【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は高粘度食品の加熱、冷却等の熱交換方法とその装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ミルク、果汁等の流体食品を熱交換プレート間を流通せしめて加熱又は冷却するプレート式熱交換方式が知られているが、この方式は流通路が熱交換プレート間を直列的に連結されているので粘性の小さい低粘度食品には適しているが、粘度が大きくなると圧送圧力を大きくしなければならないと共にプレート間の微小間隔部に目詰りを起こし、その粘度の上限は5000c pが限界で、それ以上のマヨネーズ、ケチャップ、ハチミツ等の高粘度食品の加熱又は冷却には使用できないのが実状である。 このために前記のような高粘度食品の加熱又は冷却処理に、オンレーター、ボテーター又はサーモシリンダーのような特殊な大型な連続装置を使用するか、又はバッチ方式を使用しているのが現状である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来の方式は設備、規模が大きくなるだけでなく原料を連続して円滑迅速かつ均一に加熱又は冷却することが困難で、作業効率が悪いほかに品質にむらが生じて品質の良い製品を効率良く製造することができない問題点がある。 これらの現状に鑑み、本発明は熱交換プレートによって高粘度食品を連続して効率良く熱交換できる方法とその装置を提供することを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するために、 重ね合わせてプレート間に熱交換媒体通路 と熱交換通路を交互に形成したプレート式熱交換装置に 給送した高粘度食品を前記複数の熱交換通路に並列状に 分流して熱交換した後合流せしめてプレート式熱交換装置外に送出するものである。 【0005】また前記方法を実施するための装置としては、微小間隔で重ね合せ状態に配設されたプレート式熱交換装置のプレート間に熱交換媒体通路と高粘度食品の熱交換通路とを交互に形成し、前記プレート式熱交換装置の一側に高粘度食品を圧送する給送ポンプを有する流 送路を、他側に高粘度食品を送出する合流路を夫々設け ると共に前記流送路と合流路との間の熱交換通路を並列 状に連通連結せしめたものである。 【0006】本発明における高粘度食品とは、その粘度が5000〜200000cpの範囲の流動又は半流動状食品であって、例えばマヨネーズ、ドレッシング、サラダドレッシング、コーンクリーム、チキンクリーム、 カレーソース、ホワイトソース、デミグラソース、ミートソース、ケチャップ、ハチミツ等であり、これら食品の加熱又は冷却或は加熱冷却の熱交換に利用できるものである。 【0007】 【作用】本発明方法は高粘度食品を分流路からプレート を重ね合わせて形成された熱交 換通路で並列状に分流し ながら夫々熱交換プレート間を通過せしめて加熱又は冷却して熱交換しこれを再び合流して送出することにより、 圧送圧力を大きくすることなく粘度の大きい高粘度食品でも微小間隔の複数の熱交換プレート間を各分流に分けて目詰りさせることなく連続して流送しながら熱交換する。 【0008】また本発明装置は、ポンプで圧送された高粘度食品は、 流送路と合流路との間に形成された並列状 の熱交換プレート間の熱交換通路を並列状に分流しながら圧送されて熱交換を行い、次いで再び合流路で合流し て熱交換通路から送出される。 【0009】 【実施例】本発明の詳細を図面について説明すると、プレート式熱交換装置1の上部には給送ポンプ2を有する流送路3が設けられており、マヨネーズ、ケチャップ、 ドレッシング、その他の粘度が5000〜200000 cpの流動又は半流動状の粘度食品を給送ポンプ2で圧送できるように構成されている。 【0010】前記プレート式熱交換装置1は、周縁部にパッキング4を有するプレート5・5・5…を微小間隔で重合密着してプレート5・5間に気密間隙部を形成すると共にその一つ置きの気密間隙部は順次連通しており、一端部に設けた熱交換媒体給パイプ6から熱交換媒体を供給できる熱交換媒体通路7を形成している。 【0011】また前記熱交換媒体通路7に隣接した気密間隙部の上部は前記流送路3に、また下部はプレート式熱交換装置1の下側に設けられた合流路8に夫々連通して、プレート5・5間に前記熱交換媒体通路7と交互になるように原料の熱交換通路9が形成されており、流送路3から給送ポンプ2で圧送された高粘度食品を並列状 に配置された夫々原料の熱交換通路9において流送路3 から並列状に分流して熱交換した後これを合流路8で再び合流しながらプレート式熱交換装置1外に送出できるように構成されている。 【0012】従って流送路3から給送ポンプ2で圧送された高粘度食品は、流送路3から分流毎にプレート5で形成された並列状の原料の熱交換通路9を圧送されて熱交換された後、再び合流路8で合流して送出する作用を単一又は数回反復して熱交換を行うものであり、熱交換媒体に加熱媒体を使用すれば高粘度食品を加熱でき、又熱交換媒体に冷却媒体を使用すれば高粘度食品を冷却することができるものであり、更に図3のように加熱用の熱交換装置1と冷却用熱交換装置1とを連結して高粘度食品を加熱殺菌した後に連続して冷却することもできる。 【0013】実験例1. コーンスターチ、7.5%、ガム質0.8%を分散混合させた清水を、プレート板62枚、(加熱プレート41 枚、冷却プレート21枚)プレート間隔4mm、プレートの熱交換面積0.32m 2からなる従来のプレート式熱交換機に、ポンプ圧8〜10kg/cm 2で圧送して90〜98℃に加熱処理しようとしたところ、清水の品温上昇に伴ってコーンスターチがα化し急激な粘度上昇(約10000cp)を招き目詰り現象を生じ加熱することが不可能であった。 そこでこの清水を本発明によるプレート式熱交換装置(プレート数62枚、プレート間隔4mm、プレートの熱交換面積0.32m 2 )にポンプ圧4〜5kg/cm 2で圧送したところ90〜98℃ に加熱することが可能であった。 【0014】実験例2. マヨネーズ(粘度10万〜20万cp)を次の条件で実験例1と同じ本発明方法により加熱殺菌及び冷却を連続して行うことができた。 加熱処理 約63℃ 冷却処理 約20℃ 流量 1.4〜1.8t/時間 【0015】 【発明の効果】本発明は高粘度食品を特殊な熱交換手段を使用することなく熱交換プレートの並列状の熱交換通 路を利用して並列状に分流し、圧送圧力を大きくするこ となく また目詰まりを生じないで効率良く連続して均一に加熱又は冷却の熱交換を行うことができ、高粘度食品の加熱殺菌やその後における冷却工程を作業能率良く行って品質の良い高粘度食品を製造できる。 また本発明の装置は高粘度食品の加熱又は冷却の熱交換手段を設備規模の小さいプレート方式で簡易かつ迅速確実に連続して行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の説明斜視図。 【図2】本発明の縦断正面図。 【図3】本発明の実施態様説明図。 【符号の説明】 1 プレート式熱交換装置 2 給送ポンプ 3 流送路 5 プレート 7 熱交換媒体通路 8 合流路 9 熱交換通路 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) A23L 3/20 A23L 1/24 A23L 3/36 F28F 3/00 |