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ガス充填密封包装食品のピンホール検査方法及びピンホール検査装置

阅读:370发布:2024-01-31

专利汇可以提供ガス充填密封包装食品のピンホール検査方法及びピンホール検査装置专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】 包装 体内に食品を収容し、置換ガスを充填して密封した構成のガス充填密封包装食品について、迅速且つ確実で安全に包装体のピンホール検査を行うことができ、商品の個別検査や食品製造工程にインライン方式で容易に組み込むことができる方法を提供する。 【解決手段】ピンホール検査方法として、食品X2を封入する包装体X1の内部から空気を除去して置換ガスGを充填し密封した構成のガス充填密封包装食品に対して、置換ガスGに不活性ガスと所定割合の 水 素ガスの混合ガスを適用し、ガス充填密封包装食品Xを検査容器1内に収容して外部との気体の流出入を遮断した状態で包装体X1の内部の気圧を検査容器1内の気圧よりも高い環境とする気圧調整工程S1と、検査容器X1内の気体を採取して水素ガスを検知する水素ガス検知工程S2とを含む。 【選択図】図1,下面是ガス充填密封包装食品のピンホール検査方法及びピンホール検査装置专利的具体信息内容。

内容物である食品を封入する包装体の内部から空気を除去して置換ガスを充填し、当該包装体を密封した構成のガス充填密封包装食品に対するピンホール検査方法であって、 前記置換ガスとして、不活性ガスと所定割合の素ガスの混合ガスを適用し、 1つ又は複数のガス充填密封包装食品を検査容器内に収容して外部との気体の流出入を遮断し、当該検査容器内において前記包装体の内部の気圧を、当該包装体の外部である検査容器内の気圧よりも高い環境とする気圧調整工程と、 前記検査容器内の気体を採取して水素ガスを検知する水素ガス検知工程と、 を含むことを特徴とするピンホール検査方法。前記混合ガスは、体積比5%以下の前記水素ガスと、残部の前記不活性ガスである窒素ガスを含有するものである請求項1に記載のピンホール検査方法。前記水素ガス測定工程において、前記検査容器内の気体の採取は、前記包装体を密封する際に封止されるシール部の近傍において行う請求項1又は2の何れかに記載のピンホール検査方法。前記気圧調整工程において、前記ガス充填密封包装食品を前記シール部が上側に位置付けられるように前記検査容器内に収容しておき、 前記水素ガス測定工程において、前記検査容器内の気体の採取を、少なくとも前記シール部の直上近傍で行う請求項3に記載のピンホール検査方法。内容物である食品を封入する包装体の内部から空気を除去し置換ガスとして不活性ガスと所定割合の水素ガスの混合ガスを充填し、当該包装体を密封した構成のガス充填密封包装食品に生じ得るピンホールの有無を検査する装置において、 前記ガス充填密封包装食品を1つずつ又は複数収容し、外部との気体の流出入を遮断し得る検査容器を備え、 前記検査容器内において、前記包装体の内部の気圧を、当該包装体の外部である検査容器内の気圧よりも高い環境とする気圧調整手段と、 前記検査容器内の気体を採取し、当該気体における水素ガスを検知する水素ガス検知手段と、 を具備することを特徴とするピンホール検査装置。前記検査容器は、前記ガス充填密封包装食品を収容時に密閉されるように構成され、 前記気圧調整手段は、前記検査容器と、密閉された当該検査容器の内部を減圧する吸引ポンプとから構成されるものである請求項5に記載のピンホール検査装置。前記検査容器の内壁を、前記吸引ポンプによる前記検査容器内の減圧時において膨張する前記包装体が内側から当接し得る位置に設定している請求項6に記載のピンホール検査装置。前記水素ガス測定手段は、前記検査容器内に収容された前記ガス充填密封包装食品の近傍に配置されるガス採取部と、当該ガス採取部と接続した配管と、当該配管に接続される吸引ポンプと、前記配管に接続される水素ガス検知器とから構成され、 前記ガス採取部は、前記包装体において密封時に封止されるシール部の近傍で前記検査容器内の気体を採取するように構成したものである請求項5乃至7の何れかに記載のピンホール検査装置。前記検査容器は、前記ガス充填密封包装食品を前記シール部が上側に位置付けられるように収容するものであり、 前記ガス採取部を、前記シール部の直上近傍に配置している請求項8に記載のピンホール検査装置。前記検査容器は、前記ガス充填密封包装食品を載置可能な引き出し式のトレイを備え、当該トレイを検査容器内に押し込んだ状態で、当該検査容器の内部を外部との気体の流出入が遮断されるように構成している請求項5乃至9の何れかに記載のピンホール検査装置。前記検査容器は、前記ガス充填密封包装食品の入出口となる入口扉部及び出口扉部と、前記ガス充填密封包装食品を入口側から出口側へと搬送する搬送機構とを備え、前記入口扉部及び出口扉部を閉止した状態で当該検査容器の内部を外部との気体の流出入が遮断されるように構成し、前記搬送機構を、当該検査容器の上流側及び下流側に配置される当該ガス充填密封包装食品の製造ラインにおける搬送機構に連続させている請求項5乃至9の何れかに記載のピンホール検査装置。前記検査容器を、最も外側に配置される検査容器本体と、当該検査容器本体の内部に入れ子状に収容可能な各々大きさが異なる1つ以上の内側容器とから構成し、 前記各内側容器の内部空間は、直接又は間接的に前記検査容器本体の内部空間と連通させており、 前記水素ガス検知手段は、前記検査容器本体内において、全ての前記内側容器の外部において前記気体を採取するものとし、 前記ガス充填密封包装食品を、前記検査容器本体又は前記内側容器の1つのうち何れかに選択的に収容するように構成している請求項5乃至11の何れかに記載のピンホール検査装置。

说明书全文

本発明は、従前にないトレーサーガスを含む充填ガスとともに密封包装された食品に対するピンホールの検査方法と検査装置に関するものである。

空気中の酸素による食品またはその食品成分の酸化や腐敗等の変質を防止しして品質を維持することや、長期保存等を目的として、食品を収容する包装材に窒素等の不活性ガスを充填し密封するという方法(「ガス充填包装」または「ガス置換包装」と称される)が古くから利用されている。ガス充填がなされた密封包装食品では、包装にピンホール(小孔)が生じて密封性が損なわれた場合、品質維持や長期保存という目的には適わず不良品とする必要があることから、食品の製造工程の最終段階において、ピンホールの有無を検査することが通常行われている。ピンホールは、食品を収容した包装を密封するためのシール部における熱溶着の不良や、シール部への食品の噛み込み等により生じることが大半である。食品包装の不良の発生は、上述したような商品の劣化による消費者の安全性を脅かす原因となるばかりでなく、最近では特に食品製造・販売事業者の信用や存続にも影響する重要な問題であるといえる。

ピンホール検査の方法や装置は種々提案されているが、窒素ガスにトレーサーガスとして二酸化炭素ガスやヘリウムガスを混合したものを充填ガスとして利用して、真空環境下で包装材のピンホールから漏出したガスからトレーサーガスを検知するという手法が一般的である(二酸化炭素ガスについて特許文献1参照、ヘリウムガスについて特許文献2、3参照)。

特開平7−019986号公報

特開平7−120347号公報

特開2013−014365号公報

ところで、二酸化炭素ガスをトレーサーガスとして使用する場合、まず、ガス充填がなされた密封包装食品のピンホールの有無を検査する検査容器(真空チャンバー)内を大気圧以下となるまで減圧しておき、その状態でのチャンバー内の二酸化炭素濃度を指標値とし、さらにチャンバー内の気体をサンプリングして二酸化炭素濃度を計測して指標値と比較し、その指標値よりも一定以上高濃度の二酸化炭素が検出された場合にピンホールありとの判定がなされる。そして、1回のピンホール検査が終了した後は、チャンバー内の気体を十分に排気・置換してから、次の被検体をチャンバー内に入れることになる。このような手順が必要なのは、二酸化炭素は大気中にも存在するため、大気中の二酸化炭素とトレーサーガスとして用いられた二酸化炭素とを明確に区別する必要があるからである。そのため、従来の二酸化炭素をトレーサーガスとして利用したピンホール検査には、1回当たりの検査時間に長時間を要していた。また、二酸化炭素の比重は空気よりも大きく、チャンバーの底部に二酸化炭素が滞留するため、二酸化炭素ガスの検査精度やチャンバー内のガス置換に要する時間にも影響が生じていた。これらの理由から、食品製造分野では、例えばケース単位(多数のガス充填密封包装食品を段ボール詰めにした状態)でバッチ処理を行うことが通例となっている。

このような現状は、中小規模の食品製造事業者にとっては製造・販売量とコストの問題から特に顕著である。なかにはガス充填密封包装食品を個別検査(食品製造工程におけるインライン処理)できることを謳うピンホール検査装置も存在するが、上述した理由から1回当たりの検査時間に長時間を要するために、実際にガス充填密封包装食品を個別にピンホール検査することは現実的には難しいことに変わりはない。特にバッチ処理の問題点としては、段ボール等のケースに多数のガス充填密封包装食品の商品が詰め込まれているため、ケース内の底の方に位置するガス充填密封包装食品にピンホールが生じている場合でも、そのピンホールが上に載った別のガス充填密封包装食品の包装によって塞がれてしまい、充填されたトレーサーガスが漏出してこない結果、ピンホールが見逃されて出荷されてしまうという事態が想定される。また、ピンホールが生じていた場合でも、ケース内の底部に二酸化炭素が滞留すると、検出精度が低下してしまうという問題も生じ得る。さらに、1回の検査でピンホールが検出された場合、その検査に供された商品全体が廃棄されることになるため、商品の歩留まりが低下し、経済的損失が少なくないという問題もある。

そして、そもそも二酸化炭素ガスをトレーサーガスとして適用する場合、検出可能なピンホールの大きさは、一般的には200μm程度、せいぜい100μmまでであり、それよりも小さいピンホール検出は事実上行われていない。すなわち、更に小さいピンホールが生じていて、食品が細菌などによる汚染に晒される可能性があっても検出できないのが現状である。さらに、二酸化炭素はその性質上、に吸着されやすく、特に水分を多く含む食品にはトレーサーガスである二酸化炭素が溶け込んでしまうため、二酸化炭素ガスをトレーサーガスとしてピンホール検査には適用できないことから、二酸化炭素ガスが適用できる食品は限定的であり、汎用性にも問題がある。

また、ヘリウムガスは原子が小さく、空気よりも軽く、大気中には単独ではほとんど存在しないため、トレーサーガスとしての性能は優れているといえるが、ヘリウムガス自体が高価であり容易に入手できるものではないため、大量生産されるガス充填密封包装食品にヘリウムガスをトレーサーガスとして用いることは実用的とはいえない。したがって、ランニングコスト等の問題から、比較的高価で利益率の高い薬品等において、密封された薬品のピンホール検査にヘリウムガスが利用されている程度である。

以上のような問題に鑑みて、本発明は、従来は食品製造分野で使用されていなかった気体をトレーサーガスとして用いることで、上述したような二酸化炭素ガスやヘリウムガスをトレーサーガスとして適用してきたことによる問題点を悉く解消し、ガス充填密封包装食品のピンホール検査を極めて迅速に、より小さいピンホールにも対応して行うことができ、水分を多く含む食品にも適用でき、バッチ処理だけでなく商品であるガス充填密封包装食品を個別にピンホール検査に供することができ、さらにはインラインでの連続検査をも可能とする検査方法と検査装置を提供することを主たる目的としている。

すなわち、本発明に係るガス充填密封包装食品のピンホール検査方法は、内容物である食品を封入する包装体の内部から空気を除去して置換ガスを充填し、包装体を密封した構成のガス充填密封包装食品に対するピンホール検査方法であって、置換ガスとして、不活性ガスと所定割合の水素ガスの混合ガスを適用し、1つ又は複数のガス充填密封包装食品を検査容器内に収容して外部との気体の流出入を遮断し、検査容器内において包装体の内部の気圧を、包装体の外部である検査容器内の気圧よりも高い環境とする気圧調整工程と、検査容器内の気体を採取して水素ガスを検知する水素ガス検知工程と、を含むことを特徴とする方法である。

本発明におけるピンホール検査方法では、今まで食品分野におけるピンホール検査のトレーサーガスとしては用いられなかった水素ガスを初めて適用したことが最大の特徴であるといえる。水素ガスを密封不良(ガス漏れ)検査に使用することは、電池等の工業分野においては既に使用されているが、食品製造業界の習慣から二酸化炭素ガス等の従来のトレーサーガス以外のガスを使用するという発想そのものがなされていなかったこと、水素の爆発に対する過度のおそれ、水素を食品と共に封入することによる食品の安全性がこれまで確認されたことがなかったことなどの理由から、食品製造分野においては水素ガスをピンホール検査に利用されたことがなかった。

しかしながら本発明者は、長年の研究と検証の結果、水素ガスを不活性ガスと共に混合して置換ガスとして使用した場合でも食品の安全性に問題がないこと、混合ガス中の一定の混合比(体積比)以内であれば水素が爆発する心配はないこと、軽く水に不溶であるという特性を有する水素ガスをガス充填密封包装食品のピンホール検査のトレーサーガスとして利用可能であること、その他、従来よりトレーサーガスとして二酸化炭素ガスが用いられてきたことの問題点を水素ガスであれば悉く解決できることを見出し、本発明に至ったものである。

ここで、本発明においてガス充填密封包装食品には、包装体の内部に内容物である食品と置換ガスとが直接封入されている態様、個包装された状態の食品が置換ガスと共に包装体(外袋)に複数個封入されている態様、置換ガスが充填されて個包装された食品が包装体(外袋)に複数個封入されている態様、置換ガスが充填されて個包装された食品が包装体(外袋)に置換ガスが充填されない状態で複数個封入されている態様、置換ガスが充填されて個包装された食品が包装体(外袋)に更に置換ガスと共に複数個封入されている態様の、いずれの商品形態の食品も含まれるものである。また、包装体は、水素ガスを透過させない材質のものが好ましいといえるが、合成樹脂、アルミニウム等の金属、紙や合成樹脂やアルミニウム等の積層体など、従来のガス充填密封包装食品に適用されてきた包装体の材質であれば本発明に適用可能である。また、包装体に収容される食品は、乾燥食品、半生食品、生食品、大部分が水分で占められる飲料まで幅広く適用することができる。

気圧調整工程は、包装体内から水素ガスを含む置換ガスをピンホールから漏出させることができる方法で行えばよく、例えば検査容器内で包装体を外側から押圧し内部の気圧を高めて置換ガスをピンホールから押し出す方法や、検査容器を減圧して包装体内の気圧を高めることでピンホールから置換ガスが漏出してくるようにする方法など、種々の方法を適用することができる。ここで、本発明において「ガス充填密封包装食品を検査容器内に収容して外部との気体の流出入を遮断」することは、気圧調整工程において検査容器内を減圧する場合に内部の気体を排気することや、水素ガス検知工程において採取する検査容器内の気体を検査容器外に引き込むことなど、検査容器内から気体を強制的に流出させることは含まれず、検査容器内外での気体の自然な流出入を遮断するという趣旨である。

また、水素は単独では大気中にほとんど存在しないため、検査容器内を大気圧環境下として水素ガス検知工程を行っても、包装体にピンホールがあればそこから漏出した置換ガス中の水素ガスを容易且つ迅速に検知することができる。もちろん、検査容器内を減圧状態として水素ガス検知工程を行うことも可能である。そして、水素ガス検知工程においては、ごく少量の水素ガスを検知しただけでピンホールの発生を判断できるが、一定の閾値を超える水素ガス濃度を検知した場合にピンホールが発生していると判断するようにしてもよい。

このような本発明では、ガス充填密封包装食品を多数ケースに収容して行うバッチ検査だけでなく、ガス充填密封包装食品を個別にピンホール検査に供したとしても、食品製造工程に要する時間にロスを生じることがなくなる。個別検査を行う場合は、ピンホール検査の工程を食品製造工程に組み込んでもよいし、ピンホール検査のみを単独で行ってもよい。このことは、1回のピンホール検査ごとにチャンバー内の換気を行い、二酸化炭素濃度の基準値をその都度設定しなければならず、検査に長時間を要した二酸化炭素ガスをトレーサーガスとして用いる従来技術に対して、本発明により得られる極めて大きな利点である。さらに、水素ガスは最も軽い気体であるため、二酸化炭素のように滞留することがなく、包装体にピンホールがあればほぼ確実に漏出し、それを検出することができる。また、水素分子が極めて小さいことから、従来では検出できなかったか検出保証外であった10μmオーダーのピンホールの検出することができ、食品の安全性の保証と食品製造事業者の信用を向上させることができる。また、水素ガスはヘリウムガスよりも安価であり入手も容易であることから、トレーサーガスとして実用に供しやすく、中小規模の食品製造事業者にも導入しやすい技術であるといえる。

特に、本発明に適用される置換ガスには、体積比5%以下の水素ガスと、残部の不活性ガスである窒素ガスを含有する混合ガスが好ましい。窒素と水素の混合ガスは、ISO10156:1996の基準に従うと、大気放出で水素の含有割合が5.7体積%以下であれば非可燃性であるとされており、本発明における混合ガスでも水素の含有割合をこの値以下とすることが望ましいが、そもそも酸素と共存した環境下でないと水素は爆発することがなく、ピンホールから漏出する水素が微量であることと、商品の流通中に水素が漏出してもすぐに大気中に拡散することを鑑みれば、窒素との混合ガスにおいては5.7%を超えて使用することができる可能性がある。しかしながら、現実的には、入手しやすくコスト的にも安価な体積比5%以下の水素ガスと残部の窒素ガスとからなる混合ガスを置換ガスとして利用することが好適である。このような混合ガスは、市販品が入手可能であればそれを利用してもよいし、適切な割合の水素ガスと窒素ガスの混合ガスを独自に調製してもよい。

ガス充填密封包装食品の包装体におけるピンホールは、そのほとんど(100%近く)が、密封時に封止されるシール部の欠陥、すなわち、熱圧着等の不良やシール部への内容物である食品の噛み込みが原因であるといえる。そこで本発明においては、水素ガス測定工程において、検査容器内の気体の採取を、包装体のシール部の近傍において行うことが、迅速且つ確実な水素ガスの漏れ検知に有効である。

この場合、気圧調整工程において、ガス充填密封包装食品をシール部が上側に位置付けられるように検査容器内に収容しておき、水素ガス測定工程において、検査容器内の気体の採取を、少なくともシール部の直上近傍で行うようにすれば、水素ガスの極めて軽いという特性を存分に利用することができる。特に、ガス充填密封包装食品に封入される食品が、水や油やゾルのような液体状又はゼリーのようなゲル状であるか、液体状やゲル状のものを含む場合には、ガス充填密封包装食品の内部で底の方に食品が集まり、置換ガスが上の方に集まるため、シール部に生じるピンホールを迅速に採取して検出できるほか、水素が水や油に殆ど不溶であるという特性も有効に利用することができる。

上述したガス充填密封包装食品のピンホール検査方法を実現するための本発明に係るピンホール検査装置は、内容物である食品を封入する包装体の内部から空気を除去し置換ガスとして不活性ガスと所定割合の水素ガスの混合ガスを充填し、包装体を密封した構成のガス充填密封包装食品に生じ得るピンホールの有無を検査する装置において、ガス充填密封包装食品を1つずつ又は複数収容し、外部との気体の流出入を遮断し得る検査容器と、検査容器内において、包装体の内部の気圧を、当該包装体の外部である検査容器内の気圧よりも高い環境とする気圧調整手段と、検査容器内の気体を採取し、この採取した気体における水素ガスを検知する水素ガス検知手段とを備えることを特徴とするものである。

前述のピンホール検査方法においても説明したように、水素ガスの検知は大気中でも可能であるため、検査容器は検査時に完全に密封される構成とする必要はない。しかしながら、水素ガスの検出精度を高めることを目的として、検査容器はその内外で気体の流出入を遮断できる構成を有していることが望ましい。水素ガス検知手段は、検査容器内に設けてもよいし、検査容器の外側に採取した気体を部分的に引き込む構成とすることもできる。また、気圧調整手段としては、前述の通り、検査容器内でガス充填密封包装食品の包装体を外側から押圧する構成や、検査容器内を減圧して包装体の内部気圧を相対的に高める構成などを採用することができる。

このような本発明のピンホール検査装置は、上述したピンホール検査方法について言及したメリットを発揮することができ、中小規模の食品製造事業者も導入が容易となる。

より迅速な水素ガス検知とピンホール検査を行うためには、検査容器を、ガス充填密封包装食品を収容した状態で密閉されるように構成し、気圧調整手段を、検査容器と、密閉された検査容器の内部を減圧する吸引ポンプとから構成することが望ましい。

このような気圧調整手段を適用する場合、検査容器内を減圧することでガス充填密封包装食品の包装体を膨張させ、ピンホールが生じていれば膨張した包装体の内圧で置換ガスを押し出して漏れ出た置換ガスに含まれる水素ガスを効率的に検知することができる。この場合、検査容器の内壁を、吸引ポンプによる検査容器内の減圧時において膨張する包装体が内側から当接し得る位置に設定すれば、ピンホールから置換ガスが漏れ出す程度まで包装体が膨張(例えば限界まで膨張)するよりも前の時点で膨張しつつある包装体が検査容器の内壁に当たり、包装体内の気圧を一層高めることができるため、より迅速且つ積極的にピンホールから置換ガスを押し出して、水素ガスの検出によるピンホール検査に要する時間を短縮することができる。

前述のように、ピンホールの発生箇所は包装体のシール部にほぼ極限されていることから、水素ガス測定部を、検査容器内に収容されたガス充填密封包装食品の近傍に配置されるガス採取部と、このガス採取部に接続した配管と、この配管に接続される吸引ポンプと、配管に接続される水素ガス検知器とから構成し、ガス採取部を、包装体のシール部の近傍で検査容器内の気体を採取するように構成することによって、水素ガス検知とピンホール検査の迅速性と確実性を向上することができる。

このような構成を採用する場合、検査容器を、ガス充填密封包装食品をシール部が上側に位置付けられるように収容するものとして、ガス採取部を、シール部の直上近傍に配置すれば、前述した通り、水素ガスの極めて軽いという特性を存分に利用することができる。また特に、ガス充填密封包装食品に封入される食品が、液体状又はゲル状であるかそれを含む場合には、ガス充填密封包装食品の内部で底の方に食品が集まり、置換ガスが上の方に集まるため、シール部に生じるピンホールを迅速に採取して検出できるほか、水素が水や油に殆ど不溶であるという特性も有効に利用することができる。

また、本発明のピンホール検査装置は、ガス充填密封包装食品のピンホール検査において、バッチ処理と個別処理の如何を問わず適用することができるものである。特に個別処理に適用する場合、ピンホール検査装置の構成としては、検査容器に、ガス充填密封包装食品を載置可能な引き出し式のトレイを設け、このトレイを検査容器内に押し込んだ状態で、検査容器の内部を外部との気体の流出入が遮断されるように構成することができる。この場合、検査容器のトレイへのガス充填密封包装食品の載置と撤去、トレイの引き出し動作は、手動とすることもできるし、自動とすることも可能である。

一方、ピンホール検査装置を、食品製造装置全体のラインに組み込んで、ピンホール検査をインライン処理とすることも可能である。その場合のピンホール検査装置の構成としては、検査容器に、ガス充填密封包装食品の入出口となる入口扉部及び出口扉部と、ガス充填密封包装食品を入口側から出口側へと搬送する搬送機構とを設け、入口扉部及び出口扉部を閉止した状態で検査容器の内部を外部との気体の流出入が遮断されるように構成し、搬送機構を、検査容器の上流側及び下流側に配置される当該ガス充填密封包装食品の製造ラインにおける搬送機構に連続させた構成とすることが有益である。既存の食品製造ラインに本発明のピンホール検査装置を組み込むことで、ガス充填密封包装食品の製造タクトタイムを向上しつつ、迅速・確実且つ安全に食品製造を行うことが可能となる。

以上の他にも、検査容器を、最も外側に配置される検査容器本体と、検査容器本体の内部に入れ子状に収容可能な各々大きさが異なる1つ以上の内側容器とから構成することができる。この場合、各内側容器の内部空間は、直接又は間接的に検査容器本体の内部空間と連通させ、水素ガス検知手段を、検査容器本体内において、全ての内側容器の外部において検査容器内の気体を採取するものとして、ガス充填密封包装食品を、検査容器本体又は内側容器の1つのうち何れかに選択的に収容するように構成することができる。このような構成を採用した場合、検査容器本体に収容可能な大きさであれば、サイズの異なるガス充填密封包装食品に1台のピンホール検査装置で対応することができる。ガス充填密封包装食品を内側容器に収容する場合、その内側容器よりも大きい別の内側容器に入れた状態で検査容器本体に収容することができ、各内側容器の内部空間は検査容器本体に連通していることから、ガス充填密封包装食品の包装体にピンホールが生じていれば、検査容器本体と最も外側の内側容器との間で置換ガスを含む気体を採取することができる。内側容器の選択に際しては、検査対象となるガス充填密封包装食品よりも少し大きめの内側容器を採用すればよい。このとき、内壁に包装体が膨張過程で内壁に当たるようになる内側容器を選択しておけば、上述のようにピンホールの検出時間の短縮化を図ることができる。

なお、検査容器としては、上述したような引き出し式トレイを内側容器として機能させるものや、インライン方式に適した検査容器の内部に搬送機構を貫通させたような内側容器を備えたものとすることができるほか、密閉可能な扉部を開閉することで検査容器本体内に内側容器を手動又は自動で出し入れすることができるようにした検査容器を採用することもできる。

本発明に係るガス充填密封包装食品のピンホール検査方法及びピンホール検査装置によれば、トレーサーガスとして水素ガスを適用したことで、従来の二酸化炭素ガスをトレーサーガスとしたピンホール検査よりも迅速且つ確実に、ヘリウムガスをトレーサーガスとしたピンホール検査よりも安価に、ピンホール検査を実施することができ、従来の検査限界よりも小さいピンホールの検出も可能となるため、中小の食品製造事業者が導入し易い高度な検査方法、検査装置とすることができる。しかも、水素ガスをトレーサーガスとして適用しても爆発の心配や、内容物である食品の保存に悪影響を及ぼすというおそれもなく、消費者のみならず製造・販売事業者にとっても安心な技術であるといえる。さらに、本発明のピンホール検査方法と装置は、バッチ処理のみならずガス充填密封包装食品の個別検査にも適しており、個別検査の場合は、食品製造ラインと別工程でもインラインでも実施することができるため、本発明の導入はコスト的にも検出精度的にも従来と比して優位でありながら、簡易に導入できるという大きなメリットが得られるものである。

本発明の一実施形態に係るピンホール検査方法を示す概略工程図。

同実施形態のピンホール検査方法を実施するピンホール検査装置の第1例(トレイの開状態)を示す概略透視図。

同第1例(トレイの閉状態)を示す概略透視図。

同実施形態のピンホール検査方法を実施するピンホール検査装置の第2例(入口扉部及び出口扉部の開状態)を示す概略透視図。

同第2例(入口扉部及び出口扉部の閉状態)を示す概略透視図。

同実施形態のピンホール検査方法を実施するピンホール検査装置の第3例(蓋部の開状態)を示す概略斜視図。

同第3例(蓋部の閉状態)を示す概略斜視図。

同第3例(蓋部の閉状態)を示す概略側面透視図。

本発明の実施例における検査結果の一部を比較例と共に示す一覧図。

本発明の実施例における検査結果の一部を比較例と共に示す一覧図。

本発明の実施例における検査結果の一部を比較例と共に示す一覧図。

以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。 本発明の一実施形態に係るピンホール検査方法は、ガス充填密封包装食品に発生し得るピンホール(小孔)の有無を検査し、ピンホールが生じた不良品の発見・特定・排除を目的として行われる方法である。本実施形態においてピンホール検査方法は、まず、ガス充填密封包装食品の製造工程において、包装体に食品を収容した後、包装体内に置換ガスを充填して内部の空気と入れ換え、包装体を密封しておくことに始まる。置換ガスとしては、不活性ガスとして従来から用いられている窒素ガスと、トレーサーガスとして水素ガスを混合した混合ガスを用いる。この混合ガスでは、体積割合にして窒素ガスを95%、水素ガスを5%としたものを適用するが、水素ガスは0%を超えて5%以内、残部を窒素ガスとしたものを使用することもできる。

本実施形態のピンホール検査方法は、図1に示すように、前述の通り食品X2が収容され置換ガスG(窒素ガスN2を○、水素ガスH2を●でそれぞれ示す)が充填されて包装体X1のシール部X1aが密封されたガス充填密封包装食品Xを検査容器1に収容して、検査容器1内の気圧よりも包装体X1内の気圧が高くなるように気圧環境を調整する気圧調整工程S1と、このように気圧調整された状態で検査容器1内の気体を採取して水素ガスを検知する水素ガス検知工程S2の2ステップから構成される。包装体X1にピンホールが生じている場合、気圧調整工程S1を行うことでピンホールから置換ガスが漏出するため、水素ガス検知工程S2において検査容器1内の気体を採取し水素ガスを検知すれば、包装体X1にピンホールが発生していること、そのガス充填密封包装食品Xが不良品であることを判定することができる。一方、採取した気体から水素が検知されなければ、空気中には水素が単独では存在しないことから、ピンホールが生じていないこと、そのガス充填密封包装食品Xが良品であることを判定することができる。本実施形態では、気圧調整には、検査容器1内の気体を吸引する真空ポンプ2を適用し、水素ガスの検知には、吸引した気体中の水素ガスを測定・検知する水素ガス検出器3を適用することとしている。

以下、このような本実施形態のピンホール検査方法が適用されるピンホール検査装置の3つの具体例について説明する。なお、上述したガス充填密封包装食品X及びその構成要素、並びに真空ポンプ2及び水素ガス検知器3については、以下の第1例、第2例及び第3例において共通の符号を利用している。

<ピンホール検査装置の第1例> 第1例としてのピンホール検査装置Aは、図2及び図3に示すように、検査容器A1にガス充填密封包装食品Xを個別に出し入れすることで、包装体X1のピンホールの有無を検査する装置である。この検査容器A1は、真空密封溶接がなされた概略矩形の筐体からなる検査容器本体A11の前面の一部を開放し、その開放部を通じて検査容器本体A11に対して出し入れ可能な引き出し式のトレイA13を備えている。トレイA13は、検査容器本体A11との間に設けられたスライド機構(図示省略)によって、スムーズに進退動作することで検査容器本体A11の内部空間を開閉できるように構成されている。なお、トレイA13の開閉(出し入れ)は、手動で行うようにしてもよいし、自動で行われるようにしてもよい。特に図3に示すトレイA13の閉状態においては、検査容器本体A11とトレイA13との間に設けられた密封シール構造(パッキンやOリング等)により、検査容器A1の内部空間が密閉されて、外部との間で自然な気体の流通がなされないようにしている。

検査容器本体A11の内部には、ガス採取部としてパイプ状のガス採取管A12を設けており、ピンホール検査時には、このガス採取管A12を通じて検査容器A1内の気体を採取するようにしている。ガス採取管A12は、気体の採取効率を向上するために例えば胴部に長手方向に亘って多数の小孔(図示省略)を形成したものであり、検査容器本体A11内で一端が配管A12pに接続されており、この配管A12pの他端部は、検査容器本体A11の外壁に形成されたコネクタA14に接続されている。そして、真空ポンプ2及び水素ガス検知器3は、検査容器本体A11の外部で配管PによってコネクタA14に接続されている。なお、コネクタA14又は配管Pには、適宜の弁(サンプリング弁、排気弁)を設けることができる。また、コネクタA14とは別に設けられたコネクタ15には、必要に応じて予備減圧用の真空ポンプと配管(何れも図示省略)を接続することができる。コネクタ15に予備減圧用の真空ポンプを接続している場合には、水素ガス検知器3に接続された真空ポンプ2よりも減圧能の高い真空ポンプを利用できることから、より迅速に気圧調整工程S1を行うことができる。ただし、検査容器A1の内容量が十分に小さければ、特に予備減圧用の真空ポンプを設ける必要はない。

以下、このピンホール検査装置Aの作動手順について説明する。トレイA13を検査容器本体A11から引き出して開状態(図2参照)として、包装体X1内に食品X2が収容され置換ガスGが充填されてシール部X1aが密封された状態のガス充填密封包装食品XをトレイX13に載置する。次に、トレイA13を検査容器本体A11に押し込み閉状態(図3参照)として、検査容器A1を密閉する。この状態で真空ポンプ2を作動させることによって、検査容器A1内を減圧すると、包装体X1内の気圧よりもその外部である検査容器A1内の気圧が低くなる結果、包装体X1が膨張する。すなわち本例では、密閉された検査容器A1と、ガス採取管A12、配管A12p及びコネクタA14と、真空ポンプ2及び配管Pによって、気圧調整手段が構成されることになる。以上により、本実施形態のピンホール検査方法における気圧調整工程S1が行われる。

そして、包装体X1にピンホールが生じていれば、内部の置換ガスGがピンホールから検査容器A1内に漏れ出すことになる。ここで、ピンホールが生じるとすれば、シール部X1aのシール不良や、密封時に食品X2がシール部X1aに挟み込まれることが殆どのピンホール発生の原因となることから、ガス採取管A12の開放端を、トレイA13に載置されて検査容器本体A11内に収容された状態のガス充填密封包装食品Xのシール部X1aの近傍、特に上方近傍に位置付けるようにして、ピンホールから漏れ出す可能性がある置換ガスG中の水素ガスを効率よく採取できるようにしている。

真空ポンプ2で吸引された検査容器A1内の気体から水素ガス検知器3により水素ガスが検出されれば、このピンホール検査装置Aに収容されたガス充填密封包装食品Xの包装体X1にはピンホールが生じていると判断される。一方、水素ガスが検知されなければ、包装体X1にはピンホールが生じていないと判断される。すなわち本例では、ガス採取管A12、配管A12p及びコネクタA14と、真空ポンプ2、水素ガス検知機3及び配管Pによって、水素ガス検知手段が構成されることになる。以上により、本実施形態のピンホール検査方法における水素ガス検知工程S2が行われる。そして、当該ガス充填密封包装食品Xは、トレイA13を引き出してピンホール検査装置Aから取り出された後、ピンホールありと判断された場合は廃棄処分され、ピンホールなしと判断された場合は箱詰め等の以降の出荷準備の工程へと送られることになる。また、トレイA13を開状態とすることで、検査容器A1内の気体雰囲気は容易に換気され、特に軽い水素は検査容器A1からすぐに出て放散するため、検査容器A1に水素が残存して次のガス充填密封包装食品Xの検査に影響を及ぼすことはない。さらに、予備減圧を組み合わせることで、検査容器A1内の換気をより確実に行うことができる。

なお、水素ガス検知器3で水素ガスを検知する場合、真空ポンプ2による減圧の程度(真空度)は、検出容器A1の内容量や、ガス充填密封包装食品Xや包装体X1の性質等により適宜に設定すればよい。また、使用する検知器の検出限界以上の水素ガス濃度を検知すれば全てピンホールありの判定がなされるようにしてもよいし、閾値として所定の水素ガス濃度を設定しておき、その閾値以上の水素ガス濃度を検知した場合にのみピンホールありの判定がなされるようにしてもよい。さらに、ピンホールありの判定がなされた場合にのみ、ランプの点灯や警告音などの適宜の報知がなされるようにしてもよいし、ピンホールの有無の判定の違いによって報知の種類が異なるように設定することもできる。

<ピンホール検査装置の第2例> 第2例としてのピンホール検査装置Bは、図4及び図5に示すように、ガス充填密封包装食品Xの製造ラインに組み込まれたインライン方式で利用されるものである。このピンホール検査装置Bは、検査容器B1の上流側及び下流側に配置される製造ラインにおける搬送機構8。9と連続させた搬送機構B15を内部に備えており、上流側の搬送機構8から送られてきたガス充填密封包装食品Xを一時的に収容し、ピンホール検査の終了後に下流側の搬送機構9へと自動的に送り出すように構成されている。

検査容器B1は、真空密封溶接がなされた概略矩形の筐体からなる検査容器本体B11の前面側と後面側の一部を自動的に開閉する入口扉部B13と出口扉部B14とを有しており、図4に示すように、入口扉部B13を開放することで上流側の搬送機構8から送られてきたガス充填密封包装食品Xを検査容器本体B11内の搬送機構B15へと送り、出口扉部B15を開放することで検査容器本体B11内の搬送機構B15からガス充填密封包装食品Xを下流側の搬送機構9へと送り出す。入口扉部B13と出口扉部B14の開閉のタイミングは、検査容器B1におけるピンホール検査の実行動作に合わせて自動的に行われるようにしている。また、入口扉部B13と出口扉部B14の開閉は、同時に行ってもよいし、タイミングを異ならせることもできる。図5に示す入口扉部B13と出口扉部B14の閉状態においては、検査容器本体B11と各扉部B13、B14との間に設けられた密封シール構造(パッキンやOリング等)により、検査容器B1の内部空間が密閉されて、外部との間で自然な気体の流通がなされないようにしている。搬送機構B15としては、本例では、複数のローラB15aとベルトB15bをモータ(図示省略)で駆動するベルトコンベア式のものを適用しており、検査容器B1に収容されたガス充填密封包装食品Xは、ベルトの上面に載置された状態で搬送されるようにしている。

検査容器本体B11の内部には、ガス採取部としてパイプ状のガス採取管B12を設けており、ピンホール検査時には、このガス採取管B12を通じて検査容器B1内の気体を採取するようにしている。ガス採取管B12は、気体の採取効率を向上するために例えば胴部に長手方向に亘って多数の小孔(図示省略)を形成したものであり、検査容器本体B11内で一端が配管Pに接続されており、この配管Pの他端部は、検査容器本体B11から外部に引き出され、真空ポンプ2、水素ガス検知器3、サンプリング弁4、排気弁5に接続されている。なお、第1例の検査容器本体A11と同様に、検査容器本体B11の外壁にコネクタを設けておき、このコネクタに配管Pを接続するように構成することもできる。

また、また、検査容器本体B11は、配管P’を通じて予備減圧用の排気弁7と真空ポンプ6に接続されている。予備減圧用の真空ポンプ6は、検査容器B1内の気体の粗引きによる予備減圧のために、水素ガス検知器3に接続された真空ポンプ2よりも減圧能力の高い真空ポンプを利用していることから、より迅速に気圧調整工程S1を行うことができる。ただし、検査容器B1の内容量が十分に小さければ、特に予備減圧用の真空ポンプ6、排気弁7及び配管P’を設ける必要はない。

以下、このピンホール検査装置Bの作動手順について説明する。入口扉部B13と出口扉部B14を開状態(図4参照)として、ピンホール検査が完了したガス充填密封包装食品Xを下流側の搬送機構9へ開放された出口扉部B14側から送り出すと同時に、これからピンホール検査を行うガス充填密封包装食品Xを上流側の搬送機構8から検査容器B1内の搬送機構B15へと開放された入口扉部B13から送り込み、ガス充填密封包装食品Xの入れ替えが行われる。搬送機構B15は、所定の検査位置までガス充填密封包装食品Xを搬送し、入口扉部B13と出口扉部B14を閉状態(図5参照)として、検査容器B1を密閉する。この状態で予備減圧用の真空ポンプ6を作動させることによって、検査容器A1内をある程度まで減圧すると、この真空ポンプ6を停止する。その結果、包装体X1内の気圧よりもその外部である検査容器B1内の気圧が低くなる結果、包装体X1が膨張する。以上により、本実施形態のピンホール検査方法における気圧調整工程S1が行われる。なお、排気弁7は、真空ポンプ6の動作状態に応じて適宜開閉すればよい。

続いて真空ポンプ2を作動させ、水素ガスの検知を開始する。なお、サンプリング弁4や排気弁5は、真空ポンプ2の動作状態に応じて適宜開閉すればよい。包装体X1にピンホールが生じていれば、内部の置換ガスGがピンホールから検査容器B1内に漏れ出ていることになる。第1例の場合と同様に、ピンホールが生じるとすれば、シール部X1aのシール不良や、密封時に食品X2がシール部X1aに挟み込まれることが殆どのピンホール発生の原因となることから、ガス採取管B12の開放端を、ベルトB15bに載置されて検査容器本体B11内に収容された状態のガス充填密封包装食品Xのシール部X1aの近傍、特に上方近傍に位置付けるようにして、ピンホールから漏れ出す可能性がある置換ガスG中の水素ガスを効率よく採取できるようにしている。

真空ポンプ2で吸引された検査容器B1内の気体から水素ガス検知器3により水素ガスが検出されれば、このピンホール検査装置Bに収容されたガス充填密封包装食品Xの包装体X1にはピンホールが生じていると判断される。一方、水素ガスが検知されなければ、包装体X1にはピンホールが生じていないと判断される。以上により、本実施形態のピンホール検査方法における水素ガス検知工程S2が行われる。そして、水素ガス検知工程S2が完了すれば、上述のように入口扉部B13と出口扉部B14を開状態として、自動的にガス充填密封包装食品Xの入れ替えが行われる。ここで、ピンホールありと判断された場合は廃棄処分用の搬送ラインに送られ、ピンホールなしと判断された場合は箱詰め等の以降の出荷準備のラインへと送られることになる。また、入口扉部B13と出口扉部B14を開状態とすることで、検査容器B1内の気体雰囲気は容易に換気され、特に軽い水素は検査容器B1からすぐに出て放散するため、検査容器B1に水素が残存して次のガス充填密封包装食品Xの検査に影響を及ぼすことはない。さらに、真空ポンプ6による予備減圧によって検査容器B1内の換気をより確実に行うことができる。

すなわち本例では、気圧調整手段は、少なくとも密閉された検査容器B1と、真空ポンプ6、排気弁7及び配管P’とによって構成され、ガス採取管B12、真空ポンプ2、排気弁5及び配管Pが気圧調整手段の一部の役割を担う場合もあることになる。また、水素ガス検知手段は、ガス採取管B12、真空ポンプ2、水素ガス検知機3,サンプリング弁4及び配管Pによって構成されることになる。

なお、本例においても、水素ガス検知器3で水素ガスを検知する場合、真空ポンプ2、6による減圧と予備減圧の程度(真空度)は、検出容器B1の内容量や、ガス充填密封包装食品Xや包装体X1の性質等により適宜に設定すればよい。また、使用する検知器の検出限界以上の水素ガス濃度を検知すれば全てピンホールありの判定がなされるようにしてもよいし、閾値として所定の水素ガス濃度を設定しておき、その閾値以上の水素ガス濃度を検知した場合にのみピンホールありの判定がなされるようにしてもよい。さらに、ピンホールありの判定がなされた場合にのみ、ランプの点灯や警告音などの適宜の報知がなされるようにしてもよいし、ピンホールの有無の判定の違いによって報知の種類が異なるように設定することもできる。

<ピンホール検査装置の第3例> 第3例としてのピンホール検査装置Cは、図6、図7及び図8に示すように、第1例と同様に検査容器C1にガス充填密封包装食品Xを個別に出し入れすることで、包装体X1のピンホールの有無を検査する装置である。なお、図6及び図7では、検査容器C1のみを示している。この検査容器C1は、真空密封溶接がなされた概略矩形の筐体からなる検査容器本体C11の中央部が開口した上面C11bを扉部C13により開閉するように構成したものである。検査容器本体C11内には、扉体C13を開状態(図6参照)とすることで、その開放部を通じて内側容器C15、C16を収容可能としている。内側容器C15、C16は何れも、無蓋有底の筐体C15a、C15bから構成されており、それらの上縁周縁部にはフランジ部C15b、C16bを形成している。本例において、内側容器C15は、検査容器本体C11内に上面C11bの開口を通じて挿入することで収容可能な大きさであり、フランジ部C15bを検査容器本体C11の上面C11bにネジ止めするなどして取り付けている。また、内側容器C16は、内側容器C15に対して上方から出し入れ可能に挿入することで収容可能な大きさであり、フランジ部C16bを内側容器C15のフランジ部C15bに載置するようにしている。このように、検査容器本体C11内に、内側容器C15と内側容器C16を順次入れ子状に挿入した状態で、各内側容器C15、C16を安定設置するために、各内側容器C15、C16の底面にはゴム製等の脚C15c、C16cを複数(本例では各4個)設けている。さらに、各筐体C15a、C15bの周壁4面には、パンチング孔C15ah、C16ahを開けており、これにより、各内側容器C15、C16の内部空間と検査容器本体C11の内部空間とを、気体の流通ができるように連通させている。

蓋部C13は、ヒンジ部C13bを介して蓋部本体C13aを検査容器本体C11に対して開閉可能としたものであり、本例では手動で蓋部C13の開閉操作をするための把手部C13cを設けている。蓋部C13を閉状態とした場合に、検査容器C1の密閉性を確保するために、蓋部本体C13aの下面には、検査容器本体C11の上縁部に形成したフランジ部C11cと密着する樹脂製等のリング状シール部材C13dを設けている。

ガス採取部として本例では、蓋部C13に内設したガス採取ボックスC12aと、検査容器本体C11内において立設したガス採取管C13bの2種類を採用している。ガス採取ボックスC12aは、蓋部本体C13aの下面中央部を概ね矩形状にくり抜いた形状とし、下方からパンチング孔C12ahを多数あけた板材で塞いだ構成としたものである。このガス採取ボックスC12aは、蓋部本体C13aの後端部側に向けて2つの通気孔C12pを連通させており、この通気孔C12pをコネクタC14aに接続している。コネクタC14aには、蓋部C13や検査容器本体C11の外側を通る配管Pを接続しており、この配管Pを真空ポンプ2及び水素ガス検知器3に接続している。一方、ガス採取管C12aは、本例において検査容器本体C11内に固定した内側容器C15の側壁に沿って立設したうえで固定支持させている。ガス採取管C12aは、上述した第1例や第2例と同様に、胴部に長手方向に亘って多数の小孔(図示省略)を形成したものであり、下端部を検査容器本体C11の底部に設けたコネクタC14bに接続している。このコネクタC14bは、配管Pを通じて真空ポンプ2及び水素ガス検知器3に接続している。この配管Pと、ガス採取ボックスC12aと通じる配管Pとは、同じ真空ポンプ2に接続したものである。なお、検査容器本体C11には、必要に応じて予備減圧用の真空ポンプと配管(何れも図示省略)を接続することができる。

以下、このピンホール検査装置Cの作動手順について説明する。まず、内側容器C16としては、包装体X1のシール部X1aが上を向く姿勢にてガス充填密封包装食品Xを収容可能であり、大気圧下でガス充填密封包装食品Xよりもやや大きい程度のものを採用する。蓋部C13を開状態とし、検査容器本体C11内に内側容器C15、C16を収容した状態で、内側容器C16にガス充填密封包装食品Xを収容し(図6参照)、把手部C13cを操作して蓋部C13を検査容器本体C11に対して閉状態とする(図7及び図8参照)。この状態で真空ポンプ2を作動させることによって、検査容器C1内を減圧すると、包装体X1内の気圧よりもその外部である検査容器C1内の気圧が低くなる結果、包装体X1が膨張する。このとき、包装体X1の膨張過程で包装体X1が内側容器C16の筐体C16aにおける内側面に当接する。図8では、この状態の包装体を符号X1’で示し、二点鎖線で表している。このように、膨張しつつある包装体X1’が内側容器C16に押さえ付けられることとなる結果、包装体X1が完全膨張状態となる前にガス充填密封包装食品Xの内部が減圧された検査容器C1内の気圧よりも高圧となることから、包装体X1のシール部X1aにピンホールが生じていれば、内部の置換ガスGがピンホールから検査容器C1内に漏れ出すことになる。ガス充填密封包装食品Xの内容物である食品X2が液体状やゲル状又はこれらを含むものであれば、食品X2に溶け込むことがない置換ガスG、特に水素ガスは包装体X1内の上部空間に溜まっているため、検査容器C1内で上側に位置付けられているシール部X1aから迅速に置換ガスGが漏れ出すことになる。置換ガスGを含む可能性のある検査容器C1内の気体は、ガス採取ボックスC12a又はガス採取管C12bの何れかもしくはその両方で採取される。

真空ポンプ2で吸引された検査容器A1内の気体から水素ガス検知器3により水素ガスが検出されれば、このピンホール検査装置Cに収容されたガス充填密封包装食品Xの包装体X1にはピンホールが生じていると判断される。一方、水素ガスが検知されなければ、包装体X1にはピンホールが生じていないと判断される。そして、当該ガス充填密封包装食品Xは、蓋部C13を開けてピンホール検査装置Cから取り出された後、ピンホールありと判断された場合は廃棄処分され、ピンホールなしと判断された場合は箱詰め等の以降の出荷準備の工程へと送られることになる。また、蓋部C13を開状態とすることで、検査容器C1内の気体雰囲気は容易に換気され、特に軽い水素は検査容器C1からすぐに出て放散するため、検査容器C1に水素が残存して次のガス充填密封包装食品Xの検査に影響を及ぼすことはない。さらに、予備減圧を組み合わせれば、検査容器C1内の換気をより確実に行うことができる。

なお、水素ガス検知器3で水素ガスを検知する場合、真空ポンプ2による減圧の程度(真空度)は、検出容器C1の内容量や、ガス充填密封包装食品Xや包装体X1の性質等により適宜に設定すればよい。また、内側容器C16を用いずに、内側容器C15にガス充填密封包装食品Xを収容するようにしたり、内側容器C16よりもさらに小さい内側容器を適用したり、もしくは内側容器を用いることなく検査容器本体C11のみを用いたりするなど、適宜の構成によってガス充填密封包装食品Xの大きさに対応することができる。さらに、使用する検知器の検出限界以上の水素ガス濃度を検知すれば全てピンホールありの判定がなされるようにしてもよいし、閾値として所定の水素ガス濃度を設定しておき、その閾値以上の水素ガス濃度を検知した場合にのみピンホールありの判定がなされるようにしてもよい。さらに、ピンホールありの判定がなされた場合にのみ、ランプの点灯や警告音などの適宜の報知がなされるようにしてもよいし、ピンホールの有無の判定の違いによって報知の種類が異なるように設定することもできる。また、本例で説明したような検査容器本体C11に1つ以上の内側容器C15、C16を入れ子状に収容する構成や、ガス充填密封包装食品Xの包装体X1が膨張過程で検査容器(内側容器)の内壁に当たって積極的に痴漢ガスGを押し出す構成は、第1例や第2例においても応用可能である。

以上のように、本実施形態のピンホール検査方法を実施する第1例、第2例、第3例のピンホール検査装置A、B、Cによれば、食品X2を包装体X1内に収容し置換ガスGを充填して密封したガス充填密封包装食品Xにおいて、トレーサーガスとして大気中には単独で殆ど存在しない水素ガスを適用したことにより、従来の二酸化炭素ガスをトレーサーガスとするピンホール検知方法・装置のように検査容器内の気体の置換を時間をかけて完全に行い、さらに二酸化炭素ガスの基準値を逐一調整する必要がなくなり、さらに従来よりも小さいピンホール(例えば100μm以下)の検知にも対応することができることから、包装体X1に生じ得るピンホールの有無を迅速且つ確実に検出することができる。また、従来のヘリウムガスをトレーサーガスとするピンホール検知方法・装置よりも安価にピンホール検査を行うことができる。また、第1例や第3例のピンホール検査装置A、Cには、ガス充填密封包装食品Xを個別に供給してピンホール検査を行うことができ、第2例のピンホール検査装置Bはガス充填密封包装食品Xの製造ラインに組み込んでインライン方式にて個別にピンホール検査を行うことができるというように、ガス充填密封包装食品Xの個別検査を容易に行うことができるため、主にバッチ処理でピンホール検査してきた従来の無駄を省き、中小の食品製造事業者にとっても全商品の完全個別検査に対応することができるようになる。また、各例のピンホール検査装置A、Bでは、ほとんどのピンホールの発生箇所である包装体X1のシール部X1aの上方近傍において、ガス採取管A12、B12の開放端を配置していることから、空気や窒素ガスよりも軽い水素ガスの漏れが生じている場合には、いち早く水素ガスを検知することができる。特に第2例のピンホール検査装置Bでは、本実施形態のピンホール検査の迅速性によって、製造工程のタクトタイムを低下させることのないインラインでの個別ピンホール検査ができるようになる点は、食品製造事業者にとって多大なメリットをもたらすものであるといえる。さらに、第3例のように、従来のピンホール検査方式では困難であった液体状やゲル状の食品もしくは液体状やゲル状のものを含む食品を内容物とするガス充填密封包装食品に対しても、適切にピンホール検査を実施することができる。

なお、本発明の構成は、上述した実施形態の方法や装置に限られるものではない。上述した各例では、ガス充填密封包装食品の個別検査について説明したが、多数のガス充填密封包装食品を収容したケースごとのバッチ検査にも本発明を適用することができる。また、ガス充填密封包装食品としては、上述した各例のように、包装体に食品を直接収容した状態で置換ガスを充填し、シール部を密封した構成のものを採用した例について説明したが、食品は内袋や個包装用のシート等で個別包装された状態のものを適用することができる。また、その個別包装が置換ガスを充填したものであって、外装となる包装体は置換ガスを充填していない構成のものを適用することもできる。

また、気圧調整手段として上述の実施形態では、密封された検査容器を減圧することで、検査容器内の気体の気圧と、検査容器内に収容されて密封されたガス充填密封包装食品の包装体内の置換ガスによる気圧との差圧を利用する態様について説明したが、検査容器内でガス充填密封包装食品を外側から物理的に押圧することで包装体内の気圧を高める構成を採用することもできる。この場合、水素ガス検知手段は、ピンホールが生じていれば漏れ出る置換ガスを採取してそこに含まれる水素ガスを検知するようにすればよい。さらに、水素ガスの検知効率を向上するためには、検査容器は密閉できるものが好ましいが、水素ガスが単独では大気中に存在しないという性質を利用することに鑑みれば、検査容器は完全に密閉されなくても、ガス充填密封包装食品の包装体に生じたピンホールから漏れ出る置換ガス中の水素ガスを検知することは可能である。

また、上述の実施形態では、ガス採取部の例であるガス採取管としてパイプ状のものを採用し、ガス採取管の胴部に多数の小孔を形成したものについて説明したが、その開放端部をガス充填密封包装食品の包装体におけるシール部の近傍に位置付けた例を説明したが、ガス充填密封包装食品の種類によるシール部の位置の多様性や、シール部以外にピンホールが生じる可能性について鑑みれば、ガス充填密封包装食品の形態に応じて迅速に置換ガスを採取できるように構成したガス採取管を適宜採用することもできる。さらに、ガス採取部としては、第3例のようなガス採取ボックスとガス採取管との併用や、他の形状のガス採取ボックスの採用も可能である。

さらに、本発明が適用されるガス充填密封包装食品と同様の包装体に内容物を収容し置換ガスを充填して密封した形態であれば、食品以外にも化粧品や医薬品にも本発明のピンホール検査方法やピンホール検査装置を応用することができる。その他、ピンホール検査方法の具体的工程や、ピンホール検査装置の具体的構成についても、本発明の趣旨に従う限り、適宜変更することができる。

ガス充填密封包装食品Xに封入される置換ガスGにトレーサーガスとして水素ガスを適用することには前例がないため、水素ガスを用いた場合の食品の安全性について各種試験を行った。なお、以下に示す各実施例では、置換ガスGの成分を、不活性ガスとして95体積%の窒素ガスと、トレーサーガスとして5%の水素ガスを含有するものとしている。なお、以下の試験は全て、財団法人日本食品分析センターに依頼して実施された。

まず、実施例1〜3では、何れも市販されているものと同等のチーズ(実施例1)、タルト(焼き洋菓子)(実施例2)、緑茶の茶葉(実施例3)について、水素ガスを含有する置換ガスを充填し、22日間保存後の一般細菌(生菌数)と大腸菌群について計測した。各実施例との比較のために、100%窒素ガスを充填したチーズ(比較例1)、タルト(比較例2)、緑茶の茶葉(比較例3)を同期間保存後の一般細菌と大腸菌群の生菌数について計測した。なお、実施例1及び比較例1のチーズは、小さく成形されたチーズが樹脂フィルムで個包装された状態のものを多数包装体に収容し、包装体にポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン又は塩化ビニル等の一般的な材質を適用したものである。実施例2及び比較例2のタルトは、タルトを直接包装体に収容し、その包装体にナイロンポリ(ナイロンとポリエチレンのフィルムを貼り合わせたもの)を適用したものである。実施例3及び比較例3の緑茶の茶葉は、茶葉を直接アルミ製の包装体に収容したものである。

この試験結果を図9に示す。試験結果から、保存後の各実施例1〜3と対応する比較例1〜3では、一般細菌数は、食品種による差はあるものの、実施例と比較例とで優位な差は認められなかった。また、大腸菌群については、各実施例、各比較例ともに、陰性の結果が得られた。この結果から、水素ガスをトレーサーガスに使用して窒素ガスと共に置換ガスGとして利用した場合でも、窒素ガス単独を置換ガスとした場合と同等レベルの安全性があることが確認された。

さらに、実施例2及び比較例2のタルトについては、保存後のものについて官能検査を行った。その結果、実施例2と比較例2は、外観、におい、風味についてはほとんど差がなく、食感は実施例2が比較例2よりもわずかにしっとりしているとの結果が得られた。実施例2の食感が比較例2の食感よりもやや優れていたことの理由は、現時点では判明していない。

次に、実施例4〜7は、何れも市販されているものと同等の焼菓子(実施例4、3日保存)、クリームチーズタルト(実施例5、15日保存)、蒸し大豆(実施例6、7日保存)、プリン(実施例7、7日保存)について、水素ガスを含有する置換ガスを充填し、各期間保存後の一般細菌(生菌数)について計測した。各実施例との比較のために、100%窒素ガスを充填した焼菓子(比較例4)、クリームチーズタルト(比較例5)、蒸し大豆(比較例6)、プリン(比較例7)を同期間保存後の一般細菌について計測した。なお包装材の材質としては、実施例4と比較例4にはナイロンポリ、実施例5と比較例5にはポリエチレン、実施例6と比較例6にはポリエチレン、実施例7と比較例7にはポリプロピレン製容器とポリエチレン製の蓋フィルムが、それぞれ用いられている。

この試験結果を図10に示す。試験結果から、保存後の各実施例4〜7と対応する比較例4〜7では、一般細菌数は優位な差は認められなかった。この結果からも、水素ガスをトレーサーガスに使用して窒素ガスと共に置換ガスGとして利用した場合でも、窒素ガス単独を置換ガスとした場合と同等レベルの安全性があることが確認された。

最後に、実施例8では、市販されているものと同等の12品目入りのカット野菜について、水素ガスを含有する置換ガスを充填し、冷蔵庫内での保存開始から3日後と7日後の一般細菌(生菌数)について、経時的に計測した。実施例8との比較のために、窒素ガスを封入していない(空気のままの)12品目入りのカット野菜(比較例8)を同期間保存後の一般細菌について計測した。なお、実施例8及び比較例8のカット野菜は、ポリエチレンテレフタラート製の透明な箱型容器に収容した上で、ポリプロピレン製の包装体で外装し密封したものである。このような実施例8と比較例8の供試体は、一般細菌の計測のために3日後に開封する個体と7日後に開封する個体とを分けて用意した。

この試験結果を図11に示す。この試験は、夏期に行ったこと、購入したカット野菜は通常その当日か翌日には食されることが想定されているため敢えてそれよりも長時間保存した後で計測していること、カット野菜の外装や容器を一旦開けてから置換ガスGを封入したことなどから、試験結果ではやや多めの一般細菌数が検出されている。しなしながら、保存開始時、保存3日目後、保存7日後と時間が経つにつれて一般細菌数は1桁増加する傾向が認められたが、その増加の程度は、実施例8と比較例8とでほとんど変わることがなかった。この結果からも、水素ガスをトレーサーガスに使用して窒素ガスと共に置換ガスGとして利用した場合でも、窒素ガス単独を置換ガスとした場合と同等レベルの安全性があることが確認された。

なお、実施例8と比較例8と同条件にて、5品目のカット野菜について保存3日後と7日後の鮮度保持検査を外観観察により行ったが、実施例8と比較例8とでほとんど同等であった。

以上の結果から、包装体の材質や食品の性質、食品の包装体内での収容形態を問わず、本発明のピンホール検査方法や検査装置を適用することでき、ガス充填密封包装食品の置換ガスにトレーサーガスとして水素ガスを適用しても、食品の種類や水分含有量の多寡に関係なくその安全性に何ら問題ないことが確認できた。このことにより、本発明のピンホール検査方法や検査装置は、新たなピンホール検査手法として極めて有効であることが確認された。

本発明は、食品製造分野、食品の安全性検査の分野において、新しく簡便な手法を提供することができるものである。

A、B、C…ピンホール検査装置 1、A1、B1、C1…検査容器 A11、B11、C11…検査容器本体 A12、B12、C12b…ガス採取部(ガス採取管) A13…トレイ B13…入口扉部 B14…出口扉部 B15…搬送機構 C12a…ガス採取部(ガス採取ボックス) C13…蓋部 C15、C16…内側容器 G…置換ガス 2…吸引ポンプ(真空ポンプ) 3…水素ガス検知器 X…ガス充填密封包装食品 X1…包装体 X1a…シール部 X2…食品

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