細胞に形質移入するための方法および製品

申请号 JP2014546024 申请日 2012-12-05 公开(公告)号 JP6073916B2 公开(公告)日 2017-02-01
申请人 ファクター バイオサイエンス インコーポレイテッド; 发明人 エンジェル,マシュー; ローデ,クリストファー;
摘要
权利要求

細胞を未分化の状態に再プログラミングする方法であって、 (a)分化した細胞を、混床イオン交換樹脂及び炭で処理されたアルブミンを含む再プログラミング培地で培養すること; (b)前記細胞に一又は複数の合成RNA分子を形質移入することであって、前記一又は複数の合成RNA分子が、一又は複数の再プログラミング因子をコード化する少なくとも一つのRNA分子を含み、当該形質移入によって、前記細胞が前記一又は複数の再プログラミング因子を発現すること;及び (c)前記細胞が未分化の状態に再プログラムされるよう、連続した5日間の間に少なくとも2回、上記(b)のステップを繰り返すこと を備える方法。前記アルブミンが、更にオクタン酸ナトリウムで処理されている、請求項1に記載の方法。前記アルブミンが、更に少なくとも40℃の温度で処理されている、請求項2に記載の方法。前記一又は複数の合成RNA分子が、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、及びc−Mycタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも一つをコード化する少なくとも一つのRNA分子を含む、請求項1に記載の方法。前記一又は複数の合成RNA分子が、Oct4タンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子、Sox2タンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子、Klf4タンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子、及びc−Mycタンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子を含む、請求項1に記載の方法。前記細胞を、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、RGDペプチド、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン及びラミニンからなる群から選ばれる少なくとも一つと接触させることを更に備える、請求項1に記載の方法。前記一又は複数の合成RNA分子が、プソイドウリジン残基及び5−メチルシチジン残基からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。前記細胞が皮膚細胞である、請求項1に記載の方法。細胞を未分化の状態に再プログラミングする方法であって、 (a)分化した細胞を、アルブミンを含む再プログラミング培地で培養することであって、前記アルブミンは、オクタン酸ナトリウムでの処理、少なくとも40℃の温度への昇温、並びにイオン交換樹脂又は炭での処理をされていること; (b)前記細胞に一又は複数の合成RNA分子を形質移入することであって、前記一又は複数の合成RNA分子が、一又は複数の再プログラミング転写因子をコード化する少なくとも一つのRNA分子を含み、当該形質移入によって、前記細胞が前記一又は複数の合成RNA分子を発現すること;及び (c)前記細胞が未分化の状態に再プログラムされるよう、連続した5日間の間に少なくとも2回、上記(b)のステップを繰り返すこと を備える方法。前記一又は複数の合成RNA分子が、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、及びc−Mycタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも一つをコード化する少なくとも一つのRNA分子を含む、請求項9に記載の方法。前記一又は複数の合成RNA分子が、Oct4タンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子、Sox2タンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子、Klf4タンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子、及びc−Mycタンパク質をコード化する少なくとも一つのRNA分子を含む、請求項9に記載の方法。前記細胞を、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、RGDペプチド、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン及びラミニンからなる群から選ばれる少なくとも一つと接触させることを更に備える、請求項9に記載の方法。前記一又は複数の合成RNA分子が、プソイドウリジン残基及び5−メチルシチジン残基からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む、請求項9に記載の方法。前記細胞が皮膚細胞である、請求項9に記載の方法。

说明书全文

優先権 本願は、2011年12月5日に出願された米国仮出願第61/566,948号、2011年12月12日に出願された米国仮出願第61/569,595号、2012年4月24日に出願された米国仮出願第61/637,570号、2012年5月7日に出願された米国出願第13/465,490号、および2012年6月26日に出願された米国仮出願第61/664,494号の優先権を主張し、それらは参照によりその全体が本明細書に援用される。

本発明は、タンパク質をコード化する核酸、非標準ヌクレオチドを含有する核酸、核酸を含む治療法、タンパク質を発現するように細胞を誘導するための方法、キット、およびデバイス、細胞に形質移入する、細胞を遺伝子編集する、および細胞を再プログラミングするための方法、キット、およびデバイス、ならびにこれらの方法、キット、およびデバイスを用いて産生される細胞、有機体、および治療法に部分的に関する。

電子的に提出されたテキストファイルの説明 本明細書とともに電子的に提出されたテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される:配列表の機械可読フォーマットコピー(ファイル名:FABI_001_01WO_SeqList_ST25.txt;データ記録:2012年12月4日;ファイルサイズ:18KB)。

核酸形質移入 核酸は、核酸を、荷電された脂質、リピドイド、ペプチド、ポリマー、またはそれらの混合物と事前に複合体化することによって、in vitroおよびin vivoの双方で細胞へ送達することができる。そのような形質移入試薬は、市販されており、培養中の細胞に核酸を送達するために広く使用されている。形質移入試薬−核酸複合体に曝露された細胞は、エンドサイトーシスまたは他の手段によってこれらの複合体を中に取り入れることができる。細胞の中に入ると、核酸は、その意図される生物学的機能を実行することができる。タンパク質コード化RNAの場合、例えば、RNAは、細胞のリボソームによってタンパク質中へ翻訳されることができる。

無血清細胞培養 ウシ胎仔血清(FBS)等の動物血清は一般的に、細胞培地内の補足物として多数の種類の細胞の成長を促進するために使用される。しかしながら、血清の不明確な性質は、この構成要素と接触する細胞を研究用途と治療用途との双方に対して望ましくないものにする。その結果、無血清細胞培地が、バッチ間変動、ならびに血清に関連付けられる毒性および/または病原性物質による汚染の危険性を排除するように開発されてきた。

血清中の最も多いタンパク質は、血清アルブミンである。血清アルブミンは、ホルモン、脂肪酸、カルシウムおよび金属イオン、ならびに小分子薬剤を含む広範な種類の分子にin vitroおよびin vivoの双方で結合し、またこれらの分子を、in vitroおよびin vivoの双方で細胞へ輸送することができる。血清アルブミン(最も多くの場合、ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HSA))は、無血清細胞培地における一般的な成分であり、典型的には1〜10g/Lの濃度で使用される。血清アルブミンは伝統的に、エタノール分画法(「Cohn」プロセス)によって血漿から調製される。血清アルブミンを含有する画分(「Cohn画分V」または単に「画分V」)は、単離され、典型的には更なる処理をせずに使用される。したがって、血清アルブミンの標準試料は、タンパク質部分(血清アルブミンポリペプチド)と、会合分子部分(血清アルブミンポリペプチドに結合される塩、脂肪酸等を含む)とを含む。血清アルブミンの会合分子構成要素の組成は概して、複雑であり解明されていない。

血清アルブミンは、特定の特異的用途における使用のために処理されることができる(それらの内容が参照により本明細書に援用される、Barker A method for the deionization of bovine serum albumin.Tissue Culture Association.1975、Droge et al.Biochem Pharmacol.1982;31:3775−9、Ng et al.Nat Protoc.2008;3:768−76、米国特許出願公開第US2010/0168000号を参照のこと)。これらの処理プロセスは、最も一般的には、血清アルブミンの溶液からグロブリンおよび汚染ウイルスを除去するために使用され、また短鎖脂肪酸、オクタン酸の添加、それに続く汚染物質の熱不活性化/沈降による、血清アルブミンポリペプチドの安定化を含むことが多い。高度に特異化された幹細胞培養用途に対して、イオン交換樹脂を用いてBSAの溶液から過剰な塩を除去することは、細胞生存率を上昇させることが示されている(それらの内容が参照により本明細書に援用される、Ng et al.Nat Protoc.2008;3:768−76、米国特許出願公開第US2010/0168000号を参照のこと)。しかしながら、組み換え血清アルブミンは、同じ感受性幹細胞培養用途においてでさえも、そのような処理から利益を得ず(それらの内容が参照により本明細書に援用される、Ng et al. Nat Protoc.2008;3:768−76、米国特許出願公開第US2010/0168000号を参照のこと)、これらの用途における脱イオン化の効果は、アルブミン溶液から過剰な塩を除去することであり、アルブミンの会合分子構成要素を変更することではないことを実証している。それに加えて、ヒト線維芽細胞等の他の細胞種類に及ぼすそのような処理の効果、ならびに形質移入効率および形質移入に関連付けられる毒性に及ぼすそのような処理の効果は、これまで探求されていない。更に、アルブミン会合脂質は、ヒト多能性幹細胞培養に対して重大な意味を持つことが示されており、またアルブミンからこれらを除去することは、脂質が細胞培地に別々に添加される場合でさえも、ヒト多能性幹細胞の自然発生的分化をもたらすことが示されている(その内容が参照により本明細書に援用される、Garcia−Gonzalo et al.PLoS One.2008;3:e1384を参照のこと)。したがって、修飾されていない会合分子構成要素を伴うアルブミンを含有する細胞培地は、ヒト多能性幹細胞の培養に非常に重要であると考えられる。重要なことに、アルブミン等の脂質担体の会合分子構成要素と形質移入効率および形質移入に関連付けられる毒性との間の関連性は、これまでに探求されていない。

細胞再プログラミング 細胞は、それらを、特定の細胞外キューに曝露することによって、および/または特異タンパク質、マイクロRNA等の異所性発現によって、再プログラミングすることができる。幾つかの再プログラミング方法がこれまでに説明されているが、異所性発現に依存する部分は外来性DNAの導入を必要とし、これは突然変異の危険性を伴う可能性がある。再プログラミングタンパク質の直接送達に基づくDNAを含まない再プログラミング方法は報告されているが、しかしながらこれらの方法は、商業的使用にはあまりに非効率的で信頼性がない。それに加えて、RNAに基づく再プログラミング方法が説明されているが、しかしながら、既存のRNAに基づく再プログラミング方法は、成体細胞において実施される場合に低速であり、信頼性が低く、また非効率的であり、多くの形質移入を必要とし(高額な費用およびエラーの起こる機会をもたらす)、限られた数の細胞種類しか再プログラミングすることができず、限られた数の細胞種類へしか細胞を再プログラミングすることができず、免疫抑制剤の使用を必要とし、また血液由来HSAおよびヒト線維芽細胞フィーダーを含む複数のヒト由来構成要素の使用を必要とする。これまでに開示された細胞再プログラミング方法の多数の欠点は、それらを研究上の使用と治療上の使用との双方に対して望ましくないものとする。

遺伝子編集 幾つかの自然発生的タンパク質は、特異的DNA配列、例えば、ジンクフィンガー(ZF)および転写活性化因子様エフェクター(TALE)を認識することができるDNA結合ドメインを含有する。1つ以上のDNA結合ドメインとヌクレアーゼの触媒ドメインとを含有する融合タンパク質は、細胞内のDNAの所望の領域において2本鎖切断を作成するために使用することができる。細胞のDNAに対する1つ以上の相同性の領域を含有するDNA鋳型と組み合わされると、遺伝子編集タンパク質は、DNA配列を挿入する、または別の方法で制御された手法で細胞のDNAの配列を変更するために使用することができる。しかしながら、細胞を遺伝子編集する最新の方法は、DNAに基づくベクターを使用して遺伝子編集タンパク質を発現させる。結果として、これらの遺伝子編集方法は、非効率的であり、制御されない突然変異誘発の危険性を伴い、それらを研究上の使用と治療上の使用との双方に対して望ましくないものにする。体細胞のDNAを含まない遺伝子編集のための方法は、これまでに探究されておらず、体細胞の同時または連続的遺伝子編集および再プログラミングのための方法も同様である。最後に、抗菌、抗ウイルス、または抗がん治療における遺伝子編集の使用は、これまでに探求されていない。

モデル有機体 ノックアウトラットは、ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびTALE−ヌクレアーゼ(TALEN)をコード化する核酸の胚微量注入によって生成されている。配列特異的突然変異(別称「ノックイン」)を導入するための遺伝子編集も、ジンクフィンガーヌクレアーゼをコード化する核酸を胚の中へ注入することによって、マウスおよびラットにおいて報告されている。遺伝子改変ラットは、胚性幹細胞を用いて生成されており、また生殖系列有能ラット多能性幹細胞は、体細胞再プログラミングによって生成されている。しかしながら、マウスおよびラットを含む遺伝子改変有機体を生成するための遺伝子編集された再プログラミング化細胞の使用は、これまでに探求されていない。当該技術分野において、細胞に形質移入するための改善された方法および産生物が必要とされる。

したがって、本発明は、タンパク質を発現するように細胞を誘導するため、ならびに細胞に形質移入する、細胞を再プログラミングする、および細胞を遺伝子編集するための試薬、プロトコル、キット、およびデバイスを提供する。これまでに報告されている方法と異なり、本発明の特定の実施形態は、細胞を外来性DNAまたは同種のもしくは動物由来の材料に曝露することを含まない。

一態様では、本発明は、ピリミジン位置2C、ピリミジン位置4C、ピリミジン位置5C、プリン位置6C、プリン位置7N、およびプリン位置8Cからの1つ以上の置換をそれぞれが含む3つ以上の非標準ヌクレオチドを含む、合成RNA分子を提供する。幾つかの実施形態では、合成RNA分子は、in vitro転写によって産生される。他の実施形態では、合成RNA分子は、5’−キャップ、5’−キャップ1構造、および3’−ポリ(A)テイルのうちの少なくとも1つを更に含む。他の実施形態では、非標準ヌクレオチドのうちの少なくとも2つは、ピリミジンである。また他の実施形態では、非標準ヌクレオチドは、プソイドウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−アザウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−アミノウリジン、5−メチルウリジン、2−チオプソイドウリジン、4−チオプソイドウリジン、5−ヒドロキシプソイドウリジン、5−メチルプソイドウリジン、5−アミノプソイドウリジン、プソイドイソシチジン、5−メチルシチジン、N4−メチルシチジン、2−チオシチジン、5−アザシチジン、5−ヒドロキシシチジン、5−アミノシチジン、N4−メチルプソイドイソシチジン、2−チオプソイドイソシチジン、5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、5−アミノプソイドイソシチジン、5−メチルプソイドイソシチジン、N6−メチルアデノシン、7−デアザアデノシン、6−チオグアノシン、7−デアザグアノシン、8−アザグアノシン、6−チオ−7−デアザグアノシン、6−チオ−8−アザグアノシン、7−デアザ−8−アザグアノシン、および6−チオ−7−デアザ−8−アザグアノシンのうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、非標準ヌクレオチドのうちの少なくとも2つは、合成RNA分子の20%未満をそれぞれ構成する。また他の実施形態では、非標準ヌクレオチドは、プソイドウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−アザウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−アミノウリジン、5−メチルウリジン、2−チオプソイドウリジン、4−チオプソイドウリジン、5−ヒドロキシプソイドウリジン、5−メチルプソイドウリジン、および5−アミノプソイドウリジンのうちの少なくとも1つと、プソイドイソシチジン、5−メチルシチジン、N4−メチルシチジン、2−チオシチジン、5−アザシチジン、5−ヒドロキシシチジン、5−アミノシチジン、N4−メチルプソイドイソシチジン、2−チオプソイドイソシチジン、5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、5−アミノプソイドイソシチジン、および5−メチルプソイドイソシチジンのうちの少なくとも1つと、を含む。更なる実施形態では、非標準ヌクレオチドは、N6−メチルアデノシン、7−デアザアデノシン、6−チオグアノシン、7−デアザグアノシン、8−アザグアノシン、6−チオ−7−デアザグアノシン、6−チオ−8−アザグアノシン、7−デアザ−8−アザグアノシン、および6−チオ−7−デアザ−8−アザグアノシンのうちの少なくとも1つを更に含む。

別の態様では、本発明は、非標準ヌクレオチドを含み、また遺伝子編集タンパク質をコード化する、合成RNA分子を提供する。

別の実施形態では、本発明は、本明細書に説明される合成RNA分子を含む治療用組成物を提供する。

別の態様では、本発明は、遺伝子編集タンパク質をコード化する合成RNA分子と形質移入試薬とを含む治療用組成物を提供する。

別の実施形態では、本発明は、細胞に核酸を形質移入するための方法であって、細胞を本明細書に説明される合成RNA分子と接触させることを含む方法を提供する。

別の実施形態では、本発明は、関心のタンパク質を発現するように哺乳類細胞を誘導するための方法であって、細胞を本明細書に説明される合成RNA分子と接触させることを含む方法を提供する。

別の実施形態では、本発明は、細胞を再プログラミングするための方法であって、細胞を本明細書に説明される合成RNA分子と接触させることを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、細胞を遺伝子編集するための方法であって、細胞を本明細書に説明される合成RNA分子と接触させることを含む方法を提供する。

別の態様では、本発明は、細胞に核酸を形質移入するための方法であって、細胞を、ヒドロコルチゾンおよび/またはアルブミンを含有する培地と接触させることであって、該アルブミンはイオン交換樹脂または炭で処理されることと、細胞を核酸と接触させることと、を含む方法を提供する。一実施形態では、アルブミンは、短鎖脂肪酸で処理される、および/または少なくとも40℃の温度に昇温される。他の実施形態では、方法は、細胞を形質移入試薬と接触させることを更に含む。他の実施形態では、細胞は、哺乳類細胞であり、また該哺乳類細胞は、関心のタンパク質を発現するように誘導される。他の実施形態では、方法は、連続した5日間の間に少なくとも2回、細胞を核酸と接触させることを更に含む。幾つかの実施形態では、核酸は、再プログラミングタンパク質をコード化する。他の実施形態では、細胞は、再プログラミングされる。また別の実施形態では、細胞は、皮膚細胞であり、該皮膚細胞を、皮膚細胞、多能性幹細胞、グルコース応答性インスリン産生細胞、造血細胞、心細胞、および網膜細胞のうちの少なくとも1つの成長を支持する条件下で培養することを更に含み、また該皮膚細胞は、皮膚細胞、多能性幹細胞、グルコース応答性インスリン産生細胞、造血細胞、心細胞、および網膜細胞から選択される細胞へ再プログラミングされる。また別の実施形態では、核酸は、Oct4タンパク質をコード化する。また別の実施形態では、方法は、細胞を、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、およびc−Mycタンパク質のうちの少なくとも1つをコード化する核酸と接触させることを更に含む。また別の実施形態では、方法は、細胞を、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、およびc−Mycタンパク質をコード化する1つ以上の核酸と接触させることを更に含む。また他の実施形態では、核酸は、遺伝子編集タンパク質をコード化する。また他の実施形態では、核酸は、単独で、または1つ以上の他の分子との組み合わせで作用して、DNA分子中に1本鎖または2本鎖切断を作成する、タンパク質をコード化する。種々の実施形態では、細胞は、遺伝子編集される。幾つかの実施形態では、1本鎖または2本鎖切断は、CCR5、CXCR4、GAD1、GAD2、CFTR、HBA1、HBA2、HBB、HBD、FANCA、XPA、XPB、XPC、ERCC2、POLH、HTT、DMD、SOD1、APOE、APP、LRRK2、PRNP、BRCA1、およびBRCA2、またはそれらの類似体、変異体、もしくはファミリーメンバーから選択される遺伝子の転写開始部位の約5,000,000塩基以内にある。幾つかの実施形態では、方法は、細胞を、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、RGDペプチド、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、およびラミニン、またはそれらの生物学的に活性な断片、機能変異体、もしくはファミリーメンバーのうちの少なくとも1つと接触させることを更に含む。また他の実施形態では、核酸は、プソイドウリジン、5−メチルプソイドウリジン、および5−メチルシチジンのうちの少なくとも1つを含有してもよい合成RNA分子である。幾つかの実施形態では、方法は、細胞を分化因子と接触させること、および/または患者から細胞を採取すること、および/または細胞を患者へ送達することを提供する。

別の態様では、本発明は、アルブミンを含む培地であって、該アルブミンは組み換え体であり、イオン交換樹脂または炭で処理される、培地を提供する。別の実施形態では、培地は、緩衝食塩およびアミノ酸、ならびに/またはインスリン、トランスフェリン、およびセレニウムのうちの1つ以上、ならびに/またはコレステロールならびに/またはステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン等)および/または免疫抑制剤(例えば、B18R等)を更に含む。

別の態様では、本発明は、ヒドロコルチゾンおよび/またはアルブミンであって、該アルブミンはイオン交換樹脂または炭で処理される、ヒドロコルチゾンおよび/またはアルブミンと、合成RNA分子と、を含む、キットを提供する。一実施形態では、合成RNA分子は、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、c−Mycタンパク質、Nanogタンパク質、Lin28タンパク質、およびUtflタンパク質のうちの少なくとも1つをコード化する。別の実施形態では、キットは、形質移入試薬および/または本明細書に説明される合成RNA分子を更に含む。別の実施形態では、キットは、再プログラミングキットおよび/または遺伝子編集キットである。

別の態様では、本発明は、核酸と形質移入試薬とを含む核酸形質移入試薬複合体であって、該核酸形質移入試薬複合体は、冷却によって固化される、核酸形質移入試薬複合体を提供する。幾つかの実施形態では、核酸形質移入試薬複合体は、該核酸形質移入試薬複合体を液相および/または気相中で液体窒素と接触させることによって固化される。

別の態様では、本発明は、細胞に形質移入するための方法であって、細胞を本明細書に説明される核酸形質移入試薬複合体と接触させることを含む方法を提供する。

別の態様では、本発明は、細胞に形質移入するための細胞システムであって、細胞を形質移入培地と接触させるための手段と、細胞を核酸形質移入試薬複合体と接触させるための手段とを備えるシステムを提供する。幾つかの実施形態では、細胞の周囲雰囲気は、約5%の二酸化炭素および/または約5%の酸素を含有する。

幾つかの実施形態では、本発明は、本明細書に説明される方法によって産生される細胞を含む細胞および/または有機体および/または治療用組成物および/または治療用組成物を提供する。

幾つかの態様では、低毒性および高翻訳効率を有する合成RNA分子が提供される。他の態様では、合成RNA分子を産生し、細胞へ送達するための方法、キット、およびデバイスが提供される。また他の態様では、細胞の高効率の形質移入、再プログラミング、および遺伝子編集のための細胞培地が提供される。他の態様は、1型糖尿病、虚血性心筋症および拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性、パーキンソン病、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、重症複合免疫不全症、遺伝性感覚性ニューロパシー、色素性乾皮症、ハンチントン病、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、がん、ならびに肝炎およびHIV/AIDSを含む感染症の治療の目的を含む、合成RNA分子を含む治療法に関する。更なる態様は、1型糖尿病、虚血性心筋症および拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性、パーキンソン病、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、重症複合免疫不全症、遺伝性感覚性ニューロパシー、色素性乾皮症、ハンチントン病、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、がん、ならびに肝炎およびHIV/AIDSを含む感染症の治療の目的を含む、細胞を含む治療法に関する。 本発明は、添付の図面の図において、制限としてではなく、例として、例証される。

変性ホルムアルデヒドアガロースゲル上に分離された、指示されたタンパク質をコード化するRNAを描写する。

Oct4をコード化し、また指示されるヌクレオチドを含む合成RNAを形質移入された、初代ヒト線維芽細胞を描写する。「A」はアデノシンを指し、「G」はグアノシンを指し、「U」はウリジンを指し、「C」はシチジンを指し、「psU」はプソイドウリジンを指し、「5mC」は5−メチルシチジンを指し、「N4mC」はN4−メチルシチジンを指し、「7dG」は7−デアザグアノシンを指し、また「psisoC」はプソイドイソシチジンを指す。ヌクレオチドの前の数は、in vitro転写反応における対応するヌクレオチド−5’−三リン酸の画分を示す。例えば、0.5N4mCは、同量のN4−メチルシチジン−5’−三リン酸とシチジン−5’−三リン酸とを含有するin vitro転写反応において合成されたRNAを指す。細胞は、固定され、形質移入の20時間後にOct4タンパク質に関して染色された。

Oct4をコード化し、また指示されるヌクレオチドを含む合成RNAで形質移入された、初代ヒト線維芽細胞の培養物のOct4発現および細胞密度を描写する。ヌクレオチドは、「7dA」が7−デアザアデノシンを指し、また「piC」がプソイドイソシチジンを指すことを除いて図2Aの通りに短縮される。細胞密度は、非形質移入細胞に対して正規化されて示される。標準ヌクレオチドのみを含有する合成RNAに対して正規化されたOct4発現が示される。エラーバーは標準誤差を示す(n=3)。

コロニーを採集し、基底膜抽出物でコーティングされたプレート上蒔いた1日後の、初代ヒト線維芽細胞にタンパク質Oct4、Sox2、Klf4、c−Myc−2(T58A)、およびLin28をコード化するRNAを形質移入することによって生成された、再プログラミングされた細胞株を描写する。

多能性幹細胞マーカーOct4およびSSEA4に関して染色された、図3Aの通り生成された再プログラミングされた細胞株を描写する。「Hoechst」とラベル付けされたパネルは核を示し、また「統合」とラベル付けされたパネルは、3つのチャネルからの統合された信号を示す。

図3Aの通りに形質移入および培養された初代ヒト線維芽細胞を描写する。合計5回の形質移入が実施された。画像は、7日目に撮影された。再プログラミングされた形態を有する細胞の幾つかのコロニーを見ることができる。

1.5mm直径の皮膚パンチ生検組織標本を描写する。

図4Aの通り採取され、酵素を含有する溶液の気液界面にて懸濁された組織標本を描写する。

図4Aの通り採取され、図4Bの通り解離され、96ウェルプレートのウェル内に蒔いた初代ヒト線維芽細胞を描写する。

インスリン産生細胞へ再プログラミングされた初代ヒト線維芽細胞を描写する。細胞は、固定され、インスリンに関して染色された。

造血細胞へ再プログラミングされた初代ヒト線維芽細胞を描写する。細胞は、固定され、CD34に関して染色された。

拍動する心細胞へ再プログラミングされた初代ヒト線維芽細胞を描写する

RNA TALEN(商標)主鎖を産生するためのin vitro転写鋳型の順鎖を描写する。

完全なRNA TALEN(商標)鋳型を形成する、一連のモノマー反復を組み込むためのGolden−Gateクローン作成反応後の図6Aの鋳型を描写する。

図6Bの鋳型から産生される、5’−キャップ、3’−ポリ(A)−テイルを有するRNA TALEN(商標)を描写する。

図6Bの鋳型の配列を描写しており、RNA TALEN(商標)が、DNAの20bp領域に結合するように設計され、また「X(02)X」、「X(03)X」等とラベル付けされた領域は、特定のDNA配列を標的とするように選択されることができる反復可変ドメイン(RVD)を表す。この鋳型は、RNA TALEN(商標)をコード化し、RVDに関係なくRNA TALEN(商標)によって結合される第1の残基はチミジン残基であり、したがって第1のRVDは「X(01)X」の代わりに「X(02)X」と標識される。

遺伝子編集および再プログラミングされた初代ヒト線維芽細胞を描写する。矢印は、再プログラミングされた形態を有する細胞のコロニーを示す。

自動または半自動様式で細胞に形質移入および/または細胞を再プログラミングすることが可能なシステムの正面図を描写する。

図9Aのシステムの裏面を描写する。

図9Aのシステムの主要な構成要素を描写する。

複合体形成培地内部のRNAと形質移入試薬との複合体形成を描写する。

核酸を含有する事前に複合体化されたペレットを分配するための2つの方法を描写する。

吸引を用いてウェルプレートから蓋を取り外すための方法を描写する。

把持部を用いてウェルプレートから蓋を取り外すために方法を描写する。

細胞を撮像、インキュベート、ないしは別の方法で細胞を操作するための設備との操作可能な組み合わせにおいて、自動または半自動様式で細胞を形質移入および/または再プログラミングすることが可能なシステムを描写する。

定義 「分子」は、分子実体(分子、イオン、複合体等)を意味する。

「タンパク質」は、ポリペプチドを意味する。

「RNA分子」は、RNAを含む分子を意味する。

「合成RNA分子」は、生体工学を用いて細胞の外部で産生されるまたは細胞の内部で産生されるRNA分子を意味し、例えば、in vitro転写反応において産生されるRNA分子、直接化学合成によって産生されるRNA分子、または遺伝子操作された大腸菌細胞内に産生されるRNA分子等である。

「ヌクレオチド」は、ヌクレオチドまたはその断片もしくは誘導体を意味し、例えば、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド−三リン酸等である。

「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドを意味する。

「形質移入」は、細胞を分子と接触させることを意味し、分子は該細胞によって取り込まれる。

「形質移入に際し」は、形質移入中または形質移入後を意味する。

「形質移入試薬」は、分子と会合し、細胞への分子の送達および/または細胞による分子の取り込みを促進する物質または物質の混合物を意味し、例えば、カチオン性脂質、荷電されたポリマー、または細胞透過性ペプチド等である。

「試薬に基づいた形質移入」は、形質移入試薬を用いた形質移入を意味する。

「細胞培地」は、細胞培養に使用することができる培地を意味し、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)またはDMEM+10%ウシ胎仔血清(FBS)等である。

「複合体形成培地」は、それに対して形質移入試薬と形質移入される分子とが添加され、その中で形質移入試薬が、形質移入される分子と会合する培地を意味する。

「形質移入培地」は、形質移入のために使用することができる培地を意味し、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)またはDMEM/F12等である。

「組み換えタンパク質」は、動物またはヒト内で産生されないタンパク質またはペプチドを意味する。非限定的例としては、細菌内で産生されるヒトトランスフェリン、マウス細胞のin vitro培養において産生されるヒトフィブロネクチン、およびイネ内で産生されるヒト血清アルブミンが挙げられる。

「脂質担体」は、水溶液中の脂質または脂溶性分子の可溶性を増加させることができる物質を意味し、例えば、ヒト血清アルブミンまたはメチル−β−シクロデキストリン等である。

「Oct4タンパク質」は、POU5F1遺伝子によってコード化されるタンパク質、あるいはその自然もしくは改変された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、または融合構築物であり、例えば、ヒトOct4タンパク質(配列番号1)、マウスOct4タンパク質、Oct1タンパク質、POU5F1偽遺伝子2によってコード化されるタンパク質、Oct4タンパク質のDNA結合ドメイン、またはOct4−GFP融合タンパク質等である。幾つかの実施形態では、Oct4タンパク質は、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有する、または他の実施形態では、配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、90%、もしくは95%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、Oct4タンパク質は、配列番号1に対して1から20個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、Oct4タンパク質は、配列番号1に対して1〜15または1から10個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。

「Sox2タンパク質」は、SOX2遺伝子によってコード化されるタンパク質、またはその自然もしくは改変された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、または融合構築物を意味し、例えば、ヒトSox2タンパク質(配列番号2)、マウスSox2タンパク質、Sox2タンパク質のDNA結合ドメイン、またはSox2−GFP融合タンパク質等である。幾つかの実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号2と少なくとも70%の同一性、または他の実施形態では、配列番号2と少なくとも75%、80%、85%、90%、もしくは95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号2に対して1から20個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号2に対して1から15または1から10個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。

「Klf4タンパク質」は、KLF4遺伝子によってコード化されるタンパク質、あるいはその自然もしくは改変された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、または融合構築物を意味し、例えば、ヒトKlf4タンパク質(配列番号3)、マウスKlf4タンパク質、Klf4タンパク質のDNA結合ドメイン、またはKlf4−GFP融合タンパク質等である。幾つかの実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号3と少なくとも70%の同一性、または他の実施形態では、配列番号3と少なくとも75%、80%、85%、90%、もしくは95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号3に対して1から20個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号3に対して1から15または1から10個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。

「c−Mycタンパク質」は、MYC遺伝子によってコード化されるタンパク質、あるいはその自然もしくは改変された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、または融合構築物を意味し、例えば、ヒトc−Mycタンパク質(配列番号4)、マウスc−Mycタンパク質、1−Mycタンパク質、c−Myc(T58A)タンパク質、c−Mycタンパク質のDNA結合ドメイン、またはc−Myc−GFP融合タンパク質等である。幾つかの実施形態では、c−Mycタンパク質は、配列番号4と少なくとも70%の同一性、または他の実施形態では、配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、90%、もしくは95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、c−Mycタンパク質は、配列番号4に対して1から20個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、c−Mycタンパク質は、配列番号4に対して1から15または1から10個のアミノ酸挿入、欠失、または置換(全体として)を有するアミノ酸配列を含む。

「再プログラミングする」は、細胞の表現型において変化を生じさせることを意味し、例えば、β−細胞前駆体を成熟β−細胞へと分化させること、線維芽細胞を多能性幹細胞へと脱分化させること、ケラチノサイトを心臓幹細胞へと分化形質転換させること、またはニューロンの軸策を成長させること等である。

「再プログラミング因子」は、細胞が分子と接触する、および/または細胞が分子を発現するときに、単独でまたは他の分子と組み合わせて再プログラミングすることが可能な分子を意味し、例えば、Oct4タンパク質等である。

「フィーダー」は、培地を条件化(condition)するため、または別の方法で培養中の他の細胞の成長を支持するために使用することができる細胞を意味する。

「条件化する(conditioning)」は、1つ以上のフィーダーを培地と接触させることを意味する。

「脂肪酸」は、少なくとも2個の炭素原子の脂肪族鎖を含む分子を意味し、例えば、リノール酸、α−リノレン酸、オクタン酸、ロイコトリエン、プロスタグランジン、コレステロール、グルココルチコイド、レゾルビン、プロテクチン、トロンボキサン、リポキシン、マレシン(maresin)、スフィンゴ脂質、トリプトファン、N−アセチルトリプトファン、またはそれらの塩、メチルエステル、もしくは誘導体等である。

「短鎖脂肪酸」は、2〜30個の間の炭素原子の脂肪族鎖を含む脂肪酸を意味する。

「アルブミン」は、水中で高度に可溶性であるタンパク質を意味し、例えば、ヒト血清アルブミン等である。

「会合分子」は、別の分子に非共有的に結合される分子を意味する。

「アルブミンの会合分子構成要素」は、アルブミンポリペプチドに結合される1つ以上の分子を意味し、例えば、アルブミンポリペプチドに結合される脂質、ホルモン、コレステロール、カルシウムイオン等である。

「処理されたアルブミン」は、アルブミンの会合分子構成要素を低減、除去、置換、または別の方法で不活性化させるように処理されたアルブミンを意味し、例えば、高温でインキュベートされたヒト血清アルブミン、オクタン酸ナトリウムと接触させたヒト血清アルブミン、または多孔質物質と接触させたヒト血清アルブミン等である。

「イオン交換樹脂」は、イオンが含有する溶液と接触するとき、イオンのうちの1つ以上を1つ以上の異なるイオンと置換することができる物質を意味し、例えば、1つ以上のカルシウムイオンを1つ以上のナトリウムイオンと置換することができる物質等である。

「胚細胞」は、精細胞または卵細胞を意味する。

「多能性幹細胞」は、3胚葉全て(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の細胞へとin vivoで分化することができる細胞を意味する。

「体細胞」は、多能性幹細胞または胚細胞ではない細胞を意味し、例えば、皮膚細胞等である。

「グルコース応答性インスリン産生細胞」は、特定の濃度のグルコースに曝露されるとき、その細胞が異なる濃度のグルコースに曝露されるときに細胞が産生および/または分泌するインスリンの量と異なる(少ないかまたは多い)量のインスリンを産生および/または分泌することができる細胞を意味し、例えば、β−細胞等である。

「造血細胞」は、血液細胞、または血液細胞へと分化することができる細胞を意味し、例えば、造血幹細胞または白血球等である。

「心細胞」は、心臓細胞、または心臓細胞へと分化することができる細胞を意味し、例えば、心臓幹細胞または心筋細胞等である。

「網膜細胞」は、網膜の細胞、または網膜の細胞へと分化することができる細胞を意味し、例えば、網膜色素上皮細胞等である。

「皮膚細胞」は、皮膚において通常見出される細胞を意味し、例えば、線維芽細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、脂肪細胞、間葉系幹細胞、脂肪幹細胞、または血液細胞等である。

「Wntシグナル伝達作動薬」は、タンパク質のWntファミリーの1つ以上のメンバーの1つ以上の生物学的機能を実施することができる分子を意味し、例えば、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、または2−アミノ−4−[3,4−(メチレンジオキシ)ベンジルアミノ]−6−(3−メトキシフェニル)ピリミジン等である。

「IL−6シグナル伝達作動薬」は、IL−6タンパク質の1つ以上の生物学的機能を実施することができる分子を意味し、例えば、IL−6タンパク質またはIL−6受容体(可溶性IL−6受容体、IL−6R、IL−6Rα等としても知られる)等である。

「TGF−βシグナル伝達作動薬」は、タンパク質のTGF−βスーパーファミリーの1つ以上のメンバーの1つ以上の生物学的機能を実施することができる分子を意味し、例えば、TGF−β1、TGF−β3、アクチビンA、BMP−4、またはNodal等である。

「免疫抑制剤」は、免疫系の1つ以上の特徴を抑制することができ、また哺乳類には通常存在しない物質を意味し、例えば、B18Rまたはデキサメタゾン等である。

「遺伝子編集する」は、細胞のDNA配列を変更することを意味する。

「遺伝子編集タンパク質」は、単独でまたは別の分子と組み合わせて、細胞のDNA配列を変更することができるタンパク質を意味し、例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、あるいはその自然もしくは改変された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、または融合構築物等である。

「1本鎖切断」は、ヌクレオチドを結合している共有結合のうちの1つ以上が1本鎖または2本鎖のうちの1つにおいて切断されている、1本鎖または2本鎖DNAの領域を意味する。

「2本鎖切断」は、ヌクレオチドを結合している共有結合のうちの1つ以上が2本鎖の各々において切断されている、2本鎖DNAの領域を意味する。

血清アルブミンは、無血清細胞培地の一般的な構成要素である。血清アルブミンは形質移入を阻害することが可能であること、また非処理血清アルブミンを無血清細胞培地において通常使用される濃度において形質移入培地中に含むことは、形質移入に際して低い形質移入効率および/または低い細胞生存率をもたらし得ることがここで見出された。血清アルブミンポリペプチドは、脂質、イオン、コレステロール等を含む広範な種類の分子にin vitroおよびin vivoの両方で結合することができ、またその結果、血液から単離される血清アルブミンと組み換え血清アルブミンとの両方は、ポリペプチド構成要素と会合分子構成要素とを含む。形質移入に際して血清アルブミンによって引き起こされる低い形質移入効率および低い細胞生存率は、血清アルブミンの会合分子構成要素によって部分的に引き起こされ得ることがここで見出された。更に、血清アルブミンの会合分子構成要素を部分的または完全に低減、除去、置換、または別の方法で不活性化することによって、形質移入効率が増加され得ること、および形質移入関連毒性が低減され得ることが見出された。本発明の特定の実施形態はしたがって、タンパク質の会合分子構成要素を部分的または完全に低減、除去、置換、または別の方法で不活性化するようにタンパク質を処理するための方法に関する。他の実施形態は、タンパク質の会合分子構成要素を部分的または完全に低減、除去、置換、または別の方法で不活性化するように処理されたタンパク質に関する。

特定の実施形態は、タンパク質を、タンパク質によって引き起こされる形質移入に際する低い形質移入効率および/または低い細胞生存率を低減させる1つ以上の分子と接触させることによって、タンパク質を処理するための方法に関する。血清アルブミンを短鎖脂肪酸、オクタン酸ナトリウム(「オクタン酸」、「オクタノエート」、「カプリレート」、または「カプリル酸」としても知られる)と接触させることは、特定の状況において血清アルブミンによって引き起こされる形質移入に際する低い形質移入効率および低い細胞生存率を低減させることが見出された。タンパク質を処理するために使用することができる他の物質としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、トリプトファン、N−アセチルトリプトファン、コレステロール、他の脂肪酸、ならびにその塩、混合物、断片、および誘導体が挙げられる。タンパク質を処理するための物質は、純物質、明確に定義された混合物、または例えば、タラ肝油等の動物系もしくは植物系油脂といった、複雑なもしくは明確に定義されていない混合物であり得る。特定の実施形態では、タンパク質は、タンパク質が精製された後に処理される。他の実施形態では、タンパク質は、タンパク質が精製される前に処理される。また他の実施形態では、タンパク質は、タンパク質が精製されるのと同時に処理される。また他の実施形態では、タンパク質は処理され、またタンパク質は精製されない。

タンパク質を高温でインキュベートすることは、タンパク質のポリペプチド構成要素の部分的または完全な変性を引き起こすことができ、それはタンパク質の会合分子構成要素の維持に決定的であり得る結合部位を低減または排除することができる。特定の実施形態はしたがって、タンパク質を高温でインキュベートすることによってタンパク質を処理するための方法に関する。一実施形態では、タンパク質は、少なくとも約40℃の温度で少なくとも約10分間インキュベートされる。別の実施形態では、タンパク質は、少なくとも約50℃の温度で少なくとも約10分間インキュベートされる。別の実施形態では、タンパク質は、少なくとも約55℃の温度で少なくとも約30分間インキュベートされる。一実施形態では、タンパク質は、オクタン酸ナトリウムと接触し、次に約60℃で数時間、例えば、約1時間〜約24時間の間、または約2時間〜約6時間の間インキュベートされる。別の実施形態では、オクタン酸ナトリウムの濃度は、約5mM〜約50mMの間、または約10mM〜約40mMの間である。特定の実施形態では、オクタン酸ナトリウムは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、トリプトファン、N−アセチルトリプトファン、およびコレステロール、またはその塩、混合物、断片、および誘導体のうちの少なくとも1つの要素と置換される、または組み合わせて使用される。

糖化およびグリコシル化は、それによって1つ以上の糖分子がタンパク質に結合されるプロセスである。糖化およびグリコシル化は、タンパク質の結合特性に影響を与えることができ、血清アルブミンは複数の潜在的糖化部位を含有する。特定の実施形態はしたがって、タンパク質を糖化またはグリコシル化することによってタンパク質を処理するための方法に関する。

イオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂、および混床樹脂を含み、溶液を脱イオン化するために日常的に使用される。血清アルブミン等のタンパク質の会合分子構成要素は、イオンを含むことができる。特定の実施形態はしたがって、タンパク質を1つ以上のイオン交換樹脂と接触させることによってタンパク質を処理するための方法に関する。一実施形態では、1つ以上のイオン交換樹脂としては、陽子(H+)およびヒドロキシル(OH−)形態を有する官能基を含有する混床樹脂が挙げられる。別の実施形態では、1つ以上のイオン交換樹脂としては、樹脂がイオンで飽和したときに色を変える指示薬が挙げられる。1つ以上のイオン交換樹脂と接触させることに加えて、他の方法が、タンパク質の会合分子構成要素を低減、除去、置換、または別の方法で不活性化するために使用することができ、タンパク質を硫酸デキストラン等の化学物質で活性化および/または処理されてもよい炭と接触させること、透析(脱会合分子をその後溶液から除去するかどうかにかかわらず、会合分子構成要素の脱会合をもたらす希釈を含む)、結晶化、クロマトグラフィー、電気泳動、熱処理、低温処理、高pH処理、低pH処理、有機溶剤沈降、および親和性精製が挙げられる。

タンパク質を処理するための特定の方法は好ましくは、特定の種類の分子を低減、除去、置換、もしくは別の方法で不活性化してもよい。したがって、特定の状況では、形質移入に際してタンパク質によって引き起こされる低い形質移入効率および/または低い細胞生存率を低減させるようにタンパク質を処理するための2つ以上の方法を組み合わせることが有益となり得る。特定の実施形態はしたがって、タンパク質の会合分子構成要素を低減、除去、置換、または別の方法で不活性化するための2つ以上の方法を用いて、タンパク質を処理するための方法に関する。一実施形態では、タンパク質は、1つ以上のイオン交換樹脂および活性炭と接触する。別の実施形態では、タンパク質は、オクタン酸ナトリウムと接触し、高温にてインキュベートされ、1つ以上のイオン交換樹脂と接触し、また活性炭と接触する。別の実施形態では、タンパク質は血清アルブミンであり、また高温は少なくとも約50℃である。

タンパク質の会合分子構成要素の特定の要素は、培養および/または形質移入における細胞にとって有益であり得、例えば、特定のレゾルビン、プロテクチン、リポキシン、マレシン、エイコサノイド、プロスタサイクリン、トロンボキサン、ロイコトリエン、シクロペンテノンプロスタグランジン、およびグルココルチコイドである。特定の実施形態はしたがって、タンパク質の会合分子構成要素の1つ以上の有益な要素を低減、除去、置換、または別の方法で不活性化することなく、タンパク質の会合分子構成要素を低減、除去、置換、または別の方法で不活性化するようにタンパク質を処理するための方法に関する。他の実施形態は、タンパク質の会合分子構成要素を低減、除去、置換、または別の方法で不活性化するようにタンパク質を処理し、また更に該タンパク質を、タンパク質の会合分子構成要素の1つ以上の有益な要素を含む1つ以上の分子と接触させるための方法に関する。

また他の実施形態は、タンパク質を、タンパク質の会合分子構成要素の1つ以上の有益な要素を含む1つ以上の分子と接触させることによって、形質移入に際してタンパク質によって引き起こされる低い形質移入効率および/または低い細胞生存率を低減させるようにタンパク質を処理するための方法に関する。また他の実施形態は、細胞を、タンパク質の会合分子構成要素の1つ以上の有益な要素を含む1つ以上の分子と接触させることによって、形質移入に際し形質移入効率を増加させる、および/または細胞生存率を増加させるための方法に関する。一実施形態では、タンパク質は、1つ以上のイオン交換樹脂または炭と接触し、またヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、またはベタメタゾン等のグルココルチコイドと更に接触する。別の実施形態では、細胞は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、またはベタメタゾン等のグルココルチコイドと接触する。特定の状況では、1つ以上のステロイドおよび/または1つ以上の酸化防止剤を形質移入培地中に含むことは、形質移入効率、再プログラミング効率、および遺伝子編集効率を増加させ得ることが更に見出された。特定の実施形態はしたがって、細胞をステロイドを含有する培地中で培養すること、および細胞を1つ以上の合成RNA分子と接触させることによって、関心のタンパク質を発現するように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、ステロイドは、ヒドロコルチゾンである。別の実施形態では、ヒドロコルチゾンは、約0.1uM〜約10uMの間、または約1uMの濃度で培地中に存在する。他の実施形態は、細胞を酸化防止剤を含有する培地中で培養すること、および細胞を1つ以上の合成RNA分子と接触させることによって、関心のタンパク質を発現するように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、酸化防止剤は、アスコルビン酸またはアスコルビン酸−2−ホスフェートである。別の実施形態では、アスコルビン酸またはアスコルビン酸−2−ホスフェートは、約50mg/Lを含む、約0.5mg/L〜約500mg/Lの間の濃度で培地中に存在する。また他の実施形態は、ステロイドおよび/または酸化防止剤を含有する培地中で細胞を培養すること、ならびに細胞を1つ以上の合成RNA分子と接触させることによって、細胞を再プログラミングおよび/または遺伝子編集するための方法であって、1つ以上の合成RNA分子は、1つ以上の再プログラミングおよび/または遺伝子編集タンパク質をコード化する方法に関する。特定の実施形態では、細胞は、有機体中に存在し、ステロイドおよび/または酸化防止剤は、該有機体へと送達される。

トランスフェリンの複合体形成培地への添加は、特定の状況においてプラスミド形質移入の効率を増加させることが報告された。トランスフェリンの複合体形質培地への添加はまた、合成RNA分子を用いた形質移入の効率を向上させ得ることもここで見出された。特定の実施形態はしたがって、1つ以上の合成RNA分子および形質移入試薬を、トランスフェリンを含有する溶液に添加することによって、関心のタンパク質を発現するように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、トランスフェリンは、例えば、約5mg/L等、約1mg/L〜約100mg/Lの間の濃度で溶液中に存在する。別の実施形態では、トランスフェリンは組み換え体である。

他の実施形態は、本発明の1つ以上の方法に従って処理されるタンパク質を含有する培地に関する。特定の実施形態では、タンパク質は、培地の他の成分のうちの1つ以上と混合される前に処理される。一実施形態では、培地は、形質移入培地である。別の実施形態では、培地はまた、効率的な形質移入および高い細胞生存率を支持する。特定の実施形態では、タンパク質と形質移入に際しタンパク質によって引き起こされる低い形質移入効率および/または低い細胞生存率を低減させる1つ以上の分子とは、独立して培地に添加される。一実施形態では、タンパク質は、培地の他の成分のうちの1つ以上と混合される前に処理される。別の実施形態では、培地は、まず血清アルブミンの濃縮液を1つ以上のイオン交換樹脂と接触させることによって血清アルブミンの濃縮液を処理し、次に血清アルブミンの濃縮液から1つ以上のイオン交換樹脂を除去し、次に処理された血清アルブミンの濃縮液を培地の他の構成要素に添加することによって調製される。別の実施形態では、血清アルブミンの濃縮液は更に、血清アルブミンの濃縮液を培地の他の構成要素へ添加する前に炭と接触する。また別の実施形態では、血清アルブミンの濃縮液は、まずオクタン酸ナトリウムと接触し、次に少なくとも約50℃の温度に少なくとも約10分間昇温され、次に1つ以上のイオン交換樹脂と接触し、次に活性炭と接触し、また次に培地の他の構成要素に添加される。

緩衝食塩水、アミノ酸、コレステロール、ヒドロコルチゾン、および血清アルブミンを含有する培地を用いた細胞への形質移入は、効率的な形質移入をもたらし得ること、また緩衝食塩水、アミノ酸、インスリン、トランスフェリン、コレステロール、ヒドロコルチゾン、血清アルブミン、および線維芽細胞成長因子から本質的になる培地を用いた細胞への形質移入は、効率的な形質移入および効率的な再プログラミングをもたらし得ることがここで見出された。特定の実施形態はしたがって、緩衝食塩水、アミノ酸、コレステロール、ヒドロコルチゾン、および血清アルブミンを含有する形質移入培地に関する。他の実施形態は、緩衝食塩水、アミノ酸、インスリン、トランスフェリン、コレステロール、ヒドロコルチゾン、血清アルブミン、および線維芽細胞成長因子から本質的になる、および/またはそれらを含む、形質移入培地に関する。また他の実施形態は、緩衝食塩水、アミノ酸、インスリン、トランスフェリン、コレステロール、ヒドロコルチゾン、血清アルブミン、および線維芽細胞成長因子から本質的になる、および/またはそれらを含む、再プログラミング培地に関する。一実施形態では、培地はまた、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよび/またはD−α−酢酸トコフェロールを含む。別の実施形態では、培地はまた、アスコルビン酸またはアスコルビン酸−2−ホスフェートを、例えば、約1mg/L〜約100mg/Lの間の濃度で、含む。一実施形態では、ヒドロコルチゾンは、約1uMの濃度で存在する。別の実施形態では、線維芽細胞成長因子は塩基性線維芽細胞成長因子であり、また該塩基性線維芽細胞成長因子は、約4ng/mL〜約100ng/mLの間、または約10ng/mL〜約50ng/mLの間、または約20ng/mL等、約1ng/mL〜約200ng/mLの間の濃度で存在する。一実施形態では、血清アルブミンはヒト血清アルブミンであり、また該ヒト血清アルブミンは約0.5%等、約0.1%〜約1%の間を含む、約0.05%〜約2%の間の濃度で存在する。別の実施形態では、ヒト血清アルブミンは組み換え体である。また別の実施形態では、コレステロールは、約4.5mg/Lの濃度で存在する。一実施形態では、培地は、いかなる動物由来構成要素も含有しない。別の実施形態では、培地は、例えば、タラ肝油脂肪酸または血清等のいかなる定義されていない構成要素も含有しない。一実施形態では、培地は、例えば、A83−01またはSB431542等のTGF−β阻害剤を含有する。一実施形態では、TGF−β阻害剤は、約0.1uM〜約10uMの間の濃度で存在する。一実施形態では、培地は、Wnt3a等のWntシグナル伝達作動薬を含有する。別の実施形態では、Wntシグナル伝達作動薬は、約50ng/mL〜約200ng/mLの間を含む、約10ng/mL〜約500ng/mLの間の濃度で存在する。一実施形態では、培地は、亜セレン酸ナトリウム等のセレニウム源を含有する。

特定の状況では、動物由来構成要素を非動物由来および/または組み換え構成要素と置換することは、1つには、非動物由来および/または組み換え構成要素は、動物由来構成要素よりも高い度合いの一貫性を持って産生され得るため、また1つには、非動物由来および/または組み換え構成要素は、動物由来構成要素よりも低い毒性および/または病原性物質による汚染の危険性を伴うために、望ましい場合がある。特定の実施形態はしたがって、非動物由来および/または組み換え体であるタンパク質に関する。他の実施形態は、培地であって、該培地の構成要素のうちの幾つかまたは全てが非動物由来および/または組み換え体である、培地に関する。一実施形態では、タンパク質は、組み換え血清アルブミンである。別の実施形態では、タンパク質は、組み換えヒト血清アルブミンである。また別の実施形態では、タンパク質は組み換え血清アルブミンであり、また培地の構成要素の全ては、非動物由来および/または組み換え体である。

血清アルブミンのN−末端は、ニッケル結合ドメインおよび銅結合ドメインを含有することができ、これらは重要な抗原決定基となることがある。血清アルブミンのN−末端からのアスパラギン酸残基の除去は、血清アルブミンのニッケル合活性および銅結合活性を取り除くことができ、またタンパク質の低アレルゲン変異体をもたらすことができる。特定の実施形態はしたがって、修飾された結合特性、および/または、例えば、低アレルゲン性等の他の望ましい特性を有するタンパク質に関する。一実施形態では、タンパク質は血清アルブミンであり、また該血清アルブミンは、N−末端アスパラギン酸を欠失する。

他の実施形態は、細胞に形質移入するための方法に関する。一実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸で形質移入され、また形質移入は、脂質系形質移入試薬等の形質移入試薬を用いて実施される。一実施形態では、1つ以上の核酸は、少なくとも1つのRNA分子を含む。別の実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸で形質移入され、また1つ以上の核酸は、p53、TERT、サイトカイン、分泌タンパク質、膜結合型タンパク質、酵素、遺伝子編集タンパク質、クロマチン修飾タンパク質、DNA結合タンパク質、転写因子、ヒストンデアセチラーゼ、病原体関連分子パターン、および腫瘍関連抗原、またはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、もしくはファミリーメンバーのうちの少なくとも1つをコード化する。別の実施形態では、細胞は、例えば、連続した約10日間に少なくとも約2回、または連続した約7日間に少なくとも約3回、または連続した約6日間に少なくとも約4回等、繰り返し形質移入される。

再プログラミングは、細胞に1つ以上の再プログラミング因子をコード化する1つ以上の核酸を形質移入すること、および再プログラミングされる細胞を支持する培地中で細胞を培養することによって、実施されることができる。再プログラミング因子の例としては、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、c−Mycタンパク質、1−Mycタンパク質、TERTタンパク質、Nanogタンパク質、Lin28タンパク質、Utflタンパク質、Aicdaタンパク質、miR200マイクロRNA、miR302マイクロRNA、miR367マイクロRNA、miR369マイクロRNA、ならびにその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、およびファミリーメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態はしたがって、細胞を再プログラミングするための方法に関する。一実施形態では、細胞は、細胞に1つ以上の再プログラミング因子をコード化する1つ以上の核酸を形質移入することによって、再プログラミングされる。一実施形態では、1つ以上の核酸は、Oct4タンパク質をコード化するRNA分子を含む。別の実施形態では、1つ以上の核酸はまた、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、およびc−Mycタンパク質をコード化する1つ以上のRNA分子を含む。また別の実施形態では、1つ以上の核酸はまた、Lin28タンパク質をコード化するRNA分子を含む。一実施形態では、細胞は、ヒト皮膚細胞であり、また該ヒト皮膚細胞は、多能性肝細胞へ再プログラミングされる。別の実施形態では、細胞は、ヒト皮膚細胞であり、また該ヒト皮膚細胞は、グルコース応答性インスリン産生細胞へ再プログラミングされる。再プログラミングされ得る他の細胞、およびそれへと再プログラミングされ得る他の細胞の例としては、皮膚細胞、多能性幹細胞、間葉系幹細胞、β−細胞、網膜色素上皮細胞、造血細胞、心細胞、気道上皮細胞、神経幹細胞、ニューロン、グリア細胞、骨細胞、血液細胞、および歯髄幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、細胞は、再プログラミングされる細胞を支持する培地中で培養される。一実施形態では、培地はまた、細胞を支持する。

重要なことに、皮膚細胞を、心筋細胞の成長を支持する培地中で細胞を培養することと組み合わせて、Oct4、Sox2、Klf4、およびc−Mycをコード化するウイルスに感染させることは、最初に皮膚細胞を多能性幹細胞へと再プログラミングすることなしに、皮膚細胞の心筋細胞への再プログラミングを引き起こすことが報告されている(その内容が参照により本明細書に援用される、Efs et al Nat Cell Biol.2011;13:215−22を参照のこと)。特定の状況では、例えば、個別化された治療法を生成するとき、直接再プログラミングすること(ある体細胞を、最初に体細胞を多能性幹細胞へと再プログラミングすることなしに、別の体細胞へと再プログラミングすることであり、「分化転換」としても知られる)が望ましい場合があり、理由の一部としては、多能性幹細胞の培養は時間および費用がかかり得るので、安定した多能性幹細胞株の確立および特徴付けに関与する追加の操作は、汚染の危険性を含み得るため、また最初に多能性幹細胞を産生することに関連付けられる培養における追加の時間は、ゲノム不安定性、ならびに点突然変異、コピー数多型、および核型異常を含む突然変異獲得の増加された危険性を伴い得るためである。特定の実施形態はしたがって、体細胞を再プログラミングするための方法であって、細胞は体細胞に再プログラミングされ、また特徴付けられる多能性幹細胞株は産生されない、方法に関する。

これまでに報告されている、細胞にRNAコード化再プログラミング因子を形質移入することによって細胞を再プログラミングするための方法は、フィーダーの使用を必要とする。多くの状況では、フィーダーの使用は望ましくない場合があり、理由の一部としては、フィーダーは、動物または同種源由来である場合があり、またしたがって、免疫原生および病原体による汚染の危険性を伴う場合があるためである。本発明の培地は、フィーダーを伴わずにRNA再プログラミングを可能にし得ることがここで発見された。細胞がフィーダーと接触しない本発明の方法に従って細胞を再プログラミングすることは、高速、効率的、および信頼できるものであり得ることが更に発見された。特定の実施形態はしたがって、細胞を再プログラミングするための方法であって、細胞がフィーダーと接触しない方法に関する。

細胞が本発明の方法に従って再プログラミングされるとき、再プログラミング効率は、開始細胞密度と相互に関連し得ることがここで発見された。特定の実施形態はしたがって、細胞を再プログラミングするための方法であって、細胞を約100細胞/cm2〜約100,000細胞/cm2の間の密度で蒔く方法に関する。一実施形態では、細胞を、約100細胞/cm2〜約10,000細胞/cm2の間、または約2000細胞/cm2〜約20,000細胞/cm2の間、または約1000細胞/cm2〜約2000細胞/cm2の間の密度で蒔く。

特定の状況では、本発明の方法に従って細胞を再プログラミングするために、他の方法に従う場合よりも少ない合計数の形質移入が必要とされる場合があることが、更に発見された。特定の実施形態はしたがって、細胞を再プログラミングするための方法であって、約2回〜約12回の形質移入が連続した約20日間に実施される、または約4回〜約10回の形質移入が連続した約15日間に実施される、または約4回〜約8回の形質移入が連続した約10日間に実施される方法に関する。核酸を細胞が培養されている培地へと添加するとき、細胞は、同時にまたは異なる時間に1つを超える核酸分子と接触する、および/または1つを超える核酸分子を取り込む可能性があることが認識された。したがって細胞は、核酸が、細胞が培養される培地へ1回のみ添加される場合であっても、複数回、例えば、反復して核酸と接触してもよい。

フィーダーは、例えば、表面に結合するコラーゲン等の分子(「細胞接着分子」)を分泌することによって、表面への細胞の付着を促進することができる。インテグリンを含む、細胞の表面上のタンパク質は、これらの細胞接着分子に結合することができ、その結果、表面に接着する細胞をもたらすことができる。細胞は、表面を1つ以上の細胞接着分子でコーティングすることによって、フィーダーの無い場合も含めて、再プログラミングされ得ることがここで発見された。細胞接着分子フィブロネクチンおよびビトロネクチンは、この目的に特に好適であることが更に発見された。特定の実施形態はしたがって、細胞に形質移入する、細胞を再プログラミングする、および/または細胞を遺伝子編集するための方法であって、細胞が1つ以上の細胞接着分子と接触する表面と接触する方法に関する。一実施形態では、1つ以上の細胞接着分子は、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、RGDペプチド、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、およびラミニン、またはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、もしくはファミリーメンバーのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、1つ以上の細胞接着分子は、フィブロネクチンまたは生物学的に活性な断片である。また別の実施形態では、フィブロネクチンは組み換え体である。また別の実施形態では、1つ以上の細胞接着分子は、フィブロネクチンおよびビトロネクチンまたはそれらの生物学的に活性な断片の混合物である。別の実施形態では、フィブロネクチンおよびビトロネクチンはそれぞれ、約100ng/cm2の濃度で表面上に存在する、および/または、約1ug/mLの濃度で表面をコーティングするために使用される溶液中に存在する。また別の実施形態では、フィブロネクチンとビトロネクチンはどちらも組み換え体である。表面を1つ以上の細胞接着分子と接触させることは、独立したステップとして、および/または培地中に1つ以上の細胞接着分子を含むことによって実施されてもよい。

注目すべきこととして、核酸は、1つ以上の非標準の、または「修飾された」残基(例えば、アデニン、グアニン、チミン、ウラシル、およびシトシン、またはその標準ヌクレオシド、ヌクレオチド、デオキシヌクレオシド、もしくはデオキシヌクレオチド誘導体以外の残基)を含有することができる。特に注目すべきこととして、プソイドウリジン−5’−三リン酸は、合成RNAを生産するためにin vitro転写反応においてウリジン−5’−三リン酸に対して置換されることができ、合成RNAのウリジン残基の最大100%が、プソイドウリジン残基で置換されてもよい。in vitro転写は、プソイドウリジンおよび5−メチルシチジンが、ウリジンおよびシチジンにそれぞれ完全に置換される場合でさえ、残りの免疫原生を有するRNAを生産することができる(その内容が参照により本明細書に援用される、Angel Reprogramming Human Somatic Cells to Pluripotency Using RNA[Doctoral Thesis].Cambridge,MA:MIT;2011を参照のこと)。この理由のため、細胞にRNAを形質移入するときに、形質移入培地に免疫抑制剤を添加することが一般的である。特定の状況では、形質移入培地に免疫抑制剤を添加することは、一部にはこの目的のために最も一般的に使用される組み換え免疫抑制剤B18Rが、高価であり、製造困難であり得るため、望ましくないことがある。細胞は、B18Rまたは任意の他の免疫抑制剤を使用することなく、本発明の方法にしたがって形質移入および/または再プログラミングされ得ることがここで発見された。本発明の方法に従って免疫抑制剤を使用することなく細胞を再プログラミングすることは、高速、効率的、および信頼できるものであり得ることが更に発見された。特定の実施形態はしたがって、細胞に形質移入するための方法であって、形質移入培地が免疫抑制剤を含有しない方法に関する。他の実施形態は、細胞を再プログラミングするための方法であって、形質移入培地が免疫抑制剤を含有しない方法に関する。特定の状況、例えば、高い細胞密度を使用するときに、免疫抑制剤を形質移入培地に添加することが有益な場合がある。特定の実施形態はしたがって、細胞に形質移入するための方法であって、形質移入培地が免疫抑制剤を含有する方法に関する。他の実施形態は、細胞を再プログラミングするための方法であって、形質移入培地が免疫抑制剤を含有する方法に関する。一実施形態では、免疫抑制剤は、B18R、またはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、もしくはファミリーメンバー、またはデキサメタゾンもしくはその誘導体である。一実施形態では、細胞を約20,000細胞/cm2未満の密度で蒔き、また形質移入培地は免疫抑制剤を含有しない。別の実施形態では、形質移入培地は、免疫抑制剤を含有せず、また核酸用量は、過剰毒性を予防するように選択される。また別の実施形態では、核酸用量は、例えば、6ウェルプレートの約0.25μg/ウェル、または6ウェルプレートの約1μg/ウェル等、6ウェルプレートの2μg/ウェル未満である。

本発明の特定の実施形態に従って産生される再プログラミングされた細胞は、外来性DNA配列を含有しないため、また明確に定義されておらず、毒性および/または病原性汚染物質を含有する可能性のある動物由来またはヒト由来の産生物に曝露されないため、患者への移植を含む治療用途に好適である。更に、本発明の特定の実施形態の高い速度、効率、および信頼性は、突然変異および他の染色体異常の獲得および蓄積の危険性を低減する可能性がある。本発明の特定の実施形態はしたがって、治療用途での使用に適する安全性プロフィールを有する細胞を生成するために使用してもよい。例えば、動物またはヒト由来の構成要素を含有しない培地である、本発明のRNAおよび培地培地を用いて細胞を再プログラミングすることで、同種材料に曝露されていない細胞を生産することができる。特定の実施形態はしたがって、望ましい安全性プロフィールを有する再プログラミング細胞に関する。一実施形態では、再プログラミング細胞は、正常な核型を有する。別の実施形態では、再プログラミング細胞は、患者ゲノムに対して約5未満のコピー数多型(CNV)を有し、例えば、患者ゲノムに対して約3未満のコピー数多型を有する、または患者ゲノムに対してコピー数多型を有さない。また別の実施形態では、再プログラミング細胞は、正常な核型と、患者ゲノムに対してコード化領域内に約100未満の単一ヌクレオチド変異体、または患者ゲノムに対してコード化領域内に約50未満の単一ヌクレオチド変異体、もしくは患者ゲノムに対してコード化領域内に約10未満の単一ヌクレオチド変異体と、を有する。

内毒素およびヌクレアーゼは、同時精製、および/または例えば、血清アルブミン等の他のタンパク質と関連付けられ得る。特に、組み換えタンパク質は、一部にはそれらの産生中に起こる可能性のある細胞の溶解に起因して、高レベルの関連付けられた内毒素およびヌクレアーゼを有し得ることが多い。内毒素およびヌクレアーゼは、本発明の多くの方法によって、低減、除去、置換、または別の方法で不活性化されてもよく、例えば、アセチル化によって、オクタン酸ナトリウム等の安定剤の添加後、熱処理することによって、アルブミン溶液および/または培地へのヌクレアーゼ阻害剤の添加によって、結晶化によって、1つ以上のイオン交換樹脂と接触することによって、炭と接触することによって、分取電気泳動によって、もしくは親和性クロマトグラフィーによって、等が挙げられる。内毒素および/またはヌクレアーゼを、培地からおよび/または培地の1つ以上の構成要素から、部分的または完全に低減、除去、置換、または別の方法で不活性化することは、細胞が形質移入および再プログラミングされ得る効率を向上させることができることがここで見出された。特定の実施形態はしたがって、細胞に1つ以上の核酸を形質移入するための方法であって、形質移入培地が、1つ以上の内毒素および/またはヌクレアーゼを部分的にまたは完全に低減、除去、置換、または別の方法で不活性化するように処理される方法に関する。他の実施形態は、核酸の最小限の分解を引き起こす培地に関する。一実施形態では、培地は、約1EU/mL未満、または約0.1EU/mL未満、または約0.01EU/mLを含有する

特定の状況では、血清アルブミン等のタンパク質系脂質担体は、メチル−β−シクロデキストリン等の非タンパク質系脂質担体で置換されてもよい。本発明の培地はまた、例えば、形質移入が、脂質担体の存在を必要としなくてもよい、または脂質担体の存在から利益を得なくてもよい方法を用いて実施される場合に、例えば、1つ以上のポリマー系形質移入試薬またはペプチド系形質移入試薬を用いて等、脂質担体を伴わずに使用されてもよい。

金属などの多くのタンパク質会合分子は、細胞に対して高度に毒性であり得る。この毒性は、培養中の減少した生存率、および突然変異の獲得を引き起こす可能性がある。特定の実施形態はしたがって、毒性分子を含まない細胞を産生するという追加の利点を有する。

タンパク質の会合分子構成要素は、タンパク質を溶液中に懸濁すること、および溶液の伝導率を測定することによって、測定することができる。特定の実施形態はしたがって、タンパク質を含有する培地であって、約10%の水中タンパク質溶液が約500μmho/cm未満の伝導率を有する培地に関する。一実施形態では、溶液は、約50μmho/cm未満の伝導率を有する。

低酸素環境は、多くの種類の細胞の培養に有益であり得る。特定の実施形態はしたがって、細胞を培養する、細胞に形質移入する、細胞を再プログラミングする、および/または細胞を遺伝子編集するための方法であって、細胞が低酸素環境内で培養、形質移入、再プログラミング、および/または遺伝子編集される方法に関する。一実施形態では、低酸素環境は、約2%〜約10%の間の酸素、または約4%〜約6%の間の酸素を含有する。

細胞へ送達される核酸の量は、核酸の所望の効果を増大させるように増加されることができる。しかしながら、細胞へ送達される核酸の量を特定の点を超えて増加させることは、一部には形質移入試薬の毒性に起因して、細胞の生存率の減少を引き起こす可能性がある。核酸が、固定された体積で細胞(例えば、組織のある領域内の細胞、または細胞培養容器内で成長した細胞)の集団へ送達されるとき、各細胞へ送達される核酸の量は、細胞の集団および細胞の密度へ送達される核酸の総量に依存し得、より高い細胞密度は各細胞へ送達されるより少ない核酸をもたらすことがここで見出された。特定の実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸で1回を超えて形質移入される。特定の条件下、例えば、細胞が増殖するとき、細胞密度はある形質移入からその次に変化することがある。特定の実施形態はしたがって、細胞に核酸を形質移入するための方法であって、細胞が1回を超えて形質移入され、また細胞へ送達される核酸の量が、2回の形質移入に関して異なる方法に関する。一実施形態では、細胞は、2回の形質移入の間で増殖し、また細胞へ送達される核酸の量は、2回の形質移入のうちの2回目に関して2回の形質移入のうちの1回目に関してよりも多い。別の実施形態では、細胞は、2回を超えて形質移入され、また細胞へ送達される核酸の量は、3回の形質移入のうちの2回目に関して同じ3回の形質移入のうちの1回目に関してよりも多く、また細胞へ送達される核酸の量は、同じ3回の形質移入のうちの3回目に関して同じ3回の形質移入のうちの2回目に関してよりも多い。また別の実施形態では、細胞は1回を超えて形質移入され、また各形質移入の間に細胞へ送達される核酸の最大量は、少なくとも2回の連続した形質移入に関して、少なくとも約80%の生存率を得るのに十分に低い。

一連の形質移入において増殖する細胞の集団へ送達される核酸の量を調節することは、核酸の増加した効果および細胞の減少した生存率の両方をもたらし得ることがここで見出された。特定の状況では、細胞が、一連の形質移入において1つ以上の再プログラミング因子をコード化する1つ以上の核酸と接触するとき、再プログラミングの効率は、一連の形質移入のうちの少なくとも一部について、より後行する形質移入において送達される核酸の量がより先行する形質移入において送達される核酸の量よりも多いときに向上し得ることが更に見出された。特定の実施形態はしたがって、細胞を再プログラミングするための方法であって、1つ以上の核酸が、一連の形質移入において細胞へ繰り返し送達され、また細胞へ送達される核酸の量が、少なくとも1回の先行する形質移入よりも少なくとも1回の後行する形質移入に関しての方が多い方法に関する。一実施形態では、細胞は、約2〜約10回の間、または約3〜約8回の間、または約4〜約6回の間、形質移入される。別の実施形態では、1つ以上の核酸は、少なくとも1つのRNA分子を含み、細胞は、約2〜約10回の間で形質移入され、また各形質移入において細胞へ送達される核酸の量は、直近の先行する形質移入において細胞へ送達される核酸の量と同じである、またはそれより多い。また別の実施形態では、1回目の形質移入において細胞へ送達される核酸の量は、約20ng/cm2〜約250ng/cm2の間、または100ng/cm2〜600ng/cm2の間である。また別の実施形態では、細胞は、約12〜約48時間の間の間隔で約5回、形質移入され、また細胞へ送達される核酸の量は、1回目の形質移入に関して約25ng/cm2であり、2回目の形質移入に関して約50ng/cm2であり、3回目の形質移入に関して約100ng/cm2であり、4回目の形質移入に関して約200ng/cm2であり、また5回目の形質移入に関して約400ng/cm2である。また別の実施形態では、細胞は、5回目の形質移入後に少なくとも1回更に形質移入され、また細胞へ送達される核酸の量は、約400ng/cm2である。

特定の実施形態は、細胞に核酸を形質移入するための方法であって、核酸の量が、細胞密度を測定することと、細胞密度の測定値に基づいて形質移入するための核酸の量を選択することと、によって決定される方法に関する。一実施形態では、細胞は、in vitro培養において存在し、また細胞密度は、光学的手段によって測定される。別の実施形態では、細胞は、繰り返し形質移入され、細胞密度は、2回の形質移入間で増加し、また形質移入される核酸の量は、2回の形質移入のうちの1回目に関してよりも2回の形質移入のうちの2回目に関しての方が多い。

特定の状況では、本発明の培地中で培養される細胞の形質移入効率および生存率は、培地を条件化することによって改善され得ることがここで見出された。特定の実施形態はしたがって、培地を条件化するための方法に関する。他の実施形態は、条件化される培地に関する。一実施形態では、フィーダーは、線維芽細胞であり、また培地は、約24時間条件化される。他の実施形態は、細胞に形質移入するための方法であって、形質移入培地が条件化される方法に関する。他の実施形態は、細胞を再プログラミングおよび/または遺伝子編集するための方法であって、培地が条件化される方法に関する。一実施形態では、フィーダーは、例えば、マイトマイシン−C等の化学物質への曝露によって、またはγ線への曝露によって、有糸分裂的に不活性化される。特定の実施形態では、理論によって拘束されることを望みはしないが、一部には例えば、フィーダーから細胞への感染症伝播の危険性を回避するために、自己材料のみを使用することが有益な場合がある。特定の実施形態はしたがって、細胞に形質移入するための方法であって、形質移入培地が条件化され、フィーダーが、形質移入される細胞と同一個体に由来する方法に関する。他の実施形態は、細胞を再プログラミングおよび/または遺伝子編集するための方法であって、培地が条件化され、またフィーダーが、再プログラミングおよび/または遺伝子編集される細胞と同一個体に由来する方法に関する。

幾つかの分子は、条件化することによって培地に添加されることができる。特定の実施形態はしたがって、条件化される培地中に存在する1つ以上の分子で補充される培地に関する。一実施形態では、培地は、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、またはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、作動薬、もしくはファミリーメンバーで補充される。別の実施形態では、培地は、TGF−β、またはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、作動薬、もしくはファミリーメンバーで補充される。また別の実施形態では、細胞は、培地が約1〜約5日の間はTGF−βで補充されず、その後少なくとも約2日間TGF−βで補充される、本発明の方法に従って再プログラミングされる。また別の実施形態では、培地は、IL−6、IL−6R、またはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、作動薬、もしくはファミリーメンバーで補充される。また別の実施形態では、培地は、スフィンゴ脂質または脂肪酸で補充される。また別の実施形態では、スフィンゴ脂質は、リゾホスファチジン酸、リゾスフィンゴミエリン、スフィンゴシン−1−ホスフェート、またはその生物学的に活性な類似体、変異体、もしくは誘導体である。

細胞を有糸分裂的に不活性化することに加えて、特定の条件下で、照射は、細胞の遺伝子発現を変化させることができ、細胞に、照射されていない細胞よりも特定のタンパク質を少なく産生させ、また特定の他のタンパク質をより多く産生させることができ、例としては、Wntファミリーのタンパク質のメンバーが挙げられる。それに加えて、Wntファミリーのタンパク質の特定のメンバーは、細胞の成長および形質転換を促進することができる。特定の状況では、RNA再プログラミングの効率は、細胞を、マイトマイシン−c処理をされたフィーダーの代わりに照射されたフィーダーを用いて条件化された培地と接触させることによって、著しく向上され得ることがここで見出された。照射されたフィーダーを用いた場合に観察される再プログラミング効率における増加は、一部にはフィーダーによって分泌されるWntタンパク質によって引き起こされることが更に見出された。特定の実施形態はしたがって、細胞を再プログラミングするための方法であって、細胞が、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、もしくはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、ファミリーメンバー、または、Wntタンパク質の下流標的の作動薬および/もしくはWntタンパク質の生物学的効果のうちの1つ以上を模倣する薬剤、例えば、2−アミノ−4−[3,4−(メチレンジオキシ)ベンジルアミノ]−6−(3−メトキシフェニル)ピリミジン等を含む作動薬と接触する、方法に関する。

本発明の培地は、線維芽細胞およびヒト多能性幹細胞を含む培養中の細胞を維持するために(即ち、「維持培地」として)使用され得ることがここで見出された。特定の実施形態はしたがって、維持培地として使用される培地に関する。一実施形態では、培地は、いかなるヒト由来構成要素も含有しない。別の実施形態では、培地は、化学的に定義される。

多くのDNAに基づく再プログラミング方法の低効率性のため、これらの方法は、少数の細胞しか含有しないことがある患者標本に由来する細胞において使用することが困難または不可能なことがある。対照的に、本発明の特定の実施形態の高効率性は、単一の細胞からを含む、少数の細胞からの信頼できる再プログラミングを可能にし得る。特定の実施形態はしたがって、はじめに大きな培養物を確立しないことないことを含めて、生検標本から細胞を再プログラミングするために使用されてもよい。生検から直接に細胞を再プログラミングすることは、例えば、個別化された治療法を生成する場合等の特定の状況において望ましいことがあり、理由の一部には、初代細胞の大きな培養物を確立することは時間がかかり得るため、大きな培養物の確立に関与するさらなる取り扱いは、汚染の増加した危険性を伴い得るため、また培養における追加の時間は、ゲノムの不安定性ならびに、点突然変異、コピー数多型、および核型異常を含む突然変異の獲得の増加した危険性を伴い得るためである。特定の実施形態はしたがって、はじめに患者からまたは生検標本から細胞を採取し、次に細胞を再プログラミングすることによって、細胞を再プログラミングするための方法に関する。一実施形態では、細胞は、はじめに大きな培養物を確立することなしに再プログラミングされ、好ましくは1回目の形質移入は、培養物が2回を超えて継代される前に実施される。別の実施形態では、細胞は患者から採取され、また1回目の形質移入は、細胞がはじめに蒔かれる時間から約14日後を超えずに実施される。また別の実施形態では、細胞は生検標本から採取され、また1回目の形質移入は、細胞がはじめに蒔かれる時間から約7日後を超えずに実施される。また別の実施形態では、生検は全層皮膚パンチ生検であり、細胞は1つ以上の酵素による処理によって生検標本から採取され、細胞は、1つ以上の細胞接着分子でコーティングされた表面上に蒔かれる、および/または細胞は、細胞接着分子を含有する培地中に蒔かれ、細胞は、少なくとも1つのRNA分子を含む1つ以上の核酸で形質移入され、1回目の形質移入は、細胞がはじめに蒔かれる時間から約14日後を超えずに実施される。また別の実施形態では、酵素は、コラゲナーゼである。また別の実施形態では、コラゲナーゼは、動物性構成要素を含まない。別の実施形態では、コラゲナーゼは、約0.1mg/mL〜約10mg/mLの間、または約0.5mg/mL〜約5mg/mLの間の濃度で存在する。また別の実施形態では、細胞は、血液から採取される。また別の実施形態では、細胞は、患者の血液に由来する1つ以上のタンパク質を含有する培地中に蒔かれる。また別の実施形態では、細胞は、DMEM/F12+2mMのL−アラニル−L−グルタミン+約5%〜約25%の間の患者由来血清、または約10%〜約20%の間の患者由来血清、または約20%の患者由来血清の中に蒔かれる。

特定の状況では、本発明の培地を用いて細胞にRNAコード化Oct4、Sox2、Klf4、およびc−Mycの混合物を形質移入することは、細胞の増殖速度を上昇させ得ることがここで見出された。細胞に送達されるRNAの量が、細胞の全てが形質移入されることを確実にするには少なすぎる場合は、ごく一部の細胞のみが、上昇した増殖速度を示すことがある。個別化された治療法を生成する場合等の特定の状況では、細胞の増殖速度を上昇させることは、一部にはそうすることが治療法を生成するために必要な時間を低減し得るため、またしたがって治療法の費用を低減し得るため、望ましいことがある。特定の実施形態はしたがって、細胞にRNAコード化Oct4、Sox2、Klf4、およびc−Mycの混合物を形質移入するための方法であって、細胞が上昇した増殖速度を示す方法に関する。一実施形態では、上昇した増殖速度を示す細胞は、培養物から単離される。別の実施形態では、上昇した増殖速度を示す細胞は、増殖され、また1つ以上の細胞種類の成長を支持する培地中で培養され、1つ以上の細胞種類のうちの1つの細胞へと再プログラミングされる。

多くの疾患は、1つ以上の突然変異と関連付けられる。突然変異は、細胞と、単独または他の分子との組み合わせのいずれかにおいて突然変異を修正するタンパク質をコード化する核酸とを接触させることによって、修正され得る(遺伝子編集の一例)。そのようなタンパク質の例としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびTALENが挙げられる。特定の実施形態はしたがって、細胞に核酸を形質移入するための方法であって、核酸が、単独または他の分子との組み合わせのいずれかにおいて1本鎖または2本鎖切断をDNA分子内に作成するタンパク質をコード化する、方法に関する。一実施形態では、タンパク質は、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。別の実施形態では、核酸は、RNA分子である。また別の実施形態では、1本鎖または2本鎖切断は、CCR5、CXCR4、GAD1、GAD2、CFTR、HBA1、HBA2、HBB、HBD、FANCA、XPA、XPB、XPC、ERCC2、POLH、HTT、DMD、SOD1、APOE、PRNP、BRCA1、およびBRCA2、またはその類似体、変異体、もしくはファミリーメンバーの群から選択される遺伝子の転写開始部位の約5,000,000塩基以内にある。また別の実施形態では、細胞は、1本鎖もしくは2本鎖切断の領域内においてDNA配列の挿入を引き起こすこと、または1本鎖もしくは2本鎖切断の領域内において別の方法でDNA配列を変化させることいずれかによって、修復鋳型として作用する核酸で、形質移入される。また別の実施形態では、細胞は、再プログラミングされ、またその後、細胞は遺伝子編集される。また別の実施形態では、細胞は、遺伝子編集され、またその後、細胞は再プログラミングされる。また別の実施形態では、遺伝子編集および再プログラミングは、互いに約7日以内に実施される。また別の実施形態では、遺伝子編集および再プログラミングは、同時に、または同じ日に発生する。また別の実施形態では、細胞は、皮膚細胞であり、皮膚細胞は、CCR5遺伝子を妨害するように遺伝子編集され、皮膚細胞は、造血幹細胞へと再プログラミングされ、したがってHIV/AIDSに対する治療法を作製し、また該治療法は、HIV/AIDSを罹患する患者に導入される。また別の実施形態では、皮膚細胞は、治療法が導入される患者と同じ患者に由来する。

本発明の治療法を作製するように本発明の方法に従って編集され得る遺伝子は、正常な機能を回復させるように編集され得る遺伝子、および機能を低減または排除するように編集され得る遺伝子を含む。そのような遺伝子としては、その中での突然変異が鎌状赤血球病(SCD)およびβ−地中海貧血を引き起こし得るβグロビン(HBB);その中での突然変異が乳がんへの感受性を増加させ得る乳がん1、早発型(BRCA1)および乳がん2、早発型(BRCA2);その中での突然変異がHIV感染に対する耐性を授与し得るC−Cケモカイン受容体型5(CCR5)およびC−X−Cケモカイン受容体型4(CXCR4);その中での突然変異が嚢胞性線維症を引きこし得る嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR);その中での突然変異が、Duchenne筋ジストロフィーおよびBecker型筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィーを引き起こし得る、ジストロフィン(DMD);その中での突然変異がβ−細胞の自己免疫破壊を防ぎ得る、グルタミン酸デカルボキシラーゼ1およびグルタミン酸デカルボキシラーゼ2(GAD1、GAD2);その中での突然変異が地中海貧血を引き起こし得る、ヘモグロビンα1、ヘモグロビンα2、およびヘモグロビンδ(HBA1、HBA2、およびHBD);その中での突然変異がハンチントン病を引き起こし得る、ハンチントン(HTT);その中での突然変異が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こし得る、スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1);その中での突然変異が色素性乾皮症を引き起こし得る、XPA、XPB、XPC、XPD(ERCC6)、およびポリメラーゼ(DNA依存性)、エータ(POLH);その中での突然変異がパーキンソン病を引き起こし得る、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2);ならびにその中での突然変異がファンコニ貧血を引き起こし得る、ファンコニ貧血、相補群A、B、C、D1、D2、E、F、G、I、J、L、M、N、P(FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FANCI、FANCJ、FANCL、FANCM、FANCN、FANCP)、およびRAD51相同体C(S.セレビシエ)(RAD51C)が挙げられるが、これらに限定されない。

特定の実施形態は、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコード化する核酸を含む治療法に関する。他の実施形態は、本発明の方法に従って形質移入、再プログラミング、および/または遺伝子編集される1つ以上の細胞を含む、治療法に関する。一実施形態では、細胞は、形質移入、再プログラミング、および/または遺伝子編集され、また形質移入、再プログラミング、および/または遺伝子編集された細胞は、患者へと導入される。別の実施形態では、細胞は、形質移入、再プログラミング、および/または遺伝子編集された細胞が導入される患者と、同じ患者から採取される。本発明の治療法を用いて治療され得る疾患の例としては、アルツハイマー病、脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、嚢胞性線維症、虚血性心筋症および拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性、パーキンソン病、ハンチントン病、糖尿病、鎌状赤血球貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、色素性乾皮症、筋ジストロフィー、重症複合免疫不全、遺伝性感覚性ニューロパシー、がん、ならびにHIV/AIDSが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、治療法は、化粧品を含む。一実施形態では、細胞は、患者から採取され、細胞は、多数の脂肪細胞へと再プログラミングおよび増殖され、したがって化粧品を作製し、化粧品は患者へと導入される。また別の実施形態では、化粧品は、組織再構築のために使用される。

特定の種類の細胞の産生および特定の種類の細胞を含む治療法の作製に関して、詳細な例が本明細書に提供されるが、本発明の方法は、例えば、本発明の方法に従って細胞を再プログラミングすること、および該細胞を、発生中に細胞内微小環境に存在する条件に類似した条件を提供することによって、成長の1つ以上の側面を模倣する条件下で培養することと、によって、多数の他の種類の細胞を産生するため、および多数の他の種類の細胞のうちの1つ以上を含む治療法を作製するために使用され得ることが認識される。

特定の実施形態は、様々なヒト白血球抗原(HLA)型を伴う細胞のライブラリー(「HLA適合ライブラリー」)に関する。HLA適合ライブラリーは、一部には、患者が、患者の細胞から治療法が作製されるのを待つ必要なく、治療法の迅速な作製および/または配給を提供することができるため、有益なことがある。そのようなライブラリーは、患者が、治療法の即時の利用可能性から利益を得る可能性のある心疾患ならびに血液および/または免疫系の疾患の治療に対して、特に有益なことがある。

特定の実施形態は、組織/臓器のモデル化および/または疾患のモデル化のために使用される細胞に関する。一実施形態では、皮膚細胞は、多数の心細胞へと再プログラミングおよび増殖され、また心細胞は、心毒性に関して生理活性分子をスクリーニングするために使用される(安全性試験の一例)。別の実施形態では、アルツハイマー病を罹患する患者からの皮膚細胞は、多数の皮質ニューロンへと再プログラミングおよび増殖され、また皮質ニューロンは、不溶性斑の蓄積を減少させるための生理活性分子をスクリーニングするために使用される(有効性試験の一例)。本発明の特定の実施形態はしたがって、安全性試験および/または有効性試験に有用である。

特定の実施形態は、細胞をカプセル化するため、および/または細胞を足場内に播種するための方法、ならびにカプセル化される細胞および/または足場内に播種される細胞に関する。特定の状況では、細胞のカプセル化は、一部には、カプセル化された細胞はカプセル化されていない細胞よりも免疫原性が少ない可能性があるため、有益なことがある。一実施形態では、細胞は、グルコース応答性インスリン産生細胞へと再プログラミングされ、グルコース応答性インスリン産生細胞は、アルギン酸塩等の材料内にカプセル化され、またカプセル化されたグルコース応答性インスリン産生細胞は、1型糖尿病を罹患する患者へと導入される。別の実施形態では、導入は、腹腔内注射または門脈内注入による。特定の状況では、足場内の細胞の播種は、一部には、足場は機械的安定性を提供することが可能であるため、有益なことがある。一実施形態では、細胞は、多数の線維芽細胞およびケラチノサイトへと再プログラミングおよび増殖され、線維芽細胞およびケラチノサイトは、コラーゲンを含む足場内に播種され、また播種された足場は、傷に適用され合成植皮を形成する。別の実施形態では、細胞は、再プログラミングされ、再プログラミングされた細胞は、液体またはスラリー形態で足場と混合され、混合物は患者へ導入され、また足場の剛性は、導入に際して、または導入後に増加する。

特定の実施形態は、細胞を精製するための方法に関する。形質移入、再プログラミング、および遺伝子編集は、所望の表現型を伴う細胞および1つ以上の所望の表現型を伴う細胞を含む、細胞の集団を産生し得ることが多い。特定の実施形態はしたがって、精製形質移入、再プログラミング、および/または遺伝子編集される細胞に関する。一実施形態では、細胞は、密度勾配を用いて精製される。別の実施形態では、細胞は、細胞を、1つ以上の望ましくない表現型を有する細胞から1つ以上の所望の表現型を有する細胞の分離を可能にする1つ以上の抗体と接触させることによって、精製される。別の実施形態では、抗体は、基質、好ましくは電磁ビーズに結合される。また別の実施形態では、抗体は、蛍光分子に結合され、また分離は、蛍光活性化細胞分類(FACS)または他の類似の手段によって実施される。別の実施形態では、望ましくない表現型を有する細胞は、好ましくは、細胞を、分裂を阻止する1つ以上の分子、好ましくは、マイトマイシン−c、5−アザ−デオキシシチジン、フルオロウラシル、またはその生物学的に活性な類似体もしくは誘導体と接触させることによって、急増を阻止される。他の実施形態は、1つ以上の所望の表現型を有する細胞の画分を濃縮するように精製される細胞を含む治療法に関する。

特定の実施形態は、突然変異および疾患のモデルを含む、動物モデルを作製するための方法に関する。一実施形態では、動物皮膚細胞は、多能性幹細胞へと遺伝子編集および再プログラミングされる。別の実施形態では、約1〜100個の再プログラミングおよび遺伝子編集された細胞は、胚盤胞内へ注射され、また胚盤胞は、動物の子宮内へ移植される。一実施形態では、動物は、ネコ、イヌ、マウス、ブタ、ウマ、ウシ、ニワトリ、ヒツジ、ヤギ、魚、霊長類、およびラットの群から選択される動物である。別の実施形態では、動物は、ラットである。

特定の非標準ヌクレオチドは、合成RNA分子内に組み込まれると、一部には、例えば、タンパク質キナーゼR、Rig−1、およびオリゴアデニル酸シンセターゼファミリーのタンパク質等の外来性核酸を検出するタンパク質の結合に干渉することによって、合成RNA分子の毒性を低減させることができる。その中に組み込まれたときに合成RNA分子の毒性を低減させることが報告されている非標準ヌクレオチドとしては、プソイドウリジン、5−メチルウリジン、2−チオウリジン、5−メチルシチジン、N6−メチルアデノシン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。しかしながら、合成RNA分子の毒性を低下させることを可能にし得る非標準ヌクレオチドの化学的特性は、現時点では未知のままである。更に、例えば、5−メチルウリジン、2−チオウリジン、5−メチルシチジン、およびN6−メチルアデノシン等の、大部分の非標準ヌクレオチドの多量の組み込みは、合成RNA分子がタンパク質へと翻訳され得る効率を低減させる可能性があり、タンパク質発現を必要とする用途におけるこれらのヌクレオチドを含有する合成RNA分子の利用を制限する。それに加えて、プソイドウリジンは、合成RNA分子がタンパク質へと翻訳され得る効率を低減させることなく、合成RNA分子内のウリジンに対して完全に置換され得るが、特定の状況では、例えば、頻繁な繰り返しの形質移入を実施する場合、アデノシン、グアノシン、シチジン、およびプソイドウリジンのみを含有する合成RNA分子は、過剰な毒性を示す可能性がある。

ピリミジンの場合2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置において、またはプリンの場合6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置において、1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む合成RNA分子は、外来性核酸を検出するタンパク質による合成RNA分子の認識に干渉するこれらの位置における置換の能に一部起因して、標準ヌクレオチドのみを含有する合成RNA分子より低毒性であり得ること、また更に、これらの位置における置換は、これらの位置における置換の塩基対形成および塩基スタッキングの相互作用への干渉の欠失に一部起因して、合成RNA分子がタンパク質へと翻訳され得る効率に最小限の影響を有し得ることがここで見出された。

ピリミジンの場合において2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置にて、またはプリンの場合において6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置にて、1つ以上の置換を含む非標準ヌクレオチドの例としては、2−チオウリジン、5−アザウリジン、プソイドウリジン、4−チオウリジン、5−メチルウリジン、5−アミノウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−メチル−5−アザウリジン、5−アミノ−5−アザウリジン、5−ヒドロキシ−5−アザウリジン、5−メチルプソイドウリジン、5−アミノプソイドウリジン、5−ヒドロキシプソイドウリジン、4−チオ−5−アザウリジン、4−チオプソイドウリジン、4−チオ−5−メチルウリジン、4−チオ−5−アミノウリジン、4−チオ−5−ヒドロキシウリジン、4−チオ−5−メチル−5−アザウリジン、4−チオ−5−アミノ−5−アザウリジン、4−チオ−5−ヒドロキシ−5−アザウリジン、4−チオ−5−メチルプソイドウリジン、4−チオ−5−アミノプソイドウリジン、4−チオ−5−ヒドロキシプソイドウリジン、2−チオシチジン、5−アザシチジン、プソイドイソシチジン、N4−メチルシチジン、N4−アミノシチジン、N4−ヒドロキシシチジン、5−メチルシチジン、5−アミノシチジン、5−ヒドロキシシチジン、5−メチル−5−アザシチジン、5−アミノ−5−アザシチジン、5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、5−メチルプソイドイソシチジン、5−アミノプソイドイソシチジン、5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−アザシチジン、N4−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−5−アザシチジン、2−チオプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチルシチジン、2−チオ−N4−アミノシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシシチジン、2−チオ−5−メチルシチジン、2−チオ−5−アミノシチジン、2−チオ−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチルプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−メチルシチジン、N4−メチル−5−アミノシチジン、N4−メチル−5−ヒドロキシシチジン、N4−メチル−5−メチル−5−アザシチジン、N4−メチル−5−アミノ−5−アザシチジン、N4−メチル−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−メチル−5−メチルプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−アミノプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−アザシチジン、N4−アミノプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−メチルシチジン、N4−アミノ−5−アミノシチジン、N4−アミノ−5−ヒドロキシシチジン、N4−アミノ−5−メチル−5−アザシチジン、N4−アミノ−5−アミノ−5−アザシチジン、N4−アミノ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−アミノ−5−メチルプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−アミノプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−メチルシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノシチジン、N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシシチジン、N4−ヒドロキシ−5−メチル−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノ−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシ−5−メチルプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−メチルシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アミノシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−メチルシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アミノシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−メチルシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N6−メチルアデノシン、N6−アミノアデノシン、N6−ヒドロキシアデノシン、7−デアザアデノシン、8−アザアデノシン、N6−メチル−7−デアザアデノシン、N6−メチル−8−アザアデノシン、7−デアザ−8−アザアデノシン、N6−メチル−7−デアザ−8−アザアデノシン、N6−アミノ−7−デアザアデノシン、N6−アミノ−8−アザアデノシン、N6−アミノ−7−デアザ−8−アザアデノシン、N6−ヒドロキシアデノシン、N6−ヒドロキシ−7−デアザアデノシン、N6−ヒドロキシ−8−アザアデノシン、N6−ヒドロキシ−7−デアザ−8−アザアデノシン、6−チオグアノシン、7−デアザグアノシン、8−アザグアノシン、6−チオ−7−デアザグアノシン,6−チオ−8−アザグアノシン、7−デアザ−8−アザグアノシン、および6−チオ−7−デアザ−8−アザグアノシンが挙げられるがこれらに限定されない。特定の非標準ヌクレオチドに対して、代替的な命名体系が存在することに留意されたい。例えば、特定の状況では、5−メチルプソイドウリジンは、「3−メチルプソイドウリジン」または「N3−メチルプソイドウリジン」と称される可能性がある。

接頭語「アミノ」を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの定位置にて原子に結合する窒素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、例えば、5−アミノシチジンは、5−アミノシチジン、5−メチルアミノシチジン、および5−ニトロシチジンを指すことができる。同様に、接頭語「メチル」を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの定位置にて原子に結合する炭素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、例えば、5−メチルシチジンは、5−メチルシチジン、5−エチルシチジン、および5−ヒドロキシメチルシチジンを指すことができ、接頭語「チオ」を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの所与の位置にて原子に結合する硫黄原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、また接頭語「ヒドロキシ」を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの所与の位置にて原子に結合する酸素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができる。

特定の実施形態はしたがって、合成RNA分子であって、ピリミジンの場合2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置における、またはプリンの場合6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置における1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有する、合成RNA分子に関する。他の実施形態は、治療法であって、該治療法が1つ以上の合成RNA分子を含み、また1つ以上の合成RNA分子が、ピリミジンの場合2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置における、またはプリンの場合6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置における1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有する、治療法に関する。一実施形態では、治療法は、形質移入試薬を含む。別の実施形態では、形質移入試薬は、カチオン性脂質、リポソーム、またはミセルを含む。また別の実施形態では、リポソームまたはミセルは葉酸を含み、また治療用組成物は、抗がん活性を有する。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−アザウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−メチルウリジン、5−アミノウリジン、2−チオプソイドウリジン、4−チオプソイドウリジン、5−ヒドロキシプソイドウリジン、5−メチルプソイドウリジン、5−アミノプソイドウリジン、プソイドイソシチジン、N4−メチルシチジン、2−チオシチジン、5−アザシチジン、5−ヒドロキシシチジン、5−アミノシチジン、5−メチルシチジン、N4−メチルプソイドイソシチジン、2−チオプソイドイソシチジン、5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、5−アミノプソイドイソシチジン、5−メチルプソイドイソシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、6−チオグアノシン、および6−チオ−7−デアザグアノシンのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−アザウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−メチルウリジン、5−アミノウリジン、2−チオプソイドウリジン、4−チオプソイドウリジン、5−ヒドロキシプソイドウリジン、5−メチルプソイドウリジン、および5−アミノプソイドウリジンのうちの少なくとも1つ、ならびにプソイドイソシチジン、N4−メチルシチジン、2−チオシチジン、5−アザシチジン、5−ヒドロキシシチジン、5−アミノシチジン、5−メチルシチジン、N4−メチルプソイドイソシチジン、2−チオプソイドイソシチジン、5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、5−アミノプソイドイソシチジン、および5−メチルプソイドイソシチジンのうちの少なくとも1つを含む。また別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−アザウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−メチルウリジン、5−アミノウリジン、2−チオプソイドウリジン、4−チオプソイドウリジン、5−ヒドロキシプソイドウリジン、および5−メチルプソイドウリジンのうちの少なくとも1つ、5−アミノプソイドウリジン、ならびにプソイドイソシチジン、N4−メチルシチジン、2−チオシチジン、5−アザシチジン、5−ヒドロキシシチジン、5−アミノシチジン、5−メチルシチジン、N4−メチルプソイドイソシチジン、2−チオプソイドイソシチジン、5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、5−アミノプソイドイソシチジン、および5−メチルプソイドイソシチジンのうちの少なくとも1つ、ならびに7−デアザグアノシン、6−チオグアノシン、および6−チオ−7−デアザグアノシンのうちの少なくとも1つを含む。また別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、5−メチルシチジンおよび7−デアザグアノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドはまた、プソイドウリジンまたは4−チオウリジンまたは5−メチルウリジンまたは5−アミノウリジンまたは4−チオプソイドウリジンまたは5−メチルプソイドウリジンまたは5−アミノプソイドウリジンを含む。また別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドはまた、7−デアザアデノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジンおよび7−デアザグアノシンおよび4−チオウリジンを含む。また別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジンまたは7−デアザグアノシンおよびプソイドウリジンを含む。また別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、5−メチルウリジンおよび5−メチルシチジンおよび7−デアザグアノシンを含む。更なる実施形態では、1つ以上のヌクレオチドとしては、プソイドウリジンまたは5−メチルプソイドウリジンおよび5−メチルシチジンおよび7−デアザグアノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジンおよび7−デアザグアノシンおよびプソイドウリジンを含む。

特定の非標準ヌクレオチドは、in vitro転写に一般的に使用されるRNAポリメラーゼによって、他の非標準ヌクレオチドより効率的に合成RNA分子へ組み込まれることができ、一部には、これらの特定の非標準ヌクレオチドの、標準的な塩基対形成相互作用および塩基スタッキング相互作用に関与する、ならびに対応する標準ヌクレオチドがRNAポリメラーゼと相互作用する様式に類似した様式でRNAポリメラーゼと相互作用する傾向に起因する。その結果、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する特定のヌクレオチド混合物は、一部には、これらのヌクレオチド混合物を含有するin vitro転写反応は大量の合成RNAを生産することができるため、有益であり得る。特定の実施形態はしたがって、ピリミジンの場合2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置における、またはプリンの場合6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置における1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有する、ヌクレオチド混合物に関する。ヌクレオチド混合物としては、1.0 プソイドウリジン、0.1〜0.8 2−チオウリジン、0.1〜0.8 5−メチルウリジン、0.2〜1.0 5−ヒドロキシウリジン、0.1〜1.0 5−アミノウリジン、0.1〜1.0 4−チオウリジン、0.1〜1.0 2−チオプソイドウリジン、0.1〜1.0 4−チオプソイドウリジン、0.1〜1.0 5−ヒドロキシプソイドウリジン、0.2〜1 5−メチルプソイドウリジン、0.1〜1.0 5−アミノプソイドウリジン、0.2〜1.0 2−チオシチジン、0.1〜0.8 プソイドイソシチジン、0.2〜1.0 5−メチルシチジン、0.2〜1.0 5−ヒドロキシシチジン、0.1〜1.0 5−アミノシチジン、0.2〜1.0 N4−メチルシチジン、0.2〜1.0 5−メチルプソイドイソシチジン、0.2〜1.0 5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、0.2〜1.0 5−アミノプソイドイソシチジン、0.2〜1.0 N4−メチルプソイドイソシチジン、0.2〜1.0 2−チオプソイドイソシチジン、0.2〜1.0 7−デアザグアノシン、0.2〜1.0 6−チオグアノシン、0.2〜1.0 6−チオ−7−デアザグアノシン、0.2〜1.0 8−アザグアノシン、0.2〜1.0 7−デアザ−8−アザグアノシン、0.2〜1.0 6−チオ−8−アザグアノシン、0.1〜0.5 7−デアザアデノシン、および0.1〜0.5 N6−メチルアデノシンが挙げられるが、これらに限定されない(各ヌクレオチドの前の数は、in vitro転写反応における非標準ヌクレオチド三リン酸の例示的画分を示し、例えば、0.2プソイドイソシチジンは、アデノシン−5’−三リン酸、グアノシン−5’−三リン酸、ウリジン−5’−三リン酸、シチジン−5’−三リン酸、およびプソイドイソシチジン−5’−三リン酸を含有する反応を指し、プソイドイソシチジン−5’−三リン酸は、該反応において存在するプソイドイソシチジン−5’−三リン酸+シチジン−5’−三リン酸の総量の0.2倍に概ね等しい量で該反応において存在し、量はモルかまたは質量かに基づいて測定され、またヌクレオチドの前の複数の数は、例示的画分の範囲を示す)。

特定の非標準ヌクレオチドを組み合わせることは、一部には、合成RNA分子の毒性の低下への非標準ヌクレオチドの寄与が追加され得るため、有益であり得ることがここで見出された。特定の実施形態はしたがって、ヌクレオチド混合物に関し、上に列挙する非標準ヌクレオチドのうちの1つ超を含有するヌクレオチド混合物であって、例えば、プソイドイソシチジンおよび7−デアザグアノシンの両方を含有するヌクレオチド混合物、またはN4−メチルシチジンおよび7−デアザグアノシンの両方を含有するヌクレオチド混合物等である。一実施形態では、ヌクレオチド混合物は、上に列挙する非標準ヌクレオチドのうちの1つ超を含有し、また非標準ヌクレオチドのそれぞれは、上に列挙する画分にて混合物中に存在し、例えば、ヌクレオチド混合物は、0.1〜0.8 プソイドイソシチジンおよび0.2〜1.0 7−デアザグアノシンを含有し、またはヌクレオチド混合物は、0.2〜1.0 N4−メチルシチジンおよび0.2〜1.0 7−デアザグアノシンを含有する等である。

特定の状況、例えば、in vitro転写反応の収率を最大化することが必要でない、または望ましくない可能性がある場合、上述のもの以外のヌクレオチド画分が使用されてもよい。上に列挙する例示的画分および画分の範囲は、典型的純度(90%を超える純度)のヌクレオチド−三リン酸溶液に関する。これらおよび他のヌクレオチドのより大きい画分は、例えば、約95%を超える純度または約98%を超える純度または約99%を超える純度または約99.5%を超える純度等のより大きい純度のヌクレオチド−三リン酸溶液を用いることによって使用してもよく、それは例えば、ヌクレオチド三リン酸溶液を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)等の既存の化学精製技術を用いてまたは他の手段によって精製することによって、達成してもよい。一実施形態では、複数の異性体を伴うヌクレオチドは、所望の異性体を濃縮するために精製される。

他の実施形態は、細胞を、ピリミジンの場合2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置において、またはプリンの場合6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置において1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する合成RNA分子と接触させることによって、関心のタンパク質を発現するように細胞を誘導するための方法に関する。また他の実施形態は、細胞を、ピリミジンの場合2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置において、またはプリンの場合6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置において1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する合成RNA分子と接触させることによって、細胞に形質移入する、細胞を再プログラミングする、および/または細胞を遺伝子編集するための方法に関する。一実施形態では、合成RNA分子は、in vitro転写によって産生される。一実施形態では、合成RNA分子は、1つ以上の再プログラミング因子をコード化する。別の実施形態では、1つ以上の再プログラミング因子は、Oct4タンパク質を含む。別の実施形態では、細胞はまた、Sox2タンパク質をコード化する合成RNA分子とも接触する。また別の実施形態では、細胞はまた、Klf4タンパク質をコード化する合成RNA分子とも接触する。また別の実施形態では、細胞はまた、c−Mycタンパク質をコード化する合成RNA分子とも接触する。また別の実施形態では、細胞はまた、Lin28タンパク質をコード化する合成RNA分子とも接触する。

T7 RNAポリメラーゼ等の酵素は、標準ヌクレオチドおよび非標準ヌクレオチドの両方を含有するin vitro転写反応において、標準ヌクレオチドを優先的に組み込むことがある。その結果、非標準ヌクレオチドの特定の画分を含有するin vitro転写反応は、反応中に非標準ヌクレオチドが存在した場合の画分と異なる、多くの場合はより低い、非標準ヌクレオチドの画分を含有するRNAを生産することがある。特定の実施形態ではしたがって、ヌクレオチド組み込み画分への言及(例えば、「50%プソイドイソシチジンを含有する合成RNA分子」または「0.1〜0.8プソイドイソシチジン」)は、ヌクレオチドの定められた画分を含有するRNA分子および、ヌクレオチド(または、例えば、ヌクレオチド−三リン酸等のヌクレオチド誘導体)の定められた画分を含有する反応にて合成されるRNA分子の両方を指し得、そのような反応が、反応中に非標準ヌクレオチドが存在した場合の画分と異なるヌクレオチドの画分を含有するRNAを生産する可能性があるかにはかかわらない。

異なるヌクレオチド配列は、代替的コドンを利用することによって、同じタンパク質をコード化することができる。したがって、特定の実施形態では、ヌクレオチド組み込み画分への言及は、ヌクレオチドの定められた画分を含有するRNA分子および、異なるRNA分子として同じタンパク質をコード化するRNA分子の両方を指すことができ、異なるRNA分子は、定められた画分のヌクレオチドを含有する。

特定の実施形態は、本発明を実践するのに必要とされる1つ以上の材料を含むキットに関する。一実施形態では、キットは、合成RNA分子を含む。一実施形態では、キットは、1つ以上の再プログラミング因子および/または遺伝子編集タンパク質をコード化する合成RNA分子を含む。別の実施形態では、合成RNA分子は、ピリミジンの場合2Cおよび/もしくは4Cおよび/もしくは5C位置において、またはプリンの場合6Cおよび/もしくは7Nおよび/もしくは8C位置において1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する。別の実施形態では、キットは、形質移入培地、形質移入試薬、複合体形成培地、およびコーティング溶液のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、コーティング溶液は、フィブロネクチンおよび/またはビトロネクチン、好ましくは組み換えフィブロネクチンおよび/または組み換えビトロネクチンを含む。一実施形態では、キットの構成要素のうちの1つ以上は、複数のアリコートとして提供される。一実施形態では、キットは、核酸形質移入試薬複合体のアリコートを含む。別の実施形態では、キットは、例えば、凍結または凍結乾燥ペレット等の固形で提供される、核酸形質移入試薬複合体のアリコートを含む。また別の実施形態では、キットは、培地のアリコートを含み、各アリコートは、化学処理または凍結のいずれかによって安定化される形質移入試薬−核酸複合体を含有する。

概して形質移入、また具体的には再プログラミングは、反復的でエラーを生じ易い可能性がある、困難で時間のかかる技術であり得る。しかしながら、これらの技術は、自動化された形質移入設備の欠失のため、手動で実施されることが多い。特定の実施形態はしたがって、自動または半自動様式にて細胞に形質移入する、細胞を再プログラミングする、および/または細胞を遺伝子編集することができる、システムに関する。

ここで図9A〜図11を参照すると、特定の実施形態は、マルチウェルプレート(2)内で細胞に形質移入することが可能なシステム(1)に関する。一実施形態では、プレートは、システムから引き出されるトレイ(3)内に充填される。別の実施形態では、システムは、複数のプレート(12)を保管することが可能である。また別の実施形態では、システムは、形質移入培地を保管するための手段(4)を備える。一実施形態では、システムは、所定の温度、好ましくは2℃〜6℃の間の温度で培地を保管するための手段を備える。一実施形態では、システムは、ウェルから除去される液体、廃棄物、および/または細胞を保管するための手段(5)を備える。別の実施形態では、システムは、電力を供給するための接続(6)を備える。また別の実施形態では、システムは、コンピュータ(34)と通信するためのポート(33)を備える。一実施形態では、ポートはUSBポートである。一実施形態では、システムは、排気ファン(7)を備える。別の実施形態では、システムは、真空を供給するための接続(8)を備える。

細胞生存率は、細胞の周囲環境を制御することから利益を得ることができる。特定の実施形態はしたがって、特定のまたは所望の温度で細胞をインキュベートするための手段を備えるシステムに関する。一実施形態では、細胞は、約35℃〜39℃の間の1つ以上の温度でインキュベートされる。一実施形態では、細胞は、約37℃の温度でインキュベートされる。他の実施形態は、細胞がインキュベートされる雰囲気を制御するための手段を備えるシステムに関する。一実施形態では、システムは、雰囲気の二酸化炭素濃度を調節するための手段を備える。一実施形態では、二酸化炭素濃度は、3%〜7%の間、好ましくは約5%である。別の実施形態では、システムは、雰囲気の酸素濃度を調節するための手段を備える。一実施形態では、システムは、窒素を導入することによって、酸素濃度を調節する。また別の実施形態では、酸素濃度は、例えば、約5%等、約3%〜約7%の間である。一実施形態では、システムは、細胞がインキュベートされる雰囲気の酸素濃度および二酸化炭素濃度の両方を制御するための手段を備える。別の実施形態では、システムは、二酸化炭素を供給するための接続(9)を備える。また別の実施形態では、システムは、窒素を供給するための接続(10)を備える。また別の実施形態では、システムは、酸素を供給するための接続(11)を備える。

特定の実施形態は、核酸形質移入試薬複合体および/または培地を分配するための手段(24)を備えるシステムに関する。一実施形態では、システムは、複合体および/または培地を分配することができる1つ以上のフロントロードピペットを備える。複合体を分配するための他の手段の例としては、バックロードピペット、蠕動ポンプ、マイクロ流体デバイス、エレクトロスプレーノズル、圧電放出装置、および音響小滴放出装置が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態は、核酸形質移入試薬複合体を生成するための手段(13)を備えるシステムに関する。一実施形態では、システムは、1つ以上の形質移入試薬(14)と1つ以上の核酸(15)とを組み合わせるための手段を備える。一実施形態では、組み合わせるための手段は、1つ以上のフロントロードピペットを含む。組み合わせるために使用することができる他の手段の例としては、バックロードピペット、蠕動ポンプ、マイクロ流体デバイス、エレクトロスプレーノズル、圧電放出装置、および音響小滴放出装置が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、システムは、1つ以上の取り外し可能なチップを備える。別の実施形態では、1つ以上の取り外し可能なチップは、殺菌されてもよい。別の実施形態では、1つ以上の取り外し可能なチップは、使い捨てである。また別の実施形態では、1つ以上の取り外し可能なチップは、プラスチックまたはガラスで作製される。また別の実施形態では、プラスチックは、ポロプロピレンである。一実施形態では、システムは、1つ以上の核酸を1つ以上の複合体形成培地中で1つ以上の形質移入試薬と共にインキュベートするための手段(16)を備える。別の実施形態では、システムは、1つ以上の核酸、1つ以上の形質移入試薬、および1つ以上の複合体形成培地を保管するための手段を備える。一実施形態では、複合体形成は、室温で生じる。一実施形態では、システムは、細胞を培地と接触させる前に、培地を、例えば、約20℃〜約39℃の間、または約30℃〜約39℃の間まで温めるための手段を備える。一実施形態では、培地は、加熱要素(25)を用いて温められる。一実施形態では、システムは、複数の培地を保管および/または分配するための手段を備える。

特定の実施形態は、核酸形質移入試薬複合体を保管するための方法に関する。一実施形態では、1つ以上の核酸および1つ以上の形質移入試薬は、1つ以上の複合体形成培地と組み合わされ、冷却されて、核酸形質移入試薬ペレットが生成される。一実施形態では、冷却は、液体窒素と接触させることによって実施される。他の冷却方法としては、ペルチェ冷却器、冷却された液体プロパン、冷却された液体エタン、および冷却された研磨金属表面と接触させることが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、方法は、実質的にRNaseを含まない。特定の実施形態は、核酸形質移入試薬ペレットを用いて細胞に形質移入するための方法に関する。一実施形態では、ペレットは、形質移入培地に添加される前に温められる。一実施形態では、ペレットは、少量の温かい形質移入培地中にペレットを蒔くことによって温められ、次に形質移入される細胞と接触する。別の実施形態では、ペレットは、形質移入培地に直接添加される。特定の実施形態は、核酸形質移入試薬ペレットを用いて形質移入を実施することができるシステムに関する。一実施形態では、システムは、所定の温度範囲内でペレットを保管するための手段(17)を備える。一実施形態では、温度範囲は、約−90℃〜約0℃の間、好ましくは約−30℃〜約−4℃の間である。一実施形態では、システムは、ペレットを分配するための手段を備える。一実施形態では、ペレットは、プランジャー(19)を用いて分配される。別の実施形態では、ペレットは、それを通じてペレットが分配される開口部(21)を有する回転盤(20)を用いて分配される。一実施形態では、装置は、ペレットを形質移入培地に添加する前にペレットを温めるための手段を備える。一実施形態では、ペレットは、形質移入される細胞と次に接触する温かい形質移入培地を含有する小型容器(22)内にペレットを蒔くことによって、温められる。別の実施形態では、装置は、ペレットを形質移入培地中へ直接分配するための手段を含む。また別の実施形態では、ペレットは、カートリッジ(16)内に保管される。一実施形態では、システムは、カートリッジを交換するための手段(36)を備える。

細胞培養中、全体的もしくは部分的のいずれかで培地を置換すること、または培地をさらなる量の培地もしくは補充物で補充することは、栄養素を追加するため、および/または、細胞廃棄物、もしくは残留複合体を含む培地中に存在する可能性のある他の望ましくない構成要素を低減、除去、もしくは別の方法で不活性化するために、有益な場合がある。特定の実施形態はしたがって、細胞から培地を全体的にまたは部分的に除去するための手段(23)を備えるシステムに関する。一実施形態では、システムは、吸入器を備える。

特定の実施形態は、ウェルプレートの蓋を取り外すための手段を備えるシステムに関する。一実施形態では、システムは、吸引(27)を用いてウェルプレートの蓋(26)を取り外すための手段を備える。ウェルプレートの蓋を取り外すための他の手段としては、接着、関節付きアーム(28)、締め具、磁石、および電磁石が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、システムは、細胞を撮像するための手段(29)を備える。一実施形態では、細胞密度は、細胞を含有する容器の光学密度を測定することによって決定される。別の実施形態では、細胞密度は、細胞を撮像することによって決定される。

特定の実施形態は、システムであって、例えば、細胞を培養、撮像、または別の方法で操作するための設備等、他の設備と操作可能に組み合わせて使用されるシステムに関する。一実施形態では、システム(1)は、ロボットアーム(30)を用いて充填される。別の実施形態では、ロボットアームは、プレートを恒温器(31)へ移動させるおよび/または恒温器(31)から移動させるために使用される。また別の実施形態では、プレート撮像装置(32)は、細胞を撮像するために使用される。また別の実施形態では、システムは、コンピュータ(34)を用いて制御される。一実施形態では、システムは、細胞に形質移入する、細胞を再プログラミングする、および/または細胞を遺伝子編集するために使用される。

本発明はしたがって、研究上の使用および治療上の使用との両方に対する製品を提供する目的を有する。

本発明の詳細を、以下の添付の説明と共に明記する。本明細書に説明されるものと類似または同等の方法および材料が、本発明の実践または試験において使用し得る、例証的な方法および材料をここに説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、本明細書からおよび特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形は、別段に文脈が明確に規定しない限り複数形も含む。別段に定めのない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野において当業者よって通常理解される通りの意味を有する。

実施例1 RNA合成 ヒトタンパク質Oct4、Sox2、Klf4、c−Myc−2(T58A)、およびLin28をコード化し、また標準ヌクレオチドと非標準ヌクレオチドとの様々な組み合わせを含むRNAを、DNA鋳型から合成した(表1)。RNAの標本を、アガロースゲル電気泳動によって分析し、RNAの品質を評価した(図1)。RNAを次に、100ng/μL〜500ng/μLの間まで希釈した。特定の実験のために、RNase阻害剤(SuperaseIn(商標)、Life Technologies Corporation)を、RNAの1μL/100μgの濃度で添加した。RNA溶液を、4℃で保管した。RNA混合物に関する特定の実験のために、Oct4、Sox2、Klf4、c−Myc−2(T58A)、およびLin28をコード化するRNAを、3:1:1:1:1のモル比で混合した。

「A」はアデノシン−5’−三リン酸を指し、「G」はグアノシン−5’−三リン酸を指し、「U」はウリジン−5’−三リン酸を指し、「C」はシチジン−5’−三リン酸を指し、「psU」はプソイドウリジン−5’−三リン酸を指し、「5mC」は5−メチルシチジン−5’−三リン酸を指し、「2sU」は2−チオウリジン−5’−三リン酸を指し、「psisoC」はプソイドイソシチジン−5’−三リン酸を指し、「5mU」は5−メチルウリジン−5’−三リン酸を指し、「7dA」は7−デアザアデノシン−5’−三リン酸を指し、「7dG」は7−デアザグアノシン−5’−三リン酸を指し、また「N4mC」はN4−メチルシチジン−5’−三リン酸を指す。

実施例2 形質移入培地形成 培地を、細胞の効率的な形質移入、再プログラミング、および遺伝子編集を支持するように開発した:

DMEM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5g/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+20ng/mLのbFGF+5mg/mLの処理されたヒト血清アルブミン。

この培地の変異体も、特定の形質移入試薬、特定の核酸、特定の細胞種類とともに使用されるときに改善された性能を提供するように開発された:DMEM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+4.5μg/mLのコレステロール+20ng/mLのbFGF+5mg/mLの処理されたヒト血清アルブミン、DMEM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+1μΜ ヒドロコルチゾン+20ng/mLのbFGF+5mg/mLの処理されたヒト血清アルブミン、およびDMEM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+4.5μg/mLのコレステロール+1μΜのヒドロコルチゾン+20ng/mLのbFGF+5mg/mLの処理されたヒト血清アルブミン。

特定の実験において細胞培地に添加されたさらなる構成要素の例(濃度例と共に列挙される)としては、15mMのHEPES、2mMのL−アラニル−L−グルタミン、2μg/mLのエタノールアミン、10μg/mLの脂肪酸、10μg/mLのタラ肝油脂肪酸(メチルエステル)、25μg/mLのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、2μg/mLのD−α−酢酸トコフェロール、1〜50μg/mLのL−アスコルビン酸2−ホスフェートセスキマグネシウム塩水和物、200ng/mLのB18R、および0.1%のPluronic F−68が挙げられる。

培地が条件化される特定の実験に関して、次の変異体を使用した。

DMEM/F12+15mMのHEPES+2mMのL−アラニル−L−グルタミン+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+2μg/mLのエタノールアミン+4.5μg/mLのコレステロール+10μg/mLのタラ肝油脂肪酸(メチルエステル)+25μg/mLのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート+2μg/mLのD−α−酢酸トコフェロール+1μg/mLのL−アスコルビン酸2−ホスフェートセスキマグネシウム塩水和物+0.1%のPluronic F−68+20ng/mLのbFGF+5mg/mLの処理されたヒト血清アルブミン。

培地が条件化されない特定の実験に関して、次の変異体を使用した。

DMEM/F12+15mMのHEPES+2mMのL−アラニル−L−グルタミン+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+2μg/mLのエタノールアミン+4.5μg/mLのコレステロール+1μΜのヒドロコルチゾン+0〜25μg/mLのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート+2μg/mLのD−α−酢酸トコフェロール+50μg/mLのL−アスコルビン酸2−ホスフェートセスキマグネシウム塩水和物+20ng/mLのbFGF+5mg/mLの処理されたヒト血清アルブミン。

これらの変異体の調製に関して、処理されたヒト血清アルブミンを、32mMのオクタン酸ナトリウムを添加し、その後に60℃にて4時間加熱し、その後にイオン交換樹脂(AG501−X8(D))で室温にて6時間処理し、その後にデキストランコーティングされた活性炭(C6241、Sigma−Aldrich Co.LLC.)で室温にて一晩処理し、その後にヌクレアーゼを含まない水と共に10%溶液まで遠心分離、濾過、調節し、その後に培地の他の構成要素に添加することによって処理した。培地が条件化される特定の実験に関して、培地を、照射されたヒト新生児線維芽細胞フィーダー上で24時間条件化した。細胞は、別段に記載のない限り、フィブロネクチンでコーティングされたプレートまたはフィブロネクチンおよびビトロネクチンとでコーティングされたプレート上に蒔いた。

培地の形成は、培養される特定の細胞種類の必要を満たすように調節することができる。更に、特定の状況では、処理されたヒト血清アルブミンは、例えば、処理されたウシ血清アルブミン等の他の処理されたアルブミンと置換されることができ、例えば、L−グルタミン等の他のグルタミン源が、L−アラニル−L−グルタミンの代わりにまたはそれに加えて使用されることができ、例えば、リン酸塩、重炭酸塩等の他の緩衝システムが、HEPESの代わりにまたはそれに加えて使用されることができ、セレニウムは、亜セレン酸ナトリウムの代わりにまたはそれに加えて、例えば、亜セレン酸等の他の形態で提供されることができ、例えば、L−アスコルビン酸等の他の酸化防止剤が、L−アスコルビン酸2−ホスフェートセスキマグネシウム塩水和物および/またはD−α−酢酸トコフェロールの代わりにまたはそれに加えて使用されることができ、例えば、Pluronic F−127等の他の界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよび/またはPluronic F−68の代わりにまたはそれに加えて使用されることができ、例えば、MEM、DMEM等の他の基本培地が、DMEM/F12の代わりにまたはそれに加えて使用されることができ、また培地の構成要素は、例えば、0日目から5日目はTGF−βを伴わない培地を使用し、次に5日目の後は2ng/mLのTGF−βを含有する培地を使用することによって、時間と共に変動されることができる。特定の状況では、例えば、脂肪酸、リゾホスファチジン酸、リゾスフィンゴミエリン、スフィンゴシン−1−ホスフェート、他のスフィンゴ脂質、タンパク質のTGF−β/NODALファミリーのメンバー、IL−6、タンパク質のWntファミリーのメンバー等の他の成分が、適切な濃度で添加されることができ、また特定の細胞種類の成長を促進もしくは阻害することが知られている成分、ならびに/または、特定の細胞種類の成長を促進もしくは阻害することが知られているタンパク質もしくは他の分子の作動薬および/もしくは拮抗物質が、それらの細胞種類と使用される際に適切な濃度で、培地に添加されることができ、例えば、スフィンゴシン−1−ホスフェートおよび多能性幹細胞等である。成分は、精製化合物、明確に定義された混合物の一部、例えば、動物性または植物性油脂等の複合体または明確に定義されていない混合物の一部の形態をとることができ、また例えば、条件化等の生物学的プロセスによって添加されてもよい。構成要素の濃度は、当業者にとって明らかであろう範囲内で、列挙した値から変動されることができる。

実施例3 合成RNAによる細胞の形質移入 6ウェルプレート内での形質移入のために、はじめに2μgのRNAおよび6μLの形質移入試薬(Lipofectamine(商標)RNAiMAX、Life Technologies Corporation)を、複合体形成培地(Opti−MEM(登録商標)、Life Technologies Corporation)中で、それぞれ60μLの総容積まで別々に希釈した。希釈したRNAおよび形質移入試薬を次に、形質移入試薬製造者の説明書に従って、混合し、室温にて15分間インキュベートした。複合体を次に、培養中の細胞に添加した。30μL〜240μLの間の複合体を、1ウェルあたり2mLの形質移入培地を既に含有している6ウェルプレートの各ウェルに添加した。次にプレートをやさしく振盪して、ウェルの全体に複合体を分配した。培地を新鮮な形質移入培地(2mL/ウェル)と置換する前に、細胞を、2時間から一晩、複合体と共にインキュベートした。体積を、24ウェルおよび96ウェルプレート内の形質移入に関して計側した。Oct4に対する抗体を用いて、形質移入の20〜24時間後に細胞を固定および染色した(図2A)。核を染色および計数して、RNAの相対毒性を決定した(図2B)。

実施例4 非処理ヒト血清アルブミン調製物の、核酸形質移入およびRNA再プログラミングを支持する能力の分析 初代ヒト新生児線維芽細胞を、5mg/mLのHSAと共にまたは伴わずに培地中で培養した。Cohn画分V(A6784、Sigma−Aldrich Co.LLC.)および4つの異なる組み換えHSA調製物(A6608、A7736、A9731、およびA9986、全てSigma−Aldrich Co.LLC.による)を、スクリーニングした。細胞に、実施例1に従って合成されたRNAを、実施例3に従って形質移入した。非形質移入細胞は、任意のHSA調製物含有する培地中で良好に成長したのに対し、形質移入したウェルでは、それぞれのHSA調製物は、著しく異なる細胞形態および細胞密度を生み出し、またいずれも再プログラミングを示唆する形態学的変化をもたらさなかった。

実施例5 オクタノエートで処理されたヒト血清アルブミンの産生 HSAの10%溶液を、22mMの塩化ナトリウムおよび16mMのオクタン酸ナトリウム(Sigma−Aldrich Co.LLC.)と共に事前にインキュベートし、完全な培地の組み立て前に、37℃で3時間インキュベートした。

実施例6 イオン交換クロマトグラフィーを用いたヒト血清アルブミンの処理 Pichia pastoris(A7736、Sigma−Aldrich Co.LLC.)内で産生した組み換えHSAの20%溶液を、10mLのヌクレアーゼを含まない水に2gのHSAを室温でやさしく攪拌しながら溶解することによって調製した。HSA溶液を次に、まず1gの混床脱イオン化樹脂(AG501−X8(D)、Bio−Rad Laboratories,Inc.)を添加し、また室温にて1時間揺動させることによって脱イオン化した。次にHSA溶液を、5gの新鮮な樹脂を含有するチューブにデカントし、室温にて4時間揺動させた。最後に、脱イオン化したHSA溶液を、デカントし、ヌクレアーゼを含まない水と共に10%の総タンパク質量に調節し、0.2μmPES−膜フィルタを用いて濾過殺菌し、4℃で保管した。

実施例7 オクタノエートで処理されたヒト血清アルブミンを含有する培地中で培養された細胞の形質移入効率および生存率の分析 初代ヒト新生児線維芽細胞を、実施例4に従って処理された組み換えHSAを含有する、または処理された血液由来HSA(Bio−Pure HSA、Biological Industries)を含有する培地中で培養した。細胞に、0日目から開始して、実施例1に従って合成したRNAを実施例3に従って毎日形質移入した。画像を3日目に撮影した。間葉から上皮への移行に類似した形態学的変化を受けている細胞の幾つかの小さい領域が、オクタノエートを含有するウェル内で観察され、向上した形質移入効率を示した。間葉から上皮への移行に類似した形態学的変化の多数の広い領域が、処理された血液由来HSAを含有する標本内で観察された。どちらの場合においても、形態額的変化は、再プログラミングの特性であった。

実施例8 オクタノエートで処理されたヒト血清アルブミンを含有する培地を用いたヒト線維芽細胞の再プログラミング 初代ヒト新生児線維芽細胞を、線維芽細胞培地(DMEM+10%ウシ胎仔血清)中で、5000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに蒔いた。6時間後、培地を、オクタノエートで処理されたHSAを含有する形質移入培地と置換した。細胞に、0日目から開始して、実施例1に従って合成したRNAを実施例3に従って毎日形質移入した。5日目までに、ウェルは、再プログラミングと一致する形態を示す細胞の幾つかの領域を含んだ。この実験は、フィーダーまたは免疫抑制剤の使用を含まなかった。

実施例9 イオン交換樹脂で処理されたヒト血清アルブミンを含有する培地中で培養された細胞の形質移入効率および生存率の分析 初代ヒト新生児線維芽細胞に、0日目から開始して、実施例1に従って合成したRNAを実施例3に従って形質移入した。画像を2日目に撮影した。非処理HSAを含有するウェル内の細胞は、処理された血液由来HSAまたはイオン交換樹脂で処理された組み換えHSAを含有するウェルのいずれかと比較して、低い生存率を示した。

実施例10 イオン交換樹脂で処理されたヒト血清アルブミン用いたヒト線維芽細胞の再プログラミング 初代ヒト新生児線維芽細胞を、線維芽細胞培地(DMEM+10%ウシ胎仔血清)中で、10,000細胞/ウェルの密度でフィーダー上の6ウェルプレート内に蒔いた。細胞に、0日目から開始して、実施例1に従って合成したRNAを実施例3に従って毎日形質移入した。1:20の分割比を伴う継代を、4日目に実施した。画像を10日目に撮影した。ウェルは、再プログラミングと一致する形態を示す細胞の多数の大きいコロニーを含んだ。非処理HSAを含有する細胞培地に曝露されたウェル内には、コロニーは観察されなかった。

実施例11 フィーダーまたは免疫抑制剤を用いないヒト線維芽細胞の再プログラミング 初代ヒト線維芽細胞を、線維芽細胞培地(DMEM+10%ウシ胎仔血清)中で、20,000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレート内に蒔いた。6時間後、培地を、処理されたHSAを含有し、免疫抑制剤を含有しない形質移入培地と置換し、細胞に、実施例1に従って合成したRNAを、RNAの用量が1μg/ウェルに低減されたことおよび合計で5回の形質移入が実施されたこととを除いて実施例3に従って毎日形質移入した。画像を7日目に撮影した。再プログラミングと一致する形態を示す細胞の小コロニーを、早くも5日目に見ることができた。7日目に、培地を、DMEM/F12+20%Knockout(商標)Serum Replacement(Life Technologies Corporation)+1X非必須アミノ酸+2mMのL−グルタミンと置換し、照射したマウス胚性線維芽細胞上で24時間条件化し、次に20ng/mLのbFGFおよび10μΜのY−27632で補充した。再プログラミングされた形態を有する大コロニーを、早くも8日目に見ることができた。コロニーを、10日目に採集し、基底膜抽出物(Cultrex(登録商標)Human BME Pathclear(登録商標)、Trevigen Inc.)でコーティングされたウェル内に蒔いた(図3A)。細胞は迅速に成長し、継代されて株を樹立した。樹立された株を、多能性幹細胞マーカーOct4およびSSEA4に対して陽性に染色した(図3B)。プロトコル全体を反復し、同様の結果が観察された(図3C)。

実施例12 ヒト皮膚生検組織由来の細胞の効率的で迅速な誘導および再プログラミング 全層皮膚パンチ生検を、認可されたプロトコルに従って、健康な31歳の有志者に実施した。簡単に、左上腕の皮膚領域を2.5%リドカインの局所塗布によって麻酔した。該領域を70%のイソプロパノールで消毒し、1.5mm直径のパンチを用いて全層皮膚生検を実施した(図4A)。組織をリン酸緩衝食塩水(PBS)内ですすぎ、250μLのTrypLE(商標)Select CTS(商標)(Life Technologies Corporation)を含有する1.5mLのチューブ内に蒔き、37℃で30分間インキュベートした。次に組織を、250μLのDMEM/F12−CTS(商標)(Life Technologies Corporation)+5mg/mLのコラゲナーゼを含有する1.5mLチューブへ移し、37℃で2時間インキュベートした(図4B)。鉗子を用いて上皮を除去し、組織を機械的に解離させた。細胞を、DMEM/F12−CTS(商標)中で2回すすぎ、24ウェルおよび96ウェルプレートのフィブロネクチンでコーティングされたウェルに蒔いた。静脈切開術も、同一の有志者に実施し、静脈血をVacutainer(登録商標)SST(商標)チューブ(Becton、Dickinson and Company)内に収集した。製造者プロトコルに従って、血清を単離した。同遺伝子型プレート培地を、DMEM/F12−CTS(商標)+2mMのL−アラニル−L−グルタミン(Sigma−Aldrich Co.LLC.)+20%のヒト血清を混合することによって調製した。皮膚組織標本からの細胞を、形質移入培地中または同遺伝子型プレート培地中のいずれかに蒔いた。2日後、ウェルをすすぎ、培地を形質移入培地と置換した。線維芽細胞形態を有する多数の細胞が、2日目までに付着し広がり始めた(図4C)。細胞に、2日目から開始して、実施例1に従って合成したRNAを実施例3に従って形質移入し、全体積はより小さいウェルに適応するように計測した。5日目までに、再プログラミングと一致する形態を有する細胞の領域が観察された。

実施例13 非標準ヌクレオチドを含有する合成RNAを用いたヒト線維芽細胞の再プログラミング 初代ヒト線維芽細胞を、形質移入培地中において20,000細胞/ウェルの密度で、組み換えヒトフィブロネクチンおよび組み換えヒトビトロネクチン(それぞれ、DMEM/F12中で1μg/mL、1mL/ウェルの濃度に希釈され、室温で1時間インキュベートされた)でコーティングされた6ウェルプレート内に蒔いた。翌日、細胞に、実施例1に従って合成したRNAを、RNAの用量が1日目は0.5μg/ウェル、2日目は0.5μg/ウェル、および3日目は2μg/ウェルであることを除いて実施例3に従って形質移入した。画像を4日目に撮影した。再プログラミングと一致する形態を示す細胞の小コロニーを、4日目に見ることができた。

実施例14 未条件化形質移入培地を伴うヒト線維芽細胞の再プログラミング 初代ヒト線維芽細胞を、形質移入培地中において20,000細胞/ウェルの密度で、組み換えヒトフィブロネクチンおよび組み換えヒトビトロネクチン(それぞれ、DMEM/F12中で1μg/mL、1mL/ウェルの濃度に希釈され、室温で1時間インキュベートされた)でコーティングされた6ウェルプレート内に蒔いた。翌日、細胞に、実施例1に従って合成したRNAを、RNAの用量が1日目は0.5μg/ウェル、2日目は0.5μg/ウェル、3日目は2μg/ウェル、4日目は2μg/ウェル、および5日目は4μg/ウェルであることを除いて実施例3に従って形質移入した。再プログラミングと一致する形態を示す細胞の小コロニーを、早くも5日目に見ることができた。7日目に、培地を、DMEM/F12+20%のKnockout(商標)Serum Replacement(Life Technologies Corporation)+1X非必須アミノ酸+2mMのL−グルタミンで置換し、照射したマウス胚性線維芽細胞上で24時間条件化し、次に20ng/mLのbFGFおよび10μΜのY−27632で補充した。再プログラミングされた形態を有する大コロニーを、早くも8日目に見ることができた。コロニーを、10日目に採集し、基底膜抽出物(Cultrex(登録商標)Human BME Pathclear(登録商標)、Trevigen Inc.)でコーティングされたウェル内に蒔いた。細胞は迅速に成長し、継代されて株を樹立した。

実施例15 グルコース応答性インスリン産生細胞の生成 細胞を、実施例11または実施例12に従って再プログラミングし、次にDMEM/F12+0.2%HSA+0.5X N2補充物+0.5X B27補充物+100ng/mLのアクチビンA+1μΜのウォルトマンニン中で4日間、その後1:1F12/IMDM+0.5%HSA+0.5%ITS補充物+0.5X B27補充物+2μΜのレチノイン酸+20ng/mLのFGF7+50ng/mLのNOGGIN中で4日間、その後DMEM+0.5%HSA+1%ITS補充物+1X N2補充物+50ng/mLのEGF中で5日間、その後DMEM/F12+1%ITS補充物+10ng/mLのbFGF+10mMのニコチンアミド+50ng/mLのエキセンジン−4+10ng/mLのBMP4中で7〜9日間培養して、グルコース応答性インスリン産生細胞を生成する。別の方法として、細胞を、実施例11または実施例12に従って再プログラミングし、次に1:1F12/IMDM+0.5%HSA+0.5%ITS補充物+0.5X B27補充物+2μΜのレチノイン酸+20ng/mLのFGF7+50ng/mLのNOGGIN中で4日間、その後DMEM+0.5%HSA+1%ITS補充物+1X N2補充物+50ng/mLのEGF中で5日間、その後DMEM/F12+1%ITS補充物+10ng/mLのbFGF+10mMのニコチンアミド+50ng/mLのエキセンジン−4+10ng/mLのBMP4中で7〜9日間培養して、決定的な内胚葉細胞を生成することなくグルコース応答性インスリン産生細胞を生成する。別の方法として、細胞を、実施例11または実施例12に従って再プログラミングし、次に1:1F12/IMDM+0.5%HSA+0.5%ITS補充物+0.5X B27補充物+2μΜのレチノイン酸+20ng/mLのFGF7+50ng/mLのNOGGIN中で4日間、その後DMEM/F12+1%ITS補充物+10ng/mLのbFGF+10mMのニコチンアミド+50ng/mLのエキセンジン−4+10ng/mLのBMP4中で7〜9日間培養して、決定的な内胚葉細胞を生成することなく、また前駆細胞を増殖することなく、グルコース応答性インスリン産生細胞を生成する。内胚葉細胞またはインスリン産生細胞は、培養中に存在する他の細胞から単離されることができるが、この方法は、十分に高いパーセンテージのそのような単離が通常必要とされないグルコース応答性インスリン産生細胞を生成する。得られた細胞は次に、糖尿病の研究のため、または糖尿病に関する治療法の開発のために、生理活性分子をスクリーニングするためにin vitroまたはin vivoで使用することができる。

実施例16 組み換えタンパク質を用いたグルコース応答性インスリン産生細胞の生成 細胞を、実施例11に従って再プログラミングし、次にDMEM/F12、100ng/mlのアクチビンA、25ng/mlのWnt3a、0.01%組み換えHSA、1X ITSE中で1日間、その後DMEM/F12、100ng/mlのアクチビンA、0.01%組み換えHSA、1X ITSE中で2日間、その後DMEM/F12、50ng/mlのFGF10、0.25μΜのKAAD−シクロパミン、0.01%組み換えHSA、1X ITSE中で3日間、その後DMEM/F12、1%B27、2μΜのオールトランスレチノイン酸、50ng/mlのFGF10、0.25μΜのKAAD−シクロパミン中で4日間、その後DMEM/F12、1%B27、1μΜのγ−セクレターゼ阻害剤DAPT、50ng/mlのエキセンジン−4、10nMのベタセルリン、10mMのニコチンアミド中で2日間、その後DMEM/F12、50mg/Lのアスコルビン酸−2−ホスフェート、1%B27、1μΜのγ−セクレターゼ阻害剤DAPT、50ng/mlのエキセンジン−4、50ng/mlのIGF−1、50ng/mlのHGF、10nMのベタセルリン、10mMのニコチンアミド中で6日間培養して、グルコース応答性インスリン産生細胞を生成した(図5A)。得られた細胞は、糖尿病の研究のため、または糖尿病に関する治療法の開発のために、生理活性分子をスクリーニングするためにin vitroまたはin vivoで使用することができる。

実施例17 再プログラミングされた細胞を含む、1型糖尿病のための個別化された細胞置換療法 患者の皮膚細胞を、実施例12および実施例14に従って、グルコース応答性インスリン産生細胞へと再プログラミングする。細胞を次に、細胞容器から酵素的に解離させ、約1X106〜約1X107個の間の細胞を、腹腔内空間または門脈内へ注射する。腹腔内注射の場合、細胞を、過剰な移動を防止するために細胞外マトリックスタンパク質と事前に混合する。細胞は移植され、インスリンを産生し始める。インスリン/C−ペプチドを観察し、必要に応じて追加の注射を実施する。

実施例18 RNA TALENの合成 20bpマッチングTALENをコード化するRNAを、実施例1に従ってDNA鋳型から合成した(図6A〜Cおよび図7)(表2)。得られたRNAを、アガロースゲル電気泳動によって分析し、RNAの品質を評価した。RNAを次に、200ng/μLに希釈し、RNase阻害剤(SuperaseIn(商標)、Life Technologies Corporation)を、RNAの1μL/100μgの濃度で添加した。RNA溶液を、4℃で保管した。TALEN対の各半分をコード化するRNAを、1:1のモル比で混合した。

実施例19 CCR5遺伝子を標的とするRNA TALENの合成 TALEN L1:TCATTTTCCATACAGTCAGT、L2:TTTTCCATACAGTCAGTATC、R1:TGACTATCTTTAATGTCTGG、およびR2:TATCTTTAATGTCTGGAAATをコード化するRNAを、実施例18に従って合成した。これらのTALENは、センス鎖(L1およびL2)上またはアンチセンス鎖(R1およびR2)上でCCR5遺伝子内の20−bp部位を標的とする。次のTALEN対を調製した:L1&R1、L1&R2、L2&R1、およびL2&R2

実施例20 ヒト線維芽細胞の、RNA TALENを用いたCCR5遺伝子の遺伝子編集、およびDNAを含まない、フィーダーを含まない、免疫抑制剤を含まない条件化をしない再プログラミング 初代ヒト線維芽細胞を、形質移入培地中において10,000細胞/ウェルの密度で、組み換えヒトフィブロネクチンおよび組み換えヒトビトロネクチン(それぞれ、DMEM/F12中で1μg/mL、1mL/ウェルの濃度に希釈され、室温で1時間インキュベートされた)でコーティングされた6ウェルプレート内に蒔いた。翌日、細胞に、RNAの用量が0.5μg/ウェルであること、およびRNAが実施例19に従って合成されたことを除いて、実施例3に従って形質移入した。翌日から開始して、細胞を実施例11に従って再プログラミングした。再プログラミングの形態特性を有する細胞の大コロニーが、実施例11の通りに見ることができるようになった。画像を9日目に撮影した(図8)。

実施例21 RNA TALENおよびDNA修復鋳型による細胞の形質移入 はじめに、標的とされる2本鎖切断位置の500bp上流から標的とされる2本鎖切断位置の500bp下流にわたる1001bp領域を含有する0.5ugRNA+0.5ugDNAおよび、6μLの形質移入試薬(Lipofectamine(商標)2000、Life Technologies Corporation)を、複合体形成培地(Opti−MEM(登録商標))中で、それぞれ60μLの総容積まで別々に希釈する。次に、希釈したRNA+DNAおよび形質移入試薬を形質移入試薬の製造者の説明書に従って、混合し、室温で15分間インキュベートする。次に、複合体を培養中の細胞に添加する。60μL〜120μLの間で、1ウェルあたり2mLの形質移入培地を既に含有している6ウェルプレートの各ウェルに添加する。プレートを次にやさしく振盪して、ウェル全体に複合体を分配する。培地を新鮮な形質移入培地(2mL/ウェル)と置換する前に、細胞を、2時間から一晩、複合体と共にインキュベートする。

実施例22 RNA TALENおよびDNA修復鋳型を用いた遺伝子編集、およびDNAを含まない、フィーダーを含まない、免疫抑制剤を含まない条件化をしないヒト線維芽細胞の再プログラミング 初代ヒト線維芽細胞を、線維芽細胞培地(DMEM+10%ウシ胎仔血清)中において10,000細胞/ウェルの密度で、6ウェルプレート内に蒔く。6時間後、培地を、処理されたHSAを含有し免疫抑制剤を含有しない形質移入培地と置換し、実施例21に従って細胞に形質移入する。翌日から開始して、細胞を、最初の蒔くことおよび培地変更ステップを省略したことを除いて、実施例11または実施例12に従って再プログラミングする。

実施例23 造血細胞の生成 細胞を、実施例11に従って再プログラミングし、次にIMDM+0.5%HSA+1x ITS補充物+450μΜのモノチオグリセロール+2mMのL−グルタミン+1Xの非必須アミノ酸+50ng/mLのBMP4+50ng/mLのVEGF+50ng/mLのbFGF中で6日間培養して、造血細胞を生成した(図5B)。別の方法として、細胞を、実施例11または実施例12または実施例20または実施例22に従って再プログラミングし、次にIMDM+0.5%HSA+1x ITS補充物+450μΜのモノチオグリセロール+2mMのL−グルタミン+1Xの非必須アミノ酸+50ng/mLのBMP4+50ng/mLのVEGF+50ng/mLのbFGF中で6日間、その後IMDM+0.5%HSA+1x ITS補充物+0.1mMの2−メルカプトエタノール+5U/mLのヘパリン+10ng/mLのTPO+25ng/mLのSCF+25ng/mLのFLT3L+10ng/mLのIL−3+10ng/mLのIL−6中で8日間培養して、造血細胞を生成する。別の方法として、細胞を、実施例11または実施例12または実施例20または実施例22に従って再プログラミングし、次にコラーゲンIV上に再び蒔き、IMDM+0.5%HSA+1x ITS補充物+450μΜのモノチオグリセロール+2mMのL−グルタミン+1Xの非必須アミノ酸+50ng/mLのBMP4+50ng/mLのVEGF+50ng/mLのbFGF中で6日間、その後IMDM+0.5%HSA+1x ITS補充物+0.1mMの2−メルカプトエタノール+5U/mLのヘパリン+10ng/mLのTPO+25ng/mLのSCF+25ng/mLのFLT3L+10ng/mLのIL−3+10ng/mLのIL−6中で8日間培養して、造血細胞を生成する。別の方法として、細胞を、実施例11または実施例12または実施例20または実施例22に従って再プログラミングし、次に1:1F12/IMDM+0.5%HSA+1x ITS補充物+4.5μg/mLのコレステロール+10μg/mLのタラ肝油脂肪酸+25μg/mLのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート+2μg/mLのD−a−酢酸トコフェロール+450μΜのモノチオグリセロール+2mMのL−グルタミン+25ng/mLのBMP4+25ng/mLのVEGF+25ng/mLのbFGF+20ng/mLのSCF中で10日間培養して、造血細胞を生成する。

実施例24 再プログラミングされた細胞を含む、血液疾患のための個別化された細胞置換療法 患者の皮膚細胞を、実施例23に従って造血細胞へと再プログラミングする。細胞を次に、培養容器から放出し、患者の体重1kgあたり約1X106〜約1X107個の間の細胞を、数時間にわたって大動脈内へ注入する。

実施例25 遺伝子編集および再プログラミングされた細胞を含む、HIV/AIDSのための個別化された細胞置換療法 患者の皮膚細胞を、実施例23に従って、造血細胞へと遺伝子編集および再プログラミングする。細胞を次に、培養容器から酵素的に解離させ、患者の体重1kgあたり約1X106〜約1X107個の間の細胞を、数時間にわたって大動脈内へ注入する。造血幹細胞は、髄腔へと戻り、移植される。別の方法として、患者の皮膚細胞を、実施例23に従って、造血細胞へと遺伝子編集および再プログラミングし、細胞を次に、培養容器から酵素的に解離させ、CD34+/CD90+/Lin−またはCD34+/CD49f+/Lin−細胞を単離する。約1X103〜約1X105個の間の細胞を、患者の大動脈内に注入する。造血幹細胞は、髄腔へと戻り、移植される。

実施例26 生理活性分子をスクリーニングするための心臓病モデル 細胞を、実施例11に従って再プログラミングし、次にDMEM/F12+0.2%HSA+0.5X N2補充物+0.5X B27補充物+100ng/mLのアクチビンA+1μΜのウォルトマンニン中で4日間、その後1:1F12/IMDM+0.5%HSA+0.5%ITS補充物+0.5X B27補充物+2μΜのレチノイン酸+20ng/mLのFGF7+50ng/mLのNOGGIN中で4日間、その後DMEM/F12+1%ITS補充物+10ng/mLのbFGF+10mMのニコチンアミド+50ng/mLのエキセンジン−4+10ng/mLのBMP4中で7〜9日間培養して、心細胞を生成した(図5C)。別の方法として、細胞を、実施例12に従って再プログラミングする。心細胞は、培養中に存在する他の細胞から単離されることができるが、この方法は、十分に高いパーセンテージのそのような単離が通常必要とされない心細胞を生成する。得られた細胞は、心疾患の研究のため、または心疾患に関する治療法の開発のために、生理活性分子をスクリーニングするためにin vitroまたはin vivoで使用することができる。得られた細胞はまた、心毒性スクリーニングのために使用することもできる。

実施例27 再プログラミングされた細胞を含む、虚血性心筋症のための個別化された細胞置換療法 患者の皮膚細胞を、実施例26に従って心細胞へと再プログラミングする。細胞を次に、培養容器から酵素的に解離させ、約1X106〜約1X107個の間の細胞を心膜内に注射する、または約1X103〜約1X105個の間の細胞を1つ以上の冠状動脈内に注射する。細胞を移植し、また追加の注射を必要に応じて実施する。

実施例28 生理活性分子をスクリーニングするための網膜疾患モデル 細胞を、実施例11または実施例12に従って再プログラミングし、次にDMEM/F12+0.2% HSA+0.5X N2補充物+0.5X B27補充物中で7日間培養して、網膜細胞を生成する。得られた細胞は、網膜疾患の研究のため、または網膜疾患に関する治療法の開発のために、生理活性分子をスクリーニングするためにin vitroまたはin vivoで使用することができる。

実施例29 再プログラミングされた細胞を含む、黄斑変性のための個別化された細胞置換療法 患者皮膚細胞を、実施例28に従って網膜細胞へと再プログラミングする。細胞を次に、培養容器から酵素的に解離させ、約1X104〜約1X105個の間の細胞を、網膜内または網膜下に注射する。細胞を移植し、また追加の注射を必要に応じて実施する。 [等価物] 当業者は、通常の実験のみを用いて、本明細書に明確に説明される特定の実施形態に対する多数の等価物を認識する、または確認することが可能であろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲の範囲に含まれることを意図される。 [参照による援用] 本明細書に援用される全ての特許および出版物は、その全体を参照により本明細書に援用される。

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