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特定のプロモーター及び特定の蛋白質をコードする遺伝子を含むベクター、該ベクターが導入された形質転換植物、並びに、該ベクターを植物に導入することにより、ポリイソプレノイドの生産量を向上させる方法

申请号 JP2015033074 申请日 2015-02-23 公开(公告)号 JP2016154458A 公开(公告)日 2016-09-01
申请人 住友ゴム工業株式会社; 发明人 井之上 ゆき乃; 岡田 明里; 山口 晴彦; 黒田 智;
摘要 【課題】 遺伝子組換え技術により 植物 体に導入することでポリイソプレノイドの生産量を向上させることができるベクターを提供する。 【解決手段】 Hevein2.1をコードする遺伝子のプロモーター、及び、該プロモーターに機能的に連結されたポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするベクター。 【選択図】なし
权利要求

Hevein2.1をコードする遺伝子のプロモーター、及び、該プロモーターに機能的に連結されたポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を含むことを特徴とするベクター。前記Hevein2.1をコードする遺伝子のプロモーターが、以下の[A1]〜[A3]のいずれかに記載のDNAからなる請求項1記載のベクター。 [A1]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列からなるDNA [A2]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するDNA [A3]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するDNA前記ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子が、ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子、及び、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子である請求項1又は2記載のベクター。前記ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子が、以下の[B1]〜[B3]のいずれかに記載のDNAからなる請求項3記載のベクター。 [B1]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列からなるDNA [B2]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [B3]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA前記ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子が、以下の[C1]〜[C3]のいずれかに記載のDNAからなる請求項3記載のベクター。 [C1]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列からなるDNA [C2]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [C3]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA前記3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子が、以下の[D1]〜[D12]のいずれかに記載のDNAからなる請求項3記載のベクター。 [D1]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列からなるDNA [D2]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D3]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D4]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列からなるDNA [D5]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D6]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D7]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列からなるDNA [D8]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D9]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D10]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列からなるDNA [D11]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D12]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA前記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子が、以下の[E1]〜[E3]のいずれかに記載のDNAからなる請求項3記載のベクター。 [E1]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列からなるDNA [E2]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [E3]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA前記cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が、以下の[F1]〜[F6]のいずれかに記載のDNAからなる請求項3記載のベクター。 [F1]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列からなるDNA [F2]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F3]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F4]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列からなるDNA [F5]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F6]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA前記Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子が、以下の[G1]〜[G3]のいずれかに記載のDNAからなる請求項3記載のベクター。 [G1]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列からなるDNA [G2]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA [G3]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA前記Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子が、以下の[H1]〜[H3]のいずれかに記載のDNAからなる請求項3記載のベクター。 [H1]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列からなるDNA [H2]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA [H3]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA請求項1〜10のいずれかに記載のベクターが導入された形質転換植物。請求項1〜10のいずれかに記載のベクターを植物に導入することにより、該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させる方法。

说明书全文

本発明は、特定のプロモーター及び特定の蛋白質をコードする遺伝子を含むベクター、該ベクターが導入された形質転換植物、並びに、該ベクターを植物に導入することにより、該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させる方法に関する。

現在、工業用ゴム製品に用いられている天然ゴム(ポリイソプレノイドの1種)は、トウダイグサ科のパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)や桑科植物のインドゴムノキ(Ficus elastica)などのイソプレノイド産生植物から採取することにより得られる。

現在、工業用ゴム製品に用いられている天然ゴムは、パラゴムノキをほぼ唯一の採取源としている。パラゴムノキは東南アジアや南米などの限られた地域でのみ生育可能な植物である。更に、パラゴムノキは、植樹からゴムの採取が可能な成木になるまでに7年程度を要し、また、天然ゴムを採取できる期間は20〜30年に限られる。今後、開発途上国を中心に天然ゴムの需要の増大が見込まれているが、上述の理由によりパラゴムノキによる天然ゴムの大幅な増産は困難である。

ところで、近年の遺伝子工学の発展に伴い、天然の植物体に所望の外来遺伝子を導入することによって形質の改変を図ることが可能となってきている。 天然ゴムは、パラゴムノキやインドゴムノキなどの特定のイソプレノイド産出植物の乳管で生産される乳液から得られるものであることから、乳液の生産性を向上させて天然ゴムの生産量を向上させることを目的として、遺伝子組換え技術の開発が検討されているが、未だ改善の余地があった。

このように、天然ゴム資源の枯渇が懸念されており、天然ゴムの生産量を向上させることができる技術の開発が望まれている。

本発明は、前記課題を解決し、遺伝子組換え技術により植物体に導入することでポリイソプレノイドの生産量を向上させることができるベクターを提供することを目的とする。また、該ベクターが導入された形質転換植物、並びに、該ベクターを植物に導入することにより、該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させる方法を提供することも目的とする。

本発明者らは、天然ゴムの生産量を向上させる方法について、種々検討を行う中で、遺伝子組換え技術に着目し、ポリイソプレノイドの生合成経路の一部を増強し、結果的にポリイソプレノイドの生産量を向上させることで、天然ゴムの生産量の向上した形質転換植物を作出することを目指して研究、開発を行い、Hevein2.1をコードする遺伝子のプロモーターの制御下となるように、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を連結した塩基配列を含むベクターを構築した。そして、当該構築したベクターを植物に導入することにより、該ベクターに含まれるポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子が乳管特異的に発現し、当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができることを見出した。

本発明は、Hevein2.1をコードする遺伝子のプロモーター、及び、該プロモーターに機能的に連結されたポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を含むベクターに関する。

上記Hevein2.1をコードする遺伝子のプロモーターが、以下の[A1]〜[A3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [A1]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列からなるDNA [A2]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するDNA [A3]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するDNA

上記ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子が、ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子、及び、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子であることが好ましい。

上記ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子が、以下の[B1]〜[B3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [B1]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列からなるDNA [B2]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [B3]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子が、以下の[C1]〜[C3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [C1]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列からなるDNA [C2]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [C3]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子が、以下の[D1]〜[D12]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [D1]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列からなるDNA [D2]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D3]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D4]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列からなるDNA [D5]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D6]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D7]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列からなるDNA [D8]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D9]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D10]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列からなるDNA [D11]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D12]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子が、以下の[E1]〜[E3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [E1]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列からなるDNA [E2]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [E3]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が、以下の[F1]〜[F6]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [F1]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列からなるDNA [F2]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F3]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F4]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列からなるDNA [F5]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F6]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子が、以下の[G1]〜[G3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [G1]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列からなるDNA [G2]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA [G3]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA

上記Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子が、以下の[H1]〜[H3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [H1]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列からなるDNA [H2]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA [H3]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA

本発明はまた、上記いずれかのベクターが導入された形質転換植物に関する。

本発明はまた、上記いずれかのベクターを植物に導入することにより、該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させる方法に関する。

本発明のベクターは、Hevein2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、ポリイソプレノイドの生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターである。そして、該ベクターを植物に導入することにより、該ベクターに含まれる、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子が乳管特異的に発現し、当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。

図1は、ポリイソプレノイドの生合成経路の一部を示す模式図である。

図2は、ポリイソプレノイドの生合成経路の一部を示す模式図である。

図3は、ポリイソプレノイドの生合成経路の上流であるメバロン酸経路の一部を示す模式図である。

図4は、ポリイソプレノイドの生合成経路の一部を示す模式図である。

図5は、ポリイソプレノイドの生合成経路の一部を示す模式図である。

図6は、ポリイソプレノイドの生合成経路の一部を示す模式図である。

図7は、実施例1で用いるアグロバクテリウムに導入される発現ベクターのT−DNA領域を示す模式図である。

図8は、実施例2で用いるアグロバクテリウムに導入される発現ベクターのT−DNA領域を示す模式図である。

図9は、実施例3、8、9、又は10で用いるアグロバクテリウムに導入される発現ベクターのT−DNA領域を示す模式図である。

図10は、実施例4で用いるアグロバクテリウムに導入される発現ベクターのT−DNA領域を示す模式図である。

図11は、実施例5又は11で用いるアグロバクテリウムに導入される発現ベクターのT−DNA領域を示す模式図である。

図12は、実施例6で用いるアグロバクテリウムに導入される発現ベクターのT−DNA領域を示す模式図である。

図13は、実施例7で用いるアグロバクテリウムに導入される発現ベクターのT−DNA領域を示す模式図である。

(ベクター) 本発明のベクターは、乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するHevein2.1(HEV2.1)をコードする遺伝子のプロモーターに、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターである。このようなベクターを植物に導入して形質転換を行うことにより、当該ベクターに含まれる、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子が乳管特異的に発現し、当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることが可能となる。これは、乳液の生産性向上のために導入した外来遺伝子の発現が乳管以外の部位で促進されると、植物体の代謝や乳液の生産に負荷がかかり、悪影響を及ぼすためと推測される。 なお、本明細書において、Hevein2.1(HEV2.1)は、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)等のポリイソプレノイド産出植物の乳管細胞に多く発現しているタンパク質のことであり、ゴム粒子の凝集に関与し、抗真菌活性を有するものである。

なお、本明細書において、プロモーターが乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するとは、所望の遺伝子を当該プロモーターと機能的に連結させて植物に導入した場合に、当該所望の遺伝子が乳管で特異的に発現されるように遺伝子発現を制御する活性を有することを意味する。ここで、乳管特異的に遺伝子が発現するとは、当該遺伝子が植物中、乳管以外の部位では全く又はほとんど発現せず、当該遺伝子が実質的に乳管でのみ専ら発現しているといえる状態を意味する。また、遺伝子をプロモーターと機能的に連結させるとは、当該プロモーターの制御を受けるように、当該プロモーターの下流に当該遺伝子配列を連結することを意味する。

本発明のベクターは、一般的に植物の形質転換用ベクターとして知られているベクターに、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列、及び、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列を従来公知の方法により挿入することで作製することができる。本発明のベクターを作製するために使用することができるベクターとしては、例えば、pBI系のベクターや、pGA482、pGAH、pBIGなどのバイナリーベクター、pLGV23Neo、pNCAT、pMON200などの中間系プラスミド、GATEWAYカセットを含むpH35GSなどが挙げられる。

本発明のベクターは、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列、及び、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列を含む限り、その他の塩基配列を含んでいてもよい。通常、ベクターにはこれらの塩基配列に加えて、ベクター由来の配列が含まれており、更に、制限酵素認識配列、スペーサ—配列、マーカー遺伝子の配列、レポーター遺伝子の配列などが含まれる。

上記マーカー遺伝子としては、例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。また、上記レポーター遺伝子は、植物体中での発現部位を確認するために導入するものであり、例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、GUS(βグルクロニダーゼ)遺伝子、GFP(緑色蛍光タンパク質)、RFP(赤色蛍光タンパク質)等が挙げられる。

(HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター) 上記HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターは、その由来は特に制限されないが、植物由来であることが好ましく、ポリイソプレノイド産出植物由来であることがより好ましい。中でも、パラゴムノキ、グアユール、ロシアンタンポポ、セイタカアワダチソウ、ノゲシ、レタス、又はヒマワリ由来であることが更に好ましい。特に好ましくは、パラゴムノキ由来である。 なお、本明細書において、ポリイソプレノイド産出植物とは、ポリイソプレノイドを産出可能な植物を意味し、その具体例は後述する。

上記HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターは、下記[A1]〜[A3]のいずれかで表されるDNAであることが好ましい。 [A1]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列からなるDNA [A2]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するDNA [A3]配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するDNA

ここでいう「ハイブリダイズする」とは、特定の塩基配列を有するDNA又は該DNAの一部にDNAがハイブリダイズする工程である。したがって、該特定の塩基配列を有するDNA又は該DNAの一部の塩基配列は、ノーザン若しくはサザンブロット解析のプローブとして有用であるか、又はPCR(Polymerase Chain Reaction)解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる長さのDNAであってもよい。プローブとして用いるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAを挙げることができるが、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAであってもよい。

DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えばモレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press(Molecular)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従ってハイブリダイゼーションの条件を決定し、実験を行うことができる。

上記のストリンジェントな条件とは、例えばDNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、及び20μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件を挙げることができるが、より低いストリンジェント条件を用いることもできる。ストリンジェントな条件の変更は、ホルムアミドの濃度調整(ホルムアミドの濃度を下げるほど低ストリンジェントになる)、塩濃度及び温度条件の変更により可能である。低ストリンジェント条件としては、例えば6×SSCE(20×SSCEは、3mol/lの塩化ナトリウム、0.2mol/lのリン酸二素ナトリウム、0.02mol/lのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベートした後、50℃の1×SSC、0.1%SDS溶液を用いて洗浄する条件を挙げることができる。また、さらに低いストリンジェントな条件としては、上記した低ストリンジェント条件において、高塩濃度(例えば5×SSC)の溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った後、洗浄する条件を挙げることができる。

上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。

また、上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAのように、プロモーターの塩基配列は、元の塩基配列とある程度の配列同一性を有している場合には、同様にプロモーター活性を有する場合があることが知られている。プロモーター活性を維持するための、配列番号1で表される塩基番号1−1680の塩基配列との配列同一性としては、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。

塩基配列やアミノ酸配列の配列同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。

上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAや、上記したDNAと80%以上の配列同一性を有するDNAが、乳管特異的に遺伝子を発現させるプロモーター活性を有するDNAであることを確認する方法としては、例えば、従来公知の方法である、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、又はGFP(Green Fluorescent Protein)等をレポーター遺伝子としたレポーターアッセイなどにより確認する方法が挙げられる。

また、上記HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列を同定する方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、生育する植物から、CTAB(Cetyl Trimethyl Ammonium Bromide)法によりゲノムDNAを抽出する。次に既知のHEV2.1をコードする遺伝子の塩基配列を基に特異的なプライマーと、ランダムプライマーを設計し、抽出したゲノムDNAを鋳型にしてTAIL(Thermal Asymmetric Interlaced)−PCR法を行って、HEV2.1のプロモーターを含む遺伝子の増幅を行い、塩基配列を同定する。

(ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質) 上記ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子は、ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子、及び、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子であることが好ましい。なかでも、ポリイソプレノイドの生産量をより向上させることができることから、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、及び、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子がより好ましく、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、又は、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が更に好ましく、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が特に好ましい。

本発明者らは、ポリイソプレノイドの生合成経路の一部を増強し、結果ポリイソプレノイドの生産量を向上させることで、天然ゴムの生産量の向上した形質転換植物を作出することを目指したが、まず、ポリイソプレノイドの生合成経路のなかでも、重要物質の1つであるイソプレニル二リン酸(IPP)を生合成する経路として、メバロン酸経路(MVA経路)と非メバロン酸経路(MEP経路)の2種類の経路が知られている。MVA経路に着目し、MVA経路及びその下流の経路の一部を増強すべく、ポリイソプレノイドの生合成経路に関与している様々な蛋白質の中から、重要な働きをしていると予想される複数の蛋白質を選定した。

具体的には、アリル性の基質にIPPを連結していき、イソプレン単位を順次つなげていく反応に関わるプレニルトランスフェラーゼであり、天然ゴムの開始基質と考えられるファルネシル二リン酸(FPP)、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を合成するファルネシル二リン酸シンターゼ(FPS)及びゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPS);MVA経路の律速段階である3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMGR);IPPとジメチルアリル二リン酸(DMAPP)の異性化に関わるイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IPI);イソプレノイド化合物の鎖長伸張に関わるとされているcis−プレニルトランスフェラーゼ(CPT);ポリイソプレノイドの生合成に関与していることが知られているSmall Rubber Particle Protein(SRPP)及びRubber Elongation Factor(REF)の7種の蛋白質を選定した。そして、これらの蛋白質をコードする遺伝子それぞれをHEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの制御下となるように連結した塩基配列を含むベクターを構築し、当該構築したベクターを植物に導入することにより、当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることが可能であった。

なお、上述のように、ポリイソプレノイドの生合成経路では、アリル性基質に順次イソペンテニル二リン酸(IPP)が連結される反応が進行する。この反応を触媒する酵素は、イソプレン単位を順次つなげていくという意味からプレニルトランスフェラーゼと総称されている。なお、本明細書において、プレニルトランスフェラーゼとは、IPPとイソプレニル二リン酸(イソプレン単位がn個)(アリル性基質)との間の縮合反応を触媒し、イソプレン単位が1単位増えた新たなイソプレニル二リン酸(イソプレン単位がn+1個)を合成する酵素の総称を意味する。

プレニルトランスフェラーゼは、イソプレン単位を連結することにより、各テルペノイドの基本的前駆体となるゲラニル二リン酸(GPP:C10)、ファルネシル二リン酸(FPP:C15)、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP:C20)、ゲラニルファルネシル二リン酸(GFPP:C25)、ヘキサプレニル二リン酸(HPP:C30)などの各種のイソプレニル二リン酸を合成する酵素群であり、テルペノイド生合成の主流に位置している。ファルネシル二リン酸シンターゼ(FPS)や、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPS)などがプレニルトランスフェラーゼに分類される。

なお、本明細書において、ファルネシル二リン酸シンターゼ(FPS)は、イソペンテニル二リン酸(IPP)、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)及びゲラニル二リン酸(GPP)を基質としてファルネシル二リン酸(FPP)の生合成反応を触媒する酵素である。 また、本明細書において、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPS)は、イソペンテニル二リン酸(IPP)、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、ゲラニル二リン酸(GPP)及びファルネシル二リン酸(FPP)を基質としてゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)の生合成反応を触媒する酵素である。

また、本明細書において、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMG−CoAレダクターゼ、HMGR)は、メバロン酸経路(MVA経路)の律速酵素の一つであり、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ (NADPH)(EC 1.1.1.34)と3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ(EC 1.1.1.88)の両方を含む。 また、本明細書において、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IPPイソメラーゼ、IPI)は、イソペンテニル二リン酸(IPP)と、その異性体であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)の間の異性化反応を触媒する酵素である。 また、本明細書において、cis−プレニルトランスフェラーゼ(cis型プレニルトランスフェラーゼ、CPT)は、イソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素である。ここで、本明細書において、イソプレノイド化合物とは、イソプレン単位(C5H8)を有する化合物を意味する。また、cis型イソプレノイドは、イソプレン単位がシス型に結合したイソプレノイド化合物を有する化合物であり、例えばcis−ファルネシル二リン酸、ウンデカプレニル二リン酸、天然ゴムなどが挙げられる。 また、本明細書において、Small Rubber Particle Protein(SRPP)は、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)等のポリイソプレノイド産出植物のラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質のことである。 また、本明細書において、Rubber Elongation Factor(REF)は、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)等のポリイソプレノイド産出植物のラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質のことである。

(遺伝子) 上記ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子は、いずれもその由来は特に制限されず、植物由来であることが好ましく、ポリイソプレノイド産出植物由来であることがより好ましい。中でも、パラゴムノキ、グアユール、ロシアンタンポポ、セイタカアワダチソウ、ノゲシ、レタス、又はヒマワリ由来であることが更に好ましい。特に好ましくは、パラゴムノキ由来であることである。

上記ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子は、以下の[B1]〜[B3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [B1]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列からなるDNA [B2]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [B3]配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子は、以下の[C1]〜[C3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [C1]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列からなるDNA [C2]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [C3]配列番号4で表される塩基番号1−1113の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子は、以下の[D1]〜[D12]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [D1]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列からなるDNA [D2]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D3]配列番号6で表される塩基番号1−1728の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D4]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列からなるDNA [D5]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D6]配列番号7で表される塩基番号1−1761の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D7]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列からなるDNA [D8]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D9]配列番号8で表される塩基番号1−1821の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D10]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列からなるDNA [D11]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [D12]配列番号9で表される塩基番号1−1581の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子は、以下の[E1]〜[E3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [E1]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列からなるDNA [E2]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [E3]配列番号14で表される塩基番号1−705の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、以下の[F1]〜[F6]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [F1]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列からなるDNA [F2]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F3]配列番号16で表される塩基番号1−873の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F4]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列からなるDNA [F5]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA [F6]配列番号66で表される塩基番号1−855の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA

上記Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子は、以下の[G1]〜[G3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [G1]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列からなるDNA [G2]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA [G3]配列番号18で表される塩基番号1−615の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA

上記Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子は、以下の[H1]〜[H3]のいずれかに記載のDNAからなることが好ましい。 [H1]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列からなるDNA [H2]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA [H3]配列番号60で表される塩基番号1−417の塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質をコードするDNA

ここでいう「ハイブリダイズする」とは、上述したのと同様である。また、上記ストリンジェントな条件についても、上述したのと同様である。

また、上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAのように、ある蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列は、元の塩基配列とある程度の配列同一性を有している場合には、同様の酵素活性を有する場合があることが知られている。酵素活性を維持するための、配列番号2で表される塩基番号1−1029の塩基配列との配列同一性としては、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。配列番号4、6〜9、14、16、18、60、66で表される塩基配列についても、配列同一性としては上記範囲同様である。

上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAや、上記したDNAと80%以上の配列同一性を有するDNAが、所定の酵素活性等の機能を有する蛋白質をコードするDNAであることを確認する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、大腸菌などを用いて、目的の蛋白質をコードする遺伝子を導入した形質転換体により、目的蛋白質を発現させ、目的蛋白質の機能の有無をそれぞれの活性測定法により、活性測定等を行う方法が挙げられる。

また、上記蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列及び上記蛋白質のアミノ酸配列を同定する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、生育する植物から、Total RNAを抽出し、必要に応じてmRNAを精製し、逆転写反応によりcDNAを合成する。次に目的蛋白質に相当する既知の蛋白質のアミノ酸配列をもとに、縮重プライマーを設計し、RT−PCRを行い、部分的にDNA断片の増幅を行い、部分的に配列を同定する。次いで、RACE法などを行い、全長の塩基配列及びアミノ酸配列を同定する。RACE法(Rapid Amplification of cDNA Ends法)とは、cDNAの塩基配列が部分的に把握されているときに、その既知領域の塩基配列情報を基にPCRを行って、cDNA末端までの未知領域をクローニングする方法で、cDNAライブラリーの作製を経ずに、PCR法によって全長のcDNAをクローニングすることができる方法である。 なお、縮重プライマーは、上記目的蛋白質と共通性の高い配列部位を有する植物由来の配列から作製することが好ましい。 また、上記蛋白質をコードする塩基配列が既知の場合には、その知られている塩基配列から開始コドンを含むプライマー及び終止コドンを含むプライマーを設計し、合成したcDNAを鋳型にしてRT−PCRを行うことで全長の塩基配列及びアミノ酸配列を同定することができる。

(蛋白質) 上記ファルネシル二リン酸シンターゼの具体例としては、下記[b1]が挙げられる。該[b1]で表される蛋白質は、上記[B1]で表されるDNAにコードされている蛋白質である。 [b1]配列番号3で表されるアミノ酸番号1−342のアミノ酸配列からなる蛋白質

上記ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼの具体例としては、下記[c1]が挙げられる。該[c1]で表される蛋白質は、上記[C1]で表されるDNAにコードされている蛋白質である。 [c1]配列番号5で表されるアミノ酸番号1−370のアミノ酸配列からなる蛋白質

上記3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼの具体例としては、下記[d1]〜[d4]のいずれかが挙げられる。該[d1]〜[d4]で表される蛋白質はそれぞれ、上記[D1]、[D4]、[D7]及び[D10]で表されるDNAにコードされている蛋白質である。 [d1]配列番号10で表されるアミノ酸番号1−575のアミノ酸配列からなる蛋白質 [d2]配列番号11で表されるアミノ酸番号1−586のアミノ酸配列からなる蛋白質 [d3]配列番号12で表されるアミノ酸番号1−606のアミノ酸配列からなる蛋白質 [d4]配列番号13で表されるアミノ酸番号1−526のアミノ酸配列からなる蛋白質

上記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼの具体例としては、下記[e1]が挙げられる。該[e1]で表される蛋白質は、上記[E1]で表されるDNAにコードされている蛋白質である。 [e1]配列番号15で表されるアミノ酸番号1−234のアミノ酸配列からなる蛋白質

上記cis−プレニルトランスフェラーゼの具体例としては、下記[f1]又は[f4]が挙げられる。該[f1]、[f4]で表される蛋白質は、上記[F1]、[F4]で表されるDNAにコードされている蛋白質である。 [f1]配列番号17で表されるアミノ酸番号1−290のアミノ酸配列からなる蛋白質 [f4]配列番号67で表されるアミノ酸番号1−284のアミノ酸配列からなる蛋白質

上記Small Rubber Particle Proteinの具体例としては、下記[g1]が挙げられる。該[g1]で表される蛋白質は、上記[G1]で表されるDNAにコードされている蛋白質である。 [g1]配列番号19で表されるアミノ酸番号1−204のアミノ酸配列からなる蛋白質

上記Rubber Elongation Factorの具体例としては、下記[h1]が挙げられる。該[h1]で表される蛋白質は、上記[H1]で表されるDNAにコードされている蛋白質である。 [h1]配列番号61で表されるアミノ酸番号1−138のアミノ酸配列からなる蛋白質

また、蛋白質は、元のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含む場合であっても本来持つ機能を有する場合があることが知られている。従って、上記蛋白質の具体例としてはそれぞれ、下記[b2]、[c2]、[d5]、[d6]、[d7]、[d8]、[e2]、[f2]、[f5]、[g2]、[h2]も挙げられる。 [b2]配列番号3で表されるアミノ酸番号1−342のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [c2]配列番号5で表されるアミノ酸番号1−370のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d5]配列番号10で表されるアミノ酸番号1−575のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d6]配列番号11で表されるアミノ酸番号1−586のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d7]配列番号12で表されるアミノ酸番号1−606のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d8]配列番号13で表されるアミノ酸番号1−526のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [e2]配列番号15で表されるアミノ酸番号1−234のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [f2]配列番号17で表されるアミノ酸番号1−290のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [f5]配列番号67で表されるアミノ酸番号1−284のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [g2]配列番号19で表されるアミノ酸番号1−204のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質 [h2]配列番号61で表されるアミノ酸番号1−138のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質

なお、上記酵素活性を維持するためには、配列番号3で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜68個のアミノ酸、更に好ましくは1〜51個のアミノ酸、更により好ましくは1〜34個のアミノ酸、特に好ましくは1〜17個のアミノ酸、最も好ましくは1〜7個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜3個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号5で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜74個のアミノ酸、更に好ましくは1〜56個のアミノ酸、更により好ましくは1〜37個のアミノ酸、特に好ましくは1〜19個のアミノ酸、最も好ましくは1〜7個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜4個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号10で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜115個のアミノ酸、更に好ましくは1〜86個のアミノ酸、更により好ましくは1〜58個のアミノ酸、特に好ましくは1〜29個のアミノ酸、最も好ましくは1〜12個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜6個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号11で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜117個のアミノ酸、更に好ましくは1〜88個のアミノ酸、更により好ましくは1〜59個のアミノ酸、特に好ましくは1〜29個のアミノ酸、最も好ましくは1〜12個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜6個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号12で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜121個のアミノ酸、更に好ましくは1〜91個のアミノ酸、更により好ましくは1〜61個のアミノ酸、特に好ましくは1〜30個のアミノ酸、最も好ましくは1〜12個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜6個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号13で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜105個のアミノ酸、更に好ましくは1〜79個のアミノ酸、更により好ましくは1〜53個のアミノ酸、特に好ましくは1〜26個のアミノ酸、最も好ましくは1〜11個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜5個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号15で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜47個のアミノ酸、更に好ましくは1〜35個のアミノ酸、更により好ましくは1〜23個のアミノ酸、特に好ましくは1〜12個のアミノ酸、最も好ましくは1〜5個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜2個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号17で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜58個のアミノ酸、更に好ましくは1〜44個のアミノ酸、更により好ましくは1〜29個のアミノ酸、特に好ましくは1〜15個のアミノ酸、最も好ましくは1〜6個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜3個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、酵素活性を維持するためには、配列番号67で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜57個のアミノ酸、更に好ましくは1〜43個のアミノ酸、更により好ましくは1〜28個のアミノ酸、特に好ましくは1〜14個のアミノ酸、最も好ましくは1〜6個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜3個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、SRPPとしての機能、すなわちラテックスに存在するゴム粒子に結合する機能を維持するためには、配列番号19で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜41個のアミノ酸、更に好ましくは1〜31個のアミノ酸、更により好ましくは1〜20個のアミノ酸、特に好ましくは1〜10個のアミノ酸、最も好ましくは1〜4個のアミノ酸、より最も好ましくは1〜2個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

また、REFとしての機能、すなわちラテックスに存在するゴム粒子に結合する機能を維持するためには、配列番号61で表されるアミノ酸配列において、好ましくは1若しくは複数個のアミノ酸、より好ましくは1〜28個のアミノ酸、更に好ましくは1〜21個のアミノ酸、更により好ましくは1〜14個のアミノ酸、特に好ましくは1〜7個のアミノ酸、最も好ましくは1〜3個のアミノ酸、より最も好ましくは1個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。

アミノ酸置換の例としては、保存的置換が好ましく、具体的には以下のカッコ内のグループ内での置換が挙げられる。例えば、(グリシン、アラニン)(バリン、イソロイシン、ロイシン)(アスパラギン酸、グルタミン酸)(アスパラギン、グルタミン)(セリン、トレオニン)(リジン、アルギニン)(フェニルアラニン、チロシン)である。

また、蛋白質は、元のアミノ酸配列と配列同一性の高いアミノ酸配列を有する蛋白質も同様の機能を有する場合があることが知られている。従って、上記蛋白質の具体例としてはそれぞれ、下記[b3]、[c3]、[d9]、[d10]、[d11]、[d12]、[e3]、[f3]、[f6]、[g3]、[h3]も挙げられる。 [b3]配列番号3で表されるアミノ酸番号1−342のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [c3]配列番号5で表されるアミノ酸番号1−370のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸とを基質とする反応、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸とを基質とする反応、又はイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸とを基質とする反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d9]配列番号10で表されるアミノ酸番号1−575のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d10]配列番号11で表されるアミノ酸番号1−586のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d11]配列番号12で表されるアミノ酸番号1−606のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [d12]配列番号13で表されるアミノ酸番号1−526のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAを還元する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [e3]配列番号15で表されるアミノ酸番号1−234のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつイソペンテニル二リン酸又はジメチルアリル二リン酸を異性化する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [f3]配列番号17で表されるアミノ酸番号1−290のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [f6]配列番号67で表されるアミノ酸番号1−284のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつイソプレノイド化合物の鎖長をcis型に延長する反応を触媒する酵素活性を有する蛋白質 [g3]配列番号19で表されるアミノ酸番号1−204のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質 [h3]配列番号61で表されるアミノ酸番号1−138のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつラテックスに存在するゴム粒子に結合するゴム粒子結合蛋白質

なお、上記酵素活性等蛋白質としての本来の機能を維持するためには、配列番号3、5、10、11、12、13、15、17、19、61、67のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列との配列同一性は、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。

所定の酵素活性等の機能を有する蛋白質であることを確認する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、大腸菌などを用いて、目的の蛋白質をコードする遺伝子を導入した形質転換体により、目的蛋白質を発現させ、目的蛋白質の機能の有無をそれぞれの活性測定法により、活性測定等を行う方法が挙げられる。

(形質転換体) 本発明のベクター(HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、ポリイソプレノイドの生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクター)を植物に導入することにより、ポリイソプレノイド生合成に関わる所定の蛋白質を乳管特異的に発現するように形質転換された生物体(形質転換体)が得られる。そして、当該形質転換体では、ポリイソプレノイド生合成に関わる所定の蛋白質が乳管特異的に発現することにより、本発明のベクターが導入された植物体内で新たに該蛋白質が有する所定の酵素活性等の機能が乳管内で増強されてポリイソプレノイドの生合成経路の一部が増強され、結果的に植物体でのポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。

上記形質転換体に用いられる宿主としては、植物であれば特に制限されないが、ポリイソプレノイドを産出可能な植物であることが好ましく、例えば、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)等のHevea属;ノゲシ(Sonchus oleraceus)、オニノゲシ(Sonchus asper)、ハチジョウナ(Sonchus brachyotus)等のSonchus属;セイタカアワダチソウ(Solidago altissima)、アキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. asiatica)、ミヤマアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. leipcarpa)、キリガミネアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. leipc arpaf. paludosa)、オオアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. gigantea)、オオアワダチソウ(Solidago gigantea Ait. var. leiophylla Fernald)等のSolidago属;ヒマワリ(Helianthus annuus)、シロタエヒマワリ(Helianthus argophyllus)、ヘリアンサス・アトロルベンス(Helianthus atrorubens)、ヒメヒマワリ(Helianthus debilis)、コヒマワリ(Helianthus decapetalus)、ジャイアントサンフラワー(Helianthus giganteus)等のHelianthus属;タンポポ(Taraxacum)、エゾタンポポ(Taraxacum venustum H.Koidz)、シナノタンポポ(Taraxacum hondoense Nakai)、カントウタンポポ(Taraxacum platycarpum Dahlst)、カンサイタンポポ(Taraxacum japonicum)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale Weber)、ロシアンタンポポ(Taraxacum koksaghyz)等のTaraxacum属;イチジク(Ficus carica)、インドゴムノキ(Ficus elastica)、オオイタビ(Ficus pumila L.)、イヌビワ(Ficus erecta Thumb.)、ホソバムクイヌビワ(Ficus ampelas Burm.f.)、コウトウイヌビワ(Ficus benguetensis Merr.)、ムクイヌビワ(Ficus irisana Elm.)、ガジュマル(Ficus microcarpa L.f.)、オオバイヌビワ(Ficus septica Burm.f.)、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)等のFicus属;グアユール(Parthenium argentatum)、アメリカブクリョウサイ(Parthenium hysterophorus)、ブタクサ(Parthenium hysterophorus)等のParthenium属;レタス(Lactuca serriola)、ベンガルボダイジュ等が挙げられる。なかでも、Hevea属、Sonchus属、Taraxacum属、及びParthenium属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する植物であることがより好ましい。特に好ましくはHevea属に属する植物であり、最も好ましくはパラゴムノキである。

本発明のベクターを植物に導入する方法としては、植物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いる方法(特開昭59−140885号公報、特開昭60−70080号公報、国際公開第94/00977号)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887号公報)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許第2606856号、特許第2517813号)等を挙げることができる。中でも、アグロバクテリウムを用いる方法(アグロバクテリウム法)を用いて本発明のベクターを植物に導入して形質転換体を作製するのが好ましい。この場合、本発明のベクターをアグロバクテリウム属菌に導入し、当該アグロバクテリウム属菌を通常行われる方法により培養(例えば、培養温度20〜35℃で、YEB培地で10〜30時間振とう培養)、増殖させた後、カルス、植物組織片又は幼植物体に感染させることで、本発明のベクターに含まれる所定の遺伝子の導入された形質転換体を作製することができる。

上記した本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌は、従来公知の方法により作製することができるが、例えば、アグロバクテリウム属菌の有するTiプラスミドのT−DNA領域と相同組換え可能なプラスミドに、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列、及び、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列等を挿入した遺伝子組換えベクターを本発明のベクターとして作製し、当該ベクターをアグロバクテリウム属菌に導入する方法や、上述したバイナリーベクターに、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列、及び、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列等を挿入した遺伝子組換えバイナリーベクターを本発明のベクターとして作製し、当該ベクターをアグロバクテリウム属菌に導入する方法などが挙げられる。 また、上記アグロバクテリウム属菌としては、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)菌株(C58、LBA4404、EHA101、EHA105、C58C1RifR、GV3101等)を用いることができる。

以上の方法等により、上記形質転換体(形質転換植物細胞)が得られる。

本発明はまた、本発明のベクターが導入された形質転換植物を提供するものである。該形質転換植物は、形質転換植物細胞を有する植物であれば特に限定されず、例えば、上述の方法で得られた形質転換植物細胞のみならず、その子孫又はクローン、さらにそれらを継代させて得られる子孫植物の全てを含む概念である。一旦、本発明のベクターに含まれるHEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列、及び、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列がゲノム内に導入された形質転換植物細胞が得られれば、該形質転換植物細胞から有性生殖、無性生殖、組織培養、細胞培養、細胞融合等により子孫又はクローンを得ることが可能である。また、該形質転換植物細胞やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、不定芽、不定胚、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物を量産することも可能である。

形質転換植物細胞から植物体(形質転換植物)を再生する方法は、例えば、ユーカリでは土肥らの方法(特開2000−316403号公報)、イネではFujimuraらの方法(Fujimuraら(1995)、Plant Tissue Culture Lett.,vol.2:p74−)、トウモロコシではShillitoらの方法(Shillitoら(1989)、Bio/Technology,vol.7:p581−)、ジャガイモではVisserらの方法(Visserら(1989)、Theor.Appl.Genet.,vol.78:p589−)、シロイヌナズナではAkamaらの方法(Akamaら(1992)、Plant Cell Rep.,vol.12:p7−)が知られており、当業者であれば、これらを参照して形質転換植物細胞から植物体を再生できる。

以下において、本発明の形質転換植物を作製する方法の一例について具体的に説明する。 本発明の形質転換植物を作製する方法の一例としては、植物由来の組織をカルス誘導化条件で5〜9週間培養(誘導工程)して得られたカルスに、本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌を感染させる感染工程と、当該ベクターの導入されたカルスを選択的に生育させる選択培養工程と、カルスから不定胚を誘導する工程(再生誘導工程)とを含む方法が挙げられる。このような作製方法では、上記感染工程と、上記選択培養工程とにより、形質転換植物細胞(形質転換されたカルス)を作成した後、上記再生誘導工程により、該カルスから不定胚を誘導し、該不定胚を培養してカルスを植物に再生し、形質転換植物を作成することができる。カルスを植物に再生する方法としては、より具体的には、カルスから不定胚を誘導し、該不定胚を培養することにより、シュートを形成させ、該シュートを培養することにより、カルスを植物に再生すればよい。

より具体的には、植物由来の組織をカルス誘導化条件で5〜9週間培養して得られたカルスに、本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌を感染させる感染工程と、当該ベクターの導入されたカルスを選択的に生育させる選択培養工程と、再生誘導培地中でカルスを培養することにより不定胚及びシュートを形成させる再生誘導工程と、シュートを発根培地で培養することにより発根させる発根工程とを含む方法であることが好ましく、植物由来の組織をカルス誘導化条件で5〜9週間培養して得られたカルスに、本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌を感染させる感染工程と、当該ベクターの導入されたカルスを選択的に生育させる選択培養工程と、再生誘導培地中でカルスを培養することにより不定胚及びシュートを形成させる再生誘導工程と、形成されたシュートを伸長培地で培養することにより伸長させる伸長工程と、伸長させたシュートを発根培地で培養することにより発根させる発根工程とを含む方法であることがより好ましい。

次に、本発明の形質転換植物を作製する方法の各工程について説明する。

(誘導工程) まず、カルスの調製方法(誘導工程)について説明する。 誘導工程では、例えば、植物の組織片(組織)を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導する。

上記組織片としては、特に限定されないが、葉、茎、根、芽、花弁、子葉、胚軸、葯、及び種子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、葉、茎が好ましい。

上記誘導工程では、まず、植物の組織片の表面を洗浄する。組織片として植物の内部にある組織を利用する場合は、例えば、磨き粉で洗浄しても良いが、界面活性剤を約0.1%含む水で洗浄してもよい。葉などを利用する場合は、軟らかいスポンジで表面を洗浄してもよい。

次に、組織片を殺菌又は滅菌する。殺菌又は滅菌は、周知の殺菌剤、滅菌剤を用いて行うことができるが、エタノール、塩化ベンザルコニウム、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好ましい。

次に、殺菌又は滅菌した組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することにより、カルスの誘導を行う。なお、誘導培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、カルス化しやすいため、固体培地が好ましい。また、誘導培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよいし、振とう培養を行ってもよい。

上記植物生長ホルモンとしては、例えば、オーキシン系植物ホルモン及び/又はサイトカイニン系植物ホルモンが挙げられる。

上記オーキシン系植物ホルモンとしては、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、ナフタレン酢酸、インドール酪酸、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、クロロフェノキシ酢酸、ナフトキシ酢酸、フェニル酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、パラクロロフェノキシ酢酸、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸、4−フルオロフェノキシ酢酸、2−メトキシ−3,6−ジクロロ安息香酸、2−フェニル酸、ピクロラム、ピコリン酸等が挙げられる。なかでも、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸、インドール酪酸が好ましく、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸がより好ましい。

上記サイトカイニン系植物ホルモンとしては、ベンジルアデニン、カイネチン(KI)、ゼアチン、ベンジルアミノプリン、イソペンチニルアミノプリン、チジアズロン、イソペンテニルアデニン、ゼアチンリポシド、ジヒドロゼアチン等が挙げられる。なかでも、ベンジルアデニン、カイネチン、ゼアチンが好ましく、カイネチンがより好ましい。

上記炭素源としては、特に限定されず、スクロース、グルコース、トレハロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、イドース、アラビノース、アピオース、マルトース等の糖類が挙げられる。また、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール等の糖アルコールであってもよい。なかでも、スクロースが好ましい。

上記誘導培地としては、Whiteの培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、Hellerの培地(Heller R, Bot.Biol.Veg.Paris 14 1−223(1953))、SH培地(SchenkとHildebrandtの培地)、MS培地(MurashigeとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、LS培地(LinsmaierとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、Gamborg培地、B5培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、MB培地、WP培地(Woody Plant:木本類用)等の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に植物生長ホルモンを加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、B5培地、WP培地に植物生長ホルモンを加えたものが好ましい。また、カルスの維持及び細胞分裂の促進に適しているという理由から、オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含むことが好ましい。

上記誘導培地は、ジャスモン酸、及びモノテルペン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。 モノテルペン化合物としては、D−リモネン、α−ピネン、β−ピネン、l−メントール、ゲラニオール、カラン、ピナン、ミルセン、オシメン、コスメン等が挙げられる。なかでも、D−リモネン、α−ピネンが好ましい。

上記誘導培地を固体培地とする場合、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。上記固形化剤としては、特に限定されず、寒天、ゲランガム、アガロース、ゲルライト、ゼラチン、シリカゲル等が挙げられる。

好適な誘導培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、パラゴムノキの場合は)以下の組成である。

上記誘導培地中の窒素濃度は、好ましくは0mM以上、より好ましくは1×10−3mM以上、更に好ましくは20mM以上である。該窒素濃度は、好ましくは100mM以下、より好ましくは70mM以下である。

上記誘導培地中の微量無機塩類の濃度は、好ましくは0mM以上、より好ましくは1×10−3mM以上である。微量無機塩類の濃度は、好ましくは2mM以下、より好ましくは0.23mM以下である。 なお、本明細書において、微量無機塩類とは、ホウ素、マンガン、亜鉛、銅、モリブデン、塩素、コバルト、チタン、バナジウム、アルミニウム、ケイ素等の培地に少量含有させる無機塩類を意味する。すなわち、微量無機塩類には、カルシウム、マグネシウム、カリウム等の主要無機塩類(培地に多量に含めなければ培養が成立しない無機塩類)は含まれない。上記微量無機塩類のなかでも、ホウ素、マンガン、亜鉛が好ましく、ホウ素、マンガン、亜鉛の合計濃度が上記微量無機塩類の好ましい濃度範囲内であることが好ましい。

上記誘導培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。なお、本明細書において、炭素源の濃度とは、糖類の濃度を意味する。

上記誘導培地中のカルシウムイオン濃度は、好ましくは0mM以上、より好ましくは1×10−5mM以上、更に好ましくは0.1mM以上である。該カルシウムイオン濃度は、好ましくは10mM以下、より好ましくは5mM以下である。

上記誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0mg/l以上、より好ましくは1×10−3mg/l以上、更に好ましくは1mg/l以上、特に好ましくは1.5mg/l以上である。また、該オーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは20mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは3mg/l以下、特に好ましくは2.5mg/l以下である。

上記誘導培地中のサイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0mg/l以上、より好ましくは1×10−3mg/l以上、更に好ましくは0.5mg/l以上、特に好ましくは0.8mg/l以上である。また、該サイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは3mg/l以下、特に好ましくは1.5mg/l以下、最も好ましくは1.2mg/l以下である。

上記誘導培地中のジャスモン酸の濃度は、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1×10−6質量%以上である。該ジャスモン酸の濃度は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。

上記誘導培地中のモノテルペン化合物の濃度は、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1×10−6質量%以上である。該モノテルペン化合物の濃度は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。

上記誘導培地のpHは、4.0〜10.0が好ましく、5.0〜6.5がより好ましく、5.6〜5.8が更に好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、23〜30℃がより好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、照度は、0〜100000lxが好ましく、0〜0.1lxがより好ましい。 なお、本明細書において、固体培地のpHは、固形化剤を除く全成分を添加した培地のpHを意味する。また、本明細書において、暗所とは、照度が0〜0.1lxであることを意味し、明所とは、照度が0.1lxを超えていることを意味する。

上記誘導培地が固体培地である場合、誘導培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。また、該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。

上述の条件のなかでも、特に、植物がパラゴムノキの場合、オーキシン系植物ホルモンが2,4−ジクロロフェノキシ酢酸で、その濃度が1.5〜2.5mg/lであり、サイトカイニン系植物ホルモンがカイネチンで、その濃度が0.8〜1.2mg/lであることが特に好ましい。

以上のように、殺菌又は滅菌した組織片を上記誘導培地中で培養することにより、カルスの誘導を行うことが可能である。

本発明の形質転換植物を作製する方法では、例えば、植物由来の組織をカルス誘導化条件(上記誘導培地)で5〜9週間培養して得られたカルスを用いることができる。植物由来の組織をカルス誘導化条件で培養を開始した後、アグロバクテリウム属菌感染までの培養期間は、特に限定されるものではなく、植物の種類、カルス誘導の材料とする植物組織(組織片)の種類や量、感染に用いるアグロバクテリウム属菌の量等を考慮して、適宜決定することができる。好ましくは、植物由来の組織をカルス誘導化条件で5〜9週間培養して得られたカルス、より好ましくは、植物由来の組織をカルス誘導化条件で6〜8週間培養して得られたカルス、特に好ましくは、植物由来の組織をカルス誘導化条件で8週間培養して得られたカルスを用いる。

なお、例えば、植物由来の組織をカルス誘導化条件で8週間培養して得られたカルスとは、植物由来の組織をカルス誘導培地(上記誘導培地)に移してから8週間培養して得られたカルスを意味する。

(感染工程) 感染工程では、植物由来の組織をカルス誘導化条件で例えば5〜9週間培養して得られたカルスに、本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌を感染させる。

上記感染工程では、植物由来の組織をカルス誘導化条件で例えば5〜9週間培養して得られたカルス(誘導工程により得られたカルス)に、本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌(調製方法の例は、上述のとおり)を感染させる。

上記感染工程は、アグロバクテリウム法において一般的に行われている手法で行うことができる。例えば、本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌を感染培地中に懸濁させた懸濁液中に、カルスを浸漬させることにより、感染させることができる。そして、浸漬後、懸濁液と、カルスをろ紙等で分離すればよい。なお、浸漬中は、静置してもよく、振とうしてもよいが、カルスにアグロバクテリウム属菌を感染させやすいことから、振とうすることが好ましい。

上記懸濁液における菌濃度は、アグロバクテリウム属菌の種類や増殖活性、感染させるカルスのカルス誘導後の培養期間、浸漬時間等を考慮して適宜決定することができる。例えば、カルス6gに対し、600nmで測定した吸光度(O.D.600)が0.01〜0.4(好ましくは0.05〜0.2、より好ましくは0.08〜0.12)のアグロバクテリウム属菌懸濁溶液10〜50mL(好ましくは20〜40mL、より好ましくは25〜35mL)に相当する菌体数のアグロバクテリウム属菌を接触させることが好ましい。これにより、カルスへ感染するアグロバクテリウム数を最適化でき、形質転換植物細胞を効率的に作成できる。

上記感染工程におけるアグロバクテリウム属菌とカルスの共存時間、すなわち、アグロバクテリウム属菌とカルスを接触させる時間は、0.5〜60分が好ましく、1〜40分がより好ましく、25〜35分が更に好ましい。これにより、カルスへ感染するアグロバクテリウム数を最適化でき、形質転換植物細胞を効率的に作成できる。なお、該共存時間は、例えば、アグロバクテリウム属菌懸濁液中に、カルスを浸漬させる場合、浸漬時間を意味する。

上記アグロバクテリウム属菌を懸濁させる感染培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に必要に応じて植物生長ホルモンを加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、LS培地、B5培地、WP培地が好ましく、MS培地がより好ましい。植物生長ホルモン、炭素源としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できるが、炭素源としては、スクロースが更に好ましい。

好適な感染培地の組成は、植物種により異なるが、通常は(特に、パラゴムノキの場合は)以下の組成である。

上記感染培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上である。また、該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。

カルスの状態を良好化できるという理由から、上記感染培地がアミノ酸含有培地であることが好ましい。アミノ酸としては、特に限定されないが、例えば、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、プロリン等が挙げられる。なかでも、アスパラギン酸、グルタミンが好ましく、アスパラギン酸、グルタミンを併用することが好ましい。

上記感染培地中のアミノ酸の濃度は、好ましくは500mg/l以上、より好ましくは700mg/l以上、更に好ましくは1000mg/l以上である。また、該アミノ酸の濃度は、好ましくは5000mg/l以下、より好ましくは2000mg/l以下、更に好ましくは1300mg/l以下である。

上記アミノ酸含有培地において、アスパラギン酸、グルタミンを併用する場合、感染培地中のアスパラギン酸の濃度は、好ましくは100〜700mg/l、より好ましくは200〜500mg/l、更に好ましくは250〜400mg/lである。一方、感染培地中のグルタミンの濃度は、好ましくは100〜1500mg/l、より好ましくは500〜1200mg/l、更に好ましくは700〜1100mg/lである。

カルスがアグロバクテリウムに感染しやすくなるという理由から、上記感染培地はアセトシリンゴン含有培地であることが好ましい。感染培地中のアセトシリンゴンの濃度は、好ましくは0.1〜30mg/l、より好ましくは1〜20mg/l、更に好ましくは5〜15mg/lである。

カルスの状態及びカルスの生長を良好化できるという理由から、上記感染培地はカザミノ酸含有培地であることが好ましい。感染培地中のカザミノ酸の濃度は、好ましくは50〜600mg/l、より好ましくは100〜500mg/l、更に好ましくは200〜400mg/lである。

上記感染培地のpHは、特に限定されないが、4.0〜10.0が好ましく、5.0〜6.0がより好ましい。感染させる温度(感染培地の温度)は、0〜40℃が好ましく、20〜36℃がより好ましく、22〜24℃が更に好ましい。感染工程は、暗所で行っても明所で行ってもよい。

以上のように、感染工程では、例えば、本発明のベクターを含有するアグロバクテリウム属菌を感染培地中に懸濁させた懸濁液中に、誘導工程により得られたカルスを浸漬させることにより、カルスにアグロバクテリウム属菌を感染させることができる。そして、浸漬後、懸濁液と、カルスをろ紙等で分離し、分離したカルスは、次の共存培養工程に使用される。

(共存培養工程) 共存培養工程では、例えば、感染工程により得られたカルス(アグロバクテリウム属菌が感染したカルス)を共存培養培地中で培養する。これにより、感染によりカルスに導入された本発明のベクターに含まれる遺伝子断片が、植物細胞の遺伝子中に組み込まれ、安定した形質転換植物細胞を得ることができる。

なお、共存培養培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、安定した形質転換植物細胞を得ることができるため、固体培養が好ましい。また、共存培養培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよいし、振とう培養を行ってもよい。

共存培養培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に必要に応じて植物生長ホルモンを加えたものを使用すればよい。具体的には、上記感染培地と同様の培地を同様の好適な態様で好適に使用できる。

共存培養培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。

培養温度は、0〜40℃が好ましく、10〜36℃がより好ましく、20〜28℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、暗所で培養を行うことが好ましく、暗所の照度は、0〜0.1lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、2〜4日間培養することが好ましい。

固体培地の場合、共存培養培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。

以上のように、共存培養工程では、感染工程により得られたカルス(アグロバクテリウム属菌が感染したカルス)を上記共存培養培地中で培養することにより、感染によりカルスに導入された本発明のベクターに含まれる遺伝子断片が、植物細胞の遺伝子中に組み込まれ、安定した形質転換植物細胞を得ることができる。この共存培養工程により得られたカルス(形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスの混合物)は、次の選択培養工程に使用される。

(選択培養工程) 選択培養工程は、アグロバクテリウム法において一般的に行われている手法で行うことができる。この工程により、形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスを選別できる。

選択培養工程では、まず、アグロバクテリウム属菌を滅菌するために、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地にカルベニシリンを加えたものを使用して、共存培養工程により得られたカルス(形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスの混合物)の洗浄を行う。なお、滅菌の前に、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地により予め共存培養工程により得られたカルス(形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスの混合物)を洗浄しておいてもよい。

次に、カルベニシリンにより滅菌されたカルスは、選択培養培地中で培養される。選択培養工程の培養条件は、形質転換植物細胞(本発明のベクターに含まれる所定のプロモーター及び所定の蛋白質をコードする遺伝子を獲得したカルス)が選択的に生育できる条件であれば、特に限定されない。

なお、選択培養培地は、液体であっても固体であってもよい。また、選択培養培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよいし、振とう培養を行ってもよい。

選択培養培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に、マーカー遺伝子(本発明のベクターに含めたマーカー遺伝子)に対応する物質を加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、LS培地、B5培地、WP培地に上記マーカー遺伝子に対応する物質を加えたものが好ましく、MS培地に上記マーカー遺伝子に対応する物質を加えたものがより好ましい。なお、必要に応じて、カルベニシリンを加えてもよい。また、必要に応じて植物生長ホルモンを加えてもよい。植物生長ホルモン、炭素源としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。

上記マーカー遺伝子に対応する物質としては、特に限定されないが、当業者であれば、使用したマーカー遺伝子に応じて適宜選択することができる。例えば、上記マーカー遺伝子として、ハイグロマイシン耐性遺伝子を使用した場合には、ハイグロマイシンを培地に添加してカルス(カルベニシリンにより滅菌されたカルス(形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスの混合物))を培養することにより、形質転換されたカルスは、所定のプロモーター及び所定の蛋白質をコードする遺伝子と共にハイグロマイシン耐性遺伝子も導入されているため当該培地中で生育することができるが、形質転換されていないカルスは、当該培地中で生育することがない。このように、上記マーカー遺伝子に対応する物質を加えた培地で、形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスの混合物を培養することにより、形質転換されたカルスを選択的に生育させることができる。

選択培養培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。

選択培養培地のpHは、特に限定されないが、5.0〜7.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、10〜36℃がより好ましく、20〜28℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、暗所で培養を行うことが好ましく、暗所の照度は、0〜0.1lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、1〜4週間おきに継代培養することが好ましい。

固体培地の場合、選択培養培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。

以上のように、選択培養工程では、共存培養工程により得られたカルス(形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスの混合物)をカルベニシリン含有溶液により洗浄し、アグロバクテリウム属菌を滅菌する。次に、カルベニシリンにより滅菌されたカルスを、選択培養培地中で培養することにより、形質転換されたカルスを選択的に生育させることができ、形質転換されたカルスと、形質転換されていないカルスを選別できる。

このように上記方法により、形質転換植物細胞(形質転換されたカルス)を効率的に作成できる。次に、形質転換されたカルスを再生誘導工程に用い、安定的に植物に再生することができる。

(再生誘導工程) 再生誘導工程では、植物生長ホルモン及び炭素源を含む再生誘導培地中で、形質転換されたカルス(形質転換されたカルスを増殖させたものであってもよい)を培養することにより不定胚及びシュートを形成させる。カルスから不定胚を誘導(形成)し、不定胚を培養することにより、安定的にシュートの形成を行うことができるため、再生誘導工程の培養条件は、カルスから不定胚を誘導できる条件であれば、特に限定されない。

再生誘導工程では、形質転換されたカルスを再生誘導培地中で培養して不定胚を誘導する。なお、再生誘導培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、不定胚を誘導しやすいため、固体培養が好ましい。また、再生誘導培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよいし、振とう培養を行ってもよい。

再生誘導培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に植物生長ホルモンを加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、LS培地、B5培地、WP培地に植物生長ホルモンを加えたものが好ましく、MS培地に植物生長ホルモンを加えたものがより好ましい。植物生長ホルモン、炭素源としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。また、不定胚の誘導に適しているという理由から、オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含むことが好ましい。

再生誘導培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。

好適な再生誘導培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、パラゴムノキの場合は)以下の組成である。

再生誘導培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。

再生誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0mg/l以上、より好ましくは1×10−3mg/l以上、更に好ましくは5×10−3mg/l以上である。該オーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは5mg/l以下、より好ましくは1mg/l以下、更に好ましくは0.5mg/l以下、特に好ましくは0.1mg/l以下、最も好ましくは0.03mg/l以下、より最も好ましくは0.01mg/l以下である。

再生誘導培地中のサイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0mg/l以上、より好ましくは1×10−3mg/l以上、更に好ましくは0.01mg/l以上、特に好ましくは0.5mg/l以上、最も好ましくは0.8mg/l以上、より最も好ましくは1.0mg/l以上である。該サイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは10mg/l以下、より好ましくは5mg/l以下、更に好ましくは2mg/l以下、特に好ましくは1.5mg/l以下、最も好ましくは1.2mg/l以下である。サイトカイニン系植物ホルモンの濃度が上記範囲内の場合に、特に、不定胚を好適に誘導でき、好適にシュートを形成できる。

再生誘導培地のpHは、特に限定されないが、4.0〜10.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましく、5.7〜5.8が更に好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、10〜36℃がより好ましく、20〜25℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、24時間中10〜16時間明所で培養を行うことが好ましく、明所の照度は、2000〜25000lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、1〜10ヶ月(特に好ましくは、3〜6ヶ月)培養することが好ましい。なおその場合、1〜4週間おきに継代培養することが好ましい。

固体培地の場合、再生誘導培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。

パラゴムノキの場合、再生誘導培地は、ベースとなる培地としてMS培地を使用し、再生誘導培地中のスクロースの濃度が2〜4質量%、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸の濃度が1×10−3〜0.03mg/l、カイネチンの濃度が0.8〜1.2mg/l、固形化剤(ゲランガム)の濃度が0.1〜0.3質量%であることが好ましい。

以上のように、再生誘導工程では、カルスを上記再生誘導培地中で培養することにより、不定胚及びシュートを形成させることが可能である。この再生誘導工程により形成されたシュートは、次の伸長工程に使用される。次の伸長工程に移るタイミングとしては、シュートが視認され、その後安定して成長していることが確認できた後が好ましい。なお、次の伸長工程を省略して、再生誘導工程により形成されたシュートを直接発根工程に使用してもよい。

(伸長工程) 伸長工程では、形成されたシュートを伸長培地で培養することによりシュートを伸長させる。

伸長工程では、例えば、再生誘導工程により形成されたシュートを伸長培地中で培養してシュートを伸長させる。なお、伸長培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、シュートを伸長させやすいため、固体培養が好ましい。また、伸長培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよいし、振とう培養を行ってもよい。

伸長培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等を使用すればよいが、シュートを好適に伸長できるという理由から、例えば、再生誘導培地と同様の培地とすることができ、なかでも、伸長培地が、植物生長ホルモンを含まない培地であることが好ましく、植物生長ホルモンを含まないMS培地であることがより好ましい。なお、炭素源としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。

伸長培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。

伸長工程における好適な培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、パラゴムノキの場合は)以下の条件である。

伸長培地のpHは、特に限定されないが、4.0〜10.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましく、5.7〜5.8が更に好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、10〜36℃がより好ましく、20〜25℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、24時間中10〜16時間明所で培養を行うことが好ましく、明所の照度は、2000〜25000lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、5〜10週間培養することが好ましい。

固体培地の場合、伸長培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。

以上のように、伸長工程では、形成されたシュートを上記伸長培地中で培養することにより、シュートを伸長させることが可能である。また、この伸長工程では、シュートが伸長するだけではなく、新たなシュートも形成される。この伸長工程により伸長させたシュートは、次の発根工程に使用される。次の発根工程に移るタイミングとしては、シュートが2〜3cm程度の大きさに伸長した後が好ましい。

(発根工程) 発根工程では、シュートを発根培地で培養することにより発根させる。ここで、シュートとしては、伸長工程により伸長させたシュートを使用してもよく、再生誘導工程により形成されたシュートを直接使用してもよい。

発根工程では、例えば、伸長工程により伸長させたシュート又は再生誘導工程により形成されたシュートを発根培地中で培養して発根させる。なお、発根培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、発根させやすいため、固体培養が好ましい。また、発根培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよいし、振とう培養を行ってもよい。

発根培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等を使用すればよいが、好適に発根できるという理由から、発根培地が、植物生長ホルモンを含まない培地であることが好ましく、植物生長ホルモンを含まない1/2MS培地がより好ましい。なお、炭素源としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。なお、伸長培地と発根培地の組成が同一であってもよい。また、伸長工程において既に発根している場合には、この発根工程を省略してもよい。

発根培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。

発根工程における好適な培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、パラゴムノキの場合は)以下の条件である。

発根培地のpHは、特に限定されないが、4.0〜10.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましく、5.7〜5.8が更に好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、10〜36℃がより好ましく、20〜25℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、24時間中10〜16時間明所で培養を行うことが好ましく、明所の照度は、2000〜25000lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、4〜10週間培養することが好ましい。

固体培地の場合、発根培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。

以上のように、発根工程では、伸長したシュートを上記発根培地中で培養することにより、発根させることが可能であり、発根させたシュート(幼植物(形質転換植物))が得られる。この幼植物は、直接土壌に移植してもよいが、バーミキュライト等の人工土壌に移して馴化してから土壌に移植することが好ましい。

再生した植物体において、周知の手法を用いることで、目的の蛋白質遺伝子の発現を確認することが出来る。例えば、目的の蛋白質の発現をウエスタンブロット解析すればよい。

本発明では、本発明のベクターを植物に導入することにより、該ベクターに含まれるポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子が乳管特異的に発現し、当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。具体的には、上述の方法で得られた形質転換植物細胞、形質転換植物細胞から得られたカルス、該カルスから再分化した細胞等を適当な培地で培養したり、形質転換植物細胞から再生された形質転換植物、該形質転換植物から得られた種子から得られた植物体等を適当な栽培条件下で生育させたりすることにより、ポリイソプレノイドを製造することができる。本発明の形質転換植物では、導入された蛋白質により乳管においてポリイソプレノイドの生合成経路の一部が増強されるので、該蛋白質(酵素)が機能し、生合成する化合物の乳管での生合成量を向上させることができ、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産性も向上できる。

ここで、本明細書において、ポリイソプレノイドは、イソプレン単位(C5H8)で構成された重合体の総称である。ポリイソプレノイドとしては、例えばモノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セスタテルペン(C25)、トリテルペン(C30)、テトラテルペン(C40)、天然ゴム、ファルネシル二リン酸、ゲラニルゲラニル二リン酸などの重合体が挙げられる。なかでも、イソプレン単位で構成され、重量平均分子量が1000以上の重合体であることが好ましく、イソプレン単位で構成され、重量平均分子量が10000以上の重合体であることがより好ましく、イソプレン単位で構成され、重量平均分子量が10万以上の重合体であることが更に好ましい。 なお、上記重量平均分子量は、実施例に記載された方法により測定できる。

ポリイソプレノイド産出植物では、図1に示すようなポリイソプレノイド生合成経路によりポリイソプレノイドが生合成されるが、当該経路のうち、ファルネシル二リン酸シンターゼは、図1中の点線の枠で囲まれた部分の反応を触媒する酵素である。そこで、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、[B1]〜[B3]のいずれかに記載の遺伝子、又は[b1]〜[b3]のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を植物に導入することにより、乳管特異的にファルネシル二リン酸シンターゼ活性が上昇し、結果、乳管でのファルネシル二リン酸の生合成量を向上でき、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。そして更には、生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させることもできる。このように、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターを植物に導入することにより、該植物において生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させる方法もまた、本発明の1つである。

ポリイソプレノイド産出植物では、図2に示すようなポリイソプレノイド生合成経路によりポリイソプレノイドが生合成されるが、当該経路のうち、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼは、図2中の点線の枠で囲まれた部分の反応を触媒する酵素である。そこで、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、[C1]〜[C3]のいずれかに記載の遺伝子、又は[c1]〜[c3]のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を植物に導入することにより、乳管特異的にゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ活性が上昇し、結果、乳管でのゲラニルゲラニル二リン酸の生合成量を向上でき、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。そして更には、生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させることもできる。このように、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターを植物に導入することにより、該植物において生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させる方法もまた、本発明の1つである。

ポリイソプレノイド産出植物では、図1に示すようなポリイソプレノイド生合成経路によりポリイソプレノイドが生合成されるが、当該経路の上流であるメバロン酸経路は図3に示すような経路であり、メバロン酸経路のうち、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼは、図3中の点線の枠で囲まれた部分の反応を触媒する酵素であり、メバロン酸経路の律速酵素である。そこで、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、[D1]〜[D12]のいずれかに記載の遺伝子、又は[d1]〜[d12]のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を植物に導入することにより、乳管特異的に3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ活性が上昇し、結果、乳管でのメバロン酸の生合成量を向上でき、それがイソペンテニル二リン酸の生合成量の向上に繋がり、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量も向上させることができる。そして更には、生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させることもできる。このように、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターを植物に導入することにより、該植物において生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させる方法もまた、本発明の1つである。

ポリイソプレノイド産出植物では、図4に示すようなポリイソプレノイド生合成経路によりポリイソプレノイドが生合成されるが、当該経路のうち、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、図4中の点線の枠で囲まれた部分の反応を触媒する酵素である。そこで、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、[E1]〜[E3]のいずれかに記載の遺伝子、又は[e1]〜[e3]のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を植物に導入することにより、乳管特異的にイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ活性が上昇し、結果、乳管でのイソペンテニル二リン酸若しくはジメチルアリル二リン酸の生合成量を向上でき、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。

ポリイソプレノイド産出植物では、図5に示すようなポリイソプレノイド生合成経路によりポリイソプレノイドが生合成されるが、当該経路のうち、cis−プレニルトランスフェラーゼは、図5中の点線の枠で囲まれた部分の反応を触媒する酵素と考えられており、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、[F1]〜[F6]のいずれかに記載の遺伝子、又は[f1]〜[f6]のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を植物に導入することにより、乳管特異的にcis−プレニルトランスフェラーゼ活性が上昇し、結果、乳管でのcis型イソプレノイドの生合成量を向上でき、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。そして更には、生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させることもできる。このように、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターを植物に導入することにより、該植物において生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させる方法もまた、本発明の1つである。

ポリイソプレノイド産出植物では、図6に示すようなポリイソプレノイド生合成経路によりポリイソプレノイドが生合成されるが、当該経路のうち、Small Rubber Particle Proteinは、図6中の点線の枠で囲まれた部分の反応を触媒する酵素の触媒反応に関与すると考えられており、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、[G1]〜[G3]のいずれかに記載の遺伝子、又は[g1]〜[g3]のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を植物に導入することにより、乳管特異的にSmall Rubber Particle Proteinの発現量が増加し、結果、乳管でのcis型イソプレノイドの生合成量を向上でき、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。そして更には、生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させることもできる。このように、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターを植物に導入することにより、該植物において生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させる方法もまた、本発明の1つである。

また、Rubber Elongation Factorも、図6中の点線の枠で囲まれた部分の反応を触媒する酵素の触媒反応に関与すると考えられており、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、[H1]〜[H3]のいずれかに記載の遺伝子、又は[h1]〜[h3]のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を植物に導入することにより、乳管特異的にRubber Elongation Factorの発現量が増加し、結果、乳管でのcis型イソプレノイドの生合成量を向上でき、ひいては当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができる。そして更には、生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させることもできる。このように、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を含むベクターを植物に導入することにより、該植物において生産されるポリイソプレノイドの重量平均分子量を増大させる方法もまた、本発明の1つである。

本発明では、上記7種の蛋白質をコードする遺伝子のうち少なくとも1種の遺伝子を植物に導入することにより、当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量を向上させることができるが、上記7種の蛋白質をコードする遺伝子のうち、2種以上の遺伝子を植物に導入することにより、当該植物におけるポリイソプレノイドの生産量はより向上し、7種すべての遺伝子を植物に導入することにより本発明の効果が最も顕著に発揮される。

実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。

(HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列の調製) パラゴムノキの葉由来のHevein2.1(HEV2.1)をコードする遺伝子とそのプロモーターを含むDNA断片を以下の手順でクローニングした。まず、パラゴムノキの葉からゲノムDNAを抽出した。抽出はCTAB法で行った。HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター領域を含む遺伝子の増幅は、下記プライマー1〜2に示すようなランダムプライマーとHEV2.1をコードする遺伝子に対応したプライマーを用いたTAIL−PCR法により行った。 (プライマー1:配列番号20) 5′−CTCAAGGCTACCTTATTGGG−3′ (プライマー2:配列番号21) 5′−CTCAGCAATTGCAACACCTG−3′

上記プライマーを使用して得られたDNA断片の塩基配列を調べた結果、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター配列が得られた。HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター配列の塩基配列を配列番号1に示した。

(ベクターに導入するためのプロモーター配列の増幅) 植物用ベクターに組み込むことができるように制限酵素サイトを付加した下記プライマー3、4を設計し、PCRを行って、上記同定されたHEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター配列−1〜−1680bpを増幅した。 (プライマー3:配列番号22) 5′−GGTACCGCTACCTTATTGGGAACTACC−3′ (プライマー4:配列番号23) 5′−AGATCTAACTCTTCCCATTTCTTCCC−3′

(パラゴムノキにおけるポリイソプレノイド生合成経路に関わる酵素群の目的蛋白質のアミノ酸配列及び塩基配列の同定) パラゴムノキの葉よりTotal RNAを抽出し、Oligo−dT primerを用いて逆転写反応によりcDNAを合成した。 次にパラゴムノキのDNAデータベースを基に、下記プライマー5〜22、41〜42、45〜46を設計し、RT−PCRを行って、目的蛋白質の全長のDNA断片を増幅し、そのDNA断片の塩基配列及び目的蛋白質の全長のアミノ酸配列を同定した。それぞれの目的蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列は配列番号2、4、6〜9、14、16、18、60、66に、当該目的蛋白質のアミノ酸配列を配列番号3、5、10〜13、15、17、19、61、67に示した。

目的蛋白質がファルネシル二リン酸シンターゼであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー5:配列番号24) 5′−GAATCCATGGCGGATCTGAAG−3′ (プライマー6:配列番号25) 5′−GTCCATGTATCTGGATACCC−3′

目的蛋白質がゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー7:配列番号26) 5′−CAAGATGAGTTCAGTGAATTTGGG−3′ (プライマー8:配列番号27) 5′−TGCATTAGTTTTGCCTGTGAGC−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ1であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー9:配列番号28) 5′−ATTTTTACATGGACACCACCG−3′ (プライマー10:配列番号29) 5′−ACCAGATTCCCACTAAGATGC−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ3であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー11:配列番号30) 5′−TCCATATATGGACGAGGTTCG−3′ (プライマー12:配列番号31) 5′−GCAGCTGTGTTACCCTTCAG−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ4であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー13:配列番号32) 5′−CAGTCGCTCCAAAATGGATGTGC−3′ (プライマー14:配列番号33) 5′−GATTTTCTTAGGAAGAAGGCTTGG−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ5であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー15:配列番号34) 5′−CTAGCTGGTCTATAATGGATGCC−3′ (プライマー16:配列番号35) 5′−GAATCAATTTACCTCAATAGAAGGC−3′

目的蛋白質がイソペンテニル二リン酸イソメラーゼであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー17:配列番号36) 5′−TTCCACCATGGGTGAGGCTCC−3′ (プライマー18:配列番号37) 5′−TCTCAACTCAACTTGTGAATCG−3′

目的蛋白質がcis−プレニルトランスフェラーゼ1であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー19:配列番号38) 5′−ATGGAATTATACAACGGTGAGAGG−3′ (プライマー20:配列番号39) 5′−TTTTAAGTATTCCTTATGTTTCTCC−3′

目的蛋白質がcis−プレニルトランスフェラーゼ2であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー45:配列番号68) 5′−ATGGAATTATACAACGGTGAGAGG−3′ (プライマー46:配列番号69) 5′−TTTTAAGTATTCCTTATGTTTCTCC−3′

目的蛋白質がSmall Rubber Particle Proteinであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー21:配列番号40) 5′−TATGGCTGAAGAGGTGGAGG−3′ (プライマー22:配列番号41) 5′−TGATGCCTCATCTCCAAACACC−3′

目的蛋白質がRubber Elongation Factorであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー41:配列番号62) 5′−ATGGCTGAAGACGAAGACAACC−3′ (プライマー42:配列番号63) 5′−ATTCTCTCCATAAAACACCTTAGC−3′

(ベクターに導入するための、目的蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列の増幅) 植物用ベクターに組み込むことができるように制限酵素サイトを付加した下記プライマー23〜40、43〜44、47〜48を設計し、RT−PCRを行って、目的蛋白質をコードする遺伝子の全長を増幅した。

目的蛋白質がファルネシル二リン酸シンターゼであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー23:配列番号42) 5′−CTCGAGAACAATGGCGGATCTGAAGTCAAC−3′ (プライマー24:配列番号43) 5′−GGTACCTGTTTCTGTCTCTTGTAAATTTTGGC−3′

目的蛋白質がゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー25:配列番号44) 5′−CTCGAGAACAATGAGTTCAGTGAATTTGGG−3′ (プライマー26:配列番号45) 5′−GGATCCTTGTTTTGCCTGTGAGCGATGTAATTAGC−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ1であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー27:配列番号46) 5′−CTCGAGACAAATGGACACCACCGGCCGGCTCC−3′ (プライマー28:配列番号47) 5′−GGTACCACAGATGCAGCTTTAGACATATCTTTGC−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ3であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー29:配列番号48) 5′−CTCGAGACAAATGGACGAGGTTCGCCGGCGACC−3′ (プライマー30:配列番号49) 5′−GGTACCACGAAAGTTATTTTGGATACATCTTTTGC−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ4であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー31:配列番号50) 5′−AAGCTTACAAATGGATGTGCGCCGGCGACC−3′ (プライマー32:配列番号51) 5′−GGTACCACGGAAGAAGGCTTGGAAACAGC−3′

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ5であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー33:配列番号52) 5′−AAGCTTACAAATGGATGCCCGCCGGCGACC−3′ (プライマー34:配列番号53) 5′−GGTACCACATTTACCTCAATAGAAGGCATTGTC−3′

目的蛋白質がイソペンテニル二リン酸イソメラーゼであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー35:配列番号54) 5′−CTCGAGAACAATGGGTGAGGCTCCAGATGTCG−3′ (プライマー36:配列番号55) 5′−GGTACCTGACTCAACTTGTGAATCGTTTTCATGTC−3′

目的蛋白質がcis−プレニルトランスフェラーゼ1であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー37:配列番号56) 5′−CTCGAGCCAACAATGGAATTATACAACG−3′ (プライマー38:配列番号57) 5′−GGATCCTCTTTTAAGTATTCCTTATGTTTCTCC−3′

目的蛋白質がcis−プレニルトランスフェラーゼ2であるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー47:配列番号70) 5′−CTCGAGCCAACAATGGAATTATACAACG−3′ (プライマー48:配列番号71) 5′−GGATCCTCTTTTAAGTATTCCTTATGTTTCTCC−3′

目的蛋白質がSmall Rubber Particle Proteinであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー39:配列番号58) 5′−CTCGAGAACAATGGCTGAAGAGGTGGAGG−3′ (プライマー40:配列番号59) 5′−GGATCCTGTGATGCCTCATCTCCAAACACC−3′

目的蛋白質がRubber Elongation Factorであるときに用いたプライマーを以下に示す。 (プライマー43:配列番号64) 5′−CTCGAGAACAATGGCTGAAGACGAAGACAACC−3′ (プライマー44:配列番号65) 5′−GGATCCAAATTCTCTCCATAAAACACCTTAGC−3′

(発現ベクターの構築) pH35GSバイナリーベクター(INPLANTA INNOVATIONS社製)を制限酵素KpnI、BglIIで消化し、(ベクターに導入するためのプロモーター配列の増幅)で増幅したHEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター配列を同様に制限酵素処理して、Ligation high(TOYOBO社製)を用いて結合させた。 また、(ベクターに導入するための、目的蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列の増幅)で増幅した目的蛋白質をコードする遺伝子(塩基配列)を制限酵素で消化し、Gateway sGFP エントリークローンベクター(Evorogen社製)を同様に制限酵素処理して、Ligation high(TOYOBO社製)を用いて結合させた。 そして、作製したバイナリーベクターとエントリークローンベクターとを、LR Clonase II enzyme mix(Invitrogen社製)を用いて反応させ、エントリークローン上の目的蛋白質をコードする遺伝子配列及びGFP(緑色蛍光タンパク質)遺伝子の塩基配列をpH35GSに挿入した。これにより、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター配列(HbHEV2.1 pro)に、目的蛋白質をコードする遺伝子配列及びGFP遺伝子の塩基配列が機能的に連結された発現ベクターを構築した。なお、pH35GSベクターは、ハイグロマイシン耐性遺伝子(HPT)を有している。

なお、目的蛋白質がファルネシル二リン酸シンターゼである場合には、ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子及びGateway sGFP エントリークローンベクターは、制限酵素XhoI、KpnIで消化した。構築した発現ベクターを図7に示す。図7中、HbFPSは、ファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子の塩基配列を表している。

目的蛋白質がゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼである場合には、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子及びGateway sGFP エントリークローンベクターは、制限酵素XhoI、BamHIで消化した。構築した発現ベクターを図8に示す。図8中、HbGGPSは、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子の塩基配列を表している。

目的蛋白質が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ1、3、4、又は5である場合には、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ1、3、4、又は5をコードする遺伝子及びGateway sGFP エントリークローンベクターは、制限酵素XhoIとKpnI、又はHindIIIとKpnIで消化した。構築した発現ベクターを図9に示す。図9中、HbHMGRは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子の塩基配列を表している。

目的蛋白質がイソペンテニル二リン酸イソメラーゼである場合には、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子及びGateway sGFP エントリークローンベクターは、制限酵素XhoI、KpnIで消化した。構築した発現ベクターを図10に示す。図10中、HbIPIは、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子の塩基配列を表している。

目的蛋白質がcis−プレニルトランスフェラーゼ1又は2である場合には、cis−プレニルトランスフェラーゼ1又は2をコードする遺伝子及びGateway sGFP エントリークローンベクターは、制限酵素XhoI、BamHIで消化した。構築した発現ベクターを図11に示す。図11中、HbCPTは、cis−プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の塩基配列を表している。

目的蛋白質がSmall Rubber Particle Proteinである場合には、Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子及びGateway sGFP エントリークローンベクターは、制限酵素XhoI、BamHIで消化した。構築した発現ベクターを図12に示す。図12中、HbSRPPは、Small Rubber Particle Proteinをコードする遺伝子の塩基配列を表している。

目的蛋白質がRubber Elongation Factorである場合には、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子及びGateway sGFP エントリークローンベクターは、制限酵素XhoI、BamHIで消化した。構築した発現ベクターを図13に示す。図13中、HbREFは、Rubber Elongation Factorをコードする遺伝子の塩基配列を表している。

(発現ベクター導入アグロバクテリウムの調製) (発現ベクターの構築)で構築した各種発現ベクターをそれぞれアグロバクテリウムに感染させ、発現ベクター導入アグロバクテリウムを作製した。具体的には、エレクトロポレーション法により、発現ベクターをアグロバクテリウムに導入し、YEB培地にて28℃で24時間振とう培養した。その後、培養液を遠心分離してアグロバクテリウムを回収し、O.D.600=0.6の濃度となるように懸濁液(MS培地)に懸濁した。

〔実施例1〜11〕 以下、実施例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。 NAA:ナフタレン酢酸 2,4−D:2,4−ジクロロフェノキシ酢酸 IBA:インドール酪酸 BA:ベンジルアデニン KI:カイネチン パラゴムノキ:東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター樹芸研究所より入手

(カルスの誘導(誘導工程)) パラゴムノキから葉を採取した。次に、採取した葉の表面を流水で洗浄し、さらに70%エタノールで洗浄した後、約5〜10%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液で滅菌し、再度流水で洗浄した。

次に、滅菌した葉の組織を誘導培地(固体培地)に差込み、培養を行った(誘導工程)。誘導培地は、MS培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)に、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、カイネチン(KI)、スクロースをそれぞれ2.0mg/L、1.0mg/L、3質量%となるように添加し、培地のpHを5.7〜5.8に調整した後、ゲランガムを0.2質量%となるように添加し、オートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、クリーンベンチ内で冷却することにより調製した。

パラゴムノキの組織片を誘導培地(固体培地)に差込み、培養温度25℃、暗所(0〜0.1lx)で8週間培養し、パラゴムノキの組織片からカルス(未分化細胞)を誘導した。

(感染工程、共存培養工程) (発現ベクター導入アグロバクテリウムの調製)で作製した発現ベクター導入アグロバクテリウムを含む懸濁液(MS培地)に、誘導したカルスを30分間接触させた後、カルスをMS培地で暗所条件下、28℃で3日間培養した。 ここで、実施例1では図7で表される発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例2では図8で表される発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例3では図9で表される発現ベクターのうちHMGR1を有する発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例4では図10で表される発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例5では図11で表される発現ベクターのうちCPT1を有する発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例6では図12で表される発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例7では図13で表される発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例8では図9で表される発現ベクターのうちHMGR3を有する発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例9では図9で表される発現ベクターのうちHMGR4を有する発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例10では図9で表される発現ベクターのうちHMGR5を有する発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、実施例11では図11で表される発現ベクターのうちCPT2を有する発現ベクターを導入したアグロバクテリウムを、それぞれ用いた。

(選択培養工程) 次いで、カルベニシリンにより滅菌されたカルスをハイグロマイシン耐性MS選択培地に移し、28℃で16時間日長培養を2ヶ月行い、形質転換体を作製した。

(不定胚及びシュート形成(再生誘導工程)) 次に、形質転換体(選択培養工程で生存していたカルス)を用いて、該カルスからMS培地により不定胚及びシュートを形成させた(再生誘導工程)。すなわち、形質転換体を該培地上で培養温度25℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で3〜6ヶ月培養した。なお、1ヶ月培養する毎に培地を交換した。その結果、不定胚の形成後にシュートの形成も観察された。

(シュート伸長(伸長工程)) 次に、シュート伸長のために、形成されたシュートを、再生誘導培地と同様の組成の培地で継代培養した。すなわち、培養温度25℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で8週間培養した。これにより、良好なシュートの伸長が観察された。

(発根(発根工程)) 次に、発根のために、3cm程度に成長したシュートを、1/2MS培地に移植した。培養温度25℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で8週間培養した。これにより、良好に発根が観察され、形質転換植物体が得られた。

(ポリイソプレノイドの生産量の算出、ポリイソプレノイドの重量平均分子量の測定) 実施例1〜7において得られた形質転換植物体の茎を傷つけた際に漏出する乳液を200μl回収し、そのうちの100μlに対して、99%エタノールで抽出を行い、不要な代謝物を除去した。その後99%トルエンでさらに抽出することで、ポリイソプレノイドを精製回収した。そして、製造されたポリイソプレノイド(回収したトルエン抽出物)の量(形質転換植物体内に蓄積されているポリイソプレノイドの量(ポリイソプレノイド細胞内蓄積量)、すなわちポリイソプレノイドの生産量)を算出した。 ポリイソプレノイドの蓄積量は、回収したトルエン抽出物を乾燥させた後、該形質転換植物体から精製回収したポリイソプレノイドの量の、野生型(非組み換え体;「Control」とも称する。)のポリイソプレノイド蓄積量に対する割合(質量%)として算出した。結果を表1に示す。 ポリイソプレノイドの重量平均分子量(Mw)は、下記の条件(1)〜(7)でゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した。結果を表1に示す。 (1)装置:東ソー社製HLC−8020 (2)分離カラム:東ソー社製GMH−XL (3)測定温度:40℃ (4)キャリア:テトラヒドロフラン (5)流量:0.6ml/分 (6)検出器:示差屈折、UV (7)分子量標準:標準ポリスチレン

〔比較例1〜7〕 プロモーターとして、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの代わりに、カリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターを用いた以外、すなわち、(ベクターに導入するためのプロモーター配列の増幅)で増幅したHEV2.1をコードする遺伝子のプロモーター配列を導入しなかった以外は、実施例1〜7と同様にして形質転換植物体を得、ポリイソプレノイドの蓄積量を算出し、ポリイソプレノイドの重量平均分子量を測定した。結果を表1に示す。

なお、表1中の略号は以下の通りである。 HEV2.1 pro:HEV2.1(Hevein2.1)をコードする遺伝子のプロモーター 35S:カリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーター FPS:ファルネシル二リン酸シンターゼ GGPS:ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ HMGR1:3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ1 IPI:イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ CPT1:cis−プレニルトランスフェラーゼ1 SRPP:Small Rubber Particle Protein REF:Rubber Elongation Factor

表1の結果から、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターに、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質をコードする遺伝子を機能的に連結させた塩基配列を導入した形質転換植物体では、野生型(非組み換え体)や、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの代わりにカリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターを用いた形質転換植物体に比べて、植物体内に蓄積されるポリイソプレノイドの量が増加していることが確認できた(実施例1〜7)。 また特に、ポリイソプレノイド生合成に関わる蛋白質として、ファルネシル二リン酸シンターゼ、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ、cis−プレニルトランスフェラーゼ、Small Rubber Particle Protein、又はRubber Elongation Factorをコードする遺伝子を導入した形質転換植物体では、野生型(非組み換え体)や、HEV2.1をコードする遺伝子のプロモーターの代わりにカリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターを用いた形質転換植物体に比べて、植物体内に蓄積されるポリイソプレノイドの重量平均分子量が増大していることも確認された(実施例1〜3、5〜7)。

(配列表フリーテキスト) 配列番号1:パラゴムノキ由来のHevein2.1をコードする遺伝子のプロモーターの塩基配列 配列番号2:パラゴムノキ由来のファルネシル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子の塩基配列 配列番号3:パラゴムノキ由来のファルネシル二リン酸シンターゼのアミノ酸配列 配列番号4:パラゴムノキ由来のゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子の塩基配列 配列番号5:パラゴムノキ由来のゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼのアミノ酸配列 配列番号6:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ1をコードする遺伝子の塩基配列 配列番号7:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ3をコードする遺伝子の塩基配列 配列番号8:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ4をコードする遺伝子の塩基配列 配列番号9:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ5をコードする遺伝子の塩基配列 配列番号10:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ1のアミノ酸配列 配列番号11:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ3のアミノ酸配列 配列番号12:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ4のアミノ酸配列 配列番号13:パラゴムノキ由来の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ5のアミノ酸配列 配列番号14:パラゴムノキ由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子の塩基配列 配列番号15:パラゴムノキ由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼのアミノ酸配列 配列番号16:パラゴムノキ由来のcis−プレニルトランスフェラーゼ1をコードする遺伝子の塩基配列 配列番号17:パラゴムノキ由来のcis−プレニルトランスフェラーゼ1のアミノ酸配列 配列番号18:パラゴムノキ由来のSmall Rubber ParticleProteinをコードする遺伝子の塩基配列 配列番号19:パラゴムノキ由来のSmall Rubber ParticleProteinのアミノ酸配列 配列番号20:プライマー1 配列番号21:プライマー2 配列番号22:プライマー3 配列番号23:プライマー4 配列番号24:プライマー5 配列番号25:プライマー6 配列番号26:プライマー7 配列番号27:プライマー8 配列番号28:プライマー9 配列番号29:プライマー10 配列番号30:プライマー11 配列番号31:プライマー12 配列番号32:プライマー13 配列番号33:プライマー14 配列番号34:プライマー15 配列番号35:プライマー16 配列番号36:プライマー17 配列番号37:プライマー18 配列番号38:プライマー19 配列番号39:プライマー20 配列番号40:プライマー21 配列番号41:プライマー22 配列番号42:プライマー23 配列番号43:プライマー24 配列番号44:プライマー25 配列番号45:プライマー26 配列番号46:プライマー27 配列番号47:プライマー28 配列番号48:プライマー29 配列番号49:プライマー30 配列番号50:プライマー31 配列番号51:プライマー32 配列番号52:プライマー33 配列番号53:プライマー34 配列番号54:プライマー35 配列番号55:プライマー36 配列番号56:プライマー37 配列番号57:プライマー38 配列番号58:プライマー39 配列番号59:プライマー40 配列番号60:パラゴムノキ由来のRubber Elongation Factorをコードする遺伝子の塩基配列 配列番号61:パラゴムノキ由来のRubber Elongation Factorのアミノ酸配列 配列番号62:プライマー41 配列番号63:プライマー42 配列番号64:プライマー43 配列番号65:プライマー44 配列番号66:パラゴムノキ由来のcis−プレニルトランスフェラーゼ2をコードする遺伝子の塩基配列 配列番号67:パラゴムノキ由来のcis−プレニルトランスフェラーゼ2のアミノ酸配列 配列番号68:プライマー45 配列番号69:プライマー46 配列番号70:プライマー47 配列番号71:プライマー48

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