ピストンリングの用途のための高弾性の耐摩耗性のねずみ鋳鉄

申请号 JP2014544862 申请日 2012-11-29 公开(公告)号 JP2015507081A 公开(公告)日 2015-03-05
申请人 フェデラル−モーグル コーポレイション; フェデラル−モーグル コーポレイション; 发明人 ゲコンデ,ハロン;
摘要 鋳鉄からなるピストンリングは、機械加工性の向上および非常に優れた性能をもたらし、コストが最小限である。当該鋳鉄は、炭素を2.2〜2.9重量%、シリコンを3.2〜4.2重量%、銅を0.75〜1.25重量%、マンガンを1.0〜1.5重量%、硫黄を0.09〜0.15重量%、リンを0.2重量%以下含み、平均炭素当量が3.8である。当該鋳鉄は、好ましくは、MnSおよび炭化物が分散したマルテンサイトのマトリックスを含む。また、当該マトリックスは、好ましくは、フェライト、オーステナイトおよびステダイトを含んでいない。当該鋳鉄は、 合金 を鋳造、オーステナイト化、焼入れおよび焼戻しすることによって形成される。
权利要求
  • 鋳鉄からなるピストンリングであって、前記鋳鉄の総重量に基づいて、前記鋳鉄の重量百分率(重量%)で、
    炭素を2.2〜2.9重量%、
    シリコンを3.2〜4.2重量%、
    銅を0.75〜1.25重量%、
    マンガンを1.0〜1.5重量%、
    硫黄を0.09〜0.15重量%、および リンを0.1重量%以下含む、ピストンリング。
  • 前記鋳鉄はマトリックスを含み、前記マトリックスは、マルテンサイトおよびベイナイトのうちの少なくとも1つを含み、前記マトリックス全体にわたって分散した硫化マンガン(MnS)および炭化物を含む、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、前記鋳鉄の総体積に基づいて、前記鋳鉄の体積%で、0.5〜1.5体積%の量のMnSを含む、請求項2に記載のピストンリング。
  • 前記マトリックスは、前記マトリックスの総体積に基づいて、前記マトリックスの体積%で、80〜90体積%の量の前記マルテンサイトを含む、請求項2に記載のピストンリング。
  • 前記マトリックスは、前記マトリックスの総体積に基づいて、前記マトリックスの体積%で、フェライト、オーステナイトおよびステダイトを5体積%以下含む、請求項2に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、平均炭素当量が3.4〜4.2である、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、平均炭素当量が3.8である、請求項5に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、前記鋳鉄の重量%で、モリブデンを0.3〜0.5重量%含む、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、前記鋳鉄の重量%で、0.22重量%以下のニッケル量のニッケルを含む、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、前記鋳鉄の重量%で、クロムを0.25〜0.65重量%含む、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、炭素を2.4〜2.8重量%、シリコンを3.4〜3.8重量%、銅を0.8〜1.0重量%、マンガンを1.1〜1.3重量%、硫黄を0.10〜0.12重量%、クロムを0.3〜0.55重量%、モリブデンを0.34〜0.39重量%、チタンを0.04〜0.08重量%、リンを0.07〜0.09重量%、ニッケルを0.10〜0.25重量%、ニオブを0.15重量%以下、タングステンを0.45重量%以下、ホウ素を0.08重量%以下、バナジウムを0.17重量%以下、および鉄を少なくとも75.0重量%含む、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、中心軸を中心に周方向に延びる底面および対面している上面と、前記中心軸の方を向いた内径面と、対面している外径面とをもたらし、前記内径面および前記外径面は各々、前記底面から前記上面まで長手方向に延びており、前記外径面および前記内径面は、前記中心軸を中心に周方向に延びている、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、前記面のうちの少なくとも1つに形成された油溝をもたらす、請求項12に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、炭素を2.67〜2.68重量%、シリコンを3.87〜4.11重量%、銅を0.89〜0.91重量%、マンガンを1.2〜1.26重量%、硫黄を0.10〜0.11重量%、クロムを0.38〜0.52重量%、モリブデンを0.38重量%、チタンを0.05重量%、リンを0.01重量%、ニッケルを0.17〜0.18重量%、ニオブを0.1〜0.11重量%、タングステンを0.01〜0.26重量%、バナジウムを0.03〜0.16重量%、および残りは鉄を含む、請求項1に記載のピストンリング。
  • 前記鋳鉄は、中心軸を中心に周方向に延びる底面および対面している上面と、前記中心軸の方を向いた内径面と、シリンダ壁と接触するための対面している外径面とをもたらし、前記内径面および前記外径面は各々、前記底面から前記上面まで長手方向に延びており、前記外径面および前記内径面は、前記中心軸を中心に周方向に延びており、前記鋳鉄はさらに、前記面のうちの少なくとも1つに形成された油溝をもたらし、
    前記鋳鉄はさらに、前記鋳鉄の重量百分率(重量%)で、クロムを0.25〜0.65重量%、モリブデンを0.3〜0.5重量%、チタンを0.03〜0.09重量%、ニオブを0.2重量%以下、タングステンを0.5重量%以下、ホウ素を0.1重量%以下、バナジウムを0.2重量%以下、ニッケルを0.25重量%以下含み、残りは本質的に鉄からなり、
    前記鋳鉄は、炭素当量が3.9〜4.2であり、
    前記鋳鉄は、共晶温度が華氏1145〜1155度であり、
    前記鋳鉄は、マルテンサイトおよびベイナイトのうちの少なくとも1つを含むマトリックスを含み、
    前記鋳鉄は、前記マトリックス全体にわたって分散した炭化物、グラファイトおよびMnSを含み、
    前記マトリックスは、前記マトリックスの体積百分率(体積%)で、80〜90体積%の量の前記マルテンサイトおよび0.5〜1.5体積%の量の前記MnSを含み、
    前記鋳鉄マトリックスは、フェライト、オーステナイトおよびステダイトを含んでおらず、
    前記鋳鉄は、曲げ強度が750〜1000MPaであり、
    前記鋳鉄は、ブリネル硬度数が330〜360BHNであり、
    前記鋳鉄は、ロックウェル硬度Bスケールが100〜115HRBであり、
    前記鋳鉄は、弾性率が115〜160GPaである、請求項1に記載のピストンリング。
  • 鋳鉄であって、前記鋳鉄の総重量に基づいて、前記鋳鉄の重量百分率(重量%)で、
    炭素を2.2〜2.9重量%、
    シリコンを3.2〜4.2重量%、
    銅を0.75〜1.25重量%、
    マンガンを1.0〜1.5重量%、
    硫黄を0.09〜0.15重量%、および リンを0.1重量%以下含む、鋳鉄。
  • 鋳鉄からなるピストンリングを製造する方法であって、
    合金の重量百分率(重量%)で、炭素を2.2〜2.9重量%、シリコンを3.2〜4.2重量%、銅を0.75〜1.25重量%、マンガンを1.0〜1.5重量%、硫黄を0.09〜0.15重量%、およびリンを0.1重量%以下含む合金を設けるステップと、当該合金を鋳造するステップと、当該合金をオーステナイト化するステップと、オーステナイト化された当該合金を焼入れするステップと、当該合金を焼戻しするステップとを備える、方法。
  • 当該オーステナイト化するステップは、当該合金を60〜120分間にわたって華氏1750〜1850度の温度に加熱するステップを含む、請求項17に記載の方法。
  • 当該焼入れするステップは、オーステナイト化された当該合金を華氏140〜150度の油の中に配置するステップを含む、請求項17に記載の方法。
  • 当該焼戻しするステップは、焼入れされた当該合金を60〜120分間にわたって華氏950〜1000度の温度に加熱するステップを含む、請求項17に記載の方法。
  • 当該合金は、当該合金の重量百分率(重量%)で、炭素を2.5〜2.9重量%、シリコンを3.6〜4.2重量%、銅を0.75〜1.25重量%、マンガンを1.0〜1.5重量%、および硫黄を0.09〜0.15重量%含む、請求項17に記載の方法。
  • 当該鋳鉄に油溝を形成するステップを含む、請求項17に記載の方法。
  • 鋳鉄を形成する方法であって、
    合金の重量百分率(重量%)で、炭素を2.2〜2.9重量%、シリコンを3.2〜4.2重量%、銅を0.75〜1.25重量%、マンガンを1.0〜1.5重量%、硫黄を0.09〜0.15重量%、およびリンを0.1重量%以下含む合金を設けるステップと、当該合金を鋳造するステップと、当該合金をオーステナイト化するステップと、オーステナイト化された当該合金を焼入れするステップと、当該合金を焼戻しするステップとを備える、方法。
  • 说明书全文

    発明の背景 1. 発明の分野 本発明は、一般に、内燃機関のためのピストンリング、その材料、およびその形成方法に関する。

    2. 先行技術の説明 内燃機関の用途のピストンリングは、多くの場合、耐摩耗性および耐焼付性をもたらす鋳鉄組成物から形成される。 三輪による米国特許第5,972,128号は、ピストンリングを形成するために用いられる鋳鉄組成物を開示している。 三輪に開示されている鋳鉄は、鋳鉄の重量%で、炭素を3.15〜3.16重量%、シリコンを2.66〜2.86重量%、銅を0.65〜1.18重量%、マンガンを0.7〜0.78重量%、硫黄を0.04〜0.06重量%、リンを0.10〜0.12重量%含む。 米国特許第4,891,076号および米国特許第5,985,052号も、例示的な鋳鉄組成物を開示している。

    鋳鉄の1つのタイプは、ねずみ鋳鉄またはねずみ鉄と呼ばれる。 ねずみ鉄にはさまざまなグレードがあり、一般的なねずみ鉄組成物は、ねずみ鉄の総重量に基づいて、ねずみ鉄の重量百分率(重量%)で、炭素を2.0〜4.0重量%、シリコンを1.25〜3.25重量%、マンガンを0.75〜1.25重量%、硫黄を0.08〜0.12重量%、リンを0.07〜0.2重量%含む。

    最近になって、性能を向上させてコストを削減するために、高度な油溝構成などの複雑な物理的特徴を含むピストンリングの需要が増加してきた。 しかし、先行技術の鋳鉄は、多くの場合、機械加工するのが困難であるか、または、所望の物理的特性を達成するために高価な合金化添加物が必要であり、そのため、内燃機関の用途のピストンリングでの先行技術の鋳鉄の使用は制限される。

    本発明の一局面は、鋳鉄であって、当該鋳鉄の重量百分率(重量%)で、炭素を2.2〜2.9重量%、シリコンを3.2〜4.2重量%、銅を0.75〜1.25重量%、マンガンを1.0〜1.5重量%、硫黄を0.09〜0.15重量%、およびリンを0.2重量%以下含む、鋳鉄を提供する。 当該鋳鉄からなるピストンリングも提供される。

    本発明のさらに別の局面は、鋳鉄からなるピストンリングを製造する方法を提供する。 当該方法は、合金の重量%で、炭素を2.2〜2.9重量%、シリコンを3.2〜4.2重量%、銅を0.75〜1.25重量%、マンガンを1.0〜1.5重量%、硫黄を0.09〜0.15重量%、およびリンを0.1重量%以下含む合金を設けるステップを含む。 当該方法は、次いで、当該合金を鋳造するステップと、当該合金をオーステナイト化するステップと、オーステナイト化された当該合金を焼入れするステップと、当該合金を焼戻しするステップとを含む。 本発明の別の局面は、当該鋳鉄を形成する方法を提供する。

    鋳鉄は、特に高度な油溝構成などの複雑な構成特徴を有するピストンリングを形成するために用いられる場合に、機械加工性が向上する。 また、鋳鉄は、非常に優れた曲げ強度、硬度、耐摩耗性および弾性率をもたらす。 さらに、鋳鉄および当該鋳鉄からなるピストンリングは、鋳鉄およびピストンリングを形成するために用いられる他の方法と比較して、低い材料および処理コストで製造される。

    本発明の他の利点は、添付の図面に関連付けて考慮される場合に以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるので、容易に認識されるであろう。

    本発明の一実施の形態に係るピストンリングの斜視図である。

    詳細な説明 本発明の一局面は、図1に一般的に示される向上した鋳鉄および当該鋳鉄からなるピストンリング20を提供する。 当該鋳鉄は、機械加工性が向上しているので、高度な溝構成などの複雑な物理的特徴を鋳鉄に形成することができる。 また、当該鋳鉄は、最小限の製造コストで、非常に優れた曲げ強度、硬度、耐摩耗性および弾性率をもたらす。 当該鋳鉄は、特定の量の炭素、シリコン、銅、マンガン、硫黄およびリンを含む合金を鋳造、オーステナイト化、焼入れおよび焼戻しすることによって形成される。 結果として生じる鋳鉄は、マルテンサイトおよびベイナイトのうちの少なくとも1つを含む微細構造を有するマトリックスを含む。 また、当該鋳鉄は、マトリックス全体にわたって分散した硫化マンガン(MnS)および炭化物も含む。

    図1に示されるように、鋳鉄からなるピストンリング20は、底面22と、対面している上面24とを含み、底面22および上面24は、互いに平行に、中心軸Aを中心に周方向に延びている。 また、ピストンリング20は、中心軸Aの方を向いた内径面26と、対面している外径面28とをもたらし、内径面26および外径面28は各々、底面22から上面24まで長手方向に延びている。 外径面28および内径面26は、一般に、互いに平行であり、中心軸Aを中心に周方向に延びている。 エンジンの用途でのピストンリング20の使用中、外径面28は、シリンダ壁の内面と接触し、それらの間に気密封止をもたらす。 ピストンリング20は、面22,24,26,28のうちの1つ以上に沿って内部に形成された複数の油溝30などのさまざまな構成特徴を含み得る。 ピストンリング20は、ピストンリング20の用途次第で、他の表面変形体または構成を含み得る。 ピストンリング20は、ピストンリングの製造に共通する全ての表面変形体または構成を収容可能である。

    ピストンリング20の鋳鉄は、機械加工性を向上させて望ましい物理的特性をもたらすために、特定の量の炭素、シリコン、銅、マンガン、硫黄およびリンを含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、平均炭素当量亜共晶とここで呼ぶこととされる鋳鉄の共晶温度を下回る炭素当量である3.4〜4.2の炭素当量をもたらすのに十分な量の炭素を含む。 鋳鉄の共晶温度は、一般に、華氏1145〜1155度である。 一実施の形態において、鋳鉄は、平均炭素当量亜共晶が3.8である。

    3.4〜4.2という好ましい炭素当量範囲をもたらすために、鋳鉄は、一般に、鋳鉄の総重量に基づいて、鋳鉄の重量百分率(重量%)で、炭素を2.2〜2.9重量%、または炭素を2.4〜2.8重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、炭素を少なくとも2.2重量%、または炭素を2.9重量%以下含む。

    一実施の形態において、鋳鉄は、シリコンを3.2〜4.2重量%、またはシリコンを3.4〜3.8重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、シリコンを少なくとも3.2重量%、またはシリコンを4.2重量%以下含む。

    一実施の形態において、鋳鉄は、銅を0.75〜1.25重量%、または銅を0.8〜1.0重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、銅を少なくとも0.75重量%、または銅を1.25重量%以下含む。

    一実施の形態において、鋳鉄は、マンガンを1.0〜1.5重量%、またはマンガンを1.1〜1.3重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、マンガンを少なくとも1.0重量%、またはマンガンを1.5重量%以下含む。

    一実施の形態において、鋳鉄は、硫黄を0.09〜0.15重量%、または硫黄を0.10〜0.12重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、硫黄を少なくとも0.09重量%、または硫黄を0.15重量%以下含む。

    一実施の形態において、鋳鉄は、リンを0.2重量%以下、またはリンを0.07〜0.09重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、リンを少なくとも0.01重量%、またはリンを0.09重量%以下含む。

    鋳鉄は、好ましくは、非常に優れた耐摩耗性に寄与する量のクロム、バナジウム、ニオブ、タングステンおよびホウ素を含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、クロムを0.25〜0.65重量%、またはクロムを0.3〜0.55重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、クロムを少なくとも0.25重量%、またはクロムを0.65重量%以下含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、バナジウムを0.2重量%以下、またはバナジウムを0.17重量%以下含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、バナジウムを少なくとも0.01重量%含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、ニオブを0.2重量%以下、またはニオブを0.15重量%以下含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、ニオブを少なくとも0.01重量%含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、タングステンを0.5重量%以下、またはタングステンを0.45重量%以下含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、タングステンを少なくとも0.01重量%含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、ホウ素を0.1重量%以下、またはホウ素を0.08重量%以下含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、ホウ素を少なくとも0.01重量%含む。

    鋳鉄は、好ましくは、非常に優れた曲げ強度および硬度に寄与する量のモリブデンおよびニッケルを含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、モリブデンを0.3〜0.5重量%、またはモリブデンを0.34〜0.39重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、モリブデンを少なくとも0.3重量%、またはモリブデンを0.5重量%以下含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、ニッケルを0.22重量%以下、またはニッケルを0.10〜0.25重量%含む。 さらに別の実施の形態において、鋳鉄は、ニッケルを少なくとも0.10重量%、またはニッケルを0.25重量%以下含む。

    また、鋳鉄は、好ましくは、非常に優れた物理的特性に寄与する量のチタンも含む。 一実施の形態において、鋳鉄は、チタンを0.03〜0.09重量%、またはチタンを0.04〜0.08重量%含む。 別の実施の形態において、鋳鉄は、チタンを少なくとも0.03重量%、またはチタンを0.09重量%以下含む。

    鋳鉄組成物の残りは、好ましくは、マルテンサイトおよびベイナイトのうちの少なくとも1つを含むマトリックスをもたらすのに十分な量の鉄から本質的になっている。 一実施の形態において、鋳鉄は、鉄を少なくとも75.0重量%、または鉄を少なくとも85.0重量%含む。 鋳鉄の残りは好ましくは鉄からなっているが、鋳鉄は、鋳鉄の総重量に基づいて、好ましくは1.0重量%以下の量の不純物も含み得る。

    鋳鉄のマトリックスは、マルテンサイトおよびベイナイトのうちの少なくとも1つ、好ましくはマルテンサイトを含む微細構造を含む。 一実施の形態において、マトリックスは、マトリックスの総体積に基づいて、マトリックスの体積百分率(体積%)で、マルテンサイトを80〜90体積%含む。

    好ましくは、鋳鉄は、マトリックス全体にわたって分散した炭化物の微細分布を含む。 炭化物の微細分布は、鋳鉄がもたらす非常に優れた耐摩耗性に寄与する。 クロム、バナジウム、ニオブ、タングステンおよびホウ素の量は、マトリックスに形成される炭化物の量に寄与する。 また、鋳鉄は、マトリックス全体にわたって分散した硫化マンガン(MnS)も含み、これは鋳鉄の機械加工性の向上に寄与する。 マンガンおよび硫黄の量は、鋳鉄におけるMnSの量に寄与する。 一実施の形態において、鋳鉄は、鋳鉄の総体積に基づいて、Mnを0.5〜1.5体積%含む。

    鋳鉄のマトリックスは、好ましくは、フェライト、オーステナイトおよびステダイトを含んでいない。 好ましくは、混ぜ合わせられたフェライト、オーステナイトおよびステダイトの総量は、マトリックスの総体積に基づいて、5体積%以下である。 フェライト、オーステナイトおよびステダイトの量が少なく、マルテンサイトおよびベイナイトの量が多いことは、鋳鉄の機械加工性の向上および非常に優れた物理的特性に寄与する。

    鋳鉄の機械加工性の向上により、その面22,24,26,28に沿ってさまざまな異なる構成を有するピストンリング20を形成することができる。 一実施の形態において、ピストンリング20の面22,24,26,28は、少なくとも1つの油溝30、突出部、または他のタイプの凹部、外形または表面変形体を含む。

    機械加工性の向上に加えて、鋳鉄は、非常に優れた曲げ強度、硬度および弾性率をもたらす。 一実施の形態において、鋳鉄は、曲げ強度が750〜1000MPa、一般に780〜850MPaである。 また、鋳鉄は、一般に、ブリネル硬度数が330〜360BHNであり、ロックウェル硬度Bスケールが100〜116HRB、一般に108〜112HRBである。 一実施の形態において、鋳鉄は、弾性率が115〜160GPa、一般に120〜140GPaである。 また、鋳鉄は、耐摩耗性も向上させる。 一実施の形態において、鋳鉄は、ASTMスタンダードG−133に従ってキャメロン−プリントモデルTE−77往復摺動摩耗試験機を用いて試験された場合に、70ミクロン以下の摩耗、一般に40ミクロン以下の摩耗をもたらす。

    本発明の別の局面は、向上した鋳鉄を形成し、当該鋳鉄からなるピストンリング20を製造する方法を提供する。 鋳鉄およびピストンリング20の形成方法は、経済的であり、鋳鉄およびピストンリングを提供するために用いられる他の方法と比較してより低い材料およびプロセスコストで実施可能である。

    当該方法は、まず、合金の重量百分率(重量%)で、炭素を2.2〜2.9重量%または炭素を2.4〜2.8重量%、シリコンを3.2〜4.2重量%またはシリコンを3.4〜3.8重量%、銅を0.75〜1.25重量%または銅を0.8〜1.0重量%、マンガンを1.0〜1.5重量%またはマンガンを1.1〜1.3重量%、硫黄を0.09〜0.15重量%または硫黄を0.10〜0.12重量%、クロムを0.25〜0.65重量%またはクロムを0.3〜0.55重量%、モリブデンを0.3〜0.5重量%またはモリブデンを0.34〜0.39重量%、チタンを0.03〜0.09重量%またはチタンを0.04〜0.08重量%、ニオブを0.2重量%以下またはニオブを0.15重量%以下、タングステンを0.5重量%以下またはタングステンを0.45重量%以下、ホウ素を0.1重量%以下またはホウ素を0.08重量%以下、バナジウムを0.2重量%以下またはバナジウムを0.17重量%以下、リンを0.1重量%以下またはリンを0.07〜0.09重量%、ニッケルを0.25重量%以下またはニッケルを0.10〜0.25重量%、および鉄を少なくとも75.0重量%または鉄を少なくとも85.0重量%含む鉄合金を設けるステップを含む。

    次に、当該方法は、所望の形状をもたらすために、合金を溶融して、型の中で合金を鋳造するステップを含む。 一実施の形態において、型は、上面24、底面22、内径面26および外径面28を有するピストンリング20の形状をもたらす。

    次に、当該方法は、鋳造合金を60〜120分間にわたって華氏1750〜1875度の温度に加熱することによって、鋳造合金をオーステナイト化するステップを含む。 次に、当該方法は、オーステナイト化された合金を華氏140〜150度の温度の油の中で焼入れするステップを含む。 当該方法はさらに、60〜120分間にわたる華氏950〜1150度の温度での焼入れステップの後に合金を焼戻しして、完成した鋳鉄をもたらすステップを含む。

    実験 本発明の実施の形態に従って形成された2つの鋳鉄に対して性能試験を行った。 鋳鉄の重量%での本発明の実施例の2つの鋳鉄の組成は、実施例1および2として表1に開示されている。 本発明の実施例を従来のねずみ鋳鉄と比較した。 比較例のねずみ鋳鉄の組成も表1に開示されている。

    次いで、本発明の鋳鉄および比較例の鋳鉄を、硬度、弾性率、曲げ強度および耐摩耗性について試験した。 金属材料のロックウェル硬度のための標準的な方法であるASTM E18−086に従って、各鋳鉄の硬度を試験した。 硬度試験の結果は、表2に示されており、本発明の鋳鉄が従来のねずみ鋳鉄よりも優れた硬度を有することを示している。

    次に、本発明の鋳鉄および比較例の鋳鉄を、http://www.federalmogul.com/korihandbook/en/index.htmで入手可能なフェデラル・モーグルピストンリングハンドブックに見られるピストンリングのためのフェデラル・モーグルの材料スペシエーション、名称GEO 504に従って、弾性率について試験した。 弾性率試験の結果は、表3に示されており、本発明の鋳鉄が従来のねずみ鋳鉄よりも優れた弾性率を有することを示している。

    次に、本発明の鋳鉄および比較例の鋳鉄を、http://www.federalmogul.com/korihandbook/en/index.htmで入手可能なフェデラル・モーグルピストンリングハンドブックに見られるピストンリングのためのフェデラル・モーグルの材料スペシエーション、名称GEO 504に従って、曲げ強度について試験した。 曲げ強度試験の結果は、表4に示されており、本発明の鋳鉄が従来のねずみ鋳鉄よりも優れた曲げ強度を有することを示している。

    次に、本発明の鋳鉄および比較例の鋳鉄を、ASTMスタンダードG−133に従って、キャメロン−プリントモデルTE−77往復摺動摩耗試験機を用いて、耐摩耗性について試験した。 摩耗試験の結果は、表5に示されており、本発明の鋳鉄が従来のねずみ鋳鉄よりも摩耗が少ないことを示している。

    また、本発明の鋳鉄は、米国特許第5,985,052号、第5,972,128号および第4,891,076号のものなどの先行技術の他の鋳鉄に勝る利点を提供する。

    '052号特許の鋳鉄は、本発明の鋳鉄のマトリックスとは異なって、破損していない非連続的なステダイトの混合物を有する安定したオーステナイトの中に針状フェライトのマトリックスを含む。 また、'052号特許の材料は、より高いレベルのリンも含み、これは、高含有量のステダイトに寄与する。 '052号特許の鋳鉄の未精製ステダイトは、非常に優れた機械加工性をもたらす本発明の鋳鉄とは異なって、機械加工を困難にする。 '052号特許に従って形成された鋳鉄は、硬度が280〜330BHNであり、これは本発明の鋳鉄の硬度よりも低い。 さらに、'052号特許の鋳鉄がピストンリングを形成するために用いられる際、加熱中のマトリックスのオーステナイトの分解により、内燃機関の用途においてピストンリングを使用している最中にマトリックスが脆いマルテンサイト相またはより柔らかい相に戻る可能性がある。 さらに、'052号特許の鋳鉄は、本発明の方法とは異なって、オーステンパ処理によって実現される。

    '128号特許の鋳鉄は、高価な合金を用いて耐摩耗性を提供し、本発明の鋳鉄よりも機械加工が困難である。 '128号特許の材料の硬度は、85〜95HRBであり、これは本発明の鋳鉄の硬度よりも低い。 炭化物およびMnSがマトリックス全体にわたって分散している少なくとも1つのマルテンサイトまたはベイナイトを含むマトリックスを含む本発明の実施の形態に係る鋳鉄とは異なって、'076号特許の鋳鉄も、オーステンパ処理によって実現され、フェライトおよびオーステナイトのマトリックスを含む。

    明らかに、上記の教示に鑑みて本発明の多くの変形例および変更例が可能であり、本発明の多くの変形例および変更例は、具体的に記載されている態様とは異なった態様で実施可能である。

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