されるDET2センスプライマーの配列。
    配列番号:3 マルブランケアプロテアーゼプローブ合成のためのPCRにおいて使用されるDET3アンチセンスプライマーの配列。
    配列番号:4 マルブランケアプロテアーゼプローブ合成のためのPCRにおいて使用されるDET4アンチセンスプライマーの配列。
    配列番号:5 マルブランケアプロテアーゼプローブ合成のためのPCRにおいて使用されるDET5センスプライマーの配列。

    配列番号:6 DET1センスPCRプライマーの設計のために使用されるコンセンサスペプチド配列の配列。
    配列番号:7 DET2センスPCRプライマーの設計のために使用されるコンセンサスペプチド配列の配列。
    配列番号:8 DET3アンチセンスPCRプライマーの設計のために使用されるコンセンサスペプチド配列の配列。
    配列番号:9 DET4アンチセンスPCRプライマーの設計のために使用されるコンセンサスペプチド配列の配列。
    配列番号:10 DET5センスPCRプライマーの設計のために使用されるペプチド配列の配列。

    配列番号:11 PCR反応においてDET5およびDET4ならびに鋳型としてマルブランケアALKO4122 ゲノムDNAを使用して得られるPCRフラグメントの配列。 該フラグメントは、部分的なマルブランケアプロテアーゼ遺伝子を含み、プラスミドpALK3092における挿入物である。
    配列番号:12 PCR反応においてDET5およびDET4ならびに鋳型としてマルブランケア ALKO4178 ゲノムDNAを使用して得られるPCRフラグメントの配列。 該フラグメントは、部分的なマルブランケアプロテアーゼ遺伝子を含み、プラスミドpALK3093における挿入物である。
    配列番号:13 マルブランケアALKO4122プロテアーゼの全長アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列。 全長遺伝子は、プラスミドpALK3094に含まれる。 PCRによりマルブランケア ALKO4178からクローンされるプロテアーゼ遺伝子配列は、該配列と同一であった。
    配列番号:14 全長プロテアーゼのアミノ酸Met1からArg401を含むマルブランケアALKO4122プロテアーゼの全長アミノ酸配列。
    配列番号:15 マルブランケアALKO4122プロテアーゼのプロ酵素形態のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列。

    配列番号:16 全長プロテアーゼのアミノ酸Gly21からArg401を含むマルブランケアALKO4122プロテアーゼのプロ酵素形態のアミノ酸配列。
    配列番号:17 マルブランケアALKO4122プロテアーゼの成熟形態のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列。
    配列番号:18 全長酵素のアミノ酸Ala121からArg401を含むマルブランケアALKO4122プロテアーゼの成熟形態のアミノ酸配列。
    配列番号:19 マルブランケア ALKO4178プロテアーゼ遺伝子のクローニングのために使用されるPCRセンスプライマーDET27の配列。
    配列番号:20 マルブランケア ALKO4178プロテアーゼ遺伝子のクローニングのために使用されるPCRアンチセンスプライマーDET28の配列。
    配列番号:21 pALK3097における発現カセットの構築において使用されるPCRセンスプライマーDET17の配列。
    配列番号:22 pALK3097における発現カセットの構築において使用されるPCRアンチセンスプライマーDET18の配列。

    寄託 マルブランケアALKO4122は、2010年12月20日にCentraalbureau Voor Schimmelcultures at Uppsalalaan 8, 3508 AD, Utrecht, the Netherlandsで寄託され、受入番号CBS128533を割り当てられた。

    マルブランケア ALKO4178は、2011年1月5日にCentraalbureau Voor Schimmelcultures at Uppsalalaan 8, 3508 AD, Utrecht, the Netherlandsで寄託され、受入番号CBS128564を割り当てられた。

    プラスミドpALK3094を含む大腸菌株RF8791は、2010年12月20日にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ), Inhoffenstrasse 7 B, D-38124 Braunschweig, Germanyで寄託され、受入番号DSM24410を割り当てられた。

    プラスミドpALK3092を含む大腸菌株RF8758は、2010年1月3日にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ), Inhoffenstrasse 7 B, D-38124 Braunschweig, Germanyで寄託され、受入番号DSM24426を割り当てられた。

    プラスミドpALK3093を含む大腸菌株RF8759は、2010年1月3日にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ), Inhoffenstrasse 7 B, D-38124 Braunschweig, Germanyで寄託され、受入番号DSM24427を割り当てられた。

    詳細な説明 本発明は、真菌起源のセリンプロテアーゼ酵素を提供する。 該プロテアーゼは、広範なpH範囲で活性であり、洗浄において広範な最適温度、特に低い温度範囲ならびに中程度の温度および高い温度で良い能力を有する。 該酵素は、典型的な洗浄剤組成物に耐え、洗浄剤溶液において低い酵素レベルで有効であって、洗浄剤適用に理想的である。 特に、該プロテアーゼは適用温度0℃から−90℃からで活性であり、好ましい範囲は5℃から60℃、さらに好ましくは10℃から40℃である。 本発明のプロテアーゼはまた、液体洗浄剤組成物において高度に安定である。 したがって、本発明は、洗浄剤および他の適用、特に液体製剤における使用のための新規セリンプロテアーゼを提供する。 該真菌セリンプロテアーゼは、高収率の真菌宿主およびその下流処理、例えば、容易に行われる発酵培養液および菌糸の分離において生産することができる。

    特に、本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18に定義されているアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するアミノ酸配列を含むセリンプロテアーゼ酵素を提供する。 好ましくは、本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18に定義されているアミノ酸配列を含む真菌セリンプロテアーゼ酵素を提供する。 好ましいセリンプロテアーゼは、マルブランケア・シナモメア(Lib.) Oorschot de Hoog由来である。

    本発明との関連において、「セリンプロテアーゼ」または「セリンエンドペプチダーゼ」または「セリンエンドプロテイナーゼ」は、International Union of Biochemistry and Molecular Biologyの命名法によってEC 3.4.21として分類される酵素である。 プロテアーゼは、特定の阻害剤のグループを使用して分類することができる。 種々のセリンプロテアーゼ阻害剤のグループは、合成化学阻害剤および天然タンパク質阻害剤を含む。 したがって、セリンプロテアーゼ活性は、適当な条件下でセリンプロテアーゼの特定の阻害剤の存在または非存在下で、特定の基質の開裂に基づくアッセイまたは基質を含む任意のタンパク質を使用するアッセイにおいて測定することができる。

    本発明において使用される「セリンプロテアーゼ活性」なる用語は、基質、例えば、カゼイン、ヘモグロビンおよびBSAを含むタンパク質における加水分解活性を示す。 タンパク質分解活性を分析するための方法は、文献においてよく知られており、例えば、Guptaら (2002)において言及されている。

    該セリンプロテアーゼは、プレプロ酵素の形態における不活性な酵素前駆体または酵素前駆体として合成され、これはシグナル配列(分泌シグナルペプチドまたはプレペプチド)およびプロ配列(プロペプチド)の除去により活性化され、該酵素の活性な成熟形態を生じる(Chen and Inouye, 2008)。 この活性化プロセスはプロテアーゼの作用と関連し、例えば、生産の翻訳後段階中または消費された培養培地中または培養培地もしくは酵素調製物の保存中に、セリンプロテアーゼの限定された自己消化または自己触媒プロセスをもたらし得る。 プロ酵素の活性化はまた、不活性なプロ酵素を活性な成熟酵素に変換することができるタンパク質分解酵素を宿主生物の培養中または培養後の培養培地に加えることによりなし遂げられ得る。 該酵素の短縮は、また、例えば、該ポリペプチドをコードする遺伝子で生産宿主を形質転換する前に切断することにより成し遂げることができる。 本発明におけるセリンプロテアーゼの「プレプロ型」は、プレペプチドおよびプロペプチドを含む酵素を意味する。 「プロ型」は、プロペプチドを含むが、プレペプチド(シグナル配列)を欠いている酵素を意味する。

    「成熟」なる用語は、シグナル配列(プレペプチド)およびプロペプチドの除去後に、酵素または触媒活性のために重要なアミノ酸を含むセリンプロテアーゼ酵素の形態を意味する。 糸状菌において、それは、培養培地に分泌される天然形態である。 成熟配列の第1のアミノ酸は、分泌プロテアーゼのN−末端シーケンシングにより決定することができる。 生化学的データが利用できない場合、N−末端の位置は、アミノ酸配列を同種タンパク質の成熟アミノ酸配列とアラインすることにより評価することができる。 アラインメントは、例えば、ClustalW2アラインメント(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/)を使用して行うことができる。

    最大の市販のセリンプロテアーゼは「アルカリ性セリンプロテアーゼ」であり、これは、pH9からpH11またはさらにpH10から12.5で活性および安定であり(Shimogakiら 1991)、約pH9で等電点を有する酵素を意味する。 触媒活性の最適pHの決定は、タンパク質基質の活性にしたがって、異なるpH値で適当なバッファーで実施することができる。 一般的に、洗浄剤プロテアーゼは、機能する洗浄剤溶液のpH値が酵素に対するpI値とほぼ同じであるとき、最もよい。 pIは、ポリアクリルアミド、デンプンまたはアガロースから成る固定化されたpH勾配ゲルにおける等電点電気泳動、またはアミノ酸配列からpIを概算することにより、例えば、ExPASyサーバー( http://expasy.org/tools/pi_tool.html ; Gasteigerら 2003)のpI/MWツールを使用することにより決定することができる。

    成熟アルカリ性セリンプロテアーゼの分子量は、15から35kDa、一般的に約25から30kDaの範囲である(Raoら 1998)。 セリンプロテアーゼの分子量は、質量分析により、またはLaemmli (1970)にしたがってSDS−PAGEにおいて決定することができる。 分子量はまた、酵素のアミノ酸配列から予測することができる。

    天然セリンプロテアーゼの最適温度は、約60℃である(Raoら 1998)。 セリンプロテアーゼの最適温度は、実施例3に記載されているカゼイン基質を有する異なる温度で適当なバッファーにおいて、または文献(Guptaら 2002)に記載されている他の基質およびバッファー系を使用することにより決定することができる。

    本発明の成熟組換えマルブランケアセリンプロテアーゼは、30分の反応時間および基質としてカゼインを使用してpH8,5で約70℃の最適温度で約29kDaの分子量を有し、30分の反応時間および基質としてカゼインを使用して50℃でアルカリpH範囲、例えばpH10で活性である。 組換えマルブランケアセリンプロテアーゼは、広範な温度範囲、すなわち低温から中程度の温度、さらに高温で、高度に種々の特性を有する洗浄剤の存在下で良い能力を有する。 組換えマルブランケアセリンプロテアーゼは、洗浄条件ならびに洗浄剤における補助成分および添加剤に依存して、60℃以下の温度で特に有用である。

    種々の産業適用、例えば洗浄剤におけるマルブランケアセリンプロテアーゼの能力を改良するために、天然酵素の特性を改良することが望ましい。 これらの特性は、例えば保存安定性、洗浄剤の存在または非存在下での安定性、pH安定性、漂白剤に対する酸化安定性または耐性および基質特異性を含む。 酵素の自己タンパク質分解活性は保存安定性に対する効果を有し、それはできる限り低いべきである。 例えば洗濯洗浄剤および食器洗浄組成物において、修飾プロテアーゼの洗浄能力は、親または前駆体プロテアーゼ酵素と比較して減少しないはずであることも自明である。 言い換えれば、酵素変異体が、親セリンプロテアーゼと比較したとき、同様の、またはより改良された洗浄能力および汚点除去特性を有することが望ましい。

    生産されたプロテアーゼ酵素、特にセリンプロテアーゼは、酵素化学の慣用の方法、例えば、塩調製、限外ろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過および疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用することにより精製することができる。 精製は、タンパク質定量、酵素活性アッセイおよびSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によりモニタリングすることができる。 種々の温度およびpH値での精製された酵素の酵素活性および安定性ならびに分子量および等電点を、決定することができる。

    本発明の組換えセリンプロテアーゼの精製は、実施例4において証明されている。 遠心され、濾過された培養上清を、20mMのMES pH5,3において平衡化されたHiPrep 26/10脱塩カラム(GE Healthcareからの)に付した。 ゲル濾過されたサンプルを、20mMのMES pH5.3で平衡化された1mLのS セファロース HP カラム(GE Healthcareからの)に付した。 タンパク質を、増加NaCl勾配(0,5M)を使用して溶離した。 プロテアーゼを含む画分を貯め、Amicon Ultra-4 10,000 CO Centrifugal filter devices MILLIPOREを使用して濃縮した。 サンプルを、20mMのMES、150mMのNaCl pH5.3で平衡化されたSuperdex 75 ゲル濾過カラムを使用してさらに精製した。 プロテアーゼを含む画分を貯めた。 最終サンプルを、図4のSDS PAGEゲル上で分析した。 当然、本明細書に記載されている方法の代わりに、または、該方法に加えて他の既知の精製方法を使用することにより、本発明の酵素を分離することができる。 組換えセリンプロテアーゼを実施例4において記載されているとおりに精製し、実施例5において記載されているpHおよび温度プロフィールの特徴付けのために使用した。

    プロテアーゼ活性は、一般的に可溶性基質の分解に基づく。 洗浄剤適用において、プロテアーゼは、少なくとも部分的に不溶性である物質に影響を与えるべきである。 したがって、洗浄剤プロテアーゼのための重要なパラメーターは、これらの不溶性フラグメントを吸収および加水分解する能力である。

    本発明のセリンプロテアーゼ酵素は、細菌、古細菌、真菌、酵母菌およびより高等な真核生物、例えば、植物を含むあらゆる生物由来であり得る。 好ましくは、該酵素は、糸状菌および酵母菌を含む真菌、例えば、マルブランケアを含む群から選択される属から生じる。 好ましくは、該酵素は、糸状菌および酵母菌を含む真菌、例えば、フザリウムを含む群から選択される属から生じる。 真菌アルカリプロテアーゼは、微生物非含有酵素または酵素組成物を生産するための下流処理の容易さのため細菌プロテアーゼに有利である。 菌糸体は、酵素の精製の前に濾過技術を介して容易に除去することができる。

    本発明の真菌発酵産物の穏やかな臭い(odor)は、一般的に不快臭を有するBacillus由来産物を超える利点である。 したがって、臭いを覆うために最終組成物に対して必要である香り(perfume)がより少なくてよく、これは、該生成物を香りの使用が望ましくない適用のためにも適切にさせる。

    本発明は、広範、すなわち0℃から90℃の低い温度から中程度の温度範囲、好ましくは5℃から60℃の温度範囲、特に好ましくは10℃から40℃の温度範囲で、非常に様々な特性を有する洗浄剤の存在下で良い能力を有する真菌セリンプロテアーゼに関する。

    本発明において、洗浄剤の存在下で良い能力は、本発明の組換え真菌セリンプロテアーゼの場合において、酵素が多数の市販のサブチリシンよりも低い温度で機能することを意味する。 言い換えれば、良い能力は、酵素が低い温度から中程度の温度範囲、とりわけ現在市販のサブチリシン製品、例えば、市販のサブチリシン酵素生成物Savinase(登録商標)またはSavinase(登録商標)Ultra 16L(Novozymes A/S, DK)よりも低い温度範囲でタンパク質性汚点または物質を分解または除去することができることを意味する。

    本発明の真菌セリンプロテアーゼは、洗浄条件ならびに洗浄剤における補助成分および添加物に依存して、60℃以下の温度で特に有用である。 該酵素はまた、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下および10℃以下の温度でも機能する。 約70℃の最適温度を有する好熱性酵素が40℃未満の温度で、さらに30℃未満の温度で有効かつ有用であることは、特に驚くことである。

    洗浄剤の存在下、本発明の真菌セリンプロテアーゼは、上記定義のとおりの温度で機能し、特に、該真菌セリンプロテアーゼは、40℃以下で洗浄剤の存在下で良い能力を有する。 deltaL*として測定される、種々の株における種々の試験条件下でマルブランケアからの真菌セリンプロテアーゼの汚点除去能力は、市販の製品、Savinase(登録商標)およびSavinase(登録商標)Ultra 16L(Novozymes A/S, DK)の能力よりもはるかに良い結果は、実施例6から8および図6から10に示される。

    本発明の好ましい態様において、組換え真菌セリンプロテアーゼ酵素は、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18に定義されている成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼのアミノ酸配列または配列番号:18に定義されている成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼのアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。 好ましい酵素は、少なくとも66%、好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも80%同一性を示す。 さらにより好ましくは、該アミノ酸配列は、配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも85%または少なくとも90%または95%、さらに好ましくは少なくとも98%、より好ましくは99%同一性を示す。 適当には、酵素の同一性は、対応する成熟配列領域を使用して比較する。

    本発明のセリンプロテアーゼは、EC3.4.21のメンバーであるマルブランケア、好ましくはマルブランケア・シナモメア(Lib.) Oorschot de Hoog(マルブランケア プルチェラ var. サルフレア (Miehe) Cooney & R. Emers.の同義語)から誘導できる。 特に好ましい態様において、本発明のセリンプロテアーゼ酵素は、受入番号CBS128533の下に寄託されているマルブランケアALKO4122株または受入番号CBS128564の下に寄託されている株マルブランケアALKO4178から誘導できる。 マルブランケアALKO4178のプロテアーゼは、マルブランケアALKO4122株のプロテアーゼと本質的に同一である。

    「同一性」なる用語は、本明細書において、ほぼ同じ量のアミノ酸を有する対応する配列領域内で互いに比較される2つのアミノ酸配列間の同一性を意味する。 例えば、2つのアミノ酸配列の全長または成熟配列の同一性が比較され得る。 比較されるべき2つの分子のアミノ酸配列は、1つ以上の位置で異なっていてもよいが、しかしながら、分子の生物学的機能または構造は変化していない。 このような変化は、アミノ酸配列における異なる宿主生物または変異のために自然に起こり得るか、特異的変異誘発により達成され得る。 本発明は、アミノ酸配列における1つ以上の位置の欠失、置換、挿入、付加または組合せから生じ得る。 配列の同一性は、デフォルト設定(Protein Weight Matrix: Gonnet、ギャップオープン:10、ギャップ伸長:0.20、ギャップ距離5)でClustalW2 アラインメント( http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/ )を使用することにより測定される。

    本発明の1つの好ましい態様は、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18に定義されているマルブランケアALKO4122プロテアーゼのアミノ酸配列を含む成熟真菌セリンプロテアーゼ酵素である。 成熟酵素は、シグナル配列またはプレペプチドおよびプロ配列またはプロペプチドを欠く。 本発明の成熟セリンプロテアーゼは、配列番号:14に特徴付けられる全長プロテアーゼのアミノ酸Ala121からArg401を含む。 したがって、また、シグナル配列(プレペプチド)およびプロペプチドを含む配列番号:14を有する全長マルブランケアALKO4122プロテアーゼ酵素ならびにシグナル配列(プレペプチド)を欠いており、したがって配列番号:16を有するプロ酵素形態も本発明の範囲内である。

    本発明は、成熟形態が20から35kDa、好ましくは25から33kDa、より好ましくは28から30kDaの分子量または分子重量を有する真菌セリンプロテアーゼ酵素に関する。 最も好ましいMWは、ExPASy serverでのCompute pI/MWツールを使用することにより得られる成熟ポリペプチドに対して29kDaの予測される分子量である(Gasteigerら 2003)。

    本発明の酵素は、広範な温度範囲でタンパク質性素材の分解において有効である。 真菌セリンプロテアーゼは、実施例5において記載されている30分の反応時間および基質としてカゼインを使用するpH8.5で測定されるとき、30℃から80℃(最大活性の少なくとも約10%)、好ましくは40℃から80℃(最大活性の少なくとも約20%)、さらに好ましくは50℃から80℃(最大活性の少なくとも約40%)、より好ましくは60℃から80℃(最大活性の少なくとも約65%)の範囲において最適温度、70℃で最大活性を有する。

    該酵素は、実施例5において記載されている30分の反応時間および基質としてカゼインを使用して、50℃でpH6から少なくともpH10の範囲において最適pHを有する。 特に、最適pHは、pH6からpH10(最大活性の少なくとも約60%)、さらに好ましくはpH9からpH10(最大活性の少なくとも約70%)、より好ましくは約pH10である。

    本発明のセリンプロテアーゼ、適当には真菌セリンプロテアーゼは、「洗浄剤の存在下で良い能力」を有する、すなわち低い温度範囲、具体的には、現在市販のサブチリシン製品、例えば、市販の酵素生成物Savinase(登録商標)またはSavinase(登録商標)Ultra 16L(Novozymes A/S, DK)よりも低い温度範囲で、洗浄剤の存在下でタンパク質性汚点または物質を分解または除去することができる。 洗浄剤の存在下で、本発明の酵素は、5℃から60℃、好ましくは50℃以下でよく機能する。 酵素はまた、40℃以下、または30℃以下の温度において機能する。

    本発明の好ましい態様において、真菌セリンプロテアーゼ酵素は、受入番号DSM24426の下にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ)で寄託されている、大腸菌RF8758において配列番号:11のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3092において含まれているポリヌクレオチドまたはプローブにストリンジェント条件下でハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチド配列によってコードされる。

    同様に、本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素(マルブランケアALKO4178から得られる)は、受入番号DSM24427の下に大腸菌RF8759において寄託されている、配列番号:12のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3093において含まれているポリヌクレオチド配列にストリンジェント条件下でハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチド配列によってコードされる。

    さらに、本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素は、受入番号DSM24410の下に大腸菌RF8791において寄託されている、配列番号:17のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3094において含まれているポリヌクレオチド配列にストリンジェント条件下でハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチド配列によってコードされる。

    本発明において、マルブランケアプロテアーゼ遺伝子は、実施例1dにおいて記載されているストリンジェントハイブリダイゼーションを使用するPCRにより調製されるプローブで単離される。 標準分子生物学方法、例えば、分子生物学ハンドブック、例えば、Sambrook and Russell, 2001において記載されている方法を、宿主生物のcDNAまたはゲノムDNAの単離において使用することができる。

    100−200以上のヌクレオチドからなるDNAプローブ、例えば、配列番号:11、配列番号:12または配列番号:17とのハイブリダイゼーションは、通常、「高ストリンジェンシー」条件で、すなわち完全ハイブリッドの計算される融解温度(Tm)未満の20−25℃である温度でのハイブリダイゼーションを行う(Tmは、Bolton and McCarthy (1962)にしたがって計算される)。 通常、プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションは、少なくとも65℃で6×SSC(または6×SSPE)、5×Denhardt試薬、0.5%(w/v)のSDS、100μg/mlの変性された、断片化されたサケ精子DNA中で行われる。 50%のホルムアミドの添加は、プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション温度を42℃まで下げる。 洗浄は、低い塩濃度、例えば、2×SSC−0.5%のSDS(w/v)で15分間、室温(RT)で、次に2×SSC−0.1%のSDS(w/v)でRTで、最後に0.1×SSC−0.1%のSDS(w/v)で少なくとも65℃で、または実施例1dに記載されている条件下で行われる。

    1つの好ましい態様において、本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素は、配列番号:18に特徴付けられるアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも66%同一性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸分子によってコードされる。 好ましい酵素は、少なくとも66%、好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも75%、よりさらに好ましくは少なくとも80%同一性を示す。 よりさらに好ましくは、アミノ酸配列は、配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも85%または少なくとも90%または95%、さらに好ましくは少なくとも98%、より好ましくは99%同一性を示す。 酵素の同一性は、対応する成熟配列領域を使用して比較される。

    したがって、酵素の成熟形態に加えてプレペプチド(シグナル配列)およびプロペプチドを含む本発明の全長セリンプロテアーゼのアミノ酸配列をコードする核酸分子によってコードされ、配列番号:14に特徴付けられるポリペプチド配列は、本発明の範囲内である。

    また、酵素の成熟形態に加えてプロペプチドを含む本発明のセリンプロテアーゼ酵素のプロペプチド形態をコードする核酸分子によってコードされ、配列番号:16に特徴付けられるポリペプチド配列も、本発明の範囲内である。

    本発明の1つの好ましい態様は、配列番号:18を有するマルブランケアALKO4122 セリンプロテアーゼの成熟形態をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子によってコードされる真菌セリンプロテアーゼ酵素である。

    1つの好ましい態様において、本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素は、マルブランケアALKO4122酵素の成熟形態(配列番号:18)をコードする配列番号:17のヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子によってコードされる。

    したがって、酵素に対する「コード配列」を含む配列番号:13のヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされるポリペプチドは、本発明の範囲内である。 「コード配列」なる表現は、翻訳開始コドン(ATG)から始まり、翻訳終始コドン(TAA、タグまたはTGA)で停止するヌクレオチド配列を意味する。 翻訳された全長ポリペプチドは通常メチオニンで開始し、イントロン領域を含み得る。

    また、マルブランケアALKO4122プロ酵素形態をコードする配列番号:15のヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされる真菌セリンプロテアーゼ酵素は、本発明の範囲内である。

    本発明の別の好ましい態様において、真菌セリンプロテアーゼは、受入番号DSM24410の下に寄託されている大腸菌RF8791における配列番号:13のヌクレオチド配列を含むプラスミドpALK3094に含まれるポリヌクレオチド配列によってコードされる。

    本発明の1つの態様は、適当な宿主における該セリンプロテアーゼ酵素の発現を指示することができる調節配列に作動可能に連結した上記特徴付けられた真菌セリンプロテアーゼ酵素をコードする、核酸分子を含む組換え発現ベクターから生産されるセリンプロテアーゼ酵素である。 該組換え発現ベクターの構築および該ベクターの使用は、実施例2に詳細に記載されている。

    真菌セリンプロテアーゼ酵素の生産のために適当な宿主は、同種または異種宿主、例えば、細菌、酵母菌および真菌を含む微生物宿主である。 糸状菌、例えば、トリコデルマ、アスペルギルス、フザリウム、フミコーラ、クリソスポリウム、アカパンカビ、クモノスカビ、ペニシリウム、マイセリオフトーラおよびモルティエラは、酵素生成物の下流処理および回収の容易さにより好ましい生産宿主である。 適当な宿主は、トリコデルマ・リーゼイ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・ソーエ、アスペルギルス・アワモリまたはアスペルギルス・ジャポニクス、フザリウム・ベネナツムまたはフザリウム・オキシスポルム、フミコーラ・インソレンスまたはフミコーラ・ラヌギノサ、ニューロスポラ・クラッサおよびクリソスポリウム・ルクノウェンセのような種を含み、これらのいくつかは例えば、市販の酵素のAMFEP 2009リスト(http://www.amfep.org/list.html)において酵素生産宿主生物として挙げられている。 より好ましくは、該酵素は、属トリコデルマまたはアスペルギルス、例えば、トリコデルマ・リーゼイまたはアスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリザエまたはアスペルギルス・アワモリの糸状菌宿主において生産される。 本発明の最も好ましい態様において、真菌セリンプロテアーゼ酵素は、トリコデルマ・リーゼイにおいて生産される。

    本発明はまた:
    (g)セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18において記載されているアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子;
    (h)セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18のアミノ酸配列と少なくとも66%の同一性を含むポリペプチドをコードする核酸分子;
    (i)配列番号:17において記載されているヌクレオチド配列のコード配列を含む核酸分子;
    (j)DSM24410に含まれるポリヌクレオチド配列のコード配列を含む核酸分子;
    (k)遺伝子コードの縮重によって、(c)から(d)のいずれか1つの核酸分子のコード配列と異なるコード配列を含む核酸分子;および(l)DSM24426に含まれる核酸分子、または、セリンプロテアーゼ活性を有し、配列番号:18において記載されているアミノ酸配列と少なくとも66%の同一性を示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列番号:17に対し、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む核酸分子からなる群から選択されるセリンプロテアーゼ酵素をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子に関する。

    本発明の核酸分子はRNAまたはDNAであってよく、DNAはゲノムDNAまたはcDNAを構成し得る。

    標準分子生物学方法は、本発明の真菌セリンプロテアーゼをコードするポリヌクレオチド配列の単離および酵素処理、例えば、ゲノムおよびプラスミドDNAの単離、DNAフラグメントを生産するためのDNAの消化、配列決定、大腸菌形質転換などにおいて使用することができる。 基本的な方法は、標準分子生物学ハンドブック、例えば、Sambrook and Russell, 2001に記載されている。

    マルブランケアALKO4122ポリペプチドをコードするマルブランケアプロテアーゼ遺伝子の単離は、実施例1に記載されている。 簡潔には、PCR反応において縮重オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号:5および配列番号:4)を使用することにより得られるPCRフラグメントを使用して、マルブランケアALKO4122からプロテアーゼ遺伝子を単離した。 プロテアーゼ遺伝子を含むゲノムフラグメントを、pBluescript II KS+ ベクターにライゲートした。 全長マルブランケアプロテアーゼ遺伝子は、受入番号DSM24410の下にDSMZカルチャー・コレクションに大腸菌において寄託されているプラスミドpALK3094に含まれていた。 セリンプロテアーゼの推定アミノ酸配列をDNA配列から分析した。

    マルブランケアALKO4122プロテアーゼのヌクレオチド配列(配列番号:13)、その部分的なプロモーターおよびターミネーター配列および推定アミノ酸配列(配列番号:14)を図1A−Bに記載する。 該遺伝子の長さは1436bp(終始コドンを含む)である。 3つの推定イントロンは、72、87および71bpの長さを有することを見出した。 推定タンパク質配列は、20個のアミノ酸の予測されるシグナル配列(シグナルP V3.0;Nielsenら 1997 and Nielsen and Krogh, 1998)およびGly21からAsp120の予測されるプロペプチドを含む401個のアミノ酸からなる。 予測される分子量は、成熟ポリペプチドに対して28.5kDaであり、予測されるpIは6.15であった。 これらの予測は、ExPASyサーバーでのCompute pI/MWツール(Gasteigerら 2003)を使用して作成された。 推定アミノ酸配列は、3つの起こりうるN−グリコシル化部位(Asn134、Asn172およびAsn277)を含んだが、CBS Server NetNGlyc V1.0によると、Asn134およびAsn277の2つの部位のみが有望である。 公開されているプロテアーゼ配列に対する相同性を、NCBI(全米バイオテクノロジー情報センター)でのBLASTPプログラム、バージョン2.2.25を使用して検索した(Altschulら 1990)。 同種配列の対応する領域に対する成熟マルブランケアプロテアーゼ配列の同一性値を、ClustalW2 アラインメント(Matrix: Gonnet、ギャップオープン:10、ギャップ伸長:0.20、ギャップ距離5;例えばwww.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/において利用できる)を使用することにより得た。 結果は表2に示されている。

    本発明の成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼ(配列番号:18)に対してBLASTPサーチから得られた最も高い同一性値は、以下のとおりであった:コクシジオイデス・ポサダシ(Coccidioides posadasii)推定サブチリシン様プロテアーゼ(EER24932.1)およびコクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)仮説的タンパク質CIMG_09197(XP_001239485.1)に対して66%、ウンシノカルプス・レッシイ(Uncinocarpus reesii)仮説的タンパク質UREG_05170(EEP80328.1)に対して65%、コクシジオイデス・イミチス仮説的タンパク質CIMB_01394(XP_001247623.1)、コクシジオイデス・ポサダシ推定サブチリシン様プロテアーゼ(EER23662.1)、ウンシノカルプス・レッシイ仮説的タンパク質(EEP81307.1)およびアルスロデルマ・オタエ(Arthroderma otae)アルカリプロテイナーゼ(EEQ28657.1)に対して64%。 特許課における配列に対して最も高い同一性は、US5962765における配列番号:2(AAE30270.1;メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)からのプロテアーゼ)およびWO8807581における配列番号:15(AAA54276.1;トリチラキウム・アルブム(Tritirachium album)からのプロテアーゼ)に対して55%であった。 成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼ配列(配列番号:18)を、ClustalW2アラインメントを使用して、上記同種配列の成熟配列とアラインした。 得られるClustalW2 アラインメント(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/)を使用することにより得られた同一性値(スコア%)は、63%−65%であった。

    したがって、配列番号:18、15に特徴付けられるマルブランケアALKO4122酵素の成熟形態のアミノ酸配列、すなわち配列番号:14の全長セリンプロテアーゼのAla121からArg401のアミノ酸を含む真菌セリンプロテアーゼ酵素またはポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列または単離された核酸分子は、本発明の範囲内である。

    核酸分子は、好ましくは、本発明の真菌セリンプロテアーゼ酵素の成熟形態をコードする、配列番号:17において記載されているコード配列を含む分子である。

    本発明の単離された核酸分子は、DSM24410、DSM24426またはDSM24427に含まれるポリヌクレオチド配列のコード配列を含む分子であり得る。 DSM24426は、全長マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子のクローニングにおいて使用されるPCRフラグメントのヌクレオチド配列(配列番号:11)を有する。 DSM24427は、マルブランケアALKO4178から得られるPCRフラグメントのヌクレオチド配列(配列番号:12)を有する。 DSM24410は、全長マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号:13)を有する。

    本発明の核酸分子は、また、上記に特徴付けられるヌクレオチド配列の類似体であり得る。 「縮重」は、1つ以上のヌクレオチドまたはコドンが異なっているが、本発明の組換えプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列の類似体を意味する。

    核酸分子はまた、受入番号DSM24426およびDSM24427の下にそれぞれ大腸菌において寄託されているプラスミドpALK3092またはpALK3093に含まれているPCRプローブ、または、セリンプロテアーゼ活性を有する成熟ポリペプチドおよびアミノ酸配列をコードする配列番号:17のDNA配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子であり得る。 ハイブリダイズするDNAは、種マルブランケアに属する真菌に由来し得るか、または、それは、他の真菌種に由来し得る。

    したがって、配列番号:17において記載されているヌクレオチド配列およびその類似体を含む単離された核酸分子は、本発明の範囲内である。

    本発明はまた、適当な原核生物または真核生物宿主において選択されたセリンプロテアーゼをコードする核酸配列を増殖または発現させるために使用することができる組換え発現ベクターまたは組換え発現構築物に関する。 組換え発現ベクターは、適当な宿主においてセリンプロテアーゼのコード配列の発現および分泌を促進または指示するDNAまたは核酸配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター(転写および翻訳終結シグナルを含む)、および該セリンプロテアーゼをコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結したシグナル配列を含む。 発現ベクターは、形質転換体株の選択のためのマーカー遺伝子をさらに含み得るか、または選択マーカーは、共形質転換により別のベクター構築物において宿主に導入され得る。 該調節配列は生産生物と同種または異種であってよく、または、それらはセリンプロテアーゼをコードする遺伝子が単離される生物由来であり得る。

    糸状菌宿主において本発明のセリンプロテアーゼを発現するためのプロモーターの例は、アスペルギルス・オリザエ TAKAアミラーゼ、アルカリプロテアーゼ ALPおよびトリオースリン酸イソメラーゼ、リゾプス・ミエハイ リパーゼ、アスペルギルス・ニガーまたはアスペルギルス・アワモリ グルコアミラーゼ(glaA)、フザリウム・オキシスポルム トリプシン様プロテアーゼ、クリソスポリウム・ルクノウェンセ セロビオヒドロラーゼ1プロモーター、トリコデルマ・リーゼイ セロビオヒドロラーゼI(Cel7A)などのプロモーターである。

    酵母菌において、例えば、サッカロミセス・セレビシエ エノラーゼ(ENO−1)、ガラクトキナーゼ(GAL1)、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH2)および3−ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーターを、発現を提供するために使用することができる。

    細菌宿主において本発明のセリンプロテアーゼの転写を指示するためのプロモーター配列の例は、大腸菌のlacオペロンのプロモーター、ストレプトマイセス・セリカラー アガラーゼdagAのプロモーター、バチルス・リケニフォルミス アルファ−アミラーゼ遺伝子(amyL)のプロモーター、バチルス・ステアロサーモフィルス マルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモーター、バチルス・サブティリス xylAおよびxylB遺伝子のプロモーターなどである。

    適当なターミネーターは、上記遺伝子のもの、または他の特徴付けられたあらゆるターミネーター配列を含む。

    適当な形質転換または選択マーカーは、宿主の欠損を補うもの、例えば、バチルス・サブティリスまたはバチルス・リケニフォルミス由来のdal遺伝子またはアスペルギルス amdSおよびniaDを含む。 選択は、また、抗生物質耐性、例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、フレオマイシンまたはハイグロマイシン耐性を与えるマーカーに基づき得る。

    本発明のセリンプロテアーゼの細胞外発現が好ましい。 したがって、組換えベクターは、選択された宿主において分泌を促進する配列を含む。 本発明のセリンプロテアーゼのシグナル配列またはプレ配列またはプレペプチドは、組換え発現ベクターに含まれていてもよく、または、天然シグナル配列は、選択された宿主において発現を促進することができる別のシグナル配列で置換され得る。 したがって、選択されたシグナル配列は、発現宿主に対して同種または異種であり得る。 また、天然プロペプチドは、別のプロペプチドと置き換えられ得る。 プロペプチドは、発現宿主と同種または異種であってよい。

    適当なシグナル配列の例は、真菌または酵母菌生物のもの、例えば、よく発現される遺伝子由来のシグナル配列である。 このようなシグナル配列は、文献からよく知られている。

    組換えベクターは、安定な発現をもたらすために、および/または宿主ゲノムにおける特定の位置への標的化を促進するために、宿主染色体DNAへのベクターの統合を促進する配列をさらに含み得る。

    それ自体のシグナル配列を有する本発明のマルブランケアALKO4122プロテアーゼは、実施例2に記載されているトリコデルマ・リーゼイ cbh1(cel7A)プロモーターから発現された由来の自らのシグナル配列で発現された。 トリコデルマ・リーゼイ宿主を形質転換するために使用された発現構築物はまた、形質転換されていない細胞から形質転換体を選択するためにcbh1ターミネーターおよび合成amdSマーカーを含んだ。

    本発明はまた、上記組換え発現ベクターを含む宿主細胞に関する。 真菌セリンプロテアーゼ酵素の生産のための適当な宿主は、同種または異種宿主、例えば、細菌、酵母菌および真菌を含む微生物宿主である。 植物または哺乳動物細胞における生産系も可能である。

    糸状菌、例えば、トリコデルマ、アスペルギルス、フザリウム、フミコーラ、クリソスポリウム、アカパンカビ、クモノスカビ、ペニシリウム、マイセリオフトーラおよびモルティエラは、酵素生成物の下流処理および回収の容易さによって好ましい生産宿主である。 適当な発現および生産宿主系は、例えば、糸状菌宿主トリコデルマ・リーゼイ(EP244234)、またはアスペルギルス生産系、例えば、アスペルギルス・オリザエまたはアスペルギルス・ニガー(WO9708325、US5,843,745、US5,770,418)、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・ソーエおよびアスペルギルス・ジャポニクス型株のために開発された生産系、またはフザリウム、例えば、フザリウム・オキシスポルム(Malardierら 1989)またはフザリウム・ベネナツム、およびアカパンカビ、リゾプス・ミエハイ、モルティエラ・アルピナ、フミコーラ・ラヌギノサまたはフミコーラ・インソレンスまたはクリソスポリウム・ルクノウェンセ(US6,573,086)のために開発された生産系である。 酵母菌のために開発された適当な生産系は、サッカロミセス、シゾサッカロミセスまたはメタノール資化酵母のために開発された系である。 細菌のために開発された適当な生産系は、バチルス、例えば、バチルス・サブティリス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミロリクエファシエンス、大腸菌、または放線菌のストレプトマイのために開発された生産系である。 好ましくは、本発明のセリンプロテアーゼは、属トリコデルマまたはアスペルギルス、例えば、トリコデルマ・リーゼイ、またはアスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・ソーエ、アスペルギルス・アワモリまたはアスペルギルス・ジャポニクス型株の糸状菌宿主において生産される。 本発明の最も好ましい態様において、真菌セリンプロテアーゼ酵素は、トリコデルマ・リーゼイにおいて生産される。

    本発明はまた、セリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチドを生産するための方法であって、適当な条件下で本発明のセリンプロテアーゼに対する組換え発現ベクターを有する天然または組換え宿主細胞を培養する工程、所望により該酵素を単離する工程を含む方法に関する。 生産培地は、宿主生物を増殖するために適当であり、効率的な発現のための誘導物質を含む培地であり得る。 適当な培地は、文献からよく知られている。

    本発明は、本発明の核酸分子によってコードされ、上記方法により得ることができるセリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチドに関する。

    本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有するポリペプチドを含む酵素調製物を得るための方法であって、本発明の発現ベクターを含む宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを該細胞から回収するか、または該培養培地から該細胞を分離してセリンプロテアーゼ活性を有する上清を得るのいずれかの工程を含む方法にさらに関する。

    本発明はまた、上記特徴付けられたセリンプロテアーゼ酵素を含む酵素調製物に関する。 該酵素調製物または組成物は、セリンプロテアーゼ活性を有し、本発明の方法により得ることができる。

    本発明のセリンプロテアーゼを含む酵素調製物ならびに組成物は、本発明の範囲内である。

    本発明のプロテアーゼ酵素を含む酵素調製物または組成物(例えば、洗浄剤製剤)は、プロテアーゼ(本発明のもの以外のプロテアーゼ)、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼおよびオキシダーゼ、例えば、ラッカーゼまたはペルオキシダーゼからなる群から選択される他の酵素をメディエーターと共にまたはメディエーターなしでさらに含み得る。 これらの酵素は、例えば、処理されるべき材料に存在する炭水化物および油または脂肪を除去することにより、本発明のセリンプロテアーゼの能力を増強することが予期される。 該酵素は、宿主株により生産される天然または組換え酵素であり得、または生産プロセス後に培養上清に加えられ得る。

    該酵素調製物または組成物は、界面活性剤または表面活性剤、バッファー、防食剤、安定剤、漂白剤、メディエーター、増進剤、腐食剤、研磨剤および防腐剤、光学的光沢剤、再付着防止剤、色素、顔料、香料などからなる群から選択される1つ以上の適当な添加物をさらに含み得る。

    界面活性剤は、油脂を乳状化すること、および表面を湿らせることにおいて有用である。 界面活性剤は、非イオン、例えば、半極性および/または陰イオンおよび/または陽イオンおよび/または双性イオンであり得る。

    バッファーは、pHを調節するか、または他の成分の能力または安定性に影響するように酵素調製物または組成物に加えられ得る。

    適当な安定剤は、ポリオール、例えば、プロピレングリコールまたはグリセロール、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸またはホウ酸誘導体、ペプチドなどを含む。

    漂白剤は、有機化合物を酸化および分解するために使用される。 適当な化学漂白系の例は、過酸発生漂白剤アクチベーター、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン、またはあるいはペルオキシ酸塩、例えば、アミド、イミドまたはスルホン型と共に、またはこれらなしで、H 供給源、例えば、過ホウ酸塩または過炭酸塩である。 化学酸化剤は、酸化酵素、例えば、ラッカーゼまたはペルオキシダーゼを使用することにより部分的または完全に置き換えられ得る。 多数のラッカーゼは、メディエーターの非存在下で有効に機能しない。

    増進剤または錯化剤は、物質、例えば、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などを含む。 酵素調製物は、1つ以上のポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)などをさらに含み得る。 また、軟化剤、腐食剤、他の成分の損傷を防止するための防腐剤、研磨剤および起泡性および粘性を修飾する物質を加えることができる。

    本発明の1つの好ましい態様において、該酵素を含む該酵素調製物または組成物は、液体、粉末、粒状または錠剤の形態である。 本発明の好ましい態様において、該組成物は、液体、粉末、粒状または錠剤の形態における洗浄剤製剤である。 さらに、調製物または組成物中の酵素は、固定化酵素の形態であり得る。

    本発明のセリンプロテアーゼは、洗浄剤、タンパク質、醸造、食肉、写真、革、乳業および医薬産業において使用される他のプロテアーゼ、特にアルカリプロテアーゼに好まれ得る(Kalisz, 1988; Raoら 1998)。 例えば、それは、繊維性タンパク質廃棄物(例えば、、羽、爪および髪)を有用なバイオマス、タンパク質濃縮物またはアミノ酸に変換する化学物質の代替物として使用され得る(Anwar and Saleemuddin, 1998)。 本発明のセリンプロテアーゼの使用は、革の質および還元環境汚染を改善すること、ならびにエネルギーを節約することにおける成功が証明されている他の酵素に好まれ得、それは、ペプチドの合成およびD,L−アミノ酸の混合物の分離において有用であるアルカリプロテアーゼに好まれ得る。 火傷および創傷の処置における広範な薬効範囲の抗生物質と組み合わせられたサブチリシンは、医薬産業におけるセリンプロテアーゼの使用の一例であり、したがって、本発明の真菌セリンプロテアーゼは、また、このような使用を見出し得、また、外科的器具の血液の除去およびコンタクトレンズまたは義歯の清浄において適用できるアルカリプロテアーゼに好まれ得る。 コニディオボルス・コロナトゥス由来のアルカリプロテアーゼのように、本発明の真菌セリンプロテアーゼは、動物細胞培養においてトリプシンの代わりに使用され得る。 本発明のプロテアーゼは、また、膜の清浄および生物膜の破壊において使用することができる。 ベーキングにおいて、該プロテアーゼは、例えば、グルテンネットワークの破壊および食物タンパク質、例えば、ミルク中のタンパク質の加水分解における他の食物適用において使用することができる。 それらは、また、例えば、酵母菌を処理すること、溶かすこと(動物の骨からさらなるタンパク質を抽出すること)、新規風味を創造すること、苦味を減少させること、乳化性を変化させること、生物活性ペプチドを産生すること、およびタンパク質のアレルギー誘発性を減少させるにおいて使用することができる。 基質は、動物、植物および微生物タンパク質を含む。

    洗浄剤産業、特に洗濯洗浄剤産業は、高いpH範囲で活性なプロテアーゼの1つの重要な消費者として現れている(Anwar and Saleemuddin, 1998)。 理想的な洗浄剤プロテアーゼは、食物、草、血液および他の体の分泌物による多種多様の汚点の除去を容易にするように広範な基質特異性を有するべきである。 それは、洗浄剤溶液のpHおよびイオン強度、洗浄温度およびpHにおいて活性であり、機械処理ならびに洗浄剤に加えられたキレート化剤および酸化剤に耐えるべきである。 省エネルギーの意識によって、現在、より低い温度でプロテアーゼを使用するのが望ましい。

    本発明はまた、洗浄剤のための、織物繊維を処理するための、タンパク質性素材、例えば、羊毛、髪、絹、革を処理するための、飼料または食物を処理するための、または、タンパク質性素材の修飾、分解または除去を含むあらゆる適用のための、セリンプロテアーゼ酵素または酵素調製物の使用に関する。

    したがって、本発明の1つの好ましい態様は、洗濯洗浄剤および自動食器洗浄組成物を含む食器洗浄組成物のために有用な洗浄剤添加物として上記特徴付けられたセリンプロテアーゼ酵素の使用である。

    「洗浄剤」なる表現は、清浄を助けるか、または清浄特性を有することが意図される物質または材料を意味するために使用される。 「洗浄力」なる用語は、清浄特性の存在または程度を示す。 清浄特性の程度は、異なるタンパク質性素材もしくはタンパク質を含む基質物質または固体、不水溶性担体、例えば、織物繊維または草に結合した汚点もしくは汚点混合物において試験することができる。 典型的なタンパク質性素材は、血液、ミルク、インク、卵、草およびソースを含む。 試験目的のための種々のタンパク質性汚点は、市販されている。 洗浄剤酵素の機能は、タンパク質含有汚点を分化および除去することである。 試験結果は、洗浄試験において使用される汚点の型、洗浄剤の組成物ならびに織物の性質および状態に依存する(Maurer, 2004)。

    本出願の文脈において「低い温度」なる用語は、実験にしたがって多数の現在利用できる酵素調製物、特に洗浄剤酵素調製物の能力に最適でない10℃から30℃の温度範囲である。 「中程度の温度」なる用語は、30℃から60℃の温度範囲を意味する。

    「低い温度または中程度の温度範囲で適用できる」なる用語は、酵素が低い温度または中程度の温度範囲(10℃から60℃)で有効に機能することが望ましい産業適用を含む。 このような適用は、食物、飼料および革産業、医薬、診断、廃棄物管理および銀回収におけるそれらの使用を含む。 本明細書における意味として、これらの適用は、植物病原性真菌および線虫の生物学的コントロールにおけるバイオコントロール剤としての本発明のセリンプロテアーゼ酵素の使用を排除する。

    本発明において、「洗浄剤安定性」なる用語は、酵素または酵素変異体が、保存および/または洗浄中、洗浄剤溶液においてその活性を十分に保持することを意味する。 したがって、洗浄剤、例えば、Ecolabel参照洗浄剤、軽量用(light duty)(wfk Testgewebe GmbH)または実施例6の表3に記載されている市販の液体洗浄剤の存在下で、タンパク質性汚点または物質の破壊または除去において効率的である。 安定性は、例えば洗浄剤において数日間インキュベーション(37℃で)後、残留活性を決定することにより、アッセイされ得る。 残留プロテアーゼ活性は、実施例3に記載されている方法または文献(Guptaら 2002)に記載されている他のあらゆる方法を使用して決定され得る。

    セリンプロテアーゼの「有効量」なる用語は、特定の洗浄剤組成物において酵素活性をなし遂げるために必要なプロテアーゼ酵素の量を示す。 好ましくは、本発明の洗浄剤組成物は、本発明のプロテアーゼ変異体の洗浄剤組成物の約0.0001%から約10重量%、さらに好ましくは0.001%から約1%、よりさらに好ましくは0.001%から約0.5%を含む。

    一般的に、プロテアーゼの洗浄能力は、汚点物質、例えば、人工的な汚れの見本または試験布における明るさの可視および測定可能な増加または色の変化を意味する「汚点除去効率」または「汚点除去効果」または「清浄特性の程度」として測定される。 明るさおよび明度の変化は、例えば、実施例6から8に記載されているL*a*b*色空間座標を使用して分光光度計で反射率として色を測定することにより測定することができる。 プロテアーゼ能力を示すタンパク質性汚点の退色または除去(汚点除去効率)は、例えば、酵素処理された織物の明度L* マイナス 酵素を含まない洗浄溶液(酵素ブランクまたはコントロール)で処理された織物の明度L*を意味するΔL*として計算される。 洗浄剤の存在は、汚点の除去における酵素の能力を改善し得る。 本発明のセリンプロテアーゼは、アルカリ条件下で、異なる組成物を有する洗浄剤の存在下で、種々の種類のタンパク質性汚点を分解する(実施例6−8)。

    実施例6に示されるとおり、本発明のセリンプロテアーゼは、10−50℃、とりわけ30℃以下で市販の液体洗浄剤において、市販のプロテアーゼ調製物 Savinase(登録商標)16LおよびSavinase(登録商標)Ultra 16Lよりもかなり良く、血液/ミルク/インク汚点を除去した(図6および7)。 酵素調製物は、活性単位として投与した。 同じ効果が、用量が加えられるタンパク質の量として計算されたときもまた、観察された(図8)。 マルブランケアALKO4122プロテアーゼが、カゼイン基質の分析条件でその高い温度最適条件の代わりに(約70℃、図5A)、非常に広範な温度範囲で、とりわけ低い温度、例えば10−30℃で最適汚点除去能力を示すことは驚くべきことである。 分析条件において同様の温度プロフィールを有するSavinase(登録商標)(図5A)は、冷たい洗浄温度で明らかに低い能力を示す。 これらの試験の結果は、本発明のプロテアーゼが、広範な温度範囲で、および非常に冷たい洗浄温度でさえ、液体洗浄剤と共に優れた能力を有することを示す。

    種々の血液/ミルク/インク汚点に加えて、マルブランケアALKO4122プロテアーゼは、30および60℃で液体洗浄剤において試験されるとき、草およびココアのような汚点を除去ずることにおいて有効であった。 処理は、ATLAS LP−2 Launder−Ometerおよび活性時に投与される酵素において行った。 結果(図9A−H)は、マルブランケアプロテアーゼが30および60℃の両方の温度でいくつかの汚点に対して有効であり、Savinase(登録商標)Ultra 16Lと比較して良い汚点除去能力を示すことを示す。 マルブランケアALKO4122は、落花生油/ミルクおよび卵黄汚点においても有効であった。

    マルブランケアALKO4122プロテアーゼの能力はまた、実施例8に記載されているとおり、漂白剤および光学的光沢剤を含む市販の従来の洗浄剤粉末ならびに光学的光沢剤および漂白剤を含まないECE参照洗浄剤77と共に、50℃でそれぞれpH10.5または10で試験した。 ポリエステル−綿材料上の血液/ミルク/インク汚点を除去する酵素の能力をアッセイした。 図10AおよびBに示されるとおり、本発明のプロテアーゼはまた、強アルカリ条件下で粉末洗浄剤のために適当であり、効果は、それぞれの酵素調製物が活性単位として投与されるとき、Savinase(登録商標) Ultra 16Lと比較して同レベルであった。

    洗浄に加えて、本発明の酵素は、実施例9および10に示されるとおり、保存中も、液体洗浄剤において保存されるときでさえ、その活性を十分に保持する。 マルブランケアALKO4122プロテアーゼは、例えばフザリウムプロテアーゼFe_RF6318(WO2010125174A1)と比較して、37℃で優れた保存安定性を有する(図11AおよびB)。 図12Aおよび12Bは、マルブランケアプロテアーゼが、フザリウムプロテアーゼと比較してEcolabel参照洗浄剤、軽量用(wfk Testgewebe GmbH)および市販の液体洗浄剤(表3)においてとりわけ良い安定性を有し、市販の細菌プロテアーゼSavinase(登録商標)16 Lと比較してEcolabel中で同様の安定性を有することを示す。 高温での本発明のプロテアーゼの良い安定性は、温暖地域国において液体洗浄剤製剤に対してとりわけ適切にさせる。

    本発明の好ましい態様において、本発明の真菌セリンプロテアーゼは、実施例6から10に示されている洗浄剤液体および洗浄剤粉末に有用である。 本発明の酵素調製物の酵素は、手動または電動洗濯における使用のために製剤化され得るか、または家庭の硬表面清浄または好ましくは、手動または電動食器洗における使用のために製剤化され得る。

    結論として、好熱性微生物由来の新規の熱安定性の真菌セリンプロテアーゼ酵素が提供され、これは、低温で特に良く作用し、液体洗浄剤組成物において適合かつ安定であり、それにより必要とする安定化物および他の添加物を少なくすることを見ることができる。

    本発明は、本発明のいくつかの態様に関する以下の実施例で説明されているが、しかしながら、本発明は、これらの実施例のみに限定されることを意図しない。

    実施例1
    マルブランケアからプロテアーゼ遺伝子をクローニングするため、およびマルブランケアALKO4122およびALKO4178株からプロテアーゼ遺伝子をクローニングするためのプローブの合成(a)DNAの単離および使用される分子生物学方法 標準分子生物学方法を、DNAの単離および酵素処理(例えば、プラスミドDNAの単離、DNAフラグメントを生産するためのDNAの消化)、大腸菌形質転換、配列決定などにおいて使用した。 使用される基本的な方法は、酵素、試薬もしくはキット製造業者により記載されているか、または標準分子生物学ハンドブック、例えば、Sambrook and Russell (2001)に記載されているとおりであった。 糸状菌からのゲノムDNAの単離は、Raeder and Broda (1985)に詳細に記載されているとおりに行った。

    (b)プローブ調製のためのプライマー マルブランケアプロテアーゼをコードする遺伝子のクローニングのためのプローブをPCRにより合成した。 縮重センスおよびアンチセンスオリゴを、真菌プロテアーゼ(例えば、それぞれWO2010125174、WO2010125175およびWO2011003968、AB Enzymes Oyにおけるフザリウム・エクイセチ(Fusarium equiseti)RF6318、フザリウム・アクミナタム(Fusarium acuminatum)RF7182、トリコデルマ・リーゼイ Prb1)のコンセンサスアミノ酸配列に基づいて計画された。 さらなる5'−プライマー(DET5)を、マルブランケア・シナモメア サーモマイコリンの公開されたN−末端配列から選択される領域にしたがって合成した(全34アミノ酸;Swiss−Prot受入番号P13858.1)。 上記配列のアミノ酸20−28を、DET5を設計するために使用した。 それらの設計のために使用されたプライマー配列およびペプチド配列は、以下の表1(それぞれ配列番号:1−5および配列番号:6−10)において示される。 オリゴ名、配列番号、長さ、縮重およびヌクレオチド配列ならびにプライマーの計画において使用されたペプチド配列およびそれらの配列番号:6−10は、表に含まれている。
    表1. プローブ増幅においてPCRプライマーとして使用されたオリゴヌクレオチド(配列番号:1−5)

    (a N=A、T、CまたはG;R=AまたはG、Y=TまたはC、H=A、CまたはT、M=AまたはC;ヌクレオチド配列後の丸括弧内の「s」および「as」=それぞれセンス鎖およびアンチセンス鎖。

    (c)全長プロテアーゼ遺伝子のクローニングのためのPCR反応およびプローブの選択 マルブランケアALKO4122およびALKO4178から単離されるゲノムDNA調製物を、PCR反応における鋳型として使用した。 マルブランケアALKO4122は、2011年1月に、マルブランケア・シナモメア(Lib.) Oorschot de Hoog(マルブランケア プルチェラ var. サルフレア(Miehe) Cooney & R. Emers.の同義語)として、CBS同定サービス(Utrecht, The Netherlands)により同定された。 マルブランケアALKO4178は、マルブランケアサルフレアとしてRoal Oy カルチャー・コレクションに寄託されているが、該単離物のさらなる同定は、CBSまたは糸状菌の同定を専門としている他の機関により行われていない。

    ゲノムDNAの単離のために、マルブランケアALKO4122およびALKO4178菌糸を、4日間37℃で250rpmで50mlのグルコース−酵母エキス培地(25gのグルコース、27.5gの酵母エキス pH6.5)中で株を培養することにより増殖した。 菌糸を回収し、ゲノムDNAを単離し、プローブ合成のための鋳型として使用した。 PCR反応混合物は、50μl反応容量あたり、Phusion (登録商標) GC バッファー(Finnzymes/Fisher Scientific, Finland)、0.2mMのdNTP、50pmolのそれぞれのプライマー、DMSO(容量の1/10)および1単位のPhusion (登録商標)ポリメラーゼ(Finnzymes/Fisher Scientific)および約0.5−1μgのゲノムDNAを含んだ。 PCR反応の条件は以下のとおりである:1分98℃最初の変性、次に10秒98℃、30秒45、47、52および57℃アニーリング、30秒72℃伸長を28サイクルならびに5分72℃最終伸長。 プライマー組合せDET5(配列番号:5)およびDET4(配列番号:4)は、最も低い3つのアニーリング温度(上記参照)において、約0.8kbのサイズを有するDNA産物を生産した。 該サイズは、公開された真菌プロテアーゼ配列に基づく計算にしたがって、プロテアーゼ遺伝子から得られると予測されるサイズに相当した。 ALKO4122またはALKO4178ゲノムDNAのいずれかを鋳型として使用したとき、同様のサイズを有する産物を得た。 DNA産物をPCR反応混合物から単離し、精製し、製造業者(Invitrogen, USA)の指示にしたがってpCR (登録商標) 4 Blunt−TOPOベクターにライゲートした。 得られたプラスミドを、pALK3092(挿入物としてALKO4122PCR産物)およびpALK3093(挿入物としてALKO4178PCR産物)と命名した。 該挿入物を、pALK3092(配列番号:11)およびpALK3093(配列番号:12)の両方から配列決定した。 両方の挿入物は長さ791bpであると見出され、それらは、合成された領域(プライマー配列を無視して)において互いに1つのヌクレオチドの違いのみを示した。 pALK3092挿入物においてヌクレオチド323がCであり、pALK3093挿入物においてそれがTであった。 プラスミドpALK3092およびpALK3093を含む大腸菌株RF8758およびRF8759をそれぞれ、受入番号DSM24426およびDSM24427の下にDSMZコレクションに寄託した。

    デフォルト設定(Altschulら1990)でNCBI(全米バイオテクノロジー情報センター)でのプログラムバージョン2.2.23を使用して、得られる配列でBLASTPサーチを行った。 コードされるアミノ酸配列は、例えば、ウンシノカルプス・レッシイからの仮説的および保存された仮説的タンパク質(それぞれXP_002584481.1およびXP_002583205.1)およびコクシジオイデス・ポサダシからの推定サブチリシン様タンパク質(EER24932.1)およびコクシジオイデス・イミチスからの仮説的タンパク質(XP_001239485.1)と59−65%の同一性で、相同性を示した。 したがって、結果は、PCR反応から得られたDNAフラグメントがプロテアーゼをコードする遺伝子の一部であり、したがってマルブランケア由来の全長プロテアーゼ遺伝子のためにプローブとして有用であることを示す。 しかしながら、プライマーDET5によってコードされる以下の配列であるコードされるアミノ酸配列は、公開されたマルブランケア サーモマイコリン配列(アミノ酸29−34、受入番号P13858)と同一ではなかった。

    (d)全長マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子のクローニング マルブランケアALKO4122およびALKO4178ゲノムDNAを、サザンブロット分析のためにいくつかの制限酵素で消化した。 消化をゲル上で行い、サザン法およびハイブリダイゼーションを行った。 サザンブロットのためのプローブを、M13リバースおよびM13フォワードプライマーならびに鋳型としてpALK3092(実施例1c)を使用してPCRにより標識化した。 プローブ配列は配列番号:11(実施例1c)を含んだ。 PCR DIG(ジゴキシゲニン)標識化混合物を使用するプローブの標識化およびハイブリダイゼーションは、供給者の指示(Roche, Germany)にしたがって行った。 ハイブリダイゼーションを68℃で一晩行った。 ハイブリダイゼーション後、フィルターを、2×SSC−0.1%のSDSを使用して室温で2×5分間、次に0.1×SSC−0.1%SDSを使用して68℃で2×15分、洗浄した。

    マルブランケアALKO4122およびALKO4178ゲノムDNA消化物におけるいくつかのハイブリダイズするフラグメントを検出した。 消化物の大部分は、両方のゲノムから同一の結果を与えた。 ハイブリダイズする約2.7kbフラグメントは、ゲノムXbaI消化物から得られた。 XbaIフラグメントが、全長プロテアーゼ遺伝子を含むことを分析した(プローブ配列に含まれるXbaIおよびPstIでのゲノムDNAの二重消化、ならびに公開された真菌プロテアーゼ配列に基づくサイズ計算による)。 DNAフラグメントを、ハイブリダイズするフラグメントのサイズ範囲(約2.7kb)からのALKO4122ゲノムXbaI消化物から単離した。 単離をアガロースゲルから行った。 単離されたゲノムフラグメントを、XbaIで開裂されたpBluescript II KS+(Stratagene, USA)ベクターにクローニングした。 ライゲーション混合物を、大腸菌XL10−Gold細胞(Stratagene)に形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含むLB(Luria-Bertani)プレート上に置いた。 陽性大腸菌コロニーを、プローブとしてPCR標識化pALK3092挿入物でコロニーハイブリダイゼーションを使用して、スクリーニングした。 ハイブリダイゼーションを、ゲノムDNA消化物について記載されているとおりに行った。 全20個のクローンをプレートから取り、これらのうちの8つは、XbaI制限消化およびサザンブロットハイブリダイゼーション(ゲノムハイブリダイゼーションについて記載されているとおりに行う)により、予期されたサイズを有し、pALK3092プローブとハイブリダイズする挿入物を含むことが示された。 XbaI挿入物(2961bp)を配列決定し、全長マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子(配列番号:13)を含むことを確認した。 上記XbaIゲノムフラグメントを含むプラスミドをpALK3094と命名した。 プラスミドpALK3094を含む大腸菌株RF8791を、受入番号DSM24410の下にDSMZコレクションに寄託した。

    (e)マルブランケアALKO4122プロテアーゼをコードする遺伝子およびプロテアーゼの推定アミノ酸配列の特性化 遺伝子配列(配列番号:13)、その部分的なプロモーターおよびターミネーター配列ならびにコードされたプロテアーゼの推定アミノ酸配列(配列番号:14)は、図1に示されている。 遺伝子の長さは1436bpである(終始コドンを含む)。 3つの推定イントロンは、72、87および71bpの長さを有することが見出された。 該イントロンは、いくつかの真菌イントロンから同定されるもの(Gurrら1987)にしたがって、コンセンサス5'および3'境界配列ならびに内部コンセンサス配列を有した。 推定タンパク質配列(配列番号:14)は、20個のアミノ酸の予測されるシグナル配列(シグナルP V3.0;Nielsenら1997およびNielsen and Krogh, 1998)および100個のアミノ酸の予測されるプロ配列を含む401個のアミノ酸からなる。 成熟プロテアーゼのN−末端の位置、Ala121は、他の真菌プロテアーゼ配列で作られた比較にしたがって判断した。 成熟プロテアーゼの予測される分子量は28 530Daであり、予測されるpIは6.15であった。 これらの予測は、ExPASyサーバーでのCompute pI/MWツールを使用して計算した(Gasteigerら2003)。 推定成熟アミノ酸配列は、成熟配列のアミノ酸位置Asn134、Asn172およびAsn277(図1においてアミノ酸位置254、292および397)での3つの可能性のあるN−グリコシル化部位を含むが、CBS Server NetNGlyc V1.0によると、位置Asn134およびAsn277での部位のみが起こりうる。

    マルブランケアALKO4122プロテアーゼのN−末端配列は、以前に公開されたマルブランケア・シナモメア(M. cinnamonea)サーモマイコリンN−末端配列(P13858)と部分的にのみ一致した:最初の28個のアミノ酸のみがこれらの2つの配列において同一であった。

    ゲノムALKO4122プロテアーゼ遺伝子配列と比較して、pALK3092におけるマルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子プローブ配列において1つのヌクレオチドの違いがあった(対応する領域において)。 しかしながら、ゲノムALKO4122プロテアーゼ遺伝子配列は、pALK3093におけるALKO4178プロテアーゼプローブ配列と同一であった(対応する領域において)。 したがって、pALK3092挿入物(実施例1c)における1つのヌクレオチドの違いは、ほぼ確実にプローブPCR反応において突然変異から引き起こされた。

    (f)マルブランケアALKO4178プロテアーゼ遺伝子のクローニング プライマーDET27(配列番号:19)およびDET28(配列番号:20)は、PCRによりマルブランケアALKO4178から全長プロテアーゼ遺伝子を合成するために設計した。 DET27は、マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子(図1)のプロモーター(ATGからヌクレオチド−44から−24)からのセンスプライマーであり、DET28は、ターミネーター(終始コドンからヌクレオチド55から36)からのアンチセンスプライマーである。 PCR反応混合物は、200μl反応容量あたり、1XPhusion (登録商標) HF バッファー(Finnzymes/Fisher Scientific, Finland)、0.2mMのdNTPs、75pmolのそれぞれのプライマーおよび2単位のPhusion (登録商標)ポリメラーゼ(Finnzymes/Fisher Scientific)および約1.5μgのゲノムDNAを含んだ。 PCR反応の条件は以下のとおりである:30秒98℃最初の変性、次に10秒98℃、30秒60および65℃アニーリング、60秒72℃伸長を24サイクルならびに7分72℃最終伸長。 予測される長さ(〜1.5kb)のフラグメントを反応物から得た。 2つの別々のPCR反応からのフラグメントを単離し、pCR4 (登録商標) Blunt−TOPO (登録商標)ベクターにライゲートした。 該挿入物を、別々のクローンから配列決定した。 両方のクローンにおける挿入物の配列は互いに同一であり、マルブランケアALKO4122プロテアーゼ遺伝子、その部分的なプロモーターおよびターミネーターと同一であった(図1)。 マルブランケアALKO4178プロテアーゼ遺伝子(得られたPCRフラグメント)を含むプラスミドをpALK3147と命名した。 該プラスミドを含む大腸菌クローンをRF9332としてRoal Oy カルチャー・コレクションに寄託した。

    (g)相同性、同一性およびアラインメント試験 成熟マルブランケアALKO4122プロテアーゼアミノ酸配列(配列番号:18)を使用して、公の供給源からの同種プロテアーゼ配列を検索した。 GenBankの特許課における冗長タンパク質配列およびタンパク質配列の両方を検索した。 デフォルト設定でNCBI(全米バイオテクノロジー情報センター)でのBLASTPプログラムバージョン2.2.25をサーチに使用した(Altschulら1990)。 全冗長配列から得られた非常に高い相同性は、コクシジオイデス・ポサダシ推定サブチリシン様プロテアーゼ(EER24932.1)およびコクシジオイデス・イミチス仮説的タンパク質CIMG_09197(XP_001239485.1)に対して66%、ウンシノカルプス・レッシイ仮説的タンパク質UREG_05170(EEP80328.1)に対して65%、コクシジオイデス・イミチス仮説的タンパク質CIMB_01394(XP_001247623.1)、コクシジオイデス・ポサダシ推定サブチリシン様プロテアーゼ(EER23662.1)、ウンシノカルプス・レッシイ仮説的タンパク質(EEP81307.1)およびアルスロデルマ・オタエ アルカリプロテイナーゼ(EEQ28657.1)に対して64%であった。 EER24932.1およびXP_001239485.1は互いに3つのアミノ酸のみ異なり、XP_001247623.1およびEER23662.1は互いに1つのアミノ酸のみ異なる。 マルブランケアALKO4122プロテアーゼ配列を、ClustalW2 アラインメントを使用して上記同種配列とアラインした。 それぞれのプロテアーゼからの推定成熟配列をアラインメントに使用した。 それぞれのプロテアーゼからの成熟配列を互いに比較した。 ClustalW2アラインメント(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/)を使用することにより得られる同一性値(スコア%)は、表2に示されている。 シグナルペプチドおよびプロペプチドを除く成熟アミノ酸配列を、デフォルト設定(Protein Weight Matrix:Gonnet、ギャップオープン:10、ギャップ伸長:0.20、ギャップ距離5)を使用してアラインした。 配列番号:18は、ALKO4122プロテアーゼの成熟アミノ酸配列である。 得られた同一性値(スコア%)は、63%−65%であった。

    特許課における配列に対する非常に高い相同性は、US5962765における配列番号:2(AAE30270.1;メタリジウム・アニソプリエからのプロテアーゼ)およびWO8807581における配列番号:15(AAA54276.1;トリチラキウム・アルブムからのプロテアーゼ)に対して55%であった。
    表2. 推定プロテアーゼアミノ酸配列のClustalW 2.1複数配列アラインメントから得られる同一性値(スコア%)。

    実施例2
    トリコデルマ・リーゼイにおける組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの生産(a)生産ベクターおよび生産株の調製 発現プラスミドpALK3097を、トリコデルマ・リーゼイにおける組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの生産のために構築した。 自らのシグナル配列を有する遺伝子をPCRによりトリコデルマ・リーゼイ cbh1(cel7A)プロモーターに正確に融合した。 PCR反応において使用されるプライマーを、DET17(5'−プライマー;配列番号:21)およびDET18(3'−プライマー;配列番号:22)と命名した。 DET17プライマーは、SacII部位(ATGから−16の位置)から位置−1の部分的なcbh1プロモーターおよびマルブランケアプロテアーゼ遺伝子の始まり(ATG開始コドンを含む26ヌクレオチド)および5'末端での3つの余分のヌクレオチドを含む。 DET18は、マルブランケアプロテアーゼ遺伝子の末端から26ヌクレオチド(終始コドンを含む)、および3'−末端からpALK2777リンカー(cbh1ターミネーター;以下参照)に遺伝子を融合するためのBamHI部位を含むリンカーを含む。 プロテアーゼ遺伝子の天然ターミネーターは、構築物に含まれない。

    プロテアーゼ遺伝子をSacII−BamHI消化によるPCRフラグメントから取り出し、同じ酵素で開裂されたpALK2777発現ベクター骨格に融合した(図2)。 pALK2777プラスミドは、cbh1プロモーター(SacII部位への)、例えばBamHI部位を含むリンカー、cbh1ターミネーターおよび形質転換体をスクリーニング合成amdS遺伝子を含む。 pALK2777における合成amdS遺伝子は、天然amdS遺伝子(Kelly and Hynes, 1985)と比較して、短縮ターミネーター(XbaI部位への)を含む。 また、天然amdS遺伝子のイントロンは除去され、amdSプロモーターおよび遺伝子から選択された制限酵素認識部位は、発現カセットの構築および単離を容易にするために修飾されている。 しかしながら、合成amdS遺伝子によってコードされるアミノ酸配列は、野生型amdS遺伝子によってコードされるものと同一である。

    NotI消化後に、7.2kbの直線状発現カセット(図3に示されている)をベクター骨格から単離し、トリコデルマ・リーゼイ プロトプラストを形質転換するために使用した。 使用されたトリコデルマ・リーゼイ宿主株は、4つの主要なトリコデルマ・リーゼイ セルラーゼ(CBHI、CBHII、EGI、EGII)のいずれも生産しない。 形質転換を、Karhunenら (1993)に記載されている修飾でPenttilaら (1987)のとおりに行った。 形質転換体を単一の分生子を介して選択プレート上で精製し、PD上でそれらを胞子形成した。

    (b)振とうフラスコおよび実験室規模バイオリアクターにおけるプロテアーゼ生産 形質転換体を、PDスラントから5%のKH PO およびpH6.0で緩衝された50mlの複合ラクトースをベースとしたセルラーゼ誘導培地(Joutsjokiら 1993)を含む振とうフラスコに植菌した。 形質転換体のプロテアーゼ生産を、5日間30℃で250rpmで形質転換体を培養後に培養上清から分析した。 SDS−PAGEゲルにおいて、予測される質量の組換えプロテアーゼに対応する約30kDaの主要なタンパク質バンドを、消費された培養上清から検出した。 プロテアーゼ活性を、実施例3に記載されている基質としてカゼインを使用してサンプルからアッセイした。 宿主と比較して明らかに増加した活性を培養上清から測定した。 発現カセットの真菌ゲノムへの組み込むを、いくつかのゲノム消化物を使用し、発現カセットpALK3097をプローブとして使用したサザンブロット分析を使用することにより、選択された形質転換体から確認した。

    振とうフラスコ培養において非常に良いプロテアーゼ活性を生産するトリコデルマ・リーゼイ形質転換体を、実験室規模バイオリアクターにおける培養のために選択した。 セルラーゼ誘導複合培地を培養において使用した。 培養または濃縮サンプルから得られた消費された培養培地を、組換えマルブランケアALKO4122プロテアーゼの(実施例3−5)の精製およびさらなる生化学的特性化ならびに実施例6−10において示される適用試験において、出発物質として使用した。

    実施例3
    プロテアーゼ活性アッセイ プロテアーゼ活性を基質としてカゼインを使用して測定した。 プロテアーゼによるカゼイン分解速度を、時間の関数として酸−可溶性ペプチドフラグメントの放出をモニタリングにより測定した。 酸−可溶性ペプチドを分光光度的に定量した。 結果は、1μgのチロシン/分/ml(またはg)にて示した。

    最初に、アッセイにおいて必要とされる全ての試薬溶液を、以下のとおり、脱イオン水、Milli−Qまたは同等のものにおいて調製した。

    (STW)合成水道水:
    以下の貯蔵溶液を調製した:
    (A)5.8gのCaCl ×2H O/200mlのH
    (B)2.8gのMgCl ×6H O/200mlのH
    (C)4.2gのNaHCO /200mlのH
    10mlのこれらの溶液を、与えられた順序において、撹拌しながら300mlのH Oに加え、次に、H Oで1リットルに作った。 得られる溶液を合成水道水と呼んだ。

    Tris溶液、合成水道水中0.3M:
    36.3gのTrizma base(SIGMA T-1503)を合成水道水に溶解し、1リットルに作った。

    カゼイン溶液:
    6gのカゼイン(Hammarsten Usb. 12840)を350mlの合成水道水に加え、10分間、磁気撹拌で溶解させた。 50mlのTris溶液を加え、溶液をさらに10分間撹拌した。 次に、溶液を70℃にまで加熱した。 その後、温度を50℃にまで下げ、pHを0.1MのNaOHで8.5に調整した。 室温に達するまで撹拌を続けた。 溶液を合成水道水で500mlにした。 基質溶液を冷蔵庫中で最大3日間保管(またはフローズンとして保管)した。

    110mMのトリクロロ酢酸試薬(反応停止溶液):
    18gのTCA(Merck 807)をH Oに溶解し、1リットルに作った。

    0.5MのNa CO:
    53gのNa CO をH Oで希釈し、1リットルに作った。

    Folin溶液:
    25mlの2NのFolin−Ciocalteuのフェノール試薬(SIGMA, F 9252)を100mlにH Oで希釈した。

    サンプル希釈バッファー:
    サンプルを50mMのTris−HCl バッファー pH8.5に希釈した。
    最も適切な希釈物は、反応中、0.4−0.8の吸光度を生じる。

    アッセイ:
    アッセイは、50℃で5分間試験チューブ中の2.5mlの基質溶液を温めること(temperating)により開始した。 その後、0.5mlの希釈された酵素溶液を加え、ボルテックス混合物(vortex mixer)と混合し、反応を正確に30分間50℃で行った。 酵素ブランクをサンプルと同様に調製したが、反応停止溶液(110mMのTCA)をサンプルの前に試験チューブに加えた。 反応後、2.5mlの停止溶液をチューブ(ブランクのためでない)に加え、内容物を混合し、30分室温で放置した。 チューブを4000rpmで10分間遠心した(Hettich Rotanta 460)。 1mlの透明な上清を、2.5mlの0.5MのNa CO および0.5mlの希釈されたFolin試薬と混合した。 10分(色発生)待った後、混合物の吸光度(色)を酵素ブランクに対して660nmで測定した。

    少なくとも2つのパラレルなサンプルを、それぞれの測定において使用した。

    実施例4
    組換えプロテアーゼの精製 細胞および固体を、30分、50000gで+4℃で遠心分離(Sorvall RC6 plus)により、発酵から得られた消費された培養培地(実施例2)から除去した。 8mlの上清をプロテアーゼの精製のために使用した。 全ての精製工程は寒い部屋で行った。 遠心分離後、サンプルを0.44μmのフィルター(MILLEX HV Millipore)を介して濾過し、20mMのMES pH5.3で平衡にしたHiPrep 26/10脱塩カラム(GE Healthcare)に付した。 ゲル濾過されたサンプルを、20mMのMES pH5.3で平衡にした1mLのSセファロース HP カラム(GE Healthcare)に付した。 タンパク質を、増加NaCl勾配(0.5M)を使用して溶離した。 プロテアーゼを含む画分を貯め、Amicon Ultra−4 10,000 CO 遠心フィルターデバイス MILLIPOREを使用して濃縮した。 20mMのMES、150mMのNaCl pH5.3で平衡にしたSuperdex 75 ゲル濾過カラムを使用して、サンプルをさらに精製した。 プロテアーゼを含む画分を混合し、pHおよび温度プロフィールの特性化のために使用した。 最終サンプルをSDS PAGEゲルで分析した(図4)。

    実施例5
    組換えプロテアーゼの特性化温度プロフィール 温度プロフィールを、実施例3に記載されているアッセイを使用することにより、組換えマルブランケアプロテアーゼおよびSavinase(登録商標)16Lについて得た。 結果は図5Aに示されている。 該プロテアーゼは、約70の最適温度を有する。

    pH−プロフィール 酵素サンプルが希釈されており、カゼインが40mMのBritton−Robinsonバッファーの溶解されており、反応のpHがpH6−10に調節され、反応時間が30分であり、酵素反応を0.22Mの酢酸ナトリウムおよび0.33Mの酢酸を含む0.11MのTCA溶液を使用して停止させることを除いて、マルブランケアプロテアーゼおよびSavinase(登録商標)16LのpHプロフィールを、実施例3に記載されているとおり基質としてカゼインを使用して50℃で決定した。 結果は図5Bに示されている。 組換えプロテアーゼは、約pH10の最大活性を有するpH6からpH10で50%を越える相対活性を示す。

    実施例6
    異なる温度での液体洗浄剤でのマルブランケアALKO4122プロテアーゼの汚点除去能力 実施例2(b)に記載されているトリコデルマにおいて生産されたマルブランケアALKO4122プロテアーゼを、10、20、30および50℃で5g/lの濃度で市販の液体洗浄剤(表3)の存在下で血液/ミルク/インク標準汚点を除去する能力について試験した。 標準汚点として人工的に汚された試験布Art. 117(血液/ミルク/インク、ポリエステル+綿、Serial No 11−08または10−07、EMPA Testmaterialen AG, Switzerland)を、試験物質として使用した。 市販のプロテアーゼ調製物Savinase(登録商標) 16LおよびSavinase(登録商標) Ultra 16L(プロテアーゼ阻害剤、4−FBPAを含む)および酵素なしの処理(コントロール)を、比較のために使用した。 それぞれの酵素調製物を、1mlの洗浄溶液あたり0−8または0−16活性単位(μg チロシン/分)で投与した。 活性を、実施例3に記載されているとおりに測定した。
    表3. 市販の液体洗浄剤の組成

    5gの市販の液体洗浄剤を1リットルの水道水(dH≦4)に溶解し、磁気撹拌棒でよく混合し、洗浄温度に加減した。 洗浄溶液におけるpHは約8であった。 汚点織物を、最初に、1.5cm×1.5cmの生地見本(swatch)に切り、一片を角を切ることにより丸くした。 一片をマイクロタイタープレート(Nunc 150200)のウェルに置いた。 2cmの直径を有するそれぞれのウェルに、水(約50μl)中に洗浄剤および酵素希釈物を含む1.5mlの洗浄溶液を、織物の上に加えた。 サンプルを有するプレートを、10、20、30および50℃で60分130rpmでInfors Ecotronインキュベーター震盪器においてインキュベートした。 その後、生地見本を流水(ほぼ洗浄温度)下で注意深く濯ぎ、日光に対して保護された格子上で屋内空気で一晩乾燥させた。

    汚点除去効果を、L*a*b* 色空間座標(illuminant D65/2°)を使用してMinolta CM 2500 分光光度計で反射率として色を測定することにより評価した。 生地見本の両サイドの色を、処理後に測定した。 それぞれの値は、織物の両サイドから測定された少なくとも2つのパラレルな織物サンプルの平均であった。 プロテアーゼ能力を示す血液/ミルク/インク汚点の退色(汚点除去効率)を、酵素処理された織物の明度L* マイナス 酵素なし(酵素ブランク、コントロール)の洗浄溶液で処理された織物の明度L*を意味するΔL*(デルタL*)として計算した。

    図6A−6Dに示されている結果は、マルブランケアALKO4122プロテアーゼが、市販のSavinase(登録商標)調製物と比較して、試験される全ての温度で血液/ミルク/インク汚点(Art.117, Serial No 11-08)に対してかなり良い効果を有することを示す。 血液/ミルク/インク汚点の古いバッチ(Serial No 10-07)が酵素なしで(洗浄剤のみで)除去することがさらに難しく、したがって、酵素寄与(ΔL*)が新しいバッチ11−08で行われた試験と比較して有意に高かったことに気づいた。 マルブランケア調製物は、Savinase(登録商標)と比較して、この難しい古い汚点物質に対してさらによく効率的であった(図7A−7D)。 また、投与量を加えられたタンパク質の量として計算すると(図8A−8D)、汚点除去効率はマルブランケアサルフレアALKO4122プロテアーゼで特に高い。 酵素調製物からのタンパク質の量は、標準としてウシガンマグロブリン(Bio−Rad)を使用するBio−Radタンパク質アッセイ(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)により測定した。

    マルブランケアALKO4122プロテアーゼが、カゼイン基質の分析条件で高い最適温度にもかかわらず(約70℃、図5A)、非常に広範な温度範囲、とりわけ低い温度、約10−30℃で最適な汚点除去能力を示すことは驚くべきことである。 分析条件における同様の温度プロフィールを有する(図5A)Savinase(登録商標)は、低い洗浄温度で明らかに低い能力を示す。 これらの試験の結果は、マルブランケアALKO4122プロテアーゼが、広範な温度範囲および非常に低い洗浄温度で液体の洗浄剤とで優れた能力を有することを示す。

    実施例7
    液体洗浄剤とで異なる汚点におけるマルブランケアALKO4122プロテアーゼの洗濯試験 実施例2(b)に記載されているトリコデルマにおいて生産されたマルブランケアALKO4122プロテアーゼを、30および60℃で液体の洗浄剤とで異なる汚点を除去する能力について試験し、市販のプロテアーゼ調製物Savinase(登録商標) Ultra 16 Lと比較した。 EMPAからの以下の人工的に汚された試験布を使用した:血液/ミルク/インク(Art.117, Serial No 11-08および10-07、ポリエステル+綿)、血液/ミルク/インク(Art.116, Serial No. 18-16、綿)、草(Art. 164, Serial No. 23-03、綿)およびココア(Art.112, Serial No.31-06、綿)。 織物を6cm×6cmの生地見本に切り、端をジグザグ縫いで整えた。

    汚点除去処理を、以下のとおりにLP−2 Launder Ometerで行った。 最初に、洗濯Ometerを30または60℃にあらかじめ温めた。 次に、1mlの洗浄溶液あたり酵素の0、2、5、10および20(40)活性単位を、250mlの調節された洗浄溶液および汚点生地見本を含む1.2リットルの容器に加えた。 活性(μgチロシン/分)を、実施例3に記載されているとおりに測定した。 洗浄溶液は、1リットルの水道水(dH≦4)当たり5gの界市販の液体洗浄剤(表3)を含み、そのpHは約8であった。 洗濯Ometerを、30℃で60分で42rpmの回転速度で行った。 その後、生地見本を流水(約20℃)下で注意深く濯ぎ、日光に対して保護された格子上で屋内空気で一晩乾燥させた。

    処理後の生地見本の色を、L*a*b* 色空間座標を使用してMinolta CM 2500 分光光度計で測定し、汚点除去効果を実施例6に記載されているΔL*として計算した。 生地見本の両サイドの色を、処理後に測定した。 それぞれの値は、生地見本当たり少なくとも12個の測定の平均であった。 測定は、織物の折り畳みのため、処理中に形成されたしわ跡での領域から避けた(綿汚点Art. 116およびArt. 112)。

    図9A−9Hに示される結果は、マルブランケア サルフレアALKO4122プロテアーゼが、市販のプロテアーゼ調製物 Savinase(登録商標) Ultra16Lと比較して、30および60℃の両方で草汚点(Art. 164, Serial No.23-03)および異なる血液/ミルク/インク汚点(Art.117, Serial No 11-08および10-07, Art.116, Serial No 18-16)に対する良い効果を有することを示す。 溶液の重量(was liquor)あたり10−20単位のSavinase(登録商標) Ultra 16Lの用量は、典型的な使用において、洗浄剤酵素に対するレベル範囲である洗浄剤の重量あたり約0.4−0.7%の酵素調製物の用量と同等であった。

    また、ココア汚点で得られた結果は、Savinase(登録商標) Ultra 16Lと比較して、マルブランケアでより良かった(データは示していない)。 さらなる洗濯試験において(データは示していない)、マルブランケアプロテアーゼは、CFTの以下の汚点(Center for Testmaterials BV, The Netherlands:落花生油、色素、高脂肪乳(high milk)(C−10)、熟成した(aged)卵黄、色素(CS−38)、草抽出物(CS−08))に対しても、30℃で有効であることを見出した。 同じ市販の液体洗浄剤を全ての試験において使用した。 これらの試験の結果は、マルブランケアプロテアーゼが、広範な温度範囲30−60℃で、いくつかの汚点に対して効率的であることを示す。

    実施例8
    洗浄剤粉末とでのマルブランケアALKO4122プロテアーゼ汚点除去能力 洗浄剤の存在下(5g/l)で血液/ミルク/インク標準汚点を除去するトリコデルマにおいて生産されたマルブランケアALKO4122プロテアーゼの能力を、漂白剤、光学的光沢剤およびリン酸塩/ホスホン酸塩ならびに光学的光沢剤および漂白剤を含まないECE参照洗浄剤77を含む市販の従来の洗浄剤粉末(Art. 601, EMPA)を使用することを除いて、実施例7に記載されているのと同様の試験系を使用して50℃で試験した。 また、処理後の生地見本の色を、L*a*b* 色空間座標を使用してMinolta CM 2500 分光光度計で測定し、汚点除去効果を実施例6に記載されているΔL*として計算した。

    結果(図10Aおよび10B)は、マルブランケアALKO4122プロテアーゼがまた、高アルカリ条件(約pH10−10.5)で洗浄剤粉末と共に使用することができることを示す。

    実施例9
    マルブランケアALKO4122プロテアーゼの保存安定性 37℃でトリコデルマにおいて生産されたマルブランケアALKO4122プロテアーゼの保存を、以下の製剤レシピ:1)0.2%(w/w)のProxel LV(preservative, Arch Biosides, UK)、pH調整6、2)20%のプロピレングリコール、pH調整6、3)50%のプロピレングリコール、pH調整5.5、を使用して試験した。 サンプルをSarstedt's試験チューブ(13ml)に入れ、37℃でインキュベートした。 活性を特定の間隔で測定し(実施例3に記載されている)、同様の条件でフザリウムプロテアーゼFe_RF6318(WO2010125174A1)で得られた以前の結果と比較した。

    図11は、マルブランケアALKO4122プロテアーゼが、野生型フザリウムプロテアーゼFe_RF6318と比較して、高温(37℃)で優れた保存安定性を有することを示す。 プロピレングリコールが安定化のために使用されるとき、フザリウムプロテアーゼの残留活性は7日間インキュベーション後に約20%であったが、マルブランケアプロテアーゼは該時間内に活性を喪失しなかった。

    実施例10
    液体洗浄剤におけるマルブランケアALKO4122プロテアーゼの安定性 37℃でトリコデルマにおいて生産されたマルブランケアALKO4122プロテアーゼの安定性を、市販の液体洗浄剤(表3)およびEcolabel参照洗浄剤、軽量用(Ch. Nr. 196-391, wfk Testgewebe GmbH)において試験した。 Savinase(登録商標)16LおよびフザリウムプロテアーゼFe_RF6318(WO2010125174A1)を参照として使用した。

    以下の試験系を使用した:0.4gの酵素調製物および9.6gの洗浄剤溶液を、Sarstedt's試験チューブ(13ml)中でよく混同した。 他の成分と混合する前に、0.2%のProxel LVを洗浄剤において保存料として加えた。 市販の液体洗浄剤において調製されるサンプルのpH値は約8であった。 Ecolabel参照洗浄剤において調製されるサンプルのpH値は約7.2であった。 試験チューブを37℃でインキュベートし、プロテアーゼ活性を、実施例3に記載されている方法にしたがって特定の間隔で測定した。

    図12は、マルブランケアALKO4122が、野生型フザリウムプロテアーゼFe_RF6318(WO2010125174A1)と比較して、液体洗浄剤において、高温(37℃)で非常に良い保存安定性を有することを示す。 マルブランケアプロテアーゼは、Ecolabel参照洗浄剤におけるSavinase(登録商標) 16Lと比較して、同様のレベルの安定性を有した。

    室温で、優れた安定性を観察した(データは示していない)。

    参考文献

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