吸収性物品

阅读:716发布:2024-02-16

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下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物と、下記成分(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する不織布。 (C1)表面張が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 (D2)表面張力42mN/m以上を有し、親水基を有する構造のみからなり、該親水基を有する構造として、ポリオキシエチレン基を有する構造、又は、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基のブロック共重合体を有する構造を有する化合物 (D3)N”N−ビス(3−メトキシプロピル)イソドコ酸ジアミド下記化合物(C1)と下記成分(D1)とを含有し、 前記成分(D1)が単独で水への溶解性を有し、単独で水へ20分間浸漬させて、成分(D1)の2.5wt%水溶液を作製したときに、下記の[成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法]によって判断される泡立ち高さが10mm以上である、不織布。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (D1)HLB値が10超20以下であり、融点が10℃以上25℃未満であるノニオン界面活性剤 [成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法] まず、成分(D1)を0.2g秤量し、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.4 胴径24mm、全長53mm)に注いで、さらに8.0gの脱イオン水を注いだ後、20分間静置して十分に脱イオン水中に溶解させ、水溶液を作製する。 次いで、前記スクリュー管を上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。振とう直後から10秒経過後に、前記水溶液の構造体層の高さ(液体層の液面から、空気が抱えこまれた構造体層上面までの高さ)を測定する。この高さを成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さとする。下記化合物(C2−1)と下記成分(D1)とを含有し、 前記成分(D1)が単独で水への溶解性を有し、単独で水へ20分間浸漬させて、成分(D1)の2.5wt%水溶液を作製したときに、下記[成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法]によって判断される泡立ち高さが10mm以上である、不織布。 (C2−1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が10mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下であり、融点が40℃以下である化合物 (D1)HLB値が10超20以下であり、融点が10℃以上25℃未満であるノニオン界面活性剤 [成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法] まず、成分(D1)を0.2g秤量し、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.4 胴径24mm、全長53mm)に注いで、さらに8.0gの脱イオン水を注いだ後、20分間静置して十分に脱イオン水中に溶解させ、水溶液を作製する。 次いで、前記スクリュー管を上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。振とう直後から10秒経過後に、前記水溶液の構造体層の高さ(液体層の液面から、空気が抱えこまれた構造体層上面までの高さ)を測定する。この高さを成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さとする。前記成分(D2)が、ポリエチレングリコール、及び、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの共重合物、から選ばれる1又は複数を含む、請求項1記載の不織布。さらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。前記化合物(C1)、(C2)及び(C2−1)の総量に対する、前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量の質量比(前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の合計の質量/前記化合物(1)、(C2)及び(C2−1)の合計の質量)は、0.25以上9以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布。前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量は、不織布質量に対する含有割合(OPU)として、0.06質量%以上3質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布を有する吸収性物品。下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物と、下記成分(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する繊維処理剤。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 (D2)表面張力42mN/m以上を有し、親水基を有する構造のみからなり、該親水基を有する構造として、ポリオキシエチレン基を有する構造、又は、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基のブロック共重合体を有する構造を有する化合物 (D3)N”N−ビス(3−メトキシプロピル)イソドコ酸ジアミド下記化合物(C1)と下記成分(D1)とを含有し、 前記成分(D1)が単独で水への溶解性を有し、単独で水へ20分間浸漬させて、成分(D1)の2.5wt%水溶液を作製したときに、下記の[成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法]によって判断される泡立ち高さが10mm以上である、繊維処理剤。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (D1)HLB値が10超20以下であり、融点が10℃以上25℃未満であるノニオン界面活性剤 [成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法] まず、成分(D1)を0.2g秤量し、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.4 胴径24mm、全長53mm)に注いで、さらに8.0gの脱イオン水を注いだ後、20分間静置して十分に脱イオン水中に溶解させ、水溶液を作製する。 次いで、前記スクリュー管を上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。振とう直後から10秒経過後に、前記水溶液の構造体層の高さ(液体層の液面から、空気が抱えこまれた構造体層上面までの高さ)を測定する。この高さを成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さとする。下記化合物(C2−1)と下記成分(D1)とを含有し、 前記成分(D1)が単独で水への溶解性を有し、単独で水へ20分間浸漬させて、成分(D1)の2.5wt%水溶液を作製したときに、下記[成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法]によって判断される泡立ち高さが10mm以上である、繊維処理剤。 (C2−1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が10mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下であり、融点が40℃以下である化合物 (D1)HLB値が10超20以下であり、融点が10℃以上25℃未満であるノニオン界面活性剤 [成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法] まず、成分(D1)を0.2g秤量し、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.4 胴径24mm、全長53mm)に注いで、さらに8.0gの脱イオン水を注いだ後、20分間静置して十分に脱イオン水中に溶解させ、水溶液を作製する。 次いで、前記スクリュー管を上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。振とう直後から10秒経過後に、前記水溶液の構造体層の高さ(液体層の液面から、空気が抱えこまれた構造体層上面までの高さ)を測定する。この高さを成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さとする。さらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の繊維処理剤。前記化合物(C1)、(C2)及び(C2−1)の総量に対する、前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量の質量比(前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の合計の質量/前記化合物(1)、(C2)及び(C2−1)の合計の質量)は、0.25以上9以下である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の繊維処理剤。

说明书全文

本発明は、吸収性物品等に用いられる不織布に関する。

近年、吸収性物品の肌に触れる表面材等に用いられる不織布について、ドライ性など着用感を高める提案がされてきた。例えば、特許文献1には、液膜開裂剤によって、不織布の繊維間の狭空間に生じる液膜を開裂し、不織布における液残りを低減できることが記載されている。これにより、不織布のドライ性を向上させることができる。

特開2016−117981号公報

本発明者らは、特許文献1記載の液膜開裂剤を用いて、表面材となる不織布の液残り低減を実現できた。 さらに吸収性物品においては、肌に触れる表面材をなす不織布について、液残りの低減とともに、体液の表面流れに対する防止性の向上が求められる。表面液流れの防止性の向上は、不織布における厚み方向の液透過性に繋がり、吸収性物品における液漏れ防止性及び液吸収性の向上に寄与し得る。不織布において、体液の表面流れ防止性の向上と液残り低減とを同時に実現することについて、上記文献には記載されておらず、さらなる改善の余地があった。

本発明は、上記の液膜開裂剤を用いて、体液の表面液流れの防止性の向上と液残り低減とを同時に実現し得る不織布に関する。

本発明は、液膜開裂剤と、下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する不織布、を提供する。 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、液膜開裂剤よりも親性であり、親水基を有さない化合物 また、本発明は、下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物と、下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する不織布、を提供する。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも親水性であり、親水基を有さない化合物

さらに、本発明は、液膜開裂剤を含有する不織布であって、下記[体液表面張力の低下率の測定方法]における表面張力の低下率が25%未満である不織布、を提供する。 [体液表面張力の低下率の測定方法] (1)下記の試験液を準備する。前記表面張力は、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域において、プレート法により測定する。 試験液:100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置し、上層と下層とに分離した液を混合して粘度8.0cPになるように混合比率を調整した液。 (2)次いで、不織布の繊維表面に配されている成分のうち、前記液膜開裂剤を除く成分を塗工した不織布を準備する。前記成分の塗工量は、不織布から抽出した成分の構造、量、比率を同定し、これに基づいて定める。塗工後の測定対象の不織布を直径5cm×5cmのシャーレの上に直接貼付け、3gずつ繰り返し前記試験液を通過させ、合計15g通過させる。 (3)通過させた液体の表面張力を、前記(1)において用いたプレート法によって測定する。 (4)前記(1)の不織布通過前の試験液の表面張力に対する、前記(3)の不織布通過後の試験液の表面張力の低下率(%)を算出する。 また、本発明は、下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数を含有する不織布であって、下記[体液表面張力の低下率の測定方法]における表面張力の低下率が25%未満である不織布、を提供する。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 [体液表面張力の低下率の測定方法] (1)下記の試験液を準備する。前記表面張力は、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域において、プレート法により測定する。 試験液:100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置し、上層と下層とに分離した液を混合して粘度8.0cPになるように混合比率を調整した液。 (2)次いで、不織布の繊維表面に配されている成分のうち、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)を除く成分を塗工した不織布を準備する。前記成分の塗工量は、不織布から抽出した成分の構造、量、比率を同定し、これに基づいて定める。塗工後の測定対象の不織布を直径5cm×5cmのシャーレの上に直接貼付け、3gずつ繰り返し前記試験液を通過させ、合計15g通過させる。 (3)通過させた液体の表面張力を、前記(1)において用いたプレート法によって測定する。 (4)前記(1)の不織布通過前の試験液の表面張力に対する、前記(3)の不織布通過後の試験液の表面張力の低下率(%)を算出する。

本発明の不織布は、体液の表面液流れの防止性の向上と液残り低減とを同時に実現できる。

(A)は、液膜開裂剤と成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分との混合層が、繊維の最表層(表面)を直接被覆する積層構造を模式的に示す断面図であり、(B)は、前記混合層と繊維との間に、他の成分からなる中間層が介在する積層構造を模式的に示す断面図である。

実施例1において作製した原料不織布を部分的に拡大して模式的に示す一部断面斜視図である。

本発明に係る不織布について、その好ましい実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。なお、本発明に係る不織布は、液吸収に係る種々の物品に適用でき、例えば、生理用ナプキン、ベビー用おむつ、大人用おむつ等の吸収性物品の表面シートとして用いることができる。

本実施形態の不織布は、液膜開裂剤と、下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分(以下、単に「成分(D1)〜(D3)」ということがある)とを含有する。前記液膜開裂効果を有する化合物として、後述の化合物(C1)及び化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物を用いてもよい(以下、本明細書では便宜上「液膜開裂剤」とまとめて呼ぶ)。 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記液膜開裂剤よりも親水性であり、親水基を有さない化合物

本発明における液膜開裂剤とは、下記(液膜を消失させる性質)を有する剤である。具体的には、液、例えば、経血等の高粘性の液や尿などの排泄液(体液)が不織布に触れて不織布の繊維間ないしは繊維表面に形成される液膜を開裂させたりして、液膜の形成を阻害する剤をいう。液膜開裂剤は、形成された液膜を開裂させる作用と、液膜の形成を阻害する作用とを有する。前者は主たる作用、後者は従たる作用ということができる。例えば、液膜開裂剤は、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0024]、[0025]、図1及び2に記載したような作用をする。このように液膜開裂剤は、液膜の表面張力を下げるなどの液改質をするのではなく、繊維間や繊維表面に生じる液膜自体を押しのけながら開裂し、阻害することで不織布中からの液の排液を促す。 また、本発明における成分(D1)、(D2)及び(D3)はいずれも、不織布繊維の濡れ性を高め、かつ、前記液膜を形成する体液の表面張力を低減しにくくする機能を有する。

液膜開裂剤の上記作用によって、不織布に触れた液(体液)が、繊維間の極微小な空間等に留まることなく通過しやすくなり、不織布における液残り低減をより高いレベルで実現し得る。 一方で、液膜開裂剤は液膜に対する高い拡張性を有するゆえに、不織布繊維に用いられる従来の親水化処理剤等に比べて表面張力が小さい。そのため、不織布に液膜開裂剤が含有されると、液膜開裂剤が無い場合に比べて不織布繊維の濡れ性がやや低減し、体液(例えば経血や尿などの排泄液)の表面流れが生じやすくなる。 これに対し、本実施形態においては、液膜開裂剤と併用される成分(D1)〜(D3)が不織布繊維の濡れ性を高める方向に作用する。両者の併用により、体液の表面流れを効果的に抑制できる。しかも、成分(D1)〜(D3)は、液膜を形成する体液の表面張力を低減しにくくしている。これにより、成分(D1)〜(D3)が液膜開裂剤と併用して含有される不織布において、液膜開裂剤が有する液膜上における拡張性が保持されて、液膜開裂作用が十分に発現し得る。すなわち、本実施形態の不織布は、液膜開裂剤による液残り低減効果を保持しながら、不織布における濡れ性を適度に高めて、表面流れを効果的に防止することができる。

体液の表面張力の低減しにくさの程度は、下記(体液表面張力の低下率の測定方法)に基づく、不織布を通過した体液の表面張力の低下率によって確認することができる。この測定方法に基づいて得られる体液表面張力の低下率が低い程、液膜となり得る体液の表面張力が低減しにくいとい言える。 本実施形態の不織布において、前記低下率が25%未満であると、液膜開裂剤の体液に対する拡張係数が保持され液膜開裂作用が効果的に発現し得る。この観点から、下記(体液表面張力の低下率の測定方法)によって得られる、体液表面張力の低下率は、23%以下が好ましく、17%以下がより好ましく、12%以下が更に好ましく、0%であることが特に好ましい。

(体液表面張力の低下率の測定方法) 測定対象の不織布を通過する体液の表面張力の変化の程度は、下記の方法により測定される。なお、測定対象の不織布が生理用品や使い捨ておむつなどの吸収性物品に組み込まれた部材(例えば、表面シート)である場合は、コールドスプレー等の冷却手段で接着剤等の接着力を弱め、取り外して上記測定を行う。この不織布を取り出す手段は、本明細書中の他の測定においても同様である。 (1)この測定においては、体液に相当する液として、下記の試験液を準備する。試験液は馬脱繊維血液(株式会社日本バイオテスト製)から抽出された液体成分である。具体的には、100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置すると、該馬脱繊維血液は上層と下層とに分離するところ、後述の[2]不織布試料の液残り量と同様に、この上層の液と下層の液を混合して粘度8.0cPになるように混合比率を調整した液が前記試験液である。上層は主に血漿成分を含み、下層は主に血球成分を含む。上層と下層とに分離した馬脱繊維血液から上層のみを取り出すには、例えばトランスファーピペット(日本マイクロ株式会社製)を用いることができる。この表面張力は代表的には49±2mN/mである。前記表面張力は、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域において、プレート法により測定する。このとき、白金プレート(純度99.9%、横25mm×縦10mm)と自動表面張力計「CBVP−Z」(商品名、協和界面科学株式会社製)とを用いる。 (2)次いで、不織布の繊維表面に配されている成分のうち、前記液膜開裂剤を除く成分を塗工した不織布を準備する。前記成分の塗工量は、不織布から抽出した成分の構造、量、比率を同定し、これに基づいて定める。塗工後の測定対象の不織布を直径5cm×5cmのシャーレの上に直接貼付け、3gずつ繰り返し前記試験液を通過させ、合計15g通過させる。 (3)通過させた液体の表面張力を、前記(1)において用いたプレート法によって測定する。 (4)前記(1)の不織布通過前の試験液の表面張力に対する、前記(3)の不織布通過後の試験液の表面張力の低下率(%)を算出する。

(液膜を消失させる性質) 本発明で用いられる液膜開裂剤は、液膜を消失させる性質を有しており、斯かる性質により、該液膜開裂剤を、血漿成分を主体とする試験液又は人工尿に適用した場合に、液膜消失効果を発現し得る。人工尿は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.111質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.198質量%、赤色2号(染料)0.005質量%、水(96.882質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(0.07質量%)の組成を有する混合物を、表面張力を53±1mN/m(23℃)に調整したものである。 前記試験液は、上述の試験液と同一である。 ここでいう液膜消失効果には、試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体について、該構造体の液膜形成を阻害する効果と、形成された該構造体を消失させる効果との双方が含まれ、少なくとも一方の効果を発現する剤は、液膜消失効果を発現し得る性質を有していると言える。具体的には、ある剤が前記の「液膜を消失させる性質」の程度は、当該剤が適用された前記試験液又は人工尿から形成される前記構造体が発生しやすい状態にした場合の、該構造体即ち液膜の量の多少で判断される。すなわち、前記試験液又は人工尿を、温度25℃に調整し、その後、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.5 胴径27mm、全長55mm)に10g入れて、標準サンプルを得る。また、測定サンプルとして、標準サンプルと同じものに、25℃に予め調整した測定対象の剤を0.01g添加したものを得る。標準サンプルと測定サンプルをそれぞれ前記スクリュー管の上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。このサンプルの振とうにより、振とう後のスクリュー管の内部には、前記構造体の無い液体層(下層)と、該液体層の上に形成された多数の該構造体からなる構造体層(上層)とが形成される。振とう直後から10秒経過後に、両サンプルの構造体層の高さ(液体層の液面から構造体層上面までの高さ)を測定する。そして、標準サンプルの構造体層の高さに対して、測定サンプルの構造体層の高さが90%以下となった場合、測定対象の剤は液膜開裂効果を有しているとする。 本発明で用いられる液膜開裂剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物もしくは前記の性質に当てはまる単一の化合物を複数組み合わせた混合物、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(液膜の開裂を発現し得る)剤である。つまり液膜開裂剤とは、あくまで前記定義によるところの液膜開裂効果があるものに限定した剤のことである。したがって、吸収性物品中に適用されている化合物に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、液膜開裂剤と区別する。 なお、液膜開裂剤及び第三成分について、「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。 液膜開裂剤としては、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0007]〜[0186]に記載のものから適宜に選んで用いることができる。液膜開裂剤の好ましい実施態様については更に後述する。

本実施形態の不織布において、液膜開裂剤と、成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する又は有するとは、主に繊維の表面に付着していることをいう。ただし、液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)は、繊維の表面に残存する限り、繊維内に内包しているようなものや、内添により繊維内部に存在しているようなものがあってもよい。液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)を繊維の表面に付着させる方法としては、通常用いられる各種の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、フレキソ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、噴霧、刷毛塗布等の塗布処理が挙げられる。これらの処理は、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行ってもよいし、その後、該ウエブを不織布にした後や吸収性物品に組み込んだ後に行ってもよい。液膜開裂剤と成分(D1)〜(D3)とは別々に付着させてよく、両成分を混合して付着させてもよい。前記付着方法を用いて繊維へ付着させる場合、必要により液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)を溶媒に溶解させた溶液、乳化液又は分散液の状態にした塗布液として用いてもよい。溶媒を含む塗布液を用いる場合、液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、繊維樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。ただし、液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)が、不織布や吸収性物品の製造環境において液状である場合は、溶媒を用いることなく処理することができる。溶媒、特に有機溶媒を用いずに液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)を繊維表面に塗布する方が、乾燥処理、防爆処理などの対策を必要とせず、生産効率向上の観点から好ましい。液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)は、それぞれ単独で液状であってもよく、両者を混合した状態で液状であってもよい。ここで言う「液状」とは、塗布処理に適した流動性を有することであり半固体の状態を含む。 液膜開裂剤は、不織布において後述する液膜開裂効果を有するためには、液膜開裂剤が体液に触れた際に液状として存在する必要がある。この点から、液膜開裂剤が含む化合物の融点は40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましい。さらに、本発明に係る液膜開裂剤が含む化合物の融点は−220℃以上が好ましく、−180℃以上がより好ましい。 一方、成分(D1)〜(D3)は、使用時の不織布において固体化されていることが好ましい。ここで言う「固体化」とは塗工された成分(D1)〜(D3)が、流動性を失うことである。これにより不織布の使用時において、不織布に接触する体液への成分(D1)〜(D3)の溶解速度が低減し、液膜を形成する体液の表面張力を低減しにくくすることができる。

また、液膜開裂剤は、粘度を適度に抑えることで、液滴に対する好適な高い拡張性を示す。液膜開裂剤の粘度を適度に抑えることが好ましい。具体的には、液膜開裂剤の粘度は、0cps以上であって、6000cps以下が好ましく、600cps以下がより好ましく、200cps以下が更に好ましい。なお、粘度の単位cpsは、1cps=1×10−3Pa・sによって換算される。

(液膜開裂剤の粘度の測定方法) 液膜開裂剤の液の粘度は、次の方法により測定することができる。 まず液膜開裂剤を40g用意する。次に液膜開裂剤を温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で音叉型振動式粘度計SV−10(株式会社A&D製)を用いて粘度を測定する。これを3回繰り返し、平均値を粘度として採用する。なお液膜開裂剤が固体の場合は、液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。 なお、繊維に付着した液膜開裂剤について測定する場合、後述する(不織布における液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)の質量比及び各含有割合(OPU)の測定方法)において用いられる方法に基づいて、繊維から液膜開裂剤を取り出す。この場合、上記測定にとって少ない量しか取り出せない場合は、後述する拡張係数等の測定の場合と同様にして、粘度の測定を行う。

液膜開裂剤と成分(D1)〜(D3)とは、前述した塗布液のように必要により溶媒等を用いて混合し、繊維処理剤として作製しておくこともできる。ここで説明する「繊維処理剤」とは、すなわち、水溶解度が極めて小さい油状の液膜開裂剤と、成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とが、原料不織布ないし繊維に塗工処理しやすい状態にしたものをいう。

本実施形態において、液膜開裂剤と成分(D1)〜(D3)とは、組み合わせによる前記作用を効果的に発現させる観点から、繊維の最表層に混合層として存在することが好ましい。なお、ここで言う「混合」とは、液膜開裂剤と成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とが相分離することなく混ざり合って層をなしていることをいう。 該混合層は、液膜開裂剤と、成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分のみからなる層であってもよく、他の成分を更に含んでいてもよい。また、混合層は、繊維の最表層にある限り、種々の積層構造をとってもよい。例えば、図1(A)に示すように混合層5が繊維1の表面を直接被覆する積層構造であってもよく、図1(B)に示すように混合層5と繊維1との間に、他の成分からなる中間層7が介在していてもよい。図1(B)に示すように、繊維1の表面上に、他の成分からなる中間層7と、液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)のみからなる混合層5とが積層する構造であると、他の成分の影響を受けにくく、液膜開裂剤が体液と接触しやすいため、液膜開裂効果と表面液流れ低減の両立がより容易となり好ましい。 混合層5及び中間層7に含有され得る前記「他の成分」としては、上記の作用を阻害しない範囲において、種々のものを用いることができる。特に、他の成分としては、後述するリン酸エステル型のアニオン界面活性剤であることが好ましく、アルキルリン酸エステルカリウム塩を含むことがより好ましい。

本実施形態の不織布において、液膜開裂剤の総量に対する成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量の質量比(成分(D1)、(D2)及び(D3)の合計の質量/液膜開裂剤の質量)は、表面張力の低下を抑制する観点から、9以下が好ましく、4以下がより好ましく、2.3以下が更に好ましい。また、前記質量比は、成分(D1)〜(D3)の体液の表面流れを効果的に抑制する観点から、0.25以上が好ましく、0.43以上がより好ましく、0.53以上が更に好ましい。なお、ここで言う「成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量」とは、成分(D1)、(D2)及び(D3)のうち不織布に含有されている成分を合計した質量をいう。例えば、不織布に成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1の成分が含有されていれば、その含有されている1成分の総量が、前記「成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量」となる。また、不織布に成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる複数の成分が含有されていれば、その含有されている複数の成分を合計した質量が、前記「成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量」となる。不織布に成分(D1)、(D2)及び(D3)の全てが含有されていれば、その含有されている全ての成分を合計した質量が、前記「成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量」となる。 液膜開裂剤の総量は、不織布質量に対する含有割合(Oil Per Unit)として、液膜開裂作用を効果的に発現させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.14質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましい。また、液膜開裂剤の総量は、不織布質量に対する含有割合(OPU)として、液の表面流れを効果的に抑制する観点、不織布の触感を良好なものとする観点から、10質量%以下が好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。 成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量は、不織布質量に対する含有割合(OPU)として、体液の表面流れを効果的に抑制する観点から、0.06質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.14質量%以上が更に好ましい。また、成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量は、不織布質量に対する含有割合(OPU)として、表面張力を低下させない観点から、3質量%以下が好ましく、2.3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。

(不織布における液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)の質量比及び各含有割合(OPU)の測定方法) 上記の質量比、各含有割合(OPU)は、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0018]に記載の方法を準用して測定することができる。 測定対象の不織布の質量を測定した後、エタノール、水などの溶剤・溶媒を使用し、表面材に付着している液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)並びにその他の成分(接着剤など)を取り出す。その残渣の質量から液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)並びにその他の成分を合計した質量を算出する。 その後、抽出物をカラム・溶媒などの測定条件を適切に設定した上で、液体クロマトグラフィーを用いて、分離、単離する。そのときの分離物の質量比で、液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)並びにその他の成分を明らかにする。 質量比と前記残渣の質量、及び分析に用いた不織布質量を用いて、各成分の質量%を算出する。 尚、分離物の中で、どれが液膜開裂剤及び成分(D1)〜(D3)並びにその他の成分かどうかは、下記の測定法により物質の分子構造を同定し、該当する構造物単体を入手して物性を測定した上で判断する。

(分子構造の同定方法) 前記分離物を質量分析(MS)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)のいずれかの分析法を用いて、分子量を測定する。 その他、1H−NMR、13C−NMR、29Si−NMRを利用して、分子骨格を同定し、IRを用いて、所有する官能基を同定し、元素分析を用いて元素の割合を明らかにした上で、上記全ての情報を総合して分子構造を同定する。

本実施形態の不織布において、液膜開裂剤と併用される成分(D1)、(D2)及び(D3)は、いずれか1つを選択して含有されてもよく、2成分を選択して含有されてもよく、3成分全てを含有してもよい。また、成分(D1)、(D2)及び(D3)の各成分として、下記の化合物から選ばれる1又は複数を含有していてもよい。いずれの場合においても、上記の質量比及び含有割合(OPU)は、含有される成分(D1)、(D2)及び(D3)の合計質量に基づいて算出される。なお、成分(D1)〜(D3)は、機能に共通性を有するものであるが、物質として互いに異なるものである。

次に、成分(D1)〜(D3)、液膜開裂剤について詳述する。

本発明における成分(D1)はノニオン界面活性剤からなる。液膜開裂剤を含有する不織布の繊維表面における親水性を高める成分として、フッ化炭素基よりも疎水性が低い疎水基を有する、炭化水素系ノニオン界面活性剤及びシリコーン系ノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。より具体的には、疎水基として「多価アルコール脂肪酸骨格を除く、アルキル鎖もしくはシリコーン鎖」を有するノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。また、ノニオン界面活性剤の親水基の構造としては、ポリエチレンオキシド型、ポリオール(多価アルコール)型、ブロックポリマー型、含窒素型などを含むことが好ましい。 ポリエチレンオキシド型ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどを含むことが好ましい。 ポリオール(多価アルコール)型ノニオン界面活性剤としては、ソルビタンモノアルキレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート、グリセロールモノアルキレート、ポリグリセリルモノアルキレート、アルキルグルコシド、ペンタエリスリトールモノアルキレートなどを含むことが好ましい。 ブロックポリマー型ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどを含むことが好ましい。 含窒素型ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどを含むことが好ましい。 この中で、親水基として少なくとも「ポリオキシエチレン(以下、“POE”とも言う。)」基を有していることが好ましい。

成分(D1)は、単独で水への溶解性を有する。即ち、成分(D1)が界面活性剤であり、その水溶液が起泡性と泡沫安定性を有することを利用して以下に示す方法で水への溶解性を判断する。具体的には、単独で水への溶解性を有するとは、単独で水へ20分間浸漬させて、成分(D1)の2.5wt%水溶液を作製したときに、下記の測定によって判断される泡立ち高さが10mm以上であることである。

(成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法) まず、成分(D1)を0.2g秤量し、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.4 胴径24mm、全長53mm)に注いで、さらに8.0gの脱イオン水を注いだ後、20分間静置して十分に脱イオン水中に溶解させ、水溶液を作製する。 次いで、前述の(液膜を消失させる性質)に記載の方法を準用し、振とうによって生じる構造体層の高さを測定する。具体的には、前記スクリュー管を上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。振とう直後から10秒経過後に、前記水溶液の構造体層の高さ(液体層の液面から、空気が抱えこまれた構造体層上面までの高さ)を測定する。この高さを成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さとする。

成分(D1)は、繊維表面の親水性を高める観点から、液膜開裂剤よりも高いHLB値を有する化合物を含むことが好ましい。該HLB値は、10以上がより好ましく、11以上が更に好ましく、13以上が特に好ましい。また前記HLB値は、剤の体液への溶解性を高めない観点から、20以下が好ましく、17以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。前記範囲のHLB値は、ノニオン界面活性剤において、POE鎖におけるオキシエチレンの付加モル数とアルキル鎖長の選択で全体の分子量を適切に設定することにより得られる。

(成分(D1)のHLB値の測定方法) 下記の計算式によりHLBを求めることが出来る。 グリフィン法:HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量 なお、上記の測定は、対象となる成分の分子構造が分からない場合は、前述した(分子構造の同定方法)にあるような分析方法によって、分子構造、分子量を明らかにした上で、必要により構造物単体を市販品もしくは化学合成によって作製して入手して行う。この構造物の同定と構造物単体を入手する手段は、本明細書中の他の測定においても同様である。

また、成分(D1)のノニオン界面活性剤は、体液の表面張力が低下することを抑える観点から、下記に示す性質及び構造を有することが好ましい。これにより、液膜開裂剤の拡張性(後述する拡張係数)をできるだけ高く保持することができる。すなわち、本実施形態の不織布に触れた体液は、表面張力が低下する前に、液膜開裂され、また液膜の形成が阻害される。

成分(D1)のノニオン界面活性剤は、製造時においては、溶媒を含まないことが好ましく、成分単体で液状であることが好ましい。一方で、製造された不織布の使用時においては、体液にさらされた時に、(i)体液にさらされてゲル化すること、もしくは(ii)体液にさらされる際に固体化していること、以上の(i)もしくは(ii)の理由により、水に対する溶解速度が遅くなる性質を有することが好ましい。このような性質により、成分(D1)は、体液への溶解速度が低下し、体液の表面張力を低下させる前に液膜開裂を生じさせることができる。なお、「液状」とは流動性を有するもので、「固体化」とは流動性を失うことを示す。 成分(D1)の温度条件としては、単体で融点が5℃以上であると、製品の保存中に固体化しやすくなり、少なくとも装着時まで固体の状態を維持できるため、体液にさらされた際の溶解速度低下が起きやすくなる。

成分(D1)のノニオン界面活性剤は、下記に示す(D11)及び(D12)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。 (D11)水溶液の振とう後の泡立ち高さが10mm以上であり、親水基として、POE基のみからなる基、又は、POE基と他のポリオキシアルキレン(以下“POA”とも言う。)基(ポリオキシプロピレン(以下“POP”とも言う。)基やポリオキシブチレン(以下“POB”とも言う。)基など)とからなる基を有し、疎水基として、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素鎖(多価アルコール脂肪酸骨格を除く)を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤。 (D12)水溶液の振とう後の泡立ち高さが10mm以上であり、親水基として、POE基のみからなる基、又は、POE基と他のPOA基(POP基やPOB基とも言う。)とからなる基を有し、疎水基として、直鎖状又は分岐鎖状のシリコーン鎖を有するシリコーン系ノニオン界面活性剤。

前記(D11)及び(D12)において、親水基がPOE基と他のPOA基とからなる場合、該親水基において、POE基の付加モル数が最も多いことが好ましい(オキシエチレンの付加モル数が他のオキシアルキレンの付加モル数よりも多いことが好ましい)。 また、前記(D11)において、下記式の条件を満たすことが好ましい。 POE基におけるオキシエチレンの付加モル数:n 分子量:X としたとき、 44n/X≧0.5 (前記式において、「0.5」は、HLB10を基準としたときの「10/20=0.5」である。)

前記(D11)の炭化水素系ノニオン界面活性剤において、親水基を構成するPOE基におけるオキシエチレンの付加モル数は、親水性を高める観点から、5モル以上が好ましく、7モル以上がより好ましい。また、POE基におけるオキシエチレンの付加モル数は、体液の溶解速度を低下させる観点から、15モル以下が好ましく、10モル以下がより好ましい。加えて、疎水基を構成する炭化水素鎖は、炭素原子数10以上22以下程度のアルキル鎖長を有することが好ましい。前記炭素原子数は、溶解速度を低下させる観点から、10以上がより好ましく、12以上が更に好ましい。また、前記炭素原子数は、塗工時に容易に液状化させる観点から、22以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。 また、前記(D12)のシリコーン系ノニオン界面活性剤において、親水基を構成する、POE基を含むPOA基におけるオキシアルキルの付加モル数が30モル以上であることが好ましい。例えば、POE・POP変性シリコーンであって、POA基におけるオキシアルキレンの付加モル数が30モル以上であり、POE基を1以上含み、かつPOE基におけるオキシエチレンの付加モル数が最も多いシリコーンノニオン界面活性剤、などが好ましい。

前記(D11)の炭化水素系ノニオン界面活性剤及び前記(D12)のシリコーン系ノニオン界面活性剤のいずれにおいても、疎水基が直鎖状の構造であることで、分岐鎖状の構造であるよりも固体化しやすく、体液の表面張力を低下しにくくなるため好ましい。より具体的には、下記(D11−1)、(D11−2)、(D12−1)及び(D12−2)から選ばれる少なくとも1種のノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。前記「直鎖状」とは、連続した炭素結合の中間に3級以上の炭素原子を含まないことを意味する。 (D11−1)直鎖状のPOEアルキルエーテルであって、オキシエチレンの付加モル数が5モル以上であるPOE基を親水基として有し、疎水基として、炭素原子数10以上22以下程度の直鎖状の炭化水素鎖を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤。前記炭素原子数は、溶解速度を低下させる観点から、12以上が好ましい。また、前記炭素原子数は、塗工時に容易に液状化させる観点から、18以下が好ましい。 (D11−2)POE基におけるオキシエチレンの付加モル数が5モル以上でPOP基におけるオキシプロピレンの付加モル数が3モル以下であり、POP基とPOE基との共重合物を親水基として有し、疎水基として、直鎖状の炭化水素鎖を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤。前記POE基におけるオキシエチレンの付加モル数は、親水性を高める観点から、7モル以上がより好ましい。また、前記POE基におけるオキシエチレンの付加モル数は、体液の溶解速度を低下させる観点から、15モル以下が好ましく、10モル以下がより好ましい。 (D12−1)側鎖変性シリコーンで、直鎖状のシリコーン鎖にPOE基を有するシリコーン系ノニオン界面活性剤。 (D12−2)POE基におけるオキシエチレンの付加モル数とPOP基におけるオキシプロピレンの付加モル数が合計で30モル以上であって、かつ、POE基におけるオキシエチレンの付加モル数の方がPOP基におけるオキシプロピレンの付加モル数よりも多い共重合物を親水基として、直鎖状のシリコーン鎖を側鎖変性したシリコーン系ノニオン界面活性剤。前記POE基及びPOP基における付加モル数の合計は、親水性を高める観点から、40モル以上がより好ましい。また、前記POE基とPOP基における付加モル数の合計は、製造工程上扱いやすい粘度にする観点から、100モル以下が好ましく、90モル以下がより好ましい。

成分(D1)のノニオン界面活性剤は、前述の構造のものとすることによって、特に、POE基におけるオキシエチレンの付加モル数を5モル以上有する炭化水素系ノニオン界面活性剤、又は、POA基におけるオキシアルキレンの付加モル数が30モル以上であって、かつ、POE基におけるオキシエチレンの付加モル数の方がPOP基におけるオキシプロピレンの付加モル数よりも多いシリコーン系界面活性剤であることによって、水溶解度が液膜開裂剤よりも高い。成分(D1)は、該水溶解度を有する界面活性剤であることから、液膜開裂剤と異なり、水溶液が起泡性と泡沫安定性を有するため、水溶液の振とう後の泡立ち高さを10mm以上とすることができる。体液の表面張力の低下を好適に抑制する観点から、成分(D1)の泡立ち高さは20mm以下が好ましく、18mm以下がより好ましく、15mm以下が更に好ましい。

成分(D1)のノニオン界面活性剤が含む化合物は、融点が、体液への溶解度速度を低下させる観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、15℃以上であることが更に好ましい。前記融点は、塗工時に容易に液状化させる観点から、25℃未満であることが好ましく、24℃以下であることがより好ましく、22℃以下であることが更に好ましい。前記範囲の融点は、ノニオン界面活性剤において、アルキル鎖長を短くするか、POE基におけるオキシエチレンの付加モル数を12以下とすることにより得られる。

成分(D1)のノニオン界面活性剤は、融点が高いほど固体化され、かつ直鎖状の分子の方が分子の拡散速度すなわち溶解速度が遅いことから、融点が5℃以上で直鎖型の炭化水素鎖もしくはシリコーン鎖を有することが好ましい。

(成分(D1)の融点の測定方法) 固体の場合は、入手したサンプルをバイアル瓶に入れて、外部から目視で観察可能な恒温恒湿機の中に入れて、30分程度順化させた後に温度条件を1℃ずつ昇温させながら、物質の溶融する温度を見て、融点とする。 液体の場合は、入手したサンプルをバイアル瓶に入れて、外部から目視で観察可能な恒温恒湿機の中に入れて、−20℃まで温度を低下させ、30分程度順化させた後に温度条件を1℃ずつ昇温させながら、物質の溶融する温度を見て、融点とする。

成分(D1)のノニオン界面活性剤の質量平均分子量は、皮膚への刺激性を弱める観点から、50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、200以上であることが更に好ましい。前記質量平均分子量は、製造工程上扱いやすい融点にする観点から、1500以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、750以下であることが更に好ましい。成分(D1)のノニオン界面活性剤の質量平均分子量は、GPC、液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)等の分液手法によって測定することができる。高分子量の場合はGPCで測定することが好ましく、低分子量の場合はLC−MSで測定することが好ましい。カラムと溶媒は適宜選択できる。なお、質量平均分子量の測定の前段において、必要により、前述した(分子構造の同定方法)に記載した方法で化合物の同定を行う。

成分(D1)において、前記融点及び質量平均分子量の好ましい範囲を満たすものとして、融点が20℃以上であり、親水基として、オキシエチレンの付加モル数が9モルのPOE基を有し、疎水基としてラウリル基を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤などが挙げられる。

次に成分(D2)について説明する。

本発明における成分(D2)が含む化合物は、表面張力42mN/m以上を有する。該表面張力は液膜開裂剤よりも高くされている。成分(D2)が含む化合物が前記表面張力を有することによって、繊維表面の濡れ性を高めることができる。同時に、成分(D2)が含む化合物の表面張力が、液膜をなす体液として想定される表面張力50mN/mに近い値であることから、成分(D2)が前記体液に溶解しても該体液の表面張力の低減を抑制できる。これにより、液膜開裂剤の拡張性(後述する拡張係数)をできるだけ高く保持することができる。この観点から、成分(D2)が含む化合物は、表面張力が、42.5mN/m以上が好ましく、43mN/m以上がより好ましい。また、成分(D2)が含む化合物は、表面張力が、親水性の発現の観点から、60mN/m以下が好ましく、55mN/m以下がより好ましく、50mN/m以下が更に好ましい。

(成分(D2)が含む化合物の表面張力の測定方法) 成分(D2)が含む化合物の表面張力については、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域において、プレート法により測定する。このとき、白金プレート(純度99.9%、横25mm×縦10mm)と自動表面張力計「CBVP−Z」(商品名、協和界面科学株式会社製)とを用いる。

成分(D2)は、上記の表面張力を有するものとするために、疎水性の構造を有さず、親水基を有する構造のみからなる化合物を含むことが好ましい。親水基を有する構造としては、POE基を有する構造、又は、POE基とPOP基のブロック共重合体を有する構造からなる。「疎水性の構造を有さない」とは、炭素原子数5以上のアルキル鎖、シリコーン鎖又はフッ素鎖を有さない構造のことである。 成分(D2)の化合物としては、POE基からなるポリエチレングリコール(PEG)、又はPOE化合物とPOP化合物の共重合物を含むことが好ましく、ポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコール又はそれらの共重合物を含むことがより好ましい。

成分(D2)が含む化合物の質量平均分子量は、揮発性を抑える観点から、200以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、400以上であることが更に好ましい。前記質量平均分子量は、塗工が容易な粘度とする観点から、10000以下であることが好ましく、8000以下であることがより好ましく、6000以下であることが更に好ましい。 また、成分(D2)が含む化合物が、POE化合物とPOP化合物の共重合物である場合、POP化合物のPOE化合物に対する重合比(POPの重合度/POEの重合度)は、体液への溶解速度をおさえる観点から、0超が好ましく、5以上がより好ましく、6.5以上が更に好ましい。前記重合比は、質量比にて、親水性を高める観点から、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下が更に好ましい。

成分(D2)は、質量平均分子量400のポリエチレングリコール、ポリエチレングルコールとポリプロピレングリコールを質量比にて1:7程度の比率で重合した化合物を含むことがより好ましい。

次に成分(D3)について説明する。

本発明における成分(D3)が含む化合物は、融点が40℃以上でかつ液膜開裂剤よりも親水性である。これによって、体温でも溶解せず、体液へ溶解しにくくなり、かつ繊維表面の濡れ性を高めることができる。ここで言う「液膜開裂剤よりも親水性」とは、物質の無機性値と有機性値との比率である「無機性値/有機性値」の値(Inorganic Organic Balance値。以下、IOB値という。)が液膜開裂剤のIOB値よりも大きいことをいう。これにより、成分(D3)は、液膜開裂剤に混合して塗工した際に液流れ性を改善できる性質を有するものとなる。なお、IOB値は、近似的に「HLB=IOB×10」の相関関係があることが知られている。 前記IOB値は、下記の表1〜3に記載の無機性値及び有機性値を基に、特開2016−107100号明細書の段落[0031]〜[0036]に記載の方法により算出することができる。

成分(D3)が含む化合物のIOB値は、0.7以上0.9以下が好ましい。該IOB値は、成分(D3)の水溶性を抑えて体液の表面張力の低下を抑える観点から、0.9以下が好ましく、0.85以下がさらに好ましい。また、前記IOB値は、固体表面を親水化する湿潤剤としての機能を成分(D3)に持たせる観点から、0.7以上が好ましく、0.75以上がさらに好ましい。具体的には、0.7以上0.9以下がより好ましく、0.75以上0.85以下が更に好ましい。 一方、液膜開裂剤が含む化合物が化合物(C1)の場合は、該化合物(C1)のIOB値は、界面張力を低下させて、高い液に対する拡張性発現させる観点から、0.3以上が好ましく、0.45以上がより好ましく、0.55以上が更に好ましく、また、水不溶性を維持する観点から、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.65以下が更に好ましい。具体的には、液膜開裂剤が含む化合物が化合物(C1)の場合は、該化合物(C1)のIOB値は、0.3以上0.8以下が好ましく、0.45以上0.7以下がより好ましく、0.55以上0.65以下が更に好ましい。そして、液膜開裂剤が含む化合物が化合物(C2)の場合は、該化合物(C2)のIOB値は、界面張力を低下させて、高い液に対する拡張性発現させる観点から、0以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、水不溶性を維持する観点から、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.4以下が更に好ましい。具体的には、液膜開裂剤が含む化合物が化合物(C2)の場合は、該化合物(C2)のIOB値は、0以上0.6以下が好ましく、0.05以上0.5以下がより好ましく、0.1以上0.4以下が更に好ましい。

成分(D3)が含む化合物の融点は、体液にさらされても溶解させにくくする観点から、40℃以上であり(体温でも溶けない温度)、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。前記融点は、温調を付与しながら塗工する観点から、120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが更に好ましい。前記範囲の融点は、成分(D3)を分子内に2つ以上のアミド基を有した炭化水素化合物にすることにより得られる。すなわち、成分(D3)は、融点40℃以上のジアミド化合物を含むことが好ましい。

また、成分(D3)が含む化合物は、親水基を有さない。すなわち、疎水基を有する構造のみからなる。ここで言う「親水基」とは、POE基やスルホン酸ナトリウム塩、リン酸K塩などのアニオン性基、4級アンモニウム塩などのカチオン基のことである。また、「疎水基を有する構造のみからなる」とは、アルキル鎖のみからなることである。これによって、成分(D2)は、水溶解度が低い。具体的には、成分(D3)が含む化合物の水溶解度は、0.01g以下であり、0.001g以下が好ましく、0.0001g未満がより好ましい。 成分(D3)は、親水基を有さないことによって、体液に対する溶解速度が抑えられ、体液の表面張力を低下させにくいものである。これによって、成分(D3)は、液膜開裂剤の拡張性(後述する拡張係数)をできるだけ高く保持することができる。すなわち、本実施形態の不織布に触れた体液は、表面張力が低下する前に、液膜開裂され、また液膜の形成が阻害される。

成分(D3)が含む化合物の質量平均分子量は、揮発性を抑える観点から、200以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、400以上であることが更に好ましい。前記質量平均分子量は、塗工に容易な粘度とする観点から、5000以下であることが好ましく、4000以下であることがより好ましく、3000以下であることが更に好ましい。

成分(D3)は、液膜開裂剤よりも親水性であり、親水基を有さない鎖状の炭化水素化合物を含むことが好ましく、該炭化水素化合物において、連続する炭化水素鎖の中間及び末端付近にアミド基を合計して分子内に2つ以上有することにより、液膜開裂剤よりも親水性でかつ融点を高めることができる。 成分(D3)は、N”N−ビス(3−メトキシプロピル)イソドコ酸ジアミドなどのジアミド化合物などを含むことがより好ましい。

次に、本発明における液膜開裂剤の好ましい実施態様について説明する。液膜開裂剤の好ましい実施態様としては、国際公開第2016/098796号の段落[0013]〜[0088]に記載のものを含むことができる。具体的には、下記の第1実施態様及び第2実施態様のものを含むことができる。

第1実施態様の液膜開裂剤が含む化合物は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である。なお、この性質を有する化合物を化合物(C1)と言うことがある。 第2実施態様の液膜開裂剤が含む化合物は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きい、すなわち正の値であり、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である。なお、この性質を有する化合物を化合物(C2)と言うことがある。

第1及び第2実施態様で規定する、液膜開裂剤が含む化合物が有する「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」及び「水溶解度」の定義、並びに、液膜(表面張力が50mN/mの液体)の表面張力(γw)、液膜開裂剤の表面張力(γo)、液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)、及び液膜開裂剤の水溶解度の測定方法は、国際公開第2016/098796号の段落[0015]〜[0022]に記載されたとおりであり、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で下記数式(1)に基づいて求められる値である。なお、数式(1)における液膜は「表面張力が50mN/mの液体」の液相を意味し、繊維間や繊維表面で膜を張った状態の液体、膜を張る前の液体の両方を含み、単に液体とも言う。また、数式(1)の表面張力は、液膜及び液膜開裂剤の気相との界面における界面張力を意味し、液相間の、液膜開裂剤の液膜との界面張力とは区別される。この区別は、本明細書の他の記載においても同様である。 S=γw−γo−γwo ・・・・・ (1) γw:液膜(液体)の表面張力 γo:液膜開裂剤の表面張力 γwo:液膜開裂剤の液膜との界面張力

第1実施態様の液膜開裂剤が含む化合物においては、拡張係数が15mN/m以上であることで、液膜開裂剤は、繊維間の狭小空間領域で生じる液膜の表面上での移動性、すなわち拡散性の高いものとなる。さらに、液膜開裂剤は、不織布を構成する繊維の位置から他の領域まで移動する拡張性をも有する。これらの拡張性を充分に発揮させる観点から、前記液膜開裂剤が含む化合物の拡張係数は、20mN/m以上がより好ましく、25mN/m以上が更に好ましく、30mN/m以上が特に好ましい。一方、その上限は特に制限されるものではないが、前記数式(1)から、表面張力が50mN/mの液体を用いた場合は上限値が50mN/m、表面張力が60mN/mの液体を用いた場合は上限値が60mN/m、表面張力が70mN/mの液体を用いた場合には上限値が70mN/mといったように、液膜を形成する液体の表面張力が上限となる。そこで、本発明では、表面張力が50mN/mの液体を用いている観点から、50mN/m以下である。

また、第1実施態様の液膜開裂剤においては、液膜開裂剤が含む化合物の水溶解度が0g以上0.025g以下であることで、液膜開裂剤は、溶解しにくく液膜との界面を形成して、上記の拡散性をより効果的なものとする。同様の観点から、液膜開裂剤が含む化合物の水溶解度は、0.0025g以下が好ましく、0.0017g以下がより好ましく、0.0001g未満が更に好ましい。また、前記水溶解度は小さいほどよく、0g以上であり、液膜への拡散性の観点から、1.0×10−9g以上とすることが実際的である。なお、上記の水溶解性は、水分を主成分とする経血や尿等に対しても当てはまるものと考えられる。

第1実施態様の液膜開裂剤は、さらに、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物を含むことが好ましい。すなわち、前述した数式(1)における拡張係数(S)の値を定める1変数である「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」が20mN/m以下であることが好ましい。「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」を低く抑えることで、液膜開裂剤の拡張係数が上がり、繊維表面から液膜中心付近へ液膜開裂剤が移行しやすくなり、前述の作用がより明確となる。この観点から、液膜開裂剤が含む化合物の「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」は、17mN/m以下がより好ましく、13mN/m以下が更に好ましく、10mN/m以下がより更に好ましく、9mN/m以下が特に好ましく、1mN/m以下がとりわけ好ましい。一方、その下限は特に制限されるものではなく、液膜への不溶性の観点から0mN/mより大きければよい。なお、界面張力が0mN/m、すなわち溶解する場合には、液膜と液膜開裂剤間での界面を形成することができないため、数式(1)は成り立たず、剤の拡張は起きない。 拡張係数はその数式からもわかるように、対象となる液の表面張力により、その数値が変化する。例えば、対象液の表面張力が72mN/m、液膜開裂剤の表面張力が21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は50.8mN/mとなる。 また、対象液の表面張力が30mN/m、液膜開裂剤の表面張力21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は8.8mN/mとなる。 いずれの場合においても、拡張係数が大きい剤ほど、液膜開裂効果は大きくなる。 本明細書では、表面張力50mN/mにおける数値を定義したが、表面張力が異なったとしても、その各物質同士の拡張係数の数値の大小関係に変化はないことから、体液の表面張力が仮に、日ごとの体調などで変化したとしても、拡張係数が大きい剤ほど優れた液膜開裂効果を示す。

第1実施態様の液膜開裂剤が含む化合物の表面張力は、32mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましく、25mN/m以下が更に好ましく、22mN/m以下が特に好ましい。また、前記表面張力は小さいほどよく、その下限は特に限定されるものではない。液膜開裂剤の耐久性の観点から、1mN/m以上が実際的であり、20mN/m以上であってもよい。 液膜開裂剤の表面張力を上記のような範囲以下とすることで、液膜を張る対象液の表面張力が下がった場合でも、液膜開裂作用を効果的に発揮させることができる。

次に、第2実施態様の液膜開裂剤が含む化合物においては、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」を20mN/m以下とすることは、前述のように液膜開裂剤の液膜上での拡散性が高まることを意味する。これにより、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」が15mN/m未満であるような拡張係数が比較的小さい場合でも、拡散性が高いため繊維表面から多くの液膜開裂剤が液膜内に分散し、多くの位置で液膜を押しのけることにより、第1実施態様の場合と同様の作用を奏し得る。

第2実施態様の液膜開裂剤が含む化合物は、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」が、17mN/m以下が好ましく、13mN/m以下がより好ましく、10mN/m以下が更に好ましく、9mN/m以下がより更に好ましく、1mN/m以下が特に好ましい。下限値については、第1実施態様と同様に特に制限されるものでなく、液膜(表面張力が50mN/mの液体)に溶解しない観点から、0mN/mより大きくするのが実際的であり、3mN/m以上としてもよい。 さらに、「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」は、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、9mN/m以上が好ましく、10mN/m以上がより好ましく、15mN/m以上が更に好ましい。その上限は特に制限されるものではないが、数式(1)より液膜を形成する液体の表面張力が上限となる観点から、50mN/m以下が実質的である。 第2実施態様の液膜開裂剤が含む化合物の表面張力及び水溶解度のより好ましい範囲は、第1実施態様と同様である。

以上のとおり、第1実施態様の液膜開裂剤が含む化合物は上記の拡張係数及び水溶解度を有することによって、また第2実施態様の液膜開裂剤が含む化合物は、上記の拡張係数、界面張力及び水溶解度を有することによって、液膜の表面上で、溶解することなく広がり、液膜の中心付近から液膜の層を押しのけることができる。これにより、液膜を不安定化させて開裂する。

第1実施態様の液膜開裂剤を含む不織布及び第2実施態様の液膜開裂剤を含む不織布は、さらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。これにより、繊維表面の親水性が高まり、濡れ性が向上することによって、液膜と液膜開裂剤が接する面積が大きくなる。そして、血液や尿は生体由来のリン酸基を有する界面活性物質を有することから、リン酸基を有する界面活性剤を液膜開裂剤と併用すると、該界面活性剤は液膜開裂剤と相溶性を有し、さらに血液や尿に含まれるリン脂質との親和性もよい。そのため、液膜開裂剤が液膜に移行しやすくなり、液膜の開裂がさらに促進される。液膜開裂剤の総量とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の総量との含有比率は、質量比(液膜開裂剤:リン酸エステル型のアニオン界面活性剤)で、1:1〜19:1が好ましく、2:1〜15:1がより好ましく、3:1〜10:1が更に好ましい。特に、前記含有比率は、質量比にて、5:1〜19:1が好ましく、8:1〜16:1がより好ましく、11:1〜13:1が更に好ましい。

リン酸エステル型のアニオン界面活性剤としては特に制限なく用いられる。例えば、国際公開第2016/098796号の段落[0031]に記載のものなどを含むことができる。

次に、第1実施態様及び第2実施態様における液膜開裂剤の具体例について説明する。これらは前述した特定の数値範囲にあることで水に溶けないか水難溶性の性質を有し、前記液膜開裂の作用をする。これに対し、従来の繊維処理剤として使用される界面活性剤などは実用上、水に対して溶解して使用する基本的には水溶性のものであり、本発明の液膜開裂剤ではない。

第1実施態様及び第2実施態様における液膜開裂剤としては、質量平均分子量が500以上の化合物を含むことが好ましい。この質量平均分子量は液膜開裂剤の粘度に大きく影響する。液膜開裂剤が含む化合物は、粘度を高く保つことで、液が繊維間を通過する際に流れ落ちにくく、不織布における液膜開裂効果の持続性を保つことができる。液膜開裂効果を十分に持続させる粘度とする観点から、液膜開裂剤が含む化合物の質量平均分子量は、1000以上がより好ましく、1500以上が更に好ましく、2000以上が特に好ましい。一方、液膜開裂剤が配された繊維から液膜への液膜開裂剤の移行、即ちマクロ及びミクロの拡散性を保持する粘度とする観点から、50000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下が更に好ましい。この質量平均分子量の測定は、GPC「CCPD」(商品名、東ソー株式会社製)を用いて測定される。測定条件は下記のとおりである。また、換算分子量の計算はポリスチレンで行う。 分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン) 溶離液:LファーミンDM20/CHCl3 溶媒流速:1.0mL/min 分離カラム温度:40℃

また、第1実施態様における液膜開裂剤としては、後述するように、下記の構造X、X−Y、及びY−X−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物を含むことが好ましい。 構造Xは、>C(A)−〈Cは炭素原子を示す。また、<、>及び−は結合手を示す。以下、同様。〉、−C(A)2−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R1)<、>C(R1)−、−C(R1)(R2)−、−C(R1)2−、>C<、−Si(R1)2O−、−Si(R1)(R2)O−のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造のシロキサン鎖、又はその混合鎖を表す。構造Xの末端には、水素原子、又は、−C(A)3、−C(A)2B、−C(A)(B)2、−C(A)2−C(R1)3、−C(R1)2A、−C(R1)3、−OSi(R1)3、−OSi(R1)2(R2)、−Si(R1)3、−Si(R1)2(R2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。 上記のR1やR2は各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル基が好ましい。)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)などの各種置換基を示す。A、Bは各々独立に、水酸基やカルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基などの酸素原子や窒素原子を含む置換基を示す。構造X内にR1、R2、A、Bが各々複数ある場合は、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、連続するC(炭素原子)やSi間の結合は、通常、単結合であるが、二重結合や三重結合を含んでいてもよく、CやSi間の結合には、エーテル基(−O−)、アミド基(−CONRA−:RAは水素原子又は一価の基)、エステル基(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、カーボネート基(−OCOO−)などの連結基を含んでもよい。一つのC及びSiが、他のC又はSiと結合している数は、1つ〜4つで、長鎖のシリコーン鎖(シロキサン鎖)又は混合鎖が分岐していたり、放射状の構造を有している場合があってもよい。 Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、POA基(オキシアルキレン基の炭素数は1〜4が好ましい。例えば、POE基、POP基が好ましい。)、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホベタイン基(これらのベタイン基は、各ベタイン化合物から水素原子を1つ取り除いてなるベタイン残基をいう。)、4級アンモニウム基などの親水基単独、もしくは、その組み合わせからなる親水基などである。これらの他にも、後述するM1で挙げた基及び官能基も挙げられる。なお、Yが複数の場合は互いに同一でも異なっていてもよい。 構造X−Y及びY−X−Yにおいて、Yは、X、又はXの末端の基に結合する。YがXの末端の基に結合する場合、Xの末端の基は、例えばYとの結合数と同数の水素原子等が取り除かれてYと結合する。 この構造において、親水基Y、A、Bを具体的に説明した基から選択して前述の拡張係数、水溶解度、界面張力を満たすことができる。こうして、目的の液膜開裂効果を発現する。

上記の液膜開裂剤は、構造Xがシロキサン構造である化合物を含むことが好ましい。さらに、液膜開裂剤において、上記の構造X、X−Y、Y−X−Yの具体例として、下記(1)〜(11)式で表される構造を、任意に組み合せたシロキサン鎖からなる化合物を含むことが好ましい。さらに、この化合物が前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。

式(1)〜(11)において、M1、L1、R21、及びR22は次の1価又は多価(2価又はそれ以上)の基を示す。R23、及びR24は次の1価もしくは多価(2価又はそれ以上)の基、又は単結合を示す。 M1は、POE基、POP基、POB基、もしくはそれらを組み合わせたPOA基を有する基や、エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基もしくはエチレングリコール基などの複数の水酸基を有する親水基(エリスリトール等の複数の水酸基を有する上記化合物から水素原子を1つ取り除いてなる親水基)、水酸基、カルボン酸基、メルカプト基、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えばメトキシ基が好ましい。)、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、スルホン酸基、4級アンモニウム基、スルホベタイン基、ヒドロキシスルホベタイン基、ホスホベタイン基、イミダゾリウムベタイン基、カルボベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、(メタ)アクリル基、又はそれらを組み合わせた官能基を示す。なお、M1が多価の基である場合、M1は、上記各基又は官能基から、さらに1つ以上の水素原子を除いた基を示す。 L1は、エーテル基、アミノ基(L1として採りうるアミノ基は、>NRC(RCは水素原子又は一価の基)で表される。)、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基の結合基を示す。 R21、R22、R23、及びR24は、各々独立に、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えばフェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、もしくはアラルキル基、又はそれらを組み合わせた炭化水素基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)を示す。なお、R22及びR23が多価の基である場合、上記炭化水素基から、さらに1つ以上の水素原子又はフッ素原子を除いた多価炭化水素基を示す。 また、R22又はR23がM1と結合する場合、R22又はR23として採りうる基は、上記各基、上記炭化水素基又はハロゲン原子の他に、R32として採りうるイミノ基が挙げられる。 液膜開裂剤は、なかでも、Xとして、(1)、(2)、(5)及び(10)式のいずれかで表される構造を有し、Xの末端、又はXの末端とYとからなる基として、これらの式以外の上記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含むことが好ましい。さらに、X、又はXの末端とYとからなる基が、上記(2)、(4)、(5)、(6)、(8)及び(9)式のいずれかで表される構造を少なくとも1つ有するシロキサン鎖からなる化合物を含むことが好ましい。

上記化合物の具体例として、シリコーン系の界面活性剤の有機変性シリコーン(ポリシロキサン)が挙げられる。例えば、反応性の有機基で変性された有機変性シリコーンとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、ジオール変性、カルビノール変性、(メタ)アクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性のものが挙げられる。また、非反応性の有機基で変性された有機変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性(POA変性を含む)、メチルスチリル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性のものなどが挙げられる。これらの有機変性の種類に応じて、例えば、シリコーン鎖の分子量、変性率、変性基の付加モル数など適宜変更することで、上記の液膜開裂作用を奏する拡張係数を得ることができる。ここで、「長鎖」とは、炭素数が12以上であるものをいい、好ましくは12〜20であるものをいう。また、「高級」とは、炭素数が6以上であるものをいい、好ましくは6〜20であるものをいう。 その中でも、POA変性シリコーンやエポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、ジオール変性シリコーンなど、変性シリコーンである液膜開裂剤が少なくとも一つの酸素原子を変性基中に有する構造を有する変性シリコーンが好ましく、特にPOA変性シリコーンが好ましい。POA変性シリコーンは、ポリシロキサン鎖を有することで、繊維の内部に浸透し難く表面に残りやすい。また、親水的なPOA鎖を付加したことにより、水との親和性が高まり、界面張力が低いため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。そのため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。また、POA変性シリコーンは、エンボス等の熱溶融加工が施されても、その部分において繊維の表面に残りやすく液膜開裂作用は低減し難い。特に液が溜まりやすいエンボス部分において液膜開裂作用が十分に発現するので好ましい。

POA変性シリコーンとしては、下記式[I]〜[IV]で表されるものが挙げられる。さらに、このPOA変性シリコーンが前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。

式中、R31は、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)を示す。R32は、単結合又はアルキレン基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。)を示し、好ましくは前記アルキレン基を示す。複数のR31、複数のR32は各々において、互いに同一でも異なってもよい。M11は、POA基を有する基を示し、POA基が好ましい。上記のPOA基としては、POE基、POP基、POB基、又はこれらの構成モノマーが共重合されたものなどが挙げられる。m、nは各々独立に1以上の整数である。なお、これら繰り返し単位の符号は、各式[I]〜[IV]において別々に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。

また、POA変性シリコーンは、POE変性及びPOP変性のいずれか又は双方の変性基を有するものであってもよい。また、水に溶けない、かつ低い界面張力を有するにはシリコーン鎖のアルキル基R31にメチル基を有することが望ましい。この変性基、シリコーン鎖をもつものとしては、特に制限するものではないが、例えば特開2002−161474の段落[0006]及び[0012]に記載のものがある。より具体的には、POE・POP変性シリコーンや、POE変性シリコーン、POP変性シリコーンなどが挙げられる。POE変性シリコーンとしては、POEを3モル付加したPOE(3)変性ジメチルシリコーンなどが挙げられる。POP変性シリコーンとしては、POPを10モル、12モル、又は24モル付加したPOP(10)変性ジメチルシリコーン、POP(12)変性ジメチルシリコーン、POP(24)変性ジメチルシリコーンなどが挙げられる。

前述の第1実施態様が含む化合物の拡張係数と水溶解度は、POA変性シリコーンにおいて例えば、POA基の付加モル数(POA変性シリコーン1モルに対する、POA基を形成するオキシアルキレン基の結合数)、下記変性率等により、所定の範囲にすることができる。この液膜開裂剤が含む化合物において、表面張力及び界面張力も同様にして、それぞれ、所定の範囲にすることができる。 上記観点から、該POA基の付加モル数が1以上であるものが好ましい。この下限値以上とすることで、上記の液膜開裂作用にとって界面張力が低くなることにより、拡張係数が大きくなることから、十分な液膜開裂効果を得ることができる。また同様の観点から、付加モル数は3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。一方、付加モル数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。付加モル数をこの上限値以下とすることで、疎水性になって水溶解度を低く保つことができる。 変性シリコーンの変性率は、液膜開裂作用(特に拡張性)に必要な親水性を保持するため、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、液膜開裂作用に必要な水不溶性を保つため、95%以下が好ましく、70%以下がより好ましく40%以下が更に好ましい。なお、前記変性シリコーンの変性率とは、変性シリコーン1分子中のシロキサン結合部の繰り返し単位の総個数に対する、変性したシロキサン結合部の繰り返し単位の個数の割合である。例えば、上記式[I]及び[IV]では(n/m+n)×100%であり、式[II]では、(2/m)×100%であり、式[III]では(1/m)×100%である。 また、前述の拡張係数及び水溶解度は、POA変性シリコーンにおいて、それぞれ、上記したもの以外にも、変性基を水可溶性のPOE基と水不溶性のPOP基及びPOB基を併用すること、水不溶性のシリコーン鎖の分子量を変化させること、変性基としてPOA変性に加えてアミノ基、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、カルビノール基などを導入すること等により、所定の範囲に設定できる。

この液膜開裂剤として用いられるポリアルキレン変性シリコーンは、不織布質量に対する含有割合(Oil Per Unit)として、0.02質量%以上5質量%以下含有されることが好ましい。該ポリアルキレン変性シリコーンの含有割合(OPU)は、1質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下が更に好ましい。こうすることで、不織布の触感が好ましいものになる。また、該ポリアルキレン変性シリコーンによる液膜開裂効果を十分に発揮する観点から、前記含有割合(OPU)は、0.04質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。この場合、液膜開裂剤は、ポリアルキレン変性シリコーン以外の化合物を含んでいてもよい。その場合の液膜開裂剤の総量は前述の範囲にあることが好ましい。 なお、ここでいう不織布質量は、不織布全体の繊維質量を意味する(以下で説明する含有割合(OPU)においても同様である。)。

第2実施態様における液膜開裂剤としては、後述するように、下記の構造Z、Z−Y、及びY−Z−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物を含むことが好ましい。 構造Zは、>C(A)−<C:炭素原子>、−C(A)2−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R3)<、>C(R3)−、−C(R3)(R4)−、−C(R3)2−、>C<のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造の炭化水素鎖を表す。構造Zの末端には、水素原子、又は、−C(A)3、−C(A)2B、−C(A)(B)2、−C(A)2−C(R3)3、−C(R3)2A、−C(R3)3からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。 上記のR3やR4は各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はフッ素原子などの各種置換基を示す。A、Bは各々独立に、水酸基やカルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基などの酸素原子や窒素原子を含む置換基を示す。構造Z内にR3、R4、A、Bが各々複数ある場合は、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、連続するC(炭素原子)間の結合は、通常、単結合であるが、二重結合や三重結合を含んでいてもよく、C間の結合には、エーテル基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基などの連結基を含んでも良い。一つのCが、他のCと結合している数は、1つ〜4つで、長鎖の炭化水素鎖が分岐していたり、放射状の構造を有している場合があってもよい。 Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基; 又は、POA基(オキシアルキレン基の炭素数は1〜4が好ましい。例えば、POE基、POP基、POB基、もしくはそれらを組み合わせたPOA基が好ましい。); 又は、 エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基、エチレングリコール基、などの複数の水酸基を有する親水基; 又は、 スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホベタイン基、4級アンモニウム基、イミダゾリウムベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、メタクリル基などの親水基単独; 又は、 その組み合わせからなる親水基などである。なお、Yが複数の場合は互いに同一でも異なっていてもよい。 構造Z−Y及びY−Z−Yにおいて、Yは、Z、又はZの末端の基に結合する。YがZの末端の基に結合する場合、Zの末端の基は、例えばYとの結合数と同数の水素原子等が取り除かれてYと結合する。 この構造において、親水基Y、A、Bを具体的に説明した基から選択して前述の拡張係数、水溶解度、界面張力を満たすことができる。こうして、目的の液膜開裂効果を発現する。

第2実施態様において、上記の構造Z、Z−Y、Y−Z−Yの具体例、該構造を有する液膜開裂剤の具体例としては、国際公開第2016/098796号の段落[0051]〜[0085]に記載のものなどを含むことができる。

前述の第2実施態様の拡張係数、表面張力、水溶解度及び界面張力は、それぞれ、上記の炭素原子数5以上の炭化水素化合物において、例えば、親水的なPOE基を水不溶性が維持できる程度に少量導入すること、疎水的だが界面張力を低下させることができるPOP基やPOB基を導入すること、炭化水素鎖の鎖長を変化させること、炭化水素鎖に分岐鎖を有するものを用いること、炭化水素鎖に二重結合を有するものを用いること、炭化水素鎖にベンゼン環やナフタレン環を有するものを用いること等により、所定の範囲に設定できる。

本発明に係る不織布において、上述した液膜開裂剤の他に、必要により他の成分を含有させてもよい。また、第1実施態様の液膜開裂剤、第2実施態様の液膜開裂剤は、別々に用いる形態以外にも、両者の剤を組み合わせて用いてもよい。この点は、第2実施態様の液膜開裂剤における第1の化合物(即ち国際公開第2016/098796号の段落[0054]以降に記載されたポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤)と第2の化合物(即ち国際公開第2016/098796号の段落[0060]以降に記載された炭素原子数5以上の炭化水素化合物)についても同じである。このとき、液膜開裂剤として、前述の化合物(C1)及び化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物を用いてもよい。

なお、本発明に係る不織布において、含有される液膜開裂剤やリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を同定する場合は、上記の液膜(表面張力が50mN/mの液体)の表面張力(γw)等の測定方法で述べた同定の方法を用いることができる。 また、液膜開裂剤の成分が、主鎖がシロキサン鎖を有する化合物又は炭素原子数1以上20以下の炭化水素化合物である場合、不織布質量に対する含有割合(OPU)は、前述の分析手法により得た物質の質量を基に、その液膜開裂剤の含有量を繊維の質量で割ることにより求めることができる。

本実施形態に係る不織布は、液残りの低減効果が高くドライ性に優れるため、繊維の太さや繊維間距離に関係なく、液透過性に優れたものとなる。このことから、国際公開第2016/098796号の段落[0089]〜[0092]に記載するように、不織布の液透過性に必要な繊維間距離を従来よりも小さくしたものとすることができる。これにより従来よりも細い繊維を用いて、より肌触りの柔らかい不織布とすることが可能となる。

このような本実施形態の不織布の形態としては種々のものとすることができる。例えば、1繊維層からなるものであってもよく、2以上の複数の繊維層からなるものであってもよい。また、平坦な形状であってもよく、凹凸形状を有するものであってもよい。凹凸形状を有する不織布としては、例えば、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0100]〜[0110]、図3〜11に記載したようなものが挙げられる。

本発明に係る不織布は、液残りの低減性及び液の表面流れの防止性、これによる高いドライ性を活かして、種々の分野に適用できる。例えば生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、失禁パッドなどの身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、吸収体、吸収体を包む被覆シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更に対物用のワイパーなどとして好適に用いられる。

身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。本発明に係る不織布を表面シートとして用いた場合の吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。

上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の不織布、吸収性物品及び繊維処理剤を開示する。

<1> 液膜開裂剤を含有する不織布であって、下記[体液表面張力の低下率の測定方法]における表面張力の低下率が25%未満である不織布。 [体液表面張力の低下率の測定方法] (1)下記の試験液を準備する。前記表面張力は、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域において、プレート法により測定する。 試験液:100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置し、上層と下層とに分離した液を混合して粘度8.0cPになるように混合比率を調整した液。 (2)次いで、不織布の繊維表面に配されている成分のうち、前記液膜開裂剤を除く成分を塗工した不織布を準備する。前記成分の塗工量は、不織布から抽出した成分の構造、量、比率を同定し、これに基づいて定める。塗工後の測定対象の不織布を直径5cm×5cmのシャーレの上に直接貼付け、3gずつ繰り返し前記試験液を通過させ、合計15g通過させる。 (3)通過させた液体の表面張力を、前記(1)において用いたプレート法によって測定する。 (4)前記(1)の不織布通過前の試験液の表面張力に対する、前記(3)の不織布通過後の試験液の表面張力の低下率(%)を算出する。

<2> 下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物を含有する不織布であって、下記[体液表面張力の低下率の測定方法]における表面張力の低下率が25%未満である不織布。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 [体液表面張力の低下率の測定方法] (1)下記の試験液を準備する。前記表面張力は、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域において、プレート法により測定する。 試験液:100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置し、上層と下層とに分離した液を混合して粘度8.0cPになるように混合比率を調整した液。 (2)次いで、不織布の繊維表面に配されている成分のうち、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)を除く成分を塗工した不織布を準備する。前記成分の塗工量は、不織布から抽出した成分の構造、量、比率を同定し、これに基づいて定める。塗工後の測定対象の不織布を直径5cm×5cmのシャーレの上に直接貼付け、3gずつ繰り返し前記試験液を通過させ、合計15g通過させる。 (3)通過させた液体の表面張力を、前記(1)において用いたプレート法によって測定する。 (4)前記(1)の不織布通過前の試験液の表面張力に対する、前記(3)の不織布通過後の試験液の表面張力の低下率(%)を算出する。

<3> 前記表面張力の低下率は、23%以下、好ましくは17%以下、より好ましくは12%以下、更に好ましくは0%である、前記<1>又は<2>に記載の不織布。

<4> さらに下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分を含有する、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の不織布。 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記液膜開裂剤又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも親水性であり、親水基を有さない化合物

<5> 液膜開裂剤と、下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する不織布。 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記液膜開裂剤よりも親水性であり、親水基を有さない化合物

<6> 下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物と、下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する不織布。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも親水性であり、親水基を有さない化合物

<7> さらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含有する、前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の不織布。

<8> 前記液膜開裂剤の総量又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)の総量に対する、前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量の質量比(前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の合計の質量/前記液膜開裂剤の質量又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)の合計の質量)は、0.25以上9以下であり、好ましくは0.43以上、より好ましくは0.53以上、また、好ましくは4以下、より好ましくは2.3以下である、前記<4>〜<7>のいずれか1に記載の不織布。 <9> 前記液膜開裂剤の総量又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)の総量に対する、前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量の質量比(前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の合計の質量/前記液膜開裂剤の質量又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)の合計の質量)は、0.53以上2.3以下である、前記<4>〜<7>のいずれか1に記載の不織布。 <10> 前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量は、不織布質量に対する含有割合(OPU)として、0.06質量%以上3質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.14質量%以上、また好ましくは2.3質量%以下、より好ましくは1質量%以下である、前記<4>〜<9>のいずれか1に記載の不織布。 <11> 前記成分(D1)、(D2)及び(D3)の総量は、不織布質量に対する含有割合(OPU)として、0.06質量%以上1質量%以下である、前記<4>〜<9>のいずれか1に記載の不織布。

<12> 前記成分(D1)は、単独で水への溶解性を有する、前記<4>〜<11>のいずれか1に記載の不織布。 <13> 前記成分(D1)は、単独で水への溶解性を有するとは、単独で水へ20分間浸漬させて、成分(D1)の2.5wt%水溶液を作製したときに、下記の測定によって判断される泡立ち高さが10mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは18mm以下、更に好ましくは15mm以下である、前記<4>〜<12>のいずれか1に記載の不織布。 (成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法) まず、成分(D1)を0.2g秤量し、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.4 胴径24mm、全長53mm)に注いで、さらに8.0gの脱イオン水を注いだ後、20分間静置して十分に脱イオン水中に溶解させ、水溶液を作製する。 次いで、前記スクリュー管を上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。振とう直後から10秒経過後に、前記水溶液の構造体層の高さ(液体層の液面から、空気が抱えこまれた構造体層上面までの高さ)を測定する。この高さを成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さとする。 <14> 前記成分(D1)は、単独で水への溶解性を有するとは、単独で水へ20分間浸漬させて、成分(D1)の2.5wt%水溶液を作製したときに、下記の測定によって判断される泡立ち高さが10mm以上15mm以下である、前記<4>〜<12>のいずれか1に記載の不織布。 (成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法) まず、成分(D1)を0.2g秤量し、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.4 胴径24mm、全長53mm)に注いで、さらに8.0gの脱イオン水を注いだ後、20分間静置して十分に脱イオン水中に溶解させ、水溶液を作製する。 次いで、前記スクリュー管を上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。振とう直後から10秒経過後に、前記水溶液の構造体層の高さ(液体層の液面から、空気が抱えこまれた構造体層上面までの高さ)を測定する。この高さを成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さとする。 <15> 前記成分(D1)は、前記液膜開裂剤又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも高いHLB値を有する化合物を含む、前記<4>〜<14>のいずれか1に記載の不織布。 <16> 前記成分(D1)は、HLB値が10以上20以下であり、好ましくは11以上、より好ましくは13以上、また、好ましくは17以下、より好ましくは15以下である化合物を含む、前記<4>〜<15>のいずれか1に記載の不織布。 <17> 前記成分(D1)は、HLB値が13以上15以下である化合物を含む、前記<4>〜<15>のいずれか1に記載の不織布。 <18> 前記成分(D1)は、融点が5℃以上25℃未満であり、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、また、好ましくは24℃以下、より好ましくは22℃以下である化合物を含む、前記<4>〜<17>のいずれか1に記載の不織布。 <19> 前記成分(D1)は、融点が15℃以上22℃以下である化合物を含む、前記<4>〜<17>のいずれか1に記載の不織布。 <20> 前記成分(D1)は、炭化水素系ノニオン界面活性剤及びシリコーン系ノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含む、前記<4>〜<19>のいずれか1に記載の不織布。 <21> 前記成分(D1)のノニオン界面活性剤が、親水基としてポリエチレンオキシド型、ポリオール(多価アルコール)型、ブロックポリマー型、含窒素型から選ばれる少なくとも1種を有し、疎水基として、多価アルコール脂肪酸骨格を除く、アルキル鎖もしくはシリコーン鎖を有する、前記<4>〜<20>のいずれか1に記載の不織布。 <22> 前記成分(D1)は、親水基として少なくともポリオキシエチレン基を有する、前記<4>〜<21>のいずれか1に記載の不織布。 <23> 前記成分(D1)のノニオン界面活性剤が、下記(D11)及び(D12)から選ばれる少なくとも1種を含む、前記<4>〜<22>のいずれか1に記載の不織布。 (D11)水溶液の振とう後の泡立ち高さが10mm以上であり、親水基として、ポリオキシエチレン基のみからなる基、又は、ポリオキシエチレン基と他のポリオキシアルキレン基とからなる基を有し、疎水基として、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素鎖(多価アルコール脂肪酸骨格を除く)を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤。 (D12)水溶液の振とう後の泡立ち高さが10mm以上であり、親水基として、ポリオキシエチレン基のみからなる基、又は、ポリオキシエチレン基と他のポリオキシアルキレン基とからなる基を有し、疎水基として、直鎖状又は分岐鎖状のシリコーン鎖を有するシリコーン系ノニオン界面活性剤。 <24> 前記成分(D1)のノニオン界面活性剤が、下記(D11−1)、(D11−2)、(D12−1)及び(D12−2)から選ばれる少なくとも1種を含む、前記<4>〜<23>のいずれか1に記載の不織布。 (D11−1)直鎖状のポリオキシエチレンアルキルエーテルであって、オキシエチレンの付加モル数が5モル以上であるポリオキシエチレン基を親水基として有し、疎水基として、炭素原子数10以上22以下程度の直鎖状の炭化水素鎖を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤。 (D11−2)ポリオキシエチレン基におけるオキシエチレンの付加モル数が5モル以上でポリオキシプロピレン基におけるオキシプロピレンの付加モル数が3モル以下であり、ポリオキシプロピレン基とポリオキシエチレン基との共重合物を親水基として有し、疎水基として、直鎖状の炭化水素鎖を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤。 (D12−1)側鎖変性シリコーンで、直鎖状のシリコーン鎖にポリオキシエチレン基を有するシリコーン系ノニオン界面活性剤。 (D12−2)ポリオキシエチレン基におけるオキシエチレンの付加モル数とポリオキシプロピレン基におけるオキシプロピレンの付加モル数が合計で30モル以上であって、かつ、ポリオキシエチレン基におけるオキシエチレンの付加モル数の方がポリオキシプロピレン基におけるオキシプロピレンの付加モル数よりも多い共重合物を親水基として、直鎖状のシリコーン鎖を側鎖変性したシリコーン系ノニオン界面活性剤。 <25> 前記成分(D1)は、融点が20℃以上であり、親水基として、オキシエチレンの付加モル数が9モルのポリオキシエチレン基を有し、疎水基としてラウリル基を有する炭化水素系ノニオン界面活性剤を含む、前記<4>〜<24>のいずれか1に記載の不織布。 <26> 前記成分(D1)のノニオン界面活性剤が、下記の群から選ばれる少なくとも1種を含む、前記<4>〜<25>のいずれか1に記載の不織布。 (炭化水素系ノニオン界面活性剤) ポリエチレンオキシド型ノニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル ポリオール(多価アルコール)型ノニオン界面活性剤:ソルビタンモノアルキレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート、グリセロールモノアルキレート、ポリグリセリルモノアルキレート、アルキルグルコシド、ペンタエリスリトールモノアルキレート ブロックポリマー型ノニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 含窒素型ノニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルポリオキシエチレン脂肪酸アミド (シリコーン系ノニオン界面活性剤) ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性シリコーンであって、ポリオキシアルキレン基におけるオキシアルキレンの付加モル数が30モル以上であり、ポリオキシエチレン基を1以上含み、かつポリオキシエチレン基におけるオキシエチレンの付加モル数が最も多いシリコーン系ノニオン界面活性剤。 <27> 成分(D1)のノニオン界面活性剤の質量平均分子量は、50以上1500以下であり、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、また、好ましくは1000以下、より好ましくは750以下である、前記<4>〜<26>のいずれか1に記載の不織布。

<28> 前記成分(D2)は、液膜開裂剤又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)から選ばれる1もしくは複数の化合物よりも表面張力が高くされている化合物を含む、前記<4>〜<27>のいずれか1に記載の不織布。 <29> 前記成分(D2)は、表面張力が42mN/m以上60mN/m以下、好ましくは42.5mN/m以上、より好ましくは43mN/m以上、また、好ましくは55mN/m以下、より好ましくは50mN/m以下である化合物を含む、前記<4>〜<28>のいずれか1に記載の不織布。 <30> 前記成分(D2)は、表面張力が43mN/m以上50mN/m以下である化合物を含む、前記<4>〜<28>のいずれか1に記載の不織布。 <31> 前記成分(D2)は、親水基を有する構造のみからなる化合物を含む、前記<4>〜<30>のいずれか1に記載の不織布。 <32> 前記成分(D2)は、前記親水基を有する構造として、ポリオキシエチレン基を有する構造、又は、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基のブロック共重合体を有する構造を有する化合物を含む、前記<31>に記載の不織布。 <33> 前記成分(D2)が、ポリエチレングリコール、及び、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの共重合物から選ばれる1又は複数を含む、前記<4>〜<32>のいずれか1に記載の不織布。 <34> 前記成分(D2)が含む化合物の質量平均分子量は、200以上10000以下であり、300以上、好ましくは400以上、また、好ましくは8000以下、より好ましくは6000以下である、前記<4>〜<33>のいずれか1に記載の不織布。 <35> 前記成分(D2)が含む化合物の質量平均分子量は、400以上6000以下である、前記<4>〜<33>のいずれか1に記載の不織布。 <36> 前記成分(D2)が、ポリオキシエチレン化合物とポリオキシプロピレン化合物の共重合物を含む場合、ポリオキシプロピレン化合物(POP)のポリオキシエチレン化合物(POE)に対する重合比(POPの重合度/POEの重合度)は、0超10以下であり、好ましくは5以上、より好ましくは6.5以上、また、好ましくは8以下、より好ましくは7以下である、前記<4>〜<35>のいずれか1に記載の不織布。 <37> 前記成分(D2)が、ポリオキシエチレン化合物とポリオキシプロピレン化合物の共重合物を含む場合、ポリオキシプロピレン化合物(POP)のポリオキシエチレン化合物(POE)に対する重合比(POPの重合度/POEの重合度)は、6.5以上7以下である、前記<4>〜<35>のいずれか1に記載の不織布。 <38> 前記成分(D2)が、質量平均分子量400のポリエチレングリコール、及び、ポリエチレングルコールとポリプロピレングリコールを質量比にて1:7程度の比率で重合した化合物から選ばれる1又は複数を含む、前記<4>〜<37>のいずれか1に記載の不織布。

<39> 前記成分(D3)は、融点が40℃以上120℃以下、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、また、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である化合物を含む、前記<4>〜<38>のいずれか1に記載の不織布。 <40> 前記成分(D3)は、融点が60℃以上100℃以下である化合物を含む、前記<4>〜<38>のいずれか1に記載の不織布。 <41> 前記成分(D3)は、水溶解度が0.01g以下、好ましくは0.001g以下、より好ましくは0.0001g未満である化合物を含む、前記<4>〜<40>のいずれか1に記載の不織布。 <42> 前記成分(D3)が含む化合物の質量平均分子量は、200以上5000以下であり、好ましくは300以上、より好ましくは400以上、また、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下である、前記<4>〜<41>のいずれか1に記載の不織布。 <43> 前記成分(D3)が含む化合物の質量平均分子量は、400以上3000以下である、前記<4>〜<41>のいずれか1に記載の不織布。 <44> 前記成分(D3)が炭化水素化合物を含む、前記<4>〜<43>のいずれか1に記載の不織布。 <45> 前記成分(D3)がジアミド化合物を含む、前記<4>〜<44>のいずれか1に記載の不織布。 <46> 前記成分(D3)がN”N−ビス(3−メトキシプロピル)イソドコ酸ジアミドを含む、前記<4>〜<45>のいずれか1に記載の不織布。 <47> 前記成分(D3)は、前記液膜開裂剤又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも親水性である化合物を含み、「前記液膜開裂剤又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも親水性である」とは、前記成分(D3)のIOB値が前記液膜開裂剤又は前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)のIOB値よりも大きいことをいう、前記<4>〜<46>のいずれか1に記載の不織布。 <48> 前記成分(D3)は、IOB値が0.7以上0.9以下、好ましくは0.75以上、また、好ましくは0.85以下である化合物を含む、前記<47>に記載の不織布。 <49> 前記成分(D3)は、IOB値が0.75以上0.85以下である化合物を含む、前記<47>に記載の不織布。 <50> 前記液膜開裂剤又は前記化合物(C1)は、IOB値が0.3以上0.8以下、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.55以上、また、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.65以下である化合物を含む、前記<4>〜<49>のいずれか1に記載の不織布。 <51> 前記液膜開裂剤又は前記化合物(C1)は、IOB値が0.55以上0.65以下である化合物を含む、前記<4>〜<49>のいずれか1に記載の不織布。 <52> 前記液膜開裂剤又は前記化合物(C2)は、IOB値が0以上0.6以下、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、また、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下である化合物を含む、前記<4>〜<51>のいずれか1に記載の不織布。 <53> 前記液膜開裂剤又は前記化合物(C2)は、IOB値が0.1以上0.4以下である化合物を含む、前記<4>〜<51>のいずれか1に記載の不織布。

<54> 前記不織布を構成する繊維の最表層に、前記液膜開裂剤、又は、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物と、前記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分との混合層を有する、前記<4>〜<53>のいずれか1に記載の不織布。 <55> 前記<1>〜<54>のいずれか1に記載の不織布を有する吸収性物品。 <56> 表面シートと吸収体を有する吸収性物品であって、前記<1>〜<54>のいずれか1に記載の不織布を表面シートとして有する吸収性物品。 <57> 液膜開裂剤と下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する繊維処理剤。 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記液膜開裂剤よりも親水性であり、親水基を有さない化合物 <58> 下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物と、下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する繊維処理剤。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも親水性であり、親水基を有さない化合物 <59> 下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物を含有する不織布であって、下記[体液表面張力の低下率の測定方法]における表面張力の低下率が25%未満である不織布の、液膜開裂のための使用。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 [体液表面張力の低下率の測定方法] (1)下記の試験液を準備する。前記表面張力は、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域において、プレート法により測定する。 試験液:100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置し、上層と下層とに分離した液を混合して粘度8.0cPになるように混合比率を調整した液。 (2)次いで、不織布の繊維表面に配されている成分のうち、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)を除く成分を塗工した不織布を準備する。前記成分の塗工量は、不織布から抽出した成分の構造、量、比率を同定し、これに基づいて定める。塗工後の測定対象の不織布を直径5cm×5cmのシャーレの上に直接貼付け、3gずつ繰り返し前記試験液を通過させ、合計15g通過させる。 (3)通過させた液体の表面張力を、前記(1)において用いたプレート法によって測定する。 (4)前記(1)の不織布通過前の試験液の表面張力に対する、前記(3)の不織布通過後の試験液の表面張力の低下率(%)を算出する。 <60> 下記化合物(C1)及び下記化合物(C2)から選ばれる1又は複数の化合物と、下記成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを含有する不織布の、液膜開裂のための使用。 (C1)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物 (C2)表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 (D1)ノニオン界面活性剤 (D2)表面張力42mN/m以上を有する化合物 (D3)融点が40℃以上であり、前記化合物(C1)及び前記化合物(C2)よりも親水性であり、親水基を有さない化合物

以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。また、拡張係数、界面張力、表面張力及び水溶解度は、前述のとおり、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で測定したものである。下記実施例等における、液膜開裂剤の表面張力、水溶解度及び界面張力は、上記で示した国際公開第2016/098796号の段落[0015]〜[0022]に記載の測定方法により行った。また、下記実施例等における成分(D1)の融点、成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さ、HLBは前述の(成分(D1)の融点の測定方法)、(成分(D1)の水溶液の振とう後の泡立ち高さの測定方法)、(成分(D1)のHLB値の測定方法)に基づいて測定した。下記実施例等における成分(D2)の表面張力は、前述の(成分(D2)の表面張力の測定方法)に基づき測定した。成分(D3)の水溶解度は、液膜開裂剤における測定方法と同様の方法により測定した。なお、下記表中における、「−」は、項目名に示される剤を用いないこと、項目に該当する値を有さないこと等を意味する。

(実施例1) (1)原料不織布の作製 上層の繊維ウエブとして、繊度1.2dtexの非熱収縮の繊維を用いて坪量22g/m2の上層繊維ウエブと、繊度2.3dtexの熱収縮の繊維を用いた坪量25g/m2の下層繊維ウエブとを準備した。次いで、上層繊維ウエブと下層繊維ウエブとを積層し、特開2015−186543号明細書に記載の実施例1と同様のエンボスパターンで上層繊維ウエブ側からエンボス処理を行った。これにより、図2に示した、肌側繊維層17と非肌側繊維層18とを接合する凹状接合部19を形成した不織布1を得た。この不織布から、大きさ400mm×140mmの本実施例1の原料不織布を作製した。 (2)塗布液の作製 下記液膜開裂剤と下記成分(D1)とを、室温25℃の条件下で、質量比75:25の割合で配合して、塗布液を作製した。 <液膜開裂剤> POE変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製、商品名KF−6015)であって、構造X−YにおけるXが−Si(CH3)2O−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(C2H4O)−からなるPOE鎖からなり、POE鎖の末端基がメチル基(CH3)であり、変性率が20%、オキシエチレン付加モル数が3、質量平均分子量が4000の化合物。 前記液膜開裂剤は、表面張力21.0mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は28.8mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、0.2mN/mであった。これらの数値は、前述の測定方法により測定した。その際、「表面張力が50mN/mの液体」は、100gの脱イオン水にノニオン系界面活性物質であるPOEソルビタンモノラウレート(花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)をマイクロピペット(Socorex Isba SA社製、商品名ACURA825)で3.75μL添加し、表面張力を50±1mN/mに調整した溶液を用いた。また、水溶解度は、0.0001g毎に剤を添加して測定した。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とした。それ以外の数値についても同様の方法により測定した。 <成分(D1)> POE直鎖ラウリルエーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲン109P) (3)不織布試料の作製 前記原料不織布の上層側から、フレキソ印刷方式にて、前記塗布液を全面に塗布し、実施例1の不織布試料を作製した。液膜開裂剤と成分(D1)の含有割合(OPU)を表4示す通りとした。

(実施例2) 塗布液における液膜開裂剤と成分(D1)との配合割合を、質量比にて3:2(60:40)とし、液膜開裂剤と成分(D1)の含有割合(OPU)を表4に示す通りとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の不織布試料を作製した。

(参考1) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考1の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POE・POP直鎖アルキル(C11〜C14)エーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲンLS−106)

(参考2) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考2の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POE・POP直鎖アルキル(C11〜C14)エーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲンLS−110)

(実施例3) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POE・POP直鎖アルキル(C11〜C14)エーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲンLS−114)

(参考3) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考3の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POE・POP変性シリコーン(信越化学工業株式会社製、商品名KF6012)

(実施例4) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POE直鎖ラウリルエーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲン106)

(参考4) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考4の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POEアルキルsecC11−C15エーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲン705)

(参考5) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考5の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POEアルキルsecC11−C15エーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲン707)

(参考6) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考6の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POEアルキルsecC11−C15エーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲン709)

(参考7) 成分(D1)として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考7の不織布試料を作製した。 <成分(D1)> POEオレイルエーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲン408)

(実施例5) 下記の液膜開裂剤を用い、液膜開裂剤と成分(D1)の含有割合(OPU)を表4に示す通りとした以外は、実施例2と同様にして、実施例5の不織布試料を作製した。 <液膜開裂剤> エポキシ変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製、商品名KF−101)で、構造X−YにおけるXが−Si(CH3)2O−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(RC2H3O)−から成るエポキシ基からなるものであり、変性率が32%、質量平均分子量が35800のもの。 表面張力:21.0mN/m 水溶解度:0.0001g未満 表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数:26.0mN/m 表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力:3.0mN/m

(実施例6) 下記の液膜開裂剤を用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例6の不織布試料を作製した。 <液膜開裂剤> トリカプリル酸・カプリン酸グリセリル(花王株式会社製、商品名ココナードMT)で、構造Z—YにおけるZが*−O−CH(CH2O−*)2(*は結合部を示す。)であり、YがC8H15O−やC10H19O−の炭化水素鎖からなるものであり、脂肪酸組成がカプリル酸を82%、カプリン酸を18%からなり、質量平均分子量が550のもの。 表面張力:28.9mN/m 水溶解度:0.0001g未満 表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数:8.8mN/m 表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力:12.3mN/m (実施例7) 実施例2の塗布液とステアリル(C18)リン酸エステルカリウム塩(花王株式会社製、商品名グリッパー4131の水酸化カリウム中和物)とを混合し、エタノールで25質量%の希釈液を作製した。その希釈液をフレキソ印刷機で、実施例1にて作製したものと同様の原料不織布へ塗布し、乾燥後に0.46質量%で剤が塗布された実施例7の不織布試料を作製した。液膜開裂剤、成分(D1)及びステアリル(C18)リン酸エステルカリウム塩の含有割合(OPU)を表4に示す通りとした。 (実施例8) 実施例6の塗布液とステアリル(C18)リン酸エステルカリウム塩(花王株式会社製、商品名グリッパー4131の水酸化カリウム中和物)とを混合し、エタノールで25質量%の希釈液を作製した。その希釈液をフレキソ印刷機で、実施例1にて作製したものと同様の原料不織布へ塗布し、乾燥後に0.46質量%で剤が塗布された実施例8の不織布試料を作製した。液膜開裂剤、成分(D1)及びステアリル(C18)リン酸エステルカリウム塩の含有割合(OPU)を表4に示す通りとした。

(実施例9) 下記の液膜開裂剤を用い、液膜開裂剤と成分(D1)の含有割合(OPU)を表4に示す通りとした以外は、実施例5と同様にして実施例9の生理用ナプキン試料を作製した。 <液膜開裂剤> 液膜開裂剤としてポリオキシプロピレン(POP)変性ジメチルシリコーンで、構造X−YにおけるXがSiOC2H6からなるジメチルシリコーン鎖、YがC3H6OからなるPOP鎖からなるものであり、ポリオキシプロピレン付加モル数が12のもの。 表面張力:21.0mN/m 水溶解度:0.025g以下 表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数:29.0mN/m 表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力:0.5mN/m

(実施例10) 下記の液膜開裂剤を用い、液膜開裂剤と成分(D1)の含有割合(OPU)を表4に示す通りとした以外は、実施例5と同様にして実施例10の生理用ナプキン試料を作製した。 <液膜開裂剤> 液膜開裂剤としてPOE変性ジメチルシリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名SH3775M)であって、構造X−YにおけるXが−Si(CH3)2O−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(C2H4O)−からなるPOE鎖からなり、POE鎖の末端基がメチル基(CH3)であり、変性率が4%、オキシエチレン付加モル数が18、質量平均分子量が10800のもの。 表面張力:17.0mN/m 水溶解度:0.0001g未満

(実施例11) 成分(D1)ではなく、下記成分(D2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例11の不織布試料を作製した。 <成分(D2)> ポリエチレングリコール(PEG)(和光純薬工業株式会社製、商品名ポリエチレングリコール400)

(実施例12) 塗布液における液膜開裂剤と成分(D2)との配合割合を、質量比にて7:13(35:65)とし、液膜開裂剤と成分(D2)の含有割合(OPU)を表5に示す通りとした以外は、実施例11と同様にして、実施例12の不織布試料を作製した。

(実施例13) 成分(D1)ではなく、下記成分(D2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例13の不織布試料を作製した。 <成分(D2)> POE・POPグリコール(株式会社ADEKA製、商品名プルロニックL31)

(実施例14) 成分(D1)ではなく、下記成分(D2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例14の不織布試料を作製した。 <成分(D2)> POE・POPグリコール(株式会社ADEKA製、商品名プルロニックL61)

(実施例15) 成分(D1)ではなく、下記成分(D2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例15の不織布試料を作製した。 <成分(D2)> POE・POPグリコール(株式会社ADEKA製、商品名プルロニックL62)

(実施例16) 成分(D1)ではなく、下記成分(D3)のジアミド化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例16の不織布試料を作製した。 <成分(D3)> N”N−ビス(3−メトキシプロピル)イソドコ酸ジアミド(花王株式会社製)

(実施例17) 塗布液における液膜開裂剤と成分(D3)との配合割合を、質量比にて90:10とし、液膜開裂剤と成分(D3)の含有割合(OPU)を表6に示す通りとした以外は、実施例16と同様にして、実施例17の不織布試料を作製した。

(実施例18) 実施例1の液膜開裂剤に対し、実施例16の成分(D3)と実施例4の成分(D1)とを加えて塗布液を作製し、塗布液における液膜開裂剤、成分(D3)及び成分(D1)の配合割合を、質量比にて36:2:2(90:5:5)とし、液膜開裂剤と成分(D1)と成分(D3)の含有割合(OPU)を表6に示す通りとした以外は、実施例16と同様にして、実施例18の不織布試料を作製した。

(実施例19) (1)原料不織布の作製方法 上層の繊維ウエブとして、繊度1.2dtexであってポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)の芯鞘繊維を用いて、坪量10g/m2の上層繊維ウエブを準備した。また、繊度5.6dtexであってPET/PEの芯鞘繊維を用いて、坪量15g/m2の下層繊維ウエブとを準備した。 次いで、上層繊維ウエブと下層繊維ウエブとを積層し、エアスルー処理を行い、フラットなエアスルー不織布を得た。得られたサンプルを大きさ400mm×140mmにカットして、本実施例19の原料不織布を作製した。 (2)塗布液の作製 実施例1と同様にして、塗布液を作製した。 (3)不織布試料の作製 上記の原料不織布及び塗布液を用いて、実施例1と同様にして、実施例19の不織布試料を作製した。

(参考8) 成分(D1)として参考3の成分(D1)を用いた以外は、実施例19と同様にして、参考8の不織布試料を作製した。

(実施例20) 実施例1の液膜開裂剤に対し、実施例16の成分(D3)と実施例4の成分(D1)とを加えて塗布液を作製し、塗布液における液膜開裂剤、成分(D3)及び成分(D1)の配合割合を、質量比にて36:2:2(90:5:5)とし、液膜開裂剤と成分(D1)と成分(D3)の含有割合(OPU)を表8に示す通りとした以外は、実施例19と同様にして、実施例20の不織布試料を作製した。

(比較例1) 実施例1で作製した原料不織布と同様のものを比較例1の不織布試料として作製した。

(比較例2) 実施例24で作製した原料不織布と同様のものを比較例2の不織布試料として作製した。

(参考例9) 成分(D1)〜(D3)を含有させずに、液膜開裂剤を、不織布質量に対する含有割合(OPU)0.4質量%で塗布した以外は、実施例1と同様にして、参考例9の不織布試料を作製した。20、参考例1〜8

(参考例10) 成分(D1)〜(D3)を含有させずに、液膜開裂剤を、不織布質量に対する含有割合(OPU)0.4質量%で塗布した以外は、実施例17と同様にして、参考例10の不織布試料を作製した。

なお、各々の実施例、比較例及び参考例において、上記原料不織布の繊維には、繊維の製造工程において繊維処理剤が事前に塗工された繊維を用いた。繊維処理剤には水溶性の界面活性剤が含まれていた。 各実施例においては、その上から、前述の塗布液(撥水的な液膜開裂剤と成分(D1)〜(D3)から選ばれる1又は複数の成分とを所定割合で配合した剤)を上塗りした。すなわち、図1(B)に示すように、前記繊維処理剤を中間層7とし、前記塗布液を混合層5として繊維の最表層に配した。前記成分(D1)は、特定の構造(直鎖状のPOEノニオン)、融点(15℃以上22℃以下)を有することで、水に溶けにくく表面張力が低下しにくい化合物であった。特に、前記成分(D1)は、実施例6などのように、POA基におけるオキシアルキレンの付加モル数が30モル以上であって、かつ、POE基におけるオキシエチレンの付加モル数の方がPOP基におけるオキシプロピレンの付加モル数よりも多いシリコーン系界面活性剤であることによって、より水に溶けにくく表面張力が低下しにくい化合物であった。前記成分(D2)は、水溶性であるが、界面活性剤ではなく、親水基(PEG、PPG)のみを有する構造であるため、構造的にも性質的にも前記繊維処理剤とは異なるものであった。前記成分(D3)は、水不溶性であり、親水基を持たない油に近い性質を有する化合物であるため、構造及び性質のどちらも前記繊維処理剤とは異なるものであった。

(試験方法) [1]体液の表面張力の変化 前述した(体液表面張力の低下率の測定方法)に基づいて、各実施例で用いた成分(D1)〜(D3)による体液の表面張力の変化を試験した。なお、この試験においては、表面張力49mN/mの試験液を用いた。

[2]不織布試料の液残り量 (1)実施例1〜18、参考例1〜7、比較例1、参考例9について: 生理用ナプキン(花王株式会社製、商品名ロリエエフ しあわせ素肌 22.5cm、2016年製)から表面シートを取り除き、各不織布試料を表面シートとして、上層側を上にして積層し、周囲を固定して、評価用の生理用ナプキン試料とした。 各生理用ナプキン試料の表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに100Paの一定荷重を掛けた。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から経血に相当する擬似血液(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)6.0gを流し込んだ。なお、用いた擬似血液は、東機産業株式会社製のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬脱繊維血液は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合比率を、8.0cPになるように調整した。合計6.0gの擬似血液を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除く。次いで、不織布試料の質量(W2)を測定し、予め測定しておいた、擬似血液を流し込む前の不織布試料の質量(W1)との差(W2−W1)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。液残り量は、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、液残り量が少ないほど程、液残り低減効果が高い。 (2)実施例19及び20、参考例8、比較例2、参考例10について: 当該試験において、各不織布試料に積層する吸収体として、花王株式会社製のメリーズ(登録商標)パンツタイプMサイズ(2018年製)から、コールドスプレーを吹きかけて接着剤を固化させて取り出した吸収体を用いた。 測定対象の不織布試料に、注入ポイントを中心として、7cm×7cmの四を書いた。 不織布試料の注入ポイントと上記吸収体の中心を一致させて、吸収体の上に不織布試料を載置した状態下に、20g/cm2の荷重を均等にかけた。試験体のほぼ中央に断面積1000mm2の筒を当て、そこから40gの人工尿を5.0g/秒の速度で不織布に、注入開始から10分間隔で4回通液させ、合計160g注入した後、10分放置した。 次いで、先ほど書いた7cm×7cm四角に沿ってカミソリで不織布を切り出し、その質量(W4)を測定した。その後、不織布を100℃の乾燥機へ入れて、十分に乾燥したのちに再度質量(W3)を測定した。質量(W4)−質量(W3) を液残り量とした。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。 不織布10への人工尿の供給は、シリコンチューブで液の吐出口を吸収体の上に載せた不織布の10mm上側まで導き、液注入ポンプ(ISMATEC社製、MCP−J)を用いて行った。 160gという供給量は、乳幼児の平均排泄量を想定したものである。また5.0g/秒という供給速度は、乳幼児の排泄時の尿の排泄スピードを想定したものである。

[3]不織布表面における液流れ(表面液流れ)長さ (1)実施例1〜18、参考例1〜7、比較例1、参考例9について: 前記[2](1)で用いた評価用の生理用ナプキン試料と同様のものを作製した。 試験装置は、試験サンプルの載置面が水平面に対して45°傾斜している載置部を有するものを用いた。各生理用ナプキン試料を、不織布試料が上方を向くようにして前記載置部に載置した。各生理用ナプキン試料の表面上に、擬似血液を0.1g/秒の速度で0.5g滴下させた。初めに不織布に着液した地点から、試験液が不織布内部に引き込まれて流れなくなった地点までの距離を測定した。なお、用いた擬似血液は、前記[2](1)と同様の方法で調整した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液流れ長さ(mm)とした。液流れ長さは、液が試験サンプルに吸収されずに表面上を流れ、装着時にどの程度漏れやすくなるかの指標となるものであり、液流れ長さが短いほど高評価となる。 (2)実施例19及び20、参考例8、比較例2、参考例10について: 前記[2](2)と同様の吸収体の上に不織布試料を載置した状態下で、吸収体の中心に注入点を書き、30°に斜面を作製し、サンプルが動かないように吸収体をアクリル板に固定し、前記[2](2)と同様に調製した人工尿を5.0g/秒の速度で注入点に対して注入した。 そのときに、不織布の表面で、注入点から人工尿が流れた距離を液流れ距離とした。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液流れ長さ(mm)とした。

上記実施例及び比較例、参考例についての試験結果は下記表4〜9のとおりである。また、実施例1〜20及び参考例1〜8の不織布試料について、図1(A)に示すように繊維最表層(表面)に液膜開裂剤と成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数との混合層が形成されていることを確認した。

表4〜9に示すとおり、液膜開裂剤を含まない比較例1では液残り量が269mgであった。これに対し、実施例1〜18では、液残り量が、比較例1の約半分から3分の1程度にまで低く抑えされており、液膜の効果的な開裂が確認された。また、液膜開裂剤を含まない比較例2では液残り量が162mgであったのに対し、実施例19及び20では、液残り量が、比較例2の半分から3分の1程度にまで低く抑えられており、液膜の効果的な開裂が確認された。以上のとおり、実施例1〜20は、液膜開裂剤における液残り低減効果の高いものであった。 一方、参考例9及び10では、液膜開裂剤のみが含有されて、成分(D1)〜(D3)のいずれをも含有されていないため、不織布表面における液流れ長さは比較例の方が、値が小さかった。 これに対し、実施例1〜20では、液膜開裂剤と成分(D1)、(D2)及び(D3)から選ばれる1又は複数の成分とが含有されていたため、参考例1及び2よりも不織布表面における液流れ長さが抑えられていた。さらに、実施例1〜20においては、不織布試料を通過した試験液(体液に相当)の表面張力は、比較例1及び2並びに参考例9及び10と遜色なく維持されていた。すなわち、実施例1〜20においては、不織布に親水性を付与する成分(D1)〜(D3)を含有しても、試験液の表面張力の低下が抑えられ、該表面張力の低下率が低いほど液膜開裂剤による作用が発揮されて液残り量が低く抑えられていた。 以上のとおり、実施例1〜20は、液残り低減の向上と液流れ防止性の向上とを同時に実現できていた。

1 繊維 5 混合層 7 中間層

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