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孔検査方法及び孔検査装置

阅读:1发布:2020-06-30

专利汇可以提供孔検査方法及び孔検査装置专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】検査対象部品の平面サイズ及び当該検査対象部品に形成されている孔がマイクロホンのサイズによって制限されることなく、かつ、高 精度 な孔検査を可能とする。 【解決手段】開口102を有する密閉型の筐体100内に設置されたスピーカー110と、スピーカー110を周 波数 掃引するスピーカー駆動部120と、孔を有する部品が開口を覆うように載置された状態でスピーカー110を周波数掃引したときに、孔を通過する 流体 の流量に依存した電気 信号 を出 力 する標準マイクロホン130と、標準マイクロホン130から出力される電気信号を周波数分析して共鳴周波数スペクトルを生成する周波数分析部140と、共鳴周波数スペクトルに基づいて、孔の適否を判定する孔検査部150とを備え、マスターサンプに対応して生成された基準共鳴周波数スペクトルと、検査対象部品に対応して生成された検査対象共鳴周波数スペクトルとに基づいて、孔の適否を判定する。 【選択図】図1,下面是孔検査方法及び孔検査装置专利的具体信息内容。

検査対象部品に形成され、流体又は光の通過が可能な孔を検査する孔検査方法であって、 内部に空間部を有するとともに1つの面に開口を有し、当該開口以外が密閉されている筐体と、 前記筐体に形成されている前記空間部において前記開口を有する面とは反対側に設けられ、前記開口の側に向けて音を出するスピーカーと、 前記スピーカーに対して所定範囲の周波数を所定時間内で周波数掃引するスピーカー駆動部と、 前記空間部の所定位置に設置され、前記孔を有する部品が前記開口を覆うように載置された状態で前記スピーカー駆動部が前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記孔を通過する気体の流量に依存した電気信号を出力するマイクロホンと、 前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、共鳴周波数が存在する共鳴周波数スペクトルを生成する周波数分析部と、 前記周波数分析部により生成された共鳴周波数スペクトルに基づいて、前記孔のサイズの検査を行う孔検査部と、 を備える孔検査装置を用いて、前記孔を検査する孔検査方法であり、 流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている孔が形成されているマスターサンプルと、当該マスターサンプルに形成されている孔のサイズと異なるサイズの孔が形成され、かつ、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている複数のサンプルとを用い、前記マスターサンプルと前記複数のサンプルとを含む各サンプルごとに、順次、前記筐体の開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引するステップと、 前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルを生成するステップと、 前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を得るステップと、 前記検査対象部品を前記開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引するステップと、 前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、当該検査対象部品に対応する検査対象共鳴周波数スペクトルを生成するステップと、 前記検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」とに基づいて、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの検査を行うステップと、 を有することを特徴とする孔検査方法。請求項1に記載の孔検査方法において、 前記マイクロホンから出力される電気信号は正弦波信号であり、 前記周波数分析部は、前記正弦波信号を高速フーリエ変換することによって、前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトル及び前記検査対象共鳴周波数スペクトルを生成することを特徴とする孔検査方法。請求項1又は2に記載の孔検査方法において、 前記マスターサンプルは、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定するためのサンプルであり、 前記孔のサイズの検査を行うステップは、前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルのうちの前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と前記検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分とに基づいて、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することを特徴とする孔検査方法。請求項3に記載の孔検査方法において、 前記スペクトル成分は、振幅値であって、 前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数を基準共鳴周波数とし、当該基準共鳴周波数の振幅値を基準振幅値としたとき、 「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれる成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」は、 前記基準共鳴周波数における前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルの振幅値と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関であり、 前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準振幅値と前記基準共鳴周波数における前記検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することを特徴とする孔検査方法。請求項4に記載の孔検査方法において、 前記基準振幅値には、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定するための許容範囲が設定されており、 前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準共鳴周波数における前記検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値が、前記許容範囲内であるか否かを判定することによって、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否の判定を行うことを特徴とする孔検査方法。請求項4又は5のいずれかに記載の孔検査方法において、 前記各サンプルに対応して得られたそれぞれの周波数分析結果において、前記各サンプルごとに第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルが生成される場合には、 前記各サンプルごとの第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルのうち、前記基準共鳴周波数における前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルの振幅値の差が大きく得られる共鳴周波数スペクトルを用いることを特徴とする孔検査方法。請求項3に記載の孔検査方法において、 前記スペクトル成分は、振幅値であって、 「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」は、 前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルに存在する各共鳴周波数の振幅値と、前記マスターサンプルを含む各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関であり、 前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値を基準振幅値としたとき、 前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準振幅値と前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値とに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することを特徴とする孔検査方法。請求項7に記載の孔検査方法において、 前記基準振幅値には、前記孔のサイズの適否を判定するための許容範囲が設定されており、 前記前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値が、前記許容範囲内であるか否かを判定することによって、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することを特徴とする孔検査方法。請求項3に記載の孔検査方法において、 前記スペクトル成分は、共鳴周波数であって、 「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」は、 前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数と前記マスターサンプルを含む各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関であり、 前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数を基準共鳴周波数としたとき、 前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準共鳴周波数と前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数とに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することを特徴とする孔検査方法。請求項9に記載の孔検査方法において、 前記基準共鳴周波数には、前記孔のサイズの適否を判定するための許容範囲が設定されており、 前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数が、前記許容範囲内であるか否かを判定することによって、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することを特徴とする孔検査方法。請求項1〜10のいずれかに記載の孔検査方法において、 前記マスターサンプルと前記検査対象部品とは、同一の厚みを有し、 前記孔のサイズの検査は、当該孔の径の検査であることを特徴とする孔検査方法。請求項1〜11のいずれかに記載の孔検査方法において、 前記孔は、1つの検査対象部品において複数個設けられており、当該複数個の孔は、前記流体又は光を同時に通過可能であり、 前記マイクロホンは、前記複数個の孔を同時に流通する気体の流量に依存した電気信号を出力することを特徴とする孔検査方法。検査対象部品に形成され、流体又は光の通過が可能な孔を検査する孔検査装置であって、 内部に空間部を有するとともに1つの面に開口を有し、当該開口以外が密閉されている筐体と、 前記筐体に形成されている前記空間部において前記開口を有する面とは反対側に設けられ、前記開口の側に向けて音を出力するスピーカーと、 前記スピーカーに対して所定範囲の周波数を所定時間内で周波数掃引するスピーカー駆動部と、 前記空間部の所定位置に設置され、前記孔を有する部品が前記開口を覆うように載置された状態で前記スピーカー駆動部が前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記孔を通過する気体の流量に依存した電気信号を出力するマイクロホンと、 前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、共鳴周波数が存在する共鳴周波数スペクトルを生成する周波数分析部と、 前記周波数分析部により生成された共鳴周波数スペクトルに基づいて、前記孔のサイズの検査を行う孔検査部と、 を備え、 前記周波数分析部は、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている孔が形成されているマスターサンプルと、当該マスターサンプルに形成されている孔のサイズと異なるサイズの孔が形成され、かつ、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている複数のサンプルとを、順次、前記筐体の開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して得られた前記マスターサンプルと前記複数のサンプルとを含む各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を求める機能を有し、 前記孔検査部は、前記検査対象部品を前記開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して得られた検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と、「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」とに基づいて前記検査対象部品に形成されている孔のサイズを検査する機能を有することを特徴とする孔検査装置。

说明书全文

本発明は、部品に形成されている孔を検査するための孔検査方法及び孔検査装置に関する。

部品に形成されている孔の適否を検査する装置として、例えば、特許文献1に記載されている微細孔検査装置及び微細孔検査方法(以下、特許文献1に記載されている微細孔検査装置と略記する。)がある。

図10は、特許文献1に記載されている微細孔検査装置900を説明するために示す図である。なお、図10は特許文献1に記載されている微細孔検査装置900の要部を示す図である。特許文献1に記載されている微細孔検査装置900は、図10に示すように、内部に空間部を有するほぼ密閉型の筐体910と、筐体910の内部における一端面の側に設置され、低周波信号によって低周波音を出するスピーカー(図示せず。)と、スピーカーが出力する低周波音に反応して振動板が振動することにより所定の電気信号を出力するマイクロホン(例えば、ダイナミック型のマイクロホン)920と、マイクロホン取り付け面930aを有するとともに、マイクロホン取り付け面930aとは反対側の面に部品940を載置する部品載置面930bを有し、かつ、マイクロホン920の振動板921が振動することによって生じる空気振動を部品載置面930bの側に通過させる空気通過孔931を有する仕切り部材930と、を有している。

このような構成において、部品940に形成されている微細孔941が空気通過孔931に連通するように当該部品940を部品載置面930bに載置した状態で、スピーカー(図示せず。)が低周波音を発することにより、マイクロホン920からは、空気通過孔931を通過した空気が微細孔941を通過する際の空気の流量に依存した電気信号が出力され、その電気信号に基づいて微細孔の適否を検査するものである。

特許第5715516号公報

特許文献1に記載の微細孔検査装置900は、上記したような構成となっているため、検査対象部品940は、当該検査対象部品940に形成されている微細孔941の平面サイズ(例えば孔径)が、マイクロホン920よりも小径(マイクロホン920の振動板921の径よりも小径)である必要がある。

これに対処するためには、マイクロホンを大型のもの使用することも考えられるが、特許文献1に記載の微細孔検査装置900は、検査対象部品そのものが小サイズ(外径が数mm〜数十mm程度)の部品を対象としているため、筐体910も小型であり、筐体910内に設置するマイクロホン920のサイズには制限がある。このため、当該特許文献1に記載の微細孔検査装置900は、孔の平面サイズ(例えば孔径)が比較的大きな部品を検査対象とするには不向きである。

特許文献1に記載の微細孔検査装置900は、例えば孔径が100μm程度の微細孔の検査を行う場合には、短時間で高精度な検査が可能となる優れた微細孔検査装置であるが、検査対象部品に形成されている孔の平面サイズ(例えば孔径)がマイクロホンによって制限されてしまうといった課題がある。特に、検査対象部品に形成されている孔径が、mm単位であったり、10数mm単位、さらには数十mm単位であったりすると、孔の検査が行えない場合もある。

そこで本発明は、検査対象部品に形成されている孔の平面サイズがマイクロホンによって制限されることなく孔の検査を行うことができ、しかも、孔の検査を短時間で高精度に行うことができる孔検査方法及び孔検査装置を提供することを目的とする。

本発明者は、上記目的を達成するためには、どのような検査を行えばよいかを精査した結果、ヘルムホルツ共鳴を検査対象部品(流体及び光を流通させるための孔が形成されている部品)に形成されている孔の検査に応用することを試みた。

ここで、ヘルムホルツ共鳴とは、空きビンなどのように比較的小さい開口を有した容器に息を吹きかけると「ボー」と音が鳴る現象であり、このようなヘルムホルツ共鳴を発生する容器(ヘルムホルツ共鳴器)の開口を、検査対象部品に形成されている孔に置き換えることができると考えた。

図1は、ヘルムホルツ共鳴について説明する図である。図1に示すように、開口1を有する容器2において、開口1の直径をa、開口1の長さをl、容器2の容積をV、音速をCとすると、共鳴周波数fは、

で表わすことができる。なお、(1)式において、lsは開口端補正量であり、ここでは、ls=0.85×a/2としている。

ここで、ヘルムホルツ共鳴器の開口1を、孔が形成されている部品に置き換えて、当該部品の厚み、すなわち、孔の深さ(図1におけるlに相当)を一定として孔径(図1におけるaに相当)を変化させたときの共鳴周波数を上記(1)式によって求めたところ、孔径の変化によって共鳴周波数が変化することが計算値において確かめられた。

また、孔径(図1におけるaに相当)を一定として孔の深さ(図1におけるlに相当)を変化させたときの共鳴周波数を上記(1)式によって求めたところ、同様に、孔の深さの変化によって共鳴周波数が変化することが計算値において確かめられた。

そこで、本発明者は、種々の試験を行った結果、ヘルムホルツ共鳴を検査対象部品(流体を流通させるための孔が形成されている部品)における孔の検査に応用できることを確認し、本発明を完成させるに至った。

[1]すなわち、本発明の孔検査方法は、検査対象部品に形成され、流体又は光の通過が可能な孔を検査する孔検査方法であって、内部に空間部を有するとともに1つの面に開口を有し、当該開口以外が密閉されている筐体と、前記筐体に形成されている前記空間部において前記開口を有する面とは反対側に設けられ、前記開口の側に向けて音を出力するスピーカーと、前記スピーカーに対して所定範囲の周波数を所定時間内で周波数掃引するスピーカー駆動部と、前記空間部の所定位置に設置され、前記孔を有する部品が前記開口を覆うように載置された状態で前記スピーカー駆動部が前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記孔を通過する気体の流量に依存した電気信号を出力するマイクロホンと、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、共鳴周波数が存在する共鳴周波数スペクトルを生成する周波数分析部と、前記周波数分析部により生成された共鳴周波数スペクトルに基づいて、前記孔のサイズの検査を行う孔検査部と、を備え、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている孔が形成されているマスターサンプルと、当該マスターサンプルに形成されている孔のサイズと異なるサイズの孔が形成され、かつ、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている複数のサンプルとを用い、前記マスターサンプルと前記複数のサンプルとを含む各サンプルごとに、順次、前記筐体の開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引するステップと、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルを生成するステップと、前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を得るステップと、前記検査対象部品を前記開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引するステップと、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、当該検査対象部品に対応する検査対象共鳴周波数スペクトルを生成するステップと、前記検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」とに基づいて、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの検査を行うステップと、を有することを特徴とする。

このように、本発明の孔検査方法は、ヘルムホルツ共鳴を利用して検査対象部品に形成されている孔のサイズの検査を行うようにしているため、検査対象部品に形成されている孔の平面サイズがマイクロホンによって制限されることなく孔のサイズの検査を行うことができ、しかも、孔のサイズの検査を短時間で高精度に行うことができる。なお、検査対処部品に形成されている孔は流体又は光を通過可能な孔としているが、主には、流体の通過を想定した孔である。

[2]本発明の孔検査方法においては、前記マイクロホンから出力される電気信号は正弦波信号であり、前記周波数分析部は、前記正弦波信号を高速フーリエ変換することによって、前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトル及び前記検査対象共鳴周波数スペクトルを生成することが好ましい。

これにより、マイクロホンから出力される正弦波信号から各サンプルごとの共鳴周波数スペクトル及び検査対象共鳴周波数スペクトルを生成することができる。

[3]本発明の孔検査方法においては、前記マスターサンプルは、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定するためのサンプルであり、前記孔のサイズの検査を行うステップは、前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルのうちの前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と前記検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分とに基づいて、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することが好ましい。

このように、マスターサンプルに対応して得られる共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と検査対象部品に対応して得られる検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分とに基づいて、孔のサイズの適否を判定することによって、検査対象部品に形成されている孔の平面サイズがマイクロホンによって制限されることなく孔のサイズの適否を検査することができ、しかも、検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定する処理を短時間で高精度に行うことができる。なお、「検査対象部品に形成されている孔の適否を判定する」ということは、マスターサンプルに対する検査対象部品の孔の適否を判定するということである。

[4]本発明の孔検査方法においては、前記スペクトル成分は、振幅値であって、前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数を基準共鳴周波数とし、当該基準共鳴周波数の振幅値を基準振幅値としたとき、「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれる成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」は、前記基準共鳴周波数における前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルの振幅値と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関であり、前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準振幅値と前記基準共鳴周波数における前記検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することが好ましい。

このように、基準振幅置と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することにより、検査対象部品に形成されている孔の適否を確実に行うことができる。

これは、マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数(基準共鳴周波)と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数との差がわずかであっても、また、マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値との差がわずかであっても、基準振幅値と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値との間には比較的大きな差が生じることが試験によって確かめられており、このことから、基準振幅値と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することによって、検査対象部品に形成されている孔の適否の判定を確実に行うことができる。

[5]本発明の孔検査方法においては、前記基準振幅値には、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定するための許容範囲が設定されており、前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準共鳴周波数における前記検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値が、前記許容範囲内であるか否かを判定することによって、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否の判定を行うことが好ましい。

これによって、孔のサイズの適否を判定するステップにおいては、基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値が、許容範囲内であるか否かを判定するだけで、検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を瞬時に判定でき、検査対象部品に形成されている孔の検査を短時間で行うことができる。

[6]本発明の孔検査方法においては、前記各サンプルに対応して得られたそれぞれの周波数分析結果において、前記各サンプルごとに第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルが生成される場合には、前記各サンプルごとの第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルのうち、前記基準共鳴周波数における前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルの振幅値の差が大きく得られる共鳴周波数スペクトルを用いることが好ましい。

このように、孔検査装置の筐体の形状、サイズなどによっては、第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルが生成される場合があり、このような場合、基準共鳴周波数における各サンプルの各共鳴周波数スペクトルの振幅値の差が、各サンプルごとの第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルの中で大きく得られる共鳴周波数スペクトルを用いることが好ましい。これによって、より分解能の高い検査を行うことができる。なお、、第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルというのは、周波数の低い方から順に第1〜第n(nは自然数)の共鳴周波数スペクトルとしている。

[7]本発明の孔検査方法においては、前記スペクトル成分は、振幅値であって、「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」は、前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルに存在する各共鳴周波数の振幅値と、前記マスターサンプルを含む各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関であり、前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値を基準振幅値としたとき、前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準振幅値と前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値とに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することが好ましい。

これは、マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準振幅値)と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値とに明確な差が生じる場合もあり、このような場合においては、マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルの振幅値と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することができる。なお、この場合の「検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値」というのは、「基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値」ではなく、検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値の最大値である。

[7]本発明の孔検査方法においては、前記基準振幅値には、前記孔のサイズの適否を判定するための許容範囲が設定されており、前記前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値が、前記許容範囲内であるか否かを判定することによって、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することが好ましい。

これにより、孔検査部が行う孔のサイズの適否を判定するステップは、検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値が、許容範囲内であるか否かを判定するだけで、検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を瞬時に判定でき、検査対象部品に形成されている孔の検査を短時間で行うことができる。

[9]本発明の孔検査方法においては、前記スペクトル成分は、共鳴周波数であって、 「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」は、前記各サンプルの各共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数と前記マスターサンプルを含む各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関であり、前記マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数を基準共鳴周波数としたとき、前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記基準共鳴周波数と前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数とに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することが好ましい。

これは、マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数(基準共鳴周波数)と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数に明確な差が生じる場合もあり、このような場合においては、マスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することができる。

[10]本発明の孔検査方法においては、前記基準共鳴周波数には、前記孔のサイズの適否を判定するための許容範囲が設定されており、前記孔のサイズの適否を判定するステップは、前記検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数が、前記許容範囲内であるか否かを判定することによって、前記検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を判定することが好ましい。

これにより、孔検査部が行う孔のサイズの適否を判定するステップは、検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数が、前記許容範囲内であるか否かを判定するだけで、検査対象部品に形成されている孔のサイズの適否を瞬時に判定でき、検査対象部品に形成されている孔の検査を短時間で行うことができる。

[11]本発明の孔検査方法においては、前記マスターサンプルと前記検査対象部品とは、同一の厚みを有し、前記孔のサイズの検査は、当該孔の径の検査であることが好ましい。

これにより、検査対象部品の孔の径(孔径)を、短時間で高精度に検査することができる。

[12]本発明の孔検査方法においては、前記孔は、1つの検査対象部品において複数個設けられており、当該複数個の孔は、前記流体又は光を同時に通過可能であり、前記マイクロホンは、前記複数個の孔を同時に通過する気体の流量に依存した電気信号を出力することが好ましい。

本発明の孔検査方法は、1枚の検査対象部品に複数の孔が形成されている検査対象部品についても検査が可能となる。

[13]本発明の孔検査装置は、検査対象部品に形成され、流体又は光の通過が可能な孔を検査する孔検査装置であって、内部に空間部を有するとともに1つの面に開口を有し、当該開口以外が密閉されている筐体と、前記筐体に形成されている前記空間部において前記開口を有する面とは反対側に設けられ、前記開口の側に向けて音を出力するスピーカーと、前記スピーカーに対して所定範囲の周波数を所定時間内で周波数掃引するスピーカー駆動部と、前記空間部の所定位置に設置され、前記孔を有する部品が前記開口を覆うように載置された状態で前記スピーカー駆動部が前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記孔を通過する気体の流量に依存した電気信号を出力するマイクロホンと、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、共鳴周波数が存在する共鳴周波数スペクトルを生成する周波数分析部と、前記周波数分析部により生成された共鳴周波数スペクトルに基づいて、前記孔のサイズの検査を行う孔検査部と、を備え、前記周波数分析部は、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている孔が形成されており、前記検査対象部品の検査を行うためのマスターサンプルと、当該マスターサンプルに形成されている孔のサイズと異なるサイズの孔が形成され、かつ、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている複数のサンプルとを、順次、前記筐体の開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して得られた前記マスターサンプルと前記複数のサンプルとを含む各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を求める機能をさらに有し、前記孔検査部は、前記検査対象部品を前記開口を覆うように載置した状態で、前記スピーカーを周波数掃引したときに、前記マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して得られた検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と、「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」とに基づいて前記検査対象部品に形成されている孔のサイズを検査する機能を有することを特徴とする。

本発明の孔検査装置によれば、前記[1]に記載の本発明の孔検査方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の孔検査装置においても、前記[2]〜[12]に記載の本発明の孔検査方法と同様の特徴を有することが好ましい。

ヘルムホルツ共鳴について説明するために示す図である。

実施形態1に係る孔検査装置10を説明するために示す図である。

試験用サンプルの一例を示す図である。

試験用サンプルSP1〜SP6の周波数分析部結果を概略的に示す図である。

図4における第1共鳴周波数f1が存在する周波数スペクトル(第1共鳴周波数スペクトルという。)を各サンプルSP1〜SP6ごとに詳細に示す図である。

図4における第2共鳴周波数f2が存在する周波数スペクトル(第2共鳴周波数スペクトルという。)を各サンプルSP1〜SP6ごとに詳細に示す図である。

図4における第3共鳴周波数f3が存在する周波数スペクトル(第3共鳴周波数スペクトルという。)を各サンプルSP1〜SP6ごとに詳細に示す図である。

各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を得るための処理を説明するフローチャートである。

検査対象部品を検査するための処理を示すフローチャートである。

特許文献1に記載されている微細孔検査装置900を説明するために示す図である。

以下、本発明の実施形態1について説明する。以下に示す本発明の実施形態1においては、検査対象部品は、厚みが薄く(例えば、0.05mm〜数mm程度とする。)、円盤状をなしており、当該円盤状の検査対象部品に、例えば、径が0.5mm〜数mm程度の孔が1個形成されているものとして説明するが、検査対象部品に形成されている孔は1個ではなく、例えば、径が数μm程度の微細孔が多数形成されていてもよい。なお、本発明の孔検査方法及び孔検査装置は、検査対象となる部品は、このような部品に限定されるものではない。

また、本発明の孔検査方法及び孔検査装置は、検査対象部品に形成されている孔を通過する気体(空気)の流量に依存した電気信号(マイクロホンから出力される電気信号)に基づいて孔の検査を行うものであるため、孔の平面サイズ及び孔の深さなどを含めた孔のサイズの検査が可能である。なお、以下の、各実施形態においては、「孔のサイズ」は孔径であるとし、一定の厚みを有する検査対象部品に形成されている孔の径(孔径)を検査する場合について説明する。

[実施形態1] 実施形態1に係る孔検査方法及び孔検査装置においては、孔のサイズの適否の判定すなわち孔径が目標とする孔径であるか否かの検査(孔径の適否の判定)を行うものする。まずは、実施形態1に係る孔検査装置10について説明する。

図2は、実施形態1に係る孔検査装置10を説明するために示す図である。なお、図2は実施形態1に係る孔検査装置10の構成を模式的に示す断面図である。

実施形態1に係る孔検査装置10は、図2に示すように、内部に空間部101が形成され、1つの面(上面とする。)に開口102が形成されており、当該開口102が形成されている面以外の面が密閉されている筐体100と、筐体100に形成されている空間部101において開口102が形成されている面とは反対側に設けられ、開口102の側に向けて音を出力するスピーカー110と、スピーカー110に対して所帯範囲の周波数を所定時間内で周波数掃引するスピーカー駆動部120と、空間部101の所定位置に設置され、孔201を有する部品200が開口102を覆うように載置された状態でスピーカー駆動部120がスピーカー110に対して所定時間内で周波数掃引したときに、孔201を通過する空気の流量に依存した電気信号(正弦波信号)を出力するマイクロホン130と、当該マイクロホン130から出力される電気信号を周波数分析(高速フーリエ変換:FFT分析)して共鳴周波数スペクトルを生成する周波数分析部140と、周波数分析部140により生成された共鳴周波数スペクトルに基づいて、検査対象部品に形成されている孔のサイズの検査(孔径の適否の判定)を行う孔検査部150とを備える。

このような構成において、検査対象部品に形成されている孔のサイズの検査(孔径の適否の判定)を行う際には、まず、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている孔が形成されているマスターサンプルと、当該マスターサンプルに形成されている孔のサイズと異なるサイズの孔が形成され、かつ、流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている複数のサンプルとを用い、マスターサンプルと複数のサンプルとを含む各サンプルごとに、順次、筐体100の開口102を覆うように載置した状態で、スピーカー110をスピーカー駆動部120が周波数掃引するステップと、マイクロホン130から出力される電気信号を周波数分析部140が周波数分析(FFT分析)して、各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルを生成するステップと、各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を得るステップを行う。このようにして、「各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」を得ておく。 そして、検査対象部品に形成されている孔の孔径の適否を検査する際には、検査対象部品を開口を覆うように載置した状態で、スピーカー110をスピーカー駆動部120が周波数掃引するステップと、マイクロホン130から出力される電気信号を周波数分析部140が周波数分析(FFT分析)して、当該検査対象部品に対応する検査対象共鳴周波数スペクトルを生成するステップと、検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と「前記各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と前記各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔のサイズの検査(孔径の適否の判定)を行うステップと、を行う。

なお、実施形態1に係る孔検査方法においては、検査対象部品に形成されている孔のサイズの検査(孔径の適否の判定)を行うステップは、上述の各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルのうちのマスターサンプルの共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分と検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれるスペクトル成分とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の孔径の適否を判定する。検査対象部品に形成されている孔の孔径の適否を判定する処理の具体例については後述する。

上述の各ステップのうち、相関を得るステップは、周波数分析部140で行ってもよく、孔検査部150においても行うようにしてもよいが、ここでは、周波数分析部140が行うものとする。なお、周波数分析部140が行う処理及び孔検査部150が行う処理は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置が有する演算機能によって実現できる。また、スピーカー110を周波数掃引するステップは、スピーカー110を周波数掃引可能な機能を有する装置を用いて行ってもよく、よく、また、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置にスピーカー110に対する周波数掃引機能を持たせて行うようにしてもよい。

実施形態1に係る孔検査装置10についてさらに具体的に説明する。筐体100は筒状(例えば、円筒状)をなし、上面に開口102が設けられている。そして、筐体100内部に形成されている空間部101には、当該空間部101を上下に仕切る仕切り板105が設けられており、当該仕切り板105にスピーカー110が取り付けられている。当該スピーカー110は、ダイヤフラム(図示せず。)が開口102側を向くように仕切り板105に取り付けられている。

なお、仕切り板105は、筐体100内において底面106に近い位置に設けられている。このため、空間部101は、仕切り板105と開口102との間の空間部101aと仕切り板105と底面106との間の空間部101bに分割されるが、空間部101bは、主に、スピーカー110の取り付けスペースを底面106との間に確保するためのものである。

このように構成されている筐体100のサイズは、特に限定されるものではないが、実施形態1に係る孔検査装置10においては、直径(内径)が60mmであり、筐体100の空間部(空間部101a)から開口102までの高さが65mmであるとする。

一方、マイクロホン130は、微弱な音も高精度に受信できる高感度なマイクロホンであり、標準マイクロホンと呼ばれているマイクロホンを使用している。

マイクロホン130は、実施形態1に係る孔検査装置10においては、筐体100の側面において、当該マイクロホン130の音入力部131が空間部101a内に位置し、かつ、スピーカー110と開口102との間のほぼ中間位置に設置される。なお、マイクロホンの設置位置は、特に限定されるものではなく、開口102の近くに設置するようにしてもよい。但し、開口102の近くは部品200が載置されるために設置しにくい場合もあり、実施形態1に係る孔検査装置10においては、筐体100の側面としている。なお、筐体100の側面に設置した場合と、開口102の近くに設置した場合とで、同等の電気信号を得ることができることが試験によって確認できた。

また、筐体100における上面には、部品200を開口102を覆うように載置可能な部品載置部107が形成されている。なお、実施形態1に係る孔検査装置10においては、部品200は、円盤状であるとしているため、開口102は円形であり、部品載置部107は、当該円盤状の部品200の周縁部を支持可能となっている。そして、部品200を部品載置部107に載置した状態で、当該部品が位置ずれしないように固定する部品押さえ部108が設けられている。この部品押さえ部108も筐体100の開口102と同様に円形の開口109が設けられており、部品200の周縁部を押さえるような構成となっている。なお、図2においては、部品200の孔201は1個として示されているが、多数の孔が形成されていてもよい。多数の孔が形成されている場合には、すべての孔が開口102に対向するように部品載置部107に載置される。

なお、図2は模式図であるため、図示は省略されているが、部品200を部品載置部107に載置した状態においては、部品200と部品載置部107との間は密閉状態で載置されるような構造となっている。

ところで、スピーカー駆動部120は、スピーカー110に対して所定範囲の周波数を所定時間内で周波数掃引するものであり、実施形態1に係る孔検査装置においては、1Hz〜10KHzの周波数を15秒間で周波数掃引するものとする。

なお、部品載置部107に載置される部品200というのは、検査すべき検査対象部品と、マスターサンプルとの両方を含むものである。マスターサンプルは、検査対象部品に形成されている孔のサイズ(ここでは孔径)の適否を判定するためのサンプルであり、検査対象部品に形成されている孔の孔径が適正であるか否かを判定するための判定用データ(後述する。)を取得する際に用いるものである。すなわち、判定用データを取得する際には、部品載置部107には、部品200としてマスターサンプルを載置して判定用データの取得を行い、検査対象部品の検査を行う際には、部品載置部107には、部品200として検査対象部品を載置して検査を行う。

また、マスターサンプルは、上述したように、検査対象部品に形成されている孔の孔径が適正であるか否かを判定するための判定用データ(後述する。)を取得する際に用いるものであるため、目標とする孔径が高精度に設けられている。例えば、検査対象部品に形成されている孔の径が1mmを目標として形成されていて、当該検査対象部品の孔径を検査しようする場合には、マスターサンプルは、高精度に1mmの孔径を有する孔が形成されているものを使用する。なお、マスターサンプルに形成されている孔が高精度に1mmとなっているか否かは、例えば、レーザー顕微鏡などによって検査することができる。

ところで、実施形態1に係る孔検査方法及び孔検査装置は、検査対象部品に形成されている孔径の適否を検査するものであるが、「検査対象部品を検査する」というように「孔径」を省略して表記する場合もある。また、孔径の適否を判定した結果、孔径が適正である場合には、「検査対象部品がOK部品である」というように表記したり、また、孔径の適否を判定した結果、孔径が不適である場合には「検査対象部品がNG部品である」というように表記したりする場合もある。

続いて、異なった孔径を有する孔が形成されている複数のサンプル(試験用サンプルとする。)を用いて行った試験例について説明する。この試験は、異なった孔径を有する孔が形成されている複数の試験用サンプルを用意して、当該複数の試験用サンプルを1枚ずつ部品載置部107に載置した状態で、スピーカー駆動部120によってスピーカー110を周波数掃引したときに、マイクロホン130から出力される電気信号(正弦波信号)を周波数分析部140によって周波数分析(FFT分析)し、その分析器結果によって生成された共鳴周波数スペクトルを各試験用サンプルごとに生成する。なお、共鳴周波数スペクトルというのは、共鳴周波数が存在する周波数スペクトルを指している。

そして、孔径の異なる各試験用サンプルそれぞれにおいて求められた共鳴周波数スペクトルに基づいて、孔径と共鳴周波数スペクトルとの関係を調べる。このような試験を行う際に用いた試験用サンプルとしては、次のような試験用サンプルを用意した。

図3は、試験用サンプルの一例を示す図である。図3(a)は、孔径の異なる6枚の試験用サンプルSP1〜SP6(サンプルSP1〜SP6と略記する。)ごとの孔径を示す図であり、図3(b)はある1枚のサンプル(サンプルSP1とする。)の外観を示す斜視図である。サンプルSP1は図3(b)に示すように、円盤状をなしており、中心に孔201が形成されているものとする。他のサンプルSP2〜SP6も同様の形状をなしている。なお、それぞれのサンプルSP1〜SP6は厚みが一定(同じ)であるとする。

ここでは、径が0.5mm(500μm)のサンプルSP1、径が0.75mm(750μm)のサンプルSP2、径が1.0mm(1000μm)のサンプルSP3、径が1.35mm(1350μm)のサンプルSP4、径が1.65mm(1650μm)のサンプルSP5、径が2.0mm(2000μm)のサンプルSP6の6種類のサンプルを用意した。なお、これら各サンプルSP1〜SP6は、それぞれのサンプルの名称として「0.5mmサンプルSP1」、「0.75mmサンプルSP2」、「1.0mmサンプルSP3」というように表記する場合もある。

これらサンプルSP1〜SP6の名称として付与されている孔の径(例えば、0.5mm、0.75mm、1.0mm、1.35mm、・・・)は、当該各サンプルに形成されている孔の径が正確に表わされているものではない。例えば、0.5mmサンプルSP1は、高精度な計測が可能な顕微鏡(例えば、レーザー顕微鏡)で計測したところ、実際の孔径が0.507mm(507.0μm)のサンプルであり、また、0.75サンプルSP2は、同じく、高精度な計測が可能な顕微鏡で計測したところ、実際の孔径が0.7563mm(756.3μm)のサンプルであり、また、1.0サンプルSP3は、同じく、高精度な計測が可能な顕微鏡で計測したところ、実際の孔径が0.9941mm(994.1μm)のサンプルである。これは、他のサンプルSP4〜SP6も同様である(図3(a)参照。)。

このような6種類のサンプルSP1〜SP6を用いてFFT分析を行った。すなわち、6種類のサンプルSP1〜SP6を1枚ずつ、順次、図2に示す孔検査装置10の部品載置部107に載置した状態で、スピーカー110を周波数掃引したときに、マイクロホン130から出力される電気信号を周波数分析部140によって周波数分析(FFT分析)する。ここでは、スピーカー駆動部120は、スピーカー110を1Hz〜10KHzの範囲で15秒間、周波数掃引する。

図4は、サンプルSP1〜SP6の周波数分析部結果を概略的に示す図である。なお、図4はサンプルSP1〜SP6をそれぞれ1枚ずつ図1に示す孔検査装置10の部品載置部107に載置した状態で、スピーカー駆動部120がスピーカー110を1Hz〜10KHzの範囲で15秒間、周波数掃引したときに、マイクロホン130から出力される電気信号(正弦波信号)を周波数分析部140によってFFT分析して得られた共鳴周波数スペクトルを示す図であり、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸はFFT振幅値(V2/Hz)である。なお、FFT振幅値は単に「振幅値」と表記する場合もある。

図4に示すように、サンプルSP1〜SP6において、共鳴周波数f1,f2,f3が得られており、共鳴周波数f1(第1共鳴周波数f1という。)は振幅が大きく、共鳴周波数f2(第2共鳴周波数f2という。)及び共鳴周波数f3(第3共鳴周波数f3という。)は第1共鳴周波数に比べて振幅が小さくなっている。これはサンプルSP1〜SP6において共通であった。

なお、この場合、共鳴周波数は、3つの共鳴周波数(第1共鳴周波数f1、第2共鳴周波数f2、第3共鳴周波数f3)が得られているが、これは、試験に用いた孔検査装置10の筐体100の形状、サイズなどに依存するものであり、試験に用いた孔検査装置10においては、図4に示すように、3つの共鳴周波数が得られたが、孔検査装置の筐体の形状、サイズなどによっては、1つしか得られない場合もあり、また、4つ以上得られる場合もある。

図5は、図4における第1共鳴周波数f1の部分を詳細に説明する図である。図5(a)はサンプルSP1〜SP6ごとの6パターンの共鳴周波数スペクトル(6パターンの共鳴周波数スペクトルをまとめて第1共鳴周波数スペクトルとする。)を詳細に示す図である。図5(a)において、横軸は周波数(Hz)、縦軸はFFT振幅値(V2/Hz)である。ここで、共鳴周波数というのは、共鳴周波数スペクトルにおいて振幅の最大値が存在する周波数であるとする。

また、図5(b)は図5(a)に示す第1共鳴周波数スペクトルにおいて、孔径とFFT振幅値との関係を示した図である。図5(b)において、横軸は孔径(mm)、縦軸はFFT振幅値(V2/Hz)である。

なお、図5(b)に示す「孔径と振幅値との関係」における「振幅値」は、各サンプルSP1〜SP6の共鳴周波数の振幅値ではない。すなわち、基準となるサンプル(ここでは、サンプルSP1とする。)における振幅値は、当該サンプルSP1の共鳴周波数245Hzの振幅値(当該サンプルSP1において得られる共鳴周波数スペクトルの振幅値の最大値)であるが、他のサンプルSP2〜SP6における振幅値は、それぞれのサンプルSP2〜SP6の共鳴周波数の振幅値(各サンプルにおいて得られる共鳴周波数スペクトルの振幅値の最大値)ではなく、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数(245Hz)におけるそれぞれのサンプルSP1〜SP6の振幅値である。すなわち、図5(a)において、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数(245Hz)を通る破線で示す基準線L1上に存在する振幅値である。

なお、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数を「基準共鳴周波数」とし、当該基準共鳴周波数における当該基準となるサンプルSP1の振幅値を「基準振幅値」とする。従って、この場合、サンプルSP1の共鳴周波数245Hzが「基準共鳴周波数」であり、サンプルSP1の振幅値2281V2/Hzが「基準振幅値」となる。

図5を参照して、第1共鳴周波数スペクトルについて各サンプルSP1〜SP6ごとに考察する。サンプルSP1(0.5mmサンプルSP1)の基準共鳴周波数を基準共鳴周波数f11とし、サンプルSP2〜SP4の共鳴周波数を共鳴周波数f12〜f16とする。

図5によれば、サンプルSP2〜SP4のそれぞれの共鳴周波数f12〜f14は、基準共鳴周波数f11と、ほぼ同じ周波数であり、サンプルSP5及びサンプルSP6の共鳴周波数f15,f16も、基準共鳴周波数f11に比べて多少の違いはあるものの大きな差は得られない。

一方、各サンプルSP1〜SP6の振幅値には、違いが生じている。ここで、基準共鳴周波数f11における各サンプルSP1〜SP6の振幅値(図5(a)における基準線L1上の振幅値)に注目すると、各サンプルSP1〜SP6の振幅値は大きく異なる。

すなわち、図5(a)における基準線L1上の振幅値に注目すると、サンプルSP1の振幅値(基準振幅値)は、図5(a)から2281V2/Hzであり、0.75mmサンプルSP2の振幅値(図5(a)における基準線L1上の振幅値)は、図5(a)から2045V2/Hzであり、1.0mmサンプルSP3の振幅値(図5(a)における基準線L1上の振幅値)は、図5(a)から1789V2/Hzであり、1.35mmサンプルSP4の振幅値は(図5(a)における基準線L1上の振幅値)は、図5(a)から1379V2/Hzあり、1.65mmサンプルSP5の振幅値(図5(a)における基準線L1上の振幅値)は、図5(a)から1084V2/Hzであり、2.0mmサンプルSP6の振幅値(図5(a)における基準線L1上の振幅値)は、図5(a)から866V2/Hzである。

ここで、各サンプルSP1〜SP6の孔径と各サンプルSP1〜SP6の振幅値(基準線L1上の振幅値)とを対応付けると、孔径と振幅値(基準線L1上の振幅値)とは図5(b)に示すような相関があることが分かる。図5(b)に示すように、サンプルSP1(0.5mmサンプルSP1)からサンプルSP6(2.0mmサンプルSP6)における振幅値(基準線L1上の振幅値)は直線で結ぶことができる。なお、基準線L1上の振幅値というのは、基準共鳴周波数f11における各サンプルSP1〜SP6の共鳴周波数スペクトルの振幅値である。このように、第1共鳴周波数スペクトル(図5(a)参照。)においては、サンプルSP1(0.5mmサンプル)からサンプルSP6(2.0mmサンプル)のそれぞれのサンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(この場合、振幅値(基準線L1上の振幅値))と孔径との間には相関があることがわかる。

図6は、図4における第2共鳴周波数f2の部分を詳細に説明する図である。図6(a)はサンプルSP1〜SP6ごとの6パターンの共鳴周波数スペクトル(6パターンの共鳴周波数スペクトルをまとめて第2共鳴周波数スペクトルとする。)を詳細に示す図である。図6(a)において、横軸は周波数(Hz)、縦軸はFFT振幅値(V2/Hz)である。

また、図6(b)は図6(a)に示す第2共鳴周波数スペクトルにおいて、孔径とFFT振幅値との関係を示した図である。図6(b)において、横軸は孔径(mm)、縦軸はFFT振幅値(V2/Hz)である。

なお、図6(b)に示す「孔径と振幅値との関係」における「振幅値」も、各サンプルSP1〜SP6の共鳴周波数の振幅値ではない。すなわち、基準となるサンプル(ここでも、サンプルSP1とする。)における振幅値は、当該サンプルSP1の共鳴周波数1495Hzの振幅値(サンプルSP1において得られる共鳴周波数スペクトルの振幅値の最大値)であるが、他のサンプルSP2〜SP6における振幅値は、それぞれのサンプルSP2〜SP6の共鳴周波数の振幅値(各サンプルにおいて得られる共鳴周波数スペクトルの振幅値の最大値)ではなく、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数(1495Hz)におけるそれぞれのサンプルSP2〜SP6の振幅値である。すなわち、図6(a)において、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数(1495Hz)を通る破線で示す基準線L2上に存在する振幅値である。

なお、ここでも、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数を「基準共鳴周波数」とし、当該基準共鳴周波数における当該基準となるサンプルSP1の振幅値を「基準振幅値」とする。従って、この場合、サンプルSP1の共鳴周波数1495Hzが「基準共鳴周波数」であり、サンプルSP1の振幅値352V2/Hzが「基準振幅値」となる。

図6を参照して、第2共鳴周波数スペクトルについて各サンプルSP1〜SP6ごとに考察する。サンプルSP1(0.5mmサンプルSP1)の基準共鳴周波数を基準共鳴周波数f21とし、サンプルSP2〜SP4の共鳴周波数を共鳴周波数f22〜f26とする。

図6によれば、サンプルSP1(0.5mmサンプルSP1)の共鳴周波数(共鳴周波数f21とする。)は、1495Hzであり、孔径が大きくなるに従って共鳴周波数f22〜f26も僅かずつ高くなっているとともに振幅値も僅かずつ高くなっている。

ここで、基準共鳴周波数f21における各サンプルSP1〜SP6の振幅値(図6(a)における基準線L2上の振幅値)に注目すると、各サンプルSP1〜SP6の振幅値(図6(a)における基準線L2上の振幅値)は大きく異なったものとなる。

すなわち、図6(a)における基準線L2上の振幅値に注目すると、サンプルSP1の振幅値(基準振幅値)は、図6(a)から352V2/Hzであり、0.75mmサンプルSPの振幅値(図6(a)における基準線L2上の振幅値)は、図6(a)から331V2/Hzであり、1.0mmサンプルSP3の振幅値(図6(a)における基準線L2上の振幅値)は、図6(a)から294V2/Hzであり、1.35mmサンプルSP4の振幅値(図6(a)における基準線L2上の振幅値)は、図6(a)から264V2/Hzあり、1.65mmサンプルSP5の振幅値(図6(a)における基準線L2上の振幅値)は、図6(a)から238V2/Hzであり、2.0mmサンプルSP6の振幅値(図6(a)における基準線L2上の振幅値)は、図6(a)から211V2/Hzである。

ここで、各サンプルSP1〜SP6の孔径と各サンプルSP1〜SP6の振幅値(基準線L2上の振幅値)とを対応付けると、孔径と振幅値(基準線L2上の振幅値)とは図6(b)に示すような相関があることが分かる。図6(b)に示すように、サンプルSP1(0.5mmサンプルSP1)からサンプルSP6(2.0mmサンプルSP6)における振幅値(基準線L2上の振幅値)は直線で結ぶことができる。なお、基準線L2上の振幅値というのは、基準共鳴周波数f21における各サンプルSP1〜SP6の共鳴周波数スペクトルの振幅値である。このように、第2共鳴周波数スペクトル(図6(a)参照。)においては、サンプルSP1(0.5mmサンプル)からサンプルSP6(2.0mmサンプル)のそれぞれのサンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(この場合、振幅値(基準線L2上の振幅値))と孔径との間には相関があることがわかる。

図7は、図4における第3共鳴周波数f3の部分を詳細に説明する図である。図7(a)はサンプルSP1〜SP6ごとの6パターンの共鳴周波数スペクトル(6パターンの共鳴周波数スペクトルをまとめて第3共鳴周波数スペクトルとする。)を詳細に示す図である。図7(a)において、横軸は周波数(Hz)、縦軸はFFT振幅値(V2/Hz)である。ここで、共鳴周波数というのは、振幅の最大値が存在する周波数であるとする。

また、図7(b)は図7(a)に示す第2共鳴周波数スペクトルにおいて、孔径とFFT振幅値との関係を示した図である。図7(b)において、横軸は孔径(mm)、縦軸はFFT振幅値(V2/Hz)である。

なお、図7(b)に示す「孔径と振幅値との関係」における「振幅値」も、各サンプルSP1〜SP6の共鳴周波数の振幅値ではない。すなわち、基準となるサンプル(ここでも、サンプルSP1とする。)における振幅値は、当該サンプルSP1の共鳴周波数4584Hzの振幅値(当該サンプルSP1において得られる共鳴周波数スペクトルの振幅値の最大値)であるが、他のサンプルSP2〜SP6における振幅値は、それぞれのサンプルSP2〜SP6の共鳴周波数の振幅値(各サンプルにおいて得られる共鳴周波数スペクトルの振幅値の最大値)ではなく、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数(4584Hz)におけるそれぞれのサンプルSP1〜SP6の振幅値である。すなわち、図7(a)において、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数(4584Hz)を通る破線で示す基準線L3上に存在する振幅値である。

なお、ここでも、基準となるサンプルSP1の共鳴周波数を「基準共鳴周波数」とし、当該基準共鳴周波数における当該基準となるサンプルSP1の振幅値を「基準振幅値」とする。従って、この場合、サンプルSP1の共鳴周波数4584Hzが「基準共鳴周波数」であり、サンプルSP1の振幅値81.1V2/Hzが「基準振幅値」となる。

図7を参照して、第3共鳴周波数スペクトルについて各サンプルSP1〜SP6ごとに考察する。サンプルSP1(0.5mmサンプルSP1)の基準共鳴周波数を基準共鳴周波数f31とし、サンプルSP2〜SP4の共鳴周波数を共鳴周波数f32〜f36とする。

図7(a)によれば、試験用サンプルSP1〜SP6の共鳴周波数は、孔径が大きくなるに従って共鳴周波数も僅かずつ高くなっているが、振幅値は殆ど変化がない。ここで、0.5mmサンプルSP1の共鳴周波数f31(4584Hz)を基準共鳴周波数f31としたときに、当該基準共鳴周波数f31(4584Hz)における各サンプルSP1〜SP6の振幅値(図7(a)における基準線L2上の振幅値)に注目すると、各サンプルSP1〜SP6の振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)は大きく異なったものとなる。

すなわち、図7(a)における基準線L3上の振幅値に注目すると、サンプルSP1の振幅値(基準振幅値)は、図7(a)から81.1V2/Hzであり、0.75mmサンプルSPの振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)は、図7(a)から76.2V2/Hzであり、1.0mmサンプルSP3の振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)は、図7(a)から67.8V2/Hzであり、1.35mmサンプルSP4の振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)は、図7(a)から57.0V2/Hzあり、1.65mmサンプルSP5の振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)は、図7(a)から50.4V2/Hzであり、2.0mmサンプルSP6の振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)は、図7(a)から44.5V2/Hzである。

ここで、各サンプルSP1〜SP6の孔径と各サンプルSP1〜SP6の振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)とを対応付けると、孔径と振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)とは図7(b)に示すような相関があることが分かる。図7(b)に示すように、サンプルSP1(0.5mmサンプルSP1)からサンプルSP6(2.0mmサンプルSP6)における振幅値(図7(a)における基準線L3上の振幅値)は直線で結ぶことができる。なお、この場合も、基準線L3上の振幅値というのは、基準共鳴周波数f31における各サンプルSP1〜SP6に対応する共鳴周波数スペクトルの振幅値である。このように、第3共鳴周波数スペクトル(図7(a)参照。)においては、サンプルSP1(0.5mmサンプル)からサンプルSP6(2.0mmサンプル)のそれぞれのサンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(この場合、振幅値(基準線L3上の振幅値))と孔径との間には相関があることがわかる。

図5〜図7に示すように、第1共鳴周波数スペクトル、第2共鳴周波数スペクトル及び第3共鳴周波数スペクトルそれぞれにおいて、ある1つのサンプルの共鳴周波数(この場合、サンプルSP1の共鳴周波数f11,f21,f31)を基準共鳴周波数としたとき、当該基準共鳴周波数における各サンプルSP1〜SP6の振幅値(基準線L1〜L3上の振幅値)と各サンプルSP1〜SP6の孔径との間には相関があることがわかった。

以上説明したように、基準共鳴周波数における各サンプルSP1〜SP6の共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1〜L3上の振幅値)と各サンプルSP1〜SP6の孔径とは、図5(b)、図6(b)及び図7(b)に示すような相関が得られるが、ここで、孔径の変化による振幅値の分解能について説明する。

まず、図5(b)の場合、すなわち、第1共鳴周波数スペクトルの場合においては、0.5mmサンプルSP1における振幅値が2281V2/Hzであり、2.0mmサンプルSP6における振幅値が866V2/Hzであるため、1mm当たりの振幅値の変化量は、(2281−866)/1.5≒943.3であり、孔径が1mm変化すると、振幅値は約943.3V2/Hz変化することとなる。

また、図6(b)の場合、すなわち、第2共鳴周波数スペクトルの場合においては、0.5mmサンプルSP1における振幅値が352V2/Hzあり、2.0mmサンプルSP6における振幅値が211V2/Hzであるため、1mm当たりの振幅値の変化量は、(352−211)/1.5=94V2/Hzであり、孔径が1mm変化すると、振幅値は94V2/Hz変化することとなる。

また、図7(b)の場合、すなわち、第3共鳴周波数スペクトルの場合においては、0.5mmサンプルSP1における振幅値が81.1V2/Hzあり、2.0mmサンプルSPにおける振幅値が211で44.5V2/Hzであるため、1mm当たりの振幅値の変化量は、における分解能を計算すると、(81.1−44.5)/1.5=24.4であり、孔径が1mm変化すると、振幅値は24.4V2/Hz変化することとなる。

従って、分解能で考えると、図5の場合(第1共鳴周波数スペクトルの場合)は、最も高い分解能が得られると言えるが、図6の場合(第2共鳴周波数スペクトルの場合)及び図7の場合(第3共鳴周波数スペクトルの場合)においても孔径の検査を行うに必要な分解能が得られることが確認できた。

具体的には、第1共鳴周波数スペクトルを用いた場合においては、孔径が1mm変化すると、振幅値は943V2/Hz変化するため、孔径の100μmごとの振幅値の変化量は94.3V2/Hzであり、また、10μmごとの振幅値の変化量は、9.43V2/Hzである。このため、振幅値として94.3V2/Hz程度の差を取ることができれば、±100μmの精度で孔径を検査でき、9.43V2/Hz程度の差を取ることができれば、±10μmの精度で孔径を検査できる。

また、第2共鳴周波数スペクトルを用いた場合においては、孔径が1mm変化すると、振幅値は約94V2/Hz変化するため、孔径の100μmごとの振幅値の変化量は9.4V2/Hzであり、また、10μmごとの振幅値の変化量は、0.94V2/Hzである。このため、振幅値として9.4V2/Hz程度の差を取ることができれば、±100μmの精度で孔径を検査でき、0.94V2/Hz程度の差を取ることができれば、±10μmの精度で孔径を検査できる。

また、第3共鳴周波数スペクトルを用いた場合においては、孔径が1mm変化すると、振幅値は24.4V2/Hz変化するため、孔径の100μmごとの振幅値の変化量は2.44V2/Hzであり、また、10μmごとの振幅値の変化量は、0.244V2/Hzである。このため、振幅値として2.44V2/Hz程度の差を取ることができれば、±100μmの精度で孔径を検査でき、0.244V2/Hz程度の差を取ることができれば、±10μmの精度で孔径を検査できる。

このことから、図5の場合(第1共鳴周波数スペクトルの場合)、図6の場合(第2共鳴周波数スペクトルの場合)及び図7の場合(第3共鳴周波数スペクトルの場合)のいずれの場合においても孔径の検査を行うに必要な分解能が得られることが確認できた。特に、第1共鳴周波数スペクトルを用いた場合においては、高い分解能で孔径の検査が可能であることから、より精度の高い孔径の検査が可能となる。

以上、図3〜図7を参照して、孔径の異なる各サンプルSP1〜SP6を用いて、孔径と共鳴周波数との関係を調べるための試験について説明したが、続いて、上述した試験結果に基づいて、検査対象部品に対して実際の検査を行う場合について説明する。

図8は、各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分と各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を得るための処理を説明するフローチャートである。なお、ここでの「各サンプル」というのは、検査対象部品の検査を行うためのマスターサンプルと、当該マスターサンプルに形成されている孔のサイズと異なるサイズの孔が形成されている複数のサンプルとを指している。なお、これら各サンプル(マスターサンプル及び複数のサンプル)は、それぞれが流体又は光を所定の量で通過可能であることが確かめられている孔(目標とする孔径が高精度に形成されている孔)が形成されているものとする。マスターサンプルと複数のサンプルとの両方を指す場合には、「各サンプル」というに表記する場合もある。

図8に示すフローチャートを説明すると、まず、各サンプルごとに(各サンプルを1枚ずつ)、順次、筐体100の開口102を覆うように部品載置部107に載置した状態で、スピーカー110を1Hz〜10KHzの周波数で15秒間、周波数掃引する(ステップS1)。そして、マイクロホン130から出力される電気信号(正弦波電圧)を周波数分析(FFT分析)して、各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルを生成する(ステップS2)。そして、各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(この場合、振幅値とする。)と各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関を得る(ステップ3)とを行う。

ここで、共鳴周波数スペクトルというのは、共鳴周波数が存在する共鳴周波数スペクトルであり、また、当該共鳴周波数は、共鳴周波数スペクトルにおいて振幅値の最大値となる共鳴周波数であるとしている。

なお、ステップS3において得られる相関は、例えば、図5(b)、図6(b)及び図7(b)に示すような相関である。すなわち、図5(b)、図6(b)及び図7(b)において、基準となるサンプルSP1(0.5mmサンプルとする。)をマスターサンプルとし、当該マスターサンプルSP1の共鳴周波数f11,f21,f31を基準共鳴周波数としたとき、当該基準共鳴周波数における各サンプルSP1〜SP6の振幅値(基準線L1〜L3上の振幅値)と各サンプルSP1〜SP6の孔径との間には、図5(b)、図6(b)及び図7(b)に示すような相関が得られる。このような相関が得られたのちに、検査対象部品を検査する。

図9は、検査対象部品を検査する際の処理を説明するフローチャートである。検査対象部品を検査するための処理は、図9に示すように、検査対象部品を、部品載置部107に載置した状態でスピーカー110を1Hz〜10KHzの周波数で15秒間、周波数掃引し(ステップS10)、スピーカー110が発する1Hz〜10KHzの音をマイクロホン130が入力して、当該マイクロホン130から出力される電気信号(正弦波信号)を周波数分析部140によって周波数分析(FFT分析)して、検査対象部品において得られる共鳴周波数スペクトル(検査対象共鳴周波数スペクトルとする。)を生成する(ステップS20)。

そして、孔検査部150においては、図8のステップS2において生成された各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルのうちのマスターサンプルの共鳴周波数スペクトル(基準共鳴周波数スペクトルとする。)に含まれているスペクトル成分(振幅値)と図9のステップS20において生成された検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(振幅値)とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の適否を判定する(ステップS30)。

図9におけるステップS30は、基準共鳴周波数スペクトルと検査対象共鳴周波数スペクトルとに基づいて、マスターサンプルに形成されている孔に対する検査対象部品に形成されている孔の適否を判定する。なお、マスターサンプルに形成されている孔に対する検査対象部品に形成されている孔の適否を判定するというのは、実施形態1に係る孔検査方法においては、マスターサンプルに形成されている孔の径(孔径)に対する検査対象部品に形成されている孔の径(孔径)の適否を判定することである。

孔検査部150が行う孔の適否の判定(ステップS30)は、具体的には、図9の破線枠内に示されているように、基準共鳴周波数スペクトルにおける検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準共鳴周波数における検査対象スペクトルの振幅値)が、許容範囲(具体例については後述する。)内であるか否かを判定し(ステップS31)、許容範囲内であれば、当該検査対象部品はOK部品とし、許容範囲内でなければ、当該検査対象部品はNG部品とする(ステップS32)。

続いて、実際の検査を行う場合(検査対象部品を検査する場合)の具体的な検査例について説明する。ここでの検査例においては、検査対象部品に形成されている孔の径が、目標値となる孔径(ここでは、0.507mm(507μm)とする。)となっているか否かを検査する場合について説明する。

ここでは、当該検査対象部品を検査するためのマスターサンプルが既に用意されているとして説明する。このマスターサンプルは、レーザー顕微鏡などによる検査により、目標値である0.507mm(507μm))の孔径を有する孔が高精度に形成されていることが確かめられているとする。これをマスターサンプルとして用いる。このようなマスターサンプルの孔径に対して、例えば、±10μmを許容誤差として検査対象部品の検査を行うものとする。従って、検査対象部品に形成されている孔の径が、507μm±10μm内であれば、当該検査対象部品はOK部品とする。

なお、この場合のマスターサンプルは、図3に示す0.5mmサンプルSP1であり、当該マスターサンプルの基準共鳴周波数における各サンプルSP1〜SP6の振幅値(基準線L1〜L3上の振幅値)と各サンプルSP1〜SP6の孔径との間には、図5(b)、図6(b)及び図7(c)に示すような相関が得られているものとする。従って、当該マスターサンプル(マスターサンプルSP1と表記する。)においては、3つの共鳴周波数f11、共鳴周波数f21、共鳴周波数f31が得られている。これら3つの共鳴周波数f11、共鳴周波数f21、共鳴周波数f31を基準共鳴周波数f11、基準共鳴周波数f21、基準共鳴周波数f31とする。

(検査例1) 検査例1においては、基準共鳴周波数f11(245Hz:図5(a)参照。)が存在する共鳴周波数スペクトル(第1共鳴周波数スペクトル)を用いて検査対象部品の検査を行うものとする。なお、マスターサンプルSP1の基準共鳴周波数f11における振幅値を「基準振幅値」とし、この基準振幅値は、図5(a)に示したように2281V2/Hzであるとする。また、基準共鳴周波数f11は、図5(a)に示したように、245Hzである。なお、ここでは、マスターサンプルSP1の孔径に対して、±10μmを許容誤差として検査するため、検査例1においては、±10μmの許容誤差に対応する振幅値の許容範囲は、基準振幅値2281V2/Hzに対して、±9.43V2/Hz(2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz)である。

そして、基準振幅値には、孔の適否(この場合、孔径の適否)を判定するための許容範囲(基準振幅値2281V2/Hzに対して、±9.43V2/Hz)を設定しておき、孔検査部150は、基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値が、許容範囲(2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz)内であるか否かを判定する。

このような許容範囲を設定しておくことで、孔検査部150は、基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)が、許容範囲内であるか否かを判定することによって、検査対象部品の適否を判定できる。

すなわち、検査対象部品の検査を行う際には、検査対象部品を部品載置部107に載置した状態でスピーカーを1Hz〜10KHzの周波数で15秒間、周波数掃引したときにマイクロホン130から出力される電気信号(正弦波信号)を周波数分析部140によって周波数分析(FFT分析)する。

そして、孔検査部150においては、周波数分析部140による周波数分析(FFT分析)結果から、当該検査対象部品の共鳴周波数スペクトル(検査対象共鳴周波数スペクトル)において、基準共鳴周波数f11(245Hz)における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)V1を求めて、当該振幅値V1が、2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz内に入っていれば、当該検査対象部品は適正な孔径を有していると判定し、当該検査対象部品をOK部品とする。一方、検査対象部品の振幅値V1が2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz内に入っていなければ、当該検査対象サンプルは適正な孔径を有していないと判定し、当該検査対象部品をNG部品とする。

例えば、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりもわずかに大きく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)が、仮に、2275V2/Hzであったとすると、当該2275V2/Hzは、許容範囲(2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz)内であるため、当該検査対象部品はOK部品であるとする。

また、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも大幅に大きく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)が、仮に、2270V2/Hzであったとすると、当該2270V2/Hzは、許容範囲(2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz)内でないため、当該検査対象部品はNG部品であるとする。

一方、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも小さい場合には、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)は、マスターサンプルSP1の振幅値(2281V2/Hz)よりも大きな値となる。

このため、例えば、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりもわずかに小さく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)が、仮に、2285V2/Hzであったとすると、当該2285V2/Hzは、許容範囲(2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz)内であるため、当該検査対象部品はOK部品であるとする。

また、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも大幅に小さく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)が、仮に、2295V2/Hzであったとすると、当該2295V2/Hzは、許容範囲(2290.43V2/Hz〜2271.57V2/Hz)内でないため、当該検査対象部品はNG部品であるとする。

なお、前述したように、第1共鳴周波数スペクトルを用いた場合には、高い分解能で孔径の検査が可能であることから、より精度の高い孔径の検査が可能となる。これは、第1共鳴周波数スペクトルにおいては、基準振幅値と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1上の振幅値)との差が、孔径の違いによって、大きく得られるからである。

(検査例2) 上述した検査例1においては、目標値として0.507mm(507μm)の孔径を有する孔が形成されている検査対象部品を、第1共鳴周波数スペクトルを用いて検査する場合について説明したが、検査例2においては、検査例1と同じ検査対象部品を、第2共鳴周波数スペクトル(図6参照。)を用いて、±10μmの許容誤差で検査する場合について説明する。なお、±10μmの許容誤差に対応する振幅値の許容範囲は、基準振幅値352V2/Hzに対して、±0.94V2/Hz(352.94V2/Hz〜351.06V2/Hz)である。

検査例2においても、検査対象部品の検査を行う際には、検査対象部品を部品載置部107に載置した状態でスピーカーを1Hz〜10KHzの周波数で15秒間、周波数掃引したときにマイクロホン130から出力される電気信号(正弦波信号)を周波数分析部140によって周波数分析(FFT分析)する。

そして、孔検査部150においては、周波数分析部140による周波数分析(FFT分析)結果から、当該検査対象部品の共鳴周波数スペクトル(検査対象共鳴周波数スペクトル)において、基準共鳴周波数f21(1495Hz)における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)V2を求めて、当該振幅値V2が、基準振幅値352V2/Hzに対して、±0.94V2/Hz(352.94V2/Hz〜351.06V2/Hz)内に入っていれば、当該検査対象部品は適正な孔径を有していると判定し、当該検査対象部品をOK部品とする。一方、検査対象部品の振幅値V2が、基準振幅値352V2/Hzに対して、基準振幅値に対して±0.94V2/Hz(352.94V2/Hz〜351.06V2/Hz)内に入っていなければ、当該検査対象部品は適正な孔径を有していないと判定し、当該検査対象部品をNG部品とする。

例えば、検査対象部品の孔径が適正サンプルの孔径(507μm)よりもわずかに大きく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)が、仮に、351.5V2/Hzであったとすると、当該351.5V2/Hzは、許容範囲(352.94V2/Hz〜351.06V2/Hz)内であるため、当該検査対象部品はOK部品であるとする。

また、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも大幅に大きく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)が、仮に、349.0V2/Hzであったとすると、当該349.0V2/Hzは、許容範囲(352.94V2/Hz〜351.06V2/Hz)内でないため、当該検査対象部品はNG部品であるとする。

なお、第2共鳴周波数スペクトルにおいては、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも小さくなると、第1共鳴周波数スペクトルの場合と異なり、振幅値が小さくなって行く。従って、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも小さい場合にも、検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)は、基準振幅値(352V2/Hz)よりも小さな値となる。

このように、第2共鳴周波数スペクトルにおいては、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径よりも小さい場合にも、検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)は、基準振幅値よりも小さな値となるが、この場合においても、検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)が、許容範囲内であるか否かによって孔径の適否を判定できる。

例えば、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりもわずかに小さく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)が、仮に、351.3V2/Hzであったとすると、当該351.3V2/Hzは、許容範囲(352.95V2/Hz〜351.05V2/Hz)内であるため、当該検査対象部品はOK部品であるとする。

また、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも大幅に小さく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L2上の振幅値)が、仮に、349.0V2/Hzであったとすると、当該349.0V2/Hzは、許容範囲(352.95V2/Hz〜351.05V2/Hz)内でないため、当該検査対象部品はNG部品であるとする。

(検査例3) 検査例3においては、検査例1及び検査例2と同じ検査対象部品を、第3共鳴周波数スペクトル(図7参照。)を用いて、±10μmの許容誤差で検査する場合について説明する。なお、±10μmの許容誤差に対応する振幅値の許容範囲は、基準振幅値81.1V2/Hzに対して、±0.244V2/Hz(81.344V2/Hz〜80.856V2/Hz)である。

検査例3においても、検査対象部品の検査を行う際には、検査対象部品を部品載置部107に載置した状態でスピーカーを1Hz〜10KHzの周波数で15秒間、周波数掃引したときにマイクロホン130から出力される電気信号(正弦波信号)を周波数分析部140によって周波数分析(FFT分析)する。

そして、孔検査部150においては、周波数分析部140による周波数分析(FFT分析)結果から、当該検査対象部品の共鳴周波数スペクトル(検査対象共鳴周波数スペクトル)において、基準共鳴周波数f31(4584Hz)における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L3上の振幅値)V3を求めて、当該振幅値V3が、基準振幅値81.1V2/Hzに対して、±0.244V2/Hz(81.344V2/Hz〜80.856V2/Hz)内に入っていれば、当該検査対象部品は適正な孔径を有していると判定し、当該検査対象部品をOK部品とする。一方、検査対象部品の振幅値V3が、±0.244V2/Hz(81.344V2/Hz〜80.856V2/Hz)内に入っていなければ、当該検査対象部品は適正な孔径を有していないと判定し、当該検査対象部品をNG部品とする。

例えば、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりもわずかに大きく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L3上の振幅値)が、仮に、81.0V2/Hzであったとすると、当該81.0V2/Hzは、許容範囲(81.344V2/Hz〜80.856V2/Hz)内であるため、当該検査対象部品はOK部品であるとする。

また、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも大幅に大きく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L3上の振幅値)が、仮に、80.0V2/Hzであったとすると、当該80.0V2/Hzは、許容範囲(81.344V2/Hz〜80.856V2/Hz)内でないため、当該検査対象部品はNG部品であるとする。

なお、第3共鳴周波数スペクトルにおいては、第2共鳴周波数スペクトルの場合と同様、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも小さくなると、振幅値が小さくなって行く。従って、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも小さい場合にも、検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L3上の振幅値)は、基準振幅値(81.1V2/Hz)よりも小さな値となる。この場合も、上述の第2共鳴周波数スペクトルの場合と同様に、検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L3上の振幅値)が、許容範囲内であるか否かによって孔径の適否を判定できる。

例えば、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりもわずかに小さく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L3上の振幅値)が、仮に、80.9V2/Hzであったとすると、当該80.9V2/Hzは、許容範囲(81.344V2/Hz〜80.856V2/Hz)内であるため、当該検査対象部品はOK部品であるとする。

また、検査対象部品の孔径がマスターサンプルSP1の孔径(507μm)よりも大幅に小さく、当該検査対象部品における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L3上の振幅値)が、仮に、80.0V2/Hzであったとすると、当該80.0V2/Hzは、許容範囲(81.344V2/Hz〜80.856V2/Hz)内でないため、当該検査対象部品はNG部品であるとする。

上述した検査例1から検査例3においては、0.5mm(直径)の孔が形成されているとされている検査対象部品を検査する場合について説明したが、他の孔径を有する検査対象部品についても同様に検査できる。

このように、実施形態1に係る孔検査装置10においては、基準振幅値の許容範囲を孔検査部150に設定しておけば、検査対象部品を部品載置部107に載置して、スピーカー110を周波数掃引して、マイクロホン130からの出力信号をFFT分析し、孔検査部150においては、FFT分析結果から得られる基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(基準線L1〜L3上の振幅値)が許容範囲内であるか否かを判定するだけで、当該検査対象部品がOK部品であるかNG部品であると判定できる。

このことから、実施形態1に係る孔検査装置10においては、短時間で検査対象部品を検査することができ、しかも、検査対象部品に形成されている孔を例えば±10μm程度の精度で検査することができる。

なお、孔検査部150においては、OK部品であることを示す情報及びNG部品であることを示す情報を表示させるようにしてもよい。例えば,OK部品であれば青色のランプを点灯させ、NG部品であれば赤色のランプを点灯させるなど種々の方法を採用できる。

ところで、検査対象部品に形成されている孔は、1枚の検査対象部品について1つであることに限らず、複数の孔が存在する場合にも適用できる。例えば、1枚の検査対象部品に、0,01mm(10μm)の径(半径が0.005mm(5μm))が10000個形成されている場合を例にとれば、10000個の孔の合計の平面積は、0.005×0.005×3.14×10000=0.785mm2である。これは、検査対象部品の厚みが一定(同じ)であれば、1枚の検査対部品に1mmの径を有する孔が1個存在するものと同様である。すなわち、1mmの径を有する孔の平面積は、0.5×0.5×3,14=0.785mm2である。このように多数の孔が形成されている検査対象部品においても、上述の検査例と同様に検査することができる。なお、この場合、多数の孔は、マイクロホン130の音入力部131の径よりも広い範囲、例えば、検査対象部品のほぼ全面に渡って散在するような範囲に形成されていてもよい。

このような多数の孔が、マイクロホン130の音入力部131の径よりも広い範囲に渡って散在するような範囲に形成されている場合にも検査可能となるのは、実施形態1に係る孔検査装置10においては、マスターサンプルにおける基準共鳴周波数スペクトルと検査対象共鳴周波数スペクトルとに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔の適否を判定するようにしていることによるものである。

このように、共鳴周波数スペクトルを用いて孔の適否を判定するようにしていることによって、検査対象部品に形成されている孔の平面サイズ(円形孔である場合には孔径)がマイクロホンによって制限されることなく、しかも、短時間で高精度に孔の検査を行うことができる。これにより、1つの孔のみならず、多数の孔が形成されている検査対象部品、特に、検査対象部品のほぼ全面に渡って多数の孔が散在するように形成されている部品についても検査対象とすることができる。

[実施形態2] 上述の実施形態1に係る孔検査方法及び孔検査装置においては、孔径が目標とする孔径であるか否かの検査(孔径の適否の検査)を行う場合について説明したが、実施形態2に係る孔検査方法及び孔検査装置においては、孔のサイズの検査として、検査対象部品に形成されている孔の径がどのような径となっているかを検査する場合、すなわち、孔径そのものを求める(測定する)場合について説明する。なお、実施形態2に係る孔検査装置の構成は、実施形態1に係る孔検査装置(図2参照。)と同じ構成である。以下、実施形態2に係る孔検査方法について説明する。

実施形態2に係る孔検査方法は、図8に示すフローチャートによって得られた相関、すなわち、各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(振幅値)と各サンプルに形成されている孔の径の相関(例えば、図5(b)、図6(b)及び図7(b))を用いることによって、検査対象部品の孔径を求めることができる。

すなわち、検査対象部品を前記開口を覆うように載置した状態で、スピーカーを周波数掃引するステップと、マイクロホンから出力される電気信号を周波数分析して、当該検査対象部品に対応する検査対象共鳴周波数スペクトルを生成するステップと、「各サンプルごとの共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(例えば、振幅値)と各サンプルに形成されている孔のサイズとの相関」と、検査対象共鳴周波数スペクトルに含まれているスペクトル成分(例えば、振幅値)とに基づいて検査対象部品に形成されている孔の径を求めるステップとを行う。

例えば、図5(b)に示す振幅値と孔径との相関を用いて、検査対象部品の孔径を求める場合には、当該検査対象部品において得られた検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(図5(a)に示す基準線L1上の振幅値)から当該検査対象部品の孔径を求めることができる。

具体的に説明すると、当該検査対象部品において得られた検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(図5(a)に示す基準線L1上の振幅値)が、例えば、1789v2/Hzであった場合には、図5(b)から当該検査対象部品の孔径は1.00mmというように孔径を瞬時に求めることができる。また、当該検査対象部品において得られた検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値(図5(a)に示す基準線L1上の振幅値)が、例えば、2045v2/Hzであった場合には、図5(b)から当該検査対象部品の孔径は0.75mmというように孔径を瞬時に求めることができる。これは、図6(b)及び図7(b)を用いた場合にも同様に孔径を求めることができる。なお、図5(b)、図6(b)及び図7(b)に示す振幅値と孔径との相関は、近似直線で結ばれているため、図5(b)、図6(b)及び図7(B)に示す振幅値と孔径との相関を用いて求められる孔径は誤差を含んだものとなる場合もある。このため、精度を要求しない孔径の測定には適したものとなる。

なお、本発明は上述の実施形態1に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。

(1)上記実施形態1においては、基準振幅値と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて(図5〜図7に示す基準線L1〜L3上の振幅値)に基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定する場合を説明したが、マスターサンプルに形成されている孔の径と検査対象部品に形成されている孔の径の差を、マスターサンプルの共鳴周波数スペクトル(基準共鳴周波数スペクトル)に存在する共鳴周波数の振幅値と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値との差として取り出すことができる場合においては、基準共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値と、検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定することも可能である。

この場合、基準共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値を基準振幅値としたとき、当該基準振幅値には、孔の径の適否を判定するための許容範囲を設定しておき、孔検査部は、検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値が、記許容範囲内であるか否かを判定することによって、検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定する。

(2)上記実施形態1においては、基準振幅値と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて(図5〜図7に示す基準線L1〜L3上の振幅値)に基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定する場合を説明したが、ママスターサンプルの共鳴周波数スペクトル(基準共鳴周波数スペクトル)に存在する共鳴周波数と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の差として取り出すことができる場合においては、基準共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔径の適否を判定することもできる。

この場合、基準共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数を基準共鳴周波数としたとき、当該基準振共鳴周波数には、孔の径の適否を判定するための許容範囲を設定しておき、孔検査部は、検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数が、許容範囲内であるか否かを判定することによって、検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定する。

(3)基準振幅値と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて(図5〜図7に示す基準線L1〜L3上の振幅値)に基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定する場合を説明したが、当該「基準振幅値と基準共鳴周波数における検査対象共鳴周波数スペクトルの振幅値とに基づいて、当該検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定すること」と、上記(1)において説明した「基準共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値と、検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数の振幅値とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔の径の適否を判定すること」と、上記(2)において説明した「基準共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数と検査対象共鳴周波数スペクトルに存在する共鳴周波数とに基づいて、検査対象部品に形成されている孔径の適否を判定すること」のうち任意の2つを組み合わせて、孔の検査を行うようにしてもよく、3つのすべてを組み合わせて孔の検査を行うようにしてもよい。

(4)上記実施形態1においては、孔径が0.5mm〜2mmの試験サンプルを用いて試験を行った場合を例示したが、孔径が0.5mm未満の複数の試験用サンプルを用いて試験を行った場合であっても、孔径と振幅値との相関をほぼ同様に得ることができ、また、孔径が2.0mmを超える試験サンプルを用いて試験を行った場合であっても、孔径と振幅値との相関をほぼ同様に得ることができる。従って、検査対象部品に形成されている孔は、孔径がμm単位であっても検査可能であり、また、孔径が10mm以上の大径の孔であっても検査可能である。

(5)上記実施形態1においては、スピーカー110を駆動する掃引周波数は、1Hz〜10KHzとした場合を例示したが、これに限られるものではなく、適宜変更可能である。

(6)上記各実施形態1において用いた孔検査装置10の形状や構造も図2に示すものに限られるものではなく、種々変形実施可能である。また、検査対象部品が円盤状である場合の外径の大きさも1種類だけでなく、種々の外径のものを検査対象とするような構造とすることも可能である。また、検査対象部品の形状も円形である必要はなく、種々の形状のものを検査可能となるような構造とすることができ、また、厚みも種々の厚みのものを検査可能とするような構造とすることができる。

(7)上記各実施形態1においては、孔の平面形状は円形(真円)である場合を例示したが、円形に限られるものではない。すなわち、本発明の孔検査方法及び孔検査装置は、検査対象部品に形成されている孔を流通する流体の流量に依存した電気信号に基づいて孔の検査を行うものであるため、例えば、検査対象の孔の形状は、楕円であってもよい。また、3形、四角形などの角形、さらには星形など、種々の形状を有する孔であっても、マスターサンプルに形成されている孔に対する検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することができる。また、孔が円形である場合、検査対象部品の表面側の径と、裏面側の径とが異なっていてもよく、また、検査対象の孔の形状が、円形以外の形状の場合は、検査対象部品の表面側の面積と裏側の面積とが異なっていてもよい。このような場合にも、マスターサンプルに形成されている孔に対する検査対象部品に形成されている孔の適否を判定することができる。

(8)上記実施形態では、検査対象部品の厚みを一定として、孔径の適否を検査する場合について説明したが、本発明の孔検査方法及び孔検査装置は、検査対象部品に形成されている孔を流通する流体の流量に依存した電気信号に基づいて孔の検査を行うものであるため、孔径の適否だけではなく、孔の容積などの適否の検査も可能である。

10・・・孔検査装置、100・・・筐体、101・・・空間部、102・・・開口、105・・・仕切り板、106・・・底面、107・・・部品載置部、108・・・部品押さえ部、110・・・スピーカー、120・・・スピーカー駆動部、130・・・マイクロホン(標準マイクロホン)、131・・・音入力部、140・・・周波数分析部、150・・・孔検査部、200・・・部品、201・・・孔、f11,f21,f31・・・基準共鳴周波数、L1〜L3・・・基準線、SP1〜SP6・・・サンプル(試験用サンプル)、S1〜S3,S10〜S30・・・ステップ

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