光電変換素子、それを有する撮像素子及び撮像装置

申请号 JP2016220716 申请日 2016-11-11 公开(公告)号 JP2018078242A 公开(公告)日 2018-05-17
申请人 キヤノン株式会社; 发明人 山口 智奈; 山田 直樹; 高橋 哲生; 鎌谷 淳; 西出 洋祐; 宮下 広和; 塩原 悟; 岩脇 洋伸; 大類 博揮; 板橋 真澄;
摘要 【課題】光電変換効率が高い光電変換素子を提供する。 【解決手段】光電変換素子の光電変換層は、第一の有機化合物と第一の有機化合物よりも還元電位が小さい第二の有機化合物とを含む。第一の有機化合物は、クロロホルム溶液中の発光寿命が1.1ナノ秒以上であり、下記一般式[1]フルオランテン誘導体、金属錯体のいずれかで表される。 R 1 は 水 素 原子 または置換基を表す。Ar 1 、Ar 2 、Z 1 は置換基を表す。n 1 及びn 2 は0乃至4までの整数を表す。X 1 乃至X 3 は窒素原子、硫黄原子、酸素原子または炭素原子を表す。 【選択図】なし
权利要求

下部電極、光電変換層、上部電極をこの順で有し、前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加する光電変換素子であって、 前記光電変換層は、第一の有機化合物と前記第一の有機化合物よりも還元電位が小さい第二の有機化合物とを含み、 前記第一の有機化合物は、クロロホルム溶液中の発光寿命が1.1ナノ秒以上であり、 前記第一の有機化合物は下記一般式[1]乃至[5]のいずれかで表される有機化合物であることを特徴とする光電変換素子。 一般式[1]において、R1は原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基を表す。 n1及びn2は0乃至4までの整数を表す。X1乃至X3は窒素原子、硫黄原子、酸素原子または炭素原子を表わし、当該炭素原子は、置換基を有してもよい。 Ar1及びAr2は置換あるいは無置換のアリール基、または置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。 Ar1及びAr2が複数ある場合はそれぞれ同じでも異なってもよく、Ar1及びAr2はX2あるいはX3が炭素原子の場合、互いに結合して環を形成してもよい。 Z1はハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のヘテロアリール基または以下の一般式[1−1]乃至[1−9]で表される置換基のいずれかを表す。 一般式[1−1]乃至[1−9]において、R521乃至R588は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。 一般式[2]においてR20乃至R29は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。R20乃至R29のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい。 一般式[3]乃至[5]において、Mは金属原子を表す。当該金属原子は酸素原子またはハロゲン原子を置換基として有してもよい。 L1乃至L9は金属Mに配位する配位子を表す。当該配位子は、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からなり、それぞれL1乃至L9のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい。前記一般式[1]において、Ar1が前記アリール基または前記複素環基であり、X1が硫黄原子または酸素原子であり、n1が1であり、n2が0であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。前記一般式[2]が以下に示す一般式[11]乃至[27]であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。 式[11]乃至[27]において、R31乃至R390は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。前記一般式[3]乃至[5]において、Mがイリジウム、プラチナ、バナジウム、コバルト、ガリウム、チタンのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光電変換素子。前記光電変換層において、下記式(A)であらわされるΔEredが、下記式(B)を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光電変換素子。 ΔEred=第二の有機化合物の還元電位−第一の有機化合物の還元電位 (A) ΔEred≧0.32 [V] (B)前記光電変換層において、下記式(C)を満たすことを特徴とする請求項5に記載の光電変換素子。 0.32≦ΔEred≦0.65 [V] (C)前記第二の有機化合物がフラーレン誘導体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光電変換素子。前記フラーレン誘導体が、フラーレンC60であることを特徴とする請求項7に記載の光電変換素子。前記上部電極の上に封止層を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光電変換素子。複数の画素と、前記画素に接続されている信号処理回路と、を有する撮像素子であって、 前記画素は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光電変換素子と、前記光電変換素子に接続されている読み出し回路とを有することを特徴とする撮像素子。複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を透過した光を受光する撮像素子とを有し、 前記撮像素子は、請求項10に記載の撮像素子であることを特徴とする撮像装置。外部からの信号を受信する受信部をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。前記信号は、前記撮像装置の撮像範囲、撮像の開始、撮像の終了の少なくともいずれかを制御する信号であることを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。取得した画像を外部に送信する送信部をさらに有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の撮像装置。

说明书全文

本発明は、光電変換素子、それを有する撮像素子及び撮像装置に関する。

近年、有機化合物を光電変換層に用いた光電変換素子の開発が行われている。光電変換素子は一対の電極と、その間に配置されている有機光電変換層とを有する素子である。

光電変換素子は、光情報を電気情報に変換する素子であり、その性質を利用して、撮像素子の開発が進められている。具体的には信号読み出し用基板上に形成した構造を有する固体撮像素子である。

光電変換素子の実用化のためには、暗電流の低減、光電変換効率の向上など改善の余地がある。その一つとして、光電変換素子の光電変換効率を向上するために、種々の検討が行われている。

特許文献1には、p型半導体層とn型半導体層とを有する光電変換膜がフラーレンまたはフラーレン誘導体を有することで高い光電変換効率を有する光電変換膜が記載されている。

特開2007−123707号公報

特許文献1には、特定の有機化合物を用いることで、高い光電変換効率を有する光電変換素子が記載されている。しかし、光エネルギーから電気エネルギーに変換される過程の検討が行われていないため、電気エネルギーに変換されるべきエネルギーが失活し、十分な光電変換効率が得られていなかった。

本発明は、光電変換層の有機化合物の励起子寿命を一定以上とし、特定の有機化合物を有することで光電変換効率が高い光電変換素子を提供することを目的とする。

そこで、本発明は、下部電極、光電変換層、上部電極をこの順で有し、前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加する光電変換素子であって、前記光電変換層は、第一の有機化合物と前記第一の有機化合物よりも還元電位が小さい第二の有機化合物とを含み、前記第一の有機化合物は、クロロホルム溶液中の発光寿命が1.1ナノ秒以上であり、前記第一の有機化合物は下記一般式[1]乃至[5]のいずれかで表される有機化合物であることを特徴とする光電変換素子を提供する。

一般式[1]において、R1原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基を表す。

n1及びn2は0乃至4までの整数を表す。X1乃至X3は窒素原子、硫黄原子、酸素原子または炭素原子を表わし、当該炭素原子は、置換基を有してもよい。

Ar1及びAr2は置換あるいは無置換のアリール基、または置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。

Ar1及びAr2が複数ある場合はそれぞれ同じでも異なってもよく、Ar1及びAr2はX2あるいはX3が炭素原子の場合、互いに結合して環を形成してもよい。

Z1はハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のヘテロアリール基または以下の一般式[1−1]乃至[1−9]で表される置換基のいずれかを表す。

一般式[1−1]乃至[1−9]において、R521乃至R588は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。

一般式[2]においてR20乃至R29は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。R20乃至R29のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい。

一般式[3]乃至[5]において、Mは金属原子を表す。当該金属原子は酸素原子またはハロゲン原子を置換基として有してもよい。

L1乃至L9は金属Mに配位する配位子を表す。当該配位子は、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からなり、それぞれL1乃至L9のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい。

本発明によれば、光電変換層が有する第一の有機化合物の励起子寿命を一定以上とすることで、可視光領域において光電変換効率が高い光電変換素子を提供できる。

光電変換層中の光誘起電荷分離過程を示す図である。

光電変換層が有する第一の有機化合物及び第二の有機化合物のエネルギー準位を示す図である。

本発明に係る光電変換素子の一例を表す断面模式図である。

本発明に係る光電変換装置を含む画素の一例を表す回路図である。

本発明に係る光電変換素子を有する撮像素子とその周辺回路を表す模式図である。

発光寿命測定において取得した発光強度の減衰曲線である。

本発明に係る光電変換素子は、光電変換層におけるp型有機半導体材料において光吸収により生じた励起子が長寿命であることにより光電変換効率が高い。さらに、p型有機半導体材料の還元電位と、n型有機半導体材料の還元電位と、の差が大きいことにより、p型有機半導体からn型有機半導体材料への電子移動効率が高いので、光電変換効率の向上に寄与する。

本発明に係る光電変換素子は、下部電極、光電変換層、上部電極をこの順で有し、これら電極の間に電圧を印加して用いる素子である。

光電変換層は、第一の有機化合物と第二の有機化合物とを有し、第一の有機化合物は電子ドナー材料である。

第一の有機化合物は、光電変換層が有するp型有機半導体である。第一の有機化合物は、電子を供与しやすい性質がある。具体的には2つの有機化合物のうち酸化電位が小さい方が第一の有機化合物である。つまり第一の有機化合物は電子ドナー材料、第二の有機化合物は電子アクセプター材料である。

光電変換層はバルクへテロ層を有することが好ましい。これにより、光電変換効率を向上させることができる。最適な混合比率でバルクへテロ層を有することにより、光電変換層の電子移動度、正孔移動度を高くすることができ、光電変換素子の光応答速度を高速にすることができる。

[発光寿命について] 図1は、光電変換層中の光励起電荷分離過程を表す図である。第一の有機化合物(D)は光照射により励起状態(D*)となる。生じたD*は第二の有機化合物(A)と相互作用してイオン化し、電荷移動励起子となる。そこから直ちにD+及びAへ電荷分離が行われ、各電荷は各電極へと移動する。

上記の過程が高効率で進行するためには、電荷移動励起子の生成確率を高めることが好ましい。第一の有機化合物が励起状態(D*)で存在する時間が長い場合、D*は基底状態へ放射失活または無輻射失活を起こす前に、より多くのD*が第二の有機化合物(A)に近付くことが可能である。その結果、電荷移動励起子の生成確率を高くでき、光電変換効率が高い光電変換素子となる。

光電変換層において、電荷移動励起子の生成確率が高いためには、第一の有機化合物(D)の励起状態が長く続くことが好ましい。すなわち、第一の有機化合物の励起子寿命が長いことが好ましい。特に1.1ns以上であることで高い光電変換効率が得られる。励起子寿命が長い有機化合物は、発光寿命が長い有機化合物である。

本明細書において発光寿命とは、分子が励起状態から基底状態に遷移する過程で発光を生じる場合、最初に励起状態にあった蛍光分子数に比べて励起状態にいる分子が1/eの割合になる時間を指す。すなわち、発光寿命が長い分子は、励起子寿命が長い分子であるということができる。したがって、本発明に係る光電変換素子が有する第一の有機化合物は、励起子寿命が1.1ns以上であってもよい。なお、eはネイピア数である。

本発明に係る光電変換素子は、第一の有機化合物の励起子寿命が長いことに加えて、一般式[1]乃至[5]のいずれかで表される構造であることで、優れた特性を奏するものである。

光電変換層が有する第一の有機化合物は、下記一般式[1]乃至[5]のいずれかで表される有機化合物である。第一の有機化合物は一般式[1]で表される有機化合物であることが特に好ましい。

一般式[1]において、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基を表す。

n1及びn2は0乃至4までの整数を表す。

X1乃至X3は窒素原子、硫黄原子、酸素原子または炭素原子を表し、当該炭素原子は、置換基を有してもよい。

Ar1及びAr2は置換あるいは無置換のアリール基、または置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。Ar1及びAr2が複数ある場合はそれぞれ同じでも異なってもよく、Ar1及びAr2はX2あるいはX3が炭素原子の場合、互いに結合して環を形成してもよい。

Z1はハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のヘテロアリール基または以下の一般式[1−1]乃至[1−9]で表される置換基のいずれかを表す。

一般式[1−1]乃至[1−9]において、R521乃至R588は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。

一般式[1]で表される有機化合物の中でも、Ar1が置換あるいは無置換のアリール基、または置換あるいは無置換の複素環基であることが好ましい。当該複素環基の複素原子は窒素であることが好ましい。X1が硫黄または酸素原子であることが好ましい。n1は1であり、n2は0であることが好ましい。Ar2はn2が0であるため、単結合を表す。

第一の有機化合物は、下記一般式[2]であってもよい。

一般式[2]においてR20乃至R29は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。R20乃至R29のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい。

第一の有機化合物は、下記一般式[3]乃至[5]のいずれかであってもよい。

一般式[3]乃至[5]において、Mは金属原子を表す。当該金属原子は酸素原子またはハロゲン原子を置換基として有してもよい。

L1乃至L9は金属Mに配位する配位子を表す。当該配位子は、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からなり、それぞれL1乃至L9のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい。

ここで環を形成するとは、形成する環構造を限定しない。例えば、5員環を縮環させても、6員環を縮環させても、7員環を縮環させてもよい。縮環する環構造は、芳香環であっても、脂環構造であってもよい。以下本明細書において、環を形成してよいとは、特に断らない限り同じ意味で用いられる。

一般式[3]乃至[5]において、Mがイリジウムである場合は、6配位錯体であることが好ましい。Mがプラチナ、バナジウム、コバルト、ガリウム、チタンである場合は、4配位錯体であることが好ましい。当該配位数とすることで錯体の安定性が高いためである。

一般式[2]は、より具体的には以下の一般式[11]乃至[27]のいずれかで表すことができる。

一般式[11]乃至[27]において、R31乃至R390は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。

上記一般式[1]及び[2]、一般式[1−1]乃至[1−9]、一般式[11]乃至[27]の置換基の具体例を以下に示す。

ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。

アルキル基は、炭素原子数1乃至10のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリブチル基、セカンダリブチル基、オクチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などが挙げられる。アルキル基は、炭素原子数1乃至4のアルキル基であってもよい。

アルコキシ基は、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロピオキシ基、イソプロピオキシ基、ノルマルブトキシ基、ターシャリブトキシ基、セカンダリブトキシ基、オクトキシ基などが挙げられる。アルコキシ基は炭素原子数1乃至4のアルコキシ基であってもよい。

アリール基は、炭素原子数6乃至20のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基などが挙げられ。特に、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基が分子量は低く、化合物の昇華性を考慮すると好ましい。

複素環基は、炭素原子数3乃至15の複素環基が好ましい。例えば、ピリジル基、ピラジル基、トリアジル基、チエニル基、フラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾアゾリル基、ベンゾピロリル基などが挙げられる。複素環基が有する複素原子は、窒素が好ましい。

アミノ基は、アルキル基、アリール基を置換基として有するアミノ基が好ましい。例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N,N−ジフルオレニルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジアニソリルアミノ基、N−メシチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメシチルアミノ基、N−フェニル−N−(4−ターシャリブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ基等が挙げられる。アミノ基が置換基として有するアルキル基やアリール基は、上記の置換基の例示で示された通りである。

一般式[1]及び[2]、一般式[1−1]乃至[1−9]、一般式[11]乃至[27]におけるアルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基、ビニル基、アリール基が有する置換基は以下の置換基が挙げられる。当該置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1乃至4のアルキル基、ベンジル基などのアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、ピリジル基、ピロリル基などの窒素原子を複素原子とする複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などのアミノ基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などのアルコキシル基、1,3−インダンジオニル基、5,−フルオロ−1,3−インダンジオニル基、5,6−ジフルオロ−1,3−インダンジオニル基、5,6−ジシアノ−1,3−インダンジオニル基、5−シアノ−1,3−インダンジオニル基、シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオニル基、フェナレン−1,3(2H)−ジオニル基、1,3−ジフェニル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオニル基などの環状ケトン基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などであり、フッ素原子が好ましい。

一般式[3]乃至[5]について配位子L1乃至L9の具体例を以下に示す。

配位子L1乃至L9は置換あるいは無置換のアリール基と置換あるいは無置換の複素環基から選ばれる置換基を複数結合させた配位子である。

配位子を構成するアリール基として、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基などが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。

配位子を構成する複素環基として、ピリジル基、ピラジル基、トリアジル基、チエニル基、フラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾアゾリル基、ベンゾピロリル基などが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。

一般式[3]乃至[5]における配位子が有する置換基、即ちアリール基及び複素環基が有する置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1乃至4のアルキル基、ベンジル基などのアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、ピリジル基、ピロリル基などの窒素原子を複素原子とする複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などのアミノ基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などのアルコキシル基、1,3−インダンジオニル基、5,−フルオロ−1,3−インダンジオニル基、5,6−ジフルオロ−1,3−インダンジオニル基、5,6−ジシアノ−1,3−インダンジオニル基、5−シアノ−1,3−インダンジオニル基、シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオニル基、フェナレン−1,3(2H)−ジオニル基、1,3−ジフェニル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオニル基などの環状ケトン基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などであり、フッ素原子が好ましい。

配位子は、ヒドロキシ基やカルボキシル基等を置換基として有し、ヒドロキシ基やカルボキシル基を介して金属原子結合してもよい。

一般式[1]は、下記の一般式[28]で表される構造を有することが好ましい。

R391乃至R396は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のビニル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。R391乃至R396のうちの隣接する2つは、互いに結合して環を形成してもよい。特にR394とR395とが結合して環を形成するのが好ましい。

また一般式[28]で表される有機化合物は、吸収ピーク波長が522nm以上600nm以下において強い吸収を持つ材料である。この波長領域に吸収ピークを有することは、前述の通り、光電変換層がパンクロミック性を有するために好ましい。

第一の有機化合物は、吸収波長が450nm以上700nm以下の可視域にあることが好ましい。光電変換層がパンクロミック吸収帯を得るためには、吸収ピーク波長が、500nm以上650nm以下であることが特に好ましい。当該領域に吸収ピーク波長を有することは、近接する領域である、450nm以上470nm以下の青領域や600nm以上630nm以下の赤領域にも吸収を有するので、パンクロミック性が向上する。

光電変換層内における第一の有機化合物の重量比は、第一の有機化合物と第二の有機化合物との合計を100重量%とした場合、35重量%未満であることが好ましい。より好ましくは27.5重量%以下であることが好ましい。

[ΔEredについて] 図2は、第一の有機化合物(A)と第二の有機化合物(D)とのエネルギー準位を表すエネルギー図である。図2のHOMO、LUMOは、それぞれ最高被占有分子軌道、最低非占有分子軌道である。図2のHOMOとLUMOとの間の破線は、励起準位を表している。

ΔEredは、第二の有機化合物の還元電位と第一の有機化合物の還元電位との差であり、次式(A)で定義されるエネルギーギャップである。ΔEredは下記式(B)を満たすことが好ましい。 ΔEred=第二の有機化合物の還元電位−第一の有機化合物の還元電位 (A) ΔEred≧0.32 [V] (B) 0.32≦ΔEred≦0.65 [V] (C)

還元電位(Ered)は化合物が還元される電位である。つまり化学的には電子をひとつ余分にもったアニオンラジカル状態であり、束縛されていない電子を得るためのポテンシャルエネルギーである。

第一の有機化合物(D)の還元電位は、第一の有機化合物(D)のLUMOに相当し、第二の有機化合物(A)の還元電位は、第二の有機化合物(A)のLUMOに相当する。

ΔEredが大きい場合、第二の有機化合物から第一の有機化合物への電子移動を抑制することができる。第二の有機化合物から第一の有機化合物への電子移動が起こった場合、所望の電荷分離が起こりにくくなる可能性がある。

第一の有機化合物(D)に光を照射することにより、基底状態から励起状態へ電子が励起される。その電子が第二の有機化合物(A)のLUMOに移動することにより、電荷分離が行われる。第一の有機化合物(D)のLUMOが低い場合、第一の有機化合物(D)の励起準位と第二の有機化合物(A)のLUMOとが近いエネルギーにある。

エネルギー差が小さいエネルギー準位において電子移動が起こりやすいので、第一の有機化合物から第二の有機化合物へ電子移動が起こる可能性がある。その結果、電荷は分離されず所望の機能が得られにくくなる。したがって、第一の有機化合物のLUMOは高い方が好ましい。

また、第一の有機化合物(D)の励起準位が第二の有機化合物(A)のLUMOよりも低い場合は、電子移動が極めて起こりにくくなる。第一の有機化合物のLUMOが高い場合、第一の有機化合物の励起準位も高くなる傾向がある。第一の有機化合物のLUMOが高いことで、第一の有機化合物の励起準位が、第二の有機化合物のLUMOよりも高い状態とすることが好ましい。

よって、高効率の電荷分離が起こるためにはΔEredが高いことが好ましい。さらに特定の範囲内にあることがより好ましい。具体的には、ΔEredが式(B)を満たすことが好ましく、式(C)を満たすことがより好ましい。光電変換効率がさらに高い光電変換素子を得ることができる。

ΔEbd、ΔEbaは、それぞれ第一の有機化合物の励起子束縛エネルギー、第二の有機化合物の励起子束縛エネルギーである。励起子束縛エネルギーは、LUMOと励起準位との差である。

[本発明に係る光電変換素子] 図3は、本実施形態に係る光電変換素子の一例を示す断面模式図である。光電変換素子には、光を電荷に変換する光電変換層1が、一対の電極である、アノード電極4とカソード電極5との間に配置されている。アノード電極の上には保護層7、波長選択部8、マイクロレンズ9が配置されている。カソード電極には、読み出し回路6が接続されている。

一対の電極のうち基板に近い電極を下部電極と呼び、基板から遠い電極を上部電極と呼ぶことがある。下部電極はアノード電極であっても、カソード電極であってもよい。下部電極は、反射率が高い電極であってよい。電極が反射率の高い材料で構成されてもよいし、電極層に加えて反射層を有してもよい。

本発明に係る光電変換素子は、基板を有してよい。基板は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、フレキシブル基板等を用いることができる。

本発明に係る光電変換素子が有するカソード電極は、光電変換層で発生した電荷のうちの正孔を捕集する電極である。一方、アノード電極は、光電変換層で発生した電荷のうち電子を捕集する電極である。カソード電極およびアノード電極を構成する材料は導電性が高く、透明性を有していれば制限されない。カソード電極とアノード電極とを構成する材料は同じであっても異なってもよい。

電極の材料は、具体的には、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が挙げられ、更に具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、アルミ等の金属及びこれらの金属の酸化物や窒化物などの導電性化合物(一例として窒化チタン(TiN)を挙げる)、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITO又は窒化チタンとの積層物などが挙げられる。電極として特に好ましい材料は、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タンタル、窒化タングステンが挙げられる。

本発明に係る光電変換素子が有する正孔または電子の捕集電極は、光電変換層で発生した電荷のどちらかを捕集する電極である。下部にある捕集電極は、撮像素子の構成においては画素電極であってよい。画素電極がカソードまたはアノードであることは、素子構成や下地の回路構成によって決められる。例えば基板上に基板/アノード電極/光電変換層/カソード電極の順でもよいし、基板/カソード電極/光電変換層/アノード電極の順でもよい。

電極を形成する方法は、電極材料との適正を考慮して適宜選択することができる。具体的には、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等により形成することができる。

電極がITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で形成することができる。更に、形成されたITOに、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。電極がTiNの場合、反応性スパッタリング法をはじめとする各種の方法が用いられ、更にアニール処理、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。

光電変換層は、一般式[1]乃至[5]以外にも、有機化合物を有してよい。例えば、トリアリールアミン化合物、ピラン化合物、キナクリドン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。中でも、トリアリールアミン化合物、ピラン化合物、キナクリドン化合物、ピロール化合物、フタロシアニン化合物、メロシアニン化合物、縮合芳香族炭素環化合物が好ましい。

フルオランテン誘導体とは、化学構造式中にフルオランテン骨格を有する化合物である。フルオランテン骨格に縮環が付加された化合物も含むものである。すなわち、化学構造式からフルオランテン骨格が見出される化合物を意味する。他のナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体についても同様である。

光電変換層は、第二の有機化合物としてフラーレンまたはフラーレン誘導体を有してよい。フラーレンまたはフラーレン誘導体はn型有機半導体として機能してよい。

フラーレンまたはフラーレン誘導体分子が光電変換層において連なることで、電子の輸送経路が形成される。そのため、電子輸送性が向上し、光電変換素子の高速応答性が向上する。

フラーレンまたはフラーレン誘導体の重量比は、第一の有機化合物と第二の有機化合物との合計を100重量%とした場合、40重量%以上85重量%以下であることが好ましい。

フラーレンまたはフラーレン誘導体は、例えば、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレン540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ等が挙げられる。

フラーレン誘導体は、置換基を有してもよい。この置換基は、アルキル基、アリール基、複素環基があげられる。

フラーレン誘導体は、フラーレンC60が好ましい。

光電変換層は、非発光であることが好ましい。非発光とは、可視光領域(波長400nm〜730nm)において発光量子効率が1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。光電変換層の発光量子効率が1%以内であれば、センサや撮像素子に適用した場合であっても、センシング性能又は撮像性能に与える影響が小さいため、撮像素子として好ましい。

本発明に係る光電変換素子は、アノード電極と光電変換層との間にさらに正孔ブロック層を有してよい。正孔ブロック層は、アノード電極から光電変換層へ正孔が流れ込むことを抑制する層であり、イオン化ポテンシャルが高いことが好ましい。

本発明に係る光電変換素子は、カソード電極と光電変換層との間にさらに電子ブロック層を有してよい。電子ブロック層は、カソード電極から光電変換層へ電子が流れ込むことを抑制する層であり、電子親和あるいはLUMO(最低非占有分子軌道)が小さいことが好ましい。

封止層として特に限定されるものではないが、無機材料により構成される。具体的には、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、アルミニウム酸化物などがあげられる。酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコンは、スパッタリング法、CVD法により形成することができ、アルミニウム酸化物は、ALD法(原子層堆積法)により形成することができる。

封止層の封止性能は、水透過率が、10−5g/m2・day以下であればよい。封止層の層厚は特に限定されるものではないが、封止性能の観点から0.5μm以上であることが好ましい。一方で封止性能を保てるならば薄い方がよく、1μm以下であることが特に好ましい。

封止層が薄い方が好ましい理由は、撮像素子として用いる場合に、光電変換層からのカラーフィルタまでの距離が短いほど混色を低減させる効果があるためである。

光電変換素子を作製する場合は、アニール工程を有することが好ましい。アニール温度は限定されないが、アニール温度の条件は150℃以上190℃以下であってよい。アニール温度は、アニール時間との兼ね合いで適宜決定してされる。

以下に第一の有機化合物の具体例を示す。

例示化合物1−1乃至1−23は、硫黄原子を含む5員環複素環基を中心に持つ化合物群である。硫黄原子を含む5員環複素環基により可視領域における長波長領域の吸収強度が増加するためである。その結果、光電変換層のパンクロミック性に寄与できる。また例示化合物1−1乃至1−23は、長寿命の発光を示すために好ましい。

例示化合物2−1乃至2−56はフルオランテン骨格を中心に持つ化合物群である。フルオランテン骨格は長寿命の発光を示し、且つ還元電位が低いため、第一の有機化合物として好ましい。

例示化合物3−1乃至3−14は、金属錯体化合物群である。これら金属錯体化合物は、燐光発光を示す化合物であり、励起子寿命が蛍光発光性の有機化合物と比較して長いため、第一の有機化合物として好ましい。

[実施形態に係る撮像素子] 本実施形態に係る撮像素子は、複数の画素を有し、画素は、本発明に係る光電変換素子と、光電変換素子に接続されている読み出しトランジスタを有する。

複数の画素は、複数の行および複数の列を含む行列に配置されてよい。画素は、それぞれ信号処理回路に接続されてよい。信号処理回路は、各画素からの信号を受け取ることで、画像を得ることができる。

読み出しトランジスタは、光電変換素子において生じた電荷に基づく信号を転送するトランジスタである。

信号処理回路は、CMOSセンサやCCDセンサであってよい。

撮像素子は、光フィルタを、例えばカラーフィルタを有してもよい。光電変換素子が、特定の波長の光に対応している場合、光電変換素子に対応したカラーフィルタを有することが好ましい。カラーフィルタは、1つの受光画素に1つのカラーフィルタを設けても、複数の受光画素に1つのカラーフィルタを設けてもよい。

光フィルタは、カラーフィルタの他にも、赤外線以上の波長を透過するローパスフィルタ、紫外線以下の波長を透過するUVカットフィルタ等があげられる。

撮像素子は、マイクロレンズ等の光学部材を有してもよい。マイクロレンズは、外部からの光を光電変換層に集光するレンズである。マイクロレンズは、1つの受光画素に1つのマイクロレンズを設けてもよいし、複数の受光画素に対応する1つのマイクロレンズを設けてもよい。受光画素が複数設けられている場合は、複数の受光画素のそれぞれに1つずつマイクロレンズが設けられることが好ましい。

本発明に係る撮像素子は、撮像装置に用いることができる。撮像装置は、複数のレンズを有する撮像光学系と、撮像光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を有する。また、撮像装置は、撮像素子と、撮像素子を収容する筐体と、を有し、筐体は撮像光学系と接合可能な接合部を有してよい。撮像装置はより具体的には、デジタルカメラまたはデジタルスチルカメラである。

また、撮像装置は、外部からの信号をする受信部をさらに有してもよい。受信部が受信する信号は、撮像装置の撮像範囲、撮像の開始、撮像の終了の少なくともいずれかを制御する信号である。また、撮像装置は、取得した画像を外部に送信する送信部をさらに有してもよい。取得した画像は例えば、撮像した画像、他の機器から送信された画像が挙げられる。

受信部や送信部を有することで、ネットワークカメラとして用いることができる。

図4は、本発明に係る光電変換装置を含む画素の一例を表す回路図である。光電変換装置10は、nodeAで共通配線19に接続される。共通配線はグランドに接続されてよい。

画素18は、光電変換素子10と、光電変換部で生じた信号を読み出すための読み出し回路を含んでよい。読み出し回路は、例えば光電変換素子と電気的に接続した転送トランジスタ11、光電変換素子10と電気的に接続されたゲート電極を有する増幅トランジスタ13、情報が読み出される画素を選択する選択トランジスタ14、光電変換素子にリセット電圧を供給するリセットトランジスタ12を含んでよい。

転送トランジスタ11は、pTXでその転送を制御されてよい。リセットトランジスタは、pRESで電圧の供給を制御されてよい。選択トランジスタはpSELで選択または非選択の状態をとなる。

転送トランジスタ11、リセットトランジスタ12、増幅トランジスタ13は、nodeBで接続されている。構成によっては転送トランジスタを有さなくてもよい。

リセットトランジスタはnodeBの電位をリセットする電圧を供給するトランジスタである。リセットトランジスタのゲートにpRESを印加することで電圧の供給を制御できる。構成によってはリセットトランジスタを有さなくてもよい。

増幅トランジスタは、nodeBの電位に応じた電流を流すトランジスタである。増幅トランジスタは信号を出力する画素を選択する選択トランジスタ14に接続されている。選択トランジスタは、電流源16、列出力部15に接続されており、列出力部15は信号処理部に接続されてよい。

選択トランジスタ14は、垂直出力信号線17に接続されている。垂直出力信号線17は、電流源16、列出力部15に接続されている。

図5は、本発明に係る撮像素子と、その周辺回路とを表す模式図である。撮像素子20は、複数の画素が2次元に配置されている撮像領域25と、周辺領域26とを有する。撮像領域以外領域は周辺領域である。周辺領域には、垂直走査回路21、読み出し回路22、水平走査回路23、出力アンプ24を有し、出力アンプは信号処理部27に接続されている。信号処理部は、読み出し回路に読みだされた情報により信号処理を行う信号処理部であり、CCD回路、CMOS回路等があげられる。

読み出し回路22は、例えば、列アンプ、CDS回路、加算回路等を含み、垂直走査回路21によって選択された行の画素から垂直信号線を介して読み出された信号に対して増幅、加算等を行う。列アンプ、CDS回路、加算回路等は、例えば、画素列又は複数の画素列毎に配置される。水平走査回路23は、読み出し回路22の信号を順番に読み出すための信号を生成する。出力アンプ24は、水平走査回路23によって選択された列の信号を増幅して出力する。

以上の構成は、光電変換装置の一つの構成例に過ぎず、本実施形態は、これに限定されるものではない。読み出し回路22と水平走査回路23と出力アンプ24とは、2系統の出力経路を構成するため、撮像領域25を挟んで上下に1つずつ配置されている。しかし、出力経路は3つ以上設けられていてもよい。各出力アンプから出力された信号は信号処理部で画像信号として合成される。

以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に記載の範囲内に限定されるものではない。

[第一の有機化合物の発光寿命の測定] 本発明における第一の有機化合物の発光寿命の測定には以下の構成の装置を用いた。

(装置) 励起光源:浜松ホトニクス社製 ピコ秒ライトパルサ(発光波長442nm) 分光器:浜松ホトニクス社製 イメージングスペクトログラフC5094 検出器:浜松ホトニクス社製 ストリークスコープC4334 (試料準備) 各化合物はクロロホルムに溶解させ、波長442nmにおける吸光度が0.05〜0.2程度になるように濃度を調整し、その溶液約3mLを光路長1cmのセルに入れた。

(発光寿命測定及び解析) 試料溶液に波長442nmの励起光を照射し、時間分解発光スペクトルを測定した。図6は、発光強度の減衰曲線の例を表す図である。この減衰曲線を1成分減衰で解析して発光寿命を得た。なお、発光寿命は、初期強度が1/eになるまでの時間と定義した。表1には、第一の有機化合物の例示化合物の発光寿命を示す。

[第一の有機化合物の還元電位の測定] 酸化還元電位などの電気化学特性の評価は、サイクリックボルタンメトリー(CV)によって行うことができる。CV測定サンプルは、0.1Mテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩のオルトジクロロベンゼン溶液10mLに第一の有機化合物を1mg程度溶解させ、窒素による脱気処理を行うことにより調製した。測定には三電極法を用い、各電極には、非水溶媒系Ag/Ag+参照電極、直径0.5mm、長さ5cmの白金カウンター電極、内径3mmのガラス状カーボン作用電極(いずれもビー・エー・エス株式会社製)を用いた。装置はALS社製のモデル660C、電気化学アナライザーを用い、測定の挿引速度は、0.1V/sとした。表2に第一の有機化合物の例示化合物の還元電位を示す。

[実施例1] 本実施例では、クロロホルム溶液中の発光寿命が1.1ナノ秒以上となる第一の有機化合物と、第二の有機化合物を有する光電変換素子を作製した。作製した素子を用いて素子特性を評価した。

本実施例において、Si基板の上に光電変換素子を形成した。光電変換素子は、カソード電極、電子ブロック層、光電変換層、正孔ブロック層、アノード電極が順次形成されている。

本実施例において、光電変換素子は以下の工程により作製した。

まず、配線層、絶縁層、が積層されており各画素に対応する箇所に配線層からコンタクトホールが絶縁層に開口を設けて導通可能なように形成されているSi基板を準備した。このコンタクトホールは、基板端のパッド部と配線によって接続されている。このコンタクトホール部に重なるようにIZO電極をスパッタリング法で形成した。パターニングを行い3mm2となるIZO電極(カソード電極)を形成した。このときIZO電極の膜厚を100nmとした。

上記IZO電極上に、有機化合物層を真空蒸着法で形成した。層構成、層厚は下記表3の通りである。次にアノード電極として、IZOをスパッタリング法で形成した。アノード電極の厚さは30nmとした。

光電変換素子の層構成を表3に示す。

なお、表3は、下部電極であるカソードが表の下側になるよう記載したものである。

電子ブロック層には以下の化合物(d−1)を用いた。

光電変換層の第一の有機化合物には例示化合物1−1乃至3−14、正孔ブロック層にはフラーレンC60(d−2)、およびC70(d−3)と下記の有機化合物(d−4)のいずれかを用いた。

なお、d−2,d−3、d−4の還元電位は表4の通りである。

上部電極を形成後、ガラスキャップと紫外線硬化樹脂を使って中空封止を行った。このようにして得られた素子は170℃のホットプレート上で封止面を上向きとして1時間程度アニールした。

得られた素子について、光電変換素子の特性を測定・評価した。素子に5V印加時の電流を確認したところ、いずれの素子でも明所での電流値が暗所での電流値の100倍以上の値であるため光電変換素子が機能していることを確認した。

得られた素子の外部量子効率は、カソード電極とアノード電極との間に5Vの電圧を印加した状態で、550nm(緑色光)、強度50μW/cm2の単色光を作製した素子へ照射した時に、流れる光電流密度を測定することで算出した。

光電流密度は光照射時の電流密度から、遮光時での暗電流密度を差し引いて求めた。測定に用いた単色光は、キセノンランプ(装置名XB−50101AA−A ウシオ電機製)から出射される白色光を、モノクロメータ(装置名MC−10N リツー応用光学製)で単色化した。素子への電圧印加と電流計測は、ソースメータ(装置名R6243 アドバンテスト製)を用いて行った。また、光の照射は作製した光電変換素子の上部電極側から電極に対して垂直に照射した。

上記のようにして求められた外部量子効率は、有機化合物の光吸収率の影響を受けている。有機化合物の光吸収率は、化合物の種類により異なるので、それらの影響を小さくするために、下記式(C)で示される光電変換効率で光電変換素子の効率を評価した。 光電変換効率=外部量子効率/吸収率 (C)

ここで吸収率は、島津製作所社製のSolidSpec−3700UV−VIS−NIR−Spectrophotometerにて測定した。測定の際には、光電変換層と同じ構成の膜を石英基板上に成膜したサンプルを作製しこの膜の吸収率を求めた。

光電変換効率の評価は表6に他の実施例と合わせて示す。

[実施例2乃至22、比較例1乃至9] 光電変換層に含まれる有機化合物の組み合わせを表6に示す組み合わせとする以外は、実施例1と同様に光電変換素子を作製し、光電変換効率の評価を行った。実施例17乃至22には第一の有機化合物層として燐光発光材料を用いた。

比較例1乃至9に用いた有機化合物e−1乃至e−3は下記構造式で表される有機化合物である。

有機化合物e−1乃至e−3のクロロホルム溶液中の発光寿命及びオルトジクロロベンゼン中の還元電位を表5に示す。

実施例1乃至22及び比較例1乃至9の結果を表6に示す。なお、光電変換効率の評価の基準は以下の通りとした。

A:75%以上 B:65%以上75%未満 C:65%未満 ここではB判定以上を良好とし、Cを不良とした。

第一の有機化合物の発光寿命が1.1ナノ秒以上である場合は、いずれの組み合わせの光電変換素子であっても光電変換効率は評価B以上であった。さらに、第一の有機化合物の発光寿命が1.1ナノ秒以上、且つΔEred≧0.32を満たす場合は、より高い光電変換効率が得られている。

また、特に0.32≦ΔEred≦0.65を満たす範囲で高い光電変換効率が得られている。ΔEredが0.65より大きい有機化合物は、酸化電位が低い有機化合物である。その結果、光電変換素子の暗電流が増大する傾向があるためである。

一方、第一の有機化合物の発光寿命が1.1ナノ秒未満の有機化合物を用いた比較例1乃至9では、低い光電変換効率となり、第一の有機化合物の発光寿命が1.1ナノ秒以上であることが高効率化に有効であることを示している。

以上の結果より、可視領域に吸収ピーク波長を有し且つクロロホルム溶液中の発光寿クロロホルム溶液中の発光寿命が1.1ナノ秒以上の第一の有機化合物に用いることにより、高効率の光電変換素子を提供できる。

1 光電変換層 2 正孔ブロック層 3 電子ブロック層 4 アノード電極 5 カソード電極 6 読み出し回路 7 保護層 8 カラーフィルタ 9 マイクロレンズ

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