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天然油からのビタミンE濃縮組成物、特にトコトリエノール濃縮組成物の製造方法

阅读:504发布:2024-02-14

专利汇可以提供天然油からのビタミンE濃縮組成物、特にトコトリエノール濃縮組成物の製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、溶媒抽出と膜濾過法を用いて、少なくとも1のビタミンE成分、好ましくはトコトリエノールの濃度が高められた製品を製造する方法に関する。,下面是天然油からのビタミンE濃縮組成物、特にトコトリエノール濃縮組成物の製造方法专利的具体信息内容。

  • (a)異質の二相混合物を得るために、ビタミンE成分を含有する脂肪酸油混合物と不混和性有機溶媒を混合する工程と、
    (b)主に脂肪酸油分を含有する第一相と、有機溶媒とビタミンE成分と任意に少なくとも1つの不純物と、を含有する第二相を得るために、得られた二相混合物を分離する工程と、
    (c)工程(b)の第二相を少なくとも1の選択膜に透過させる工程であり、未透過物は、第二相からの所望のビタミンE成分のほとんどの量を含有し、透過物は、膜に阻止されなかった溶媒と成分、好ましくは少なくとも1の不純物成分を含有する工程と、
    (d)原料油混合物と比較して、少なくとも1のビタミンE成分、好ましくはトコトリエノールが濃縮された組成物(製品1)を得るために、工程(c)の未透過物から有機溶媒を除去する工程と、
    (e)任意に、不純物成分(製品3)を形成するために、工程(c)で得られた透過物から有機溶媒を除去する工程と、該工程では、除去した有機溶媒を工程(a)で回収有機溶媒として再使用することが好ましく、
    (f)任意に、原料と比較して、ビタミンE成分が除かれた脂肪酸油混合物(製品2)を得るために、工程(b)で得られた第一相から溶媒を分離する工程と、該工程では、第一相から分離した有機溶媒を工程(a)で回収有機溶媒として再使用することが好ましく、
    該脂肪酸油混合物がトリグリセリド油、リン脂質油及びそれらの組み合わせを含有し、
    かつ、工程(c)で使用された膜の、目的のビタミンE成分、好ましくはトコトリエノール組成物の阻止率R Vitが、該膜の、少なくとも1の不純物種の阻止率R lmpよりも大きいことを特徴とする方法。
  • 溶媒選択工程と溶媒スクリーニング工程を含み、
    該スクリーニング工程において、有機溶媒又は複数の該有機溶媒の混合物の分配係数PC、任意に有機溶媒と脂肪酸油混合物の異なる混合比の分配係数PCが、以下の工程:
    下相と抽出相を得るために、有機溶媒又は複数の該有機溶媒の混合物で、脂肪酸油混合物の試料を抽出する工程と、
    下相と抽出相における少なくとも1のトコフェロール及び少なくとも1のトコトリエノールの濃度を測定する工程と、
    脂肪酸油混合物に含まれる少なくとも1のトコトリエノールと少なくとも1のトコフェロールの分配係数PC:「トコトリエノールの分配係数PC=抽出相におけるトコトリエノール濃度/下相におけるトコトリエノール濃度」及び「トコフェロールの分配係数PC=抽出相におけるトコフェロール濃度/下相におけるトコフェロール濃度」を計算する工程と、
    によって決定され、
    該溶媒選択工程において、有機溶媒と脂肪酸油混合物の少なくとも1の混合比での、トコトリエノール分配係数PCがトコフェロール分配係数PCよりも高い有機溶媒が、工程(a)で使用するために選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 1〜約1000、好ましくは1.05〜500、より好ましくは1.1〜100、更に好ましくは1.5〜100、最も好ましくは2〜50の有機溶媒と脂肪酸油混合物の少なくとも1の混合比のための、トコトリエノール分配係数PCとトコフェロール分配係数PCの比となる有機溶媒が、工程(a)のために選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  • 工程(a)が、向流、バッチ又は並流平衡相抽出工程又はこれらの工程の少なくとも2つを組み合わせたものから選択された溶媒抽出工程を含み、
    及び/又は工程(a)が、(i)液化ガス又は超臨界ガス以外の有機溶媒を使用する際には絶対気圧1〜10、(ii)液化ガスを有する又は液化ガスのみから成る有機溶媒系を使用する際には絶対気圧1〜80、(iii)超臨界ガスを有する又は超臨界ガスのみから成る有機溶媒系を使用する際には絶対気圧1〜400で実施され、
    及び/又は工程(a)が、−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、最も好ましくは20〜100℃の範囲で実施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の方法。
  • 工程(c)において、工程(b)で得られた第二相を少なくとも1の選択膜への透過する際、線速度が約0.1m/s〜約5m/s、特に好ましくは約0.5m/s〜約3m/sの範囲のダイアフィルトレーション又はクロスフローフィルトレーション/タンジェントフローフィルトレーション、又はダイアフィルトレーションとクロスフローフィルトレーションを組み合わせたものを利用し、
    及び/又は工程(c)が、約−10℃〜約60℃、好ましくは約25℃〜約50℃の範囲の温度で実施され、
    及び/又は工程(c)の濾過圧が、約5バール〜約70バール、好ましくは約15バール〜約60バールの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の方法。
  • 更に、工程(c)で得られた未透過物又は工程(d)の後に得られた製品1に、少なくとも1の追加工程、好ましくはビタミンE成分、好ましくはトコトリエノールが濃縮された第二未透過物と、少なくとも1の不純物成分を含有する第二透過物を形成するために、該未透過物又は製品1を、少なくとも1の第二選択膜へ透過する工程であり、少なくとも1の第二選択膜が、少なくとも1の該選択膜と同一又は異なるものであってもよい工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の記載の方法。
  • 更に、工程(c)又は工程(d)の後に得られたビタミンE濃縮組成物、好ましくはトコトリエノール濃縮組成物を、少なくとも1種の吸収剤又は吸着剤を含む少なくとも1の吸着工程、又は少なくとも1の溶媒抽出工程、又は少なくとも1の蒸留又は蒸発工程、又は少なくとも1のクロマトグラフィー工程で処理すること、
    及び/又は更に、工程(e)及び/又は工程(f)で溶媒を回収すること、好ましくは工程(a)で再使用するために溶媒を回収すること、
    及び/又は更に、工程(c)の各工程、特に混合、透過、除去工程を約10分〜約20時間の一定時間繰り返すことを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1に記載の方法。
  • 初期脂肪酸油混合物の酸価が0.2〜25mgKOH/gの範囲であり、
    及び/又は該初期脂肪酸油混合物が、20%超、好ましくは30%超、より好ましくは40%超、さらに好ましくは50%超、特に好ましくは60%超のトリグリセリド及び/又はリン脂質油を含有し、及び/又は該トリグリセリド及び/又はリン脂質油の上限が好ましくは98%、より好ましくは95%、特に好ましくは85%であり、
    及び/又は該初期脂肪酸油混合物が、トコフェロール及びトコトリエノールを合計で100ppm超、好ましくは250ppm超、より好ましくは500ppm超、さらに好ましくは750ppm超を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の方法。
  • 初期脂肪酸油混合物が、ω3脂肪酸を少なくとも約10重量%〜約30重量%を含有し、
    及び/又は該初期脂肪酸油混合物が植物油、好ましくはヤシ油、大豆油、菜種油、ひまわり油、落花生油、綿実油、パーム核油、ココナッツ油、オリーブ油、コーン油、ぶどう種子油、ヘーゼルナッツ油、アマニ油、米ぬか油、サフラワー油、ゴマ油、アーモンド油、ペカン油、ピスタチオ油、くるみ油、ヒマシ油、ホホバ油、シア油、ベニノキ油、海産原料由来の油、好ましくは魚油、海洋無脊椎動物油、海藻油、藻類由来の油又は微生物から選ばれた原料、及び/又は動物性脂肪又は動物性油、好ましくは乳脂肪又は乳油を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の方法。
  • 少なくとも1の不純物が、遊離コレステロール、エステル化コレステロール、ステロール、エステル化ステロール、フェノール化合物、遊離脂肪酸、モノグリセリド、酸化生成物、該脂肪酸油混合物に望ましくない香りと味を与える成分、ビタミンA、ビタミンD、アスタキサンチン、カンタキサンチン、及び他のカロチノイドから選択され、
    及び/又は少なくとも1の該不純物が、環境汚染物質、特ポリ塩化ビフェニル(PCBs)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)、農薬、塩素系殺虫剤、多環芳香族炭化水素(PAHs)、ヘキサクロロシクロヘキサン(HCH)、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、ダイオキシン、フラン、及びノンオルト−PCBsであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の方法。
  • 有機溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、アルコール、液化ガス、超臨界ガス、及びそれらの混合物を含有し又はそれらのみを含有し、好ましくは、該有機溶媒がメタノール、エタノール又はイソプロパノール等の第一級アルコール、及び該アルコールを含有し、非アルコール溶媒が更なる有機溶媒、液化ガス又は超臨界ガス、特にプロパン、二酸化炭素又は水を含有する溶媒混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の方法。
  • 少なくとも1の選択膜が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、アチルセルロース、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリベンズイミダゾール及びそれらの混合物から選択された原料から成ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の方法。
  • 少なくとも1の選択膜が、約150g/mol〜約1500g/mol、好ましくは約200g/mol〜約800g/mol、より好ましくは 約200g/mol〜約700g/mol、特に好ましくは約300g/mol〜約600g/molの分画分子量を有し、
    及び/又は少なくとも1の該選択膜が、静的液滴法を使用して測定した場合に、25℃で70°超、好ましくは25℃で70°超、より好ましくは25℃で90°、最も好ましくは25℃で95°の水接触角であり、
    及び/又は本発明において特に好適な疎水性膜がポリイミド膜、特にCAS登録番号が9046−51−9のP84から成るポリイミド膜、及びCAS登録番号が134119−41−8のP84HTから成るポリイミド膜、及び/又はそれらの混合物であり、任意に架橋され及び/又は有機被覆され、特にコーティング剤としてのシリコンアクリレートで有機被覆されてよいことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  • 工程(c)の透過物が、遊離脂肪酸油混合物と比較して濃度が増加した、少なくとも1の遊離コレステロール、エステル化コレステロール、ステロール、エステル化ステロール、フェノール化合物、酸化生成物、該油混合物に望ましくない香りと味を与える成分、ビタミンA、ビタミンD、アスタキサンチン、カンタキサンチン、及び他のカロチノイドを含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1に記載の方法。
  • 更に、HPLC、超臨界流体クロマトグラフィー、蒸留、分子蒸留、短工程蒸発、薄膜蒸発、抽出、吸収、結晶化及びこれらの組み合わせを使用して、工程(c)又は(d)の後に得られたビタミンE、特にトコトリエノール濃縮組成物を精製する工程を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1に記載の方法。

























  • 说明书全文

    本発明は、ビタミンE、特にトコトリエノールの濃度が高められた製品の製造方法に関する。 また、天然油からビタミンE成分、特にトコトリエノールを抽出するための不混和性有機溶媒の使用方法にも関し、以下2種の生成物を生成する使用方法にも関する:(1)初期油とグリセリド濃度がほぼ同じである第一相;(2)初期油に比べ、グリセリドが非常に減少され、ビタミンE成分濃度が大きく高められている第二相。 また、本発明は、ナノ濾過膜を使って抽出溶媒に含まれる遊離脂肪酸とビタミンE成分、特にトコトリエノールとの選択分離に関する。 その際、該遊離脂肪酸を溶媒とともに該膜に透過させ、該膜にビタミンE成分を残留させる。 特に、この方法では、溶媒と遊離脂肪酸を透過する際に、有機溶媒ナノ濾過膜を利用することにより、ビタミンE成分、特にトコトリエノールの濃度及び回収率を最大化する。 その一方で、遊離脂肪酸における溶媒の浸透流も向上させる。 該膜に未透過の物質の組成物には、トコフェロール及びトコトリエノール濃度が高められた混合物が含まれる。 つまり、溶媒が未透過物質から除去された後は、トコフェロール濃度、特にトコトリエノール濃度が(抽出に用いられた溶媒に依って、)初期の天然油より高くなり、その結果、所望のトコトリエノール濃度が高められた製品を得ることができる。

    植物油は、トコフェロール(TP)やトコトリエノール(TT)等の遊離脂肪酸(FFA)及び脂溶性抗酸化剤が天然に豊富である。 これらは価値の高い化合物であるが、一般的に、高温蒸留を利用する従来の工業用油の精製方法では破壊されてしまう。

    天然油は、多種多様な植物、生物、藻類、動物、海産物、産物及び魚介原料(fish feedstocks)(例:オイルやしの種、トウモロコシ、大豆、ココナッツ、ピーナッツ、オリーブ、ヒマワリ、米ぬか、多脂性魚、オキアミ、貝)から抽出される。 場合によっては、オリーブ(特に純粋な油(例:バージンオリーブ油))は、油を取り出すため、原料を機械的に粉砕したり押し潰したりすることによって生産される。 しかし、ほとんどの原料において、油の濃縮率は低く、通常、油を抽出するために該原料を適切な溶媒と混合し、その後、溶媒を蒸発させて油を濃縮させる。 油の抽出に、水蒸気蒸留や超臨界流体抽出(例:超臨界二酸化炭素)が利用されることもあるが、多くの場合は標準有機溶媒が使用される。

    抽出された油の組成は、主に遊離脂肪酸及びグリセリド(脂肪酸を有するグリセロールのモノ、ジ、トリエステル)のみから成る。 しかし、天然油の中には、重要な価値も有するも、油中での濃縮率が低い微量成分(ビタミン、酸化防止剤、カロチノイド、ポリフェノール、フレーバー化合物及びフレグランス化合物等を含む)を多く含むものもある。

    近年注目されている微量成分の好適な群は、ビタミン、特にビタミンE群、特にビタミンE中に存在するトコトリエノール化合物である。

    ビタミンEは、構造が類似する8種(4種のトコフェノールと4種のトコトリエノール)の化合物群のみから成る。 ビタミンEは、抗酸化特性を有する脂溶性ビタミンである。 トコフェロールは最も一般的なビタミンE化合物であり、最も広く研究されてきた。 トコトリエノールは、1980年代に化合物の個別種として認定され、それ以来、トコトリエノールの摂取に関係する幅広い効果(コレステロール低下効果、心血管調整効果、抗癌作用、脳卒中患者の糖尿病発生率の低下等)が示唆されてきた(非特許文献1を参照)。 更に、トコトリエノールは、トコフェロールよりも高い抗酸化作用があることが報告され、その結果「スーパービタミンE」と評されるようになった。 これらの医学的・健康的効果は、近年トコトリエノールへの高い関心を生み、トコトリエノールを含有する製品の需要を拡大させた。 しかしながら、多様な植物油中にビタミンEが含有されているにもかかわらず、(ビタミンE成分である)トコトリエノールは、一般的に、ほとんどの植物油においてわずかしか含まれない。

    トコトリエノール含有率が高いビタミンE源には、赤ヤシ油、ベニノキ油、米ぬか油及び大麦油が含まれる。 赤ヤシ油は、現在、相対的に見て未開発の資源であるため、最も大量に生産され、市場に大量のトコトリエノールを提供できる可能性がある。

    従来の植物油加工においては、有機溶媒を使用して、植物性マトリックスから油を抽出し、遊離脂肪酸やグリセリドだけでなくビタミン等のマイナー化合物を共抽出する。 一般的に油には、グリセリド油製品を製造するため、いくつかの前処理(溶媒除去、精錬、脱ガム(化学的又は物理的精製)、脱臭、脱色等)が施される。 植物油の製造方法は、ビタミンE等のマイナーで貴重な化合物ではなく、精製グリセリドを大量に生産するため最適化される。 ビタミンEの中には、蒸留流の濃縮物として得られるものもある。 しかし、ビタミンEは熱に敏感なので、ほとんどのビタミンEは、処理工程中(物理的精製、脱色、脱臭等)の熱的損傷により失われる。 これは、特にヤシ油の場合に生じる。 (油中のカロチノイドによる)天然の赤味は、食品用油において望ましくない不純物と考えられ、熱脱色処理によって除去される。 この熱脱色処理の厳しい条件により、油中に存在するビタミンE(特に、より不安定なトコトリエノール)も破壊される。

    従来の精油技術は、実用的で幅広く使用されているが、ユーザーにとって多くの制限や問題があると当業者には認識されている。 これは、特に高価値の温度感受性種(例:ビタミンE及びトコトリエノール)をわずかに含む天然油に当てはまり、高価値の温度感受性種を選択的に取り出しながらも、天然油の高い産出量を維持することが望まれている。

    天然油からトコトリエノールを製造する際の問題に対処するための方法が、数多く文献に記載されてきた。

    特許文献1には、トコトリエノール濃縮製品の製造方法が記載されている。 該方法では、まず脂肪酸メチルエステルとグリセロールを形成するため、グリセリド油のエステル交換反応が必要である。 その後、連続工程(液液抽出、蒸発、沈殿、固液濾過、吸着)で従来の有機溶媒を使用する脂肪酸メチルエステル相からトコトリエノール濃度が高められる。

    特許文献2には、植物油及び食用油から、トコフェロール及びトコトリエノール濃縮製品を製造する方法が記載されている。 特許文献2には、まず油と一価アルコールをエステル交換し、その後、濃縮製品及び精製品を製造するため、得られた脂肪酸メチルエステルに一連の分子蒸留処理及び結晶化処理を施すことが教示されている。 記載された処理は複雑で、更に、価値のあるグリセリド油を破壊してしまう。

    特許文献3では、ヤシ油又はヤシ油誘導体の化合物を選択的に抽出したものを組み合わせることにより、天然化合物の濃縮割合を高めるために、超臨界二酸化炭素及び近臨界プロパンを使用すること、及びその抽出を更に精製するために、超臨界二酸化炭素及び近臨界プロパンとともに吸着技術を溶離剤として使用することを教示している。

    特許文献4には、ベニノキ植物からアナトー顔料を製造する際に形成される副生成物材料から、トコトリエノール濃縮製品を製造する方法が記載されている。 該方法は、トコトリエノールを他の成分(ゲラニルゲラニオール等)から分離させるため分子蒸留を利用する蒸留系処理である。

    他の特許文献にもトコトリエノール濃縮化合物を製造するための吸着系処理、抽出系処理及び蒸留系処理が記載されており、それには特許文献5〜8が含まれる。

    いくつかの文献で報告された別のアプローチは、天然油から高付加価値化合物を分離するため、膜濾過を適用することである。 例えば非特許文献2では、3種の膜について、赤ヤシのメチルエステル溶液からカロチノイドを分離する性能を評価した。 膜による、カロチノイドの適度な分離が報告された。 トコトリエノールに関する情報は、一切開示されていない。 非特許文献3では、赤ヤシ油からバイオディーゼル(メチルエステル)を製造する際に発生する不純物の除去について研究された。 しかしながら、それらでは、トコトリエノールを取り出すことについて評価されなかった。

    非特許文献4も、ヤシ油からカロチノイドとビタミンEを取り出す方法に関するショートレビューを公開した。 該レビューは、商業的に使用される単位操作(溶媒抽出、吸着、及びエステル交換反応/分子蒸留)について、多方面から簡単に記載している。 膜技術が透過の際に参照されているが、議論されていない。 該レビューでは、油を抽出するために、アルカン(すなわちヘキサン)と短鎖アルコールを使用することが可能であるが、有機溶媒の使用には多くの短所があること、かつ超臨界流体も有望な溶媒であるが、その高い使用圧のため多くの短所があることを教示している。 有効な溶媒又は処理の方向性が一切示されていない。

    特許文献9は、魚油及び他のグリセリド油の脱酸に膜を使用することを記載している。 この開示は、遊離脂肪酸の濃度が高められた抽出物を製造するため、遊離脂肪酸がトリグリセリドよりも不混和アルコール溶媒(例:エタノール)で容易に溶解されるという事実を利用している。 遊離脂肪酸に加え、トリグリセリド油の一部もアルコール溶媒で溶解する。 トリグリセリド油の回収率を最大化し、エタノール性抽出物中のトリグリセリド油から遊離脂肪酸を分離するために、ナノ濾過膜を使用する。 この工程において、遊離脂肪酸を透過させ、トリグリセリドを残すために、低分画分子量のポリイミド膜(分画分子量400g.mol −1以下)が選択される。 非特許文献8では、天然魚油の脱酸を溶媒抽出によって行う。 更に、抽出工程の残部のワークアップが、精製された魚油を得るために必要である。 膜濾過は、副生成物流のワークアップのみに使用される。 従って、この工程はあまり効果的でなく、原料油から高度に精製されたリン脂質油とトリグリセリド油を得るための、より経済的な方法が必要である。 この研究は、ビタミン、特にトコフェロール及びトコトリエノール等の高付加価値化合物に関する教示を何ら開示していない。

    非特許文献5には、無孔質親油性膜のパーム油処理への応用可能性に関する研究が記載されている。 それらは、天然のパーム油からリン脂質、グリセリド、遊離脂肪酸、カロテン及び抗酸化物質(トコフェロール及びトコトリエノール)を分離する可能性を高める。 それらは、膜には、パーム油処理中のトコフェロールとトコトリエノールのロスを、従来の精製法による45〜85%のロスと比べ、著しく減少させる可能性があるとコメントしている。 しかし、それらは、研究から、パーム油では、膜によってグリセリドからリン脂質を有効に分離することができるが、グリセリドと比較し、カロテン、トコフェロール及びトコトリエノールの著しい選択性はないと結論づけている。

    これらの研究、特に非特許文献5は、当業者にとって、パーム油からのトコフェロールとトコトリエノールの分離に、膜による解決を適用する動機づけにならない。

    従って、特にパーム油において、トリグリセリド又はリン脂質等の脂肪酸油混合物からビタミンE、特にトコフェロール及びトコトリエノールを除去するためのより効果的な方法が必要である。

    米国特許第5157132号

    米国特許第7544822号

    米国特許第8048462号

    米国特許第6350453号

    米国特許第6224717号

    米国特許第7507847号

    国際公開第2010/125988号

    国際公開第2012/154613号

    米国特許出願公開第2010/0130761(国際公開第2008/002154号)

    Wong and Radhakrishnan(Nutrition Reviews,70(9),483〜490頁(2012) Darnoko and Cheryan(JAOCS,83(4),365〜370頁(2006)) Othman et al(J.Mem.Sci.,348,287〜297頁(2010)) Othman et al(J.Applied Sciences,10(12),1187〜1191頁(2010)) Arora et al.(Desalination,191,454〜466頁(2006))

    従って、本発明は、先行技術文献で開示された方法と比較し不利点が少なく、先行技術による方法の不利点が無いことを特徴とする脂肪酸油混合物からビタミンE成分を分離する方法を提供することを目的とする。

    本発明は、原料油混合物中での割合と比較し、トコフェロールに対するトコトリエノールの割合を増加させる方法を提供することを特別の目的とする。

    本発明の他の特別目的において、該方法により1以上の製品が分離可能である必要がある。 例えば、精製された脂肪酸油混合物を一つの製品として、ビタミンE含有量が増加した第二製品と分離しなければならない。

    更なる特別目的として、本発明に係る方法は取扱いやすく、大きさがフレキシブルで、エネルギー効率がよく、経済的でなければならない。

    明示的に言及されていない更なる目的については、本特許出願の明細書、実施例、特許請求の範囲及び図面の全内容から把握され得る。

    従って、本明細書においては、植物性脂肪酸油混合物からトコフェロール及びトコトリノエールを抽出及び濃縮させる効果を発揮しうる方法を開示する。 開示された方法によると、濃縮された又は濃度が高められたトコトリエノール及びトコフェロールの混合物を製造するため、収量と質を維持したまま、トコフェロールとトコトリエノールの特定の混合物を分離するために更に処理される脂肪酸混合物の処理、又はトコフェロールとトコトリエノールを更に濃縮させる脂肪酸混合物の処理を単純化させる可能性がある。 特に、開示された方法は、米ぬか油、ココナッツ油又は大豆油等の植物性油から濃縮ビタミンE組成物を製造するために使用され得る。 更に好ましくは、開示された方法は、パーム油から濃縮トコフェロール及びトコトリエノール組成物を製造するために使用され得る。

    本発明は、溶媒を除去した後、初期脂肪酸油混合物と比較して、少なくとも1種のビタミンE成分、特にトコトリエノールの濃度が高められた製品の製造に関するものであり、以下の工程:
    (a)異質の二相混合物を得るために、脂肪酸油混合物を不混和性有機溶媒と混合する工程と、
    (b)主にビタミンEが取り除かれた脂肪酸油混合物、特に油分の大部分を含有する第一相(油相)と、有機溶媒、ビタミンE成分及び任意に1以上の不純物と、を含有する第二相を得るため、該二相混合物を分離する工程であり、該二相が、好ましくはビタミンE成分のほとんど及び任意に不純物とともに、主に溶媒を含有することが好ましく、通常は必ず脂肪酸と少量の油がビタミンE成分で共抽出される工程と、
    (c)(b)で得られた第二相を少なくとも1の選択膜に透過させる工程であり、未透過物は、第二相からの所望のビタミンE成分及び任意に溶媒に溶けた脂肪酸油混合物の一部を含有し、透過物は、溶媒及び膜に阻止されない成分、特に不純物及び遊離脂肪酸を含有する工程と、
    (d)原料油と比較してビタミンE成分が濃縮された組成物(製品1)を得るために、(c)で得られた未透過物から溶媒を除去する工程と、該工程によるビタミンE濃縮組成物において、トコフェロール/トコトリノエール類、好ましくはトコトリエノールからの少なくとも1種の化合物の濃度が、最初の脂肪酸油混合物よりも高く、
    かつ(e)任意に、不純物成分(製品3)を得るために、工程(c)で得られた透過物から有機溶媒を回収する工程と、該工程で除去した該溶媒を工程(a)で再利用及び再使用することが好ましく、
    かつ(f)任意に、原料と比較して、ビタミンE成分が除かれた脂肪酸油混合物(製品2)を得るために、工程(b)で得られた第一相(油相)から溶媒を除去する工程と、初期の脂肪酸油混合物とグリセリド含有量がほぼ同じであることが好ましく、回収された有機溶媒は工程(a)で再使用されることが好ましく、脂肪酸油混合物はトリグリセリド油、リン脂質油及びそれらの組合せから成るを含み、
    かつ、
    工程(c)で使用される膜は、目的のビタミンE成分トコフェロール及びトコトリエノール、好ましくはトコトリエノール化合物の阻止率R Vitが膜を透過する不純物の膜阻止率R lmpより高いことを特徴とし、トコフェロール及びトコトリエノールの大部分が脂肪酸油混合物から抽出され、膜によって阻止されることを特徴とする。

    工程(a)で使用される好適な有機溶媒は、後で記載される。 しかし、特に好適な有機溶媒は、メタノール又はエタノール又はイソ−プロパノール等の第一級アルコール、及び該第一級アルコールを含有し、非アルコール溶媒として更なる有機溶媒、液化ガス又は超臨界ガスを含む溶媒混合物から選択される。 好適な抽出条件も後で記載される。 しかし、特に好適な抽出は、30〜80℃の温度範囲、(i)有機溶媒が使用される場合は絶対圧1〜10atm、(ii)液化ガスを含有する溶媒系が使用される場合は絶対圧1〜80atm、(iii)超臨界ガスを含有する溶媒系が使用される場合は絶対圧1〜400atmで実施される。

    工程(c)で使用される膜の詳細は以下に示される。 しかし、約200g. mol −1 〜800g. mol −1の範囲の分画分子量を有する選択膜が特に好適であり、濾過は5〜70バールの範囲の膜圧と20〜70℃の範囲の温度で実施される。

    蒸留、好ましくはより低い蒸留温度を維持するための減圧蒸留、又は有機溶媒ナノ濾過、膜蒸留又は蒸気透過法等の任意に膜分離工程と組み合わされた蒸発のような1以上の熱処理技術が、工程(d)において溶媒を取り出すために用いられる。

    任意工程(e)及び(f)において、溶媒は、好ましくは蒸留又は蒸発等の熱分離技術、有機溶媒ナノ濾過等の膜系分離、又は膜と熱分離技術の組合せを使用して取り出され、回収された有機溶媒は抽出工程(a)において再利用及び再使用され得る。

    更に、本発明は、上記の工程(a)〜(d)、任意に工程(e)及び/又は(f)を含む、脂肪酸油混合物から、少なくとも1種のビタミンE成分(トコフェロール又はトコトリエノール化合物)を含有する濃縮物を製造する方法に関する。 前述の総記及び後述の詳細記述は、いずれも代表的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載されている通り、その開示を限定するものでない。

    実施例に記載されたクロスフローナノ濾過システムの概要を示す図である。

    PM280に関する実験データに対するモデル予測を示す図である。

    本発明を実施するための形態は以下に詳細に記載される。 本願明細書中で使用され、明示された表現及び定義は、本発明による開示範囲内での意味を表す。 本明細書中及び上記で引用される特許文献及び科学文献は、引用により取り入れられる。 本明細書中の表現及び/又は定義が引用により取り入れられた表現及び/又は定義と対立する場合は、本明細書中のものが優先される。

    文中に別段の定めがない限り、単数形の“a”、“an”及び“the”は複数形を含む。 文中に別段の定めがない限り、“%”は、“重量%”を意味する。 “およそ”及び“約”という表現は、参照された数又は値とほぼ同一であることを意味する。 本明細書中で使用されている通り、“およそ”及び“約”という表現は、特定の量、頻度又は値の±30%の範囲であると通常理解される。

    本明細書中で使用されている通り、脂質又は油の“酸価”という表現は、脂質中又は油中に存在する遊離酸の量と、油1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数とが等しいことを意味する。 すなわち、該表現は精製度を示す指数として有用である。 これは、酸価が高い程、品質の低い油製品又は脂質製品であることを意味する。

    “脂肪酸”という表現は、例えば1のカルボン酸基を含有する短鎖状及び長鎖状の飽和及び不飽和(例えば、一不飽和及び多価不飽和)炭化水素を含む。

    “遊離脂肪酸”という表現は、油中で天然に発見され、かつグリセリド分子又はリン脂質分子に取り込まれない(上記の)“脂肪酸”を意味する。 “脂肪酸油”という表現は、トリグリセリド油、リン脂質油又はそれらの混合物を含む、海洋環境及び非海洋環境の双方から由来の全タイプの原料から得られる油を含む。 “非海洋由来”とは、海、海水で生息も成長もしない種から得られた油を意味する。 本発明において、類似して使用される“海洋油”、“海洋由来の油”の両表現は、例として海又は海水に生息する生物又は植物等の種に由来する。

    “ビタミンE”及び“トコクロマノール”という表現は、本発明において同義的に使用される。 動物細胞及び人間細胞において、通常“ビタミンE”は、ビタミンE機能をもつトコフェロール及びトコトリエノールに対して使用される。 植物原料において、トコフェロール及びトコトリエノールは、人間細胞及び動物細胞のものと比較し同一の化学構造を有するも、ビタミンE機能は有さない。 従って、通常、“トコクロマノール”という表現は、植物原料において使用され、植物原料で生じる全てのトコフェロール及びトコトリエノールを含む。 本発明では、“ビタミンE”及び“トコクロマノール”という表現は、人間細胞、動物細胞又は植物細胞で生じる全てのトコフェロール及びトコトリエノール、特にトコフェロール又はトコトリエノールとして記載される全8種の天然化合物、すなわちα−、β−、γ−、δ−トコフェロール及びα−、β−、γ−、δ−トコトリエノールを含む。

    “天然化合物”又は“天然成分”という表現は、本発明において、脂肪酸油中に存在する非合成化合物を定義するために使用される。 これら天然化合物のいくつかは、人間栄養又は家畜栄養、若しくはその他の目的のために使用され得る。 グリセリド油、リン脂質油及び脂肪酸は、“天然化合物”又は“天然成分”という表現の対象外である。

    “濃縮された”又は“濃度が高められた”という表現は、分離工程後、すなわち、工程(a)の抽出後又は工程(c)の膜分離後、又は両分離工程後の相中の成分濃度が、分離が行われる前の初期相よりも高いことを意味する。 濃度が“高められている”か否かを測定するため、有機溶媒を初期相から取り出し、かつ溶媒希釈効果を除去するため分離相から有機溶媒を取り出さなければならない。 例として、抽出及び膜分離に使用された溶媒を除去した後、原料油のトコトリエノール含有量と製品1のトコトリエノール含有量を比較する。

    脂肪酸油混合物 本発明に係るトリグリセリド又はリン脂質油等の脂肪酸油混合物は、動物性及び/又は非動物性油、又はそれらのいずれかに由来する油である。 本発明の実施形態の中には、脂肪酸油混合物が、動物性脂肪又は動物性油、単細胞油、藻類油、植物性油、微生物油、及びそれらの組合せから選ばれた少なくとも1種の油から成るものもある。

    植物性油は、例えばアマニ油、菜種油、からし油、コーン油、パーム油及び大豆油を含む。 単細胞/微生物油は、例えばMartek社製、Nutrinova社製及びNagase & Co社製の製品を含む。 単細胞油は、しばしば微生物細胞由来かつ食用向けの油として定義される(例として、Wynn and Ratledge, “Microbial oil:production, processing and markets for specialty long−chain omega−3 polyunsatutrated fatty acids”, 43〜76頁 in Breivik(Ed), Long−Chain Omega−3 Specialty Oils, The Oily, The Oily Press, P.J. Barnes & Associates, Bridgewater UK, 2007を参照)。

    好適な実施形態において、本発明において使用される脂肪酸油混合物は少なくとも1種の植物性油から成る。 植物性油は、ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、米ぬか油、サフラワー油、ひまわり油、ゴマ油、大豆油、水素添加大豆油及び水素添加植物性油等の長鎖トリグリセリドとして公知のトリグリセリド植物性油、及びココナッツ油又はパーム核油由来のトリグリセリド植物性油等の中鎖トリグリセリドとして公知のトリグリセリド植物性油を含む。 更に、特殊な植物性油の中には、幅広い種類の植物の穀物や種子から製造され得るものもある。 該油は、麦芽油、カボチャ種子油、アマニ油、ブドウ種子油、ブラックベリー種子油、アナトー油、落花生油及びその他の様々な油を含む。 特に好適な実施形態において、脂肪酸油混合物は、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、ピーナッツ油、綿実油、パーム核油、ココナッツ油、オリーブ油、コーン油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、アマニ油、米ぬか油、サフラワー油、ゴマ油、アーモンド油、ペカン油、ピスタチオ油、胡桃油、ヒマシ油及びホホバ油、最も好ましくはパーム油から選択される植物性油を含む。 更に、該油はリン脂質油であってよく、又はリン脂質を含有してよい。 しばしば“レシチン”として知られる物質中で発見されるリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール等の化合物を含む。 リン脂質源は、大豆、ひまわり及び卵黄を含む。

    本発明の他の実施形態において、脂肪酸油混合物は、乳脂又はバター脂等の少なくとも1種の動物性脂肪又は動物性油、又は、豚、羊又は鶏等の脂肪含有組織又は動物性器官を含む。 油の非限定例は、藻類由来の油を含む。

    本発明の更なる実施形態において、脂肪酸油混合物は、例えば、発酵処理によって得られる油等のバクテリア又は酵母由来の油を含む。

    本発明で使用される脂肪酸油混合物は、好ましくはトリグリセリド油及び/又はリン脂質油、又はそれらの組合せを含む。 更に、脂肪酸油混合物は、20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは60%以上のトリグリセリド油及び/又はリン脂質油を含む。 トリグリセリド油及び/又はリン脂質油含有量の上限は、好ましくは95%超、より好ましくは90%超、特に好ましくは80%超である。 非常に特殊な実施形態において、脂肪酸油混合物は、80%超、最も好ましくは90%超トリグリセリド油及び/又はリン脂質油を含む。

    トリグリセリド油は、トリグリセリドの加水分解で得られるモノグリセリド及びジグリセリドと同様に、遊離脂肪酸を含んでよい。

    好適な原料は、原料油に応じて、主成分としてトコトリエノール/トコフェロール、及びジグリセリド及びトリグリセリド、及び/又はリン脂質を含む。

    実施形態の中には、脂肪酸油混合物が10mgKOH/gと同等かそれ以上の酸価を有するものがある。 例えば、少なくとも1の実施形態において、脂肪酸油混合物の酸価は、10〜25mgKOH/gの範囲である。 他の実施形態において、脂肪酸油混合物は0〜25mgKOH/gの範囲の酸価を有してよい。

    本発明に係る方法は、好ましくは、抽出と膜分離の両工程を含む処理によって、ビタミンE、特にビタミンE中のトコトリエノール含有量が高められた成分の製造に適する。 本発明の形態例は、公知の方法よりも非常に単純、かつより効果的である。

    膜 本発明に係る使用に好適な選択膜は、高分子膜とセラミック膜と混合高分子/無機膜である。 膜阻止率Riは、下記式(1):

    (式中、C Piは、透過物中の種iの濃度(透過物=膜を透過した液体)であり、C Riは、未透過物中の種iの濃度(未透過物=膜を透過しなかった液体)を示す。R(Vit)>R(不純物)である場合、本発明による方法が好適であることが理解される。ビタミンE成分トコトリエノール/トコフェロールが目的の成分(Vit)であるので、R(Vit)はR(不純物)より多くなければならない。)
    の通りに定義される専門用語である。

    本発明に係る少なくとも1種の選択膜は、脂肪酸混合物中に存在する少なくとも1種の天然不純物から、所望のトコトリエノール/トコフェロール量を分離することができる分離層を提供する高分子物質又はセラミック物質から形成されてよい。 例えば、少なくとも1種の選択膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアセテート、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリベンゾイミダゾール及びこれらの混合物を含む、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜又は逆浸透膜を製造するために適する高分子物質から選択される物質から形成されてよく、又は該物質を含んでよい。 少なくとも1種の選択膜は、焼結、延伸、トラックエッチング、鋳型浸出、界面重合又は位相反転を含む公知技術によって製造され得る。 少なくとも1の実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、プロセス溶媒中での安定性を向上するため、架橋又は加工されてよい。 例えば、非限定的言及は、引用によって本明細書中に取り入れられたイギリス特許第2437519号に記載された膜に基づいてなされてよい。

    少なくとも1の実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、担体物質と薄い無孔質選択的透過層を含有する合成物質である。 例えば、薄い無孔質選択的透過層は、エラストマー系ポリジメチルシロキサン(PDMS)、エラストマー系エチレンプロピレンジエン(EPDM)、エラストマー系ポリノルボルネン、エラストマー系ポリオクテナマ、エラストマー系ポリウレタン、エラストマー系ブタジエン及びニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、エラストマー系ブチルゴム、
    エラストマー系ポリクロロプレン(ネオプレン)、エピクロロヒドリンエラストマー、ポリアクリレートエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エラストマー系ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX)、ポリウレタンエラストマー、架橋ポリエーテル、ポリアミド、ポリアニリン、ポリピロール及びこれらの混合物を含むエラストマー系変性ポリシロキサンから選択される物質から形成されてよく、又は該物質を含んでよい。

    他の実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、焼結、鋳型浸出又はゾルゲル法等の当業者に周知の技術を使用して、例えば炭化珪素、二酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン及びゼオライト等の無機物質から調製される。

    更なる実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、高分子膜の約最大20重量%中に存在する粉末状固体の形態で、有機又は無機マトリックス分散高分子膜を含む。 カーボンモレキュラーシーブは、米国特許第6,585,802号に記載されている通り、好適物質の熱分解によって調製され得る。 米国特許第6,755,900号に記載されている通り、ゼオライトは無機マトリックスとして使用されてもよい。 例えば酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化珪素等の酸化金属は、商標AEROSIL及びADNANOに基づきEvonik Industries AG(ドイツ)社製の使用可能材料として使用されてよい。 セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物及びマグネシウム酸化物の混合物等の混合酸化金属も使用されてよい。 少なくとも1の実施形態において、マトリックスは、直径が約1.0ミクロン未満の粒子、例えば直径が約0.1ミクロン未満の粒子、例えば直径が約0.01ミクロン未満の粒子である。

    少なくとも1の実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、2種の膜から成る。 他の実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、3種の膜から成る。

    本発明に係る工程(c)及び任意に他の工程で使用される、少なくとも1種の選択膜は、ナノ濾過膜から成る。 本明細書中で使用されている通り、“ナノ濾過”という表現は、約150〜1500Daの範囲のモル質量を有する分子を分離する膜濾過を意味する。 少なくとも1の実施形態において、濾過用のトランス膜圧の範囲は、約0.3MPa〜約7MPa、好ましくは約0.5MPa〜約7MPaである。

    少なくとも1の実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、約150g/mol〜約1500g/molの範囲の分画分子量を有する。 本願の目的においては、分画分子量が、連鎖スチレンオリゴマーを90%阻止する分子量としてみなされる、See−Toh et al(2007)(Journal of Membrane Science,291(1−2),120〜125頁)の方法論に従って、分画分子量を定義する。 好適な実施形態において、少なくとも1種の選択膜は、約200g/mol〜約800g/mol、好ましくは約200g/mol〜約700g/mol、より好ましくは約300g/mol〜約600g/molの範囲の分画分子量を有する。

    選択膜が疎水性膜である場合に、本発明に係る方法において、特に良好な結果が得られた。 本願の目的において、“疎水性”とは、ASTM D7334に記載の静的液滴法を用いて測定されるように、選択膜が25℃で70°超の水接触を提供することを意味する。 好適な選択膜は、25℃で75°超の水接触角を有する。 特に好ましくは25℃で90°超、最も好ましくは25℃で95°超の水接触角を有する選択膜である。

    本発明に係る特に好適な疎水性膜は、ポリイミド膜であり、P84(CAS番号9046−51−9)及びP84HT(CAS番号134119−41−8)及び/又はそれらの混合物から成るポリイミド膜が特に好適である。 ポリイミド膜は、任意にイギリス特許第2437519号に従って架橋されてよい。 長文の繰り返しを避けるため、イギリス特許第2437519号の内容を、引用して総括的に本明細書中に取り入れる。 また、本発明において好適なポリイミド膜は、有機被覆ポリイミド膜であり、上記の架橋又は非架橋P84及び/又はP84HT製膜が特に好適である。 架橋又は非架橋被覆ポリイミド膜、特にP84及び/又はP84HT及び/又はそれらの混合物から成るポリイミド膜について、非常に良好な結果が得られた。 その際、該被覆物はアクリル酸シリコンから成る。 膜を覆うために特に好適なアクリル酸シリコンは、米国特許第6368382号、米国特許第5,733,663号、日本国特許第62−136212号、日本国特許第59−225705号、ドイツ特許第102009047351号及び欧州特許出願公開第1741481号に記載されている。 長文の繰り返しを避けるため、両出願の内容を引用して本明細書中に取り入れる。 それらは、本発明の明細書、特に特許請求の範囲の一部である。 本発明において、特に好適なのは、上記の特に好適なポリイミドとドイツ特許第102009047351号及び欧州特許出願公開第1741481号に記載されているアクリル酸シリコンの組合せである。 これらの組合せは、本発明の請求の範囲の一部である。

    不純物 本発明に係る方法は、脂肪酸油混合物から、ビタミンE、特にトコトリエノールが濃縮された組成物(製品1)を生産するために用いられる。 ジ−及びトリ−グリセリドとリン脂質とビタミンEの量に加え、脂肪酸油混合物は、多数の他の化合物、例えばより分子量の低い化合物又はより分子次元の低い化合物を含有する。 “不純物”という表現は、例えば、原料油中に存在する望ましくない天然化合物又は人工化合物を含むが、それらに限定されない。 “望ましくない”という表現は、目的のビタミンE、特にトコトリエノールの濃度が高められた製品における不要な不純物を意味する。 非限定例は、顔料、遊離脂肪酸又は嫌な味や匂いの原因となる化合物等を含む。 しかし、“不純物”は、原料油中に存在する食用又は動物飼料に不向きな天然成分及び人工成分、すなわち、例えば有害成分又は嫌な味又は匂いの原因となる成分を含んでもよい。 特に、不純物は、例えば時間が経つにつれ、生物濃縮し、有害性、変異原性、発癌性等の影響を与える可能性があるため、食用のための規制限度を有する化合物である。

    本発明に係る不純物は、ジ−及びトリグリセリド、及びリン脂質に限定されない。

    本発明に係る方法を適用すると、製品2として分離された、不純物濃度が低下し、かつビタミンE含有量が低下した脂肪酸油混合物と、製品1として分離された、ビタミンE、特にトコトリエノールの濃度が高められた組成物と、製品3として分離された、該脂肪酸油混合物及び該トコトリエノール濃縮組成物から除去された不純物を含有する組成物を得ることができる。 特定の場合において、該方法を適用すると、不純物レベルが、例えば食用の所望限度及び/又は規制限度の範囲内に属する製品2が得られる。

    初期の脂肪酸油混合物中の不純物の濃度と組成は、変更可能である。 例えば、地形や種等に基づいて変更されてよい。 場合によっては、不純物は存在しないか又は検出限界を下回ってよいが、本発明に係る方法を適用することによって、濃度が高められてもよい。 更に、製品1〜3のいずれかのみならず、初期脂肪酸油混合物中の不純物のレベル及び濃度を測定するために使用される方法(例:分析方法)は、検出限度及び定量限度に関して変更されてよい。 確立された方法、すなわち妥当性が確認された方法が、一部の不純物に利用されてよいが、他のものに利用することはできない。

    不純物の更なる非限定例は、遊離コレステロール及び/又はエステル型コレステロール、遊離脂肪酸、着色成分、酸化生成物、フィトステロール、その他のステロール、親油性ホルモン、モノグリセリド、アスタキサンチン、カンタキサンチン、その他のカルテノイド、キサントフィル、及びアルデヒド及び/又はケトン等の、油中に不要な匂いや味を生じさせる成分である。 少なくとも1の実施形態において、着色成分を除去すると、色味が改善された製品が得られ、不要な匂いや味を生じさせる成分を除去すると、味が改善された脂肪酸油混合物が得られる。

    不純物の重要分類の1つとして、環境汚染物質がある。 汚染地域から得た油は、例えば、遊離脂肪酸混合物を、食用又は動物飼料として不適にする環境汚染物質を高い水準で含んでよい。 本発明に係る方法では、環境汚染物質を除去し、その結果、高度汚染の油から、食用又は動物及び/又は魚の飼料に適する製品を製造する。

    トコトリエノール濃縮組成物の製造方法、及び脂肪酸油混合物から少なくとも1種の不純物を減少させる方法 本発明に係る実施形態のいくつかは、溶媒抽出処理とそれに続く少なくとも1の膜分離工程を用いて、上記の通り定義された脂肪酸油混合物から、少なくとも1種のビタミンE成分、好ましくはトコトリエノールの濃度が高められた組成物を製造する方法に関する。 更に、本発明に係る実施形態のいくつかは、溶媒抽出工程と少なくとも1の選択膜を使用して、該脂肪酸油混合物から、不純物を減少させる方法に関する。

    本発明に係る方法の工程(a)において、1以上の液液抽出平衡段階で二相混合物を形成させるため、初期脂肪酸油混合物を有機溶媒と混合する。 二相の混合は、例えばスタティックインラインミキサー、ダイナミックインラインミキサー、及び/又はメカニカルスターラーを内装する攪拌槽等の当業者に公知の技術によって達成されてよい。 二相の分離は、例えば重分離、遠心分離、及び/又はそれらの組合せ等の当業者に公知の技術によって達成されてよい。 更に、二相の混合と沈降分離は、例えば遠心分離システム、充填カラムシステム、パルスカラムシステム、バケット接触システム又は当業者に公知の他の装置等の専用溶媒抽出ユニットで達成されてよい。

    “有機溶媒”という表現は、例えば分子量が300ダルトン未満の有機液体を含む。 “溶媒”という表現は、有機溶媒と水の混合物だけでなく、溶媒混合物中で微量成分として有用な有機溶媒の混合物を含む。

    非限定例として、有機溶媒は、溶媒混合物中で微量成分として有用な、芳香族化合物、アルカン、ケトン、グリコール、塩化溶媒、エステル、エーテル、アミン、ニトリル、アルデヒド、アルコール、フェノール、アミド、カルボン酸、フラン、CO 及び双極性非プロトン溶媒、及びそれらと水の混合物を含む。

    本発明で使用される有機溶媒は、食品グレードへの適用が認可された有機溶媒、特に2009年4月23日付の欧州議会及び欧州理事会指令2009/32/ECの付属書1による有機溶媒が好ましく、溶媒混合物中で微量成分として有用な、プロパン、ブタン、酢酸エチル、エタノール、二酸化炭素、アセトン、亜酸化窒素、ヘキサン、酢酸メチル、エチルメチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、2−プロパノール、ジエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン及びそれらの混合物及び水との混合物を含むリストから選択される食品グレード溶媒が最も好ましい。

    非限定例として、無極性脂肪酸油混合物を抽出する際、二相混合物を形成するための、例えばトリグリセリド油、好ましくは有機溶媒は、溶媒混合物中で微量成分として有用な、エタノール、メタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、及びそれらと他の有機溶媒と任意に水との混合物を含む。

    非限定例として、極性脂肪酸油混合物を抽出する際、二相混合物を形成するための、例えばリン脂質油、好ましくは有機溶媒は、溶媒混合物中で微量成分として有用な、プロパン、ブタン、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、酢酸メチル、エチルメチルケトン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、及びそれらと他の有機溶媒と任意に水との混合物を含む。

    当業者には、(i)脂肪酸油混合物の成分(例:遊離脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質等)の化学的特性と相対量の両方によって、二相混合物を維持し、かつビタミンE成分、特にトコトリエノール化合物を抽出するための、好適な有機溶媒又は有機溶媒混合物が選択され、かつ(ii)これらの好適溶媒及び混合物が、理論考察のみから予見され得ると理解される。

    溶媒がアルコールから選択される場合に、非常に良好な結果が得られた。 特に好適な溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールから選択される。 極めて好適な溶媒は、メタノール及びエタノールから選択される。

    “有機溶媒”という表現は、プロパン、ブタン又は二酸化炭素等の液化ガス又は超臨界ガス、及び液化ガス又は超臨界ガスと有機液体(例:メタノール又はエタノール)との混合物を含んでもよい。

    当業者には、抽出処理は、使用する溶媒に依って、幅広い条件で実施可能であると理解される。 非限定例として、有機液体溶媒が使用される際、抽出処理のための動作圧は、絶対圧1atm〜絶対圧50atmの範囲、好ましくは絶対圧1atm〜絶対圧20atmの範囲、特に好ましくは絶対圧1atm〜絶対圧10atmの範囲、最も好ましくは絶対圧1atm〜絶対圧5atmの範囲であってよい。 非限定例として、液化ガス又は超臨界ガスが使用される際、抽出処理のための動作圧は、絶対圧1atm〜絶対圧1000atmの範囲、好ましくは絶対圧5atm〜絶対圧600atmの範囲、最も好ましくは絶対圧5atm〜絶対圧400atmの範囲であってよい。 更に、当業者には、非限定例として、抽出処理のための動作温度は、−20℃〜200℃の範囲、好ましくは0℃〜150℃の範囲、特に好ましくは20〜100℃の範囲、最も好ましくは30℃〜80℃の範囲に属し得ると理解される。

    更に、当業者には、溶媒抽出処理を適用することにより、二相が製造されると理解される。 第一相では、主に脂肪酸油混合物を含有し、抽出システムに供給される初期脂肪酸油混合物と比較して、ビタミンEが減少され、任意に少なくとも1種の不純物が減少される。 第二相は、主に抽出溶媒、ビタミンE、任意に少なくとも1種の不純物、及び抽出溶媒組成物を飽和させる分量の脂肪酸油混合物を含有する。

    第一相における脂肪酸油混合物のジ−/トリグリセリド及びリン脂質組成物は、本質的には初期供給脂肪酸油混合物と同じであり、従って、脂肪酸油混合物中の異なる脂肪酸の固有比を維持している。 本発明に係る実施例の中には、脂肪酸油混合物に溶融する抽出溶媒が蒸発すると、第一相自体が製品2になるものもある。 本発明に係る更なる実施形態において、第一相は、当業者に公知の更なる単位操作で処理される。 非限定例として、これらの操作は、脱ろう、尿素沈殿、分留又は分子蒸留を含む蒸留、吸着、抽出、熱的加熱、水素化過程を含む反応を含んでよい。

    以下で指摘される通り、第二相は、工程(a)で共抽出される不純物からビタミンE成分を分離するために膜濾過の対象となる。 通常、第二相は、間に更なる精製工程を挟むことなく膜濾過の対象となる。 しかし、特殊であるだけでなく、好適な代替形態において、本発明に係る方法は、工程(c)の膜に透過する前に、抽出物、すなわち第二相を冷却する工程を含む。 これにより、第二相に含まれる遊離脂肪酸が沈殿し、濾過によって容易に分離され得る。 任意に、尿素等の、脂肪酸と複合化する添加剤が、沈殿を促進させるため該液体に添加されてよい。 しかし、この代替形態において、追加工程により製品1の品質が著しく向上する場合には、該追加処理工程を入れなければならない。

    不純物からのビタミンE成分の分離は、ビタミンE濃縮抽出溶液(上記の第二相)を、ビタミンE、すなわち未透過物を残し、脂肪酸だけでなく不純物、すなわち透過物を透過させる少なくとも1の選択膜に透過させることにより達成されてよい。 加圧力等の動力源は、内容物を膜に透過するために使用される。 少なくとも1の実施形態において、加圧力は1〜100バールの範囲である。 例えば、加圧力は5〜70バール、例えば15〜60バールの範囲であってよい。

    前に指摘した通り、本発明に係る方法は、開示された抽出処理と選択膜を使用して、脂肪酸油混合物から、少なくとも1種のビタミンE成分を含有する濃縮物(製品1)を製造すること、特に、ビタミンEのトコトリエノール含有量を増やすことを目的として用いられ、その結果、初期の脂肪酸油混合物と比較して、少なくとも1種のビタミンE成分、特にトコトリエノールの濃度が高められた組成物が製造される。

    本発明に係る方法は、初期脂肪酸油混合物からビタミンE成分の大部分を分離することを可能にする。 しかし、驚くべきことに、発明者は、所望すれば、初期脂肪酸油混合物と比較してビタミンE成分の組成が異なる製品1を得ることも可能であることを発見した。 彼らは、工程(a)で特定の有機溶媒又は有機溶媒の混合物を使用することにより、トコトリエノールを選択的に抽出し、トコフェロールに対するトコトリエノールの割合が初期脂肪酸油混合物よりも高い製品1を得ることが可能であることを発見した。

    従って、特殊かつ好適な実施形態において、本発明に係る方法は、好適溶媒の選択工程と溶媒スクリーニング工程から成り、それぞれの有機溶媒及び好ましくは脂肪酸油混合物に対する有機溶媒の各混合割合が試験される。 選択“抽出”に適合するために、有機溶媒は、脂肪酸油混合物と接触した後、二相混合物を形成しなければならない。 この特殊な実施形態における“有機溶媒”という表現は、上記の一般的な定義と類似する。 すなわち、該表現は、有機溶媒の混合物及び有機溶媒と水との混合物も含む。

    試験される各有機溶媒又は溶媒混合物のための溶媒スクリーニングは、以下の工程から成る。
    ボトム画分と抽出画分を得るために、有機溶媒又は溶媒混合物とともに脂肪酸油混合物のサンプルを抽出する工程であり、試験されるサンプルが本発明に係る工程(a)用の原料として使用される脂肪酸油混合物と同一であることが好ましく、
    抽出画分だけでなくボトム画分における、少なくとも1種のトコフェロール及び少なくとも1種のトコトリエノールの濃度を測定する工程であり、以下の実施例2で実証される通り、原料油中に異なる型のトコトリエノールとトコフェロールが通常存在し、原料油中に1以上の型のトコトリエノール及び/又はトコフェロールが存在する場合であっても、手間を省くため、1つの型のトコトリエノールと1つの型のトコフェロールの濃度を分析すれば足り、しかしながら、全型のトコトリエノールと1つの型のトコフェロールの濃度が測定される場合、スクリーニングの結果はより特徴的であり、従って好ましく、
    次の工程において、脂肪酸油混合物と比較した少なくとも1種のトコトリエノール及び少なくとも1種のトコフェロール、好ましくは該工程で先に濃度が測定された全種類のトコトリエノール及びトコフェロールに対する分配係数PCを計算する工程であり、PCがボトム画分におけるトコトリエノール及びトコフェロールの濃度に対する、抽出画分における同トコトリエノール及び同トコフェロールの濃度の割合として定義され、上記で説明される通り、1つの型のトコトリエノール及び1つの型トコフェロールに対するPCを計算すれば足りるが、原料に含まれるより多くの型のトコトリエノール及びトコフェロールに対するPCが計算され、全型のトコトリエノール及びトコフェロールに対するPCが計算されることが特に好ましいか� ��成る。

    溶媒選択工程において、抽出に用いられる脂肪酸油混合物に対する有機溶媒の少なくとも1の混合割合に対するPC トコトリエノールがPC トコフェロールのものよりも高い溶媒を工程(a)用に選択する。 以下の実施例2で示す通り、トコトリエノールとトコフェロールのPCは溶媒だけでなく、抽出のために選択される脂肪酸油混合物に対する溶媒の割合にも依る。 従って、脂肪酸油混合物に対する溶媒の特定の割合又は特定の割合範囲のためだけに、溶媒のPC トコトリエノールがPC トコフェロールよりも高くなることが有り得る。 その場合、本発明に係る方法の工程(a)において、そのような溶媒をPC トコトリエノールがPC トコフェロールよりも高くなるような溶媒と油の比率で使用することが好ましい。

    PC トコトリエノールとPC トコフェロールが周知であるか、又は別々に求められる場合、これは本発明に係る特別な実施形態に含まれる。 工程(a)用の溶媒を選択するために、PCを知ることのみが必要である。

    従って、この特殊な実施形態において、PC トコフェロールに対するPC トコトリエノールの割合が1〜約1000、好ましくは1.05〜500、より好ましくは1.1〜100、よりいっそう好ましくは1.5〜100、最も好ましくは2〜50の範囲の有機溶媒又は有機溶媒混合物を使用することが特に好適である。 トコトリエノール含有量が極めて高く、トコフェロール含有量が低い製品1を得るために特に好適な有機溶媒又は溶媒混合物は、非極性脂質のために第一級アルコール、特にメタノール、極性脂質のためにアルカン又は類似の極性を有する溶媒を含む。

    工程(c)において、抽出溶媒を含有する第二相を、膜の第一表面と接触させ、好ましくは、該溶媒を接線方向に流すことによって第一表面と接触させる。 この好適な方法は、“クロスフロー”濾過又は“タンジェンシャルフロー”濾過として一般的に知られている。 結果として、ビタミンEが未透過物として残り、少なくとも1種の不純物が、少なくとも1の選択膜を透過し、透過物質を形成する。 本発明は、抽出溶媒を含有する第二相を、1以上、例えば2又は3の選択膜の少なくとも1の第一表面と接触させる実施形態から成る。 特殊な実施形態及び非限定例において、抽出溶媒を含有する第二相を、第一選択膜を透過する不純物を除去するために、第一選択膜の一表面と最初に接触させてよい。 その後、第一選択膜からの抽出溶媒を含有する第二相を含む未透過物を、第二選択膜を透過する不純物を除去するために、第二選択膜の第一表面と接触させてよい。 第一選択膜と第二選択膜は同一のものであってもよく、又は異なる不純物を異なる膜に透過させるため、相違するものであってもよい。 当業者には、抽出溶媒を含有する第二相を3以上の選択膜と接触させることは、所望の製品を製造するために必要であると理解される。

    更なる実施形態において、ビタミンEを含有する未透過物とビタミンEが減少した透過物を製造するために、抽出溶媒を含有する第二相を、第一選択膜の第一表面と接触させてよい。 該透過物は、その後、第一選択膜からの透過溶液を、第二選択膜の第一表面と接触させ、ビタミンEを含む更なる未透過物と少なくとも1種の不純物を含有する透過物流を製造するのに十分な濃度のビタミンEを含んでよい。 当業者にとって、第一透過溶液を第二膜で処理することにより、所望のビタミンEの収量が増加することは明白である。 更に、当業者にとって、抽出溶媒を含有する第二相とビタミンEを含有する未透過物を処理する一連の選択膜と、他の選択膜からの透過溶液を処理する一連の選択膜の両方を含む工程構成がふさわしいことは明らかである。

    従って、少なくとも1の実施形態において、本明細書中で開示される方法は、任意に、未透過溶液を製造するため、未透過物と有機溶媒を混合する工程;未透過溶液を少なくとも1の選択膜に透過して、ビタミンEを含有する第二未透過物を製造し、かつ少なくとも1種の不純物を含有する第二透過物を製造する工程;かつ、ビタミンEの濃度が高められた第二組成物を製造するため、第二未透過物から有機溶媒を除去する工程を更に含む。 更に他の実施形態において、本明細書中で開示される方法は、任意に、透過溶液を製造するため、透過物を有機溶媒と混合する工程;透過溶液を少なくとも1の選択膜に透過して、ビタミンEを含有する第二未透過物を製造し、かつ少なくとも1種の不純物を含有する第二透過物を製造する工程を更に含む。

    少なくとも1の実施形態において、混合、透過及び除去工程の繰り返しが約10分〜約20時間の間、継続されてよい。 例えば1つの実施形態において、約30分〜約5時間の間、混合、透過及び除去工程を繰り返し継続する。 溶液を少なくとも1の選択膜の表面に透過させるために、(時折、クロスフロー濾過としても参照される)タンジェンシャルフロー濾過を使用する場合、該工程における膜表面の線速度は、約0.1m/秒〜約5m/秒、例えば約0.5m/秒〜約3m/秒の範囲であってよい。

    本明細書中で開示される方法において、ビタミンE濃縮抽出組成物中のトコトリエノール含有量を高めるため、透析濾過を使用することが好ましい。 透析濾過は当業者に周知であり、膜を透過する低分子量種の量を増やすために、新液を濾過される溶液に添加する方法である。 透析濾過は、少なくとも2種の溶質を含有する供給溶液を膜と接触させ、その際、少なくとも1種の溶質が、少なくとも1種の他の溶質よりも高い膜阻止率を有し、かつ加圧することにより、該液体の画分のいくつかを膜に透過させる液体濾過方法である。 膜に透過する液体を追加するため、追加液体は膜の加圧面に供給される。 透過物及び未透過物において、より多く残る溶質の濃度とあまり残らない溶質の濃度の比率は、未透過物の増加と透過物の減少により、様々である。 従って、少なくとも1の実施形態において、液体を少なくとも1の選択膜に透過する工程は、透析濾過を含む。

    本発明のための特に好適な方法は、クロスフロー濾過と透析濾過の組合せである。 デッドエンド濾過のような他の公知方法と比較し、本発明に係る好適方法は、ファウリングが少ないこと、物質的損失が少ないこと、装置の寿命が長いこと等のいくつかの利点を提供する。 要するに、効率が非常によい。

    任意に、ビタミンEの濃度が高められた未透過物中の溶媒が工程(d)において除去され、その結果、製品1としてビタミンE濃縮組成物が製造される。 ビタミンE濃縮組成物は、その後任意に、ビタミンE濃度がより高く、及び/又は特にビタミンE中のトコトリエノール画分濃度が更に高められた組成物を製造するため、処理されてよい。 いくつかの実施形態において、ビタミンE、特にトコトリエノール化合物の濃度を高めるため、又は分離するため、追加の溶媒抽出処理がビタミンE濃縮組成物に施されてよい。 ビタミンE濃縮組成物を処理する更なる技術は、非ビタミンE成分及び/又は残りの不純物を除去するために、少なくとも1の吸収剤又は吸着材から成る少なくとも1の吸着処理を含む。 例えば少なくとも1の実施形態において、精製されたビタミンEを、活性炭、又は例えば製品に残る遊離脂肪酸を除去し得るシリカ形態等の、他の適切な吸収剤又は吸着剤で処理する。 更なる実施形態において、変性シリカ等の他の適切な吸収剤又は吸着剤は、ビタミンE又は特にトコトリエノールを選択的に結合させるために使用されてよく、従って、組成物中の他の成分から所望のビタミンE/トコトリエノール化合物を分離することが可能となる。 更なる実施形態において、透析濾過技術は、ビタミンE、特にトコトリエノールの濃度を更に高めるため、又は分離するために使用されてよい。 非限定例において、そのような透析濾過技術は、画分透析濾過及び分子透析濾過を含んでよい。 更なる実施形態において、液体クロマトグラフ技術は、ビタミンE、特にトコトリエノール化合物の濃度を高めるため、又は分離するために使用されてよい。 これらのクロマトグラフ技術は、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)又は超臨界クロマトグラフィーを含んでよい。

    工程(e)において、少なくとも1種の不純物を含有する、透過物質の溶媒は任意に回収されてよい。 回収された溶媒はその後、工程(a)の溶媒抽出で再使用されてよい。 非限定例において、溶媒はフラッシュ蒸発又は薄膜蒸発等の熱処理によって回収されてよく、又は少なくとも1種の不純物が濾過膜によって阻止される膜濾過処理を使用して回収されてよい。 更に、少なくとも1の実施形態において、透過物質は、少なくとも1種の不純物種から所望の成分を回収するため、更なる処理の対象となる。 その後の所望の成分(製品3)の回収は、利用によっては、例えば分子蒸留、短工程蒸発、又はHPLC(高圧液体クロマトグラフィー)又は超臨界クロマトグラフィー等のクロマトグラフ工程によって実施されてよい。

    更に、原料脂肪酸油混合物は、上記の通り溶媒抽出工程で出発物質を構成する前に、単一又は複数の工程で前処理されてよい。 そういった処理工程の例としては、脂肪酸油混合物を水で洗浄し、乾燥させてよい。 洗浄と乾燥の前処理工程によって、膜のファウリングの原因となり得る成分が、システムに溜まるのを防ぎ得る。 代替として、腐食剤精製又は酸洗浄が同目的のために使用されてよい。

    脂肪酸油混合物を水相(例:水、腐食剤、酸)で洗浄する工程と乾燥工程を実施するため、例えば脂肪酸油混合物をスタティックミキサーによって水相と混合してよい。 脂肪酸油混合物と水相の分離は、例えば遠心分離機又はタンク内での重量分離によって実施されてよい。 その後、残留物は例えば乾燥機の真空下で除去されてよい。

    従来の植物油精製(例えば、コーン油、大豆油、ひまわり油、パーム油)において、熱分離(蒸留)処理である物理精製及び脱色工程が、ビタミンEを含む廃水流を製造することが知られている。 該処理は、脂肪酸油混合物からビタミンEを除去するのに効果的だが、ビタミンEの(抗酸化特性による)熱感受性は、ビタミンEの大部分がこれらの熱処理技術中に破壊されることを意味する。 これは、植物油精製で使用される典型的な熱処理技術からの収量が非常に低い、より価値が高く、かつ強力な抗酸化トコトリエノール種似おいて真である。 植物油用の従来の熱精製技術による、ビタミンE、特にトコトリエノールの収量は、本発明に係る方法を使用して得られる収量よりも著しく低い。 従来の植物油精製処理の温度は、170〜250℃の範囲かそれよりも高い範囲である。 本明細書中で開示される方法は、ビタミンE、特にトコトリエノールの収量が優れた溶媒の選択における、脂肪酸油混合物の溶解性に依って、通常30〜50℃の範囲の温度で実施される。 少なくとも1の実施形態において、該方法は、約−10℃〜約60℃、例えば約25℃〜約50℃の範囲の温度で実施されてよい。

    開示の方法は、酸化の高い油、例えば酸化が約0〜約25mgKOH/g、好ましくは約0.2〜約25mgKOH/gの範囲の油だけでなく、トリグリセリド油又はリン脂質油、特に全水準の遊離脂肪酸とともに使用され得る。

    特に多価不飽和脂肪酸は、熱劣化に弱いことで知られる。 他のビタミンE濃縮溶液の製造方法と比較して、本明細書中で開示される方法は、穏やかな温度条件で効果的に実施されてよい。 他の公知方法は、多価不飽和脂肪酸にとって有害なより高い温度を含む。 例えば、温度感受性物質に対する熱的損傷を最小限にする穏やかな温度であると考えられている、−10℃〜+60℃の範囲の周囲温度に近い温度で、膜濾過は実施されてよい。 例えば、100℃以上の温度及び150℃以上の温度は、油の質を低下させる不要な化合物を招く、油の酸化及び異性化を急速に発生させるため、ω−3−多価不飽和脂肪酸にとって有害であると考えられている。 これは、本発明に係る方法を用いることにより、この方法を適用した脂肪酸油混合物(製品2)が、供給脂肪酸油混合物と本質的に同じ脂肪酸組成物を有することを意味し、脂肪酸油混合物の価値と質を維持するため、重要な利点となり得る。

    更に、本明細書中で開示される方法は、個々のトコフェロール/トコトリエノール種の収量及び/又は含有量に関する他の要件に適合し得る。 例えば、他の溶媒システムと比較し、全ビタミンE化合物に高分配係数値を与える溶媒を選択することによって、脂肪酸油混合物から抽出されたビタミンE(すなわち、トコフェロールとトコトリエノールの両方)の量を最大化するために、抽出溶媒を選択することが可能である。 しかしながら、他のビタミンE化合物と比較して、高分配係数をもつ化合物が、溶媒抽出溶液中で選択的に濃縮されるように、1以上のビタミンE化合物にとって好適な分配係数値を示す溶媒を選択することも可能であることが好ましい。 従って、当業者には、目的の収量又は選択する方法に依って、溶媒システムを選ぶことが適当であると理解される。 従って、本明細書中で開示される方法は非常に融通のきくものであり、抽出量と選択は、(例えば脂肪酸油、グリセリド、リン脂質、不純物及び/又はビタミンEを異なる濃度で含有し得る、)様々な出発脂肪酸油混合物を処理するだけでなく、様々な製品需要に応えるため変更されてよい。

    本発明に係る方法の利点は、所望すれば何でも、1、又は同時に2又は3の製品を分離することができることである。

    結果組成物 本発明は、本明細書中で開示される方法から製造される組成物にも関する。 そのような組成物は、未透過物、精製油、及び/又は透過物質を含んでよい。 本発明は、食品又は飼料グレードのグリセリド油又はリン脂質油を製造する、例えば吸着及び蒸留処理等の更なる処理後の精製油(本発明に係る方法における溶媒抽出工程から製造される油相)にも関する。 少なくとも1の他の実施形態において、精製油はパーム油を含む。 少なくとも1の他の実施形態において、開示の方法は、原料油と比較して、少なくとも1種の不純物が少なくとも80%減少された、食品又は飼料グレードのグリセリド油又はリン脂質油を製造する。

    更に他の実施形態において、開示の方法は、原料油と比較して、ビタミンE、(植物油からの)フィトステロール、(動物性油からの)コレステロール、アスタキサンチン、カンタキサンチン、β−カロテン又は他のカロテノイド等の天然着色料、脂溶性ホルモン、及びキサントフィルの濃度が高められた、膜濾過処理による未透過物等の組成物を製造する。 少なくとも1の更なる実施形態において、該方法は、未透過物等の組成物、つまり原料油と比較し、トコトリエノールの濃度が高められた組成物を製造する。 少なくとも1の更なる実施形態において、未透過物等のトコトリエノール濃縮組成物は、トコトリエノールを少なくとも10重量%含有する組成物を製造するため、任意に、例えば吸着、抽出又は蒸留処理と組み合わされてよい。 少なくとも1の更なる実施形態において、トコトリエノール濃縮組成物は、特にトコトリエノールとトコフェロールの組合せ又はトコトリエノールを含む組成物を製造し、又は特定のトコトリエノール化合物を分離するため、更に任意に、例えば分子蒸留又はクロマトグラフィーで処理されてよい。

    参考例1

    一段式抽出 抽出とは、溶媒と呼ばれる第二の不混和液と接触させることによって、液体溶液中の1以上の成分を分離するための処理である。 原液中の成分が二相間で別々に分かれると分離が生じる。

    本発明に係る方法の第一工程は抽出工程であるので、潜在的な溶媒のスクリーニングはこの参考例1で行われる。

    最初にメタノールについて、3種類の植物油からα−トコフェロール及びFFAを抽出する場合の効率性を試験した。 35℃で、マグネチックスターラーを使用し、200〜300mlの油と溶媒を混合した。 混合物を重力分離すると、油が底に溜まった。 溶媒を蒸発させることなく、抽出画分とボトム画分におけるα−トコフェロール及びFFAの両濃度を測定し、両化合物の分配係数を得た。 分配係数は以下:PC=抽出画分における濃度/ボトム画分における濃度、の通りに計算される。 表1は、3種の植物油に関するメタノール抽出の分配係数を要約したものである。

    菜種油の実施例において、質量のバランスをとるため、0.39に3(溶媒は油の3倍以上)を掛け合わせる必要がある(1.17:1)。

    メタノールは、パーム油からのα−トコフェロールの抽出にあまり効果的でないと思われる。 これは、他の2つの油と比較して、グリセリドとFFAの高い含有量から理由づけられる。 菜種油は、FFAとα−トコフェロールのPCが近似しすぎているため、好適な抽出を提供できない。

    エタノールも油と混和する溶媒ではないが、付加価値化合物に対して効果的である。 メタノール及びエタノールについて、溶媒と油の割合が3:1で、パーム油からトコフェロールとトコトリエノールの両方を抽出する場合の効率性を試験した。 トコフェロール及びトコトリエノールの分配係数は、表2で示される、抽出画分とボトム画分における付加価値化合物の濃度を測定することによって得た。

    エタノールは、抽出溶媒としてより効果的である。 エタノールは、TTとTPの抽出能力及び価格/価値に基づく更なる研究のために選択された。

    参考例2

    トコフェロール及びトコトリエノールの分配係数 実施例1の溶媒スクリーニングを継続した。 しかし、参考例2においては、TTとTPをそれぞれ選択的に抽出できるか否か、すなわちTTのみ又はTPのみを選択的に濃縮できるか否かを試験した。

    表3は、パーム油中のトコフェロール及びトコトリエノールの個々の分配係数である。 表に記載された油と溶媒の比率で、パーム油とエタノール(表3のPC Eth参照)、及びパーム油とメタノール(表3のPC Methを参照)を接触させることにより値を測定した。 例えば、PC Eth 1:5は、パーム油1に対し、エタノール5が接触されたことを意味する。 表3は、溶媒、及び油と溶媒の比率によって、様々なトコフェロール/トコトリエノール化合物に対する分配係数が異なることを示し、種が選択的に抽出され得ることを示唆している。 更に、平均してエタノール抽出の分配係数は、メタノール抽出の分配係数よりも高く、油と溶媒の比率によって、より高い収量を提供する溶媒を選択することが可能であることを示唆している。

    参考例3

    多段式抽出 本発明に係る方法の工程(a)をどう最適化し得るか更に評価するため、多段式抽出を試験した。

    多段式抽出は、並流状、逆流状又は向流状に配置され得る。 並流配置において、第一段階抽出(溶媒+付加価値化合物)は、第二段階へ新供給材として順次送られる。 その後、所望の除去が成されるまでこの方法を繰り返す。 逆流多段式抽出新溶媒は、単一供給溶液の代わりに各段階で添加される。 向流配置は、一般的に、溶質の高い抽出濃度と高い抽出度のバランスが最もよい。 新溶媒を、供給溶液とともに向流へ添加する。

    パーム油からTP、TT及びFFAを抽出するため、メタノールを使用した。 35℃で、マグネチックスターラーを使用し、200〜300mlの油を1:2の比率で溶媒と混合した。 該混合物を重力分離すると、油が底に溜まった。 抽出画分及びボトム画分において、付加価値化合物の濃度を測定することにより、α−トコフェロールとFFAの分配係数を得た。 表4は、逆流配置及び並流配置の4段階における、パーム油のメタノール抽出のための分配係数を要約したものである。

    TP及びTTの濃度を高めるために必要段階の最小限度、及び溶媒の使用法とパーム油:溶媒の比率の最も良い組合せを調べるため、数学シミュレーションを作製した。 表5は、OSN処理後の濃縮係数を含む、FFA及びTP/TTのための実験的分配係数を用いる4つのオプションを要約したものである。

    多段式処理を使用すると、TP及びTTの濃度が高められた最終製品を提供することができる。 向流配置は、濃縮率と溶媒の使用法の組合せが最も良好な方法である。

    工程(a)抽出 35℃で、マグネチックスターラーを使用し、パーム油200〜300mlをメタノールと混合した。 該混合物を重力分離すると、油が底に溜まった。 その後、抽出物をとり出し、パーム油から再度、純メタノールとともに付加価値化合物を抽出した。 参考例1のように、抽出画分とボトム画分における付加価値化合物の濃度を測定することにより、TP、TT及びFFA(遊離脂肪酸)の分配係数を得た。 表6は、2段階メタノール抽出のための分配係数を要約したものである。

    工程(c)抽出物の膜分離材料及び方法 METcellクロスフロー濾過装置(エボニックメンブレインエクストラクションテクノロジーリミテッド社製、イギリス、ロンドン)は、800mL容量の供給容器と直列結合した2〜6のクロスフローセルを通るポンプ式再循環ループを備えていた。 クロスフローシステムは、図1に図式的に示される。 ギアポンプ(図1の再循環ポンプ)からの供給により、クロスフローセルで混合された。 フローは、膜盤の外径にある膜表面へ接線方向に導入され、濾過セル/盤中心にある排出部に向かって螺旋流状に流れた。 いかなる防腐剤/状態調節剤を膜から洗い流し、かつ膜の圧密度を最大化させるため、ナノ濾過膜盤は、一定のフラックスが得られるまでメタノールによって動作圧と温度が調節された。

    その後、試験混合物を所望の動作圧と温度で状態調節された各膜盤に透過した。 供給溶液、透過溶液及び未透過溶液のサンプルを分析のために収集した。

    表7は、研究に使用された膜とそれらの膜それぞれの公称分画分子量(NMCO)の一覧である。 全ての膜は、P84ポリイミド製の有機溶媒ナノ濾過膜である。

    結果及び検討膜性能 (i)一定期間、膜の透過流束、及び(ii)乾燥重量、FFA、TT及びTPの阻止率を観察することにより、膜性能を評価した。 これらのパラメータを使用し、TP、TT及びグリセリドの分離効率を評価した。

    (i)(L・m −2・hr又はLMHで測定される)溶媒流束Jは、下記式を用いて計算される。

    (式中、Vpは膜への透過量(L)、Amは、膜面積(m )、t(hr)は、透過にかかる時間である。)

    (ii)種の阻止率は、透過溶液と未透過溶液間の種を分離する膜性能を計測するために用いられる。 それは、下記式によって定義される。

    フラックスが10LMH超、TPとTPの阻止率が+95%、乾燥重量とFFAの阻止率が理想的には50%未満(80%未満でも可)である時、膜性能は良好であると考えられる。

    スクリーニング 膜の特性を測る前に、膜中に存在する状態調節剤を除去するため、まずそれらの膜を純粋溶媒で所望の濾過圧と温度に状態を調節した。 その後、残留溶媒を排出させ、定量の原料パーム油溶液と溶媒とを混合し、供給タンクに充填した。 この作業用のプロセス溶媒としてメタノールを選択した。 油と溶媒を1:2の比率で、パーム油を2回抽出した。

    その後、特定の動作圧及び温度での連続的なクロスフローで膜を試験した。 4時間の濾過を行った後、透過物と未透過物のサンプルを収集した。 膜性能を測定するため、各膜に対する未透過物と透過物のサンプルを分析した。 表8は、スクリーニング試験のデータを示す。

    DM300は、全ての選択パラメータにおいて、溶解化合物の良好な阻止率を示す。 この膜は、溶媒回収用の後工程(d)〜(F)に適する。 DM500とPM280は、いずれも高い透過フラックスとFFA及び“乾燥重量”(油のグリセリド含有量の間接的測定)の低い阻止率を示しており、この分離工程(c)に適していることを示唆している。 PM280は、TPとTTの両阻止率は高いが、これらの化合物と抽出可能化合物との阻止率の差があるため、工程に好適な膜である。 TPとTTの阻止率がより高いことから、最も好適な動作圧及び温度は、20バール及び30℃である。

    特定の膜及び動作条件によって、実用的な方法が提供され得るか評価するため、実施例1の結果に基づき、多数のシミュレーションを行った。

    質量バランスの異なるモデルAバッチとフェドバッチを使用して、シミュレーションを行った。 最終製品におけるTPとTTの濃度を20倍に高められるか評価するため、一定量透析濾過を使用した。

    数学的モデルによる予測の妥当性を評価するため、実験を実施した。

    材料及び方法 実施例1と同一のMETcellクロスフロー濾過装置(エボニックメンブレインエクストラクションテクノロジーリミテッド社製、イギリス、ロンドン)を使用した。 膜として、DM500及びPM280を使用した。

    結果及び検討膜性能 膜性能は、実施例1に記載されるように評価された。

    スクリーニング:バッチ及び透析濾過 膜の特性を測るために、膜中に存在する状態調節剤を除去するため、まずそれらの膜を純粋溶媒で所望の濾過圧と温度に状態を調節した。 その後、残留溶媒を排出させ、(パーム油とメタノールの比率が1:2である2種類の連続抽出から製造された)抽出溶液0.8Lを供給タンクに充填した。 一定のフラックスに達するまで、動作圧と温度で継続的に膜を試験した。 その後、供給量を10分の1にし、TP/TTの濃度向上化に第一バッチ濃縮工程を適用して実験を再開した。 FFA除去のための透析濾過方法が続く。 この方法においては、FFA及びグリセリドに富む溶液を連続的に透過する一方で、供給タンク内の量が一定となるように、新液を透過流率と同じ比率で添加する。 バッチと透析濾過の終点で、透過物と未透過物のサンプルを収集した。 実験から、DM500に対し透析濾過容量合計2、及びPM280に対し透析濾過容量合計3を得た。 分離性能結果を得たため、各試験中の膜フラックスを記載する。

    PM280及びDM500は、いずれもTP及びTTの高い濃度向上を提供する。 工程中、DM500に対するフラックスは高いが、PM280は抽出物から最大97%のFFAを除去可能である。

    バッチ濃縮工程でのPM280の使用と透析濾過容量3によって、TP及びTTの良好な濃度向上、更に抽出物中のFFAの除去が十分達成されうる。 図2で示されるように、モデル予測は測定量と一致している。

    実施例の要約 実施例及び参考例は、本発明に係る方法が以下のもの:
    製品1:より濃度が高められ、純粋なビタミンE画分であり、参考例で示す通り適切な溶媒を選択することによって、TT及びTCの割合を調節できる製品製品2:参考例で示す通り、ビタミンE成分及びFFAが工程(a)で抽出されることによる純粋油画分を得るために非常に好適であることを示す。 また実施例は、DM300のような特定の膜によって、熱感受性ビタミンE成分に対し高温処理を施すことなく、最終相から溶媒をスムーズに回収できることを示す。

    実施例及び本明細書中で提供される情報より、当業者が、当方法を他の原料油に応用することが可能となる。

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