多層レジストプロセス用無機膜形成組成物及びパターン形成方法

申请号 JP2015508171 申请日 2014-02-18 公开(公告)号 JP6311702B2 公开(公告)日 2018-04-18
申请人 JSR株式会社; 发明人 中川 恭志; 酒井 達也; 栗田 俊輔; 出井 慧; 高梨 和憲; 滝本 嘉夫; 元成 正之;
摘要
权利要求

複数の金属原子と、架橋配位子と、ヒドロキシ酸エステル、β−ジケトン、β−ケトエステル及びβ−ジカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する配位子(b)とを有し、 上記架橋配位子が下記式(1)で表される化合物に由来する架橋配位子(a)を含み、上記架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率が50モル%以上である錯体 を含有する多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。 (式(1)中、R1は、n価の有機基である。Xは、−OH、−NCO又は−NHRaである。Raは、素原子又は1価の有機基である。nは、2〜4の整数である。複数のXは同一でも異なっていてもよい。)上記架橋配位子が、上記金属原子を架橋するように配位している請求項1に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。上記金属原子が第3族元素、第4族元素、第5族元素、第6族元素及び第13族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種のものであり、この金属原子の含有率が上記錯体に含まれる金属原子及び半金属原子の合計に対して50モル%以上である請求項1に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。上記架橋配位子(a)及び配位子(b)が、上記金属原子の配位座のうちの50%以上を占める請求項1に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。上記錯体の数平均分子量が300以上10,000以下である請求項1に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。上記配位子(b)の上記金属原子に対する含有量が、10モル%以上である請求項1に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。溶媒をさらに含有し、 上記溶媒が、炭素数4以上の1価の脂肪族アルコール、炭素数4以上のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数4以上のヒドロキシ酸エステル、炭素数4以上のラクトン及び炭素数6以上のアルキレングリコールモノアルキルエーテルのモノカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。架橋促進剤をさらに含有する請求項1に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。2以上のアルコキシ配位子を含む金属化合物と、下記式(1)で表される架橋配位子(a)と、ヒドロキシ酸エステル、β−ジケトン、β−ケトエステル及びβ−ジカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子(b)とを反応させて得られ、上記架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率が50モル%以上である反応生成物 を含有する多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。 (式(1)中、R1は、n価の有機基である。Xは、−OH、−NCO又は−NHRaである。Raは、水素原子又は1価の有機基である。nは、2〜4の整数である。複数のXは同一でも異なっていてもよい。)上記反応が、上記金属化合物に対して50モル%以下の水の存在下で行われる請求項9に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。上記反応生成物において、上記金属化合物が有するアルコキシ配位子の50モル%以上が置換されている請求項9に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。上記配位子(b)が、ヒドロキシ酸エステル、β−ジケトン、β−ケトエステル(但し、アセト酢酸エチルを除く)及びβ−ジカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する配位子である請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物。基板の上面側に無機膜を形成する工程、 上記無機膜の上面側にレジストパターンを形成する工程、及び 上記レジストパターンをマスクとした1又は複数回のドライエッチングにより、基板にパターンを形成する工程 を有し、 上記無機膜を請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物により形成するパターン形成方法。基板上にレジスト下層膜を形成する工程 をさらに有し、 上記無機膜形成工程で無機膜を上記レジスト下層膜上に形成する請求項13に記載のパターン形成方法。上記レジストパターン形成工程が、 レジスト組成物で上記無機膜の上面側にレジスト膜を形成する工程、 上記レジスト膜を露光する工程、及び 上記露光されたレジスト膜を現像する工程 を含む請求項13に記載のパターン形成方法。上記レジスト組成物が、 酸解離性基を有する重合体 を含有し、 上記現像工程で用いる現像液が有機溶媒を含有し、ネガ型のレジストパターンを形成する請求項15に記載のパターン形成方法。上記レジストパターン形成工程が、 ナノインプリントリソグラフィー法により行われる請求項13に記載のパターン形成方法。

说明书全文

本発明は、多層レジストプロセス用無機膜形成組成物及びパターン形成方法に関する。

半導体装置等の微細化に伴い、より高い集積度を得るために多層レジストプロセスを用いた加工サイズの微細化が進んでいる。この多層レジストプロセスでは、基板上に無機膜形成組成物を用いて無機膜を形成し、この無機膜上に、無機膜とはエッチング速度が異なる有機材料を用いてレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンをドライエッチングにより無機膜に転写し、さらにドライエッチングにより基板に転写することにより、所望のパターンが形成された基板が得られる(特開2001−284209号公報、特開2010−85912号公報及び特開2008−39811号公報参照)。最近では、上記無機膜形成組成物として、シリコン系化合物を用いるもの以外に、無機膜に隣接して配置される二酸化シリコン膜や有機膜であるレジスト下層膜に対してもエッチング選択性を高くすることができる金属系化合物を用いたものも検討されている(特表2005−537502号公報参照)。

かかる無機膜形成組成物には、以下の種々の特性を満たすことが要求される。まず、パターン形成の際に、組成物が乾燥した塗膜が、基板の端部や裏面を洗浄するエッジ・バックリンスによりその洗浄溶剤に溶解して除去できることが求められる。また、得られる無機膜として、上述のエッチング選択性に優れるだけでなく、無機膜上に形成されるレジストパターンの形状を良好なものにできることが必要である。加えて、多層レジストプロセスにおいて十分な反射防止効果を得るためには、無機膜の消光係数としては0.1〜0.5程度の範囲が好ましいとされており、無機膜形成組成物は、そのような消光係数を有する無機膜を与えることも要求されている。しかし、上記従来の無機膜形成組成物では、これらの要求を共に満たすことはできていない。

特開2001−284209号公報

特開2010−85912号公報

特開2008−39811号公報

特表2005−537502号公報

本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、洗浄溶剤除去性に優れると共に、消光係数が低くかつレジストパターン形成性及びエッチング選択性にも優れる無機膜を形成できる多層レジストプロセス用無機膜形成組成物を提供することにある。

上記課題を解決するためになされた発明は、複数の金属原子と、架橋配位子と、ヒドロキシ酸エステル、β−ジケトン、β−ケトエステル及びβ−ジカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する配位子(b)とを有し、上記架橋配位子が下記式(1)で表される化合物に由来する架橋配位子(a)を含み、上記架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率が50モル%以上である錯体(以下、「[A]錯体」ともいう)を含有する多層レジストプロセス用無機膜形成組成物である。

(式(1)中、R1は、n価の有機基である。Xは、−OH、−COOH、−NCO又は−NHRaである。Raは、素原子又は1価の有機基である。nは、2〜4の整数である。複数のXは同一でも異なっていてもよい。)

本発明のパターン形成方法は、 基板の上面側に無機膜を形成する工程、上記無機膜の上面側にレジストパターンを形成する工程、及び上記レジストパターンをマスクとした1又は複数回のドライエッチングにより、基板にパターンを形成する工程 を有し、上記無機膜を当該多層レジストプロセス用無機膜形成組成物により形成する。

ここで、「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。

本発明の多層レジストプロセス用無機膜形成組成物及びパターン形成方法によれば、優れた洗浄溶剤除去性を発揮しつつ、消光係数が低くかつレジストパターン形成性及びエッチング選択性にも優れる無機膜を形成することができる。従って、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想されるLSIの製造、特に微細なコンタクトホール等の形成に極めて好適に使用することができる。

<多層レジストプロセス用無機膜形成組成物> 当該多層レジストプロセス用無機膜形成組成物は、多層レジストプロセス、すなわち、レジストパターン以外に有機下層膜、SOG(Spin on Glass)膜等の他の層を形成して基板を加工するプロセスにおいて、上記他の層としての無機膜を形成するのに用いられる。 当該多層レジストプロセス用無機膜形成組成物は、[A]錯体を含有する。当該組成物は、好適成分として溶媒(以下、「[B]溶媒」ともいう)、架橋促進剤(以下、「[C]架橋促進剤」ともいう)を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。

<[A]錯体> [A]錯体は、複数の金属原子と、架橋配位子と、配位子(b)とを有し、上記架橋配位子が架橋配位子(a)を含み、上記架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率が50モル%以上である。 当該無機膜形成組成物は、[A]錯体を含有することで、洗浄溶剤除去性に優れると共に消光係数が低くかつレジストパターン形成性及びエッチング選択性にも優れる無機膜を形成することができる。

当該多層レジストプロセス用無機膜形成組成物が[A]錯体を含有することで、上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば、以下のように推察することができる。すなわち、[A]錯体は、上記式(1)で表される化合物に由来する架橋配位子(a)を有し、複数の金属原子を含む多核錯体である。また、この架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率が50モル%以上であることから、−O−等でなく主に架橋配位子(a)で金属原子間を架橋する構造を有していると考えられる。このような構造を有することにより[A]錯体は有機溶媒に対する溶解性が高くなっており、その結果、当該無機膜形成組成物は洗浄溶剤除去性に優れる。また、このような多核構造を有する[A]錯体を前駆体とすることにより、形成される無機膜を消光係数が低いものとすることができると考えられる。 以下、[A]錯体を構成する金属原子、架橋配位子、架橋配位子(a)、配位子(b)の順に説明する。

[金属原子] [A]錯体は、複数の金属原子を含んでいる。この複数の金属原子は、架橋配位子(a)を含む架橋配位子で架橋されていると考えられ、また、配位子(b)が配位している。当該無機膜形成組成物は、複数の金属原子を含むことで、レジストパターン形成性及びエッチング選択性に優れる。

金属原子としては、金属元素の原子であれば特に限定されないが、例えば、 Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)等の第3族元素; Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)等の第4族元素; V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)等の第5族元素; Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)等の第6族元素; Zn等の第12族元素; Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)等の第13族元素などの原子が挙げられる。 これらの中で、第3族元素、第4族元素、第5族元素、第6族元素、第13族元素の原子が好ましく、Y、Ti、Zr、Hf、Ta、W、Alの原子がより好ましい。

[A]錯体が有する金属原子の平均個数の下限としては、5個が好ましく、10個がより好ましく、15個がさらに好ましい。平均個数の上限としては、100個が好ましく、80個がより好ましく、60個がさらに好ましい。金属原子の平均個数を上記範囲とすることで、当該無機膜形成組成物から形成される無機膜の消光係数をより適度に調整することができる。

金属原子の含有率としては、当該無機膜形成組成物から形成される無機膜の消光係数がより低くなる観点から、[A]錯体に含まれる金属原子及び半金属原子の合計に対して、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、99モル%以上が特に好ましい。金属原子としては、1種単独でもよく、2種以上の元素の原子を含んでいてもよい。

[架橋配位子] [A]錯体は、架橋配位子を有する。[A]錯体は架橋配位子を有することで、複核錯体となることができる。この架橋配位子としては、以下説明する架橋配位子(a)以外にも、例えば、酸素原子(−O−)、パーオキサイド配位子(−O−O−)等が挙げられる。この架橋配位子は、通常、上記金属原子を架橋するように配位している。

[架橋配位子(a)] 架橋配位子(a)は、上述の架橋配位子であって、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(A)」ともいう)に由来する配位子である。この架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率としては、50モル%以上であり、70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。[A]錯体は、架橋配位子として架橋配位子(a)と有し、この架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率を上記範囲とすることで、主に有機配位子で架橋された複核錯体となることができ、その結果、当該無機膜形成組成物は洗浄溶剤除去性に優れたものとすることができると共に、当該無機膜形成組成物から形成される無機膜の消光係数を低いものとすることができる。架橋配位子(a)としては、化合物(A)自体、化合物(A)からプロトンが脱離したアニオン等が挙げられ、これらが有する酸素原子及び/又は窒素原子により上記金属原子に配位する。

上記式(1)中、R1は、n価の有機基である。Xは、−OH、−COOH、−NCO又は−NHRaである。Raは、水素原子又は1価の有機基である。nは、2〜4の整数である。複数のXは同一でも異なっていてもよい。

上記R1で表されるn価の有機基としては、例えば、n価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子を有する基を含むn価のヘテロ原子含有基、上記炭化水素基及びヘテロ原子含有基が有する一部又は全部の水素原子を置換基で置換したn価の基等が挙げられる。

上記n価の炭化水素基としては、例えば、 メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン;エテン、プロペン、ブテン、ペンテン等のアルケン;エチン、プロピン、ブチン、ペンチン等のアルキンなどの炭素数1〜30の鎖状炭化水素、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン等のシクロアルカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等のシクロアルケンなどの炭素数3〜30の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、アントラセン等のアレーンなどの炭素数6〜30の芳香族炭化水素などの炭化水素からn個の水素原子を除いた基等が挙げられる。

上記ヘテロ原子を有する基としては、例えば、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子及びイオウ原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する基等が挙げられ、−O−、−NH−、−CO−、−S−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。これらの中で、−O−が好ましい。

上記置換基としては、例えば、 フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子; メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基; メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基; メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基等のアルコキシカルボニルオキシ基; ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等のアシル基; シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。

上記nとしては、2又は3が好ましく、2がより好ましい。

上記−NHRaのRaで表される1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子を有する基を含むヘテロ原子含有基、上記炭化水素基及びヘテロ原子含有基が有する一部又は全部の水素原子を置換基で置換した基等が挙げられる。Raとしては、1価の炭化水素基が好ましく、1価の鎖状炭化水素基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。

上記R1としては、 nが2のものとして、2価の鎖状炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、2価のヘテロ原子含有基が好ましく、アルカンジイル基、アルケンジイル基、アレーンジイル基、アルカンジイルオキシアルカンジイル基がより好ましく、1,2−エタンジイル基、1,2−プロパンジイル基、ブタンジイル基、ヘキサンジイル基、エテンジイル基、キシレンジイル基、エタンジイルオキシエタンジイル基がさらに好ましい。 nが3のものとして、3価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルカントリイル基がより好ましく、1,2,3−プロパントリイル基がさらに好ましい。 nが4のものとして、4価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルカンテトライル基がより好ましく、1,2,3,4−ブタンテトライル基がさらに好ましい。

化合物(A)としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−4)で表される化合物(以下、「化合物(1−1)〜(1−4)」ともいう)等が挙げられる。

上記式(1−1)〜(1−4)中、R1、Ra、Rb及びnは、上記式(1)と同義である。

化合物(1−1)としては、例えば、 nが2のものとして、 エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコール; ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のジアルキレングリコール; シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルナンジメタノール、アダマンタンジオール等のシクロアルキレングリコール; 1,4−ベンゼンジメタノール、2,6−ナフタレンジメタノール等の芳香環含有グリコール; カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の2価フェノールなどが挙げられ、 nが3のものとして、 グリセリン、1,2,4−ブタントリオール等のアルカントリオール; 1,2,4−シクロヘキサントリオール、1,2,4−シクロヘキサントリメタノール等のシクロアルカントリオール; 1,2,4−ベンゼントリメタノール、2,3,6−ナフタレントリメタノール等の芳香環含有グリコール; ピロガロール、2,3,6−ナフタレントリオール等の3価フェノール等が挙げられ、 nが4のものとして、 エリスリトール、ペンタエリスリトール等のアルカンテトラオール; 1,2,4,5−シクロヘキサンテトラオール等のシクロアルカンテトラオール; 1,2,4,5−ベンゼンテトラメタノール等の芳香環含有テトラオール; 1,2,4,5−ベンゼンテトラオール等の4価フェノールなどが挙げられる。 これらの中で、nが2又は3のものが好ましく、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、アルカントリオールがより好ましく、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンがさらに好ましい。

化合物(1−2)としては、例えば、 nが2のものとして、 シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の鎖状飽和ジカルボン酸; マレイン酸、フマル酸等の鎖状不飽和ジカルボン酸; 1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸; フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、 nが3のものとして、 1,2,3−プロパントリカルボン酸等の鎖状飽和トリカルボン酸; 1,2,3−プロペントリカルボン酸等の鎖状不飽和トリカルボン酸; 1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環式トリカルボン酸; トリメリット酸、2,3,7−ナフタレントリカルボン酸等の芳香族トリカルボン酸などが挙げられ、 nが4のものとして、 1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の鎖状飽和テトラカルボン酸; 1,2,3,4−ブタジエンテトラカルボン酸等の鎖状不飽和テトラカルボン酸; 1,2,5,6−シクロヘキサンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ノルボルナンテトラカルボン酸等の脂環式テトラカルボン酸; ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸などが挙げられる。 これらの中で、nが2のものが好ましく、鎖状飽和ジカルボン酸、鎖状不飽和ジカルボン酸がより好ましく、マレイン酸、コハク酸がさらに好ましい。

化合物(1−3)としては、例えば、 nが2のものとして、 エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状ジイソシアネート; 1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート; トリレンジイソシアネート、1,4−ベンゼンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートなどが挙げられ、 nが3のものとして、 トリメチレントリイソシアネート等の鎖状トリイソシアネート; 1,2,4−シクロヘキサントリイソシアネート等の脂環式トリイソシアネート; 1,2,4−ベンゼントリイソシアネート等の芳香族トリイソシアネートなどが挙げられ、 nが4のものとして、 テトラメチレンテトライソシアネート等の鎖状テトライソシアネート; 1,2,4,5−シクロヘキサンテトライソシアネート等の脂環式テトライソシアネート; 1,2,4,5−ベンゼンテトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネートなどが挙げられる。 これらの中で、nが2のものが好ましく、鎖状ジイソシアネートがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートがさらに好ましい。

化合物(1−4)としては、例えば、 nが2のものとして、 エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、N,N’−ジメチルトリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、N,N’−ジメチルテトラメチレンジアミン等の鎖状ジアミン; 1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−ジ(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミン; 1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミンなどが挙げられ、 nが3のものとして、 トリアミノプロパン、N,N’,N”−トリメチルトリアミノプロパン等の鎖状トリアミン; 1,2,4−トリアミノシクロヘキサン等の脂環式トリアミン; 1,2,4−トリアミノベンゼン等の芳香族トリアミンなどが挙げられ、 nが4のものとして、 テトラアミノブタン等の鎖状テトラアミン; 1,2,4,5−テトラアミノシクロヘキサン、2,3,5,6−テトラアミノノルボルナン等の脂環式テトラアミン; 1,2,4,5−テトラアミノベンゼン等の芳香族テトラアミンなどが挙げられる。 これらの中で、nが2のものが好ましく、鎖状ジアミンがより好ましく、N,N’−ジメチルエチレンジアミンがさらに好ましい。

[配位子(b)] 配位子(b)は、ヒドロキシ酸エステル、β−ジケトン、β−ケトエステル及びβ−ジカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する配位子であり、[A]錯体の金属原子に配位している。[A]錯体は、架橋配位子(a)に加えて配位子(b)を有することで、有機溶媒に対する溶解性が向上する。その結果、当該無機膜形成組成物は、洗浄溶剤除去性に優れる。配位子(b)は、通常、これが有する2個以上の酸素原子が上記金属原子の複数の配位座に結合することで配位する。

上記ヒドロキシ酸エステルとしては、ヒドロキシ基を有するカルボン酸エステルであれば特に限定されないが、例えば、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。

上記式(2)中、RAは、炭素数1〜20の2価の有機基である。RBは、炭素数1〜20の1価の有機基である。

上記RAで表される2価の有機基としては、例えば、上記式(1)のR1の有機基として例示したもののうち、nが2かつ炭素数が1〜20のもの等が挙げられる。上記RBで表される1価の有機基としては、例えば、上記式(1)のRaで表される1価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。

ヒドロキシ酸エステルとしては、例えば、グリコール酸エステル、乳酸エステル、2−ヒドロキシシクロヘキサン−1−カルボン酸エステル、サリチル酸エステル等が挙げられる。これらの中で、乳酸エステルが好ましく、乳酸エチルがより好ましい。

上記β−ジケトンとしては、1,3−ジケト構造を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(3)で表される化合物等が挙げられる。

上記式(3)中、RC及びRDは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。REは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。

上記RB、RC及びRDで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、上記式(1)のRaで表される1価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。

β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、メチルアセチルアセトン、エチルアセチルアセトン、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン等が挙げられる。これらの中で、アセチルアセトンが好ましい。

上記β−ケトエステルとしては、カルボン酸エステルのβ位にケトン性カルボニル基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表される化合物等が挙げられる。

上記式(4)中、RF及びRGは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。RHは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。

上記RF、RG及びRGで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、上記式(1)のRaで表される1価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。

β−ケトエステルとしては、例えば、アセト酢酸エステル、α−アルキル置換アセト酢酸エステル、β−ケトペンタン酸エステル、ベンゾイル酢酸エステル、1,3−アセトンジカルボン酸ジエステル等が挙げられる。これらの中で、アセト酢酸エステル、1,3−アセトンジカルボン酸ジエステルが好ましく、アセト酢酸エチル、1,3−アセトンジカルボン酸ジエチルがより好ましい。

β−ジカルボン酸エステルとしては、例えば、下記式(5)で表される化合物等が挙げられる。

上記式(5)中、RI及びRJは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。RKは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。

上記RI、RJ及びRKで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、上記式(1)のRaで表される1価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。

β−ジカルボン酸エステルとしては、例えば、マロン酸ジエステル、α−アルキル置換マロン酸ジエステル、α−シクロアルキル置換マロン酸ジエステル、α−アリール置換マロン酸ジエステル等が挙げられる。これらの中で、マロン酸ジエステルが好ましく、マロン酸ジエチルがより好ましい。

配位子(b)の上記金属原子に対する含有量(配位子(b)のモル数/金属原子のモル数)の下限としては、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。配位子(b)の上記金属原子に対する含有量の上限としては、400モル%が好ましく、350モル%がより好ましく、300モル%がさらに好ましい。配位子(b)の上記金属原子に対する含有量を上記範囲とすることで、当該無機膜形成組成物の洗浄溶剤除去性を向上させることができる。

上記架橋配位子(a)及び配位子(b)が、上記金属原子の配位座のうちの50%以上を占めることが好ましく、60%以上を占めることがより好ましく、70%以上を占めることがさらに好ましい。架橋配位子(a)及び配位子(b)が上記金属原子の配位座のうちの上記範囲を占めることで、当該無機膜形成組成物の洗浄溶剤除去性をさらに向上させることができる。なお、[A]錯体における金属原子の配位座の数とは、各金属原子が有する配位座の数の総和である。また、上記金属原子の配位座の占有率は、全金属原子における占有率の平均値である。

[A]錯体の数平均分子量の下限としては、300が好ましく、500がより好ましく、1,000がさらに好ましい。[A]錯体の数平均分子量の上限としては、10,000が好ましく、9,000がより好ましく、8,500がさらに好ましい。[A]錯体の数平均分子量を上記範囲とすることで、当該無機膜形成組成物は、当該無機膜形成組成物から形成される無機膜の消光係数をより適度に調整することができる。

<[A]錯体の合成方法> [A]錯体は、例えば、2以上のアルコキシ配位子を含む金属化合物と、下記式(1)で表される化合物と、ヒドロキシ酸エステル、β−ジケトン、β−ケトエステル及びβ−ジカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを溶媒中で反応させることにより、生成物として得ることができる。この場合、2以上のアルコキシ配位子を有する金属化合物と、ヒドロキシ酸エステル、β−ジケトン、β−ケトエステル及びβ−ジカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子とを先に反応させ、かかる配位子が配位した金属化合物を得た後に、下記式(1)で表される化合物とを反応させてもよい。上記アルコキシ配位子としては、例えば、メトキシド配位子、エトキシド配位子、イソプロポキシド配位子、ブトキシド配位子等が挙げられる。上記金属化合物としては、アルコキシ配位子の代わりに、クロライド配位子、ブロマイド配位子等のハライド配位子などを有するものであってもよい。

上記式(1)中、R1は、n価の有機基である。Xは、−OH、−COOH、−NCO又は−NHRaである。Raは、水素原子又は1価の有機基である。nは、2〜4の整数である。複数のXは同一でも異なっていてもよい。

上記反応に用いる溶媒としては特に限定されず、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒としては、例えば、後述する[B]溶媒として例示したそれぞれの溶媒等が挙げられる。これらの中でも、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒が好ましく、1価の脂肪族アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ヒドロキシ酸エステル、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボン酸エステル、環状エーテル、芳香族炭化水素がより好ましく、炭素数4以上の1価の脂肪族アルコール、炭素数6以上のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数4以上のヒドロキシ酸エステル、炭素数6以上のアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボン酸エステル、炭素数4以上の環状エーテル、炭素数7以上の芳香族炭化水素がさらに好ましく、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、トルエンが特に好ましい。上記反応に用いる溶媒は、反応後、除去することなくそのまま、当該無機膜形成組成物の[B]溶媒とすることもできる。

上記反応の温度としては、0℃〜150℃が好ましく、10℃〜120℃がより好ましい。上記反応の時間としては、30分〜24時間が好ましく、1時間〜20時間がより好ましく、2時間〜15時間がさらに好ましい。

上記反応は、上記金属化合物に対して50モル%以下の水の存在下で行われることが好ましく、30モル%以下の水の存在下で行われることがより好ましく、10モル%以下の水の存在下で行われることがさらに好ましい。上記反応を上記範囲の水存在下で行うことで、金属化合物と水とが反応して生成する−O−を架橋配位子とする構造の生成を低減することができ、得られる[A]錯体の上記架橋配位子(a)の架橋配位子全体に対する含有率を高めることができ、その結果、当該無機膜形成組成物の洗浄溶剤除去性を向上させることができる。

上記反応生成物において、上記金属化合物が有するアルコキシ配位子の50モル%以上が置換されていることが好ましく、70モル%以上が置換されていることが好ましく、90モル%以上が置換されていることが好ましい。上記反応に用いた金属化合物のアルコキシ配位子の置換率を上記範囲とすることで、得られる[A]錯体における架橋配位子(a)及び配位子(b)の金属原子の配位座に占める割合を高めることができ、その結果、当該無機膜形成組成物の洗浄溶剤除去性を向上させることができる。

<[B]溶媒> 当該無機膜形成組成物は、通常、[B]溶媒を含有する。[B]溶媒としては、[A]錯体を溶解又は分散することができるものであれば用いることができる。[B]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。[B]溶媒としては、[A]錯体の配位子(b)を与える化合物と同じものであってもよい。また、[B]溶媒としては、上述の[A]錯体の合成において反応に用いた溶媒を除去せずそのまま用いてもよい。

アルコール系溶媒としては、例えば メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−アミルアルコール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール等の1価の脂肪族アルコール; シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール等の1価の脂環式アルコール; ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の芳香族アルコール; 3−メトキシブタノール、フルフリルアルコール、ジアセトンアルコール等の1価のエーテル基又はケト基含有アルコール; エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール; エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル; ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル基含有アルキレングリコールモノアルキルエーテルなどが挙げられる。

ケトン系溶媒としては、例えば アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルiso−ブチルケトン、メチルn−ペンチルケトン、エチルn−ブチルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、ジiso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン; シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン; アセトフェノン、フェニルエチルケトン等の芳香族ケトン; アセトニルアセトン等のγ−ジケトンなどが挙げられる。

アミド系溶媒としては、例えば、 N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド; N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の環状アミドなどが挙げられる。

エーテル系溶媒としては、例えば、 ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のジ脂肪族エーテル; アニソール、フェニルエチルエーテル等の芳香族−脂肪族エーテル; ジフェニルエーテル等のジ芳香族エーテル; テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテルなどが挙げられる。

エステル系溶媒としては、例えば、 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のモノカルボン酸エステル; シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のジカルボン酸エステル; 酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピオン酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルのカルボン酸エステル; 酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピオン酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル基含有アルキレングリコールモノアルキルエーテルのカルボン酸エステル; グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のヒドロキシ酸エステル; γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン; ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネートなどが挙げられる。

[B]溶媒としては、これらの中で、アルコール系溶媒、エステル系溶媒が好ましい。 アルコール系溶媒としては、1価の脂肪族アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、炭素数4以上の1価の脂肪族アルコール、炭素数4以上のアルキレングリコールモノアルキルエーテルがより好ましく、ブタノール、イソアミルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルがさらに好ましい。エステル系溶媒としては、ヒドロキシ酸エステル、ラクトン、アルキレングリコールモノアルキルエーテルのカルボン酸エステル、エーテル基含有アルキレングリコールモノアルキルエーテルのカルボン酸エステルが好ましく、炭素数4以上のヒドロキシ酸エステル、炭素数4以上のラクトン、炭素数6以上のアルキレングリコールモノアルキルエーテルのモノカルボン酸エステルがより好ましく、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。

[B]溶媒は、実質的に水を含まないことが好ましい。[B]溶媒が実質的に水を含まないことで、[A]錯体と水とが反応して、架橋配位子(a)が−O−の架橋配位子に置換されることを抑制することができ、その結果、当該無機膜形成組成物の洗浄溶剤除去性の低下を抑制することができる。

[B]溶媒の含有量としては、当該無機膜形成組成物中における[A]錯体の含有量が、0.5質量%〜50質量%となる含有量が好ましく、2質量%〜30質量%となる含有量がより好ましく、5質量%〜25質量%となる含有量がさらに好ましい。

<[C]架橋促進剤> 当該無機膜形成組成物は[C]架橋促進剤をさらに含有していてもよい。[C]架橋促進剤は、光又は熱によって酸又は塩基を発生する化合物であり、当該無機膜形成組成物は、[C]架橋促進剤をさらに含有することで、レジストパターン形成性及びエッチング選択性を向上させることができる。[C]架橋促進剤としては、例えば、オニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。[C]架橋促進剤としては、熱によって酸又は塩基を発生する熱架橋促進剤が好ましく、中でもオニウム塩化合物が好ましい。

オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。

スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート等が挙げられる。

テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。

ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。

アンモニウム塩としては、例えば蟻酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ブタン酸アンモニウム、ペンタン酸アンモニウム、ヘキサン酸アンモニウム、ヘプタン酸アンモニウム、オクタン酸アンモニウム、ノナン酸アンモニウム、デカン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバシン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、リノール酸アンモニウム、リノレイン酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、p−アミノ安息香酸アンモニウム、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロエタンスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。また、上記アンモニウム塩のアンモニウムイオンが、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、ジメチルジエチルアンモニウムイオン、ジメチルエチルプロピルアンモニウムイオン、メチルエチルプロピルブチルアンモニウムイオン、エタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等に置換されたアンモニウム塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン蟻酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンp−トルエンスルホン酸塩等の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン塩、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン蟻酸塩、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンp−トルエンスルホン酸塩等の1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン塩等が挙げられる。

N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。

これらの[C]架橋促進剤の中で、オニウム塩化合物が好ましく、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩がより好ましく、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、酢酸テトラメチルアンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンp−トルエンスルホン酸塩がさらに好ましい。

これらの[C]架橋促進剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。[C]架橋促進剤の含有量としては、[A]錯体100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。[C]架橋促進剤の含有量を上記範囲とすることで、当該無機膜形成組成物のレジストパターン形成性及びエッチング選択性をより向上させることができる。

<その他の任意成分> 当該無機膜形成組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、界面活性剤等のその他の任意成分を含有していてもよい。

[界面活性剤] 界面活性剤は塗布性、ストリエーション等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名として、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子社)等が挙げられる。

界面活性剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。また、界面活性剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。

<多層レジストプロセス用無機膜形成組成物の調製方法> 当該無機膜形成組成物は、例えば、[A]錯体及び[B]溶媒、並びに必要に応じて[C]架橋促進剤及びその他の任意成分等を所定の割合で混合することにより調製できる。当該無機膜形成組成物は通常、その使用に際して溶媒に溶解した後、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって調製される。

<パターン形成方法> 当該パターン形成方法は、 当該多層レジストプロセス用無機膜形成組成物で基板の上面側に無機膜を形成する工程(以下、「無機膜形成工程」ともいう)、 上記無機膜の上面側にレジストパターンを形成する工程(以下、「レジストパターン形成工程」ともいう)、及び 上記レジストパターンをマスクとした1又は複数回のドライエッチングにより、基板にパターンを形成する工程(以下、「基板パターン形成工程」ともいう) を有する。

当該パターン形成方法によれば、上述の当該無機膜形成組成物を用いているので、優れた洗浄溶剤除去性を発揮しつつ、消光係数が低くかつレジストパターン形成性及びエッチング選択性に優れる無機膜を形成することができる。また、レジスト膜を薄膜化する場合においてもレジストパターンの消失、型崩れ、曲がり等を抑制でき忠実なパターン転写が可能となる。従って、当該パターン形成方法は、より微細な加工サイズが要求されるパターン形成においても好適に適用することができる。

また、当該パターン形成方法においては、 基板上にレジスト下層膜を形成する工程(以下、「レジスト下層膜形成工程」ともいう) をさらに有し、 上記無機膜形成工程で無機膜を上記レジスト下層膜上に形成することも好ましい。

当該無機膜形成組成物は、有機材料に対して優れたエッチング選択性を有することから、無機膜と、有機膜であるレジスト下層膜とを順次、ドライエッチングすることによりレジストパターンの転写が可能となる。以下、各工程について説明する。

[無機膜形成工程] 本工程では、当該無機膜形成組成物で、基板上の上面側に無機膜を形成する。上記基板としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ポリシロキサン等の絶縁膜、並びに市販品であるブラックダイヤモンド(AMAT社)、シルク(ダウケミカル社)、LKD5109(JSR社)等の低誘電体絶縁膜で被覆したウェハ等の層間絶縁膜が挙げられる。また、この基板としては、配線講(トレンチ)、プラグ溝(ビア)等のパターン化された基板を用いてもよい。上記無機膜は、当該無機膜形成組成物を基板の表面に塗布することにより塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理、又は紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより硬化させることで形成できる。当該無機膜形成組成物を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。また、上記加熱処理の温度としては、通常150℃〜500℃であり、好ましくは180℃〜350℃である。上記加熱処理の時間としては、通常30秒〜1,200秒であり、好ましくは45秒〜600秒である。上記紫外光の照射の条件は、当該無機膜形成組成物の組成等に応じて適宜選択される。形成される無機膜の膜厚としては、通常5nm〜50nm程度である。

[レジスト下層膜形成工程] また、上記無機膜形成工程の前に、レジスト下層膜形成組成物を用い、基板上に有機膜であるレジスト下層膜を形成する工程を有していてもよい。レジスト下層膜形成組成物としては、従来公知のものを使用できるが、例えばNFC HM8005(JSR社)等が挙げられ。上記レジスト下層膜は、基板上にレジスト下層膜形成組成物を塗布することにより塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理、又は紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより硬化させることで形成できる。レジスト下層膜形成組成物を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。また、上記加熱処理の温度としては、通常150℃〜500℃であり、好ましくは180℃〜350℃である。上記加熱処理の時間としては、通常30秒〜1,200秒であり、好ましくは45秒〜600秒である。上記紫外光の照射の条件は、レジスト下層膜形成組成物の組成等に応じて適宜選択される。形成されるレジスト下層膜の膜厚としては、通常50nm〜500nm程度である。

また、上記基板表面には、上記レジスト下層膜とは異なる他の下層膜が形成されていてもよい。この他の下層膜は、反射防止機能、塗布膜平坦性、CF4等のフッ素系ガスに対する高エッチング耐性等が付与された膜である。この他の下層膜としては、例えば、NFC HM8005(JSR社)等の市販品を使用することができる。

[レジストパターン形成工程] 本工程では、上記形成した無機膜の上面側にレジストパターンを形成する。このレジストパターンを形成する方法としては、例えば(A)レジスト組成物を用いる方法、(B)ナノインプリントリソグラフィー法により行う方法等が挙げられる。以下、それぞれについて説明する。

((A)レジスト組成物を用いる方法) 本方法を用いる場合、レジストパターン形成工程は、 レジスト組成物で上記無機膜の上面側にレジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、 上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び 上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう) を含む。 以下、各工程について説明する。

(レジスト膜形成工程) 本工程では、レジスト組成物で上記無機膜の上面側にレジスト膜を形成する。上記レジスト組成物としては、例えば酸解離性基を有する重合体と感放射線性酸発生剤とを含有するレジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とを含有するポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とを含有するネガ型レジスト組成物等が挙げられる。このようなレジスト組成物として、市販品のレジスト組成物を使用することもできる。レジスト組成物の塗布方法としては、例えばスピンコート法等の従来の方法によって塗布することができる。なお、レジスト組成物を塗布する際には、得られるレジスト膜が所望の膜厚となるように、塗布するレジスト組成物の量を調整する。

上記レジスト膜は、上記レジスト組成物を塗布することによって形成された塗膜をプレベーク(PB)等することにより、塗膜中の溶媒を揮発させて形成することができる。PBの温度としては、使用するレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。PBの時間としては、通常30秒〜200秒であり、好ましくは45秒〜120秒である。形成されるレジスト膜の膜厚としては、通常、1nm〜500nmであり、10nm〜300nmが好ましい。なお、このレジスト膜の表面にさらに他の膜を設けてもよい。

(露光工程) 本工程では、上記形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、通常フォトマスクを介してレジスト膜に選択的に放射線を照射することにより行う。露光に用いる放射線としては、レジスト組成物に使用されている酸発生剤の種類に応じて、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、γ線等の電磁波;電子線、分子線、イオンビーム等の粒子線などから適切に選択されるが、遠紫外線が好ましく、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、F2エキシマレーザー光(波長157nm)、Kr2エキシマレーザー光(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー光(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)がより好ましい。また、液浸露光法も採用することができる。この場合、レジスト膜上に液浸上層膜形成組成物を用いて液浸上層膜を形成してもよい。

上記露光後に、レジスト膜の解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるため、ポストベークを行うことが好ましい。このポストベークの温度としては、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、50℃〜180℃が好ましく、70℃〜150℃がより好ましい。ポストベークの時間としては、通常30秒〜200秒であり、好ましくは45秒〜120秒である。

(現像工程) 本工程では、上記露光されたレジスト膜を現像する。現像に用いる現像液としては、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択することができる。上記酸解離性基を有する重合体と感放射線性酸発生剤とを含有するレジスト組成物やアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト組成物の場合には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液が挙げられ、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。これらの中で、TMAH水溶液が好ましい。これらのアルカリ性水溶液は、水溶性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加したものであってもよい。また、上記酸解離性基を有する重合体と感放射線性酸発生剤とを含有するレジスト組成物の場合、上記現像液として、有機溶媒を含有する液を用いることができ、ネガ型のレジストパターンを形成することができる。このように、酸解離性基を有する重合体を含有するレジスト組成物を用い、有機溶媒を含有する現像液を用いることで、より微細なレジストパターンを形成することができ、ひいては、より微細な基板のパターンを形成することができる。上記有機溶媒としては、例えば、当該無機膜形成組成物の[B]溶媒として例示した溶媒と同様のもの等が挙げられる。これらの中で、エステル系溶媒が好ましく、酢酸ブチルがより好ましい。

また、ネガ型化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジスト組成物の場合には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液等が挙げられる。

((B)ナノインプリントリソグラフィー法を用いる方法) 本方法を用いる場合、レジストパターン形成方法は、 ナノインプリントリソグラフィー法により、レジスト組成物を用い、上記無機膜上にレジストパターンを形成する工程(以下、「ナノインプリントリソグラフィー法によるレジストパターン形成工程」ともいう) を有する。 以下、この工程について説明する。

(ナノインプリントリソグラフィー法によるレジストパターン形成工程) 本工程では、ナノインプリントリソグラフィー法により、レジスト組成物を用い、上記無機膜上にレジストパターンを形成する。本工程を詳述すると、上記無機膜上にパターン形成層を形成する工程(以下、「パターン形成層形成工程」ともいう)と、表面に反転パターンを有するモールドの表面を疎水化処理する工程(以下、「疎水化処理工程」ともいう)と、疎水化処理した上記モールドの表面をパターン形成層に圧接する工程(以下、「圧接工程」ともいう)と、上記モールドを圧接した状態でパターン形成層を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、上記モールドを、露光されたパターン形成層から剥離する工程(以下、「剥離工程」ともいう)とを含む方法である。 以下、各工程について説明する。

(パターン形成層形成工程) 本工程では、上記無機膜上にパターン形成層を形成する。パターン形成層を構成する成分は、ナノインプリント用感放射線性組成物である。パターン形成層には、ナノインプリント用感放射線性組成物以外にも、硬化促進剤等を含有できる。硬化促進剤としては、例えば感放射線性硬化促進剤や熱硬化促進剤がある。これらの中でも、感放射線性硬化促進剤が好ましい。感放射線性硬化促進剤は、ナノインプリント用感放射線性組成物を構成する構成単位によって適宜選択でき、例えば光酸発生剤、光塩基発生剤及び光増感剤等が挙げられる。なお、感放射線性硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

上記感放射線性組成物の塗布方法としては、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等が挙げられる。

(疎水化処理工程) 本工程では、表面に反転パターンを有するモールドの表面を疎水化処理する。上記モールドは、光透過性の材料で構成される必要がある。この光透過性の材料としては、例えばガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂;透明金属蒸着膜;ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜;光硬化膜;金属膜等が挙げられる。

上記疎水化処理には例えば、離型剤等が用いられる。この離型剤としては、例えばシリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。なお、離型剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、シリコン系離型剤が好ましい。このシリコン系離型剤としては、例えばポリジメチルシロキサン、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等が挙げられる。

(圧接工程) 本工程では、疎水化処理した上記モールドの表面をパターン形成層に圧接する。パターン形成層に凹凸パターンを有するモールドを圧接することでパターン形成層中に、モールド凹凸パターンが形成される。モールドを圧接する際の圧としては、通常0.1MPa〜100MPaであり、0.1MPa〜50MPaが好ましく、0.1MPa〜30MPaであることがより好ましく。圧接時間としては、通常1秒〜600秒であり、1秒〜300秒が好ましく、1秒〜180秒がより好ましい。

(露光工程) 本工程では、上記モールドを圧接した状態でパターン形成層を露光する。パターン形成層を露光することにより、ナノインプリント用感放射線性組成物に含有される光重合開始剤からラジカルが発生する。それにより、ナノインプリント用感放射線性組成物からなるパターン形成層が、モールドの凹凸パターンが転写された状態で硬化する。凹凸パターンが転写されることで、例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の層間絶縁膜用膜、半導体素子製造時におけるレジスト膜等として利用することができる。

また、パターン形成層が熱硬化性を有する場合には、加熱硬化をさらに行ってもよい。熱硬化を行う場合、加熱雰囲気及び加熱温度等は特に限定されないが、例えば不活性雰囲気下又は減圧下で、40℃〜200℃で加熱することができる。加熱はホットプレート、オーブン、ファーネス等を用いて行うことができる。

(剥離工程) 本工程では、上記モールドを、露光されたパターン形成層から剥離する。剥離方法としては、特に限定されず例えば基材を固定してモールドを基材から遠ざかるように移動させて剥離してもよく、モールドを固定して基材をモールドから遠ざかるように移動させて剥離してもよく、これらの両方を逆方向へ引っ張って剥離してもよい。

[基板パターン形成工程] 本工程では、上記レジストパターンをマスクとした1又は複数回のドライエッチングにより、基板にパターンを形成する。なお、上記レジスト下層膜を形成している場合は、上記レジストパターンをマスクとして無機膜、レジスト下層膜及び被加工基板を順次ドライエッチングしてパターンを形成する。ドライエッチングは、公知のドライエッチング装置を用いて行うことができる。また、ドライエッチング時のソースガスとしては、被エッチング物の元素組成にもよるが、O2、CO、CO2等の酸素原子を含むガス、He、N2、Ar等の不活性ガス、Cl2、BCl3等の塩素系ガス、CHF3、CF4等のフッ素系ガス、H2、NH3のガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。

以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例における物性値の測定方法を以下に示す。

[数平均分子量] [A]錯体のMnは、GPCカラム(SHODEX A−80M(長さ50cm)、昭和電工社)を用い、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。 装置:高温高速ゲル浸透クロマトグラフ(モデル1500−C、ALC/GPC、ウォーターズ社) カラム温度:40℃ 溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社) 流速:1.0mL/分 試料濃度:0.1g/10mL 検出器:示差屈折計 標準物質:標準ポリスチレン(プレッシャーケミカル社)

[固形分濃度] 秤量したアルミ皿(A[g])に、固形分濃度を測定する溶液1.00gを入れ、アルミ皿を200℃のホットプレートを用いて1時間大気下で加熱した後、室温まで冷却し、再度秤量(B[g])し、求めたA及びBの質量から、(B−A)*100(%)を算出して固形分濃度を求めた。

<[A]錯体の合成> [A]錯体の合成に用いた化合物を以下に示す。 M−1:イットリウム(III)イソプロポキシド M−2:チタン(IV)イソプロポキシド M−3:チタン(IV)ブトキシドオリゴマー4量体([TiO(OBu)2]4) M−4:ジルコニウム(IV)ブトキシド M−5:ハフニウム(IV)エトキシド M−6:タンタル(V)エトキシド M−7:タングステン(VI)メトキシド M−8:テトラキス(t−ブトキシ)(オキソ)タングステン(VI)(WO(OBu−t)4) M−9:塩化アルミニウム(III) M−10:メチルトリメトキシシラン M−11:チタン(IV)ブトキシドオリゴマー10量体([TiO(OBu)2]10) M−12:ジルコニウム・ジn−ブトキシド・ビス(2,4−ペンタンジオネート)(60質量%濃度・ブタノール溶液) M−13:チタニウム・ジイソプロプロキシド・ビス(エチルアセトセテート) M−14:テトラメチルオルソシリケート

[合成例1] 上記化合物(M−1)26.6g及びテトラヒドロフラン(THF)100gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、1,4−ベンゼンジメタノール20.7gを加え、60℃まで昇温し、4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、アセチルアセトン(AcAc)10.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)200gと加えた後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−1)の溶液を得た。錯体(A−1)のMnは3,500であった。

[合成例2] 上記化合物(M−2)28.4g及びテトラヒドロフラン(THF)100gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、プロピレングリコール15.2gを混合し、60℃まで昇温し、4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、アセト酢酸エチル(EAcAc)13.1gとプロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)を200g添加した後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−2)の溶液を得た。錯体(A−2)のMnは4,600であった。

[合成例3] 上記化合物(M−3)9.7g及びブタノール(BuOH)50gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、マレイン酸17.4gを混合し、25℃で4時間加熱撹拌を行った。乳酸エチル(EL)を200g添加した後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−3)の溶液を得た。錯体(A−3)のMnは2,300であった。

[比較合成例1] マレイン酸を用いなかった以外は、合成例3と同様に操作して固形分濃度が10質量%の錯体(a−3)の溶液を得た。錯体(a−3)のMnは、1,100であった。

[合成例4] 上記化合物(M−4)38.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)50gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、グリセリン9.2gを混合し、100℃で4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、1,3−アセトンジカルボン酸ジエチル(ADC)20.2gとγ−ブチロラクトン(GBL)を200g添加した後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−4)の溶液を得た。錯体(A−4)のMnは7,900であった。

[合成例5] 上記化合物(M−5)35.9g及びテトラヒドロフラン(THF)1,000gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアナート33.4gを混合し、40℃で4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、アセチルアセトン(AcAc)5.0gとプロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)を200g添加した後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−5)の溶液を得た。錯体(A−5)のMnは6,100であった。

[合成例6] 上記化合物(M−6)10.0g及びテトラヒドロフラン(THF)100gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、ジエチレングリコール6.5gを混合し、60℃で4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を一度全部エバポレーターにて除去し、不揮発成分を乾燥させた。その後、乳酸エチル(EL)を添加し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−6)の溶液を得た。錯体(A−6)のMnは2,900であった。

[比較合成例2] ジエチレングリコールを用いなかった以外は、合成例6と同様に操作して固形分濃度が10質量%の錯体(a−2)の溶液を得た。錯体(a−2)のMnは、450であった。

[合成例7] 上記化合物(M−7)3.7g及びブタノール(BuOH)75gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、コハク酸3.5gを混合し、100℃で12時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却した後、アセト酢酸エチル(EAcAc)0.6gを加えて10分撹拌後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−7)の溶液(S−7)を得た。錯体(A−7)のMnは8,000であった。

[合成例8] 上記化合物(M−8)3.0g及びテトラヒドロフラン(THF)27gを混合し、次にアセチルアセトン(AcAc)0.6gを加えて25℃で10分間攪拌した後、ブタノール(BuOH)60gを加えてさらに25℃で10分間撹拌した。次にジエチレングリコール1.0gを混合し、25℃で5時間撹拌を行った。反応終了後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−8)の溶液を得た。錯体(A−8)のMnは1,200であった。

[比較合成例3] アセチルアセトンを用いなかった以外は、合成例8と同様に操作して固形分濃度10質量%の錯体(a−3)の溶液を得た。錯体(a−3)のMnは、900であった。

[合成例9] 上記化合物(M−9)1.3g及びトルエン50gを混合し、次にN,N−ジメチルエチレンジアミン0.9gを加えて25℃で10分間攪拌した後、60℃で5時間撹拌を行った。反応終了後、アセト酢酸エチル(EAcAc)0.6gと、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA)200gを加えた後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(A−9)の溶液を得た。錯体(A−9)のMnは4,700であった。

[比較合成例4] 上記化合物(M−10)13.6g及びテトラヒドロフラン(THF)100gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、ジエチレングリコール15.9gを混合し、60℃まで昇温し、4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、アセチルアセトン(AcAc)10.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を200g添加した後、低沸点物をエバポレーターにて除去し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(a−4)の溶液を得た。錯体(a−4)のMnは2,500であった。

[比較合成例5] 上記化合物(M−11)15.0gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)15.0gに溶解させた。この溶液に、15.0gのPGMEに19.52gのアセト酢酸エチル(EAcAc)が溶解した溶液を加えて室温で4時間攪拌した。次に、この混合物にトリメチロールプロパンエトキシレート1.5gを加えた後、混合物を1時間攪拌した。次いで、PGMEを加え、固形分濃度が10.0質量%の錯体(a−5)の溶液を得た。錯体(a−5)のMnは5,100であった。

[比較合成例6] 上記化合物(M−12)16.67gを、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGPE)99.59gに溶解させた。この溶液に0.41gの水を加えた後、室温で24時間攪拌した。次に、この反応液に、2.5gの2−シアノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−アクリル酸エチルエーテル(CHAE)を加え、1時間攪拌させた。その後PGPEを添加し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(a−6)の溶液を得た。錯体(a−6)のMnは3,100であった。

[比較合成例7] 上記化合物(M−13)10.00g及び化合物(M−14)1.23gを、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGPE)112.30gに溶解させた。次いで、この溶液に0.64gの水を加えて、室温で24時間攪拌した。次にこの反応液に6.2gのバニリンを加え、1時間攪拌して反射防止調合剤を準備した。次いで、PGPEを添加し、固形分濃度が10.0質量%の錯体(a−7)の溶液を得た。錯体(a−7)のMnは4,500であった。

上記合成例及び比較合成例で用いた金属化合物、架橋配位子(a)を与える化合物、及び配位子(b)を与える化合物、並びに無機膜形成組成物の調製に用いた[B]溶媒について下記表1に示す。なお、表1の配位子(b)を与える化合物の使用量の欄における「溶媒」は、配位子(b)を与える化合物は[B]溶媒としても使用していることを示す。

<多層レジストプロセス用無機膜形成組成物の調製> 無機膜形成組成物の調製に用いた[C]架橋促進剤を以下に示す。

[[C]架橋促進剤] C−1:ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート C−2:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート C−3:酢酸テトラメチルアンモニウム C−4:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンp−トルエンスルホン酸塩

[実施例1] 上記得られた錯体(A−1)の溶液100.0質量部(固形分量10.0質量部)に、架橋促進剤(C−1)0.38質量部を添加した後、得られた溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、多層レジストプロセス用無機膜形成組成物(J−1)を調製した。

[実施例2〜9及び比較例1〜7] 表2に示す種類の[A]成分の溶液100.0質量部(固形分量10.0質量部)を用い、必要に応じて、表2に示す種類及び量の[C]架橋促進剤を用いた以外は実施例1と同様に操作して、多層レジストプロセス用無機膜形成組成物(J−2)〜(J−9)及び(CJ−1)〜(CJ−7)を調製した。なお、「−」は該当する成分を使用しなかったことを示す。

<評価> 上記調製した多層レジストプロセス用無機膜形成組成物について、下記方法に従い、評価を行った。評価結果を表2にあわせて示す。

[洗浄溶剤除去性] 基板としてのシリコンウェハ上に、各無機膜形成組成物を滴下し、その後1,000rpmで30秒間基板を回転し、塗膜(未加熱膜)を形成した。この塗膜の一部を、基板の端部及び裏面を洗浄する洗浄溶剤としてのγ−ブチロラクトンに1分間浸漬した後、エアーガンで乾燥させた。その際の未加熱膜の除去度合いを以下の指標で評価した。 A:目視で膜が完全に除去されたことを確認した B:目視で膜が一部除去されていないことを確認した C: 目視で膜が全く溶解していないことを確認した

[無機膜の消光係数] 基板としてのシリコンウェハ上に、各無機膜形成組成物をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することにより膜厚20nmの無機膜を形成した。この無機膜の消光係数を、エリプソメーター(SL−200、ルドルフ・テクノロジーズ社)で測定した。消光係数の測定値を表2に示す。

[レジストパターン形成性] (レジスト組成物−アルカリ現像の場合) 基板としてのシリコンウェハ上に、レジスト下層膜形成組成物(NFC HM8005、JSR社)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることにより、膜厚300nmのレジスト下層膜を形成した。形成したレジスト下層膜上に各無機膜形成組成物をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することにより膜厚20nmの無機膜を形成した。形成した無機膜上にレジスト組成物(ARX2014J、JSR社)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させ膜厚100nmのレジスト膜を形成した。形成したレジスト膜上に液浸上層膜形成組成物(NFC TCX091−7、JSR社)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させ膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。次に、形成されるラインとスペースの幅が共に50nmであるラインアンドスペースパターン形成用のフォトマスクを介して、ArFエキシマレーザー照射装置(S610C、ニコン社)を用い、液浸露光法によって16mJ/cm2の露光量で露光した後、レジスト膜を含む基板を115℃で60秒間加熱した。次いで、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を現像液として用い30秒間現像し、50nmの1L/1Sレジストパターンを形成した。形成したレジストパターンを走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社)で観察し、50nmのラインアンドスペースのパターンにおいて、レジストパターンのボトム形状が裾広がり形状になっていない場合は、レジストパターン形成性は「A(良好)」と、裾広がり形状になっている場合は、「B(不良)」と評価した。形成したレジストパターンをマスクとして無機膜及び基板に対し、ドライエッチンッグ装置(Telius SCCM、東京エレクトロン社)を用いて順次ドライエッチングすることでパターン転写を行った。

(レジスト組成物−有機溶媒現像の場合) 基板としてのシリコンウェハ上に、レジスト下層膜形成組成物(NFC HM8005、JSR社)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることにより、膜厚300nmのレジスト下層膜を形成した。形成したレジスト下層膜上に各無機膜形成組成物をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することにより膜厚20nmの無機膜を形成した。形成した無機膜上にレジスト組成物(ARX2014J、JSR社)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させ膜厚100nmのレジスト膜を形成した。形成したレジスト膜上に液浸上層膜形成組成物(NFC TCX091−7、JSR社)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させ膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。次に、形成されるラインとスペースの幅が共に40nmであるラインアンドスペースパターン形成用のフォトマスクを介して、ArFエキシマレーザー照射装置(S610C、ニコン社)を用い、液浸露光法によって16mJ/cm2の露光量で露光した後、レジスト膜を含む基板を115℃で60秒間加熱した。次いで、酢酸ブチルを現像液として30秒間パドル現像し、メチルイソブチルカービノール(MIBC)でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、40nmの1L/1Sレジストパターンを形成した。形成したレジストパターンを走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社)で観察し、40nmのラインアンドスペースのパターンにおいて、レジストパターンのボトム形状が裾広がり形状にならない場合は、レジストパターン形成性は「A(良好)」と、裾広がり形状になる場合は「B(不良)」と評価した。形成したレジストパターンをマスクとして無機膜及び基板に対し、ドライエッチンッグ装置(Telius SCCM、東京エレクトロン社)を用いて順次ドライエッチングすることでパターン転写を行った。

(ナノインプリントリソグラフィー法の場合) 基板としてのシリコンウェハ上に、レジスト下層膜形成組成物(NFC HM8005、JSR社)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることにより、膜厚300nmのレジスト下層膜を形成した。形成したレジスト下層膜上に各無機膜形成組成物をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することにより膜厚20nmの無機膜を形成した。形成した無機膜上にUV硬化性組成物を基板の中心に約50μLスポットし、簡易インプリント装置(EUN−4200、エンジニアリングシステム社)のワークステージに設置した。一方、離型剤(HD−1100Z、ダイキン化成社)を所定の方法であらかじめ塗布した石英テンプレート(NIM−PH350、NTT−ATN社)を、シリコーンゴム(厚さ0.2mm)を接着層として、上記簡易インプリント装置の石英製露光ヘッドへ貼り付けた。次いで、上記簡易インプリント装置の圧力を0.2MPaとした後、露光ヘッドを下降し、形成されるラインとスペースの幅が共に50nmであるラインアンドスペースパターン形成用のテンプレートと基板とを、ナノインプリント用光硬化性組成物を介して密着させた後、UV露光を15秒間実施した。15秒後に露光ステージを上昇させ、テンプレートを硬化した被形状転写層から剥離し、パターンを形成した。形成したレジストパターンを走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社)で観察し、50nmの1L/1Sパターンにおいて、レジストパターンに欠けがなく、矩形である場合はレジストパターン形成性は「A(良好)」と、パターン損失がある場合は「B(不良)」と判断した。

[エッチング選択性] 上記エッチング装置を用いて、上記無機膜を以下の2通りの方法でエッチングし、エッチング選択性を評価した。 (1)上記レジスト下層膜(NFC HM8005)を毎分200nmの速度でエッチングする条件 (2)二酸化シリコン膜を毎分100nmの速度でエッチングする条件 エッチング選択性は、これらの各エッチング条件において、無機膜における初期膜厚とエッチング後の膜厚の差が2nm未満の場合は「S(非常に良好)」と、上記差が2nm以上5nm未満の場合は「A(良好)」と、上記差が5nm以上の場合は「B(不良)」と評価した。エッチング選択性が非常に良好又は良好と評価された場合、無機膜形成組成物から形成される無機膜は、それぞれの膜を加工する際のマスク膜として良好に機能することができる。

表2に示される結果から明らかなように、実施例の無機膜形成組成物は、塗布回転乾燥後の無機膜でも、基板端部・裏面洗浄用の溶剤への溶解性が良好で、またベーク後の消光係数が低く、さらにエッチング選択性に優れ、また形成されるレジストパターンの形成生に優れることがわかる。

本発明は、塗布回転乾燥後の無機膜でも、基板端部・裏面洗浄用の溶剤への溶解性が良好で、またベーク後の消光係数が低く、かつレジストパターン形成性及びエッチング選択性にも優れる多層レジストプロセス用無機膜形成組成物、並びにパターン形成方法を提供することができる。従って、当該無機膜形成組成物を用いた多層レジストプロセスにおいて、塗布回転後の基板上における膜を除去したい部位の有機溶剤による除去性能に優れ、有機膜を薄膜化する場合においても、レジストパターンの消失、型崩れ、曲がり等を抑制することができ、忠実なパターン転写が可能となる。従って、本発明は、今後さらに微細化が進行するとみられるLSIの製造、特に微細なコンタクトホール等の形成に極めて好適に使用することができる。

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