首页 / 国际专利分类库 / 化学;冶金 / C07有机化学 / 杂环化合物 / 杂环化合物,含有奎宁环或异奎宁环系,例如,奎宁生物碱 / (S)−キヌクリジン(Quinuclidin)−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートの塩形態

(S)−キヌクリジン(Quinuclidin)−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートの塩形態

申请号 JP2016502330 申请日 2014-03-14 公开(公告)号 JP2016513679A 公开(公告)日 2016-05-16
申请人 ジェンザイム・コーポレーション; 发明人 クレイグ・シーゲル; ジン・ジャオ;
摘要 本発明は、グルコシルセラミドシンターゼ(GCS)の阻害剤として有用であり、また単独でまたは酵素補充療法と併用してリソソーム蓄積症等の代謝疾患を治療するための、および癌治療のための(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートの新規塩形態に関する。
权利要求

(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095を含む、前記結晶性形態A。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095および17.493を含む、前記結晶性形態A。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095および19.516を含む、前記結晶性形態A。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095、17.493、および19.516を含む、前記結晶性形態A。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095、17.493、19.516、および20.088を含む、前記結晶性形態A。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095、17.493、19.516、および20.088、および17.125を含む、前記結晶性形態A。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355を含む、前記結晶性形態B。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、および21.167を含む、前記結晶性形態B。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、21.167、および27.343を含む、前記結晶性形態B。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、21.167、27.343、および16.111を含む、前記結晶性形態B。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク24.355、21.167、27.343、16.111、および17.185を含む、前記結晶性形態B。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、21.167、27.343、16.111、17.185、および20.243を含む、前記結晶性形態B。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162および18.028を含む、前記結晶性形態A。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、および14.280を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、18.028、および14.280を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、18.028、14.280、および18.153を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、18.028、14.280、18.153、および23.422を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.087を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、25.722を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818、および25.722を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818、25.722、および13.040を含む、前記結晶性形態。(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818、25.722、13.040、および28.910を含む、前記結晶性形態。

说明书全文

本発明は、グルコシルセラミドシンターゼ(GCS)の阻害剤として有用であり、また単独でまたは酵素補充療法と併用してリソソーム蓄積症等の代謝疾患を治療するための、および癌治療のための(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートの新規塩形態に関する。

グルコシルセラミドシンターゼ(GCS)は、グルコシルセラミドベースのグリコスフィンゴリピド(GSL)の生合成における初期のグリコシル化工程を触媒する、すなわちグルコースをUDP−グルコース(UDP−Glc)からセラミドに移転してグルコシルセラミドを形成する重要な移送により触媒する重要な酵素である。GCSは、シス/ミディアルゴルジ内に局在する膜貫通、III型細胞膜内タンパク質である。グリコスフィンゴリピド(GSL)は、細胞の相互作用、シグナリング、および輸送を含む多くの細胞膜事象の動学にとって必要不可欠であると考えられている。GSL構造の合成は、胚性発生にとって、またいくつかの組織の分化にとって必須であることが明らかにされている(非特許文献1を参照)。セラミドは、スフィンゴリピド代謝において中心的な役割を演じ、またGCS活性の下方調節は、グリコスフィンゴリピドの発現量低下を伴うスフィンゴリピドパターンに顕著な効果を有することが明らかにされている。スフィンゴリピド(SL)は、心血管系の生理学的ならびに病理学的な状態において生体調節的な役割を有する。特に、スフィンゴリピドおよびその調節酵素(regulating enzyme)は、乳児期のラット心臓における慢性酸素欠乏症に対する適応性応答において役割を演ずると思われる(非特許文献2を参照)。

GCS阻害剤は、様々な疾患の治療用として提案されている(例えば、特許文献1を参照)。かかる治療には、糖脂質蓄積症(glycolipid storage disease)(例えば、Tay Sachs病、Sandhoffs病、GM2活性化因子欠損症、GM1ガングリオシド蓄積症、およびファブリー病)、糖脂質の蓄積と関連した疾患(例えば、ゴーシェ病;GCS阻害剤のミグルスタット(Zavesca)が、1型ゴーシェ病患者の治療用として承認を経ている、非特許文献3を参照)、腎臓の肥大または過形成を引き起こす疾患、例えば糖尿病性腎障害等;高血糖または高インスリン血症(Hyperinsulemia)を引き起こす疾患;糖脂質合成が異常な癌、細胞表面の糖脂質を受容体として使用する生物により引き起こされる感染性疾患、グルコシルセラミドの合成が必須であるまたは重要な感染性疾患、グルコシルセラミドの合成が必須であるまたは重要な疾患、過剰の糖脂質合成が生ずる疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、多発性嚢胞腎疾患、および腎肥大)、ニューロン障害、ニューロン傷害、マクロファージの導入および活性化と関連した炎症性の疾患または障害(例えば、リウマチ性関節炎、クローン病、喘息、および敗血症)、ならびに糖尿病および肥満の治療が含まれる(特許文献2を参照)。

特に、GCSの過剰発現は、多剤耐性と関わり、またセラミド−誘発性アポトーシスを破綻させることが明らかにされている。例えば、Turzanskiら(非特許文献4)は、セラミドは急性骨髄性白血病(AML)の細胞内でアポトーシスを誘発すること、およびP−糖タンパク質(p−gp)は、TF−1細胞内でセラミド−誘発性アポトーシスに対する抵抗性に顕著な関わりを有するセラミド−グルコシルセラミド経路を調節することにより、このアポトーシスに対する抵抗性を付与することを明らかにした。したがって、GCS阻害剤は、罹患細胞におけるアポトーシスを誘発することにより、増殖性の障害を治療するのに有用であり得る。

国際公開第2005068426号

国際公開第2006053043号

Yamashitaら、Proc.Natl.Acad.Sci.、米国、1999年、第96巻(16)、9142〜9147頁。

El Alwanitら、Prostaglandins & Other Lipid Mediators、2005年、第78巻(1〜4)、249〜263頁。

Treiberら、Xenobiotica、2007年,第37巻(3)、298〜314頁。

Turzanskiら、Experimental Hematology、2005年、第33巻(1)、62〜72頁。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095を含む、結晶性形態Aに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095および17.493を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095および19.516を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095、17.493、および19.516を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095、17.493、19.516、および20.088を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.095、17.493、19.516、および20.088、および17.125を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355を含む、結晶性形態Bにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355および21.167を含む、結晶性形態Bにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、21.167、および27.343を含む、結晶性形態Bにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、21.167、27.343、および16.111を含む、結晶性形態Bにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、21.167、27.343、16.111、および17.185を含む、結晶性形態Bにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、24.355、21.167、27,343、16.111、17.185、および20.243を含む、結晶性形態Bにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162を含む、結晶性形態にさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162および18.028を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、および14.280を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、18.028、および14.280を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、18.028、14.280、および18.153を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、17.162、18.028、14.280、18.153、および23.422を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態であって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、18.087を含む、結晶性形態にさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、25.722を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818および25.722を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818、25.722、および13.040を含む、結晶性形態Aにさらに関する。

本発明は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態Aであって、そのX線粉末回折は、CuKα線を用いて測定された以下の2−θピーク、12.818、25.722、13.040、および28.910を含む、結晶性形態Aにさらに 関する。

Bruker D8−Advance回折計上で実施した、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aに関するディフラクトグラムである。

Bruker D8−Advance回折計上で実施した、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bに関するディフラクトグラムである。

Bruker D8−Advance回折計上で実施した、結晶性の(S)−キヌクリジン−3−イル (2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩に関するディフラクトグラムである。

Bruker D8−Advance回折計上で実施した、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態に関するディフラクトグラムである。

本発明の第1の態様は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Aに関し、下記の2−θとして表されるX線粉末回折パターン、および相対強度>0.52%である相対強度により特徴付けられる(表1)。測定は以下の通り実施した:装置:Bruker D8−Advance回折計、タイプ:Bragg−Brentano;ソースCuKα1、波長=1.5406Å;ジェネレーター:35kV−40mA;ディテクター:PSD/Vantec;Anton Paar TTK450チャンバー;Siサンプルホルダー;度範囲:2−θ Bragg内で2°〜40°;可変発散スリット(Variable Divergence Slit):4mm(V4);ステップサイズ:0.033°;ステップ時間:1秒。

本発明の第2の態様は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態Bに関し、下記の2−θとして表されるX線粉末回折パターン、および相対強度>8%である相対強度により特徴付けられる(表2)。測定は以下の通り実施した:装置:Bruker D8−Advance回折計、タイプ:Bragg−Brentano;ソースCuKα1、波長=1.5406Å;ジェネレーター:35kV−40mA;ディテクター:PSD/Vantec;Anton Paar TTK450チャンバー;Siサンプルホルダー;角度範囲:2−θ Bragg内で2°〜40°;可変発散スリット:4mm(V4);ステップサイズ:0.033°;ステップ時間:1秒。

本発明の第3の態様は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩の結晶性形態に関し、下記の2−θとして表されるX線粉末回折パターン、および相対強度>8%である相対強度により特徴付けられる(表3)。測定は以下の通り実施した:装置:Bruker D8−Advance回折計、タイプ:Bragg −Brentano;ソースCuKα1、波長=1.5406Å;ジェネレーター:35kV−40mA;ディテクター:PSD/Vantec;Anton Paar TTK450チャンバー;Siサンプルホルダー;角度範囲:2−θ Bragg内で2°〜40°;可変発散スリット:4mm(V4);ステップサイズ:0.033°;ステップ時間:1秒。

本発明の第4の態様は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩の結晶性形態に関し、下記の2−θとして表されるX線粉末回折パターン、および相対強度>0.96%である相対強度により特徴付けられる(表4)。測定は以下の通り実施した:装置:Bruker D8−Advance回折計、タイプ:Bragg−Brentano;ソースCuKα1、波長=1.5406Å;ジェネレーター:35kV−40mA;ディテクター:PSD/Vantec;Anton Paar TTK450チャンバー;Siサンプルホルダー;角度範囲:2−θ Bragg内で2°〜40°;可変発散スリット:4mm(V4);ステップサイズ:0.033°;ステップ時間:1秒。

LSDの治療のために、いくつかのアプローチが使用または探求されており、そのほとんどが、疾患管理において酵素補充療法を単独使用することに重点が置かれている。非常に多くの承認を経た酵素補充療法が、LSD治療用として市販されている(例えば、ポンペ病用のミオザイム(登録商標)、ムコ多糖症I用のアルドラザイム(登録商標)、ゴーシェ病用のセレザイム(登録商標)、およびファブリー病用のファブラザイム(登録商標))。さらに、本発明者らは、LSDの管理で単独使用するためのいくつかの小分子を識別した。本明細書に記載する本発明の治療方法は、以下に詳細に記載するような様々なリソソーム蓄積症の管理に直面する医師に治療選択肢を提供する。

本発明の特定の態様では、本発明の化合物は、単独で、または酵素補充療法との併用療法として、リソソーム蓄積症(LSD)等の代謝的疾患を治療するのに利用可能である。本発明のその他の態様では、本発明の化合物は、LSD等の代謝的疾患と診断された対象において、単独でまたは酵素補充療法との併用療法として、GCS活性を阻害するまたは低減するのに利用可能である。本発明のその他の態様では、本発明の化合物は、LSD等の代謝的疾患と診断された対象内に蓄積した物質(例えば、リソソームの基質)の蓄積低減および/または阻害に利用可能である。上記態様の特定の実施形態では、LSDは、ゴーシェ(1型、2型、または3型)、ファブリー、GM1−ガングリオシド蓄積症、またはGM2−ガングリオシド蓄積症(例えば、GM2活性化因子欠損症、Tay−SachsおよびSandhoff)である。表1は、非常に多くのLSDをリスト化し、また本発明の上記態様でERTとして利用可能である対応する欠損酵素を示す。

その他のシナリオでは、脳内の基質を低下させる必要があり、したがってERTの全身投与では治療不可能な状態を有する患者にSMTを提供する必要があり得る。脳室内または髄腔内直接投与は、脳内の基質濃度を低減し得るが、ERTの全身投与は、中枢神経系(CNS)が関与するLSDの場合、ERTは血液脳関門(BBB)を通過することができないのでこれになじまず、SMTが、CNS内に残留酵素活性を有する患者において有益であることを証明し得る。

本発明に基づき、SMTが、癌および/またはリソソーム蓄積症等の代謝的疾患を治療するために患者に提供される。SMTは、1つまたはそれ以上の小分子を含み得る。SMTには、患者に本発明の化合物を投与する工程が含まれる。特定の実施形態では、化合物は、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートまたはキヌクリジン−3−イル(2−(4’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−イル)カルバマート、またはこれらの組み合わせである。

特定の実施形態では、例えば(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートおよびキヌクリジン−3−イル(2−(4’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−イル)カルバマート等の本発明の化合物は、グリコスフィンゴリピド経路の欠陥に起因する実質的に任意の蓄積症(例えば、ゴーシェ(すなわち、1型、2型、3型)、ファブリー、GM1−ガングリオシド蓄積症、GM2−ガングリオシド蓄積症(例えば、GM2活性化因子欠損症、Tay−SachsおよびSandhoff))の治療で利用可能である。特に好ましい実施形態では、(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが、ファブリー病の患者を対象としてGb3および/またはリゾ−Gb3の蓄積を阻害するおよび/または低減するのに、単独でまたは酵素補充療法との併用療法として用いられる(実施例を参照)。好ましい実施形態では、酵素補充療法には、α−ガラクトシダーゼAをファブリー患者に投与する工程が含まれる。確かに、下記の実施例では、本発明のGCS阻害剤は、ファブリー病のマウスモデルにおいて、Gb3およびリゾ−Gb3の蓄積を有効に低減することが実証され、したがってファブリー病の治療にとって有望なアプローチとしてのその使用を裏付ける。さらに、実施例で提示するin vivo併用療法データは、併用治療アプローチは付加的かつ相補的であり得ることを強く示唆する。

特定の実施形態では、例えば(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートおよびキヌクリジン−3−イル(2−(4’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−イル)カルバマート等の本発明の化合物は、神経障害性のゴーシェ病と診断された対象の脳内のGluCerおよびGluSph濃度を低減するのに、単独でまたはERT(例えば、グルコセレブロシダーゼ投与)と併用して利用可能である。

本発明の併用療法で用いられる小分子療法成分に関する投与レジメンは、熟練臨床医により一般的に決定され、また治療対象とされる具体的な蓄積症および具体的な罹患者の臨床状態に応じて大幅に変化すると予想される。あらゆる蓄積症の治療を目的として、本発明の所定のSMTについて、その投与レジメンを決定する一般原則は、当業者に周知されている。投与レジメンに関するガイダンスは、本トピックスについて当技術分野において周知されている多くの参考資料のいずれかより取得可能である。さらなるガイダンスは、特に、本明細書に引用する特定の参考資料のレビューから入手可能である。特定の実施形態では、かかる用量は、1日、1〜5回、腹腔内投与、経口投与、または同等の投与により、約0.5mg/kg〜約300mg/kgの範囲、好ましくは約5mg/kg〜約60mg/kgの範囲(例えば、5mg/kg、10mg/kg、15、mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、および60mg/kg)であり得る。かかる用量は、1日、1〜5回、経口投与、腹腔内投与、または同等の投与により、約5mg/kg〜約5g/kgの範囲、好ましくは約10mg/kg〜約1g/kgの範囲であり得る。1つの実施形態では、用量は、約10mg/日〜約500mg/日の範囲(例えば、10mg/日、20mg/日、30mg/日、40mg/日、50mg/日、60mg/日、70mg/日、80mg/日、90mg/日、100mg/日、110mg/日、120mg/日、130mg/日、140mg/日、150mg/日、160mg/日、170mg/日、180mg/日、190mg/日、200mg/日、210mg/日、220mg/日、230mg/日、240mg/日、250mg/日、260mg/日、270mg/日、280mg/日、290mg/日、300mg/日)の範囲である。特に好ましい経口用量範囲は、約50mg〜約100mgであり、この場合用量は1日2回投与される。本発明の化合物に関する具体的な経口用量範囲は、約5mg/kg/日〜約600mg/kg/日である。本発明の化合物に関する具体的な経口用量範囲は、約1mg/kg/日〜約120mg/kg/日、例えば1mg/kg/日、5mg/kg/日、10mg/kg/日、15mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、55mg/kg/日、または60mg/kg/日、65mg/kg/日、70mg/kg/日、75mg/kg/日、80mg/kg/日、85mg/kg/日、90mg/kg/日、95mg/kg/日、100mg/kg/日、105mg/kg/日、110mg/kg/日、115mg/kg/日、または120mg/kg/日である。

特定の実施形態では、本発明は、本発明の化合物を用いるSMTと、リソソーム蓄積症の治療を目的とするERT療法との併用療法に関する。本発明に基づき治療可能な公知のリソソーム蓄積症の非網羅的なリストを、一般的な疾患名、蓄積物質、および対応する欠損酵素を含め、表5に記載する(Kolodnyら、1998年、Idの表38−4より転載)。

当業者にとって公知の任意の方法が、疾患状態および本発明の併用療法の有効性を監視するのに利用可能である。疾患状態の臨床的監視項目として、臓器容積(例えば、肝臓、脾臓)、ヘモグロビン、赤血球数、ヘマトクリット、血小板減少、悪液質(消耗)、および血漿キチナーゼ濃度(例えば、キトトリオシダーゼ)が挙げられるが、ただし、これらに限定されない。キチナーゼファミリーの酵素であるキトトリオシダーゼは、リソソーム蓄積症を有する対象においてマクロファージにより高い濃度で産生されることが公知である(Guoら、1995年、J.Inherit.Metab.Dis.、第18巻、717〜722頁;den Tandtら、1996年、J.Inherit.Metab.Dis.、第19巻、344〜350頁;Dodelson de Kremerら、1997年、Medicina(Buenos Aires)第57巻、677〜684頁;Czartoryskaら、2000年、Clin.Biochem.、第33巻、147〜149頁;Czartoryskaら、1998年、Clin.Biochem.第31巻、417〜420頁;Mistryら、1997年、Baillieres Clin.Haematol.、第10巻、817〜838頁;Youngら、1997年、J.Inherit.Metab.Dis.、第20巻、595〜602頁;Hollakら、1994年、J.Clin.Invest.、第93巻、1288〜1292頁を参照)。キトトリオシダーゼは、ゴーシェ患者の治療に対する反応を監視するために、アンジオテンシン変換酵素および非酒石酸抵抗性酸ホスファターゼと共に、好ましくは測定される。

本発明の併用療法を実施するための方法および製剤には、当技術分野において周知のあらゆる方法および製剤が含まれる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、1980年以降、第16版以降、A.Oslo編、Easton Pa.;Controlled Drug Delivery、1987年、改訂第2版、Joseph R.Robinson & Vincent H.L.Lee編、Marcel Dekker、ISBN:0824775880;Encyclopedia of Controlled Drug Delivery、1999年、Edith Mathiowitz、John Wiley & Sons、ISBN:0471148288;米国特許第6,066,626号とそこで引用する参考資料;下記のセクションで引用する参考資料も参照)。

本発明によれば、下記の一般的アプローチは、リソソーム蓄積症の治療を対象に、併用療法として提供される。各一般的アプローチは、各療法単独で用いた場合と関連した欠点を最低限に抑えつつ、臨床的ベネフィットを最適化するのに適する方法で、小分子療法と酵素補充療法とを組み合わせる工程と関係する。

本発明の1つの実施形態では、酵素補充療法(単独または小分子療法との併用)は、治療を開始する(すなわち、対象をデバルキングする)ために実施され、そして小分子療法は、高頻度の静脈内ERT注射を必要としない安定で、長期治療効果を実現および維持するためにデバルキング段階後に実施される。例えば、酵素補充療法は、1週間に1回、2週間に1回、または2ヶ月に1回、数週間または数ヶ月間、またはこれより長期間(例えば、関係するインジケーター臓器、例えば脾臓または肝臓等がサイズ減少を示すまで)、経静脈的に実施され得る(例えば、1〜2時間にわたり)。さらに、初期のデバルキング治療のERT段階は、単独でまたは小分子療法と併用して実施され得る。小分子治療成分は、小分子が経口投与に適合し、したがって高頻度の静脈内介入からさらに開放されることが特に好ましい。

必要に応じて、ERTとSMTとを入れ替え、またはERTによりSMTを補足することにより、単独使用したときの各療法と関連した強みを生かし、同時にその弱点に対処する戦略がもたらされる。ERTの長所として、デバルキングで用いられるか、および/またはより長期の介護で用いられるかを問わず、医師の決定を通知するのにかなり広い臨床経験が利用可能であることが挙げられる。さらに、対象は、例えば尿中の生化学代謝物もしくはその他の身体サンプルを監視することにより、または罹患した臓器容積を測定することによりデバルキング段階において、ERTを効果的に漸増することも可能である。しかし、ERTの欠点は、必要とされる投与頻度であり、基質の定常的な再蓄積に起因して、毎週または隔週毎の静脈内注射を一般的に伴う。患者に生じる基質蓄積の量を低減するまたはその蓄積を阻害するために小分子療法を使用すれば、次にERTの投与頻度を低減することができる。例えば、隔週の酵素補充療法による投与レジメンでは、高頻度の酵素注射が療法で必要とされないように、「ERT休日」(例えば、SMTを用いて)を設けることができる。さらに、併用療法を用いてリソソーム蓄積症を治療すると、相補的な治療アプローチを提供することができる。確かに、下記の実施例で示すように、SMTとERTとの併用療法は、いずれかの治療プラットフォームを単独で実施した場合に対してかなりの改善を提供し得る。これらのデータから、SMTとERTとを用いた併用療法は、付加的かつ相補的であり得ることが示唆される。1つの実施形態では、ERTは、デバルキング戦略(すなわち、治療を開始するための)として利用可能であり、本発明の化合物を用いたSMTが後続するまたは同時に補足される。別の実施形態では、患者は、本発明の化合物を用いてSMTで最初に治療され、ERTが後続するまたは同時に補足される。その他の実施形態では、SMTは、リソソーム蓄積症の患者で、基質のさらなる蓄積(またはERTによるデバルキング後に用いられる場合には、基質の再蓄積)を阻害するまたは低減するのに用いられ、そしてERTが、さらなる基質の蓄積が生じた場合、そのいずれも低減するために、必要に応じて場合により提供される。1つの実施形態では、本発明は、リソソーム蓄積症を有すると診断された対象の治療を目的とする併用療法に関する方法を提供するが、同方法は、酵素補充療法と小分子療法の間でその実施を交互に入れ替える工程を含む。別の実施形態では、本発明は、リソソーム蓄積症を有すると診断された対象の治療を目的とする併用療法に関する方法を提供するが、同方法は酵素補充療法と小分子療法を同時に実施する工程を含む。本発明の様々な併用療法では、小分子療法の実施は、酵素補充療法を実施する前に、同時に、または後に来る可能性があると理解される。同様に、酵素補充療法の実施は、小分子療法を実施する前に、同時に、または後に来る可能性がある。

本発明の任意の実施形態では、リソソーム蓄積症は、ゴーシェ(1、2、および3型)、ニーマン−ピック、ファーバー、GM1−ガングリオシド蓄積症、GM2−ガングリオシド蓄積症(例えば、GM2活性化因子欠損症、Tay−Sachs、およびSandhoff)、クラッベ、Hurler−Scheie(MPS I)、Hunter(MPS II)、Sanfilippo(MPS III)A型、Sanfilippo(MPS III)B型、Sanfilippo(MPS III)C型、Sanfilippo(MPS III)D、Marquio(MPS IV)A型、Marquio(MPS IV)B型、Maroteaux−Lamy(MPS VI)、Sly(MPS VII)、ムコスルファチドーシス、シアリドーシス、ムコリピド蓄積症II、ムコリピド蓄積症III、ムコリピド蓄積症IV、ファブリー、シンドラー、ポンペ、シアル酸蓄積症、フコシド蓄積症、マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、Wolman、および神経セロイドリポフスチン沈着症からなる群より選択される。

さらに、ERTは、下記の酵素のうち少なくとも1つについて、その有効量を提供する;グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、セラミダーゼ、GM1−ガングリオシド−β−ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼA、ヘキソサミニダーゼB、β−ガラクトセレブロシダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、イズロン酸スルファターゼ、ヘパラン−N−スルファターゼ、N−アセチル−α−グルコサミニダーゼ、アセチルCoA:α−グルコサミニドアセチル−トランスフェラーゼ、N−アセチル−α−グルコサミン−6−スルファターゼ、ガラクトサミン−6−スルファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ガラクトサミン−4−スルファターゼ(アリールスルファターゼB)、β−グルクロニダーゼ、アリールスルファターゼA、アリールスルファターゼC、α−ノイラミニダーゼ、N−アセチル−グルコサミン−1−リン酸トランスフェラーゼ、α−ガラクトシダーゼA、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、α−グルコシダーゼ、α−フコシダーゼ、α−マンノシダーゼ、アスパルチルグルコサミンアミダーゼ、酸性リパーゼ、パルミトイル−タンパク質チオエステラーゼ(CLN−1)、PPT1、TPP1、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、NPC1、またはNPC2。

本発明に基づき、SMTおよび/またはERTは、下記の蓄積物質のうち少なくとも1つにおいて減少を引き起こす;グルコセレブロシド、スフィンゴミエリン、セラミド、GM1−ガングリオシド、GM2−ガングリオシド、グロボシド、ガラクトシルセラミド、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、スルファチド、ムコ多糖、シアリルオリゴ糖、糖タンパク質、シアリルオリゴ糖、糖脂質、グロボトリアオシルセラミド、O−連結型グリコペプチド、グリコーゲン、遊離シアル酸、フコ糖脂質、フコシルオリゴサッカライド、マンノシルオリゴサッカライド、アスパルチルグルコサミン、コレステリルエステル、トリグリセリド、粒状好濃性沈積物−サポシンAおよびD、ATPシンターゼサブユニットc、NPC1またはNPC2。

本発明の特定の実施形態では、小分子療法は、対象に有効量の(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートを投与する工程を含む(図2Aを参照)。その他の実施形態では、小分子療法は、対象に有効量のキヌクリジン−3−イル(2−(4’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−イル)カルバマートを投与する工程を含む(図2Bを参照)。小分子療法は、対象に1つまたはそれ以上の化合物を投与する工程を含み得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの化合物は、本発明の化合物、例えば図2Aおよび/または2Bに示す化合物等である。

酵素補充療法は、意図せざる免疫反応を誘発する可能性がある。したがって、免疫抑制剤が、本発明の併用療法で用いられる酵素補充療法成分と共に利用可能である。かかる薬剤は、小分子療法成分と共に利用することも可能性があるが、この場合、介入が必要とされる可能性は一般的により低い。当業者にとって公知の任意の免疫抑制剤が、本発明の併用療法と共に採用可能である。かかる免疫抑制剤として、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、CTLA4−Ig、およびエタネルセプト等の抗−TNF薬が挙げられるが、ただしこれらに限定されない(例えば、Moder、2000年、Ann.Alle rgy Asthma Immunol.、第84巻、280〜284頁;Nevins、2000年、Curr.Opin.Pediatr.、第12巻、146〜150頁;Kurlbergら、2000年、Scand.J.Immunol.、第51巻、224〜230頁;Ideguchiら、2000年、Neuroscience、第95巻、217〜226頁;Potterら、1999年、Ann.N.Y.Acad.Sci.、第875巻、159〜174頁;Slavikら、1999年、Immunol.Res.、第19巻、1〜24頁;Gazievら、1999年、Bone Marrow Transplant、第25巻、689〜696頁;Henry、1999年、Clin.Transplant、第13巻、209〜220頁;Gummertら、1999年、J.Am.Soc.Nephrol.、第10巻、1366〜1380頁;Qiら、2000年、Transplantation、第69巻、1275〜1283頁を参照)。抗−IL2受容体(α−サブユニット)抗体のダクリズマブ(例えば、ゼナパックス(商標))は、移植患者で有効であることが実証されているが、これを免疫抑制剤として利用することも可能である(例えば、Wisemanら、1999年、Drugs、第58巻、1029〜1042頁;Beniaminovitzら、2000年、N.Engl J.Med.、第342巻、613〜619頁;Ponticelliら、1999年、Drugs R.D.、第1巻、55〜60頁;Berardら、1999年、Pharmacotherapy、第19巻、1127〜1137頁;Eckhoffら、2000年、Transplantation、第69巻、1867〜1872頁;Ekbergら、2000年、Transpl.Int.、第13巻、151〜159頁を参照)。追加の免疫抑制剤として、抗−CD2(Brancoら、1999年、Transplantation、第68巻、1588〜1596頁;Przepiorkaら、1998年、Blood、第92巻、4066〜4071頁)、抗−CD4(Marinova−Mutafchievaら、2000年、Arthritis Rheum.、第43巻、638〜644頁;Fishwildら、1999年、Clin.Immunol.、第92巻、138〜152頁)、および抗−CD40リガンド(Hongら、2000年、Semin.Nephrol.、第20巻、108〜125頁;Chirmuleら、2000年、J.Virol.、第74巻、3345〜3352頁;Itoら、2000年、J.Immunol.、第164巻、1230〜1235頁)が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。

当業者にとって公知の免疫抑制剤を任意に組み合わせて、本発明の併用療法と共に利用可能である。特別な有用性を有する1つの免疫抑制剤の併用として、タクロリムス(FK506)+シロリムス(ラパマイシン)+ダクリズマブ(抗−IL2受容体α−サブユニット抗体)が挙げられる。この併用は、ステロイドおよびシクロスポリンの代替用として、特に肝臓を標的とする場合有効であることが証明されている。さらに、この併用は、膵島細胞移植を奏功可能にすることが最近明らかにされた。Denise Grady、The New York Times、2000年5月27日(土)、A1およびA11頁を参照。また、A.M.Shapiroら、2000年7月27日、「Islet Transplantation In Seven Patients With Type 1 Diabetes Mellitus Using A Glucocorticoid−Free Immunosuppressive Regimen」、N.Engl.J.Med.、第343巻、230〜238頁;Ryanら、2001年、Diabetes、第50巻、710〜719頁も参照。当技術分野において公知の任意の方法による血漿交換療法も、併用療法の様々な成分に対して発現し得る抗体を除去する、または枯渇させるのに利用可能である。

本発明と共に使用される免疫状態指標として、当業者にとって公知の抗体および任意のサイトカイン、例えばインターロイキン、CSF、およびインターフェロンが挙げられるが、ただしこれらに限定されない(一般的に、Leonardら、2000年、J.Allergy Clin.Immunol.、第105巻、877〜888頁;Oberholzerら、2000年、Crit.Care Med.、第28巻(付録4号)、N3−N12;Rubinsteinら、1998年、Cytokine Growth Factor Rev.、第9巻、175〜181頁を参照)。例えば、補充酵素と特に免疫反応性の抗体は、対象の免疫状態を調べるために監視の対象とされ得る。すでに知られている2ダースくらいのインターロイキンの中でも、特に好ましい免疫状態指標は、IL−1α、IL−2、IL−4、IL−8、およびIL−10である。コロニー刺激因子(CSF)の中でも、特に好ましい免疫状態指標は、G−CSF、GM−CSF、およびM−CSFである。インターフェロンの中でも、1つまたはそれ以上のα、β、またはγインターフェロンが、免疫状態指標として好ましい。

下記のセクションでは、8つの特別なリソソーム蓄積症(すなわち、ゴーシェ(1、2、および3型を含む)、ファブリー、ニーマン−ピックB、Hunter、Morquio、Maroteaux−Lamy、ポンペ、およびHurler−Scheie)で利用可能な様々な成分について記載する。後続するセクションでは、本発明の併用療法で用いられる酵素補充療法および小分子療法成分に関するさらなる有望な開示について記載する。

ゴーシェ 上記のように、ゴーシェ病は、グルコセレブロシダーゼ(β−D−グルコシル−N−アシルスフィンゴシングルコヒドロラーゼ、EC3.2.1.45)酵素の欠損およびグルコセレブロシド(グルコシルセラミド)の蓄積により引き起こされる。ゴーシェ病の治療を目的とする本発明の併用療法で用いられる酵素補充療法成分の場合、治療に関係するふさわしい投与レジメンおよびその他の有用な情報について記載するいくつかの参考資料が利用可能である(Morales、1996年、Gaucher’s Disease:A Review、The Annals of Pharmacotherapy、第30巻、381〜388頁;Rosenthalら、1995年、Enzyme Replacement Therapy for Gaucher Disease:Skeletal Responses to Macrophage−targeted Glucocerebrosidase、Pediatrics、第96巻、629〜637頁;Bartonら、1991年、Replacement Therapy for Inherited Enzyme Deficiency−Macrophage−targeted Glucocerebrosidase for Gaucher’s Disease、New England Journal of Medicine、第324巻、1464〜1470頁;Grabowskiら、1995年、Enzyme Therapy in Type 1 Gaucher Disease:Comparative Efficacy of Mannose−terminated Glucocerebrosidase from Natural and Recombinant Sources、Annals of Internal Medicine、第122巻、33〜39頁;Pastoresら、1993年、Enzyme Therapy in Gaucher Disease Type 1:Dosage Efficacy and Adverse Effects in 33 Patients treated for 6 to 24 Months、Blood、第82巻、408〜416頁;およびWeinrebら、Am.J.Med.;第113巻(2):112〜9頁(2002年)を参照)。

1つの実施形態では、1キログラム当たり2.5単位(U/kg)を週3回から、60U/kgを2週間に1回のERT投与レジメンが提供され、この場合、酵素は静脈内輸液により1〜2時間にわたり投与される。グルコセレブロシダーゼの単位は、合成基質のp−ニトロフェニル−p−D−グルコピラノシド、1マイクロモルを37℃、1分間で加分解する反応を触媒する酵素量として定義される。別の実施形態では、1U/kgを1週間に3回から、120U/kgを2週間に1回の投与レジメンが提供される。なおも別の実施形態では、0.25U/kgを毎日または1週間に3回から、600U/kgを2〜6週間に1回の投与レジメンが提供される。

1991年以降、アルグルセラーゼ(セレダーゼ(登録商標))がGenzyme Corporationから入手可能である。アルグルセラーゼは、胎盤由来の修飾された形態のグルコセレブロシダーゼである。1994年には、イミグルセラーゼ(セレザイム(登録商標))が、やはりGenzyme Corporationから入手可能となった。イミグルセラーゼは、哺乳動物の細胞培養系(チャイニーズハムスター卵巣細胞)内で発現させた組換えDNAに由来する、修飾された形態のグルコセレブロシダーゼである。イミグルセラーゼは、4つのN−連結型グリコシル化部位を含有する497個のアミノ酸からなる単量体の糖タンパク質である。イミグルセラーゼは、供給が理論的に無制限、および胎盤由来のアルグルセラーゼと比較して生物学的汚染の確率が低いという長所を有する。これらの酵素は、そのグリコシル化部位で修飾されて、マンノース残基が露出するが、これは、マンノース−6−リン酸受容体を介するリソソームのターゲティングを改善する操作である。イミグルセラーゼでは、495位においてアミノ酸が胎盤グルコセレブロシダーゼと1つ異なり、ヒスチジンがアルギニンに置換されている。これらの製品について、いくつかの投与レジメンが有効であることが公知である(Morales、1996年、Id.;Rosenthalら、1995年、Id.;Bartonら、1991年、Id.;Grabowskiら、1995年、Id.;Pastoresら、1993年、Id.を参照)。例えば、60U/kgを2週間に1回とする投与レジメンは、中等度から重度の疾患を有する対象において臨床的ベネフィットを有する。熟練開業医は、投与レジメンおよび投与について追加の情報を得たい場合には、上記で引用した参考資料およびこれらの製品の添付文書について検討すべきである。Genzyme Corporation出願の米国特許第5,236,838号および同第5,549,892号も参照のこと。

上記のように、ゴーシェ病は、リソソーム酵素のグルコセレブロシダーゼ(GC)の欠損に起因する。ゴーシェ病の最も一般的な表現型(1型)では、病理学は細網内皮と骨格系に限定され、また神経障害性の症状は認められない。Barranger、Glucosylceramide lipidosis:Gaucher disease.In:Scriver CR BA、Sly WS、Valle D.編、The Metabolic Basis of Inherited Disease.New York:McGraw−Hill、3635〜3668頁(2001年)を参照。神経障害性のゴーシェ病(nGD)では、2型および3型ゴーシェ病に細分化され、グルコセレブロシダーゼ(GC)の欠損は、グルコシルセラミド(GluCer;GL−1)およびグルコシルスフィンゴシン(GluSph)の脳内蓄積を引き起こし、神経学的障害をもたらす。2型ゴーシェ病は、内臓および中枢神経系における早期発現、急速な進行、広範な病理学により特徴付けられ、通常2歳までに死亡する。3型ゴーシェ病は、亜急性nGDとしても知られ、中間の表現型に該当し、発症年齢は様々であり、重症度および進行速度も異なる。Goker−Alpanら、The Journal of Pediatrics、第143巻:273〜276頁(2003年)。最近の開発により、2型ゴーシェ病のK14 lnl/lnlマウスモデル(以後、「K14マウス」)が生み出された;このマウスモデルは、運動失調、発作、痙縮を示すヒトの疾患を精密に再現し、またメジアン寿命も短縮し、わずか14日である。Enquistら、PNAS、第104巻:17483〜17488頁(2007年)。

nGDの患者と同様に、いくつかの当該疾患のマウスモデルでは、GC活性の欠損に起因して脳内のGluCerおよびGluSph濃度が高まっている。Liuら、PNAS、第95巻:2503〜2508頁(1998年)、およびNilsson、J.Neurochem、第39巻:709〜718頁(1982年)。「K14」マウスは、2型ゴーシェ病と多くの病理的な特性を共有する神経障害性の表現型、例えば特定の脳領域における神経変性、アストログリオーシス、ミクログリアの増殖、およびGluCerおよびGluSph濃度の上昇等を示す。Enquistら(2007年)。

nGDに罹患した患者の臨床管理では、2型疾患の重症度および現在の療法は血液脳関門(BBB)を通過不能であることの両方の理由から、治療担当医師に課題が提起される。非nGDの現行の治療は、欠損酵素に置き換わるように、組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(イミグルセラーゼ;セレザイム(商標))を静脈内送達すること、または基質(GL−1)の生成を軽減するようにグルコシルセラミドシンターゼ阻害剤を投与することに基づく。しかし、これらの薬物は血液脳関門を通過せず、したがってnGD患者に対して治療ベネフィットを提供するとは期待されない。クリニックで用いられている現行の小分子グルコシルセラミドシンターゼ阻害剤は、おそらくnGDの神経障害性の表現型に対処できない。2型ゴーシェ病のK14マウスモデルを対象として、本発明の化合物、キヌクリジン−3−イル(2−(4’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(以後「Gz161」)を評価し、脳内GluCerおよびGluSphを確かに低減し得ることを実証した(実施例122〜125を参照)。同化合物は、脳神経病理学も低減し、またこのモデルの寿命を延長した。さらに、酵素補充法および小分子基質低減法の両方を用いた併用的アプローチは、2型ゴーシェ病に対するより優れた療法を提示する可能性がある。

ファブリー これまでに指摘したように、ファブリー病は、リソソーム酵素のα−ガラクトシダーゼAの欠損により引き起こされる。酵素欠損は、主としてグロボトリアオシルセラミド(GL3またはGb3)である末端α−ガラクトシル部分を有するグリコスフィンゴリピド、ならびに少な目ではあるが、ガラビオシルセラミド、および血液型Bグリコスフィンゴリピドの全身性の沈着を引き起こす。

いくつかのアッセイ法が、疾患進行を監視し、また1つの治療方式を別の方式に切り替える時期を決定するのに利用可能である。1つの実施形態では、組織サンプル内のα−ガラクトシダーゼAの比活性を測定するアッセイ法が利用可能である。別の実施形態では、Gb3の蓄積を測定するアッセイ法が利用可能である。別の実施形態では、医師は、体液内および血管の血管内皮細胞、周皮細胞、および平滑筋細胞のリソゾーム内のグリコスフィンゴリピド基質の沈着についてアッセイすることができる。疾患管理の有用な指標であり得るその他の臨床症状として、蛋白尿、または腎臓機能障害のその他の兆候、例えば尿中赤血球または脂質球、および赤血球沈降速度の上昇等が挙げられる。貧血、血清鉄濃度低下、高β−トロンボグロブリン濃度、および網状赤血球数上昇、または血小板凝集も監視対象であり得る。もちろん、当業者にとって公知の疾患進行を監視する任意のアプローチが利用可能である。(一般的にDesnick RJら、1995年、α−Galactosidase A Deficiency: Fabry Disease、In:The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、Scriverら編、McGraw−Hill、N.Y.、7.sup.th ed.、2741〜2784頁を参照)。好ましい代用マーカーとして、ファブリー病管理を監視するための疼痛が挙げられる。その他の好ましい方法として、体液または生検試料からの酵素および/または基質の総排出量測定が挙げられる。ファブリー病を対象とする酵素補充療法に関する好ましい投与レジメンは、1〜10mg/kg、静脈注射、2日に1回である。2日に1回から1週間または2週間に1回の頻度で、0.1〜100mg/kg、静脈注射の投与レジメンが利用可能である。

ニーマン−ピックB これまでに指摘したように、ニーマン−ピック病B型は、リソソーム酵素の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性低下、および膜脂質、主にスフィンゴミエリンの蓄積により引き起こされる。送達される補充用の酸性スフィンゴミエリナーゼの有効用量は、2日に1回から1週間に1回、2週間に1回、または2ヶ月に1回の頻度で、体重1kg当たり約0.01mg〜約10mgであり得る。その他の実施形態では、有効用量は、約0.03mg/kg〜約1mg/kg;約0.03mg/kg〜約0.1mg/kg;および/または約0.3mg/kg〜約0.6mg/kgであり得る。特別な実施形態では、患者は、漸増用量レジメンにおいて下記の連続した用量で酸性スフィンゴミエリナーゼを投与する:0.1mg/kg;0.3mg/kg;0.6mg/kg;および1.0mg/kg、この場合、酸性スフィンゴミエリナーゼの各用量は少なくとも2回投与され、また各用量は2週間間隔で投与され、また患者は用量を次のレベルに増加させる前に毒性の副作用について監視される(米国特許出願公開第2011/0052559号を参照)。

Hurler−Scheie(MPS I) Hurler病、Scheie病、およびHurler−Scheie病は、MPS Iとしても知られており、α−イズロニダーゼの不活性化、ならびにデルマタン硫酸およびヘパラン硫酸の蓄積により引き起こされる。いくつかのアッセイ法がMPS Iの疾患進行を監視するのに利用可能である。例えば、α−イズロニダーゼ酵素活性は、組織生検試料または末梢血液から得られた培養細胞を対象として監視可能である。さらに、MPS Iおよびその他のムコ多糖症を対象とする疾患進行の好都合な指標として、グリコサミノグリカンであるデルマタン硫酸およびヘパラン硫酸の尿中排出が挙げられる(Neufeldら、1995年、Id.を参照)。特別な実施形態では、α−イズロニダーゼ酵素は、体重1kg当たり0.58mgの用量で、静脈内輸液として、週1回投与される。

Hunter(MPS II) Hunter病(MPS IIとしても知られる)は、イズロン酸スルファターゼの不活性化、ならびにデルマタン硫酸およびヘパラン硫酸の蓄積により引き起こされる。Hunter病は、臨床的に重度および軽度の形態を呈する。治療酵素の投与レジメンは、1.5 mg/kg、2週間に1回から50mg/kg、1週間に1回が好ましい。

Morquio(MPS IV) Morquio症候群(MPS IVとしても知られる)は、2つの酵素のいずれかが不活性化することに起因してケラタン硫酸が蓄積した結果、引き起こされる。MPS IVAでは、不活性化酵素はガラクトサミン−6−スルファターゼであり、またMPS IVBでは、不活性化酵素はβ−ガラクトシダーゼである。治療酵素の投与レジメンは、1.5mg/kg、2週間に1回から50mg/kg、1週間に1回が好ましい。

Maroteaux−Lamy(MPS VI) Maroteaux−Lamy症候群(MPS VIとしても知られる)は、ガラクトサミン−4−スルファターゼ(アリールスルファターゼB)の不活性化、およびデルマタン硫酸の蓄積により引き起こされる。1.5mg/kg、2週間に1回から50mg/kg、1週間に1回の投与レジメンが、ERTにより提供される有効な治療酵素の好ましい範囲である。最適には、採用される用量は、1週当たり10mg/kg以下である。MPS VI疾患進行の好ましい代用マーカーとして、プロテオグリカン濃度が挙げられる。

ポンペ ポンペ病は、酸性α−グルコシダーゼ酵素の不活性化およびグリコーゲンの蓄積により引き起こされる。酸性α−グルコシダーゼ遺伝子は、17番ヒト染色体上に存在し、GAAと命名されている。H.G.Hersがこの疾患について行った自身の試験に基づき、先天性リソソーム疾患の概念を最初に提案し、II型グリコーゲン蓄積症(GSD II)と呼んだが、今日では酸性マルターゼ欠損症(AMD)とも呼ばれる(Hers、1965年、Gastroenterology、第48巻、625頁を参照)。特別な実施形態では、GAAは、体重1kg当たり20mgの用量で、静脈内輸液として、2週間に1回投与される。

いくつかのアッセイ法が、ポンペ病の進行を監視するのに利用可能である。当業者に公知の任意のアッセイ法が利用可能である。例えば、特に生検から得られた心筋層、肝臓、および骨格筋線維内のグリコーゲン果粒のリソソーム内蓄積についてアッセイ可能である。α−グルコシダーゼ酵素活性は、生検試料または末梢血液から得られた培養細胞内で監視することも可能である。クレアチンキナーゼ(CK)の血清中上昇は、疾患進行の兆候として監視可能である。血清CKは、幼児期発症型患者では最大10倍上昇する場合があり、また成人発症型患者では、上昇の程度は通常低めである。Hirschhorn R、1995年、Glycogen Storage Disease Type II:Acid alpha−Glucosidase(Acid Maltase)Deficiency、In:The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、Scriverら編、McGraw−Hill、N.Y.、7.sup.th ed.、2443〜2464頁を参照。

酵素補充療法 下記のセクションでは、本発明の併用療法で用いられる酵素補充療法成分用として利用可能な特別な開示および代替的実施形態について記載する。一般的に、本発明の併用療法で用いられる酵素補充療法成分の投与レジメンは、熟練臨床医により一般的に決定される。グルコセレブロシダーゼによるゴーシェ病の治療を目的とする投与レジメンのいくつかの例は、上記記載の通りである。任意のLSDの治療を目的として、本発明の併用療法で用いられる所与のERT成分いずれについても、その投与レジメンを決定する一般原則は、公表文献から入手可能な情報、例えば特定のLSD毎にセクションで引用された特定の参考資料のレビュー等により当業者にとって明らかである。ERTは、静脈内輸液により患者に投与され得る。脳室内および/または髄腔内輸液(例えば、静脈内輸液に加えて)が、CNSの兆候を有するリソソーム蓄積症と診断された患者にERTを実施するのに利用可能である。

当技術分野において公知の任意の方法が、本発明の併用療法の酵素補充療法成分で用いられる酵素を製造するのに利用可能である。多くのかかる方法は公知であり、これには、Shire plcにより開発された遺伝子活性化技術が含まれるが、ただしこれらに限定されない(米国特許第5,968,502号および同第5,272,071号を参照)。

小分子療法 下記のセクションでは、本発明の併用療法で用いられる小分子療法成分で利用可能な特別な開示および代替的実施形態についても記載する。本発明の併用療法で用いられる小分子療法成分の投与レジメンは、熟練臨床医により一般的に決定され、また治療の対象とされる具体的な蓄積症および具体的な罹患者の臨床状態に応じて大幅に変化するものと予想される。任意の蓄積症の治療を目的として、本発明の任意の併用療法で用いられる所与のSMT成分について投与レジメンを決定する一般原則は、当業者に周知されている。投与レジメンに関するガイダンスは、このトピックスについて当技術分野において周知されている、任意の多くの参考資料から取得可能である。さらにガイダンスは、特に、本明細書で引用する特定の参考資料のレビューから入手可能である。

一般的に、例えば(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートおよびキヌクリジン−3−イル(2−(4’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−イル)カルバマート等の本発明の化合物は、グリコスフィンゴリピド経路における病変に起因する、実質的に任意の蓄積症の治療を目的として、本発明の併用療法で利用可能である(例えば、ゴーシェ、ファブリー、GM1−ガングリオシド蓄積症、およびGM2−ガングリオシド蓄積症(例えば、GM2活性化因子欠損症、Tay−Sachs、およびSandhoff))。同様に、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、G418)が、未成熟終止コドン突然変異(すなわち、ナンセンス突然変異)を有する任意の蓄積症の個人を対象として、本発明の併用療法で利用可能である。かかる突然変異は、Hurler症候群で特に広く認められる。本発明の併用療法で用いられる小分子療法成分は、治療の対象とされる蓄積症(例えば、Sandhoff、Tay−Sachs、ニーマン−ピックA型、およびゴーシェ2型および3型)について中枢神経系の兆候が認められる場合、小分子はその他の療法と比較して一般的に血液脳関門を容易に通過できるので、特に好ましい。

本発明の併用療法で用いられる基質阻害剤の好ましい用量は、当業者により容易に決定される。特定の実施形態では、かかる用量は、腹腔内投与、経口投与、または同等の投与で、1日1回〜5回により、約0.5mg/kg〜約300mg/kg、好ましくは約5mg/kg〜約60mg/kg(例えば、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg)であり得る。かかる用量は、経口投与、腹腔内投与、または同等の投与で、1日1回〜5回により、約5mg/kg〜約5g/kg、好ましくは約10mg/kg〜約1g/kgであり得る。1つの実施形態では、用量は、約10mg/日〜約500mg/日(例えば、10mg/日、20mg/日、30mg/日、40mg/日、50mg/日、60mg/日、70mg/日、80mg/日、90mg/日、100mg/日、110mg/日、120mg/日、130mg/日、140mg/日、150mg/日、160mg/日、170mg/日、180mg/日、190mg/日、200mg/日、210mg/日、220mg/日、230mg/日、240mg/日、250mg/日、260mg/日、270mg/日、280mg/日、290mg/日、300mg/日)の範囲である。特に好ましい経口用量範囲は、約50mg〜約100mgであり、この場合、1日2回投与される。本発明の化合物に関する具体的な経口用量範囲は、約5mg/kg/日〜約600mg/kg/日である。本発明の化合物に関する具体的な経口用量範囲は、約1mg/kg/日〜約100mg/kg/日、例えば、1mg/kg/日、5mg/kg/日、10mg/kg/日、15mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、45mg/kg/日、50mg/kg/日、55mg/kg/日、または60mg/kg/日、65mg/kg/日、70mg/kg/日、75mg/kg/日、80mg/kg/日、85mg/kg/日、90mg/kg/日、95mg/kg/日、または100mg/kg/日である。

治療プラットフォームの併用(すなわち、酵素補充療法と小分子療法)をローテーションするのが好ましい。しかし、対象は、熟練臨床医の決定に従い、必要に応じて両アプローチを重複して治療を受けることも可能である。治療スケジュールの例として、下記の例が挙げられるが、ただしこれらに限定されない:(1)SMTとその後のERT;(2)ERTとその後のSMT;および(3)ERTとSMTとをほぼ同時に提供。これまでに指摘したように、所与の対象における所与の蓄積症の臨床経過に基づき、必要に応じて治療プラットフォームを一時的に重複して実施することも可能である。

様々な併用療法の治療間隔は、幅広く変化する可能性があり、また蓄積生成物がどれほど急激に蓄積するか、その程度に応じて、蓄積症および個人が異なれば一般的に異なり得る。例えば、ポンペでは蓄積生成物が急速に蓄積するのと比較して、ファブリーでは、蓄積生成物の蓄積は低速であり得る。疾患進行および治療の奏功に関する臨床的兆候を監視することにより、当業者は特定の個人の特定の蓄積症について力価測定を実施する。

リソソーム蓄積症において蓄積する様々な高分子は一様に分布せず、むしろ疾患毎に好まれる所定の解剖学的部位に沈着する。しかし、外因的に供給される酵素は、細網内皮系の細胞により一般的に取り込まれ、そしてリソソームのコンパートメントに局在化し、そこで酵素は蓄積した基質を加水分解するように作用する。さらに、治療酵素の細胞への取り込みは、リソソームのターゲティングを高めるしかるべき操作により増強され得る(例えば、細胞に取り込まれ、そしてリソゾームに輸送される細胞表面マンノース受容体により認識されるオリゴ糖側鎖を再構築することにより、薬物動態が改善した組換えグルコセレブロシダーゼについて記載する、Genzyme Corporation出願のFriedmanらによる米国特許第5,549,892号を参照)。

治療法によっては、他法より適切にいくつかの罹患臓器を標的とする。例えば、ファブリーでは、ERTが満足の行くレベルの臨床転帰を得るのに十分なほど腎臓に到達しない場合には、SMTは、腎臓内の基質濃度を低減するのに利用可能である。実施例112および図6Bで示したように、SMTは、ファブリーマウスモデルの尿中Gb3濃度(すなわち、ファブリー患者の体内に蓄積した基質)を有効に低減し、その程度はERTよりも高かった。腎臓は、尿中Gb3の主要な発生源と考えられている。対照的に、図6Bは、ERTは血漿中のGb3濃度を有効に低減し、その程度はSMTよりも高かったことを示す。これらの結果から、ERTとSMTとの併用療法は、強みを有利に生かし、また各療法を単独で採用したときのそれぞれに関連した弱みに対処する相補的な治療戦略を提供することが示唆される。SMTは、BBBを通過することができ、CNSの兆候を有するLSD、例えばNiemann Pick A型および神経障害性のゴーシェ病(nGD)等を治療するために、ERTと併用したとき、強力なアプローチを提供する。さらに、酵素補充と併用したSMTにより基質濃度が低下すれば、臨床転帰を増強し得るような間隔が置かれた異なる介入ポイントで、蓄積問題に対処できる。

2つまたはそれ以上の療法を同時にまたは併用して実施するといっても、それは同時に実施する必要はなく、両方が対象内で同時に作用する必要があるにすぎないと理解される。

(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート 工程1:ヨウ化メチルによるジメチル化

手順:3N RBフラスコに、温度計、滴下ロート、および窒素流入口を取り付けた。フラスコを窒素でフラッシュし、そしてカリウムtert−ブトキシド(MW112.21、75.4mmol、8.46g、4.0当量、白色粉末)を秤量し、粉末用ロートにてフラスコに添加し、その後THF(60mL)を添加した。ほとんどのカリウムtert−ブトキシドが溶解すると濁った溶液となった。この混合物を氷水浴中で0〜2℃(内部温度)に冷却した。別のフラスコ中で、開始エステル(MW265.3、18.85mmol、5.0g、1.0当量)をTHFに溶解し(18mL+リンス用2mL)、そして滴下ロートに移した。この溶液を、冷却混合物に、25〜30分間にわたり滴状添加したが、添加期間中内部温度を5℃未満に保った。反応混合物を冷却して0〜2℃に戻した。別のフラスコ中で、THF(6mL)に溶解したヨウ化メチル溶液(MW141.94、47.13mmol、6.7g、2.5当量)を調製し、滴下ロートに移した。ヨウ化メチル溶液を含有するフラスコを、次にTHF(1.5mL)でリンスし、これを次にTHFに溶解した無色透明のヨウ化メチル溶液をすでに含有する滴下ロートに移した。この溶液を、暗褐色の反応混合物に、30〜40分間にわたり慎重に滴状添加したが、添加期間中、常時、内部温度を10℃未満に保った。添加完了後、わずかに混濁した混合物をさらに1時間撹拌したが、その期間、内部温度を0〜5℃に下げた。0〜5℃で1時間撹拌後、5.0M HCl水溶液(8mL)を5〜7分間にわたりゆっくり滴状添加しながら、反応混合物をクエンチした。内部温度は、この添加期間中20℃未満に維持すべきである。添加後、水(14mL)を添加し、そして混合物を2〜3分間撹拌した。撹拌を中止し、そして2層に分離するまで放置した。次に、2層を250mLの1N RBフラスコに移し、そしてTHF/生成物と水からなる二相性の層を得るためにTHFを減圧中で、できる限り蒸発させた。2層に分離するまで放置した。工程1生成物のTHF溶液を次の反応に用いた。

工程2:LiOH一水和物によるエチルエステルの加水分解

手順:THFに溶解した粗製のエステルを、反応フラスコに添加した。別途、LiOH・H2O (MW41.96、75.0mmol、3.15グラム、2.2当量)を100mLのビーカーに秤量し、これに撹拌バーを添加した。水(40mL)を添加し、すべての固体が溶解して無色透明な溶液になるまで、混合物を撹拌した。この水溶液を、次にテトラヒドロフラン(THF)に溶解したエステル溶液を含有する250mLのRBフラスコに添加した。コンデンサーをフラスコの頸部に取り付け、そして窒素流入口をコンデンサーの最上部に連結した。混合物を還流方式で16時間加熱した。16時間後、加熱を中止し、そして混合物を室温まで冷却した。THFを減圧中で蒸発させて、褐色溶液を得た。一定分量の褐色水溶液を、エチルエステルが完全に加水分解されたかどうか、HPLCおよびLC/MSにより分析した。水(15mL)を添加し、この塩基性水溶液をTBME(2×40mL)で抽出してt−ブチルエステルを除去した。塩基性の水性層を氷水浴中で0〜10℃まで冷却し、そして撹拌しながら、pH約1になるまで濃HClを滴状添加して酸性化した。酸性水溶液中のこのゴム状の固体に、TBME(60mL)を添加し、混合物を振とうさせ、次に激しく撹拌してすべての酸をTBME層に溶解した。2層を分液ロートに移し、そしてTBME層を分離した。淡黄色の酸性水溶液を、TBME(40mL)で再抽出し、そしてTBME層を分離し、以前のTBME層と混合した。酸性の水性層を廃棄した。混合したTBME層を無水Na2SO4上で乾燥、濾過し、そして減圧中で蒸発させてTBMEを除去し、高真空条件下で汚い黄色固体に凝固するオレンジ色/暗黄色の油として粗製の酸を得た。粗製の酸を秤量し、そしてヘプタン/TBME(3:1、粗製の酸5mL/g)中でこれを加熱することにより結晶化させて、黄色の固体として酸を得た。

工程3:NH2OH・HClによるヒドロキサム酸の形成

手順:カルボン酸(MW265.3、18.85mmol、5.0g、1.0当量)を秤量し、窒素下で25mLの1N RBフラスコに移した。THF(5.0mL)を添加すると、酸が速やかに溶解して、透明な暗黄色から褐色の溶液を得た。溶液を氷浴中で0〜2℃(浴温度)に冷却し、そしてN、N’−カルボニルジイミダゾール(CDI;MW162.15、20.74mmol、3.36g、1.1当量)を少量ずつ10〜15分間にわたりゆっくりと添加した。氷浴を除去し、溶液を室温で1時間撹拌した。1時間撹拌後、溶液を氷水浴中で0〜2℃(浴温度)まで再度冷却した。ヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl;MW69.49、37.7mmol、2.62g、2.0当量)を添加したが、この添加は発熱性であるので、固体として少量ずつゆっくりと3〜5分間にわたり行った。添加完了後、水(1.0mL)を、2分にわたり不均質の混合物に滴状添加し、反応混合物を氷水浴中にて0〜10℃で5分間撹拌した。冷却浴を除去し、反応混合物を窒素下、室温にて、オーバーナイトで20〜22時間撹拌した。すべてのNH2OH・HClが溶解すると、溶液は透明となった。20〜22時間後、一定分量の反応混合物を、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。次に、THFを減圧下で蒸発させ、残留物を、ジクロロメタン(120mL)および水(60mL)中に取り出した。混合物を分液ロートに移し、そこで混合物を振とうし、そして2層に分離するまで放置した。水層を廃棄し、ジクロロメタン層を1Nの塩酸(HCl;60mL)で洗浄した。酸の層を廃棄した。ジクロロメタン層を無水Na2SO4上で乾燥、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させて、粗製のヒドロキサム酸を淡黄色の固体として得たが、これを高真空下、オーバーナイトで乾燥した。

工程3(続き):ヒドロキサム酸の環状中間体(単離せず)への変換

手順:粗製のヒドロキサム酸(MW280.32、5.1g)を、窒素流入口を備えた250mLの1N RBフラスコに移した。撹拌バーを添加し、その後にアセトニトリル(50mL)を添加した。固体は、アセトニトリル中で不溶性であった。黄色の不均質な混合物を窒素下で2〜3分撹拌し、CDI(MW162.15、20.74mmol、3.36g、1.1当量)を室温で一度に添加した。発熱は認められなかった。固体は速やかに溶解し、黄色の透明な溶液を、室温で2〜2.5時間撹拌した。2〜2.5時間後、一定分量をHPLCおよびLC/MSにより分析したが、ヒドロキサム酸が所望の環状中間体に変換したことが判明した。

次に、アセトニトリルを減圧下で蒸発させて、赤味を帯びた粘稠な油として粗製の環状中間体を得た。油をトルエン(60mL)中に取り出し、そして赤味を帯びた混合物を2時間加熱還流し、その期間中、環状中間体はCO2を放出してイソシアナートに再構成した(下記を参照)。

工程3(続き):イソシアナートの遊離塩基への変換

反応混合物を50〜60℃に冷却し、そして(S)−(+)−キヌクリジノール(MW127.18、28.28mmol、3.6g、1.5当量)を、混合物に固体として一度に添加した。混合物を、18時間、再度加熱還流した。18時間後、一定分量をHPLCおよびLC/MSにより分析し、イソシアナートが所望の生成物に完全変換したことが判明した。反応混合物を分液ロートに移し、トルエン(25mL)を添加した。混合物を水で洗浄し(2×40mL)、そして水層を分離した。混合された水層をトルエン(30mL)で再抽出し、水層を廃棄した。混合されたトルエン層を1NのHCl(2×60mL)で抽出し、トルエン層(O−アシル不純物を含有)を廃棄した。混合されたHCl層を、撹拌バーを備えた500mLのエルレンマイヤーフラスコに移した。この撹拌中の黄色/赤味を帯びたオレンジ色の透明溶液を、50%w/wNaOH水溶液を滴状添加することにより、pH10〜12まで塩基性にした。所望の遊離塩基が、汚い黄色のゴム上の固体として溶液から析出したが、これは撹拌バーをトラップするおそれがあった。この混合物に、酢酸イソプロピル(100mL)を添加し、そしてゴム状の固体が酢酸イソプロピルに浸漬したら、混合物を5分間激しく撹拌した。撹拌を中止し、そして2層に分離するまで放置した。黄色の酢酸イソプロピル層を分離し、そして水性の塩基性層を、酢酸イソプロピル(30mL)で再抽出した。水性の塩基性層を廃棄し、そして混合された酢酸イソプロピル層を無水のNa2SO4上で乾燥し、事前秤量したRBフラスコ内に濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させてベージュ色から黄褐色の固体として粗製の遊離塩基を得たが、これを高真空条件下、オーバーナイトで乾燥させた。

工程3(続き):粗製の遊離塩基の再結晶化 ベージュ色から黄褐色の粗製遊離塩基を秤量し、ヘプタン/酢酸イソプロピル(3:1、粗製の遊離塩基1g当たり9.0mLの溶媒)から再結晶化した。適量のヘプタン/酢酸イソプロピルを、粗製遊離塩基に撹拌バーと共に添加し、そして混合物(遊離塩基は、当初、部分的に可溶性であったが、加熱還流すると溶解して、赤味を帯びたオレンジ色の透明な溶液が得られた)を10分間加熱還流した。熱源を除去し、混合物を撹拌しながら、室温まで冷却放置し、そのとき白色の析出物が形成された。室温で3〜4時間撹拌後、ブーフナーロートを用いてホースバキューム下で析出物を濾過し、ヘプタン(20mL)で洗浄し、そしてブーフナーロート上、ホースバキューム下、オーバーナイトで乾燥した。析出物を結晶皿に移し、そして真空オーブン内、55℃にて、オーバーナイトで乾燥した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.04〜7.83(m、2H)、7.20〜6.99(m、3H)、5.53(s、1H)、4.73〜4.55(m、1H)、3.18(dd、J=14.5、8.4Hz、1H)、3.05〜2.19(m、5H)、2.0〜1.76(m、11H)。13C NMR(100MHz、CDCl3)δ166.38、165.02、162.54、162.8〜155.0(d、C−F)、130.06、128.43、128.34、116.01、115.79、112.46、71.18、55.70、54.13、47.42、46.52、27.94、25.41、24.67、19.58。

(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートマラートの結晶性形態A (S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートの遊離塩基(20g)をIPA(140ml)に室温で溶解し、濾過した。濾過液を、オーバーヘッドスターラーおよび窒素流入口/流出口を備えた1Lのr.b.フラスコに添加した。L−リンゴ酸(6.89g)を、IPA(100+30ml)に室温で溶解し、濾過した。濾過液を、上記1リットルのフラスコに添加した。得られた溶液を室温、窒素下で4〜24時間撹拌した(シーディング有りまたは無し)。この期間中に結晶が生じた。生成物を濾過により収集し、そして少量のIPA(30ml)で洗浄した。固体を55℃の真空オーブン中にて72時間乾燥した(23g、収率:)。 H1 NMR CDCl3

(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマートHCl塩 IPA(8ml)に溶解した(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(0.78g、2mモル)を室温で撹拌し、HCl(2M IPA溶液、1ml)を添加した。溶液をシーディングし、室温で18時間撹拌した。生成物を濾過により収集し、そして真空下で乾燥し、生成物(0.7g)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ12.(br、s、1H)、7.9〜8.0(m、2H)、7.1〜7.2(m、3H)、5.9(br、s、1H)、4.9〜5.0(m、1H)、3.2〜3.6(m、6H)、1.7〜2.4(m、11H)。

(S)−キヌクリジン−3−イル2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマー(S)−2−ヒドロキシコハク酸塩 コハク酸(0.15g)をIPA(5ml)に溶解し、そして50℃で撹拌した。IPA(8ml)に溶解した(S)−キヌクリジン−3−イル(2−(2−(4−フルオロフェニル)チアゾール−4−イル)プロパン−2−イル)カルバマート(0.5g)を添加した。溶液をシーディングし、そして室温で20時間撹拌した。生成物を濾過により収集し、そして真空下で乾燥して、生成物(0.4g)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.9(m、2H)、7.1〜7.2(m、3H)、5.8(br、s、1H)、4.9(m、1H)、3.1〜3.5(m、6H)、2.6(s、4H)、1.7〜2.4(m、11H)。

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