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申请号 JP2010502735 申请日 2009-01-08 公开(公告)号 JP5212665B2 公开(公告)日 2013-06-19
申请人 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学; 发明人 喜代三 垣内; 健 堤; 悟 木谷; 一起 菅原; 佳典 御所;
摘要
权利要求
  • 一般式(3):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、Xは 、ハロゲン原子、イミダゾリル基及びペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される脱離基、nは1又は2の整数を示す。)で表される化合物。
  • 一般式(3c):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、Xは 、ハロゲン原子、イミダゾリル基及びペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される脱離基を示す。)
    で表される化合物。
  • 一般式(3):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、Xは 、ハロゲン原子、イミダゾリル基及びペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される脱離基、nは1又は2の整数を示す。)で表される化合物の製造方法であって、一般式(1):
    (式中、Ar 、Ar 、及びnは前記に同じ。)
    で表される化合物と、一般式(2):
    (式中、Xは同一又は異なって 、ハロゲン原子、イミダゾリル基及びペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される脱離基を示す。)
    で表される化合物又はその等価体を反応させることを特徴とする製造方法。
  • 一般式(2)で表される化合物又はその等価体がホスゲン(X=Cl)又はトリホスゲンである請求項3に記載の製造方法。
  • 一般式(3a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたアミノ基を有する化合物。
  • アミノ基又は水酸基の保護方法であって、該アミノ基又は水酸基を、一般式(3):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、Xは 、ハロゲン原子、イミダゾリル基及びペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される脱離基、nは1又は2の整数を示す。)で表される化合物と反応させることを特徴とする保護方法。
  • 一般式(3a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたアミノ基の脱保護方法であって、該一般式(3a)で表される基で保護されたアミノ基に光照射してアミノ基を遊離させることを特徴とする脱保護方法。
  • 一般式(5):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、R 及びR は同一又は異なって水素原子又は有機基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される化合物の製造方法であって、一般式(3):
    (式中、Xは 、ハロゲン原子、イミダゾリル基及びペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される脱離基を示し、Ar 、Ar 、及びnは前記に同じ。)
    で表される化合物と、一般式(4):
    NH (4)
    (式中、R 及びR は前記に同じ。)
    で表されるアミン化合物を反応させることを特徴とする製造方法。
  • 一般式(4):
    NH (4)
    (式中、R 及びR は同一又は異なって水素原子又は有機基を示す。)
    で表されるアミン化合物の製造方法であって、一般式(5):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示し、R 及びR は前記に同じ。)
    で表される化合物に光照射することを特徴とする製造方法。
  • 一般式(10a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたカルボキシル基を有する化合物。
  • カルボキシル基の保護方法であって、該カルボキシル基を、一般式(1):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される化合物と反応させてエステル化することを特徴とする保護方法。
  • 一般式(10a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたカルボキシル基の脱保護方法であって、該一般式(10a)で表される基で保護されたカルボキシル基に光照射してカルボキシル基を遊離させることを特徴とする脱保護方法。
  • 一般式(10):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、R は有機基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される化合物の製造方法であって、一般式(1):
    (式中、Ar 、Ar 、及びnは前記に同じ。)
    で表される化合物と、一般式(9):
    COOH (9)
    (式中、R は前記に同じ。)
    で表されるカルボン酸化合物又はその反応性誘導体を反応させてエステル化することを特徴とする製造方法。
  • 一般式(9):
    COOH (9)
    (式中、R は有機基を示す。)
    で表されるカルボン酸化合物の製造方法であって、一般式(10):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示し、R は前記に同じ。)
    で表される化合物に光照射することを特徴とする製造方法。
  • 一般式(11):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表されるジオール化合物。
  • 一般式(11b):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基を示す。)
    で表されるジオール化合物。
  • 一般式(11a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたカルボニル基を有する化合物。
  • カルボニル基の保護方法であって、該カルボニル基を、一般式(11):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される化合物と反応させてアセタール化することを特徴とする保護方法。
  • 一般式(11a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたカルボニル基の脱保護方法であって、該一般式(11a)で表される基で保護されたカルボニル基に光照射してカルボニル基を遊離させることを特徴とする脱保護方法。
  • 一般式(13):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、R 及びR は同一又は異なって水素原子又は有機基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される化合物の製造方法であって、一般式(11):
    (式中、Ar 、Ar 、及びnは前記に同じ。)
    で表される化合物と、一般式(12):
    C=O (12)
    (式中、R 及びR は前記に同じ。)
    で表されるカルボニル化合物を反応させてアセタール化することを特徴とする製造方法。
  • 一般式(12):
    C=O (12)
    (式中、R 及びR は同一又は異なって水素原子又は有機基を示す。)
    で表されるカルボニル化合物の製造方法であって、一般式(13):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示し、R 及びR は前記に同じ。)
    で表される化合物に光照射することを特徴とする製造方法。
  • 一般式(10a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたリン酸ジエステル基を有する化合物。
  • リン酸ジエステル基の保護方法であって、ハロリン酸ジエステル基を有する化合物を、一般式(1):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される化合物と反応させてエステル化することを特徴とする保護方法。
  • 一般式(10a):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される基で保護されたリン酸ジエステル基の脱保護方法であって、該一般式(10a)で表される基で保護されたリン酸ジエステル基に光照射してリン酸ジエステル基を遊離させることを特徴とする脱保護方法。
  • 一般式(30):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、R 及びR は同一又は異なって有機基、nは1又は2の整数を示す。)
    で表される化合物の製造方法であって、一般式(1):
    (式中、Ar 、Ar 、及びnは前記に同じ。)
    で表される化合物と、一般式(29):
    (式中、R 及びR は前記に同じ。)
    で表されるハロリン酸ジエステル基を有する化合物を反応させてエステル化することを特徴とする製造方法。
  • 一般式( 31 ):
    (式中、R 及びR は同一又は異なって有機基を示す。)
    で表されるリン酸ジエステル化合物の製造方法であって、一般式(30):
    (式中、Ar は芳香環、 Ar 、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、nは1又は2の整数を示し、R 及びR は前記に同じ。)
    で表される化合物に光照射することを特徴とする製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、光解離性保護基及び該保護基を用いた官能基の保護及び脱保護方法に関する。

    有機合成化学の分野において反応性官能基(例えば、酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、リン酸ジエステル基等)を保護、及び脱保護する反応は特に複雑な分子を構築する際に必須の反応である。 しかしながらこの脱保護反応には、更なる試薬の追加を必要とし、この試薬が化合物の分解や副生成物の生成をもたらす場合がある。

    このような背景から、近年これらの脱保護を中性条件下で行える光解離性保護基が注目を集めている(例えば、非特許文献1)。 光解離性保護基は更なる試薬の追加を必要とせず、中性条件下で光によって脱保護できるため、酸や塩基に弱い化合物にも適応可能である。 そのため、有機合成における保護基として非常に利用価値が高い。

    さらに、光解離性保護基は光により除去が可能であるため、反応場をナノスケールにまで縮小することができる。 その例として、1991年Fordorらはコンビナントリアルケミストリーと半導体製造用光リソグラフィーのテクノロジーを融合させることにより、光解離性保護基を用いたDNAマイクロアレーの合成に成功している(非特許文献2)。

    また、光分解性の保護基で生理活性分子を保護し,一時的にその活性を失わせた分子(ケージド化合物)を細胞内に存在させて、これに光を照射することにより生理活性物質となり生体反応を起こすことができる。 この技術を用いることでシグナル分子が機能発現する時期と場所を,光を照射する時期と場所で制御することが可能になり,照射光量で発現する量を調節することも原理的には可能となるため,シグナル伝達に関与する分子の時空間動態を,リアルタイムで制御する強な方法になる。

    これらのマイクロアレーやケージド化合物の発展と共に、光照射により容易に除去できる光解離性保護基の開発が近年活発に行われている。 具体例を下記に示す。 現在マイクロアレーやケージド化合物に多く利用されている化合物は式(A)に示すニトロベンジル誘導体(非特許文献3)や、式(B)に示すクマリン誘導体(非特許文献4)が挙げられる。

    ところが、これらの化合物は光照射によってほぼ定量的にアルコールを放出するが、脱保護の定量を簡便に行える化合物はほとんど知られていない。 例えば、特許文献1には、o−アミノケイ皮酸骨格を有する保護基が、光照射により生理活性物質から脱保護され、強い発蛍光性を有するカルボスチリル誘導体を生成することが記載され、この蛍光強度を測定することにより、脱保護された遊離の生理活性物質を定量できることが記載されている。

    また、上記の水酸基やアミノ基だけでなく、他の反応性官能基(例えば、カルボキシル基、カルボニル基、リン酸ジエステル基等)に関して、容易に保護及び脱保護できる光解離性保護基が開発されれば、有機化学、光化学さらに生物学的分野において極めて有用であり、広範な用途に利用される可能性を秘めている。

    特開平11−29500号公報

    G. Mayer, A. Heckel, Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 4900 Fodor, SPA; Read, JL; Pirrung, MC; Stryer, LT; Lu, A.; Solas, D. Science 1991, 251, 767-773. Patchornik, A., Amit,B., and Woodward, RBJ Am.Chem. Soc. 1970, 92, 6333 Givens, RS and Matuszewski, BJ Am.Chem. Soc. 1984, 92, 6860.

    本発明の目的は、光照射下の穏和な条件下で脱保護できる光解離性保護基を提供することにある。 具体的には、該光解離性保護基を用いて反応性官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、リン酸ジエステル基等)を保護した後、中性条件下、光照射のみで該光解離性保護基を脱保護する方法を提供することにある。 本発明の他の目的は、該光解離性保護基の脱保護を高感度に定量できる脱保護方法を提供することにある。

    本発明は、上記の課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、チオクロモン骨格を有する化合物を反応性官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、リン酸ジエステル基等)の保護基として用いた場合、該保護基が中性条件下で光照射のみで簡便に脱保護できることを見いだした。 つまり、所定のチオクロモン骨格を有する化合物が光解離性保護基として有用であることを見いだした。 また、所定のチオクロモン骨格を有する化合物を保護基として用いた場合には、脱保護時に生じる多環性化合物が非常に高い蛍光量子収率を有しており脱保護を高感度に定量できることも見いだした。 例えば365nmの光照射によって発する蛍光を測定することにより可能である。 さらに、所定のチオクロモン骨格を有する化合物を保護基として用いた場合には、脱保護により高い収率で保護基が回収できることも見いだした。 かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。

    即ち、本発明は、光解離性保護基、該光解離性保護基となり得る化合物、その製造方法、該化合物を用いた官能基の保護方法、該光解離性保護基の脱保護方法を提供する。

    以下、本発明を詳細に説明する。

    I. アミノ基の保護及び脱保護
    本発明のアミノ基の保護及び脱保護方法は、アミノ基を、一般式(3):

    (式中、Ar

    は置換基を有してもよい芳香環又はヘテロ芳香環、Ar

    は置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基、Xは脱離基、nは1又は2の整数を示す。)で表される化合物と反応させて、一般式(3a):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基でアミノ基を保護し、その後、保護されたアミノ基に光照射することにより脱保護してアミノ基を再生する方法である。 ここで、アミノ基とはアンモニア、第1級アミン又は第2級アミンから水素原子を除いた1価の官能基を意味する。

    本発明のアミノ基の保護及び脱保護方法は、具体的に次のような反応スキームで表すことができる。

    (式中、R

    及びR

    は同一又は異なって水素原子又は有機基を示し、式中、Ar

    、Ar

    、X、及びnは前記に同じ。)

    Ar で示される「置換基を有してもよい芳香環又はヘテロ芳香環」の芳香環又はヘテロ芳香環としては、単環、多環(例えば、2環又は3環)の芳香族環又はヘテロ芳香族環が挙げられ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、ジベンゾ[b、d]フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。 該芳香環又はヘテロ芳香族環の置換基としては、本発明の反応性官能基の保護及び脱保護反応に悪影響を与えない基であれば特に限定はなく、例えば、アルキル基(例えば、C1−3のアルキル基)、ハロアルキル基(例えば、C1−3のハロアルキル基、特にトリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(例えばC1−3のアルコキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基等)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジ(C1−3アルキル)アミノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。該置換基は芳香環上に1〜3個有していてもよい。このうち、ベンゼン環が好ましく、また吸収波長の長波長化の点からナフタレン環、アントラセン環などの多環芳香族炭化水素環が好ましい。

    nは1又は2の整数であり、nが2の場合には光解離反応の反応性が高いため好適である。 なお、nが0の時は光解離反応が進行しない。

    Ar で示される「置換基を有してもよいアリール基又はヘテロアリール基」のアリール基又はヘテロアリール基としては、単環、多環(例えば、2環又は3環)のアリール基又はヘテロアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、フルオレニル基、ジベンゾ[b、d]フラニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。 該アリール基又はヘテロアリール基の置換基としては、本発明の反応性官能基の保護及び脱保護反応に悪影響を与えない基であれば特に限定はなく、例えば、アルキル基(例えば、C1−3のアルキル基、特にメチル基等)、ハロアルキル基(例えば、C1−3のハロアルキル基、特にトリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(例えば、C1−3のアルコキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基等)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジ(C1−3アルキル)アミノ基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。 該置換基はアリール基上に1〜3個有していてもよい。 具体例として、フェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、1−又は2−ナフチル基などが例示される。 このうち、光解離反応効率(反応速度)の点からフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基が好ましい。

    Xで示される脱離基としては、アミノ基と置換反応できる基であれば特に限定はない。 例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素等)、イミダゾリル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示される。 好適には、塩素原子である。

    及びR で示される有機基は、本発明の保護及び脱保護反応に悪影響を与えない限り特に限定はない。 例えば、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖、環式の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素芳香族炭化水素基、及びこれらの誘導体からなる基を包含する。 また、R 及びR が結合して環を形成してもよい。 これらの基には種々の置換基を有していてもよい。 つまり、一般式(4)で表される化合物は、保護され得るアミノ基を有する化合物であればあらゆる化合物が包含される。 該化合物は、アミノ基が1個だけでなく2個以上含む場合も包含する。 例えば、アミノ酸、ペプチド、アミノ糖、DNA、タンパク質、酵素、アミノ基を含む生理活性化合物など広範な−NH−基を有する化合物が挙げられる。 いずれにおいても、所望の保護及び脱保護反応が可能となる。

    次にアミノ基を保護及び脱保護する工程の典型例を以下に示す。

    一般式(4)で表される化合物を、溶媒の存在下、通常塩基の存在下に、一般式(3)で表される化合物と反応させる。 一般式(4)で表される化合物1モルに対して、一般式(3)で表される化合物を通常1モル以上、好ましくは1〜20モル、より好ましくは1〜5モル使用することができる。

    溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン(特に塩素)系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒が例示される。 好ましくは、塩化メチレンに代表される塩素系溶媒である。

    塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基等が挙げられるが、好ましくはピリジンである。 一般式(4)で表される化合物1モルに対して、塩基を通常1モル以上、好ましくは10〜200モル、より好ましくは50〜150モル使用することができる。

    反応における一般式(4)で表される化合物の濃度は特に限定はないが、通常0.05〜0.2モル/L程度であればよい。 反応は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。 反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、反応時間は通常0.5〜1時間程度である。

    反応終了後は、公知の方法により処理し、カラムクロマトグラフィー等の慣用の方法を用いて精製して一般式(5)で表されるウレタン化合物(保護されたアミノ基を有する化合物)を得る。

    なお、一般式(5)で表される化合物は、上記したように一般式(3b)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを塩基の存在下反応させて一般式(5a)で表される化合物とし、これをm−CPBA等の酸化剤で硫黄原子を酸化して製造することもできる。

    次いで、一般式(5)で表されるウレタン化合物を、溶媒の存在下、光照射して、一般式(4)で表される化合物を再生する。 溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、水などが例示される。 好ましくはメタノールである。 一般式(5)で表される化合物の濃度は、通常1×10 −2 〜1×10 −5モル/L程度であればよい。

    光照射に用いる光源は特に限定はなく、一般式(3a)で表される保護基の吸収波長(250〜400nm)を含む光源であれば特に限定はない。 例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプなどが例示される。 必要に応じパイレックス(登録商標)フィルター等を用いて280nm以下の波長をカットしてもよい。 光反応は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。 反応温度は、通常0〜40℃、好ましくは10〜30℃であり、反応時間は通常0.5〜1時間程度である。

    反応終了後は、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー等の慣用の方法を用いて精製して一般式(4)で表されるアミン化合物を回収する。

    本発明では、一般式(5)で示される化合物の光照射により、窒素上の保護基が解離して生じる多環性化合物(6)が生成する。 該化合物は高い蛍光量子収率(Φ=0.85)を有し、可視光領域で強い蛍光を発する。 そのため、脱保護反応による一般式(4)で表されるアミン化合物の放出を高感度に検出することができる。

    例えば、一般式(4)で表される化合物として、L−フェニルアラニンのベンジルエステルを、一般式(3d)で表される化合物で保護した化合物(5d)に、光照射した例を以下に示す。

    この反応により、L−フェニルアラニンのベンジルエステルはほぼ定量的に回収され、かつ生じる4環性化合物(6a)は、可視光領域(ピーク450nm)で強い蛍光を発する。

    II. 水酸基の保護及び脱保護
    本発明の水酸基の保護及び脱保護方法は、上記Iのアミノ基の場合と同様にして実施することができる。 具体的には、水酸基を、一般式(3):

    (式中、Ar

    、Ar

    、X、及びnは前記に同じ。)


    で表される化合物と反応させて、一般式(3a):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基で水酸基を保護してカーボネートとし、その後、保護された水酸基に光照射することにより脱保護して水酸基を再生することができる。

    本発明の水酸基の保護及び脱保護方法は、具体的に次のような反応スキームで表すことができる。

    (式中、R

    は有機基を示し、Ar

    、Ar

    、n、及びXは前記に同じ。)


    Ar

    、Ar

    、n、及びXは、前述した通りである。

    で示される有機基は、本発明の保護及び脱保護反応に悪影響を与えない限り特に限定はない。 例えば、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖、環式の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素芳香族炭化水素基、及びこれらの誘導体からなる基を包含し、これらの基には種々の置換基を有していてもよい。 つまり、一般式(7)で表される化合物は、保護され得る水酸基を有する化合物であればあらゆる化合物が包含される。 該化合物は、水酸基が1個だけでなく2個以上含む場合も包含する。 例えば、アルコール、ポリオール、糖類、水酸基を含む生理活性化合物など広範な化合物が挙げられる。 いずれにおいても、所望の保護及び脱保護反応が可能となる。

    次に水酸基を保護及び脱保護する工程の典型例を以下に示す。

    一般式(7)で表される化合物を、溶媒の存在下、通常塩基の存在下に、一般式(3)で表される化合物と反応させる。 一般式(7)で表される化合物1モルに対して、一般式(3)で表される化合物を通常1モル以上、好ましくは1〜20モル、より好ましくは1.5〜5モル使用することができる。

    溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン(特に塩素)系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒などが例示される。 好ましくは、塩化メチレンに代表される塩素系溶媒である。

    塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基等が挙げられるが、好ましくはピリジンである。 一般式(7)で表される化合物1モルに対して、塩基を通常1モル以上、好ましくは10〜200モル、より好ましくは50〜150モル使用することができる。

    反応における一般式(7)で表される化合物の濃度は、通常0.05〜0.2モル/L程度であればよい。 反応は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。 反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、反応時間は通常0.5〜1時間程度である。

    反応終了後は、公知の方法により処理し、カラムクロマトグラフィー等の慣用の方法を用いて精製して一般式(8)で表されるウレタン化合物(保護されたアミノ基を有する化合物)を得る。

    なお、一般式(8)で表される化合物は、上記したように一般式(3b)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物とを塩基の存在下反応させて一般式(8a)で表される化合物とし、これをm−CPBA等の酸化剤で硫黄原子を酸化して製造することもできる。

    保護された水酸基の脱保護反応は、前述のアミノ基のものと同様乃至これに準じて実施することができる。 本発明でも、一般式(8)で表される化合物の光照射により、酸素上の保護基が解離して生じる多環性化合物(6)が生成する。 該化合物は高い蛍光量子収率(Φ=0.85)を有し、可視光領域で強い蛍光を発する。 そのため、脱保護反応による一般式(7)で表されるアルコールの放出を高感度に検出することができる。

    III. カルボキシル基の保護及び脱保護
    本発明のカルボキシル基の保護及び脱保護方法は、カルボキシル基を、一般式(1):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される化合物と反応させてエステル化して、一般式(1a):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基でカルボキシル基を保護し、その後、保護されたカルボキシル基に光照射することにより脱保護してカルボキシル基を再生する方法である。

    本発明のカルボキシル基の保護及び脱保護方法は、具体的に次のような反応スキームで表すことができる。

    (式中、R

    は水素原子又は有機基を示し、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    Ar

    、Ar

    、及びnは、前述した通りである。

    で示される有機基は、本発明の保護及び脱保護反応に悪影響を与えない限り特に限定はない。 例えば、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖、環式の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素芳香族炭化水素基、及びこれらの誘導体からなる基を包含し、これらの基には種々の置換基を有していてもよい。 つまり、一般式(9)で表される化合物は、上記した保護されるカルボキシル基を有する化合物であればあらゆる化合物が包含される。 該化合物は、カルボキシル基が1個だけでなく2個以上含む場合も包含する。 例えば、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、カルボキシル基を含む生理活性化合物など広範な化合物が挙げられる。 いずれにおいても、所望の保護及び脱保護反応が可能となる。

    次にカルボキシル基を保護及び脱保護する工程の典型例を以下に示す。

    一般式(9)で表される化合物又はその反応性等価体を、溶媒の存在下、一般式(1)で表される化合物と反応させる。 溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン(特に塩素)系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒などが例示される。 好ましくは、塩化メチレンに代表される塩素系溶媒である。

    一般式(9)で表される化合物としてカルボン酸化合物を用いる場合には、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1-エチル‐3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等の脱水縮合剤を用いる。 必要に応じて活性化剤として、ジメチルアミノピリジン(DMAP)等を添加することもできる。 一般式(9)で表される化合物1モルに対して、一般式(1)で表される化合物を通常1モル以上、好ましくは1〜10モル、より好ましくは1〜2モル使用することができ、脱水縮合剤を通常1〜1.5モル、好ましくは1.1〜1.2モルを使用することができる。 なお、活性化剤は触媒量でよい。

    一般式(9)で表される化合物としてカルボン酸化合物の反応性等価体を用いる場合、該反応性等価体としては、酸ハライド(特に酸クロライド)、混合酸無水物、イミダゾライドなどが挙げられる。 カルボン酸からこれらの反応性等価体への変換は、いずれも公知の方法を採用することができる。 反応では、通常、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基を用いるが、好ましくはピリジンである。 一般式(9)で表される化合物の反応性等価体1モルに対して、一般式(1)で表される化合物を通常1モル以上、好ましくは1〜10モル、より好ましくは1〜2モル使用することができ、塩基を通常1モル以上、好ましくは10〜200モル、より好ましくは50〜150モルを使用することができる。

    本反応では、一般式(9)で表される化合物又はその反応性等価体の濃度は、通常0.05〜0.2モル/L程度であればよい。 反応は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。 反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、反応時間は通常3〜6時間である。

    反応終了後は、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー等の慣用の方法を用いて精製して一般式(10)で表されるエステル化合物を回収する。

    なお、一般式(10)で表される化合物は、上記したように一般式(1b)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物又はその反応性等価体とを上記と同様にして反応させて一般式(10a)で表される化合物とし、これをm−CPBA等の酸化剤で硫黄原子を酸化して製造することもできる。

    脱保護反応は、前述のアミノ基のものと同様乃至これに準じて実施することができる。 また、本発明では、一般式(10)で表される化合物の光照射により、酸素上の保護基が解離して生じる多環性化合物(6)が生成する。 該化合物は高い蛍光量子収率(Φ=0.85)を有し、可視光領域で強い蛍光を発する。 そのため、脱保護反応による一般式(9)で表されるカルボン酸の放出を高感度に検出することができる。

    IV. カルボニル基の保護及び脱保護
    本発明のカルボニル基の保護及び脱保護方法は、カルボニル基を、一般式(11):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表されるジオール化合物と反応させてアセタール化して、一般式(11a):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基でカルボニル基を保護し、その後、保護されたカルボニル基に光照射することにより脱保護してカルボニル基を再生する方法である。

    具体的には、次のような反応スキームで表すことができる。

    (式中、R

    及びR

    水素原子又は有機基を示し、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    Ar

    、Ar

    、及びnは、前述した通りである。

    及びR で示される有機基は、本発明の保護及び脱保護反応に悪影響を与えない限り特に限定はない。 例えば、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖、環式の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素芳香族炭化水素基、及びこれらの誘導体からなる基を包含する。 また、R 及びR が結合して環を形成してもよい。 これらの基には種々の置換基を有していてもよい。 つまり、一般式(12)で表される化合物は、保護され得るカルボニル基を有する化合物であればあらゆる化合物が包含される。 該化合物は、カルボニル基が1個だけでなく2個以上含む場合も包含する。 例えば、モノカルボニル化合物、ポリカルボニル化合物、カルボニル基を含む生理活性化合物など広範なケトン化合物又はアルデヒド化合物が挙げられる。 いずれにおいても、所望の保護及び脱保護反応が可能となる。

    次にカルボニル基を保護及び脱保護する工程の典型例を以下に示す。

    一般式(12)で表される化合物を、溶媒の存在下、酸触媒の存在下、一般式(11)で表される化合物と反応させる。 溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン(特に塩素)系溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒などが例示される。 好ましくは、塩化メチレンである。

    一般式(12)で表される化合物1モルに対して、一般式(11)で表される化合物を通常1モル以上、好ましくは1〜20モル、より好ましくは1〜5モル使用することができる。 さらに脱水剤を加えてもよく、脱水剤(例えば、硫酸銅等)を、一般式(12)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは0.7〜1.5モルを使用することができる。

    酸触媒としては、有機酸が好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)、カンファースルホン酸(CSA)等が挙げられる。 酸触媒は、一般式(12)で表される化合物1モルに対して、通常0.01〜0.3モル程度使用することができる。

    本反応では、一般式(12)で表される化合物の濃度は、通常0.05〜0.2モル/L程度であればよい。 反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、反応時間は通常1〜50時間、特に5〜15時間である。

    反応終了後は、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー等の慣用の方法を用いて精製して一般式(13)で表されるアセタール化合物を回収する。

    なお、一般式(13)で表される化合物は、上記したように一般式(11b)で表される化合物と一般式(12)で表される化合物とを上記した酸触媒の存在下反応させて一般式(13a)で表される化合物とし、これをm−CPBA等の酸化剤で硫黄原子を酸化して製造することもできる。

    脱保護反応は、前述のアミノ基のものと同様乃至これに準じて実施することができる。 なお、溶媒はさらに水を含有させることが好ましい。 一般式(13)で表される化合物の光照射により保護基が解離して、原料である一般式(11)で表される化合物と一般式(12)で表される化合物がほぼ定量的に回収される。 本光解離反応では、前記した一般式(6)で表される蛍光性化合物を与えない。 しかし、回収された一般式(12)で表される化合物は、再度保護基として用いることができるため省資源の観点から有用である。

    V. リン酸ジエステル基の保護及び脱保護
    本発明のリン酸ジエステル基の保護及び脱保護方法は、リン酸ジエステル基の等価体であるハロリン酸ジエステル基を、一般式(1):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される化合物と反応させてエステル化して、一般式(1a):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基でリン酸ジエステル基を保護し、その後、保護されたリン酸ジエステル基に光照射することにより脱保護してリン酸ジエステル基を生成する方法である。

    本発明のリン酸ジエステル基の保護及び脱保護方法は、具体的に次のような反応スキームで表すことができる。

    式中、Ar

    、Ar

    、及びnは、前述した通りである。

    また、R 及びR は同一又は異なって有機基である。 R 及びR で示される有機基は、本発明の保護及び脱保護反応に悪影響を与えない限り特に限定はない。 例えば、飽和、環式の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの誘導体からなる基を包含する。 これらの基は、さらに種々の置換基を有していてもよい。

    また、X は、ハロゲン原子を示す。 該ハロゲン原子の中でもCl、Br、Iが好ましく、Clが最も好ましい。

    つまり、一般式(29)で表される化合物は、上記した保護されるリン酸ジエステル基の等価体であるハロリン酸ジエステル基を有する化合物であればあらゆる化合物が包含される。 該化合物は、ハロリン酸ジエステル基を1個だけでなく2個以上含む場合も包含する。 例えば、モノハロリン酸ジエステル化合物、ポリハロリン酸ジエステル化合物、又はハロリン酸ジエステル基等を含む生理活性化合物など広範な化合物が挙げられる。 いずれにおいても、所望の保護及び脱保護反応が可能となる。

    次にリン酸ジエステル基を保護及び脱保護する工程の典型例を以下に示す。

    一般式(29)で表される化合物を、溶媒の存在下、一般式(1)で表される化合物と反応させる。 溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン(特に塩素)系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、N−メチルイミダゾール等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒などが例示される。 好ましくは、塩化メチレンに代表される塩素系溶媒である。 これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。

    また、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1-エチル‐3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等の脱水縮合剤を用いてもよい。 必要に応じて活性化剤として、ジメチルアミノピリジン(DMAP)等を添加することもできる。

    一般式(29)で表される化合物1モルに対して、一般式(1)で表される化合物を通常1モル以上、好ましくは1〜10モル、より好ましくは1〜2モル使用することができる。 また、脱水縮合剤を使用する場合は、一般式(29)で表される化合物1モルに対して、通常1〜1.5モル、好ましくは1.1〜1.2モルを使用することができる。 なお、活性化剤使用する場合は触媒量でよい。

    本反応では、一般式(29)で表される化合物の濃度は、通常0.05〜0.2モル/L程度であればよい。 反応は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。 反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、反応時間は通常3〜6時間である。

    反応終了後は、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー等の慣用の方法を用いて精製して一般式(31)で表されるリン酸ジエステル化合物を回収する。

    なお、一般式(31)で表される化合物は、上記したように一般式(1b)で表される化合物と一般式(29)で表される化合物とを上記と同様にして反応させて一般式(30a)で表される化合物とし、これをm−CPBA等の酸化剤で硫黄原子を酸化して製造することもできる。

    脱保護反応は、前述のアミノ基のものと同様乃至これに準じて実施することができる。 また、本発明では、一般式(30)で表される化合物の光照射により、酸素上の保護基が解離して生じる多環性化合物(6)が生成する。 該化合物は高い蛍光量子収率(Φ=0.85)を有し、可視光領域で強い蛍光を発する。 そのため、脱保護反応による一般式(31)で表されるリン酸ジエステル化合物の放出を高感度に検出することができる。

    VI. 具体的な用途
    本発明の反応性官能基の保護及び脱保護方法は、次のような用途に用いることができる。

    本発明の光解離性保護基をアミノ酸に適用したときに、優れた光解離能を有していることや、光解離反応時に生じる四環性化合物の蛍光分析により反応の追跡が可能であるという利点がある。 そのため、本発明のアミノ基の保護及び脱保護方法は固相ペプチド合成やDNAマイクロアレー合成に利用できる。

    現在、固相ペプチド合成は、Fmoc合成法が主流である。 これは、下記に示すように、固相ペプチドの遊離N末端にFmoc-アミノ酸を縮合させた後、ピペリジンを塩基として用いてFmocを脱保護し、N末端を活性化させ、さらにFmoc-アミノ酸を縮合させるという操作を繰り返して、ペプチド鎖を伸張する方法である。 このとき、Fmoc基とピペリジンから生成する、N-(9-フルオレニルメチル)ピペリジンの301nmにおける吸収を測定することにより、固相上での脱保護反応の進行具合を測定することができる。

    本発明の一般式(3a)で表される光解離性保護基をFmoc基の代わりに用いて、固相ペプチド合成を行えば、上記のFmoc合成法に比べて、次のような利点があると考えられる。 まず、ピペリジンのような塩基性の反応試薬を使用することなく、中性条件下光照射のみで脱保護反応を行い、N末端を活性化できる。 また、脱保護により生成する一般式(6)で表される多環性化合物の蛍光を用いて固相上の脱保護の進行を確認することができる。 さらに、該多環性化合物は大きな蛍光量子収率を示すことから、高感度な検出が可能となる。

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)

    例えば、実施例I−5で示されるように、下記のペプチド合成が可能であることが確認されていることからも容易に理解できる。

    本発明の光解離性保護基は、いずれもそのチオクロモン骨格の硫黄の酸化状態がその光解離反応の反応性に大きく影響を与える。 硫黄原子が2価の場合(n=0)には光解離反応は進行せず、硫黄原子の酸化数が4価又は6価と大きくなると(n=1又は2)光解離反応が速やかに進行する。 この特性を利用して、保護基の硫黄の酸化状態によって光解離反応のオンとオフをコントロールすることができる。

    例えば、同一分子内に2以上のアミノ基又は水酸基を有する化合物を、一般式(3a):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基、及び一般式(3c):

    (式中、Ar

    及びAr

    は前記に同じ。)


    で表される保護基で保護する。 該化合物に光照射して、一旦、一般式(3a)で表される保護基を脱保護する。 次いで残存する一般式(3d)で表される保護基を酸化剤(例えば、m−CPBA等)で酸化して、一般式(3a)で表される保護基に変換した後、光照射して脱保護する。 つまり、一般式(3a)及び(3c)で表される基の光解離反応の反応性の違いを利用して、保護基を所望の手順で脱保護することも可能である。

    例えば、次のような2つの水酸基を有する化合物において、2つの水酸基を明確に区別して脱保護が可能となる(実施例II−3を参照)。

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基、及び一般式(1c):

    (式中、Ar

    及びAr

    は前記に同じ。)


    で表される保護基で保護する。 該化合物に光照射して、一旦、一般式(1a)で表される保護基を脱保護する。 次いで残存する一般式(1c)で表される保護基を酸化剤(例えば、m−CPBA等)で酸化して、一般式(1a)で表される保護基に変換した後、光照射して脱保護する。 つまり、一般式(1a)及び(1c)で表される基の光解離反応の反応性の違いを利用して、保護基を所望の手順で脱保護することも可能である。

    同様に、同一分子内に2以上のカルボニル基を有する化合物(ケトン又はアルデヒド)を、一般式(11a):

    (式中、Ar

    、Ar

    、及びnは前記に同じ。)


    で表される保護基、及び一般式(11c):

    (式中、Ar

    及びAr

    は前記に同じ。)


    で表される保護基で保護する。 該化合物に光照射して、一旦、一般式(11a)で表される保護基を脱保護する。 次いで残存する一般式(11c)で表される保護基を酸化剤(例えば、m−CPBA等)で酸化して、一般式(11a)で表される保護基に変換した後、光照射して脱保護する。 つまり、一般式(11a)及び(11c)で表される基の光解離反応の反応性の違いを利用して、保護基を所望の手順で脱保護することも可能である。

    さらに、本発明の保護基は、ケージド化合物の保護基としても用いることができる。 ケージド化合物とは、また生体内において秩序化された情報のやり取りを詳しく解明するために、情報伝達に関わる分子がいつどこでどのように働いているか解明するために使用されている。 具体的には、ケージド化合物とは下記に示すように光分解性の保護基で生理活性分子を保護し、一時的にその活性を失わせた分子のことであり、光を照射することで,光解離性保護基の脱保護が起こり、瞬時に元の生理活性分子を出現させることが出来る分子である。

    生理活性に必要な官能基を本発明の光解離性保護基で保護した化合物を細胞内に導入する。 この化合物はそのままでは生理活性を示さないが、細胞内に存在する状態で光を照射すると、脱保護され生理活性物質となり活性が発現する。 この技術を用いることでシグナル分子が機能発現する時期と場所を,光を照射する時期と場所で制御することが可能になり,照射光量で発現する量を調節することも可能となるため,シグナル伝達に関与する分子の時空間動態を,リアルタイムで制御する強力な方法になる。

    VII. 原料化合物の製造
    本発明で用いられる一般式(1)、(3)及び(3c)で表される化合物は、例えば次のようにして製造することができる。

    (式中、Ar

    、Ar

    、X、及びnは前記に同じ。)

    なお、原料の一般式(14)で表される化合物は、例えば、一般式(28):

    (式中、Ar

    は前記に同じ。)


    で表される化合物と、アセト酢酸エステル(例えば、アセト酢酸エチル)をポリリン酸等の酸で脱水縮合させることにより製造することができる。 これは公知の方法に準じて実施できる。

    一般式(14)で表される化合物に、ヨウ素及び硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を反応させてヨウ素化して、一般式(14a)で表されるヨウ素化合物を得る。

    一般式(14a)で表されるヨウ素化合物に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒、炭酸カリウム等の塩基の存在下、一般式(15)で表されるアリールボロン酸を反応させて、一般式(16)で表される化合物を得る。

    一般式(16)で表される化合物を、二酸化セレン等の酸化剤を用いてアリル位の炭素を酸化して一般式(17)で表されるアルデヒドとし、これを水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤で処理して一般式(18)で表されるアルコール化合物に変換する。 なお、一般式(16)で表される化合物に、NBS、臭素等の臭素化剤を、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカル開始剤の存在下で反応させて、一般式(19)で表される臭素化合物とし、含水溶媒中で炭酸銀と反応させて一般式(18)で表されるアルコール化合物を得ることもできる。

    一般式(18)で表される化合物をm−CPBA等の酸化剤で酸化して、一般式(1)で表される化合物、即ちスルホン(n=2)又はスルホキシド(n=1)を得る。

    一般式(1)で表される化合物を、一般式(2)で表される化合物又はその等価体と反応させて、一般式(3)で表される化合物を得る。 一般式(2)で表される化合物のXは前述したとおりであり、同一又は異なっていてもよい。 一般式(2)で表される化合物としては、例えば、ホスゲン(X=Cl)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、4−ニトロフェニルクロロフォルメート等が挙げられる。 また、その等価体としては、ホスゲンの等価体としてトリホスゲンが挙げられる。 本反応では、トリホスゲンとアリコートからホスゲンを調製して、これを一般式(1)で表される化合物と反応させることが好ましい。

    また、一般式(18)で表される化合物を、一般式(2)で表される化合物又はその等価体と反応させて、一般式(3c)で表される化合物を得ることもできる。 反応は上記と同様である。

    一般式(3c)で表される化合物は、上記と同様にしてm−CPBA等の酸化剤で酸化して、一般式(1)で表される化合物、即ちスルホン(n=2)又はスルホキシド(n=1)を得ることができる。

    一般式(14)で表される化合物を、二酸化セレン等の酸化剤を用いてアリル位の炭素を酸化して一般式(20)で表されるアルデヒドとし、これを水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤で処理して一般式(21)で表されるアルコール化合物に変換する。

    一般式(21)で表されるアルコール化合物を無水酢酸でアセチル化して、一般式(22)で表される化合物とし、ヨウ素及び硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を反応させてヨウ素化して、一般式(23)で表されるヨウ素化合物を得る。

    一般式(23)で表される化合物を炭酸カルシウム/メタノールで脱アセチル化して、一般式(24)で表されるアルコール化合物とし、これを2-ヨードキシ安息香酸(IBX)等の酸化剤で酸化して一般式(25)で表される化合物を得る。 該化合物に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒、炭酸カリウム等の塩基の存在下、一般式(15)で表されるアリールボロン酸を反応させて、一般式(17)で表される化合物を得ることができる。

    本発明で用いられる一般式(11)及び(11b)で表される化合物は、例えば次のようにして製造することができる。

    (式中、Ar

    、Ar

    、X、及びnは前記に同じ。)

    低温下(−78℃程度)にて、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒中で、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド等の塩基と一般式(16)で表される化合物を反応させた後、続いてシアノ蟻酸メチルを加えて反応させ、一般式(26)で表される化合物を得る。

    低温下(−78℃程度)にて、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒中で、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド等の塩基と一般式(16)で表される化合物を反応させた後、続いてデービス試薬を反応させて、一般式(27)で表される化合物を得る。

    一般式(27)で表される化合物を、THF中でリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH )と反応させてアルデヒド体とし、さらにアルコール(メタノール等)中で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH )と反応させて、一般式(28)で表される化合物を得る。

    一般式(28)で表される化合物をm−CPBA等の酸化剤で酸化して、一般式(11)で表される化合物、即ちスルホン(n=2)又はスルホキシド(n=1)を得る。 この化合物は新規化合物であり、ケトン類、アルデヒド類等のカルボニル化合物の光解離性保護基として有用である。

    本発明の光解離性保護基によれば、反応性官能基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基等)を保護した後、中性条件下で光照射のみで効率的に脱保護することができる。 そのため、有機合成上極めて有効なツールとなる。

    従来、脱保護反応(光解離反応)を定量する際、分析機器である核磁気共鳴スペクトルなどを使用しなければならなかった。 しかしながら、所定の保護基を用いた場合、光解離後生成する化合物が大きな発光性を有しているため、その蛍光スペクトルから脱保護反応(光解離反応)を定量的に確認することが可能となる。 さらに、ペプチド等の固相合成に適応する際には、表面の光解離反応の頻度を高感度で定量することができる。

    さらに、本発明のチオクロモン骨格を有する保護基は硫黄原子を有し、この硫黄原子の酸化状態により脱保護反応(光解離反応)の進行を制御できる。 そのため、所望の反応性官能基だけを選択的に脱保護することも可能となる。

    実施例
    本発明を、実施例を用いて更に詳述するが、これに限定されるものではない。
    [測定機器]
    実施例において、以下の測定機器を用いた。
    NMR:JEOL JMN-ECP500
    MS:JOEL JMS-700
    IR:JASCO FT/IR 400、CHCl 3はWAKO吸光度用を使用薄層クロマトグラフィー:Merck 60 F254を使用
    UVランプ (254nm、365nm) 照射:リンモリブデン酸エタノール呈色試薬により検出超高圧水銀ランプ:光源 SX-UI 500H0、USHIO
    紫外可視スペクトル:SIMAZU UV-1600
    蛍光スペクトル:FP-6500DS
    モノクロメーター:SPG-120UV

    原料合成
    製造例1
    (1)3-ヨード-2-メチル-4H-チオクロメン-4-オンの合成

    2-メチル-4H-チオクロメン-4-オン(1.0 mmol, 176 mg)とヨウ素(1.2 mmol, 305mg), 硝酸セリウムアンモニウム (1.1 mmol, 603mg)をアセトニトリル(4.0ml)に溶解させ窒素雰囲気下60 o Cで4時間攪拌した。 薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認後、反応液を氷冷下10%飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液の溶液に注ぎ反応を停止した。 塩化メチレンを用いて有機物を抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物(0.79 mmol、238mg) を収率79%で得た。
    黄色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) δ: 8.52 (1H, J = 7.9 Hz, d), 7.60 (1H, J = 7.6, 3.8 Hz, dd), 7.54-7.52 (2H, m), 2.62 (3H, s). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 175.46, 151.12, 136.32, 131.59, 129.77, 128.12, 126.90, 124.86, 103.70, 32.44.

    (2)2-メチル-3-フェニル-4H-チオクロメン-4-オン

    上記(1)で得られた化合物(1.0 mmol, 302 mg)とジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.03 mmol, 21 mg), フェニルボロン酸(1.3 mmol, 159 mg) 及び 炭酸カリウム( 4.0 mmol, 552 mg) を脱気したジメチルホルムアミド (3.2 ml) と水 (0.8 ml)に溶解させ窒素雰囲気下80 o C で4時間攪拌した。 薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認した後、反応液に水を注ぎ反応を停止した。 有機物を酢酸エチルにより抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を(0.93 mmol, 237 mg) を収率93%で得た。
    白色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) δ: 8.51 (1H, J = 8.6 Hz, d), 7.60-7.57 (2H, m), 7.52-7.49 (1H, m), 7.45 (2H, J = 7.6, 7.6 Hz, dd), 7.37 (1H, J = 7.6, 7.6 Hz, dd), 7.21 (2H, J = 7.6 Hz, d), 2.26 (3H, s). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 179.14, 147.18, 136.63, 136.40, 136.00, 131.16, 131.09, 129.77, 129.38, 128.45, 127.55, 127.35, 125.52, 22.52.

    (3)2-(ヒドロキシメチル)-3-フェニル-4H-チオクロメン-4-オン

    上記(2)で得られた化合物(1.0 mmol, 252 mg) と二酸化セレン (1.2 mmol, 133 mg)をクロロベンゼン5mlに溶解させ窒素雰囲気下12時間還流した。 原料の消失をNMRにより確認後、室温に戻し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ反応を停止した。 塩化メチレンで有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルに通し、そのまま次の反応へ使用した。 得られた混合物をメタノール2mlに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム (1.0 mmol, 38 mg)を加え窒素雰囲気下0 0 Cで2時間攪拌した。 飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止後、有機物を酢酸エチルにより抽出し、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン/酢酸エチルにより再結晶することで標記化合物を(0.38 mmol, 104 mg) を2段階収率38 %で得た。
    白色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) (ppm)δ: 8.50(1H, J = 8.0 Hz, d), 7.60(1H, J = 8.0 Hz, d), 7.62 (1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.53( 1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.46-7.37(3H, m), 7.09(1H, J = 6.7 Hz, d), 4.54 (2H, s). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 179.29, 152.34, 136.85, 135.30, 134.65, 131.32, 131.13, 129.43, 129.26, 128.74, 128.07, 127.62, 126.63, 63.49. IR (CHCl 3 ) 1619, 1591, 1498, 1342, 1220, 1208, 1083, 790, 776, 733, 729, 700, 599.
    HRMS(EI) calcd for C 16 H 12 O 2 S 268.0558; found: 268.0554.

    (4)2-(ヒドロキシメチル)-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    上記(3)で得られた化合物(1.0 mmol, 252 mg) とm-クロロ過安息香酸 (70 %) (2.1 mmol, 515 mg) を塩化メチレン(2.0 ml)に溶解させ、室温で8時間攪拌した。 飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を注ぎ反応を停止し、塩化メチレンにより抽出した。 さらに有機層を飽和重曹水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を(0.85 mmol, 255 mg) を収率85 %で得た。
    白色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) (ppm)δ: 8.23(1H, J = 8.0, d), 8.12(1H, J = 7.0, d), 7.92 (1H, J = 8.0 Hz, 7.5 Hz, dd), 7.53(1H, J = 7.5Hz, 7.0 Hz, dd), 7.51-7.27(5H, m), 4.62(2H, s). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 178.60, 147.77, 142.68, 140.01, 134.66, 133.42, 130.59, 129.65, 129.43, 129.14, 129.08, 128.40, 123.07, 57.01. IR (CHCl 3 ) 1720, 1665, 1587, 1574, 1442, 1303, 1217, 1156, 1131, 1065, 1030, 846, 803, 743, 699, 674, 599, 544.
    HRMS(EI) calcd for C 16 H 12 O 2 S 300.0456; found: 300.0457.

    (5)(4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル クロロホルメート

    二口のナスフラスコに、上記(3)で得られた化合物(0.5mmol, 150mg )とアリコート (0.05mmol, 22mg ) をテトラヒドロフラン(1.5ml)とトルエン(4ml)に溶解させた。 反応試験管にトリホスゲン(2.5mmol, 757mg)とアリコート(50mg)を加え、80℃で加熱し、発生するホスゲンを先ほど調製した、反応溶液の入った二口のナスフラスコを0℃にし、バブリングした。 そして、室温に戻し、24時間撹拌した。 反応終了後、窒素バブリングを行い、溶存しているホスゲンを飽和水酸化ナトリウム水溶液にトラップした。 得られた粗生成物の溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を収率97%で得た。
    白色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) (ppm)δ: 8.17(1H, J = 7.9, d), 8.09(1H, J = 7.9, d), 7.89 (1H, J = 7.9 Hz, 7.5 Hz, dd), 7.77(1H, J = 7.5Hz, 7.0 Hz, dd), 7.50-7.47(3H, m), 7.27-7.25(2H, m), 5.20(2H, s). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 178.00, 150.02, 145.97, 142.08, 139.66, 134.89, 130.15, 129.97, 128.95, 128.87, 128.78, 128.76, 128.56, 123.15, 63.03.

    製造例2
    (1)3-(4-メトキシシフェニル)-2-メチル-4H-チオクロメン-4-オン

    製造例1(1)で得られた化合物(1.0 mmol, 302 mg)とジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (0.03 mmol, 21 mg), フェニルボロン酸(1.3 mmol, 198mg) 及び 炭酸カリウム ( 4.0 mmol, 552 mg) を脱気したジメチルホルムアミド (3.2 ml) と水(0.8 ml)に溶解させ窒素雰囲気下、80 o C で4時間攪拌した。 薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認した後、反応液に水を注ぎ反応を停止した。 有機物を酢酸エチルにより抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物 を(0.95 mmol, 268 mg,) を収率93 %で得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.49 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.55-7.52 (2H, m), 7.49-7.46 (1H, m), 7.13 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.97 (2H, d, J = 8.6 Hz), 3.83 (3H, s), 2.25 (3H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ 179.21, 158.82, 147.03, 136.50, 135.84, 131.01, 130.96, 130.87, 129.25, 127.90, 127.18, 125.42, 55.12, 22.49.

    (2)2-(ヒドロキシメチル)-3-(4-メトキシフェニル)-4H-チオクロメン-4-オン

    上記(1)で得られた化合物(1.0 mmol, 282 mg) と SeO 2 (1.2 mmol, 133 mg) をクロロベンゼン5mlに溶解させ窒素雰囲気下12時間還流した。 原料の消失をNMRにより確認後、室温に戻し、飽和NaHCO 3を注ぎ反応を停止した。 塩化メチレンで有機物を抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルに通し、そのまま次の反応へ使用した。 得られた混合物をメタノール2mlに溶解させ、NaBH 4 (1.0 mmol, 38 mg)を加え窒素雰囲気下、0 0 Cで2時間攪拌した。 飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止後、有機層を酢酸エチルにより抽出し、硫酸マグネシウムにより乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン/酢酸エチルにより再結晶することで標記化合物を(0.41 mmol, 122 mg) を2段階収率41 %で得た。
    白色固体
    1 H -NMR (DMSO-d 6 )δ: 8.30 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.91 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.72 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.58 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.10 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.97 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.03 (1H, t, J = 5.8 Hz), 4.36 (2H, d, J = 5.8 Hz), 3.78 (3H, s). 13 C -NMR (DMSO-d 6 ) δ: 178.07, 158.62, 155.96, 136.86, 132.39, 131.53, 130.82, 130.39, 128.16, 127.63, 127.55, 127.28, 113.67, 61.81, 55.10. IR (CHCl 3 ) 1590, 1545, 1509, 1438, 1343, 1291, 1247, 1223, 1220, 1208, 1176, 1083, 1034, 822, 790, 781, 773, 762, 790, 739, 725, 669.
    HRMS(EI) calcd for C 17 H 14 O 3 S; 298.0664 found: 298.0666.

    (3)2-(ヒドロキシメチル)-3-(4-メトキシフェニル)-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    上記(2)で得られた化合物(1.0 mmol, 252 mg) と m-クロロ過安息香酸 (70 %) (2.1 mmol, 515 mg) を塩化メチレン(2.0 ml)に溶解させ、室温で8時間攪拌した。 飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を注ぎ反応を停止し、塩化メチレンにより有機物を抽出した。 さらに集めた有機層を飽和重曹水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を(0.85 mmol, 280 mg) を収率85 %で得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.21 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.09 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.89 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.35 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.00 (2H, d, J = 9.2 Hz), 4.63 (2H, s), 3.86 (3H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 178.94, 160.63, 147.08, 142.50, 139.96, 134.54, 133.33, 131.18, 129.22, 129.03, 122.99, 122.66, 113.80, 57.01, 55.32. IR (CHCl 3 ) 1667, 1607, 1511, 1442, 1297, 1253, 1208, 1180, 1155, 1128, 1055, 1031, 909, 857, 791, 774, 764, 750, 736, 730, 727, 669, 543.
    HRMS(EI) calcd for C 17 H 14 O 5 S; 330.0562 found: 330.0557.

    製造例3
    (1)3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-4H-チオクロメン-4-オン

    フェニルボロン酸に代えて、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸を用いること以外は、製造例2(1)及び(2)と同様にして、標記化合物を2段階収率43 %で得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.51 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.92 (1H, s), 7.72-7.67 (4H, m), 7.60-7.58 (1H, m), 4.55 (2H, s). 13 C -NMR (DMSO-d 6 ) δ: 177.61, 158.03, 138.38, 136.86, 131.98, 131.00, 130.37, 130.18, 130.11, 129.67, 128.10, 128.02, 127.42, 124.48, 122.32, 61.64. IR (CHCl 3 ) 1619, 1591, 1438, 1382, 1279, 1223, 1221, 1213, 1208, 1182, 1141, 904, 790, 774, 766, 753, 733, 706, 669.
    HRMS(EI) calcd for C 18 H 10 F 6 O 2 S; 404.0306 found: 404.0312.

    (2)3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    上記(1)で得られた化合物を、製造例2(3)と同様にして、標記化合物を得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.25 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.13 (1H, d, J= 7.9 Hz), 8.02 (1H, s), 7.96 (1H, dd, J= 7.9, 7.9 Hz), 7.92 (2H, s), 7.85 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 4.55 (2H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 177.79, 149.68, 139.85, 139.81, 135.22, 133.74, 132.58, 132.00, 131.73, 131.46, 130.20, 129.23, 128.56, 124.04, 123.39, 121.87, 56.54. IR (CHCl 3 ) 2253, 1465, 1379, 1280, 1223, 1208, 1145, 918, 790, 750.
    HRMS(EI) calcd for C 18 H 10 F 6 O 4 S; 436.0204 found: 436.0204.

    製造例4
    (1)(3-ヨード-4-オキソ-4H-チオクロメン-2-イル)メチル アセテート

    窒素雰囲気下、2-(ヒドロキシメチル)-4H-チオクロメン-4-オン (10.9 mmol, 2.1 g) を塩化メチレン5.0 ml、ピリジン5.0 ml に溶解させ0 o Cで無水酢酸(16.4 mmol, 1.7g) を滴下した。 薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認後飽和塩化アンモニウムにより反応を停止し、塩化メチレンにより有機物を抽出した。 硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥し、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製後、次の反応へ使用した。 先に得られた化合物 (3.2mmol, 750 mg) とヨウ素 (3.9 mmol, 970 mg) と硝酸セリウムアンモニウム (1.94g, 3.5 mmol) をアセトニトリル(30 ml) に溶解させ、60 o Cで5時間攪拌した。 薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認後、反応液を氷冷下10%飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液に注ぎ反応を停止した。 塩化メチレンを用いて有機物を抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物(2.7 mmol、964 mg) を収率84 %で得た。
    黄色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.57 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.66-7.58 (3H, m), 5.26 (2H, s), 2.26 (3H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 175.11, 169.63, 149.93, 136.21, 131.88, 129.90, 128.58, 127.61, 125.74, 100.34, 71.60, 20.58 . IR (CHCl 3 ) 1755, 7625, 1592, 1525, 1437, 1375, 1224, 1221, 1213, 1207, 1089, 790, 763, 754, 748, 744, 670.
    HRMS(FAB) calcd for C 12 H 9 IO 3 S(M + +H); 360.9395 found: 360.9399.

    (2)2-ヒドロキシメチル-3-ヨード-4H-チオクロメン-4-オン

    上記(1)で得られた化合物(0.027 mmol, 10 mg) をメタノールに溶解し、0 o Cで炭酸カリウム(0.015 mmol, 2.05 mg) を加え1時間撹拌した。 薄層クロマトグラフィーで原料消失を確認後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止し、塩化メチレンで抽出、硫酸ナトリウムで有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物 (0.019 mmol, 6.2 mg) を収率72 %で得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.57 (0H, d, J = 9.2 Hz), 7.68-7.65 (2H, m), 7.60-7.58 (1H, m), 4.83 (2H, s). 13 C -NMR (DMSO-d 6 ) δ: 174.36, 160.18, 137.08, 131.96, 128.54, 128.53, 127.37, 126.88, 96.49, 70.75. IR (CHCl 3 ) 1620, 1591, 1522, 1436, 1303, 1234, 1220, 1202, 1086, 956, 919, 851, 798, 790, 763, 749, 740, 734, 723, 670.
    HRMS(FAB) calcd for C 10 H 8 IO 2 S(M + +H); 318.9290 found: 318.9293.

    (3)3-ヨード-4-オキソ-4H-チオクロメン-2-カルボアルデヒド

    2-ヨードキシ安息香酸 (0.56mmol, 156 mg) をジメチルスルホキシド4.0 ml に溶解させ、上記(2)で得られた化合物(0.28 mmol, 100mg) を入れ室温で1時間撹拌した。 原料消失を薄層クロマトグラフィーにより確認後、反応溶液に水を注ぎ、析出した2-ヨードキシ安息香酸をグラスフィルターでろ過し、残渣を酢酸エチルにより抽出した。 集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去後カラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物(0.24 mmol, 76 mg) 収率 86 %で得た。
    黄色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 10.23 (1H, s), 8.56 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.73-7.72 (2H, m), 7.64-7.63 (1H, m). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 193.94, 175.35, 142.64, 135.06, 131.52, 128.86, 127.68, 127.03, 125.36, 109.72. IR (CHCl 3 ) 1693, 1633, 1223, 1216, 1210, 1208, 1081, 1023, 791, 789, 781, 770, 759, 750, 745, 740, 730, 722, 629.
    HRMS(FAB) calcd for C 10 H 8 IO 2 S; 315.9055 found: 315.9058.

    (4)鈴木―宮浦カップリング

    上記(3)で得られた化合物(1.0 mmol)とジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(0.03 mmol), 種々のボロン酸 (1.5 mmol) 及び 酢酸ナトリウム ( 4.0 mmol) を脱気したジメチルホルムアミド (3.2 ml) と水 (0.8 ml) に溶解させ、窒素雰囲気下50 o C で2時間攪拌した。 薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認した後、反応液に水を注ぎ反応を停止した。 有機物を酢酸エチルにより抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し次の反応に使用した。 得られた混合物をメタノール2mlに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム (1.0 mmol, 38 mg)を加え窒素雰囲気下0 0 Cで2時間攪拌した。 飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止後、有機物を酢酸エチルにより抽出し、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し標記化合物を得た。

    2-(ヒドロキシメチル)-3-(ナフタレン-2-イル)-4H-チオクロメン-4-オン

    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.49 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.83 (2H, t, J= 8.9 Hz), 7.75 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.62-7.60 (2H, m), 7.62-7.60 (3H, m), 7.52-7.44 (3H, m), 7.22 (1H, dd, J = 8.6, 1.8 Hz), 4.47 (2H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 179.46, 153.77, 137.06, 134.14, 133.34, 132.86, 132.84, 131.29, 131.03, 129.13, 128.45, 128.29, 127.99, 127.71, 127.58, 127.25, 126.65, 126.29, 126.14, 63.33.


    HRMS(EI) calcd for C

    20 H

    14 O

    2 S; 318.0715 found: 318.0715.

    3-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-4H-チオクロメン-4-オン

    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.51 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.64 (1H, d, J = 6.7 Hz), 7.60-7.58 (1H, m), 7.52-7.49 (1H, m), 7.06 (2H, d, J= 8.6 Hz), 6.79 (2H, d, J = 8.6 Hz), 4.59 (2H, s), 2.98 (6H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 179.72, 151.56, 150.10, 136.87, 134.87, 131.20, 131.09, 130.26, 129.30, 127.39, 126.53, 112.61, 63.72, 40.57. IR (CHCl

    3 ) 1668, 1465, 1381, 1305, 1222, 1208, 1156, 1128, 1097, 913, 790, 766, 739, 726, 722, 669, 650, 544.


    HRMS(FAB) calcd for C

    18 H

    17 NO

    2 S; 311.0980 found: 311.0982.

    3-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-4H-チオクロメン-4-オン

    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.49 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.92 (2H, d, J= 6.7 Hz), 7.63-7.60 (2H, m), 7.52-7.50 (1H, m), 7.43-7.30 (4H, m), 7.24 (1H, t, J = 8.2 Hz), 4.49 (2H, d, J = 15.3 Hz), 4.42 (2H, d, J = 15.3 Hz).

    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.80, 155.90, 153.54, 137.05, 131.34, 130.94, 129.21, 128.66, 127.64, 127.25, 126.66, 124.64, 124.21, 123.02, 122.90, 120.73, 120.69, 119.25, 111.73, 63.35. IR (CHCl

    3 ) 1450, 1412, 1349, 1222, 12089, 1190, 1092, 909, 834, 788, 775, 764, 752, 741, 735, 733, 723.


    HRMS(EI) calcd for C

    22 H

    14 O

    2 S; 358.0664 found: 358.0665.

    3-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-4H-チオクロメン-4-オン

    白色固体


    1 H -NMR (DMSO-d

    6 ) δ: 8.32 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.94 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.75 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.61 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 6.51 (1H, dd, J = 2.4, 2.4 Hz), 6.34 (2H, d, J = 2.4 Hz), 6.06 (1H, t, J = 5.5 Hz), 4.39 (2H, d, J = 5.5 Hz), 3.75 (6H, s).

    13 C -NMR (DMSO-d

    6 ) δ: 177.68, 160.43, 156.18, 137.74, 136.84, 132.67, 131.61, 130.40, 128.11, 127.70, 127.32, 107.41, 99.52, 61.60, 55.25. IR (CHCl

    3 ) 1592, 1456, 1438, 1422, 1328, 1292, 1224, 1221, 1207, 1156, 1085, 1064, 835, 790, 746, 735, 727, 669.


    HRMS(FAB) calcd for C

    18 H

    16 O

    4 S; 328.0769 found: 328.0768.

    (5)酸化反応

    上記(4)で得られた化合物(1.0 mmol) と m-クロロ過安息香酸 (70 %) (2.1 mmol) をクロロホルム(2.0 ml)に溶解させ、室温で8時間攪拌した。 飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液 を注ぎ反応を停止し、塩化メチレンにより有機物を抽出した。 さらに集めた有機層を飽和重曹水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を得た。

    2-(ヒドロキシメチル)-3-(ナフタレン-2-イル)-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.23 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.13 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.95-7.89 (5H, m), 7.80 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.59-7.54 (2H, m), 7.43 (1H, dd, J = 8.6, 1.2 Hz), 4.65 (2H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.77, 148.03, 142.75, 140.06, 134.68, 133.47, 133.42, 132.65, 129.33, 129.16, 129.09, 128.51, 128.15, 128.03, 127.77, 127.30, 126.74, 126.48, 123.11, 57.07. IR (CHCl

    3 ) 1668, 1465, 1381, 1305, 1222, 1208, 1156, 1128, 1097, 913, 790, 766, 739, 726, 722, 669, 650, 544.

    3-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.26 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.16 (1H, d, J= 7.9 Hz), 8.08 (1H, dd, J = 6.7, 1.8 Hz), 7.99 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.93 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.81 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.49-7.46 (4H, m), 7.38-7.37 (1H, m), 4.84 (1H, s), 4.49 (1H, s).

    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 177.50, 156.07, 153.34, 149.76, 140.24, 138.50, 134.71, 133.39, 129.18, 129.01, 128.04, 127.74, 124.83, 123.66, 123.26, 123.17, 122.83, 122.39, 120.87, 115.37, 111.90, 57.50. IR (CHCl

    3 ) 1794, 1670, 1589, 1466, 1380, 1305, 1222, 1208, 1156, 1128, 1096, 912, 789, 775, 757, 739, 729, 717, 669, 650.


    HRMS(EI) calcd for C

    22 H

    14 O

    5 S; 390.0562 found: 390.0561.

    3-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.22 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.10 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.90 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.80 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 6.56 (1H, t, J = 2.1 Hz), 6.49 (2H, d, J = 2.1 Hz), 4.63 (2H, s), 3.81 (6H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.41, 160.71, 148.01, 142.63, 140.06, 134.67, 133.42, 132.34, 129.16, 129.09, 123.11, 107.39, 101.74, 57.02, 55.50. IR (CHCl

    3 ) 1670, 1591, 1456, 1425, 1298, 1223, 1214, 1208, 1157, 1129+, 1065, 1013, 840, 789, 755, 729, 690, 541.


    HRMS(FAB) calcd for C

    18 H

    16 O

    6 S; 360.0668 found: 360.0665

    製造例5
    (1)2-ヨード-3-メチル-1H-ベンゾ[f]チオクロメン-1-オン

    3-メチル-1H-ベンゾ[f]チオクロメン-1-オン(1.0 mmol, 176 mg)とヨウ素(1.2 mmol, 305mg), 硝酸セリウムアンモニウム(1.1 mmol, 603mg)をアセトニトリル(4.0ml)に溶解させ、窒素雰囲気下60 o Cで4時間攪拌した。 薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認後、反応液を氷冷下10%飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液の溶液に注ぎ反応を停止した。 塩化メチレンを用いて有機物を抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物(0.74 mmol、260mg) を収率74%で得た。
    黄色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 10.01 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.86 (1H, d, J= 9.2 Hz), 7.80 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.69 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.58 (1H, dd, J = 8.6, 7.9 Hz), 7.36 (1H, d, J = 9.2 Hz), 2.56 (3H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 176.92, 147.69, 139.08, 132.95, 132.66, 131.70, 129.03, 128.35, 127.32, 127.17, 121.96, 121.83, 108.60, 31.73. IR (CHCl 3 ) 1607, 1561, 1505, 1212, 1117, 909, 814, 787, 781, 766, 755, 748, 742, 730, 727, 670, 668, 650.
    HRMS(EI) calcd for C 14 H 9 IOS; 351.9419 found: 351.9419

    (2)3-メチル-2-フェニル-1H-ベンゾ[f]チオクロメン-1-オン

    上記(1)で得られた化合物(1.0 mmol, 352 mg)とジクロロトリフェニルホスフィンパラジウム (0.03 mmol, 21 mg), フェニルボロン酸(1.3 mmol, 159 mg) 及び 炭酸カリウム( 4.0 mmol, 552 mg) を脱気したジメチルホルムアミド (3.2 ml) と水 (0.8 ml) に溶解させ、窒素雰囲気下80 o C で4時間攪拌した。 薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認した後、反応液に水を注ぎ反応を停止した。 有機物を酢酸エチルにより抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を(0.98 mmol, 296 mg,) を収率93 %で得た。
    黄色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 10.03 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.88 (1H, d, J= 8.6 Hz), 7.81 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.63-7.61 (1H, m), 7.55-7.54 (1H, m), 7.45-7.38 (4H, m), 7.24 (2H, d, J = 6.7 Hz), 2.20 (3H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 181.34, 143.10, 139.08, 136.58, 132.58, 132.48, 132.35, 132.15, 132.07, 129.67, 128.63, 128.39, 128.24, 127.45, 127.06, 126.81, 125.97, 122.94, 21.67. IR (CHCl 3 ) 1710, 1617, 1580, 1505, 1439, 1424, 1378, 1360, 1339, 1294, 1222, 1209, 1197, 1162, 1116, 908, 814, 787, 771, 757, 739, 727, 721, 700, 649.
    HRMS(EI) calcd for C 20 H 14 OS; 302.0765 found: 302.0765.

    (3)3-(ヒドロキシメチル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[f]チオクロメン-1-オン

    窒素雰囲気下、上記(2)で得られた化合物(0.33mmol, 100 mg) とNBS (58 mg, 0.39 mmol) 及びアゾビスイソブチロニトリル (5.0 mg) を四塩化炭素 (3.0 ml) に溶解させ、一晩還流した。 アリル位が臭素化された化合物(本文中の化合物(19)に対応)の存在を核磁気共鳴スペクトルにより確認し、そのまま次の反応へ使用した。 該化合物と炭酸銀(0.55 mmol, 150 mg) をジオキサン (5.0 ml) と水 (2.0 ml) に溶解させ3日間還流した。

    化合物の生成をNMRにより確認し、炭酸銀をろ過で除いた後、溶媒を減圧濃縮した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物(0.31 mmol, 9.8 mg) を2段階収率11%で得た。
    黄色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 10.00 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.96 (1H, d, J= 8.6 Hz), 7.86 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.65-7.56 (3H, m), 7.46 (2H, dd, J= 7.9, 7.9 Hz), 7.40-7.39 (1H, m), 7.22-7.21 (2H, m), 4.51 (2H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 181.42, 148.87, 139.77, 137.14, 135.83, 132.73, 132.32, 129.40, 128.83, 128.71, 128.37, 128.00, 127.14, 127.10, 126.12, 123.94, 62.97. IR (CHCl 3 ) 1593, 1506, 1424, 1339, 1295, 1223, 1221, 1211, 1208, 1196, 1115, 967, 899, 814, 787, 780, 770, 760, 747, 740, 701, 669, 593.
    HRMS(EI) calcd for C 20 H 14 O 2 S; 318.0715 found: 318.0718.

    (4)3-(ヒドロキシメチル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[f]スルホニルクロメン-1-オン

    上記(2)で得られた化合物(0.1 mmol, 32 mg) と m-クロロ過安息香酸 (70 %) (0.21 mmol, 72 mg) を塩化メチレン(2.0 ml)に溶解させ、室温で8時間攪拌した。 飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液 を注ぎ反応を停止し、塩化メチレンにより抽出した。 さらに集めた有機層を飽和重曹水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を(0.081 mmol, 28 mg) を収率81 %で得た。
    黄色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 9.00 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.34 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.12 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.98 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.75-7.71 (2H, m), 7.52-7.47 (5H, m), 4.63 (2H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) d: 182.30, 145.07, 145.02, 140.20, 136.02, 135.43, 131.12, 130.85, 129.72, 129.55, 129.48, 129.24, 129.02, 128.50, 127.42, 126.90, 118.52, 117.68, 56.98. IR (CHCl 3 ) 1794, 1465, 1380, 1301, 1222, 1209, 1128, 1096, 904, 788, 768, 756, 744, 730, 719, 669, 650, 543.
    HRMS(EI) calcd for C 20 H 14 O 4 S; 350.0613 found: 350.0617.

    製造例6(ジオール保護基の合成)
    (1)メチル 2-(4-オキソ-3-フェニル-4H-チオクロメン-2-イル)アセテート

    窒素雰囲気下、ジイソプロピルアミン (0.14ml) をテトラヒドロフラン (1.0 ml) に溶解させ0 o Cでn-ブチルリチウム(1.6 M ヘキサン溶液) 0.65 mlを滴下した。 -78 ℃に冷却し、ヘキサメチルホスホラミド (1.0 ml) に溶解させた製造例1(2)で得られた化合物(2-メチル-3-フェニル-4H-チオクロメン-4-オン) (0.5 mmol, 126 mg) を滴下し、5分間攪拌した。 さらにテトラヒドロフラン(0.5ml)に溶解させたシアノ蟻酸メチル(44μl) を滴下し、30分攪拌した。 反応を飽和塩化アンモニウムにより停止し、酢酸エチルにより有機物を抽出、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥させた。 溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を (0.34 mmol, 107 mg)得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 )δ: 8.51 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.61-7.59 (2H, m), 7.54-7.53 (1H, m), 7.44-7.43 (2H, m), 7.40-7.38 (1H, m), 7.20 (2H, d, J= 6.7 Hz), 3.66 (3H, s), 3.55 (2H, s). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 179.43, 169.12, 142.64, 138.31, 136.40, 135.33, 131.50, 131.03, 129.64, 129.48, 128.59, 128.06, 127.66, 125.86, 52.55, 40.87.
    IR (CHCl 3 ) 2253, 1793, 1740, 1618, 1592, 1463, 1437, 1380, 1344, 1266, 1222, 1209, 1173, 1096, 911, 791, 753, 729, 709, 650, 619, 543.
    HRMS(EI) calcd for C 18 H 14 O 3 S310.0664; found: 310.0675

    (2)メチル 2-ヒドロキシ-2-(4-オキソ-3-フェニル-4H-チオクロメン-2-イル)アセテート

    窒素雰囲気下、上記(1)で得られた化合物 ( 0.16 mmol, 50 mg) をテトラヒドロフラン(3.0 ml) に溶解させ-78 o Cに冷却した。 リチウムヘキサメチルジシラジド (1.0 M solution) 0.24 mlを滴下し、10分間攪拌した。 そこにデービス 試薬(0.32 mmol, 84 mg) を入れ30分攪拌した。 原料の消失を薄層クロマトグラフィーで確認後、反応液に飽和アンモニウム水溶液を入れ反応を停止し、酢酸エチルにより有機物を抽出し、硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥させた。 溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトフラフィーにより精製し、標記化合物 (0.15 mmol, 50 mg) を収率95 %で得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.49 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.63-7.61 (2H, m), 7.54-7.52 (1H, m), 7.46-7.45 (3H, m), 7.42-7.40 (2H, m), 7.31-7.29 (4H, m), 5.24 (1H, d, J = 3.7 Hz), 3.80 (3H, s), 3.64 (1H, d, J = 4.3 Hz). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 179.70, 171.85, 147.74, 137.85, 136.02, 135.02, 131.66, 130.89, 129.36, 128.12, 127.66, 126.57, 71.47, 53.76. IR (CHCl 3 ) 2990, 2904, 2610, 2253, 1793, 1738, 1622, 1594, 1465, 1380, 1223, 1208, 1165, 1096, 920, 790, 758, 748, 739, 729, 726, 651, 620, 641.
    HRMS(EI) calcd for, C 18 H 14 O 2 S; 326.0613; found: 326.0619.

    (3)2-(1,2-ジヒドロキシエチル)-3-フェニル-4H-チオクロメン-4-オン

    窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム (1.7 mg, 0.045 mg) をテトラヒドロフラン(0.5 ml) に溶解させ、テトラヒドロフラン(1.0 ml) に溶解させた上記(2)で得られた化合物(0.06 mmol, 20 mg) を-78 o Cで滴下した。 原料消失を薄層クロマトグラフィーにより確認後、1規定塩酸を加え反応を停止し、酢酸エチルにより有機物を抽出した。 硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥させ、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製しアルデヒド体を得た。 さらに得られたアルデヒド体をメタノール(1.0 ml) に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム (0.06 mmol, 2.3 mg) と0 o Cで1時間攪拌した。 飽和塩化アンモニウム水溶液により反応を停止し、酢酸エチルにより有機物を抽出、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥させた。 溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物(0.02 mmol, 5.3 mg) を収率30 %で得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.48 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.67 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.63 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.53 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.46-7.38 (3H, m), 7.20-7.18 (2H, m), 4.89-4.88 (1H, m), 3.71-3.66 (2H, m), 2.94 (1H, d, J= 3.7 Hz, OH), 1.90 (1H, dd, J= 6.4, 6.4 Hz, OH). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 179.72, 154.33, 137.25, 135.50, 135.11, 131.47, 130.71, 129.00, 128.78, 127.98, 127.65, 126.71, 72.45, 65.72. IR (CHCl 3 ) 2990, 2904, 2627, 2421, 2253, 1793, 1644, 1562, 1465, 1380, 1222, 1209, 1096, 841, 787, 742, 727, 650, 620, 542.
    HRMS(EI) calcd for C17H14O3S, 298.0664; found: 198.0669.

    (4)2-(1,2-ジヒドロキシエチル)-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    上記(3)で得られた化合物(1.0 mmol, 298 mg) と m-クロロ過安息香酸 (70 %) (2.1 mmol, 516 mg) を塩化メチレン(2.0 ml)に溶解させ、室温で8時間攪拌した。 飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液 を注ぎ反応を停止し、塩化メチレンにより有機物を抽出した。 さらに集めた有機層を飽和重曹水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し標記化合物(0.85 mmol, 280 mg)を得た。
    白色固体
    1 H -NMR (CDCl 3 ) δ: 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.09 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.47 (3H, m), 7.26 (2H, m), 4.78 (1H, m), 4.06 (1H, m), 3.96 (1H, m), 3.39(1H, m, OH), 2.63 (1H, m, OH).
    13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 178.63, 148.66, 143.92, 140.61, 134.69, 133.47, 131.15, 129.53, 129.06, 129.04, 128.92, 128.61, 122.83, 72.58, 64.46. IR (CHCl 3 ) 2253, 1794, 1731, 1668, 1466, 1380, 1307, 1222, 1208, 1155, 1128, 1096, 906, 790, 727, 719, 650, 541.
    HRMS(FAB) calcd for C 17 H 14 O 5 S (M + +Na), 353.0460; found: 353.0468.

    I. アミノ基の保護及び脱保護
    実施例I−1(アミン保護体の合成)
    窒素雰囲気下、各種アミン(0.1mmol)を塩化メチレン(1.0 ml)、ピリジン(1.0 ml)に溶解させ、塩化メチレン0.5 mlに溶解させた製造例1(5)で得られた化合物(1.5 mmol)
    を0℃で滴下し、室温で1時間攪拌した。 生成物を薄層クロマトグラフィーにより確認後、水を加え反応を停止し、塩化メチレンによって有機物を抽出し、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記の化合物を得た。

    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル ブチルカルバメート

    収率 96%


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.11 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.3Hz), 7.77 (1H, dd, J = 7.9, 7.3 Hz), 7.47-7.46 (3H, m), 7.28-7.26 (2H, m), 5.05 (2H, s), 4.84 (1H, s), 3.17 (2H, dd, J = 7.3, 6.7 Hz), 1.47(2H, m), 1.32(2H, m), 0.91(3H, t, J= 7.3 Hz).


    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.63, 154.96, 145.66, 143.82, 140.89, 134.68, 133.18, 131.04, 129.64, 129.10, 129.04, 128.88, 128.48, 123.11, 58.71, 40.99, 31.84, 19.82, 13.70.


    IR (CHCl

    3 ) 1732, 1669, 1589, 1516, 1428, 1312, 1224, 1161, 1077, 699, 600, 535


    HRMS(FAB) calcd for C

    21 H

    21 NO

    5 S(M

    + +Na) 422.1038; found: 422.1042

    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル) メチル ジエチルカルバメート

    収率 91%


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.11 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.9Hz), 7.76 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.47-7.46 (3H, m), 7.28-7.26 (2H, m), 5.06 (2H, s), 3.29 (4H, m), 1.15 (3H, t, J =6.7 Hz), 1.12 (3H, t, J =4.5 Hz).


    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.59, 154.44, 146.00, 143.48, 141.11, 134.62, 133.06, 131.12, 129.58, 129.04, 128.98, 128.81, 128.47, 123.04, 59.24, 41.99, 41.36, 13.93, 13.31.


    IR (CHCI

    3 ) 1738, 1701, 1669, 1590, 1476, 1428, 1381, 1313, 1271, 1169, 1077, 906, 856, 541, 524.


    HRMS(FAB) calcd for C

    21 H

    21 NO

    5 S(M

    + +Na) 422.1038; found: 422.1036

    ベンジル (((4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)-3-フェニルプロパノエート

    収率 95%


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.15 (1H, d, J = 7.3Hz), 8.08 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.84 (1H, dd, J = 7.9, 7.3Hz), 7.72 (1H, dd, J = 7.3, 7.9Hz), 7.44 (3H, m), 7.42-7.41 (3H, m), 7.34-7.32 (3H, m), 7.27-7.20 (7H, m), 7.04-7.02 (2H, m), 5.45 (1H, d, J = 7.9Hz), 5.11 (1H, d, J = 12.8Hz), 5.11 (2H, s), 4.97 (1H, d, J = 12.8Hz), 4.64 (1H, m), 3.08 (2H, d, J = 5.5Hz).


    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.45, 170.76, 154.03, 144.95, 144.12, 140.59, 135.29, 134.89, 134.59, 133.07, 130.79, 129.52, 129.30, 128.96, 128.90, 128.74, 128.47, 128.40, 128.31, 126.97, 123.01, 67.12, 58.53, 54.89


    IR (CHCl

    3 ) 1731, 1668, 1589, 1507, 1443, 1389, 1313, 1233, 1223, 1208, 1162, 1139, 1078, 853, 699, 666, 543, 524.


    HRMS(FAB) calcd for C

    33 H

    27 NO

    7 S(M

    + +Na) 604.1406; found:604.1399

    tert-ブチル 3-メチル-2-(((4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)ブタノエート

    収率 94%


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.16 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.10 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.87 (1H, dd, J = 7.9, 7.3Hz), 7.76 (1H, dd, J = 7.3, 7.3 Hz), 7.45-7.44 (3H, m), 7.28-7.26 (2H, m), 5.46 (1H, d, J= 8.5 Hz), 5.15 (1H, d, J = 13.4 Hz), 4.96 (1H, d, J = 12.8 Hz), 4.13-4.09 (1H, m), 2.17 (1H, m), 1.46 (9H, s), 0.95 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.89 (3H, d, J = 7.3 Hz).


    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.59, 170.55, 154.61, 145.21, 143.96, 140.64, 134.55, 133.03, 129.45, 128.94, 128.90, 128.69, 128.29, 123.00, 81.83, 59.37, 58.35, 31.34, 18.64, 17.27


    HRMS(FAB) calcd for C

    26 H

    29 NO

    7 S(M

    + +Na) 522.1562; found: 522.1560

    (S)-ベンジル 2-((S)-3-メチル-2-(((4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)ブタンアミド)-3-フェニルプロパノエート

    収率 81%


    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.16 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.07 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.85 (1H, dd, J = 7.9, 7.3 Hz), 7.74 (1H, dd, J = 7.9, 7.3 Hz), 7.45 (3H, m), 7.33-7.17 (10H, m), 7.01 (2H, m), 6.57 (1H, d, J = 7.3 Hz), 5.40 (1H, d, J= 8.6 Hz), 5.11 (1H, d, J = 13.4 Hz), 5.06 (2H, s), 5.03 (1H, d, J= 12.2 Hz), 4.89 (1H, m), 3.96 (1H, dd, J= 8.6, 5.5 Hz), 3.04 (2H, m), 2.12 (1H, m), 0.87 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.74 (3H, d, J = 6.7 Hz).


    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.29, 170.94, 170.38, 154.71, 145.02, 143.71, 140.75, 135.64, 135.01, 134.57, 133.09, 130.93, 129.53, 129.18, 128.99, 128.92, 128.74, 128.47, 128.36, 128.34, 126.94, 67.03, 60.35, 59.08, 53.02, 37.65, 30.40, 19.01, 17.15.


    HRMS(FAB) calcd for C

    38 H

    36 N

    2 O

    8 S(M

    + +Na) 703.2090; found: 703.2092

    実施例I−2(アミン保護体の光解離反応)
    実施例1で得られたアミン保護体に光照射を行った。 H-NMRで反応を追跡するために、重メタノールで溶液の濃度を2×10 -2 Mに調製した。 次に、調製した溶液を凍結脱気し、NMRチューブに移した。 超高圧水銀ランプを用いて、パイレックス(登録商標)フィルターで280nm以下の波長をカットし、室温で光照射を行った。 その結果を下記表に示す。

    また、Entry 3における0分と60分後の1 H-NMR(CD 3 OD)を測定し、光解離反応の進行を確認した。 その結果を図1に示す。 光照射0分では、4.6 ppm付近の保護基由来のアリル位の2Hのピークが、確認できる。 しかしながら、60分の光照射後には、4.6 ppm付近のピークは消失し、それにともなって、四環性化合物由来のオレフィンの2Hのピークを確認した。 さらに、4.2 ppm付近のトリプレットの1Hも3.6 ppmと高磁場側にシフトしたことから、光解離反応により、フェニルアラニンのベンジルエステルが生成していることがわかった。

    実施例I−3(アミン保護体の光解離反応)
    Entry 3の保護体(0.02mmol, 12mg)をメタノールで溶液の濃度2×10 -2 Mになるように調製した。 次に、調製した溶液を凍結脱気し、窒素置換したパイレックス(登録商標)製の反応試験管に移した。 超高圧水銀ランプを用いて、90分間の光照射を行った。 光照射後、メタノールを減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、フェニルアラニンベンジルエステル(0.018mmol, 4mg)を94%で得た。

    実施例I−4(紫外可視及び蛍光スペクトルによる反応追跡)
    Entry 3の保護体(0.008mmol, 5mg)をメタノールで溶液の濃度1×10 -5 Mになるように調製した。 次に、調製した溶液を凍結脱気し、窒素置換した石英セル(セル長1cm)に移した。 超高圧水銀ランプを用い、モノクロメーターを通して313nmの光のみを照射した。

    光照射0分、2分、4分、6分、10分、14分、20分、28分、40分で紫外可視スペクトル(図2)と蛍光スペクトル(図3)で反応の追跡を行った。

    図2より、紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、光照射時間が0分のとき350nnm 付近の吸光度が0.02であるのに対して、2分では0.04 、4分では0.06、 6分では0.08、 10分では0.09、 14分では0.10、 20分では0.11 、28分では0.115、40 分では0.12と、光照射時間が増えるに連れて350nm付近の吸収が増加していることがわかった。 これは四環性化合物由来のものであり、別途1.0×10 -5 Mに調製した同濃度の四環性化合物の紫外可視スペクトルにほぼ一致した。

    図3より、励起波長365nmで蛍光分析を行った。 光照射40分後と60分後では、蛍光強度にほとんど変化は見られなかったので、光照射40分を測定終了時間とした。 また、444nmの蛍光強度が、0分では4.4であるのに対し、40分の光照射後には751であった。 光解離反応開始前と終了後を比べると、約187 倍の蛍光を発していることがわかった。 よって、アミン保護体の光解離反応によるアミンの放出を高感度に検出することができることが証明できた。

    実施例I−5(光解離性保護基を用いたペプチド合成)
    (1)製造例1(5)で得られた化合物とL−バリンのt-ブチルエステルを反応させて得られた化合物(0.24mmol, 121mg)をトリフルオロ酢酸(7ml)と塩化メチレン(10ml)に溶解させ、0℃で10分間撹拌し、室温に戻し、さらに2時間撹拌した。 溶媒を減圧留去し、 1 H-NMRで第三級ブチル基の消失を確認した。

    (2)続けて、フェニルアラニンのベンジルエステル(0.26mmol, 68mg)を塩化メチレン(5ml)に溶解させ、ジイソプロピルカルボジイミド(0.26mmol, 41ml)を0℃で加えた。 10分間撹拌し、室温に戻し、さらに5時間撹拌した。 水を加えて反応を停止させ、塩化メチレンで有機物を抽出した。 硫酸マグネシウムで集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧除去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N末端が保護されたジペプチド(バリン−フェニルアラニン)化合物(0.19mmol, 133mg)を収率81%で得た。

    (3)該N末端が保護されたジペプチド化合物を、実施例I−4と同様にして光解離反応させて保護基を除去し、ジペプチド化合物を収率97%で得た。

    II. 水酸基の保護及び脱保護
    実施例II−1
    窒素雰囲気下、各種アルコール(0.1mmo)を塩化メチレン(1.0 ml)、ピリジン(1.0 ml)に溶解させ、塩化メチレン0.5 mlに溶解させた製造例1(5)で得られた化合物 (1.5 mmol) を0 0 C で滴下し、室温で3時間攪拌した。 生成物を薄層クロマトグラフィーにより確認後、水を加え反応を停止し、塩化メチレンによって有機物を抽出し、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記のカーボネート化合物を得た。

    エチル (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    収率 98 %


    黄色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 /TMS) (ppm)δ: 8.11(1H, J = 8.0 Hz, d), 8.04(1H, J = 8.0 Hz, d), 7.83(1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.70(1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.41-7.19(3H, m), 5.02(2H, s), 4.12(2H, J = 7.3 Hz, q), 1.24(3H, J = 7.3 Hz).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.45, 154.100, 144.768, 144.12, 140.53, 134.77, 133.26, 130.67, 129.74, 129.07, 128.94, 128.92, 128.48, 123.19, 64.87, 60.52, 14.18. IR (CHCl

    3 ) 1798, 1751, 1669, 1589, 1465, 1378, 1314, 1285, 1222, 1209, 1164, 1140, 1095, 997, 919, 791, 759, 727, 650, 542.


    HRMS(FAB) calcd for C

    19 H

    16 O

    6 S(M+Na)

    + 495.0565; found: 495.0571.

    オクチル (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    収率 76 %


    黄色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 /TMS) (ppm)δ: 8.18 (1H, J = 8.0 Hz, d), 8.11 (1H, J = 8.0 Hz, d), 7.89 (1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.78 (1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.49-7.48(3H, m), 7.30-7.26(2H, m), 5.10(2H, s), 4.14(2H, J = 6.7 Hz, t), 1.68-1.63(2H, m), 1.34-1.27(m, 10H), 0.88(3H, J = 6.8 Hz, t).

    13 C-NMR(CDCl

    3 ) δ: 178.49, 154.27, 144.79 ,144.20, 140.58, 134.80, 133.28, 130.71, 120.65, 129.77, 129.11, 128.98, 128.95, 128.50, 123.24, 69.08, 31.75, 29.13, 28.55, 25.57, 22.62, 14.09. IR (CHCl

    3 ) 2958, 2929, 2852, 1756, 1669, 1589, 1493, 1466, 1463, 1397, 1362, 1335, 1256, 1223, 1231, 1208, 1163, 1140, 1123, 1071, 1030, 949, 850, 790, 778, 770, 759, 743, 735, 727, 725, 699.


    HRMS(FAB) calcd for C

    25 H

    28 O

    6 S(M

    + +Na) 479.1507; found: 479.1502.

    ベンジル (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    収率 58 %


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.19 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.12 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.90 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.48-7.43 (3H, m), 7.37-7.34 (4H, m), 7.27-7.26 (3H, m), 5.17 (2H, s), 5.11 (2H, s).

    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.48, 154.10, 145.00, 144.00, 140.53, 134.81, 133.31, 130.64, 129.79, 129.09, 128.97, 128.63, 128.58, 128.53, 128.50, 128.36, 126.99, 123.26, 70.33, 60.71. IR (CHCl

    3 ) 2546, 2253, 1794, 1752, 1669, 1465, 1382, 1315, 1267, 1223, 1208, 1164, 1127, 1096, 903, 792, 781, 728, 716, 650, 620.


    HRMS(FAB) calcd for C

    24 H

    18 O

    6 S(M

    + +Na) 457.0724; found: 457.0719.

    イソプロピル (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    収率 67 %


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.11 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.89 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.50-7.47 (3H, m), 7.30-7.29 (2H, m), 5.09 (2H, s), 4.88 (1H, sept. J = 6.1 Hz), 1.30 (6H, d, J= 6.1 Hz).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.46, 153.62, 144.65, 144.29, 140.57, 134.76, 133.24, 130.70, 129.70, 129.07, 128.93, 128.90, 128.45, 123.20, 73.11, 60.27, 21.67. IR (CHCl

    3 ) 1744, 1663, 1589, 1467, 1443, 1373, 1365, 1267, 1223, 1210, 1208, 1163, 1141, 1123, 1092, 942, 910, 853, 833, 799, 774, 757, 744, 739, 727, 699, 669.


    HRMS(FAB) calcd for C

    20 H

    18 O

    6 S(M

    + +Na) 409.0724; found: 409.0722.

    シクロヘキシル (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    収率 53 %


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.19 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.12 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.90 (1H, dd, J = 7.6, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.3, 7.9 Hz), 7.49-7.47 (3H, m), 7.31-7.30 (2H, m), 5.09 (2H, s), 4.62-4.60 (1H, m), 1.91-1.89 (2H, m), 1.75-1.73 (2H, m), 1.58-1.50 (3H, m), 1.33-1.28 (3H, m).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.48, 153.67, 144.62, 144.38, 140.61, 134.78, 133.26, 130.75, 129.73, 129.10, 128.94, 128.92, 128.49, 123.23, 77.89, 60.34, 31.42, 25.15, 23.60. IR (CHCl

    3 ) 1745, 1669, 1583, 1444, 1332, 1315, 1272, 1256, 1222, 1208, 1165, 1140, 1126, 1070, 1033, 1005, 981, 850, 789, 781, 757, 747, 727, 699, 669.


    HRMS(FAB) calcd for C

    23 H

    22 O

    6 S (M

    + +Na) 449.1035; found: 449.1026.

    (1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル-(4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    収率 30 %


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.11 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.77 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.47-7.45 (3H, m), 7.30-7.30 (2H, m), 5.12 (1H, d, J = 12.8 Hz), 5.04 (1H, d, J = 12.8 Hz), 4.51 (1H, td, J = 11.0, 4.3 Hz), 2.07-2.05 (1H, m), 1.97-1.96 (1H, m), 1.68-1.66 (2H, m), 1.44-1.42 (2H, m), 1.09-1.00 (2H, m), 0.92-0.88 (6H, m), 0.78 (3H, d, J= 6.7 Hz).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.43, 153.81, 144.60, 144.31, 140.56, 134.70, 133.17, 130.71, 129.64, 129.03, 128.89, 128.83, 128.39, 123.19, 79.46, 60.25, 46.77, 40.44, 33.97, 31.31, 25.88, 23.23, 21.88, 20.62, 16.19. IR (CHCl

    3 ) 1745, 1668, 1589, 1444, 1372, 1314, 1265, 1222, 1212, 1208, 1163, 1140, 1071, 951, 913, 847, 787, 785, 781, 779, 777, 775, 769, 767, 763, 758, 747, 738, 731, 699.


    HRMS(ESI) calcd for C

    27 H

    30 O

    6 S (MH)

    - 481.1684; found: 481.1685.

    (3S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-オキソ-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル-(4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    収率 23 %


    黄色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.07 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.00 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.79 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.68 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.39-7.38 (3H, m), 7.22-7.20 (2H, m), 5.33 (1H, d, J= 4.9 Hz), 5.00 (2H, s), 4.38 (1H, td, J= 11.0, 5.5 Hz), 2.39-2.28 (3H, m), 2.03-1.95 (2H, m), 1.85-1.76 (4H, m), 1.61-1.55 (4H, m), 1.43-1.39 (2H, m), 1.20-1.18 (2H, m), 1.05-1.02 (1H, m), 0.92 (3H, s), 0.79 (3H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.22, 153.30, 144.39, 144.04, 140.35, 139.27, 134.63, 133.11, 130.57, 129.51, 128.93, 128.71, 128.69, 128.27, 122.96, 122.07, 78.38, 77.21, 60.30, 53.36, 51.43, 49.84, 47.27, 37.62, 36.53, 36.44, 35.60, 31.21, 31.18, 30.54, 27.29, 21.65, 20.11, 19.09 , 13.34. IR (CHCl

    3 ) 1736, 1669, 1589, 1467, 1443, 1375, 1314, 1267, 1252, 1221, 1219, 1210, 1164, 1140, 1070, 1020, 970, 943, 906, 850, 788, 769, 757, 751, 741, 732, 727, 669.


    HRMS(ESI) calcd for C

    36 H

    38 O

    7 S (MH)

    - 613.2259; found: 613.2260.

    (2S,3R,4S,5R,6R)-2-メトキシ-6-((((4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メトキシ)カルボニルオキシ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイル トリアセテート

    収率 46 %


    黄色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.07 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.89 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.50-7.49 (3H, m), 7.29-7.28 (3H, m), 5.56 (1H, dd, J= 9.8, 9.8 Hz), 5.20 (1H, d, J= 12.8 Hz), 5.05 (1H, d, J = 12.8 Hz), 4.97 (2H, d, J = 10.4 Hz), 4.93 (2H, d, J = 3.7 Hz), 4.88 (1H, dd, J = 10.4, 3.7 Hz), 4.29 (1H, dd, J = 12.5, 4.6 Hz), 4.19 (1H, dd, J = 12.5, 2.4 Hz), 4.04-4.02 (1H, m), 3.40 (3H, s), 2.09 (3H, s), 2.07 (3H, s), 2.02 (3H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.35, 170.58, 170.15, 169.89, 153.31, 144.72, 143.54, 140.53, 134.78, 133.26, 130.51, 129.81, 129.16, 128.94, 128.91, 128.53, 123.13, 96.71, 73.15, 70.90, 69.39, 66.74, 61.84, 61.37, 55.46, 20.73, 20.70, 20.68. IR (CHCl

    3 ) 1756, 1669, 1463, 1371, 1316, 1268, 1237, 1223, 1208, 1166, 1140, 1096, 1070, 1034, 902, 792, 769, 756, 742, 719, 669.


    HRMS(FAB) calcd for C

    30 H

    30 O

    14 S (M

    + +Na) 669.1254; found: 669.1245.

    実施例II−2
    (1)4-ヒドロキシブチル (4-オキソ-3-フェニル-4H-チオクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    窒素雰囲気下、1,4-ブタンジオール(2.0 mmol, 180 mg)をピリジン2.0 mlに溶解させ、塩化メチレンに溶解させた製造例1(4)で得られた化合物を(0.2 mmol, 72 mg) 0℃で滴下した。 室温に戻し3時間攪拌した後、原料の消失を薄層クロマトグラフィーにより確認後、反応を飽和塩化アンモニウム溶液により停止し、有機物を塩化メチレンにより抽出した。 硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製することでモノカーボネート化合物を(0.12 mmol, 46 mg) を収率58%で得た。
    黄色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) δ: 8.51 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.64-7.63 (2H, m), 7.56-7.53 (1H, m), 7.47-7.46 (2H, m), 7.41-7.40 (1H, m), 7.24-7.23 (2H, m), 5.01 (2H, s), 4.22 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.69 (2H, t, J = 6.4 Hz), 1.83-1.77 (1H, m), 1.69-1.63 (2H, m). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 179.23, 154.43, 145.31, 136.59, 136.19, 134.70, 131.60, 131.03, 129.55, 129.39, 128.70, 128.32, 127.82, 126.43, 68.71, 66.82, 62.24, 28.78, 25.13. IR (CHCl 3 ) 1794, 1748, 1700, 1652, 1616, 1464, 1381, 1224, 1221, 1219, 1217, 1215, 1214, 1211, 1206, 1096, 916, 795, 791, 790, 788, 787, 785.
    HRMS(FAB) calcd for C 21 H 20 O 5 S(M + +H) 385.1110; found: 385.1108.

    (2)ジカーボネート化合物の合成

    上記(1)で得られたモノカーボネート化合物(40mg, 0.1 mmol)をピリジン1.0 mlに溶解し、塩化メチレンに溶解させた製造例1(5)で得られた化合物(0.5 mmol, 165 mg) を0 0 Cで滴下した。 室温に戻し3時間攪拌した後、反応を飽和塩化アンモニウム溶液により停止し、有機物を塩化メチレンにより抽出した。 硫酸マグネシウムを用いて集めた有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製することで標記化合物(0.045 mmol, 32 mg)を収率45 %得た。
    黄色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) δ: 8.50 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.10 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.10 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.89 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.65-7.61 (2H, m), 7.55-7.52 (1H, m), 7.49-7.44 (5H, m), 7.41-7.39 (1H, m), 7.30-7.28 (2H, m), 7.23-7.23 (2H, m), 5.10 (2H, s), 5.00 (2H, s), 4.20-4.19 (4H, m), 1.79-1.78 (4H, m). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 179.17, 178.40, 154.32, 154.12, 145.26, 144.72, 144.03, 140.53, 136.53, 136.15, 134.79, 134.66, 133.28, 131.57, 130.98, 130.66, 129.77, 129.51, 129.32, 129.06, 128.93, 128.67, 128.49, 128.29, 127.77, 126.45, 123.17, 68.03, 66.81, 60.75, 31.55, 24.97, 24.94, 22.62. IR (CHCl 3 ) 1752, 1669, 1620, 1592, 1442, 1315, 1243, 1223, 1217, 1211, 1208, 1163, 1031, 791, 769, 761, 751, 737, 732, 700, 669.
    HRMS(FAB) calcd for C 38 H 30 O 10 S 2 (M + +H) 711.1359; found: 711.1367.

    (3)4-ヒドロキシブチル (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル カーボネート

    上記(1)で得られた合物 (1.0 mmol) と m-クロロ過安息香酸 (70 %) (2.1 mmol) を塩化メチレン(2.0 ml)に溶解させ、室温で8時間攪拌した。 飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を注ぎ反応を停止し、塩化メチレンにより抽出した。 さらに集めた有機層を飽和重曹水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、溶媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し標記化合物を(85 %)で得た。
    黄色固体
    1 H-NMR (CDCl 3 /TMS) δ: 8.19 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.11 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.90 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.49-7.48 (3H, m), 7.30-7.29 (2H, m), 5.10 (2H, s), 4.20 (2H, t, J = 6.4 Hz), 3.67 (2H, t, J = 6.4 Hz), 1.81-1.75 (2H, m), 1.68-1.62 (2H, m). 13 C-NMR (CDCl 3 ) δ: 178.40, 154.18, 144.71, 144.05, 140.49, 134.79, 133.28, 130.64, 129.75, 129.06, 128.92, 128.48, 123.17, 68.66, 62.16, 60.66, 28.73, 25.00. IR (CHCl 3 ) 1750, 1669, 1589, 1443, 1396, 1314, 1265, 1228, 1224, 1223, 1220, 1217, 1215, 1213, 1210, 1208, 1205, 1163, 1141, 1071, 1031, 851, 802, 800, 795, 793, 791, 790, 788, 783, 780, 777.
    HRMS(FAB) calcd for C 21 H 20 O 7 S(M + +Na) 439.0827; found: 439.0828.

    実施例II−3
    下記で示されるジカーボネート化合物(0.045mmol)を溶媒としてメタノールを用い、2.0×10 -2 Mに調整した。 得られた溶液を凍結脱気し、パイレックス(登録商標)の反応試験管に移した。 室温で、超高圧水銀ランプを用い、1時間光照射を行った後、反応液を減圧濃縮した。 シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、スルホンのみ脱保護されたモノカーボネート化合物を98%で単離した。 同時に四環性化合物を88%で単離した。 さらに実施例II−2の(3)の方法を用いて硫黄原子を酸化し、スルホンとした。 続いて、得られた化合物(0.037mmol)の重メタノールに溶かし、2.0×10 -2 Mの濃度に調整した。 得られた溶液を凍結脱気し、NMRチューブに移した。 室温で、超高圧水銀ランプを用い、1時間光照射を行った後、 1 H-NMRで定量的に目的の1,4-ブタンジオールの生成を確認した。 また、反応液を減圧濃縮し、精製することで、四環性化合物を85%の収率で単離した。

    III. カルボキシル基の保護及び脱保護
    実施例III−1
    窒素雰囲気下、製造例1(4)で得られた化合物 (1.0 mmol)をピリジン1.0 mlに溶解させ、塩化メチレン1.0 mlに溶解させた各種カルボン酸塩化物(1.5 mmol) を0 o Cで滴下した。 滴下終了後、室温に戻し、3時間攪拌し、薄層クロマトグラフィーにより原料消失を確認後、水を注ぎ反応を停止した。 有機物を酢酸エチルにより抽出後、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥させ、溶媒を減圧濃縮した。 残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、下記のエステル化合物を得た。

    なお、カルボン酸塩化物に代えて相当するカルボン酸を用いて、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)及びジメチルアミノピリジン(DMAP)を用いて縮合反応させた場合も同様にエステル化できた。 その収率を括弧内( )に示す。

    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル ドデカノエート

    収率 87 % (81 %)


    黄色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.10 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.77 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.47-7.46 (3H, m), 7.28-7.27 (2H, m), 5.03 (2H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.61-1.60 (2H, m), 1.28-1.25 (18H, m), 0.88 (3H, t, J= 7.0 Hz).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.44, 172.72, 145.05, 144.31, 140.68, 134.73, 133.24, 130.96, 129.67, 129.02, 129.00, 128.91, 128.45, 123.14, 57.68, 33.90, 31.90, 29.59, 29.43, 29.32, 29.22, 29.05, 24.65, 22.68, 14.13. IR (CHCl

    3 ) 1797, 1731, 1669, 1600, 1591, 1460,, 1375, 1270, 1221, 1211, 1159, 1140, 1129, 1101, 1072, 909, 865, 785, 770, 768, 755, 745, 730, 727, 669, 650.


    HRMS(FAB) calcd for C

    28 H

    35 O

    4 S(M

    + +Na) 505.2025; found: 505.2016

    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル ステアレート

    収率 85 % (73 %)


    黄色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.19 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.11 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.89 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.47-7.47 (3H, m), 7.28-7.26 (2H, m), 5.03 (2H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.61-1.60 (2H, m), 1.28-1.25 (28H, m), 0.88 (3H, t, J= 6.7 Hz).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.42, 172.70, 145.04, 144.29, 140.68, 134.70, 133.21, 130.92, 129.65, 129.00, 128.98, 128.90, 128.43, 123.13, 57.66, 33.88, 31.89, 29.67, 29.64, 29.62, 29.57, 29.42, 29.33, 29.20, 29.03, 24.63, 22.66, 14.10. IR (CHCl

    3 ) 1794, 1725, 1668, 1602, 1589, 1454, 1379, 1374, 1267, 1222, 1208, 1163, 1140, 1127, 1095, 1071, 911, 863, 787, 776, 765, 758, 745, 730, 726, 669, 650.


    HRMS(FAB) calcd for C

    28 H

    35 O

    4 S(M

    + +Na) 589.2964; found: 589.2962

    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル 2-フェニルアセテート

    収率 80 % (78 %)


    黄色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.18 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.11 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.77 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.43-7.41 (1H, m), 7.35-7.33 (4H, m), 7.29-7.25 (3H, m), 7.16-7.15 (2H, m), 5.02 (2H, s), 3.67 (2H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.35, 170.41, 144.66, 144.52, 140.65, 134.71, 133.24, 133.22, 130.76, 129.62, 129.43, 128.96, 128.90, 128.58, 128.38, 127.24, 123.14, 58.11, 40.85. IR (CHCl

    3 ) 1743, 1668, 1589, 1495, 1455, 1443, 1375, 1312, 1264, 1222, 1209, 1162, 1138, 1074, 1030, 1002, 909, 851, 788, 772, 759, 745, 732, 669,650.


    HRMS(FAB) calcd for C

    24 H

    18 O

    5 S(M

    + +Na) 441.0773; found: 441.0770.

    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチル ベンゾエート

    収率 92 % (76 %)


    黄色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 /TMS) δ: 8.20 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.12 (1H, d, J= 7.9 Hz), 8.07 (2H, d, J = 7.3 Hz), 7.89 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.58-7.57 (1H, m), 7.45-7.43 (5H, m), 7.30-7.30 (2H, m), 5.29 (2H, s).

    13 C-NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.50, 165.49, 144.96, 144.48, 140.76, 134.77, 133.44, 133.26, 130.91, 129.97, 129.77, 129.05, 129.03, 129.02, 128.95, 128.57, 128.48, 123.16, 58.59. IR (CHCl

    3 ) 1742, 1668, 1589, 1465, 1380, 1313, 1222, 1209, 1162, 1097, 913, 788, 777, 761, 750, 737, 733, 669, 650.


    HRMS(FAB) calcd for C

    23 H

    16 O

    5 S(M

    + +Na), 427.0616; found: 427.0620.

    実施例III−2(カルボン酸保護体の光解離反応)
    実施例III−1で得られたカルボン酸保護体に光照射を行った。 H-NMRで反応を追跡するために、重メタノールで溶液の濃度を2×10 -2 Mに調製した。 次に、調製した溶液を凍結脱気し、NMRチューブに移した。 超高圧水銀ランプを用いて、パイレックス(登録商標)フィルターで280nm以下の波長をカットし、室温で光照射を行った。 その結果を下記表に示す。

    いずれの反応もほぼ定量的に脱保護が進行し、対応するカルボン酸を与えた。

    また、Entry 1における0分と60分後の1 H-NMRを測定し、光解離反応の進行を確認した。 その結果を図4に示す。

    図4より、光照射0分では5.1 ppm付近にH aである2H, Sが確認された。 しかしながら60分照射の後、濃縮しNMRを測定すると保護基由来のシグナルは消失し、4環性化合物のオレフィンのH b (1H, d), H c (1H, d) のシグナルが観測された。 さらに2.3 ppm付近にカルボン酸由来のメチレンプロトン(2H, dd)が原料より0.05ppm 高磁場側にシフトしていることから光照射によりカルボン酸の再生が起こったことを確認した。

    IV. カルボニル基の保護及び脱保護
    実施例IV−1
    窒素雰囲気下、製造例5(4)で得られたジオール化合物(0.07 mmol) とp-トルエンスルホン酸 (0.007 mmol, 1.2 mg)、硫酸銅 (0.056mmol, 8.9 mg)、各種ケトン(0.077 mmol) をベンゼンに溶解し、室温で12時間攪拌した。 原料消失を薄層クロマトグラフィーにより確認し、飽和重曹水を加え反応を停止し、有機物を酢酸エチルにより抽出後、硫酸マグネシウムにより集めた有機層を乾燥した。 溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記のアセタール化合物を得た。

    2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    収率 95 %


    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.09 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.74 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.48 (3H, m), 7.18 (2H, m), 4.85 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 4.37 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 4.08 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz), 1.54 (3H, s), 1.32 (3H, s).

    13 C -NMR (CDCl

    3 )δ: 178.30, 148.06, 142.68, 142.20, 134.73, 132.89, 131.70, 129.39, 128.69, 128.60, 128.57, 122.95, 111.97, 25.54. IR (CHCl

    3 ) 2611, 2253, 1794, 1665, 1466, 1382, 1317, 1223, 1213, 1208, 1154, 1130, 1096, 1064, 912, 789, 777, 764, 749, 732, 727, 718, 670, 668, 650, 620, 542.


    HRMS(FAB) calcd for C

    20 H

    18 O

    5 S (M

    + +Na), 393.0773; found: 393.0773.

    2-(2,2-ジエチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    収率 88 %


    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.09 (1H, d, J= 7.9 Hz), 7.87 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.74 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.48-7.47 (2H, m), 7.21-7.19 (2H, m), 4.76 (1H, dd, J = 8.9, 6.4 Hz), 4.40 (1H, dd, J = 8.9, 8.9 Hz), 4.05 (1H, dd, J = 8.9, 6.4 Hz), 1.82 (2H, q, J = 7.6 Hz), 1.58 (2H, q, J= 7.6 Hz), 0.99 (3H, t, J = 7.6 Hz), 0.78 (3H, t, J = 7.6 Hz).

    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.31, 147.36, 143.26, 142.26, 134.73, 132.89, 131.71, 129.42, 128.64, 128.58, 128.51, 122.94, 115.85, 74.93, 69.06, 29.01, 28.43, 8.44, 7.77. IR (CHCl

    3 ) 2986, 2944, 2640, 2253, 1794, 1666, 1588, 1465, 1380, 1317, 1223, 1216, 1208, 1157, 1130, 1097, 911, 788, 781, 771, 760, 743, 728, 724, 650, 620, 541.

    3-フェニル-2-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-2-イル)-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    収率 70 %


    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.14-8.12 (1H, m), 8.10-8.08 (1H, m), 7.88-7.86 (2H, m), 7.74-7.72 (2H, m), 7.48-7.46 (5H, m), 7.20-7.18 (3H, m), 4.85-4.83 (2H, m), 4.38-4.36 (2H, m), 4.09-4.07 (2H, m), 1.71-1.38 (9H, m), 1.71-1.38 (9H, m), 1.71-1.38 (9H, m), 1.71-1.38 (9H, m).

    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.31, 148.13, 142.65, 142.25, 134.70, 132.85, 131.74, 129.33, 128.66, 128.58, 128.49, 122.91, 112.65, 74.09, 69.24, 34.98, 34.90, 24.95, 23.78. IR (CHCl

    3 ) 1794, 1666, 1588, 1464, 1380, 1317, 1223, 1220, 1209, 1159, 1130, 1097, 905, 788, 778, 771, 758, 749, 741, 727, 721, 650, 620, 540.


    HRMS(FAB) calcd for C

    23 H

    22 O

    5 S (M

    + +Na), 433.1086; found: 433.1085.

    2-(2,2-ジフェニル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    収率 10 %


    白色固体


    1 H -NMR (CDCl

    3 )δ: 8.11 (2H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.87 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.74 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.51-7.49 (2H, m), 7.43-7.42 (2H, m), 7.37-7.35 (3H, m), 7.29-7.27 (6H, m), 7.21-7.19 (2H, m), 4.88 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 4.64 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 4.05 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz).

    13 C -NMR (CDCl

    3 )δ: 178.64, 147.12, 143.85, 141.87, 140.75, 140.40, 134.70, 133.01, 131.34, 129.37, 128.87, 128.80, 128.66, 128.39, 128.34, 128.28, 128.25, 127.91, 126.76, 126.20, 123.08, 111.74, 73.93, 68.96. IR (CHCl

    3 ) 1794, 1667, 1465, 1381, 1317, 1223, 1208, 1159, 1129, 1096, 905, 788, 773, 758, 748, 733, 727, 718 ,668, 650, 621, 565, 540, 512.

    実施例IV−2
    実施例IV−1で得られたカルボニル基の保護体に光照射を行った。 H-NMRで反応を追跡するために、重メタノールで溶液の濃度を2×10 -2 Mに調製した。 次に、調製した溶液を凍結脱気し、NMRチューブに移した。 超高圧水銀ランプを用いて、パイレックス(登録商標)フィルターで280nm以下の波長をカットし、室温で光照射を行った。 その結果を下記表に示す。

    表より、アセトン保護体(Entry 1)について光反応を検討した結果、90%でアセトンを生成していることが1 H-NMRより確認された。 さらにジオール体も91%で再生した。 またジエチルケトン保護体(Entry 2)では、ジエチルケトンが99%、ジオール体が94%の収率で回収された。 これらの光解離性保護基は反応後、ジオール体が再生し、再利用できる利点を有している。

    V. アルデヒド基の保護及び脱保護
    実施例V−1
    窒素雰囲気下、製造例5(4)で得られたジオール化合物 (0.3 mmol, 99.1 mg) とp-トルエンスルホン酸 (0.03 mmol, 5.7 mg)、硫酸銅 (0. 24mmol, 38.3 mg)、ピバルアルデヒド(0.33 mmol, 28.4 mg) をベンゼン(3 mL)に溶解し、室温で攪拌した。 3時間後、飽和重曹水を加え反応を停止させ、生成物を酢酸エチルにより抽出後、硫酸マグネシウムにより乾燥した。 溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記のアセタール化合物を得た。

    2-(2-ブチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-4-オン

    白色固体


    1 H-NMR (CDCl

    3 ) δ: 8.10 (1H, J = 7.9 Hz, d), 8.07 (1H, J = 7.9 Hz, d), 7.85 (1H, J = 7.9, 7.9 Hz, dd), 7.74-7.70 (1H, m), 7.47-7.45 (3H, m), 7.16 (2H, m), 5.19, 4.85 (1H, J = 4.7, 4.7 Hz, dd), 4.88, 4.81 (1H, J = 7.8, 7.8 Hz, dd), 4.33,4.19, 4.13, 3.97 (1H, J = 7.8, 7.8 Hz, dd), 1.75-1.61 (2H, m), 1.44-1.24 (4H, m), 0.92-0.86 (3H, m).

    13 C -NMR (CDCl

    3 ) δ: 178.26, 178.07, 149.70, 148.44, 142.24, 142.19, 141.91, 141.85, 134.60, 134.57, 132.86, 132.80, 131.64, 131.51, 129.27, 129.18, 128.60, 128.58,128.51, 128.49, 128.46, 128.41, 128.35, 122.81, 122.78, 106.85, 106.81, 74.14, 73.86, 71.01, 69.92, 33.09, 32.62, 26.22, 25.66, 22.38, 13.84.


    HRMS(EI) calcd for C

    22 H

    22 O

    5 S(M

    ) 398.1188; found: 398.1189

    実施例V−2(アルデヒド基保護体の光解離反応)

    実施例V−1で得られたアルデヒド基の保護体に光照射を行った。 H-NMRで反応を追跡するために、重アセトニトリル溶液の濃度を1×10 -2 Mに調製した。 さらに1vol%になるように重水を加えた。 次に、調製した溶液を凍結脱気し、NMRチューブに移した。 超高圧水銀ランプを用いて、パイレックス(登録商標)フィルターで280nm以下の波長をカットし、室温で光照射を行った。 脱保護の収率はNMRにて算出し、アルデヒドが84%の収率で生成した。

    VI. リン酸ジエステル基の保護及び脱保護
    実施例VI−1


    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチルジフェニルホスフェート

    窒素雰囲気下、クロロリン酸ジフェニル(200 mg, 0.8mmol)を加え塩化メチレン(5 ml)に溶かした。 0℃で冷却しながら製造例1(4)で得られたアルコール化合物(300 mg, 1mmol)とN-メチルイミダゾール(200μL, 2.5 mmol)の塩化メチレン溶液(5mL)を滴下した。 滴下後、室温で30分間攪拌した。 1N塩酸でクエンチし、塩化メチレンで抽出、飽和炭酸水素ナトリウムと飽和食塩水で洗浄し、集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。 溶媒を減圧留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で単離精製し、上記のリン酸ジエステル保護体を得た。
    収率93%
    黄色油状
    1 H -NMR (CD 3 OD) δ: 8.09 (1H, J = 7.8 Hz, d), 8.06 (1H, J = 7.8 Hz, d), 7.91 (1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.78 (1H, J = 8.0, 8.0 Hz, dd), 7.37 (1H, J = 7.7 Hz, t), 7.32-7.25 (8H, m), 7.17-7.12 (4H, m), 7.08-7.07 (2H, m), 5.07 (2H, J = 5.5 Hz, d). 13 C -NMR (CDCl 3 ) δ: 178.59, 150.12, 150.06, 145.68, 143.32, 143.23, 140.17, 134.77, 133.25, 130.24, 129.78, 129.70, 129.67, 129.66, 129.11, 129.04, 128.92, 128.82, 128.35, 125.44, 123.05, 120.11, 120.09, 120.07, 120.04, 120.03, 120.01, 60.23. 31 P -NMR (CD 3 OD) δ: -14.31.
    HRMS(FAB)calcd for C 28 H 21 O 7 PS(M -+H) 533.0824; found: 533.0828.

    (4-オキソ-3-フェニル-4H-スルホニルクロメン-2-イル)メチルジエチルホスフェート


    窒素雰囲気下、クロロリン酸ジエチル(17μL, 0.08mmol)を塩化メチレン(500μL)に溶解させた。 0℃で冷却しながら、N-メチルイミダゾール(19μL , 0.24mmol)の塩化メチレン溶液(250μL)を滴下して加えた。 30分攪拌した後、製造例1(4)で得られたアルコール化合物(30mg, 0.1mmol)の塩化メチレン溶液を(250μL)滴下し、室温で8時間攪拌した。 飽和塩化アンモニア水溶液でクエンチし、塩化メチレンで抽出、飽和食塩水で洗浄し、集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。 溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で単離精製し、上記のリン酸ジエステル保護体を得た。
    収率73%
    黄色油状
    1 H-NMR (500MHz, CDCl 3 ) δ: 8.19 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.12 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.91 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.79 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.50-7.46 (3H, m), 7.32-7.30 (2H, m), 4.96 (2H, d, J PH = 4.9 Hz), 4.13 (4H, dq, J PH = 14.5, 7.3 Hz), 1.32 (6H, t, J= 7.0 Hz). 31 P -NMR (500MHz, CDCl 3 ) δ(ppm) -1.99.
    HRMS(FAB)calcd for C 20 H 21 O 7 PS(M -+Na) 459.0643; found:459.0638.

    実施例VI−2(リン酸ジエステル基保護体の光解離反応)

    実施例VI−1で得られたリン酸ジエステル基の保護体それぞれに光照射を行った。 H-NMRで反応を追跡するために、重メタノール溶液の濃度を2.0×10 -2 Mに調製した。 次に、調製した溶液を凍結脱気し、NMRチューブに移した。 超高圧水銀ランプを用いて、パイレックス(登録商標)フィルターで280nm以下の波長をカットし、室温で光照射を行った。 脱保護の収率はNMRにて算出した。 上記Rがエチル基の場合、1時間後、99%でリン酸化合物が生成した。 上記Rがフェニル基の場合も、単離収率96%で脱保護反応が進行することを確認した。

    実施例I−2におけるアミン保護体(Entry 3)の

    1 H-NMRによる光解離反応の時間経過を示す。

    実施例I−4におけるアミン保護体(Entry 3)の紫外可視スペクトルによる反応の追跡を示す。

    実施例I−4におけるアミン保護体(Entry 3)の蛍光スペクトルによる反応の追跡を示す。

    実施例III−2におけるカルボン酸保護体(Entry 1)の

    1 H-NMRによる光解離反応の時間経過を示す。

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