ネイティブライゲーション法

申请号 JP2015500863 申请日 2013-03-18 公开(公告)号 JP2015512376A 公开(公告)日 2015-04-27
申请人 サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス); サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス); アンスティテュ パストゥール ドゥ リルInstitut Pasteur De Lille; アンスティテュ パストゥール ドゥ リルInstitut Pasteur De Lille; ユニベルシテ リール 2 ドロワ エ サンテ; ユニベルシテ リール 2 ドロワ エ サンテ; 发明人 メルニ オレ; メルニ オレ; レボー ローラン; レボー ローラン; オリビエ ナタリー; オリビエ ナタリー;
摘要 本発明は、セレニウム基により官能化されたペプチドを用いる1以上のネイティブライゲーション工程を含む、ポリペプチドの合成方法に関する。本発明はさらに、セレニウムおペプチド及び化合物に関する。【選択図】なし
权利要求

a)式(I):X1−N(CH2CH2SeH)2のペプチド;又は b)下記式(I'): のペプチド; [式中、X1はペプチドフラグメントを表し、 −N(CH2CH2SeH)2基又は の基は、C末端位置に存在するペプチドフラグメントX1のアミノ酸残基のC=O末端と共にアミド結合を形成する] から選択される、官能化ペプチド。X1が、2〜300のアミノ酸残基、好ましくは5〜100のアミノ酸残基、より好ましくは8〜50のアミノ酸残基を含む、請求項1に記載の官能化ペプチド。請求項1又は2に記載の官能化ペプチドを得るための製造方法であって、 下記工程a1及びb1: a1)下記式(II): (II)X1−OH のポリペプチドを提供するためのペプチド合成工程であって、好ましくは、そのC末端カルボン酸官能基以外の、そのアミン及びカルボン酸基上に保護基を含み、 b1)段階a)で得られたポリペプチドの官能基化工程であって、以下の工程を含み: −式(II)のポリペプチドを、下記式: (IIIa) NH(CH2−CH2−Se−G1)2 [式中、G1は、セレニウム保護基又は原子である] から選択されたアミン化合物と、式(Ia)X1−N(CH2CH2−Se−G1)2、又は(I’)ポリペプチドを得ることを目的として、液相中で反応させる工程; −任意に、式(I)の化合物を生成することを目的として、式(Ia)のポリペプチドの脱保護、 又は下記工程a2及びb2: a2) −下記式(IV)又は(IV''): (IV)X1 − N(CH2CH2−S−H)2; の化合物の使用、又は、 −チオエステル官能基(IV')=X1−SRを担持する基により官能化され、Rは任意に置換されたアリール又はアルキル基を表す、ペプチドの使用、 b2)式(IV)又は(IV'')の化合物、又は式(IV')の化合物と、下記式(III')又は(III''): のアミン化合物との間で、式(I)又は(I′)のペプチドを形成することを目的として、液相中で反応させる工程、 を含む、方法。a)下記式(III'): の化合物、 b)下記式(III''): の化合物から選択される、請求項3に記載の方法に使用することができる、化合物。請求項4に記載の式(III')及び式(III'')の化合物の製造方法であって、金属水素化物であるNaBH4、LiBH4又はLiAlH4を用いる、以下の処理反応: 続いて、下記反応: を含む、方法。請求項1又は2に記載のペプチドを得るための製造方法であって、下記の工程: a)構造式(V): 又は構造式(V'): [構造式中、□は、固相支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表す] により官能基化されたポリマー樹脂の供給工程、 b)構造式(VI): 又は下記構造(VI'): [構造式中、 □及びTrtは化合物(V)又は(V')と同じ意味を有し、 AAは、1又は2以上の保護基を任意に含むアミノ酸残基を表し; G3は、水素原子、又はAAのN−末端アミン官能基の保護基を表す] の化合物を製造するために、段階a)で得られた官能化ポリマー樹脂上へのアミノ酸をグラフト化する工程、 c)下記式(VII)又は(VII'): [式中、□は、固相支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表し、 X1は、ペプチドフラグメントを表す] の化合物を製造するために、アミノ酸AAを出発原料とするペプチド合成工程、 d)化合物(I)又は(I')を生成するために、TrtとSeとの間の結合の切断する工程、 を含む、方法。ポリマー樹脂上へのアミノ酸のグラフト化が、官能化樹脂(V)又は(V')を、アミノ酸ハロゲン化物、又はアミノ酸及び活性化剤、好ましくはHATU、PyBOP、BOP,PyBROP、特により好ましくはHATUから選択された活性化剤と接触させた状態に置くことを含む、請求項6に記載の方法。下記構造式(V): 又は下記構造式(V'): [構造式中、 □は、固相支持体を表し、 Trtは、特に塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノ基から選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表す] とともに、請求項6又は7に記載の方法において使用することができる、官能化ポリマー樹脂。下記式(VII)又は(VII'): [式中、 □は、固体支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表し、 X1は、ペプチドフラグメントを表す] に対応するペプチドフラグメントを含む、ポリマー樹脂。前記固体支持体□が、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、セルロース、ポリエチレン、ポリエステル、ラテックス、ポリアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール−ポリスチレンコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリアクリルアミドコポリマー及びそれらの誘導体から選択される、請求項8又は9に記載のポリマー樹脂。a)−Trt又は−NH−CO−Trt基による官能化固相支持体の提供; b)式(III):NH(CH2−CH2−Se−H)2のアミン化合物と、前記固体支持体のTrt官能基との反応; [ここで、Trtは、請求項8〜10と同じ定義を有する] を含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載のポリマー樹脂の製造方法。下記式(VIII): (VIII) X1−C1−X2−C2−…−Ci-1−Xi−…-Cn-1−Xn [式中、 X1, X2,…, Xi,…, Xnは、ペプチドフラグメントであり、 C1, C2, …, Ci-1, …, Cn-1は、チオール又はセレノールを担持するアミノ酸残基であり、 nは、2又はそれ以上の整数であり、 iは、1〜nの範囲の何れかの整数である] のポリペプチドの製造方法であって、該製造方法は、 下記式(IXi): (IXi) X'i - N(CH2CH2−Se−H)2 [式中、 X'1は、X1を表し、 X'iは、Ci-1−Xiを表し、i>1である]の化合物と、 下記式(Xi+1): (Xi+1) Ci−Xi+1−…−Cn-1−Xn の化合物との間の反応の1又は2以上の段階を含み、 下記式(Xi): (Xi) X‘i−Ci−Xi+1−…−Cn-1−Xn の化合物を形成することを目的とする、方法。化合物(IXi)が、下記式(IXi')化合物: を出発原料とし、ジセレニウム結合を還元する少なくとも1つの化合物を接触させた状態に置くことにより形成される、請求項12に記載の方法。化合物(IX'i)が、下記式(XIi)、(XI'i)又は(XI''i): (XIi)X'i −S − R1 下記式: (XI'’i) X'i − N(CH2−CH2−S−H)2 [式中、X'iは、Ci−Xi形のペプチドフラグメントであり、i>1であり、 X′は、X1を表し、 R1は、任意に置換されたアリール又はアルキル基を表す]の化合物と、 請求項4に記載の式(III’)又は式(III'')の化合物との間の反応により得られる、請求項13に記載の方法。下記式(XII): (XII)X1−C1−X2−C2−X3 により表されるポリペプチドの生成に対し、下記工程: a)下記式(XIII)又は(XIII')の化合物: (XIII)R2 − X1 −N(CH2−CH2−Se−H)2 及び、下記式(XIV)又は(XIV')の化合物: (XIV)H − C1 −X2 −N(CH2−CH2−S−H)2 との間の反応工程であって、 下記式(XV)又は(XV'): (XV)R2−X1−C1−X2−N(CH2−CH2−S−H)2 の化合物を形成することを目的とし、 b)式(XV)又は(XV’)の化合物、及び、 式(XVI):(XVI)H − C2 −X3 のポリペプチドとの反応段階を含み、式(XII)の化合物を形成することを目的とし、 [式中、R2は、H、又はX1のN−末端官能基の保護基を表し;X1、X2、X3は互いに独立して、ペプチドフラグメントを表し;C1及びC2は互いに独立して、チオール又はセレノール官能基を担持するアミノ酸残基を表す] を含む、請求項13又は14に記載の方法。下記式(XVII): [式中、X2は、ペプチドフラグメントを表し、そして C1は、チオール又はセレノール官能基を含むアミノ酸残基を表す]の環状ペプチドの製造方法であって、 当該方法は、下記式(XVIII)のポリペプチド: (XVIII)H−C1−X2−N(CH2−CH2−Se−H)2 の、それ自体との連結反応(ligation)の、少なくとも1つを含む、方法。前記連結反応(ligation)が、下記式(XVIII'): のポリペプチドを、ジセレニウム結合を還元する少なくとも1つの化合物に接触させて置くことにより実施される、請求項16記載の方法。請求項12又は13に記載の方法において使用することができる式(IXi)又は(IX′i)の1又は2以上のペプチド、又は請求項4に記載の少なくとも1つの化合物を含む、ポリペプチド合成キット。

说明书全文

本発明は、セレニウム含有基により官能化されたペプチドを用いての少なくとも1つのネイティブ(native)ライゲーション工程を含む、ポリペプチドの生成方法に関する。本発明はまた、ペプチド、及びセレニウムを基礎とする化合物にも関する。本発明はまた、ペプチドの合成のための合成キットにも関する。

従来の固相法、アミノ酸によるポリペプチドの合成は、合成されるポリペプチドが大きい場合、低収率に限られている。この欠点を克服するためには、より長いポリペプチドを生成することを目的として、化学的ライゲーション(ligation)により2種のポリペプチドをアセンブルすることは知られている。

ポリペプチドの全合成は、明確に定義された構造を有するタンパク質を調製するか、又は天然の修飾、例えば翻訳後修飾、又は非天然の修飾を担持するために、ますます有用である。化学的ライゲーション法は、この必要性に応えるものである;しかしながら、それらはそれらの使用及びそれらの産業的用途において制限されていることが示されている。

一般的に、当該方法においては、ライゲーションによってアセンブリされるポリペプチド間の結合が天然型であることが望ましく、すなわち、ポリペプチドの天然の構造に対応することが望ましい。

現在、既存の主要なネイティブライゲーション法は、例えば国際公開第96/34878号及び98/28434号に記載されるKent及びDawsonの方法である。この方法は、(C末端)ペプチドチオエステルとシステイニル−ペプチドとの間の化学選択的反応に基づく。にもかかわらず、この方法の主要な欠点は、複雑な化学工程を必要とするペプチドチオエステルの生成である。従来技術のそれらの方法は、それらが必然的に分離するのに困難である混合物を導出し、結果として得られる最終生成物の純度に影響を及ぼし、収率の必然的な損失をもたらすため、不十分である。

別の方法は、国際公開第01/68565号及び01/87920号に記載されるStaudinger反応として知られているライゲーションである。この方法は、アミド結合を形成するための、ホスフィノチオエステルとアジドとの反応、及び組み合わされた試薬の加分解を含む。この方法は、工業的スケールで適用するのは難しい。

国際公開第2007/037812号に記載される別の方法は、脱カルボキシル縮合反応におけるN−アルコキシアミンとα−ケト酸との反応に基づく。しかしながら、ケト酸は、生成及びペプチド中への組込みが困難な分子である。さらにこの第三の方法は、複雑な有機合成を実施する手段を備えていないペプチド合成研究室で適用することは困難である。

国際公開第2011/051906号は、チオール化合物を含むネイティブライゲーション法を記載している。この方法は非常に満足の行くものではあるが、このチオール化合物の反応速度は、特に2種のペプチド間の結合の周囲のアミノ酸が嵩高い場合、しばしば遅くなる。

従って、依然として2種の嵩高いアミノ酸間での結合の形成によるペプチドの連結を促進するために急速な反応速度を提供するネイティブライゲーション法が必要である。

本発明は、特定のアミドペプチド、SeEAペプチド及びシステイニルペプチドの使用を基礎とするライゲーション法の開発に基づく。それらの2種のペプチドが水溶液中で接触した状態に置かれる場合、天然型(native)ペプチド結合が、2種のフラグメント間で形成される。ライゲーションは非常に効率的且つ非常に高収率で生じる。それは広いpH範囲に亘って働く。

該ライゲーションそれらの2種の連結の性質と、フランス特許出願第0957639号に記載されるSEAライゲーションと類似性を有するが、SeEA及びSEAセグメントの性質との間には有意な相違が存在する。

実際、SeEA連結の速度は、硫黄含有類似体SEAにより得られるSEA連結の速度、又はペプチドチオエステルの使用に基づくネイティブ化学的連結(NCL)の速度よりも非常に顕著に優れている。

SeEAの速度の優位性は、SEA連結の有用性を、いかなる手段でも低下させない。それどころか、SEA連結又はNCL(チオエステル化学)の他の技法により生成されることが困難である結合形成を可能にすることによりそれを補うものである。

本出願においては、SEA基は−N(CH2−CH2−S−G4)2基を表し、ここでG4はH又は硫黄保護基又はジスルフィド結合を表す。

本発明の第1の主題は、 a)式(I):X1−N(CH2CH2SeH)2のペプチド;又は b)下記式(I’):

のペプチド、 [式中、X1はペプチドフラグメントを表し、 −N(CH2CH2SeH)2基又は

の基は、C末端位置に存在するペプチドフラグメントX1のアミノ酸残基のC=O末端と共にアミド結合を形成する] から選択される官能化ペプチドに関する。

実施形態によれば、X1は、2〜300個のアミノ酸残基、好ましくは5〜100個のアミノ酸残基、より好ましくは8〜50個のアミノ酸残基を含む。

本発明の別の主題は、 a1)下記式(II): (II)X1−OH のポリペプチドを提供するためのペプチド合成工程であって、好ましくは、末端カルボン酸官能基以外の、そのアミノ基及びカルボン酸官能基上に保護基を含み、 b1)段階a)で得られたポリペプチドの官能化工程であって、以下の工程を含み: −式(II)のポリペプチドを、下記式: (IIIa) NH(CH2−CH2−Se−G1)2

[式中、G1は、セレニウム保護基又は水素原子である] から選択されたアミン化合物と、式(Ia)X1−N(CH2CH2−Se−G1)2、又は(I’)ポリペプチドを得ることを目的として、液相中で反応させる工程; −任意に、式(I)の化合物を生成することを目的として、式(Ia)のポリペプチドの脱保護、 又は下記工程a2)及びb2): a2) −下記式(IV)又は(IV''): (IV)X1 − N(CH2CH2−S−H)2;

の化合物の使用、又は −チオエステル官能基(IV')=X1−SRを担持する基により官能化され、Rは任意に置換されたアリール又はアルキル基を表す、ペプチドの使用、 b2)式(IV)又は(IV'')の化合物、又は式(IV')の化合物と、下記式(III')又は(III''):

のアミン化合物との間で、式(I)又は(I')のペプチドを形成することを目的として、液相中で反応させる工程を含む、本発明の官能化ペプチド(I)又は(I')を得るための製造方法に関する。

本発明の別の主題は、 a)下記式(III'):

の化合物、 b)下記式(III''):

の化合物から選択される、本発明の官能化ペプチドを入手するための製造方法に使用できる化合物に関する。

本発明はまた、本発明の式(III')及び式(III'')の化合物の生成方法であって、金属水素化物による処理反応であって、NaBH4の場合以下の図に示される反応であり、但しLiAlH4又はLiBH4もまた使用することが可能である:

続いて、下記反応:

を含む方法に関する。

本発明の別の主題は、 下記工程: a)下記構造式(V):

又は下記構造(V'):

[構造中、□は、固体支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表す]により官能化されたポリマー樹脂の供給工程、 b)下記構造(VI):

又は下記構造(VI'):

[構造式中、□及びTrtは化合物(V)又は(V')と同じ意味を有し、 AAは、1又は2以上の保護基を任意に含むアミノ酸残基を表し; G3は、水素原子、又はAAのN−末端アミン官能基の保護基を表す] の化合物を製造するために、段階a)で得られた官能基化ポリマー樹脂上へのアミノ酸をグラフト化する工程、 c)下記式(VII)又は(VII'):

[式中、□は、固相支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表し、 X1は、ペプチドフラグメントを表す] の化合物を製造するために、アミノ酸AAを出発原料とするペプチド合成段階、 d)化合物(I)又は(I')を生成するために、TrtとSeとの間の結合を切断する工程を含む、本発明の官能化ペプチド(I)又は(I')を得るための製造方法に関する。

上記方法の実施形態によれば、ポリマー樹脂上へのアミノ酸のグラフト化が、官能化樹脂(V)又は(V')を、アミノ酸ハロゲン化物、又はアミノ酸、及び活性化剤、好ましくはHATU、PyBOP、BOP,PyBROP、特により好ましくはHATUから選択された活性化剤と接触させた状態に置くことを含む。

本発明の別の主題は、 下記構造(V):

又は下記構造(V'):

[構造式中、 □は、固相支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表す] とともに、本発明の方法において使用することができる、官能化ポリマー樹脂に関する。

本発明の別の主題は、 下記式(VII)又は(VII'):

[式中、 □は、固体支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表し、 X1は、ペプチドフラグメントを表す] に対応するペプチドフラグメントを含む、ポリマー樹脂に関する。

実施形態によれば、前記固体支持体□は、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、セルロース、ポリエチレン、ポリエステル、ラテックス、ポリアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール −ポリスチレンコポリマー、ポリエチレングリコール −ポリアクリルアミドコポリマー及びそれらの誘導体から選択される。

本発明の別の主題は、 a)−Trt又は−NH−CO−Trt基による官能化された固相支持体の提供; b)式(III):NH(CH2−CH2−Se−H)2のアミン化合物と、前記固体支持体のTrt官能基との反応 [ここで、Trtは、上記と同じ定義を有する] を含む、本発明のポリマー樹脂の生成方法に関する。

本発明の別の主題は、 下記式(VIII): (VIII) X1−C1−X2−C2−…−Ci-1−Xi−…-Cn-1−Xn [式中、 X1, X2,…, Xi,…, Xnは、ペプチドフラグメントであり、 C1, C2, …, Ci-1, …, Cn-1は、チオール又はセレノールを担持するアミノ酸残基であり、 nは、2又はそれ以上の整数であり、 iは、1〜nの範囲の何れかの整数である] のポリペプチドの製造方法に関し、該製造方法は、 下記式(IXi): (IXi) X'i - N(CH2CH2−Se−H)2 [式中、 X'1は、X1を表し、 X'iは、Ci-1−Xiを表し、i>1である]の化合物と、 下記式(Xi+1): (Xi+1) Ci−Xi+1−…−Cn-1−Xn の化合物との間の反応の1又は2以上の工程を含み、 下記式(Xi): (Xi) X'i−Ci−Xi+1−…−Cn−1−Xn の化合物を形成することを目的とする。

実施形態によれば、化合物(IXi)が、下記式(IXi'):

を出発原料とし、ジセレニウム結合を還元する少なくとも1つの化合物と接触させた状態に置くことにより形成される。

実施形態によれば、化合物(IX'i)が、下記式(XIi)、(XI'i) 又は (XI''i): (XIi) X'i −S − R1 下記式:

(XI''i) X'i − N(CH2−CH2−S−H)2 [式中、X'iは、Ci−Xi形のペプチドフラグメントであり、i>1であり、 X’は、X1を表し、 R1は、任意に置換されたアリール又はアルキル基を表す]の化合物と、本発明の式(III')又は式(III'')の化合物との間の反応により得られる。

実施形態によれば、上記方法は、 下記式(XII): (XII) X1− C1−X2 −C2 −X3 により表されるポリペプチドの生成に対し、下記段階を含む製造方法が行われる: a)下記式(XIII)又は(XIII')の化合物: (XIII)R2 − X1 −N(CH2−CH2−Se−H)2 下記式:

及び、下記式(XIV)又は(XIV')の化合物: (XIV)H − C1 −X2 −N(CH2−CH2−S−H)2 下記式:

との間の反応工程であって、 下記式(XV)又は(XV'): (XV)R2−X1−N(CH2−CH2−Se−H)2 下記式:

の化合物を形成することを目的とし、 b)式(XV)又は(XV')の化合物、及び、 式(XVI): (XVI)H − C2 −X3 のポリペプチドとの反応段階を含み、式(XII)の化合物を形成することを目的とし、 [式中、R2は、H、又はX1のN−末端官能基の保護基を表し;X1、X2、X3は互いに独立して、ペプチドフラグメントを表し;C1及びC2は互いに独立して、チオール又はセレノール官能基を担持するアミノ酸残基を表す]。

本発明の別の主題は、 下記式(XVII):

[式中、X2は、ペプチドフラグメントを表し、そして C1は、チオール又はセレノール官能基を含むアミノ酸残基を表す]の環状ペプチドの製造方法に関し、ここで前記方法は、 下記式(XVIII)のポリペプチド: (XVIII)H −C1−X2 −N(CH2−CH2−Se−H)2 の、それ自体との連結反応(ligation)の、少なくとも1つを含む。

本発明の環状ポリペプチドを生成するための方法の実施形態によれば、 連結反応(ligation)が、下記式(XVIII):

のポリペプチドを、ジセレニウム結合を還元する少なくとも1つの化合物に接触させた状態に置くことにより実施される。

本発明の別の主題は、本発明の連結反応(ligation)の方法において使用することができる式(IXi)又は(IX'i)の1又は2以上のペプチド、又は本発明の少なくとも1つの化合物(III')又は(III'')を含む、ポリペプチド合成キットに関する。

本発明の有利な点は、以下の通りである: −本発明のネイティブライゲーション法は困難な接合、例えば立体的に嵩高い(hindered)結合の形成を可能にし、 −本発明のネイティブライゲーション法の速度は非常に早く、 −本発明のネイティブライゲーション法は、異なった速度を有する他の連結法と組合せることができ、 −本発明のネイティブライゲーション法は実施が簡便であり、 −SeEAペプチドは固相支持体から生成することができ、 −SeEAペプチドは溶液中で、SEAセグメント又はチオエステルから製造することができ、 −本発明のネイティブライゲーション法は固相又は液相下で調製することができるペプチドフラグメントを出発原料として実施することができ、 −本発明のネイティブライゲーション法は多くの連続したライゲーション法を含むワンポット法について、従来技術の他のタイプのネイティブライゲーション法と組合せることができ、 −本発明のネイティブライゲーション法は、特定のセレニウム含有化合物の反応混合物への単純な添加により、従来技術のライゲーション法を実現することにより実施することができる。

本発明の他の特徴及び利点は、実施例の方法及び添付図面の参照による、以下の本発明の好適な実施例の記載を読むことにより明らかにされる。

図1aは、本発明のセレニウム含有化合物のHPLCクロマトグラムを表す。

図1bは、本発明のセレニウム含有化合物の質量スペクトルを表す。

図2aは、本発明のセレニウム含有化合物のHPLCクロマトグラムを表す。

図2bは、本発明のセレニウム含有化合物の質量スペクトルを表す。

図3aは、本発明の官能化ペプチドの合成をモニターするためのHPLCクロマトグラムを表す。

図3bは、本発明の官能化ペプチドの合成をモニターするためのHPLCクロマトグラムを表す。

図3cは、本発明の官能化ペプチドの質量スペクトルを表す。

図4aは、本発明の官能化ペプチドのHPLCクロマトグラムを表す。

図4bは、本発明の官能化ペプチドの質量スペクトルを表す。

図5aは、精製後の本発明の官能化ペプチドのHPLCクロマトグラムを表す。

図5bは、精製後の本発明の官能化ペプチドの質量スペクトルを表す。

図6aは、本発明のライゲーション法により得られるポリペプチドのHPLCクロマトグラムを表す。

図6bは、本発明のライゲーション法により得られるポリペプチドの質量スペクトルを表す。

図7は、本発明及び従来技術のライゲーション法の反応速度の測定図を表す。

図8は、本発明及び従来技術のライゲーション法の反応速度の測定図を表す。

図9aは、本発明の方法により得られる官能基化ポリペプチドのHPLCクロマトグラムを表す。

図9bは、本発明の方法により得られる官能基化ポリペプチドの質量スペクトルを表す。

図10aは、本発明の方法により得られるポリペプチドのクロマトグラムを表す。

図10bは、本発明の方法により得られるポリペプチドの質量スペクトルを表す。

図11aは、精製後の本発明の方法により得られるポリペプチドのクロマトグラムを表す。

図11bは、精製後の本発明の方法により得られるポリペプチドの質量スペクトルを表す。

図12は、本発明及び従来技術のライゲーション法の反応速度の測定図を示す。

図13は、本発明の官能化ペプチドの合成に起因する溶液のHPLCクロマトグラムを表す。

図14aは、本発明の官能化ペプチドのHPLCクロマトグラムを表す。

図14bは、本発明の官能化ペプチドの質量スペクトルを表す。

ここで、本発明は、以下の記載においてより詳細に、及び非限定的に記載される。

「ペプチド又はポリペプチド」(peptide or polypeptide)とは、本出願においては、ペプチド結合により連結される直鎖のアミノ酸残基(2又はそれ以上の数の)を意味する。従って、本出願の意味における「ペプチド又はポリペプチド」は、例えば、当該用語の従来の許容によれば、オリゴペプチド、ペプチド又はタンパク質であってもよい。本発明のポリペプチドに存在するアミノ酸残基は、タンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸残基から選択することができる。好ましくは、それらは20個のタンパク質原性アミノ酸残基及びセレノシステインから選択される。

ポリペプチドの表記は、N末端からC末端に向かって行われる。通常の1文字又は3文字コードが、ポリペプチド鎖に沿って存在するアミノ酸残基の表記のために使用される。アミノ酸残基は、式−NH−(CH−R)−(C=O)−のポリペプチドフラグメントであり、式中、Rはアミノ酸ごとに異なる側鎖を表す。

「ペプチドフラグメント」(peptide fragment)とは、本出願においては、少なくとも1つのアミノ酸残基を含むポリペプチドの一部を意味する。従って、ペプチドフラグメントが本出願において意味するところは、例えば次のものであることができる:ペプチドフラグメントがポリペプチドのN末端もC末端も含まない場合、アミノ酸残基の配列(例えば、−AHG−又は−Ala−His−Gly−);又はペプチドフラグメントがポリペプチドのN末端を含む場合、そのN末端に基を有するアミノ酸残基の配列(例えば、H−AHG−又はH−Ala−His−Gly−);又はペプチドフラグメントがポリペプチドのC末端を含む場合、そのC末端に基を有するアミノ酸残基の配列(例えば、−AHG−OH又は−Ala−His−Gly−OH)。

官能化ペプチド 本発明の第1の主題は、 a)式(I):X1−N(CH2CH2SeH)2のペプチド;又は b)下記式(I'):

のペプチド; [式中、X1はペプチドフラグメントを表し、 −N(CH2CH2SeH)2基又は

の基は、C末端位置に存在するペプチドフラグメントX1のアミノ酸残基のC=O末端と共にアミド結合を形成する]から選択されるセレニウム基により官能基化されたペプチドに関する。

ペプチドフラグメントX1は、Y1−AA1−AA2−…−AAnの形で存在し、ここでY1は、N末端基、好ましくは水素原子であるが、しかし任意にはまた、当業者に知られている第一級又は第二級アミンにより置換される任意の基、例えばアシル基及び特にアセチル基であり;nは2又はそれ以上の整数であり;AA1−AA2−…−AAnは互いに独立して、アミノ酸残基を表す。

式(I)又は(I')のポリペプチドは、好ましくは2〜300個のアミノ酸残基、好ましくは5〜100個のアミノ酸残基、より好ましくは8〜50個のアミノ酸残基を含む。

式(I)又は(I')のポリペプチドは、好ましくは、20個のタンパク質原性アミノ酸残基及びセレノシステインから選択されたアミノ酸残基のみを含む。しかしながら、特定の実施形態によれば、式(I)又は(I')のポリペプチドは、1又は2以上の非タンパク質原性アミノ酸残基を含む。

式(I)又は(I')のポリペプチドのアミノ酸残基は、任意に側鎖保護基により保護されることができる。

式(III')及び(III'')のアミン化合物 本発明の別の主題は、下記式(III')及び(III'')のアミン化合物及びそれらの製造方法に関する。

化合物(III')及び(III'')は、下記式:

に対応する。 化合物(III')及び(III'')は、下記工程a):

続いて、下記工程b)

を含む工程に従って行われる。 上記第1段階(段階a)は、好ましくは窒素雰囲気下で行われる。好ましくは、試薬は冷却下に導入され、次いで混合物は還流される。

別の実施形態によれば、工程a)においては、NaBH4は、別の金属水素化物、例えばLiAlH4又はLiBH4により代替される。前記2種の金属水素化物の場合、化合物Li2Se2及びLi2Se3が形成される。次に、それらの2種の化合物Li2Se2及びLi2Se3が次の工程b)に使用される。

好ましくは、第2工程(工程b)は、室温で実施される。

好ましくは、生成物(III')及び(III'')を含む有機相は、例えば高性能液体クロマトグラフィーにより、工程の最後で精製される。

液相下で化合物(I)及び(I′)を得るための製造方法 本発明の別の主題は、第1工程のペプチド合成及び第2工程の官能基化を包含する、液相下での官能化ポリペプチド(I)又は(I')を得るための方法に関する。

第1段階(ペプチド合成段階)は、下記式: (II)X1−OH のポリペプチドの入手を可能にする。

このペプチド合成段階は、当業者に周知の何れかの方法に従って行うことができる。特に、液相、又は好ましくは固相下で行うことができる。

原則的に、ペプチド合成は、プライマー(最初のアミノ酸又はペプチドフラグメントは、先行するアミノ酸付加の結果としてもたらされる)から出発する、及び脱保護から出発するアミノ酸の連続的カップリングを含む。より正確には、ペプチド合成は連続的に以下を含む: (a)保護されていないN末端を有するペプチドフラグメント及びそのN末端において保護されたアミノ酸の提供; (b)前記ペプチドフラグメントのN末端で、アミノ酸とペプチドフラグメントとの間のペプチド結合の確立; (c)前記段階(a)のペプチドフラグメントを供給するために、連結されたアミノ酸のN末端の脱保護。

異なるカップリング反応中、トリアゾール(例えば、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール又は1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)、又は非求核性アニオンのホスホニウム又はウロニウム塩(例えば、HBTU、HATU、TBTU又はPyBOP)の存在下で、活性剤化合物、特にカルボジイミド(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミド)を使用することが;又は酸ハロゲン化物、例えば酸フッ化物の形で、活性化されたアミノ酸を使用することが好ましい。

異なるカップリング反応中、アミノ酸のN末端は、保護基、好ましくはFmoc基(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル)又はt−Boc基(tert−ブトキシカルボニル)又はNSC基(2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エトキシカルボニル)により、好適に保護される。

同様に、アミノ酸残基の側鎖は、好ましくは、異なるカップリング反応中、1又は2以上の適切な保護基、例えばtert−ブチル基により、カルボン酸官能基を担持する鎖のために保護される。

この場合、最後のアミノ酸カップリング反応が実施されると、側鎖の脱保護反応を行うことができる。しかしながら、官能化段階のために、すべての保護(但し、C末端でのCOOH官能基の任意の保護を除く)を保持することが好ましいことに留意すべきである。

官能化 官能化段階は下記を連続的に含む: −任意に、カルバメート、アミド又はアルキル基のファミリーから、好適に選択された保護基、特にtert−ブトキシカルボニル基(t−Boc)、Fmoc(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル)、トリフルオロアセチル又はトリフェニルメチルによる、式(II)のポリペプチドのN末端の保護。

−任意にはまた、式(II)のポリペプチドのアミノ酸残基の側鎖の官能基の保護、及びさらに特には、アミン官能基(好ましくは、上記保護基による)及びカルボン酸官能基(例えば、tert−ブチル基による)の保護。

−他の方法として、及びより単純な実施形態によれば、すべてのアミン及びカルボン酸官能基が保護されている形で、式(II)のポリペプチドを、C末端のCOOH官能基の選択的脱保護により、直接的に提供することが可能である。

−下記化合物(IIIa)及び(III'): (IIIa)= NH(CH2−CH2−Se−G1)2 下記式:

[式中、G1は、セレニウム−保護基を表す]から選択されたアミン化合物と、式(II)のポリペプチドとの液相カップリング反応。

−任意には、ポリペプチドの脱保護。

実施形態によれば、化合物(IIIa)の保護基G1は、トリフェニルメチル及びベンジル型の基、及び特にパラ−メチルベンジル又はパラ−メトキシベンジルから選択される。

化合物(IIIa)が化合物(II)とのカップリングのための出発試薬として使用される場合、後に基G1の脱保護工程が、化合物(I)又は(I')を得るために提供される。好ましくは、脱保護は、酸、例えばトリフルオロ酢酸又は弗化水素酸、又は酸化剤、例えばヨウ素による処理により行われる。

活性剤、例えばベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)又はブロモ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBROP)が、カップリング反応中、有利に存在し、又はアミノ酸C末端自体がハロゲン化された誘導体の形で(特に、アミノ酸弗化物又はアミノ酸塩化物の形で)活性化され、後者は当業者に知られている適切な試薬を用いて、予め形成されるか又は系内で(in situ)形成することができる。アミノ酸ハロゲン化合物のうち、アミノ酸弗化物が好ましく、1,3,5−トリフルオロトリアジンとの反応により予め形成されるか、又はTFFH(テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート)を用いて系内で(in situ)形成される。

一般的に、当業者に知られているアミノ酸のカルボン酸官能基の活性化を可能にする何れかの試薬、例えばHBTU、TBTU、HATU、BOP等を想定することもまた可能である(例えば、Chemical approaches to the synthesis of peptides and proteins by Lloyd-Williams, P., Albericio, F., Giralt, E., 1997, CRC Pressを参照のこと)。PyBOP、PyBROP、BOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウム)ヘキサフルオロホスフェート、又はより一般的には、ホスホニウムが好ましい。

本発明の官能基化ポリペプチド(I)又は(I')は、第2の変法に従って得られる。

SeEAセグメントは、構造(III')又は(III'')の試薬を用いて、X1−N(CH2CH2−S−G4)2又はX1−S−R1チオエステル型であるSeEAセグメントから出発して、交換により別々に形成されることができ、ここで、G4は水素原子、チオール官能基保護基又はジスルフィド結合を表し、そしてR1は水素原子又は任意に置換されたアルキル又はアリールに基を表す。

SeEAセグメントはまた、試薬(III')又は(III'')を用いて、X1−SEAのSEAセグメント又はX1−SR1チオエステル型から出発して、連結を交換する間、系内で(in situ)形成されることもできる。溶液に存在するH−Cys−X2のセグメントは、交換により形成されるX1−SeEAセグメントを消費する。一般的に、系内で(in situ)形成されるX1−SeEAセグメントは、それがH−Cys−X2セグメントと非常に急速に反応するので、観察されない。急速な交換反応及び急速なSeEAライゲーションのために、試薬(III')又は(III'')が連結反応媒体中に導入されるとすぐに、ライゲーション反応が顕著に加速される結果となった。

従って、第二の変法によれば、化合物(I)及び(I')は、次の連続的工程により得られる: a2) −下記式(IV)又は(IV''): (IV)=X1 − N(CH2CH2−S−H)2;

に対応するチオール官能基を担持する基によりそのC末端上で官能化されたペプチド、又は −チオエステル官能基(IV')=X1−SRを担持する基により官能化され、Rは任意に置換されたアリール又はアルキル基を表す、ペプチドの製造工程、 b2)式(IV)又は(IV'')の化合物、又は式(IV')の化合物と、下記式(III')又は(III''):

のアミン化合物との間で、任意には、化合物式(IV'')が使用される場合、ジスルフィド結合を還元する化合物の存在下で、液相中で反応させる工程。

特に、式(IV)又は式(IV'')の化合物は、国際公開第2011/051906号に記載されるプロトコルに従って、入手することができる。

式(IV')において、R基は好ましくは、任意に置換されたC1−C12アルキル又は任意に置換されたC6−C12アリールを表す。そのような化合物は、国際公開第96/34878号及び第98/28434号に記載されている。

実施形態によれば、ジスルフィド結合を還元する化合物は、チオール化合物、例えば4−メルカプトフェニル酢酸(MPAA)、ジチオスレイトール(DTT)、チオフェノール及びその誘導体、アルキルチオール(特にベンジルメルカプタン)、セレノール化合物、例えばセレノフェノール又はジフェニルセレニド、又はホスフィン、例えばトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、又はそれらの混合物から選択されてもよい。

前記のカップリング反応の最後で、化合物(I')が得られる。化合物(I)は、ジセレニウム又はトリセレニウム結合を還元する化合物と化合物(I')を接触した状態に置くことにより得られる。

ジセレニウム又はトリセレニウム結合を還元する既知化合物の中で、以下のものが挙げられる:トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、還元性チオール、例えば4−メルカプトフェニル酢酸(MPAA)、チオフェノール、ベンジルメルカプタン、ジチオスレイトール(DTT)、セレノフェノール又はジフェニルセレニド及びジセレニウム結合還元剤、金属亜塩、及び水素化物、例えばNaBH4、LiBH4、NaBH3CN、 NaBH(OAc)3

官能化段階の最後で、式(I)又は(I')のポリペプチドが得られる。この段階で、例えば液体クロマトグラフィーによる、化合物の精製段階を提供するのが有利である。

官能化ポリマー樹脂 本発明の別の主題は、下記構造(V)又は(V')に対応する官能基化ポリマー樹脂に関する:

[構造式中、□は、固相支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表す]。

次に、それらのポリマー樹脂は、官能化SeEAペプチドを調製するために使用される。

固体支持体□として、可溶性又は不溶性ポリマーが使用され、前記不溶性ポリマーは好ましくは、粒子(beads)の形で存在する。(好ましくは)ポリスチレンに基づく樹脂、又はポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、セルロース、ポリエチレン、ポリエステル、ラテックス、ポリアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール−ポリスチレンコポリマー、ポリエチレングリコール—ポリアクリルアミドコポリマー、又はそれに由来する樹脂を使用することが可能である。

官能化固体支持体□−Zの例として、トリチル塩化物、2−クロロトリチル塩化物、4−メチルトリチル塩化物又は4−メトキシトリチル塩化物リンカー基を有するポリスチレン樹脂が言及されることができる。そのような固体支持体は、例えばGlycopepから市販されている。

別の実施形態によれば、官能化固体支持体□−Zは、トリチル−アルコール型の基であるリンカー基、すなわちOH−Trt−CO−NH−基を有し、前記基中、トリフェニルメチル(Trt)は、特に塩素、メトキシ、メチル、弗素及びシアノから選択された1又は2以上の置換基により任意に置換される。そのようなリンカー基を有する固体支持体は例えば、Quibell, JACS 1995, 117, 11656-11668に記載されており、そして固体ポリエチレングリコール支持体の範囲で、ChemMatrix(登録商標)として市販されている。

このタイプの固相支持体の使用は、下記による固相支持体を活性化する前工程を必要とする: −Br−Trt−CO−NH−形でのリンカー基を修飾するために臭素化剤(特に、臭化アセチル)による; −又はCl−Trt−CO−NH−形でのリンカー基を修飾するために塩素化剤(特に、塩化オキサリル)による; −又はH2O+−Trt−CO−NH−形でのリンカー基を修飾するために酸、例えばトリフルオロ酢酸による; −Singh, S. et al., J. Org. Chem. 2004, 69, 4551-4554に従ってBF3:HO−Trt−CO−NH−形でのリンカー基を修飾するために、BF3.Et2Oによる。

このタイプの活性化段階は、Harre et al., Reactive & functional polymers 1999, 41, 111-114に記載されている。

官能基化ポリマー樹脂の調製は、上記官能基化固相支持体□−Zにより、下記式: (III) NH(CH2−CH2−Se−H)2 のアミンをカップリングすることにより行われる。アミン化合物(III)は、式(IIIa)の上記アミン化合物の脱保護により、それ自体を得ることができ、ここで、式中、G1はセレニウム保護基である。

カップリングは、第2級アミンが無保護になり、二次反応を導く危険性を制限するために、酸性媒体中で行われる。

好ましくは、過剰の塩化トリチル基は、例えばメタノールにより中和される。次に、形成されるHClを中和するために、塩基を添加することが重要である。

官能基化ポリマー樹脂の調製が式(I)及び(I')のポリペプチドの固相生成工程の不可欠な部分を形成することを提供できる。

他方では、官能基化ポリマー樹脂は、式(I)及び(I')のペプチドの固相生成工程内で容易に使用するために、事前に及び別々に調製されることができる。

このタイプの固体支持体の使用は、ポリスチレンタイプの樹脂よりも長いポリペプチドの調製のためにより適切な、ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール−ポリスチレン型の樹脂骨格の使用を可能にすることができる。

好ましくは、樹脂粒子は、1〜1000μmの間に含まれるDv50を有する。Dv50は、粒子サイズ分布の第50百分位数であると定義され、すなわち粒子の50%がDv50よりも小さなサイズを有し、そして50%がDv50よりも大きなサイズを有する。一般的に、Dv50は粒子の粒度プロフィール(体積分布)の特徴であり、そしてそれは、レーザー粒度分布計(200μmよりも小さなサイズの場合)、又は篩い分け(200μmよりも大きなサイズの場合)により決定され得る。

本発明の別の主題は、構造式(VII)又は(VII'):

[式中、□は、固相支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、フッ素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表し、 X1は、ペプチドフラグメントを表す] を有する官能化ポリマー樹脂上にグラフト化されたペプチドに関する。

式(I)及び(I')のペプチドを得るための固相法 本発明の別の主題は、前に記載されたペプチド(I)及び(I')の固相合成法に関する。

この固相合成法は、官能化工程、続くペプチド合成工程を包含する。 第一工程は、下記構造式:

又は下記構造(V'):

[構造中、 □は、固体支持体を表し、 Trtは、特に置換基、塩素、メトキシ、メチル、弗素及びシアノから選択された、1又は2以上の置換基により任意に置換されたトリフェニルメチル基を表す] を有する官能化ポリマー樹脂の供給を含む。

前記方法の第2段階は、 下記構造(VI):

又は下記構造(VI'):

[構造式中、□及びTrtは化合物(V)又は(V')と同じ意味を有し、 AAは、1又は2以上の保護基を任意に含むアミノ酸残基を表し; G3は、水素原子、又はAAのN−末端アミン官能基の保護基を表す] の化合物を製造するために、第一段階で得られた官能基化ポリマー樹脂(V)又は(V’)上へのアミノ酸G3−AAをグラフト化する工程を包含する。

好ましくは、アミノ酸AAは、好ましくは2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エトキシカルボニル(NSC)又はFmoc基から選択された、塩基の存在下で不安定である保護基G3により、そのN末端で保護されている。

アミノ酸AAは、その側鎖上に存在する官能基の全部又は一部(好ましくは、全部)上に、及び特にカルボン酸(アスパラギン酸及びグルタミン酸)、アミン(リシンのための)、アルコール(セリン又はトレオニンのための)、フェノール(チロシンのための)、チオール又はセレノール(システイン又はセレノシステインのための)、グアニジン(アルギンのための)、及びイミダゾール(ヒスチジンのための)官能基上に保護基を含む。そのような保護基は当業者に周知である。例えば、Protective groups in organic synthesis, 2nd edition, T. Greene and P. Wuts, John Wiley & Sons, Inc.を参照のこと。

好ましくは、アミノ酸は、HATU(2−(1H−7−アザベンゾチリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタンアミニウム)、PyBOP又はBOP、又はより好ましくは、PyBROPの存在下で、又はハロゲン化物、特にフッ化物(すなわち、フッ素原子はアミノ酸残基のアシル基に連結される)の形で、活性化される。

アミノ酸は、アミド結合を形成するために官能基化固相支持体上に存在する第2級アミン官能基と反応する。アミノ酸のカップリングの後、後者は任意に脱保護することができる。 従って、この実施形態によれば、官能化段階は、前に官能化された固相支持体からのプライマー固相支持体を作成することから成る。

第3段階は、下記化合物(VII)又は(VII')を生成するためにポリマー樹脂上にグラフト化されたアミノ酸AAを出発原料とするペプチド合成を包む:

ペプチド合成段階は、液相ペプチド合成に関連し、最初のプライマーが固体支持体上にグラフト化されるアミノ酸AAにより提供される、既に記載された工程に類似して行われる。

最終的に、ペプチド合成が完結されると、その支持体からのポリペプチドの分離(又は切断)反応が、化合物(I)又は(I')を生成するためにTrtとSeとの間の結合の切断により提供される。好ましくは、切断は、当業者に知られているカルボカチオントラップ、例えば水、トリイソプロピルシラン、チオフェノール、チオアニソール、アニソール、ジメチルスルフィド、等を含むトリフルオロ酢酸溶液により実施される。

アミノ酢の側鎖の適切な脱保護はまた、任意には、式(I)又は(I')の官能基化ペプチドを得るために提供することができる。

液相法に関しては、この段階で、例えば液体クロマトグラフィーにより、化合物精製工程を提供するのに有利である。

ネイティブライゲーション法(Native ligation process) 本発明の別の主題は、 下記式(VIII): (VIII) X1−C1−X2−C2−…−Ci-1−Xi−…-Cn-1−Xn [式中、 X1, X2,…, Xi,…, Xnは、ペプチドフラグメントであり、 C1, C2, …, Ci-1, …, Cn-1は、チオール又はセレノールを担持するアミノ酸残基であり、 nは、2又はそれ以上の整数であり、 iは、1〜nの範囲の何れかの整数である]のポリペプチドの製造方法に関し、該製造方法は、 下記式(IXi): (IXi) X'i - N(CH2CH2−Se−H)2 [式中、 X'1は、X1を表し、 X'iは、i>1についてCi-1−Xiを表す]の化合物と、 下記式(Xi+1): (Xi+1) Ci−Xi+1−…−Cn-1−Xn の化合物との間の反応の1又は2以上の段階を含み、 下記式(Xi): (Xi) X'i−Ci−Xi+1−…−Cn−1−Xn の化合物を形成することを目的とする、方法に関する。

残基Ciは、チオール又はセレノール官能基を含むアミノ酸残基である。このチオール又はセレノール官能基は特に、β−アミノチオール官能基又はβ−アミノセレノール官能基(この場合、Ci残基は、好ましくはシステイン残基又はセレノシステイン残基を表す)、γ−アミノチオール又はγ−アミノセレノール官能基(この場合、Ci残基は、好ましくはホモシステイン又はホモセレノシステイン残基を表す)であってもよい。

本発明は、いくつかのライゲーション反応を連続的に実施することによりポリペプチドの製造を可能にする。これは、大きなサイズのポリペプチド、例えば約100個以上のアミノ酸残基を含むポリペプチドを得るために適切であることを証明することができる。実際、そのような場合、直接的合成による式(IXi)及び(Xi)のポリペプチドの生成は、低収率を有し、従って、約50個以下のアミノ酸残基を含むポリペプチドのみの直接的合成のためには、2回又は2回以上の連続的連結を使用することが有利である。

一例として、2回の連続的連結の使用は、約50個以上のアミノ酸残基を含むポリペプチドを直接的に合成することなく、約150個のアミノ酸残基を含むポリペプチドを得ることを可能にし;3回の連続的連結の使用は、約50個以上のアミノ酸残基を含むポリペプチドを直接的に合成することなく、約200個のアミノ酸残基を含むポリペプチドを得ることを可能にする。

式(VIII)のポリペプチドは、いくつかの連結法を用いることにより得られる。他の連結法は、国際公開第2011/051906号に記載されるように、チオエステルを含むか、又は特定の硫黄含有化合物を含む方法である。

本発明の式(VIII)のポリペプチドを生成する方法は、式(IXi)の化合物と、式(Xi)の化合物との間に、少なくとも1つの反応段階を含む。

従って、本発明の方法は、式(VIII )のポリペプチドの入手を可能にし;各Xi(iは1〜nの整数である)は、ペプチドフラグメントであり;そして各Ci(iは1〜nの整数である)はチオール又はセレノール官能基を含むアミノ酸残基、及び特に、特定の実施形態によれば、n−1回の連続連結を用いてのシステイン又はセレノシステイン残基である。

本発明の実施形態によれば、化合物(IXi)は、ジセレニウム及び/又はトリセレニウム結合を還元する少なくとも1つの化合物の存在下で、下記式(IX'i):

の化合物から得られる。実際、次に式(IX'i)のポリペプチドは系内で(in situ)還元され、そしてライゲーション反応のための式(IXi)のポリペプチドを提供する。

実施形態によれば、還元化合物は、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、4−メルカプトフェニル酢酸(MPAA)、ベンジルメルカプタン、チオフェノール、DTT、ナトリウム2−メルカプトエチルスルホネート(MESNa)、セレノフェノールから選択される。

化合物(I)及び(I')についてこれまで記載されたことに類似して、実施形態によれば、化合物(IXi)及び(IX'i)は、任意にはジスルフィド及び/又はジセレニウム結合を還元する化合物の存在下で、構造(III')又は(III'')のセレニウム含有化合物を用いて、構造X'i− N(CH2CH2−S−G5)2のSEAセグメントから又は構造X'i−S−R1のチオエステルから出発して、交換により形成することができ、ここで前記構造式中、G5はH、チオール官能基の保護基、又はジスルフィド結合を表し、そしてR1はH又は硫黄の保護基を表す。

iが1に等しい場合、化合物(IXi)及び(IX'i)はそれぞれ化合物(I)及び(I')に対応する。

一般的に、試薬としての式(IX'i)のポリペプチドを出発原料とする連結反応は、式(IXi)のポリペプチドによる直接的な連結反応よりも、実施するのにより実用的であり得る。実際、式(IXi)のポリペプチドは、特に空気中の酸素の作用下で、式(IX'i)のポリペプチドに酸化する自然の傾向がある。例えば、開環形ポリペプチド(IXi)は、それが凍結乾燥された形で貯蔵される場合、時間の経過とともに酸化される可能性がある。言い換えれば、式(IXi)のポリペプチドの調製は、式(IX'i)のポリペプチドを一般的に、必然的に一部含む。それらの2種の形の存在は、同定及び精製を複雑にする。これは、式(IX'i)のポリペプチドを、式(Xi)のポリペプチドと接触して置くことにより、連結反応を実施するのにより単純になるからであり、ここで式(IX'i)の末端環状化を有するポリペプチドが式(IXi)の開環ポリペプチドに系内(in situ)で還元される。

同じ理由から、連結反応が式(Xi)のポリペプチドと接触して式(IXi)のポリペプチドを置くことにより直接実施される場合でさえ、反応の間、ジセレニウム結合を還元する、1又は2以上の上述の化合物を用いることが好ましい。

ライゲーション反応は、好ましくは、液相、及び特に水性媒体、例えばリン酸緩衝液下で生じる。この反応は、好ましくは4〜8.5のpH、より好ましくは5〜7.5のpH、及び理想的には5.5に近いpHで行われる。

ライゲーション反応は、好ましくは0〜50℃の温度、及び理想的には約37℃の温度で行われる。反応時間は、反応の試薬及び他の条件の選択により調節される。適切な時間はまた、反応の間、液体クロマトグラフィー−質量分析の結果に従っても調節することができる。適切な時間は、典型的には、数時間〜数日である。

式(IXi)及び(Xi)の各ポリペプチドは、反応の間、好ましくは、0.01〜50mMの濃度で存在する。式(IXi)及び(Xi)のポリペプチド間のモル濃度比は、反応の間、好ましくは、2:3〜3:2である。

上記ライゲーション反応に続いて、例えば液体クロマトグラフィー又は何れかの他の通常の方法により、式(Xi)のポリペプチドの精製工程を行うことができる。

本発明のライゲーション速度は、国際公開第2011/051906号に記載される硫黄含有化合物、又はチオエステル、例えばKent and Dawsonらによる教示により得られるライゲーション速度よりも有意に卓越している。

SeEA連結の急速性のために、それはネイティブライゲーション反応に使用できる他のグループ、例えばSEA又はチオエステルセグメントの存在下で実施され得る。

SeEA及びSEAライゲーションの組合せは、タンパク質の全合成のために非常に効果的なツールを構成する。いくつかのフラグメントの連結により合成されるタンパク質の生成に関しては、容易な接合のためのSEAライゲーション、及び困難な接合のためのSeEA連ライゲーションを実施することが可能である。実際、SeEAライゲーションは、例えばVal−Cys接合のためには4時間で立体障害のある接合の容易な形成を可能にし、ところがこのタイプの接合は、SEAライゲーションの場合、96時間又はNCL連結の場合、8時間の連結時間を必要とする。

SeEA及びSEAライゲーションの別の有用な手段は、ワンポット連続SeEA−SEAライゲーションである。後者は、接合が類似する立体的障害を有する場合、単離及び中間精製を伴わないで(「ワンポット反応」として知られる)、それらのフラグメントを連結するために実施することができる。この変法の具体的例は、下記に説明される。

本発明の実施形態によれば、本発明の連結法は、 下記式(XII): (XII) X1− C1−X2 −C2 −X3 により表されるポリペプチドの、3種のペプチドフラグメントからの生成を可能にし、 前記ポリペプチドは、下記工程: a)下記式(XIII)又は(XIII')の化合物: (XIII)R2 − X1 −N(CH2−CH2−Se−H)2

及び、下記式(XIV)又は(XIV')の化合物: (XIV)H − C1 −X2 −N(CH2−CH2−S−H)2

との間の反応工程であって、 下記式(XV)又は(XV'): (XV)R2−X1−N(CH2−CH2−Se−H)2 下記式:

の化合物を形成することを目的とし、 b)式(XV)又は(XV')の化合物、及び、 式(XVI): (XVI)H − C2 −X3 との間のポリペプチドとの反応段階を含み、式(XII)の化合物を形成することを目的とし、 [式中、R2は、H、又はX1のN−末端官能基の保護基を表し;X1、X2、X3は互いに独立して、ペプチドフラグメントを表し;C1及びC2は互いに独立して、チオール又はセレノール官能基を担持するアミノ酸残基を表す] を含む方法により、製造される。

化合物(I)及び(I')を得るための、前記のものと類似の態様で、上記化合物(XIII)及び(XIII')は、構造R2−X1−SEAのSEA化合物又は構造R2−X1−S−R1のチオエステル(前記構造中、R1はH又は任意に置換されたアルキル又はアリールを表す)の存在下で、(IIIa)、(III')又は(III'')の試薬を出発原料とし、交換により系内(in situ)形成され、従って、第2の連結段階の加速を可能にする。

このワンポット3種セグメントライゲーション反応は、接合部分が類似する立体的障害を有する場合、単離及び中間精製を伴わないで(「ワンポット反応」として知られる)、3種のフラグメントを連結するために実施されることができる。接合部分の立体障害は類似するので、化合物(XIII)又は(XIII')と化合物(XIV)又は(XIV')との間の連結は、分子内SEA連結による化合物(XIV)又は(XIV')の環化、又は分子間SEA連結によるセグメント(XIV)又は(XIV')の重合よりもより早い。分子内又は分子間SEAライゲーションは、国際公開第2011/051906号に記載されている。

ネイティブ自己ライゲーション(native self-ligation)による環状ポリペプチドの生成 上記ネイティブ連結のために使用される原理はまた、ポリペプチドのネイティブ自己ライゲーション(ポリペプチドの一端と同じポリペプチドの他端との連結)により、環状ポリペプチドを生成するためにも使用され得る。

本発明の別の主題は、 下記式(XVII):

[式中、X2は、ペプチドフラグメントを表し、そして C1は、チオール又はセレノール官能基を含むアミノ酸残基を表す]の環状ペプチドの製造方法に関し、 前記方法は、下記式(XVIII)のポリペプチド: (XVIII)H −C1−X2 −N(CH2−CH2−Se−H)2 の、それ自体との連結反応(ligation)の、少なくとも1つを含む。

式(XVIII)のポリペプチドは好ましくは、2〜300個のアミノ酸残基、好ましくは5〜100個のアミノ酸残基、より好ましくは8〜50個のアミノ酸残基を含む。

式(XVIII)のポリペプチドは、N末端で水素原子及びC1残基を含み、ここでC1は上記に示される意味を有する。ここで、X2は、AA1AA2...AAn形、ペプチドフラグメントを表し、ここで、nは1以上か又は1に等しく、各AAiはアミノ酸残基を表す。

式(XVIII)のポリペプチドは、好ましくは、20個のタンパク質原性アミノ酸残基から選択されたアミノ酸残基及びセレノシステインを含む。しかしながら、特定の実施形態によれば、式(XVIII)のポリペプチドは、セレノシステイン以外に、1又は2以上の非タンパク質原性アミノ酸残基を含む。

式(XVIII)のポリペプチドのアミノ酸残基は、任意には、側鎖保護基により保護することができる。 下記式(XVIII'):

のポリペプチドを、好ましくは、上記に記載される、ジセレニウム結合を還元する少なくとも1つの化合物と接触して置くことにより、上記ライゲーション反応の実施が可能となる。実際、次に、式(XVIII')のポリペプチドは系内で(in situ)還元され、そしてライゲーション反応のために式(XVIII)のポリペプチドを提供する。

一般的に、ライゲーション反応が式(XVIII)のポリペプチドから直接的に実施される場合であっても、反応の間、ジセレニウム結合を還元する1又は2以上の上記の化合物を使用することが好ましい。

一般的に、式(XVIII)のポリペプチドの環化は、反応が十分な希釈条件下で行われる場合、同時多量体化により妨げられない。例えば、0.01〜50mM、典型的には、約1mM(又は任意には、多量体化の危険性が高い場合、0.01〜0.1mM)の濃度の式(XVIII)のポリペプチドを使用することが可能である。

さらに、ライゲーション反応の実施のための好ましい条件は、式(IX)及び(X)のポリペプチドを出発原料とする反応について上記に記載されるそれらの条件と同じである。

上記に記載されるライゲーション反応に続いて、例えばクロマトグラフィー又は何れかの他の通常の技法により得られる式(XVII)の環状ポリペプチドの精製工程を行う。

合成キット 本発明の別の主題は、1又は2以上の式(IXi)又は(IX′i)又は(IX′i)のペプチド、又は少なくとも1つの式(III ′)又は(III ′′)の化合物、及び任意には、1又は2以上のカップリング、保護、脱保護試薬又は溶媒を含んで成るポリペプチド合成キットに関する。

実施例1:化合物1(Se2EA)及び2(Se3EA)の合成

窒素フラッシング下で、無水エタノール(V=19ml)を、撹拌下で、氷浴において冷却された、セレニウムSe(940mg、11.9mmolmmolmmol、1.5当量)及び水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)(300mg、7.9mmol)の混合物に滴下する。激しい反応の後、反応媒体を1.5時間、還流する。溶液において形成されるナトリウム二セレニドNa2Se2は、赤褐色である。

室温で、NaOHaq(0.5M)/EtOH(1/1)混合物(V=3ml)中、ビス(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(847mg、4.7mmolmmol、0.5当量)溶液を、Na2Se2及びNa2Se3の上記溶液に、10分間にわたって滴下する。反応媒体を、室温で45分間、撹拌する。

次に反応溶液を、NaOHaq(0.5M)の溶液により希釈し(V=10ml)、次に、CH2Cl2(3×30ml)により抽出する。次いで有機相を組合せ、Na2SO4上で乾燥し、次いで濃縮し、全体の容積を1/3にする。

次に、得られる有機濃縮物を、トリフルオロ酢酸(TFA)(10%)の水溶液により抽出し、次いで、RP−HPLC: Xbridge C18カラム(d = 1.9 cm、L = 20 cm、130 Å、5 μm)、UV検出(λ =215 nm)、緩衝液A:H2O/TFA (1:0.05% v/v)、緩衝液B: CH3CN/H2O/TFA (4:1:0.05% v/v/v)、一定濃度(isocratic): 緩衝液A (3分)、次いで、濃度勾配(gradient): 緩衝液B (9分間で0〜50%、25 mL/分)を用いて、直接、精製する。

凍結乾燥の後、化合物1(Se2EA)230 mg (収率Y=21%)及び化合物2(Se3EA)240 mg (収率Y=16%)を、黄色粉末の形で得る。

LC−MS分析、それぞれ化合物1(Se2EA)及び2(Se3EA)のRP−HPLCクロマトグラフィー LC−MS:緩衝液A: H2O/TFA (1/0.1% v/v)、緩衝液B: CH3CN/H2O/TFA (4/1:0.1% v/v/v)。

30分間にわたる線状勾配0−100%B、1ml/分の流速、UV検出(λ=215mm)を用いる、XBridge BEH C18カラム (300 Å、3.5 μm、4.6 x 150 mm)上でのRP−HPLC。

MS:エレクトロスプレーイオン化陽性モード、電圧コーン(voltage cone)30V、四極分析器(quadripolar analyser)。

化合物1のクロマトグラム及び質量スペクトルは、それぞれ図1a及び1bに示される。

化合物2のクロマトグラム及び質量スペクトルは、それぞれ図2a及び2bに示される。

実施例2:SEAセグメントを出発原料とする、交換による本発明のSeEAセグメントの合成及び単離 ペプチド8:H-ILKEPVHGA-SEAの合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12, 5238-41文献に記載されている。 ペプチド9:H-ILKEPVHGA-SeEAの合成

窒素雰囲気下で、グローブボックス(二酸素(dioxygen)濃度は50ppm未満である)において反応を行う。TCEPの200mmolmmol/l溶液を、pH7.2での0.1Mリン酸緩衝液において調製する。得られるTCEP/MPAA溶液のpHを、5.5に調節する。

ペプチド8(3.8mg、3μモル)及びSe3EAリンカー2(8.4mg、28μモル、10当量)を、TCEP(V=297μl)の上記溶液に溶解する。反応媒体を、37℃で24時間、撹拌する。

反応の最後で、反応媒体を、TFA(0.1%)の溶液により希釈し(V=2ml)、次に逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC) (C18 Nucleosil カラム (d = 1 cm、L = 20 cm、120 Å、5 μm)、 UV 検出 (λ = 215 nm)、緩衝液A: H2O/TFA (1:0.05% v/v)、緩衝液 B: CH3CN/H2O/TFA (4:1:0.05% v/v/v)、 勾配: 緩衝液 B (5分間にわたって0 〜20%、次に60分間にわたって20 〜42%、6 mL/分))により直接、精製する。1.96mgのペプチド9を得る(収率62%)。

LC−MS分析、ペプチド9のRP−HPLCクロマトグラム LC−MS:緩衝液 A: H2O/TFA (1/0.1% v/v)、 緩衝液 B: CH3CN/H2O/TFA (4/1:0.1% v/v/v)。

30分間にわたっての線状勾配0−100%B、1ml/分の流速、UV検出(λ=215mm)を用いての、XBridge BEH C18 カラム (300 Å、3.5 μm、4.6 x 150 mm)上でのRP−HPLC。

MS:エレクトロスプレーイオン化陽性モード、電圧コーン30V、四極分析器。

図3aは、0.8時間の反応時間tの後、溶液のクロマトグラムに対応する。t=0.8時間については、交換反応は完結されず、実際、ペプチド8に対応するピークは有意な量でまだ存在する。

図3bは、6時間の反応時間tの後、溶液のクロマトグラムに対応し、図3cはその対応する質量スペクトルである。このクロマトグラムは、交換反応が完結されることを示す。

図4a及び4bは、精製後のペプチド9のクロマトグラム及び質量スペクトルに対応する。

実施例2a:SEAセグメントを出発原料とする、交換による本発明の大型SeEAセグメントの合成及び単離 ペプチド15:H-IRNCIIGKGRSYKGTVSITKSGIK-SEAの合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12, 5238-41文献に記載されている。 ペプチド16:H-IRNCIIGKGRSYKGTVSITKSGIK-SeEAの合成

反応は窒素雰囲気下で行われる。TCEPの20mmol/l溶液を、pH=5.5、0.1Mの酢酸緩衝液下で調製する。得られるTCEP溶液のpHを4.2に調節する。

ペプチド15(4mg、1.4μmol)及びSe3EAリンカー2(4.4mg、14.3μmol、10当量)を、TCEP(V=719μl)の上記溶液に溶解する。反応媒体を、37℃で24時間、撹拌する。

反応の最後で、反応媒体を、TFA(0.1%)の溶液により希釈し(V=3ml)、次いで、逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC) (C18 Nucleosil カラム (d = 1 cm、L = 20 cm、120 Å、5 μm)、 UV 検出 (λ = 215 nm)、緩衝液A: H2O/TFA (1:0.05% v/v)、緩衝液B:CH3CN/H2O/TFA (4:1:0.05% v/v/v)、 勾配: 緩衝液B(5分間で0 〜20%、次に60分間で20 〜42%、6 mL/分))により直接、精製する。1.8mgのペプチド16を得る(収率38%)。

LC−MS分析、ペプチド16のRP−HPLCクロマトグラム LC−MS:緩衝液A: H2O/TFA (1/0.1% v/v)、 緩衝液B: CH3CN/H2O/TFA (4/1:0.1% v/v/v)。

30分間に亘る線状勾配0−100%B、1ml/分の流速、UV検出(λ=215mm)を用いる、XBridge BEH C18 カラム (300 Å、3.5 μm、4.6 x 150 mm)上でのRP−HPLC。

MS:エレクトロスプレーイオン化陽性モード、電圧コーン30V、四極分析器。

図13は、24時間の反応時間t後の、溶液のクロマトグラムに対応する。ペプチド16に対応するピークは明確に存在し、そして交換反応が完結したことを示す。

図14a及び14bは、それぞれ精製後のペプチド16のクロマトグラム及び質量のスペクトルに対応する。

実施例3:本発明のセレニウム基の化合物又は従来技術の硫黄基の化合物によるネイティブライゲーション ペプチド3、配列番号1Ac-GFGQGFGG-OHの合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12, 5238-41文献に記載される。 ペプチド4:Ac-GFGQGFGG-SeEAの合成

ペプチド3(50mg、0.07mmol)及び分子1(30mg、0.13mmol、2当量)を、3.5mlのDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解し、続いてベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(68mg、0.14mmol、2当量)を添加、次にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(45μl、0.28mmol、4当量)を添加する。反応媒体を周囲温度で1.5時間、撹拌し、次に、ジエチルエーテル/ヘプタンの冷混合物(75ml、1:1 v/v)から沈殿せしめ、遠心分離し、次に最少量の水に溶解し、凍結乾燥する。

未処理のペプチド4を、逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC) (C18 Nucleosil カラム (d = 1 cm、L = 20 cm、120 Å、5 μm)、 UV 検出 (λ = 215 nm)、緩衝液A: H2O/TFA (1:0.05% v/v)、緩衝液B: CH3CN/H2O/TFA (4:1:0.05% v/v/v)、濃度勾配: 緩衝液B(5分間で0 〜20%、次に60分間で20 〜42%、6 mL/分))により直接、精製する。15mgのペプチド4を得る(収率24%)。

LC−MS分析、ペプチド4のRP−HPLCクロマトグラム LC−MS:緩衝液A: H2O/TFA(1/0.1% v/v)、緩衝液B:CH3CN/H2O/TFA(4/1:0.1% v/v/v)。

30分間の線状勾配0−100%B、1ml/分の流速、UV検出(λ=215mm)を用いての、XBridge BEH C18 カラム (300 Å、3.5 μm、4.6 x 150 mm)上でのRP−HPLC。

MS:エレクトロスプレーイオン化陽性モード、電圧コーン30V、四極分析器。

図5a及び5bは、精製の後、それぞれ、ペプチド4のクロマトグラム及び質量のスペクトルに対応する。

ペプチド5:Ac-GFGQGFGG-SEAの合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12, 5238-41文献に記載される。

ペプチド6、配列番号2 H-CILKEPVHGA-NH2の合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12, 5238-41文献に記載される。

ペプチド7、配列番号3 Ac-GFGQGFGGCILKEPVHGA-NH2のSeEAライゲーションによる合成。ペプチド4 Ac-GFGQGFGG-SeEA及びペプチド5 Ac-GFGQGFGG-SEAの反応性の比較

a−ペプチド4 Ac-GFGQGFGG-SeEAとペプチド6 H-CILKEPVHGA-NH2との連結速度及び収率 ペプチド4とペプチド6とのSeEAライゲーションを、窒素雰囲気下で、グローブボックス(50ppm未満の二酸素(dioxygen)濃度)において行う。グアニジンの3M溶液を、pH=7.3で、0.2Mのリン酸緩衝液において調製する。次に、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP、28.6mg、0.1mmol)及び3−メルカプトフェニル酢酸(MPAA、16.8mg、0.1mmol)を添加する。得られるTCEP/MPAA/グアニジン溶液を、pH=7.2に調節する。

ペプチド4(4.9mg、5μM)及び6(10.6mg、7.6μM、1.5当量)を、上記TCEP/MPAA/グアニジン溶液(1.5ml)に溶解する。反応媒体を、37℃で24時間、撹拌する。

ライゲーション反応が完結されると、反応媒体を水(V=3ml)により希釈し、次にTFA(10%)(V=1ml)の溶液により酸性化し、次にMPADを、エーテル6.5mlを用いて、3度、抽出する。

水性相における連結生成物7を、逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC) (C18 Nucleosil カラム (d = 1 cm、L = 20 cm、120 Å、5 μm)、 UV 検出 (λ = 215 nm)、緩衝液A: H2O/TFA (1:0.05% v/v)、緩衝液 B: CH3CN/H2O/TFA (4:1:0.05% v/v/v)、濃度勾配: 緩衝液B (5分間で0 〜20%、次に60分間で20 〜42%、6mL/分))により直接、精製する。5.6mgのペプチド7を得る(収率54%)。

LC−MS分析、ペプチド7のRP−HPLCクロマトグラム LC−MS:緩衝液A:H2O/TFA(1/0.1% v/v)、 緩衝液B:CH3CN/H2O/TFA (4/1:0.1% v/v/v)。

30分間にわたっての線状勾配0−100%B、流速1ml/分、UV検出(λ=215mm)を用い、XBridge BEH C18 カラム (300 Å、3.5 μm、4.6 x 150 mm)上でのRP−HPLC。

MS:エレクトロスプレーイオン化陽性モード、電圧コーン30V、四極分析器。

図6a及び6bは、それぞれ、精製後のペプチド7のクロマトグアム及び質量のスペクトルに対応する。

b−ペプチド5 Ac-GFGQGFGG-SEAとペプチド6 H-CILKEPVHGA-NH2との連結速度 ペプチド5とペプチド6とのSEAライゲーションの反応は、厳密に同じ条件下で行われる。

速度の比較 図7は、記号●により表される曲線である、本発明のセレニウム基の化合物(ペプチド4)、又は記号▲により表される曲線である、従来技術の硫黄基の化合物(ペプチド5)との、ペプチド7の形成のための連結反応の速度の比較を表す。

図7は、記号●により表される曲線である、本発明の連結反応について、高い反応速度を示す。

実施例4:SeEA、SEA及びNCL(チオエステル化合物)方法についての連結速度の比較 ペプチド15a:H-ILKEPVHGV-SEAの合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12, 5238-41文献に記載される。

ペプチド15b:H-ILKEPVHGV-SeEAの合成 ペプチド15aから出発して、ペプチド15bの合成方法は、ペプチド9の合成のために使用される方法と厳密に同一である。

ペプチド15c:H-ILKEPVHGV-MPA (MPA = 3−メルカプトプロピオン酸)の合成 このペプチドの合成方法は、Dheur, J.; Ollivier, N.; Vallin, A.; Melnyk, O. Journal of Organic Chemistry 2010, 76, 3194-3202文献に記載される。

SeEA、SEAライゲーション及びNCL法について、ペプチド6 H-CILKEPVHGA-NH-2とペプチド15a/15b/15c H-ILKEPVHGV-Rとの連結速度の比較

ペプチド15a又は15b又は15c、及びペプチド6の異なるライゲーションを、窒素雰囲気下で、グローブボックス([O2]<50ppm)において、個別に実施する。TCEPの200mmol/l溶液を、pH7.2で、0.1Mのリン酸緩衝液において調製する。次に、3−メルカプトフェニル酢酸(MPAA 33mg、0.2mmol)を添加する。得られるTCEP/MPAA溶液のpHを、7.2に調節する。

ペプチド15a又は15c及び6(15.当量)を、3mmol/lの濃度で、上記TCEP/MPAA溶液に個別に溶解する。反応媒体を37℃で24時間、撹拌する。連結生成物16の形成速度を、HPLCによりモニターする。

図12は、SeEA、SEAライゲーション又はNCL(チオエステル化学)方法に従ってのペプチド16の形成反応速度の比較を可能にする。

図12においては、●により表される曲線は、ペプチド15bからのペプチド16の形成に対応し、■により表される曲線は、ペプチド15aからのペプチド16の形成に対応し、そして◆により表される曲線は、ペプチド15cからのペプチド16の形成に対応する。

図12は、SeEA連結反応速度(●により表される曲線)が、NCL法(■により表される曲線)の連結反応速度よりも高く、SEA法(◆により表される曲線)の連結反応速度よりもそれ自体有意に高いことを示す。

実施例5:同時交換及び連結によるSeEAセグメントの系内(in situ)形成−連結反応の触媒作用 ペプチド10:H-ILKEPVHGY-SEAの合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12,5238-41文書に記載される。

a−ペプチド11、配列番号4 H-ILKEPVHGYCILKEPVHGA-NH2を生成するための、Se3EAリンカー2の存在下でのペプチド6 H-CILKEPVHGA-NH-2とペプチド10 H-ILKEPVHGY-SEAとの連結速度

ペプチド6とペプチド10とのSEA連結を、窒素雰囲気下で、グローブボックス(50ppm未満の二酸素(dioxygen)濃度)において行う。TCEPの200mmol/l溶液を、pH7.2で0.1Mのリン酸緩衝液において調製する。

ペプチド10(1mg、0.6μM)及び6(1.4mg、1μM、1.5当量)並びにSe3EAリンカー2(5.8mg、0.02mmol、28当量)を、TCEPの上記溶液(94μl)に溶解する。反応媒体を37℃で24時間、撹拌する。生成物11の連結形成速度を、HPLCによりモニターする。

b−MPAAの存在下での、ペプチド10 H-ILKEPVHGY-SEAと、ペプチド6 H-CILKEPVHGA-NH-2との連結速度の比較

ペプチド6とペプチド10とのSEA連結を、窒素雰囲気下で、グローブボックス(50ppm未満の二酸素(dioxygen)濃度)において行う。TCEPの200mmol/l溶液を、pH7.2で0.1Mのリン酸緩衝液において調製する。3−メルカプトフェニル酢酸(MPAA、33mg、0.2mmol)を添加する。得られるTCEP/MPAA溶液を、pH=7.2に調節する。

ペプチド10(1mg、5μM)及び6(10.6mg、7.6μM、1.5当量)を、上記TCEP/MPAA溶液(94μl)に溶解する。反応媒体を、37℃で24時間、撹拌する。連結生成物11の形成速度を、HPLCによりモニターする。

図8は、本発明の化合物2の存在か又は不在下で、ペプチド11の形成の反応速度の比較を可能にする。

図8においては、●により表される曲線は、セレニウム含有化合物2の存在下でのペプチド10の本発明のライゲーション反応に対応し、そして▲により表される曲線は、セレニウム含有化合物の不在下、但しMPAAの存在下での、従来技術のペプチド10のライゲーション藩王に対応する。

図8は、化合物2が存在する場合、より高い反応速度であることを示す。

実施例6:SeEA及びSEA連結を用いての3種のセグメントのワンポット連続連結 ペプチド12:H-C(StBu)HHLEPGG-SEAの合成 このペプチドの合成方法は、Ollivier, N.; Dheur, J.; Mhidia, R.; Blanpain, A.; Melnyk, O. Organic letters 2010, 12,5238-41文書に記載される。

セグメント4 Ac-GFGQGFGG-SeEA、12 H-C(StBu)HHLEPGG-SEA及び6 H-CILKEPVHGA-NH2の連結による、 ペプチド14 配列番号5 Ac-GFGQGFGG-CHHLEPGG-CILKEPVHGA-NH2の合成

−工程1 グアニジン塩酸塩(GdnHCl、573.18mg、6mmol)を、0.1Mのリン酸緩衝液pH=7.3(最終1ml、6M)に溶解する。

4−メルカプトフェニル酢酸(MPAA、33.83mg、0.2mmol)及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP−HCl、57.37mg、0.2mmol)を、この溶液(1ml)に溶解する。6MのNaOHを添加し、溶液のpHを7.37に調節する。

ペプチド4 Ac-GFGQGFGG-SeEA(5.33mg、5.4μM)及び12 H-C(StBu)HHLEPGG-SEA(7.59mg、5.4μM)を、上記溶液(780μl)に、一緒に溶解する。反応媒体を、不活性雰囲気下、37℃、温度調節浴に配置する。

連結を、XBridge BEH C18 カラム(4.6x250 mm、300Å,5μm) (215nm、1mL/分、30℃、緩衝液A 0.1% TFA含有水、緩衝液B0.1% TFA含有CH3CN/水 4/1,30分にわたって0−100% B)上でRP−HPLCによりモニターする。このためには、反応媒体のアリコート(2μl)を、10%水性TFAにより酸性化し、Et2Oにより抽出し、分析前にMPAAを除去する。

溶液中のペプチド13 Ac-GFGQGFGG-CHHLEPGG-SEAを、該方法で入手する。

図9a及び9bは、それぞれ、ペプチド13のクロマトグラム及び質量スペクトルを表す。

−工程2 反応後4時間35分で、ペプチド6 H-CILKEPVHGA-NH2(11.06mg、8.1μモル)を、反応媒体に固体形で添加する。反応を37℃、不活性雰囲気下において行う。

ライゲーション反応を、XBridge BEH C18 カラム(4.6 x 250 mm、300 Å, 5 μm) (215 nm、1 mL/分、30℃、緩衝液A 0.1% TFA含有水、緩衝液B0.1% TFA含有CH3CN/水 4/1,30分間で0−100% B)上でRP−HPLCによりモニターする。このために、反応媒体のアリコート(2μl)を、10%水性TFAにより酸性化し、Et2Oにより抽出し、分析の前、MPAAを除去する。

反応完結後、反応媒体を水(4ml)により希釈し、そして10%水性TFA(1ml)を添加する。Et2O(4×4ml)による4回の抽出の後、水性相をにアルゴンを吹き込むことにより、2分間、脱気する。ヌクレオシルC18カラム、120Å、5μm(215 nm、1 mL/分、30℃、 緩衝液A 0.1% TFA含有水、緩衝液B 0.1% TFA含有CH3CN/水 4/1,30分で0−100%B)上でのRP−HPLCによる精製の後、6mg(36%)のペプチド14 Ac-GFGQGFGG-CHHLEPGG-CILKEPVHGA-NH2を得る。

図10a及び10bは、それぞれ、精製前の、化合物14のクロマトグラム及び質量スペクトルを表す。

図11a及び11bは、それぞれ、精製後の、化合物14のクロマトグラム及び質量スペクトルを表す。

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