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ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法

阅读:392发布:2024-02-27

专利汇可以提供ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法を提供することを目的とする。本発明の方法は、血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、&bgr;−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で前記細胞を培養することを含む、ことを特徴とする。,下面是ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法专利的具体信息内容。

  • ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法において、血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で前記細胞を培養することを含む、前記方法。
  • ポリペプチド及び/又はペプチドが、血清アルブミン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質又はペプトンである、請求項1に記載の方法。
  • 細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性、多能性維持活性及びコロニー形成促進活性からなる群から選択される、ラミニン511の細胞に対する活性が上昇する、請求項1又は2に記載の方法。
  • 細胞が、多能性幹細胞、組織幹細胞、体細胞、生殖細胞、及び肉腫細胞からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  • 多能性幹細胞が、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、又は生殖幹細胞から選択され;
    組織幹細胞が、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞、又は造血幹細胞から選択され;あるいは、
    体細胞が、肝細胞、膵細胞、筋細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、皮膚細胞、繊維芽細胞、膵細胞、腎細胞、肺細胞、又は、リンパ球、赤血球、白血球、単球、マクロファージ若しくは巨核球の血球細胞から選択される、
    請求項4に記載の方法。
  • ポリペプチド及び/又はペプチドを0.4〜200μg/mlの範囲の濃度で使用する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  • 血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で哺乳類細胞を培養することを含む、ラミニン511の細胞に対する活性を上昇させる方法。
  • 細胞に対する活性が、細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性、多能性維持活性及びコロニー形成促進活性からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  • 血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した、ラミニン511を含んだ系で細胞を培養するための細胞培養容器。
  • 血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を含む、ラミニン511を含んだ系で細胞を培養するための細胞培養容器を固相化するための、組成物。
  • 说明书全文


    本出願は、2011年9月29日に提出された日本国出願 特願2011−214589に基づく優先権を主張し、その全内容は本明細書中に取り込まれる。

    本発明は、ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法に関する。

    ラミニンは様々な組織の基底膜に主として局在し、組織構造の維持及び細胞機能の制御において重要な役割を果たす細胞外マトリックスタンパク質である(Matrix Biol.,18:19−28,1999;Dev.Dyn.,218:213−234,2000)。

    ラミニンの構造としては、α鎖、β鎖、γ鎖がそれぞれジスルフィド結合で連結されたヘテロ3量体分子であり、特徴的な十字架構造をとる。 各鎖は複数のドメインからなり、ドメインIおよびIIはトリプルへリックスを形成している。 本出願前に、ラミニン分子は5種類のα鎖(α1ないしα5)、3種類のβ鎖(β1ないしβ3)、3種類のγ鎖(γ1ないしγ3)の異なる組み合わせによって、少なくとも19種類が同定されており、実際にはその数倍の種類が存在することが示唆されている。 なお、ラミニンの名称は、命名法が1994年と2005年に訂正され、その前後で異なっている(Matrix Biol.,24:326−332,2005;Cell Tissue Res.339(1)259-268,2010)。

    ラミニンのα鎖、β鎖、γ鎖はそれぞれ異なる遺伝子によってコードされており、それぞれのラミニンアイソフォームは特有の存在部位や機能があり、主に細胞膜受容体インテグリンを介して細胞接着、増殖、運動、分化などを調節している(Dev.Dyn.218,213−234,2000;Physiol.Rev.85,979−1000,2005)。 各ラミニンアイソフォームを構成するα鎖、β鎖、γ鎖が異なると機能や活性も全く異なってくる。

    ラミニン分子は、3本鎖のアミノ(N)末端部分(短腕)で互いに会合したり、他のマトリックス分子と会合して、基底膜を構築する。 一方、α鎖のカルボキシ(C)末端には5つの相同な球状ドメイン(G1−G5ドメインまたはLG1−LG5)が存在し、主にこの部分でインテグリンやその他のリセプターと結合する。 α鎖は細胞の接着に関与し、ラミニン主要な機能を担っている。

    ラミニン511
    「ラミニン511」(旧称「ラミニン10」)は、α5鎖、β1鎖、γ1鎖からなるラミニン分子で、肝臓の門脈や肝動脈、中心静脈、胆管の基底膜に存在するラミニンの主要なアイソフォームである。 ラミニン511の生体内の機能についてはまだ十分な解明がされていないが、ラミニンα5鎖の欠損が様々な組織形成不全を引き起こすことから、胎児期の組織形成において重要な役割を担っているのではないか、と示唆されている。 ラミニン511については、Dev. Dyn. 218,213−234,2000、及びJ. Biol. Chem. 277(15),12741−12748,2002に詳細な記載がある。 これらの文献に記載された内容は、本明細書中に援用する。

    US6,933,273 B2

    国際公開WO2009/123349

    Matrix Biol. ,18:19−28,1999 Dev. Dyn. 218, 213−234,2000 Matrix Biol. ,24:326−332,2005 Cell Tissue Res. 339(1)259-268,2010 Physiol. Rev. 85,979−1000,2005 J. Biol. Chem. 277(15),12741−12748,2002 J. Biol. Chem. 262(22),10454−10462,1987 J. Biol. Chem. 263(14),6751−6758,1988

    本発明は、ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法を提供することを目的とする。

    本発明者らは、ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法において、特定のポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で前記細胞を培養すると、ラミニン511の細胞に対する種々の活性が上昇することを見出し、本発明を想到した。

    本発明は、好ましい態様として以下の態様を含む。
    [態様1]
    ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法において、血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で前記細胞を培養することを含む、前記方法。
    [態様2]
    ポリペプチド及び/又はペプチドが、血清アルブミン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質又はペプトンである、態様1に記載の方法。
    [態様3]
    細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性、多能性維持活性及びコロニー形成促進活性からなる群から選択される、ラミニン511の細胞に対する活性が上昇する、態様1又は2に記載の方法。
    [態様4]
    細胞が、多能性幹細胞、組織幹細胞、体細胞、生殖細胞、及び肉腫細胞からなる群から選択される、態様1〜3のいずれか1項に記載の方法。
    [態様5]
    多能性幹細胞が、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、又は生殖幹細胞から選択され;
    組織幹細胞が、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞、又は造血幹細胞から選択され;あるいは、
    体細胞が、肝細胞、膵細胞、筋細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、皮膚細胞、繊維芽細胞、膵細胞、腎細胞、細胞、又は、リンパ球、赤血球、白血球、単球、マクロファージ若しくは巨核球の血球細胞から選択される、
    態様4に記載の方法。
    [態様6]
    ポリペプチド及び/又はペプチドを0.4〜200μg/mlの範囲の濃度で使用する、態様1〜5のいずれか1項に記載の方法。
    [態様7]
    血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で哺乳類細胞を培養することを含む、ラミニン511の細胞に対する活性を上昇させる方法。
    [態様8]
    細胞に対する活性が、細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性、多能性維持活性及びコロニー形成促進活性からなる群から選択される、態様7に記載の方法。
    [態様9]
    血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した、ラミニン511を含んだ系で細胞を培養するための細胞培養容器。
    [態様10]
    血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を含む、ラミニン511を含んだ系で細胞を培養するための細胞培養容器を固相化するための、組成物。

    本発明において、ラミニン511と特定のポリペプチド及び/又はペプチドを固相化して併用することにより、細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性及び多能性維持活性からなる群から選択される、ラミニン511の細胞に対する活性が上昇する。

    図1は、BRL細胞を用いたrLm511の細胞接着アッセイの結果を示す。 図1Aでは、rHSA濃度を0−100μg/mlと幅広く設定して検討した。 図1Bでは、図1Aで細胞接着活性上昇の認められたrHSA濃度にて再現性を確認した。 図1Cでは、rHSA濃度を0−12.5μg/mlで細かく分けて設定して検討した。 図1Dでは、図1Cで高い細胞接着効果を示したrHSA濃度範囲をさらに細かく分けて設定して検討した結果である。 BRL細胞を用いた検討では、rHSA添加濃度は、1.5−6.3μg/mlが至適濃度であることが分かった。

    図2は、HT1080細胞を用いたrLm511の細胞接着アッセイの結果を示す。 図2Aでは、rHSA濃度を0−25μg/mlと幅広く設定して検討した。 図2Bでは、組換えヒト受容体活性化因子NFκBリガンド(sRANKL、κRA)を用いた場合の細胞接着活性上昇作用を検討した。 図2Cでは、綿実由来ペプトン(ペプチド、Pep)を用いた場合の細胞接着活性上昇作用を検討した。 図2Dでは、グリシン(アミノ酸、Gly)を用いた場合の細胞接着活性上昇作用を検討した。 H1080細胞を用いた検討でもrHSA添加による細胞接着上昇が認められた。 さらに、rHSAタンパク質以外のタンパク質やペプチドでも効果が認められた。

    図3は、C2C12細胞を用いたrLm511及びrLm211の細胞接着アッセイの結果を示す。 縦軸はOD

    595 、横軸はラミニン濃度(μg/ml)を示す。 使用したrHSA濃度は5μg/mlである。

    図4は、HT1080細胞を用いたrLm511の創傷治癒アッセイの結果を示した写真である。 写真中の棒線は、傷の幅に相当する。

    図5は、図4の写真の傷の幅から治癒率を算出して示した図である。 図4及び図5の創傷治癒アッセイの結果より、細胞接着活性以外にもrLm511の有する創傷治癒活性をrHSA添加によって上昇できることが明らかになった。

    図6は、ヒトiPS細胞(201B7株)を用いた、コロニー形成を調べるための培養実験の結果を示す。 具体的には、アルカリフォスファターゼ(AP)陽性のコロニー数を示した。 Mgはマトリゲルを示す。 +、−はrHSAの添加、未添加を示す。 濃度0.5μg/mlのrLm511を用いる場合、rHSAを添加しないと、コロニー形成はほとんど認められなかった。 5μg/mlのrHSAを添加することで、コロニー形成が認められた。 本発明の方法は、細胞接着活性以外にもコロニー形成において有効であることが示された。

    本発明は、ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法に関する。

    ラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法において、血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で前記細胞を培養することを含む、ことを特徴とする。

    ラミニン511
    表1に示されるように「ラミニン511」(旧称「ラミニン10」)は、α5鎖、β1鎖、γ1鎖からなるラミニン分子で、肝臓の門脈や肝動脈、中心静脈、胆管の基底膜に存在するラミニンの主要なアイソフォームである。 ラミニン511の生体内の機能についてはまだ十分な解明がされていないが、ラミニンのα5鎖の欠損が様々な組織形成不全を引き起こすことから、胎児期の組織形成において重要な役割を担っているのではないか、と示唆されている。

    ラミニン511については、例えば、Dev. Dyn. 218,213−234,2000、J. Biol. Chem. 277(15),12741−12748,2002に詳細な記載がある。 これらの文献に記載された内容は、本明細書中に援用する。

    ラミニン511タンパク質は天然型であっても、あるいはその生物学的活性、特に細胞接着促進活性保持したまま1又はそれ以上のアミノ酸残基が修飾された修飾型であってもよい。 また、本発明におけるラミニン511タンパク質は本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源、製法などは限定されない。 即ち、本発明のラミニン511タンパク質は、天然産のタンパク質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現させたタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでもよい。

    ラミニン511タンパク質の由来は特に、限定されないが、好ましくは、ヒト由来のものである。 再生医療の材料を得る目的などでヒト多能性幹細胞を培養する場合には、他の動物に由来する材料の使用を避けるために、ヒト由来のラミニン511を用いることが好適である。

    本明細書中の配列表の配列番号1−6は、ヒトラミニン511のα5鎖、β1鎖及びγ1鎖の塩基配列及びアミノ酸配列を示す。 本発明で使用するラミニン511タンパク質は、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するα5鎖(J.Biol.Chem. 277(15),12741−12748,2002;US6,933,273 B2)、配列番号4のアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するβ1鎖(J.Biol.Chem.262(22),10454−10462,1987;US6,933,273 B2)、及び配列番号6のアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するγ1鎖(J.Biol.Chem.263(14),6751−6758,1988;US6,933,273 B2)の各サブユニットからなるタンパク質である。

    ラミニン511の各鎖は、対応する配列番号で示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するものであってもよい。 このような天然のタンパク質と相同なアミノ酸配列を有するタンパク質も、本発明において使用可能である。 変更可能なアミノ酸数は、α5鎖、β1鎖及びγ1鎖の各アミノ酸配列において、限定されるわけではないが、好ましくは1ないし300アミノ酸残基、1ないし200アミノ酸残基、1ないし150アミノ酸残基、1ないし120アミノ酸残基、1ないし100アミノ酸残基、1ないし80アミノ酸残基、1ないし50アミノ酸残基、1ないし30アミノ酸残基、1ないし20アミノ酸残基、1ないし15アミノ酸残基、1ないし10アミノ酸残基、1ないし5アミノ酸残基である。 公知の部位特異的突然変異法で修飾可能な数のアミノ酸残基、例えば、1ないし10アミノ酸残基、1ないし8、1ないし5、1ないし3アミノ酸残基がより好ましい。

    アミノ酸の保存的置換を行って元の機能を保持しているタンパク質またはポリペプチドを得ることができることは、当技術分野においてよく知られている。 そのような置換には、アミノ酸を類似の物理化学的特性を有する残基で置き換えること、例えば、1つの脂肪酸残基(Ile、Val、LeuまたはAla)を脂肪酸残基の別なもので、または塩基性残基LysとArg、酸性残基GluとAsp、アミド残基GlnとAsn、ヒドロキシル残基SerとTyr、または芳香族残基PheとTyrの間で置換することが含まれる。

    また、本発明で用いるラミニン511は、配列番号2、4、6に記載されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性を有する各鎖からなり、かつ細胞接着活性を促進することができるタンパク質であってもよい。

    2つのアミノ酸配列の同一性%は、視覚的検査および数学的計算によって決定してもよい。 あるいは、2つのタンパク質配列の同一性パーセントは、Needleman,S. B. 及びWunsch,C. D. (J.Mol.Biol.,48:443−453,1970)のアルゴリズムに基づき、そしてウィスコンシン大学遺伝学コンピューターグループ(UWGCG)より入手可能なGAPコンピュータープログラムを用い配列情報を比較することにより、決定してもよい。 GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメーターには:(1)Henikoff,S. 及びHenikoff,J. G. (Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10915−10919,1992)に記載されるような、スコアリング・マトリックス、blosum62;(2)12のギャップ加重;(3)4のギャップ長加重;及び(4)末端ギャップに対するペナルティなし、が含まれる。

    当業者に用いられる、配列比較の他のプログラムもまた、用いてもよい。 同一性のパーセントは、例えばAltschulら(Nucl.Acids.Res.,25,p.3389−3402,1997)に記載されているBLASTプログラムを用いて配列情報と比較し決定することが可能である。 当該プログラムは、インターネット上でNational Center for Biotechnology Information(NCBI)、あるいはDNA Data Bank of Japan(DDBJ)のウェブサイトから利用することが可能である。 BLASTプログラムによる同一性検索の各種条件(パラメーター)は同サイトに詳しく記載されており、一部の設定を適宜変更することが可能であるが、検索は通常デフォルト値を用いて行う。 又は、2つのアミノ酸配列の同一性%は、遺伝情報処理ソフトウエアGENETYX Ver. 7(ゼネティックス製)などのプログラム、又は、FASTAアルゴリズムなどを用いて決定してもよい。 その際、検索はデフォルト値を用いてよい。

    本発明におけるラミニン511は本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源、製法などは限定されない。 即ち、ラミニン511は、ラミニン511を分泌するヒト或いは動物細胞の培養液上清、あるいはそこから精製した天然型ラミニン511タンパク質であってもよい。 しかしラミニン511は、当該技術分野において知られる組換えDNA技術を用いて各サブユニットを発現させることにより遺伝子組換えタンパク質として効果的に製造することができる。 しかし不必要な動物性の因子を避けるという意味から、ヒト組換えラミニン511が特に好ましい。

    ラミニン511のα5鎖をコードする、配列番号1の核酸残基68−11155を含むDNA配列、β1鎖をコードする配列番号3の核酸残基118−5478及びγ1鎖をコードする配列番号5の核酸残基260−5089の塩基配列に基づいてプライマーを設計し、適切なcDNAライブラリーをテンプレートとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により目的とする配列を増幅することにより製造することができる。 このようなPCR手法は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、“PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications”,Academic Press,Michael,et al. ,1990に記載されている。

    ラミニン511の各鎖遺伝子をコードするDNAを、適当なベクター中に組み込み、これを真核生物または原核生物細胞のいずれかに、各々の宿主で発現可能な発現ベクターを用いて導入し、それぞれの鎖を発現させることにより所望のタンパク質を得ることができる。 ラミニン511を発現させるために用いることができる宿主細胞は特に限定されるものではなく、大腸菌、枯草菌等の原核宿主細胞、および酵母真菌、昆虫細胞、植物及び植物細胞、哺乳動物細胞等の真核生物宿主が挙げられる。

    ラミニン511を発現するように構築したベクターを、トランスフォーメーション、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、アグロバクテリウム法、直接マイクロインジェクション等により、上記の宿主細胞中に導入することができる。 ベクターを含む細胞を適当な培地中で成長させて、本発明で使用するラミニン511を産生させ、細胞または培地から精製することにより、ラミニン511を得ることができる。 精製はサイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、および免疫アフィニティークロマトグラフィー等を用いて行うことができる。

    ラミニン511は、あるいは、市販されているものを利用することも可能である。 例えば、BioLamina社よりラミニン511の組換えタンパク質を購入可能である。

    代表的なラミニンであるラミニン111(旧称「ラミニン1」)はα1、β1、γ1で構成されるヘテロ3量体分子であり、本発明で用いるラミニン511はα5、β1、γ1で構成される。 例えば、ラミニン111とラミニン511のポリペプチド鎖の同一性をGenetyxなどのソフトウエアで解析するとα1とα5の同一性は、35%である。 同じラミニンという名前がついていても、それぞれ異なる2つの遺伝子でコードされるα1とα5の同一性はたかだか35%程度であり、ラミニン111とラミニン511は異なった性質を示すと考えられている。

    ポリペプチド及び/又はペプチド
    本発明は、細胞培養において、ラミニン511を含む細胞培養系において、特定のポリペプチド及び/又はペプチドを併せて使用することにより、種々のラミニン511の活性を上昇させることを特徴とする。

    ポリペプチドは、血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択される。

    1)血中タンパク質 本発明においては、好ましくは、血中タンパク質、より好ましくは、細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質をラミニン511タンパク質とともに使用する。

    血中タンパク質は、好ましくは血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンから選択される。 これらはいずれも細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質である。

    「細胞外マトリックス」とは、細胞外の空間を充填する物質であると同時に骨格的役割(例:動物の軟骨や骨)、細胞接着における足場の役割(例:基底膜やフィブロネクチン)、細胞増殖因子などの保持・提供する役割(例:ヘパラン硫酸に結合する細胞増殖因子FGF)などを担う。 多細胞生物を構成する個々の細胞の多くは細胞外マトリックスのベッドあるいは巣に埋もれて生活しているとも言える。 ヒトを含めた脊椎動物の細胞外マトリックスに顕著な成分は、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンやラミニンといった糖タンパク質(一部は細胞接着分子)である。 「細胞外マトリックスタンパク質」とは、このような細胞外マトリックスを構成するタンパク質を意味する。

    本発明における、「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質」とは、血中タンパク質のうちでも、細胞接着等に関与する細胞外マトリックスタンパク質以外のものを意味する。 これらは、いずれも公知のタンパク質であり当業者は適宜入手することが可能である。

    「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質」は、限定されるわけではないが、好ましくは、ヒト血清アルブミン(HSA/例えば、Nacalaiより入手可能)、組換えヒト血清アルブミン(rHSA/例えば、SIGMAより入手可能)、またはウシ血清アルブミン(BSA/例えば、SIGMAより入手可能)である。

    「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質」は、あるいは、免疫グロブリンであってもよい。 免疫グロブリンは当業者に周知であり、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEなどが含まれる。 例えば、ヒト免疫グロブリン(IgG/例えば、オリエンタル酵母工業株式会社より入手可能)を使用することができる。

    2)ゼラチン ゼラチンとは、動物の皮膚や骨、などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加えて抽出したもので、タンパク質を主成分とする。

    3)腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質 「腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor、TNF)」は、サイトカインの一種であり、狭義にはTNFはTNF−α、TNF−β(リンホトキシン(LT)−α)およびLT−βの3種類である。 「TNFファミリーに属するタンパク質」には、受容体活性化因子NFκBリガンド(RANKL)、Fasリガンド、CD40リガンド等の少なくとも19種類以上の分子が含まれる。

    本発明において、「TNFファミリーに属するタンパク質」の例として、好ましくは、受容体活性化因子NFκBリガンド(RANKL、sRANKL)が使用されうる。

    4)ペプトン 「ペプトン」とは、タンパク質をタンパク質分解酵素で分解したものである。 生体内ではタンパク質が胃でペプシンにより消化されてペプトンとなり、膵臓で分泌される膵液や空腸で分泌される腸液によりさらにアミノ酸まで消化される。

    微生物の栄養源として適しているため、培地においてしばしば添加される。 この培地栄養源としてのペプトンは、蛋白質をアミノ酸および低分子量のペプチドまで加分解したもので、一般には乳の蛋白質(ミルクカゼイン)を酵素分解(豚の膵臓から抽出したパンクレアチンなどのプロテアーゼを使用)したものが一般的に使用されている。

    限定されるわけではないが、ペプトンは好ましくは植物由来のものが使用される。 例えば、綿実由来ペプトン、大豆由来ペプトン、小麦由来ペプトン及びエンドウ豆由来ペプトンからなる群から選択される。

    限定されるわけではないが、本発明の一態様において、ポリペプチド及び/又はペプチドは、血清アルブミン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質又はペプトンである。 本発明の一態様において、ポリペプチド及び/又はペプチドは、免疫グロブリン又はゼラチンである。

    哺乳類細胞
    本発明の方法において培養される哺乳類細胞の種類、由来は特に限定されない。

    好ましくは、多能性幹細胞、組織幹細胞、体細胞、生殖細胞、及び肉腫細胞からなる群から選択される。 限定されるわけではないが、好ましくは、多能性幹細胞は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、又は生殖幹細胞から選択される。 好ましくは、組織幹細胞は、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞、又は造血幹細胞から選択される。 好ましくは、体細胞は、肝細胞、膵細胞、筋細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、皮膚細胞、繊維芽細胞、膵細胞、腎細胞、肺細胞、又は、リンパ球、赤血球、白血球、単球、マクロファージ若しくは巨核球の血球細胞から選択される。

    細胞が由来する哺乳類の生物種も特に限定されない。 好ましくは、マウス、ラット、ヒト、サル、ブタ、イヌ、ヒツジ、ヤギなどに由来する。 より好ましくは、マウス、ラット及びヒトからなる群から選択される種に由来する。

    本発明において「多能性幹細胞」とは、あらゆる組織の細胞へと分化する能(分化多能性)を有する幹細胞の総称することを意図する。 本明細書において後述する実施例ではES細胞(EB3細胞)を用いて検討を行っているが、本発明の方法に使用できる多能性幹細胞には、胚性幹細胞のみに限らず、哺乳動物の成体臓器や組織の細胞、骨髄細胞、血液細胞、更には胚や胎児の細胞等に由来する、胚性幹細胞に類似した形質を有する全ての多能性幹細胞が含まれる。 この場合、胚性幹細胞と類似の形質とは、胚性幹細胞特異的な遺伝子の発現や内胚葉、中胚葉、外胚葉の全ての胚葉への分化能を有するといった、胚性幹細胞に特異的な細胞生物学的性質をもって定義することができる。

    限定されるわけではないが、本発明の方法で増殖させることができる細胞の具体例としては、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性生殖幹細胞(EG細胞)、生殖幹細胞(GS細胞)等が挙げられる。 なお本発明における多能性幹細胞として、ES細胞とiPS細胞が好ましい。 iPS細胞は倫理的な問題もない等の理由により特に好ましい。 多能性幹細胞としては公知の任意のものを使用可能であるが、例えば、国際公開WO2009/123349(PCT/JP2009/057041)に記載の多能性幹細胞を使用可能である。

    「組織幹細胞」とは、分化可能な細胞系列が特定の組織に限定されているが、多様な細胞種へ分化可能な能力(分化多能性)を有する幹細胞を意味する。 例えば骨髄中の造血幹細胞は血球のもととなり、神経幹細胞は神経細胞へと分化する。 このほかにも肝臓をつくる肝幹細胞、皮膚組織になる皮膚幹細胞などさまざまな種類がある。

    「体細胞」とは、多細胞生物を構成する細胞のうち生殖細胞以外の細胞のことを言う。 有性生殖においては次世代へは受け継がれない。 本明細書においては、「多能性幹細胞」、「組織幹細胞」以外の種々の細胞を意味する。

    ラミニン511を含んだ系
    本発明においては、ラミニン511を含んだ系で細胞を培養する。 本発明で「ラミニン511を含んだ系」とは、細胞の培養システム中に何らかの形でラミニン511を含むことを意味するものであり、その態様は特に限定されない。

    本発明において、特定のポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で細胞を培養する。 「固相化した」とは、細胞を培養する系において、ポリペプチド及び/又はペプチドとラミニン511とが、例えば液体培地中に単に添加されて溶解しているという状態ではなく、培養容器等に吸着している状態を意味する。

    具体的には、例えば、特定のポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511とで細胞の培養容器を処理し、培養容器をコーティングした状態を意味する。 よって、ラミニン511を含んだ系で細胞を培養するのに、特定のポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511とでコーティングした培養容器を用いることが好適な態様である。

    本発明において「細胞培養容器」とは、は特に限定されるものではなく、細菌の混入を防ぐために滅菌処理され、かつ細胞を培養するのに適した任意の材料、任意の形状の容器を用いることができる。 そのような培養容器の例として、本技術分野で一般的に用いられている培養用ディッシュ、培養用フラスコ、培養用シャーレ、96ウェル、48ウェル、12ウェル、6ウェル、4ウェル等の培養用プレート、培養用ボトルなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。

    本発明の一態様において、細胞培養容器の表面に特定のポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化する(コーティングする)などの処理を施す。 培養容器の表面にラミニンを固相化する処理技術は本技術分野で公知であり、当業者は本発明の目的に応じて任意の培養容器を採用して該容器を処理し、該容器を本発明の方法に用いることができる。

    細胞培養容器の処理に使用されるラミニン511の量は特に限定されない。 好ましくは、0.01μg/ml以上、好ましくは0.01〜10μg/ml、より好ましくは0.01−2μg/mlのラミニン511溶液で処理した場合、良好な結果が得られる。 0.01〜10μg/ml、0.01μg/ml−2μg/mlのラミニン511は、培養容器の面積あたりの固相化するラミニン511の量としては、0.0015〜1.5μg/cm 、0.0015−0.3μg/cm に相当する。

    本発明において、ポリペプチド又はペプチドの使用量は特に限定されない。 当業者は使用するポリペプチド又はペプチドの種類、培養する細胞の鮎類、等の要素に応じて適切な量を適宜選択することが可能である。 限定されるわけではないが、好ましくは、ポリペプチド又はペプチドは0.4μg/mlないし200μg/mlの間の濃度で使用する。 これは培養容器の面積あたりの固相化するポリペプチド又はペプチドの量としては、0.06〜30μg/cm に相当する。

    本発明の一態様において、培養容器の内部表面にラミニン511を塗布した後に乾燥するなどして培養容器をラミニン511で処理してもよい。 ラミニン511処理した培養容器にGMEM(GIBCO)やDMEMなどの細胞の培養に一般的に使用される培地を入れ、その培地中に多能性幹細胞を添加する。 次いで、公知の適切な培養条件下、例えば限定するわけではないが37℃、5%二酸化炭素気層条件下などで細胞の培養を行う。

    本発明において、特定のポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化する順序は特に限定されない。 一態様において、ポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511とで同時に固相化する。 あるいは、ポリペプチド及び/又はペプチドで固相化した後にラミニン511で固相化する。

    細胞培養容器、組成物、剤、キット
    本発明は、一態様において、上述したポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した、細胞培養容器に関する。

    本発明はまた、上記ポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を含む、ラミニン511を含んだ系で細胞を培養するための細胞培養容器を固相化するための組成物、あるいは、細胞培養容器を固相化するための剤に関する。 本発明の組成物または剤は、一態様において、コーティング用組成物又はコーティング剤である。

    本発明はさらに、上記組成物又は剤を含む、キットに関する。 本発明のキットは、さらに、細胞培養用培地、細胞培養容器等を含んでもよい。 細胞培養容器は、例えば、プレコート培養ディッシュ、プレコート培養プレート等でもよい。 あるいは、キットの細胞培養容器は、上記ポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した状態あってもよい。

    本発明の細胞培養容器、組成物、剤、キットは、本発明のラミニン511を含んだ系で哺乳類細胞を培養する方法に使用することができる。

    本発明の効果
    本発明において、ラミニン511が細胞培養において奏する種々の活性が、ポリペプチド及び/又はペプチドとの併用において上昇される。 限定されるわけではないが、ラミニン511の効果としては、細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性及び多能性維持活性が含まれる 「細胞接着活性」とは、細胞を接着させる効果を意味する。 本願発明においてポリペプチド又はペプチドの使用により、ポリペプチド又はペプチドを使用しない場合と比較して好ましくは、細胞接着活性が4倍以上、より好ましくは8倍以上、もっとも好ましくは16倍以上上昇する。

    「細胞分散活性」とは、細胞を分散させる効果を意味する。 本願発明においてポリペプチドの使用により、ポリペプチドを使用しない場合と比較して好ましくは、細胞分散活性が2倍以上上昇する。

    「創傷治癒活性」とは、傷を治癒する効果を意味する。 即ち、物理的に外傷を受けて細胞がいなくなった部分に、例えばラミニン511などを塗布することで、塗布した部分に周りから細胞を遊走させてくる活性である。 傷を治癒する効果は、例えば、損傷を受けてから一定時間(例えば14時間経過後)の傷の幅を測定することによって治癒率を確認することが可能である。 例えば実施例2では、ヒトラミニン511(0.125μg/ml)に加えてrHSAを併用することにより傷の治癒率が32%から55%に上昇した。

    「増殖促進活性」とは、細胞の増殖を促進させる効果を意味する。 例えば、細胞行ってから一定期間経過後の細胞数を測定することによって、細胞増殖の効果を確認することが可能である。

    「未分化維持活性」とは、培養される細胞が未分化の細胞、例えば、多能性幹細胞、組織幹細胞の場合、その未分化の状態を維持することを意味する。 ラミニン511でこれらの細胞を培養する場合、細胞の分化は進まず、未分化の状態が維持される。 例えばSox2、Nanog、Oct4などの未分化マーカーを測定することにより、培養中に組織幹細胞が分化していないか評価することができる。

    「多能性維持活性」とは、培養される細胞が多能性を有する細胞、例えば、多能性幹細胞の場合、その多能性を維持することを意味する。 本発明において、ラミニン511とポリペプチド及び/又はペプチドを併用した場合も、多能性が維持される。

    ラミニン511の細胞に対する活性を上昇させる方法
    本発明はまた、特定のポリペプチド及び/又はペプチドと、ラミニン511を固相化した条件下で前記細胞を培養することを含む、ラミニン511の細胞に対する活性を上昇させる方法を提供する。

    特定のポリペプチド及び/又はペプチド、ラミニン511等の定義は、哺乳動物細胞を培養する方法に関して上述した通りである。

    本発明の一態様において、細胞に対する活性は、細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性、多能性維持活性及びコロニー形成促進活性からなる群から選択される。 各活性の定義も上述した通りである。

    以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。

    実施例1 細胞接着アッセイ
    本実施例では、各種細胞に対するrLm511およびrLm511に添加物を加えた際の接着アッセイの結果を示す。

    組換えヒトラミニン511(rLm511)は、Biolamina社より購入したものを使用した。

    細胞はラット肝細胞株(BRL)、ヒト肉腫細胞株(HT1080)、マウス筋芽細胞株(C2C12)の3種類を用いた。 BRLはヒューマンサイエンス振興財団より入手した(JCRB0025)。 HT1080は理化学研究所バイオリソースセンターより入手した(RCB1956)。 C2C12はDSファーマバイオメディカルより入手した(EC−91031101)。

    各種細胞は以下の培地を用いて培養・増殖させた。 BRLは10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM/F12(GIBCO)、HT1080は10%ウシ胎仔血清を添加したMEM(SIGMA)、C2C12は15%ウシ胎仔血清を添加したDMEM(SIGMA)を用いた。 ただし、接着アッセイではこれらの培地から血清を除いた無血清培地を用いた。

    濃度を調製したrLm511で96ウェルプレート(Corning)を37℃で2時間または4℃で一晩処理し、PBS(−)で処理表面を洗浄後、1.2%BSA(SIGMA)溶液にて37℃で1時間ブロッキング処理を行った。 必要に応じてrLm511の処理は組換えヒト血清アルブミン(rHSA/SIGMA)、組換えヒト受容体活性化因子NFκBリガンド(sRANKL/OYC)、綿実由来ペプトン(Pep/DMV)、グリシン(Gly/Nacalai)を混ぜて処理を行った。

    各種細胞を無血清培地にて洗浄後、上記調製した96ウェルプレートに20000個/ウェルで播種し、37℃、5%CO 、95%空気の気層条件下で1時間培養を行った。 培養後、ボルテックスミキサーで軽く震動させて接着の弱い細胞をプレート表面から浮遊させ、パーコール(GEヘルスケア)処理にて該細胞を除いた。 接着した細胞はグルタルアルデヒド(ナカライテスク社)で固定し、2.5%クリスタルバイオレット(ナカライテスク社)にて染色してOD 595を測定することで様々な条件でのrLm511の接着活性を評価した。

    図1A−図1DにBRLを用いた接着アッセイの結果を、図2A−図2DにHT1080を用いた接着アッセイの結果を、図3にC2C12を用いた接着アッセイの結果を示す。

    BRL細胞を用いた細胞接着アッセイにおいて、rLm511にrHSAを3.13〜100μg/mlで併用すると、rHSA濃度12.5μg/ml以下ではrLm511単体で使用するよりも、細胞接着活性が上昇することが分かった(図1A、B)。 次に、接着活性の上昇の認められたrHSA濃度12.5μg/ml以下で細かく濃度を分けて設定し併用したところ、いずれの濃度でも接着活性の上昇が認められたが、特にrHSA濃度1.56〜6.25μg/mlで大きく接着活性が上昇することが分かった(図1C)。 次に大きく接着活性が上昇したrHSA濃度1.5〜6.3μg/mlでさらに細かく濃度を分けて設定して併用したところ、この濃度範囲ではいずれも大きく接着活性が上昇することが確認できた(図1D)。

    次に、HT1080細胞を用いた接着アッセイを実施した。 rLm511にrHSAを0.39〜25μg/mlで併用したところ、BRL細胞を用いたアッセイと同様に、rHSA濃度12.5μg/ml以下では接着活性の上昇が認められた(図2A)。 このことから、rHSA併用によるrLm511の接着活性上昇効果はBRL細胞だけでなく他の細胞株でも起こる現象であることが分かった。

    次に、rLm511にrHSA以外のポリペプチドを併用した際の接着活性への影響についてsRANKL(RA)を用いて検討した。 RAを0.39〜25μg/mlで併用したところ、6.25〜25μg/mlで接着活性の上昇が認められ、特に12.5〜25μg/mlで大きく接着活性の上昇が認められた(図2B)。 このことから、ポリペプチド併用によるrLm511の接着活性上昇効果はrHSAだけでなく他のポリペプチドでも起こる現象であることが分かった。

    次に、rLm511にペプチドを併用した際の接着活性への影響について綿実由来ペプトン(Pep)を用いて検討した。 Pepを0.78〜200μg/mlで併用したところ、12.5〜200μg/mlで接着活性の上昇が認められ、特に50〜200μg/mlで大きく接着活性の上昇が認められた(図2C)。 このことから、rLm511の接着活性を上昇させるために併用する添加剤はポリペプチドだけでなくペプチドでも良いことが分かった。

    次に、rLm511にアミノ酸を併用した際の接着活性への影響についてGlyを用いて検討した。 Glyを0.78〜200μg/mlで併用したところ、接着活性の上昇は認められなかった(図2D)。 このことから、rLm511の接着活性を上昇させるために併用する添加剤はペプチド以上の分子量でなければならないことが分かった。

    次に、C2C12を用いた接着アッセイを実施した。 rLm511およびrLm211にrHSAを5μg/mlで併用したところ、rHSAの併用によってrLm511の接着活性はrHSAを併用しない時に比べておよそ16倍以上上昇したが、rHSAの併用によるrLm211の接着活性上昇は4倍に満たなかった(図3)。

    具体的には、図3に示されるように、rLm211は、2μg/mlのrHSAを添加しても、ラミニン211単独の8μg/に活性が及ばなかった。 同様に、8μg/mlのrHSAを添加してもラミニン211単独の32μg/に活性が及ばなかった。 このことからrHSAの併用によるrLm211の接着活性上昇は4倍以下である、と判断した。 一方、rLm511は、0.125μg/mlのrHSAを添加すると、ラミニン511単独の2μg/mlや8μg/mlとほぼ同等の活性が認められた。 このことから、rHSAの併用によってrLm511の接着活性上昇はrHSAを併用しない時に比べておよそ16倍以上である、と判断した。

    このことから、rHSAの併用によるラミニンの活性上昇作用はどのアイソフォームでも同じように起こる訳ではないことが分かった。

    実施例2 HT1080細胞を用いた創傷治癒アッセイ
    本実施例では、各種細胞に対するrLm511およびrLm511にrHSAを加えた際の創傷治癒アッセイの結果を示す。

    細胞はHT1080細胞を用いた。 HT1080は理化学研究所バイオリソースセンターより入手した(RCB1956)。

    10%ウシ胎仔血清を添加したMEM(SIGMA)を用いてHT1080細胞を培養・増殖させた。 ただし、創傷治癒アッセイでは前記培地の他に培地から血清を除いた無血清培地を添加した培地を用いた。

    24ウェルプレート(Nunc)に細胞を10%ウシ胎仔血清培地にて400000個/ウェルで播種し、37℃、5%CO 、95%空気の気層条件下で3時間培養を行った。 血清添加培地を用いて細胞の培養を行ったのは、先ず培養表面に細胞を一様に接着させるためである。 培養後各ウェルの接着細胞集団にブルーチップを用いて一定幅の傷をつけ血清を除いた無血清培地にて2回洗浄を行った。

    無血清培地にて濃度調製したrLm511で各ウェルを37℃で30分処理し、rLm511を固相化した。 必要に応じてrLm511の処理はrHSA(5μg/ml)を混ぜて行い、rHSAも固相化した。 rLm511処理後、無血清培地で処理表面を2回洗浄し、無血清培地を添加した。

    培養開始時(0hr)に顕微鏡にて観察し、傷をつけた付近の写真を撮影した。 その後無血清培地にて37℃、5%CO 、95%空気の気層条件下で14時間培養を行い、同一部位付近の写真を撮影した(図4)。 写真を利用して、傷の治り具合を開始時の傷と14時間後の傷の幅を測定し、治癒の度合いを計算した。

    図5に細胞分散アッセイの結果を示す。 0.125μg/ml−0.5μg/mlのLm511に、rHSAを加えた場合は創傷治癒活性の上昇が認められた。

    以上のより、rHSAをはじめとするポリペプチドの併用は細胞接着活性だけでなく、rLm511の活性としてすでに報告されている創傷治癒活性についても上昇させることが分かった。

    実施例3 ヒトiPS細胞を用いたコロニー形成試験
    本実施例では、ヒトiPS細胞を用いたコロニー形成試験の結果を示す。 細胞は201B7株を用いた。 201B7株はiPSアカデミアジャパン株式会社より入手した。

    201B7株のコロニー形成試験ではマウス胎仔性線維芽細胞馴化培地(MEF−CM)に4ng/ml bFGF(WAKO)を添加したものを培地として用いた。 MEF−CMは20%ノックアウトTM血清代替添加物(KSR)(GIBCO)、2mMグルタミン(ナカライテスク社)、1%非必須アミノ酸(GIBCO)、及び10 −4 M 2−メルカプトエタノール(WAKO)を添加したDMEM/F12(SIGMA)を用いて調製を行った。

    培養プレートには、濃度調製したrLm511にて37℃で2時間または4℃で一晩処理した12ウェルプレート(NUNC)を用いた。 必要に応じてrLm511の処理はrHSAを5μg/mlで混ぜて処理を行った。 また、陽性コントロールとして300μg/mlマトリゲル(BD,ベクトンディッキンソン)の実験区も設定した。

    201B7は細胞塊の状態で回収し、12ウェルプレートに等量ずつ播種し、37℃、5%CO 、95%空気の気層条件下で培地交換を行いながら6日間培養を行い、フィーダー細胞非存在下にてコロニーを形成させた。 コロニー形成後、4%パラホルムアルデヒドにて固定し、アルカリフォスファターゼ染色(Vector Laboratories)を行うことで、未分化性を保持している正常なコロニーのみを検出した。 その結果、rLm511単体で使用すると、0.5μg/ml以下の濃度ではほとんどコロニー形成は認められないが、rHSAを併用することで、0.5μg/mlでも十分にコロニーが形成されることが分かった(図6及び7)。

    以上のことから、rHSAをはじめとするポリペプチドの併用はrLm511の細胞接着活性や創傷治癒活性を上昇させるだけでなく、多能性幹細胞の培養・増殖・コロニー形成においてもrLm511の機能を高めることが分かった。

    <配列番号1>
    配列番号1は、ヒトラミニンα5鎖の塩基配列を示す。
    <配列番号2>
    配列番号2は、ヒトラミニンα5鎖のアミノ酸配列を示す。
    <配列番号3>
    配列番号3は、ヒトラミニンβ1鎖の塩基配列を示す。
    <配列番号4>
    配列番号4は、ヒトラミニンβ1鎖のアミノ酸配列を示す。
    <配列番号5>
    配列番号5は、ヒトラミニンγ1鎖の塩基配列を示す。
    <配列番号6>
    配列番号6は、ヒトラミニンγ1鎖のアミノ酸配列を示す。

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