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連続冷却及びそれに続く焼鈍中にオーステンパされたオースフェライト鋼を製造するための方法

阅读:850发布:2021-05-29

专利汇可以提供連続冷却及びそれに続く焼鈍中にオーステンパされたオースフェライト鋼を製造するための方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】オースフェライト鋼のコスト効率的な製造のための改善された方法を提供する。 【解決手段】1.5〜4.4質量%のケイ素含有量及び0.3〜0.8質量%の炭素含有量を有する鋼 合金 を、連続冷却に続いて焼鈍に供する工程を含み、連続冷却は、1つ若しくは複数の鋼部品の鋳造、又は1つ若しくは複数の半完成鋼製品の熱間鍛造若しくは熱間圧延の結果達成される、完全オーステナイト 温度 から開始することを特徴とするオーステンパ鋼を製造するための方法。前記連続冷却中の冷却速度は、初めは初析フェライト又はパーライトの支配的形成を防止するのに十分速く、一方その後中間的温度において、冷却速度は十分遅く、それにより、周囲温度以下まで冷却された場合に形成されるマルテンサイトの量が制限され、焼鈍によって、炭素濃縮オーステナイトからオースフェライトへの変態が完了すると共に以前に形成された任意のマルテンサイトが焼き戻され得る。 【選択図】図1,下面是連続冷却及びそれに続く焼鈍中にオーステンパされたオースフェライト鋼を製造するための方法专利的具体信息内容。

オーステンパ鋼を製造するための方法であって、1.5〜4.4質量パーセントのケイ素含有量及び0.3〜0.8質量パーセントの炭素含有量を有する鋼合金を、連続冷却に続いて焼鈍に供する工程を含み、連続冷却は、1つ若しくは複数の鋼部品の鋳造、又は1つ若しくは複数の半完成鋼製品の熱間鍛造若しくは熱間圧延の結果達成される、完全オーステナイト温度から開始し、前記連続冷却中の冷却速度は、初めは初析フェライト又はパーライトの支配的形成を防止するのに十分速く、一方その後中間的温度において、冷却速度は、針状フェライトの成長中に炭素が濃縮されるオーステナイトが、その連続的に低下するMs温度未満の温度に達する前に、冷却中にオーステナイトから主にオースフェライトへの変態を可能にするのに十分遅く、それにより、周囲温度以下まで冷却された場合に形成されるマルテンサイトの量が制限され、焼鈍によって、炭素濃縮オーステナイトからオースフェライトへの変態が完了すると共に以前に形成された任意のマルテンサイトが焼き戻され得、前記方法は、主にオースフェライト微細構造を有する1つ又は複数の連続冷却及び焼鈍されたオーステンパ鋼部品又は半完成製品の製造をもたらすことを特徴とする方法。前記連続冷却が、空気中での自然冷却並びに/又は種々の温度範囲での加速冷却及び/若しくは減速冷却を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記オーステンパ鋼が、10体積パーセント未満の初析フェライトを含有する微細構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。前記オーステンパ鋼が、40体積パーセント未満の焼戻しマルテンサイトを含有する微細構造を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。前記オーステンパ鋼が、1体積パーセント未満の炭化物を含有する微細構造を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。前記オーステンパ鋼が、質量パーセントで、以下の組成: C 0.3〜0.8 Si 1.5〜4.4 Mn 0〜2.0 Cr 0〜2.0 Cu 0〜0.4 Ni 0〜3.5 Al 0〜1.0 Mo 0〜0.5 V 0〜0.5 Nb 0〜0.2 残部のFe及び通常生じる不純物 を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。前記オーステンパ鋼が、高強度及び高延性及び/又は破壊靱性を必要とする部品に好適であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。前記オーステンパ鋼が、3.1〜4.4質量パーセントのケイ素含有量及び0.4〜0.6質量パーセントの炭素含有量を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。

说明书全文

本発明は、鋳造、鍛造又は圧延後のオーブン内での連続冷却及びそれに続く焼鈍中にオーステンパされた、主にオースフェライトの鋼を製造するための方法であって、前記鋼は、高強度若しくは超高強度及び高延性若しくは超高延性及び/又は破壊靭性を必要とする部品のコスト効率的な製造に好適であり、合金中のケイ素含有量が、オーステンパ中、また初期Msのすぐ上で形成が達成された際に、ベイナイト形成を防止し主にオースフェライトの(これはまた従来技術において「炭化物不含ベイナイト」、「ナノベイナイト」又は「スーパーベイナイト」とも説明される)微細構造を促進するために、また得られる針状フェライトのケイ素及び炭素による固溶強化を増大させるために増加される、方法に関する。

典型的なオーステンパ熱処理サイクルにおいて、鋼又は鋳鉄を含む加工対象物は、まず加熱され、次いでオーステナイトになるまで、及びパーライト中の溶解した以前のセメンタイトからの炭素が形成されたオーステナイト中に均一に分布するまで、炉内でオーステナイト化温度で保持される。鋼合金では、炭素含有量は以前の製造工程において固定されており、一方鋳鉄では、分散したグラファイト間の鋼様マトリックス中の炭素含有量は、熱処理中のオーステナイト化温度の選択によって様々となり得るが、これは、オーステナイト中の炭素の溶解度が温度と共に増加し、炭素がマトリックスとグラファイトとの間に容易に拡散し得るためである。したがって、鋳鉄では、特にマトリックスが周囲温度で部分的にフェライト又は完全にフェライトである場合、グラファイトから拡散する炭素が飽和するのに十分な時間がオーステナイトに与えられなければならない。

加工対象物は、完全にオーステナイト化された後、連続冷却変態(CCT)図においてパーライト領域未満であるが、このレベルの炭素を有するオーステナイトがさもなくばマルテンサイトに変態し始める初期Ms温度より高い中間的温度まで、焼入れ中のパーライト又は初析フェライトの形成を回避するのに十分高い焼入れ速度で焼入れされる(通常塩浴内で)。この中間的温度のオーステンパ範囲は、一般的な低ケイ素鋼においてベイナイト範囲としてよく知られている。次いで、加工対象物は、この「オーステンパ」温度と呼ばれる温度で、通常は等温でのオースフェライトへの変態に十分な時間保持され、その後周囲温度まで冷却される。

低ケイ素鋼の同様の熱処理により形成されたベイナイト構造と同様に、オースフェライト材料の最終的な微細構造及び特性は、オーステンパ温度及びその温度での保持時間に大きく影響される。オースフェライト微細構造は、より高い変態温度ではより粗く、より低い変態温度ではより細かくなる。低ケイ素鋼において形成されるベイナイト構造とは対照的に、針状又は羽毛状フェライト(形成温度に依存する)の核形成及び成長は、より高いケイ素含有量により遅延又は防止されるため、一般に炭化ベイナイトの形成を伴わない。その代わり、形成されるフェライトから出て行く炭素の部分拡散が、周囲のオーステナイトを高濃度化し、そのMsを周囲温度よりはるかに下まで低下させることによってそれを安定化する。得られる二重マトリックス微細構造は「オースフェライト」と呼ばれ、同時に炭素で安定化されたオーステナイト内で核形成及び成長した針状又は羽毛状フェライトからなる。

より高い等温変態温度では、オーステナイトの相対量がより多い(オーステナイトが炭素で十分に安定化されている場合、より高い延性を促進し得る)炭素安定化オーステナイトの比較的厚いフィルムのマトリックス中に、より粗い主に羽毛状のフェライトが核形成及び成長し、一方、より低い等温変態温度では、フェライトの相対量がより多い(より高い強度を可能にする)炭素安定化オーステナイトの比較的薄いフィルムのマトリックス中に、次第に微細で次第に針状となるフェライトが核形成及び成長する。

オーステンパ球状黒鉛鋳鉄(ADI)(正確に熱処理された場合であっても時折誤って「ベイナイト延性鉄」と呼ばれるが、ADIはベイナイトを含有しない)は、改善された強度及び延性特性を有する延性(球状グラファイト)鋳鉄合金の特殊なファミリーを表す。鋳造直後の延性鉄と比較して、ADI鋳造物は、同じ延性レベルで少なくとも2倍強い、又は同じ強度レベルで少なくとも2倍の延性を示す。

延性鉄を含むほとんどの鋳鉄において、グラファイト包含物をもたらすネズミ鋳鉄固化を促進するために、三元Fe−C−Si系中少なくとも2質量パーセントのケイ素レベルが必要である。オーステンパされる際、増加したケイ素レベルは、オーステンパ中、オーステンパ温度がMs温度を比較的大きく上回り、オーステンパ時間が過度に長期化しない限り、脆化ベイナイト(フェライト+セメンタイトFe3C)の形成を更に遅延又は完全に防止する。この炭化ベイナイトの「上部オースフェライト」における自由度は、延性特性をもたらす(一方、低ケイ素鋼では、同様の温度で得られた「上部ベイナイト」は、その炭化物の位置に起因して脆性である)。従来の延性鉄のオーステンパが低い温度で行われる場合、その約2.3〜2.7質量パーセントのケイ素含有量は、「下部オースフェライト」における炭化ベイナイトの形成を完全に防止するには十分ではない。そのような微細構造は、その主相としての微細針状フェライト、薄い炭素安定化オーステナイト、及びある程度の炭化ベイナイトを含有し、延性、疲労強度及び機械加工性の著しい低下をもたらす。

近年、3質量パーセントを超えるケイ素含有量を有する鋳造直後の延性鉄グレードが標準化されており、そのマトリックスは、増大した固溶強化を有する完全フェライト系であり、同じ最大引張強度レベル(450〜600MPa)の従来のフェライト−パーライト延性鉄と比較して、増大した降伏強度及び延性を同時に提供する。

そのような固溶強化された延性鉄は、近年、本発明者によるSiSSADI(商標)(ケイ素固溶強化ADI)コンセプトの開発において、オーステンパのための前駆体として使用されている。完全なオーステナイト化を得るためには、より高い温度が必要であり(相図中のオーステナイト領域はケイ素の増加と共に収縮するため);さもなくば、任意の残留初析フェライトが、焼入れ中の硬化性を低減する(オーステナイトのみでのパーライトの核形成は遅いが、任意の残留初析フェライト上でのパーライトの成長は速いため)と共に、得られる機械的特性を低減する(形成され得るオースフェライトがより少ないため)。

ケイ素の増加による利点には、オーステナイト化(温度上昇と共に炭素拡散が急速に増加するため)及びオーステンパ(ケイ素がフェライトの析出を促進するため)の両方における時間がより短いこと、針状フェライトの固溶強化が増大すること(ケイ素及び炭素の両方により)、初期Msのすぐ上で形成された「下部オースフェライト」でも炭化ベイナイトが自由であること、並びにその結果として、強度及び延性が同時に改善されることが含まれる。

オースフェライト鋼は、鋼が炭化ベイナイトの析出を低減又は防止するのに十分なケイ素を含有する限り、オースフェライト鉄の場合と同様の熱処理により得ることができる。ベイナイトの代わりにオースフェライト(炭化ベイナイトを含まない、又はその含有量が低い)を形成するためのオーステンパに好適な圧延された市販の鋼の一例は、0.55質量パーセントの炭素、1.8質量パーセントのケイ素及び0.8質量パーセントのマンガンを含有する典型的な組成を有するバネ鋼EN1.5026である。十分に高いケイ素含有量を有する鋼がオーステンパされる場合、それらは通常、「炭化物不含ベイナイト」、「ナノベイナイト」又は「スーパーベイナイト」として説明され、これは、形成されたフェライトから出て行く炭素の大部分が、炭化ベイナイトを形成する代わりに周囲のオーステナイトを濃縮及び安定化することを示唆している。

本発明者による国際公開WO2016/022054は、高強度及び高延性及び/又は破壊靱性を必要とする部品のためのSiSSASteel(商標)(ケイ素固溶強化オースフェライト鋼)コンセプトの開発によるオーステンパ鋼を説明しており、これは、3.1質量パーセント〜4.4質量パーセントのケイ素含有量、及び0.4質量パーセント〜0.6質量パーセントの炭素含有量を有し、オースフェライトの微細構造を有する。そのようなオーステンパ鋼を製造するための方法もまた開示されている。この方法は、完全オーステナイト化を含むオーステンパ熱処理を行う工程を含み、鋼のケイ素含有量が高いほど、オーステナイト化温度がより高い。

例えば、オーステンパ鋼は、3.1〜4.4質量パーセントのケイ素含有量及び0.4〜0.6質量パーセントの炭素含有量を有する鋼を含む溶融物を形成し、溶融物から部品又は半完成棒鋼を鋳造し、部品又は半完成棒鋼を、鍛造若しくは圧延してから冷却する、又は直接冷却し、続いて任意選択で鍛造及びその後冷却し、次いで冷却された部品、半完成棒鋼又は鍛造物を第1の温度で熱処理し、部品、半完成棒鋼又は鍛造物をその温度で所定時間保持して、部品、半完成棒鋼又は鍛造物を完全にオーステナイト化し、熱処理された部品、半完成棒鋼又は鍛造物を、連続冷却変態(CCT)図におけるパーライト領域未満であるがMs温度より高い中間的温度まで、焼入れ中のパーライトの形成を防止するのに十分な焼入れ速度、例えば少なくとも150℃/分の焼入れ速度で焼入れし、部品、半完成棒鋼又は鍛造物を、Ms温度を超える1つ又は複数の温度で所定時間熱処理して、前記部品、半完成棒鋼又は鍛造物をオーステンパし、オースフェライト鋼を得ることにより製造され得る。

国際公開WO96/22396は、摩耗及び転がり接触疲労耐性ベイナイト鋼製品を製造する方法を開示しており、その微細構造は本質的に炭化物不含である。この方法は、0.05〜0.50質量パーセントの炭素、1.00〜3.00質量パーセントのケイ素及び/又はアルミニウム、0.50〜2.50質量パーセントのマンガン、並びに0.25〜2.50質量パーセントのクロムを含み、残部は鉄及び付随的不純物である質量組成を有する鋼を熱間圧延する工程と、鋼をその圧延温度から空気中での自然冷却又は加速冷却により連続的に冷却する工程とを含む。

好ましい鋼組成物の炭素含有量は、0.10〜0.35質量パーセントであり、好ましい鋼組成物のケイ素含有量は、1.00〜2.50質量パーセントであることが開示されている。225℃/秒及び2℃/秒の間の冷却速度の後に得られる微細構造は、本質的にオースフェライトであり(ただし「炭化物不含ベイナイト」として説明される)、少量の柔らかい初析フェライト及びある程度の高炭素マルテンサイトを含む。

国際公開第2016/022054号

国際公開第96/22396号

M. AtkinsによるAtlas of Continuous Cooling Transformation Diagrams of Engineering Steels、ASM及びBritish Steel Corporation 1980

本発明の目的は、1つ若しくは複数の鋼部品の鋳造後、又は1つ若しくは複数の半完成鋼製品の熱間鍛造若しくは熱間圧延後に、完全オーステナイト状態からの連続冷却及びそれに続くオーブン内での1つ又は複数の温度での焼鈍中にオーステンパされたオースフェライト鋼のコスト効率的な製造のための改善された方法を提供することである。

この目的は、オーステンパ鋼を製造するための方法であって、1.5〜4.4質量パーセントのケイ素含有量及び0.3〜0.8質量パーセントの炭素含有量を有する鋼合金を、連続冷却に続いて焼鈍に供する工程を含む方法により達成される。連続冷却は、1つ若しくは複数の鋼部品の鋳造、又は1つ若しくは複数の半完成鋼製品の熱間鍛造若しくは熱間圧延の結果達成される、完全オーステナイト温度から開始し、連続冷却中の冷却速度は、初めは初析フェライト又はパーライトの支配的形成を防止するのに十分速く、一方その後中間的温度において、冷却速度は、針状フェライトの成長中に炭素が濃縮されるオーステナイトが、その連続的に低下するMs温度未満の温度に達する前に、冷却中にオーステナイトから主にオースフェライトへの変態を可能にするのに十分遅く、それにより、周囲温度以下まで冷却された場合に形成されるマルテンサイトの量が制限され、焼鈍によって、炭素濃縮オーステナイトからオースフェライトへの変態が完了すると共に以前に形成された任意のマルテンサイトが焼き戻され得、この方法は、主にオースフェライト微細構造を有する1つ又は複数の連続冷却及び焼鈍されたオーステンパ鋼部品又は半完成製品の製造をもたらす。

「焼鈍」という単語は、本明細書において使用される場合、先行する連続冷却中に主にオースフェライトの微細構造が確立された後に、初析フェライト又はパーライトの形成より下であるが最低炭素含有量を有する残留オーステナイト領域のMs温度より高い温度範囲内で熱処理し、それによりオースフェライトへの変態が完了することを意味することが意図されることに留意されたい。

本発明の一実施形態によれば、連続冷却は、空気中での自然冷却並びに/又は種々の温度範囲での加速冷却及び/若しくは減速冷却を含む。

本発明の一実施形態によれば、オーステンパ鋼は、10体積パーセント未満の初析フェライトを含有する微細構造を有する。

本発明の一実施形態によれば、オーステンパ鋼は、40体積パーセント未満の焼戻しマルテンサイト、又は30体積パーセント未満の焼戻しマルテンサイト、又は20体積パーセント未満の焼戻しマルテンサイト、又は10体積パーセント未満の焼戻しマルテンサイトを含有する微細構造を有する。

本発明の一実施形態によれば、オーステンパ鋼は、高強度及び高延性及び/又は破壊靱性を必要とする部品に好適である。

本発明の一実施形態によれば、オーステンパ鋼は、3.1〜4.4質量パーセントのケイ素含有量及び0.4〜0.6質量パーセントの炭素含有量を有する。

すなわち、方法は、1.5〜4.4質量パーセントのケイ素含有量及び0.3〜0.8質量パーセントの炭素含有量を有する鋼合金を、1つ又は複数の鋼部品の鋳造、1つ又は複数の半完成鋼製品の熱間鍛造又は熱間圧延のいずれかの結果達成される、完全オーステナイト状態からの連続冷却に供する工程を含み、前記連続冷却中の冷却速度は、初めは初析フェライト及び/又はパーライトの支配的(すなわち少なくとも50%の)形成を防止するのに十分速く、一方その後中間的オーステンパ温度において、冷却速度は、針状フェライトの成長中に炭素が濃縮されるオーステナイトが、その連続的に低下するMs温度未満の温度に達する前に、冷却中にオーステナイトから主にオースフェライトへの変態を可能にするのに十分遅く、それにより、形成されるマルテンサイトの量が制限される。その後鋼は、1つ又は複数の温度で空気中で焼鈍され、まだオースフェライトに変態していないが、初期中炭素オーステナイトと、オースフェライト領域内の高炭素含有量により安定化されたオーステナイトのフィルムとの間の中間的炭素含有量を有するオーステナイト領域が、焼入れ後に同じ温度で等温で形成されたオースフェライトと同様の微細構造を有する新たなオースフェライト領域に変態する。同時に、以前に形成された任意のマルテンサイトが焼き戻され、オースフェライト鋼の強度に寄与する。

この方法は、オースフェライト微細構造を有する、すなわち鋼微細構造が完全ではないにしても主にオースフェライトである、1つ若しくは複数の連続冷却及び焼鈍鋳造鋼部品、又は1つ若しくは複数の熱間加工半完成鋼製品のコスト効率的な製造をもたらす。主にオースフェライトの微細構造とは、鋼が少なくとも50%のオースフェライト、少なくとも60%のオースフェライト、少なくとも70%のオースフェライト、少なくとも80%のオースフェライト、及び典型的には少なくとも90%のオースフェライトを含有することを意味することが意図される。

高ケイ素含有量はセメンタイト形成を遅延させるため、微細構造はまた、合金の硬化性がオーステンパ温度範囲を超える冷却速度では不十分である場合、少量(2〜8%)の初析フェライト及び更により少量のパーライトを含有してもよい。

更に、微細構造は、小さい断面に起因してオーステンパ温度範囲を通過する冷却速度が速すぎる場合、ある程度のマルテンサイトを含有してもよいが、そのようなマルテンサイトは、ある温度での焼鈍中に焼き戻される。

鋼部品は、焼鈍が開始される前に必ずしも周囲温度まで連続的に冷却される必要はないが、焼鈍は、鋼部品がまだ周囲温度より高い温度にある間に開始し得、それによりマルテンサイトのいかなる形成も制限又は完全に防止されることに留意されたい。また、焼鈍中に焼き戻されるマルテンサイトからの強度への寄与を増加させるために、鋼が焼鈍前に周囲温度より低い温度まで冷却される場合、マルテンサイトの形成を増加させてもよい。

「半完成製品」という表現は、本明細書において使用される場合、完成品となる前にさらなる処理が必要な、製鋼所において製造される中間製品、すなわち鍛造物、圧延棒鋼、又は圧延鋼板を意味することが意図される。「半完成製品」という表現は、本明細書において使用される場合、過度のを用いずにコイルを形成するのに十分に薄く柔軟であるストリップ等の圧延製品を含まない。

「完全オーステナイト温度からの連続冷却」という表現は、本明細書において使用される場合、焼入れがない、すなわち少なくとも30℃/秒又は少なくとも50℃/秒又は少なくとも70℃/秒の速度での急速冷却がない、及び塩浴等の焼入れ媒体中への含浸がないこと、並びに中間温度のオーステンパ範囲に達する前に連続冷却工程中に温度の保持がないが、鋳造部品又は熱間加工半完成製品が、初めは初析フェライト又はパーライトの支配的形成を防止するのに十分速い冷却速度で鋳造又は熱間加工プロセスからの残留熱を除去され、一方その後中間的オーステンパ温度において、冷却速度は、冷却中にオーステナイトから主にオースフェライトへの変態を可能にするのに十分低いことを意味することが意図される。

初析フェライト及び/又はパーライトの支配的(すなわち少なくとも50%の)形成を防止するために、より厚いセクションにおける硬化性のために必要とされる合金化を低減するには、液体への浸漬ではなく、ファン冷却又は噴霧によって冷却速度が増加されてもよい。

鋳造部品又は熱間加工半完成製品がオースフェライトが形成される中間温度に達すると、冷却速度は3つの様式で、鋳造物(型内若しくは型外)、鍛造物、圧延棒鋼又は圧延鋼板を互いに近接させて配置することにより(棒鋼又は鋼板の場合冷却床上で)、型ばらしの前により低い温度に達するまで鋳造物をその型内に維持することにより、及び熱間加工半完成製品の場合にはそれらを断熱することにより、或いは、オーブンの温度に達するまで冷却速度を低減するために加工対象物を好適なオーステンパ温度に保持されたオーブン内で冷却させることにより低下され得る。

「オーブン」という用語は、本明細書において使用される場合、1つ若しくは複数の加工対象物の少なくとも一部を加熱するため、又は1つ若しくは複数の加工対象物の少なくとも一部を特定の温度又は特定の温度範囲内に維持するために使用される任意のデバイスであってもよい。加工対象物は、オーブン内に完全に、又は部分的に設置され得る。代替として、「オーブン」は、1つ若しくは複数の加工対象物の少なくとも一部を特定の温度に加熱する、又は1つ若しくは複数の加工対象物の少なくとも一部を特定の温度若しくは特定の温度範囲内に維持するために、1つ又は複数の加工対象物に隣接して、それに沿って、又はその周りに配置された1つ又は複数の加熱手段を備えてもよい。

連続冷却中のオーステンパ温度範囲内での時間が、オーステナイトがオースフェライトに完全に変態するには短すぎる場合、残留オーステナイト領域は、周囲温度への冷却中に熱誘起マルテンサイトに変態して鋼を脆化するか、又は、機械的に負荷された場合には、第一に、未変態オーステナイト領域に初期塑性変形をもたらして降伏強度を低下させ、第二に、変形したオーステナイトがはるかに低い歪みで機械的誘起脆性マルテンサイトに変態した際に低い伸びで低い最大引張強度で早期に破壊する。

機械的特性におけるこれらの制限は、オーステンパ温度範囲内の温度でのコスト効率的な焼鈍により排除され得る。焼鈍中、中間的炭素含有量を有するオーステナイト領域は、オースフェライト微細構造に変態し続け、従来のオーステンパ中の焼入れ後の同じ温度で等温で形成されたオースフェライトと同様の細かさ及びフェライト−オーステナイト割合である。得られる鋼微細構造は、主に2つのオースフェライト形態からなり、一方は、連続冷却中に様々な細かさ及びフェライト−オーステナイト割合を伴って形成され、他方は、等温であるか否かに関わらず焼鈍中の温度対時間によって決定付けられる形態を伴って形成される。

本発明は、より大きな断面において十分な硬化性が必要とされる場合には合金化添加物と共に、1.5〜4.4質量パーセントのケイ素含有量及び0.3〜0.8質量パーセントの炭素含有量を有する鋼において、連続冷却及び焼鈍された鋳造部品又は熱間加工半完成製品中に主にオースフェライトの鋼をコスト効率的に得ることが可能であるという発見に基づく。

驚くべきことに、主にオースフェライトへの変換は、空気中での連続冷却の間十分に変態され得、次いで、変換を遅延させることが当業者により推測されている高い合金化含有物にもかかわらず焼鈍中に完了され得ることが判明した。したがって、塩浴内での焼入れ及びそれに続く等温変態を含む、その後の追加的なオーステンパ熱処理は、オーステンパ鋼を製造するのに必要ではなく、これは、エネルギー、時間及びコストの大きな削減をもたらし得る。

更に、オーステンパ鋼は、バッチプロセスの代わりに連続プロセスで製造することができる。塩浴内での焼入れ及びそれに続く等温オーステンパのための現在の機器では、熱処理部品の長さが1メートルから最大2メートルに制限されるが、棒鋼の熱間圧延後の連続冷却及びそれに続くベルトオーブン内での焼鈍によって、圧延機から直接20メートル超の供給長さでオースフェライト棒鋼を製造することができる。

本発明の一実施形態によれば、オーステンパ鋼は、実質的に炭化物不含である、又は極めて低い体積分率の炭化物、すなわち1体積パーセント未満の炭化物を含有する微細構造を有する。

本発明の一実施形態によれば、オーステンパ鋼は、後により詳細に説明されるように、より高いオーステンパ温度で早期に形成されるより多くの炭素安定化オーステナイトを有するより粗いオースフェライトと、より低いオーステンパ温度で、及び/又はその後の低温での焼鈍中に後に形成されるより多くの針状フェライトを有するより微細なオースフェライトとの混合(異なる場所で様々である)に依存して、380〜550HVの範囲内のビッカース硬度を有する。

本発明の一実施形態によれば、オーステンパ鋼は、質量パーセントで、以下の組成: C 0.3〜0.8 Si 1.5〜4.4 Mn 0〜2.0 Cr 0〜2.0 Cu 0〜0.4 Ni 0〜3.5 Al 0〜1.0 Mo 0〜0.5 V 0〜0.5 Nb 0〜0.2 残部のFe及び通常生じる不純物 を有する。リン及び硫黄は、好ましくは最小限に維持され、任意選択の合金化元素の1つ又は複数の最大量を、本明細書に記載の任意の量のケイ素及び任意の量の炭素と組み合わせることができる。

すなわち、本発明による方法は、任意の好適な化学組成を有するオーステンパ鋼の製造に好適である。好ましい組成は、高いケイ素含有量、すなわち3.1質量パーセント〜4.4質量パーセントのケイ素含有量、及び中間的炭素含有量、すなわち0.4質量パーセント〜0.6質量パーセントの炭素含有量を有し、上記最大値を超えない限り、他の合金化元素の量とは無関係である。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、少なくとも1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9若しくは4.0質量パーセントのケイ素含有量及び/又は少なくとも0.4若しくは0.5質量パーセントの炭素含有量を有する。

追加的に、又は代替として、好ましいオーステンパ鋼は、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6若しくは3.5質量パーセントの最大ケイ素含有量及び/又は0.6若しくは0.5質量パーセントの最大炭素含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1質量パーセントの最大マンガン含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1質量パーセントの最大クロム含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、0.3、0.2又は0.1質量パーセントの最大銅含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1質量パーセントの最大ニッケル含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1質量パーセントの最大アルミニウム含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、0.4、0.3、0.2又は0.1質量パーセントの最大モリブデン含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、0.4、0.3、0.2又は0.1質量パーセントの最大バナジウム含有量を有する。

本発明の一実施形態によれば、好ましいオーステンパ鋼は、0.1質量パーセントの最大ニオブ含有量を有する。

本明細書全体において、「最大」という単語は、鋼が、0質量パーセントから(すなわち0質量パーセントを含む)示された最大量を含む値までの問題の元素を含むことを意味することが意図される。したがって、製造されるオーステンパ鋼は、硬化性又は他の理由で必要とされない場合、そのような元素を低レベルで、すなわち0〜0.1質量パーセントのレベルで含み得る。しかしながら、製造されるオーステンパ鋼は、プロセス及び/又は最終特性を最適化するために、少なくとも1つ又は任意の数のこれらの元素をより高いレベルで、すなわち示された最大量を含むレベル、又は0.1、0.2若しくは0.3質量パーセントの範囲内で示された最大量に近接するレベルで含んでもよい。

オーステンパ鋼は、不可避の不純物を含有し得るが、全体的にこれらは組成物の0.5質量パーセントを超えない、好ましくは組成物の0.3質量パーセント以下、より好ましくは組成物の0.1質量パーセント以下となり得ることが理解される。オーステンパ鋼合金は、本質的に列挙された元素からなり得る。したがって、それらの必須である元素に加えて、組成物の本質的な特性がそれらの存在により実質的に影響されない限り他の指定されていない元素が組成物中に存在してもよいことが理解される。

すなわち、3.1〜4.4質量パーセントの好ましいケイ素含有量及び0.4〜0.6質量パーセントの好ましい炭素含有量を有する鋼合金を、鋼部品の鋳造、又は半完成鋼製品の熱間鍛造若しくは熱間圧延後に完全オーステナイト温度からオーステンパ温度範囲を通る連続冷却に供した際に形成する、主にオースフェライトの微細構造は、より高いオーステンパ温度で早期に形成されるより多くのオーステナイトを有するより粗いオースフェライトと、より低いオーステンパ温度で、すなわち初期Ms温度により近い温度で後に形成されるより多くのフェライトを有するより微細なオースフェライトとの混合である。

そのような混合した主にオースフェライトの微細構造は、従来のオーステンパ熱処理中の塩浴内での焼入れ後に等温で形成される微細構造よりも不均一である。したがって、連続冷却されたオーステンパ後の鋳造鋼部品、熱間鍛造又は熱間圧延された半完成鋼製品における微細構造は、断面及び表面と熱中心との間の位置の両方によって異なるが、これは、連続冷却変態(CCT)図における初析フェライト/パーライト領域未満であるが初期Ms温度より高い中間的温度範囲内で、様々な部分が様々な冷却速度を有するためである。しかしながら、その後の焼鈍は、連続冷却のみの間に形成されたオースフェライトと比較して、中間的炭素含有量の任意の残留するオーステナイト領域からオースフェライトへの変態を完了させ、より堅牢なプロセスをもたらして、優れた、またより変動性の少ない機械的特性を提供する。

更に、焼入れ後の等温形成とは対照的に、高ケイ素含有量はセメンタイト形成を遅延させるため、連続冷却の間に形成された微細構造は、合金の硬化性がオーステンパ温度範囲を超える冷却速度では不十分である場合、少量(2〜8%)の初析フェライトを含有してもよいが、更により少量のパーライトを含有してもよい。

本発明者は、3.1〜4.4質量パーセントの好ましい高ケイ素含有量及び0.4〜0.6質量パーセントの好ましい中間的炭素含有量を有するオースフェライト鋼が、十分に高い温度(ケイ素含有量に依存する)で完全にオーステナイト化されると、従来のオースフェライト鋼(3.0質量パーセント未満のケイ素含有量を有し、0.6質量パーセント超の炭素含有量を有する)に勝るいくつかの利点を有することを発見した。すなわち、オースフェライト鋼の熱処理性能及び得られる機械的特性の両方が改善される。

例えば、そのようなオーステンパ鋼は、少なくとも1000MPa、少なくとも1100MPa、少なくとも1200MPa、少なくとも1300MPa、少なくとも1400MPa、少なくとも1500MPa、少なくとも1600MPa、少なくとも1700MPa、少なくとも1800MPa、少なくとも1900MPa、又は少なくとも2000MPaの引張強度、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、又は少なくとも20%の破断伸び、及び少なくとも80MPa√m、少なくとも100MPa√m、又は少なくとも150MPa√mの破壊靭性KJICを同時に示し得る。

ケイ素によるフェライト析出及び成長の促進に起因して、特に初期Ms温度のすぐ上の低い変態温度において、0.4質量パーセント〜0.6質量パーセントの好ましい中間的炭素含有量を有するオーステンパ鋼に対しても、オーステンパに必要な時間が低減される。

更に、3.1質量パーセント〜4.4質量パーセントの好ましい高ケイ素含有量及び0.4質量パーセント〜0.6質量パーセントの好ましい中間的炭素含有量によって、より多量の炭素安定化オーステナイトを有する比較的粗いオースフェライト(より高いオーステンパ温度で形成された)において炭化物析出が回避され得るだけでなく、より少量の炭素安定化オーステナイトを有するより微細なオースフェライト(初期Msに近い低いオーステンパ温度で形成された)においても回避され得ることが確実となる。

更に、高ケイ素含有量はまた、ケイ素によって置換的に、及び炭素によって格子間に形成される針状フェライトの固溶強化を増大させる(このフェライトの格子は若干正方晶的であるが、マルテンサイト中ほどではない)。

本発明による方法を使用して製造された、連続冷却及び焼鈍された鋳造オースフェライト鋼部品、熱間鍛造又は熱間圧延された半完成オースフェライト鋼製品は、これらに限定されないが特に鉱業、建築、農業、土木産業、製造業、鉄道業、自動車産業、林業、金属製造、自動車用途、エネルギー用途及び海洋用途、又は非常に高レベルの引張強度及び延性及び/若しくは破壊靭性及び/若しくは増加した疲労強度及び/若しくは高い耐磨耗性を同時に必要とするその他の任意の用途、例えば、焼入れ及び焼戻しマルテンサイト鋼もオーステンパされたベイナイト鋼も十分な特性を有さない用途、又は厳密な仕様が一貫して満たされなければならない用途における使用のための完成品を作製するために更に加工されてもよい。オースフェライト鋼は、例えば、重量物運搬車における使用のための懸架若しくはパワートレイン関連部品において、又は、バネ、バネハンガー、取付具、ホイールハブ、ブレーキキャリパ、カム、カムシャフト、内歯車、クラッチカラー、軸受、プーリー、係止要素、歯車、歯車の歯、スプライン、高強度鋼部品、耐力構造、装甲、及び/若しくは水素脆化に対する感受性がより低くなければならない部品等の部品を製造するために使用され得る。

以降において、添付の図面を参照しながら限定されない例を用いて本発明を更に説明する。

本発明の一実施形態による、連続冷却及びそれに続く焼鈍の間にオーステンパ鋼を製造するための方法の工程を示す概略図である。M

sの破線は、オースフェライトの形成中、針状フェライトの核形成及び成長によって周囲のオーステナイトが炭素濃縮され、したがって連続冷却中及び焼鈍中の両方においてそのM

s温度が低下することを概略的に示している。

圧延直後(a)、並びに圧延及びそれに続く空気中で6時間の焼鈍後(b)の、実施例2のNitalエッチング後の光学顕微鏡による微細構造を示す図であり、スケールバーは、両方の顕微鏡写真において50μmに対応する。

実施例2の圧延直後(a)、並びに圧延及びそれに続く空気中6時間の焼鈍後の同じ鋼(b)の、初めにφ10.0mmの断面を有する完全引張棒鋼の光学顕微鏡による破壊表面を示す図である。

実施例2の圧延直後(a)、並びに圧延及びそれに続く空気中6時間の焼鈍後の同じ鋼(b)の、走査型電子顕微鏡による破壊表面を示す図であり、スケールバーは、図4a及び図5aにおいては50μmに対応し、図4b及び図5bにおいては10μmに対応する。

実施例2の圧延直後(a)、並びに圧延及びそれに続く空気中6時間の焼鈍後の同じ鋼(b)の、走査型電子顕微鏡による破壊表面を示す図であり、スケールバーは、図4a及び図5aにおいては50μmに対応し、図4b及び図5bにおいては10μmに対応する。

圧延直後(曲線1及び凡例中の最初の2つの行)に対する圧延並びに焼鈍温度及び焼鈍時間の4つの異なる組合せを使用した焼鈍後の鋼(曲線2〜5及び凡例中の3〜10行目に対応)の応力−歪み曲線及び機械的特性を示す図である。この図中の機械的特性を有する曲線1及び3は、それぞれ、図2.a〜図5.a及び図2.b〜図5.bに示される微細構造に対応する。

図1は、本発明の一実施形態によるオースフェライト鋼を製造するための方法の工程を示す。

方法は、(a)パーライトノーズを通過するオーステナイト状態からの連続冷却;(b)冷却中のオーステンパ中間温度範囲内への移行;(c)針状フェライトの核形成及び成長、並びにMsの低下によるオーステナイトの炭素濃縮;(d)オースフェライト停止までの不完全変態後の周囲温度への冷却;(e)アニール温度への加熱;(f)Msが更に低下した安定化オーステナイトを伴うオースフェライトへの変態の完了;(g)周囲温度への冷却の工程を含む。

方法は、3.1〜4.4質量パーセントの好ましいケイ素含有量及び0.4〜0.6質量パーセントの好ましい炭素含有量を有する鋼合金を、鋼部品の鋳造、又は半完成鋼製品の熱間鍛造若しくは熱間圧延に供する工程を含む。

1つ若しくは複数の鋼部品の鋳造後、又は1つ若しくは複数の半完成鋼製品の熱間加工、すなわち熱間鍛造若しくは熱間圧延の後(この間、1つ又は複数の鋼部品又は半完成鋼製品は完全オーステナイト温度に達する)、1つ又は複数の鋼部品又は半完成鋼製品は、次いで、完全オーステナイト温度から連続冷却され、続いて1つ又は複数の温度で焼鈍されて、1つ又は複数の連続冷却及び焼鈍されたオースフェライト鋼部品又は半完成鋼製品を生成する。熱間加工された半完成製品は、冷却床上で、例えば熱間圧延機等の冷却床上で連続冷却され、その後ベルトオーブン内又はバッチオーブン内等で焼鈍され得る。

冷却速度は、特にオーステンパ温度範囲内の更に下で、断熱により、例えば鋳造部品の場合には、鋳造部品を型ばらしの前により低い温度に達するまで型内に保持することにより、又は更には、断熱材料、例えば耐火セラミック繊維(RCF)若しくは高温断熱ウール(HTIW)を含むブランケットで覆うことで型を断熱することにより低下されてもよく(ただし妨げられない)、熱間加工半完成製品の場合には、複数の半完成熱間加工製品が、連続冷却の間互いに積層若しくは隣接して配置されてもよく、及び/又は、更には、それらを断熱材料、例えば耐火セラミック繊維(RCF)若しくは高温断熱ウール(HTIW)を含むブランケットで覆うことで断熱されてもよい。

鋳造鋼部品、熱間鍛造又は熱間圧延半完成製品は、空気等の周囲雰囲気中での自然冷却、強制冷却(ただし焼入れではない)又は遅延冷却により連続冷却され得る。連続冷却は、恒温処理の場合には、例えばオーブン内でよりゆっくりと冷却することにより、漸近的に1つ若しくは複数の温度に達してもよく、又は、周囲温度まで継続されてもよく、又は、ある程度の量のマルテンサイトを意図的に形成するために更により低い温度まで冷却されてもよい。

周囲温度以下まで冷却される場合、その後鋼は、1つ又はいくつかの低いオーステンパ温度で加熱及び焼鈍され、まだオースフェライトに変態していないが、初期中炭素オーステナイトと、オースフェライト領域内の炭素安定化されたオーステナイトのフィルムとの間の中間的炭素含有量を有するオーステナイト領域が、焼入れ後に同じ温度で等温で形成されたオースフェライトと同様の微細構造を有する新たなオースフェライト領域に変態する。同時に、より早い段階で形成された任意の量のマルテンサイトが焼き戻され、オーステンパ鋼の強度に寄与する。

本発明による方法は、主にオースフェライトの微細構造を有するオーステンパ鋼の製造をもたらす。オースフェライト構造は周知であり、従来の微細構造特性決定技術、例えば光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子プローブ電界イオン顕微鏡(AP−FIM)及びX線回折の少なくとも1つ等によって決定され得る。

本発明の一実施形態によれば、オースフェライト鋼の微細構造は、実質的に炭化物不含である、又は1体積%未満の炭化物を含有する。

本発明の一実施形態による方法を使用して、質量パーセントで以下の組成を有するオーステンパ鋼を製造した。 C 0.5 Si 3.3 Mn 0.5 Cr 0.3 Cu 0.2 Ni 1.6 Mo 0.2 V 0.3 残部のFe並びに通常生じる不純物、例えば0.012質量パーセントのP及び0.006質量パーセントのS。

上述の化学組成を有する1400kgの圧延用インゴットを、1690mmの内部高さ、それぞれ255×230mm及び440×350mmの寸法を有する上部及び下部セクション、並びに6.3°×4.1°のコニシティを有する永久鋳鉄型内で垂直に鋳造した。

その後、インゴットを165×165×4560mmの圧延用ビレットに鍛造した。その後、ビレットをφ53mmの直径を有する丸棒鋼に熱間圧延した。すなわち、鋳造及び鍛造されたビレットを、炉内で1200℃の温度で2時間予熱し、3回粗圧延し、次いでφ53mmの最終棒鋼直径まで連続的に圧延した。1040℃で熱間圧延を終了した後、φ53mmの丸棒鋼を、以前に熱間圧延されたφ53mm丸棒鋼の隣のウォーキングビーム冷却床に移して、460℃に18分間連続冷却し、その後棒鋼を6mの長さに切断した。数分後、このビレットから得られた9本の棒鋼を束ね合わせ、続いて周囲温度まで更に空冷した。

φ53mm丸棒鋼における700℃での平均冷却速度は、静止空気中で約0.7℃/秒であるが、冷却床での周囲の熱間圧延棒鋼(及び冷却ファンがないこと)に起因して、実際の平均冷却速度は0.5℃/秒であった。この冷却速度は、棒鋼表面近くで形成された約2〜3%の初析フェライト及び中央部で約8〜10%の初析フェライトをもたらし、一方、高ケイ素含有量はセメンタイト形成を遅延させるため、初析フェライト上にごく稀に小面積のパーライトが核形成した。これらの微細構造は、この場合では、この冷却速度がオースフェライトのみをもたらすには合金の硬化性が若干低すぎたことを示しているが、棒鋼寸法がより小さく、及び/又は約700℃の冷却速度が冷却ファン若しくは水噴霧により増加されていれば、オーステナイトは、より低温でのオースフェライトへの変態用に完全に保存されたであろう。

連続冷却された熱間加工半完成オーステンパφ53mm丸棒鋼は、412±4.7HV30のビッカース硬度を有していたが、硬度の変動は、前述のように微量の初析フェライトの差を主に反映している。この硬度レベルは、以前に鋳造及び鍛造された主にパーライトの圧延用ビレットの369±5.2HV30と比較され得る。

連続冷却されたオーステンパ棒鋼を顕微鏡により観察すると、主にオースフェライトの微細構造(少量の初析フェライトを有する)はまた、オースフェライト内に、主にサブミクロンのオーステナイトフィルムよりはるかに厚いいくつかのオーステナイト領域を含有していた。SiSSADI(商標)の開発における以前の経験から、これらのオーステナイト領域は、周囲温度への冷却中のマルテンサイトへの変態を回避するのに十分に炭素濃縮されていたものの(周囲温度未満までMs温度を低下させることにより)、これらの領域は、連続冷却中、オーステンパ温度範囲内において短時間ではオースフェライトに完全に変態することができなかったと結論付けられたが、これは、炭素及び置換合金化元素のいくつかの濃縮が、高ケイ素中炭素鋼においてさもなくば驚異的に速いオースフェライトへの変態を遅延させることが知られているため、偏析による組成変動に起因すると考えられる。

初期機械的引張試験では、顕微鏡観察からの結論が実証された。結果は、Rp0.2=820.5±7.8MPa;Rm=1269±19MPa;A5=2.71±0.02%であった。完全オースフェライト鋼の典型的な挙動とは著しく対照的に、破壊はネッキングのはるか前に生じたが、これは、オースフェライト微細構造内での効率的な歪み硬化が塑性伸び及び破壊前の収縮を増加させることができる前に、炭素濃度が低すぎ、またマルテンサイトへの早すぎる歪み誘起変態に抵抗するには厚すぎるオーステナイトの領域の存在を示している。

オースフェライトへの未完の変態が完了し得るかどうかを調査するために、引張試験棒鋼を250℃で6時間の焼鈍熱処理に供した。この高温での長い期間が許容されたのは、鋼中の高ケイ素含有量(3.3%Si)が、オースフェライト内の高炭素オーステナイトフィルムから脆性ベイナイトへのいかなる破壊的変態も遅延/防止することによりすでに形成されたオースフェライトを効率的に安定化するためである。鋼の硬度は、焼鈍により412±4.7HV30から431±3.5HV30に増加した。微細構造観察では、中間的炭素含有量を有する以前のより厚いオーステナイト領域が、焼鈍中、連続冷却中に以前に形成されたオースフェライト(炭素拡散がより速い場合、より高い温度での冷却の開始時に主に核形成及び成長した)の多くよりもはるかに微細なオースフェライトで置き換えられ、それにより硬度が増加したことが確認された。

この場合も、引張試験において微細構造観察からの結論が実証された。結果は、Rp0.2=1118±3.5MPa;Rm=1447±5MPa;A5=23.1±0.9%であった。以前の結果と比較して、降伏強度ははるかに高く、続いてオースフェライト微細構造内の効率的な歪み硬化が得られ、これは18%までの著しい等方性の塑性伸びをもたらし、最大引張強度の増加が達成され、続いて破壊前にネッキング及び著しい収縮(Z=26.5±0.6%)が生じた。

0.45wt%のC、3.33wt%のSi、1.57wt%のNi、0.60wt%のMn、0.30wt%のV、0.29wt%のCr、0.21wt%のCu及び0.20wt%のMoからなる合金を、1690×(440−255)×(350−230)mmの寸法を有する1.4トンの円錐形インゴットに鋳造した。次いで、インゴットを165×165mmの面積を有する断面に鍛造し、続いてφ53mmの直径を有する丸棒鋼に熱間圧延した。

圧延後に冷却床に入る際の棒鋼の表面温度は1010℃であり、18分後、棒鋼の表面は461℃まで冷えており、その時点で棒鋼を長さ6メートルの9本の棒鋼に切断/切り出し、さらなる処理のためにすぐに束ね合わせた。460〜320℃の温度範囲内での束ねた後の冷却時間は、M. AtkinsによるAtlas of Continuous Cooling Transformation Diagrams of Engineering Steels、ASM及びBritish Steel Corporation 1980からのデータを使用することにより、約10分と推定された。

最初の硬度試験では、Si及びNiによるそのフェライトの著しい置換固溶硬化にもかかわらず、フェライト−パーライト微細構造に対して予測されたものよりもはるかに高いレベルの硬度が明らかとなった。しかしながら、圧延直後の鋼の最初の引張試験は、1040〜1350MPaの間で変動する引張強度に対し、わずか数パーセントの破断時伸びしか示さなかった。

圧延棒鋼の空気中でのその後の金属組織学的処理及び低温焼鈍は、機械的特性に対するいくつかの驚くべき効果を示し、したがってその原因のより詳細な調査を行った。光学顕微鏡を使用して焼鈍の前及び後の微細構造を調査し、またSEM(JEOL IT300)により破壊表面を調査した。最後に、圧延直後の棒鋼の焼鈍処理を、温度及び時間の異なる組合せに対して調査し、続いてEN ISO6892−1:2016に従って室温で引張試験(DARTEC M1000/RK)を行った。引張試験棒鋼は、長さ120mmであり、φ22mmのヘッドの間にφ10mmの円柱部分を有していた。2mm/分のクロスヘッド速度の間、50mmの伸縮計がA5伸びを測定した。

Nitalエッチング後の従来の光学的金属組織学では、主にオースフェライトであるが完全には発達していない構造が明らかとなった。図2.aを参照されたい。残りのより大きく明るいオーステナイトの「アイランド」(オースフェライト中の「フィルム」形状とは対照的に「ブロック」形状)は、炭素濃縮されている(その後室温で熱的に安定である)が、その最終炭素含有量又は微細サイズに達していない。

圧延されたφ53mm棒鋼のコアでは、約5%の初析フェライト(ただし高ケイ素含有量によりパーライトはない)が観察され得たが、これは、鋼合金の硬化性が、φ53mm径の棒鋼が冷却床上で経験する空冷に必要とされるものより若干低かったことを示している。オーステナイトの初期Ms温度より30K低い温度レベルでの空気中6時間の低温焼鈍後では、明るいオーステナイトアイランドは、微細オースフェライトに変態していた。図2.bを参照されたい。

図3〜図5は、引張試験棒鋼の破壊表面を示す。実体顕微鏡写真は、圧延直後の破壊において微小な「ミラー」を示し(図3.aを参照されたい)、焼鈍試料において破壊前のネッキング後にせん断縁を示した(図3.bを参照されたい)。

SEMのより高倍において、圧延直後の破壊は、延性の窪み領域が支配的であるが、劈開破壊と混合した準脆性破壊のおそらくは弱体化した領域(図2.aにおける明るいオーステナイトアイランドに対応する)もまた含有する。図4のSEM写真を参照されたい。図4.bのより高倍では、異なる種類の破壊が矢印により示されている。中央部の矢印は劈開を、右側の矢印は準脆性を、また左側の矢印は延性の窪みを示す。

冷却床に入る前、オーステナイトの初期Ms温度より30K低い温度レベルでの6時間の焼鈍後では、破壊は完全に延性となる。図5を参照されたい。

応力−歪み曲線及び得られる機械的特性を、同じ鋼の圧延後の焼鈍温度及び焼鈍時間の3つの追加的な異なる組合せと共に、図6に示す。

曲線1における圧延直後の鋼(凡例中の2行目に示されている機械的特性を参照されたい)は、おそらくはより柔らかいオーステナイトアイランドにおける塑性変型に起因して早期に降伏し、続いてネッキングよりはるかに前に破壊が生じた。これは、オースフェライト微細構造内での効率的な歪み硬化が破壊前の塑性伸び及び収縮を増加させることができる前に、炭素濃度が低すぎ、またマルテンサイトへの早すぎる歪み誘起変態に抵抗するには厚すぎるオーステナイトの存在を示している。特性の散乱もまた、特に最大引張強度について高かった。

T={Ms初期−30K}で6時間の焼鈍後、機械的応答は完全に異なる(曲線3及び凡例中の6行目に示される機械的特性を参照されたい)。降伏強度Rp0.2及び最大引張強度Rmの両方が、約275MPaだけ増加し、散乱はごくわずかであった(標準偏差±4〜5MPa)。更に、伸びは18%超まで(Rmに対して)等方性であり、最終的に23.7±2%で断裂した。

最後に、圧延直後の棒鋼の焼鈍処理を、温度及び時間の異なる組合せに対して調査した。機械的に不安定なオーステナイトを含む圧延直後の棒鋼を、HSS帯のこを使用して切断することが困難である(したがってEDMによる高額な切り出しを必要とする)ため、単一棒鋼のみを評価した(特性の標準偏差の決定なし)。より低い焼鈍温度でより長期間(曲線2及び凡例中の4行目に示される得られる機械的特性を参照されたい)並びに2つのより高い焼鈍温度でより短期間(曲線4及び5と凡例中の8行目及び10行目に示される機械的特性を参照されたい)の両方が、同様の結果をもたらしており、すなわち、非常に高い延性と同時に、降伏強度及び最大引張強度の両方の実質的な改善をもたらしている。

圧延前のフェライト−パーライト鍛造インゴットの硬度は、369±5HV30であった。圧延直後のφ53mm棒鋼では、連続冷却中に形成された主にオースフェライトの微細構造(ある程度のより不安定なオーステナイトアイランドが残留する)の硬度は、415±5HV30に増加した。圧延及びT={Ms初期−30K}で6時間の焼鈍後のφ53mm棒鋼では、硬度は更に431±4HV30に増加した。

焼鈍中の僅かな硬度増加は、圧延直後の微細構造がすでに主にオースフェライトであったという微細構造観察と良く一致している。したがって、その後焼鈍中に形成された極めて微細なオースフェライトは、500HVをはるかに超えるであろうその高い硬度にもかかわらず、硬度を若干上昇させ得るだけであるが、これは、極めて微細なオースフェライトがわずか数体積パーセントしかないためである。

これはまた、様々な温度で形成されたオースフェライト(図6を参照されたい)が同様の機械的特性をもたらす理由でもある。以前の連続冷却中に形成する時間を有するオースフェライトがより少ない場合、焼鈍温度による影響がより大きくなるであろう。

熱間圧延棒鋼の連続冷却中のどの温度範囲においてオースフェライトが主に形成されるかを見出すために、完全オーステナイト化及びそれに続くT={Ms初期+20K}で保持された塩浴内での焼入れ及び等温変態による従来のオーステンパ後の同じ鋼合金と比較を行った。等温で形成されたオースフェライト鋼の得られた硬度は、490±5HV30であった。

等温変態温度に対する硬度の依存性についての本発明者の経験に基づくと、これは、連続冷却中に確立されたが完全ではない圧延直後のオースフェライト構造が、T≒{Ms初期+95K}のはるかに高い塩浴温度に対応するであろうことを示唆している。更に、そのような高い塩浴温度で等温変態したオースフェライト鋼の強度レベルは、機械的に不安定なオーステナイト領域が排除されているこれらの圧延+焼鈍鋼におけるレベルと同様である。

本発明によるオースフェライト鋼を製造するための方法によって提供される利点は、以下のように要約され得る。

共析温度近辺での鋼の冷却速度が、オーステンパ温度範囲内での連続冷却中の主にオースフェライトへの連続変態のためにオーステナイトのほとんどを保存するのに十分、合金の硬化性に比べて速い限り、塩浴内での焼入れ及びそれに続く等温変態は必要ではない。

空気中での連続冷却(液体中での焼入れの代わりに)及びそれに続く低温での焼鈍は、残留応力及び製造コストの両方を低減する一方で、極めて強固で延性及び靭性を有するオースフェライト鋼を、低温ベルトオーブンと組み合わせた圧延機から直接20メートルを超える長さで供給することを可能にする。

焼鈍は、以前の連続冷却中の炭素拡散が、周囲温度まで冷却された場合に、又は焼鈍前に意図的にマルテンサイトを形成するために更に冷却された場合に、微量を超える量のマルテンサイトへの変態に対するオーステナイトの残留するより大きな領域を十分に安定化する限り、オーステナイトから主にオースフェライトへの変態を完了させることができ、オースフェライトへの変態は、任意のマルテンサイトの低温焼戻しと同時に完了し、高いケイ素含有量に起因するこの温度範囲内での焼戻し脆化を回避する。

したがって、焼鈍は、鋳造、鍛造及び圧延等の現行の製造プロセス内でオースフェライトへの変態を完了させるためにオーステンパ温度範囲内で冷却速度を低下させる必要性を低減し、一方、バッチオーブン又はベルトオーブンにおける空気中低温でのその後の焼鈍は、極めて良好な機械的特性をもたらすことができ、散乱はわずかである。

周囲温度への、又は意図的により低い温度への連続冷却中にマルテンサイトが形成される場合、焼鈍中に焼き戻され、したがって主にオースフェライトの鋼の更により高い強度に寄与する。

特許請求の範囲内の本発明のさらなる修正は、当業者に明らかであろう。例えば、本発明の特定の実施形態を参照して説明された任意の特徴若しくは方法工程、又は特徴若しくは方法工程の組合せは、本発明の任意の他の実施形態にも組み込まれ得ることが留意されるべきである。

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