15−オキソステロイド化合物及びその製造方法

申请号 JP2017023569 申请日 2017-02-10 公开(公告)号 JP2018127434A 公开(公告)日 2018-08-16
申请人 あすか製薬株式会社; 发明人 竹中 陽介; 磯村 宜史; 朝烏 章; 内田 裕;
摘要 【課題】医薬中間体として有用な15−オキソステロイド化合物、及び該化合物を複雑な工程を経ずに、効率よく製造する方法の提供。 【解決手段】式(1)で表される化合物、及び、式(2)で表される化合物と 酸化 剤(超 原子 価ヨウ素化合物等)及び共酸化剤(過酸化物等)と反応させることによる該化合物を製造する方法。 [R 1 〜R 3 は、各々、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基等;R 4 は、H、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等;R 5 は、H、アルキル基、又はアシル基;R 6 、H、アルキル基、アシル基又はスルホニル基;Xは酸素原子等] 【選択図】なし
权利要求

下記式(1)で表される15−オキソステロイド化合物。 (式中、R1〜R3は、同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基を示し、R4は、素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を示し、R5は、水素原子、アルキル基、又はアシル基を示し、R6は水素原子、アルキル基、アシル基、又はスルホニル基を示し、Xは酸素原子(O)又はメチレン基(CH2)を示す)下記式(1a)で表される請求項1記載の15−オキソステロイド化合物。 (式中、R1〜R6およびXは前記請求項1に同じ)R1がハロゲン原子であり、R2及びR3が、同一又は異なって、アルキル基又はハロアルキル基であり、R4及びR5が同一又は異なるアシル基であり、R6が水素原子、アシル基またはスルホニル基であり、Xが酸素原子である請求項1又は2記載の15−オキソステロイド化合物。下記式(2) (式中、R1〜R6およびXは前記請求項1に同じ) で表される化合物を、酸化剤及び共酸化剤で酸化し、請求項1記載の15−オキソステロイド化合物を製造する方法。酸化剤及び共酸化剤で酸化する際、共存物質を添加して反応させる請求項4記載の方法。酸化剤が超原子価ヨウ素化合物を含み、共酸化剤が過酸化物及び/又は過酸を含む請求項4又は5記載の方法。溶媒中、強酸の存在下、超原子価ヨウ素化合物及び過酸化物と反応させた後、アルカリ金属炭酸塩を添加して反応させる請求項4〜6のいずれかに記載の方法。

说明书全文

本発明は、ステロイド骨格の15位にオキソ基が導入され、薬理活性(例えば、抗アンドロゲン活性など)を有する化合物を調製するための中間体として有用な15−オキソステロイド化合物及びその製造方法に関する。

ステロイド骨格に種々の官能基又は活性基を導入することにより、種々の生理活性又は薬理活性を有するプレグナン化合物(プレグナンステロイド類)が調製されており、抗アンドロゲン活性を有するステロイド類は、前立腺肥大症などの治療剤として利用されている。しかし、ステロイド骨格の15位に酸素含有官能基を導入するためには、複雑な工程を必要とする。

特許第2591640号(特許文献1)及びChem. Pharm. Bull. 41(5) 870-875 (1993)(非特許文献1)には、ステロイド骨格の15位にアセトキシ基が導入された2−オキサプレグナン化合物に関し、17α−アセトキシ−6−クロロ−2−オキサ−4,6−プレグナジエン−3,15,20−トリオン(非特許文献1のチャート2の化合物16)が記載されている。この文献1の反応式B及び非特許文献1のチャート2には、(a)17−ヒドロキシ−6−クロロ−2−オキサ−4,6−プレグナジエン−3,20−ジオン(化合物8)を、オキシ塩化リンで脱して6−クロロ−2−オキサ−4,6,16−プレグナトリエン−3,20−ジオン(化合物9)を生成させ、(b)生成した16−デヒドロ化合物を酸化し、6−クロロ−17α−ヒドロキシ−2−オキサ−4,6,15−プレグナトリエン−3,20−ジオン(化合物10)を生成させ、(c)生成した15−デヒドロ化合物をN−ブロモアセトアミド(NBA)との付加反応に供して、15β−アセトキシ−16α−ブロモ−6−クロロ−17α−ヒドロキシ−2−オキサ−4,6−プレグナジエン−3,20−ジオン(化合物12:ブロモ化合物)を得たことが記載されている。

しかし、これらの方法では、3つの工程(脱水工程、酸化工程及び付加工程)を経てステロイド骨格の15位にアセトキシ基を導入するため、プレグナン化合物の収率が大きく低下する。しかも、N−ブロモアセトアミドとの付加反応により、臭素原子が16位に導入されるため、臭素原子を除去するためには、化合物12をさらに脱ブロモ化する必要がある。

特に、ステロイド骨格の15位にオキソ基が導入された2−オキサプレグナン化合物(化合物16)を得るためには、さらに複雑な工程を必要とする。すなわち、化合物12をさらに脱ブロモ化して17−ヒドロキシ体(化合物13)を生成させ(脱ブロモ化工程)、この17−ヒドロキシ体をアセチル化して15β,17−ジアセトキシ体(化合物14)を生成させ(アセチル化工程)、このジアセトキシ体を加水分解して15β−ヒドロキシ体を生成させ(加水分解工程)、生成した15β−ヒドロキシ体を酸化して15−オキソ体(化合物16の3,15,20−トリオン体)を生成させる(酸化工程)ことが必要である。そのため、ステロイド骨格の15位にオキソ基が導入された2−オキサプレグナン化合物を簡単な方法でしかも高い収率で製造することができない。

一方、Org. Lett. Vol.13, No.16 4308-4311 (2011)(非特許文献2)には、ジアセトキシヨードベンゼン(DIB)とt−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)とを用いて、シクロアルキル又はアルキルエステル又はアミドの非反応性の孤立したメチレン基を酸化することが記載されている。この非特許文献2には、シクロペンチルアセタートを酸化したところ、3−オキソシクロペンチルアセタートが収率32%で得られたこと、シクロヘキシルアセタートを酸化したところ、3−オキソシクロヘキシルアセタート及び4−オキソシクロヘキシルアセタートが総量として収率52%で得られたことが記載されている。

特許第2591640号(特許請求の範囲、反応式B、実施例3)

Chem. Pharm. Bull. 41(5) 870-875 (1993)(チャート2)

Org. Lett. Vol.13, No.16 4308-4311 (2011)(Table 2)

従って、本発明の目的は、ステロイド骨格の15位に、オキソ基が特異的に導入された化合物と、このような化合物を、複雑な工程を経ることなく、効率よく製造できる方法を提供することにある。

本発明の他の目的は、ステロイド骨格の15位にオキソ基を有する化合物と、この化合物を1工程(又は1ポット)の反応で高い収率で製造できる方法を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、高い薬理活性(例えば、抗アンドロゲン活性など)を有する化合物を調製するのに有用なステロイド化合物及びその製造方法を提供することにある。

本発明者らは、前記課題を達成するため、ステロイド骨格の修飾について鋭意検討した結果、ステロイド骨格の7位に置換基(ヒドロキシ基など)が位置すると、15位が特異的に酸化され、オキソ基を導入可能であること、ステロイド骨格の15位にオキソ基が導入された化合物を中間体として用いると、薬理活性(例えば、抗アンドロゲン活性など)の高い化合物を容易に調製できることを見いだし、本発明を完成した。

すなわち、本発明の15−オキソステロイド化合物は、下記式(1)で表すことができる。なお、下記式(1)のステロイド骨格には位置番号を付している。

(式中、R1〜R3は、同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基を示し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を示し、R5は、水素原子、アルキル基、又はアシル基を示し、R6は水素原子、アルキル基、アシル基、又はスルホニル基を示し、Xは酸素原子(O)又はメチレン基(CH2)を示す)

R1はハロゲン原子であってもよく、R2〜R3は、同一又は異なって、アルキル基又はハロアルキル基であってもよく、R4およびR5は、同一又は異なるアシル基であってもよく、R6は水素原子、アシル基またはスルホニル基であってもよく、Xは酸素原子(O)であってもよい。

前記式(1)で表される15−オキソステロイド化合物は、ラセミ体であってもよく、例えば、下記式(1a)で表される光学活性体(又は光学異性体)であってもよい。

(式中、R1〜R6およびXは前記に同じ)

本発明は、前記15−オキソステロイド化合物の製造方法も包含する。この方法では、下記式(2)で表される化合物を酸化し、ステロイド骨格の15位にオキソ基を導入することにより前記式(1)で表される化合物を調製できる。

(式中、R1〜R6およびXは前記に同じ)

例えば、式(2)で表される化合物を酸化剤及び共酸化剤で酸化することにより、前記式(1)で表される15−オキソステロイド化合物を製造できる。

この方法では、式(2)で表される化合物として、式(2a)で表される光学活性な化合物を用いることにより、立体配置を維持しつつ、前記式(1a)で表される光学異性体を製造できる。

(式中、R1〜R6およびXは前記に同じ)

この方法において、酸化剤は、例えば、超原子価ヨウ素化合物を含んでいてもよく、共酸化剤は、過酸化物及び/又は過酸を含んでいてもよい。また、酸化剤及び共酸化剤で酸化する際、酸、塩基、塩などの共存物質の共存下で反応させてもよい。共存物質は、反応において酸化剤及び共酸化剤と共存していればよく、酸化剤及び共酸化剤を加える前に予め反応系に添加していてもよく、酸化剤及び共酸化剤を添加した後に添加してもよい。より具体的には、前記式(2)で表される化合物を、溶媒(例えば、反応に不活性な溶媒)中、強酸の存在下、超原子価ヨウ素化合物及び過酸化物と反応させた後、アルカリ金属炭酸塩を添加して反応させ、前記式(1)で表される化合物を生成させてもよい。

本発明は、特定の中間体(化合物(2))を経由することにより、複雑な工程を経ることなく、ステロイド骨格の15位にオキソ基が特異的に導入された化合物を、簡便かつ効率よく製造できる。特に、1工程(又は1ポット反応)で、ステロイド骨格の15位にオキソ基を有する化合物を高い収率で製造できる。さらに、ステロイド骨格の15位にオキソ基が導入された化合物を中間体として利用することにより、高い薬理活性(例えば抗アンドロゲン活性など)を有する化合物を少ない工程で簡便に製造できる。

[15−オキソステロイド化合物] 前記式(1)で表される化合物は新規化合物であり、高い薬理活性(例えば、抗アンドロゲン活性など)を有する化合物を製造するのに有用である。

前記式(1)において、R1〜R4で表されるハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、特にフッ素原子又は塩素原子である場合が多い。

R1〜R6で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−12アルキル基が例示できる。アルキル基は、通常、直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−3アルキル基である。

R1〜R4で表されるアルコキシ基としては、前記アルキル基に対応するアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−12アルコキシ基が例示できる。アルコキシ基は、通常、直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルコキシ基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−3アルコキシ基である。

R1〜R3で表されるハロアルキル基及びハロアルコキシ基のハロゲン原子としては、前記と同様のハロゲン原子が例示でき、通常、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、特にフッ素原子又は塩素原子である場合が多い。ハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、パークロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロイソプロピル基などの直鎖状又は分岐鎖状ハロC1−12アルキル基などが例示できる。ハロアルキル基は、通常、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状ハロC1−6アルキル基、好ましくはハロC1−4アルキル基、さらに好ましくはハロC1−3アルキル基である。

R1〜R3で表されるハロアルコキシ基としては、前記ハロアルキル基に対応するハロアルコキシ基、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、パークロロエトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状ハロC1−12アルコキシ基などが例示できる。ハロアルコキシ基は、通常、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状ハロC1−6アルコキシ基、好ましくはハロC1−4アルコキシ基、さらに好ましくはハロC1−3アルコキシ基である。

R4、R5およびR6で表されるアシル基としては、例えば、ホルミル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、t−ブチリル基、ペンタノイル基(バレリル基)、ヘキサノイル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−12アルキル−カルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基などのC3−10シクロアルキル−カルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基などの置換基(C1−4アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基など)を有していてもよいC6−12アリール−カルボニル基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を有する複素環式アシル基(フロイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基など)などが例示できる。アシル基は、通常、アルキルカルボニル基、例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル−カルボニル基、好ましくはC2−4アルキル−カルボニル基、さらに好ましくはC2−3アルキル−カルボニル基である。

R4で表されるアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−12アルコキシ−カルボニル基などが例示できる。アルコキシカルボニル基は、通常、直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルコキシ−カルボニル基、好ましくはC1−4アルコキシ−カルボニル基、さらに好ましくはC1−3アルコキシ−カルボニル基である。

R6で表されるスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、t−ブタンスルホニル基などのC1−6アルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基などの置換基(C1−4アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基など)を有していてもよいC6−12アレーンスルホニル基などが例示できる。

Xは、酸素原子(O)又はメチレン基(CH2)のいずれであってもよい。

前記式(1)で表される15−オキソステロイド化合物において、R1はハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)、R2及びR3は、同一又は異なって、アルキル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基)、ハロアルキル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基)である場合が多い。また、R4及びR5は、同一又は異なって、同一又は異なるアシル基、例えば、アルキルカルボニル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル−カルボニル基)、R6は水素原子又はアシル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル−カルボニル基などのアルキルカルボニル基)である場合が多く、Xは、酸素原子(O)である場合が多い。

式(1)で表される15−オキソステロイド化合物は、ラセミ体であってもよく、光学異性体であってもよい。好ましい15−オキソステロイド化合物は、下記式(1a)で表される光学活性体(光学異性体)である。

(式中、R1〜R6およびXは前記に同じ)

前記式(1)又は(1a)で表される15−オキソステロイド化合物は、生理活性又は薬理活性を有していてもよい。本発明の15−オキソステロイド化合物を中間体として利用すると、生理活性又は薬理活性を有する化合物を簡便かつ高い収率で得ることができる。例えば、式(1)又は(1a)において、ステロイド骨格の7位の基−OR6を慣用の方法で脱離させることにより、下記式(3)又は(3a)で表され、前記非特許文献1に記載の化合物(化合物16など)を調製できる。

(式中、R1〜R5およびXは前記に同じ)

具体的には、例えば、式(1)において、基−OR6がヒドロキシル基である化合物は、例えば、脱離剤(塩化チオニル、オキシ塩化リン、マーチンスルフランなど)の存在下、脱水反応に供することにより、式(3)又は(3a)で表される化合物を調製できる。

また、基−OR6がアルコキシ基である化合物は、酸(例えば、硫酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸など)を作用させてアルコキシ基をヒドロキシル基に変換し、上記と同様の脱水反応により、式(3)又は(3a)で表される化合物を調製してもよい。

基−OR6がアシルオキシ基(アセチルオキシ基など)、スルホニルオキシ基である化合物は、例えば、塩基性溶媒又は塩基(アルカリ金属水酸化物、アリカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属酢酸塩など)の存在下、脱離反応に供することにより、基−OR6を脱離させることができる。

[15−オキソステロイド化合物の製造方法] 前記式(1)で表される15−オキソステロイド化合物は、下記式(2)で表される化合物を酸化することにより調製でき、下記式(2a)で表される化合物を酸化しても、立体配置を維持しつつ、式(1a)で表される光学活性体を調製できる。

(式中、R1〜R6およびXは前記に同じ)

なお、前記式(2)又は(2a)で表される化合物は、公知物質であり、例えば、R6がヒドロキシル基である化合物、及びR6がアセチル基である化合物は、Chem. Pharm. Bull. 40(4), 935-941(1992)のChart 2に化合物11及び化合物13として記載されている。そのため、式(2)又は(2a)で表される化合物は、この文献に記載の方法に準じて調製でき、可能であれば、市場から入手してもよい。

酸化反応は、酸化剤及び共酸化剤を用いて行うことができる。

酸化剤としては、超原子価ヨウ素化合物(有機過ヨウ化物又は触媒)、例えば、ヨードソベンゼンジアセタート(又はヨードベンゼンジアセタート)、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン、(ジtert−ブチルカルボニルオキシヨード)ベンゼン、(ヒドロキシトシルオキシヨード)ベンゼン(Koser試薬)、(ジフルオロヨード)トルエン、2−ヨードキシ安息香酸、2−ヨードキシベンゼンスルホン酸、ヨードシルベンゼン、ヨードキシベンゼンなどが例示できる。また、酸化剤は、有機ヨウ素化合物から反応系内で生成する活性種または前記触媒であってもよい。これらの酸化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい酸化剤は、ヨードベンゼンジアセタート、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンなどである。

酸化剤の使用量は、例えば、式(2)で表される化合物1モルに対して、0.1〜50モル、好ましくは0.5〜25モル(例えば、1〜20モル)、さらに好ましくは2〜10モル(例えば、3〜8モル)程度であってもよい。

共酸化剤としては、過酸化物(パーオキサイド)、例えば、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド、ジ−tert−アミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、エチルベンゼンヒドロペルオキシドなど;過酸、例えば、過酢酸、トリクロロ過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸、p−ニトロ過安息香酸など;オキソン、例えば、過硫酸のカリウム塩(ペルオキシ一硫酸カリウム)などが例示できる。これらの共酸化剤も単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。共酸化剤としては、過酸化物又は過酸、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)などの過酸化物を用いる場合が多い。

共酸化剤の使用量は、例えば、式(2)で表される化合物1モルに対して、0.1〜100モル(例えば、1〜50モル)、好ましくは1.5〜30モル、さらに好ましくは5〜25モル(例えば、5〜15モル)程度であってもよい。

酸化反応は、共存物質(例えば、酸、塩基、塩など)の共存下で反応させてもよい。このような共存物質の存在下で反応させると、目的化合物の収率が改善する場合がある。

酸は、無機酸、有機酸及びルイス酸のいずれであってもよく、無機酸類としては、例えば、塩酸、塩化水素、臭化水素酸、臭化水素、硫酸、亜硫酸、発煙硫酸、硝酸、発煙硝酸、亜硝酸、リン酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、炭酸、ケイ酸などの鉱酸などが例示できる。

有機酸には、有機カルボン酸類、スルホン酸類が含まれ、有機カルボン酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸などのハロゲン原子を有していてもよいアルカンカルボン酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などのシクロアルカンカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸などのジカルボン酸又はポリカルボン酸;安息香酸、フタル酸、メリト酸、ケイ皮酸などのアレーンカルボン酸又はポリカルボン酸などが例示できる。スルホン酸類としては、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのハロゲン原子を有していてもよいアルカンスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸;カンファースルホン酸などの橋架け環式であってもよいシクロアルカンスルホン酸などが例示できる。

ルイス酸としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸鉄などが例示できる。

これらの酸は、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。好ましい酸は、強酸、例えば、硫酸などの無機酸、トリフルオロ酢酸などのハロアルカンカルボン酸、スルホン酸などが好ましく、硫酸などを用いる場合が多い。

酸(又は酸触媒)の使用量は、特に制限されず、例えば、式(2)で表される化合物1モルに対して、0.0001〜0.1当量、好ましくは0.0005〜0.05当量、さらに好ましくは0.001〜0.01当量程度であってもよい。

塩基としては、無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩又は炭酸水素塩、t−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、水酸化アルミニウムなどの多価金属水酸化物、n−ブチルリチウムなどのアルキル化アルカリ金属など;有機塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミンなどの第三級アミンなどが例示できる。これらの塩基又は塩も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。塩基としては、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸カリウムなどを用いる場合が多い。

塩(無機ハロゲン化物を含む)としては、無機塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウムなどのハロゲン化アルカリ金属、塩化カルシウムなどのハロゲン化アルカリ土類金属などの金属ハロゲン化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどのアルカリ金属硫酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩、硫酸アルミニウム、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸ニッケル、硫酸コパルとなどの多価金属硫酸塩;硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどのアルカリ金属硝酸塩、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムなどのアルカリ土類金属硝酸塩、硝酸ニッケルなどの多価金属硝酸塩などの無機酸塩;酢酸マグネシウム、酢酸マンガンなどのカルボン酸塩(酢酸塩など)などの有機酸塩;コバルトなどの遷移金属の錯体(又は錯塩)などが例示できる。これらの塩は中性の塩であってもよい。

塩基又は塩の使用量は、例えば、式(2)で表される化合物1モルに対して、0.1〜15モル、好ましくは0.5〜10モル、さらに好ましくは1〜7モル(例えば、2〜6モル)程度であってもよい。

共存物質は、反応において酸化剤及び共酸化剤と共存していればよく、共存物質を反応系に添加するタイミングは特に制限されず、酸化剤及び共酸化剤を加える前に予め反応系に添加していてもよく、酸化剤及び共酸化剤を添加した後に添加してもよい。

反応は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、種々の溶媒(特に、反応に不活性な溶媒)、例えば、エーテル系溶媒(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など)、炭化水素系溶媒[芳香族炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなど)、脂肪族炭化水素系溶媒(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)など]、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、アルコール系溶媒(メタノール、トリクロロメタノール、トリフルオロメタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどのアルカノール;シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール;エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどのジオール;グリセリンなどの多価アルコールなど)、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、ニトロアルカン系溶媒(ニトロメタン、ニトロエタン)、塩基性窒素含有溶媒(第三級アミン、例えば、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ピリジン、キノリンなどの環状アミン)などが例示できる。これらの溶媒は単独で又は混合溶媒として使用してもよい。好ましい溶媒は、少なくとも2種の有機溶媒を含む混合溶媒、例えば、2,2,2−トリフルオロエタノールとクロロベンゼンとの混合溶媒であってもよい。

反応は、−50℃〜50℃(例えば、−30℃〜0℃)程度の温度で行うことができ、雰囲気は、例えば、酸素含有雰囲気(例えば、空気中)、不活性雰囲気であってもよい。また、反応は、通常、強酸化剤を反応系に連続的又は間欠的に添加しながら行うことができる。

前記塩基又は塩の存在下での反応も、前記と同様に、−50℃〜50℃(例えば、−30℃〜0℃)程度の温度で行うことができる。

反応終了後、慣用の分離精製手段、例えば、溶媒抽出、中和、濃縮、洗浄、晶析、再結晶化などの方法により、反応混合物を分離精製することにより、目的化合物を高い収率で得ることができる。

なお、前記酸の存在下、アセチルオキシシクロペンタンなどの基質を酸化剤と共酸化剤とで酸化する反応は、前記非特許文献2に記載されている。しかし、この非特許文献2では、低い収率でしか目的化合物が得られていない。これに対して、本願発明では、ステロイド骨格の7位に所定の置換基を有する化合物を酸化することにより、光学活性体にあっては光学活性を維持しつつ、ステロイド骨格の15位にオキソ基を選択的又は特異的に導入でき、高い転化率及び選択率で目的化合物を生成させることができる。

以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。

実施例1

上記化合物(2a-1)を酸化反応に供し、上記化合物(1a-1)を得た。

すなわち、6β−クロロ−7α−ヒドロキシ−3,20−ジオキソ−2−オキサプレグナ−4−エン−17−イルアセタート(上記化合物(2a-1)、90.0g)、2,2,2−トリフルオロエタノール(162mL)及びクロロベンゼン(2.520 L)を−24±2℃に冷却し、ヨードベンゼンジアセタート(409.2g)及び硫酸(0.3mL)を加えた。この混合物に濃度70%のtert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液(301mL)を同温で滴下し、温度を維持して40分間撹拌した。反応混合物に、温度を維持して、炭酸カリウム(131.8g)を加え、同温で44時間撹拌した。

反応混合物を、2℃に冷却したピロ亜硫酸ナトリウム(90.0g)及び塩化ナトリウム(540.0g)の水(1.53L)溶液に注ぎ、酢酸エチル(720mL)で洗い込んで室温で撹拌した。混合物を分液し、下層を酢酸エチル(360mL)で再抽出した。上層を合わせ、濃度30%水酸化ナトリウムでpH7.5に調整したリン酸二水素ナトリウム(180.0g)及び塩化ナトリウム(270.0g)の水(1.8L)溶液で洗浄した。次いで、有機層を塩化ナトリウム(225.0g)の水(720ml)溶液で洗浄し、50℃以下の温度で残量が約2.52Lとなるまで減圧濃縮した。濃縮液を激しく撹拌し、ヘプタン(5.4L)を加え、18℃で終夜撹拌した。析出した結晶をろ取し、ヘプタン(315mL)で洗浄した。得られた粗結晶を、アセトン(378mL)及び水(38mL)の混液に溶解し、激しく撹拌しながら水(1.44L)を加えた。得られた懸濁液を、50℃以下の温度で残量約1.44Lとなるまで減圧濃縮した。懸濁液を10℃で75分間撹拌し、結晶をろ取して水(270mL)で洗浄した。得られた結晶を50℃で10時間乾燥して、6β−クロロ−7α−ヒドロキシ−3,15,20−トリオキソ−2−オキサプレグナ−4−エン−17−イルアセタート(上記化合物(1a-1)、65.2g(収率70.1%)を得た。カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1〜1:2)により精製して分析用サンプルを得た。

NMR:1H−NMR(400MHz,CDCl3)d:0.83(3H,s),1.48(3H,s),1.49−1.71(4H,m),2.12−2.22(1H,m),2.14(3H,s),2.19(3H,s),2.46−2.56(2H,m),2.78(1H,d,J=11.2Hz),3.49(1H,d,J=20.0Hz),4.09,4.22(2H,ABq,J=10.8Hz),4.47(1H,d,J=2.9Hz),5.04(1H,brs),6.01(1H,s) MASS:m/z 438(M+) 実施例2

上記化合物(1a-1)を脱水反応に供し、上記化合物(3a-1)を得た。

すなわち、6β−クロロ−7α−ヒドロキシ−3,15,20−トリオキソ−2−オキサプレグナ−4−エン−17−イルアセタート(上記化合物(1a-1)、9.35g)及びジクロロメタン(240ml)をアルゴン雰囲気下、氷冷し、マーチンスルフラン(ビス[α,α−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンメタノラト]ジフェニルサルファー)(20g)のジクロロメタン(110ml)溶液を滴下し、室温で終夜撹拌した。

反応混合物を減圧濃縮した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1〜2:3)により精製し、17α−アセトキシ−6−クロロ−2−オキサ−4,6−プレグナジエン−3,15,20−トリオン(上記化合物(3a-1)、5.8g(収率64.7%))を得た。

比較例 非特許文献1に記載のチャート2及び各反応工程の条件に従って、化合物8を出発原料として、化合物9、化合物10を経て、化合物12を調製したところ、収率は7.8%であった。さらに、化合物12から、化合物13、化合物14、化合物15aを経て化合物16を調製したところ、収率は7.7%であった。

式(1)で表される本発明の15−オキソステロイド化合物は、基−OR6を脱離させることにより、ステロイド骨格の15位にオキソ基を有する化合物を生成できる。そのため、本発明の化合物は、中間体として利用することにより、高い薬理活性(例えば、抗アンドロゲン活性など)を有する化合物を製造するのに有用である。

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