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Internal combustion engine

阅读:770发布:2024-01-11

专利汇可以提供Internal combustion engine专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an internal combustion engine, for generating high torque without knocking or excessive noise while NO x is reduced and fuel economy is improved by performing self-ignition combustion operation. SOLUTION: This internal combustion engine 10 is provided with a fuel injection valve 37 injecting gasoline fuel into a combustion chamber 25 and an ignition plug 35. When the internal combustion engine is operated in low load area, a premix compression ignition combustion operation is performed to inject fuel at an early stage and/or medium stage at an intake stroke and compress the fuel while forming homogeneous air-fuel mixture and to perform self-ignition combustion of the fuel. When the internal combustion engine is operated in medium load area, spark ignition combustion operation is performed. When the internal combustion engine is operated in high load area, diffuse combustion operation is performed to diffuse and burn the fuel by compressing air taken into the combustion chamber and injecting the fuel in the compressed air. COPYRIGHT: (C)2006,JPO&NCIPI,下面是Internal combustion engine专利的具体信息内容。

  • 内燃機関のピストンの頂面、シリンダのボア壁面及びシリンダヘッドの下面により画定される燃焼室内にガソリン燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    前記内燃機関が軽負荷領域にて運転されるとき、前記燃焼室内に吸入された空気と前記燃料噴射手段から噴射された燃料とを予め混合して同燃料の空間的分布が一様な均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段と、
    を備えた内燃機関であって、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が大きい高負荷領域にて運転されるとき、前記自着火燃焼に代え、前記燃焼室内に吸入された空気を同燃焼室内にて圧縮し、同圧縮された空気の中に前記燃料噴射手段から燃料を噴射することにより同燃料を拡散燃焼させる拡散燃焼運転実行手段を備えた内燃機関。
  • 請求項1に記載の内燃機関であって、
    クランク角が720度回転する毎に吸気、圧縮、燃焼及び排気の各行程を迎える4サイクル運転を行うように構成されるとともに、
    前記空気の前記燃焼室への吸入により同燃焼室内に吸気スワールを生成するスワール生成手段と、
    前記燃焼室に点火用火花を発生する火花発生手段と、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が大きく前記高負荷領域よりも負荷が小さい中負荷領域にて運転されるとき、前記燃焼室内に吸入された空気と前記燃料噴射手段から噴射された燃料とを予め混合して同燃料の空間的分布が一様な均質混合気を形成しながら圧縮し、同圧縮された均質混合気を前記火花発生手段による点火用火花によって点火して同燃料を火花点火燃焼させる火花点火燃焼運転実行手段と、
    を備え、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段は、
    前記内燃機関の負荷に応じた軽負荷時吸気弁開弁タイミングにて吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた軽負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、前記燃焼室内に吸入される空気によるスワールが最も強くなる時期である同軽負荷時吸気弁開弁タイミングから同軽負荷時吸気弁閉弁タイミングまでの吸気行程の初期及び/又は中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させることにより前記均質混合気を形成するように構成され、
    前記火花点火燃焼運転実行手段は、
    前記内燃機関の負荷に応じた中負荷時吸気弁開弁タイミングにて前記吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた吸気弁閉弁タイミングであって前記軽負荷時吸気弁閉弁タイミングよりも遅角側の中負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、前記燃焼室内に吸入された空気によるスワールが最も強くなる時期である同中負荷時吸気弁開弁タイミングから同中負荷時吸気弁閉弁タイミングまでの吸気行程の初期及び/又は中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させることにより前記均質混合気を形成するように構成され、
    前記拡散燃焼運転実行手段は、
    前記内燃機関の負荷に応じた高負荷時吸気弁開弁タイミングにて前記吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた吸気弁閉弁タイミングであって前記中負荷時吸気弁閉弁タイミングよりも進角側の高負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、同高負荷時吸気弁閉弁タイミングよりも遅角側であって圧縮上死点近傍のタイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させるように構成された内燃機関。
  • 請求項2に記載の内燃機関であって、
    前記ピストンは同ピストンの頂面の中央部に形成されたキャビティを備え、
    前記燃料噴射手段は前記キャビティに向けて前記燃料を噴射するように構成され、
    更に、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が小さい極軽負荷領域にて運転されるとき、前記内燃機関の負荷に応じた極軽負荷時吸気弁開弁タイミングにて前記吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、同極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングより遅角側で圧縮上死点までの圧縮行程の中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめ、同キャビティ内にて均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる成層自着火燃焼運転実行手段を備えた内燃機関。
  • 請求項2又は請求項3に記載の内燃機関であって、
    前記燃焼室内の圧力である筒内圧を検出する筒内圧検出手段と、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転を実行している場合、1回の燃焼に対する圧縮行程開始から燃焼行程終了まで前記検出された筒内圧を平均化した筒内圧平均値を求めるとともに、過去複数回の燃焼に対する同筒内圧平均値を平均化した平均筒内圧平均値を求め、今回の燃焼に対する筒内圧平均値と同平均筒内圧平均値との差の絶対値に基づく値が所定値より大きくなったとき前記成層自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転を実行するように運転を切り換える運転切換手段と、
    を備えた内燃機関。
  • 請求項2又は請求項3に記載の内燃機関であって、
    前記燃焼室内の圧力である筒内圧を検出する筒内圧検出手段と、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転を実行している場合、前記検出される筒内圧に基づいて筒内圧の単位時間又は単位クランク角あたりの変化量である筒内圧変化率を求めるとともに、同求められた筒内圧変化率が所定変化率より大きくなったとき前記火花点火燃焼運転実行手段による火花点火燃焼運転を実行するように運転を切り換える運転切換手段と、
    を備えた内燃機関。
  • 請求項2又は請求項3に記載の内燃機関であって、
    ノッキングを検出するノッキング検出手段と、
    前記火花点火燃焼運転実行手段による火花点火燃焼運転を実行している場合、前記検出されるノッキングに基づいてノッキングの発生頻度を求めるとともに、同ノッキングの発生頻度が所定頻度より大きくなったとき前記拡散燃焼運転実行手段による拡散燃焼運転を実行するように運転を切り換える運転切換手段と、
    を備えた内燃機関。
  • 請求項3に記載の内燃機関において、
    前記キャビティは、有底の略円筒状であって同キャビティの入り口を形成する縁部の径が同キャビティ内部の最大径よりも小さくなるように形成されるとともに、前記吸気スワールを同キャビティ内に導入するためのスワール案内溝が同キャビティの外周部に形成されてなる内燃機関。
  • 請求項3に記載の内燃機関であって、
    前記火花発生手段は、前記キャビティの内周部に前記点火用火花を発生する火花発生部を備えるように配置された点火プラグであり、
    更に、
    前記内燃機関の始動時及び/又は同内燃機関の冷間時、所定の始動冷間時吸気弁開弁タイミングにて前記吸気弁を開弁するとともに所定の始動冷間時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、同始動冷間時吸気弁閉弁タイミングより遅角側で圧縮上死点までの圧縮行程の後期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させることにより同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめて同キャビティ内に成層混合気を形成し、同形成された成層混合気を前記火花発生手段による点火用火花によって点火させて同燃料を火花点火燃焼させる始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段を備えた内燃機関。
  • 請求項8に記載の内燃機関において、
    前記キャビティは、有底の略円筒状であって同キャビティの入り口を形成する縁部の径が同キャビティ内部の最大径よりも小さくなるように形成されるとともに、前記吸気スワールを同キャビティ内に導入するためのスワール案内溝が同キャビティの外周部に形成され、
    前記点火プラグは、前記スワール案内溝に沿うように配置された内燃機関。
  • 請求項3、請求項7、請求項8及び請求項9の何れか一項に記載の内燃機関であって、
    前記キャビティの壁面に断熱層が形成されてなる内燃機関。
  • 請求項2に記載の内燃機関であって、
    過給機を備えるとともに、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、前記吸気弁を開弁する前に前記排気弁を閉弁して同排気弁の閉弁タイミングから同吸気弁の開弁タイミングまでの期間である負のオーバーラップ期間を発生せしめるとともに、前記内燃機関の負荷が大きくなるほど同負のオーバーラップ期間が短くなるように同排気弁の閉弁タイミング及び同吸気弁の開弁タイミングを制御するように構成された内燃機関。
  • 請求項3に記載の内燃機関であって、
    過給機を備えるとともに、
    前記成層自着火燃焼運転実行手段、前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、前記吸気弁を開弁する前に前記排気弁を閉弁して同排気弁の閉弁タイミングから同吸気弁の開弁タイミングまでの期間である負のオーバーラップ期間を発生せしめるとともに、前記内燃機関の負荷が大きくなるほど同負のオーバーラップ期間が短くなるように同排気弁の閉弁タイミング及び同吸気弁の開弁タイミングを制御するように構成された内燃機関。
  • 請求項3に記載の内燃機関において、
    前記燃料噴射手段は、
    燃料の噴射角を狭角としながら噴射する第1噴射状態と、同燃料の噴射角を同狭角及び同狭角よりも角度の大きい広角としながら噴射する第2噴射状態との何れかの状態にて同燃料を噴射し得るように構成され、
    前記成層自着火燃焼運転実行手段は、前記燃料を前記燃料噴射手段から前記第1噴射状態にて噴射せしめるように構成され、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、前記燃料を前記燃料噴射手段から前記第2噴射状態にて噴射せしめるように構成されてなる内燃機関。
  • 請求項13に記載の内燃機関であって、
    前記燃料噴射手段は、ニードルが低リフト状態及び高リフト状態の何れの状態にあるときにも開かれて燃料を噴射する狭角噴射孔群と、同ニードルが同高リフト状態にあるときにのみ開かれて燃料を噴射する広角噴射孔群と、を備えた燃料噴射弁であり、
    前記成層自着火燃焼運転実行手段は、前記ニードルを前記低リフト状態とすることにより前記燃料を前記第1噴射状態にて噴射せしめるように構成され、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、前記ニードルを前記高リフト状態とすることにより前記燃料を前記第2噴射状態にて噴射せしめるように構成されてなる内燃機関。
  • 請求項14に記載の内燃機関であって、
    前記燃料噴射弁は前記狭角噴射孔よりも前記広角噴射孔を多く備え、前記広角噴射孔の径は前記狭角噴射孔の径よりも小さく形成され、
    更に、
    前記内燃機関の負荷が大きくなるほど前記燃料噴射弁から噴射される燃料の圧力を大きくする燃料噴射圧力調整手段を備えた内燃機関。
  • 請求項1に記載の内燃機関であって、
    クランク角が360度回転する毎に、前記燃焼室と同燃焼室内に吸気スワールを生成するように構成された吸気ポートとを遮断した状態にて同燃焼室と排気ポートとを連通して排気行程を開始し、次いで同燃焼室と同吸気ポートとを連通して掃気行程を開始し、次いで同燃焼室と同排気ポートとを遮断して吸気行程を開始し、次いで同燃焼室と同吸気ポートとを遮断して圧縮行程を開始した後に同状態にて燃焼行程を迎える2サイクル運転を行うように構成されるとともに、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が小さい極軽負荷領域にて運転されるとき、前記圧縮行程の中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめ、同キャビティ内にて均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる成層自着火燃焼運転実行手段を備え、
    更に、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段は、
    前記燃焼室と前記吸気ポートとが連通されてから遮断されるまでの期間において同燃焼室内に吸入される空気によるスワールが最も強くなる時期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射することにより前記均質混合気を形成するように構成され、
    前記拡散燃焼運転実行手段は、
    前記圧縮行程であって上死点近傍のタイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して前記燃料を拡散燃焼させるとともに、同拡散燃焼運転が行われる前記高負荷領域において火花点火燃焼を行ったと仮定したときにノッキングの過度の発生を回避するように設定される前記燃焼室と前記吸気ポートとの遮断を行うタイミングよりも進角側のタイミングにて、同燃焼室と同吸気ポートとの遮断を行うように構成された内燃機関。
  • 請求項1に記載の内燃機関であって、
    クランク角が360度回転する毎に、前記燃焼室と同燃焼室内に吸気スワールを生成するように構成された吸気ポートとを遮断した状態にて同燃焼室と排気ポートとを連通して排気行程を開始し、次いで同燃焼室と同吸気ポートとを連通して掃気行程を開始し、次いで同燃焼室と同排気ポートとを遮断し且つ同燃焼室と同吸気ポートとを遮断して圧縮行程を開始した後に同状態にて燃焼行程を迎える2サイクル運転を行うように構成されるとともに、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が小さい極軽負荷領域にて運転されるとき、前記圧縮行程の中期の極軽負荷時噴射タイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめ、同キャビティ内にて均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる成層自着火燃焼運転実行手段と、
    前記吸気ポートを介して前記燃焼室に流入する空気を圧縮する過給機と、
    を備え、且つ、
    前記ピストンは、同ピストンの頂面の中央部に形成されたキャビティを備え、
    前記燃料噴射手段は、前記シリンダヘッドの下面であって前記シリンダのボアの略中央部に配置され且つ前記キャビティに向けて前記燃料を噴射する燃料噴射弁であり、
    前記排気ポートは、その一端が前記シリンダヘッドの下面であって前記燃料噴射弁の周囲に形成された開口部を構成するとともに、同開口部が同開口部に配設された排気弁により開かれることにより前記燃焼室と連通させられ且つ同排気弁により閉じられることにより同燃焼室と遮断させられるように構成され、
    前記吸気ポートは、その一端が前記シリンダのボア壁面に形成された開口部を構成するとともに、同開口部が前記ピストンが上死点から下死点に向けて移動する際に同ピストンの側壁により開かれることにより前記燃焼室と連通させられ且つ同ピストンが下死点から上死点に向けて移動する際に同ピストンの側壁により閉じられることにより同燃焼室と遮断させられるように構成され、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段は、前記極軽負荷時噴射タイミングよりも進角側の軽負荷時噴射タイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射することにより前記均質混合気を形成するように構成され、
    前記拡散燃焼運転実行手段は、前記極軽負荷時噴射タイミングよりも遅角側の上死点近傍のタイミングであって前記圧縮行程中のタイミングである高負荷時噴射タイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して前記燃料を拡散燃焼させるように構成された内燃機関。
  • 说明书全文

    本発明は、燃焼室内に形成されたガソリン燃料の混合気を圧縮して自着火させることができる内燃機関に関する。

    燃料をガソリンとする内燃機関の燃焼によって生成されるNOxの量は、燃焼室内が高温となる燃焼期間の長さに依存し、この期間が短くなると減少することが知られている。 燃焼室内に形成された混合気を高圧縮比にて圧縮することにより同混合気を着火させる予混合圧縮自着火燃焼においては、圧縮された混合気が散在する多数の位置においてほぼ同時に着火する。 このため、自着火燃焼は、火炎の伝播により燃料が燃焼して行く火花点火燃焼より、短期間内に終了する。 従って、自着火燃焼を行う内燃機関は、火花点火燃焼を行う内燃機関より、NOxの排出量を少なくすることができる。 更に、自着火燃焼は、高圧縮比且つ超希薄空燃比での燃焼が可能であるので、燃費も改善することができる。

    係る自着火燃焼は極めて短時間のうちに終了するので、燃料量が多い高負荷領域にて運転されるときに燃焼室内の圧(筒内圧)が急激に上昇し、燃焼騒音が非常に大きくなる。 そこで、燃焼騒音が小さい軽負荷領域においては自着火燃焼運転を行い、燃焼騒音が大きくなる高負荷領域においては混合気を点火プラグが発生する火花により点火して燃焼させる火花点火燃焼運転を行う4サイクル内燃機関が開発されて来ている。 (例えば、特許文献1を参照。)。

    特開2000−64863号公報(請求項1、図4)

    ところで、自着火燃焼を行うように設計された内燃機関の圧縮比は、火花点火燃焼を行うように設計された内燃機関の圧縮比よりも相当に高い。 従って、自着火燃焼を行うことができる内燃機関において火花点火燃焼をそのまま行うと、負荷が大きいときにノッキングが発生してしまう。 そこで、従来の内燃機関は、火花点火燃焼運転時において吸気弁の閉弁タイミングを圧縮行程の上死点近傍にまで遅することにより実圧縮比を低下せしめ、これによりノッキングを回避している。

    しかしながら、高負荷領域で運転する場合においては多量の燃料を燃焼しなければならないから、吸気弁の閉弁タイミングを遅角するにも限度がある。 吸気弁の閉弁タイミングを遅角しすぎると、混合気量(即ち、燃料量)が減少してしまうからである。 これらのことから、従来の内燃機関は、ノッキングを十分に回避することができず、内燃機関の発生するトルクを増大できないという問題がある。 従って、本発明の目的の一つは、自着火燃焼運転を行うことによりNOxの低減及び燃費の向上を達成しながら、ノッキング及び過大な騒音を発生することなく高いトルクを発生し得る内燃機関を提供することにある。

    上記目的を達成する本発明の内燃機関は、
    内燃機関のピストンの頂面、シリンダのボア壁面及びシリンダヘッドの下面により画定される燃焼室内にガソリン燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    前記内燃機関が軽負荷領域にて運転されるとき、前記燃焼室内に吸入された空気と前記燃料噴射手段から噴射された燃料とを予め混合して同燃料の空間的分布が一様な均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段と、
    を備えた内燃機関であって、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が大きい高負荷領域にて運転されるとき、前記自着火燃焼に代え、前記燃焼室内に吸入された空気を同燃焼室内にて圧縮し、同圧縮された空気の中に前記燃料噴射手段から燃料を噴射することにより同燃料を拡散燃焼させる拡散燃焼運転実行手段を備えた内燃機関である。

    これによれば、内燃機関が軽負荷領域にて運転されるとき、燃料の空間的分布が一様な均質混合気が形成且つ圧縮され、これにより、燃料が自着火する均質自着火燃焼による運転が行われる。 従って、前記内燃機関はNoxの排出量を低減することができる。 一方、前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が大きい高負荷領域にて運転されるとき、圧縮された空気の中に燃料が噴射され、これにより拡散燃焼による運転が行われる。 拡散燃焼による運転は火花点火燃焼による運転よりもノッキングが発生し難いので、吸気弁の閉弁タイミングを必要以上に遅角して実圧縮比を低下する必要がない。 従って、前記内燃機関は、高負荷領域にて運転されるとき、高圧縮比の下で安定した燃焼を得ることができるから、高トルクを発生することができる。 更に、ガソリンは軽油よりも気化し易いので、拡散燃焼の速度が高い。 従って、前記内燃機関は、高回転域においてより高出力を発生することができる。

    前記内燃機関は、
    クランク角が720度回転する毎に吸気、圧縮、燃焼及び排気の各行程を迎える4サイクル運転を行うように構成されるとともに、
    前記空気の前記燃焼室への吸入により同燃焼室内に吸気スワールを生成するスワール生成手段と、
    前記燃焼室に点火用火花を発生する火花発生手段と、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が大きく前記高負荷領域よりも負荷が小さい中負荷領域にて運転されるとき、前記燃焼室内に吸入された空気と前記燃料噴射手段から噴射された燃料とを予め混合して同燃料の空間的分布が一様な均質混合気を形成しながら圧縮し、同圧縮された均質混合気を前記火花発生手段による点火用火花によって点火して同燃料を火花点火燃焼させる火花点火燃焼運転実行手段と、
    を備えることができる。

    これによれば、軽負荷領域においては自着火燃焼による運転、中負荷領域においては火花点火燃焼による運転、高負荷領域においては拡散燃焼による運転が行われる。 この結果、中負荷領域において自着火燃焼にて運転すると過大な音が発生し且つ中負荷領域において拡散燃焼が安定して行われ得ないような内燃機関であっても、そのような内燃機関を中負荷領域において過大な音を発生することなく火花点火燃焼により安定して運転することができる。

    更に、この場合、前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段は、
    (1)前記内燃機関の負荷に応じた軽負荷時吸気弁開弁タイミングにて吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた軽負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、
    (2)前記燃焼室内に吸入される空気によるスワールが最も強くなる時期である同軽負荷時吸気弁開弁タイミングから同軽負荷時吸気弁閉弁タイミングまでの吸気行程の初期及び/又は中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させることにより前記均質混合気を形成するように構成され得る。

    これによれば、強い吸気スワールによって燃焼室全体の空気と噴射された燃料とが混合されるので、燃料の空間的分布が一様な均質混合気が確実に形成される。 その結果、Noxの排出量を低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    また、前記火花点火燃焼運転実行手段は、
    (1)前記内燃機関の負荷に応じた中負荷時吸気弁開弁タイミング(例えば、前記軽負荷時吸気弁開弁タイミングよりも進角側のタイミング)にて前記吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた吸気弁閉弁タイミングであって前記軽負荷時吸気弁閉弁タイミングよりも遅角側の中負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、
    (2)前記燃焼室内に吸入された空気によるスワールが最も強くなる時期である同中負荷時吸気弁開弁タイミングから同中負荷時吸気弁閉弁タイミングまでの吸気行程の初期及び/又は中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させることにより前記均質混合気を形成するように構成され得る。

    これによれば、吸気弁閉弁タイミングが遅角側に設定されることにより実圧縮比が低減され、且つ、吸気スワールの攪拌作用が利用されることにより燃料の空間的分布が一様な均質混合気が形成されるので、ノッキングの発生が回避されるとともに安定した火花点火燃焼運転を行うことができる。

    更に、前記拡散燃焼運転実行手段は、
    (1)前記内燃機関の負荷に応じた高負荷時吸気弁開弁タイミングにて前記吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた吸気弁閉弁タイミングであって前記中負荷時吸気弁閉弁タイミングよりも進角側の高負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、
    (2)同高負荷時吸気弁閉弁タイミングよりも遅角側であって圧縮上死点近傍のタイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させるように構成され得る。

    これによれば、吸気弁閉弁タイミングが火花点火燃焼運転時の中負荷時吸気弁閉弁タイミングよりも進角側に設定されるので、実圧縮比が大きく低下することがない。 また、燃料は拡散燃焼せしめられる。 この結果、高圧縮比の下で安定した燃焼を得ることができるので、内燃機関の発生トルクを向上することができる。

    この場合、
    前記ピストンは同ピストンの頂面の中央部に形成されたキャビティを備え、
    前記燃料噴射手段は前記キャビティに向けて前記燃料を噴射するように構成され、
    更に、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が小さい極軽負荷領域にて運転されるとき、前記内燃機関の負荷に応じた極軽負荷時吸気弁開弁タイミングにて前記吸気弁を開弁するとともに同負荷に応じた極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、同極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングより遅角側で圧縮上死点までの圧縮行程の中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめ、同キャビティ内にて均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる成層自着火燃焼運転実行手段を備えることが好適である。

    これによれば、極軽負荷運転時であって燃料量が少ないときであっても、キャビティ内に自着火に十分な濃度の混合気を確実に形成できるので、安定した自着火燃焼を行うことができる。 この結果、自着火運転を行うことができる運転領域をより軽負荷の領域まで拡大できるので、Noxの排出量をより低減し、燃費を一層向上することができる。

    更に、前記内燃機関は、
    前記燃焼室内の圧力である筒内圧を検出する筒内圧検出手段と、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転を実行している場合、1回の燃焼に対する圧縮行程開始から燃焼行程終了まで前記検出された筒内圧を平均化した筒内圧平均値を求めるとともに、過去複数回の燃焼に対する同筒内圧平均値を平均化した平均筒内圧平均値を求め、今回の燃焼に対する筒内圧平均値と同平均筒内圧平均値との差の絶対値に基づく値が所定値より大きくなったとき前記成層自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転を実行するように運転を切り換える運転切換手段と、
    を備えることが好適である。

    これによれば、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼が不安定な状態となったか否かが、「今回の燃焼に対する筒内圧平均値Pi」と「過去複数回の燃焼に対する筒内圧平均値の平均である平均筒内圧平均値Piave」との差の絶対値(|Pi−Piave|)に基づく値ΔPが所定値より大きくなったか否かにより判定される。 そして、前記差の絶対値に基づく値ΔPが前記所定値より大きくなったことにより、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼が不安定な状態となったと判定されると、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転から成層自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転に運転が切り換えられる。 従って、内燃機関の運転状態が不安定になってトルク変動等が生じる事態を回避することができる。

    なお、前記差の絶対値に基づく値ΔPは、前記差の絶対値(|Pi−Piave|)を前記平均筒内圧平均値Piaveで除した値とすることが好適である。

    更に、前記内燃機関は、
    前記燃焼室内の圧力である筒内圧を検出する筒内圧検出手段と、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転を実行している場合、前記検出される筒内圧に基づいて筒内圧の単位時間又は単位クランク角あたりの変化量である筒内圧変化率を求めるとともに、同求められた筒内圧変化率が所定変化率より大きくなったとき前記火花点火燃焼運転実行手段による火花点火燃焼運転を実行するように運転を切り換える運転切換手段と、
    を備えることが好適である。

    これによれば、均質混合気の予混合圧縮自着火燃焼に伴う騒音が過大となったか否かが、筒内圧変化率が所定変化率より大きくなったか否かにより判定される。 そして、筒内圧変化率が所定変化率より大きくなって均質混合気の予混合圧縮自着火燃焼に伴う騒音が過大となったと判定されると、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による自着火燃焼運転から火花点火燃焼運転実行手段による火花点火燃焼運転に運転が切り換えられる。 従って、騒音が過大となる事態を回避することができる。

    更に、前記内燃機関は、
    ノッキングを検出するノッキング検出手段と、
    前記火花点火燃焼運転実行手段による火花点火燃焼運転を実行している場合、前記検出されるノッキングに基づいてノッキングの発生頻度を求めるとともに、同ノッキングの発生頻度が所定頻度より大きくなったとき前記拡散燃焼運転実行手段による拡散燃焼運転を実行するように運転を切り換える運転切換手段と、
    を備えることが好適である。

    これによれば、ノッキングの頻度が過大となる前に火花点火燃焼運転実行手段による火花点火燃焼運転から拡散燃焼運転実行手段による拡散燃焼運転に運転が切り換えられる。 従って、ノッキングの過度な発生を回避することができる。 なお、ノッキング検出手段は、筒内圧センサにより検出された筒内圧の変化に基づいてノッキングの発生を検出するものであってもよく、或いは、内燃機関の振動を検出するタイプの周知のノッキングセンサを用いていてノッキングを検出するものであってもよい。

    更に、上述したキャビティをピストン頂面に備えた内燃機関において、
    前記キャビティは、有底の略円筒状であって同キャビティの入り口を形成する縁部の径が同キャビティ内部の最大径よりも小さくなるように形成されるとともに、前記吸気スワールを同キャビティ内に導入するためのスワール案内溝が同キャビティの外周部に形成されていることが好適である。

    これによれば、燃焼室に吸入される空気により発生するシリンダのボア壁面に沿うスワール流を、スワール案内溝によってキャビティ内に効率的に取り込むことができる。 従って、吸気スワールの旋回半径が小さくなるのでスワール流を強めることができる。

    この結果、成層自着火燃焼運転実行手段による運転時において、実質的にキャビティ内のみに(均質な)混合気を容易に形成できるので、Noxの発生を抑制することができる。 また、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による均質混合気の自着火燃焼時及び火花点火燃焼運転実行手段による均質混合気の火花点火燃焼時に、キャビティ外に形成される混合気をキャビティ内に効率的に取り込むことができるので、キャビティ内に燃焼室全体の空気を利用した均質混合気を形成することができる。 従って、Noxの発生を抑制するとともに熱効率(燃費)の向上を図ることができる。 更に、拡散燃焼運転実行手段による拡散燃焼時には、キャビティ内に生じる強いスワール流により燃料滴と空気(酸素)とのミキシングを促進できるので、拡散燃焼中の空気利用率を高めることができる。 その結果、内燃機関の熱効率を向上することができる。 更に、燃料滴周りに多量の酸素を存在させることができるので、スモークの発生を抑制することができる。

    また、前記火花発生手段は、前記キャビティの内周部に前記点火用火花を発生する火花発生部を備えるように配置された点火プラグであり、
    更に、前記内燃機関は、
    前記内燃機関の始動時及び/又は同内燃機関の冷間時、所定の始動冷間時吸気弁開弁タイミングにて前記吸気弁を開弁するとともに所定の始動冷間時吸気弁閉弁タイミングにて同吸気弁を閉弁し、同始動冷間時吸気弁閉弁タイミングより遅角側で圧縮上死点までの圧縮行程の後期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射させることにより同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめて同キャビティ内に成層混合気を形成し、同形成された成層混合気を前記火花発生手段による点火用火花によって点火させて同燃料を火花点火燃焼させる始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段を備えることが好適である。

    内燃機関の始動時又は冷間時においては、混合気の温度が上昇し難いので、自着火燃焼が不安定になり易い。 そこで、上記構成のように、吸気弁の閉弁後であって圧縮上死点までの圧縮行程の後期に燃料噴射手段から燃料を噴射させることにより同燃料をキャビティに実質的に滞留せしめ、キャビティに生成されているスワールによってキャビティの内周部に成層混合気を形成しておき、その成層混合気をキャビティの内周部に火花発生部を備えた点火プラグにより点火させる。 このようにすれば、内燃機関の始動性が向上し、或いは、冷間時に安定した燃焼を得ることができる。

    一方、前記内燃機関において、
    前記キャビティは、有底の略円筒状であって同キャビティの入り口を形成する縁部の径が同キャビティ内部の最大径よりも小さくなるように形成されるとともに、前記吸気スワールを同キャビティ内に導入するためのスワール案内溝が同キャビティの外周部に形成され、
    前記点火プラグは、前記スワール案内溝に沿うように配置されることができる。

    これによれば、点火プラグをスワール案内溝に配置できるので、点火プラグの火花発生部をキャビティの内周部に容易に配置することができる。

    更に、前記キャビティの壁面に断熱層が形成されることが好適である。

    これによれば、キャビティ内に残留する燃焼ガスが冷却し難くなるので、自着火燃焼に供される混合気の温度を高い温度にすることができ、自着火燃焼を安定して行うことが可能となる。 更に、キャビティに向けて噴射される燃料の気化を促進することができるので、拡散燃焼時において発生するスモークの量を低減することができる。

    更に、本発明による内燃機関は過給機を備え、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、
    (1)前記吸気弁を開弁する前に前記排気弁を閉弁して同排気弁の閉弁タイミングから同吸気弁の開弁タイミングまでの期間である負のオーバーラップ期間を発生せしめるとともに、
    (2)前記内燃機関の負荷が大きくなるほど同負のオーバーラップ期間が短くなるように同排気弁の閉弁タイミング及び同吸気弁の開弁タイミングを制御するように構成されることが好適である。

    同様に、本発明による内燃機関は過給機を備え、
    前記成層自着火燃焼運転実行手段、前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、
    (1)前記吸気弁を開弁する前に前記排気弁を閉弁して同排気弁の閉弁タイミングから同吸気弁の開弁タイミングまでの期間である負のオーバーラップ期間を発生せしめるとともに、
    (2)前記内燃機関の負荷が大きくなるほど同負のオーバーラップ期間が短くなるように同排気弁の閉弁タイミング及び同吸気弁の開弁タイミングを制御するように構成されることが好適である。

    これらによれば、燃焼ガスを燃焼室内に封じこめた状態となる所謂「負のオーバーラップ期間(負のバルブオーバーラップ期間)」が設けられ、しかも、その負のオーバーラップ期間は内燃機関の負荷が大きくなるほど短くなるように設定される。 従って、軽負荷領域の負荷又は同負荷より小さい負荷の領域で内燃機関が運転される場合には、負のオーバーラップ期間により燃焼室内に導入される空気量が制御され得る。 また、軽負荷領域の負荷よりも大きな負荷の領域で内燃機関が運転される場合には、過給機による過給と負のオーバーラップ期間とにより燃焼室内に導入される空気量が制御され得る。 この結果、内燃機関の吸気通路に配設されるスロットルバルブを略全開に維持することが可能となるので、スロットルバルブの絞りによるエネルギー損失が低減され、内燃機関の燃費を改善することができる。

    また、前記内燃機関において、
    前記燃料噴射手段は、
    燃料の噴射角を狭角としながら噴射する第1噴射状態と、同燃料の噴射角を同狭角及び同狭角よりも角度の大きい広角としながら噴射する第2噴射状態との何れかの状態にて同燃料を噴射し得るように構成され、
    前記成層自着火燃焼運転実行手段は、前記燃料を前記燃料噴射手段から前記第1噴射状態にて噴射せしめるように構成され、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、前記燃料を前記燃料噴射手段から前記第2噴射状態にて噴射せしめるように構成されることが好適である。

    前述したように、成層自着火燃焼運転実行手段により混合気を自着火燃焼させる場合の燃料噴射時期は、圧縮行程中期である。 従って、燃料が噴射されるタイミングにおいては、燃料噴射手段とキャビティが形成されているピストン頂面との距離が比較的大きい。 このため、上記構成のように、成層自着火燃焼運転実行手段により混合気を自着火燃焼させる場合、燃料を頂角が狭角の円錐形状(コーン状)に噴射することにより、噴射された燃料をピストン頂面に形成されたキャビティ内に確実に導入することができる。 この結果、自着火燃焼に寄与しないキャビティ外の燃料の量を低減することができるので、未燃HCの発生を抑制することができるとともに、燃費を向上することができる。

    更に、上記構成によれば、予混合圧縮自着火燃焼運転時及び火花点火燃焼運転時においては、スワールが最も強くなる時期である吸気行程の初期及び/又は中期において、燃料は頂角が狭角及び広角の円錐形状(コーン状)に噴射される。 従って、噴射された燃料は燃焼室全体に行き渡り、且つ、強いスワール流に乗って燃焼室内にて攪拌される。 従って、燃焼室内に存在する全空気が均質混合気の形成に利用されるので、Noxの排出量をより低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    この場合、
    前記燃料噴射手段は、ニードルが低リフト状態及び高リフト状態の何れの状態にあるときにも開かれて燃料を噴射する狭角噴射孔群と、同ニードルが同高リフト状態にあるときにのみ開かれて燃料を噴射する広角噴射孔群と、を備えた燃料噴射弁であり、
    前記成層自着火燃焼運転実行手段は、前記ニードルを前記低リフト状態とすることにより前記燃料を前記第1噴射状態にて噴射せしめるように構成され、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段、前記火花点火燃焼運転実行手段及び前記拡散燃焼運転実行手段のそれぞれは、前記ニードルを前記高リフト状態とすることにより前記燃料を前記第2噴射状態にて噴射せしめるように構成されることが好適である。

    これによれば、簡単な構成により、各運転状態に応じた上述の噴射状態にて燃料を噴射することができる。 また、燃料噴射弁の燃料噴射量のダイナミックレンヂ(燃料噴射量の最小量と最大量との差)を大きくすることが容易に可能となるので、高負荷時においても十分な量の燃料を噴射することができる。

    このような燃料噴射弁を備えた内燃機関において、
    前記燃料噴射弁は前記狭角噴射孔よりも前記広角噴射孔を多く備え、前記広角噴射孔の径は前記狭角噴射孔の径よりも小さく形成され、
    更に、
    前記内燃機関の負荷が大きくなるほど前記燃料噴射弁から噴射される燃料の圧力を大きくする燃料噴射圧力調整手段を備えることが好適である。

    これによれば、以下の利点がある。
    (1)極軽負荷時(成層自着火燃焼運転実行手段による運転時)には、径が相対的に大きな狭角噴射孔から燃料が噴射され、且つ、噴射される燃料の圧力が比較的小さいため、燃料滴の粒径が大きくなる。 従って、燃料をキャビティ内に確実に到達させることができる。
    (2)軽負荷時〜中負荷時(予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段及び火花点火燃焼運転実行手段による運転時)には、燃料が狭角噴射孔からのみでなく広角噴射孔からも噴射される。 この結果、広角噴射孔から噴射されることにより粒径が小さく広角に噴射された燃料滴と狭角噴射孔から噴射されることにより粒径が大きく狭角に噴射された燃料滴とにより、燃焼室内の空気と燃料とが十分に混合される。 これにより、燃焼室内に存在する全空気が均質混合気の形成に利用されるようになるので、Noxの排出量をより低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。
    (3)高負荷時(拡散燃焼運転時)には、燃料が狭角噴射孔からのみでなく広角噴射孔からも噴射される。 また、噴射される燃料の圧力が比較的大きい。 従って、広角噴射孔から噴射される燃料の粒径が小さくなるので、その燃料滴と空気(酸素)とが十分にミキシングされる。 この結果、内燃機関の熱効率を向上することができる。 更に、燃料滴周りに多量の酸素を存在させることができるので、スモークの発生を効果的に抑制することができる。

    一方、前記内燃機関は、
    クランク角が360度回転する毎に、前記燃焼室と同燃焼室内に吸気スワールを生成するように構成された吸気ポートとを遮断した状態にて同燃焼室と排気ポートとを連通して排気行程を開始し、次いで同燃焼室と同吸気ポートとを連通して掃気行程を開始し、次いで同燃焼室と同排気ポートとを遮断して吸気行程を開始し、次いで同燃焼室と同吸気ポートとを遮断して圧縮行程を開始した後に同状態にて燃焼行程を迎える2サイクル運転を行うように構成され得る。

    このような2サイクル内燃機関は、高温の燃焼ガスを次の燃焼に供される混合気の温度を上昇させるために直ちに利用することができるので、自着火燃焼を安定して行うことが可能となる。 従って、自着火燃焼運転を行う運転領域をより低負荷側の領域にまで拡大できるので、NOxの排出量を少なくし、且つ、燃費を改善することができる。

    この場合、前記内燃機関は、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が小さい極軽負荷領域にて運転されるとき、前記圧縮行程の中期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめ、同キャビティ内にて均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる成層自着火燃焼運転実行手段を備えることが好適である。

    これによれば、極軽負荷運転時であって燃料量が少ないときであっても、キャビティ内に自着火に十分な濃度の混合気を確実に形成できるので、安定した自着火燃焼を行うことができる。 この結果、自着火運転を行うことができる運転領域をより軽負荷の領域まで拡大できるので、Noxの排出量をより低減し、燃費を一層向上することができる。

    更に、この場合、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段は、
    前記燃焼室と前記吸気ポートとが連通されてから遮断されるまでの期間において同燃焼室内に吸入される空気によるスワールが最も強くなる時期に前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射することにより前記均質混合気を形成するように構成されることが好適である。

    これによれば、強い吸気スワールによって燃焼室全体の空気と噴射された燃料とが混合されるので、燃料の空間的分布が一様な均質混合気が形成される。 その結果、Noxの排出量を低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    更に、前記拡散燃焼運転実行手段は、
    前記圧縮行程であって上死点近傍のタイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して前記燃料を拡散燃焼させるとともに、同拡散燃焼運転が行われる前記高負荷領域において火花点火燃焼を行ったと仮定したときにノッキングの過度の発生を回避するように設定される前記燃焼室と前記吸気ポートとの遮断を行うタイミングよりも進角側のタイミングにて、同燃焼室と同吸気ポートとの遮断を行うように構成されることが好適である。

    これによれば、燃焼室と吸気ポートとの遮断タイミングが、火花点火燃焼を行ったと仮定したときにノッキングの過度の発生を回避するように設定される燃焼室と吸気ポートとの遮断を行うタイミングよりも進角側のタイミングとなるので、実圧縮比が大きく低下することがない。 また、燃料は拡散燃焼により燃焼せしめられる。 この結果、高圧縮比の下で安定した燃焼を得ることができるので、内燃機関の発生トルクを向上することができる。

    本発明による内燃機関の他の態様は、
    クランク角が360度回転する毎に、前記燃焼室と同燃焼室内に吸気スワールを生成するように構成された吸気ポートとを遮断した状態にて同燃焼室と排気ポートとを連通して排気行程を開始し、次いで同燃焼室と同吸気ポートとを連通して掃気行程を開始し、次いで同燃焼室と同排気ポートとを遮断し且つ同燃焼室と同吸気ポートとを遮断して圧縮行程を開始した後に同状態にて燃焼行程を迎える2サイクル運転を行うように構成されるとともに、
    前記内燃機関が前記軽負荷領域よりも負荷が小さい極軽負荷領域にて運転されるとき、前記圧縮行程の中期の極軽負荷時噴射タイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して同噴射された燃料を前記キャビティに実質的に滞留せしめ、同キャビティ内にて均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる成層自着火燃焼運転実行手段と、
    前記吸気ポートを介して前記燃焼室に流入する空気を圧縮する過給機と、
    を備えた内燃機関である。

    更に、
    前記ピストンは、同ピストンの頂面の中央部に形成されたキャビティを備え、
    前記燃料噴射手段は、前記シリンダヘッドの下面であって前記シリンダのボアの略中央部に配置され且つ前記キャビティに向けて前記燃料を噴射する燃料噴射弁であり、
    前記排気ポートは、その一端が前記シリンダヘッドの下面であって前記燃料噴射弁の周囲に形成された開口部を構成するとともに、同開口部が同開口部に配設された排気弁により開かれることにより前記燃焼室と連通させられ且つ同排気弁により閉じられることにより同燃焼室と遮断させられるように構成され、
    前記吸気ポートは、その一端が前記シリンダのボア壁面に形成された開口部を構成するとともに、同開口部が前記ピストンが上死点から下死点に向けて移動する際に同ピストンの側壁により開かれることにより前記燃焼室と連通させられ且つ同ピストンが下死点から上死点に向けて移動する際に同ピストンの側壁により閉じられることにより同燃焼室と遮断させられるように構成される。 つまり、この内燃機関は、所謂「ユニフロー型の2サイクル内燃機関」である。

    このようなユニフロー型の2サイクル内燃機関において、
    前記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段は、前記極軽負荷時噴射タイミングよりも進角側の軽負荷時噴射タイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射することにより前記均質混合気を形成するように構成され、
    前記拡散燃焼運転実行手段は、前記極軽負荷時噴射タイミングよりも遅角側の上死点近傍のタイミングであって前記圧縮行程中のタイミングである高負荷時噴射タイミングにて前記燃料噴射手段から前記燃料を噴射して前記燃料を拡散燃焼させるように構成されることが好適である。

    このようなユニフロー型の2サイクル内燃機関は、高温の燃焼ガスを次の燃焼に供される混合気の温度を上昇させるために直ちに利用することができるので、自着火燃焼を安定して行うことが可能となる。 従って、自着火燃焼運転を行う運転領域をより低負荷側の領域にまで拡大できる。 この結果、実用領域において自着火燃焼運転することができるので、内燃機関のNOxの排出量を少なくし、且つ、燃費を改善することができる。

    更に、吸気弁及び排気弁をシリンダヘッドに備えた通常の内燃機関は、負荷が大きくなるに従って吸気弁閉弁タイミングが遅角側に移行するので、高負荷領域において実行程容積(実圧縮行程容積)が低下してしまうのに対し、このユニフロー型の2サイクル内燃機関は、そのような実行程容積の低下を招かず、実圧縮比を高く維持することができる。 この結果、前記内燃機関は、大きな最大トルクを発生することができる。

    加えて、高負荷領域において、過給機による過給と拡散燃焼とを行うことにより、ノッキングを伴わない安定な燃焼を維持することができる。 この結果、前記内燃機関は、大きな最大トルクを発生することができる。

    <第1実施形態>
    以下、本発明による内燃機関の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。 図1は、本発明の第1実施形態に係る内燃機関10の概略構成を示している。 なお、図1は、特定気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。

    この内燃機関10は、クランク角が720度回転する毎に吸気、圧縮、燃焼及び排気の各行程を迎える4サイクル運転を行うように構成されたピストン往復動型4サイクル内燃機関である。 内燃機関10に使用される燃料はガソリンである。

    内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20に空気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガス(燃焼ガス)を外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。

    シリンダブロック部20は、中空円筒状のシリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。 ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。 シリンダ21のボア壁面、ピストン22の頂面(ピストンヘッド)及びシリンダヘッド部30の下面は、燃焼室25を形成している。

    シリンダヘッド部30は、燃焼室25に接続された吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動する吸気弁駆動手段としての吸気弁駆動機構32a、燃焼室25に接続された排気ポート33、排気ポート33を開閉する排気弁34、排気弁34を駆動する排気弁駆動手段としての排気弁駆動機構34a、点火プラグ35、点火プラグ35に与える高電圧を発生させるイグニッションコイルを含むイグナイタ36、燃料を燃焼室25内に直接噴射する燃料噴射弁(燃料噴射手段)37、燃料の蓄圧室を含む燃料圧力調整手段38a及び燃料ポンプ38bを備えている。 吸気弁駆動機構32a及び排気弁駆動機構34aは、駆動回路39に接続されている。

    吸気ポート31は、周知のスワールポート(又はヘリカルポート)であって、吸気ポート31及び吸気弁32の周囲を介して燃焼室25に流入する空気により、燃焼室25内にシリンダ21のボア壁面に沿う吸気スワール(横スワール)を形成するようになっている。 即ち、吸気ポート31はスワール生成手段を構成している。

    点火プラグ35及びイグナイタ36は、燃焼室25に点火用火花を発生する火花発生手段を構成している。

    燃料圧力調整手段38aは、内燃機関10の負荷が増大するほど圧力が高くなる高圧燃料を燃料噴射弁37に供給するようになっている。 燃料ポンプ38bは、図示しない燃料タンク内の燃料を燃料圧力調整手段38aへ圧送するようになっている。

    吸気系統40は、吸気ポート31に連通し同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41に連通したサージタンク42、サージタンク42に一端が接続された吸気ダクト43、吸気ダクト43の他端部から下流(吸気管41)に向けて順に吸気ダクト43に配設されたエアフィルタ44、ターボチャージャ81のコンプレッサ81a、バイパス流量調整弁(ABV)45、インタークーラ46及びスロットルバルブ47を備えている。

    吸気系統40は、更に、バイパス通路48を備えている。 バイパス通路48の一端はバイパス流量調整弁45と接続され、他端はインタークーラ46とスロットルバルブ47の間の位置にて吸気ダクト43に接続されている。 バイパス流量調整弁45は、駆動信号に応答して図示しないバルブ開度を変更することにより、インタークーラ46へ流入する空気量とインタークーラ46をバイパスする空気量(バイパス通路48へ流入する空気量)とを調整できるようになっている。

    インタークーラ46は冷式であって、吸気ダクト43を通過する空気を冷却するようになっている。 インタークーラ46は、インタークーラ46内の冷却水の熱を大気中に放出するラジエタ46aと、インタークーラ46とラジエタ46aの間で冷却水を循環させる循環ポンプ46bと、に接続されている。

    スロットルバルブ47は吸気ダクト43に回転可能に支持され、スロットルバルブアクチュエータ47aにより駆動されることにより吸気通路の開口断面積を可変とするようになっている。

    排気系統50は、排気ポート33に連通し同排気ポート33とともに排気通路を形成するエキゾーストマニホールドを含む排気管51、排気管51に配設されたターボチャージャ(過給機、過給手段)81のタービン81b、タービン81bをバイパスするように両端が同タービン81bの上流及び下流において排気管51に連通されたウェストゲート通路52、ウェストゲート通路52に配設された過給圧調整弁52a及びタービン81bの下流の排気管51に配設された三元触媒装置53を備えている。

    ターボチャージャ81のタービン81bは排ガスのエネルギーにより回転し、これにより吸気系統40のコンプレッサ81aが回転して空気を圧縮する。 この結果、ターボチャージャ81は、吸気通路の空気を圧縮して燃焼室25に空気を過給するようになっている。

    ここで、燃焼室25及び燃焼室25に関連する部分の構造について、図2及び図3を参照しながら詳述する。 図2は燃焼室25及び燃焼室25に関連する部分をシリンダ21の軸線を通る平面にて切断した断面図、図3はピストン22の頂面の正面図である。

    シリンダヘッド部30の下面30aは、図2に示したように、所謂ペントルーフ型燃焼室を構成するシリンダヘッド下面と同様な形状となっている。 図3に示したように、一つの気筒(燃焼室25)には、二つの吸気弁32と二つの排気弁34とが配設されている。 即ち、内燃機関10は、所謂「4バルブエンジン」である。

    ピストン22の頂面22aの周部は、図2に示したように、シリンダヘッド下面30aに沿うように傾斜している。 ピストン22の頂面22aの中央にはキャビティ(凹部)22bが形成されている。 キャビティ22bは有底の略円筒形状をなしている。 キャビティ22bの入り口を形成する縁部の径は、キャビティ22bの内部の最大径よりも小さくなっている。 キャビティ22bの壁面(表面)には、チタン或いはセラミックからなる断熱層(ピストン22を構成する材質(例えば、アルミニウム)より熱伝達率が小さい材質からなる層)22cが形成されている。

    更に、キャビティ22bの外周部には、図2及び図3に示したように、燃焼室25に流入する空気により形成される吸気スワールをキャビティ22b内に導入するためのスワール案内溝22dが複数箇所(本例では3箇所)に形成されている。 スワール案内溝22dを構成する面は傾斜している。 この傾斜面の角度は、スワール案内溝22dの幅(ピストン22の頂面22aの中心からスワール案内溝22dの外周までの距離)が小さくなるに従って、ピストン22の頂面22aに沿った角度からピストン22の頂面22aに対して略垂直な角度に向けて次第に増加している。

    また、スワール案内溝22dの一つは、図3に示したように、ピストン22の頂面22aの正面視において、その案内溝開始位置Stが一つの吸気弁32に対向する位置に形成され、その案内溝終了位置Enが他の一つの吸気弁32に対向する位置に形成されている。 このスワール案内溝22dを便宜上「特定スワール案内溝」と称呼する。

    点火プラグ35は、二つの吸気ポート31(従って、二つの吸気弁32)の間に配置され、キャビティ22bの内周部(キャビティ22bの内側の周部)に点火用火花を発生する火花発生部35aを備えるように配置された突き出しプラグである。 点火プラグ35の先端部近傍(火花発生部35aの近傍)は、ピストン22が上死点近傍位置に到達したとき、前述した特定スワール案内溝に沿うように(特定スワール案内溝を構成する傾斜面と平行な角度で同傾斜面に沿うように)配置されている。

    燃料噴射弁37は、その噴孔がシリンダヘッド下面30aであって燃焼室25の中心位置に露呈し、且つ、ピストン22のキャビティ22bに向けてガソリン燃料を噴射するように、シリンダヘッド部30に配設されている。

    燃料噴射弁37は、その先端部の縦断面図である図4及び先端部の正面図である図5に示したように、ノズルボディ37aとニードル37bと図示しない二つのソレノイドを含む電磁機構(リフト量制御手段)とを備えたインジェクタである。

    ノズルボディ37aは、略円筒状であって、先端に向うにつれて径が小さくなっている。 ノズルボディ37aの先端部は、半球状になっている。 ノズルボディ37aの内部には、ニードル37bを収容する空間が形成されている。 この空間は、大径部37a1と小径部37a2とを含んでいる。 大径部37a1は、中空円筒状であってノズルボディ37aの基端側に位置している。 小径部37a2は、大径部37a1の径よりも小さい径を有する中空円筒状である。 小径部37a2は、大径部37a1からノズルボディ37aの先端部に向けて延設されている。 小径部37a2の頂部は、円錐形状となっている。

    ノズルボディ37aの半球状の先端部には、複数(本例では4個)の狭角噴射孔37cと、複数(本例では8個)の広角噴射孔37dが形成されている。 広角噴射孔37dの数は、狭角噴射孔37cの数よりも多い。 複数の狭角噴射孔37cを狭角噴射孔群と称呼し、複数の広角噴射孔37dを広角噴射孔群と称呼する。

    狭角噴射孔37cは、ノズルボディ37aの最先端近傍において同ノズルボディ37aに放射状に形成されている。 複数の狭角噴射孔37cは、互いに等距離を隔てて配列されている。 各狭角噴射孔37cの軸線とノズルボディ37aの軸線とのなす角度はθ1である。

    広角噴射孔37dは、狭角噴射孔37cよりもノズルボディ37aの基端側において同ノズルボディ37aに放射状に形成されている。 複数の広角噴射孔37dは、互いに等距離を隔てて配列されている。 各広角噴射孔37dの軸線とノズルボディ37aの軸線とのなす角度はθ2である。 角度θ2は角度θ1より大きい。 広角噴射孔37dの径は、狭角噴射孔37cの径より小さい。

    ニードル37bは、円筒状の基部37b1と円筒状の先端部37b2とを含んでいる。 基部37b1の径は大径部37a1の径より僅かだけ小さい。 基部37b1は大径部37a1に収容されている。 先端部37b2の径は小径部37a2の径よりも僅かだけ小さい。 従って、先端部37b2の径は基部37b1の径よりも小さい。 先端部37b2は、基部37b1からニードル37bの先端側に突出するように形成され、小径部37a2に収容されている。

    ニードル37bの先端部37b2の頂部は円錐台状である。 ニードル37bがリフトされていないとき、この円錐台状の頂面(上面)の周部(縁部)は、ノズルボディ37aの小径部37a2の円錐状頂部をなす内壁面に当接するようになっている。 これにより、ニードル37bがリフトされていないとき、ニードル37bの先端部37b2の頂面とノズルボディ37aの小径部37a2の円錐状頂部との間に密閉空間Sが形成される。

    ニードル37bには、軸線に沿った細径の燃料通路37b3が、図示しない基部37b1側の燃料供給部とニードル37bの先端部37b2の頂面とを連通するように形成されている。 従って、ニードル37bがリフトされていないとき、燃料通路37b3の先端側開口は、前述した密閉空間Sのみに臨んでいる。 狭角噴射孔37cは、この密閉空間Sよりも外側に形成されている。 従って、ニードル37bがリフトされていないとき、密閉空間Sと狭角噴射孔37cとは遮断されている。

    ニードル37bは、図示しない第1のソレノイドが通電されたとき、図4に破線により示した位置LLまで移動するようになっている。 即ち、ニードル37bのリフト量は低リフト量となる。 これにより、燃料通路37b3及び密閉空間Sと狭角噴射孔37cとが連通する。 一方、燃料通路37b3及び密閉空間Sと広角噴射孔37dとは遮断されている。 この結果、燃料通路37b3を介して密閉空間Sに供給される燃料は、狭角噴射孔37cのみから噴射される。 即ち、ニードル37bのリフト量が低リフト量となると、燃料の噴射角を狭角としながら噴射する第1噴射状態が実現される。

    ニードル37bは、図示しない第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両者が通電されたとき、図4に二点鎖線により示した位置HLまで移動するようになっている。 位置HLは、位置LLよりもノズルボディ37aの基端側の位置である。 即ち、ニードル37bのリフト量は高リフト量となる。 これにより、燃料通路37b3及び密閉空間Sと狭角噴射孔37cとが連通するとともに、燃料通路37b3及び密閉空間Sと広角噴射孔37dとが連通する。 この結果、燃料通路37b3を介して密閉空間Sに供給される燃料は、狭角噴射孔37c及び広角噴射孔37dから噴射される。 即ち、ニードル37bのリフト量が高リフト量となると、燃料の噴射角を狭角及び同狭角よりも角度の大きい広角としながら噴射する第2噴射状態が実現される。

    再び図1を参照すると、この内燃機関10は、エアフローメータ61、クランクポジションセンサ62、筒内圧検出手段としての筒内圧センサ63、冷却水温センサ64、アクセル開度センサ65及び電気制御装置70を含んでいる。

    エアフローメータ61は吸入された空気量を表す信号を出力するようになっている。 クランクポジションセンサ62は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。 この信号は、エンジン回転速度NEを表す。 筒内圧センサ63は、燃焼室25内の圧力(筒内圧)Pを表す信号を出力するようになっている。 冷却水温センサ64は、内燃機関10の冷却水の温度THWを表す信号を出力するようになっている。 アクセル開度センサ65は、運転者によって操作されるアクセルペダル66の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。

    電気制御装置70は、互いにバスで接続された所定のプログラムを実行するCPU71と、CPU71が実行するプログラム、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)及び定数等を予め記憶したROM72と、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73と、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納されたデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74と、ADコンバータを含むインターフェース75と、等からなるマイクロコンピュータである。

    インターフェース75は、上記センサ61〜65と接続され、CPU71にセンサ61〜65からの信号を供給するとともに、同CPU71の指示に応じてイグナイタ36、燃料噴射弁37、燃料圧力調整手段38a、燃料ポンプ38b、駆動回路39、スロットルバルブアクチュエータ47a、バイパス流量調整弁45及び過給圧調整弁52aに駆動信号を送出するようになっている。

    この内燃機関10は、図6に示したように、成層自着火燃焼運転実行手段F1、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2、火花点火燃焼運転実行手段F3、拡散燃焼運転実行手段F4、始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段F5及び運転切換手段G1等の手段を含んでいる。 これらの手段の機能は、電気制御装置70のCPU71が所定のプログラムを実行することにより達成される。 従って、以下、CPU71が実行する各種の動作を上記各手段が行うものとして説明する。

    運転切換手段G1は、図7に示した運転領域マップをROM72に記憶している。 運転切換手段G1は、内燃機関10の負荷とエンジン回転速度NEと運転領域マップに基づいて運転領域を決定し、その決定した運転領域に従った運転方式にて運転を行う。 内燃機関10の負荷は、アクセルペダル66の操作量Accpとエンジン回転速度NEとに基づいて決定される要求トルクTqtgtであってもよく、単にアクセルペダル66の操作量Accpであってもよい。

    図7に示した運転領域マップによれば、所定の大きさの第1負荷より小さい負荷の領域である極軽負荷領域は成層自着火燃焼運転領域、第1負荷より大きく且つ同第1負荷より大きい第2負荷より小さい負荷の領域である軽負荷領域は均質自着火燃焼運転領域、第2負荷より大きく且つ同第2負荷より大きい第3負荷より小さい負荷の領域である中負荷領域は均質火花点火燃焼運転領域、第3負荷より大きい負荷の領域である高負荷領域は拡散燃焼運転領域であると定められる。

    (内燃機関10が前記極軽負荷領域にて運転されるとき)
    従って、内燃機関10が前記極軽負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G1は運転領域マップに従って成層自着火燃焼運転実行手段F1を選択する。 これにより、内燃機関10は成層自着火燃焼運転実行手段F1によって運転される。

    成層自着火燃焼運転実行手段F1は、キャビティ22b内のみに均質混合気を形成し(即ち、燃焼室25全体として成層混合気を形成し)、その混合気を圧縮することにより燃料を自着火燃焼させる。 より具体的に述べると、成層自着火燃焼運転実行手段F1は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関10の運転を行う(図8の(A)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関10の負荷に応じた極軽負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 これにより、燃焼行程が終了し排気行程が開始する。
    (2)内燃機関10の負荷に応じた極軽負荷時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。 これにより、排気行程が終了し、負のオーバーラップ期間が開始する。

    (3)内燃機関10の負荷に応じた極軽負荷時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、負のオーバーラップ期間が終了し、吸気行程が開始する。
    (4)内燃機関10の負荷に応じた極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、吸気行程が終了し、圧縮行程が開始する。

    (5)極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングICより遅角側で圧縮上死点TDCまでの圧縮行程の中期のタイミングθinjにて、内燃機関10の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まる所定量の燃料を燃料噴射弁37から噴射する。 この場合に噴射される燃料の総量は、空燃比を超希薄空燃比とする量である。 更に、この場合、成層自着火燃焼運転実行手段F1は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が低リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイドのみを通電する。

    これにより、噴射された燃料は、図9に示したように、キャビティ22b内に実質的に滞留せしめられるので、実質的にキャビティ22b内のみに均質混合気が形成される。 そして、その混合気が圧縮され、燃料が自着火燃焼する燃焼行程が開始する。

    従って、燃料量が少ない極軽負荷運転時であっても、キャビティ22b内に自着火に十分な濃度の混合気を確実に形成できるので、安定した自着火燃焼を行うことができる。 この結果、自着火運転を行うことができる運転領域をより軽負荷の領域まで拡大でき、そのような軽負荷領域にて火花点火燃焼運転を行わなくてもよいから、Noxの排出量をより低減し、燃費を一層向上することができる。

    また、キャビティ22bは、有底の略円筒状であって同キャビティの入り口を形成する縁部の径が同キャビティ内部の最大径よりも小さくなるように形成されるとともに、燃焼室25に吸入される空気により発生するシリンダのボア壁面に沿う吸気スワールをキャビティ22b内に導入するためのスワール案内溝22dがキャビティ22bの外周部に形成されているから、スワール流をスワール案内溝22dによってキャビティ22b内に効率的に取り込むことができる。

    従って、吸気スワールの旋回半径が小さくなるのでスワール流を強めることができる。 この結果、実質的にキャビティ22b内のみに混合気を容易に形成できるので、Noxの発生を抑制することができる。

    一方、燃料は、噴射角を狭角としながら噴射する第1噴射状態にて噴射される。 他方、燃料が噴射される圧縮行程中期においては、燃料噴射弁37とキャビティ22bが形成されているピストン22の頂面との距離が比較的大きい。 このため、上記構成のように、燃料を頂角が狭角の円錐形状(コーン状)に噴射することにより、噴射された燃料をキャビティ22b内に確実に導入し及び滞留させることができる。

    更に、狭角噴射孔37cの径は広角噴射孔37dの径より大きく、且つ、狭角噴射孔37cの数は広角噴射孔37dの数より少ない。 更に、内燃機関負荷が小さいので、燃料圧力調整手段38aによる燃料圧力は比較的小さい。 従って、狭角噴射孔37cから噴射される燃料滴の径が相対的に大きくなるので、燃料をキャビティ22b内に確実に到達させることができる。 この結果、自着火燃焼に寄与しないキャビティ22b外の燃料の量を低減することができるので、未燃HCの発生を抑制することができるとともに、燃費を向上することができる。

    (内燃機関10が前記軽負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関10が前記軽負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G1は運転領域マップに従って予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2を選択する。 これにより、内燃機関10は予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2によって運転される。

    予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2は、燃焼室25内に吸入された空気と燃料噴射弁37から噴射された燃料とを予め混合して燃焼室25内に同燃料の空間的分布が一様な均質混合気を形成しながら圧縮することにより同燃料を自着火燃焼させる。 より具体的に述べると、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関10の運転を行う(図8の(B)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関10の負荷に応じた軽負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 これにより、燃焼行程が終了し排気行程が開始する。
    (2)内燃機関10の負荷に応じた軽負荷時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。 これにより、排気行程が終了し、負のオーバーラップ期間が開始する。 軽負荷時排気弁閉弁タイミングECは、極軽負荷時排気弁閉弁タイミングECよりも遅角側に設定される。
    (3)微量fsの燃料を排気上死点近傍のタイミングθinj1にて燃料噴射弁37から噴射する。
    (4)内燃機関10の負荷に応じた軽負荷時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、負のオーバーラップ期間が終了し、吸気行程が開始する。 軽負荷時吸気弁開弁タイミングIOは、極軽負荷時吸気弁開弁タイミングIOよりも進角側に設定される。

    (5)燃焼室25内に吸入される空気による吸気スワールが最も強くなる時期、即ち、軽負荷時吸気弁開弁タイミングIOから後述する軽負荷時吸気弁閉弁タイミングICまでの吸気行程の初期及び/又は中期のタイミングθinj2にて、燃料噴射弁37から燃料を噴射する。 このとき噴射される燃料の量は、内燃機関10の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まる所定量から、先に噴射された微量fs分を差し引いた量である。 なお、この場合に噴射される燃料の総量は、空燃比を超希薄空燃比とする量である。

    更に、この場合、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が高リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方を通電する。 これにより、図10に示したように、燃料が噴射される。
    (6)内燃機関10の負荷に応じた軽負荷時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、吸気行程が終了し、圧縮行程が開始する。 そして、均質混合気が圧縮され、燃料が自着火燃焼する燃焼行程が開始する。

    燃料噴射時期が上記のように設定されることから、強い吸気スワールによって混合気が攪拌される。 また、キャビティ22bの上述した形状及びスワール案内溝22dの存在により、キャビティ22b外の混合気をキャビティ22b内に効率的に取り込むことができる。 従って、燃焼室25内に存在する全空気が均質混合気の形成に利用される。 その結果、Noxの排出量をより低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    一方、燃料は、スワールが最も強くなる時期である吸気行程の初期及び/又は中期において、燃料の噴射角を前記狭角及び同狭角よりも角度の大きい広角としながら噴射する第2噴射状態にて噴射される。 従って、噴射された燃料は燃焼室25全体に行き渡り、且つ、強いスワール流に乗って燃焼室25内にて攪拌される。 これによっても、燃焼室25内に存在する全空気が均質混合気の形成に利用されるようになるので、Noxの排出量をより低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    更に、燃料は径が相対的に小さい広角噴射孔37dからも噴射される。 粒径が小さく広角に噴射された燃料滴はスワール流に乗って攪拌される。 この結果、広角噴射孔37dから噴射されることにより粒径が小さく広角に噴射された燃料滴と狭角噴射孔37cから噴射されることにより粒径が大きく狭角に噴射された燃料滴とにより、燃焼室25内の空気と燃料とが十分に混合される。 これによっても、燃焼室25内に存在する全空気が均質混合気の形成に利用されるようになるので、Noxの排出量をより低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    (内燃機関10が前記中負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関10が前記中負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G1は運転領域マップに従って火花点火燃焼運転実行手段F3を選択する。 これにより、内燃機関10は火花点火燃焼運転実行手段F3によって運転される。

    火花点火燃焼運転実行手段F3は、燃焼室25内に吸入された空気と燃料噴射弁37から噴射された燃料とを予め混合して同燃焼室25内にて同燃料の空間的分布が一様な均質混合気を形成しながら圧縮し、同圧縮された均質混合気を火花発生手段である点火プラグ35が発生する点火用火花によって点火して同燃料を火花点火燃焼させる。 より具体的に述べると、火花点火燃焼運転実行手段F3は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関10の運転を行う(図8の(C)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関10の負荷に応じた中負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 これにより、燃焼行程が終了し排気行程が開始する。
    (2)内燃機関10の負荷に応じた中負荷時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。 これにより、排気行程が終了し、負のオーバーラップ期間が開始する。 中負荷時排気弁閉弁タイミングECは、軽負荷時排気弁閉弁タイミングECよりも遅角側に設定される。

    (3)内燃機関10の負荷に応じた中負荷時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、負のオーバーラップ期間が終了し、吸気行程が開始する。 中負荷時吸気弁開弁タイミングIOは、軽負荷時吸気弁開弁タイミングIOよりも進角側に設定される。

    (4)燃焼室25内に吸入される空気による吸気スワールが最も強くなる時期、即ち、中負荷時吸気弁開弁タイミングIOから後述する中負荷時吸気弁閉弁タイミングICまでの吸気行程の初期及び/又は中期のタイミングθinjにて、燃料噴射弁37から燃料を噴射する。 このとき噴射される燃料の量は、内燃機関10の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まり、且つ、空燃比を理論空燃比と一致させるために必要な所定量である。

    更に、この場合、火花点火燃焼運転実行手段F3は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が高リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方を通電する。 これにより、図10に示したように、燃料が噴射される。

    (5)内燃機関10の負荷に応じた中負荷時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、吸気行程が終了し、圧縮行程が開始する。 中負荷時吸気弁閉弁タイミングICは、実圧縮比を低下することによりノッキングを回避するため、軽負荷時吸気弁閉弁タイミングICよりも遅角側に設定される。
    (6)上死点近傍の点火時期θigにて点火プラグ35の火花発生部35aから点火用火花を発生させ、燃料を火花点火燃焼させる。 このとき、火花点火燃焼運転実行手段F3は、点火時期θigを、内燃機関10の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて決定する。 これにより、燃焼行程が開始する。

    これによれば、吸気弁閉弁タイミングICが遅角側に設定されることにより実圧縮比が低減されるので、ノッキングの発生が回避される。 更に、軽負荷時と同様、燃料噴射時期が上記のように設定されること、キャビティ22bの上述した形状及びスワール案内溝22dの存在、並びに、燃料が第2噴射状態にて噴射されることにより、キャビティ22b内外に混合気が形成され、その混合気をキャビティ22b内に効率的に取り込むことができる。 この結果、燃焼室25内に存在する全空気がキャビティ22b内の均質混合気の形成に利用されるので、より安定した火花点火燃焼が実現され、Noxの排出量がより低減し、熱効率(燃費)が向上される。

    (内燃機関10が前記高負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関10が前記高負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G1は運転領域マップに従って拡散燃焼運転実行手段F4を選択する。 これにより、内燃機関10は拡散燃焼運転実行手段F4によって運転される。

    拡散燃焼運転実行手段F4は、燃焼室25内に吸入された空気を同燃焼室25内にて圧縮し、同圧縮された空気の中に燃料噴射弁37から燃料を噴射することにより同燃料を拡散燃焼させる。

    拡散燃焼による運転は火花点火燃焼による運転よりもノッキングが発生し難いので、吸気弁32の閉弁タイミング(吸気弁閉弁タイミングIC)を必要以上に遅角して、実圧縮比を低下する必要がない。 従って、内燃機関10は、高負荷領域にて十分な量の燃料(或いは混合気)を正常に燃焼させることができるから、高トルクを発生することができる。 更に、ガソリンは軽油よりも気化し易いので、拡散燃焼の速度が高い。 従って、内燃機関10は、高回転域においてより高出力を発生することができる。

    より具体的に述べると、拡散燃焼運転実行手段F4は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関10の運転を行う(図8の(D)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関10の負荷に応じた高負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 これにより、燃焼行程が終了し排気行程が開始する。
    (2)内燃機関10の負荷に応じた高負荷時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。 これにより、排気行程が終了し、負のオーバーラップ期間が開始する。 高負荷時排気弁閉弁タイミングECは、中負荷時排気弁閉弁タイミングECよりも遅角側に設定される。

    (3)内燃機関10の負荷に応じた高負荷時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、負のオーバーラップ期間が終了し、吸気行程が開始する。 高負荷時吸気弁開弁タイミングIOは、中負荷時吸気弁開弁タイミングIOよりも進角側に設定される。
    (4)内燃機関10の負荷に応じた高負荷時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、吸気行程が終了し、圧縮行程が開始する。 高負荷時吸気弁閉弁タイミングICは、火花点火燃焼運転時の中負荷時吸気弁閉弁タイミングICよりも進角側に設定される。 拡散燃焼の場合は火花点火燃焼の場合よりノッキング発生の可能性が小さいからである。

    (5)高負荷時吸気弁閉弁タイミングICよりも遅角側であって圧縮上死点近傍のタイミングθinjにて燃料噴射弁37から燃料を噴射する。 このとき噴射される燃料の量は、内燃機関10の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まり、且つ、空燃比を所定の希薄空燃比と一致させるために必要な所定量である。 更に、この場合、拡散燃焼運転実行手段F4は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が高リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方を通電する。 これにより、図11に示したように燃料が噴射され、拡散燃焼により燃料が燃焼する燃焼行程が開始する。

    これによれば、吸気弁閉弁タイミングIC(高負荷時吸気弁閉弁タイミングIC)が火花点火燃焼運転時の中負荷時吸気弁閉弁タイミングICよりも進角側に設定されるので、実圧縮比が大きく低下することがない。 また、燃料は拡散燃焼により燃焼せしめられる。 この結果、過度のノッキングを伴うことなく、高圧縮比の下で安定した燃焼を得ることができるので、内燃機関10の発生トルクを向上することができる。

    また、キャビティ22bの上述した形状及びスワール案内溝22dの存在により強いスワール流が生成され、このスワール流により燃料滴と空気(酸素)とのミキシングが促進されるので、拡散燃焼中の空気利用率を高めることができる。 その結果、内燃機関10の熱効率を向上することができる。 更に、燃料滴周りに多量の酸素を存在させることができるので、スモークの発生を抑制することができる。

    更に、燃料は、狭角噴射孔37cのみでなく広角噴射孔37dからも噴射される。 広角噴射孔37dから噴射される燃料の粒径が小さい。 従って、これによっても、燃料滴と空気(酸素)とが十分にミキシングされる。 その結果、内燃機関の熱効率を向上することができる。 更に、燃料滴周りに多量の酸素を存在させることができるので、スモークの発生を効果的に抑制することができる。

    (内燃機関10の始動時又は冷間時)
    一方、内燃機関10の始動時又は冷間時において、運転切換手段G1は始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段F5を選択する。 運転切換手段G1は、例えば、図示しないイグニッション・キーがオフからオンへと変更されたとき始動時であると判定し、冷却水温センサ64が検出した冷却水温THWが閾値水温THWth以下のとき冷間時であると判定する。 これにより、内燃機関10は、始動時又は冷間時において、始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段F5によって運転される。

    始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段F5は、キャビティ22b内にて成層混合気を形成しながら圧縮し、同圧縮された成層混合気を火花発生手段である点火プラグ35が発生する点火用火花によって点火して燃料を火花点火燃焼させる。 より具体的に述べると、始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段F5は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関10の運転を行う。

    (1)所定の始動冷間時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、吸気行程が開始する。
    (2)所定の始動冷間時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、吸気行程が終了し、圧縮行程が開始する。
    (3)始動冷間時吸気弁閉弁タイミングICより遅角側で圧縮上死点TDCまでの圧縮行程の後期の所定噴射タイミングにて、燃料噴射弁37から燃料を噴射する。 これにより、噴射された燃料はキャビティ22bに実質的に滞留せしめられる。 また、この時点においては、キャビティ内に強いスワール流が生成されている。 従って、このスワール流により、キャビティ22b内に成層混合気が形成される。

    なお、この場合に噴射される燃料の量は、冷却水温THW及び/又は内燃機関10の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まり、且つ、空燃比を理論空燃比と一致させるために必要な所定量である。 更に、この場合、始動冷間時成層火花点火燃焼運転実行手段F5は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が低リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイドのみを通電する。

    (4)キャビティ22b内に形成された成層混合気を圧縮し、圧縮上死点TDC近傍の所定点火時期にて火花発生手段である点火プラグ35から点火用火花を発生させる。 これにより、燃料が火花点火燃焼する。 これにより、燃焼行程が開始する。
    (5)所定の始動冷間時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 その結果、燃焼行程が終了し排気行程が開始する。
    (6)所定の始動冷間時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。

    内燃機関10の始動時又は冷間時においては、均質混合気の温度が上昇し難いので、自着火燃焼が不安定になり易い。 そこで、上記構成のように、吸気弁32の閉弁後であって圧縮上死点TDCまでの圧縮行程の後期に燃料噴射弁37から燃料を噴射させる。 これにより、燃料がキャビティ22bに実質的に滞留し、キャビティ22bの上述した形状及びスワール案内溝22dの存在によりキャビティ22b内に形成される強い吸気スワールによってキャビティ22bの内周部に成層混合気が形成される。 そして、その成層混合気をキャビティ22bの内周部に火花発生部35aを備えた点火プラグ35により点火させる。 この結果、内燃機関10の始動性を向上させ、或いは、冷間時に安定した火花点火燃焼を得ることができる。

    以上、説明したように、本発明の第1実施形態に係る内燃機関10は、軽負荷領域においては自着火燃焼、中負荷領域においては火花点火燃焼、高負荷領域においては拡散燃焼による運転方式にて運転される。 この結果、中負荷領域において自着火燃焼により運転することに起因する過大な音の発生がなく、且つ、中負荷領域において拡散燃焼により運転することに起因する不安定な燃焼に伴う大きなトルク変動の発生もない。

    更に、上記記内燃機関10において、キャビティ22bは、有底の略円筒状であって同キャビティ22bの入り口を形成する縁部の径が同キャビティ22b内部の最大径よりも小さくなるように形成されるとともに、吸気スワールをキャビティ22b内に導入するためのスワール案内溝22dがキャビティ22bの外周部に形成されている。 また、点火プラグ35は、スワール案内溝22dに沿うように配置されている。

    従って、点火プラグ35(点火プラグ35の先端部近傍)をスワール案内溝22dに配置できるので、点火プラグ35の火花発生部35aをキャビティ22bの周辺(内部の周側)に容易に配置することができる。

    更に、キャビティ22bの壁面には断熱層が形成されている。 従って、キャビティ22b内に残留する燃焼ガスが冷却し難くなるので、自着火燃焼に供される混合気の温度を高い温度にすることができ、自着火燃焼を安定して行うことが可能となる。 加えて、キャビティ22bに向けて噴射される燃料の気化を促進することができるので、拡散燃焼時において発生するスモークの量を低減することができる。

    また、上記内燃機関10は過給機であるターボチャージャ81を備え、成層自着火燃焼運転実行手段F1、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2、火花点火燃焼運転実行手段F3及び拡散燃焼運転実行手段F4のそれぞれは、
    (1)吸気弁32を開弁する前に排気弁34を閉弁して排気弁34の閉弁タイミングから吸気弁32の開弁タイミングまでの期間である負のオーバーラップ期間を発生せしめるとともに、
    (2)内燃機関10の負荷が大きくなるほど負のオーバーラップ期間が短くなるように排気弁34の閉弁タイミング及び吸気弁32の開弁タイミングを制御するように構成されている。

    「負のオーバーラップ期間(負のバルブオーバーラップ期間)」においては、燃焼ガスが燃焼室25内に封じこめられた状態となる。 その負のオーバーラップ期間は内燃機関の負荷が大きくなるほど短くなるように設定される。 従って、軽負荷領域又は極軽負荷領域で内燃機関10が運転される場合には、負のオーバーラップ期間により燃焼室25内に導入される空気量が制御される。

    また、軽負荷領域の負荷よりも大きな負荷の領域(中負荷領域又は高負荷領域)で内燃機関が運転される場合には、過給機による過給と負のオーバーラップ期間とにより燃焼室25内に導入される空気量が制御される。 この結果、内燃機関10の吸気通路に配設されるスロットルバルブ47を略全開に維持することが可能となるので、スロットルバルブ47の絞りによるエネルギー損失が低減され、内燃機関10の燃費を改善することができる。

    更に、燃料噴射弁37は、ニードル37bが低リフト状態及び高リフト状態の何れの状態にあるときにも開かれて燃料を噴射する狭角噴射孔群と、同ニードル37bが同高リフト状態にあるときにのみ開かれて燃料を噴射する広角噴射孔群と、を備えている。

    従って、簡単な構成により、各運転状態に応じた上述の噴射状態(第1噴射状態又は第2噴射状態)にて燃料を噴射することができる。 また、燃料噴射弁37のダイナミックレンヂ(燃料噴射量の最小量と最大量との差)を大きくすることが容易に可能となるので、高負荷時においても十分な量の燃料を供給することができる。

    <第2実施形態>
    次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関について説明する。 この内燃機関は、運転切換手段G1に更に以下の機能が付加されている点のみにおいて、第1実施形態に係る内燃機関10と相違する。 従って、以下、係る相違点を中心として説明する。

    (均質予混合圧縮自着火運転から成層自着火燃焼運転への切換え)
    上述したように運転切換手段G1は、図7に示した運転領域マップに従って、各運転実行手段F1〜F4を選択し、運転の切換えを行う。

    更に、運転切換手段G1は、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2により均質混合気の予混合圧縮自着火燃焼運転を実行している場合、筒内圧センサ63により検出される筒内圧Pを1回の燃焼に対する圧縮行程開始から燃焼行程終了まで平均化することにより筒内圧平均値Piを求める。 また、運転切換手段G1は、過去複数回の燃焼に対する筒内圧平均値Piを平均化した平均筒内圧平均値Piaveを求める。

    更に、運転切換手段G1は、今回の燃焼に対する筒内圧平均値Piと平均筒内圧平均値Piaveとの差の絶対値(|Pi−Piave|)を平均筒内圧平均値Piaveで除すことにより、差の絶対値(|Pi−Piave|)に基づく値ΔP(ΔP=|Pi−Piave|/Piave)を求める。 そして、運転切換手段G1は、前記差の絶対値に基づく値ΔPが所定値Pthより大きくなったことにより、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2による自着火燃焼が不安定な状態となったと判定すると、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2による予混合圧縮自着火運転から成層自着火燃焼運転実行手段F1による自着火燃焼運転へ運転の切換えを行う。

    これによれば、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2による自着火燃焼が不安定な状態となったと判定されると、成層自着火燃焼運転実行手段F1による自着火燃焼運転へと運転が切り換えられる。 従って、内燃機関の運転状態が不安定になってトルク変動等が生じる事態を回避することができる。

    (予混合圧縮自着火運転から火花点火燃焼運転への切換え)
    加えて、運転切換手段G1は、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2により均質混合気の予混合圧縮自着火燃焼運転を実行している場合、筒内圧センサ63により検出される筒内圧Pに基づいて筒内圧Pの単位時間又は単位クランク角あたりの変化量である筒内圧変化率(dP/dt又はdP/dθ、tは時間、θはクランク角)を求めるとともに、求められた筒内圧変化率(dP/dt又はdP/dθ)が所定変化率dPthより大きくなったとき、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2による均質混合気の予混合圧縮自着火燃焼運転から火花点火燃焼運転実行手段F3による均質混合気の火花点火燃焼運転へ運転の切換えを行う。

    これによれば、均質混合気の予混合圧縮自着火燃焼に伴う騒音が過大となったか否かが、筒内圧変化率(dP/dt又はdP/dθ)が所定変化率dPthより大きくなったか否かにより判定される。 そして、筒内圧変化率(dP/dt又はdP/dθ)が所定変化率dPthより大きくなって均質混合気の予混合圧縮自着火燃焼に伴う騒音が過大となったと判定されると、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段F2による自着火燃焼運転から火花点火燃焼運転実行手段F3による火花点火燃焼運転に運転が切り換えられる。 従って、騒音が過大となる事態を回避することができる。

    (均質混合気の火花点火燃焼運転から拡散燃焼運転への切換え)
    加えて、運転切換手段G1は、火花点火燃焼運転実行手段F3による火花点火燃焼運転が実行されている場合、筒内圧センサ63により検出される筒内圧Pに基づいてノッキングを検出する。 例えば、運転切換手段G1は、筒内圧Pの最大値Pmax近傍において、筒内圧の極小値Psmallと、同極小値Psmallの直後に現れる極大値Plargeとの差の絶対値を筒内圧変動ΔPhとして検出し、この筒内圧変動ΔPhが所定の閾値(例えば、最大値Pmaxの所定数分の1)より大きいとき、ノッキングが発生したと判定する(例えば、特開2004−184228号公報を参照。)。

    そして、運転切換手段G1は、検出されるノッキングに基づいてノッキングの発生頻度(例えば、一回の燃焼に何回ノッキングが検出されたかを表す値)を求めるとともに、同ノッキングの発生頻度が所定頻度より大きくなったとき、火花点火燃焼運転実行手段F3による火花点火燃焼運転から拡散燃焼運転実行手段F4による拡散燃焼運転へ運転の切換えを行う。

    これによれば、ノッキングの頻度が過大となる前に火花点火燃焼運転から拡散燃焼運転に運転が切り換えられる。 従って、ノッキングの過度な発生を回避することができる。 なお、ノッキングは、内燃機関の振動に基づいてノッキングを検出するタイプの周知のノッキングセンサを用いて検出してもよい。

    <第3実施形態>
    次に、本発明の第3実施形態に係る内燃機関について説明する。 この内燃機関は、内燃機関10と同様な構成を備えている。 ただし、この内燃機関は、クランク角が360度回転する毎に、燃焼室25と同燃焼室25内に吸気スワールを生成するように構成された吸気ポート31とを遮断(吸気弁32を閉弁)した状態にて燃焼室25と排気ポート33とを連通(排気弁34を開弁)して排気行程を開始し、次いで同燃焼室25と同吸気ポート31とを連通(吸気弁32を開弁)して掃気行程を開始し、次いで同燃焼室25と同排気ポート33とを遮断(排気弁34を閉弁)して吸気行程を開始し、次いで同燃焼室25と同吸気ポート31とを遮断(吸気弁32を閉弁)して圧縮行程を開始した後に同状態にて燃焼行程を迎える2サイクル運転を行う2サイクル内燃機関である。

    この内燃機関90は、図12に示したように、成層自着火燃焼運転実行手段H1、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段H2、拡散燃焼運転実行手段H3及び運転切換手段G2等の手段を含んでいる。 これらの手段の機能は、電気制御装置70のCPU71が所定のプログラムを実行することにより達成される。 従って、以下、CPU71が実行する各種の動作を上記各手段が行うものとして説明する。

    運転切換手段G2は、図13に示した運転領域マップをROM72に記憶している。 運転切換手段G2は、内燃機関90の負荷とエンジン回転速度NEと運転領域マップに基づいて運転領域を決定し、その決定した運転領域に従った運転方式にて運転を行う。 内燃機関90の負荷は、アクセルペダル66の操作量Accpとエンジン回転速度NEとに基づいて決定される要求トルクTqtgtであってもよく、単にアクセルペダル66の操作量Accpであってもよい。

    図13に示した運転領域マップによれば、所定の大きさの第1負荷より小さい負荷の領域である極軽負荷領域は成層自着火燃焼運転領域、第1負荷より大きく且つ同第1負荷より大きい第3負荷より小さい負荷の領域である軽負荷領域及び中負荷領域(軽・中負荷領域)は均質自着火燃焼運転領域、第3負荷より大きい負荷の領域である高負荷領域は拡散燃焼運転領域であると定められている。

    (内燃機関90が前記極軽負荷領域にて運転されるとき)
    従って、内燃機関90が前記極軽負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G2は運転領域マップに従って成層自着火燃焼運転実行手段H1を選択する。 これにより、内燃機関90は成層自着火燃焼運転実行手段H1によって運転される。

    成層自着火燃焼運転実行手段H1は、実質的にキャビティ22b内のみに均質混合気を形成し(即ち、燃焼室25全体として成層混合気を形成し)、その混合気を圧縮することにより燃料を自着火燃焼させる。 より具体的に述べると、成層自着火燃焼運転実行手段H1は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関90の運転を行う(図14の(A)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関90の負荷に応じた極軽負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 これにより、燃焼ガスが排気ポート33を介して燃焼室25から排出される排気行程が開始する。
    (2)内燃機関90の負荷に応じた極軽負荷時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、空気が吸気ポート31を介して燃焼室25内に流入するとともに、その空気により燃焼ガスが排気ポート33を介して燃焼室25から排出される掃気行程が開始する。

    (3)内燃機関90の負荷に応じた極軽負荷時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。 これにより、掃気行程が終了し、吸気行程が開始する。
    (4)内燃機関90の負荷に応じた極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、圧縮行程が開始する。

    (5)極軽負荷時吸気弁閉弁タイミングICより遅角側で圧縮上死点TDCまでの圧縮行程の中期のタイミングθinjにて、内燃機関90の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まる所定量の燃料を燃料噴射弁37から噴射する。 この場合に噴射される燃料の総量は、空燃比を超希薄空燃比とする量である。 更に、この場合、成層自着火燃焼運転実行手段H1は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が低リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイドのみを通電する。

    これにより、噴射された燃料は、図9に示したように、キャビティ22b内に実質的に滞留せしめられるので、実質的にキャビティ22b内のみに均質混合気が形成される。 そして、その混合気が圧縮され、燃料が自着火燃焼する燃焼行程が開始する。

    従って、燃料量が少ない極軽負荷運転時であっても、キャビティ22b内に自着火に十分な濃度の混合気を確実に形成できるので、安定した自着火燃焼を行うことができる。 この結果、自着火運転を行うことができる運転領域をより軽負荷の領域まで拡大でき、そのような軽負荷領域にて火花点火燃焼運転を行わなくてもよいから、Noxの排出量をより低減し、燃費を一層向上することができる。

    また、上述したキャビティ22bの形状及びスワール案内溝22dにより、吸気スワールをキャビティ22b内に効率的に取り込むことができる。 従って、吸気スワールの旋回半径が小さくなってスワール流を強めることができる。 この結果、実質的にキャビティ22b内のみに均質混合気を容易に形成できるので、Noxの発生を抑制することができる。

    一方、燃料は、噴射角を狭角としながら噴射する第1噴射状態にて噴射される。 他方、燃料が噴射される圧縮行程中期においては、燃料噴射弁37とキャビティ22bが形成されているピストン22の頂面との距離が比較的大きい。 このため、上記構成のように、燃料を頂角が狭角の円錐形状(コーン状)に噴射することにより、噴射された燃料をキャビティ22b内に確実に導入することができる。

    更に、燃料は径が大きい狭角噴射孔37cから噴射されるので、噴射される燃料滴の径が相対的に大きくなる。 燃料をキャビティ22b内に確実に到達させることができる。 この結果、自着火燃焼に寄与しないキャビティ22b外の燃料の量を低減することができるので、未燃HCの発生を抑制することができるとともに、燃費を向上することができる。

    (内燃機関90が前記軽・中負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関90が前記軽・中負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G2は運転領域マップに従って予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段H2を選択する。 これにより、内燃機関90は予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段H2によって運転される。

    予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段H2は、燃焼室25内に均質混合気を形成しながら圧縮することにより燃料を自着火燃焼させる。 より具体的に述べると、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段H2は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関90の運転を行う(図14の(B)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関90の負荷に応じた軽・中負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 これにより、燃焼行程が終了し排気行程が開始する。
    (2)内燃機関90の負荷に応じた軽・中負荷時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、排気行程が終了し、掃気行程が開始する。

    (3)燃焼室25と吸気ポート31とが連通されてから遮断されるまでの期間(吸気弁32が開弁せしめられてから閉弁せしめられるまでの期間)において、燃焼室25内に吸入される空気によるスワールが最も強くなるタイミングθinjにて、内燃機関90の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まる所定量の燃料を燃料噴射弁37から噴射する。

    この場合に噴射される燃料の総量は、空燃比を超希薄空燃比とする量である。 更に、この場合、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段H2は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が高リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方を通電する。 これにより、図10に示したように、燃料が噴射される。

    燃料噴射タイミングが上記のように設定され、及び、燃料は第2噴射状態にて噴射されるので、噴射された燃料は燃焼室25全体に行き渡り、且つ、強いスワール流に乗って燃焼室25内にて攪拌される。 更に、キャビティ22bは、キャビティ22b外の混合気をキャビティ22b内に効率的に取り込むことができるので、燃焼室25内に存在する全空気がキャビティ22b内の均質混合気の形成に利用される。 その結果、Noxの排出量をより低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    (4)内燃機関90の負荷に応じた軽・中負荷時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。 これにより、掃気行程が終了し、吸気行程が開始する。
    (5)内燃機関90の負荷に応じた軽・中負荷時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、吸気行程が終了し、圧縮行程が開始する。 そして、形成された均質混合気が圧縮され、燃料が自着火燃焼する燃焼行程が始まる。

    (内燃機関90が前記高負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関90が前記高負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G2は運転領域マップに従って拡散燃焼運転実行手段H3を選択する。 これにより、内燃機関90は拡散燃焼運転実行手段H3によって運転される。

    拡散燃焼運転実行手段H3は、燃焼室25内に吸入された空気を同燃焼室25内にて圧縮し、同圧縮された空気の中に燃料噴射弁37から燃料を噴射することにより同燃料を拡散燃焼させる。 より具体的に述べると、拡散燃焼運転実行手段H3は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関90の運転を行う(図14の(C)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関90の負荷に応じた高負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁34を開弁する。 これにより、上述した排気行程が開始する。
    (2)内燃機関90の負荷に応じた高負荷時吸気弁開弁タイミングIOにて吸気弁32を開弁する。 これにより、上述した掃気行程が開始する。

    (3)内燃機関90の負荷に応じた高負荷時排気弁閉弁タイミングECにて排気弁34を閉弁する。 これにより、上述した吸気行程が開始する。
    (4)内燃機関90の負荷に応じた高負荷時吸気弁閉弁タイミングICにて吸気弁32を閉弁する。 これにより、上述した圧縮行程が開始する。

    高負荷時吸気弁閉弁タイミングIC(即ち、燃焼室25と吸気ポート31との遮断タイミング)は、拡散燃焼運転が行われる高負荷領域において火花点火燃焼を行ったと仮定したときにノッキングの過度の発生を回避するように設定される吸気弁閉弁タイミングよりも進角側のタイミング(即ち、軽・中負荷時吸気弁閉弁タイミングICと略同時期)に設定される。 拡散燃焼の場合は火花点火燃焼の場合よりノッキング発生の可能性が小さいからである。

    (5)次いで、圧縮行程であって上死点近傍の燃料噴射タイミングθinjにて燃料噴射弁37から燃料を噴射し、その燃料を拡散燃焼させる燃焼行程を開始する。 このとき噴射される燃料の量は、内燃機関90の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まり、且つ、空燃比を所定の希薄空燃比と一致させるために必要な所定量である。 更に、この場合、拡散燃焼運転実行手段H3は、燃料噴射弁37のニードルのリフト量が高リフト量となるように、燃料噴射弁37の第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方を通電する。 これにより、図11に示したように、燃料が噴射される。

    これによれば、燃焼室25と吸気ポート31との遮断タイミングが、火花点火燃焼を行ったと仮定したときにノッキングの過度の発生を回避するように設定される燃焼室25と吸気ポート31との遮断タイミングよりも進角側のタイミングとなるので、実圧縮比が大きく低下することがない。 また、燃料は拡散燃焼により燃焼する。 この結果、過度のノッキングを伴うことなく、高圧縮比の下で安定した燃焼を得ることができるので、内燃機関90の発生トルクを向上することができる。

    <第4実施形態>
    次に、本発明の第4実施形態に係る内燃機関について説明する。 この内燃機関は、所謂ユニフロー型の2サイクル内燃機関であり、使用される燃料はガソリンである。 先ず、かかる2サイクル内燃機関の作動(運転サイクル)の概略について、図12を参照しながら説明する。

    このユニフロー型の内燃機関は、燃焼室(シリンダCY)の上部に接続された排気ポートEXPと、排気ポートEXPを開閉する排気弁EXVと、シリンダCYのボア壁に一端が接続された吸気ポート(掃気ポートとも称呼される。)INPと、燃料噴射弁INJ、点火プラグIGN及び過給機(この場合、ターボチャージャ)T/Cと、を備えている。 この内燃機関は、ピストンPSをシリンダCY内において移動させ、排気弁EXV(排気ポートEXP)と吸気ポートINPを開閉させながら、燃料と空気との混合気を燃焼させることにより動力を取り出すようになっている。 以下、各行程について、均質混合気を自着火燃焼させる場合を例にとりながら順に説明する。

    図15の(a)に示したように、混合気が着火すると、混合気が燃焼を開始してシリンダCY内には高圧の燃焼ガスが発生し、ピストンPSが上死点から下死点に向けて移動する燃焼行程(膨張行程)が開始する。

    次に、ピストンPSが所定の位置に到達した適当なタイミングにおいて排気弁EXVが開弁させられる。 この時点において、シリンダCY内の燃焼ガスの圧力は高い圧力であるから、図15の(b)に示したように、燃焼ガスは排気弁EX及び排気ポートEXPを介してシリンダCY外に排出される。 ピストンPSは下死点に向けて移動を続ける。

    その後、ピストンPSが更に下死点に向けて移動して所定の位置に到達すると、ピストンPSの側壁により閉じられていた吸気ポートINPの端部(開口部、掃気口)が開かれ、これにより吸気ポートINPとシリンダCYとが連通する。 吸気ポートINP内は過給機T/Cによって加圧されている。 従って、吸気ポートINPの開口部が開かれると、吸気ポートINP内の空気がシリンダCY内に流入し、この空気がシリンダCY内の燃焼ガスを排気弁EXVに向けて押し出す。 これにより、図15の(c)に示したように、燃焼ガスは排気ポートEXPを介して更に排出させられる。 即ち、掃気が開始する。

    次いで、ピストンPSは下死点を通過し、上死点に向けて移動し始める。 この段階においても、吸気ポートINP内の空気の圧力は高いから、図15の(d)に示したように、掃気が継続する。

    その後、ピストンPSが上死点に向けて移動を続けて前記所定の位置に到達すると、吸気ポートINPの端部(開口部)がピストンPSの側壁により閉じられる。 これにより吸気ポートINPとシリンダCYとが遮断する。 この直前又は直後に、排気弁EXVが開弁させられる。 この時点において、図15の(e)に示したように、燃料噴射弁INJから燃料が噴射される。

    ピストンPSは上死点に向けて移動を続ける。 この結果、図15の(f)に示したように、均質混合気が形成されながら圧縮され、上死点近傍で自着火燃焼を開始する。 以上が、ユニフロー型2サイクル内燃機関の作動の概略である。

    以下、このユニフロー型内燃機関の構成について説明する。 図16は、内燃機関100の概略構成を示している。 なお、図16は、特定気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。

    内燃機関100は、シリンダブロック110と、シリンダブロック110に固定されるシリンダヘッド120と、吸気系統130と、排ガスを外部に放出するための排気系統140と、電気制御装置170とを含んでいる。 なお、以下の説明において、シリンダブロック110からシリンダヘッド120に向う方向を上方と称呼し、シリンダヘッド120からシリンダブロック110に向う方向を下方と称呼する。

    シリンダブロック110は、中空円筒状のシリンダ111を形成している。 シリンダブロック110の内部には、ピストン112、コンロッド113及びクランク軸114が収容されている。 ピストン112はシリンダ111内を往復動し、ピストン112の往復動がコンロッド113を介してクランク軸114に伝達され、これにより同クランク軸114が回転するようになっている。 シリンダ111のボア壁面、ピストン112の頂面(ピストンヘッド)及びシリンダヘッド120の下面は、燃焼室115を形成している。 ピストン112の中央部にはキャビティ112aが形成されている。 キャビティ112aの形状は、キャビティ22bと同様な有底の略円筒状である。

    更に、シリンダブロック110は、一対の第1の吸気ポート116、一対の第2の吸気ポート117及び吸気サージタンク118を構成するとともに、一対の吸気制御弁119を備えている。

    第1の吸気ポート116は、管状である。 第1の吸気ポート116は、その軸線がシリンダ111の中心軸に垂直な平面に略平行となるように形成されている。 第1の吸気ポート116は、概略断面図である図17に示したように、吸気サージタンク118及びシリンダ111に接続され、シリンダ111のボア壁面に沿って空気をシリンダ111内に流入するようになっている。 これにより、第1の吸気ポート116は、燃焼室115に流入する空気により燃焼室115内に吸気スワールを生成するので、スワールポートと称呼される。

    第1の吸気ポート116は、シリンダ111の近傍にてリブ116aにより二分割されている。 これにより、シリンダ111のボア壁面に二つの開口部116b,116cが形成されている。 開口部116b,116cは、ピストン112が上死点から下死点に向けて(即ち、下方に)移動する際にピストン112の側壁により開かれる位置に設けられている。 開口部116b,116cが開かれると、第1の吸気ポート116は燃焼室115と連通させられる。 一方、開口部116b,116cは、ピストン112が下死点から上死点に向けて(即ち、上方に)移動する際にピストン112の側壁により閉じられる。 これにより、第1の吸気ポート116は燃焼室115と遮断させられる。

    第2の吸気ポート117は、管状である。 第2の吸気ポート117は、吸気サージタンク118及びシリンダ111に接続されている。 第2の吸気ポート117は、シリンダ111の中心軸に垂直な平面に対して空気が斜め下向きにシリンダ111内に流入するような勾配をもって形成されている。 第2の吸気ポート117の軸線は、シリンダ111の中心軸に向っている。 第2の吸気ポート117は、ストレートポートと称呼される。

    第2の吸気ポート117は、シリンダ111の近傍にてリブ117aにより二分割されている。 これにより、シリンダ111のボア壁面に二つの開口部117b,117cが形成されている。 一つの吸気ポート117の開口部117bは他の一つの吸気ポート117の開口部117cにシリンダ111を挟んで対向する位置に形成され、一つの吸気ポート117の開口部117cは他の一つの吸気ポート117の開口部117bにシリンダ111を挟んで対向する位置に形成されている。

    開口部117b,117cは、ピストン112が下方に移動する際にピストン112の側壁により開かれる位置に設けられている。 開口部117b,117cが開かれると、第2の吸気ポート117は燃焼室115と連通させられる。 一方、開口部117b,117cは、ピストン112が上方に移動する際にピストン112の側壁により閉じられる。 これにより、第2の吸気ポート117は燃焼室115と遮断させられる。

    このような構成により、第2吸気ポート117からシリンダ111内に流入した空気は、ピストン112の頂面に衝突し、その向きを斜め上方に変更する。 また、互いに対向する二つの吸気ポート117(の開口部117b,117c)からシリンダ111内に流入する空気がシリンダ111の中心軸付近にて衝突するので、シリンダ111内にシリンダ111の中心軸近傍に沿って上昇する上昇気流が発生する。

    吸気制御弁119は、電気制御装置170からの指示に応じて第2吸気ポート117内にて回動することにより、第2吸気ポート117の開閉を行うようになっている。

    再び、図16を参照すると、シリンダヘッド120は、シリンダブロック110の上方に固定されている。 シリンダヘッド120は、燃焼室115に接続された排気ポート121、排気弁122、排気弁122を駆動する駆動アーム123、電磁アクチュエータ124、点火プラグ125、点火プラグ125に与える高電圧を発生させるイグニッションコイルを含むイグナイタ126及び燃料を燃焼室115内に直接噴射する燃料噴射弁(燃料噴射手段)127等を備えている。 点火プラグ125及びイグナイタ126は、燃焼室115に点火用火花を発生する火花発生手段を構成している。

    排気ポート121は、シリンダヘッド120の下面を燃焼室115側から見た図18に示したように、シリンダ111の中心の回りの3箇所に開口するように形成されている。 従って、シリンダヘッド120には3個の排気弁122が備えられている。 各排気弁122は、各排気ポート121の開口を開閉するようになっている。 排気ポート121は、その開口が排気弁122により開かれたとき燃焼室115と連通し、その開口が排気弁122により閉じられたとき燃焼室115と遮断せしめられるようになっている。

    3個の排気弁122は、各軸線が互いに平行(シリンダ111の軸線に平行)となるように配置されていて、スプリング122aにより各排気ポート121の燃焼室115に形成された開口を閉じるように付勢されている。 3個の排気弁122のそれぞれは、上端部にて図19に示した駆動アーム123の3つの端部123aのそれぞれに接続されている。 電磁アクチュエータ124は、駆動アーム123の中心部123bを下方に移動させて排気弁122を下方に移動させ、これにより、各排気ポート121の燃焼室115に形成された開口を開くようになっている。

    燃料噴射弁127は、上述の燃料噴射弁37と同一の構造を備えている。 燃料噴射弁127には、図示しない燃料圧力調整手段及び燃料ポンプにより、図示しない燃料タンク内の燃料が供給されるようになっている。 燃料噴射弁127は、図18に示したように、シリンダ111の中心に配置されている。 燃料噴射弁127は、ピストン112のキャビティ112aに向けて燃料を噴射するようになっている。

    吸気系統130は、吸気サージタンク118に連通したサージタンク131、サージタンク131に一端が接続された吸気管132、吸気管132の他端から下流(サージタンク131)に向けて順に吸気管132に配設されたエアフィルタ133、ターボチャージャ(過給機、過給手段)150のコンプレッサ151、インタークーラ152及びスロットルバルブ154等を備えている。

    スロットルバルブ154は吸気管132に回転可能に支持され、スロットルバルブアクチュエータ154aにより駆動されることにより吸気通路の開口断面積を可変とするようになっている。

    排気系統140は、排気ポート121に連通し同排気ポート121とともに排気通路を形成するエキゾーストマニホールドを含む排気管141、排気管141に配設されたターボチャージャ150のタービン153及びタービン153の下流の排気管141に配設された触媒装置155を備えている。 ターボチャージャ150は、ターボチャージャ81と同様に吸気通路の空気を圧縮して燃焼室115に空気を過給するようになっている。

    この内燃機関100は、クランクポジションセンサ161、アクセル開度センサ162及びこれらと接続された電気制御装置170を含んでいる。 クランクポジションセンサ161、アクセル開度センサ162及び電気制御装置170は、クランクポジションセンサ62、アクセル開度センサ65及び電気制御装置70とそれぞれ同一の構成及び機能を備えている。

    この内燃機関100は、図20に示したように、成層自着火燃焼運転実行手段J1、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段J2、拡散燃焼運転実行手段J3及び前述した運転切換手段G2等の手段を含んでいる。 これらの手段の機能は、電気制御装置170のCPUが所定のプログラムを実行することにより達成される。 従って、以下、CPUが実行する各種の動作を上記各手段が行うものとして説明する。

    (内燃機関100が前記極軽負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関100が前記極軽負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G2は図13に示した運転領域マップに従って成層自着火燃焼運転実行手段J1を選択する。 これにより、内燃機関100は成層自着火燃焼運転実行手段J1によって運転される。

    成層自着火燃焼運転実行手段J1は、実質的にキャビティ112a内のみに均質混合気を形成し(即ち、燃焼室25全体として成層混合気を形成し)、その混合気を圧縮することにより燃料を自着火燃焼させる。 より具体的に述べると、成層自着火燃焼運転実行手段J1は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関100の運転を行う(図21の(A)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関100の負荷に応じた極軽負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁122を開弁する。 これにより、排気ポート121と燃焼室115とが連通し、燃焼ガスが燃焼室115から排出される排気行程が開始する。

    (2)次いで、ピストン112が上死点側から下死点側に向けて移動することにより、吸気ポート開タイミングIPOにて第1吸気ポート116及び第2吸気ポート117と燃焼室115とが連通せしめられる。 このとき、吸気制御弁119は第2吸気ポート117を閉じるように制御されている。 従って、空気が第1吸気ポート116を介して燃焼室115内に流入し、吸気スワールが発生する。 燃焼ガスは、その流入空気により排気ポート121側に押しやられて燃焼室115から排出される。 即ち、掃気行程が開始する。

    (3)次いで、ピストン112が下死点側から上死点側に向けて移動することにより、吸気ポート閉タイミングIPCにて第1吸気ポート116及び第2吸気ポート117と燃焼室115とが遮断せしめられる。 同時に、内燃機関100の負荷に応じた極軽負荷時排気弁閉弁タイミングECが到来するので、排気弁122を閉弁する。 これにより、圧縮行程が開始する。

    (4)吸気ポート閉タイミングIPC及び極軽負荷時排気弁閉弁タイミングECより遅角側で圧縮上死点TDCまでの圧縮行程の中期のタイミングθinjにて、内燃機関100の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まる所定量の燃料を燃料噴射弁127から噴射する。 この場合に噴射される燃料の総量は、空燃比を超希薄空燃比とする量である。 更に、この場合、成層自着火燃焼運転実行手段J1は、燃料噴射弁127のニードルのリフト量が低リフト量となるように、燃料噴射弁127の第1のソレノイドのみを通電する。

    これにより、噴射された燃料は、キャビティ112a内に実質的に滞留せしめられるので、実質的にキャビティ112a内のみに均質混合気が形成される。 そして、その混合気が圧縮され、燃料が自着火燃焼する燃焼行程が開始する。

    従って、燃料量が少ない極軽負荷運転時であっても、キャビティ112a内に自着火に十分な濃度の混合気を確実に形成できるので、安定した自着火燃焼を行うことができる。 この結果、自着火運転を行うことができる運転領域をより極軽負荷の領域まで拡大でき、そのような極軽負荷領域にて火花点火燃焼運転を行わなくてもよいから、Noxの排出量をより低減し、燃費を向上することができる。 また、自着火燃焼に寄与しないキャビティ112a外の燃料の量を低減することができる。 従って、未燃HCの発生を抑制することができるとともに、燃費を一層向上することができる。

    (内燃機関100が前記軽・中負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関100が前記軽・中負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G2は運転領域マップに従って予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段J2を選択する。 これにより、内燃機関100は予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段J2によって運転される。

    予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段J2は、燃焼室115内に均質混合気を形成しながら圧縮することにより燃料を自着火燃焼させる。 より具体的に述べると、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段J2は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関100の運転を行う(図21の(B)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関100の負荷に応じた軽・中負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁122を開弁する。 これにより、上述した排気行程が開始する。
    (2)次いで、吸気ポート開タイミングIPOにて第1吸気ポート116及び第2吸気ポート117と燃焼室115とが連通せしめられる。 これにより、掃気行程が開始する。 このとき、吸気制御弁119は第2吸気ポート117を閉じるように制御されている。 従って、吸気スワールが発生する。 また、この掃気行程では吸気も行われる。

    (3)次いで、吸気ポート閉タイミングIPCにて第1吸気ポート116及び第2吸気ポート117と燃焼室115とが遮断せしめられる。 その後、内燃機関100の負荷に応じた軽・中負荷時排気弁閉弁タイミングECが到来するので、排気弁122を閉弁する。 これにより、圧縮行程が開始する。

    (4)軽・中負荷時排気弁閉弁タイミングECと同時或いは若干だけ遅角側の圧縮行程の初期のタイミングθinjにて、内燃機関100の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まる所定量の燃料を燃料噴射弁127から噴射する。 即ち、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段J2は、極軽負荷時噴射タイミングθinjよりも進角側の軽・中負荷時噴射タイミングθinjにて燃料を噴射することにより均質混合気を形成する。

    この場合に噴射される燃料の総量は、空燃比を超希薄空燃比とする量である。 更に、この場合、予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段J2は、燃料噴射弁127のニードルのリフト量が高リフト量となるように、燃料噴射弁127の第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方を通電する。

    この段階では、吸気スワールが強い状態にて残存している。 従って、混合気が吸気スワールにより攪拌されることにより、燃焼室115内に存在する全空気が均質混合気の形成に利用される。 そして、その均質混合気は、キャビティ112aに取り込まれたのちに圧縮され、燃料が自着火燃焼する燃焼行程が始まる。 その結果、Noxの排出量をより低減し、熱効率(燃費)の向上を図ることができる。

    (内燃機関100が前記高負荷領域にて運転されるとき)
    内燃機関100が前記高負荷領域にて運転されるとき、運転切換手段G2は運転領域マップに従って拡散燃焼運転実行手段J3を選択する。 これにより、内燃機関100は拡散燃焼運転実行手段J3によって運転される。

    拡散燃焼運転実行手段J3は、燃焼室115内に吸入された空気を同燃焼室115内にて圧縮し、同圧縮された空気の中に燃料噴射弁127から燃料を噴射することにより同燃料を拡散燃焼させる。 より具体的に述べると、拡散燃焼運転実行手段J3は、以下に述べる作動を順に実行して内燃機関100の運転を行う(図21の(C)を参照。)。

    (1)燃焼行程において、内燃機関100の負荷に応じた高負荷時排気弁開弁タイミングEOにて排気弁122を開弁する。 これにより、排気行程が開始する。
    (2)次いで、吸気ポート開タイミングIPOにて第1吸気ポート116及び第2吸気ポート117と燃焼室115とが連通せしめられる。 これにより、掃気行程が開始する。 このとき、吸気制御弁119は第2吸気ポート117を開くように制御されている。

    (3)次いで、吸気ポート閉タイミングIPCにて第1吸気ポート116及び第2吸気ポート117と燃焼室115とが遮断せしめられる。 吸気ポート閉タイミングIPCは負荷により変化しない。 換言すると、高負荷時の吸気ポート閉タイミングIPCは、図1に示したような頭上弁式の内燃機関において、拡散燃焼運転が行われる高負荷領域で火花点火燃焼を行ったと仮定したとき、ノッキングの過度の発生を回避するように設定される吸気弁閉弁タイミングICigよりも進角側のタイミング(即ち、軽・中負荷時の吸気ポート閉タイミング)となる。

    (4)次いで、燃機関100の負荷に応じた高負荷時排気弁閉弁タイミングECが到来するので、排気弁122を閉弁する。 これにより、圧縮行程が開始する。
    (5)次いで、圧縮行程であって上死点近傍の燃料噴射タイミングθinjにて燃料噴射弁127から燃料を噴射し、その燃料を拡散燃焼させる。 噴射する燃料の量は、内燃機関100の負荷とエンジン回転速度NEとに基づいて定まる量である。 更に、この場合、拡散燃焼運転実行手段J3は、燃料噴射弁127のニードルのリフト量が高リフト量となるように、燃料噴射弁127の第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方を通電する。

    これによれば、高負荷時における燃焼室115と第1吸気ポート116及び第2吸気ポート117との遮断タイミングが、軽・中負荷時における同遮断タイミングと同じタイミングになるので、実圧縮比が大きく低下することがない。 この結果、過度のノッキングを伴うことなく、更に、燃料は拡散燃焼により燃焼するので、高圧縮比の下で安定した燃焼を得ることができる。 従って、内燃機関100の発生トルクを向上することができる。

    また、2サイクル内燃機関90と同様、2サイクル内燃機関100においては、高温の燃焼ガスを直ちに次の燃焼に供される混合気の温度を上昇させるために利用することができるので、自着火燃焼を安定して行うことが可能となる。 従って、自着火燃焼運転を行う運転領域をより低負荷側の領域にまで拡大できる。 この結果、実用領域において自着火燃焼運転することができるので、内燃機関のNOxの排出量を少なくし、且つ、燃費を改善することができる。

    加えて、高負荷領域において、過給機150による過給と拡散燃焼を行うことにより、ノッキングを伴わない燃焼が可能となる。 この結果、内燃機関100は、大きな最大トルクを発生することができる。

    なお、内燃機関100では、掃気行程と吸気行程とが同時に行われているが、内燃機関100を、クランク角が360度回転する毎に、燃焼室115と吸気ポート116とを遮断した状態にて燃焼室115と排気ポート121とを連通して排気行程を開始し、次いで燃焼室115と吸気ポート116とを連通して掃気行程を開始し、次いで燃焼室115と排気ポート121とを遮断して吸気行程を開始し、次いで燃焼室115と吸気ポート116とを遮断して圧縮行程を開始した後に同状態にて燃焼行程を迎える2サイクル運転を行うように構成してもよい。

    以上、説明したように、本発明による内燃機関の各実施形態は、少なくとも軽負荷側で均質混合気の自着火燃焼運転を行い、高負荷側で拡散燃焼運転を行うように構成されているの。 従って、燃費の向上やNox排出量の低減を実現できるとともに、ノッキングを回避しながら高トルクを発生することができる。 また、火花点火燃焼運転領域を排除又は縮小することが可能となるので、Nox排出量の低減及び燃費の向上が実現できる。 更に、火花点火燃焼運転領域を排除できる場合、点火プラグやイグナイタ等の点火用火花発生手段を排除することができるので、内燃機関のコストを低減することができる。

    なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。 例えば、上記各実施形態における過給機はターボチャージャであったが、機械式過給機(スーパーチャージャ)であってもよい。 また、上記成層自着火燃焼運転実行手段による運転時、上記予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段による運転時及び上記拡散燃焼運転実行手段による運転時において、点火用火花を補助的に発生させることにより、より安定した燃焼を確保してもよい。

    本発明の第1実施形態に係る内燃機関の概略構成図である。

    図1に示した燃焼室及び燃焼室に関連する部分をシリンダの軸線を通る平面にて切断した断面図である。

    図1に示したピストンの頂面の正面図である。

    図1に示した燃料噴射弁の先端部の縦断面図である。

    図1に示した燃料噴射弁の先端部の正面図である。

    図1に示した電気制御装置のCPUが所定のプログラムを実行することにより達成される機能を表すブロック図である。

    図6に示した運転切換手段が参照する運転領域マップを示した図である。

    図1に示した内燃機関のバルブタイミング、燃料噴射時期(燃料噴射タイミング)及び点火時期を表す図である。

    図6に示した成層自着火燃焼運転実行手段により燃料が噴射されたときの様子を示した図である。

    図6に示した予混合圧縮自着火燃焼運転実行手段及び火花点火燃焼運転実行手段のいずれかにより燃料が噴射されたときの様子を示した図である。

    図6に示した拡散燃焼運転実行手段により燃料が噴射されたときの様子を示した図である。

    本発明の第3実施形態に係る内燃機関が備える電気制御装置のCPUが所定のプログラムを実行することにより達成される機能を表すブロック図である。

    図12に示した運転切換手段が参照する運転領域マップを示した図である。

    本発明の第3実施形態に係る内燃機関のバルブタイミング及び燃料噴射タイミングを表す図である。

    本発明の第4実施形態に係る内燃機関の作動の概略を説明するための図である。

    本発明の第4実施形態に係る内燃機関の概略構成図である。

    図16に示した内燃機関のシリンダ、吸気サージタンク及び吸気ポートを同シリンダの軸線に直交する断面にて切断した断面図である。

    図16に示したシリンダヘッドの下面を燃焼室側から見た図である。

    図16に示した駆動アームの正面図である。

    図16に示した内燃機関が備える電気制御装置のCPUが所定のプログラムを実行することにより達成される機能を表すブロック図である。

    図16に示した内燃機関の排気弁開閉タイミング、吸気ポート開閉タイミング及び燃料噴射タイミングを表す図である。

    符号の説明

    10…多気等ピストン往復動型頭上弁式4サイクル内燃機関、21…シリンダ、22…ピストン、22a…ピストン頂面、22b…キャビティ、22d…スワール案内溝、25…燃焼室、30…シリンダヘッド部、30a…シリンダヘッド下面、31…吸気ポート、32…吸気弁、33…排気ポート、34…排気弁、35…点火プラグ、35a…火花発生部、36…イグナイタ、37…燃料噴射弁、37a…ノズルボディ、37b…ニードル、37b3…燃料通路、37c…狭角噴射孔、37d…広角噴射孔、38a…燃料圧力調整手段、38b…燃料ポンプ、41…吸気管、47…スロットルバルブ、51…排気管、61…エアフローメータ、62…クランクポジションセンサ、63…筒内圧センサ、65…アクセル開度センサ、70…電気制御装置、71…CPU、81…ターボチャージャ、90…2サイクル内燃機関、100…ユニフロー型2サイクル内燃機関、110…シリンダブロック、111…シリンダ、112…ピストン、112a…キャビティ、115…燃焼室、116…第1吸気ポート、117…第2吸気ポート、118…吸気サージタンク、119…吸気制御弁、120…シリンダヘッド、121…排気ポート、122…排気弁、123…駆動アーム、124…電磁アクチュエータ、125…点火プラグ、127…燃料噴射弁、130…吸気系統、141…排気管、150…ターボチャージャ、154…スロットルバルブ。

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