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有機光電変換素子、有機薄膜太陽電池、これに用いる組成物、塗布膜、これに有用な化合物および化合物の製造方法

阅读:0发布:2020-11-05

专利汇可以提供有機光電変換素子、有機薄膜太陽電池、これに用いる組成物、塗布膜、これに有用な化合物および化合物の製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】優れた性能の有機光電変換素子、有機 薄膜 太陽電池、これに用いる組成物、塗布膜、化合物及びその製造方法の提供する。【解決手段】深いLUMO準位、バンドギャップの低下に加え、吸収端が長波長な下記式(I)で表されるp型有機半導体化合物を含有する。Arはアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はこれらが組み合わされた基、XはS、O、Se、Te、−N(R1)−又は−C(R2)(R3)−、R1は 水 素 原子 、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基、R2及びR3はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。R2とR3は互いに結合して環構造を形成してもよい。Yはハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。nは2〜2000の整数を表す。【選択図】なし,下面是有機光電変換素子、有機薄膜太陽電池、これに用いる組成物、塗布膜、これに有用な化合物および化合物の製造方法专利的具体信息内容。

  • 第一の電極と、第二の電極と、その間に配置された光電変換層とを具備する有機光電変換素子であって、該光電変換層の少なくとも1層に下記式(I)で表される化合物を含有する有機光電変換素子。
    式(I)中、Arはアリーレン基、ヘテロアリーレン基もしくはこれらが組み合わされた基を表す。 Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Yはハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 nは2〜2000の整数を表す。
  • 前記Arの最高被占軌道のエネルギー準位の計算値が、−5.3eV以上である請求項1に記載の有機光電変換素子。
  • 前記Arが、ヘテロアリーレン基である請求項1または2に記載の有機光電変換素子。
    電変換素子。
  • 前記Arが、下記式(1)で表される請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
    式(1)中、Dは式(D1)、(D2)または(D3)で表される基を示す。
    は硫黄原子、セレン原子、酸素原子または−NR −を表す。 W は=C(L −R 1D )−または=N−を表し、R 1Dは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはハロゲン原子を表す。 meは0〜2の整数を表す。 mdは0または1を表す。 ただし、mdが0のときmeは1または2を表す。 L は、単結合、−O−、−S−、−N(R )−、−C(=O)O−、−C(=S)O−、−C(=O)S−、−SC(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=S)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=O)N(R )−、−N(R )C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O) −、−S(=O) O−、−OS(=O) −、−S(=O) N(R )−、−N(R )S(=O) −、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。 ここで、R は水素原子または炭化水素基を表す。
    式(D1)中、環AおよびCは各々独立にチオフェン環を表し、環Bは上記式(B−1)〜(B−3)で表されるいずれかの環を表す。 L 1A 〜L 1Cは各々独立に、上記L と同義である。 R 1A 〜R 1Cは各々独立に、上記R 1Dと同義である。 mbは0〜4の整数を表し、maおよびmcは各々独立に0または1を表す。
    式(B−1)中、Z は、−C(R 1Z )(R 2Z )−、−C[=C(R 3Z )(R 4Z )]−、−Si(R 1Z )(R 2Z )−、−Ge(R 1Z )(R 2Z )−または−N(R )−を表す。 ここで、R 1ZおよびR 2Zは各々独立に、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表す。 R 3ZおよびR 4Zは各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基またはアルコシキカルボニル基を表す。 R は水素原子または炭化水素基を表す。
    式(D2)および(D3)中、W およびW は各々独立に、上記式(1)におけるW およびW と同義である。
    上記式(1)、(D2)および(D3)における複数のW 、W およびmeは同一であっても異なっていてもよい。
  • 前記Arが、チオフェン環を含む基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光
  • 前記Arが、下記式(2)〜(6)のいずれかで表される請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
    式(2)〜(6)中、Z は、前記式(B−1)におけるZ と同義である。 L およびR 1Dは前記式(1)、(D1)および(D2)におけるL およびR 1Dと同義である。 L 1BおよびR 1Bは前記式(D1)におけるL 1BおよびR 1Bと同義である。
  • 前記式(I)で表される化合物が、下記式(II)〜(VI)のいずれかで表される請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
    式(II)〜(VI)中、X、Yおよびnは前記式(I)におけるX、Yおよびnと同義である。 Z は前記式(B−1)におけるZ と同義である。 L およびR 1Dは前記式(1)、(D2)および(D3)におけるL およびR 1Dと同義である。
  • 前記Yが、シアノ基またはニトロ基である請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  • 前記Yが、シアノ基である請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  • 前記Xが、硫黄原子である請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  • 前記式(I)で表される化合物が、前記式(III)で表される請求項7〜10のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  • 前記化合物の質量平均分子量が、1万〜100万である請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  • 前記光電変換層に、n型半導体を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  • 前記光電変換層が、前記式(I)で表される化合物とn型半導体との混合層からなる請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  • 請求項1〜14のいずれか1項に記載の有機光電変換素子を有する有機薄膜太陽電池。
  • 下記式(I)で表される化合物。
    式(I)中、Arはアリーレン基、ヘテロアリーレン基もしくはこれらが組み合わされた基を表す。 Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Yはハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 nは2〜2000の整数を表す。
  • 請求項16に記載の化合物および有機溶媒を含む組成物。
  • 前記組成物が、有機半導体材料用である請求項17に記載の組成物。
  • 請求項17または18に記載の組成物から得られてなる塗布膜。
  • 下記式(M1)で表される化合物。
    式(M1)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Y はハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 Z およびZ は、各々独立に、ハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基、トリアルキルスズ基、トリアルキルシリル基または−B(ORα) を表す。 ここで、Rαは水素原子、アルキルスルホニル基、アルキル基またはアリール基を表す。 2個のRαは互いに結合して環を形成してもよい。
  • 前記Z およびZ が、各々独立にハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である請求項20に記載の化合物。
  • 前記Y が、シアノ基である請求項20または21に記載の化合物。
  • 下記化合物(M2)または(M2')を経由する請求項22に記載の化合物の製造方法。
    式(M2)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は各々独立にハロゲン原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基を表す。 ただし、Z およびZ が、いずれもフッ素原子である場合、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基であり、Z およびZ が、いずれも塩素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である場合、Z は臭素原子またはヨウ素原子であり、Z およびZ が、いずれも臭素原子である場合、Z はヨウ素原子である。
    式(M2')中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は各々独立にハロゲン原子を表す。 ただし、Z がフッ素原子の場合、Z およびZ はいずれも塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Z が塩素原子の場合、Z およびZ は、いずれも臭素原子またはヨウ素原子である。 Z が臭素原子の場合、Z およびZ はいずれもヨウ素原子である。
  • 下記式(M2)で表される化合物。
    式(M2)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は各々独立にハロゲン原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基を表す。 ただし、Z およびZ が、いずれもフッ素原子である場合、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基であり、Z およびZ が、いずれも塩素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である場合、Z は臭素原子またはヨウ素原子であり、Z およびZ が、いずれも臭素原子である場合、Z はヨウ素原子である。
  • 说明书全文

    本発明は、有機光電変換素子、有機薄膜太陽電池、これに用いる組成物、塗布膜、これに有用な化合物および化合物の製造方法に関する。 特に、有機光電変換素子の有機半導体として有用な化合物、該化合物を合成するのに有用な化合物およびその製造方法に関する。

    有機半導体ポリマーは、エレクトロニクス分野において近年盛んに研究が行われている。 例えば、電気を流すと発光する有機エレクトロルミネッセンス素子、光照射で発電する有機光電変換素子、電流量や電圧量を制御する有機薄膜トランジスタ素子等に使用されている。 このような素子では、無機半導体材料と同様、電子供与材料であるp型導電性・半導体材料と電子受容材料であるn型導電性・半導体材料を組み合わせた有機半導体材料が使用される。
    近年、石油等の化石エネルギーでは大気中への二酸化炭素の放出が問題となることから、温暖化抑制による地球環境保全のため、太陽電池への需要が高まっている。 有機太陽電池には、湿式である色素増感太陽電池(グレッツェルセル)と全固形型である有機薄膜太陽電池が知られている。 後者は電解液を使用しないため、この電解液の蒸発や液漏れを考慮する必要がない。 また、柔軟性をもたせることが可能であり、太陽電池の構造や製造が前者より簡便となる。

    しかしながら、有機薄膜太陽電池の光電変換効率はいまだ不十分である。 光電変換効率は短絡電流密度(Jsc)×開放電圧(Voc)×曲線因子(FF)で算出されるので、光電変換効率を高めるためには、これらをそれぞれ向上させる必要がある。 短絡電流密度の向上には、近赤外領域の光まで吸収する狭いバンドギャップを有するp型導電性・半導体材料(例えば、ドナー−アクセプター型のチオフェン誘導体ポリマー化合物)を使用すること、また、開放電圧はp型導電性・半導体材料のHOMO(最高被占軌道)準位とn型導電性・半導体材料のLUMO(最低空軌道)準位との差分に比例するため、HOMO準位の深いp型導電性・半導体材料を用いることが重要である。 すなわち、高い開放電圧と高い短絡電流密度の両立のためにはHOMO準位が深く、かつバンドギャップの小さい、すなわちLUMO準位の深い、p型導電性・半導体材料の開発が求められている。 また、曲線因子の向上にはキャリア移動性の高い、すなわち会合の強い、p型導電性・半導体材料を用いることが重要である。

    光電変換効率の向上のため、以上のような観点から、p型導電性・半導体材料として有機半導体ポリマー(p型ポリマー)の研究が行われている。 多くの構造の異なるヘテロ芳香環を含む共役系のポリマーが検討されており、例えば、最近では、ベンゾチアジアゾール環を含む特定の構造単位を有するポリマーが提案されている(特許文献1、2および非特許文献1参照)。

    特開2012−107187号公報

    国際公開第2012/054910号パンフレット

    J. Phys. Chem. C. ,2009,113,21202〜21207

    有機薄膜太陽電池は、同じ有機素材を使用する色素増感太陽電池と比較し、上記のように優れたメリットがあり、その適用範囲も広いにもかかわらず、光電変換効率は、色素増感太陽電池に及ばないのが実情である。

    本発明者らは、光電変換効率をさらに高めるために、p型半導体化合物のLUMOを深くし(バンドギャップを小さく)、吸収端を長波長化することにより、近赤外領域の光を光電変換できるようにすることが重要であると考えた。 そこで、本発明者らは、前記特許文献1、2も含め、従来から提案されている多くのヘテロ芳香環とその置換基の検討を行った。 その結果、ヘテロ芳香環の厳選と、置換基および置換様式を厳密に調整することで、上記が達成できることを見出した。 さらに、本発明の化合物をp型半導体として用いた光電変換素子は、素子化したときの電流のバラつきが小さく、製造適性に優れることも見出した。

    すなわち、本発明は、深いLUMO準位、バンドギャップの低下に加え、吸収スペクトルにおける吸収端が長波長化(例えば、865nm以上の近赤外領域)したp型有機半導体化合物を開発することで優れた性能の有機光電変換素子、有機薄膜太陽電池、これに用いる組成物、塗布膜、これに有用な化合物および化合物の製造方法を提供することを課題とする。

    すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。

    (1)第一の電極と、第二の電極と、その間に配置された光電変換層とを具備する有機光電変換素子であって、該光電変換層の少なくとも1層に下記式(I)で表される化合物を含有する有機光電変換素子。

    式(I)中、Arはアリーレン基、ヘテロアリーレン基もしくはこれらが組み合わされた基を表す。 Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R 素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Yはハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 nは2〜2000の整数を表す。
    (2)Arの最高被占軌道のエネルギー準位の計算値が、−5.3eV以上である(1)に記載の有機光電変換素子。
    (3)Arが、ヘテロアリーレン基である(1)または(2)に記載の有機光電変換素子。

    (4)Arが、下記式(1)で表される(1)〜(3)のいずれかに記載の有機光電変換素子。

    式(1)中、Dは式(D1)、(D2)または(D3)で表される基を示す。
    は硫黄原子、セレン原子、酸素原子または−NR −を表す。 W は=C(L −R 1D )−または=N−を表し、R 1Dは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはハロゲン原子を表す。 meは0〜2の整数を表す。 mdは0または1を表す。 ただし、mdが0のときmeは1または2を表す。 L は、単結合、−O−、−S−、−N(R )−、−C(=O)O−、−C(=S)O−、−C(=O)S−、−SC(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=S)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=O)N(R )−、−N(R )C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O) −、−S(=O) O−、−OS(=O) −、−S(=O) N(R )−、−N(R )S(=O) −、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。 ここで、R は水素原子または炭化水素基を表す。
    式(D1)中、環AおよびCは各々独立にチオフェン環を表し、環Bは上記式(B−1)〜(B−3)で表されるいずれかの環を表す。 L 1A 〜L 1Cは各々独立に、上記L と同義である。 R 1A 〜R 1Cは各々独立に、上記R 1Dと同義である。 mbは0〜4の整数を表し、maおよびmcは各々独立に0または1を表す。
    式(B−1)中、Z は、−C(R 1Z )(R 2Z )−、−C[=C(R 3Z )(R 4Z )]−、−Si(R 1Z )(R 2Z )−、−Ge(R 1Z )(R 2Z )−または−N(R )−を表す。 ここで、R 1ZおよびR 2Zは各々独立に、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表す。 R 3ZおよびR 4Zは各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基またはアルコシキカルボニル基を表す。 R は水素原子または炭化水素基を表す。
    式(D2)および(D3)中、W およびW は各々独立に、上記式(1)におけるW およびW と同義である。
    上記式(1)、(D2)および(D3)における複数のW 、W およびmeは同一であっても異なっていてもよい。
    (5)Arが、チオフェン環を含む基である(1)〜(4)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (6)Arが、下記式(2)〜(6)のいずれかで表される(1)〜(5)のいずれかに記載の有機光電変換素子。

    式(2)〜(6)中、Z は、前記式(B−1)におけるZ と同義である。 L およびR 1Dは前記式(1)、(D1)および(D2)におけるL およびR 1Dと同義である。 L 1BおよびR 1Bは前記式(D1)におけるL 1BおよびR 1Bと同義である。
    (7)式(I)で表される化合物が、下記式(II)〜(VI)のいずれかで表される(1)〜(6)のいずれかに記載の有機光電変換素子。

    式(II)〜(VI)中、X、Yおよびnは前記式(I)におけるX、Yおよびnと同義である。 Z は前記式(B−1)におけるZ と同義である。 L およびR 1Dは前記式(1)、(D2)および(D3)におけるL およびR 1Dと同義である。
    (8)Yが、シアノ基またはニトロ基である(1)〜(7)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (9)Yが、シアノ基である(1)〜(8)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (10)Xが、硫黄原子である(1)〜(9)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (11)式(I)で表される化合物が、前記式(III)で表される(7)〜(10)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (12)化合物の質量平均分子量が、1万〜100万である(1)〜(11)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (13)光電変換層に、n型半導体を含む(1)〜(12)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (14)光電変換層が、前記式(I)で表される化合物とn型半導体との混合層からなる(1)〜(13)のいずれかに記載の有機光電変換素子。
    (15)前記(1)〜14)のいずれかに記載の有機光電変換素子を有する有機薄膜太陽電池。
    (16)下記式(I)で表される化合物。

    式(I)中、Arはアリーレン基、ヘテロアリーレン基もしくはこれらが組み合わされた基を表す。 Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Yはハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 nは2〜2000の整数を表す。
    (17)前記(16)に記載の化合物および有機溶媒を含む組成物。
    (18)組成物が、有機半導体材料用である(17)に記載の組成物。
    (19)前記(17)または(18)に記載の組成物から得られてなる塗布膜。
    (20)式(M1)で表される化合物。

    式(M1)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Y はハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 Z およびZ は、各々独立に、ハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基、トリアルキルスズ基、トリアルキルシリル基または−B(ORα) を表す。 ここで、Rαは水素原子、アルキルスルホニル基、アルキル基またはアリール基を表す。 2個のRαは互いに結合して環を形成してもよい。
    (21)Z およびZ が、各々独立にハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である(20)に記載の化合物。
    (22)Y が、シアノ基である(18)または(19)に記載の化合物。
    (23)下記化合物(M2)または(M2')を経由する(22)に記載の化合物の製造方法。

    式(M2)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は各々独立にハロゲン原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基を表す。 ただし、Z およびZ が、いずれもフッ素原子である場合、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基であり、Z およびZ が、いずれも塩素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である場合、Z は臭素原子またはヨウ素原子であり、Z およびZ が、いずれも臭素原子である場合、Z はヨウ素原子である。
    式(M2')中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は各々独立にハロゲン原子を表す。 ただし、Z がフッ素原子の場合、Z およびZ はいずれも塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Z が塩素原子の場合、Z およびZ は、いずれも臭素原子またはヨウ素原子である。 Z が臭素原子の場合、Z およびZ はいずれもヨウ素原子である。
    (24)下記式(M2)で表される化合物。

    式(M2)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は各々独立にハロゲン原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基を表す。 ただし、Z およびZ が、いずれもフッ素原子である場合、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基であり、Z およびZ が、いずれも塩素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である場合、Z は臭素原子またはヨウ素原子であり、Z およびZ が、いずれも臭素原子である場合、Z はヨウ素原子である。

    本明細書において、芳香環とは、芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環を含む意味に用い、脂環とは、脂肪族炭化水素環であり、非芳香族の脂肪族炭化水素環であり、ヘテロ環は、芳香族をも含むヘテロ環を意味し、芳香族ヘテロ環でないヘテロ環は、非芳香族ヘテロ環と称す。 これらの各環は、単環であっても多環であっても、縮環であってもよい。
    なお、多環や縮環の場合、同一の環で構成されていても、上記の異なった環で構成されていてもよい。
    またこれらの各環は特段の断りがない限り、置換基を有してもよい。
    本発明において、同一の式に、置換基を含めた基、部分構造に同じ符号が存在する、すなわち、複数存在する場合、これらは、互いに同一であっても異なってもよいことを意味するものである。 また、隣接する基同士が互いに結合して、環を形成してもよい。
    さらに、二重結合が存在する場合、E体、Z体のいずれでもよく、またこれらの混合物をも含むものであり、同様に、光学異性体が存在する場合、これらのいずれでも、これらの混合物をも含むものである。

    LUMO準位が深く、かつバンドギャップが小さい、すなわち吸収端が長波長(例えば、865nm以上の近赤外領域)な本発明の化合物を用いることにより、長波長領域の光を光電変換できる有機光電変換素子、有機薄膜太陽電池、これに用いる組成物、塗布膜、化合物および化合物の製造方法を提供することができる。 さらに、本発明の化合物を用いた有機光電変換素子は、電流値のバラつきが小さく、製造適性に優れる。

    本発明の有機薄膜太陽電池の好ましい実施形態の構成を模式的に示す側面図である。

    本発明の有機光電変換素子は、第一の電極と、第二の電極と、その間に配置された光電変換層とを具備し、該光電変換層の少なくとも1層に、有機半導体として優れた本発明の化合物を有する。
    最初に本発明の化合物から説明する。

    <<本発明の化合物>>
    本発明の化合物は下記式(I)で表される化合物である。
    本発明の下記化合物は、下記繰返し単位を少なくとも2つ含む2量体以上の化合物であり、オリゴマーやポリマーを含む。

    式(I)中、Arはアリーレン基、ヘテロアリーレン基もしくはこれらが組み合わされた基を表す。 Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Yはハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 nは2〜2000の整数を表す。

    Xにおける−N(R )−中のR 、−C(R )(R )−中のR およびR におけるアルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基で、炭素数1〜24のアルキル基が好ましく、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、3,7−ジメチルオクチル、イソデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−ブチルオクチル、n−トリデシル、3−ブチルノニル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、2−ヘキシルデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、2−オクチルドデシル、1−イコシル、n−ヘンエイコシル、n−ドコシル、n−トリコシル、n−テトラコシル、2−デシルテトラデシルが挙げられる。

    アルケニル基は、炭素数2〜24が好ましく、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル、2−エチル−5−ヘキセニル、2−ビニルヘキシル、3,7−ジメチル−7−オクテニル、11−ドデセニル、13−テトラデセニル、9−オクタデセニルが挙げられる。
    アルキニル基は、炭素数2〜24が好ましく、例えば、エチニル、2−プロピニル、2−ペンテン−4−イニル、5−ヘキシニル、7−オクチニル、2−ノニル−3−ブチニルが挙げられる。
    アリール基は炭素数6〜18が好ましく、例えば、フェニル、ナフチルが挙げられる。

    これらの各基は、さらに置換基で置換されていてもよい。
    このような置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールのスルホンアミド基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルもしくはアリールのスルホニル基、アルキルもしくはアリールのスルフィニル基、アルキルもしくはアリールのスルホニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。

    とR は互いに結合して環構造を形成してもよく、このような環としては5または6員環が好ましく、炭素環でもヘテロ環でも構わない。

    Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子が好ましく、硫黄原子、酸素原子がより好ましく、硫黄原子が特に好ましい。

    Yはハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 ハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基とすることで、本発明の化合物のエネルギー準位を有機光電変換素子としてより好ましい領域に制御し、吸収端を長波長化させることができ好ましい。
    なお、置換基定数σm値は、Chemical Reviews,1991,91,p. 165〜195を参考にすることができる。
    ハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基としては、例えば、ニトロ基(0.71)、パーフルオロアルキルカルボニル基(−COCF :0.63)、アルキルもしくはアリールのスルホニル基(−SO CH :0.60、−SO :0.62)、シアノ基(0.56)、パーフルオロアルカンスホニルオキシ基(OSO CF :0.56)、アルキルもしくはアリールのスルフィニル基(−SOCH :0.52)、スルファモイル基〔−SO N(CH :0.51〕が挙げられる。

    これらのうち、シアノ基、ニトロ基が好ましく、シアノ基が特に好ましい。

    nは、2〜2000の整数を表すが、10〜2000が好ましい。

    Arは、Arはアリーレン基、ヘテロアリーレン基もしくはこれらが組み合わされた基を表すが、アリーレン基としては、炭素数6〜18のアリーレン基が好ましく、フェニレン、ナフチレンが挙げられる。
    ヘテロアリーレン基のヘテロアリール環において、環構成原子のヘテロ原子としては、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、セレン原子が挙げられ、アリール環を構成するヘテロ原子は1〜4が好ましく、2または3がより好ましく、1が特に好ましい。
    ヘテロアリール環の芳香環は5員環または6員環が好ましく、単環でも縮環していてもよい。
    ヘテロアリール環としては、チオフェン環、チアゾール環、セレノフェン環、ピロール環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が挙げられる。

    Arにおけるアリーレン基、ヘテロアリーレン基の組み合わされた基とは、異なったアリーレン基、異なったヘテロアリーレン基またはアリーレン基とヘテロアリーレン基の組み合わさった基が挙げられる。 これらの基が2個以上組み合わさったものであり、好ましくは、2から6個組み合わさったものであり、−Ar (−Ar −として表すことができる。 Ar の結合位置は特に限定されず、例えば、l=2の場合、−Ar −Ar −Ar −でもよく、−Ar −Ar −Ar −、−Ar −Ar (Ar )−、または−Ar (Ar −のいずれでもよい。

    ここでAr およびAr は各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基を表し、Arにおけるアリーレン基、ヘテロアリーレン基が好ましく、ヘテロアリーレン基がより好ましく、五員環のヘテロアリーレン基が特に好ましい。 lは0以上の整数を表し、0〜4の整数が好ましく、0、2または4がより好ましい。 なお、lが2以上のとき、複数のAr は同一でも異なってもよい。
    特に、このような組合せの基の場合、Ar が、2価のチオフェン環基(好ましくは、2,5−チオフェンジイル)で、Ar がチオフェン環を含まない3または4環縮合の環もしくはチオフェン環を含む3または4環縮合の環が好ましい。 ここで、好ましくは、Ar は式(I)におけるYを有する、=N−X−N=を含む5員環に縮環したベンゼン環に連結する場合が好ましい。

    Arにおけるアリーレン基、ヘテロアリーレン基は置換基を有してもよく、該置換基としては、R 〜R の基が有してもよい置換基が挙げられる。
    該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基が特に好ましい。

    本発明において、Arは、Arの最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位の計算値が、−5.3eV以上であるものが好ましく、−5.3〜−4.6eVであるものがより好ましい。
    Arの最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位を−5.3〜−4.6eVとすることで、エネルギー準位および吸収波長が好ましい化合物を得ることができる。
    なお、Arの最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位は、該環に置換する置換基をも含めた環であり、結合手を水素原子に置き換えた環に対して、分子軌道計算ソフトGaussian09(ガウシアン社製)により、B3LYP法に基底関数系6−31G(d)を用いて求めた計算値である。
    例えば、代表的な環の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位を示すと以下の通りである。 なお、計算はR=メチルにて行った。 *はポリマー主鎖形成部を示す。

    Arは、ヘテロアリーレン基が好ましく、該環のヘテロ環は少なくともチオフェン環を含むものが好ましい。 また、ヘテロアリール基のヘテロ環は、単環よりも縮環(好ましくは3〜4環の縮環)が好ましく、このなかでも、チオフェン環を含む縮環が好ましく、チオフェン環と縮環する環としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環)、シクロペンタジエン環もしくは、該シクロペンタジエン環の非共役の炭素原子が窒素原子、Si原子、Ge原子に置き換わった環(ピロール環、シラシクロペンタジエン環、ゲルマシクロペンタジエン環)が好ましい。 ここで3〜4環が縮環した環は、中心の環の両側、すなわち、繰返し単位の結合手を有する環がチオフェン環である環が好ましい。
    特に、本発明では、Arは式(I)におけるYを有する、=N−X−N=を含む5員環に縮環したベンゼン環に連結する部分にチオフェン環が連結する場合が好ましい。
    このような好ましいArは、下記式(1)として表される。

    式(1)中、Dは式(D1)、(D2)または(D3)で表される基を示す。
    は硫黄原子、セレン原子、酸素原子または−NR −を表す。 W は=C(L −R 1D )−または=N−を表し、R 1Dは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはハロゲン原子を表す。 meは0〜2の整数を表す。 mdは0または1を表す。 ただし、mdが0のときmeは1または2を表す。 L は、単結合、−O−、−S−、−N(R )−、−C(=O)O−、−C(=S)O−、−C(=O)S−、−SC(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=S)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=O)N(R )−、−N(R )C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O) −、−S(=O) O−、−OS(=O) −、−S(=O) N(R )−、−N(R )S(=O) −、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。 ここで、R は水素原子または炭化水素基を表す。 ここで、R は水素原子または炭化水素基を表す。

    式(D1)中、環AおよびCは各々独立にチオフェン環を表し、環Bは上記式(B−1)〜(B−3)で表されるいずれかの環を表す。 L 1A 〜L 1Cは各々独立に、上記L と同義である。 R 1A 〜R 1Cは各々独立に、上記R 1Dと同義である。 mbは0〜4の整数を表し、maおよびmcは各々独立に0または1を表す。

    式(B−1)中、Z は、−C(R 1Z )(R 2Z )−、−C[=C(R 3Z )(R 4Z )]−、−Si(R 1Z )(R 2Z )−、−Ge(R 1Z )(R 2Z )−または−N(R )−を表す。 ここで、R 1ZおよびR 2Zは各々独立に、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表す。 R 3ZおよびR 4Zは各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基またはアルコシキカルボニル基を表す。 R は水素原子または炭化水素基を表す。

    式(D2)および(D3)中、W およびW は各々独立に、上記式(1)におけるW およびW と同義である。
    上記式(1)、(D2)および(D3)における複数のW 、W およびmeは同一であっても異なっていてもよい。

    1A 〜L 1CおよびL におけるアリーレン基またはヘテロアリーレン基は、Arにおける対応する基が好ましい。
    1A 〜L 1CおよびL は、単結合、−O−、−S−、−N(R )−が好ましく、単結合、−O−、−S−がより好ましく、単結合、−O−がさらに好ましい。

    における炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基が好ましい。 ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基はR 〜R で挙げた対応する基が好ましい。 シクロアルキル基は、3〜6員環で、炭素数3〜18が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
    は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。

    1A 〜R 1Dにおけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は、R 〜R で挙げた対応する基が好ましい。
    1A 〜R 1Dは、水素原子、またはアルキル基が好ましく、アルキル基の炭素数は1〜24が好ましく、6〜24がより好ましい。

    maおよびmcは0が好ましく、mbは0〜2の整数が好ましく、1または2の整数がより好ましい。
    は、硫黄原子、セレン原子、酸素原子が好ましく、硫黄原子がより好ましい。
    は、=C(L −R 1D )−が好ましい。

    1Z 、R 2Z 、R 3Z 、R 4Zにおけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は、R 〜R における対応する基が好ましい。
    3Z 、R 4Zにおけるアシル基は、炭素数1〜18のアシル基が好ましく、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基がより好ましく、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、2−エチルヘキサノイル、ノナノイル、デカノイル、3,7−ジメチルオクタノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、2−ブチルオクタノイル、トリデカノイル、2−ヘキシルデカノイル、2−デシルテトラデカノイル、ミリスチリル、ステアロイル、アクリロイル、ベンゾイルが挙げられる。
    3Z 、R 4Zにおけるアルコシキカルボニル基は、炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、s−ブチルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、へプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ウンデシルオキシカルボニル、ブチルオクチルオキシカルボニル、ヘキシルデシルオキシカルボニル、トリデシルオキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、2−デシルテトラデシルオキシカルボニルが挙げられる。

    1Z 、R 2Z 、R 3Z 、R 4Zは、アルキル基が好ましく、なかでもアルキル基の炭素数は1〜24が好ましく、6〜24がより好ましい。

    は、−C(R 1Z )(R 2Z )−、−Si(R 1Z )(R 2Z )−、−N(R )−、−C[=C(R 3Z )(R 4Z )]−が好ましく、−C(R 1Z )(R 2Z )−、−Si(R 1Z )(R 2Z )−、−C[=C(R 3Z )(R 4Z )]−がより好ましい。

    環Bは、式(B−1)、(B−3)が好ましく、式(B−1)がより好ましい。

    式(1)中、Dは式(D1)で表される基がなかでも好ましい。

    Arは、下記式(2)〜(6)のいずれかで表される基がより好ましい。

    式(2)〜(6)中、Z は、前記式(B−1)におけるZ と同義である。 L およびR 1Dは前記式(1)、(D1)および(D2)におけるL およびR 1Dと同義である。 L 1BおよびR 1Bは前記式(D1)におけるL 1BおよびR 1Bと同義である。

    本発明において、前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)〜(VI)のいずれかで表される化合物がさらに好ましい。

    式(II)〜(VI)中、X、Yおよびnは前記式(I)におけるX、Yおよびnと同義である。 Z は前記式(B−1)におけるZ と同義である。 L およびR 1Dは前記式(1)、(D2)および(D3)におけるL およびR 1Dと同義である。
    なお、各式における繰返し単位は、置換基も含め、全く同じ構造の繰返し単位である。

    本発明の式(I)で表される化合物、特にポリマーは、質量平均分子量が、1万以上が好ましく、1万〜100万がより好ましい。
    特に、質量平均分子量をこのように大きくすることで、光電変換効率が向上する。
    なお、質量平均分子量は、特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の質量平均分子量とする。 GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。 カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。 用いる溶媒は、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドンのアミド系溶媒が挙げられるが、ポリマーの溶解性の観点から芳香族溶媒が好ましい。 測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことがより好ましい。 測定温度は溶媒の沸点によって適宜変更されるが、10〜200℃で行うことが好ましく、20〜150℃で行うことがより好ましい。 使用するカラム、およびキャリアは測定対象となる高分子化合物の物性に応じて選定することができる。 本発明では、カラム:TSK−GEL SUPER H−RC 6.0*150+TSK−GEL BMHHR−H(20)7.8*300(2本),溶媒:1、2−ジクロロベンゼン、温度:145℃、流速:サンプル側:1mL/min、リファレンス側:0.5mL/minで求めたものである。

    本発明の式(I)で表される化合物は、ポリマー末端が、水素原子、トリアルキルスズ基(例えば、トリメチルスズ基、トリブチルスズ基など)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基(例えば、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基など)、−B(OH) 、−B(OR 、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基など)、ヘテロアリール基(例えば、チエニル基、2−ヘキシルチエニル基、3−ヘキシルチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基)などであるものが好ましい。 なお、上記のR はアルキル基を表し、複数のR が互いに結合して環を形成してもよい。
    これらのポリマー末端は、主に合成原料と重合条件に基づくものである。

    また、本発明の式(I)で表される化合物におけるポリマーは、ブロック、ランダムまたは交互のいずれの重合形式で得られるものでも構わないが、本発明においては、置換基や骨格を含めた同一単位構造の繰返しからなるものが好ましく、具体的には、該同一単位構造のnの繰返しであるものが好ましい。

    以下に、本発明の式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。 ここで、具体例中のEtはエチルを示す。

    本発明の式(I)で表される化合物は、カップリング反応、例えば、Chemical Reviews,2002年,102巻,1359頁、Chemical Reviews,2011年,111巻,1493頁、Journal of Materals of Chemistry,2004年,14巻,11頁などに記載の方法を用いて下記式のように合成することができる。
    具体的には、遷移金属触媒を使用した、亜鉛反応剤を用いる根岸カップリング、スズ反応剤を用いる右田−小杉−Stilleカップリング、ホウ素反応剤を用いる鈴木−宮浦カップリング、マグネシウム反応剤を用いる熊田−玉尾−Corriuカップリング、ケイ素反応剤を用いる檜山カップリングなどのクロスカップリングや、銅を使用したUllmann反応、ニッケルを使用した山本重合などを利用して合成することができる。 本発明においては、右田−小杉−Stilleカップリング、鈴木−宮浦カップリングを用いることがより好ましい。 遷移金属触媒としては、パラジウム、ニッケル、銅、コバルト、鉄(Journal of the American Chemical Society,2007年,129巻,9844頁)などの金属を使用することができる。 また金属は配位子を有していてもよく、PPh 、P(t−Bu) 、P(o−tol) 、P(2−furyl) 、S−Phos,X−Phosなどのリン配位子や、N−ヘテロサイクリックカルベン配位子(Angewandte Chemie International Edition,2002年,41巻,1290頁)などが好ましく用いられる。 反応はMacromolecular Rapid Communications,2007年,28巻,387頁に記載されているようにマイクロウェーブ照射下で行ってもよい。

    ここで、Z およびZ がハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基の場合、Z およびZ はトリアルキルスズ基、トリアルキルシリル基または−B(ORα) であり、Z およびZ がトリアルキルスズ基、トリアルキルシリル基または−B(ORα) の場合、Z およびZ はハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である。

    なお、重合後にAr−V で表される化合物を添加して、ポリマー末端と反応させることによりキャッピングを行ってもよい。 ここで、Arはアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基など)またはヘテロアリール基(例えば、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基など)を表す。 Arはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
    は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基(例えば、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基など)、トリアルキルスズ基(例えば、トリメチルスタニル基、トリブチルスタニル基など)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基など)、−B(OR を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基を示す。 R は連結して環を形成してもよい。

    原料となるスズ反応剤やホウ素反応剤などの金属反応剤の合成方法は特に限定されず、種々の公知の方法にしたがって、合成することができる。 例えばスズ反応剤はJournal of the American Chemistry,2009,131,7792頁、Journal of the American Chemistry,2008,130,16144頁、欧州特許出願公開第2407465号明細書などを、ホウ素反応剤はJournal of the American Chemistry,2012,134,539頁などを参考にして合成することができる。

    また、本発明の式(IV)で表される化合物は、例えば、Chemistry of Materials,2010,vol. 22,p. 2325〜2332およびJournal of Polymer Science,Part A:Polymer Chemistry,2013,vol. 51,p. 424〜434を参考にして下記のようにモノマーを合成し、これらを重合させることにより合成できる。

    本発明の式(V)で表される化合物は、例えば、Tetrahedron Letters,2010,vol. 51,#16、p. 2089〜2091、Adanced.
    Materials,2011,23、 p. 1409〜1413の合成を参考にしてモノマーをそれぞれ合成し、これらを重合させることによって合成できる。

    本発明の式(VI)で表される化合物は、例えば、Journal of American Chemical Society,2012,134,p. 3498〜3507記載の方法を参考にしてモノマーを合成し、これらを重合させることによって合成できる。

    <<本発明の化合物>>
    本発明の化合物は、下記式(M1)で表される化合物である。
    本発明の化合物は、本発明の式(I)で表される化合物を合成するのに、合成原料として有用であり、好ましい。

    式(M1)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環構造を形成してもよい。 Y はハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。 Z およびZ は、各々独立に、ハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基、トリアルキルスズ基、トリアルキルシリル基または−B(ORα) を表す。 ここで、Rαは水素原子、アルキルスルホニル基、アルキル基またはアリール基を表す。 2個のRαは互いに結合して環を形成してもよい。

    ここで、式(M1)で表される化合物は、モノマー(単量体)であり、Z およびZ 以外の基や符号は、前記式(I)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同じである。

    およびZ における、Rαにおけるアルキルスルホニル基はパーフルオロアルカンスルホニル基が好ましく、トリフルオロメタンスルホニル基が特に好ましい。
    また、アルキル基は炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、アリール基は炭素数6〜10が好ましい。
    はハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基を表す。
    は、前記一般式(I)におけるYのハメットの置換基定数σmが0.50より大きい電子求引性基と同義であり、好ましい範囲も同じである。

    以下に、式(M1)で表される化合物の具体例を示すが、これによって、本発明が限定されるものではない。 下記のM は金属カチオン、Meはメチル、Etはエチル、i−Prはイソプロピルを示す。

    これらの化合物の合成法は特に限定されず種々の公知の方法に従って合成できる。 例えば、Z およびZ がハロゲン原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基で、Y がニトロ基の場合、例えば、下記反応式のように化合物(M4)を、例えば、Orgaic Letters,2011,13,p. 2338〜2341に記載の方法を参考にしてニトロ化することによって合成できる。

    およびZ がハロゲン原子、またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基で、Yがシアノ基の場合、下記の化合物(M5)を還元(例えば、Polymer,2006,47,p.4261〜4268に記載の方法参照)、ハロゲン化(例えば、The Jornal of Organic Chemistry,1968,33,p.1636〜1638に記載の方法参照)、あるいはヒドロキシル化(例えば、Journal of Medicinal Chemistry,1987,30,p.906−911に記載の方法参照)、続くパーフルオロアルカンスルホニルオキシ化(例えば、Tetrahedron,2012,68,p.6305−6313に記載の方法参照)して、得られる化合物(M2)を経由して合成することが好ましい。 化合物(M2)を金属触媒存在下、シアノ化(例えば、Synthetic Communications,1994,24,p.887〜890に記載の方法参照)することにより、Y =シアノ基、Z およびZ がハロゲン原子、またはパーフルオロアルカンオキシ基の化合物(M1)を合成することができる。

    式(M5)、(M6)、(M2)中、Z 、Z ,Z はそれぞれ独立にハロゲン原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基を示す。 ただし、Z およびZ が、いずれもフッ素原子の場合、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基であり、Z およびZ が、いずれも塩素原子、またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基場合、Z は臭素原子、ヨウ素原子であり、Z およびZ が、いずれも、臭素原子場合、Z はヨウ素原子である。
    また、式(M1)で表される化合物のうちY がシアノ基でZ およびZ がハロゲン原子の場合、式(M2')を経由して合成することも好ましい。 式(M2')の合成法は特に限定されず、例えばJournal of the American Chemical Society,2012,134,p. 14932−14944に記載の方法を参照にして合成することができる。 式(M2')を芳香族求核置換反応によりシアノ化(例えば、Journal of Medicinal Chemistry,2007,50,p.566−584に記載の方法参照)することによって(M1)を合成することができる。

    式(M2')中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は、各々独立にハロゲン原子を表す。 ただし、Z がフッ素原子の場合、Z 、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、Z が塩素原子の場合、Z 、Z は、臭素原子、ヨウ素原子であり、Z が臭素原子の場合、Z 、Z は、ヨウ素原子である。
    は、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
    、Z は臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。

    およびZ がトリアルキルスズ基または−B(ORα) の場合、上述の化合物(M1)のZ およびZ のハロゲン原子、あるいはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基を公知の方法に従って、トリアルキルスズ基(例えば、Journal of the American Chemical Society,1990,112,p.8
    024〜8034を参照)、または−B(ORα) (例えば、Organic Letters,2012,14,p.600〜603を参照)に変換することにより合成することができる。

    本発明の第二の化合物は、下記式(M2)で表される化合物である。
    本発明の第二の化合物は、本発明の式(M1)で表される化合物の合成原料として有用であり、好ましい。

    式(M2)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、−N(R )−または−C(R )(R )−を表す。 ここで、R は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。 R およびR は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。 R とR は互いに結合して環を形成してもよい。 Z 、Z およびZ は各々独立にハロゲン原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基を示す。 ただし、Z およびZ がいずれもフッ素原子である場合、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基であり、Z およびZ がいずれも塩素原子、またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基である場合、Z は臭素原子またはヨウ素原子であり、Z およびZ がいずれも臭素原子である場合、Z はヨウ素原子である。

    式(M2)中、X、R 、R 、R は、前記式(I)で表される化合物のX、R 、R 、R と同義であり、好ましい範囲も同様である。

    およびZ は、フッ素原子、塩素原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基、臭素原子が好ましく、塩素原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基、臭素原子がより好ましく、臭素原子が特に好ましい。

    およびZ がいずれもフッ素原子の場合、Z は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基であり、Z およびZ がいずれも塩素原子、またはパーフルオロアルカンスルホニルオキシ基の場合、Z は臭素原子、ヨウ素原子であり、Z およびZ がいずれも臭素原子の場合、Z はヨウ素原子であるが、Z は、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、ヨウ素原子であることがより好ましい。

    以下に化合物(M2)の具体例を示すが、これによって本発明が限定されるものではない。 ここで、具体例中のMeはメチル、Etはエチルを示す。

    <<本発明の組成物>>
    本発明の組成物は、少なくとも前記式(I)で表される化合物と有機溶媒を含む。
    本発明の組成物は、どのような用途、目的で使用されるものでも構わないが、有機半導体用組成物として用いるのが好ましい。
    組成物に含有する有機溶媒は特に限定されないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、アニソール、チオアニソール、ピリジン、ピコリン、ルチジンなどの芳香族溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼンなどの芳香族ハロゲン溶媒などが挙げられ、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどが好ましい。 これらの溶媒は単独で用いても、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
    また、後述のp型半導体相とn型半導体相の相分離構造制御のために、上記溶媒に0質量%〜10質量%の添加剤を加えてもよい。 添加剤としては、ジヨードアルカン(例えば、1,8−ジヨードオクタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,10−ジヨードデカンなどが挙げられる)、アルカンジチオール(例えば、1,8−オクタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオールなどが挙げられる)、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。

    本発明の組成物は、上記有機溶媒に本発明の式(I)で表される化合物が溶解もしくは分散されてなり、特に、有機半導体ポリマーのなかでもp型有機半導体ポリマーとして有用である。
    本発明の組成物は、前記式(I)で表される化合物を単独で含有してもよいが、前記式(I)で表される化合物以外のp型有機半導体化合物、例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)や、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン(MEH−PPV)、ポリ[2−メトキシ−5−(3',7'−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MDMO−PPV)、ポリ[(9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,8−ジイル)](F8BT)等と併用してもよく、また、半導体以外の化合物を併用しても構わない。 半導体以外の化合物としては、ポリエステル系樹脂やメタクリル樹脂等の他のポリマーが挙げられる。

    併用する化合物もしくはポリマーとして特に好ましいのは、n型半導体(n型半導体化合物)である。 n型半導体(n型半導体化合物)は後述するものが好ましい。
    n型半導体(n型半導体化合物)を併用することで、有機光電変換素子の光電変換層を形成するのに好ましい。

    本発明の式(I)で表される化合物の含有量は特に限定されないが、組成物全量の質量を100としたとき、0.01〜90質量%含有させることが好ましく、0.1〜70質量%含有させることがより好ましい。

    n型有機半導体(n型有機半導体化合物)を併用する場合、n型有機半導体(n型有機半導体化合物)は、組成物全量の質量を100としたとき、0.01〜90質量%含有させることが好ましく、0.1〜70質量%含有させることがより好ましい。 本発明の式(I)で表される化合物以外の任意のp型有機半導体化合物については、0〜50質量%含有させることが好ましく、0〜30質量%含有させることがより好ましい。 半導体以外の化合物については、その成分にもよるが、0〜50質量%程度含有させてもよい。
    ここで、組成物中に含有する含有量は、各成分は上記の範囲ではあるが、当然合計して100質量%となるものである。

    なお、本発明の組成物の形態は特に限定されるものでなく、流動性の液体やペースト状であっても構わない。

    <<塗布膜>> 本発明の上記組成物は、塗布膜を形成するのに好ましく使用され、中でも有機半導体材料、特に有機光電変換素子の光電変換層の塗布膜として使用される。
    塗布膜を形成するために、本発明の組成物を使用して、スピンコート法、キャスト法、スプレー法、バーコート法、インクジェット法などにて塗布することが好ましい。
    また、塗布膜の厚みは、0.01〜1μmが好ましく、0.05〜0.3μmがより好ましい。

    <<有機光電変換素子および有機薄膜太陽電池>>
    図1は、本発明の有機光電変換素子、これを用いた有機薄膜太陽電池(以下、代表して有機薄膜太陽電池もしくは太陽電池と称す)としての一例を模式的に示した側面図である。 本実施形態の太陽電池10は、前記式(I)で表される化合物を含む光電変換層(バルクへテロ結合層)3を具備する。 有機薄膜太陽電池は、一般に、p−n二層接合あるいはp−i−n三層接合型有機薄膜太陽電池とバルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池に分類され、本発明においてはそのいずれでも構わない。 高い発電効率が容易に得られることから、図1に示したようなバルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池に特に好ましく適用される。

    本実施形態の有機薄膜太陽電池においては、光電変換層3を前記式(I)で表される化合物からなり電子供与化合物であるp型半導体相と、電子受容化合物であるn型半導体相で構成している。 この光電変換層3は、第一の電極11と第二の電極12の間に設けられる。
    本発明においては、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層21を設けるのが好ましく、また第二の電極と光電変換層の間に電子輸送層22を設けることが好ましい。 これらのホール輸送層や電子輸送層を設けることにより、光電変換層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となる。 なお、本実施形態の太陽電池においてその上下の区別は特に重要ではないが、便宜的に必要により、第1電極11側を「上」もしくは「天」側と位置づけ、第2電極12側を「下」もしくは「底」側と位置づける。

    ここで、上層から順に、基板、正極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、負極の構成を順構成と称し、上層から順に、基板、負極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層、正極の構成を逆構成と称し、本発明では、順構成、逆構成ともに好ましく適用される。

    光電変換層においては前記のようにp型半導体相とn型半導体相とが特有の形態で混在し、その界面で光電変換(電荷分離)が行われる。 その形態は特に限定されないが、理想的な例として挙げると、図示したもののように櫛歯状に互いの相がナノメートルオーダーで入り込んだ状態が好ましい。 このような形態を効果的に作出できるよう、p型半導体ポリマーにはn型半導体ポリマーとの特有の相溶性あるいは非相溶があることが好ましい。 またp型半導体となる材料は固有の物性のみで定まるものではなく、n型半導体となる材料との相対的な関係で特定されるものである。 例えば、n型半導体材料として代表的なフラーレンを例にとれば、これよりも電子供与性が高いものがp型半導体材料となりうる。

    <有機薄膜太陽電池の部材>
    (n型有機半導体)
    n型有機半導体(n型有機半導体化合物)としては、特に限定されないが、一般的に、その最低空軌道(LUMO)準位が−3.5〜−4.5eVであるようなπ電子共役系化合物であり、例えば、フラーレンもしくはその誘導体、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体化合物の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。

    これらのn型有機半導体化合物のうち、本発明の式(I)で表される化合物、特にポリマーである有機半導体(p型有機半導体化合物)と高速かつ効率的に電荷分離ができるためフラーレンもしくはその誘導体が好ましい。
    フラーレンやその誘導体としては、C 60フラーレン、C 70フラーレン、C 76フラーレン、C 78フラーレン、C 84フラーレン、C 240フラーレン、C 540フラーレン、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。

    フラーレン誘導体としては、フェニル−C 61 −酪酸エステル、ジフェニル−C 62 −ビス(酪酸エステル)、フェニル−C 71 −酪酸エステル、フェニル−C 85 −酪酸エステルまたはチエニル−C 61 −酪酸エステルが好ましく、上記の酪酸エステルのアルコール部分の好ましい炭素数は1〜30、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜4、最も好ましくは1である。

    好ましいフラーレン誘導体を例示すると、フェニル−C 61 −酪酸メチルエステル([60]PCBM)、フェニル−C 61 −酪酸n−ブチルエステル([60]PCBnB)、フェニル−C 61 −酪酸イソブチルエステル([60]PCBiB)、フェニル−C 61 −酪酸n−ヘキシルエステル([60]PCBH)、フェニル−C 61 −酪酸n−オクチルエステル([60]PCBO)、ジフェニル−C 62 −ビス(酪酸メチルエステル)(ビス[60]PCBM)、フェニル−C 71 −酪酸メチルエステル([70]PCBM)、フェニル−C 85 −酪酸メチルエステル([84]PCBM)、チエニル−C 61 −酪酸メチルエステル([60]ThCBM)、C 60ピロリジントリス酸、C 60ピロリジントリス酸エチルエステル、N−メチルフラロピロリジン(MP−C 60 )、(1,2−メタノフラーレンC 60 )−61−カルボン酸、(1,2−メタノフラーレンC 60 )−61−カルボン酸t−ブチルエステル、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレンが挙げられる。

    (p型有機半導体化合物)
    本発明では、前記式(I)で表される化合物を使用するが、他のp型半導体化合物(例えば、縮合多環芳香族低分子化合物、オリゴマーまたはポリマー)を含有してもよい。

    p型半導体化合物である縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。

    (光電変換層)
    本発明において有機半導体材料用組成物は、光電変換層(特にバルクへテロ層)の塗工用組成物として好ましく使用される。 電子供与材料であるp型有機半導体化合物と電子受容材料であるn型半導体化合物の混合比は光電変換効率が高くなるように調整されることが好ましいが、通常は、質量比で、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20の範囲から選ばれる。 このような混合層の形成方法は、例えば、共蒸着法が用いられる。 あるいは、両方の有機材料に共通する溶媒を用いて溶剤塗布することによって作製することも可能である。 正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有するためには、塗布法が好ましい。

    ここで、光電変換層における電子供与領域(ドナー)と電子受容領域(アクセプター)の相分離促進、光電変換層に含まれる有機材料の結晶化、電子輸送層の透明化などを目的として、種々の方法で加熱処理(アニール)してもよい。 蒸着等の乾式製膜法の場合は、例えば、製膜中の基板温度を30℃〜150℃に加熱する方法がある。 印刷や塗布等の湿式製膜法の場合は、塗布後の乾燥温度を30℃〜250℃とする方法などがある。 また、後の工程、例えば、金属負極の形成が終了した後に30℃〜250℃に加熱してもよい。 相分離が促進されることで電荷輸送パスが形成され、光電変換効率が向上することがある。
    なお、本発明においては、複数の光電変換層を有しても構わないが、光電変換層は1層が好ましい。

    (電極)
    本発明に関わる光電変換素子においては、少なくとも第一の電極と第二の電極を有する。 第一の電極と第二の電極は、いずれか一方が正極で、残りが負極となる。 また、タンデム構成をとる場合には中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。 なお、本発明においては主に正孔(ホール)が流れる電極を正極と称し、主に電子が流れる電極を負極と称す。 また透光性があるかどうかといった機能面から、透光性のある電極を透明電極と称し、透光性のない電極を対電極または金属電極と称す。 本発明の順構成においては、正極が透光性のある透明電極であり、負極は透光性のない対電極または金属電極である。 逆構成では、負極が透光性のある透明電極であり、正極が透光性のない対電極または金属電極である。 第一の電極と第二の電極の両方を透明電極とすることもできる。

    (第一の電極)
    第一の電極は、正極である。 順構成の太陽電池の場合、好ましくは可視光から近赤外光(380〜800nm)の光を透過する透明電極である。 材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムタングステン(IWO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等の透明導電性金属酸化物、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、ストロンチウム、銀、インジウム、錫、バリウム、ビスマス等の金属および金属合金の超薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を用いることができる。 銀等の金属をメッシュ状にして、光の透過性を確保したメッシュ電極を用いることもできる。 またポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性ポリマー等も用いることができる。 また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて正極とすることもできる。 順構成で透明電極とする場合は、正極の透過率は、太陽電池に使用する厚さ(例えば、0.2μmの厚さ)で、波長380nm〜800nm領域における平均光透過率が75%以上であることが好ましく85%以上であることがより好ましい。 なお、逆構成で光透過性が要求されない場合は、クロム、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、パラジウム、銀、タンタル、タングステン、白金、金などの金属やこれらの合金、透明導電性酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性ポリマーなどによって正極を形成することができる。 好適な導電性ポリマー層は、特開2012−43835号公報に詳細が開示されており、ポリチオフェン誘導体が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)がより好ましい。 これらの金属、透明導電性酸化物、導電性ポリマーは、1種のみで使用しても、2種以上を混合または積層してもよい。

    (第二の電極)
    本発明において第二の電極は負極である。 負極は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。 負極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。 このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al )混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。 これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al )混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。 負極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。 また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。

    逆構成の場合、第二の電極は透明電極である。 好ましくは可視光から近赤外光(380〜800nm)の光を透過する透明電極であり、例えば、金属、金属酸化物、導電性ポリマー、これらの混合物や積層構造などが挙げられる。 具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムタングステン(IWO)等の透明導電性酸化物、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、ストロンチウム、銀、インジウム、錫、バリウム、ビスマス等の金属および金属合金の超薄膜、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性ポリマー等が挙げられる。 透明導電性酸化物の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、弗素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)を用いることができる。 逆構成で透明電極とする場合は、負極の透過率は、太陽電池に使用する厚さ(例えば、0.2μmの厚さ)で、波長380nm〜800nm領域における平均光透過率が75%以上であることが好ましく85%以上であることがより好ましい。

    順構成の負極導電材および逆構成の正極導電材として金属材料を用いれば金属電極に到達した光は反射されて光電変換層側に反射され、反射光が再度吸収されるため、より光電変換効率が向上し好ましい。 また、金属電極は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い負極を塗布法により形成でき好ましい。
    また、金属電極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の負極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記正極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性負極とすることができる。

    (ホール輸送層)
    本発明においては、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設けるのが好ましい。 ホール輸送層を形成する導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジアゾール等や、これら導電骨格を複数有するポリマー等が挙げられる。
    これらのなかではポリチオフェンおよびその誘導体が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチエノチオフェンが特に好ましい。 これらのポリチオフェンは導電性を得るために、通常、部分酸化されている。 導電性ポリマーの電気伝導率は部分酸化の程度(ドープ量)で調節することができ、ドープ量が多いほど電気伝導率が高くなる。 部分酸化によりポリチオフェンはカチオン性となるので、電荷を中和するための対アニオンを要する。 そのようなポリチオフェンの例としては、ポリスチレンスルホン酸を対イオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)やp−トルエンスルホン酸を対アニオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−TsO)が挙げられる。

    (電子輸送層)
    本発明においては、第二の電極と光電変換層の間に電子輸送層を設けることが好ましく、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設け、かつ光電変換層と第二の電極の間に電子輸送層を設けるのが特に好ましい。
    電子輸送層に用いることのできる電子輸送材料としては、前記の光電変換層で挙げた電子受容材料であるn型半導体化合物および、ケミカルレビュー,第107巻,953〜1010頁(2007年)にElectron−Transporting and Hole−Blocking Materialsとして記載されているものが挙げられる。 本発明においては、無機塩や無機酸化物を使用することが好ましい。 無機塩としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等が好ましい。 各種金属酸化物は安定性が高い電子輸送層の材料として好ましく利用され、例えば、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化ルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化バリウムが挙げられる。 これらのうち比較的に安定な酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛がより好ましい。 電子輸送層の膜厚は0.1〜500nmであり、好ましくは0.5〜300nmである。 電子輸送層は、塗布などによる湿式製膜法、蒸着やスパッタ等のPVD法による乾式製膜法、転写法、印刷法など、いずれによっても好適に形成することができる。

    なお、光電変換層に用いられるp型半導体化合物のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、光電変換層で生成した正孔(ホール)を負極側には流さないような整流効果を有する、正孔(ホール)ブロック機能が付与される。 より好ましくは、n型半導体化合物のHOMO準位よりも深い材料を電子輸送層として用いることである。 また、電子を輸送する特性から、電子移動度の高い化合物を用いることが好ましい。 このような電子輸送層は、正孔(ホール)ブロック層とも称し、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。 このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体化合物、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。 また、光電変換層に用いたn型半導体化合物単体からなる層を用いることもできる。

    (支持体)
    本発明において光電池を構成する支持体は、その上に少なくとも第一の電極(正極)、光電変換層、第二の電極(金属負極)、より好ましい態様では、第一の電極(正極)、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、第二の電極(金属負極)を形成して保持することができるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチックフィルムなど、目的に応じて適宜選択しうる。

    その他、常用のものを適用して、易接着層/下塗り層、機能性層、再結合層、その他の半導体層、保護層、ガスバリア層、UV吸収層、反射防止層などを配設してもよい。

    本発明の式(I)で表される化合物に対し、有機薄膜太陽電池について説明してきたが、いくつかの実施形態では、前記式(I)で表される化合物を、その他の素子およびシステムに使用することができる。 例えば、電界効果トランジスタ、光検出器(例えば、赤外光検出器)、光起電検出器、撮像素子(例えば、カメラまたは医用画像撮影システムのRGB撮像素子)、発光ダイオード(LED)(例えば、有機LED、または赤外もしくは近赤外LED)、レーザー素子、変換層(例えば、可視発光を赤外発光に変換する層)、電気通信用の増幅器兼放射器(例えば、ファイバ用ドープ剤)、記憶素子(例えば、ホログラフィック記憶素子)、並びにエレクトロクロミック素子(例えば、エレクトロクロミックディスプレイ)のような好適な有機半導体素子に、これらの化合物もしくはポリマーを使用することができる。

    以下に実施例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。

    実施例1
    〔ポリマーP1を用いた有機光電変換素子の作成〕
    (1)ポリマーP1の合成 以下のようにして、ポリマーP1を合成した。
    ・化合物(1−2)の合成

    化合物(1−1)5.00g(17.0mmol)をガラス製反応容器により、濃硫酸40mLを加えて溶解させた。 硝酸ナトリウム2.17g(25.5mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。 反応溶液を氷水200mLに加え、析出した固体を濾取した。 得られた固体を減圧乾燥することにより、化合物(1−2)を5.46g(16.1mmol、収率94.7%)得た。

    化合物(1−2)のデータMS(EI)m/z 336(M )、338(M +2)、340(M +4)
    H−NMR(CDCl )δ[ppm]=8.28(1H,s)

    ・ポリマーP1の合成

    化合物(1−3)212mg(0.315mmol)、化合物(1−2)102mg(0.300mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルムアダクト6.2mg(6.0μmol)、o−トリルホスフィン7.3mg(24μmol)をガラス製反応容器にとり、容器内をアルゴン置換した。 トルエン6mL(脱水)を加え、アルゴン雰囲気下、110℃で12時間反応させた。 放冷後、反応溶液をメタノールにあけて晶析し、得られた固体を濾取後、減圧下乾燥した。 固体をクロロホルムに溶解させ、セライト濾過し、溶媒を減圧下留去した。 濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、濃縮した。 この濃縮物をアセトンでソックスレー抽出して不純物を除去後、減圧下乾燥することにより、ポリマーP1を136mg(収率79.2%)得た。

    ポリマーP1のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=34×10 、Mn=10×10

    (2)有機光電変換素子の作成 洗浄およびUV−オゾン処理したガラス−ITO基板上に、ホール輸送層として使用するPEDOT−PSS(Heraeus Precious Material製CLEVIOSP VP.AI4083)をスピンコート(3000rpm)し、140℃で30分間加熱した。 4mgのポリマーP1と6mgのPC 71 BM([6,6]−フェニル−C 71 −酪酸 メチルエステル)の混合物を、1.8−ジヨードオクタンを3質量%含有するクロロベンゼン1mLに溶解させた。 この溶液を、PEDOT−PSS層上にスピンコート(400rpm)で塗布して、乾燥させ光電変換層を作成した。 光電変換層上にLiF(1nm)、アルミニウム(100nm)を順次蒸着させて上部電極を形成させ、有機光電変換素子を得た。

    実施例2
    〔ポリマーP2の合成〕
    下記のようにして、ポリマーP2を合成した。

    前記化合物(1−3)を化合物(2−1)に変えたこと以外は実施例1のポリマーP1の合成と同様に行い、ポリマーP2を150mg(収率86.2%)得た。

    GPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=45×10 、Mn=18×10
    H−NMR(CDCl )δ[ppm]=0.40−1.20(30H)、1.80−2.20(4H)、7.35−7.42(1H)、7.93−8.06(1H)、8.06−8.21(1H)

    実施例3
    〔ポリマーP3の合成〕
    下記のようにして、ポリマーP3を合成した。

    前記化合物(1−3)を化合物(3−1)に変えたこと以外は実施例1のポリマーP1の合成と同様に行い、ポリマーP3を141mg(収率78.8%)得た。

    ポリマーP3のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=26×10 、Mn=9.1×10
    H−NMR(CDCl )δ[ppm]=0.40−2.00(34H)、7.35−7.60(1H)、7.95−8.18(1H)、8.18−8.31(1H)

    (2)有機光電変換素子の作成 洗浄およびUV−オゾン処理したガラス−ITO基板上に、ホール輸送層として使用するPEDOT−PSS(ナガセケムテック社 PT−100)をスピンコート(5000rpm)し、200℃で10分間加熱した。 9.35mgのポリマーP4と14.0mgのPC 71 BM([6,6]−フェニル−C 71 −酪酸 メチルエステル)の混合物を、1.8−ジヨードオクタンを1質量%含有するクロロベンゼン1mLに溶解させた。 この溶液を、PEDOT−PSS層上にスピンコート(1000rpm)で塗布して、乾燥させ光電変換層を作成した。 光電変換層上にチタン(IV)テトライソプロポキシドのエタノール溶液(濃度 4.3mg/mL)を5000rpmで塗布後、アルミニウム(100nm)を蒸着させて上部電極を形成させ、有機光電変換素子を得た。

    実施例4
    〔ポリマーP4の合成〕
    下記のようにして、ポリマーP4を合成した。
    ・化合物(4−3)の合成

    化合物(4−1)の合成 化合物(1−2)3.00g(8.85mmol)、酢酸100mL、鉄粉5.93gをガラス製反応容器にとり、アルゴン雰囲気下、80℃で1時間反応させた。 反応溶液を水300mLに加え、析出した固体を濾取した。 固体を減圧乾燥後、アセトンに溶解させセライト濾過した。 濾液を減圧下濃縮することにより、化合物(4−1)を2.50g(8.09mmol、収率91.4%)得た。

    化合物(4−1)のデータMS(EI)m/z 307(M )、309(M +2)、311(M +4)
    H−NMR(CDCl )δ[ppm]=4.64(2H,s)7.46(1H,s)

    化合物(4−2)の合成 化合物(4−1)4.25g(13.8mmol)、ベンゼン276mL、ヨウ素35.0g(138mmol)、亜硝酸イソアミル4.86g(41.3mmol)をガラス製反応容器にとり、アルゴン雰囲気下80℃で3時間反応させた。 放冷後、10質量%の亜硫酸ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。 有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を濃縮した。 濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=3:1)で精製することにより、化合物(4−2)を2.22g(5.30mmol、収率38.4%)得た。

    化合物(4−2)のデータMS(EI)m/z 417(M )、419(M +2)、421(M +4)
    H−NMR(CDCl )δ[ppm]=8.24(1H,s)

    化合物(4−3)の合成 化合物(4−2)3.03g(7.22mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルムアダクト747mg(0.722mmol)、トリフェニルホスフィン757mg(2.89mmol)、シアン化亜鉛2.54g(21.7mmol)をガラス製反応容器にとり、容器内をアルゴン置換した。 N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)30を加え、アルゴン雰囲気下、100℃で7時間反応させた。 放冷後、飽和重曹水にあけ、クロロホルムで抽出した。 有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 減圧下溶媒を濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=2:1)で精製することにより、化合物(4−3)を1.14g(3.58mmol、収率48.1%)得た。 また、原料の化合物(4−2)を0.58g(1.38mmol)回収した。

    化合物(4−3)のデータMS(EI)m/z 317(M )、319(M +2)、321(M +4)
    H−NMR(CDCl )δ[ppm]=7.97(1H,s)

    ・ポリマーP4の合成

    前記化合物(1−3)を化合物(2−1)に変え、化合物(1−2)を化合物(4−3)に変えたこと以外は実施例1のポリマーP1の合成と同様に行い、ポリマーP4を98mg(収率58.3%)得た。

    ポリマーP4のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=45×10 、Mn=15×10
    H−NMR(CDCl )δ[ppm]=0.40−2.40(34H)、7.05−7.33(1H)7.98−8.41(2H)

    実施例5
    〔ポリマーP5の合成〕
    (1)ポリマーP5の合成 下記のようにして、ポリマーP5を合成した。

    前記化合物(2−1)を化合物(5−1)に変えたこと以外は実施例4のポリマーP4の合成と同様に行い、ポリマーP5を得た。

    ポリマーP5のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=30×10 、Mn=5.5×10

    実施例6
    〔ポリマーP6の合成〕
    下記のようにして、ポリマーP6を合成した。

    前記化合物(2−1)を化合物(6−1)に変えたこと以外は実施例4のポリマーP4の合成と同様に行い、ポリマーP6を得た。

    ポリマーP6のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=91×10 、Mn=8.2×10
    実施例7
    〔ポリマーP7の合成〕
    下記のようにして、ポリマーP7を合成した。

    前記化合物(2−1)を化合物(7−1)に変えたこと以外は実施例4のポリマーP4の合成と同様に行い、ポリマーP7を得た。

    ポリマーP7のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=3.4×10 、Mn=0.28×10

    実施例8
    〔ポリマーP8を用いた有機光電変換素子の作成〕
    (1)ポリマーP8の合成 下記のようにして、モノマー8−3を合成した。

    化合物(8−2)の合成 化合物(4−3)400mg(1.25mmol)、化合物(8−1) 812mg(2.76mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルムアダクト25.9mg(25μmol)、トリフェニルホスフィン52.5mg(0.20mmol)、トルエン15mL、および2M炭酸カリウム水溶液5.5mLをガラス製反応容器にとり、アルゴン雰囲気下135℃で反応させた。 10時間および20時間後に化合物(8−1) 812mg(2.76mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルムアダクト25.9mg(25μmol)、トリフェニルホスフィン52.5mg(0.20mmol)を追添して、さらに135℃で6時間反応させた。 放冷却後、水を加えトルエンで抽出した。 有機層を水で二回洗浄後、減圧下溶媒を濃縮した。 濃縮物をメタノール分散して濾取することにより、化合物(8−2)を572mg(1.16mmol、収率92.8%)得た。

    化合物(8−2)のデータMS(EI) m/z 493(M
    H NMR(CDCl )δ[ppm]=0.90(6H,m),1.30−1.47(12H,m),1.65−1.79(4H,m),2.67−2.75 (4H,m),7.13(1H,s),7.30(1H,s),7.97(1H,s),7.98(1H,s), 7.99(1H,s)

    化合物(8−3)の合成 化合物(8−2)471 mg(0.954mmol)、N−ブロモスクシンイミド357mg(2.00mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド20mL、およびクロロホルム20mLをガラス製反応容器にとり、アルゴン雰囲気下30℃で反応させた。 3時間後、N−ブロモスクシンイミド34mg(2.00mmol)を追添し、30℃で1時間反応させた。 減圧下、クロロホルムを留去後、メタノール60mLにあけて晶析した。 濾取後、シリカゲルカルムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=4:1→1:1)で精製することにより、化合物(8−3)を710mg(1.09mmol、収率94.0%)得た。

    化合物(8−3)のデータMS(EI)m/z 649(M+),651(M +2),653(M +4)
    HNMR(CDCl )δ[ppm]=0.91(6H,m),1.30−1.47(12H, m),1.62−1.71(4H,m), 2.62−2.70(4H,m),7.77(1H,s),7.92(1H,s), 7.93(1H,s)

    ポリマーP8の合成 下記のようにして、ポリマーP8を合成した。

    ポリマーP8のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=36×10 、Mn=17×10

    (2)有機光電変換素子の作成

    (2)有機光電変換素子の作成 洗浄およびUV−オゾン処理したガラス−ITO基板上に、ホール輸送層として使用するPEDOT−PSS(ナガセケムテック社 PT−100)をスピンコート(5000rpm)し、200℃で10分間加熱した。 10.0mgのポリマーP8と10.0mgのPC 71 BM([6,6]−フェニル−C 71 −酪酸 メチルエステル)の混合物を、クロロベンゼン1mLに溶解させた。 この溶液を、PEDOT−PSS層上にスピンコート(1000rpm)で塗布して、乾燥させ光電変換層を作成した。 光電変換層上にチタン(IV)テトライソプロポキシドのエタノール溶液(濃度 4.3mg/mL)を5000rpmで塗布後、アルミニウム(100nm)を蒸着させて上部電極を形成させ、有機光電変換素子を得た。

    実施例9
    [ポリマーP9を用いた有機光電変換素子の作成〕
    ポリマーP9の合成 下記のようにして、ポリマーP9を合成した。

    ポリマーP9のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=59×10 、Mn=25×10

    (2)有機光電変換素子の作成 10mgのポリマーP9と10mgのPC 71 BM([6,6]−フェニル−C 71 −酪酸 メチルエステル)の混合物を、1.8−ジヨードオクタンを3質量%含有するクロロベンゼン1mLに溶解させたこと以外は実施例8と同様に行い有機光電変換素子を得た。

    実施例10
    〔ポリマーP10を用いた有機光電変換素子の作成〕
    (1)ポリマーP13の合成 下記のようにして、ポリマーP10を合成した。

    ポリマーP10のデータGPC(o−ジクロロベンゼン)Mw=60×10 、Mn=28×10

    (2)有機光電変換素子の作成 10mgのポリマーP10と12.5mgのPC 71 BM([6,6]−フェニル−C 71 −酪酸 メチルエステル)の混合物を、1.8−ジヨードオクタンを1.5質量%含有するクロロベンゼン1mLに溶解させたこと以外は実施例8と同様に行い有機光電変換素子を得た。

    比較例1
    〔F−PCPDTBTを用いた有機光電変換素子の作成〕
    実施例1〜8の比較例として下記ポリマーF−PCPDTBTを用いた。
    実施例8において、ポリマーP8をF−PCPDTBTに変更し、9.0mgのポリマーF−PCPDTBTと27.0mgのPC 71 BM([6,6]−フェニル−C 71 −酪酸 メチルエステル)を用い、溶媒を3質量%の1,8−ジヨードオクタン含有クロロベンゼンを用いたこと以外は同様にして有機光電変換素子を得た。

    比較例2
    [CF −PCPDTBTを用いた有機光電変換素子の作成]

    実施例1〜8の比較例として下記ポリマーCF −PCPDTBTを用いた(CF 基のσm値0.43)。
    実施例8において、ポリマーP8をCF −PCPDTBTに変更し、9.0mgのポリマーCF −PCPDTBTと18.0mgのPC 71 BM([6,6]−フェニル−C 71 −酪酸メチルエステル)を用い、溶媒を3質量%の1,8−ジヨードオクタン含有クロロベンゼンを用いたこと以外は同様にして有機光電変換素子を得た。

    比較例3
    〔Z3を用いた有機光電変換素子の作成〕
    実施例9および10の比較例として下記ポリマーZ3を用いた。
    実施例9において、ポリマーP9をZ3に変更したこと以外は同様にして有機光電変換素子を得た。

    比較例4
    〔P11を用いた有機光電変換素子の作成〕
    実施例9および10の比較例として下記ポリマーP11を用いた(塩素原子のσm値0.37)。
    実施例9において、ポリマーP9をP11に変更したこと以外は同様にして有機光電変換素子を得た。

    上記で合成した各ポリマー、F−PCPDTBT、CF −PCPDTBT、Z3およびP11を上記の各有機光電変換素子に対し、以下の評価を行った。

    (ポリマーの物性評価)
    ポリマーのクロロベンゼンもしくはo−ジクロロベンゼン溶液をスピンコートして単膜を作成し、大気中で光電子分光装置(理研計器社製 AC−3)によりHOMO準位を測定した。 また、単膜の吸収端からバンドギャップを求め、HOMO+バンドギャップ(BG)からLUMO準位を算出し、これらのデータを表1および2に記載した。

    (光電池の評価)
    (1)IPCE特性 前記の各有機光電変換素子を窒素雰囲気下で、分光感度測定装置(分光計器社製CEP−2000)を用いて、素子特性を評価した(100mW/cm のAM1.5G)。 上記装置にて、出力されたIPCEスペクトルから光電変換波長の長波長端を算出した。

    また、有機光電変換素子のロット間差を調べるため、下記表5に記載の有機光電変換素子を同条件で繰返し作成した10個の有機光電変換素子について、IPCEスペクトルから短絡電流密度(mA/cm )を算出し、バラつきを評価し、光電変換波長の長波長端と合わせて下記表5に示した。

    得られた結果を、下記の基準で評価した。
    A:標準偏差0.75未満 B:標準偏差0.75以上〜1.0未満 C:標準偏差1.0以上

    上記表1、2に示すように、本発明の化合物はいずれも比較例の化合物と比べLUMO準位が深い。 また、狭いバンドギャップを有し吸収端が長波長である。 従って、本発明の化合物を用いた有機薄膜太陽電池は、より長波長の光を光電変換でき、太陽電池だけでなく、長波長領域の光センサーとしても有用である。 さらに、表5から明らかなように、本発明の化合物を用いると、短絡電流密度のバラつきが小さく、製造適性に優れる。
    以上から、本発明の化合物は有機薄膜太陽電池などの有機光電変換素子用p型有機半導体として好ましいことが明らかである。

    7 透明支持体10 光電変換素子(バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池)
    11 透明電極(第1電極)
    12 対極(第2電極)
    21 ホール輸送層22 電子輸送層3 光電変換層31 p型半導体相32 n型半導体相L 光P 電動モータ(旋風機)

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