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BOD測定方法および装置

阅读:1015发布:2021-01-31

专利汇可以提供BOD測定方法および装置专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】 微 生物 の呼吸による溶存酸素濃度の変化を計測して、BODを迅速に測定する方法において、測定に使用するに適切な活性汚泥を培養する方法を提示し、その活性汚泥を使用することでBODを迅速に短時間で連続的に 精度 よく測定できる方法及び装置を提供する。【解決手段】活性汚泥を培養する培養装置と計測装置から構成され、該培養装置に培養液の添加に加え、馴養液として被測定排 水 の添加を行い、被測定排水の添加量を、被測定排水のBOD値であるBODinと、被測定排水の分解速度のデータから計算される被測定排水のBODのX%を分解するまでの平均分解速度Sと、培養装置の曝気槽の容積Vを用いて、V×S×100/(X×BODin)で計算される値に従って、被測定排水の添加量Fを制御しつつ培養した活性汚泥 混合液 を用いて計測装置で被測定排水のBODを計測する。【選択図】図3,下面是BOD測定方法および装置专利的具体信息内容。

  • 曝気槽を備えた活性汚泥の培養装置と、活性汚泥混合液のBODを測定する計測装置と、を用いて、微生物の呼吸による溶存酸素濃度変化を計測することにより、被測定排水のBODを測定する方法であって、
    培養装置には、活性汚泥培養液に加えて、馴養液として被測定排水を添加するステップと、
    培養装置滞留時間内に、被測定排水の組成に応じて選定される所定の分解率(X%)となるように、培養装置への被測定排水の添加量(F)を制御しつつ活性汚泥を培養するステップと、
    培養した活性汚泥混合液を、計測装置にサンプリングして被測定排水のBODを計測するステップと、
    を含むことを特徴とするBOD測定方法。
  • 計測後の活性汚泥混合液を前記培養装置に戻すステップを、さらに含み、
    前記各ステップを繰返し行うことにより被測定排水のBODを実質的に連続測定することを特徴とする請求項1に記載のBOD測定方法。
  • 被測定排水の前記添加量(F)を、連続測定における1サイクルの所要時間をtとして、被測定排水のBOD値(BODin)と、前記所定の分解率(X%)となるまで平均分解速度(S)と、培養装置の曝気槽の容積(V)と、予め設定する係数kと、を用いて、1サイクルあたり、F=k×t×V×S×100/(X×BODin)に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のBOD測定方法。
  • 請求項1乃至3において、前記培養装置の活性汚泥を用いて、前記計測装置に組成および濃度一定の基準液を活性汚泥混合液に一定量添加し、基準液の分解速度を計測する操作を付加し、基準液の分解速度が予め設定した目標値を下回ったときは、前記培養装置への被測定排水の添加量を減少させる制御をおこなうことを特徴とするBOD測定方法。
  • 請求項1乃至4において、培養装置の活性汚泥を用いて、計測装置に基準液を一定量添加し、基準液の分解速度を計測する操作を付加し、予め基準液の分解速度の値と平均的な被測定排水を本計測装置で測定したBODと平均的な被測定排水をJIS法により測定したBODを関係付ける検量線を設定しておき、本計測装置で測定した被測定排水のBODを、基準液の分解速度と該検量線で補正し、被測定排水のBODを計測することを特徴とするBOD測定方法。
  • 請求項1乃至5において、活性汚泥混合液のBODや被測定排水などのBODや分解速度を測定する計測方法が、該培養装置の曝気槽から活性汚泥混合液を該計測装置へサンプリングし、該計測装置の曝気装置を用いて、該混合液を曝気して、混合液中の溶存酸素濃度の変化曲線(以下、DO曲線2−1という)及び混合液中のBOD分解後の酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度(以下、DOhfという)を測定し、次に曝気を停止して溶存酸素濃度を低下させた後に、曝気を再開したときの溶存酸素濃度変化曲線(以下、DO曲線2−3という)を測定し、
    DO曲線2−3およびDOhfに基づいて酸素供給手段における物質移動係数(以下、K L aという)を演算し、求めたDOhfとK L aを用いて、該混合液を曝気して測定される溶存酸素濃度の変化や、該混合液に基準液や被測定排水を添加したのち、曝気して測定される溶存酸素濃度変化から該混合液や基準液や被測定排水のBODや分解速度を求める方法であることを特徴とするBOD測定方法。
  • 請求項1乃至6において、計測装置での溶存酸素濃度変化などの測定データを測定装置のコンピュータから通信回線を用いて、遠隔地のコンピュータに送信し、遠隔地のコンピュータで該送信データを解読し、少なくとも培養装置の培養液の添加量または馴養液の添加量を制御するデータを測定装置のコンピュータに送信し、添加量を遠隔制御することを特徴とするBOD測定方法。
  • 活性汚泥を培養する培養装置と、培養装置の活性汚泥を用いて被測定排水のBODを測定する計測装置から構成されるBODの迅速測定装置であって、
    該培養装置の曝気槽から活性汚泥混合液を該計測装置へサンプリングする手段と、
    サンプリングした活性汚泥混合液を曝気して、混合液中の溶存酸素濃度の変化曲線(以下、DO曲線2−1という)及び混合液中のBOD分解後の、酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度DOhfを測定する手段と、
    曝気を停止して溶存酸素濃度を低下させた後に、曝気を再開したときの溶存酸素濃度変化曲線(以下、DO曲線2−3という)を測定する手段と、
    DO曲線2−3およびDOhfに基づいて酸素供給手段における物質移動係数を演算し、求めたDOhfとK L aを用いて、該混合液を曝気して測定される溶存酸素濃度の変化や、該混合液に基準液や被測定排水を添加したのち、曝気して測定される溶存酸素濃度変化から該混合液や基準液や被測定排水のBODや分解速度を取得する手段と、
    その分解速度の値で、培養装置へ添加する被測定排水の量を制御する手段と、
    計測装置での溶存酸素濃度変化などの測定データを測定装置のコンピュータから通信回線を用いて、遠隔地のコンピュータに送信する手段と、遠隔地のコンピュータから少なくとも培養装置への添加液の添加量を制御するデータを受信する手段と、その受信データに基づいて添加液の添加量を制御する手段と、
    を備えて成ることを特徴とするBOD測定装置。
  • 说明书全文

    本発明は、生物化学的酸素要求量(以下BODという)の連続且つ迅速測定に適したBOD測定方法および装置に関する。

    の汚濁指標としてBODは廃水処理の運転や廃水の放流の規制値などに広く用いられている。 しかしながら、日本工業規格(以下JISと略す)で定められているBODの測定法(以下、BOD5という)は5日間という長時間を要するため、廃水処理の運転操作のための指標や、現在排出している排水の水質管理の指標としては用いることが不便である。

    このため、BOD5に代わる迅速に測定可能な管理指標として、化学的酸素消費量(以下CODという)や全酸素要求量(以下TODという)や全有機炭素量(以下TOCという)などを測定し、BOD5との相関関係からBOD5を推定する方法が用いられている。 しかしながら、これら指標は、個々の物質としてはBOD5と相関があるものの、物質ごとに相関係数が異なるため、多数の物質が混在しその組成が変動する排水の場合には、相関が悪くなる。

    またBOD5を迅速に測定する方法として微生物電極を使う方法や、高濃度の馴養された微生物群(以下活性汚泥という)を用いる方法がある。 しかし、微生物電極に使用する微生物は特定の微生物であり、その微生物で効率的に分解できるBOD成分の廃水は測定できるが、それ以外のBOD成分を含む排水については正確に測定できない。 このため、BOD成分ごとに微生物膜を交換して測定する必要があり、また交換した微生物膜が安定するまで長時間を要する不便さがある。 微生物膜の交換が不要な場合でも、微生物膜の活性が変化することから頻繁に検量線を作成する必要がある。
    また、活性汚泥を使う方法においても、測定精度の向上のために被測定排水の基質に十分馴養された活性の高い活性汚泥が必要であり、また測定時の活性汚泥の状態管理が大きな要素となるが、どう管理すればよいかなどは明確になっていない。

    もし、BOD5と相関のよい指標が短時間で自動且つ連続的に測定できれば、活性汚泥などの好気性微生物を利用した排水処理の適正な運転管理が可能になり、また処理水や工場排水の管理を適切に行うことが可能になる。

    本発明者は、溶存酸素濃度計を使って微生物の酸素消費速度の挙動を測定し、これをコンピュータで解析することにより、短時間で被測定排水のBODを測定するとともに、被測定排水のBOD成分の分解速度を計算し、微生物の活性を定量化する方法を開示している(特許文献1)。 具体的には、溶存酸素濃度の測定データの取得方法および取得したデータからBODを計算する計算方法およびBODの分解速度を解析する方法である。
    また、活性汚泥を使う方法について、汚泥の内生呼吸状態にある活性汚泥の呼吸速度を測定しておき、被測定排水を添加後、呼吸速度が添加前の呼吸速度に戻る時点を被測定排水の分解終了点として、その間の溶存酸素濃度の変化量を被測定排水のBODとする方法を開示している(特許文献2、3)。

    特開2001-235462

    特開平06-180312

    特開平10-090249

    以下は、本出願人が特許文献1に開示した計測方法である。 なお、請求項1から4までの計測装置は、本計算原理に基づいて計測してもよいし、特許文献2や特許文献3による方法に基づいて計算することもできる。
    活性汚泥と廃液を含む混合液を曝気装置で曝気していくと廃水中の溶存酸素濃度は曝気時間とともに上昇していくが、その変化は(1)式で表される。

    ここに、DOsatは飽和溶存酸素濃度[mg/l]、DOは曝気槽内溶存酸素濃度[mg/l]、K L aは総括物質移動係数[1/min]、ASactは活性汚泥が呼吸で使う酸素消費速度[mg/l/min]、BODactは活性汚泥がBOD成分の分解で使う酸素消費速度[mg/l/min]である。

    (1)式の右辺第1項は、曝気装置から酸素供給速度であり、第2項は活性汚泥が呼吸およびBODの分解で使う酸素消費速度である。 ASactは汚泥の基礎呼吸による酸素の消費速度である。 基礎呼吸なのでBOD成分とは直接無関係であり、測定に必要な短時間内ではほとんど一定である。 ASactは概ねDO値が0.5mg/l以上あれば、ASactはDO値に無関係に一定であることが知られている。 このことは、BOD成分がほとんど0mg/lの混合液を、酸素の供給を断った状態で溶存酸素濃度が高い状態からDOが直線状に減少していくことから容易に実証できる。

    BODactは、汚泥がBOD成分を分解しているときに使う酸素の消費速度である。 BODactは、汚泥がその物質に馴化しているかどうか、汚泥の状態、水温、pH、塩濃度等の棲息環境などで変化する。 微生物がBOD成分を分解する場合、反応はBOD成分に対応した微生物によりおこなわれ、その成分ごとに固有の反応速度を示す。 一般に、有機物が微生物により最終的に水と炭酸ガスに分解される過程では、いくつかの中間生成物を経由する。 そして、それぞれの中間生成物は、固有の分解反応速度を持つ。

    曝気過程でBODactが変化する場合には、(1)式は簡単には積分できないが、BOD成分が殆ど0mg/lの混合液の場合、(1)式のBODactは殆ど0となり、(2)式で示される。

    ASactは、前述のごとくDO>0.5mg/lでは、概ねDOに無関係に一定であるから、この範囲で(2)式は容易に積分でき(3)式で表される。
    DO=α−(α−DO 0 )exp(−K L a・t) (3)式 但しα=DOsat−ASact/K L a
    DO 0は、曝気を開始したときの初期値である。 また、(3)式において、曝気経過時間tが十分大きければ右辺第2項は無視できるから DO=α=DOsat−ASact/K L a
    の値で一定となる。 この値をDOhfと表せば、DOhfはBOD成分が殆ど0mg/lの混合液を曝気した場合、最終的に到達するDO値と定義できる。
    従って、(3)式は DO=DOhf-(DOhf-DO 0 )exp(−K L a・t) (4)式と書き直せる。 (4)式において、DOの変化は図1の点線1に示す曲線となる。
    一方、混合液中にBOD成分が存在する場合、BODactは無視できない値を持つ。 さらに、BODactの値は、主として分解対象のBOD成分が変わることにより、曝気経過時間tとともに大きい値から小さい値へ変化する。 最終的に分解できるBOD成分がなくなれば、BODactは殆ど0になる。 このため、(1)式は(3)式のように単純に積分できないが、DOの変化は図1の実線2の曲線のようになる。

    今、曝気を開始したときのDOの初期値DO 0を同じとし、BOD成分が殆ど0mg/lの混合液を曝気したときのDO変化曲線((4)式で表される)を図1の点線1で表し、BOD成分が存在する混合液を曝気したときのDO変化曲線を図1の実線2で表すものとする。 点線1はBODを分解する酸素消費速度と呼吸による酸素消費速度の合計と曝気による酸素供給速度でバランスするDOであり、実線2は呼吸による酸素消費速度と曝気による酸素供給速度でバランスするDOであるから、各曝気経過時間における点線と実線の値の差にK L aを掛けた値は、その時点におけるBOD分解に使用される酸素消費速度=反応速度を表す。 この差を曝気経過時間tで積分した値は、両曲線で囲まれた面積Sに相当する。 さらに、この値にK L aを掛けた値は、微生物がBOD成分を分解するために使用する酸素量に相当する。 この方法は、JISで定められたBODの測定法とは異なるが、微生物がBOD成分を分解するに要する酸素量を測定するという原理自体は同じである。 BOD5が5日間という長時間を要するのに対して、本測定法では、既に十分馴養された汚泥を使用し、且つ数千ppmという高濃度の活性汚泥を使用するため、数10分程度の短時間でBOD5ときわめて相関性の高い結果を得ることが測定可能である。 本測定の原理そのものは、特許文献1に詳しく記述されている。 特許文献1では、さらに(4)式のDOhfおよび(1)式のK L aを測定装置のなかで具体的に取得する操作手順および計算手順を示している。

    上述のように、先行技術ではBODを迅速測定する技術は開示されているが、BOD5と精度よく相関がある測定値を得る技術については開示されていない。
    図6は、上記の測定方法で計測したBOD値(以後BODtsという)と、BOD5の測定結果を散布図として示したものである。 図6に示すように、大部分の範囲で、BODtsとBOD5はよい一致を示している。 図6において、ブロックaの範囲ではBODtsはBOD5より小さい値を示している。 このブロックは、被測定排水が活性汚泥に対して毒性のある廃液であったか、被測定排水が活性汚泥が馴養していない成分が多い廃液であったか、または馴養はしていても汚泥全体の活性が低下している汚泥であったかのいずれかの場合である。 またブロックbの範囲は、廃液の成分が一般には難分解性に属する特殊な成分の場合である。 BOD5では、微生物がその物質に対応できず分解が進まないが、BODtsでは、その物質に馴養した活性汚泥を使用しているため、BOD5より大きな分解を示したものである。

    図7は、汚泥の活性とBODts/BOD5の関係を示す図である。 BODts/BOD5が1になるときの基準液の分解速度を分母とし、測定時の基準液の分解速度を分子とした値を汚泥の活性とすると、汚泥の活性の低下程度が小さい間は、BODts/BOD5の値は1から少し小さい程度に収まる。 活性低下で分解速度は低下して、その分だけ分解完了までの時間が長くなるが、全体のBOD分解の酸素消費量はあまり変わらない。 但し、分解速度が測定限界以上に遅くなった部分については計算されなくなるので、その分、BODtsは小さく計測され、BODts/BOD5は少しずつ小さくなる。 活性の低下が大きくなると、分解が途中で停止したり、分解速度が極端に遅くなるためBODtsの値も著しく低下してくる。 どの程度の活性でBODtsが低下するかは、個々の活性汚泥や原水の性状で異なるが、傾向としては図7に示すようになる。

    ここに基準液は、被測定排水の分解性と相関のある廃液であることが必要である。 通常被測定排水の組成は変動するものであるから、基準液の組成は被測定排水の代表的な成分または平均的な成分で構成するのが好ましいが、微生物の代謝過程で共通に資する酢酸などの物質で構成することも可能である。

    図6、7に示すように、BODtsがBOD5に近い値を示すためには、少なくとも被測定排水の成分に十分に馴養した活性のある活性汚泥が必要である。 被測定排水の成分に馴養した汚泥を形成するには、被測定排水を馴養液として活性汚泥を馴養するのが最も好ましいが、被測定排水は濃度や組成の変動や時には毒物の混入や必要な栄養塩類の過不足があり、いつも活性の大きな健全な活性汚泥が培養できるとは限らないものである。 したがって、本発明のBODを測定するために被測定排水の成分に馴養した活性汚泥を培養するためには、多くの場合、培養液と被測定廃液の成分をもつ馴養液が必要である。

    さらにBODの定義は微生物が被測定排水中のBOD成分を摂取し、体内で分解するときに消費する酸素量であるが、被測定排水中のBOD成分が全て分解するわけではなく一部は微生物の増殖や体内に留保される。 分解される量と増殖などに留保される量の割合は、BOD物質によることはもちろんであるが、微生物の種類や微生物が対数増殖期にあるか減衰増殖期にあるか内生呼吸期にあるかなどでも異なる。 さらに体内に栄養源をどの程度留保している状態(以下肥満度という)であるかなどで異なる。 JISの測定法では同時併行的に被測定試料を添加しないブランクとの差をとることで、これらの変動要素をある程度相殺しているが、本測定法や、バイオセンサーなどの迅速測定法では、同時併行的なブランク測定を行わないケースが多いので、より精度の高い測定を行うためにはこれら微生物の状態をできるだけ一定にする必要がある。

    ある物質に馴養した活性のある活性汚泥をつくるには、その物質を処理可能な範囲で、できるだけ高負荷状態で培養することが最も有効であるが、負荷が高すぎて微生物内に留保される肥満度の大きな状態になると、測定値が本来の値より小さく計測される弊害が生じる。
    測定値が本来の値より小さく計測される理由を、図8の例で示す。 図8は、BOD成分A〜Eを含む活性汚泥混合液を曝気していくときのDO変化曲線である。 活性汚泥混合液は分解速度の遅い成分Eを多く含むため、BOD成分を完全に処理した場合に到達するDO値であるDOhfに達する前に、Eを分解中のため、ASactとEの分解速度でバランスするDO値(図のDOfで示す値)で、ほぼ一定になる。 分解反応の判定を後述[0047]する、β<設定値5 and DO>DO で行うとき、Eの分解速度が小さいと、DOf>DO となり、Eを分解中の状態で反応終了と判定してしまう。 反応終了判定後にEを含む廃液を添加すると、成分が同じであるため反応速度も変化せず、ほぼDOfの値で推移する。 成分Eの廃液を添加しない活性汚泥混合液と比較すると添加した成分Eの量だけ分解時間が長くなるものの、成分Eを分解しきった時点では、本来のDOhfに到達する。 しかしながら、成分Eの廃液を添加しても上述のように反応速度はほぼDOfであるため、すぐに終了判定条件を満たしてしまう。 このため、コンピュータは成分Eの廃液の分解は終了と判断し、成分Eの廃液のBODts≒0mg/lと計測してしまう。 もちろんDO を本来のDOhfに非常に近づければ誤差は小さくなるが、測定上の誤差やバラツキを考慮すると実用上DOhf−DO にはある程度の幅をもたさざるを得ない。

    図10は肥満度によりBODtsが変化する具体例を示すものであり、グルコースとペプトンをBODの主成分とする培養液でBOD容積負荷が0.5kg-BOD/m3・日の条件で培養した活性汚泥混合液を使って、濃度1000mg/lの酢酸溶液とグルコース溶液について、BODtsを測定したものである。 培養直後の活性汚泥混合液を使用したBODtsに対し、培養直後の活性汚泥混合液を予め一定時間空曝気して肥満度を小さくした活性汚泥混合液を使用したBODtsを比較したものである。 横軸は空曝気した時間、縦軸はBODtsを示す。 図10に示すように、空曝気時間が10時間程度まではBODtsが大きくなる。 これは[0021]で記述した理由による。 さらに空曝気時間を長くすると、逆にBODtsは減少していく。 これは空曝気が過剰になると汚泥が過曝気状態になり微生物の活性が低下することによる影響である。 酢酸、グルコースとも同様の傾向があるが、酢酸のほうが変化が大きい。

    図9はある物質Yの曝気槽容量に対する単位時間当たりの添加量(以下Y容積負荷という)と、その物質に対する活性汚泥の活性(分解速度)と処理水中のY濃度と計測装置でのBOD測定値(BODts)とBOD5の比(BODts/BOD5)の関係を示す図である。 培養後の汚泥を空曝気する曝気時間の長さは、培養時のBOD容積負荷の大小による汚泥の状態に置き換えることができるので、図9は、[0021]、[0022]の内容を一般的に表したものといえる。
    同図において、Y容積負荷が大きくなるに従いBODts/BOD5が低下する原因は、処理水中のY物質濃度の挙動に示すように、微生物のY物質に対する肥満度が大きくなり、[0021]で記述したような原因で計測するBODtsが低下するためである。 逆に、Y容積負荷が小さくなってBODts/BOD5が低下する原因は、Y物質に対する活性汚泥の馴養不足のために、物質を分解する微生物が不足となってY物質に対する活性(図9−2の曲線)が小さく、測定限界以下の分解速度の分が測定できなくなるためである。 このためBODtsをできるだけBOD5に近い値に測定するには、最適なY容積負荷範囲(図9−1の曲線)が存在する。 その負荷範囲は物質毎や活性汚泥の性状などさまざまな条件で異なるが、傾向は図9に示すようになる。
    以上のように、BOD5と精度よく相関のある測定値を得るためには、測定の基となる活性汚泥の状態を管理することが不可欠となる。 本発明は、測定に使用するに適切な活性汚泥を培養する方法を提示し、その活性汚泥を使用することにより、BODを迅速、短時間、かつ、連続的に精度よく測定できる方法及び装置を提供するものである。

    請求項1の発明は、曝気槽を備えた活性汚泥の培養装置と、活性汚泥混合液のBODを測定する計測装置と、を用いて、微生物の呼吸による溶存酸素濃度変化を計測することにより、被測定排水のBODを測定する方法であって、培養装置には、活性汚泥培養液に加えて、馴養液として被測定排水を添加するステップと、培養装置滞留時間内に、被測定排水の組成に応じて選定される所定の分解率(X%)となるように、培養装置への被測定排水の添加量(F)を制御しつつ活性汚泥を培養するステップと、培養した活性汚泥混合液を、計測装置にサンプリングして被測定排水のBODを計測するステップと、を含むことを特徴とする。
    請求項2の発明は、請求項1において、計測後の活性汚泥混合液を前記培養装置に戻すステップを、さらに含み、前記各ステップを繰返し行うことにより被測定排水のBODを実質的に連続測定することを特徴とする。

    請求項1の馴養方法で、培養液の添加に加え、被測定廃液を馴養液として添加する理由は以下による。
    被測定排水の成分は変動するものであり、いろいろな被測定排水について含有する成分をいちいち合成するのは実用的でないので、被測定排水自身を馴養液として用いるのが合理的である。 しかしながら培養装置で負荷条件を制御するには、培養液は成分・組成・濃度が一定の合成液であるから、添加量を一定にすれば、一定の負荷となるが、被測定排水は成分・組成・濃度が一定であるとは限らない。 被測定廃液が工場排水などの場合は、成分・組成・濃度が常に変動しているほうが、むしろ一般的である。 このような被測定排水を一定量添加するのでは、負荷条件は一定にならない。 また被測定排水のBODを直接または代替測定法で測定した値で添加量を制御したとしても、同じBOD値であっても分解速度が速い成分が主な排水と、分解速度の遅い成分が主な排水とでは、培養装置での処理程度が全く異なり、BOD値だけでは同じ処理条件にはならない。

    請求項3の発明は、上記において、被測定排水の前記添加量(F)を、連続測定における1サイクルの所要時間をtとして、被測定排水のBOD値(BODin)と、前記所定の分解率(X%)となるまで平均分解速度(S)と、培養装置の曝気槽の容積(V)と、予め設定する係数kと、を用いて、1サイクルあたり、F=k×t×V×S×100/(X×BODin)に制御することを特徴とする。
    本発明では、計測装置へサンプリングした活性汚泥混合液に被測定排水を添加し、得られるDOの変化データから、被測定排水のBOD値であるBODinとX%を分解するまでの平均分解速度Sを測定する。 そのうえで、1サイクルの所要時間をtとし、培養装置の曝気槽の容積をVとして、t×V×S×100/(X×BODin)を計算する。 この値は1サイクルあたり培養装置の曝気槽でBODinのX%を処理できる添加量に相当する。
    Xは被測定排水の平均的な成分組成で適切な値を選定するが、成分組成が単純な場合は小さな値から100%まで採用できる可能性があるが、成分が複雑で分解性の遅い成分が含まれる場合は、反応速度の遅い成分の処理状態が測定精度に与える影響が大きいので、分解成分の遅い成分の分解速度も加味できるようにXは90%以上にすることが望ましい。

    予め設定する係数kは以下のように決定される。
    t×SはX%処理可能な状態における培養装置のBOD容積負荷に相当する指標を表す数値であるが、Sが小さい場合にはBOD容積負荷は小さな値となり、馴養液だけでは活性汚泥を培養するのに不足する。 逆に、Sが大きな値の場合には、BOD容積負荷は十分大きな値となり、馴養液だけで活性汚泥を培養するのに十分なBOD量になる可能性がある。 Sが小さい場合には、k=1と設定し、t×V×S×100/(X×BODin)で計算される添加量を全量添加したうえで、さらに活性汚泥を培養するのに不足するBOD量を培養液の添加で安定的に補充する。 逆にSが大きな値で、BODinが大きな場合には、馴養液だけで活性汚泥を培養するのに十分なBOD量になるので、培養液の添加は必ずしも必要ないが、本発明における馴養液は被測定排水なので、SもBODinも変動する。 Fは培養装置における沈殿槽の大きさや添加ポンプの容量などから操作範囲には限界があるので、100%馴養液で培養するのは変動しだいではBOD量が不足となる危険性がある。 また馴養液の比率が大きいと、馴養液に阻害性のある成分が混入した場合には危険性が大きくなる。 したがってSが大きい馴養液の場合には、馴養に必要なBOD量を確保したうえで被測定排水の変動などの要因を加味して、培養に必要なBOD量の一部を培養液で安定的に供給するのが好ましい。 この場合は培養液で置き換えた分、馴養液の添加量は少なくなるので係数kは1以下に設定し、t×V×S×100/(X×BODin)で計算される添加量の一部を添加する。

    具体例として、曝気槽の容積V=5000cc、1サイクルの所要時間t=120minとすると、分解速度の小さい排水(例えば、馴養液の分解率Xが98%のときの平均的な平均分解速度(S)が0.1mg/l/min)の場合は、1サイクルあたりの馴養液の処理可能BOD濃度は12mg/lであるから、BOD容積負荷は約0.14kg/m3・日となり、馴養液だけでは十分に活性汚泥を育成できない。 このため培養液によるBOD容積負荷を0.4
    kg/m3・日程度として、活性汚泥を育成する。 その場合、馴養液は処理可能な量を全量添加することからk=1.0となる。
    逆に分解容易な排水(例えば、馴養液の分解率Xが98%のときの平均的な平均分解速度(S)が0.7mg/l/min)の場合は、1サイクルあたりの馴養液の処理可能BOD濃度は84mg/lである。 従ってBOD容積負荷は約1.01kg/m3・日となり、馴養液だけでも十分活性汚泥を育成できるが、馴養液の変動などを考慮して、培養液と馴養液のBOD量の割合は50%程度とするのが適当である。 その場合、馴養液は処理可能な量の半分を添加することからk=0.5となる。
    上記具体例ではkは単純な比例定数の場合を示したが、kは比例定数に限るものではなく、上記[0027]、[0028]の意図する範囲であれば、もっと複雑な関数を設定してもよい。

    ここに、被測定排水のBODのX%を分解するまでの平均分解速度Sは、特許文献1に開示した計測方法であり、DO変化曲線とDOhfとK L aから以下のように求めることができる。
    全BOD値(以後BODtという)は、図2において、添加開始から分解終了までのDO変化曲線と、DO 0を初期値とし、(4)式で計算される曲線(以後、仮想DO曲線1という)により囲まれる面積にK L aを乗じた値で示される。 初期値DO 0がDOhf値である場合は、仮想DO曲線は一定(DOhf値)の直線となる。
    次に、ある時間までに分解されたBODは、以下のようにして求めることができる。 すなわち、その時点でBODが0mg/lになったとすれば、DO変化曲線は、その時点のDO測定値を初期値DO 2とし、DOhfとK L aを使って(4)式で計算される曲線(以後、仮想DO曲線2という)になる。 したがって、添加開始からその時点までのDO変化曲線と、仮想DO曲線1と仮想DO曲線2により囲まれた面積にK L aを掛けた値が、その時点までのBOD(以後BODpという)になる。
    さらに、BODp/BODt×100(%)が目的の分解率になる時点をtpとすれば、BODp/tpが求める平均分解速度となる。

    請求項4の発明は、上記において培養装置の活性汚泥を用いて計測装置に基準液を一定量添加し、基準液の分解速度を計測する操作を付加し、基準液の分解速度が予め設定した目標値を下回ったときは、培養装置への被測定排水の添加量を減少させる制御をおこなうことを特徴とする。
    培養液は活性汚泥を培養するための溶液であるから、活性汚泥に対して基本的に悪影響のないものであるが、被測定排水は必ずしも活性汚泥に対し健全な活性汚泥を育成するのに適した排水であるとは限らず、また阻害性のある成分を含む場合もある。 特に、前記制御で被測定排水の添加量が多くなると、被測定排水中の毒物で活性汚泥が阻害される可能性や、培養液と馴養液とで栄養塩のバランスが悪くなることもありうる。 請求項4はこのような場合に対処する方法である。 すなわち、サンプリングした活性汚泥混合液に基準液を添加しその分解速度を測定する工程を付加する。 もし毒物などの混入で活性汚泥に悪影響がでると、基準液の分解速度が低下する。 被測定排水の分解速度も影響をうけるが、被測定排水は組成が変わっても分解速度が変化するので、単純に被測定排水の分解速度では汚泥が阻害されたか否かの判断はつかない。 予め、図7で示す関係から被測定排水の測定精度上で許容できる活性(図の設定値3)に相当する基準液の分解速度を下限値としてコンピュータに記憶しておき、基準液の分解速度がその下限値を下回ったときは、被測定排水の添加量を減じる制御をおこなう。 この制御により培養液の比率がアップして早期に汚泥の活性を回復させることができる。

    請求項5の発明は、上記において培養装置の活性汚泥を用いて、計測装置に基準液を一定量添加し、基準液の分解速度を計測する操作を付加し、予め基準液の分解速度の値と平均的な被測定排水を本計測装置で測定したBODと平均的な被測定排水をJIS法で測定したBODを関係付ける検量線を設定しておき、本計測装置で測定した被測定排水のBODを、基準液の分解速度と該検量線で補正し、被測定排水のBODを計測することを特徴とする。
    汚泥の活性とBODts/BOD5の関係は図7で説明した関係である。 この関係は厳密には、組成濃度が一定の被測定排水で適用される関係ではあるが、特定の工場排水を測定する場合などでは、瞬間瞬間には変動するものの、統計的にみれば、平均的な排水を中心にあるバラツキの範囲に収まっていることが多い。 したがって平均的な排水を用いて、あらかじめ汚泥の基準液の分解速度と平均的な排水のBODts/BOD5の関係を検量線として作成しておき、計測装置で基準液の分解速度と被測定排水のBODtsを測定し、基準液の分解速度と該検量線で被測定排水のBODtsを補正することにより、汚泥の活性状態が変化しても、精度のある被測定排水のBODを測定することができる。
    基準液は組成濃度一定の溶液であるから、被測定排水のBOD5をBOD5=BODts×BOD5s/BODtss(基準液のBOD5をBOD5s、測定時の基準液のBODtsをBODtssとする)で補正する方法は、被測定排水が基準液と組成が同じで濃度のみが異なる場合は、通常の検量線となり、一般的な補正方法である。 これに対して、上記の分解速度による検量線で補正する方法を採用すると、いろいろな被測定排水に対し共通の基準液を使用できる利点があり、且つ分解速度の大きな基準液を使用することができるので、汚泥の性状変化に対する変化量が大きくなることで、補正精度が向上する。

    特許文献2や特許文献3に示されている汚泥の内生呼吸状態にある活性汚泥の呼吸速度の変化を測定する方法においても、試料添加前の微生物の呼吸による溶存酸素濃度の減少速度を測定しておき、試料添加後、微生物の呼吸による溶存酸素濃度の減少速度が添加前の減少速度と同じになる点を分解終了点として、その間の溶存酸素濃度の減少量をBODとし、試料添加前の呼吸による溶存酸素濃度の減少速度と添加後の溶存酸素濃度の減少速度の差が反応速度になることから、前述の計算は可能であり、請求項1乃至5の事項を実現することは可能である。

    本発明において、BOD5と相関性の大きいBODを計測するための鍵は、いかに馴養された健全で肥満度の小さい活性汚泥を、いつも同じ状態で確保するかである。 活性汚泥がこれらの条件を維持しているかどうかは、測定装置におけるDOの変化データおよび変化データから計算されるDOhf、K L aや活性汚泥混合液のBOD、基準液の分解速度、被測定排水のBODや分解速度から推定できる。 またDOhfやK L aのデータから、測定装置そのものが正常に作動しているかどうかの判定も可能である。 しかしながらDOの測定データ等からこれらの情報を正確に読み取るにはかなりの熟練した技術が必要である。 測定装置ごとに熟練した技術者をつけるのは不効率なので、計測装置でのDOなどの測定データを測定装置のコンピュータから通信回線を用いて、遠隔地のコンピュータに送信し、遠隔地のコンピュータで該送信データを再現し、複数の測定装置のデータを、熟練した専門技術者が判断するのが効率的である。 通常は培養条件などを請求項1から4の記載内容で自動制御するが、制御しきれない事項、例えばスタートアップ時、不測のトラブル時などでは、コンピュータで判断しがたい現象も発生する可能性がある。 このようなときに専門技術者が適切な判断をおこない、さらに測定装置全体を遠隔操作できれば便利である。 遠隔操作の項目は装置全体の停止、スタートの他、培養装置の培養液や馴養液の添加量などの培養装置運転の諸条件、計測装置への被測定排水の添加量などいろいろな機器があるが、本発明において、最も基本となるのは培養装置での活性汚泥の培養・馴養であるから、少なくとも培養装置の培養液の添加量または馴養液の添加量を制御するデータを測定装置のコンピュータに送信し、添加量を遠隔制御できるようにすることであり、この機能があれば、利用者は特別な技術がなくともいつでも正確なBODを短時間で測定可能になる。

    また、請求項6の発明は、請求項1乃至5において活性汚泥混合液のBODや被測定排水などのBODや分解速度を測定する計測方法が、該培養装置の曝気槽から活性汚泥混合液を該計測装置へサンプリングし、該計測装置の曝気装置を用いて、該混合液を曝気して、混合液中の溶存酸素濃度の変化曲線(以下、DO曲線2−1という)及び混合液中のBOD分解後の酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度(以下、DOhfという)を測定し、次に曝気を停止して溶存酸素濃度を低下させた後に、曝気を再開したときの溶存酸素濃度変化曲線(以下、DO曲線2−3という)を測定し、
    DO曲線2−3およびDOhfに基づいて酸素供給手段における物質移動係数K L aを演算し、求めたDOhfとK L aを用いて、該混合液を曝気して測定される溶存酸素濃度の変化や、該混合液に基準液や被測定排水を添加したのち、曝気して測定される溶存酸素濃度変化から該混合液や基準液や被測定排水のBODや分解速度を求める方法である。

    また上記において、計測装置での溶存酸素濃度変化などの測定データを測定装置のコンピュータから通信回線を用いて、遠隔地のコンピュータに送信し、遠隔地のコンピュータで該送信データを解読し、少なくとも培養装置の培養液の添加量または馴養液の添加量を制御するデータを測定装置のコンピュータに送信し、添加量を遠隔制御する(請求項7)。

    また上記の方法に用いる装置は、活性汚泥を培養する培養装置と、培養装置の活性汚泥を用いて被測定排水のBODを測定する計測装置から構成されるBODの迅速測定装置であって、該培養装置の曝気槽から活性汚泥混合液を該計測装置へサンプリングする手段と、
    サンプリングした活性汚泥混合液を曝気して、混合液中の溶存酸素濃度の変化曲線(以下、DO曲線2−1という)及び混合液中のBOD分解後の、酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度(以下、DOhfという)を測定する手段と、 曝気を停止して溶存酸素濃度を低下させた後に、曝気を再開したときの溶存酸素濃度変化曲線(以下、DO曲線2−3という)を測定する手段と、DO曲線2−3およびDOhfに基づいて酸素供給手段における物質移動係数K L aを演算し、求めたDOhfとK L aを用いて、該混合液を曝気して測定される溶存酸素濃度の変化や、該混合液に基準液や被測定排水を添加したのち、曝気して測定される溶存酸素濃度変化から該混合液や基準液や被測定排水のBODや分解速度を取� ��する手段と、その分解速度の値で、培養装置へ添加する被測定排水の量を制御する手段と、計測装置での溶存酸素濃度変化などの測定データを測定装置のコンピュータから通信回線を用いて、遠隔地のコンピュータに送信する手段と、遠隔地のコンピュータから少なくとも培養装置への添加液の添加量を制御するデータを受信する手段と、その受信データに基づいて添加液の添加量を制御する手段と、を備える(請求項8)。

    本発明の測定法によれば、1サイクル1〜2時間程度の短時間で被測定排水のBODを精度よく連続的に測定できる。 これにより、従来、5日という長い測定時間のため活性汚泥装置の運転や工場排水の管理に使用できなかったBODが運転指標として利用できるようになり、廃水処理の適正運転や工場排水の管理を適切におこなえるようになる。 また装置内に培養装置をもつため、活性汚泥のない場合でもBODの迅速測定が可能になる。

    以下、本発明の一実施形態について説明する。 なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。 図3は、請求項5に示す計測方法を具体化する一実施例に係る測定装置である。
    測定装置は、培養装置部Aと計測装置部Bからなり、計測装置部Bは活性汚泥の混合液を入れ曝気する曝気容器3と、曝気容器3と底部の配管で連結する測定容器4と、循環ポンプ5と、アスピレータ方式の曝気装置6と、空気流量計7と、空気電磁弁8と、溶存酸素計電極9と、ヒータ10と、冷却水が内部に流れる冷却用熱交換パイプ11と、基準液の添加ポンプ12と、原水の添加ポンプ13と、排水電磁弁14と、溶存酸素計15と、制御盤16と、コンピュータ17と、を備えている。 また、培養装置部Aは、培養曝気槽18と、培養沈殿槽19と、培養曝気装置20と、培養液添加ポンプ21と、被測定排水添加ポンプ22と、ヒータと温度センサーの温度調節装置23と、計測装置部Bへの送液ポンプ24と、を備えている。 なお、25は基準液タンク、26は被測定排水タンク、27は培養液タンク、28は計測装置のオーバーフロー管である。
    装置内の混合液は、循環ポンプ5により、測定容器4→曝気装置6のアスピレータ→曝気容器3→測定容器4の流れで循環し、曝気装置6のアスピレータで空気を吸引し、曝気容器3で曝気をおこない底部から測定容器4に移液することで気泡を分離し、測定容器4内の入口ノズル近傍に設置した溶存酸素計電極9のセンサー面の流速を確保する。
    コンピュータ17には、デジタル出兼アナログ-デジタル変換PCカードをPCMCIAアダプターに装着し、制御盤と連結しており、コンピュータ17からの指令で測定装置のポンプや電磁弁等を制御する。 コンピュータ17は、シリアルポートを介して溶存酸素計電極9の測定値を取り込む。 また制御盤16には温度コントローラを装備し、ヒータ10を制御することで混合液の温度を一定に保つ。
    培養装置部Aと計測装置部Bは送液ポンプ24を介して接続されている。
    また図示していないが、コンピュータ17には電話回線を通じてインターネットに接続する機能がついている。

    以下、操作方法について説明する。 図4は、本実施形態に係る装置1の操作フローチャートである。 また、図5は、本実施形態の測定方法によるDO変化を概念的に示す図である。 本操作はBODが小さい被測定排水の測定に有効である。

    最初に、第一のステップ(以後Step1という)は、培養装置部Aから混合液をサンプリングする工程であり、排水電磁弁14を開き、測定装置内の測定済み混合液を培養装置へ排水する。 フローチャートS1.がこれに該当する。 次にステップS2.の操作をおこなう。 送液ポンプ24を使って、培養装置から測定装置に活性汚泥混合液をサンプリングする。 具体的方法には、送液ポンプ24を作動し、計測装置のオーバーフロー管28からオーバーフローさせ、オーバーフロー液は培養装置部Aに戻すことにより、計測装置に培養装置の活性汚泥混合液を一定量サンプリングする。

    次の工程(以後Step2と称す)は、サンプリングした混合液のBODを処理する工程(フローチャートS3.からS5.の部分)である。 図5のStep2は、この工程を示すものである。 この工程での測定・計算方法は特許文献1に示した方法でおこなう。 すなわち、サンプリングした混合液の初期のDO値をDO として循環ポンプ5を作動し、空気電磁弁8を開き、アスピレータによる曝気を開始すると、やがて混合液のBODが処理される。 酸素消費速度がASactのみになり、DO値が曝気による酸素供給速度とバランスする高い位置で平衡する。 この間の溶存酸素濃度は、図5のDO曲線2のような変化を示す。 DO曲線2の終わりで平衡になった点を暫定DOhfとする。

    次の工程(以後Step3と称す)は、被測定排水を添加して被測定排水のBODや分解速度を計測する工程であり、フローチャートS6.からS7.がこれに該当する。 図5のDO曲線3は、この工程におけるDO変化の測定パターン例を示した図である。 被測定排水のBODが小さい場合、被測定排水の添加量が多く必要となるため、混合液が被測定排水で希釈されMLSSが小さくなり、ASactが小さくなる。 被測定排水の添加量が多い場合、ASactの変化が無視できなくなるため、Step2工程でのDOhfは暫定値となる。 曝気により、被測定排水のBODの分解が終了し、DOは平衡になる。 このDO値を希釈された混合液のDOhf値として取得する。 この段階ではK L aの値が測定されていないのでBODや分解速度は計算できない

    次の工程(以後、Step4と称す)は、曝気の効率を表す物質移動係数K L aを取得する工程であり、フローチャートS9.からS13.がこれに該当する。
    DOhfを取得したあと、空気電磁弁8を閉じて曝気を止め、混合液のASactによる溶存酸素の消費でDOを低下させると、溶存酸素濃度は図5のDO曲線4−1のような変化を示す。 この工程をStep4-1と称す。
    十分DOが低下したDO の時点から、空気電磁弁8を開き曝気を再開し、DOの変化を測定すると、図5のDO曲線4−2のような変化を示す。 ここまでの工程をStep4-2と称す。
    このDO曲線4−2の実測値からK L aの値を計算する。 計算方法は(4)式のDO をDO に変え、DO曲線2で取得したDOhf と仮定したK L aを使って、(4)式から計算した計算値がDO曲線4−2の実測値と一致するまでK L aの値を変えて計算を繰返し、最終的に一致するK L aを曝気装置のK L aと定める。 フローチャートS10.とS12. における設定値1と設定値2は、(4)式を計算する際に十分大きなDOの計算幅をとって誤差を少なくするために設けたものである。

    Step3で被測定排水を添加して得られたDO曲線2と被測定排水を添加した直後のDOを初期値DO 0として、取得したDOhfとK L aを使って(4)式から計算される図の”BOD=0のDO曲線”と実測値であるDO曲線3で囲まれる面積にK L aをかけた値は、記述したように被測定排水のBODinになる。 また〔0029〕で説明した手法により被測定排水のBODinのX%を分解するまでの分解速度Sが計算できる。 フローチャートS20.21に示すように、BODinとSと培養装置の曝気槽容積Vを使ってV×S×100/(X×BODin)を計算し、この値に基づき培養装置への被測定廃液の添加量を決定する制御信号を出力する。

    次の工程(以後、Step5と称す)は、基準液を添加して基準液の分解速度から活性を計測する工程であり、フローチャートS16.からS18.の部分がこれに該当する。 図1のDO曲線5は、この工程におけるDO変化の測定パターン例である。 Step4-2においてK L aを計算後、完全に平衡に達した後に、コンピュータ17からの指令により基準液の添加ポンプ12を作動させ、曝気容器3に基準液を添加する。
    混合液中の活性汚泥が基準液を分解していく際のDOの変化を測定する。 測定データに基づいて基準液の分解速度を計測する。 フローチャートS22、23に示すように、基準液の分解速度が設定値より低くなれば、被測定排水の悪影響を排除するため、培養装置への被測定排水の添加量を減少させる制御信号を出力する。 またフローチャートS24、25に示すように、基準液の分解速度を検量線と比較して、被測定排水のBOD測定値を補正して、出力する。

    Step5の測定終了後は、S26. に示すように測定データを送信して、フローチャートS1.に戻る。 すなわち、測定済みの混合液を排水して新たに曝気槽から混合液をサンプリングし、上記の測定を繰り返す。 上記操作に要する時間はStep1が約1分、Step2が約30分、Step3が約25分、Step4が約35分、Step5が約30分、合計約2時間程度である。

    次に、分解反応が終了したかどうかの判定法について述べる。 図4のフローチャートにおいても、S4, S7,S17で分解反応が終了したかどうかの判定が必要である。 この判定には、活性汚泥の微生物反応の特徴を利用する。 通常、廃液を添加すると、図2に示すように、DO測定曲線は廃液中の主要成分の分解進行によって、階段状の変化を経る。 そして、反応終了近くになるとスロープ上に上昇し、最終的にDOhf付近で殆ど一定になる変化をする。 したがって、DO値がDOhf付近でほとんど一定になれば、反応終了と判断できる。 これをコンピュータ17上で実現する方法は、例えば以下の通りである。 測定時の数分前からの数点のDO測定値から回帰直線の傾きβを計算する。 βはDOの上昇変化速度となるので、βとDOの上昇変化速度の最小許容値である設定値5(予めコンピュータ17に格納)と比較し、
    β<設定値5 and DO≒DOhf (5)式の条件を以って反応終了と判定する。

    ここに、DO≒DOhfとしたのは、反応終了時の活性汚泥の状態がDOhfを取得した時点とは必ずしも同じでないことを考慮したためである。 例えば、Step2-1においてDOhfを取得した時点では混合液のBODが0mg/lであるとしたが、厳密には測定精度以下の遅い分解速度を持ったBOD成分もある。 また、廃液の添加により汚泥の性質が変わる可能性もある。 K L a=0.3[1/min]、DOhf=6.0[mg/l]のとき、分解反応は概ねDOhf-0.5以上になるとDOの上昇はほとんどの場合スロープ状になる。 この点を図2のDO に示す値とすれば、実用上、β<設定値5 and DO>DO のような設定で判定可能である。

    本発明は、高濃度の好気性微生物を使って、微生物の呼吸による溶存酸素濃度の変化を計測してBODを測定する際の微生物の培養法に関するもので、微生物の呼吸による溶存酸素濃度の変化を計測して測定するものであれば、計測法を限定するものではなく、計測法が微生物電極を使う場合にも適用できる。

    特許文献1に開示されている計算原理を説明する図

    BODの分解率X%までの平均分解速度を求める計算方法を説明する図および分解反応が終了したかどうかの判定法を説明する図

    本発明の計測方法を具体化する装置例

    本実施形態に係る装置1の操作フローチャート。

    本実施形態の測定方法によるDO変化を概念的に示す図。

    BODtsと、BOD5の測定結果を散布図として示す図。

    汚泥の活性とBODts/BOD5の関係を示す図。

    肥満度の大きな活性汚泥を使用した場合、測定値が本来の値より小さく計測されることを説明する図

    Y容積負荷と、活性と処理水中のY濃度とBODts/BOD5の関係を示す図。

    肥満度によりBODtsが変化する具体例を示す図。

    符号の説明

    3 曝気容器4 測定容器5、12、13,21、22,24 ポンプ6,20 曝気装置7 空気流量計8、14 電磁弁
    9 溶存酸素計電極10,23 ヒータ11 冷却用熱交換パイプ15 溶存酸素計16 制御盤17 コンピュータ18 培養装置曝気槽19 培養装置沈殿槽25 基準液タンク26 被測定排水タンク27 培養液タンク DOhf・・・混合液中のBOD分解後の酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度 DOf・・・混合液中のBOD分解中における酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度 DOL・・・混合液中のBOD分解の終了判定に使用する溶存酸素濃度下限値 DO0、DO1、DO2、DOs・・・溶存酸素濃度の初期値 BOD5・・・JIS法によるBOD測定値 BODts・・・迅速測定法によるBOD測定値

    また、請求項6の発明は、請求項1乃至5において活性汚泥混合液のBODや被測定排水などのBODや分解速度を測定する計測方法が、該培養装置の曝気槽から活性汚泥混合液を該計測装置へサンプリングし、該計測装置の曝気装置を用いて、該混合液を曝気して、混合液中の溶存酸素濃度の変化曲線(以下、DO曲線という)及び混合液中のBOD分解後の酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度(以下、DOhfという)を測定し、次に曝気を停止して溶存酸素濃度を低下させた後に、曝気を再開したときの溶存酸素濃度変化曲線(以下、DO曲線4−2という)を測定し、
    DO曲線4−2およびDOhfに基づいて酸素供給手段における物質移動係数K L aを演算し、求めたDOhfとK L aを用いて、該混合液を曝気して測定される溶存酸素濃度の変化や、該混合液に基準液や被測定排水を添加したのち、曝気して測定される溶存酸素濃度変化から該混合液や基準液や被測定排水のBODや分解速度を求める方法である。

    また上記の方法に用いる装置は、活性汚泥を培養する培養装置と、培養装置の活性汚泥を用いて被測定排水のBODを測定する計測装置から構成されるBODの迅速測定装置であって、該培養装置の曝気槽から活性汚泥混合液を該計測装置へサンプリングする手段と、
    サンプリングした活性汚泥混合液を曝気して、混合液中の溶存酸素濃度の変化曲線(以下、DO曲線という)及び混合液中のBOD分解後の、酸素供給速度と混合液の酸素消費速度とのバランス点における溶存酸素濃度(以下、DOhfという)を測定する手段と、 曝気を停止して溶存酸素濃度を低下させた後に、曝気を再開したときの溶存酸素濃度変化曲線(以下、DO曲線4−2という)を測定する手段と、DO曲線4−2およびDOhfに基づいて酸素供給手段における物質移動係数K L aを演算し、求めたDOhfとK L aを用いて、該混合液を曝気して測定される溶存酸素濃度の変化や、該混合液に基準液や被測定排水を添加したのち、曝気して測定される溶存酸素濃度変化から該混合液や基準液や被測定排水のBODや分解速度を取得す� ��手段と、その分解速度の値で、培養装置へ添加する被測定排水の量を制御する手段と、計測装置での溶存酸素濃度変化などの測定データを測定装置のコンピュータから通信回線を用いて、遠隔地のコンピュータに送信する手段と、遠隔地のコンピュータから少なくとも培養装置への添加液の添加量を制御するデータを受信する手段と、その受信データに基づいて添加液の添加量を制御する手段と、を備える(請求項8)。

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