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Method of managing at the time of harvesting biomass of plants and management system,

阅读:71发布:2023-12-28

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  • 植物中の脂肪酸の含有量を測定する測定工程、
    測定した全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を取得する取得工程、
    取得したリノレン酸の割合 を基準値と比較して 、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定工程を含み 、上記基準値は、上記植物と同種の植物(基準植物)における全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合と収穫時バイオマス量の実測値との関係を複数組セットにしたものである 、植物の収穫時バイオマス量の管理方法。
  • 前記測定工程が、植物の花芽形成の時期又はそれ以前に行われる請求項1に記載の方法。
  • 収穫時バイオマス量が管理される植物の生育が、前記測定工程の前後にわたって維持されている請求項1又は2に記載の方法。
  • 前記測定工程が、非破壊にて行われる請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  • 前記測定工程が、前記植物からの反射光または透過光に含まれる近赤外光を分光学的手法で分析することにより行われる請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
  • 前記推定工程で推定した収穫時バイオマス量に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を行う、バイオマス量の調整工程をさらに含んでいる、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
  • 前記調整工程は、バイオマス量の調節剤を植物に供給することによって行う請求項6に記載の方法。
  • 前記調節剤がグルタチオンを含む請求項7に記載の方法。
  • 前記収穫時バイオマス量は、植物の総結実量、又は、収穫時における植物の地上部総バイオマス量である請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
  • 植物中の脂肪酸の含有量を測定するための測定手段と、
    測定した全脂肪酸に対するリノレン酸の割合を取得する取得手段と、
    取得したリノレン酸の割合 を基準値と比較して 、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定手段とを備え 、上記基準値は、上記植物と同種の植物(基準植物)における全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合と収穫時バイオマス量の実測値との関係を複数組セットにしたものである 、植物の収穫時バイオマス量を管理するシステム。
  • 推定手段により推定された植物の収穫時バイオマス量に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を診断する診断手段をさらに備えている、請求項10に記載のシステム。
  • 说明书全文

    本発明は、植物中の全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を管理する方法、及び管理するシステムに関する。

    植物は食糧用としてだけではなく、例えば、観賞用、燃料用、又は、紙及び薬品等の工業材料用等として、人類と深く関わってきた。 植物の発芽、成長、及び開花の時期を調整・判断することは、観賞用の草花、及び食糧用の野菜等の収穫を予測するうえで非常に重要となる。 また、果樹等の収量をコントロールするためには、木が実を多くつける年(生り年)を予測することが不可欠である。

    一般に、作物及び果実の収穫量は、気象要因等によって大きく左右されることが経験上知られている。 気象要因と開花・結実量との間には相関が認められており、実際にこの相関を元に、植物の生育状態に関して様々な予測が行われている。 しかし当該予測の精度は元々充分でないうえに、近年の異常気象に代表される気候変動に十分に対応することができず、植物の生育状態の予測がますます困難となってきている。

    上記の事情から、気象要因等による方法と比較して、植物の結実量等の収穫時バイオマス量を、より直接的に反映できる因子の特定とその利用法の開発とが切望されている。

    本発明者らは、シロイヌナズナの変異体を作成し、小川らの方法(非特許文献1)によって活性酸素量を定性的に検出して、野生型よりも活性酸素量の多い個体を選抜した。 これらの変異体は、長日かつ低照度条件において野生型より早咲きであり、活性酸素が過剰になると植物が早咲きの傾向となることをつきとめた。 また、当該変異体を解析した結果、変異体の原因遺伝子はリノレン酸合成酵素であることが判明した(特許文献1)。 リノレン酸は、植物中に含まれる脂肪酸の一種である。

    また、本発明者らは、植物の開花の制御機構として、従来考えられてきた開花制御遺伝子による経路とは別に、当該経路を発現させる新規トリガーとして生体膜脂肪酸組成、より具体的には、全脂肪酸に占めるリノレン酸の含有比率、が存在することを明らかにした。 さらに、この知見に基づき、植物の花芽が形成される時期に葉のリノレン酸含有量を測定することで、例えば、その植物の開花時期を、花芽形成が起こる前から高い精度で予測することが可能となった(特許文献2)。

    日本国特許公報 特許第4094971号/日本国公開特許公報 特開2004−264245号(2004年9月24日出願公開)

    日本国特許公報 特許第4095112号/日本国公開特許公報 特開2008−70384号(2008年3月27日出願公開)

    Ogawaら2001 Plant and Cell Physiology 42: 286-291(2001年3月公開)

    かねてから、農業分野においては、生産性を早期に把握する技術が切望されている。 生産性を早期に把握することが出来れば、過剰生産及び過少生産等を回避して、収益性をより一層向上させることができる。 しかし、特許文献1及び2に記載の方法は何れも、植物の生育状況の把握、及び開花時期の予測に利用できるものの、植物の生産性自体を把握することはできない。

    本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物の収穫時バイオマス量を事前に把握して管理する方法、及び管理するシステムを提供することにある。

    本発明者らは、植物の収穫時バイオマス量を事前に把握するために利用可能な生物学的な指標について鋭意検討を行った。 その結果、植物中の全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合に基づけば、収穫時バイオマス量を比較的早い段階でかつ高精度で把握することができ、上記指標として好適であることを見出した。

    すなわち、上記の課題を解決するために、本発明にかかる方法は、植物中の脂肪酸の含有量を測定する測定工程、測定した全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を取得する取得工程、取得したリノレン酸の割合に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定工程を含む、植物の収穫時バイオマス量の管理方法である。
    また、本発明にかかるシステムは、植物中の脂肪酸の含有量を測定するための測定手段と、測定した全脂肪酸に対するリノレン酸の割合を取得する取得手段と、算出したリノレン酸の割合に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定手段とを備えている、植物の収穫時バイオマス量を管理するシステムである。

    本発明によれば、植物の収穫時バイオマス量を事前に把握して当該収穫時バイオマス量を管理する方法、及びシステムが提供される。

    本発明の一実施形態にかかる管理システムの概略ブロック図である。

    近赤外光領域におけるの吸収スペクトル、及びその二次微分処理後の波形を示すグラフである。

    リノレン酸由来のピーク領域と水由来のピーク領域を比較したグラフである。

    近赤外光領域におけるミカン樹葉の吸収スペクトルを示すグラフである。

    近赤外光領域におけるミカン樹葉の吸収スペクトルの二次微分処理後の波形を示すグラフである。

    近赤外光領域におけるミカン樹葉の脂肪酸の吸光ピークを示す図である。

    リノレン酸含有量の異なるシロイヌナズナに含まれる脂肪酸量をガスクロマトグラフィーにより分析した結果を示すグラフである。

    3種の針葉樹における脂肪酸由来の吸光ピークを示す図である。

    シロイヌナズナに対するグルタチオンの施用効果を示すグラフである。

    ミカンにおけるリノレン酸の含有割合と着花数との関係を示す図である。

    グイマツにおけるリノレン酸の含有割合と結実球果量との関係を示す図である。

    グイマツにおけるリノレン酸の含有割合と雄花/雌花割合との関係を示す図である。

    近赤外光領域における、リノレン酸含有量の異なるシロイヌナズナの葉の吸収スペクトルの二次微分処理後の波形を示すグラフである。

    〔1. 植物の収穫時バイオマス量の管理方法〕
    (管理方法の概要)
    本発明にかかる植物の収穫時バイオマス量の管理方法は、植物中の脂肪酸の含有量を測定する測定工程、測定した全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を取得する取得工程、取得したリノレン酸の割合に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定工程を含む方法である。

    上記の管理方法は、必要に応じてさらに、上記推定工程の後に、推定工程で推定した収穫時バイオマス量と、目標とする収穫時バイオマス量(収穫時バイオマス量の目標値)とを比較して、植物の収穫時バイオマス量を調整する必要があるか否かを判定する判定工程を含んでいてもよい。

    上記の管理方法は、必要に応じてさらに、上記推定工程で推定した収穫時バイオマス量に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を行うバイオマス量の調整工程を含んでいてもよい。 調整工程の一例は、推定工程及び判定工程を行った後も植物を利用する時期になるまで当該植物を継続して生育させつつ、植物中のグルタチオン濃度、特に当該濃度の日周変動のパターンを変更させる工程である。 植物中のグルタチオン濃度を変更することにより、植物の収穫時バイオマス量を調整する。 調整工程の他の例は、判定工程の後に植物の生育を中止して植物の過剰生産を防ぐ工程である。 以下、本発明にかかる各種工程等をより詳細に説明する。

    (測定工程)
    上記測定工程は、植物中の脂肪酸の含有量を測定する工程である。 脂肪酸の含有量の測定は、破壊的方法、又は非破壊的方法で行われる。 そして測定した各種脂肪酸の含有量から、植物中の全脂肪酸の含有量を得る。

    破壊的方法による測定とは、測定対象たる植物からサンプル(植物体の一部)を採取し、当該サンプル中に含まれる脂肪酸の含有量を好ましくは直接的に測定する方法である。 脂肪酸の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、酸−塩基滴定法等の理化学的定量法により測定可能であり、中でもガスクロマトグラフィーが好ましい(特許文献1及び2の記載も参照される)。 破壊的方法による脂肪酸の含有量の測定は、直接的な分析ができるという利点がある。

    非破壊的方法による測定とは、測定対象たる植物を破壊することなく(サンプルの採取が必須ではなく)、当該植物中に含まれる脂肪酸の含有量を測定する方法である。 脂肪酸の含有量は、例えば、近赤外光分析により測定可能である。 非破壊的方法による測定は、破壊的方法による測定と比較して、分析試料(サンプル)の調製及び解析に、専門的な知識及び機器の必要性が比較的低く、かつ比較的短時間で分析結果が得られる。 また、分析対象となる植物試料の採取時(サンプル切除)による傷害ストレス等によって試料が変質している虞もない。 さらに、非破壊的方法によれば、サンプル採取が必須ではないから、同一の対象植物の経時的な定点観測ができるという利点もある。

    以下、非破壊的方法としての近赤外光分析の一例を具体的に説明する。 本発明に適用される近赤外光分析による非破壊測定法は、植物中の脂肪酸の含有量を非破壊で測定する方法であって、当該植物からの反射光のうち、波長が1.250μm以上で2.600μm以下の範囲内の波長帯に属する近赤外光の少なくとも一部を分光学的手法により分析する工程を含む方法である。 この方法は、植物の表面で自然光が反射又は吸収されるという現象を利用して行うこともできるため、上空(例えば、飛行機又は人工衛星等)からでも実施可能という利点がある。 また、植物に照射された光が植物を透過する際にも、特定波長の光が吸収されるという現象を利用して、植物からの透過光のうち、波長が1.250μm以上で2.600μm以下の範囲内の波長帯に属する近赤外光の少なくとも一部を分光学的手法により分析してもよい。 なお、以下の説明では主に植物からの反射光の利用について記載するが、使用可能なピーク波長等は反射光を利用する場合と透過光を利用する場合とで同じである。

    本発明者らは、植物からの反射光のうち波長が1.250μm以上で2.600μm以下の範囲内の近赤外光領域における吸収スペクトルを分光学的手法により詳細に分析した結果、この領域に、水による吸収の影響を実質的に受けず、かつ脂肪酸に特徴的なピークが存在していることを初めて見出した。 そして、このピークを解析することで、植物を破壊することなく含有脂肪酸量、及び、全脂肪酸に占めるリノレン酸量の含有割合を測定可能となることを示した。 ここで、吸収スペクトルとは、植物に照射された光の波長(照射光波長)と吸光強度との関係を示すものである。 なお、脂肪酸に特徴的なピークのうちで水による吸収の影響を受けるものも、植物を破壊することなく含有脂肪酸量、及び、全脂肪酸に占めるリノレン酸量の含有割合の決定に使うことが出来る。 但し、水(例えば、大気中の水蒸気)による吸収の影響を受けるピークは、植物に近接した状態で植物からの透過光を利用する形態において用いることが好ましい。

    ここで「分光学的手法による分析」とは、植物による吸光を分析するため、当該植物からの反射光のうち、波長が1.250μm以上で2.600μm以下の範囲内の波長帯に属する近赤外光の少なくとも一部を分光分析して吸収スペクトルを得ること、すなわち近赤外分光法による分析を行うことを指す。 なお、上記の通り植物からの透過光のうち、上記波長帯に属する近赤外光の少なくとも一部を分光分析して吸収スペクトルを得てもよい。

    植物からの反射光又は透過光を取得するために照射する光は、自然光を用いてもよく、波長が1.250μm以上で2.600μm以下の範囲内の波長帯に属する近赤外光を含んだ人工光を用いてもよい。 分析対象となる、1.250μm以上で2.600μm以下の範囲内の波長帯に属する近赤外光は、生体(植物体)透過性に優れるため、比較的厚みのある植物体からでも有意義な情報を取得することができる。 なお、測定の精度を向上させるという観点、又は如何なる環境下(例えば暗黒条件)でも測定を行うことができるという観点では、人工光を用いることが好ましい。

    なお、分光学的手法によって得られた吸収スペクトルに二次微分処理を行うことによって、サンプル中に含まれる脂肪酸をより明瞭に解析することが可能になるが、目的によっては分光によって得られた吸収スペクトルを直接的に比較解析してもよい。 なお、二次微分処理よって得られる二次微分波形やピークの位置は、測定対象に含まれる物質の量、組成や微分条件等によって変化しうるが、それぞれに好適な条件を選択して使用することができる。 二次微分処理の方法は特に限定されないが、例えばSavitzky-Golay法を用いることができる。

    また、植物に含まれる水分の影響を実質的に除去する目的では、波長1.250μm以上で1.340μm以下の範囲内、波長1.355μm以上で1.390μm以下の範囲内、波長1.500μm以上で1.750μm以下の範囲内、波長1.810μm以上で1.880μm以下の範囲内、波長2.010μm以上で2.380μm以下の範囲内からなる群より選択される少なくとも一つの波長帯(波長帯A)に属する照射光に係る吸収スペクトルの少なくとも一部を使用することが好ましく、波長1.500μm以上で1.750μm以下の範囲内、又は波長2.010μm以上で2.380μm以下の範囲内の波長帯に属する照射光に係る吸収スペクトルの少なくとも一部を使用することがより好ましい。 さらには、波長1.690μm以上で1.740μm以下の範囲内の波長帯に属する照射光に係る吸収スペクトルの少なくとも一部を使用することがさらに好ましい。

    全脂肪酸量の測定には、上記水の影響を排除できる波長領域内(波長帯A)に含まれる吸光ピークのうち、脂肪酸由来の吸光ピークを用いることが好ましい。 より詳細には、帰属波長1.294μm、1.712μm、1.728μm、2.061μm、2.175μm、2.270μm、2.308μm、2.342μm、2.376μmを含む9つの吸光ピークの少なくとも一部を用いることがより好ましく、これら吸光ピークの全部を用いることが特に好ましい。

    上記吸収スペクトルを得る方法は特に限定されないが、後述するリノレン酸等の脂肪酸に由来する微細なピークを確実に取得する観点では、近赤外光のスキャン方式としてAOTF(音響光学可変波長フィルタ)方式を採用し、計測する波長間隔(measurement slit width)を2nm以下、好ましくは0.5nm以上で1.5nm以下、より好ましくは0.8nm以上で1.2nm以下とする。 また、屋外での観測が容易という観点では、分光分析に用いる分光機器は持ち運びが可能なサイズと形状とを有していることが好ましい。 なお、上記近赤外分光法を実施する際の、対象となる植物と分光機器との距離は分光分析が可能な程度であれば特に限定されない。

    上記近赤外分光による解析を実施するために必要な検量線の作製は公知の方法に準じて行うことができる。 すなわち、リノレン酸、リノール酸等の脂肪酸、又は水等の標準サンプルを用いて近赤外分光法による分析を行い、検量線を作成することができる。 一例としては、まず標準となるサンプルをガスクロマトグラフで解析・定量しておき、次に、同サンプルに対して近赤外分光分析を行う。 また、植物に含まれる主要脂肪酸のピークリストを作製し、その中から好ましくは水の影響を受けない吸光ピークを選んでおく。 これらの吸光強度を重回帰分析の手法で解析して、ガスクロマトグラフの分析データと照合することで、全脂肪酸量を推定することができる。 すなわち、帰属波長が1.294μm、1.712μm、1.728μm、2.061μm、2.175μm、2.270μm、2.308μm、2.342μm、2.376μm(水の影響を受けない脂肪酸由来の吸光ピーク)の全て、又はその一部の吸光ピークを用いることで全脂肪酸量を定量解析することが好ましい。 ここでの帰属波長とは、吸光ピーク波長の中央値付近を特定した数値を指す。 帰属波長の使用には±0.001μm、より好ましくは0.0005μmの誤差を考慮に入れることが望ましい。

    また、脂肪酸として植物内に含まれるリノレン酸を解析する場合、1.350μm以上で1.420μm以下の範囲内、1.690μm以上で1.740μm以下の範囲内、1.750μm以上で1.785μm以下の範囲内、1.905μm以上で1.920μm以下の範囲内、1.940μm以上で1.950μm以下の範囲内、2.150μm以上で2.180μm以下の範囲内、2.190μm以上で2.220μm以下の範囲内、2.290μm以上で2.310μm以下の範囲内、2.330μm以上で2.350μm以下の範囲内、2.370μm以上で2.400μm以下の範囲内からなる群より選択される少なくとも一つの波長帯(波長帯B)に属する照射光に係る吸収スペクトルの少なくとも一部を使用することができる。 また、リノレン酸含有量を測定するためには、水の影響を受けないリノレン酸に固有のピークである帰属波長1.712μm、2.175μmを含む2つの吸光ピークの両者又はいずれか一方を用いることが最も好適である。 ここでの帰属波長とは、吸光ピーク波長の中央値付近を特定した数値を指す。 帰属波長の使用には±0.001μm、より好ましくは0.0005μmの誤差を考慮に入れることが望ましい。

    また、上記の測定工程を行う時期は特に限定されないが、収穫時バイオマス量をよりよく反映しうる全脂肪酸量/リノレン酸量を得るという観点では、植物の花芽形成の時期又はそれ以前の花芽形成に影響する時期(花芽形成前準備期と称する)を含めて行われることが好ましく、より精度の高い管理を目指すという観点からは、花芽形成前準備期が含まれるように行うことがより好ましい。 特に植物の収穫時バイオマス量として、総結実量(乾燥重量)、又は、収穫時における植物の地上部総バイオマス量(乾燥重量)を利用する場合は、測定工程は、植物の花芽形成の時期又は花芽形成前準備期が含まれるように行うことが好ましい。

    なお、測定工程を花芽形成の時期以前に行う場合は、測定対象とする植物の特性に応じて、花芽形成前準備期の特定を行えばよい。 例えば、対象とする植物について、花芽形成前準備期が何時頃であるか凡そ知られている場合は、知られた情報に従って測定工程を実施すればよいし、或いは、花芽形成準備期とその前後の期間とで、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合が特徴的な変化のパターンを示すという現象を利用し、本発明における測定工程及び取得工程を経時的に行って花芽形成準備期を容易に特定することもできる。

    また、植物の花芽形成の時期は、植物種に応じて凡そ知られているため、当業者であれば適宜決定することが出来るが、上記花芽形成準備期を特定する場合と同様に、本発明における測定工程及び取得工程を経時的に行いリノレン酸の割合を観察することでも容易に特定することができる。 或いは、花芽形成の時期の決定は、例えば、植物の外観的特徴の観察により、又は花芽形成に関与する遺伝子(例えば、LEAFY遺伝子及びその相同遺伝子等)の発現量等を指標にして行えばよい。 例えば、植物としてマツを例に取ると、花芽形成の季節におけるLEAFYの相同遺伝子の発現量の増減、又は外観的特徴の観察により、花芽形成の時期を決定又は予想して測定工程を行う。 マツの花芽形成の時期は前年であることが知られているが、花芽形成準備期がさらにその前年であることが、測定工程及び取得工程で得られたリノレン酸の割合から推定され、結果的に、本発明を2年後のシーズンのマツの収穫時バイオマス量の把握(予測)に用いることができる。

    また、測定工程は、一点観測で行ってもよいが、多点観測で行うことがより好ましい。 なお、多点観測とは、破壊的測定の場合は、同一の植物体における異なる場所を対象として測定工程を同時期又は異なる時期に行うことを指し、非破壊的測定の場合は、同一の植物体における同一又は異なる場所を対象として測定工程を同時期又は異なる時期に行うことを指す。 測定工程を異なる時期に行う場合は、測定の何れもが花芽形成の時期又は花芽形成準備期を含むように行われることが好ましい。 なお、一点観測及び多点観測は、実質的に同一の環境に生育している複数の同種の植物を対照として比較を行ってもよい。

    (取得工程)
    上記取得工程は、測定工程で測定した全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を取得する工程である。 リノレン酸を含んだ全脂肪酸量の測定値、及びリノレン酸のみの脂肪酸量の測定値は、上記の測定工程を行うことでそれぞれ得られる。 取得工程では、例えば、リノレン酸のみの脂肪酸量の測定値を、リノレン酸を含んだ全脂肪酸量の測定値で除して、全脂肪酸量に対するリノレン酸の含有割合(例えば、重量ベースの含有割合(単位%))が取得される。 例えば、脂肪酸量の測定を上記した近赤外光分析で行う場合は、リノレン酸量を反映したピーク面積を、全脂肪酸量を反映したピーク面積で除することで、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合が取得される。 なお、植物における全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を、「リノレン酸/全脂肪酸」割合と称する場合がある。

    (推定工程)
    上記推定工程は、リノレン酸の割合に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する工程である。 植物では種類を問わず、「リノレン酸/全脂肪酸」割合が高くなるほど、収穫時総バイオマス量が低くなる傾向がある。 推定工程では、取得工程で取得した「リノレン酸/全脂肪酸」割合を推定用の基準値と比較し、当該比較の結果に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する。 なお、以下の説明では、推定工程で得られた収穫時バイオマス量の推定値を、「収穫時バイオマス推定量」と称する。

    上記推定を行うための基準(推定用の基準値)は、上記測定工程を行う前に予め準備しておくことができる。 推定用の基準値を準備する一例では、収穫時バイオマス量の推定対象となる植物と同種の植物(基準植物と称する)における「リノレン酸/全脂肪酸」割合と収穫時バイオマス量(実測値)との関係を複数組セットにして予め取得しておく(基準値準備工程)。 この基準値は、異なる「リノレン酸/全脂肪酸」割合であれば、その相違に応じて収穫時バイオマス量も変動する事を示す情報を含むことが望ましいため、基準植物としては、例えば成育環境が異なる等の事情で、収穫時バイオマス量が異なることが想定される複数の同種の植物を用いて、「リノレン酸/全脂肪酸」割合及び収穫時バイオマス量(実測値)の取得を、複数の植物間でそれぞれ同時期に行う。 一方、収穫時バイオマス量の推定対象となる植物が多年生の植物の場合は、基準植物として同一の植物体(推定の対象となる植物個体そのものでもよい)を用いて、複数年にわたり同時期(異なる年の同シーズン)に、「リノレン酸/全脂肪酸」割合と収穫時バイオマス量(実測値)との関係をセットにして予め取得をしておくこともできる。 この基準値は、好ましくは、「リノレン酸/全脂肪酸」割合と収穫時バイオマス量との関係を複数プロットで示す二次元散布図であり、より好ましくは二次元散布図上の複数プロットから算出した、「リノレン酸/全脂肪酸」割合と収穫時バイオマス量との関係を示す回帰直線である。 なお、重回帰分析等で、他のファクターを加味した回帰分析で予測の精度はさらに上げることが可能である。

    そして、取得工程で取得した「リノレン酸/全脂肪酸」割合を、上記二次元散布図又は回帰直線等に当てはめて当該「リノレン酸/全脂肪酸」割合に対応する収穫時バイオマス量を算出することで、植物の収穫時バイオマス推定量が得られる。

    なお、基準値準備工程において、「リノレン酸/全脂肪酸」割合は、上記測定工程及び取得工程と同様の方法で得ることができる。 また、「収穫時バイオマス量(実測値)」は、「リノレン酸/全脂肪酸」割合を取得したタイミングから所定の期間が経過した後に、収穫物の重量(好ましくは乾燥重量)測定を行うことで得ることができる。 なお、所定の期間とは、取得された「リノレン酸/全脂肪酸」割合が、収穫時のバイオマス量に実質的な影響を及ぼす収穫までの期間を指す。 より具体的には、植物が一年生草本の場合には、所定の期間とは、「リノレン酸/全脂肪酸」割合を取得してから収穫時までの期間を指す。 植物が多年生の場合には、所定の期間は、植物の種類に応じて決定される。 例えば、マツの種子の場合は、所定の期間とは、「リノレン酸/全脂肪酸」割合を取得した次の年、及び2年後のシーズンの種子の収穫時までの期間を指す。

    (判定工程)
    上記の判定工程は、推定工程で得た収穫時バイオマス推定量と、目標とする収穫時バイオマス量(収穫時バイオマス量の目標値)とを比較して、植物の収穫時バイオマス量を調整する必要があるか否かを判定する工程である。

    収穫時バイオマス量の目標値は、例えば農林業の生産計画等に応じて適宜設定される。 また、植物の収穫時バイオマス量を調整する必要があるか否かは、当該目標値と、収穫時バイオマス推定量との乖離が、任意に定められる許容範囲内であるか否かに基づいて決定される。

    判定の一例を挙げると、収穫時バイオマス推定量が、1)目標値±A%以内(Aは任意に設定される数)であればバイオマス量の調整は不要と判定し、2)目標値+A%を超えて乖離していればバイオマス量を低下させる方向に調整が必要と判定し、3)目標値−A%を超えて乖離していればバイオマス量を向上させる方向に調整が必要と判定する、という選択肢が含まれる。 なお、バイオマス量を調整するための処置(調整工程)の詳細については後述する。

    (バイオマス量の調整工程の一例:植物中のグルタチオン濃度を変更させる工程)
    本発明に係る収穫時バイオマス量の管理方法では、上記判定工程以降であって、かつ植物を利用する時期よりも前に、必要に応じて、収穫時バイオマス推定量に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を行う、バイオマス量の調整工程を含んでいてもよい。 調整工程の一例は、推定工程及び判定工程を行った後も植物を利用する時期になるまで当該植物を継続して生育させつつ、植物中のグルタチオン濃度、特に当該濃度の日周変動のパターンを変更させる工程である。

    なお、収穫時バイオマス量をより効率的に調整する観点では、本工程は、上記判定工程以降であって、かつ植物の花芽形成の時期又はそれ以前に行われることが好ましく、花芽形成の時期以前を含むことがより好ましい。 なお、本工程を花芽形成の時期以前に行う場合は、花芽形成に影響を及ぼす時期(花芽形成前準備期)に行うことがより好ましい。 特に安定生産を望む場合には、事前に調整工程に用いられるような方法で処理を行い、経時的に推定工程と判定工程とを行うことで、結果的に生産性の向上を図ることができる。

    植物中のグルタチオン濃度を変更する方法は特に限定されないが、グルタチオンの合成又は分解代謝に関与するポリヌクレオチドを植物中に導入する方法、及び、植物中のグルタチオン量に影響を与えるバイオマス量の調節剤(前出のポリヌクレオチド以外の化合物)を植物に供給する方法等が挙げられ、中でもバイオマス量の調節剤を植物に供給する方法がより好ましい。

    グルタチオンの合成又は分解代謝に関与するポリヌクレオチドとしては、具体的には例えば、γ−グルタミルシステインシンセターゼをコードするポリヌクレオチド(以下、「GSH1遺伝子」という。)、グルタチオン結合性プラスチド型フルクトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼをコードするポリヌクレオチド(以下、「FBA遺伝子」という。)を好ましく例示できる。 これら遺伝子は過剰発現させることで、植物中のグルタチオン濃度を向上させるものである。 なお、これら遺伝子の発現を抑制するアンチセンスRNA、siRNA等の各種ポリヌクレオチドも、グルタチオンの合成又は分解代謝に関与するポリヌクレオチドの他の例として挙げられる。

    GSH1遺伝子の具体例としては特に限定されないが、例えば、ヒャクニチソウ(Genbank accession: AB158510)、イネ(Genbank accession: AJ508915)、タバコ(Genbank accession: DQ444219)等が知られており、これらも本発明に好適に用いることができる。 これらの遺伝子の翻訳産物も、シロイヌナズナと同様にN末端領域に葉緑体移行シグナルペプチドを有している。

    植物中のグルタチオン量に影響を与えるバイオマス量の調節剤としては、具体的には例えば、グルタチオン、グルタチオン抱合体、活性酸素(例えば過酸化水素等)、活性窒素、ポリアミン、酸化チタン、ジャスモン酸、サリチル酸、システイン、シスチン、重金属カドミウム、鉄イオンが例示できる。 これらの調節剤は何れも、植物に接触させることで植物に吸収させることができ、かつ植物中のグルタチオン濃度を向上させる。 なお、ポリアミンは過酸化水素の原料となる。 酸化チタンは光によって活性酸素を生成する。 システイン、シスチンはグルタチオンの前駆体である。 重金属カドミウム、鉄イオンについては、過剰投与することが好ましい。 また、ここに例示した物質の中ではグルタチオンが好ましい。 また、グルタチオンには、還元型グルタチオン(以下、「GSH」という。)及び酸化型グルタチオン(以下、「GSSG」)があるが、物質安定性のよいGSSGであることがより好ましい。

    上記工程を行うことで植物中のグルタチオン濃度の日周変動を最適値(目標値)に向けて低下させれば、未処置の場合と比較して収穫時バイオマス量は抑制され、植物中のグルタチオン濃度の日周変動を最適値(目標値)に向けて向上させれば、未処置の場合と比較して収穫時バイオマス量は向上する。 したがって、植物の収穫時バイオマス量を適切に管理することができる。 なお、植物中のグルタチオン濃度を変更させる工程については、参考文献:国際公開WO2009/063806の記載も参照される。

    (バイオマス量の調整工程の他の例)
    本発明に係る収穫時バイオマス量の管理方法では、上記判定工程の後に植物を利用に供することなくその生育を中止する工程をさらに含んでいてもよい。 植物の生育を早期に中止すれば、過剰生産の防止に加えて、生育の継続に要する労及びコストを削減できるという利点もある。 さらに、植物の生育を中止して他の植物に植え替えれば、耕作面積の利用の最適化に結びつけることができる。

    (植物を利用する工程)
    本発明にかかる収穫時バイオマス量の管理方法では、植物は、収穫時のバイオマス量が適切となるように管理及び生育される。 生育された植物は、最終的には利用に供される。 ここで、植物を利用に供するとは、植物を収穫して所定の目的に利用すること、及び、植物を収穫せずに利用することを指す。

    (本発明にかかる管理方法が適用される植物)
    本発明にかかる管理方法が適用される植物の種類は特に限定されず、野生植物のみならず栽培植物も対象となるが、収穫時バイオマス量を管理するという目的から好ましくは栽培植物である。

    また、特に限定されないが、上記植物は、地上部が利用される植物であることが好ましく、地上部が利用される植物の中でも果実又は種子が利用される植物であることがより好ましい。 地上部が利用される植物としては、具体的には例えば、トマト、ピーマン、ナス、キャベツ、レタス、春菊、ニラ等の野菜類;稲、大麦、小麦、ライ麦、エダマメ、ダイズ、アズキ、トウモロコシ等の穀類及び豆類;ミカン(柑橘類)、リンゴ、ナシ、クリ、ブドウ、モモ等の果樹類;スギ、ヒノキ、ヒバ、ユーカリ、アカシア、ポプラ等のパルプ・材木用の樹木類;ラベンダー、胡蝶蘭、橘等の観賞用花卉・樹木(園芸品種);ナタネ、ヒマワリ、ゴムノキ、牧草、カンゾウ、ヤトロファ、パームヤシ、サトウキビ等の前記以外の有用植物;等が挙げられる。

    また、特に限定されないが、本発明に係る方法によらずに収穫時バイオマス量の予測及び管理をすることがより困難であるという観点で、上記植物は多年生(二年生を含む)の草本又は木本であることが好ましく、木本であることがより好ましい。

    なお、上記植物には、自然環境下又は人工環境下で生育している植物が何れも含まれる。 ここで人工環境下とは、具体的には例えば、温室等の屋内での植物栽培、水耕法での植物栽培、屋外での田畑での植物栽培、果樹園での植物栽培、等が挙げられる。 また、自然環境下とは、具体的には例えば、平地、山地、丘陵地、河川、湖沼、海、等の生育環境が挙げられる。

    (収穫時バイオマス量)
    本発明において植物の収穫時バイオマス量とは、植物を利用する段階における当該植物のバイオマス量(乾燥重量)を指す。 植物を利用する段階とは、収穫して利用される植物の場合は収穫時を指し、収穫せずに利用される植物の場合は当該利用の時を指す。 収穫時バイオマス量は、当該植物の収穫時の総バイオマス量であってもよいが、地上部を利用する植物、特に果実又は種子を利用する植物の場合は、総結実量(乾燥重量)、又は、収穫時における植物の地上部総バイオマス量(乾燥重量)であることが好ましい。 なお、植物体全体或いは植物体の地上部の充実度合いと総結実量との間には、比較的に相関関係が見られるため、総結実量と収穫時における植物の地上部総バイオマス量とは比較的に相関する。

    (本発明にかかる効果の一例)
    本発明にかかる管理方法によれば、バイオマスの生産性(種子収量を含む。)が管理できるようになる。 この管理方法を、特に広域での植物生産管理に活用すれば、生産量の好適化及び流通の好適化にも寄与し、省コスト及び省エネルギー化による低炭素社会の構築にも寄与する。 また、農作物の生産量管理を広域に対して行うことで、生産量、流通量を管理する技術としての運用が可能となる。

    管理する生産体制が大規模化するに従い、本発明にかかる管理方法を採用する利点が大きくなる。 例えば、本発明にかかる管理方法は、植物の生育性を改善するだけでなく、生育の早い段階で植物の生産性が明らかとなる(早期の生産予測)。 その結果、生産体制全体での過剰生産を抑制し、過剰生産と判明した場合には面積の一部を他の作物へ早期に転換できる等の利点がある。 よって、本発明にかかる管理方法は、生産システムとしての収益性を最適化するIT(Information Technology)農業システムに採用可能である。

    〔2. 植物の収穫時バイオマス量の管理システム〕
    以下、上記した植物の収穫時バイオマス量の管理方法を実行するシステムの一例について、図1に基づき具体的に説明する。

    図1に示すように、管理システム10は、植物中の脂肪酸の含有量を測定する測定手段1、全脂肪酸に対するリノレン酸の含有割合を取得する取得手段2、及び、推定・診断手段3、を少なくとも備えて構成される。 管理システム10はさらに、表示手段4、及び記憶手段5を備える。 なお、取得手段2、推定・診断手段3、表示手段4、及び記憶手段5は、それぞれコンピュータ6の一部構成である。 なお、推定・診断手段3は、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定手段、及び、推定手段により推定された植物の収穫時バイオマス量に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を診断する診断手段の役割を有している。

    測定手段1は、上記〔1. 植物の収穫時バイオマス量の管理方法〕の欄において記載した測定工程を実行する測定装置に相当する。 すなわち、測定手段1とは、具体的には例えば、ガスクロマトグラフ装置、薄層クロマトグラフ装置(破壊的測定の場合)、近赤外光分光分析装置(非破壊的測定の場合)、ハイパースペクトルカメラ(非破壊的測定の場合)等が挙げられる。 測定手段1は、記憶手段5に対して、植物中の脂肪酸の含有量に関する測定データを出力する。

    記憶手段5は、測定手段1により出力された、植物中の脂肪酸の含有量に関する測定データを記憶する。 記憶手段5は、また、上記〔1. 植物の収穫時バイオマス量の管理方法〕の欄において記載した推定工程で用いる推定用の基準値を記憶する。

    取得手段2は、上記〔1. 植物の収穫時バイオマス量の管理方法〕の欄において記載した取得工程を実行する。 より具体的には、取得手段2は、植物中の各種脂肪酸の含有量の測定データを記憶手段5から取り出し、当該測定データから植物中の全脂肪酸含有量の測定値とリノレン酸含有量の測定値とを抽出する。 取得手段2はさらに、リノレン酸含有量の測定値を、リノレン酸を含んだ全脂肪酸含有量の測定値で除して、全脂肪酸量に対するリノレン酸の含有割合(例えば、重量ベースの含有割合)を取得する。 得られた全脂肪酸量に対するリノレン酸の含有割合は、取得手段2から推定・診断手段3に出力される。

    推定・診断手段3は、上記〔1. 植物の収穫時バイオマス量の管理方法〕の欄において記載した推定工程、及び判定工程を実行し、さらに調整工程を実行する際に採用される処置の診断を行う。 より具体的には、推定・診断手段3は、記憶手段5から取り出した推定用の基準値と、取得手段2から出力された全脂肪酸量に対するリノレン酸の含有割合とを比較し、当該比較の結果に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する(推定工程の実行)。 推定・診断手段3はさらに、推定工程で推定した収穫時バイオマス量と、目標とする収穫時バイオマス量(目標値)とを比較して、植物の収穫時バイオマス量を調整する必要があるか否かを判定する(判定工程の実行)。 ここで、植物の収穫時バイオマス量を調整する必要があると判定された場合、推定・診断手段3はさらに、記憶手段5中に格納された、調整工程を行うための様々な処置の候補の中から、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を診断して(診断工程の実行)抽出する。 推定・診断手段3は、「推定した収穫時バイオマス量(収穫時バイオマス推定量)」、「収穫時バイオマス量の調整要否の判断結果」、「収穫時バイオマス量を目標値に近づけるために抽出された処置の詳細、診断結果の詳細」等の、様々な処理結果を、表示手段4に対して出力する。

    なお、「植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を診断する(或いは評価する)」とは、収穫時バイオマス推定量と収穫時バイオマス量の目標値との乖離の程度に応じて、複数の処置の候補それぞれの適否を診断すること、複数の処置の候補の中からより好適なものを抽出すること、或いは、抽出された処置を実行した場合に収穫時バイオマス量がどのように変化する(改善する)かシミュレーションをすること、等が含まれる。

    そして、これらの診断は、収穫時バイオマス量に影響を与える様々な処置を植物に対して実行した場合の収穫時バイオマス量の変化の実測データと各処置とを関連付けて記憶手段5に格納しておくことにより、より一層高精度で実行できるようになる。

    表示手段4は、コンピュータ6に備えられた表示装置である。 表示手段4は具体的には例えば、液晶モニター等である。 表示手段4は、推定・診断手段3から出力された処理結果を、管理システム10の操作者が認識可能な形式で表示する。

    なお、管理システム10を構成する取得手段2及び推定・診断手段3の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。

    すなわち、管理システム10は、取得手段2及び推定・診断手段3の各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。 そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである管理システム10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記管理システム10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)6が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。

    上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。

    また、管理システム10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。 この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。 また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。 なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。

    管理システム10が通信ネットワークと接続可能に構成されている場合、測定手段1により出力された測定データは、通信ネットワークを介して送信されて例えばサーバ上等にある記憶手段5に記憶させるように構成することもできる。 また、取得手段2及び推定・診断手段3も通信ネットワークを介して記憶手段5(及び測定手段1)と繋がっていてよい。 また、異なる場所にある植物を測定するための複数の測定手段1が、通信ネットワークを介して共通の記憶手段5と繋がっており、異なる場所における植物の収穫時バイオマス量を最適化できるように包括管理可能な構成することもできる。

    〔3. 〕
    本発明にかかる方法(1)は、植物中の脂肪酸の含有量を測定する測定工程、測定した全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を取得する取得工程、取得したリノレン酸の割合に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定工程を含む、植物の収穫時バイオマス量の管理方法である。
    本発明にかかる方法(2)は、方法(1)において、前記測定工程が、植物の花芽形成の時期又はそれ以前に行われるものである。
    本発明にかかる方法(3)は、上記方法(1)又は(2)において、収穫時バイオマス量が管理される植物の生育が、前記測定工程の前後にわたって維持されているものである。
    本発明にかかる方法(4)は、上記方法(1)から(3)の何れかにおいて、前記測定工程が、非破壊にて行われるものである。
    本発明にかかる方法(5)は、上記方法(1)から(4)の何れかにおいて、前記測定工程が、前記植物からの反射光または透過光に含まれる近赤外光を分光学的手法で分析することにより行われるものである。
    本発明にかかる方法(6)は、上記方法(1)から(5)の何れかにおいて、前記推定工程で推定した収穫時バイオマス量に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を行う、バイオマス量の調整工程をさらに含むものである。
    本発明にかかる方法(7)は、上記方法(6)において、前記調整工程は、バイオマス量の調節剤を植物に供給することによって行うものである。
    本発明にかかる方法(8)は、上記方法(7)において、前記調節剤がグルタチオンを含むものである。
    本発明にかかる方法(9)は、上記方法(1)から(8)の何れかにおいて、前記収穫時バイオマス量は、植物の総結実量(重量)、又は、収穫時における植物の地上部総バイオマス量(重量)である。
    また、本発明にかかるシステム(1)は、植物中の脂肪酸の含有量を測定するための測定手段と、測定した全脂肪酸に対するリノレン酸の割合を取得する取得手段と、算出したリノレン酸の割合に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を推定する推定手段とを備えている、植物の収穫時バイオマス量を管理するシステムである。
    本発明にかかるシステム(2)は、上記システム(1)において、推定手段により推定された植物の収穫時バイオマス量に基づいて、植物の収穫時バイオマス量を目標値に近づけるための処置を診断する診断手段をさらに備えているものである。

    以下に参考例、及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明をするが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。

    〔参考例1〕水の吸収スペクトルの影響を受けない領域の同定 予備実験として、水の近赤外光吸収スペクトル及びその二次微分波形の解析を行った。 測定は近赤外分光計AOTF-NIR Spectrometer Model:C (Infrared Fiber Systems, Inc., USA)を用いて、以下の計測条件で測定スポットからの反射光を測定した。
    計測条件は、以下、
    ・波長範囲(Wavelength):1.300μm〜2.500μm
    ・計測間隔(Measurement slit width):1nm
    ・走査回数(Scan times):25回・計測時間(Time):12秒に示す通りである。

    続いて、得られた近赤外光の吸光スペクトラムを、波形解析ソフトウェア32/AI(Gram社)によって二次微分処理を行い、図2に示す波長―吸光強度の関係を示すグラフを得た。 なお、二次微分処理は、Savitzky-Golay法により行い、上記ソフトウェアにおいて関数の設定をDerivative 2 nd 、Degree 2、Points 23として行った。

    図2に示すように、波長1.250μm以上で2.500μm以下の範囲内のうちの5箇所(領域A・B間、領域B・C間、領域C・D間、領域D・E間、領域Eより長波長領域)は水による吸光ピークと重なるため、それ以外の領域A〜Eを主に脂肪酸含有量の解析に用いることとした。 この5箇所の領域A〜Eは、水による吸収の影響が実質的にない領域である。 よって、領域A〜Eの任意の領域又は全領域の何れを用いても、水による吸収の影響を受けることなく脂肪酸含有量の解析を行うこともできる。

    〔参考例2〕リノレン酸の吸収スペクトルの二次微分解析 上記参考例1と同様の方法を用いてリノレン酸の標準試料(Aldrich社 USA, Code No.85,601-0)の近赤外光吸収スペクトルを取得し、次いで、当該吸収スペクトルの二次微分波形を波形解析ソフトウェア32/AI(Gram社)によって計算した。 図3に示すように、波長1.250μm以上で2.400μm以下の範囲内に、リノレン酸に特徴的なピークを少なくとも10カ所で見出すことができた。 具体的には、波長が1.350μm以上で1.420μm以下の範囲内、1.690μm以上で1.740μm以下の範囲内、1.750μm以上で1.760μm以下の範囲内、1.910μm以上で1.920μm以下の範囲内、1.940μm以上で1.950μm以下の範囲内、2.150μm以上で2.180μm以下の範囲内、2.190μm以上で2.220μm以下の範囲内、2.290μm以上で2.310μm以下の範囲内、2.330μm以上で2.350μm以下の範囲内、及び2.370μm以上で2.400μm以下の範囲内のそれぞれに存在するピークである。 このうち、参考例1で挙げた、水の吸収による影響の受けない波長域に含まれる吸光ピークは、1.690μm以上で1.740μm以下の範囲内、2.150μm以上で2.180μm以下の範囲内、2.190μm以上で2.220μm以下の範囲内、2.290μm以上で2.310μm以下の範囲内、及び2.330μm以上で2.350μm以下の範囲内のそれぞれに存在するピークである。 なお、図3には、参考として、水の吸収スペクトルの二次微分波形(図中で黒塗り)も示している。

    〔参考例3〕 ミカン樹葉における、リノレン酸の近赤外分光による非破壊測定 植物材料として、温州ミカン(Citrus unshiu)を用い非破壊で脂肪酸含有量の測定を行った。 温州ミカンは、和歌山県有田郡(和歌山県農林水産総合技術センター内)のミカン畑で栽培されている立木であり、2009年7月1日に上記参考例1と同様の方法により、AOTF-NIR Spectrometer Model:C(Infrared Fiber Systems, Inc., USA)を用いて脂肪酸含有量の測定に供した。
    計測条件は、以下、
    ・波長範囲(Wavelength):1.25μm〜2.5μm
    ・計測間隔(Measurement slit width):1nm
    ・走査回数(Scan times):25回・計測時間(Time):10秒に示す通りである。

    葉は切り取らずに、枝についたままで、葉の透過光の測定を行った。 一枚の葉で計測点を変え、3分以内に10点を計測した。 10本の原スペクトルを図4に示す。 得られた近赤外光の吸光スペクトラムの中からひとつを選び、波形解析ソフトウェア32/AI(Gram社)によって二次微分処理を行い、図5に示す波長―吸光強度の関係を示すグラフを得た。 なお、二次微分処理は、Savitzky-Golay法により行い、上記ソフトウェアにおいて関数の設定をDerivative 2 nd 、Degree 2、Points 27として行った。 水の干渉を受けない波長帯をA,B,Cで示した。 図6は二次微分した結果がマイナス値を示す場所を抜き出している。 K1〜K9で示す9つのピークは、脂肪酸由来のものである。 これらの帰属波長はK1(1.294μm)、K2(1.712μm)、K3(1.728μm)、K4(2.061μm)、K5(2.175μm)、K6(2.270μm)、K7(2.308μm)、K8(2.342μm)、K9(2.376μm) であった。 これら9つのピークには植物中の主要な脂肪酸(リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸等)が含まれている。 このうち、K1、K3、K4、K6、K7、K8、K9はリノール酸、オレイン酸、パルミチン酸等と重複するピークなのでリノレン酸含有量の測定には使用できない。 一方、K2、K5は他の脂肪酸と重複しないリノレン酸固有のピークである。 K2又はK5のピークが検出可能であることから、植物の生葉においても、リノレン酸含有量を割り出すことが可能であることが示された。

    リノレン酸の吸光スペクトルが帰属する波長領域の決定はリノレン酸試薬(Aldrich社 USA, Code No.85,601-0)の計測に拠って行った。 リノレン酸の他に植物が含む脂肪酸として、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸などがあり、これ等についても同様に試薬の計測を行った(リノール酸(Aldrich社 USA Code No. 85,776-9)、オレイン酸(Aldrich社 USA Code No. 49,043-1)、パルミチン酸(Aldrich社 USA Code No. 48,961-1))[データは示していない]。 これらの結果、K2およびK5は、他の脂肪酸の吸光ピークと重畳しないリノレン酸固有の吸光ピークであることが明らかとなった。

    〔参考例4〕 シロイヌナズナのリノレン酸欠乏株、リノレン酸過剰株、及び野生株の非破壊測定 シロイヌナズナのリノレン酸生合成経路に関わる遺伝子であるFAD3、FAD7、FAD8の全てを欠失した三重変異体(fad3, fad7, fad8/リノレン酸欠乏株)、FAD7及びFAD8を欠失した二重変異体(fad7, fad8/リノレン酸欠乏株)、FAD3過剰発現体(35S−FAD3/リノレン酸過剰株)、及び野生株(Col 野生型)に含まれるリノレン酸含有量についてガスクロマトグラフィーにより計測をおこなった。 なお、リノレン酸欠乏株(三重変異体)、及びリノレン酸過剰株は、特許文献1(日本国特許 特許第4095112号)に記載したものと同一であり、リノレン酸欠乏株(二重変異体)は参考文献(Plant Physiology 106, 1609-1614, 1994)に記載のある植物と同一である。

    使用したシロイヌナズナの各株は、光強度が約100μE・m −2・S −1で明暗を16時間・8時間のサイクル、22℃の管理環境下で栽培をし、栽培4週目(花芽形成が進行している時期)にあたる2008年5月23日に地上部(主に葉身)を測定に供した。

    また、リノレン酸量の非破壊分析法として、参考例1と同様にして、シロイヌナズナの葉にAOTF-NIR Spectrometer Model:Cを接触させ、吸光スペクトルを得て、波形解析ソフトウェア32/AI(Gram社)によって二次微分解析を行った。 測定条件は以下に示す。
    ・波長範囲(Wavelength):1.3μm〜2.5μm
    ・計測間隔(Measurement slit width):1nm
    ・走査回数(Scan times):平均25回・計測時間(Time):12秒スムージング係数を79, 11、ポイント数を17, 19, 23に設定し、そこから得た二次微分波形について、上記参考例等に記載の方法でリノレン酸量、及び植物中の全脂肪酸量の解析を行った。

    図7は、上記ガスクロマトグラフィー解析の結果得られた、シロイヌナズナの各株における、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を示している。 この結果は、吸光スペクトル解析による非破壊分析法を用いた全脂肪酸のリノレン酸の測定結果(図13)と同様の傾向を示していた。 なお、図13中のAは上記三重変異体、Bは上記FAD3過剰発現体、Cは上記野生株から得た吸収スペクトルの二次微分波形である。 二次微分波形から、リノレン酸に関連するピークがリノレン酸量に応じて変化していることが認められた。 変化するピーク波長の例としては、1.396μm、1.783μm、1.906μmが挙げられる。

    〔参考例5〕:針葉樹樹葉におけるリノレン酸の非破壊測定 異なる3種の針葉樹の樹葉について解析を行った。 測定に供した3種は、アカエゾマツ(Picea glehnii)、グイマツ(Larix gmelinii)、カラマツ(Larix kaempferi)であり、すべて北海道立林業試験場内(北海道美唄市)で栽培されている樹木である。 測定は2008年6月8日に行い、リノレン酸量の非破壊分析法として、参照例1と同様の近赤外分光法を用い、樹葉にAOTF-NIR Spectrometer Model:Cを接触させて波長2.600μmまでの近赤外光領域の反射光を分析した。 図8は、得られた吸収スペクトルを二次微分して得られた波長−吸光度の関係を示す図であり、波長1.690μm〜1.750μmについて拡大して示している。 図8に示すように、いずれの種においても、帰属波長1.712μmの吸光ピークが存在しており、リノレン酸が計測できることが示された。 また、リノール酸、オレイン酸などの他の脂肪酸についても同様に測定可能なことが分かる。 このように、本発明の方法を適用すれば、シロイヌナズナ以外の植物(特に針葉樹)においても、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を解析できることが分かった。

    〔実施例1〕 シロイヌナズナのリノレン酸欠乏株、リノレン酸過剰株、及び野生株に対するグルタチオンの施用 本参考例では、参考例4で使用したシロイヌナズナの各株について、バイオマス量の計量と、グルタチオンの施用によるバイオマス量の調整効果の確認とを行った。

    試験に供されたシロイヌナズナの各株はポットに3個体ずつ植えられ、光強度が約100μE・m −2・S −1で明暗を16時間・8時間のサイクル、22℃の管理環境下で、播種後から種子を結実させるまでの期間(約2ヶ月半〜3ヶ月)、栽培をした。 また、コントロールを除き、各種グルタチオン(GSHの2mM水溶液、又はGSSGの1mM水溶液)を、播種後1週目から5週目まで週に1回(合計5回)、シロイヌナズナ3個体あたり毎回25mL施用した。

    最終的に得られたシロイヌナズナは地上部を収穫し、湿度5%、温度20℃の乾燥庫中で5日以上乾燥させた。 次いで、十分な乾燥を行った後、各ポットあたりの地上部総バイオマス量(地上部全体の乾燥重量)、及び種子収量(収穫された種子の乾燥重量)を計量した。 なお、リノレン酸欠乏株(三重変異体)に関しては、地上部総バイオマス量のみを計量した。

    結果を図9に示し、図9中のリノレン酸比(%)とは、参考例4の分析結果に対応する。 図9に示すように、全脂肪酸に対するリノレン酸比の高低に関らず、グルタチオンが施用された株は、コントロールと比較して、バイオマス量が顕著に増大することが示された。 また、リノレン酸比(%)が高いほど地上部総バイオマス量及び種子収量が少なくなることから、リノレン酸比に基づいて収穫時バイオマス量の推定が可能であることが裏付けられた。

    〔実施例2〕 ミカンにおける、リノレン酸の含有割合と着花数との関係 植物材料として、3個体の温州ミカン(Citrus unshiu:品種名 宮川早生)を用いて、リノレン酸の含有割合と着花数との関係を調べた。 温州ミカンは、ミカン畑で栽培されている立木であり、2009年9月10日、10月9日、11月9日、及び12月9日に、1年目の枝から葉を採取し、ガスクロマトグラフィーによって、葉中に含まれる全脂肪酸量及びリノレン酸量を測定し、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を算出した。 また、これら3個体の温州ミカンについて、2010年5月26日に、着花数を目視によりカウントした。 図10は、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合と、100節当りの着花総数及び有葉花数との関係を示している。

    図10に示すように、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合が低いほど、着花総数及び有葉花数が何れも増加する傾向が見られた。 なお、有葉花は、充実した果実となることが知られているので、とりわけ有葉花数が増加することは収穫時バイオマス量が増加することを意味する。 なお、ミカンにおいて、一般的に、9月〜10月は花芽形成の初期段階に相当し、11月〜12月にかけても花芽形成は継続している。

    〔実施例3〕 マツにおける、リノレン酸の含有割合と結実球果量との関係 植物材料として、複数個体のグイマツを用いて、リノレン酸の含有割合と結実球果量との関係を調べた。 グイマツは、北海道立総合研究機構林業試験場美唄本場内にある立木であり、結実球果の観測年の2年前の8月〜10月にかけて各月1回ずつ、1〜3年生枝(主には1年生枝)から葉を採取し、ガスクロマトグラフィーによって、葉中に含まれる全脂肪酸量及びリノレン酸量を測定し、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を算出した。

    また、これらのグイマツについて、翌年の5月に、花芽決定遺伝子LFYの発現量を測定し、全ての測定値が0〜1.8の範囲内に収まるように相対的発現量に換算した。 そして、花芽決定遺伝子LFYの発現量の測定のさらに翌年に、グイマツの結実球果量(個数)を目視によりカウントした。 図11は、8月〜10月にかけて測定した全脂肪酸に対するリノレン酸比(%)と、その翌年の花芽決定遺伝子LFYの発現量との関係を示し、各プロットはグイマツ1個体に対応している。

    図11に示すように、全脂肪酸に対するリノレン酸の割合が高くなる程、翌年の花芽決定遺伝子LFYの相対的発現量が大きくなり、その結果、収穫時バイオマス量(結実球果の個数及び合計重量)が増加するという顕著な傾向が見られた。 なお、同図中には示していないが、花芽決定遺伝子LFYの相対的発現量とその翌年の結実球果の個数とは極めてよい正の相関を示し、また、試験に供したグイマツの個体間での結実球果1個の平均重量のバラつきは統計的にほぼ無視できる程度であった。

    〔実施例4〕 マツにおける、リノレン酸の含有割合と、雄花/雌花割合との関係 植物材料として、複数個体のグイマツを用いて、リノレン酸の含有割合と雄花/雌花割合との関係を調べた。 グイマツは、互いに近接して植生された立木を対象としており、各個体から葉を採取し、ガスクロマトグラフィーによって、葉中に含まれる全脂肪酸量及びリノレン酸量を測定し、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を算出した。

    また、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合を算出した翌年の各個体の開花を目視にてカウントし、雄花/雌花の割合(mf_ratio)を求めた。 図12は、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合(%)と、雄花/雌花の割合との関係を示し、各プロットはグイマツ1個体に対応している。 なお、同図中のA系(A−1〜A−3:3つの試験群)、B系(B−1〜B−3:3つの試験群)、及びC系(C−4〜C−5:2つの試験群)は互いに異なるクローンを示し、A系は比較的着果しやすいクローンとして、B系は結実がかなり制限されたクローンとして選択したものである。

    雄花/雌花の割合は、結実球果量に相関する指標であるが、図12に示すように、全脂肪酸量に対するリノレン酸の割合ともよく相関していることが示された。 なお、同様の測定を複数回行い、得られた測定結果を重回帰分析した場合には、相関係数は0.7〜0.9程度以上と非常に高かった。

    本発明によれば、植物の収穫時バイオマス量を事前に把握して管理する方法、及び管理するシステムが提供される。

    1 測定手段 2 取得手段 3 推定・診断手段 4 表示手段 5 記憶手段 6 コンピュータ 10 管理システム

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