Polymer compound and element given by using the same

申请号 JP2005374248 申请日 2005-12-27 公开(公告)号 JP2006219663A 公开(公告)日 2006-08-24
申请人 Sumitomo Chemical Co Ltd; 住友化学株式会社; 发明人 SHIRASAWA NOBUHIKO; AKINO YOSHIHIKO; NAKATANI TOMOYA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a polymer compound having a structure of a conjugated polymer and a structure of a metal complex in an identical molecule and capable of giving a light emitting element having such excellent practicability as to have high efficiency and to be driven at a low voltage, when used as the light emitting element. SOLUTION: This polymer compound has the structure of the conjugated polymer (A) and the structure of the metal complex (B) in the identical molecule, wherein the metal complex (B) has one or more tridentate ligands and an atomic number of a central metal thereof is not less than 21. The element has a layer containing the polymer compound between electrodes comprising a positive electrode and a negative electrode. COPYRIGHT: (C)2006,JPO&NCIPI
权利要求
  • 共役系高分子(A)の構造と、3座配位子を1つ以上有し、中心金属の原子番号が21以上である金属錯体(B)の構造とを同一分子内に有することを特徴とする高分子化合物。
  • 共役系高分子(A)の主鎖に、上記金属錯体(B)の構造を有することを特徴とする請求項1記載の高分子化合物。
  • 共役系高分子(A)の側鎖に、上記金属錯体(B)の構造を有することを特徴とする請求項1記載の高分子化合物。
  • 共役系高分子(A)の末端に、上記金属錯体(B)の構造を有することを特徴とする請求項1記載の高分子化合物。
  • 共役系高分子(A)が、主鎖に芳香環を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子化合物。
  • 共役系高分子(A)が、下記式(1)で示される繰り返し単位を有するものであることを特徴とする請求項5記載の高分子化合物。


    〔式中、P環およびQ環はそれぞれ独立に芳香環を示すが、P環は存在してもしなくてもよい。 2つの結合手は、P環が存在する場合は、それぞれP環及び/またはQ環上に存在し、P環が存在しない場合は、それぞれYを含む5員環上及び/またはQ環上に存在する。 また、芳香環上及び/またはYを含む5員環上に置換基を有していてもよい。 Yは−O−、−S−、−Se−、−B(R 31 )−、−C(R 1 )(R 2 )−、−Si(R 1 )(R 2 )−、−P(R 3 )−、−PR 4 (=O)−、−C(R 51 )(R 52 )−C(R 53 )(R 54 )−、−O−C(R 55 )(R 56 )−、−S−C(R 57 )(R 58 )−、−N−C(R 59 )(R 60 )−、−Si(R 61 )(R 62 )−C(R 63 )(R 64 )−、−Si(R 65 )(R 66 )−、Si(R 67 )(R 68 )−、−C(R 69 )=C(R 70 )−、−N=C(R 71 )−または−Si(R 72 )=C(R 73 )−を表し、R 31は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基または置換シリルオキシ基を表し、R 1 〜R 4 、R 51 〜R 73は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。 〕
  • 金属錯体(B)における3座配位子が、芳香環を少なくとも1つ含みかつ、金属がRu、Rh、W、Os、Ir、Au、EuまたはTbであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子化合物。
  • ポリスチレン換算の数平均分子量が10 3 〜10 8であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子化合物。
  • 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物を少なくとも1種類含むことを特徴とする高分子組成物。
  • さらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含むことを特徴とする請求項9記載の高分子組成物。
  • 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物または請求項9もしくは10記載の高分子組成物の少なくとも1種類を含有することを特徴とするインク組成物。
  • 2種類以上の有機溶媒を含有することを特徴とする請求項11記載のインク組成物。
  • 粘度が25℃において1〜100mPa・sであることを特徴とする請求項11または12記載のインク組成物。
  • 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物または請求項9もしくは10記載の高分子組成物を含有する発光材料。
  • 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物または請求項9もしくは10記載の高分子組成物を含有する発光性薄膜。
  • 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物または請求項9もしくは10記載の高分子組成物を含有する導電性薄膜。
  • 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物または請求項9もしくは10記載の高分子組成物を含有する有機半導体薄膜。
  • 請求項17に記載の有機半導体薄膜を有することを特徴とする有機トランジスタ。
  • インクジェット法を用いることを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の薄膜の製造方法。
  • 陽極および陰極からなる電極間に、請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物または請求項9もしくは10記載の高分子組成物を含有する層を有することを特徴とする素子。
  • 陽極および陰極からなる電極間に、さらに電荷輸送層を含むことを特徴とする請求項20記載の素子。
  • 高分子発光素子であることを特徴とする請求項20または21記載の素子。
  • 陽極および陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物または請求項9もしくは10記載の高分子組成物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
  • 有機層が発光層であることを特徴とする請求項23記載の高分子発光素子。
  • 発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含むことを特徴とする請求項24記載の高分子発光素子。
  • 請求項22〜25のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とする面状光源。
  • 請求項22〜25のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
  • 請求項22〜25のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  • 請求項22〜25のいずれかに記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
  • 说明书全文

    本発明は、高分子化合物およびそれを用いた素子に関する。

    高分子発光素子(高分子LED)用の材料として、共役系高分子の構造と、金属錯体の構造とを同一分子内に有する高分子化合物が知られている(非特許文献1、特許文献1)。
    Jounal of American Chemical Society、vol. 125、p636(2003)

    WO03/102109A1

    上記の高分子化合物が有する金属錯体の構造は、配位子が、フェニルピリジンなどの2座配位子で、中心金属がイリジウム(原子番号77)であり、該高分子化合物を用いた高分子LEDは、発光効率が不十分等、実用的には、その性能が十分とはいえなかった。
    本発明の目的は、共役系高分子の構造と、金属錯体の構造とを同一分子内に有する高分子化合物であって、それを発光素子に用いたとき、高効率、低電圧で駆動できる等、実用性に優れる発光素子を与えることができる高分子化合物を提供することにある。

    即ち本発明は、共役系高分子(A)の構造と、3座配位子を1つ以上有し、中心金属の原子番号が21以上である金属錯体(B)の構造とを同一分子内に有する高分子化合物を提供するものである。

    本発明の高分子化合物を発光層に用いた発光素子は高効率、低電圧で駆動できる等、実用性に優れる。

    本発明の高分子化合物は、共役系高分子(A)の構造と、3座配位子を1つ以上有し、中心金属の原子番号が21以上である金属錯体(B)の構造とを同一分子内に有する。

    本発明の高分子化合物としては例えば、共役系高分子(A)の主鎖に上記金属錯体(B)の構造を有する高分子化合物;共役系高分子(A)の上記金属錯体(B)の構造を有する高分子化合物;共役系高分子(A)の側鎖に上記金属錯体(B)の構造を有する高分子化合物;等があげられる。

    また、本発明の高分子化合物の中では、下記式(Eq1)を満足するものが好ましい。

    ET A −ES A0 ≧(ET B −ES B0 )−0.2eV (Eq1)

    ここで、ES A0は共役系高分子(A)の基底状態のエネルギー、ET Aは共役系高分子(A)の最低励起三重項状態のエネルギー準位、ES B0は前記金属錯体(B)の基底状態のエネルギー準位、ET Bは該金属錯体(B)の最低励起三重項状態のエネルギー準位を表す。
    (Eq1)における共役系高分子(A)、該金属錯体(B)のそれぞれについての基底状態と最低励起三重項状態のエネルギー差(順に、ET A −ES A0、 ET B −ES B0 )は、実測で決定する方法はあるが、本発明では、通常は、該金属錯体(B)の上記エネルギー差と、マトリックスとして用いる共役系高分子(A)の上記エネルギー差の相対的な大小関係が、より高い発光効率を得る上で重要であるので、通常は、計算科学的手法で決定する。

    中でも上記(Eq1)を満足する範囲で、さらに下記(Eq1−2)を満足することが、高発光効率を得る点で好ましい。
    ET A −ES A0 ≧ET B −ES B0 (Eq1−2)
    ここで、ET A 、ES A0 、ET B 、ES B0は上記と同じ意味を表す。
    さらに、共役系高分子(A)の、最低励起三重項状態のエネルギー準位ET Aと、該金属錯体(B)の、最低励起三重項状態のエネルギー準位ET Bが、
    ET A ≧ET B (Eq2)
    の関係を満たすもの;
    また、共役系高分子(A)の最低励起一重項準位ES A1と、該金属錯体(B)の、最低励起一重項準位ES B1がES A1 ≧ES B1 (Eq3)
    の関係を満たすことが、より高い発光効率を得る点で好ましい。

    上記の、真空準位とLUMOのエネルギー差を求めるために用いる計算科学的手法としては、半経験的手法及び非経験的手法に基づいた分子軌道法や密度汎関数法等が知られている。 例えば、励起エネルギーを求めるには、Hartree-Fock(HF)法、あるいは密度汎関数法を用いても良い。 通常は、量子化学計算プログラムGaussian98を用い、三重項発光化合物及び共役系高分子の基底状態と最低励起三重項状態とのエネルギー差(以下、最低励起三重項エネルギーという)、基底状態と最低励起一重項状態とのエネルギー差(以下、最低励起一重項エネルギーという)、基底状態のHOMOエネルギー準位および基底状態のLUMOエネルギー準位を求めた。

    共役系高分子に対する最低励起三重項エネルギー、最低励起一重項エネルギー、基底状態のHOMOエネルギー準位および基底状態のLUMOエネルギー準位の計算は、単量体(n=1)、2量体(n=2)及び3量体(n=3)に対して行い、共役系高分子における励起エネルギーは、n=1〜3における結果を1/nの関数E(1/n)(ここで、Eは最低励起一重項エネルギーもしくは最低励起三重項エネルギーなど、求めようとする励起エネルギー値)とし、線形的にn=0に外挿する事により算出する手法を用いた。 また、共役系高分子の繰り返しユニット中に、例えば鎖長が長い側鎖等が含まれる場合は、計算対象とする化学構造を、側鎖部分を最小単位に簡略化(例として、側鎖としてオクチル基を有する場合、側鎖をメチル基として計算する)することができる。 また、共重合体におけるHOMO、LUMO、一重項励起エネルギー及び三重項励起エネルギーにおいては、共重合比より考えられる最小単位をユニットとして、上記したホモポリマーにおける場合と同様の計算手法により求めることができる。

    本発明の高分子化合物における共役系高分子(A)について説明する。
    共役系高分子とは、例えば、「有機ELのはなし」(吉野勝美著、日刊工業新聞社)23頁に記載されているような、多重結合と単結合が繰り返し長くつながっている分子であり、たとえば下記構造の繰り返し構造や、下記構造を適宜組み合わせた構造を含む高分子が典型的な例としてあげられる。


    (上記R

    X1 〜R

    X6は置換基を表す。)


    共役系高分子(A)としては、主鎖に芳香環を含まないもの(例えばポリエン、ポリイン類)、主鎖に芳香環を含むもの(フェニルエテニル、フェニルエチニルなどの共重合体を含む)とがあげられる。
    主鎖に芳香環を含むものの中では、上記に示したような、置換基を有していても良い2価の芳香環、または、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子からなる群から選ばれる原子を一つ以上有する2価の複素環、または下記式(1)で示される繰り返し単位、を有しているものが、高発光効率という点で好ましい。



    〔式中、P環およびQ環はそれぞれ独立に芳香環を示すが、P環は存在してもしなくてもよい。 2つの結合手は、P環が存在する場合は、それぞれP環及び/またはQ環上に存在し、P環が存在しない場合は、それぞれYを含む5員環上及び/またはQ環上に存在する。 また、芳香環上及び/またはYを含む5員環上に置換基を有していてもよい。 Yは−O−、−S−、−Se−、−B(R

    31 )−、−C(R

    1 )(R

    2 )−、−Si(R

    1 )(R

    2 )−、−P(R

    3 )−、−PR

    4 (=O)−、−C(R

    51 )(R

    52 )−C(R

    53 )(R

    54 )−、−O−C(R

    55 )(R

    56 )−、−S−C(R

    57 )(R

    58 )−、−N−C(R

    59 )(R

    60 )−、−Si(R

    61 )(R

    62 )−C(R

    63 )(R

    64 )−、−Si(R

    65 )(R

    66 )−、Si(R

    67 )(R

    68 )−、−C(R

    69 )=C(R

    70 )−、−N=C(R

    71 )−または−Si(R

    72 )=C(R

    73 )−を表し、R

    31素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基または置換シリルオキシ基を表し、R

    1 〜R

    4 、R

    51 〜R

    73は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。 〕


    アルキル基としては、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。 炭素数は通常1〜20程度であり、好ましくは炭素数3〜20である。 具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、 i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。

    アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。 炭素数は通常1〜20程度であり、好ましくは炭素数3〜20である。 具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。

    アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。 炭素数は通常1〜20程度であり、好ましくは炭素数3〜20である。 具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、 i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、 i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。

    アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48である。 具体的には、フェニル基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル基(C 1 〜C 12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C 1 〜C 12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェニル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル基が好ましい。 ここに、アリール基とは、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団である。 ここに芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。
    1 〜C 12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
    1 〜C 12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。

    アリールオキシ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48である。 具体的には、フェノキシ基、C 1 〜C 12アルコキシフェノキシ基、C 1 〜C 12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェノキシ基、C 1 〜C 12アルキルフェノキシ基が好ましい。
    1 〜C 12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
    1 〜C 12アルキルフェノキシ基として具体的にはメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。

    アリールチオ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。 具体的には、フェニルチオ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニルチオ基、C 1 〜C 12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェニルチオ基、C 1 〜C 12アルキルフェニルチオ基が好ましい。

    アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは7〜48である。 具体的には、フェニル−C 1 〜C 12アルキル基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキル基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルキル基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルキル基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキル基が好ましい。

    アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。 具体的には、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルコキシ基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルコキシ基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルコキシ基が好ましい。

    アリールアルキルチオ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。 具体的には、フェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルチオ基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキルチオ基が好ましい。

    アリールアルケニル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。 具体的には、フェニル−C 2 〜C 12アルケニル基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 2 〜C 12アルケニル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 2 〜C 12アルケニル基、1−ナフチル−C 2 〜C 12アルケニル基、2−ナフチル−C 2 〜C 12アルケニル基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 2 〜C 12アルケニル基、C 2 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルケニル基が好ましい。

    アリールアルキニル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。 具体的には、フェニル−C 2 〜C 12アルキニル基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 2 〜C 12アルキニル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 2 〜C 12アルキニル基、1−ナフチル−C 2 〜C 12アルキニル基、2−ナフチル−C 2 〜C 12アルキニル基などが例示され、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 2 〜C 12アルキニル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 2 〜C 12アルキニル基が好ましい。

    置換アミノ基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基をいい、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。 炭素数は該置換基の炭素数を含めないで通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。
    具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C 1 〜C 12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C 1 〜C 12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、ジ(C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキル)アミノ基、ジ(C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルアミノ基などが例示される。

    置換シリル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基をいい、炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜48である。 なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
    具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピリシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C 1 〜C 12アルキルシリル基、C 1 〜C 12アルコキシフェニル−C 1 〜C 12アルキルシリル基、C 1 〜C 12アルキルフェニル−C 1 〜C 12アルキルシリル基、1−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルシリル基、2−ナフチル−C 1 〜C 12アルキルシリル基、フェニル−C 1 〜C 12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。

    置換シリルオキシ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基 から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルオキシ基(H 3 SiO-)があげられ、炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜30である。 なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
    具体的には、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−プロピルシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、t−ブチルシリルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基などが例示される。

    ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。

    1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、好ましくは4〜20である。 なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。 ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。 具体的には、チエニル基、C 1 〜C 12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C 1 〜C 12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示され、チエニル基、C 1 〜C 12アルキルチエニル基、ピリジル基、C 1 〜C 12アルキルピリジル基が好ましい。

    上記のうち、アルキル鎖を含む基においては、それらは直鎖、分岐または環状のいずれかまたはそれらの組み合わせであってもよく、直鎖でない場合、例えば、イソアミル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロヘキシル基、4−C 1 〜C 12アルキルシクロヘキシル基などが例示される。 また、2つのアルキル鎖の先端が連結されて環を形成していても良い。 さらに、アルキル鎖の一部のメチル基やメチレン基がヘテロ原子を含む基や一つ以上のフッ素で置換されたメチル基やメチレン基で置き換えられていてもよく、それらのヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。
    さらに、置換基の例のうち、アリール基や複素環基をその一部に含む場合は、それらがさらに1つ以上の置換基を有していてもよい。

    上記式(1)における芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ビピリジン環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環などの複素芳香環が挙げられる。
    上記式(1)で示される繰り返し単位が置換基として、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、または置換カルボキシル基から選ばれる基を有することが好ましい。

    上記式(1)で示される構造としては、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で示される構造;

    〔式中、A環、B環、およびC環はそれぞれ独立に芳香環を示す。 式(1-1)、(1-2)および(1-3)は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。 Yは前記と同じ意味を表す。 〕


    下記式(1−4)または(1−5)で示される構造




    〔式中、D環、E環、F環およびG環はそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい芳香環を示す。 Yは前記と同じ意味を表す。 〕


    が挙げられ、上記式(1−4)または(1−5)で示される構造が好ましい。


    またYは−S−、−O−、−C(R

    1 )(R

    2 )−であることが、高発光効率を得るという点で好ましく、さらに好ましくはYは−S−、−O−である。 ここで、R

    1 ,R

    2は前記と同じ意味を表す。

    アシル基は、炭素数は通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。 具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。

    アシルオキシ基は、炭素数は通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。 具体的には、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。

    イミン残基としては、イミン化合物( 分子内に、−N=C-を持つ有機化合物のことをいう。その例として、アルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物があげられる)から水素原子1個を除いた残基があげられ、通常炭素数2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。 具体的には、以下の構造式で示される基などが例示される。

    アミド基は、炭素数は通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。 具体的には、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基、などが例示される。

    酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基があげられ、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。 具体的には以下に示す基が例示される。

    置換カルボキシル基は、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。 アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基で置換されたカルボキシル基をいい、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、などが挙げられる。 なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。 置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。

    上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)における芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ビピリジン環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環などの複素芳香環が挙げられる。
    上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)で示される繰り返し単位が置換基として、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、または置換カルボキシル基から選ばれる基を有することが好ましい。

    式(1−1)の具体例のうち無置換のものとしては、次のような例が挙げられる。





    式(1−2)の具体例として、無置換のものとしては、次のような例が挙げられる。

    式(1−3)の具体例として無置換のものとしては、次のような例が挙げられる。











    式(1−4)の具体例として、無置換のものとしては、次のような例が挙げられる。







































    式(29)〜(33)中のR

    1 〜R

    8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。 を表し、R

    1とR

    2 、R

    3とR

    4は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。


    式(1−5)の具体例のなかで無置換のものとしては、次のような例が挙げられる。



























    上記具体例は、これらの芳香族炭化水素基または複素環上にさらに置換基を有する基が、溶解性向上の点で好ましい。 置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、カルボキシル基またはシアノ基が例示され、互いに結合して環を形成してもよい。

    発光効率の観点から、上記式(1)の中で、(1―4)、(1―5)が好ましく、(1―4)がより好ましく、下記式(1−6)で示される構造がより好ましい。


    〔式中、R

    5およびR

    6は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、または置換カルボキシル基を示す。 aおよびbはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。 R

    5およびR

    6がそれぞれ複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 Yは前記と同じ意味を表す。 〕

    合成上の観点から、式(1-6)の中で、Yは−S−、−O−、−C(R 1 )(R 2 )−であることが好ましく、さらに好ましくは、Yは−S−または−O−である。

    また、溶媒に対する溶解性の観点から、a+bは1以上が好ましい。

    合成上の観点から、上記式(1)、(1-1)から(1-8)におけるP環、Q環、A環、B環、C環、D環、E環、F環およびG環は芳香族炭化水素環であることが好ましい。

    本発明の高分子化合物は、さらに、下記式(2)、式(3)、式(4)または式(5)で示される繰り返し単位を有していてもよい。
    −Ar 1 − (2)

    −Ar

    4 −X

    2 − (4)


    −X

    3 − (5)

    〔式中、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3およびAr 4はそれぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を示す。 X 1 、X 2およびX 3はそれぞれ独立に−CR 15 =CR 16 −、−C≡C−、−N(R 17 )−、または−(SiR 1819m −を示す。 R 15およびR 16は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 R 17 、R 18およびR 19は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アリールアルキル基、または置換アミノ基を含む基を示す。 ffは1または2を示す。 mは1〜12の整数を示す。 R 15 、R 16 、R 17 、R 18およびR 19がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 〕

    ここに、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、通常炭素数は6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。 ここに芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。
    アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下図の式1〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、ビフェニル−ジイル基(下図の式20〜25)、ターフェニル−ジイル基(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜35)、フルオレン−ジイル基(下図の式36〜38)、スチルベン−ジイル(下図の式A〜D),ジスチルベン−ジイル(下図の式E,F)などが例示される。 中でもフェニレン基、ビフェニレン基、スチルベン−ジイル基が好ましい。





    また、2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常3〜60程度である。
    ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。

    2価の複素環基としては、例えば以下のものが挙げられる。
    ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基;ピリジンージイル基(下図の式39〜44)、ジアザフェニレン基(下図の式45〜48)、キノリンジイル基(下図の式49〜63)、キノキサリンジイル基(下図の式64〜68)、アクリジンジイル基(下図の式69〜72)、ビピリジルジイル基(下図の式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下図の式76〜78)、など。
    ヘテロ原子としてけい素、窒素、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下図の式79〜93)。
    ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基:(下図の式94〜98)が挙げられる。
    ヘテロ原子としてけい素、窒素、セレンなどを含む5員環縮合複素基:(下図の式99〜110)が挙げられる。
    ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基:(下図の式111〜112)が挙げられる。
    ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基:(下図の式113〜119)が挙げられる。
    ヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄、などを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基:(下図の式120〜125)が挙げられる。

    上記の式1〜125において、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 また、式1〜125の基が有する炭素原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。

    上記式(1)から(12)、(1−1)から(1−10)および上記例示式中で示される、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基はすべて同様の意味を示す。

    有機溶媒への溶解性を高めるためには、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 、Ar 4は置換基を有することが好ましく1つ以上に環状または長鎖のあるアルキル基、アルコキシ基が含まれることが好ましく、シクロペンチル基、シクロへキシル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が例示される。

    また、2つの置換基が連結されて環を形成していても良い。 さらに、アルキル鎖の一部の炭素原子がヘテロ原子を含む基で置き換えられていてもよく、それらのヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。

    上記式(3)で示される繰り返し単位としては下記式(7)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、または(14)で示される繰り返し単位があげられる。



    [式中、Ar

    15およびAr

    16は、それぞれ独立に3価の芳香族炭化水素基または3価の複素環基を表し、R

    40は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、置換基を有していても良いアリール基または1価の複素環基を表し、Xは単結合あるいは下記基のいずれかを表す。



    (式中R

    41は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基、イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。を表す。R

    41が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい)〕





    〔式中、R

    20は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 nは0〜4の整数を示す。 R

    20が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 〕




    〔式中、R

    21およびR

    22は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 oおよびpはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。 R

    21およびR

    22がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 〕




    式中、R

    23およびR

    26は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 qおよびrはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。 R

    24およびR

    25は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 R

    23およびR

    26がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 〕




    〔式中、R

    27は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 sは0〜2の整数を示す。 Ar

    13およびAr

    14はそれぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を示す。 ssおよびttはそれぞれ独立に0または1を示す。 X

    4は、O、S、SO、SO

    2 、Se,またはTeを示す。 R

    27が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 〕




    〔式中、R

    28およびR

    29は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 tおよびuはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。 X

    5は、O、S、SO

    2 、Se,Te、N−R

    30 、またはSiR

    31

    32を示す。 X

    6およびX

    7は、それぞれ独立にNまたはC−R

    33を示す。 R

    30 、R

    31 、R

    32およびR

    33はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基を示す。 R

    28 、R

    29およびR

    33がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 〕




    〔式中、R

    34およびR

    39は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 vおよびwはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。 R

    35 、R

    36 、R

    37およびR

    38は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 Ar

    5はアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を示す。 R

    34およびR

    39がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 〕

    また、上記式(4)で示される繰り返し単位として、下記式(8)で示される繰り返し単位があげられる。


    〔式中、Ar

    6 、Ar

    7 、Ar

    8およびAr

    9はそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基を示す。 Ar

    10 、Ar

    11およびAr

    12はそれぞれ独立にアリール基、または1価の複素環基を示す。 Ar

    6 、Ar

    7 、Ar

    8 、Ar

    9 、およびAr

    10は置換基を有していてもよい。 xおよびyはそれぞれ独立に0または1を示し、0≦x+y≦1である。 〕


    本発明において、上記式(8)で示される構造の中では、下記式(15)で示される構造が好ましい。


    〔式中、R

    22 、R

    23およびR

    24は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。 xおよびyはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。 zは1〜2の整数を示す。 aaは0〜5の整数を示す。 〕

    上記式(15)におけるR 24としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基が好ましい。 置換アミノ基としてはジアリールアミノ基が好ましく、更に好ましくは、ジフェニルアミノ基である。

    上述の中で、好ましい組合せは、高分子と組み合わせる金属錯体によって異なるが、上記式(1−6)と上記式(7)、(8)または(9)が好ましく、さらに好ましくは式(1−6)と式(8)、(9)の組合せである。
    上記式(1−6)出示される構造において、YがS原子、O原子であることが更に好ましい。

    また、本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていても良い。 主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素―炭素結合を介してアリール基または複素環基と結合している構造が例示される。 具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。

    また、本発明の高分子化合物は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。 量子収率の高い高分子を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。 主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。

    本発明の高分子化合物は、ポリスチレン換算の数平均分子量が10 3 〜10 8であることが好ましい。 より好ましくは10 4 〜10 7である。

    本発明の高分子化合物は、具体的には、モノマーとなる、反応性置換基を複数有する化合物を、必要に応じ、有機溶媒に溶解し、例えばアルカリや適当な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下で製造することができる。 例えば、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、 “オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)などに記載の公知の方法を用いることができる。
    本発明の高分子化合物の製造方法において、縮合重合させる方法としては、既知の縮合反応を用いることにより製造できる。 縮合重合において、二重結合を生成する場合は、例えば特開平5−202355号公報に記載の方法が挙げられる。 すなわち、ホルミル基を有する化合物とホスホニウムメチル基を有する化合物との、もしくはホルミル基とホスホニウムメチル基とを有する化合物のWittig反応による重合、ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合、モノハロゲン化メチル基を2つあるいは2つ以上有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウムメチル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ホルミル基を有する化合物とシアノ基を有する化合物とのKnoevenagel反応による重合などの方法、ホルミル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のMcMurry反応による重合などの方法が例示される。
    本発明の高分子化合物が縮合重合によって主鎖に三重結合を生成する場合には、例えば、Heck反応が利用できる。

    また、二重結合や三重結合を生成しない場合には、例えば該当するモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl 3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。

    これらのうち、Wittig反応による重合、Heck反応による重合、Knoevenagel反応による重合、およびSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、ニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、構造制御がしやすいので好ましい。

    本発明の高分子化合物の原料モノマーが有する反応性置換基が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基またはアリールアルキルスルホネート基である場合は、ニッケルゼロ価錯体存在下で縮合重合する製造方法が好ましい。
    原料化合物としては、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物あるいはハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物、アリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。

    また、本発明の高分子化合物の原料モノマーが有する反応性置換基が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、またはホウ酸エステル基である場合は、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計と、ホウ酸基およびホウ酸エステル基のモル数の合計の比が実質的に1(通常0.7〜1.2の範囲)であり、ニッケル触媒またはパラジウム触媒を用いて縮合重合する製造方法が好ましい。
    具体的な原料化合物の組み合わせとしては、ジハロゲン化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物またはビス(アリールアルキルスルホネート)化合物とジホウ酸化合物またはジホウ酸エステル化合物との組み合わせが挙げられる。
    また、ハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールスルホネート−ホウ酸化合物、アリールスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物挙げられる。
    有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を施し、不活性雰囲気化で反応を進行させることが好ましい。 また、同様に脱水処理を行うことが好ましい。 但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。

    反応させるために適宜アルカリや適当な触媒を添加する。 これらは用いる反応に応じて選択すればよい。 該アルカリまたは触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。 アルカリまたは触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素などの不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリまたは触媒の溶液を添加するか、逆にアルカリまたは触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。

    本発明の高分子化合物を高分子LED等の素子に用いる場合、その純度が発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましい。 また重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。

    次に、本発明の高分子化合物における金属錯体(B)について説明する。
    金属錯体(B)は、3座配位子を1つ以上有し、中心金属の原子番号が21以上である。
    ここに、3座配位子としては、同一分子内の独立した3つの原子を通して一つの金属原子または金属イオンに配位する配位子があげられる。
    3座配位子は芳香環を少なくとも1つ含むことが好ましく、さらに縮合環を含むことが、高発光効率を得る点で好ましい。 また、金属と配位する原子は、炭素、窒素、酸素、イオウ、リンが好ましい。


    3座配位子としては、例えば以下のものが挙げられる。
    (図中*は金属イオンへの配位原子を示す。また、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、同一分子内のRは同じであっても異なっていても良い。)



    3座配位子以外の配位子は、特に限定されないが、用いる中心金属の取りうる価数により適宜単座配位子、あるいは2座配位子となり、3座配位子を2つ有していもよい。

    3座配位子以外の配位子も、芳香環を少なくとも1つ含むことが好ましく、さらに縮合環を含むことが、高発光効率を得る点で好ましい。 また、金属と配位する原子は、炭素、窒素、酸素、イオウ、リンが好ましく、中でも炭素、窒素、リンがさらに好ましい。 さらに、配位子は、溶解性向上等の観点で、置換基を有していてもよい。
    3座配位子以外の配位子としては、例えば以下のものが挙げられる。
    (図中*はおよびRは上記と同じ意味である)


    3座配位子と、それ以外の配位子の組み合わせは、特に限定されないが、中心金属の価数によって適宜好ましい組み合わせを選ぶことができるが、発光色を可視域に調整する観点で、少なくとも1つの単座配位子と組み合わせることが好ましい。

    中心金属としては、原子番号21以上の原子で、好ましくは、該錯体にスピン−軌道相互作用があり、一重項状態と三重項状態間の項間交差を起こしうる金属であり、その例としては、第4、5周期の遷移金属、W、Os、Ir、Au、ランタノイド類、Re、Sc、Pt、Ruなどが挙げられ、発光効率の観点からRu、Rh、W、Os、Ir、Au、Eu、Tbが好ましく、W、Os、Ir、Auがより好ましく、W、Auがさらに好ましく、Auが最も好ましい。

    本発明で用いる金属錯体の中では、発光性の金属錯体が好ましく、三重項励起状態からの発光を示す金属錯体がより好ましい。
    ここに三重項励起状態からの発光を示す金属錯体としては、例えば、燐光発光や、この燐光発光に加えて蛍光発光が観測される化合物も含まれる。

    高分子化合物における金属錯体(B)の構造としては、以下の構造(B−1)〜(B−5)を具体的に挙げることができる。


    (B−1)


    (上式中、Rは前記と同じ意味を表す。またXXは、高分子鎖との結合位置を表す。)



    (B−2)


    (上式中、Rは前記と同じ意味を表す。またXXは、高分子鎖との結合位置を表す。)








    (B−3)


    (上式中、Rは前記と同じ意味を表す。またXXは、高分子鎖との結合位置を表す。)




    (B−4)


    (上式中、Rは前記と同じ意味を表す。またXXは、高分子鎖との結合位置を表す。)


    (B−5)


    (上式中、Rは前記と同じ意味を表す。またXXは、高分子鎖との結合位置を表す。)

    本発明の高分子化合物における金属錯体(B)の量は、組み合わせる共役系高分子(A)の種類や、最適化したい特性により異なるので、特に限定されないが、高分子(A)の量を100重量部としたとき、通常0.01〜80重量部、好ましくは0.1〜60重量部である。

    また本発明の高分子化合物は、共役系高分子(A)が、分子内に金属錯体(B)を部分構造として有するものであるが、その形態は、金属錯体(B)の配位子と、共役系高分子が結合している。 その例としては、一般式(1)で示される繰り返し単位を含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が10 3 〜10 8であり、その側鎖、主鎖、および/または末端に金属錯体(B)の構造を有するものが挙げられる。

    共役系高分子(A)の側鎖に金属錯体(B)の構造を有する高分子高分子化合物はたとえば下式で示される繰り返し単位を含む。


    〔式中Ar

    18は、二価の芳香環、または、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子からなる群から選ばれる原子を一つ以上有する二価の複素環基を表し、該Ar

    18は、−L−Xで示される基1個以上4個以下を有し、Xは金属錯体を含む一価の基を表し、Lは、単結合、−O−,−S−,―CO−,−CO

    2 −、−SO−,―SO

    2 ―,−SiR

    68

    69 −,NR

    70 −,−BR

    71 −,−PR

    72 −、−P(=O)(R

    73 )―、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、または置換されていてもよい2価の複素環基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基、該アルキニレン基が−CH

    2 −基を含む場合、該アルキレン基に含まれる−CH

    2 −基の一つ以上、該アルケニレン基に含まれる−CH

    2 −基の一つ以上、該アルキニレン基に含まれる−CH

    2 −基の一つ以上がそれぞれ、−O−、−S−、―CO−、−CO

    2 −、−SO−、―SO

    2 ―、−SiR

    74

    75 −、NR

    76 −、−BR

    77 −、−PR

    78 −、−P(=O)(R

    79 )―からなる群から選ばれる基と置き換えられていてもよい。 R

    68 、R

    69 、R

    70 、R

    71 、R

    72 、R

    73 、R

    74 、R

    75 、R

    76 、R

    77 、R

    78 、R

    79は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基およびシアノ基からなる群より選ばれる基を示す。 Ar

    18は、―L−Xで示される基以外にさらにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。 Ar

    18が複数の置換基を有する場合、それらは同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。 〕


    ここで、2価の芳香環とは、フェニレン、ナフチレン、あるいは上記一般式(1)であらわされるような環が例としてあげられる。


    共役系高分子(A)の主鎖に金属錯体(B)の構造を有する高分子化合物はたとえば下式で示される繰り返し単位を含む。



    〔式中L

    1 、L

    2は金属錯体構造を示し、式中の2価または3価の結合基は、金属錯体の配位子が高分子主鎖を形成する繰り返し単位と結合している。 〕

    共役系高分子(A)の末端に金属錯体(B)の構造を有する高分子化合物はたとえば下式で示される構造を含む。


    〔式中L

    3は金属錯体を含む一価の基を表し、1価の結合基は、金属錯体の配位子が有してXと結合している。 Xは単結合、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、または置換されていてもよい2価の複素環基を表す。 〕

    金属錯体構造を側鎖、主鎖、末端に有する高分子化合物は、例えば、金属錯体構造を有する単量体を、原料の一つとして用いて、前記の方法を用いて製造することができる。

    本発明は上記の高分子化合物を含む発光材料に関する。 この場合、金属錯体が発光性金属錯体であることが好ましい。

    次に、本発明で用いる金属錯体の製造法に説明する。 本発明の高分子化合物は、金属錯体構造を高分子と同一分子内に含むものなので、高分子に組み込むことができる反応性の基を有する金属錯体を製造する必要がある。
    反応性基を有する金属錯体は例えば用いようとする錯体を臭素やN−ブロモスクシイミド等の一般的な臭素化剤により臭素化し、これを錯体モノマーとし、前記の高分子化合物の製造法で重合して製造することが出来る。 既に反応性基を有する配位子を用いて目的とする金属錯体を合成する事も可能である。

    前記の方法とは別にあらかじめ三座配位子部位やその他の配位部位を組み込んだ高分子化合物を合成し、ここに錯体構造を導入して本発明で用いる高分子化合物を製造することも可能である。

    また、本発明の高分子化合物を用いて製膜したときの製膜性、素子特性を改良する観点で、本発明の高分子化合物と、他の低分子有機化合物、および/または高分子化合物を混合した高分子組成物として用いても良い。
    本発明の高分子組成物は、本発明の高分子化合物を少なくとも1種類含むものである。 また、本発明の高分子化合物に加えて、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含むものである。
    組み合わせる低分子有機化合物、高分子化合物は、特に限定されないが、正孔注入・輸送性(正孔輸送材料)、電子注入・輸送性(電子輸送材料)を有するものが好ましく用いられ、具体的には、低分子有機化合物としては、トリフェニルアミン、テトラフェニルジアミン、ビスカルバゾリルビフェニルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、高分子化合物としてはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等があげられる。

    また本発明の高分子化合物は、金属錯体(B)の構造を分子内に有するが、
    該金属錯体(B)としては、金属が第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os,Ir,Auおよびランタノイドから選ばれる金属と、単座配位子と、1個以上の芳香環を含みかつ環構造内に3個の配位原子を含む三座配位子とを有し、10℃以上で可視光域に発光を示す金属錯体(B')があげられる。

    さらに本発明の高分子化合物としては、金属錯体(B)が、金属が第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os,Ir,Auおよびランタノイドから選ばれる金属と、芳香環を有する単座配位子と、1個以上の芳香環を含みかつ環構造内に3個の配位原子を含む三座配位子とを有する金属錯体(B'')であるものがあげられる。

    金属錯体(B')および(B'')が有する金属は第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。

    金属錯体(B')が有する単座配位子としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、シリル基、カルボキシル基、複素環配位子、カルボニル配位子、アルケン配位子、アルキン配位子、アミン配位子、イミン配位子、イソニトリル配位子、ホスフィン配位子、ホスフィンオキシド配位子、ホスファイト配位子、エーテル配位子、スルホン配位子、スルホキシド配位子またはスルフィド配位子などが例として挙げられる。 いずれの配位子もフッ素や塩素などのハロゲン原子が置換していても良い。

    アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アミド基および酸イミド基としては前記と同様の基である。

    複素環配位子としては、0価でも1価でもよく、0価のものとしては例えば、2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、2−(4−チオフェン−2−イル)ピリジン、2−(ベンゾチオフェン−2−イル)ピリジンなどが例示され、1価のものとしては例えば、フェニルピリジン、2-(パラフェニルフェニル)ピリジン、7−ブロモベンゾ[h]キノリン、2−(4−フェニルチオフェン−2−イル)ピリジン、2−フェニルベンゾオキサゾール、2-(パラフェニルフェニル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−(パラフェニルフェニル)ベンゾチアゾールなどが例示される。
    カルボニル配位子としては、一酸化炭素やアセトン、べンゾフェノンなどのケトン類、アセチルアセトン、アセナフトキノンなどのジケトン類、アセチルアセトナート、ジベンゾメチラート、テノイルトリフルオロアセトナートなどのアセトナート配位子などが例示される。
    アルケン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンまたはデセン等が挙げられる。
    アルキン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、アセチレン、フェニルアセチレンまたはジフェニルアセチレン等が挙げられる。
    アミン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミンまたはトリブチルアミン等が挙げられる。
    イミン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾフェノンイミンまたはメチルエチルケトンイミン等が挙げられる。
    イソニトリル配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、t−ブチルイソニトリルまたはフェニルイソニトリル等が挙げられる。
    ホスフィン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンまたはトリブチルホスフィン等が挙げられる。
    ホスフィンオキシド配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリブチルホスフィンオキシドまたはトリフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
    ホスファイト配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスファイト、トリトリルホスファイト、トリブチルホスファイトまたはトリエチルホスファイト等が挙げられる。
    エーテル配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等が挙げられる。
    スルホン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルスルホンまたはジブチルスルホン等が挙げられる。
    スルホキシド配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルスルホキシドまたはジブチルスルホキシド等が挙げられる。
    スルフィド配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、エチルスルフィドまたはブチルスルフィド等が挙げられる。

    金属錯体(B'')が有する単座配位子としては、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルケニル基または複素環基などが例としてあげられる。 いずれの配位子もフッ素や塩素などのハロゲン原子が置換していてもよい。

    単座配位子としては、芳香環を有していることが好ましく、さらには芳香環中の配位原子が炭素または窒素であるか、芳香環が縮合環であることが好ましい。

    発光効率の観点から、芳香環中の配位原子が炭素または窒素である単座配位子としては、下記式(S−1)に示される構造であることが好ましい。


    〔上記式(S−1)中、*は金属に配位している原子を表し、Rは前記と同様の基を表す。 〕

    発光効率の観点から、縮合環である単座配位子としては、下記式(S−2)に示される構造であることが好ましい。



    〔上記式(S−2)中、*は金属に配位している原子を表し、Rは前記と同様の基を表す。 〕

    合成上の観点から、式(S−1)および(S−2)中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子であることが好ましい。

    特に下記式(B'−1)〜(B'−3)で示される3座配位子が縮合環を含まない場合は、単座配位子が縮合環を有していることが好ましい。

    金属錯体(B')および(B'')は、下記一般式(B'−1)、(B'−2)または(B'−3)で表される構造と単座配位子とを有する金属錯体が好ましい。


    (B'−1)



    〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、H環、I環およびJ環はそれぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX

    1 、Y

    1およびZ

    1は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。 J1およびJ2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基または炭素数2〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。 j1およびj2はそれぞれ独立に0または1を表す。 〕




    (B'−2)



    〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、K環およびL環は、それぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX

    2 、Y

    2およびZ

    2は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わし、J3は炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基または炭素数2〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子に置換されていてもよく、j3は0または1を表す。 〕




    (B'−3)



    〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、O環は芳香環を表し、環構造内に存在するX

    3 ,Y

    3およびZ

    3は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。 〕

    上記式(B'−1)におけるMは、第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。

    上記式(B'−1)におけるH環、I環およびJ環はそれぞれ独立に芳香環を表す。
    芳香環としては、芳香族炭化水素環、複素芳香環があげられる。 芳香環は単環であっても、縮合環であってもよい。

    単環の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼンがあげられる。
    縮合環の芳香族炭化水素環としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン等があげられる。
    単環の複素芳香環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン等があげられる縮合環の複素芳香環としては、例えば、キノキサリン、フェナントロリン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール等があげられる。

    式(B'−1)において、H環のX 1 、I環のX 2 、J環のX 3は、各々の環構造内に含まれる、金属(M)への配位原子である。
    配位原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、リン原子、ヒ素原子、セレン原子が挙げられ、炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子がさらに好ましい。

    I環の具体例として、芳香族炭化水素環としては以下のものがあげられる。


    上記中のRは前記と同様の意味を表し、複数個のRは同一であっても異なっていてもよい。 また図中*は中心金属Mと結合する部位を示す。

    また、I環の具体例として、複素芳香環としては、以下のものが例示される(I13〜I62)。





    上記式中 R、*は前記と同じ意味を表す。

    H環、J環の具体例としては上記I環具体例のそれぞれの結合手のひとつが置換基Rに置換された基が例示される。

    式(B'−1)において、j1およびj2はそれぞれ独立に0または1を表し、J1およびJ2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基または炭素数2〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子に置換されていてもよい。

    ここに、炭素数1〜6のアルキレン基としては、−CH 2 −、−C 2 H 4 −、−C 3 H 6 −、−C 4 H 8 −、があげられる。 炭素原子(の一部)が酸素に置換されているものとしては、−OCH 2 −、−CH 2 OC 2 H 4 −、があげられ、炭素原子(の一部)が硫黄に置換されているものとしては、−SCH 2 −、−CH 2 SC 2 H 4 −、があげられる。

    炭素数2〜6のアルケニレン基としては、−CH=CH−CH 2 −、−CH=CH−C 2 H 4 −、−CH 2 −CH=CH−C 2 H 4 −、があげられる。 炭素原子(の一部)が酸素に置換されているものとしては−CH=CH−CH 2 O−があげられ、炭素原子(の一部)が硫黄に置換されているものとしては、−CH=CH−CH 2 S−があげられる。

    炭素数2〜6のアルキニレン基としては−C≡C−CH 2 −、−C≡C−C 2 H 4 −、−CH 2 −C≡C−C 2 H 4 −があげられる。 炭素原子(の一部)が酸素に置換されているものとしては−CH≡CH−CH 2 O−があげられ、炭素原子(の一部)が硫黄に置換されているものとしては、
    −CH≡CH−CH 2 S−があげられる。

    上記式(B'−1)の3座配位子としては以下のものが例示される。
















    上記式中 R、*は前記と同じ意味を表す。

    合成上の観点から、H環、I環、J環は単環の芳香族炭化水素環または単環の複素環であることが好ましい。

    次に式(B'−2)の構造を有する金属錯体について説明する。
    式(B'−2)において、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。

    式(B'−2)において、K環およびL環はそれぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX 2 、Y 2およびZ 2は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わし、J3は炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基または炭素数2〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子に置換されていてもよく、j3は0または1を表す。
    ここに、芳香環、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基または炭素数2〜6のアルキニレン基の定義、具体例は、式(B'−1)におけるそれらの定義、具体例と同様である。

    K環としては、以下のものが例示されるが、錯体の安定性の観点から、縮合環が好ましい。


    上記式中 R、*は前記と同じ意味を表す。

    L環の具体例としては、前記 I1〜I62のそれぞれの結合手のひとつが置換基Rに置換された基があげられ、合成上の観点から、単環の芳香族炭化水素環または単環の複素環であることが好ましい。

    上記式(B'−2)の3座配位子としては以下のものが例示される。







    次に式(B'−3)の構造を有する金属錯体について説明する 式(B'−3)において、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。

    O環は芳香環を表し、各々の環構造内に存在するX 3 ,Y 3およびZ 3は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。
    ここに、芳香環の定義、具体例は、式(B'−1)におけるそれらの定義、具体例と同様である。

    O環の具体例、すなわち上記式(B'−3)の3座配位子としては、以下のものがあげられるが、錯体の安定性の観点から、縮合環が好ましい。



    上記式中 R、*は前記と同じ意味を表す。

    上記式(B'−1)〜(B'−3)の構造を有する金属錯体化合物は、3座配位子を2つ有していてもよいし、1つの3座配位子と単座配位子のほかに2座配位子を有していてもよい。
    2座配位子としては、特に限定されるものではないが、例えばアルキル基やハロゲン原子で置換されていてもよいフェニルピリジン、フェナントロリン、フェニルキノリンや特表2003−515897に記載の2座配位子などが挙げられる。

    次に、本発明の素子について説明する。
    本発明の素子は、陽極および陰極からなる電極間に、本発明の高分子化合物または高分子組成物を含む層を有することを特徴とする。
    本発明の素子としては、高分子発光素子、光電素子等があげられる。

    本発明の素子が高分子発光素子の場合、本発明の高分子化合物または高分子組成物を含む層が有機層であり、さらに発光層すなわち発光性薄膜であることが好ましい。

    また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
    また、上記少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた高分子LED;少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して平均膜厚2nm以下のバッファー層を設けた高分子LEDが挙げられる。

    具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
    a)陽極/発光層/陰極b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)

    ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。 なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。
    発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。

    また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。

    また、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。

    さらに、電子を輸送し、かつ正孔を閉じ込めるために発光層との界面に正孔阻止層を挿入してもよい。

    積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。

    本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。

    例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
    e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極

    電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和を有する材料を含む層などが例示される。

    上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10 -5 S/cm以上10 3 S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10 -5 S/cm以上10 2 S/cm以下がより好ましく、10 -5 S/cm以上10 1 S/cm以下がさらに好ましい。

    通常は該導電性高分子の電気伝導度を10 -5 S/cm以上10 3 S/cm以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。

    ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。 アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。

    電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。

    電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。

    膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。 上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。 膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。

    具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
    q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極

    正孔阻止層は、電子を輸送しかつ、陽極から輸送された正孔を閉じ込める働きを有するものであり、発光層の陰極側の界面に設けられ、発光層のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有する材料、例えば、バソクプロイン、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体などから構成される。

    正孔阻止層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。

    具体的には、例えば、以下のac)〜an)の構造が挙げられる。
    ac)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/陰極ad)陽極/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極ae)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極af)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/陰極ag)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極ah)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極ai)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極aj)陽極/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極ak)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極al)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極am)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極an)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極

    高分子LED作製の際に、本発明の高分子化合物を用いることにより、溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。 溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。

    インク組成物(例えば、印刷法等では溶液として用いられる)としては、少なくとも1種類の本発明の高分子化合物が含有されていればよい。
    該インク組成物は、本発明の高分子化合物以外に、通常は溶媒を含み、また正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、安定剤、粘度および/または表面張力を調節するための添加剤、酸化防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。
    該インク組成物中における本発明の高分子化合物の割合は、溶媒を除いた該インク組成物の全重量に対して通常は20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
    またインク組成物中の溶媒の割合は、該インク組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.9wt%であり、さらに好ましく90wt%〜99.8wt%である。
    該インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sの範囲があげられ、1〜100mPa・sが好ましく、インクジェットプリント法などインク組成物が吐出装置を経由するもの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。

    インク組成物に用いる溶媒としては、本発明の高分子化合物または高分子組成物を溶解または均一に分散できるものが好ましい。 該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。 また、これらの有機溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。 上記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが好ましい。

    溶媒の種類としては、本発明の高分子化合物または高分子組成物の有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、メチルベンゾエート、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルメチルベンゾエートのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。

    インク組成物の溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。

    インク組成物に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。 成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。 また、粘度の観点から、2種類の溶媒ともに、60℃において0.2wt%以上の本発明の高分子化合物または高分子組成物が溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において0.2wt%以上の本発明の高分子化合物または高分子組成物が溶解することが好ましい。

    インク組成物に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。 成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。 また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において0.2wt%以上の本発明の高分子化合物または高分子組成物が溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において0.2wt%以上の本発明の高分子化合物または高分子組成物が溶解することが好ましい。

    インク組成物に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度および成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、インク組成物の全溶媒の重量の40〜90wt%であることが好ましく、50〜90wt%であることがより好ましく、65〜85wt%であることがさらに好ましい。

    本発明のインク組成物としては、粘度および成膜性の観点から、アニソールおよびビシクロヘキシルからなる組成物、アニソールおよびシクロヘキシルベンゼンからなる組成物、キシレンおよびビシクロヘキシルからなる組成物、キシレンおよびシクロヘキシルベンゼンからなる組成物、メシチレンおよびメチルベンゾエートからなる組成物が好ましい。

    本発明のインク組成物が含むことができる添加剤のなかで、
    正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体があげられる。
    電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体があげられる。
    発光材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などがあげられる。
    安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などがあげられる。
    粘度および/または表面張力を調節するための添加剤としては、粘度を高めるための高分子量の高分子化合物(増粘剤)や貧溶媒、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤などを適宜組み合わせて使用すれば良い。

    前記の高分子量の高分子化合物としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであれば良い。 例えば、高分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、あるいは本発明の高分子化合物のうち分子量が大きいものなどを用いることができる。 重量平均分子量が50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。 貧溶媒を増粘剤として用いることもできる。 すなわち、溶液中の固形分に対する貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。 この目的で貧溶媒を添加する場合、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶媒の種類と添加量を選択すれば良い。 保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、溶液全体に対して50wt%以下であることが好ましく、30wt%以下であることが更に好ましい。

    酸化防止剤としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであれば良く、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが例示される。 酸化防止剤を用いることにより、本発明の高分子化合物、溶媒の保存安定性を改善し得る。

    本発明の高分子化合物の溶媒への溶解性の観点から、溶媒の溶解度パラメータと、高分子化合物の溶解度パラメータとの差が10以下であることをが好ましく、7以下であることがより好ましい。

    溶媒の溶解度パラメーターと本発明の高分子化合物の溶解度パラメーターは、「溶剤ハンドブック(講談社刊、1976年)」に記載の方法で求めることができる。

    インク組成物に含まれる本発明の高分子化合物は、1種類でも2種類以上でもよく、素子特性等を損なわない範囲で本発明の高分子化合物または高分子組成物以外の高分子化合物を含んでいてもよい。

    発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

    本発明の高分子LEDにおいては、発光層に本発明の高分子化合物または高分子組成物以外の発光材料を混合して使用してもよい。 また、本発明の高分子LEDにおいては、本発明以外の発光材料を含む発光層が、本発明の高分子化合物または高分子組成物を含む発光層と積層されていてもよい。

    該発光材料としては、公知のものが使用できる。 低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。

    具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。

    本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。

    具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。

    これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。 低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。

    ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。

    ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。 合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。

    ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。 特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。

    正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。 また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。

    溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。 該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。

    溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。

    混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。 該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。

    正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。 従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

    本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。

    具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。

    これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。

    電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。 溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。

    溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。 該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。

    溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。

    混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。 該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。

    電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。 従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

    本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、該高分子LEDの各層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。 不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。

    通常、陽極および陰極からなる電極のうち少なくとも一方が透明または半透明であり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
    該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。 具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。 作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。 また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。

    陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。

    また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。

    本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。 例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。 合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。 陰極を2層以上の積層構造としてもよい。

    陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。

    陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。 また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けても良く、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。 該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。

    該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。 また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。 スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。 該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。 これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。

    本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置または液晶表示装置のバックライトに用いることができる。

    本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。 また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。 これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。 更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。 複数の種類の発光色の異なる発光材料を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは発光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。 ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動しても良い。 これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。

    さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。 また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。

    本発明の高分子化合物または高分子組成物は、導電性材料または半導体材料としても使うことができる。 上記に記載した発光素子の作製方法と同様の方法で、導電性薄膜または有機半導体薄膜を製膜、素子化することができ、該半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれか大きいほうが、10 -5 cm 2 /V/秒以上であることが好ましい。

    また、該有機半導体薄膜は有機太陽電池材料や有機トランジスタ材料として用いることができる。

    つぎに本発明の別の様態として、光電素子について説明する。
    光電素子としては、たとえば光電変換素子があり、少なくとも一方が透明または半透明な二組の電極間に本発明の高分子化合物または高分子組成物を含む層を挟持させた素子や、基板上に製膜した本発明の高分子化合物または高分子組成物を含む層上に形成した櫛型電極を有する素子が例示される。 特性を向上するために、フラーレンやカーボンナノチューブ等を混合してもよい。
    光電変換素子の製造方法としては、特許第3146296号公報に記載の方法が例示される。 具体的には、第一の電極を有する基板上に高分子薄膜を形成し、その上に第二の電極を形成する方法、基板上に形成した一組の櫛型電極の上に高分子薄膜を形成する方法が例示される。 第一または第二の電極のうち一方が透明または半透明である。
    高分子薄膜の形成方法やフラーレンやカーボンナノチューブを混合する方法については特に制限はないが、発光素子で例示したものが好適に利用できる。

    以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

    ここで、ポリスチレン換算の数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:HLC−8220GPC、東ソー製もしくはSCL−10A、島津製作所製)により求めた。

    〔合成例1〕 化合物(M−2)の合成アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに水素化ナトリウム(60wt%in mineral oil,87mg,2.17mmol)を秤り取りヘキサンで洗浄してデカンテーションにより上澄を除いた。 ここに脱水THF(200ml)、次いで2,7−ジブロモカルバゾール(704mg,2.17mmol)を加え室温で30分撹拌した。 目視で水素の発生が終了したことを確認し、化合物(M−1)(1.0g,2.17mmol)を加えて室温で撹拌した。 反応開始時には懸濁しているが1時間ほど経過するとオレンジ色の溶液となる。 さらに室温で1時間程撹拌した後、溶媒を減圧留去し、得られた固体をジクロロメタン(300ml)に溶解し、セライトろ過を行った。 ヘキサンを適量加えて再結晶することにより化合物(M−2)を得た(1.3g)。
    1 H−NMR(CD 2 Cl 2 ,300MHz)δ6.74(d,2H)、7.17(dd,2H)、7.32(m,4H)、7.68(m,6H)、8.09(dd,3H).
    MS(ESI−positive)m/z:594.1([M+H] + ).

    化合物(M−1)


    化合物(M−2)



    〔実施例1〕 高分子化合物(P−1)の合成上記化合物(M−2)25mg (0.033mmol)、2,7−ジブロモ−3,6−オクチルオキシジベンゾフラン 475mg(0.82mmol)、2,2'−ビピリジル351mgとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。 これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)35mlを加えた。 次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD) 2 }を630mg加え、室温で30分間攪拌した後、60℃で3.3時間反応した。 なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。 反応後、この溶液を冷却した後、メタノール15ml/イオン交換水15ml/25%アンモニア水2.5mlの混合溶液中にそそぎ込み、約2時間攪拌した。 次に、生成した沈殿物を、ろ過することにより回収した。 この沈殿物を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。 この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液を、アルミナを充填したカラムを通すことにより精製した。 次にこの溶液を1規定塩酸、2.5%アンモニア水、イオン交換水で洗浄し、メタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。 この沈殿を減圧乾燥して、重合体(P−1)120mgを得た。
    この重合体のポリスチレン換算数平均分子量は、2.6×10 4であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は4.5×10 4であった。
    なお、2,7−ジブロモ−3,6−オクチルオキシジベンゾフランはEP1344788記載の方法で合成した。

    〔実施例2〕 高分子化合物(P−2)の合成上記化合物(M−2)50mg (0.067mmol)、2,7−ジブロモ−3,6−オクチルオキシジベンゾフラン 450mg(0.77mmol)、2,2'−ビピリジル354mgとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。 これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)35mlを加えた。 次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD) 2 }を623mg加え、室温で30分間攪拌した後、60℃で3.3時間反応した。 なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。 反応後、この溶液を冷却した後、メタノール15ml/イオン交換水15ml/25%アンモニア水2.5mlの混合溶液中にそそぎ込み、約2時間攪拌した。 次に、生成した沈殿物を、ろ過することにより回収した。 この沈殿物を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。 この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液を、アルミナを充填したカラムを通すことにより精製した。 次にこの溶液を1規定塩酸、2.5%アンモニア水、イオン交換水で洗浄し、メタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。 この沈殿を減圧乾燥して、重合体(P−2)116mgを得た。
    この重合体のポリスチレン換算数平均分子量は、3.0×10 4であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は4.8×10 4であった。

    〔実施例3〕
    高分子化合物(P−2)の2wt%トルエン溶液を調製した。
    スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。 次に、上記調製した高分子化合物(P−3)の2wt%トルエン溶液を用いてスピンコートにより600rpmの回転速度で成膜した。 膜厚は約80nmであった。 さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、LiFを約4nm、陰極として、カルシウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。 なお真空度が、1×10 -4 Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。 得られた素子に室温で電圧を引加することにより、発光スペクトルにおいて460nmにピークを有するEL発光が得られた。 なおEL特性はOLED TEST SYSTEM(東京システム開発社製)により測定した。

    〔実施例4〕
    高分子化合物(P−2)を用いて、ホール電流が主として流れる素子を作製した。 素子は次のようにして作製した。
    スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。 次に、高分子化合物(P−3)の1.7wt%トルエン溶液を用いてスピンコートにより2800rpmの回転速度で成膜した。 膜厚は約80nmであった。 さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、Auを約100nm蒸着して、素子を作製した。 なお真空度が、1×10 -4 Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。
    作製した素子に5Vおよび10Vの電圧を印加したときの電流密度は、各々2.0×10 -5 A/cm 2 、4.4×10 -5 A/cm 2であった。 電流密度の測定は、ピコアンメータ4140B(横河ヒューレットパッカード社製)を用いた。

    〔比較例1〕
    比較のために、金属錯体構造を含まない、下記高分子化合物(P−3)を用いて、同様の素子を作製した。 作製した素子に5V、10Vの電圧を印加したときの電流密度は、各々3.1×10 -6 A/cm 2 、8.7×10 -6 A/cm 2で、高分子化合物(P−2)の方が良好なホール電流注入特性および輸送性を示した。

    なお、高分子化合物(P−3)はEP1344788に記載の方法で合成した(ポリスチレン換算の数平均分子量は、Mn=1.1×10 5 、重量平均分子量は、Mw=2.7×10 5 )。

    高分子化合物(P−3)


    〔実施例5〕
    2,7−ジブロモ−3,6−オクチルオキシジベンゾフラン(0.40g、0.69mmol)、化合物M−3(0.066g、0.069mmol)および2,2'−ビピリジル(0.29g、1.9mmol)を脱水したテトラヒドロフラン20mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換する。 窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD) 2 }(0.52g、1.9mol)加え、60℃まで昇温し、8時間反応させる。 反応後、この溶液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール120ml/イオン交換水50ml混合溶液中にそそぎ込み、約1時間攪拌する。 次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収し、この沈殿をエタノールで洗浄した後、2時間減圧乾燥する。 次に、この沈殿をトルエン30mLに溶解し、1N塩酸30mLを加えて1時間攪拌し、水層を除去して有機層に4%アンモニア水30mLを加え、1時間攪拌した後に水層を除去する。 有機層はメタノール200mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、トルエン30mLに溶解させる。 その後、アルミナカラム(アルミナ量20g)を通して精製を行い、回収したトルエン溶液をメタノール250mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、下記高分子化合物(P−4)が得られる。


    化合物M−3



    (高分子化合物P−4)




    化合物M−3はInorganic Chemistry,2004,43(6),1950−1956. に記載の方法で合成できる。




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