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ヘテロポリ酸を含む触媒を使用した再生可能な原料からの直鎖型の長鎖アルカンを製造するプロセス

阅读:516发布:2024-02-15

专利汇可以提供ヘテロポリ酸を含む触媒を使用した再生可能な原料からの直鎖型の長鎖アルカンを製造するプロセス专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且エステル基、カルボン酸基、カルボニル基、及び/又はアルコール基を含む飽和又は不飽和C10〜18酸素化物を含む原料から、直鎖型アルカンを生成する 水 素化脱酸素プロセスが開示される。このプロセスは、約240℃〜280℃の 温度 及び少なくとも300psiの水素ガス圧で、金属触媒及びヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩を含む触媒組成物と、原料を 接触 させる工程を含む。金属触媒は、特定の実施形態において銅を含む。これらの温度及び圧 力 条件で、触媒組成物と原料を接触させることによって、C10〜18酸素化物は、C10〜18酸素化物と同一の炭素鎖長を有する直鎖型アルカンに水素化脱酸素される。,下面是ヘテロポリ酸を含む触媒を使用した再生可能な原料からの直鎖型の長鎖アルカンを製造するプロセス专利的具体信息内容。

エステル基、カルボン酸基、カルボニル基、及びアルコール基からなる群から選択される部位を含む飽和又は不飽和C10〜18酸素化物を含む原料から直鎖型アルカンを生成する素化脱酸素プロセスであって、 a)約240℃〜約280℃の温度及び少なくとも約300psiの水素ガス圧で、前記原料を触媒組成物と接触させる工程であって、前記触媒組成物は、(i)金属触媒と、(ii)ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩とを含み、前記C10〜18酸素化物は、直鎖型アルカンに水素化脱酸素され、且つ、前記直鎖型アルカンは、前記C10〜18酸素化物と同一の炭素鎖長を有する工程と、 b)場合により、工程(a)において生成された前記直鎖型アルカンを回収する工程と、 を含む水素化脱酸素プロセス。前記C10〜18酸素化物は、脂肪酸又はトリグリセリドである、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記原料は、植物油又はその脂肪酸蒸留物を含む、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記原料は、(i)大豆油、パーム油、及びパーム核油からなる群から選択される植物油、又は(ii)パーム脂肪酸蒸留物を含む、請求項3に記載の水素化脱酸素プロセス。前記温度は約260℃である、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記圧は少なくとも約1000psiである、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記金属触媒は銅を含む、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記金属触媒は、マンガン、クロム、及びバリウムからなる群から選択される少なくとも1つの更なる金属を更に含む、請求項7に記載の水素化脱酸素プロセス。前記ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩は、タングステンを含む、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩は、リン又はシリコンを更に含む、請求項9に記載の水素化脱酸素プロセス。前記触媒組成物は、前記ヘテロポリ酸塩を含み、且つ、前記ヘテロポリ酸塩は、酸性であり且つ水に不溶性である、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記ヘテロポリ酸塩は、セシウム交換されたヘテロポリ酸である、請求項11に記載の水素化脱酸素プロセス。前記触媒組成物は、前記金属触媒及び前記ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩の乾燥混合物を含む、請求項1に記載の水素化脱酸素プロセス。前記モル収率は、前記C10〜18酸素化物の炭素鎖長より炭素原子が1つ以上短い炭素鎖長を有する反応生成物に対して10%未満である、請求項1に記載の水素化脱酸素プ ロセス。

说明书全文

本出願は、2013年3月14日付けでそれぞれ出願された米国仮特許出願第61/782,172号明細書及び米国仮特許出願第61/782,198号明細書の利益を主張するものであり、その双方のすべての開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。

本発明は、化学処理の分野に関する。より詳細には、本発明は、脂肪酸及びトリグリセリドなどのC10〜18酸素化物を含む原料から直鎖型の長鎖アルカンを生成するプロセスに関する。

長鎖である、アルファ、オメガのジカルボン酸(長鎖二酸「LCDA」)、例えば9以上の長さの炭素鎖を含むそれらは、様々な化学製品及びポリマー(例えば、長鎖ポリアミド)の合成における原材料として使用される。長鎖二酸の製造に使用される化学プロセスの種類は、これらのプロセスは再生可能ではない石油化学原料に基づいていることなどの、いくつかの制限及び不都合を受ける。又、長鎖二酸を調製するために使用される複反応変換プロセスは、収率の損失、重金属廃棄物、及び還元炉における分解が必要な窒素酸化物をもたらす不要な副生成物を生成する。

化石燃料による高コスト及び環境フットプリント(environmental footprint)の増加、並びに世界の限られた石油貯蔵を考慮すると、長鎖二酸などの化学製品及びポリマーを製造するために、植物、動物、及び生物から得られる油脂などの再生可能な供給源を使用することに対する関心が高まっている。

長鎖二酸は、長鎖アルカンから製造可能であり、一方、長鎖アルカンは、素化脱酸素(HDO)を介して、脂肪酸及びトリグリセリドを変換することによって製造可能である。この反応のアルカン生成物は、長鎖二酸を生成するために使用することができるだけでなく、それ自体による燃料、又は、石油原料から得られるディーゼルとの混合物における燃料としても有用である。

再生可能な原料を長鎖アルカンに変換する従来の脱酸素プロセスとしては、接触水素化脱酸素、接触脱炭酸又は熱脱炭酸、接触脱カルボニル、及び接触水素化分解が挙げられる。商業的に利用可能である脱酸素反応は、通常、水素ガスの存在下にて、高圧及び高温下で操作され、そのプロセスは費用のかかるものとなる。いくつかの低圧での脱酸素プロセスの記載もあるが、こうしたプロセスには、低活性、不十分な触媒安定性、及び望ましくない副反応などのいくつかの不利な点がある。通常、これらのプロセスには、高温が必要であり、高い程度の脱炭酸及び脱カルボニルが生じ、長鎖アルカン生成物の鎖長が短くなる。

例えば、特許文献1では、脱炭酸を介して、パルミチン酸(C16:0)及びオレイン酸(C18:1)から、ペンタデカン(C15:0)及びヘプタデカン(C17:0)がそれぞれ生成する脱酸素プロセスを開示している。このプロセスにおいても、少なくとも300℃の反応温度が必要であった。炭素損失を伴う生成物が生成することに加えて、又、脱酸素プロセスでは、ステアリン酸、オレイン酸の不飽和異性体、及び分岐型生成物などの、不完全な脱酸素された生成物が生成した。特許文献2及び特許文献3では開示されたプロセスを使用して、脱炭酸された生成物、並びに、分岐型生成物が形成することが認められた。

特許文献4では、少なくとも300℃の反応温度を必要とする植物油及び動物油からディーゼル燃料を生成する水素化脱酸素プロセスを開示している。特許文献5によって開示された水素化脱酸素プロセスでは、少なくとも400℃の反応温度が必要であった。

米国特許出願公開第2012/0029250号明細書

米国特許第8193400号明細書

米国特許第7999142号明細書

米国特許第8142527号明細書

米国特許第8026401号明細書

従って、低温及び低圧の条件にて実行可能であり、且つ、実質的な炭素損失を伴わず、再生可能な資源から得られる油脂の脂肪酸を、長鎖の直鎖型アルカンに確実に変換する、水素化脱酸素プロセスが継続して必要とされている。

一実施形態においては、本発明は、エステル基、カルボン酸基、カルボニル基、及びアルコール基からなる群から選択される部位を含む飽和又は不飽和C10〜18酸素化物を含む原料から直鎖型アルカンを生成する水素化脱酸素プロセスに関する。このプロセスは、約240℃〜約280℃の温度及び少なくとも約300psiの水素ガス圧で、原料を触媒組成物と接触させる工程を含む。触媒組成物は、(i)金属触媒と、(ii)ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩とを含む。これらの温度及び圧条件で、原料を触媒組成物と接触させることによって、C10〜18酸素化物は、C10〜18酸素化物と同一の炭素鎖長を有する直鎖型アルカンに水素化脱酸素される。場合により、この実施形態における水素化脱酸素プロセスは、接触工程において生成された直鎖型アルカンを回収する工程を更に含む。

第2の実施形態においては、C10〜18酸素化物は、脂肪酸又はトリグリセリドである。

第3の実施形態においては、原料は、植物油又はその脂肪酸蒸留物を含む。原料は、例えば、(i)大豆油、パーム油、及びパーム核油からなる群から選択される植物油、又は(ii)パーム脂肪酸蒸留物を含むことができる。

第4の実施形態においては、温度は約260℃である。圧力は、第5の実施形態においては、少なくとも約1000psiである。

第6の実施形態においては、金属触媒は銅を含む。この金属触媒は、第7の実施形態においては、マンガン、クロム、及びバリウムからなる群から選択される少なくとも1つの更なる金属を更に含む。

第8の実施形態においては、ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩は、タングステンを含む。ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩は、第9の実施形態においては、リン又はシリコンを更に含む。

第10の実施形態においては、触媒組成物は、ヘテロポリ酸塩を含み、ヘテロポリ酸塩は、この実施形態においては、酸性であり、且つ、水に不溶性である。この実施形態におけるヘテロポリ酸塩は、例えば、セシウム交換されたヘテロポリ酸であることができる。

第11の実施形態においては、触媒組成物は、金属触媒及びヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩の乾燥混合物を含む。

第12の実施形態においては、水素化脱酸素プロセスのモル収率は、C10〜18酸素化物の炭素鎖長より炭素原子が1つ以上短い炭素鎖長を有する反応生成物の場合に10%未満である。

本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として参照することにより本明細書に組み込まれる。

本明細書において使用される場合、「発明」又は「開示された発明」という用語は、限定されることを意味するものではないが、特許請求の範囲において定義される、又は本明細書において記載される発明のいずれかに一般的に適用される。「発明」、「開示された発明」、「本発明」および「現在の発明」という用語は本明細書において互換的に使用できる。

「水素化脱酸素」(HDO)、「水素化脱酸素プロセス又は反応」、「脱酸素プロセス又は反応」、及び「水素処理」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。水素化脱酸素は、水素を使用して、エステル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、又はアルコールなどの、酸素含有有機化合物の酸素含有量を低減する化学プロセスを意味する。このような化合物の完全な水素化脱酸素は、通常、アルカンを生成し、この場合に、酸素原子に前もって結合した炭素原子は、水素で飽和する(即ち、炭素原子は「水素化脱酸素」されている)。例えば、カルボン酸基又はアルデヒド基の水素化脱酸素は、メチル基(−CH3)を生成し、一方、ケトン基の水素化脱酸素は、分子内の炭素部位−CH2−を生成する。

又、本明細書において記載される水素化脱酸素プロセスは、アルケン(C=C)及びアルキン(C≡C)基をC−C基に還元する。従って、この水素化脱酸素プロセスは、有機化合物における不飽和部位を還元するプロセスとも称することができる。

本明細書において使用される場合、水素化脱酸素は、カルボン酸基の除去(即ち、脱炭酸)、又は、カルボニル基の除去(即ち、脱カルボニル)により生じるなどの、炭素−炭素結合を切断することによって、炭化水素の酸素含有量を低減するプロセスを意味するものではない。本明細書においては、水素化脱酸素は、酸素化された炭素部位を不完全に還元するプロセス(例えば、カルボン酸基のカルボニル基又はアルコール基への還元)も意味するものではない。

「アルカン」、「パラフィン」、及び「飽和炭化水素」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。本明細書において使用される場合、アルカンは、水素及び炭素原子のみからなる化合物を意味し、この場合に、炭素原子は、単結合によってのみ結合される(即ち、飽和化合物である)。アルカンは直鎖型又は分岐型となり得、したがってメチル基を末端に含む。

「直鎖型アルカン」、「直鎖アルカン」、「n−アルカン」、及び「n−パラフィン」という用語は、本明細書において相互に交換して使用され、且つ、2つの末端メチル基のみを有し、且つ、それぞれの分子内(末端ではない)の炭素原子は、2つの水素と2つの炭素に結合するアルカンを意味する。直鎖型アルカンの略記した式は、CnH2n+2である。直鎖型アルカンは、3つ以上の末端メチル基を有する分岐型アルカンとは異なる。

本明細書において使用される場合、「C10〜18酸素化物」という用語は、1つ以上の炭素原子が酸素原子と結合した(即ち、1つ以上の酸素化された炭素)10〜18の炭素原子の直鎖を意味する。このような酸素が結合した炭素原子は、1つ以上のアルコール、カルボニル、カルボン酸、エステル、及び/又はエーテル部位の形態で、C10〜18酸素化物に含まれる。当技術分野において理解されるように、存在する場合、カルボン酸、エステル、及び/又はエーテル部位は、C10〜18酸素化物の一方の又は両方の末端に位置することになる。

C10〜18酸素化物は、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素原子の長さであることができるが、通常は、10、12、14、16、又は18の炭素原子の偶数の長さを有する。本明細書において言及されるC10〜18酸素化物の例としては、これらに限定されるものではないが、エステル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、及びアルコールが挙げられる。

本明細書において使用される場合、「飽和C10〜18酸素化物」は、構成する炭素原子が、単結合(即ち、二重又は三重結合でない)によって互いに結合されるC10〜18酸素化物を意味する。飽和C10〜18酸素化物の例は、ステアリン酸(C18:0)である。

本明細書において使用される場合、「不飽和C10〜18酸素化物」は、1つ以上の二重(アルケン)又は三重(アルキン)結合が、C10〜18酸素化物の炭素原子鎖に存在するC10〜18酸素化物を意味する。不飽和C10〜18酸素化物の例は、オレイン酸(C18:1)及びリノール酸(C18:2)であり、それぞれ1つ及び2つの二重結合を含む。

本明細書において使用される場合、「エステル基」は、エーテル結合に隣接したカルボニル基(C=O)を有する有機部位(以下に定義される)を意味する。エステル基の一般式は、

である。本明細書における前述のエステルの式におけるRは、9〜17の炭素原子からなる直鎖を意味し、この方式では、C=O炭素原子は、エステル基を含むC10〜18酸素化物の10〜18番目の炭素原子を表す。例えば、R’基は、アルキル又はアリール基を意味する。エステル基の例は、1つ、2つ、又は3つの脂肪酸をそれぞれ含み、グリセリンにエステル化されたモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドにおいて見られる。前述の式に対して、モノグリセリドのR’基は、分子のグリセリン部分を意味するものである。開示された水素化脱酸素プロセスによってエステルから生成される直鎖型アルカンは、R基及びC=O基の炭素原子を含む。

本明細書において使用される場合、「カルボン酸基」又は「有機酸基」は、「カルボキシル」又は「カルボキシ」基(COOH)を有する有機部位を意味する。カルボン酸基の一般式は、

である。前述のカルボン酸の式におけるRは、9〜17の炭素原子からなる直鎖を意味し、この方式では、カルボキシル基(COOH)炭素原子は、カルボン酸基を含むC10〜18酸素化物の10〜18番目の炭素原子を表す。開示された水素化脱酸素プロセスによって生成される直鎖型アルカンは、カルボキシル基炭素原子を保持する(即ち、生成物は、C10〜18酸素化物基質に対して脱炭酸されない)。

本明細書において使用される場合、「カルボニル基」は、酸素原子に二重結合で結合した炭素原子(C=O)を意味する。カルボニル基は、C10〜18酸素化物のいずれかの又は両方の端部に位置することができ、このような分子は、アルデヒドと称されることができる。或いは、1つ以上のカルボニル基は、C10〜18酸素化物の炭素原子鎖内に位置することができ、このような分子は、ケトンと称されることができる。

本明細書において使用される場合、「アルコール基」は、「ヒドロキシ」(OH)基に結合する炭素原子を意味する。1つ以上のアルコール基は、C10〜18酸素化物のいかなる炭素にも位置することができる(いずれかの又は両方の端部、及び/又はC10〜18酸素化物炭素鎖の1つ以上の分子内の炭素)。

「原料」及び「供給物」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。原料は、飽和及び/又は不飽和C10〜18酸素化物を含む材料を意味する。原料は「再生可能な」又は「バイオ再生可能な」原料であることができ、生物学的供給源又は生物学的に誘導された供給源から得られる材料を意味する。

このような原料の例は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、遊離脂肪酸、及び/又はそれらの組み合わせを含む材料であり、油脂などの脂質を含む。「油性の原料」とも称されることができる、これらの特定のタイプの、「油性の原料」とも呼ばれる原料としては、動物脂肪、動物油、鳥肉脂肪、鳥肉油、植物脂肪、植物油、酵母油(yeast oil)、レンダー処理された脂肪(rendered fat)、レンダー処理された油(rendered oil)、レストラン用グリース、茶色くなったグリース、廃棄する業務用揚げ油、魚油、魚脂肪、及びそれらの組み合わせが挙げられる。脂肪又は油を含む原料の場合、すべての又は大部分のC10〜18酸素化物は、エステルの形態(グリセリンにエステル化した脂肪酸)で、原料に含まれることは、当業者によって理解されているはずである。開示されたプロセスによるこのようなC10〜18酸素化物の水素化脱酸素は、エステルした脂肪酸のエステル基の完全な還元を伴い、脂肪酸及びグリセリン分子の間のエステル結合を切断することを部分的に引き起こす。

或いは、原料は、飽和又は不飽和C10〜18酸素化物を含む石油由来の又は化石燃料由来の材料を意味することができる。

本明細書において使用される場合、「脂肪酸蒸留物」及び「油の脂肪酸蒸留物」という用語は、特定のタイプの油の脂肪酸を含む組成物を意味する。例えば、パーム脂肪酸蒸留物は、パーム油に存在する脂肪酸を含む。脂肪酸蒸留物は、通常、植物油精練プロセスの副生成物である。

「部位」、「化学的部位」、「官能部位」、及び「官能基」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。本明細書において使用される場合、部位は、酸素原子に結合した炭素原子を含む炭素基を意味する。本明細書において使用される場合、部位の例としては、エステル、カルボン酸、カルボニル、及びアルコール基が挙げられる。

「重量パーセント」、「重量%(wt%)」、及び「重量−重量%(%w/w)」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。重量パーセントは、組成物又は混合物に含まれるように、質量基準での材料のパーセンテージを意味する。例えば、重量パーセントは、本明細書において記載される触媒に存在する質量による金属のパーセンテージを意味する。特に注記がなければ、本明細書において開示される金属または他の材料のすべてのパーセンテージ量は、触媒における金属または他の材料の重量パーセントを意味する。

本明細書において使用される場合、「触媒組成物」という用語は、金属触媒成分と、ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩成分とを含む組成物を意味する。金属触媒成分は、銅などの1つ以上の活性金属を含むことができ、1つ以上の活性金属は、担持されることができる(即ち、金属触媒成分は、担持金属触媒であることができる。)。触媒組成物は、それ自体が消費されることなく、或いは、化学変化を受けることなく、C10〜18酸素化物の水素化脱酸素の速度を上昇させることができる。

「固体担体」、「担体」、及び「触媒担体」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。固体担体は、活性触媒成分(例えば、金属及び/又はヘテロポリ酸)が固定される又は結合される材料を意味する。固体担体を含む、本明細書において記載される触媒は、「担持触媒」の例である。触媒組成物の金属触媒成分は、それ自体が担持金属触媒であることができる。一方、触媒組成物の特定の実施形態におけるヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩成分は、金属触媒又は担持金属触媒に担持されることができる。

本明細書において使用される場合、「ヘテロポリ酸」は、酸素が結合する中心元素及び周囲元素を有する化合物を意味する(例えば、H3PW12O40、式中、Pは中心元素であり、且つ、Wは周囲元素である)。例えば、ケギン、ウエルス−ドーソン及びアンダーソン−エバンス−ペアロフ構造などの、いくつかのヘテロポリ酸構造が報告されてきた。特定の実施形態における中心元素は、Si、P、Ge、As、B、Ti、Ce、Co、Ni、Al、Ga、Bi、Cr、Sn、又はZrであることができる。周囲元素の例は、W、Mo、V、又はNbなどの金属であることができる。ヘテロポリ酸は水溶解性である。本明細書において使用される場合、「ヘテロポリ酸塩」は、カチオン(例えば、セシウムカチオン)にイオン的に結合されるヘテロポリ酸である。ヘテロポリ酸塩は、「カチオン交換されたヘテロポリ酸」とも称されることができる。本明細書において言及されるヘテロポリ酸塩は、水不溶性である。

「比表面積」、「表面積」、及び「固体担体表面積」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。固体担体の比表面積は、固体担体のグラム当たりの平方メートル(m2/g)として、本明細書において表される。本明細書において開示される固体担体の比表面積は、例えば、Brunauer、Emmett及びTeller(BET)法(Brunauer et al.,J.Am.Chem.Soc.60:309−319、参照により本明細に組み込まれる)を使用して、測定されることができる。

「含浸」及び「添加」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。含浸とは、固体担体において金属塩、又はその他の化合物(例えば、ヘテロポリ酸)を微細化された形状又は層にするプロセスを意味する。特定の実施形態におけるこのプロセスは、固体担体及び金属塩の溶液、又はその他の水に溶解可能な化合物を含む混合物を乾燥させることを伴う。乾燥した生成物は、「前触媒」と称されることができる。

本明細書において使用される場合、「焼成する」及び「焼成」という用語は、前触媒の熱処理を意味する。このプロセスは、例えば、前触媒の乾燥した金属塩を金属的な又は酸化物の状態に変換することができる。熱処理は、不活性又は活性の大気中において実施可能である。

「モル収率」、「反応収率」、及び「収率」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。モル収率とは、モル基準で測定される、化学反応において得られた生成物の量を意味する。この量は、パーセンテージ、即ち、すべての反応生成物における特定の生成物のパーセント量として表されることができる。

「反応混合体」、「反応混合物」、及び「反応組成物」という用語は、本明細書において相互に交換して使用される。反応混合体は、原料(基質)、金属触媒、ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩、及び溶媒を最小限に含むことができる。反応混合体は、水素化脱酸素の温度及び圧力条件を適用する前又は間に反応混合体が存在するものと特定することができる。

低温条件の下で実行可能であり、且つ、実質的な炭素損失を伴わず、原料におけるC10〜18酸素化物を直鎖型アルカンに変換する水素化脱酸素プロセスが、本明細書において開示される。これより、このプロセスは、低温にて実施可能であることから、このプロセスは、望ましくない副生成物の生成がより少なく、且つ、より経済的である。

開示された発明の実施形態は、エステル基、カルボン酸基、カルボニル基、及びアルコール基からなる群から選択される部位を含む飽和又は不飽和C10〜18酸素化物を含む原料から、直鎖型アルカンを生成する水素化脱酸素プロセスに関する。このプロセスは、約240℃〜約280℃の温度及び少なくとも約300psiの水素ガス圧で、原料を触媒組成物と接触させる工程を含む。触媒組成物は、(i)金属触媒と、(ii)ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩とを含む。これらの温度及び圧力条件で、原料を触媒組成物と接触させることによって、C10〜18酸素化物は、C10〜18酸素化物と同一の炭素鎖長を有する直鎖型アルカンに水素化脱酸素される。場合により、水素化脱酸素プロセスは、接触工程において生成された直鎖型アルカンを回収する工程を更に含む。

開示された発明の特定の実施形態において使用される原料は、1つ以上のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、遊離脂肪酸、及び/又はそれらの組み合わせを含む材料を含むことができ、且つ、油脂などの脂質を含むことができる。このような原料の例としては、動物、鳥、魚、植物、微生物、酵母、菌、細菌、藻、鞭毛生物、及び黄色植物から得られる脂肪及び/又は油が挙げられる。植物油の例としては、カノーラ油、とうもろこし油、パーム核油、cheru種子油(cheru seed oil)、野生のアプリコット種子油、胡麻油、モロコシ油、大豆油、なたね油、大豆油、菜種油、トール油、ヒマワリ油、麻実油、オリーブ油、亜麻仁油、やし油、ヒマシ油、落花生油、パーム油、カラシ油、綿実油、カメリナ油、ジャトロファ油、及びハマナ油が挙げられる。その他の原料としては、例えば、レンダー処理された油脂、レストラン用グリース、黄色及び茶色くなったグリース、廃棄する業務用揚げ油、獣脂、ラード、鯨油、乳の脂肪、魚油、藻類の油、酵母油、微生物油、酵母バイオマス、微生物バイオマス、下水汚泥、及びソープストックが挙げられる。

脂肪酸蒸留物などの油の誘導体は、本発明の特定の実施形態において使用可能である原料のその他の例である。植物油蒸留物(例えば、パーム脂肪酸蒸留物)は、脂肪酸蒸留物の好適な例である。本明細書において開示される油脂のいずれかの脂肪酸蒸留物が、本発明のいくつかの実施形態において使用されることができる。

本発明の好ましい実施形態においては、原料は、植物油又はその脂肪酸蒸留物を含む。別の好ましい実施形態においては、原料は、(i)大豆油、パーム油、及びパーム核油からなる群から選択される植物油、又は(ii)パーム脂肪酸蒸留物を含む。(例えば、未精製のパーム油を精製することから生成される。)

パーム油は、アブラヤシの果物の中果皮(パルプ)から得られ、一方、パーム核油はアブラヤシの核から得られる。通常、パーム油に含まれる脂肪酸は、パルミチン酸(約44%)、オレイン酸(約37%)、リノール酸(約9%)、ステアリン酸及びミリスチン酸を含む。通常、パーム核油に含まれる脂肪酸は、ラウリン酸(約48%)、ミリスチン酸(約16%)、パルミチン酸(約8%)、オレイン酸(約15%)、カプリン酸、カプリル酸、ステアリン酸、及びリノール酸を含む。通常、大豆油は、リノール酸(約55%)、パルミチン酸(約11%)、オレイン酸(約23%)、リノレン酸及びステアリン酸を含む。

開示された発明の特定の実施形態において使用可能である化石燃料由来の原料及びその他のタイプの原料としては、石油系生成物、使用済みモーター油及び工業用潤滑油、使い古したパラフィンワックス、石炭由来の液体類、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンなどのプラスチックの解重合から得られる液体、並びに、石油化学プロセス及び化学プロセスから副生成物として生じるその他の合成油が挙げられる。

その他の原料の例は、米国特許出願公開第2011/0300594号明細書に記載されており、参照により本明細に組み込まれる。

原料に含まれるC10〜18酸素化物は、脂肪酸又はトリグリセリドであることができる。原料は、遊離の形態の(即ち、エステル化されていない)、又は、エステル化された1つ以上の脂肪酸を含むことができる。エステル化された脂肪酸は、例えば、グリセリド分子(即ち、脂肪又は油における)又は脂肪酸アルキルエステル(例えば、脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸エチルエステル)の中に含まれるものであることができる。脂肪酸は、飽和型又は不飽和型であることができる。不飽和脂肪酸の例は、1つの二重結合のみが脂肪酸炭素鎖に存在する場合、モノ不飽和脂肪酸(MUFA)であり、且つ、脂肪酸炭素鎖が2つ以上の二重結合を有する場合、多不飽和脂肪酸(PUFA)である。原料における脂肪酸C10〜18酸素化物の炭素鎖長は、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素原子であることができる。好ましくは、炭素鎖長は、10、12、14、16、又は18の炭素原子である。別の好ましい脂肪酸長さは、16〜18の炭素原子である。原料中に存在することができる脂肪酸の例を、表1に示す。

開示された発明において使用される原料に含まれる酸素化物は、10〜18の炭素原子の長さを有するが、この範囲外の炭素長を有するその他の酸素化物が、原料に存在することもできる。例えば、原料として使用可能である油脂のグリセリド及び遊離脂肪酸は、約8〜24の炭素原子の長さの炭素鎖を含むこともできる。換言すれば、原料は、C10〜18酸素化物のみを含む必要はない。

脂質及び遊離脂肪酸によって表されるC10〜18酸素化物は、エステル及びカルボン酸部位をそれぞれ含む。その他のタイプのC10〜18酸素化物は、1つ以上のカルボニ ル及び/又はアルコール部位を含むC10〜18酸素化物などの原料に含まれることができる。更にその他のタイプのC10〜18酸素化物は、前述の部位のいずれかのうちの2つ以上を含むことができる。例としては、2つ以上の、アルコール部位(例えば、ジオール)、カルボニル部位(例えば、ジケトン又はジアルデヒド)、カルボン酸部位(ジカルボン酸)、又はエステル部位(ジエステル)を含むC10〜18酸素化物が挙げられる。アルコール及びカルボニル部位(例えば、ヒドロキシケトン及びヒドロキシアルデヒド)、アルコール及びカルボン酸部位(例えば、ヒドロキシカルボン酸)、アルコール及びエステル部位(例えば、ヒドロキシエステル)、カルボニル及びカルボン酸部位(例えば、ケト酸)、又はカルボニル及びエステル部位(例えば、ケトエステル)を含むC10〜18酸素化物は、開示された発明の実施形態において使用可能である原料のその他の例示の成分である。特定の実施形態におけるC10〜18酸素化物は、いかなる芳香族基(例えば、フェノール)も含まない。

原料は、2つ以上のエステル及び/又はエーテル結合によってともに結合された1つ以上のC10〜18酸素化物を含むことができる。こうしたC10〜18酸素化物は、開示された水素化脱酸素プロセスの間、互いに分離され、こうした分子から酸素を除去することによって、エステル及び/又はエーテル結合を壊す。同様に、脂肪酸エステル結合は、酸素を除去することによって壊されることから、グリセリド原料に含まれる脂肪酸C10〜18酸素化物は、開示された水素化脱酸素プロセスの間、グリセリドのグリセリン成分から分離される。従って、異なるタイプの直鎖型アルカンは、C10〜18酸素化物がエステル及び/又はエーテル結合によって結合される場合であっても、2つ以上の異なるC10〜18酸素化物を含む原料から生成可能である。こうしたタイプのC10〜18酸素化物はすべて、原料の構成成分であることができる。

C10〜18酸素化物の直鎖は、直鎖の炭素原子の1つから、炭素−炭素結合を介して、任意のアルキル又はアリールの分岐鎖に結合されることはない。例えば、特定の実施形態においては、パルミチン酸は、C10〜18酸素化物である一方、−CH2−部位の1つにおいてアルキル基置換を有するパルミチン酸(例えば、15−メチルパルミチン酸)は、本明細書において記載されるタイプのC10〜18酸素化物ではない。本発明の水素化脱酸素プロセスは、炭素−炭素結合を除去する及び/又は炭素−炭素結合をC10〜18酸素化物の炭素に構築することを伴う異性化の事象を伴うことはない。従って、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン、イソヘキサデカン、及びイソオクタデカンなどの分岐型アルカン生成物は生成されることはない。

開示された発明の特定の実施形態においては、C10〜18酸素化物は、原料自体を構成することができる。このような原料の例は、特定の脂肪酸の純粋な又は実質的に純粋な調製物である。或いは、原料は、複数の別個のC10〜18酸素化物(即ち、互いに結合されていない異なる分子)を含むことができる。前述の原料のいずれかの混合物が、開示された水素化脱酸素プロセスにおける共同供給物成分として使用されることができる。

直鎖型アルカンは、開示された水素化脱酸素プロセスにおいて飽和又は不飽和C10〜18酸素化物から生成される。特定の実施形態において生成される直鎖型アルカンとしては、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、及びオクタデカンが挙げられ、この場合に、偶数の炭素原子番号を有する直鎖型アルカンであるものが、好ましい実施形態において生成される。

前述のように、ヘキサデカンは、開示された水素化脱酸素プロセスの特定の実施形態において生成される直鎖型アルカンである。ヘキサデカノール(例えば、セチルアルコール)、ヘキサデシルアルデヒド、ヘキサデシルケトン、パルミチン酸、パルミチン酸パルミチル、及び/又は、例えば、C16鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子に結合した任意のその他のC16酸素化物を含む様々なC16酸素化物を原料として使用して、ヘキサデカンを生成することができる。特定の実施形態における原料は、これらの様々なC16酸素化物のいずれかを含むことができる。例えば、原料は、パルミチン酸(即ち、パルミトイル基を含む)又はパルミトレイン酸(即ち、9−ヘキサデセノイル基を含む)を含む油又は脂肪であることができる。

オクタデカンは、開示された水素化脱酸素プロセスのいくつかの実施形態にて生成される直鎖型アルカンである。オクタデカノール(例えば、ステアリルアルコール)、オクタデシルアルデヒド、オクタデシルケトン、ステアリン酸、ステアリン酸ステアリル、及び/又は、例えば、C18鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子に結合した任意のその他のC18酸素化物を含む様々なC18酸素化物を原料として使用して、オクタデカンを生成することができる。特定の実施形態における原料は、これらの様々なC18酸素化物のいずれかを含むことができる。例えば、原料は、ステアリン酸(即ち、ステアロイル基を含む)、オレイン酸(即ち、9−オクタデセノイル基を含む)、又はリノール酸、(即ち、9,12−オクタデカジエノイル基)を含む油又は脂肪であることができる。

直鎖型アルカンのモル収率は、開示された発明の特定の実施形態において少なくとも、少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%である。

開示された水素化脱酸素プロセスの直鎖型アルカン生成物の炭素鎖長は、C10〜18酸素化物と同一の炭素鎖長である。例えば、C10〜18酸素化物がパルミチン酸である場合、得られる直鎖型アルカンは、ヘキサデカンであり、パルミチン酸及びヘキサデカンはともに、16の炭素原子からなる炭素鎖長を有する。従って、開示されたプロセスにおいて生成される直鎖型アルカンは、原料におけるC10〜18酸素化物の完全に水素で飽和された還元形態を表している。例えば、開示された水素化脱酸素プロセスにより、カプリン酸からデカン、ラウリン酸からドデカン、ミリスチン酸及びミリストレイン酸からテトラデカン、パルミチン酸及びパルミトレイン酸からヘキサデカン、及び、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸からオクタデカンが生成する。脂肪酸が遊離である又はエステル化されているかに関わらず、これらの直鎖型アルカンが生成する。開示されたプロセスの際、エステル及び/又はエーテル結合を介して1つ以上のその他の成分に結合するC10〜18酸素化物は、C10〜18酸素化物の完全に水素で飽和された還元形態を表す直鎖型アルカンを生成する。

開示された発明の特定の実施形態においては、モル収率は、C10〜18酸素化物の炭素鎖長より炭素原子が1つ以上短い炭素鎖長を有する反応生成物に対して、約10%未満である。その他の実施態様においては、モル収率は、C10〜18酸素化物の炭素鎖長より炭素原子が1つ以上短い炭素鎖長を有する反応生成物に対して、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、又は9%未満である。開示された発明を用いたこのような副生成物の低いレベルは、水素化脱酸素反応の際、脱炭酸及び/又は脱カルボニルの事象によるC10〜18酸素化物の炭素損失は低いレベルであることを反映している。従って、開示されたプロセスによって、C10〜18酸素化物の炭素−炭素結合が著しく切断 されることはない。

開示された発明の特定の実施形態におけるその他のタイプの副生成物のモル収率は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%未満である。このようなその他の副生成物としては、1つ以上の酸素化された炭素原子(例えば、アルコール基、カルボニル基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基)、及び/又は、1つ以上の不飽和点を保持する、C10〜18酸素化物の不完全な還元形態を表す生成物が挙げられる。

いくつかの実施形態における開示された水素化脱酸素プロセスは、ドデカノールをドデカンに変換する能力に関して試験されることができる。換言すれば、C16またはC18酸素化物をアルカンに変換する水素化脱酸素プロセスは、原料としてラウリン酸又はドデカノールを使用して試験されることができ、ラウリン酸又はドデカノールについて試験される際のこうようなプロセスは、直鎖型アルカンについて前述で列挙されたドデカンのモル収率を有することができる。同様に、ラウリン酸又はドデカノールについて試験される際のこのようなプロセスは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%未満の副生成物のモル収率を有することができる。

開示されたプロセスにおいて生成される直鎖型アルカンは、例えば、クロースカット(close−cut)蒸留によって単離可能である。必要に応じて、モレキュラーシーブによる選択的吸着を使用して、直鎖型アルカンより大きい反応副生成物から、直鎖型アルカンを更に精製することができる。モレキュラーシーブは、孔によって相互接続される一連の中心腔を有する合成ゼオライトを含むことができる。孔は、直鎖型アルカンが通過できるのに十分な大きさの、しかし、分岐型副生成物が通過できるのに十分な大きさではない直径を有する。モレキュラーシーブを用いる商業的な単離プロセスとしては、例えば、IsoSiv(商標)(Dow Chemical Company)、Molex(商標)(UOPLLC)、及びEnsorb(商標)(Exxon Mobil Corporation)が挙げられる。

現在の発明は、約240℃〜約280℃の温度、及び、少なくとも約300psiの水素ガス圧で、C10〜18酸素化物を含む原料を触媒組成物と接触させる工程を含む。

原料を触媒と接触させる工程は、制御された温度及び圧力条件にて反応を実施することを可能にする当技術分野において周知の反応容器又は任意のその他の容器において、実施されることができる。例えば、接触工程は、押し出し流れ式の、管状の又はその他の固定層反応器などの、充填層反応器において実施される。充填層反応器は、単一の充填層であることができ、或いは、直列及び/又は平行で複数の層を含むことができることを理解すべきである。或いは、接触工程は、バッチ式反応器、連続撹拌槽型反応器、及び/又は気泡塔反応器を含む、スラリー反応器において実施されることができる。スラリー反応器においては、触媒は、濾過又は遠心作用によって反応混合物から除去されることができる。反応容器のサイズ/容量は、選択した量の原料及び触媒を取り扱うのに適していなければならない。

接触工程は、当技術分野において周知である任意の連続式又はバッチ式処理システムにおいて実施されることができる。連続式プロセスは、直列で一連の2つ以上の反応器を用いる多段式であることができる。新たな水素は、このタイプのシステムにおけるそれぞれの反応器の注入口で加えることができる。再循環流は、それぞれの反応器における所望の温度を維持する助けをするために使用することもできる。反応器の温度は、新たな原料温度及び再循環速度を制御することによって、制御されることもできる。

特定の実施形態においては、接触工程は、反応成分が、前述の温度及び水素ガス圧条件に供される前に、及び/又は、その間に、原料及び触媒を撹拌する又は混合する工程を含むことができる。撹拌は、例えば、メカニカルスターラーを用いて、又は、スラリー反応器システムにおいて実施可能である。

特定の実施形態における接触工程は、有機溶媒又は水などの溶媒中で実施されることができる。溶媒は、純粋である又は実質的に純粋である(例えば、99%を超えて純粋である、又は、99.9%を超えて純粋である)1種類の溶媒からなることができる、或いは、ともに混合された2つ以上の異なる溶媒を含むことができる。溶媒は、均質(例えば、単相)、或いは、不均質(例えば、2つ以上の相)であることができる。好ましい実施形態においては、原料及び触媒は、有機溶媒において接触し、従って、特定の実施形態では、水及びその他の水性溶媒は除外される。特定の実施形態に使用される有機溶媒は、非極性又は極性であることができる。有機溶媒は、別の実施形態において、テトラデカン、ヘキサデカン、又はドデカンを含む。或いは、有機溶媒は、6〜18の炭素原子の鎖長を有するものなどの別のアルカンであることができる。有機溶媒は、水素を溶解するその能力に基づいて選択されることができる。例えば、水素ガス圧により提供される実質的にすべての水素が、開示された水素化脱酸素プロセスの前、及び/又は、その間、溶液に存在するように、溶媒は水素に対する比較的高い溶解性を有することができる。ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩は、特定の実施形態において有機溶媒に可溶性ではない。

本発明の特定の実施形態では、少なくとも約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、又は8:1の溶媒の基質に対する比が使用される。この比は、重量−重量に基づいて決定されることができる。4:1の溶媒の基質に対する比は、例えば、C10〜18酸素化物の全1kgに対して4kgのテトラデカンを使用して調製されることができる。

開示されたプロセスの接触工程は、約240℃〜約280℃の温度及び少なくとも約300psiの水素ガス圧で実施される。特定の実施形態における温度は、約200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、245℃、250℃、255℃、260℃、265℃、270℃、275℃、又は280℃であることができる。或いは、温度は、約200℃〜約280℃、約200℃〜約260℃、約220℃〜約260℃、又は約240℃〜約260℃である。温度は、開示された発明のその他の実施形態において約260℃である。特定の実施形態における水素ガス圧は、少なくとも約300psi、400psi、500psi、600psi、700psi、800psi、900psi、1000psi、1100psi、又は1200psiであることができる。或いは、特定の実施形態における水素ガス圧は、約300psi〜約1000psiである。

開示された発明の特定の実施形態においては、原料及び触媒組成物は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20時間、前述の温度及び水素圧力条件において接触される。原料及び触媒組成物は、例えば、連続する期間の間、この温度及び水素圧力条件に供されることができる。

特定の実施形態においては、触媒組成物と原料を接触させる前に、原料は水素と接触して原料/水素混合物を形成する。その他の実施形態においては、水素及び/又は触媒組成物と、原料を接触させる前に、溶媒又は希釈液が原料に加えられる。例えば、原料/溶媒混合物を形成した後に、水素と接触して、原料/溶媒/水素混合物を形成することができ、次いでこの混合物は触媒組成物と接触する。

広範囲の適切な触媒濃度が、開示されたプロセスに使用されることができ、この場合に、一般的には、反応器当たりの触媒の量は、反応器の種類によって決められる。固定層反応器の場合、反応器当たりの触媒の容量は高くなり、一方、スラリー反応器では、その容量はより低くなる。通常、スラリー反応器では、触媒は、反応器容量の0.1〜約30重量%を占める。

本発明は、(i)金属触媒と、(ii)ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩とを含む触媒組成物と、C10〜18酸素化物を含む原料を接触させる工程を含む。金属触媒は、開示された水素化脱酸素プロセスの特定の実施形態において、銅(Cu)を含む。金属触媒に含まれる銅又はその形態(例えば、銅酸化物)の重量パーセントは、例えば、少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%であることができる。或いは、約40〜60重量%(例えば、約47〜56重量%)の銅が、金属触媒に存在することができる。銅は、特定の実施形態において、元素の銅、銅酸化物、又は銅塩であることができる。金属触媒の銅酸化物及び/又は銅塩の成分における銅は、第一銅(銅I)の又は第二銅(銅II)の酸化状態であることができる。例えば、CuO(即ち、酸化第二銅)は、銅の成分であることができる。

本発明の特定の実施形態における金属触媒は、その他の金属を含むことができる。こうしたその他の金属は、銅に加えて、含まれることができる。例えば、金属触媒は、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、及びバリウム(Ba)からなる群から選択される少なくとも1つの更なる金属を更に含むことができる。これらの金属のうちの1つ、又はこれらの任意の組み合わせを使用することができる。金属触媒は、Cu、Ba、Mn、及びCrの任意の2つ、任意の3つ、又は4つすべてを含むことができる。例えば、金属触媒は、(i)Cu及びMn、(ii)Cu、Ba、及びCr、又は(iii)Cu、Ba、Mn、及びCrを含むことができる。金属触媒の特定の実施形態は、多くとも2つ、3つ、又は4つのこれらの金属成分を含む(即ち、与えられた場合、担体材料以外の、その他の成分はない)。代替の実施形態においては、金属触媒は、金属成分として銅のみを含む(即ち、与えられた場合、担体材料以外の、その他の成分はない)。

触媒組成物の金属触媒成分におけるMn、Cr、及び/又はBa(又はそれらの形態)などの更なる金属の重量パーセントは、例えば、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、又は50%であることができる。金属触媒は、例えば、約4〜10%のMn、2〜6%のBa、及び/又は34%〜46%のCrを含むことができる。金属触媒の例は、(i)約56%のCu及び約10%のMn、(ii)約47%のCu、約6%のBa、及び約34%のCr、又は(iii)約47%のCu、約2%のBa、約4%のMn、及び約46%のCrを含むことができる。

更なる金属は、例えば、元素の形態、酸化物の形態、又は塩の形態であることができる。金属触媒のMn酸化物及び/又はMn塩の成分におけるマンガンは、マンガンII、II/III、IV、又はVIIの酸化状態であることができる。例えば、MnO2(即ち、酸化マンガン(IV))は、Mn成分であることができる。金属触媒のCr酸化物及び/又はCr塩の成分におけるクロムは、クロムII、III、IV、又はVIの酸化状態であることができる。例えば、Cr2O3(即ち、酸化クロム(III))は、Crの成分であることができる。金属触媒のBa酸化物及び/又はBa塩の成分におけるバリウムは、二価の状態(Ba2+)であることができる。例えば、BaO(即ち、酸化バリウム)は、Baの成分であることができる。金属触媒は、例えば、(i)CuO及びMnO2、(ii)CuO、BaO、及びCr2O3、又は(iii)CuO、BaO、Cr2O3、及びMnO2を含むことができる。又、例えば、金属触媒は、(i)約56%のCuO及び約10%のMnO2、(ii)約47%のCuO、約6%のBaO、及び約34%のCr2O3、又は(iii)約47%のCuO、約2%のBaO、約46%のCr2O3、及び約4%のMnO2を含むことができる。

本明細書において記載される金属触媒は、例えば、共沈技術を用いて調製されることができる。特定の実施形態に使用可能な金属触媒の例としては、CuO/MnO2/Al2O3、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、BaO/CuO/MnO2/Cr2O3、及びCuO/SiO2が挙げられる。

又、本明細書において記載される金属触媒は、当技術分野において周知である様々な方法のいずれかを用いて調製されることができる(例えば、Pinna,1998,Catalysis Today 41:129−137;Catalyst Preparation:Science and Engineering,Ed.John Regalbuto,Boca Raton,FL:CRC Press,2006;Mul and Moulijn,Chapter 1:Preparation of supported metal catalysts,In:Supported Metals in Catalysis,2nd Edition,Eds.J.A.Anderson and M.F.Garcia,London,UK:Imperial College Press,2011;Acres et al.,The design and preparation of supported catalysts,In:Catalysis:A Specialist Periodical Report,Eds.D.A.Dowden and C.C.Kembell,London,UK:The Royal Society of Chemistry,1981,vol.4,pp.1−30)。選択された方法によって調製される触媒組成物は、開示された水素化脱酸素プロセスの間、活性であり、選択的であり、再利用可能であり、且つ、機械的及び熱化学的に安定であることが望ましい。

開示された発明の触媒組成物における金属触媒は、特定の実施形態における担体(即ち、担持金属触媒)を含むことができる。例えば、1つ以上のWO3、Al2O3(アルミナ)、TiO2(チタニア)、TiO2−Al2O3、ZrO2、タングステン酸ZrO2(tungstated ZrO2)、SiO2、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、V2O5、MoO3、又は炭素を含む、当技術分野において周知である様々な固体担体は、金属触媒の一部として含まれることができる。好ましい実施形態においては、固体担体は、Al2O3又はSiO2を含む。従って、固体担体は、無機酸化物、金属酸化物、又は炭素を含むことができる。使用されることができる固体担体のその他の例としては、粘土(例えば、モンモリロナイト)及びゼオライト(例えば、H−Yゼオライト)が挙げられる。前述のものなどの触媒において使用される担体材料は、塩基性(pH9.5以上)、中性、弱酸性(pH4.5〜7.0)、又は酸性(pH4.5以下)であることができる。開示された発明の特定の実施形態に使用可能な固体担体の更なる例は、米国特許第7749373号明細書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。

開示された発明の特定の実施形態に使用される固体担体は、多孔性であることができ、これにより、金属触媒が付着される表面積を増加させる。例えば、固体担体は、孔を含むことができ、且つ、(i)少なくとも10m2/g、場合により280m2/g以下である比表面積を有することができ、この場合に、孔は500オングストロームを超える直径を有し、且つ、固体担体の孔容積は少なくとも10ml/100gであり、或いは、(ii)少なくとも50m2/g、場合により280m2/g以下である比表面積を有することができ、この場合に、孔は70オングストロームを超える直径を有し、且つ、固体担体の孔容積は少なくとも30ml/100gである。触媒組成物の担持金属触媒成分における担体の比表面積は、例えば、約又は少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、又は280m2/gであることができる。特定の比表面積を有する多孔性固体担体を調製することは、当技術分野において周知である孔径及び孔容積を調節することによって実施可能である(例えば、Trimm and Stanislaus,Applied Catalysis 21:215−238;Kim et al.,Mater.Res.Bull.39:2103−2112;Grant and Jaroniec,J.Mater.Chem.22:86−92)。

開示された発明の特定の実施形態に使用される触媒を調製するための固体担体は、例えば、Sued−Chemie(Louisville,KY)、Johnson Matthey,Inc.(West Deptford,NJ)、BASF(Iselin,NJ)、Evonik(Calvert City,KY)、及びSigma−Aldrich(St.Louis,MO)を含む、いくつかの商用の供給元から入手可能である。

特定の実施形態における担持金属触媒は、成形された粒子などの粒子の形態であることができる。触媒粒子は、シリンダー、ペレット、球形、又は任意のその他の形状として成形可能である。1つ以上の補強リブの有無にかかわらず、シリンダー形状の触媒は、中空内部を有することができる。使用されることができるその他の粒子の形状としては、例えば、三葉、クローバー形、十字型、「C」型形状、長方形及び三形の管が挙げられる。或いは、担持金属触媒は、粉末の形態、又は、より大きなサイズのシリンダー若しくは錠剤の形態であることができる。シリンダーの大きさ(直径×高さ)は、例えば、約2×2mm、2.5×2.5mm、3×3mm、3.5×3.5mm、4×4mm、4.5×4.5mm、又は5×5mmであることができる。

担持金属触媒が触媒組成物において使用される場合、金属触媒を担持するための当技術分野において周知の任意の手段が使用可能である。例えば、特定の実施形態において使用される金属触媒は、選択された金属を用いた固体担体の連続的な含浸を用いて調製されることができる。或いは、連続的な含浸をすることなく、選択された金属はそれぞれ、同時に固体担体に対して含浸されることができる。特定の実施形態においては、金属は、商用の供給元から得られる担持金属触媒に対して含浸されることができる。

開示されたプロセスに使用する特定の触媒を調製する際の、それぞれの金属の固体担体に対する含浸は、固体担体を金属塩溶液と混合し、適切な量の時間、適切な温度(例えば、100〜120℃)でこの混合物を乾燥させて乾燥した生成物を得、次いで、適切な量の時間の間、適切な温度(例えば、300〜400℃)で乾燥した生成物を焼成することによって、実施されることができる。次いで、この手順によって調製された担持金属触媒は、別の金属で含浸されることができる。或いは、固体担体に対するそれぞれの金属の含浸は、固体担体を金属塩溶液と混合し、前述の通りこの混合物を乾燥させ、乾燥した生成物を別の金属塩溶液と混合し、前述の通りこの混合物を乾燥させ、次いで、前述の通り乾燥した生成物を焼成することによって実施されることができる。前述の手順のいずれかを採用し、これにより、固体担体に対して更なる金属を添加することができる。

担持金属触媒を調製するのに有用である当技術分野において周知の金属含有塩を使用して、含浸−焼成手順に続いて触媒を調製することができる。このような有用な塩の例としては、硝酸塩、ハライド(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸塩、及び炭酸塩が挙げられる。

開示された発明は、(i)金属触媒と、(ii)ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩とを含む触媒組成物と、C10〜18酸素化物を含む原料を接触させる工程を含む。当技術分野において周知であるヘテロポリ酸は、中心元素と、酸素が結合した周囲元素を有する化合物である。中心元素は、例えば、Si、P、Ge、As、B、Ti、Ce、Co、Ni、Al、Ga、Bi、Cr、Sn、又はZrであることができる。周囲元素の例は、W、Mo、V、又はNbなどの金属であることができる。例えば、ケギン、ウエルス−ドーソン及びアンダーソン−エバンス−ペアロフ構造などの、いくつかのヘテロポリ酸構造が報告されてきた。

特定の実施形態におけるヘテロポリ酸は、以下の式: (I)HkXM12O40、或いは、 (II)AjHkXM12O40(式中、 X(中心元素)は、Si、P、Ge、As、B、Ti、Ce、Co、Ni、Al、Ga、Bi、Cr、Sn、又はZrであり、 M(周囲元素)は、独立して、Mo、W、V、又はNbであり、 A(式IIを参照)は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、有機アミンカチオン、又はそれらの組合せであり、 kは0〜4であり、 jは0〜4であり、且つ、 j及びkの少なくとも1つは0を超える) の1つによって表される化学構造を有することができる。

式IIは、ヘテロポリ酸塩又はカチオン交換されたヘテロポリ酸(式中、式IIのAはカチオンである)を表すことは、当技術分野において理解されるであろう。式IIのA(カチオン)の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、バリウム、銅、ルビジウム、タリウム、金、又はガリウムのイオンなどの金属イオンが挙げられ、従って、ヘテロポリ酸塩は、ヘテロポリ酸金属塩であることができる。式IIのAのその他の例としては、アンモニウム(NH4+)及び有機アミンなどのオニウム基が挙げられる。式IIの特定の実施形態におけるカチオンは、カチオン交換されたヘテロポリ酸は酸性であり、且つ、水に不溶性であることに基づいて選択されることができる。従って、特定の実施形態における触媒組成物は、酸性であり、且つ、水に不溶性であるヘテロポリ酸塩を含む。このようなヘテロポリ酸塩は、例えば、セシウム交換されたヘテロポリ酸(ヘテロポリ酸セシウム塩)であることができる。このようなヘテロポリ酸塩におけるセシウムイオンは、式IIのA基を表すことは、当技術分野において理解されるであろう。特定のその他の実施形態におけるA基は、二者択一的に、カリウム又はアンモニウムであることができる。特定の実施形態においては、式IIにおいてj+kは4以下である。

開示された発明の特定の実施形態におけるヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩は、タングステン(W)を含む。このようなヘテロポリ酸におけるタングステンは、式I又はIIの周囲元素Mを表すことは、当技術分野において理解されるであろう。特定の実施形態におけるヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩は、リン(P)又はシリコン(Si)を含む。このようなヘテロポリ酸におけるリン又はシリコンは、式I又はIIの中心元素Xを表すことは、当技術分野において理解されるであろう。

使用可能であるヘテロポリ酸の例としては、ともに式Iに従う、H3PW12O40及びH4SiW12O40が挙げられる。ヘテロポリ酸塩の例としては、ともに式IIに従う、Cs2.5H0.5PW12O40及びCs2.5H0.5SiW12O40が挙げられる。

特定の実施形態におけるヘテロポリ酸は、無水であることができる、又は、水和されることができる。水和ヘテロポリ酸(即ち、結晶化水を含む)としては、例えば、H3PW12O40・(H2O)x及びH4SiW12O40・(H2O)xが挙げられ、この場合に、xは1以上である。しかしながら、特定の実施形態においては、開示された触媒組成物を調製するために、水和ヘテロポリ酸は使用前に脱水される。

開示された発明の特定の実施形態における触媒組成物は、ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩成分を金属触媒成分に担持することによって、調製されることができる。これは、例えば、金属触媒の存在下にて、ヘテロポリ酸を沈殿させることによって達成されることができる。一般的に、こうしたプロセスは、(i)水性ヘテロポリ酸溶液において金属触媒を混合する工程と、(ii)ヘテロポリ酸を沈殿させる塩溶液を加えて、これにより沈殿を生成する工程とを含むことができる。特定の実施形態における金属触媒は、水溶液に溶解せず、従って、工程(ii)における塩は、未溶解の金属触媒及び溶解されたヘテロポリ酸の混合物に加えられる。混合物を攪拌しながら、塩を加えることができ、これにより、金属触媒を懸濁状態に維持する。このことは、金属触媒成分及び沈殿したヘテロポリ酸塩成分をより均一に含む沈殿物をもたらすことになる。

特定の実施形態においては、初めに、例えば、適切な量の時間の間(例えば、約2時間)、熱(例えば、約60℃)及び/又は真空を使用してヘテロポリ酸(水和された場合)を脱水することによって、水性ヘテロポリ酸溶液は調製される。次いで、脱水されたヘテロポリ酸は、水に溶解されて水溶液を得、次いで、これに金属触媒が加えられる。

金属触媒の存在下にてヘテロポリ酸を沈殿させるために使用される塩(「ヘテロポリ酸沈殿塩」)は、例えば、塩の溶液を調製する前に、適切な量の時間の間(例えば、約2時間)、高熱(例えば、約420℃)及び/又は真空の下で、初めに乾燥されることができる。

特定の実施形態におけるヘテロポリ酸沈殿塩は、式IIのAによって表される元素又は基を含むことができる。例えば、塩は、式IIのAによって表される元素又は基のいずれかの、1つ以上の炭酸塩、水酸化物、硫酸塩、又は硫化物であることができる。Cs2CO3は、ヘテロポリ酸沈殿塩として使用されることができる炭酸塩の例である。この沈殿プロセスを使用して調製される触媒組成物は、式IIを有する不溶性ヘテロポリ酸塩を含むことが理解されるであろう。

特定の実施形態における沈殿した触媒組成物は、適切な量の時間の間(例えば、約2時間)、水を除去するために、熱(例えば、約100〜150℃若しくは120℃)及び/又は真空条件を使用して、乾燥されることができる。この乾燥した生成物は、適切な量の時間の間(例えば、約1時間)、約250〜350℃の温度(例えば、約300℃)で、特定の実施形態において更に焼成されることができる。

沈殿プロセスを使用して調製される触媒組成物におけるヘテロポリ酸塩成分に対する金属触媒成分の比は、約1部のヘテロポリ酸塩に対して、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、4.0、又は5.0部の金属触媒であることができ、この場合に、それぞれの成分は、重量に基づいて測定される。金属触媒のヘテロポリ酸塩に対する比は、特定の実施形態において約1:1である。

沈殿によって調製される触媒組成物は、例えば、銅及びマンガンを含む金属触媒を含むことができる。こうした金属触媒は、CuO及び/又はMnO2を含むことができ、特定の例は、CuO/MnO2/Al2O3である。沈殿によって調製されるこの及びその他の触媒組成物は、例えば、セシウム−、カリウム−、又はアンモニウム−ヘテロポリ酸塩を含むことができる。こうしたヘテロポリ酸塩は、例えば、中心元素としてシリコン又はリン、及び、周辺元素としてタングステンを含むことができる(例えば、Cs2.5H0.5PW12O40)。

例えば、ヘテロポリ酸成分が、触媒組成物の金属触媒成分に担持されることができる別の方法は、含浸(例えば、湿式含浸)によってである。一般的に、金属触媒成分は、ヘテロポリ酸溶液において混合され、次いで混合物は固体まで乾燥される。この乾燥工程は、例えば、適度な熱(例えば、約40〜100℃)の下、真空下、及び/又は高熱(例えば、約100〜150℃)の下にて、行われることができる。又、乾燥した生成物は、適切な量の時間の間(例えば、約1時間)、約250〜1000℃の温度(例えば、約300℃)で、特定の実施形態において焼成されることができる。

開示された発明の特定の実施形態においては、触媒組成物は、乾燥条件の下、金属触媒成分をヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩成分と混合することによって調製されることができる。言い換えれば、混合は、水又はいかなる溶液も導入することなく実施される。例えば、乾燥量の金属触媒及び乾燥量のヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩が、ともに入れられて、粉末に粉砕される。得られた粉末は、金属触媒及びヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩の微細粒子を含む。この混合は、緊密混合とも称されることができる。従って、特定の実施形態においては、触媒組成物は、金属触媒及びヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩の乾燥混合物を含む。この混合物は、微細混合物、緊密混合物、又は粉末混合物とも称されることができる。

代替の実施形態においては、混合は、それぞれすでに粉末にされた金属触媒及びヘテロポリ酸成分をともに混合することによって実施されることができる(即ち、金属触媒粉末は、ヘテロポリ酸粉末と混合される)。更に或いは、事前に粉末にされなかった一成分は、すでに粉末にされた別の成分とともに入れられることができ、その後、第1の成分は粉砕される(例えば、金属触媒粉末及び非粉末ヘテロポリ酸塩は、ともに入れられ、粉砕/粉末化に供されることができる)。

操作の大きさに応じて、乾式混合は、当技術分野において周知のように工業用粉砕機を用いて、又は、例えば、乳鉢と乳棒を使用してより小さいスケールで、実施されることができる。特定量の圧力又は力が、混合デバイスによって混合されている粒子に加わる特定の実施形態において、乾式混合は実施されることができる。例えば、混合デバイスは、約100〜500ポンド(例えば、約300ポンド)の力を、混合されている成分に加えることができる。混合されている成分に加えられる力は、混合プロセスの全体にわたって均一に加えられる必要はない。

混合プロセスは、任意の適切な量の時間の間、実行されることができる。例えば、金属触媒及びヘテロポリ酸成分を混合することは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分の間、実施されることができる。乾式混合によって調製された触媒組成物は、調製直後(例えば、約15又は30分以内)に、水素化脱酸素反応に使用されることができ、或いは、好ましくは不活性雰囲気下で、後の使用のために保存されることができる。

金属触媒及びヘテロポリ酸成分を乾式混合することによって調製された触媒組成物は、例えば、約140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、又は40(又は約140〜40メッシュ)の平均メッシュサイズ(米国標準スケール)を有する粒子を含むことができる。特定の実施形態においては、平均粒径(例えば、最も長い長さ寸法)は、約150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、又は250ミクロン(又は約150〜250ミクロン)である。従って、乾燥混合物、微細混合物、又は緊密混合物は、前述で列挙されたような平均メッシュサイズ又は粒径を有する金属触媒及びヘテロポリ酸/ヘテロポリ酸塩粒子の混合体を意味することができる。

「乾燥混合物」という用語は、その製造の際の触媒組成物の状態を意味すると意図される。この意味では、特定の実施形態における触媒組成物は、乾式混合によって生成されたものであることができる。開示された水素化脱酸素プロセスにおける乾式混合物の使用は、乾式混合物を、溶媒などの液体、特定の原料、及び/又は特定の生成物に曝すことと理解されるであろう。

特定の実施形態における乾式混合によって触媒組成物を調製するために使用されるヘテロポリ酸は、ヘテロポリ酸塩であることができる。ヘテロポリ酸塩は、当技術分野において周知のいかなる方式によっても調製されることができる。例えば、初めに、適切な量の時間の間(例えば、約2時間)、熱(例えば、約60℃)及び/又は真空を使用してヘテロポリ酸(水和された場合)を脱水することによって、ヘテロポリ酸塩は、調製されることができる。次いで、ヘテロポリ酸(脱水された又はされない)は、水に溶解されて水性ヘテロポリ酸溶液を得る。ヘテロポリ酸を沈殿させることに使用する前に、ヘテロポリ酸沈殿塩は、適切な量の時間の間(例えば、約2時間)、高熱(例えば、約420℃)及び/又は真空の下で、特定の実施形態において乾燥されることができる。次いで、ヘテロポリ酸沈殿塩の溶液は、ヘテロポリ酸溶液に加えられて、ヘテロポリ酸塩沈殿物を生成する。特定の実施形態におけるヘテロポリ酸塩は、例えば、適切な量の時間の間(例えば、約2時間)、適度な熱(例えば、約40〜100℃)の下、真空下、及び/又は高熱(例えば、約100〜150℃)の下にて、乾燥されることができる。又、乾燥したヘテロポリ酸塩は、適切な量の時間の間(例えば、約1時間)、約250〜1000℃の温度(例えば、約300℃)で、特定の実施形態において焼成されることができる。

乾式混合プロセスによって調製される触媒組成物におけるヘテロポリ酸成分に対する金属触媒成分の比は、約1部のヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩に対して、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、4.0、又は5.0部の金属触媒であることができ、この場合に、それぞれの成分は、重量に基づいて測定される。金属触媒のヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩に対する比は、特定の実施形態において約0.6:1、1:1、又は2:1である。

乾式混合によって調製される触媒組成物は、例えば、H3PW12O40又はH4SiW12O40などのヘテロポリ酸と、(i)CuO及びMnO2、(ii)CuO、BaO、及びCr2O3、又は(iii)CuO、BaO、Cr2O3、及びMnO2を含む金属触媒とを含むことができる。こうした金属触媒の特定の例としては、CuO/MnO2/Al2O3、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、及びBaO/CuO/MnO2/Cr2O3が挙げられる。

或いは、乾式混合によって調製される触媒組成物は、例えば、Cs2.5H0.5PW12O40又はCs2.5H0.5SiW12O40などのヘテロポリ酸塩と、(i)CuO及びMnO2又は(ii)CuO、BaO、Cr2O3、及びMnO2を含む金属触媒とを含むことができる。こうした金属触媒の特定の例としては、CuO/MnO2/Al2O3及びBaO/CuO/MnO2/Cr2O3が挙げられる。

特定の実施形態においては、開示されたプロセスのいずれかを使用して調製される触媒組成物におけるヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩成分は、金属触媒に共有結合されず、一方、その他の実施形態においては、ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩成分は金属触媒成分に共有結合される。共有結合は、例えば、焼成工程の結果であることができる。

開示された発明によって生成される直鎖型アルカンは、発酵による長鎖の二酸の生成に使用するのに適している。例えば、直鎖型アルカンは、個々に、又は、組み合わせて、長さにおいて、10(デカン二酸)、12(ドデカン二酸)、14(テトラデカン二酸)、16(ヘキサデカン二酸)、又は18(オクタデカン二酸)の炭素からなる直鎖型ジカルボン酸に、発酵によって変えられることができる。直鎖型アルカンを直鎖型ジカルボン酸に発酵によって変える方法及び微生物は、例えば、米国特許第号5254466明細書、米国特許第5620878号明細書、米国特許第5648247号明細書、並びに、米国特許出願公開第2011/0300594号明細書、米国特許出願公開第2005/0181491号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0146999号明細書に記載されている(これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる)。前述の参考文献のいくつかにおいて、又、米国特許第6288275号明細書及び国際公開第2000/020620号パンフレットにおいて開示されているように、発酵ブロスから直鎖型ジカルボン酸を回収する方法も周知である。

開示された発明は、以下の実施例において更に定められる。本発明のいくつかの好ましい態様を示すとともに、これらの実施例は、単に例示的なものであることを理解すべきである。前述の説明及びこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確認することができ、それらの本質及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更及び改変を施し、本発明を様々な使用及び条件に適合させることができる。

以下の材料を使用して、下記の実施例に開示される触媒組成物を調製し、これらを表2に列挙する。

Cs2CO3、H3PW12O40・(H2O)x及びH4SiW12O40・(H2O)xは、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。

SiO2粉末メッシュ60は、EMD(Merck KGaA,Darmstadt,Germany)から購入した。

CuO/MnO2/Al2O3(Cat.No.T−4489)、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2(Cat.No.G−22/2)、及びBaO/CuO/MnO2/Cr2O3(Cat.No.G−99B−0)は、Sued−Chemie(Louisville,KY)から受け取った。提供されたままのCuO/MnO2/Al2O3は、56重量%のCuO、10重量%のMnO2、及び34重量%のAl2O3を含んだ。提供されたままのBaO/CuO/Cr2O3/SiO2は、6重量%のBaO、47重量%のCuO、34重量%のCr2O3、及び13重量%のSiO2を含んだ。提供されたままのBaO/CuO/MnO2/Cr2O3は、2%のBaO、47%のCuO、4%のMnO2、及び46%のCr2O3を含んだ。これらの金属触媒は、共沈によって調製された。

CuO/SiO2(Cat.No.Cu−0860)は、BASFから受け取った。提供されたままのCuO/SiO2は、30〜50%のデカン−1−オール、25〜40%の銅、10〜20%のSiO2、0〜10%のCaO、0〜10%のCuO、0〜7%のパリゴルスキット、及び0〜1%の結晶性シリカを含んだ。

ゼオライト(SiO2/Al2O3)(Cat.No.CBV780)は、Zeolyst International(Conshohocken,PA)から購入した。ゼオライトにおけるSiO2のAl2O3に対するモル比は、80:1であった。

ZrO2及びZrO2WO3(Cat.No.XZO 1250)は、MEL Chemicals(Flemington,NJ)から購入した。ZrO2WO3は、15%のWO3を含んだ(ZrO2に基づいて)。

実施例1 部分的にCs交換されたヘテロポリ酸の調製 この実施例では、部分的にCs交換されたヘテロポリ酸Cs2.5H0.5PW12O40及びCs2.5H0.5SiW12O40を調製するための一般的な手順について記載する。これらのヘテロポリ酸塩を使用して、ヘテロポリ酸塩及び金属触媒成分を含む様々な触媒組成物を調製した。得られた触媒組成物は、水素化脱酸素反応手順に使用可能である。

タングステンヘテロポリ酸のセシウム塩を、Cs2CO3の水溶液、及びH3PW12O40又はH4SiW12O40の水溶液を使用して調製した。ヘテロポリ酸H3PW12O40又はH4SiW12O40を、初めに2時間、真空下にて60℃で脱水することによって、水溶液に使用するために調製した。Cs2CO3を、水溶液を調製するために、その使用の前に、真空下にて420℃で2時間、脱水した。

部分的にCs交換されたヘテロポリ酸を、1mL/分の速度にて室温で、H3PW12O40(.08モルdm−3)又はH4SiW12O40(.08モルdm−3)の水溶液を、Cs2CO3(0.25モル/L)の水溶液で滴定することによって調製した。得られた白色のコロイド懸濁液(沈殿したヘテロポリ酸塩)を、真空下にて50℃で固体にまで蒸発させた。次いで、固体を、2時間、120℃の真空オーブンに入れ、水を除去した。場合により、乾燥固体を300℃で空気中、1時間、焼成させた。

このように、部分的にCs交換されたヘテロポリ酸Cs2.5H0.5PW12O40及びCs2.5H0.5SiW12O40を調製した。下記の実施例3では、特定の触媒組成物を調製するための乾式混合プロセスにおいて、これらのヘテロポリ酸塩を直接使用することについて記載する。

実施例2 金属触媒又はその他の材料に担持された、部分的にCs交換されたヘテロポリ酸の調製 この実施例では、SiO2又は金属触媒(CuO/MnO2/Al2O3)に担持された、部分的にCs交換されたヘテロポリ酸(Cs2.5H0.5PW12O40及びCs2.5H0.5SiW12O40)を調製するための一般的な手順について記載する。得られた担持ヘテロポリ酸触媒組成物を、実施例5に記載された水素化脱酸素手順に使用した。

SiO2を担体として使用した場合、15重量部のCs2.5H0.5PW12O40又はCs2.5H0.5SiW12O40を、85重量部のSiO2に対して担持した。金属触媒(CuO/MnO2/Al2O3)を担体として使用した場合、1又は5重量部 のCuO/MnO2/Al2O3を使用して、1重量部のCs2.5H0.5PW12O40又はCs2.5H0.5SiW12O40を担持した。

SiO2担持及び金属触媒担持ヘテロポリ酸塩触媒を調製するための手順は、以下の通り、実施例1に記載されたものと同様であった。

ヘテロポリ酸H3PW12O40又はH4SiW12O40を、水溶液に使用するために、初めに、真空下にて60℃で2時間、脱水することによって調製した。Cs2CO3を、水溶液を調製するために、その使用の前に、真空下にて420℃で2時間、脱水した。

SiO2又はCuO/MnO2/Al2O3に担持された部分的にCs交換されたヘテロポリ酸は、初めに、H3PW12O40(.08モルdm−3)又はH4SiW12O40(.08モルdm−3)の水溶液において、適切な量の担持材料(最終生成物のヘテロポリ酸:担体の比による)を懸濁することによって調製した。次いで、この混合物を1mL/分の速度にて室温で、Cs2CO3(0.25モル/L)の水溶液を用いて滴定し、ヘテロポリ酸を沈殿させた。得られたコロイド懸濁液を、真空下にて50℃で固体にまで蒸発させた。次いで、固体を、2時間、120℃の真空オーブンに入れ、水を除去した。場合により、乾燥した固体を空気中にて300℃で1時間、焼成させた。

このように、部分的にCs交換されたヘテロポリ酸Cs2.5H0.5PW12O40及びCs2.5H0.5SiW12O40(ヘテロポリ酸セシウム塩)を、SiO2又は金属触媒CuO/MnO2/Al2O3に担持した。これらの触媒を調製するためのプロセスは、Cs2CO3を用いてヘテロポリ酸を沈殿させる前に、水性ヘテロポリ酸溶液において担体材料を混合することを伴った。

BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、BaO/CuO/MnO2/Cr2O3、及びCuO/SiO2などのその他の金属触媒を、例えば、前述の手順(CuO/MnO2/Al2O3の代わりに)に使用して、ヘテロポリ酸塩を含む触媒を調製することができる。

実施例3 ヘテロポリ酸又は部分的にCs交換されたヘテロポリ酸と金属触媒を乾式混合することによる触媒の調製 この実施例では、金属触媒(CuO/MnO2/Al2O3、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、BaO/CuO/MnO2/Cr2O3、CuO/SiO2)を、ヘテロポリ酸(H3PW12O40又はH4SiW12O40)、部分的にCs交換されたヘテロポリ酸(Cs2.5H0.5PW12O40又はCs2.5H0.5SiW12O40)、又はその他の触媒成分(ゼオライト、ZrO2/WO3、ZrO2)と物理的に混合することによって触媒を調製するための一般的な手順について記載する。得られた触媒組成物を、実施例5に記載された水素化脱酸素手順に使用した。

乾燥量の金属触媒(CuO/MnO2/Al2O3、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、BaO/CuO/MnO2/Cr2O3、又はCuO/SiO2)を、乾燥量のヘテロポリ酸(H3PW12O40又はH4SiW12O40)、部分的にCs交換されたヘテロポリ酸(実施例1において調製された、Cs2.5H0.5PW12O40又はCs2.5H0.5SiW12O40)、或いはその他の成分(ゼオライト、ZrO2/WO3、又はZrO2)と混ぜ合わせた。それぞれの成分の選択された量は、得られた触媒組成物において、重量で測定される、それぞれの成分の所望の比に基づいた(表2、実施例5における比を参照)。表2(反応17〜20及び33〜40を除く)におけるそれぞれの触媒を調製するための選択された成分を、乳鉢で混ぜ合わせ、約5分間、乳棒で混合した。次いで、得られた触媒混合物を、水素化脱酸素プロセスに直ちに使用した、或いは、更なる使用の前に不活性ガス雰囲気下にて保存した。それぞれの触媒組成物の収率を定量した。300℃(1時間)の焼成工程を、特定の触媒調製(表2を参照)を用いて実施した。

このように、触媒組成物を、金属触媒をヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩と緊密に混合することによって調製した。

実施例4 ヘテロポリ酸を用いた、金属触媒、又は、その他の材料の湿式含浸による触媒の調製 この実施例では、ヘテロポリ酸(例えば、H3PW12O40又はH4SiW12O40)を用いた、金属触媒(例えば、CuO/MnO2/Al2O3)、又は、その他の担体材料(例えば、SiO2)の湿式含浸により調製された触媒を調製するための一般的手順について記載する。この手順により、結果として、担持ヘテロポリ酸触媒組成物を調製した。

金属触媒又はその他の材料のヘテロポリ酸に対する所望の比に応じて、20〜50部の、金属触媒(CuO/MnO2/Al2O3、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、BaO/CuO/MnO2/Cr2O3、又はCuO/SiO2)、或いは、別の材料を、80〜50部のヘテロポリ酸(H3PW12O40又はH4SiW12O40)の水溶液と混ぜ合わせた。得られた懸濁液を、40〜50℃で相対的に乾燥するまで蒸発させた。次いで、この組成物を、激しく混合して真空下にて80℃で乾燥させて、残留する水を除去し、その後、最終的に120℃で真空オーブンにおいて乾燥させ、場合により、空気中にて300℃で1時間、焼成させた。

このように、ヘテロポリ酸を、湿式含浸技術を介して金属触媒又はその他の材料に担持した。

実施例5 金属触媒及びヘテロポリ酸を含む触媒組成物を使用した酸素化された原料の水素化脱酸素 この実施例では、酸素化された原料からアルカンを生成する水素化脱酸素反応プロセスにおける前述の実施例で調製された特定の触媒組成物の使用について記載する。詳細には、金属触媒及びヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸セシウム塩を含む様々な触媒組成物によって触媒された反応において、n−ドデカノールはドデカンに水素化脱酸素された。

それぞれの反応を以下の通り実施した。マグネチックスターラーバーを備えたガラスバイアルにおいて、テトラデカン(400mg)を、100mgのn−ドデカノールと約75mgの特定の触媒組成物(以下に記載される)に加えた。バイアルを穿孔されたセプタムで蓋をして、蒸気移動速度を制限した。次に、蓋をしたバイアルを、ステンレス鋼(SS316)平行圧力反応器(8つの個々のウェル)に置いた。次いで、反応器を、高圧ガス集合装置に接続し、水素を加える前に、窒素ガス(1000psi)によって、3回、置換洗浄した。約700psiの水素を加え、反応器を260℃まで加熱し、その後、反応器の水素圧力を約1000psiに調整した。これらの条件を4時間維持した。

次いで、反応器を室温まで冷却し、圧力を解放した。100μLの試料をそれぞれのバイアルから取り出し、内部標準を含むn−プロパノールで希釈し、5ミクロンのディスポーザブルフィルターで濾過し、定量分析のための内部標準法を用いてGC(場合によってはGC/MS)によって分析した。それぞれの反応における結果を表2に示す。

合計44の異なる反応を、実施例2又は3に記載の手順を使用して調製された様々な触媒組成物を用いて実施した。それぞれの触媒組成物における、成分、及びそれぞれの成分の比を表2に示す。詳細には、それぞれの触媒組成物(反応33〜36を除く)は、金属触媒(CuO/MnO2/Al2O3、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、BaO/CuO/MnO2/Cr2O3、CuO/SiO2)と、別の成分(H3PW12O40、H4SiW12O40、Cs2.5H0.5PW12O40、H3PO4、ゼオライト、ZrO2/WO3、ZrO2)とを含んだ。更に表2は、触媒組成物を調製するために用いたプロセス(実施例2又は3)、及び、触媒組成物がその調製後に焼成されたかどうかを示す。前述の通り、表2に列挙されたそれぞれの反応を、1000psiの水素ガスの下にて260℃で4時間実施した。

表2に列挙された結果では、金属触媒及びヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩を含む触媒組成物は、低温での水素化脱酸素反応を触媒する際に良好に機能することを示している。いくつかの反応については、ドデカノールの完全な水素化脱酸素の結果として生成したドデカンのモル収率は、80%を超え、いくつかのモル収率は90%を超えた。又、90%を超えるドデカンを生成する表2におけるそれらの反応は、置換生成物(例えば、ジドデシルエーテル)、及び、ドデカノール基質の炭素鎖長より短い炭素鎖長を有する生成物などの10%未満の副生成物を生成したことは明白である。

表2では、水素化脱酸素を実行するための特定の触媒組成物の金属触媒成分に、非改質ヘテロポリ酸(H3PW12O40又はH3SiW12O40)、或いは、ヘテロポリ酸塩(Cs2.5H0.5PW12O40)が必要であったことを示している。金属触媒CuO/MnO2/Al2O3、BaO/CuO/Cr2O3/SiO2、及びBaO/CuO/MnO2/Cr2O3のみを、それぞれ使用した反応33〜35(即ち、ヘテロポリ酸成分はない)は、ドデカノールからドデカンを生成することはなかった。しかしながら、これらの特定の金属触媒とともにヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩を包含することは、ドデカノールを水素化脱酸素するのに効果的である触媒組成物を提供した(表2、反応1〜3、5〜7、9、11、13、15、37、38、41〜44)。

その他の成分(非ヘテロポリ酸)が金属触媒成分とともに含まれる場合、得られた触媒組成物は、ほとんどの場合、活性がなかったことによって、ヘテロポリ酸成分の重要性が更に示された。例えば、金属触媒、及びH3PO4、ZrO2/WO3、又はZrO2を含む触媒組成物は、水素化脱酸素活性の有意なレベルを有しなかった(表2、反応17〜20、25〜32)。又、CuO/MnO2/Al2O3と混ぜ合わされたゼオライトを含む触媒組成物は、高い水素化脱酸素活性(表2、反応21)を有する一方、ゼオライトとともにその他の試験された金属触媒を包含することは、ほとんど又はまったく活性を有しない触媒組成物を生成した。

更に表2では、金属触媒は、異なる方法でヘテロポリ酸とともに包含されることができ、且つ、水素化脱酸素反応を触媒するのに効果的であり得ることを示している。例えば、実施例2において調製された触媒は、CuO/MnO2/Al2O3の存在下にて、Cs交換されたヘテロポリ酸を沈殿させることによって調製された。CuO/MnO2/Al2O3成分及びCs交換されたヘテロポリ酸成分が、1:1の比であるこうした触媒組成物は、高い水素化脱酸素活性を有した(表2、反応37及び38)。開示された触媒組成物が調製された別の方法は、乳鉢と乳棒の粉砕動作によって、乾燥状態において、ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩と金属触媒を、物理的に混合することを伴った(実施例3)。こうした触媒の例を、水素化脱酸素活性を有する、反応1〜3、5〜7、9、11、13、15、及び41〜44(表2)に示した。焼成されなかった物理的に混合された触媒組成物(反応1〜3、5〜7、13、15)は、依然としてドデカンの生成を触媒したことから、ヘテロポリ酸成分を金属触媒成分に直接担持することは、活性に必ずしも必要でない場合があることが伺える。

全体として、これらの結果は、金属触媒及びヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸塩を含む触媒組成物を利用する水素化脱酸素プロセスを、低温条件の下で使用して、C10〜18酸素化物から直鎖型アルカンを生成することができることを実証している。これらの触媒組成物を用いた水素化脱酸素プロセスによって、副生成物の生成は少量で、主として、完全に脱酸素化された、完全な長さの生成物が生成した。

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