Dication compound selectively recognizing g-quadruple chain dna

申请号 JP2006297701 申请日 2006-11-01 公开(公告)号 JP2007153875A 公开(公告)日 2007-06-21
申请人 Georgia State Univ Research Foundation Inc; Univ Of North Carolina At Chapel Hill; ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒルThe University Of North Carolina At Chapel Hill; ジョージア・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション・インコーポレイテッドGeorgia State University Research Foundation, Inc.; 发明人 TIDWELL RICHARD R; BOYKIN DAVID W; ISMAIL MOHAMED A; WILSON W DAVID; WHITE ELIZABETH W; KUMAR ARVIND; NANJUNDA RUPESH;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a highly selective dication compound for connecting G-quadruple chain DNA. SOLUTION: Some compounds indicate groove connection against G-quadruple chain DNA and in vitro and in vivo activities against Trypanosoma brucei rhodesiense. These compounds correspond to new medicines for treating cancers, malaria, leishmaniasis and trypanosomiasis. COPYRIGHT: (C)2007,JPO&INPIT
权利要求
  • 四重鎖デオキシリボ核酸(DNA)を結合する方法であって、四重鎖DNAを式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩と接触させることを含む、前記方法:
    (式中、
    mは、0又は1の整数であり、
    Ar 、Ar 、Ar 及びAr は、独立に、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、置換アリール及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • Ar 、Ar 、Ar 及びAr の少なくとも1つは、
    であり、
    Xは、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    qは、0〜2の整数であり、
    各R は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、置換アリール及びアラルキルオキシルからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  • 式(I)の化合物が、以下の構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項1記載の方法:
    (式中、
    mは、0又は1の整数であり、
    Ar 及びAr は、独立に、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、以下の構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項1記載の方法:
    (式中、
    mは、0及び1から選択され、
    Ar は、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R 及びR は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、下記からなる群から選択される、請求項1記載の方法:
  • 式(I)の化合物の二量体を四重鎖DNAの溝に結合させることを含む、請求項1記載の方法。
  • 前記四重鎖DNAが、テロメアを含む、請求項1記載の方法。
  • 前記テロメアが、ヒトテロメア、線虫テロメア及び原虫テロメアの1つである、請求項7記載の方法。
  • 前記原虫テロメアが、プラスモジウム種、トリパノソーマ種及びレーシュマニア種の1つである、請求項8記載の方法。
  • テロメア伸長を低減する方法であって、
    a)式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を提供すること、及び、
    b)式(I)の化合物をテロメラーゼの存在下でテロメアDNAと接触させることを含み、式(I)の化合物は、テロメアDNAを安定化させ、四重鎖二次構造に維持するのに有効な量であり、テロメアDNAに結合するテロメラーゼの能力を阻害することによって、テロメア伸長を低減する、前記方法:
    (式中、
    mは、0又は1の整数であり、
    Ar 、Ar 、Ar 及びAr は、独立に、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、置換アリール及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、以下の構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項10記載の方法:
    (式中、
    mは、0又は1の整数であり、
    Ar 及びAr は、独立に、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、以下の構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項10記載の方法:
    (式中、
    mは、0及び1から選択され、
    Ar は、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R 及びR は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、下記からなる群から選択される、請求項10記載の方法:
  • 細胞における増殖能力を低減する方法であって、該細胞を有効量の式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩と接触させることを含む、前記方法:
    (式中、
    mは、0又は1の整数であり、
    Ar 、Ar 、Ar 及びAr は、独立に、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、置換アリール及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、以下の構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項14記載の方法:
    (式中、
    mは、0又は1の整数であり、
    Ar 及びAr は、独立に、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、以下の構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項14記載の方法:
    (式中、
    mは、0及び1から選択され、
    Ar は、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R 及びR は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 式(I)の化合物が、下記からなる群から選択される、請求項14記載の方法:
  • 前記細胞が、哺乳類の細胞を含む、請求項14記載の方法。
  • 前記細胞が、人間の細胞を含む、請求項14記載の方法。
  • 前記細胞が、癌細胞を含む、請求項14記載の方法。
  • 前記癌細胞が、乳癌細胞、前立腺癌細胞、肝臓癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、脳腫瘍細胞、卵巣癌細胞、子宮癌細胞、精巣癌細胞、皮膚癌細胞、白血病細胞、頭頚部癌細胞、結腸癌細胞、網膜癌細胞、膀胱癌細胞、肛門癌細胞及び直腸癌細胞からなる群から選択される、請求項20記載の方法。
  • 前記化合物が、アポトーシスを促す、請求項14記載の方法。
  • 癌の治療を必要とする対象の癌治療方法であって、該対象に対して有効量の式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法:
    (式中、
    mは、0又は1の整数であり、
    Ar 、Ar 、Ar 及びAr は、独立に、
    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、置換アリール及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、C 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 前記対象に対して1以上の追加的な治療化合物を投与することを含む、請求項23記載の方法。
  • 以下の構造の化合物、又はその医薬として許容し得る塩:
    (式中、
    少なくとも1つのXが、Se、Te及びNR から選択され、R は、アリール及び置換アリールから選択されるという条件で、各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともにC 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 医薬として許容し得る担体に、下記式の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む、医薬製剤:
    (式中、
    少なくとも1つのXが、Se、Te及びNR から選択され、R は、アリール及び置換アリールから選択されるという条件で、各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともにC 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 微生物感染症の治療を必要とする対象の微生物感染症治療方法であって、該対象に対して有効量の式(IV)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法:
    (式中、
    少なくとも1つのXが、Se、Te及びNR から選択され、R は、アリール及び置換アリールから選択されるという条件で、各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、
    からなる群から選択され、
    各R は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、
    各R 、R 10 、R 11及びR 12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともにC 〜C 10アルキル、C 〜C 10ヒドロキシアルキル、又はC 〜C 10アルキレンを表し、或いは R 及びR 又はR 及びR 12は、ともに、
    であり、
    sは、1〜4の整数であり、R 13は、H又は−CONHR 14 NR 1516であり、R 14はアルキルであり、R 15及びR 16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。
  • 前記微生物感染症が、原虫感染症である、請求項27記載の方法。
  • 前記原虫感染症が、トリパノソーマ種、プラスモジウム種及びレーシュマニア種からなる群から選択される種によって引き起こされる、請求項28記載の方法。
  • 说明书全文

    (技術分野)
    本明細書に開示される主題は、G−四重鎖DNAを結合させるための方法及び化合物に関するものである。 より詳細には、本明細書に開示される主題は、四重鎖形態のテロメア及び癌遺伝子促進剤に結合するジカチオンポリアリール化合物、テロメラーゼ活性を阻害する方法、及び癌を治療するためのジカチオンポリアリール化合物の使用に関するものである。

    略語 δ =化学シフト A =アデニン Ac =アセチル Ac O =無酢酸 C =シトシン ℃ =摂氏温度 calcd =計算された CD =円二色性 C =非結合濃度 cm =センチメートル dec =分解点 DMF =ジメチルホルムアミド DMSO =ジメチルスルホキシド DNA =デオキシリボ核酸 D O =酸化重水素 DODC =3,3'−ジエチルオキサジカルボシアニン DSS =3−(トリメチルシリル)プロパンスルホン酸ナトリウム塩 DTC =ヨウ化N,N'−ジエチルチアカルボシアニン EDTA =エチレンジアミン四酢酸 EIMS =電気スプレー電離質量分析 EtOAc =酢酸エチル EtOH =エタノール g =グラム G =グアニン h =時間 HCl =塩化水素 HEPES =N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N'−(2−エタンスルホン酸)
    HPLC =高圧液体クロマトグラフィー hTERT =ヒトテロメラーゼ逆転写酵素単位 hTR =ヒトテロメラーゼRNA単位 Hz =ヘルツ ip =腹腔内 KCl =塩化カリウム kg =キログラム KO−t−Bu =カリウムtert−ブトキシド L. d. =レーシュマニアドノヴァニ(Leishmania donovani)
    LiOH =水酸化リチウム MeOH =メタノール MHz =メガヘルツ min. =分 mL =ミリリットル mm =ミリメートル mM =ミリモル濃度 mmol =ミリモル m. p. =融点 ms =ミリ秒 MS =質量分析 MTT =臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム Na CO =炭酸ナトリウム Na SO 硫酸ナトリウム NBS =N−ブロモスクシンイミド NH OH・HCl =塩酸ヒドロキシルアミン nM =ナノモル濃度 NMR =核磁気共鳴 NOESY =核オーバーハウザー効果分光法 Pd =パラジウム Pd−C =10%パラジウム炭素 Pd(PPh =テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム P. f. =プラスモジウムファルシパルム(Plasmodium falciparum)
    PIPER =N,N'−ビス(2−ピペルジノエチル)−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド po =経口 ppm =百万分率 psi =ポンド/平方インチ RU =応答単位 s =秒 spp. =種 SPR =表面プラズモン共鳴 T =チミン T. b. r. =ローデシアトリパノソーマブルーセイ(Trypanosoma brucei rhodesiense)
    T. cruzi =トリパノソーマクルージ(Trypanosoma cruzi)
    THF =テトラヒドロフラン TLC =薄層クロマトグラフィー TMS =テトラメチルシラン TOCSY =全相関分光法 U =ウラシル UV =紫外線

    (背景)
    G−四重鎖デオキシリボ核酸(DNA)は、複数の系統の連続的グアニン残渣を含む一本鎖DNAによって形成された四本鎖DNAである(非特許文献1参照)。 四重鎖構造を形成することが可能であると考えられているグアニンリッチの配列は、免疫グロブリンスイッチ領域を含むゲノムの生物学的に重要な領域(非特許文献2参照)、インシュリン遺伝子などのいくつかの遺伝子の転写調節領域(非特許文献3参照)、及びc−MYCを含む特定の癌遺伝子のプロモータ領域(非特許文献4及び非特許文献5参照)。

    テロメアDNA配列は、インビトロで四重鎖構造を形成することも証明された(非特許文献6、非特許文献7及び非特許文献8参照)。 テロメアは、トリパノゾーム及びヒトと同じくらい多様な生体において真核染色体の末端に位置する非コードDNAの領域である。 それらの機能は、染色体の末端を腐食及び端々融合から保護するとともに、組換え時における染色体整列を支援することである。

    ヒトのテロメアは、1本のプリンリッチの鎖及び1本のピリミジンリッチの鎖を有する5から15キロベースの二本鎖領域を有する。 極3'末端において、プリンリッチの鎖は、約200塩基長の一本鎖オーバーハングとして存在する。 テロメア配列は、生体に応じて異なる。 人間及び他の脊椎動物において、テロメアは、直列T AG 反復配列を有する。

    ヒトテロメア配列は、生理学的条件下のインビトロでG−四重鎖構造をとることが証明された(非特許文献9及び非特許文献10参照)。 テロメア四重鎖に結合し、さらにはその形成を促進することが可能である転写因子、ヌクレアーゼ及びヘリカーゼなどのタンパク質の発見は、特定条件下のインビボに存在することを示唆する(非特許文献11、非特許文献12、及び非特許文献13参照)。 Boussin及び共同研究者によるごく最近の発見は、放射標識G−四重鎖結合リガンドが培養細胞の核に蓄積され、染色体の端末領域に優先的に結合されたことであり、G−四重鎖がインビボに存在し、薬物と接触可能であることを示唆するものである(非特許文献14参照)。

    3'鎖は、複製中はラギング鎖であるため、細胞が分裂するたびに、DNAポリメラーゼは、染色体の3'鎖の最末端を複製する。 この「末端複製問題」は、細胞倍加当たり約30〜200塩基のテロメアの縮小をもたらす。 60〜70回の細胞複製の後に、テロメアは臨界長に達し、細胞は、アポトーシス、及び究極的には細胞死をもたらす老化と呼ばれる非分裂状態になる(非特許文献15参照)。 しかし、癌細胞の85〜90%において、逆転写酵素テロメラーゼが活性化される(非特許文献16参照)。 その酵素は、また、トリパノゾーム及びレーシュマニアなどの真核性寄生虫において活性である。 この酵素は、たいていの体細胞において不活性であり、癌及び寄生虫病に対する潜在的に極めて特異的な目標を提供する。 ヒトにおいて、テロメアは、T AG 反復配列をテロメア末端に加え、細胞分裂時にテロメア縮小のバランスをとる。 結果は、テロメア長が維持され、癌細胞の不死に寄与する。

    テロメラーゼは、11塩基のRNA鋳型と、逆転写酵素活性を有するヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)触媒サブユニットとを含む。 テロメラーゼ阻害は、抗癌方法として最近関心がもたれている。 テロメラーゼ阻害の目標としては、逆転写酵素阻害剤及び支配的陰性hTERT構造体が目標とするhTERT触媒サブユニットが挙げられる(非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21及び非特許文献22参照)。 RNA鋳型は、また、アンチセンスオリゴヌクレオチド(非特許文献23及び非特許文献24参照)並びにハンマーヘッドリボザイム(非特許文献25及び非特許文献26参照)を使用して標的化された。

    テロメラーゼ活性を妨害する他の方法は、実際のテロメラーゼ酵素ではなく、テロメアと相互作用することである。 テロメラーゼは、テロメアプライマが一本鎖であることを必要とする。 G−四重鎖などのより高次の構造が形成されると、テロメアプライマへのテロメラーゼRNA鋳型のハイブリダイゼーションが防止されるため、テロメラーゼ活性が阻害される(非特許文献27参照)。 小分子と結合する等によるテロメアの四重鎖構造の安定化は、テロメラーゼ活性を阻害することが証明された。 したがって、テロメアのG−四重鎖構造に選択的に結合し、それを安定化させることが可能である小分子の開発は、抗癌薬設計における現在の関心対象分野である。

    真核性寄生虫において、テロメア及びテロメラーゼは、上述の機能のすべてに対して、また追加的な遺伝子制御機構に対して不可欠である。 例えば、酵素テロメラーゼは、プラスモジウム属、トリパノソーマ属及びレーシュマニア属などの病原単細胞原生寄生虫に見られる(非特許文献28及び非特許文献29参照)。 これらの生体のテロメアは、ヒトテロメアと同じT AG 反復配列の配列を有する。 これらの原虫は、非常に高速の細胞分裂を生じるが、テロメア縮小は、テロメラーゼによって補償されるため、これらの細胞は、癌細胞とほぼ同様に、無限回の細胞分裂を生じ得る。 原虫病原菌は、マラリア及びアフリカ睡眠症のような疾患を引き起こし、毎年何百万件もの死亡の原因になっている。 いくつかの抗原虫治療には、薬物抵抗、及び宿主に対する激しい毒性のような問題がある。 テロメアの四重鎖構造の安定化によるテロメラーゼ阻害は、細胞毒性及び薬物抵抗を低減しながらこれらの原虫の増殖を抑制できる薬剤の設計のための魅的で選択的な目標を提供する。

    四重鎖DNAに結合することが証明されている化合物の多くは、四重鎖の一端又は両端のG−四分体に外部末端スタッキングを介して結合される平面状芳香族化合物である。 アントラキノン、カチオン性ポルフィリン、アクリジン、ペリレン、大環状分子及び関連分子を含むこれらの化合物は、G−四分体の平面に類似した大きな芳香族平面状発色団を有する(非特許文献30、非特許文献31、非特許文献32、非特許文献33及び非特許文献34参照)。 これらの分子は、静電気、ファンデルワールス及び軌道重複相互作用を通じて非共有結合し、一般的にはループ塩基とも相互作用する。 基本的には、知られているすべての四重鎖DNAバインダは、原型DNA二重鎖介在物に基づいているか、又はそれらから誘導されるため、多くの四重鎖DNAバインダは、二重鎖構造に比べて四重鎖に対して選択性を示すことはほとんどない。 これらの種類の分子は、多くの部位に対して非選択的結合を示し、悪心、嘔吐、脱毛並びに心臓及び腎臓障害などの化学療法に広く付随する細胞毒性副作用をもたらす。 したがって、当該技術分野では、高い親和性及び二重鎖DNAに比べて選択性を有しながら、新規の結合様式を介して四重鎖DNAに結合することにより、テロメラーゼ阻害を強化し、副作用をより少なくしながら、癌及び微生物(例えば原虫)感染症を治療するための療法を向上させることが可能である新しい化合物群が必要とされる。
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    米国公開特許出願第20050148646号(Boykin, DWら)

    公開PCT出願第WO 2005/086808号(Boykin, DWら)

    Bilik, P.らの論文、CHEMBIOCHEM, 2, 559-569 (2001) McFarland, JW及びHL Howes, Jrの論文、J. Med. Chem., 15, 365-368 (1972) Lacy, ERらの論文、J. Amer. Chem. Soc., 124, 2153-2163 (2002) Mazur, S.らの論文、J. Mol. Biol., 300, 321-337 (2000) Nguyen, B.らの論文、Biopolymers, 63, 281-297 (2002) Wang, L.らの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 12-16 (2000) Wang, L.らの論文、Biochemistry, 40, 2511-2521 (2001) Allenmark, S.の論文、Chirality, 15, 409-422 (2003) Balagurumoorthy, P.らの論文、J. Biomol. Struc. Dyn., 8, 15 (1992) Balagurumoorthy, P.らの論文、Nuc. Acids. Res., 20, 4061-4067 (1992) Sen, D.及びGilbert, W.の論文、Nature, 344, 410 (1990) He, Y.らの論文、Nuc. Acids Res., 32, 5359-5367 (2004) Li, J.らの論文、Nuc. Acids Res., 33, 4649-4659 (2005) Qi, J.及びShafer, R.の論文、Nuc. Acids Res., 33, 3185-3192 (2005) Sen, D.及びGilbert, W.の論文、Methods Enzymol., 211, 191-199 (1992) Phan, ATらの論文、Nature Chem. Biol., 1, 167-234 (2005) Jelley, EEの論文、Nature, 138, 1009 (1936) Schiebe, G.の論文、Angew. Chem., 50, 212(1937) Phan, AT及びPatel, D.の論文、J. Am. Chem. Soc., 125, 15021-15027 (2003) Ismail, MAらの論文、J. Med. Chem., 46, 4761-4769 (2003) Stephens, CEらの論文、Bioorg. Med. Chem. Lett., 13, 2065-2069 (2003)

    G−四重鎖DNAを選択的に認識するジカチオン化合物を提供する。

    (要旨)
    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、四重鎖DNAを結合する方法であって、四重鎖DNAを式(I)の化合物と接触させることを含む、前記方法を提供する。

    (式中、mは、0又は1の整数であり、


    Ar

    、Ar

    、Ar

    及びAr

    は、

    からなる群から選択され、


    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR

    からなる群から選択され、R

    は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    各A、B及びDは、独立に、CR

    及びNからなる群から選択され、R

    は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR

    からなる群から選択され、R

    は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    各Eは、独立に、CR

    18及びNからなる群から選択され、R

    18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、


    各Zは、独立に、CR

    19及びNからなる群から選択され、R

    19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、


    各qは、独立に、0〜2の整数であり、


    各yは、独立に、0〜3の整数であり、


    各tは、独立に、0〜3の整数であり、


    各uは、独立に、0〜3の整数であり、


    各R

    、R

    、R

    、R

    及びR

    17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、


    Am

    及びAm

    は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、C

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、


    sは1〜4の整数であり、R

    13はH、又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。

    いくつかの実施態様において、式(I)の化合物の少なくとも1つのAr基は、

    であり、


    Xは、O、S、CH、Se、Te及びNR

    からなる群から選択され、R

    は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    qは、0〜2の整数であり、


    各R

    は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、置換アリール及びアラルキルオキシルからなる群から選択される。

    いくつかの実施態様において、Ar 及びAr は、それぞれ五員環であり、式(I)の化合物は、下記式を有する。

    (式中、mは、0又は1の整数であり、


    Ar

    及びAr

    は、

    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともにC

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、


    sは、1〜4の整数であり、R

    13は、H又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。

    いくつかの実施態様において、Ar 及びAr は、それぞれ五員環であり、Ar は六員芳香族環であり、Ar は、存在する場合は、五員又は六員環であり、式(I)の化合物は下記式を有する。

    (式中、mは、0及び1から選択され、


    Ar

    は、

    からなる群から選択され、


    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR

    からなる群から選択され、R

    は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    各A、B及びDは、独立に、CR

    及びNからなる群から選択され、R

    は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR

    からなる群から選択され、R

    は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    各qは、独立に、0〜2の整数であり、


    各R

    及びR

    は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、


    Am

    及びAm

    は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともにC

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、sは、1〜4の整数であり、R

    13は、H又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される)。

    いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、以下の構造の1つを有する。

    いくつかの実施態様において、式(I−III)の化合物の2つの分子は、四重鎖DNAの溝で結合する。
    いくつかの実施態様において、四重鎖DNAは、テロメアDNA配列である。 いくつかの実施態様において、テロメアDNA配列は、ヒトテロメア配列である。 いくつかの実施態様において、テロメアDNAは、線虫DNA配列である。 いくつかの実施態様において、テロメアDNA配列は、原虫DNA配列である。 いくつかの実施態様において、テロメアDNA配列は、プラスモジウム種、トリパノソーマ種又はレーシュマニア種からの配列である。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、テロメア伸長を低減するための方法であって、式(I−III)の化合物を提供することと、その化合物をテロメラーゼの存在下でテロメアDNAと接触させることとを含み、式(I−III)の化合物が、テロメアDNAを安定化させ、四重鎖形態に維持するのに有効な量であり、テロメアDNAに結合するテロメラーゼの能力を低下させることにより、テロメア伸長を低減する方法を提供する。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、細胞を、有効量の式(I−III)の化合物と接触させることによって細胞における増殖能力を低減する方法を提供する。 いくつかの実施態様において、該細胞は癌細胞である。 したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、有効量の式(I−III)の化合物を対象に投与することによって、癌の治療を必要とする対象の癌治療方法を提供する。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、上述した式(I)の新規化合物(m=0であり、Ar 、Ar 及びAr は五員環である)を提供し、その化合物は、下記構造を有する。

    (式中、少なくとも1つのXが、Se、Te及びNR から選択され、R は、アリール及び置換アリールから選択されるという条件で、各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともにC

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、


    sは、1〜4の整数であり、R

    13は、H又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(IV)の化合物を含む医薬製剤を提供する。
    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、任意にトリパノソーマ種、プラスモジウム種及びレーシュマニア種によって引き起こされる微生物感染症を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に式(IV)の化合物の有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。

    よって、本明細書に開示される主題の目的は、四重鎖DNAを式(I)から(IV)の化合物と接触させることによって、四重鎖DNAを結合する方法を提供することである。
    本明細書に開示される主題の他の目的は、式(I)から(IV)の化合物の二量体を四重鎖DNAの溝で結合する方法を提供することである。

    本明細書に開示される主題の他の目的は、式(I)から(IV)の化合物をテロメラーゼの存在下でテロメアDNAと接触させることによってテロメア伸長を低減する方法であって、式(I)から(IV)の化合物は、テロメアDNAに結合するテロメラーゼの能力を低下させるように、テロメアDNAを四重鎖二次構造に安定化し、維持する方法を提供することである。

    本明細書に開示される主題の他の目的は、細胞における増殖能力を低下させる方法を提供することである。
    本明細書に開示される主題の他の目的は、対象の癌治療方法を提供することである。
    本明細書に開示される主題の他の目的は、対象の微生物感染症治療方法を提供することである。

    本明細書に開示される主題の他の目的は、式(IV)の新規の化合物を提供することである。
    本明細書に開示される主題によって全面的又は部分的に取り扱われる、上述した本明細書に開示される主題の特定の目的、他の目的及び態様は、以下に最適に記載される付随の実施例とともに説明を読むに従って、明らかになるであろう。

    (詳細な説明)
    次に、代表的な実施態様が示される付随の実施例を参照しながら、本明細書に開示される主題を以下により十分に説明する。 しかし、本明細書に開示される主題は、異なる形態で具体化することが可能であり、本明細書に記載される実施態様に限定されるものと見なされるべきではない。 むしろ、これらの実施態様は、この開示内容が完全かつ完璧になり、実施態様の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。

    特に指定のない限り、すべての科学技術用語は、本明細書に開示される主題が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。 本明細書において言及されているすべての出版物、特許出願、特許及び他の参考文献は、そのすべてにおいて引用により組み込まれている。
    明細書及び請求の範囲全体を通じて、所定の化学式又は名称は、すべての光学及び立体異性体、並びにラセミ混合物を、当該異性体及び混合物が存在する場合に包括するものとする。

    (I.定義)
    本明細書に用いられるように、「アポトーシス」という用語は、プログラム細胞死、すなわち多細胞生物における細胞の自己破壊を含む細胞プロセスを意味する。 そのプロセスは、しばしば縮小テロメラーゼなどの非修復的DNA損傷の結果である。

    「結合(binding)」又は「結合する(bind)」という用語は、1以上の分子と他の分子との非共有結合を意味する。 結合に関与する分子は、有機合成によって生成された小分子、DNA又はRNA分子の部分、タンパク質又はそれらの組合せであり得る。 したがって、「結合」は、ハイブリダイゼーション又はより一般的な水素結合、及び/又はイオン結合などの他の非共有相互作用、疎水的相互作用、ファンデルワールス力又はロンドン分散力に基づく相互作用、並びに双極子−双極子相互作用を含み得る。

    本明細書に用いられている「癌」という用語は、無制御細胞分裂、及び転位する、又はさらなる部位において新たな成長を確立する細胞の能力によって引き起こされる疾患を意味する。 「悪性腫瘍」、「悪性疾患」、「新生物」、「腫瘍」及びその変形という用語は、癌性細胞又は癌性細胞群を意味する。
    癌の具体的な種類としては、皮膚癌、結合組織癌、脂質癌、乳癌、癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、会陰癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、前立腺癌、中枢神経系(CNS)癌、網膜癌、血液及びリンパ癌が挙げられるが、それらに限定されない。

    本明細書に用いられるように、「二量体」という用語は、化合物の2つの分子を意味する。 それらの2つの分子は、直接、又は炭化水素鎖などの結合基を通じて共有結合され得る。 炭化水素鎖は、さらに置換されるか、又はその骨格に沿って1以上のヘテロ原子を含むことが可能である。 或いは、二量体の2つの分子は、共有結合されていない。 特に、「二量体」という用語は、本明細書において、ともにDNA配列などの第3の分子に非共有結合される2つの分子を表すのに用いられる。

    本明細書に用いられるように、「G−四重鎖」及び「四重鎖」という用語は、区別なく用いることが可能であり、3つ以上のグアニン四分体を形成する4つのグアニンリッチの配列を含むポリヌクレオチド二次構造を意味する。 4つのグアニンリッチの配列は、すべて単一ポリヌクレオチド分子の部分であり得る。 或いは、4つのグアニンリッチの配列は、2つ、3つ又は4つのポリヌクレオチド分子の部分であり得る。
    本明細書に用いられる「四分体」又は「G−四分体」とは、4つのグアニン塩基の平面アレイを意味する。

    本明細書に用いられるように、「テロメアDNA」という用語は、染色体の末端のDNA配列を意味する。 そのような配列は、一般には多くのグアニンを含む。 人間及び他の脊椎動物において、テロメアDNA配列は、多くのd[T AG ]反復配列を含む。 細胞分裂中に、すべてのテロメア配列が複製されるわけではなく、テロメア配列はより短くなる。 多くの細胞分裂後に、テロメアDNA配列は、細胞が生存できなくなるほど短くなり、アポトーシスが引き起こされる。

    本明細書に用いられる「テロメア伸長の低減」という表現は、テロメアの末端に対するヌクレオチドの添加を少なくするか、又は停止することを意味する。 例えば、テロメア伸長の低減とは、人間又は他の脊椎動物におけるテロメアDNAの末端に対するd[T AG ]反復配列の添加によるテロメラーゼ酵素の能力を停止又は低下させることを意味することが可能である。

    本明細書に用いられるように、「アルキル」という用語は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ブタジエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル及びアレニル基を含む、C 〜C 20の線状(すなわち「直鎖状」)、分枝状又は環状の飽和又は少なくとも部分的、及び場合によっては全面的に不飽和の(すなわちアルケニル及びアルキニル)炭化水素鎖を意味する。 「分枝状」とは、メチル、エチル又はプロピルのような低級アルキル基が線状アルキル鎖に結合したアルキル基を意味する。 「低級アルキル」とは、1から約8の炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7又は8の炭素原子を有するアルキル基(すなわちC 〜C のアルキル)を意味する。 「高級アルキル」とは、約10から約20の炭素原子、例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20の炭素原子を有するアルキル基を意味する。 特定の実施態様において、「アルキル」とは、特に、C 〜C の直鎖アルキルを意味する。 他の実施態様において、「アルキル」とは、特に、C 〜C の分枝鎖アルキルを意味する。

    アルキル基は、同一又は異なり得る1以上のアルキル置換基で任意に置換され得る(「置換アルキル」であり得る)。 「アルキル置換基」という用語は、アルキル、置換アルキル、ハロ、アリールアミノ、アシル、ヒドロキシル、アリールオキシル、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシル、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、オキソ及びシクロアルキルを含むが、それらに限定されない。 アルキル鎖とともに、1以上の酸素、硫黄、或いは置換又は無置換の窒素原子を任意に挿入することが可能であり、その窒素置換基は水素原子、低級アルキル(本明細書において「アルキルアミノアルキル」とも称する)又はアリールである。

    したがって、本明細書に用いられているように、「置換アルキル」という用語は、アルキル基の1以上の原子又は官能基が、例えば、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、アリール、置換アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルフェート及びメルカプトを含む他の原子又は官能基で置き換えられている、本明細書に定められたアルキル基を含む。

    「アリール」という用語は、本明細書において、単一の芳香族環、或いは互いに融合した、共有結合した、又はメチレン若しくはエチレン成分を含むが、それらに限定されない共通の基に結合した複数の芳香族環であり得る芳香族置換基を意味するように用いられる。 該共通の結合基は、ベンゾフェノンにおけるカルボニル、ジフェニルエーテルにおける酸素、ジフェニルアミンにおける窒素とすることも可能である。 「アリール」という用語は、具体的には、複素環式芳香族化合物を包括する。 芳香族環は、とりわけフェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン及びベンゾフェノン等を含むことが可能である。 特定の実施態様において、「アリール」という用語は、約5から約10の炭素原子、例えば5、6、7、8、9又は10の炭素原子を含み、5又は6員環炭化水素及び複素環式芳香族環を含む環状芳香族を意味する。

    アリール基を、場合によっては、同一又は異なり得る1以上のアリール置換基で置換すること(「置換アリール」とすること)が可能であり、「アリール置換基」は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、アラルキルオキシル、カルボキシル、アシル、ハロ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルオキシル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキレン及び−NR'R''(R'及びR''は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール及びアラルキルであり得る)を含む。

    したがって、本明細書に用いられているように、「置換アリール」という用語は、アリール基の1以上の原子又は官能基が、例えば、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、アリール、置換アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルフェート及びメルカプトを含む他の原子又は官能基で置き換えられている、本明細書に定められたアリール基を含む。
    アリール基の具体例としては、シクロペンタジエニル、フェニル、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、ピラジン、トリアジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール及びカルバゾール等が挙げられるが、それらに限定されない。

    のような式で一般に表される構造は、本明細書に用いられるように、例えば、置換R基(但し、R基は存在することもしないことも可能であり、存在する場合は、1以上のR基が、それぞれ環構造の1以上の利用可能な炭素原子に対して置換され得る)を含む3炭素、4炭素、5炭素、6炭素等の脂環式及び/又は芳香族環状化合物が挙げられるが、それらに限定されない環構造を指す。 R基の存否及び数は、整数nの値によって決定づけられる。 各R基は、2つ以上存在する場合は、他のR基ではなく、環構造の利用可能な炭素に対して置換される。 例えば、

    (式中、nは0〜2の整数である)の構造は、

    等を含むが、それに限定されない化合物基を含む。

    環状構造における結合を表す点線は、その結合が、環内に存在することもしないことも可能であることを示している。 すなわち、環状構造における結合を表す点線は、環構造が、飽和環構造、部分飽和環構造及び不飽和環構造からなる群から選択されることを示している。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題によって示される化合物は、結合基を含む。 本明細書に用いられているように、「結合基」という用語は、2つ以上の他の化学成分、特にアリール基に結合して、安定構造を形成するフラニル、フェニレン、チエニル及びピロール基等の化学成分を含む。
    芳香族環又は複素環式芳香族環の指定原子が「不在」とされる場合は、指定原子は直接結合に置き換えられる。 結合基又はスペーサー基が不在とされる場合は、結合基又はスペーサー基は、直接結合に置き換えられる。

    「アルキレン」とは、1から約20炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20の炭素原子を有する直鎖又は分枝状の二価の脂環式炭化水素基を意味する。 アルキレン基は直鎖、分枝又は環状であり得る。 アルキレン基は、場合によっては、不飽和で、かつ/又は1以上の「アルキル置換基」で置換され得る。 場合によっては、アルキレン基とともに、1以上の酸素、硫黄或いは置換又は無置換の窒素原子(本明細書において「アルキルアミノアルキル」とも称する)を挿入することが可能であり、その窒素置換基は先述したアルキルである。 例示的なアルキレン基としては、メチレン(−CH −)、エチレン(−CH −CH −)、プロピレン(−(CH −)、シクロへキシレン(−C 10 −)、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH −、−(CH −N(R)−(CH (式中、q及びrの各々は、独立に、0から約20の整数、例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20であり、Rは、水素原子又は低級アルキルである)、メチレンジオキシル(−O−CH −O−)、及びエチレンジオキシル(−O−(CH −O−)が挙げられる。 アルキレン基は、約2〜約3の炭素原子を有することが可能で、さらに6〜20の炭素を有することが可能である。

    本明細書に用いられているように、「アシル」という用語は、カルボキシル基の−OHが他の置換基で置換された有機カルボン酸基(すなわち、Rが、本明細書に定められるアルキル又はアリール基であるRCO−で表される)を意味する。 そのように、「アシル」という用語は、具体的には、アセチルフランのようなアリールアシル基及びフェナシル基を含む。 アシル基の具体例としては、アセチル及びベンゾイルが挙げられる。

    「環状」及び「シクロアルキル」とは、約3〜約10、例えば3、4、5、6、7、8、9又は10の炭素原子を有する非芳香族の単又は多環式環系を意味する。 シクロアルキル基は、任意に部分的に不飽和であり得る。 また、シクロアルキル基は、任意に本明細書に定められているアルキル置換基、オキソ、及び/又はアルキレンで置換され得る。 環状アルキル鎖とともに、1以上の酸素、硫黄、或いは置換又は無置換の窒素原子を任意に挿入することが可能であり、その窒素置換基は、水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールであり、複素環基が与えられる。 代表的な単環シクロアルキル環としては、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。 多環式シクロアルキル環としては、アダマンチル、オクタヒドロナフチル、デカリン、カンファー、カンファン及びノルアダマンチルが挙げられる。

    「アルコキシル」とは、アルキル−O基(式中、アルキルは先述の通りである)を意味する。 本明細書に用いられている「アルコキシル」という用語は、例えばメトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル、ブトキシル、t−ブトキシル及びペントキシルを意味することが可能である。 「オキシアルキル」という用語は、「アルコキシル」と互換的に使用することが可能である。

    「アリールオキシル」とは、アリール−O基(式中、アリール基は、置換アリールを含めて、先述の通りである)を意味する。 本明細書に用いられる「アリールオキシル」という用語は、フェニルオキシル又はヘキシルオキシル、及びアルキル、置換アルキル、ハロ、又はアルコキシル置換フェニルオキシル若しくはヘキシルオキシルを意味することが可能である。

    「アラルキル」とは、アリール−アルキル基(式中、アリール及びアルキルは先述の通りであり、置換アリール及び置換アルキルを含む)を意味する。 例示的なアラルキル基としては、ベンジル、フェニルエチル及びナフチルエチルが挙げられる。
    「アラルキルオキシル」は、アラルキル−O−基(式中、アラルキル基は先述の通りである)を意味する。 例示的なアラルキルオキシル基としては、ベンジルオキシルがある。

    「ジアルキルアミノ」とは、−NRR'基(式中、R及びR'の各々は、独立に、先述したアルキル基及び/又は置換アルキル基である)を意味する。 例示的なアルキルアミノ基としては、エチルメチルアミノ、ジメチルアミノ及びジエチルアミノが挙げられる。
    「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。 例示的なアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル及びt−ブチルオキシカルボニルが挙げられる。

    「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−CO−基を意味する。 例示的なアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシ−及びナフトキシ−カルボニルが挙げられる。
    「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−CO−基を意味する。 例示的なアラルコキシカルボニル基としては、ベンジルオキシカルボニルがある。
    「カルバモイル」とは、H N−CO−基を意味する。

    「アルキルカルバモイル」は、R'RN−CO−基(式中、R及びR'の一方が水素であり、R及びR'の他方が、先述したアルキル及び/又は置換アルキルである)を意味する。
    「ジアルキルカルバモイル」とは、R'RN−CO−基(式中、R及びR'の各々が、独立に、先述したアルキル及び/又は置換アルキルである)を意味する。

    「アシルオキシル」とは、アシル−O−基(式中、アシルは先述した通りである)を意味する。
    「アシルアミノ」とは、アシル−NH−基(式中、アシルは先述の通りである)を意味する。
    「アミノ」という用語は、−NH 基を意味する。

    「カルボニル」という用語は、−(C=O)−基を意味する。
    「カルボキシル」という用語は、−COOH−基を意味する。
    本明細書に用いられている「ハロ」、「ハライド」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を意味する。
    「ヒドロキシル」という用語は、−OH基を意味する。
    「ヒドロキシアルキル」という用語は、−OH基で置換されたアルキル基を意味する。

    「メルカプト」という用語は、−SH基を意味する。
    「オキソ」という用語は、炭素原子が酸素原子で置き換えられた、本明細書で既に述べた化合物を意味する。
    「ニトロ」という用語は、−NO 基を意味する。
    「チオ」という用語は、炭素又は酸素原子が硫黄原子で置き換えられた、本明細書で既に述べた化合物を意味する。
    「スルフェート」という用語は、−SO 基を意味する。

    「独立に選択される」という用語が用いられるときは、言及されている置換基(例えばR 及びR のようなR基又はX及びY基)は、同一又は異なり得る。 例えば、R 及びR がともに置換アルキル、又はR が水素原子で、R が置換アルキル等であり得る。
    指定の「R」、「X」、「A」、「B」、「D」、「E」又は「Q」基は、本明細書において特に指定のない限り、その名称を有する基に対応するものとして当該技術分野で認識されている構造を一般に有することになる。 例示を目的として、上述の特定の代表的な「R」、「X」及び「A」基を以下に定める。 これらの定義は、本開示を吟味すると当業者にとって明らかとなる定義を補足かつ例示することを意図しており、排除することを意図するものではない。
    「還流」、及びその文法的派生語は、溶媒のような液体を、コンデンサを伴う反応フラスコのような容器内で煮沸することによって、コンデンサの内壁での蒸気の凝縮による液体のロスを生じない連続的な煮沸を促進することを意味する。

    「非プロトン性溶媒」という用語は、プロトンを受容することも供与することもできない溶媒分子を意味する。 典型的な非プロトン性溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、ブタノン、ブチロニトリル、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、N−メチルピロリドン、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)及びトルエンが挙げられるが、それらに限定されない。 特定の非プロトン性溶媒は、極性溶媒である。 極性非プロトン性溶媒の例としては、アセトン、アセトニトリル、ブタノン、N、N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられるが、それらに限定されない。 特定の非プロトン性溶媒は、非極性溶媒である。 非極性の非プロトン性溶媒の例としては、ジエチルエーテル、ヘキサンのような脂環式炭化水素、ベンゼン及びトルエンのような芳香族炭化水素、並びに四塩化炭素のような対称ハロゲン化炭化水素が挙げられるが、それらに限定されない。

    「極性溶媒」とは、酸素原子又は窒素原子のような陰性原子に結合する水素原子を含む溶媒分子を意味する。 典型的なプロトン性溶媒としては、酢酸のようなカルボン酸、メタノール及びエタノールのようなアルコール、アミン、アミド並びに水が挙げられるが、それらに限定されない。

    (II.一般的考察)
    (II.A.テロメラーゼ)
    ヒトテロメラーゼは、少なくとも2つのサブユニットを有する。 1つのサブユニット、すなわちhTR又はヒトテロメラーゼRNA単位は、3'−CCCAAUCCC塩基配列を含む非翻訳RNAの450bp長配列である。 hTR3'−CCCAAUCCC配列は、テロメアの最後の3つのグアニンに対してハイブリダイズする。 テロメラーゼの第2のサブユニット、すなわちテロメラーゼ逆転写酵素又はhTERT単位は、他の逆転写酵素と同様に、鋳型として一本鎖RNAを使用して一本鎖DNAを作る1131アミノ酸ポリペプチドである。 hTERTの場合は、酵素は、ハイブリダイズhTR単位を鋳型として使用して、テロメアの末端への新たな5'−TTAGGG配列の添加を触媒する。

    上述したように、正常な哺乳類体細胞は、活性テロメラーゼを含まない。 そのような細胞が分裂するときは、テロメア配列のすべてが複製されるわけではない。 細胞分裂の進行は、1回当たり50から200のヌクレオチドだけテロメラーゼの縮小をもたらす。 テロメラーゼの縮小がある長さを超えると、細胞は分裂しなくなり、アポトーシスが引き起こされる。 ほぼすべての腫瘍細胞が、テロメラーゼにより一定の長さに維持されるテロメアを縮小させた。 したがって、テロメラーゼ活性は、無制御細胞増殖及び腫瘍細胞の不死に関連する。

    (II.B.G−四重鎖)
    四重鎖DNAの重要な構造的特徴は、フーグスティーン及びワトソンクリック水素結合により、ともに共平面環状アレイ保持された一連の堆積グアニン四分体である。 この環状四分体アレイを以下のスキーム1に示す。

    一本鎖グアニンリッチの配列は、折り重なって、TT−TT堆積相互作用、並びに四分体の間又は四分体内に位置するカチオンとの配位によりさらに安定化される3つの堆積四分体を含む様々な二次構造になる。 分子内G−四重鎖のすべての4つの鎖は、同じ方向に配列されて、平行な四重鎖を形成することが可能である。 或いは、鎖は、方向を交互させて、逆平行四重鎖を形成することが可能である。 テロメアDNAについて報告された異なる四重鎖二重構造のいくつかを図1に示す。 Na の存在下におけるヒトテロメアDNA配列については、逆平行籠型四重鎖構造が報告されている(非特許文献10参照)。 K の存在下では、ヒトテロメアDNAについてプロペラ型平行構造が報告されている(非特許文献35参照)。 テトラヒメナ繊毛原虫テロメアDNA配列のNMR試験から、混合型四重鎖構造が報告されている(非特許文献6参照)。 テトラヒメナ配列は、ヒト配列のd[T AG ]反復配列の代わりにd[T ]反復配列を含む。 2つ以上の個別のG−リッチDNA鎖から分子間四重鎖を形成することも可能である。

    グリコシド結合が逆であるたいていのDNAの場合と異なり、G−四重鎖四分体におけるグアニンは、逆又は同であり得る。 特に、同じ四分体内の隣り合うグアニンが平行鎖上にある場合は、それらは、それぞれ同じグリコシドねじれを有する。 隣り合うグアニンが逆平行鎖上にある場合は、それらは逆のグリコシドねじれ角を有する。 2つのグリコシドねじれ角を示す構造を以下のスキーム2に示す。 鎖方向とグリコシド結合角度の異なる組合せにより、様々な溝サイズが可能になる。 2つの例を図2A及び図2Bに示す(非特許文献36参照)。 図2Aは、二対の平行鎖を有する四重鎖の溝を示す図である。 平行位置の間の2つの溝は、中間サイズであるが、逆平行位置の間の溝は、狭い、又は広い。 図2Bは、4つのDNA鎖が方向を交互する四重鎖を示す図である。 完全逆平行四重鎖の溝は狭い、又は広い。

    (II.C G−四重鎖/小分子相互作用)
    上述したように、DNA四重鎖を有するいくつかの小さい分子の結合が研究されている。 これらの分子のほとんどは、ループ領域において四重鎖の末端に堆積すると考えられる。 そのような分子の2つの例は、ストレプトミセスアヌラタス3533−SV4からの天然生成物であるテロメスタチン、及び拡張ポルフィリン型分子Se2SAPである(非特許文献37参照)。 四重鎖末端結合化合物のさらなる例としては、N,N'−ビス(2−ピペルジノエチル)−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PIPER)、及び関連するペリレンテトラカルボン酸ジイミド(例えば、非特許文献38及び特許文献1参照)。 これらの四重鎖末端結合化合物の構造を以下のスキーム3に示す。

    臭化エチジウムを四分体の間にインターカレートすることが提案された。 しかし、この主張を支える構造的証拠が欠如している(非特許文献39参照)。 概して、G−四重鎖インターカレーションは、エネルギーコストが高いために、実行可能な結合様式であるとは見なされない(非特許文献40参照)。 さらに、四重鎖結合抗癌治療の開発に関して、インターカレーションは、二重鎖DNAインターカレーションとの類似性により、あまり望ましくない結合様式である。

    四重鎖溝結合は、二重鎖DNAと四重鎖DNAとの構造的差異を活用する魅力的な代替的手法を提供し、従来の平面末端堆積分子に比べて認識の選択性の向上を可能になる。 溝寸法は、四重鎖の種類に応じて著しく変わるため、溝結合は、特定の四重鎖構造に対する選択性の向上を得るための機会をも提供する。 G−四分体の幾何学的形状は、グリコシド(同/逆)構造又は四重鎖の鎖方位に大きく影響されない(非特許文献41参照)。 しかし、溝寸法は、これらの要因に強く依存するため、大きさ、静電位、水素結合特性、立体効果及び水和が異なる広範な溝幾何学形状が可能になる(非特許文献42及び非特許文献36参照)。 溝構造の変化は、高度の選択性を伴う特定の四重鎖配列のターゲティングを可能にする。

    非ヒトG−リッチDNA配列から形成されたDNA四重鎖に対するカルボシアニン染料化合物の溝結合が提案された。 Chenらは、カルボシアニン染料3,3'−ジエチルオキサジカルボシアニン(DODC)と二本鎖ヘアピンG−四重鎖との相互作用を調べた(非特許文献43参照)。 分光分析データは、この分子は、1以上の四重鎖溝で結合することを示唆している。 Chang及び共同研究者によるサテライトホール分光分析研究は、四重鎖を有するこの特定のリガンドに対する溝結合モデルを支持している(非特許文献44及び非特許文献45参照)。 Davidらは、電気スプレー質量分析法を用いて、カルボシアニン染料N、N'-ジエチルチアカルボシアニンヨウ化物(DTC)と、[d(T T)]配列によって形成された四重鎖との相互作用を調べた(非特許文献46参照)。 イオン化に際しての断片化パターンは、この分子は、この四重鎖の溝にも結合することを示唆している。 Kerwin及び共同研究者は、DTCは、三重鎖DNAに対して、[d(T AG )]配列の四重鎖に選択的に結合し、ヒトテロメラーゼを阻害することを既に記載している(非特許文献47参照)。

    さらに、Randazzoらは、ジスタミシンと四本鎖分子間四重鎖との相互作用を調べた(非特許文献42参照)。 NMR結果は、ジスタミシンは、二量体として1つの四重鎖溝で結合するが、より高い濃度で2つの溝で結合することが可能であることを示唆している。 しかし、ジスタミシンは、四重鎖DNAに対してよりも二重鎖DNAに対してより高い親和性を有するようである。 さらに、Maizels及び共同研究者によるNMR試験は、NMRにより、ジスタミシンは、末端堆積機構を介して、ヒトテロメア配列から形成された1つを含むいくつかの四本鎖分子間四重鎖に結合することを証明した(非特許文献48参照)。 DODC、DTC及びジスタミシンAの構造を以下のスキーム4に示す。

    (III.ジカチオンポリアリール四重鎖結合化合物)
    (III.A.式(I)から(IV)の化合物)
    本明細書に開示されるのは、G−四重鎖DNAに結合するジカチオンポリアリール化合物群である。 いくつかの実施態様において、それらの化合物は、二重鎖又は三重鎖DNAに比較して、G−四重鎖DNAに選択的に結合する。 いくつかの実施態様において、G−四重鎖DNAに結合するジカチオンポリアリール化合物は、式(I)の構造を有する化合物である。

    (式中、mは0又は1の整数であり、


    Ar

    、Ar

    、Ar

    及びAr

    は、独立に、

    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、CH、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R は、R 、R 、R 及びR 17独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル置換アリール、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、C

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、


    sは1〜4の整数であり、R

    13はH、又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。

    上記式(I)の化合物において、まだ他の指定置換基で置換されていない任意の使用可能炭素に対する直接的な結合を通じて、Am 及びAm をAr 、Ar 又はAr に結合させることが可能である。 同様に、任意の利用可能な炭素への直接的な結合を通じて、各Ar基を任意の他のAr基に結合させることが可能である。
    いくつかの実施態様において、式(I)の化合物の少なくとも1つのAr基は、

    であり、


    Xは、O、S、CH、Se、Te及びNR

    からなる群から選択され、R

    は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    qは、0〜2の整数であり、


    各R

    は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、置換アリール、及びアラルキルオキシルからなる群から選択される。

    いくつかの実施態様において、Ar 及びAr は、それぞれ五員環であり、式(I)の化合物は、下記式を有する。

    (式中、mは、0又は1の整数であり、


    Ar

    及びAr

    は、

    からなる群から選択され、
    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各A、B及びDは、独立に、CR 及びNからなる群から選択され、R は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Qは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Eは、独立に、CR 18及びNからなる群から選択され、R 18は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各Zは、独立に、CR 19及びNからなる群から選択され、R 19は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシル及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各yは、独立に、0〜3の整数であり、
    各tは、独立に、0〜3の整数であり、
    各uは、独立に、0〜3の整数であり、
    各R 、R 、R 、R 及びR 17は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、C

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、


    sは1〜4の整数であり、R

    13はH、又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。

    いくつかの実施態様において、Ar 及びAr は、それぞれ五員環であり、Ar は六員芳香族環であり、Ar は、存在する場合は、五員又は六員環であり、式(I)の化合物は下記式を有する。

    (式中、mは、0及び1から選択され、


    Ar

    は、

    からなる群から選択され、


    各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR

    からなる群から選択され、R

    は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、


    各A、B及びDは、独立に、CR

    及びNからなる群から選択され、R

    は、H、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、


    各qは、独立に、0〜2の整数であり、


    各R

    及びR

    は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、


    Am

    及びAm

    は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、C

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、


    sは1〜4の整数であり、R

    13はH、又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。

    いくつかの実施態様において、mは0であり、Ar 、Ar 及びAr は、それぞれ五員環であり、式(I)の化合物は、下記式を有する新規の化合物である。

    (式中、但し、少なくとも1つのXはSe、Te及びNR から選択され、R は、アリール及び置換アリールから選択されるという条件で、各Xは、独立に、O、S、Se、Te及びNR からなる群から選択され、R は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリールからなる群から選択され、
    各qは、独立に、0〜2の整数であり、
    各R は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル及びアラルキルオキシルからなる群から選択され、
    Am 及びAm は、それぞれ独立に、

    からなる群から選択され、


    各R

    は、独立に、H、ヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシルオキシル及びアルコキシルからなる群から選択され、


    各R

    、R

    10 、R

    11及びR

    12は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、C

    〜C

    10アルキル、C

    〜C

    10ヒドロキシアルキル、又はC

    〜C

    10アルキレンを表し、或いは R

    及びR

    又はR

    及びR

    12は、ともに、

    であり、


    sは1〜4の整数であり、R

    13はH、又は−CONHR

    14 NR

    15

    16であり、R

    14はアルキルであり、R

    15及びR

    16は、それぞれ独立に、H及びアルキルからなる群から選択される。 )。

    いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、以下の構造の1つを有する。

    いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、二本鎖又は三本鎖DNAに結合するより高い親和性で四重鎖DNAに結合する。 二重鎖又は三重鎖DNAに対する四重鎖DNAへの選択的結合は、正常(すなわち非癌性)細胞に対する化合物の毒性を低減すると考えられる。 いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、テロメアDNAによって形成された分子内G−四重鎖に選択的に結合する。 いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、d[T AG ]反復配列を含むDNAによって形成されたG−四重鎖に選択的に結合する。 いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、ヒトテロメアDNA配列によって形成された四重鎖に選択的に結合する。 いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、線虫又は原虫テロメアDNA配列に選択的に結合する。 さらに、いくつかの実施態様において、原虫テロメアDNA配列は、トリパノソーマ属、プラスモジウム属及びレーシュマニア属からの配列である。

    いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、四重鎖テロメア構造に選択的に結合して、テロメラーゼ酵素が、テロメアDNAに結合し、かつ/又はテロメアDNAへのポリヌクレオチドの添加を触媒することができないように四重鎖形態を安定化させる。 したがって、いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物を使用して、テロメア伸長を低減又は防止することが可能である。 いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物を使用して細胞のアポトーシスを促進することができる。 したがって、いくつかの実施態様において、細胞増殖を低減する方法に式(I)から(IV)の化合物を使用することが可能である。

    さらに、以下に記載されるCDスペクトル調査における楕円率は、式(I)から(IV)の化合物が、G−四重鎖DNAの溝で結合し得ることを示すものである。 したがって、いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、四重鎖構造の溝でG−四重鎖に結合する。 本明細書に記載されている化合物のCDスペクトルのエキシトン分解は、化合物が二量体として四重鎖に結合し得ることをさらに示す。 したがって、いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物の2つの分子は、二量体として四重鎖DNAの溝で結合する。 いくつかの実施態様において、二量体は、偏移二量体である。 そのような偏移二量体をJ−集合体と呼ぶことも可能である。 いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物の二量体は、G−四重鎖の2つ以上の溝で結合する。

    (III.B.プロドラッグ)
    代表的な実施態様において、本明細書に開示される化合物はプロドラッグである。 プロドラッグとは、受容体に投与すると、本明細書に開示される主題の化合物、又は阻害活性代謝物質若しくはそれらの残渣を(直接又は間接的に)供給することが可能な化合物を意味する。 プロドラッグは、例えば、当該化合物が対象に投与されるときに本明細書に開示される主題の化合物の生体利用度を(例えば、経口投与化合物が血液により容易に吸収されることを可能にすることによって)高める、又は代謝物質種と比べて生体区画(例えば脳又はリンパ系)に対する親化合物の送達を増強することが可能である。 本明細書に開示されている化合物のいくつか(例えば16、19、23、32、39、44、60a、及び60b)はプロドラッグである。

    (III.C.医薬として許容し得る塩)
    さらに、本明細書に記載されている活性化合物を医薬として許容し得る塩として投与することが可能である。 当該医薬として許容し得る塩としては、グルコン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、ホウ酸塩、硝酸塩、硫酸塩及び塩酸塩が挙げられる。 本明細書に記載されている化合物の塩は、例えば塩基化合物を溶液中で所望の酸と反応させることによって調製され得る。 反応が完了した後に、塩が溶解しない適切な量の溶媒を添加することによって、塩を溶液から結晶化させる。 いくつかの実施態様において、以下により詳細に記載するように、アミドキシム化合物の塩酸塩は、塩化水素ガスを遊離塩基のエタノール溶液に吹き込むことによって製造される。 いくつかの実施態様において、以下により詳細に記載するように、本明細書に開示されるジアミジン化合物の酢酸塩及び/又は対応するN−メトキシ類似体は、適切なN−ヒドロキシ類似体から直接製造される。 いくつかの実施態様において、以下により詳細に説明するように、ジアミジン化合物のN−メトキシ類似体のマレイン酸塩は、N−メトキシ類似体をマレイン酸とともにアルコール中で一定時間にわたって加熱することによって調製される。 よって、いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は塩酸塩である。 いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は酢酸塩である。 いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩はマレイン酸塩である。

    (IV.医薬製剤)
    式(I)から(IV)の化合物、その医薬として許容し得る塩、式(I)から(IV)の化合物に対応するプロドラッグ、及びその医薬として許容し得る塩を本明細書ではすべて「活性化合物」と呼ぶ。 上記活性化合物を含む医薬製剤も本明細書に提示される。 これらの医薬製剤は、医薬として許容し得る担体において、本明細書に記載されている活性化合物を含む。 以下により詳細に論述されるように、医薬製剤は、経口、静脈又はエアロゾル投与に向けて調製され得る。 また、本明細書に開示される主題は、凍結乾燥された当該活性化合物、及び例えば静脈又は筋肉注射による投与に応じた医薬として許容し得る製剤を形成するように再構成することが可能である当該活性化合物を提供する。

    その使用が本明細書に記載されている実施態様の範囲内にある任意の特定活性化合物の治療有効投与量は、化合物及び患者に応じていくらか変動し、患者の状態及び投与ルートに依存することになる。 一般的な提案として、塩が採用される場合を含めて、すべての重量を活性化合物の重量に基づいて計算すると、約0.1から約50mg/kgの投与量が治療効果を有することになる。 より多量になると毒性の懸念があるため、静脈投与量は、塩が採用される場合を含めて、すべての重量を活性塩基の重量に基づいて計算すると、約10mg/kg以下というより低い量に限定され得る。 経口投与については、約10mg/kgから約50mg/kgの投与量を採用することが可能である。 筋肉注射については、典型的には、約0.5mg/kgから5mg/kgの投与量を採用することが可能である。 静脈又は経口投与についての化合物は、好ましい投与量は、1μmol/kgから50μmol/kgで、より好ましくは22μmol/kg及び33μmol/kgである。 治療の継続期間は、通常は2から3週間の期間、又は状態が実質的に抑制されるまでの期間にわたって一日に一度である。 より低頻度で与えられるより定量の投与を予防的に用いて、感染症の再発を防止、又はその頻度を低下させることが可能である。

    本明細書に開示されている方法によれば、本明細書に記載されている薬学活性化合物を固体又は液体として経口投与することが可能であり、溶液、懸濁物又はエマルジョンとして筋肉又は静脈投与することが可能である。 或いは、化合物又は塩をリポソーム懸濁物として吸入、静脈又は筋肉投与することが可能である。 活性化合物又は塩は、吸入を通じて投与される場合は、粒径が約0.5から約5ミクロン、好ましくは約1から約2ミクロンの複数の固体粒子又は液滴の形をとるものとする。

    静脈又は筋肉注射に好適な医薬製剤は、本明細書に提示されるさらなる実施態様である。 医薬製剤は、任意の医薬として許容し得る担体において、本明細書に記載されている式(I)から(VI)の化合物、本明細書に記載されているプロドラッグ、又はその医薬として許容し得る塩を含む。 溶媒が望まれる場合は、水溶性化合物又は塩に対して、水が好適な担体である。 水溶性化合物又は塩に対しては、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又はそれらの混合物のような有機媒体が好適であり得る。 後者の場合は、有機媒体は、実質的な量の水を含有し得る。 次いで、両者の場合における溶液を、当業者に知られている好適な方法、典型的には0.22ミクロンフィルタによる濾過によって滅菌することが可能である。 滅菌に続いて、溶液を脱パイロジェンガラスバイアルのような適切な容器に分配することが可能である。 分配は、好ましくは無菌の方法で行われる。 次いで、滅菌した栓をバイアルに配置することが可能であり、要望に応じて、バイアルの内容物を凍結乾燥することが可能である。

    式(I)から(IV)の化合物、それらの塩又はプロドラッグに加えて、医薬製剤は、pH調整添加剤のような他の添加剤を含有することが可能である。 特に、有用なpH調整剤としては、塩酸のような酸、塩基、或いは乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム又はグルコン酸ナトリウムのような緩衝剤が挙げられる。 さらに、製剤は、抗微生物性防腐剤を含有することが可能である。 有用な抗微生物性防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン及びベンジルアルコールが挙げられる。 抗微生物性防腐剤は、典型的には、複数投与用途に向けて設計されたバイアルに仕込まれるときに採用される。 本明細書に記載されている医薬製剤を、当該技術分野でよく知られている技術を用いて凍結乾燥することが可能である。

    本明細書に記載されている主題のさらに他の実施態様において、密封容器での単一投与形態の、化合物(I)から(IV)又はその塩の化合物を含む注射可能で安定した無菌製剤が提供される。 その化合物又は塩は、好適な医薬として許容し得る担体で再構成されて、対象へのその注射に好適な液体製剤を形成することが可能な凍結乾燥物の形態で提供される。 単一投与形態は、典型的には、約10mgから約10グラムの化合物塩を含む。 化合物又は塩が実質的に水不溶性であるときは、生理学的に許容可能な十分な量の乳化剤を、水性担体において化合物又は塩を乳化するのに十分量採用することが可能である。 1つの当該有用な乳化剤は、ホスファチジルコリンである。

    水性塩基エマルジョンのような本明細書に開示されている水不溶性化合物、又はその塩から他の医薬製剤を調製することが可能である。 そのような場合、製剤は、所望の量の化合物又はその塩を乳化するための十分量の医薬として許容し得る乳化剤を含有することになる。 特に有用な乳化剤としては、ホスファチジルコリン及びレシチンが挙げられる。

    本明細書に提示されるさらなる実施態様は、本明細書に開示されている活性化合物のリポソーム製剤を含む。 リポソーム懸濁物を形成するための技術は、当該技術分野でよく知られている。 化合物が水溶性塩である場合は、従来のリポソーム技術を用いて、それを脂質ベシクルに取り込むことが可能である。 そのような場合は、活性化合物が水溶性であるために、活性化合物は、リポソームの親水性の中心又はコア内に実質的に取り込まれることになる。 採用する脂質層は、任意の従来の組成とすることができ、コレステロールを含むこともできるし、コレステロールを含んでいなくてもよい。 対象となる活性化合物が水溶性である場合は、ここでも従来のリポソーム形成技術を採用し、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に塩を実質的に取り込むことが可能である。 いずれの場合も、標準的な音波処理及び均質化技術を用いることにより、生成されるリポソームのサイズを小さくすることが可能である。
    本明細書に開示されている活性化合物を含むリポソーム製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥物を生成し、それを水のような医薬として許容し得る担体で再構成して、リポソーム懸濁物を再生することが可能である。

    吸入によりエアロゾルとしての投与に好適である医薬製剤も提供される。 これらの製剤は、本明細書に記載されている所望の化合物若しくはその塩の溶液又は懸濁物、或いはその化合物又は塩の複数の固体粒子を含む。 所望の製剤を小さいチャンバに仕込んで、噴霧化することが可能である。 圧縮空気又は超音波エネルギーによって噴霧化を行って、その化合物又は塩を含む複数の液滴又は固体粒子を形成することができる。 液滴又は固体粒子は、約0.5から約10ミクロン、より好ましくは約0.5から約5ミクロンの範囲の粒径を有するものとする。 微粉化のような当該技術分野で知られている任意の適切な方法で固体化合物又はその塩を処理することによって、固体粒子を得ることが可能である。 最も好ましくは、固体粒子又は液滴の粒径は、約1から約2ミクロンになる。 この点において、この目的を達成するために、市販の噴霧器が利用可能である。 その開示内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている特許文献2に記載されている方法で、吸入性粒子のエアロゾル懸濁物を介して化合物を投与することができる。

    エアロゾルとしての投与に好適な医薬製剤が液体の形をとるときは、製剤は、水を含む担体において、水溶性活性化合物を含む。 噴霧化されると所望のサイズ範囲内の液滴を形成させるのに十分な製剤の表面張力を低下させる界面活性剤が存在し得る。
    示唆されるように、水溶性及び水不溶性の両方の活性化合物が提供される。 本明細書で用いられているように、「水不溶性」という用語は、約50mg/mL又はそれ以上の水溶性を有する任意の組成物を定めることを意図する。 また、本明細書で用いられるように、「水不溶性」という用語は、約20mg/mL未満の水溶解性を有する任意の組成物を定めることを意図する。 ある実施態様において、水溶性化合物又は塩が所望され得るのに対し、他の実施態様においては、同様に水不溶性組成物又は塩が所望され得る。

    (V.G−四重鎖結合化合物によって疾患を治療するための方法)
    (V.A.哺乳類におけるテロメラーゼ活性を伴う癌及び他の疾患を治療する方法)
    本明細書に開示される主題は、細胞増殖を抑制するための方法及び組成物を提供する。 さらに、本明細書に開示される主題は、細胞におけるテロメアDNAの四重鎖形態を結合、場合によっては選択的に結合させることにより、テロメア伸長を阻害することによって、テロメラーゼ活性を妨害する方法を提供する。 1以上の細胞分裂時にテロメア伸長を阻害することによって、細胞増殖が止まり、アポトーシスが引き起こされる。 したがって、本明細書に開示される主題は、望ましくないテロメラーゼ活性を伴う疾患を治療する方法を提供する。

    いくつかの実施態様において、細胞増殖を抑制するための方法は、本明細書に記載されている活性化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。 上述したこれらの活性化合物としては、式(I)から(IV)の化合物、それらの対応するプロドラッグ、並びにそれらの化合物及びプロドラッグの医薬として許容し得る塩が挙げられる。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、テロメラーゼ酵素の活性を阻害し、テロメラーゼ陽性細胞の増殖を抑制し、対象における癌を治療するための方法及び組成物を提供する。 例えば、乾癬、リウマチ様関節炎、免疫系抑制を必要とする他の免疫系疾患などの他の過剰増殖又は自己免疫疾患のような他のテロメラーゼ媒介状態又は疾患の治療に、本明細書に開示される主題の方法及び化合物を用いることも可能である。 テロメラーゼは、腫瘍、生殖系列、及び造血系の特定の幹細胞においてのみ活性であるため、他の正常細胞は、テロメラーゼ干渉に影響されない。 望まれる場合は、G四重鎖結合化合物と生殖系列又は幹細胞との接触を避けるための工程をとることが可能である。 例えば、G−四重鎖結合化合物を対象の特定の患部に局所的に供給することが可能である。 或いは、特定の状況、例えば大規模な転位が生じた場合などに、薬剤の体系的供給がより適切であることもある。

    本明細書に記載されているG−四重鎖結合化合物は、皮膚癌、結合組織癌、脂質癌、乳癌、肺癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、会陰癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、前立腺癌、中枢神経系(CNS)癌、網膜癌、血液及びリンパ癌を含む広範な腫瘍及び癌に対する治療を提供することが可能である。
    癌の治療に関連して本明細書に定められている「有効量」は、癌細胞又は腫瘍の成長を軽減、低減、抑制又は抑止する量である。

    加えて、本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合化合物による治療と、1以上のさらなる抗癌剤又は治療とを組み合わせることによって、癌の治療に対する治療上の利点を実現できることが理解されるであろう。 そのような組合せの選択は、疾患の種類、対象の年齢及び全体的な健康状態、疾患進行の度合い、及びその組合せを含む薬剤を許容する対象の能力を含むが、それらに限定されない様々な要因に依存することになる。 例えば、腫瘍進行が高度状態に達した場合に、G−四重鎖結合剤を、腫瘍サイズを小さくするのに効果的な他の薬剤及び療法(例えば放射線、外科手術、化学療法、ホルモン治療及び遺伝子治療)と組み合わせることが可能である。 さらに、いくつかの実施態様において、G−四重鎖結合剤と、疾患の副作用、又は治療薬の1つの副作用を治療する、例えば対象に鎮痛を与える1以上の薬剤、或いは患者自身の免疫応答を刺激するのに有効な薬剤(例えばコロニー刺激因子)とを組み合わせることが望ましいこともある。

    したがって、「抗腫瘍」剤又は「化学療法剤」とも記される様々な化学化合物を、本明細書に開示される主題の1以上のG−四重鎖化合物と併用することが可能である。 そのような化合物としては、アルキル化剤、DNAインターカレータ、タンパク質合成阻害剤、DNA又はRNA合成阻害剤、DNA塩基類似体、トポイソメラーゼ阻害剤、抗血管形成剤、及び他のテロメラーゼ阻害剤又はテロメアDNA結合化合物が挙げられるが、それらに限定されない。 例えば、好適なアルキル化剤としては、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾジゼパ、カルボコン、メツレデバ及びウレデパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロールメラミン等のエチレンイミン及びメチルメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムベチン、フェンステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド及びウラシルマスタード等の窒素マスタード;並びにカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン及びラニムスチン等のニトロソ尿素が挙げられる。

    癌の治療に使用される抗生物質としては、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、硫酸ブレオマイシン、マイトマイシン、プリカマイシン及びストレプトゾシンが挙げられる。 化学療法抗代謝剤としては、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン、シタラビン、ペントスタチン、メトトレキサート、アザチオプリン、アシクロビル、アデニンβ−1−D−アラビノシド、アメトプテリン、アミノプテリン、2−アミノプリン、アフィジコリン、8−アザグアニン、アザセリン、6−アザウラシル、2'−アジド−2'−デオキシヌクレオシド、5−ブロモデオキシシチジン、シトシンβ−1−D−アラビノシド、ジアゾオキシノルロイシン、ジデオキシヌクレオシド、5−フルオロデオキシシチジン、5−フルオロデオキシウリジン及びヒドロキシ尿素が挙げられる。

    化学療法タンパク質合成阻害剤としては、アブリン、アウリントリカルボン酸、クロラムフェニコール、コリシンE3、シクロヘキシミド、ジフテリアトキシン、エデインA、エメチン、エリスロマイシン、エチオニン、フルオライド、5−フルオロトリプトファン、フシジン酸、メチレンジホスホン酸グアニリル、及びイミドジホスホン酸グアニリル、カナマイシン、カスガマイシン、キロマイシン及びO−メチルスレオニンが挙げられる。 さらなるタンパク質合成阻害剤としては、モデシン、ネオマイシン、ノルバリン、パクタマイシン、パロモマオシン、プロマイシン、リシン、志賀毒素、ショードマイシン、スパルソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、チオストレプトン及びトリメトプリムが挙げられる。 硫酸ジメチル、ミトマイシンC、窒素及び硫黄マスタード等のアルキル化剤、アクリジン染料、アクチノマイシン、アドリアマイシン、アントラセン、ベンゾピレン、臭化エチジウム及び二ヨウ化プロピジウム−インタートワイニング等の挿入剤、並びにジスタミシン及びネトロプシン等の薬剤を含むDNA合成阻害剤を、医薬組成物における本発明の化合物と組み合わせることも可能である。 クーママイシン、ナリジキシン酸、ノボビオシン及びオキソリン酸等のトポイソメラーゼ阻害剤、コルセミド、コルヒチン、ビンブラスチン及びビンクリスチンを含む細胞分裂阻害剤、アクチノマイシンD、α−アマニチン及び他の真菌アマトキシン、コルジセビン(3'−デオキシアデノシン)、ジクロロリボフラノシルベンズイミダゾール、リファンピシン、ストレプトバリシン及びストレプトリジジンを含むRNA合成阻害剤、本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合化合物と組み合わせて、好適な癌治療を提供することも可能である。

    したがって、本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合剤を用いた併用治療に使用できる現行の化学療法剤としては、アドリマイシン、5−フルオロウラシル(5FU)、エトポシド、カンプトセシン、アクチノマイシン−D、ミトマイシン、シスプラチン、過酸化水素、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロランブシル、ビスルファン、ニトロ尿素、ダクチノマイシン、デュアノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、タモキシフェン、タキソール、トランスプラチムン、ビンブラスチン及びメトトレキサート等が挙げられる。

    G−四重鎖結合剤、及び他の化学療法剤などの他の治療剤を伴う併用治療は、細胞をG−四重鎖結合剤及び他の薬剤に同時に接触させることによって達成され得る。 そのような併用治療は、細胞を、両薬剤を含む単一組成物又は薬理学的製剤に接触させるか、又は一方の組成物がG−四重鎖結合剤を含み、他方の組成物が他の薬剤を含む2つの異なる組成物に同時に接触させることによって達成され得る。

    或いは、G−四重鎖結合剤は、数分間から数週間の間隔をおいて他の薬剤による治療に先行又は後続することが可能である。 他の薬剤及びG−四重鎖をベースとした治療を細胞に対して個別に適用する実施態様では、一般には、その薬剤及びG−四重鎖をベースとした治療が、細胞に対して有利に組み合わされた効果を発揮できるように、各供給時刻の間に有効時間が失効しないようにする。 そのような場合は、細胞を両種類の薬剤に、互いに約12から24時間以内、場合によっては互いに約6から12時間以内に接触させるものとする。 しかし、それぞれの投与の間に数日間(2、3、4、5、6又は7日間)から数週間(1、2、3、4、5、6、7又は8週間)が経過する場合には、状況によっては、治療のための時間を著しく延長するのが望ましい。 また、状況によっては、テロメラーゼをベースとした治療の適用、又は他の薬剤の投与を複数回行うのが望まれる。

    他の実施態様において、本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合化合物は、モノクローナル抗体(例えばネズミ又はヒト化モノクローナル抗体)等の目標薬剤に結合する細胞毒と組み合わせられ、又は共有結合される。 後者の組合せは、より高い特異性で、細胞毒を癌細胞に導入させることが可能であることが理解されるであろう。 したがって、細胞毒の活性形態(すなわち遊離形態)は、抗体が目標とする細胞にのみ存在することになる。

    さらなる癌治療をG−四重鎖結合化合物の投与と併用することも可能である。 例えば、癌性腫瘍の一部又はすべてを外科的に除去する試みをさらに含む治療過程の一部として、本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合化合物を使用することも可能である。 例えば、本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合薬剤を対象の外科治療後に投与して、残留するあらゆる腫瘍性又は転移性細胞を治療することが可能である。 腫瘍のサイズを小さくして、切除すべき組織の量を減らすことによって外科手術の侵襲性及び外傷性を低下させるために、本明細書に開示されるG−四重鎖結合薬剤による治療を外科手術の前に行うことも可能である。

    本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合薬剤による癌の治療は、DNA損傷を誘発するための放射線治療剤による1以上の治療過程をさらに含むことが可能である。 放射線治療剤としては、例えば、ガンマ照射、X線、UV照射、マイクロ波、電子放射線及び放射線同位体等が挙げられる。 局所的腫瘍部位に上述の形態の放射線を照射することによって治療を達成することが可能である。

    併用療法は、腫瘍細胞の表面に見られる腫瘍抗原マーカに向けられる免疫療法を含むことも可能である。 本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合薬剤による癌の治療を、しばしば癌性組織におけるそれらの正常細胞相対物の変異型であるp53、p16、p21、Rb、APC、DCC、NF−1、NF−2、BRCA2、FHIT、WT−1、MEN−I、MEN−II、BRCA1、VHL、FCC、MCC、ras、myc、neu、raf、erb、src、fms、jun、trk、ret、gsp、hst、bcl及びabl等の癌遺伝子及び/又は細胞周期制御遺伝子を標的とする遺伝子療法をベースとした治療とさらに組み合わせることが可能である。

    本明細書に開示される主題のG−四重鎖結合化合物を試験して、それらが癌細胞の成長を抑制する能力、癌細胞における細胞毒性事象を誘発する能力、癌細胞のアポトーシスを誘発する能力、腫瘍負担を低減する能力、及び転位を抑制する能力を測定することが可能である。 例えば、MTT検定に従って細胞成長を測定することが可能である。 MTT検定では、細胞(例えばテロメラーゼ陽性細胞)を様々な濃度の抗癌化合物とともに培養し、テトラゾリウム塩、臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)の有色ホルマザン塩の形成を監視することによって細胞生死を判断する。 細胞死を測定するための他の知られている検定法を採用することも可能である。

    例えば、OVCAR−5腫瘍細胞をヌードマウスに移植し、式(I−IV)の化合物で治療されたマウスは、平均的には、初期投与後の一定期間にわたって増大するが、治療の継続とともに質量が小さくなる腫瘍塊を有するものと想定されるマウス異種移植モデルを用いて、インビボ試験を行うことが可能である。 それに対して、対照(例えばDMSO)で治療されたマウスは、増大し続ける腫瘍塊を有するものと想定される。

    加えて、テロメア配列長の変化を確認することによって、式(I)から(IV)の化合物のインビトロ又はインビボ活性を測定することが可能である。 例えば、式(I)から(IV)の化合物によるHEK−293及びHeLa細胞などのテロメラーゼ陽性細胞系統の治療は、テロメア長の縮小を誘発するものと想定される。 式(I)から(IV)の化合物は、また、卵巣腫瘍細胞系統OVCAR−5及びSK−OV−3などのヒト腫瘍細胞系統における細胞分裂時のテロメア縮小を誘発するものと想定される。 しかし、重要なことは、線維芽細胞起源のBJ細胞などの正常ヒト細胞において、観察されたテロメア長の縮小は、対照物質、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)で治療された細胞との差異はないと想定される。

    末端制限断片(TRF)分析を利用して、テロメア長を測定することが可能である。 TRFでは、テロメアT AG 配列以外の配列に特異的な制限酵素で消化することにより、腫瘍細胞からのDNAを分析する。 DNAの消化に続いて、ゲル電気泳動を行って、サイズに応じて制限断片を分離する。 次いで、分離された断片をテロメア配列に特異的な核酸プローブで調べて、試料中の細胞のテロメアDNAを含む末端断片の長さを測定する。 治療中の対象から採取した細胞におけるテロメアDNAの長さを測定することによって、どのくらいの長さにわたってテロメラーゼ阻害剤を投与すべきか、及び他の治療方法(例えば外科手術、化学療法及び/又は放射線)をも採用すべきかどうかを推定することも可能である。

    (V.B.感染症を治療するための方法)
    本明細書に開示される主題の組成物及び方法を用いて、テロメラーゼ活性を示す他の生体によって引き起こされる疾患を治療することが可能である。 これらの生体は、テロメラーゼ活性が認められた線虫(Ceanorhabditis elegans)などの線虫を含む農業植物病原性生物、及び真菌のトウモロコシ黒穂菌のDNAは、テロメラーゼによって維持される直列T AG 反復配列を有するテロメアを示すという判断に基づいてテロメラーゼ活性を有すると考えられている真菌を含む。 したがって、本明細書に記載される四重鎖結合化合物は、単独、又は植物病害を抑制するための他の薬剤と組み合わせて、テロメラーゼ活性を有する植物病原性生物に感染した植物及び土壌に投与され得る。 また、上述したように、原虫は、T AG テロメアを有し、ヒトの疾患を引き起こす。

    線虫、原虫、及び恐らくは真菌がテロメラーゼ活性を有するという判断は、本明細書に開示される主題によって提供されたG−四重鎖結合化合物を使用して、人間、並びに犬及び猫のような獣医対象動物における線虫感染症を治療できることを示すものでもある。 人間及び動物における線虫感染は、しばしば鉤虫又は回虫感染の形態をとり、髄膜炎、心筋炎及び様々な神経系疾患などの多くの致命的な二次疾患をもたらす。 したがって、単独、又はテロメラーゼ阻害化合物及び/又は他の治療用化合物との組合せによる四重鎖結合化合物の投与を用いて、人間及び動物における線虫、原虫及び真菌感染症を抑制することが可能であると理解される。

    本明細書に開示される主題の方法によって治療することが可能である例示的な原虫感染症としては、トリパノソ−マ種(例えばトリパノソーマブルーセイローデシエンス、トリパノソーマブルーセイガンビエンス、トリパノソーマブルーセイブルーセイ及びトリパノソーマクルージ)、プラスモジウム種(例えばプラスモジウムファルシパルム)、レーシュマニアドノヴァニ及びレーシュマニアメキシカナアマゾネンシスによって引き起こされる感染症が挙げられるが、それらに限定されない。 本明細書に用いられているように、トリパノソーマ種、プラスモジウム種及びレーシュマニア種という用語は、それぞれトリパノソーマ、プラスモジウム及びレーシュマニアという主の下に分類される微生物を包括する。 本明細書に開示される主題の方法は、状態の発症、進行及び拡大を抑制し、状態の減衰を生じさせ、状態を治癒し、或いはその状態にかかっている対象、又はその状態に陥る危険性のある対象の全体的な快適さを向上させるという点で、これらの状態を治療するのに有用である。 したがって、本明細書に開示される主題によれば、「治療する」、「治療すること」及びそれらの文法的変形、並びに「治療方法」という表現は、対象における既存の感染症を治療するための方法、並びに本明細書に開示されている微生物にさらされた対象、又は本明細書に開示されている微生物にさらされる見込みのある対象における感染の予防(すなわち防止)のための方法を含むが、それらに限定されない任意の所望の治療行為を包括することを意図している。

    感染症を治療するための方法は、それを必要とする被験者に対して、本明細書に記載されている活性化合物を投与することを含む。 上述したこれらの活性化合物は、式(I)から(IV)の化合物、それらの対応するプロドラッグ、並びにそれらの化合物及びプロドラッグの医薬として許容し得る塩を含む。
    いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、医薬として許容し得る塩の形で投与される。 いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、塩酸塩を含む。 いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩は、酢酸塩を含む。 いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩はマレイン酸塩を含む。

    いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、既存の微生物感染症の対象に投与される。 いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、微生物感染症を防ぐ、又は微生物感染症の再発を防ぐために予防的に投与される。 したがって、いくつかの実施態様において、式(I)から(IV)の化合物は、(a)感染の危険性を有する対象における微生物感染症、(b)微生物感染症の再発及び(c)その組合せのうちの1つを防ぐ、又はその発生率を低減するために予防的に投与される。

    いくつかの実施態様において、主題は、植物又は土壌試料である。 特に、植物は、食物に利用される植物、又は何らかの経済的重要性を有する植物であり得る。 したがって、植物は、野菜、果物又は穀物であり得る。 そのような植物としては、トウモロコシ、小麦、大豆、ヒマワリ、オート麦、アルファルファ、トマト、ジャガイモ及び米を挙げることが可能であるが、それらに限定されない。 土壌試料は、そのような植物を成長させている土壌試料、又はそのような植物を成長させようとする土壌試料を含むことが可能である。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題において治療される対象は、人間であることが望ましいが、本明細書に記載されている方法は、「対象」という用語に包括されることを意図するすべての脊椎動物種に対して有効であることが理解されるべきである。 本明細書に記載されている方法は、温血性脊椎動物における感染病の治療及び/又は予防に特に有用である。 したがって、それらの方法を哺乳類及び鳥類のための治療として用いることが可能である。

    より詳細には、本明細書に提示されるのは、人間のような哺乳類、並びに絶滅の危機にあるために重要な哺乳類(シベリアトラ等)、並びに人間にとって経済的に重要な哺乳類(人間による消費に向けて農場で飼育される動物)及び/又は社会的に重要な哺乳類(ペットとして、又は動物園で飼われる動物)、例えば人間以外の食肉類(猫や犬等)、豚(子豚、雄豚及び猪)、反芻動物(畜、雄牛、羊、キリン、シカ、ヤギ、野牛及びラクダ)及び馬の治療である。 絶滅の危機にある鳥類、動物園で飼われている鳥類、並びに人間にとって経済的に重要でもある家禽、より詳細には家畜化された家禽、すなわち七面鳥、鶏、カモ、ガチョウ及びホロホロチョウ等の飼鳥類の治療を含む鳥類の治療も本明細書に提示される。 したがって、本明細書に記載されている方法の実施態様は、家畜化された豚(子豚及び雄豚)、反芻動物、馬及び飼鳥類等を含むがそれらに限定されない家畜の治療を含む。

    (VI.式(IV)の化合物を合成するための一般的な方法)
    以下に提示される合成手順は、本明細書に開示される化合物を製造する方法の代表的な実施態様を含む。 具体的には、式(IV)の新規の化合物の合成のための方法を以下に提示するスキーム15に示す。

    いくつかの実施態様において、本明細書に開示される主題は、式(IV)の化合物及びその医薬として許容し得る塩を調製するための方法であって、
    (a)セレノフェン及びテルロフェンの一方をN−ブロモスクシンイミド(NBS)と接触させて、モノ臭化物を形成することと、
    (b)セレノフェン及びテルロフェンの一方をn−ブチルリチウムと接触させ、次いで塩化トリアルキルスズと接触させて、2,5−ビス(トリアルキルスズ)化合物を形成することと、
    (c)該2,5−ビス(トリアルキルスズ)化合物をパラジウム触媒の存在下でモノ臭化物の2つのモル等価物と接触させて、トリアリール化合物を形成することと、
    (d)該トリアリール化合物をNBSと接触させて、二臭化物を形成することと、
    (e)該二臭化物をシアン化銅と接触させて、ジニトリルを形成することと、
    (f)該ジニトリルを (i)塩酸ヒドロキシルアミン及び塩基と接触させて、式(IV)のビスアミドキシムを形成する、又は (ii)強酸及びアルコールと接触させ、次いでジアミンと接触させて、式(IV)のビスイミダゾール化合物を形成することとを含む。

    いくつかの実施態様において、直上の方法は、該ビスアミドキシムを酢酸及び無水酢酸と接触させ、次いで水素、パラジウム炭素触媒及びプロトン性溶媒と接触させて、式(IV)のビスアミジンを形成することをさらに含む。
    いくつかの実施態様において、該塩化トリアルキルスズは、塩化トリ−n−ブチルスズを含む。
    いくつかの実施態様において、該塩基は、カリウムtert−ブトキシドを含む。

    いくつかの実施態様において、該強酸は塩酸を含む。
    いくつかの実施態様において、該アルコールはアルキルアルコールを含む。 いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、エタノール及びメタノールからなる群から選択される。
    いくつかの実施態様において、該パラジウム触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを含む。

    したがって、直上の方法は、式(IV)のトリセレノフェン及びトリテルロフェン化合物、並びにテルロフェン及びセレノフェン環を両方含む式(IV)の化合物を提供する。 1以上のフラン、チオフェン又はピロール化合物でセレノフェン又はテルロフェン環の一方又は両方を置換して、異なる組合せのヘテロアリール基を含有する式(IV)の化合物を形成することができるように、それらの方法を変更することも可能である。 例えば、2,5−ビス(トリアルキルスズ)セレノフェンをブロモフランの2つのモル等価物と接触させて、2,5−ビス(フラニル)セレノフェンを含むトリアリール構造を形成することが可能である。

    以下の実施例は、本明細書に開示される主題の代表的な実施態様を実施するためのガイダンスを当業者に提供するために含められたものである。 本開示及び当該技術分野における一般的な熟練のレベルに鑑みて、以下の実施例は、例示のみを目的としており、本明細書に開示される主題の範囲から逸脱することなく、多くの変更、修正及び改変を採用できることを当業者は理解することができる。

    (合成方法及び材料)
    Thomas−Hoover(Uni−Melt)毛管融点装置を使用して融点を記録したが、それらは無補正である。 TLC分析をシリカゲル60F 254プレコートアルミニウムシート上で実施し、紫外光下で検出した。 Varian Unity Plus300分光計を採用し、 H及び13 CNMRスペクトルを記録した。 化学シフト(δ)は内部標準としてのTMSに対してppmの単位である。 質量スペクトルをVG分析70−SE分光計で記録した。 元素分析値をAtlantic Microlab Inc.(米国ジョージア州Norcross)又はGSU CHNユニットより取得したが、それらは理論値の±0.4以内である。 いずれの化学物質及び溶剤もAldrich Chemical Co.、Fischer Scientificより購入した。

    フラミジンの合成については既に説明した(非特許文献49参照)。 化合物46〜48、50、51及び53の具体的な合成を含む、本明細書に開示される主題の化合物を調製するのに有用な合成法を既に説明した(非特許文献50、非特許文献51、非特許文献52、特許文献3及び特許文献4参照)。 化合物49と類似したトリフラン及びトリチオフェン化合物を合成するための方法を説明した(非特許文献53参照)。 本明細書に開示される主題のさらなる化合物の合成について以下に説明する。

    (実施例1)
    5'−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビフラン−5−カルボキサミジン

    4−(5−ブロモフラン−2−イル)−ベンゾニトリル(2)。 次に上記スキーム5を参照し、化合物1(8.45g、50mmol)をDMF(30mL)に溶解した溶液に、N−ブロモスクシンイミド(NBS、9.79g、55mmol)を攪拌しながら分割して添加した。 反応混合物を一晩攪拌し、次いで冷水に注いだ。 形成した沈殿物を回収し、水で洗浄し、乾燥させて、収率は94.2%で融点が94から94.5℃の分析的に純粋な生成物2を与えた。 1 H NMR (CDCl 3 ); δ6.45 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13 C NMR (CDCl 3 ); δ153.7, 133.5, 132.6, 123.8, 123.6, 118.7, 114.0, 110.7, 110.3. EIMS (m/z, 相対強度); 247 (M + , 50), 140 (100), 113 (10). C 11 H 6 BrNOの計算値: C, 53.26; H, 2.44; N, 5.64. 実測値C, 53.22; H, 2.43; N, 5.59.

    4−(2,2'−ビフラン−5−イル)−ベンゾニトリル(3)。 化合物2(2.48g、10mmol)と、2−トリブチルスズフラン(3.58g、10mmol)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(200mg)との混合物を乾燥ジオキサン(60mL)に溶解したものを還流(100〜110℃)しながら窒素下で24時間加熱した。 該溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた固形物を酢酸エチルに溶解させた。 この溶液をセライトに通してPdを除去した、その溶液を蒸発させ、固形物を濾過により回収し、ヘキサンで洗浄して、収率が79.5%で、融点が104から105℃の化合物3を与えた。 1 H NMR (CDCl 3 ); δ6.51 (dd, J = 3.6 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 6.68 (m, 2H), 6.87 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13 C NMR (CDCl 3 ); δ150.9, 147.5, 145.8, 142.4, 134.1, 132.5, 123.7, 118.9, 111.6, 110.1, 107.5, 106.3. EIMS (m/z, 相対強度); 235 (M + , 100), 206 (10), 178 (15). C 15 H 9 NO 2の計算値: C, 76.59; H, 3.86; N, 5.95. 実測値C, 76.35; H, 3.88; N, 5.92.

    4−(5'−ブロモ−2,2'−ビフラン−5−イル)−ベンゾニトリル(4)。 化合物2について記載した同じ手順を用いて、化合物3から開始した。 収率は65%で、融点は127℃であった。 1 H NMR (CDCl 3 ); δ6.42 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.63 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.76 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13 C NMR (CDCl 3 ); δ151.2, 147.6, 146.2, 134.0, 132.5, 124.0, 123.8, 122.3, 113.4, 110.4, 110.0, 108.4, 108.1. EIMS (m/z, 相対強度); 314 (M + , 40), 234 (10), 206 (100). C 15 H 8 BrNO 2の計算値: C; 57.32, H; 2.56; N, 4.46. 実測値C; 56.93, H; 2.55; N, 4.39.

    5'−(4−シアノフェニル)−2,2'−ビフラン−5−カルボニトリル(5)。 化合物4(740mg、2.35mmol)と、Cu(I)CN(423mg、4.7mmol)との混合物を乾燥DMF(25ml)に溶解したものを48時間にわたって還流させた。 反応混合物を水/アンモニアに注ぎ、塩化メチレンで抽出した。 抽出物を水及び塩水で洗浄し、Na SO で乾燥させ、次いでシリカゲル上に通して、収率が40%で、融点が194から195℃の分析的に純粋な生成物5を与えた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.17 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.99 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13 C NMR (DMSO-d 6 ); δ152.3, 149.3, 144.3, 133.0, 132.9, 125.6, 124.3, 124.1, 118.7, 112.0, 111.8, 111.5, 110.0, 107.9. EIMS (m/z, 相対強度); 260 (M + , 100), 231 (15), 203 (25), 177 (25), 140 (10), 130 (55). C 16 H 8 N 2 O 2の計算値: C, 73.84; H, 3.09; N, 10.76. 実測値C, 73.62; H, 3.18; N, 10.92.

    N−ヒドロキシ−5'−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)−フェニル]−2,2'−ビフラン−5−カルボキサミジン(6)。 塩酸ヒドロキシルアミン(695mg、10mmol、10当量)の混合物を無水DMSO(8mL)に溶解したものを窒素下で5℃まで冷却し、カリウムt−ブトキシド(1120mg、10mmol、10当量)を1部ずつ添加した。 該混合物を30分間にわたって攪拌した。 この混合物をビスシアノ誘導体5(260mg、1mmol、1当量)に添加した。 該反応混合物を室温にて一晩攪拌した。 次いで、該反応混合物を徐々に氷水(水20mLと氷20mL)に注いだ。 沈殿物を濾過し、水、次いでエタノールで洗浄して、収率が93%で、融点が205から206℃の化合物6(遊離塩基)を与えた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ5.83 (br s, 4H), 6.86〜6.89 (m, 3H), 7.14 (s, 1H), 7.75 (s, 4H), 9.70 (s, 1H), 9.75 (s, 1H). 13 C NMR (DMSO-d 6 ); δ152.3, 150.3, 146.7, 145.0, 144.9, 144.1, 132.3, 129.9, 125.8, 123.1, 109.7, 108.5, 107.2. EIMS (m/z, 相対強度); 327 (M + +1, 40), 307 (100), 299 (60), 273 (10), 220 (30). C 16 H 15 N 4 O 4の高分解能ms計算値327.10933. 実測値327.11373.

    N−アセトキシ−5'−[4−(N−アセトキシアミジノ)−フェニル]−2,2'−ビフラン−5−カルボキサミジン(7)。 化合物6(262mg、0.8mmol)を氷酢酸(8mL)に溶解した溶液に、無水酢酸(0.28mL)を徐々に添加した。 一晩攪拌した後、TLCが開始材料のアシル化の終了を示した。 該反応混合物を氷水に注ぎ、沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて収率が89%で、融点が212から213℃の化合物7を与えた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ2.17 (s, 6H), 6.85 (br s, 4H), 6.98 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.87 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13 C NMR (DMSO-d 6 ); δ168.4, 168.1, 155.8, 152.4, 148.9, 146.1, 144.8, 144.3, 131.2, 130.6, 127.2, 123.3, 113.1, 109.6, 109.3, 107.6, 19.8, 19.7. C 20 H 18 N 4 O 6の計算値: C, 58.53; H, 4.42. 実測値C, 58.71; H, 4.50.

    5'−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビフラン−5−カルボキサミジン酢酸塩(8a)。 化合物7(246mg、0.6mmol)を氷酢酸(8mL)に溶解した溶液、及びエタノール(20mL)に10%パラジウム炭素(60mg)を添加した。 その混合物を室温にて4時間にわたって、50psiのParr水素添加装置に仕込んだ。 混合物をハイフロで濾過し、フィルタパッドを水で洗浄した。 濾液を減圧下で蒸発させ、沈殿を回収し、エーテルで洗浄して、収率が67%で、融点が240〜242℃の化合物8aを与えた。 1 H NMR (D 2 O/DMSO-d 6 ); δ1.80 (s, 2×CH 3 ), 7.06 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.98 (d, J = 8.4 Hz, 2H). C 16 H 14 N 4 O 2 -2.0AcOH-2.4H 2 Oの計算値: C, 52.48; H, 5.87; N, 12.23. 実測値C, 52.28; H, 5.49; N, 11.91.

    5'−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビフラン−5−カルボキサミジン(8)。 酢酸塩(50mg)を水(5mL)に溶解し、1NのNaOHで中和することによって化合物8aの遊離塩基を調製した。 沈殿を濾過し、融点が202から203.5℃の遊離アミジン8を与えた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ6.93 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.7.22 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.83 (s, 4H). 13 C NMR (DMSO-d 6 ); δ162.2, 153.9, 152.4, 147.4, 145.7, 145.0, 134.1, 131.1, 127.3, 123.1, 111.9, 109.4, 109.2, 107.7. EIMS (m/z, 相対強度); 294 (M + , 50), 277 (100), 261 (25). C 16 H 14 N 4 O 2の高分解能質量計算値: 294.11168. 実測値: 294.11013.

    (実施例2)
    6−(5'−アミジノ−2,2'−ビフラン−5−イル)−ニコチンアミジン

    6−(2,2'−ビフラン−5−イル)−ニコチノニトリル(10)。 次にスキーム6を参照し、化合物3について記載した同じ手順を用いて、化合物9から出発した。 収率は78%で、融点は169から170℃であった。 1 H NMR (CDCl 3 ); δ6.52 (dd, J = 3.6 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 6.74 (m, 2H), 7.31 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.95 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 8.80 (d, J = 2.1 Hz, 1H). 13 C NMR; δ152.5, 151.3, 151.0, 148.7, 145.5, 142.9, 139.6, 117.6, 117.0, 114.3, 111.7, 108.1, 107.1, 106.6. C 14 H 8 N 2 O 2の計算値: C, 71.18; H, 3.41; N, 11.85. 実測値C, 70.83; H, 3.61; N, 11.84.

    6−(5'−ブロモ−2,2'−ビフラン−5−イル)−ニコチノニトリル(11)。 化合物4について記載した同じ手順を用いて、化合物10から出発した。 収率は58%で、融点は143から145℃であった。 1 H NMR (CDCl 3 ); δ6.44 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.70 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.95 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 8.80 (d, J = 2.1 Hz, 1H). 13 C NMR; δ152.5, 151.2, 151.1, 147.5, 147.3, 139.7, 122.8, 117.7, 117.0, 114.3, 113.5, 109.3, 108.6, 106.9. MS (m/z, 相対強度); 314 (M + , 60), 285 (10), 235 (20), 207 (100), 179 (10). C 14 H 7 BrN 2 O 2の高分解能ms計算値313.96909. 実測値313.96614.

    6−(5'−シアノ−2,2'ビフラン−5−イル)−ニコチノニトリル(12)。 化合物5について記載した同じ手順を用いて、化合物11から出発した。 収率は27%で、融点は209から210.5℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.23 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.39 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 9.03 (d, J = 2.4 Hz, 1H). 元素分析 (C 15 H 7 N 3 O 2 ) C, H.

    N−ヒドロキシ−6−[5'−(N−ヒドロキシアミジノ)−2,2'−ビフラン−5−イル]−ニコチンアミジン(13)。 化合物6について記載した同じ手順を用いて、化合物12から出発した。 収率は89%で、融点は248から250℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ5.88 (s, 2H), 6.04 (s, 2H), 6.92〜6.96 (m, 3H), 7.29 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.11 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 8.88 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 9.80 (s, 1H), 9.92 (s, 1H). 13 C NMR; δ152.2, 148.7, 147.8, 147.0, 146.6, 146.0, 144.6, 144.0, 133.6, 127.3, 117.7, 111.3, 109.7, 108.5, 107.9. MS (m/z, 相対強度); 327 (M + , 15), 311 (5), 295 (10), 278 (85), 261 (100). C 15 H 13 N 5 O 4の高分解能ms計算値327.09675. 実測値327.09742.

    6−(5'−アミジノ−2,2'−ビフラン−5−イル)−ニコチンアミジン酢酸塩(14)。 8aと同様に、パラジウム炭素を使用して還元した。 収率は59%で、融点は269から271℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ1.8 (s, 2×CH 3 ), 7.15 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.99 (s, 1H). MS (m/z, 相対強度 チオグリセロール); 296 (M + +1, 100), 273 (12), 239 (40). C 15 H 14 N 5 O 2の高分解能ms計算値296.1147. 実測値296.1189. C 15 H 13 N 5 O 2 -2.0AcOH-2.65H 2 O-0.5EtOHの計算値: C, 49.41; H, 6.07; N, 14.40. 実測値C, 49.72; H, 5.96; N, 14.02.

    (実施例3)
    5,5'−ビス−(4−N−ヒドロキシベンズアミジン)−2,2'−ビフラン(16)及び5,5'−ビス−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビフラン塩酸塩(17)

    5,5'−ビス−(4−シアノフェニル)−2,2'−ビフラン(15)。
    方法(i):次にスキーム7を参照し、化合物4(1.256g、4mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(230mg)をトルエン(8mL)に窒素雰囲気下で溶解した攪拌溶液に、Na CO の2M水溶液を4mL添加した後、4−シアノフェニルホウ酸(658mg、4.8mmol)を4mLのメタノールに溶解したものを添加した。 激しく攪拌した混合物を24時間にわたって80℃に加温し、次いで冷却し、沈殿物を濾過した。 該沈殿物を塩化メチレン(250mL)と、2.4mLの濃縮アンモニアを含む2MのNa CO 水溶液(20mL)の間で分割した。 該有機層を(Na CO で)乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して乾固させて、収率が52%で、融点が298から299℃(DMF)の化合物15を与えた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.09 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.89 (d, J = 8.1 Hz, 4H), 7.97 (d, J = 8.1 Hz, 4H). 13 C NMR; δ151.1, 145.8, 133.3, 132.7, 123.8, 118.6, 111.4, 109.45, 109.40. MS (m/z, 相対強度); 336 (M + , 100), 307 (5), 279 (5), 206 (15), 168 (15). C 22 H 12 N 2 O 2の高分解能ms計算値336.08988. 実測値336.08978. C 22 H 12 N 2 O 2 -0.75H 2 Oの計算値: C, 75.52; H, 3.86; N, 8.00. 実測値C, 75.12; H, 3.48; N, 7.74
    方法(ii):化合物3の合成で述べたスティレホモカップリングと同様の、触媒としてビス(n−トリブチルスズ)を使ったスティレホモカップリング、収率78%。

    5,5'−ビス−(4−N−ヒドロキシベンズアミジン)−2,2'−ビフラン(16)。 化合物6について記載した同じ手順を用いて、化合物15から出発した。 収率が82%で、融点が309℃の化合物16の遊離塩基。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ5.86 (s, 4H), 6.97 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.17 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.76 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.80 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 9.72 (s, 2H). 13 C NMR; δ152.3, 150.3, 145.2, 132.3, 129.9, 125.8, 123.1, 108.6, 108.5. MS (m/z, 相対強度); 403 (M + +1, 90), 388 (15), 370 (10), 201 (100). 化合物16の塩酸塩。 融点は320℃を上回っていた。 C 22 H 18 N 4 O 4 -2.0HCl-1.0H 2 Oの計算値: C, 53.56; H, 4.49; N, 14.37; Cl, 14.37. 実測値C, 53.52; H, 4.40; N, 11.00; Cl, 14.13.

    5,5'−ビス−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビフラン塩酸塩(17)。
    方法(iii):化合物15から開始し、Li−アミド法を用いて90%の収率で調製した。 新たに蒸留したTHF(5mL)に懸濁させたジニトリル15(1.67mmol)をリチウムトリメチルシリルアミド(2%THF溶液(3.67mmol))で処理し、反応物を一晩攪拌した。 次いで、該反応混合物を0℃まで冷却し、沈殿の形成が開始するとHCl(g)飽和エタノールを添加した。 一晩反応させた後、エーテルで希釈し、形成した固形物を濾過して、ジアミジン塩を与えた。
    方法(iv):Pinner法を用いることによって化合物15から調製した(非特許文献49及び非特許文献54参照)。 収率は30%で、融点は325から327.5℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.16 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.96 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 8.05 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 9.17 (s, 2H), 9.45 (s, 2H). 13 C NMR; δ164.7, 151.4, 145.9, 134.1, 129.0, 126.3, 123.5, 111.4, 109.5. MS (m/z, 相対強度); 371 (8), 337 (50), 201 (100). C 22 H 18 N 4 O 2 -2.0HCl-1.0H 2 Oの計算値: C, 57.28; H, 4.75; N, 12.03. 実測値C, 57.56; H, 4.75; N, 12.03.

    (実施例4)
    5,5'−ビス−[4−(N−メトキシアミジノ)フェニル]−2,2'−ビフランマレアート(19)

    2−ブロモ−5−(4−シアノフェニル)フラン(2)。 次に上記スキーム8を参照し、2−(4−シアノフェニル)フラン(28.25g、0.167mmol)をDMF(100ml)に溶解した(氷/水浴)冷却溶液に、NBS(31.20g、1.05当量、ニトロメタンから新たに再結晶化)を攪拌しながら分割して添加した(約40分間にわたって約1g)。 得られた溶液を室温にて2時間攪拌したときに、TLCが開始材料の消費を示した。 該反応を通じて、色が黄色からオレンジ色に変化し、次いで最終的に赤色になった。 次いで、該溶液を水(約300ml)で希釈して、ピンク/赤色固形物を与え、それを回収し、水で洗浄し、空気乾燥させた。 収率は39.0g、94%であった。 小サンプルをMeOH/水から再結晶させて、融点が96.5から97℃の薄赤色の結晶固形物を与えた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ): 6.80 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.87 (m, 4H). IR (cm -1 ): 3142, 3128, 3060, 2226, 1613, 1515, 1475, 1015, 929, 833, 787, 545.

    2−ブロモ−5−[4−(N−メトキシアミジノ)フェニル]フラン(18)。 塩酸ヒドロキシルアミン(17.25g、0.25mol)をDMSO(150ml)に加えた冷却懸濁液に、KO−t−Bu(28.0g、0.25mol)を1部ずつ添加し、混合物を窒素下で30分間攪拌した。 次いで、2−ブロモ−5−(4−シアノフェニル)フラン(17.37g、0.07mol)を添加し、混合物を室温にて一晩攪拌した。 得られた溶液を余剰の水で希釈して、オフホワイトの固形物としての2−ブロモ−5−[4−(N−ヒドロキシアミジノ)フェニル]フランを与え、それを回収し、水で洗浄した。 収率は19.45g、99%で、融点は162から164℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ): 5.84 (広幅s, 2H), 6.71 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 9.70 (s, 1H). IR (cm -1 ): 3475, 3369, 3209 (広幅), 1639, 1482, 1341, 1017, 927, 787. 中間体アミドキシム(38.9g、0.138mol)をDMSO(60ml)とジオキサン(300ml)の混合物に溶解し、冷却しながら、LiOH水酸化物(11.61g、0.277mol)を水(60ml)に溶解させた溶液で処理した。 次いで、室温にて、得られた懸濁液を添加漏斗により、硫酸ジメチル(26.18g、0.208mol)で約30分以内の時間にわたって滴下処理した。 添加後に、混合物がわずかに加温され、固形物が溶解した。 一晩攪拌した後、混合物を余剰の水で希釈し、EtOAcで抽出した。 ヘキサン中10%EtOAcで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、わずかに不純の生成物を与え、それを複数回MeOH/水から再結晶させることによってさらに精製して、融点が116から117℃のオフホワイトの固形物を与えた。 収率は28.0g、69%であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 , 立体異性体の見かけ混合物): 3.74 (2s, 3H), 6.09 (広幅s, 2H), 6.72 (2d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.09 (2d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.70 (m, 4H). IR (cm -1 ): 3459, 3312, 3177, 2957, 2935, 2901, 2818, 1634, 1403, 1051, 910, 842, 785.

    5,5'−ビス−[4−(N−メトキシアミジノ)フェニル]−2,2'−ビフラン(19)。 2−ブロモ−5−[4−(N−メトキシアミジノ)フェニル]フラン(27.90g、94.5mmol)と、ヘキサ−n−ブチルジチン(28.37g、48.9mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.40g、1.2mmol)との混合物をトルエン(400ml)に溶解させたものを、120℃で3時間にわたって湯浴セットにて窒素下で加熱し、次いで室温まで冷却した。 1時間放置した後、得られた沈殿を回収し、ジエチルエーテルで洗浄して、黄色の軽い固形物(12.25g、60%)を与えた。 生成物を高温のDMF(100ml)に溶解させることによって再結晶させ、次いでMeOH(200ml)を添加することによって再結晶させた。 数時間にわたって冷却した後に、生成物を回収し、MeOHで洗浄して、融点が258から259℃の細かい黄色結晶固形物を与えた。 収率は10.75g、53%であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ): 3.76 (s, 6H), 6.11 (br s, 4H), 6.99 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.20 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.73 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 7.80 (d, J = 8.7 Hz, 4H). 13 C NMR (DMSO-d 6 ): 60.6, 108.5, 108.8, 123.1, 126.2, 130.3, 131.4, 145.2, 150.5, 152.2. IR (cm -1 ): 3520, 3412, 3125, 2991, 2961, 2897, 2817, 1622, 1415, 1402, 1056, 904, 842, 789. MS (EI): m/z 431 (MH + ). 元素分析: C 24 H 22 N 4 O 4 (430.46)の計算値: C, 66.96; H, 5.15; N, 13.02. 実測値: C, 66.91; H, 5.14; N, 13.01.

    5,5'−ビス−[4−(N−メトキシアミジノ)フェニル]−2,2'−ビフランマレアート(19a)。 遊離塩基(8.61g、20.0mmol)及びマレイン酸(2.33g、20.0mmol)を50から60℃にてEtOH(200ml)中で一晩加熱し、次いで30分間還流させた。 次いで、懸濁液を真空中で濃縮させ、残渣をジエチルエーテルで粉砕し、濾過し、50から60℃で24時間にわたって真空乾燥して、軽い黄色固形物(10.50g)を与えた。 燃焼分析により、わずか0.8モル当量のマレイン酸が生成物中に存在していることが示された。 1 H NMR (DMSO-d 6 ): 3.76 (s, 6H), 6.23 (広幅s)及び6.24 (s):マレイン酸ビニルHが2NH と重なり、積分は予想値の0.83%, 6.99 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.74 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 7.82 (d, J = 8.7 Hz, 4H). C 24 H 22 N 4 O 4 -0.8C 4 H 4 O 4 (523.32)の計算値: C, 62.42; H, 4.85; N, 10.71. 実測値: C, 62.72; H, 4.94; N, 10.74.

    (実施例5)
    5,5'−ビス−(5−アミジノ−2−ピリジル)−2,2'−ビフラン(22)及び5,5'−ビス−[5−(N−メチオキシアミジノ)−2−ピリジル]−2,2'−ビフラン(23)

    化合物20。 次に上記スキーム9を参照し、化合物2からの化合物15の合成と同様に、化合物9のスティレホモカップリングを介して化合物20を調製した。 収率81%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.17 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.48 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 8.00 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.31 (dd, J = 8.1, 2.1 Hz, 2H), 8.98 (d, J = 2.1 Hz, 2H). 13 C NMR; δ152.3, 151.5, 149.9, 146.5, 140.3, 117.9, 116.6, 114.2, 110.1, 106.4. MS (m/z, 相対強度); 339 (M + +1, 100), 319 (15), 277 (10).

    5,5'−ビス−(5−アミジノ−2−ピリジル)−2,2'−ビフラン(22)。 化合物17に類似したLiN(TMS)2を使用したニトリル還元。 収率は92%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (D 2 O/DMSO-d 6 ); δ7.21 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 8.07 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.31 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 2H), 9.00 (d, J = 2.1 Hz, 2H). 13 C NMR; δ164.1, 152.2, 151.9, 149.3, 147.3, 137.7, 122.5, 118.8, 114.9, 110.9. MS (m/z, 相対強度); 373 (M + +1, 60), 356 (5), 187 (100). C 20 H 16 N 6 O 2 -4.0HCl-0.75H 2 Oの計算値: C, 45.17; H, 4.08; N, 15.80. 実測値C, 45.17; H, 4.25; N, 15.53.

    5,5'−ビス−[5−(N−メチオキシアミジノ)−2−ピリジル]−2,2'−ビフラン(23)。 化合物19と同様のスティレホモカップリング。 遊離塩基の収率は95%で、融点は292〜294℃を上回っていた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ3.80 (s, 6H), 6.07 (s, 4H), 7.06 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.11 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.88 (s, 2H). 13 C NMR; δ152.4, 148.8, 148.0, 146.7, 145.8, 133.7, 126.4, 117.5, 111.3, 109.0, 60.4. MS (m/z, 相対強度); 432 (M + , 100), 385 (20), 370 (60).
    化合物23の塩酸塩:融点は254から256℃であった。 C 22 H 20 N 6 O 4 -4.0HCl-2.5H 2 Oの計算値: C, 42.39; H, 4.68; N, 13.48. 実測値C, 42.32; H, 4.52; N, 13.35.

    (実施例6)
    5,5'−ビス−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビチオフェン(26a)及び5,5'−ビス−(4−アミジノ−2−ピリジル)−2,2'−ビチオフェン(26b)

    化合物25a。 次にスキーム10を参照し、化合物24aのスティレホモカップリングを介して化合物25aを調製した。 収率は91%で、融点は298から300℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.45 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 7.68 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 7.85〜7.89 (m, 8H). 13 C NMR; δ140.3, 137.0, 132.5, 126.8, 125.7, 125.4, 118.0, 109.6. C 22 H 12 N 2 S 2の計算値: C, 71.71; H, 3.28. 実測値C, 71.48; H, 3.40.

    化合物25b。 化合物24bのスティレホモカップリングを介して調製した。 収率は85%で、融点は300℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.53 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 7.94 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 8.07 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.23 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.90 (s, 2H). MS (m/z, 相対強度); 370 (M + , 100), 337 (30), 305 (5), 292 (5), 223 (20), 185 (60), 163 (80). C 20 H 10 N 4 S 2の計算値: C, 64.84; H, 2.72. 実測値C, 64.59; H, 2.88.

    5,5'−ビス−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビチオフェン(26a)。 LiN(TMS) を使用した化合物25aのニトリル還元。 収率は73%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (D 2 O/DMSO-d 6 ); δ7.52 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.94 (d, J = 8.4 Hz, 4H). 13 C NMR; δ165.6, 141.3, 138.8, 137.8, 129.4, 127.7, 126.7, 126.0. MS (m/z, 相対強度); 403 (M + +1, 20), 386 (25), 368 (40), 185 (95), 171 (100). C 22 H 18 N 4 S 2 -2.0HCl-2.4H 2 Oの計算値: C, 51.05; H, 4.79; N, 10.80. 実測値C, 51.12; H, 4.57; N, 10.50.

    5,5'−ビス−(4−アミジノ−2−ピリジル)−2,2'−ビチオフェン(26b)。 LiN(TMS) を使用した化合物25bのニトリル還元。 収率は89%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (D 2 O/DMSO-d 6 ); δ7.55 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 7.94 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 8.09 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.24 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 2H), 8.93 (d, J = 2.1 Hz, 2H). MS (m/z, 相対強度); 405 (M + +1, 50), 231 (15), 203 (100). C 20 H 16 N 6 S 2 -4.0HCl-0.75H 2 Oの計算値: C, 42.60; H, 3.84; N, 14.90. 実測値C, 42.56; H, 3.83; N, 14.66.

    (実施例7)
    5,5'−ビス−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビセレノフェン(29a)及び5,5'−ビス−(4−アミジノ−2−ピリジル)−2,2'−ビセレノフェン(29b)

    化合物28a。 上記スキーム11を参照し、化合物27aのスティレホモカップリングにより、化合物28aを与えた。 収率は92%で、融点は285から286.5℃であった。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.52 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 7.76〜7.84 (m, 10H). 13 C NMR; δ146.6, 144.5, 139.2, 132.6, 129.1, 128.6, 125.9, 118.2, 109.6. MS (m/z, 相対強度); 462 (M + , 90), 464 (M + +2, 100), 384 (5), 302 (15). C 22 H 12 N 2 Se 2の計算値: C, 57.16; H, 2.62. 実測値C, 56.98; H, 2.63.

    化合物28b。 化合物27bのスティレホモカップリング. 収率は85%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.62 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 7.98〜8.30 (m, 6H), 8.93 (d, J = 2.1 Hz, 2H). MS (m/z, 相対強度); 464 (M + , 60), 466 (M + +2, 100), 385 (25), 305 (40).

    5,5'−ビス−(4−アミジノフェニル)−2,2'−ビセレノフェン(29a)。 化合物17の調製と同様の化合物28aのニトリル還元。 収率は80%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (D 2 O/DMSO-d 6 ); δ7.46 (d, J = 3.9 Hz, 2H), 7.72〜7.82 (m, 10H). 13 C NMR; δ165.4, 147.4, 145.1, 140.6, 129.5, 129.3, 129.2, 126.9, 126.3. MS (m/z, 相対強度); 496 (M + , 10), 498 (M + +2, 20), 250 (100). C 22 H 18 N 4 Se 2 -2.0HCl-1.5H 2 Oの計算値: C, 44.31; H, 3.90; N, 9.36. 実測値C, 44.28; H, 3.90; N, 9.13.

    5,5'−ビス−(4−アミジノ−2−ピリジル)−2,2'−ビセレノフェン(29b)。 化合物17の調製と同様の化合物28bのニトリル還元。 収率は71%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (D 2 O/DMSO-d 6 ); δ7.50 (s, 2H), 7.91〜8.09 (m, 6H), 8.77 (s, 2H). MS (m/z, 相対強度); 499 (M + +1, 25), 484 (15), 290 (30), 251 (100). C 20 H 16 N 6 Se 2 -3.0HCl-0.4EtOHの計算値: C, 39.90; H, 3.41; N, 13.40. 実測値C, 39.98; H, 3.19; N, 13.07.

    (実施例8)
    化合物32及び33

    化合物30。 上記スキーム12を参照し、新たに蒸留したDMF(4.2mL)を氷浴中で攪拌し、POCl (14mL)で滴下処理し、次いで塩化メチル(12mL)に化合物3(1.645g、7mmol)を溶解させたものを、分割して添加した。 該反応混合物を60℃の加熱下で2時間にわたって攪拌した。 塩化メチレンを減圧下で蒸留除去し、次いで残留溶液を氷水に注ぎ、生成物をEtOAc中に抽出した。 抽出液を乾燥させ、蒸発させて、85.7%で、融点が176℃の化合物30を与えた。 1 H NMR (CDCl 3 ); δ6.86 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 9.66 (s, 1H). 13 C NMR; δ176.9, 153.1, 151.9, 150.4, 145.5, 133.5, 132.6, 124.2, 123.3, 118.6, 111.9, 111.1, 110.4, 108.2. C 16 H 9 NO 3の計算値: C, 73.00; H, 3.44; N, 5.32. 実測値C, 73.09; H, 3.58; N, 5.25.

    化合物31。 化合物30(526mg、2mmol)、3,4−ジアミノベンゾニトリル(266mg、2mmol)及びベンゾキノン(216mg、2mmol)をエタノール(25mL)に溶解した溶液を窒素下で一晩還流させた。 該反応混合物を減圧下で蒸留した。 残渣をエーテルで粉砕し、濾過して、79.7%で融点が295から296℃の化合物31を与えた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ7.10 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 7.5 Hz, 0.5H), 7.80 (d, J = 7.2 Hz, 0.5H), 8.18 (s, 1H), 13.58 (s, 1H). 13 C NMR (DMSO-d 6 ); δ151.5, 146.6, 145.6, 144.2, 133.3, 132.9, 124.0, 119.9, 118.8, 114.3, 111.6, 110.1, 109.6, 109.3, 104.2. EIMS (m/z, 相対強度); 376 (M + , 100), 319 (5), 246 (10), 218 (10), 188 (15). C 23 H 12 N 4 O 2の高分解能ms計算値376.09603. 実測値376.09468. 元素分析: C 23 H 12 N 4 O 2の計算値: C, 73.39; H, 3.21; N, 14.88. 実測値C, 73.12; H, 3.23; N, 14.87.

    化合物32。 化合物6の調製と同様にして、化合物31から開始した。 収率は93%で、融点は300℃を上回っていた。 1 H NMR (DMSO-d 6 ); δ5.86 (s, 2H), 6.20 (s, 2H), 7.02〜7.17 (m, 2H), 7.19 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.58 (s, 2H), 7.76〜7.97 (m, 5H), 9.66 (s, 2H), 13.00 (br s, 1H). EIMS (m/z, 相対強度); 443 (M + +1, 60), 428 (25), 241 (20), 222 (100)

    化合物33。 化合物14の調製と同様にして、化合物32から開始した。 収率は67%で、融点は248から250℃であった。 1 H NMR (D 2 O/DMSO-d 6 ); δ1.87 (s, 3×CH 3 ), 7.15 (s, 2H), 7.32〜7.46 (m, 2H), 7.66〜7.79 (m, 2H), 7.95〜8.24 (m, 5H). MS (m/z, 相対強度); 410 (M + , 10), 392 (100), 365 (90), 350 (80), 336 (5). C 23 H 18 N 6 O 2 -3.0AcOH-0.35H 2 Oの計算値: C, 58.35; H, 5.14; N, 14.09. 実測値C, 58.03; H, 4.88; N, 14.20.

    (実施例9)
    化合物39

    (実施例10)
    化合物45

    (実施例11)
    61a、61b、62a及び62bの化合物の合成

    (実施例12)
    (吸光度及びCD測定)
    オリゴヌクレオチドd[AG (T AG ](配列番号:1)、d[AG TG AG TG A](配列番号:2)、d[G (T ](配列番号:3)、d[(T ](配列番号:4)、d[(GC) ](配列番号:5)、d[GCGAATTCGC](配列番号:6)、d[G TGTG ](配列番号:7)、d[CGAATTCGTCTCCGAATTCG](配列番号:8)、d[TAGGGUTAGGGT](配列番号:9)、d[TAGGGUUAGGGT](配列番号:10)、d[TAGGGUTAGGU](配列番号:11)、d[TTAGGGT](配列番号:12)及びd[TGGGGT](配列番号:13)をHPLC精製したものをMidland Certified Reagent Company(The Midland certified Reagent Company, Inc.、米国テキサス州Midland)から購入した。 各DNA試料の濃度を、分光光度法により、最近傍吸光度を用いて260nmにて測定した。

    個々のジカチオンポリアリール化合物の原液を二重蒸留水で調製し、緩衝剤を使用する直前に使用濃度まで希釈した。 すべての測定は、3mMのEDTA及び50mMのKCl、NaCl又はLiClを含む10mMのHEPES緩衝剤(pH7.4)中で、20℃にて実施された。 経路長が1cmの水晶セルのVarian Cary 300 BIO UV可視分光光度計(Varian, Inc.、米国カリフォルニア州Palo Alto)により吸光度スペクトルを得た。 応答時間が1sで50nm/分の計器走査速度を用いて、1cmセルのJasco J-810分光光度計(Jasco, Inc.、米国メリーランド州Easton)を使用してCDスペクトルを記録した。 スペクトルは、4回の走査に対する平均をとった。 緩衝基準走査を同一のキュベットに集め、試料毎に平均走査から差し引いた。 適切な量のジカチオン化合物原液又はDNAを順次添加して、モル比を増加させた。

    (実施例13)
    (表面プラスモン共鳴試験)
    4チャネルBiacore(登録商標)3000光バイオセンサシステム(Biacore International AB、スウェーデンUppsala)を用いて表面プラスモン共鳴(SPR)測定を行った。 既に記載したように、5'−ビオチン標識DNAをストレプタビジン塗布Biacore(登録商標)SAセンサチップに固定した(非特許文献55、非特許文献56、非特許文献57、非特許文献58及び非特許文献59参照)。 2つの流動セルを使用して、DNAオリゴマー試料を固定し、第3のセルを対照としてブランクとした。 200mMのKCl、3mMのEDTA及び0.005%の界面活性剤P20(Biacore International AB)を含む濾過済の脱気された10mMのHEPES緩衝剤(pH7.4)において25℃にてSPR試験を行った。 化合物溶液を原液からの一連の希釈液によって調製し、貫通可能なプラスチッククリンプキャップを備えた7mmのプラスチックバイアルから注入した。

    2nMから10μMの範囲の知られている濃度の化合物8の溶液を、一定の定常応答が得られるまで、流動セルを通じて注入した。 次いで、化合物溶液流を緩衝剤流に代えて、複合体を解離させた。 ブランクセルからの基準応答を、DNAを含む各セルにおける応答から差し引いて、結合化合物の量に正比例する信号(RU、応答単位)を与えた。 ヒトテロメアDNAに結合する化合物8の異なる濃度のセンソグラムの集合体を得た。 50秒の時間帯に対する直線的平均をとることによって、定常領域における計器応答(RU)を測定した。 既に述べたように、定常領域(RU max )における結合化合物毎の予測最大応答をDNA分子量、流動セル上のDNAの量、化合物分子量、及び化合物とDNAの屈折率勾配比から求めた。 結合部位の数をRU対C freeの適合プロットから推定した。 結合定数を得るために、RU maxが結合化合物当たりの最大応答であり、K 及びK が二部位結合モデルに対する巨視的な結合係数である結合パラメータの非線形最小二乗最適化のためのKaleidaGraph(Synergy Software、米国ペンシルヴァニア州Reading)を用いて、データを二部位平衡モデルに適合させた。

    (単一結合部位モデルについては、K

    は0に等しい)。

    (実施例14)
    (蛍光測定)
    Cary Eclipse蛍光分光計(Varian, Inc.、米国カリフォルニア州Palo Alto)を使用して蛍光実験を行った。 すべての測定は、3mMのEDTA及び50mMのKClを含む10mMのHEPES緩衝剤(pH7.4)中で20℃にて実施された。 0.5mmの経路長の水晶セルを使用した。 4.98μMの化合物8を含むキュベットにd[AG (T AG ](配列番号:1)を増量させながら滴定することによって蛍光滴定を行った。 滴定中に試料の吸光度が一定に保たれるように、吸光度滴定から測定される等吸収点である393.5に励起波長を設定した。 放出蛍光スリット幅を2.5nmとして、放出蛍光を400から600nmまで走査した。 各走査前にDNAを添加して、DNA濃度が4.04μMになるまで、添加毎に0.213μMずつ濃度を増加させた。 蛍光エネルギー転位試験も行った。 励起スリット幅を5nmとして、放出蛍光波長を469nmに設定した。 化合物8単体に対して、d[AG (T AG ](配列番号:1)の存在下で、励起スペクトルを230nmから330nmまで走査した。

    (実施例15)
    (NMR試験)
    すべての1D及び2D実験を600MHzのBruker及びVarian Unity分光計、並びに凍結探針を装備した500mHzのBruker分光計で行った。 NMR試料に対する濃度を典型的には0.1から0.5mMとして、いくつかのDNA四重鎖配列をNMR実験に使用した。 NMR試験のための緩衝剤を50mMのKCl、10mMのK HPO 及び0.1mMのEDTAとし、0.01mMのDSSを内部基準として、pH7.0に調整した。 化合物とDNAの比を0.5から2まで変化させながら、化合物を四重鎖DNAで滴定した。 水及びD O試料の水抑止のためのジャンプ・リターン及びWATERGATEパルス系列を用いて、イミノプロトンの温度依存1Dスペクトルを実施した。 WATERGATE溶媒抑止法を用いて、水試料に対する位相敏感NOESY及びTOCSY試験を行った。 2.5Hzのスペクトル分解能で、2048×2048データ点に対して2Dスペクトルを収集した。 TOCSY試験に対する混合時間は、60から100msであったのに対して、NOESY実験に対する混合時間は、200から300msであった。 すべての1D NMR試験を10℃から50℃までの広範な温度に対して行った。 最終的には、35℃の温度を選択して、2D試験を行った。

    (実施例16)
    (構造研究についての考察)
    化合物8などのアキラル分子は、溶液中でCD信号を示さない。 アキラルリガンドが、DNAなどのキラル宿主に強く結合するときは、CD信号は、リガンドの吸光度に対応する波長領域で誘発される。 図3は、K の存在下で、化合物8で滴定されたヒトテロメア配列のCDスペクトルを示す図である。 そのスペクトルは、化合物8がDNAに結合していることを示す誘発CD信号を示す。 化合物がDNAに添加されると、誘発信号は、432nmを中心とする正帯域、416nmを中心とする負帯域、及びDNAに結合したときの化合物8の吸光度最大値でもある424nmの等楕円点を有するエキシトン分裂を示す。 395nmを中心とするさらなる負帯域は、より高いエネルギーエキシトン帯域と重複する。 エキシトン分裂は、退化遷移双極子の間の相互作用により生じるため、それは、化合物8が、1以上の二量体としてDNAに結合していることを示す。 誘発されたエキシトンCDは、DNA領域における楕円形と比較して、非常に大きい楕円形を示す。 二量体の2つの分子の互いに相対的な回転及び並進的自由の制限は、誘発CD帯域の回転強度の増加を引き起こし、大きな楕円形をもたらすことになる(非特許文献60参照)。 これは、溝が、四重鎖末端堆積複合体に存在しない幾何学的制約を与えるため、二量体が、1以上の四重鎖溝に位置し得ることを示唆する。

    本明細書に開示される主題の化合物に関連する溝結合を含む1つの薬物設計法は、溝結合二量体の2つの分子を互いに共有結合させることである。 これにより、目標配列に対する結合及び選択性を著しく高めることが可能である。 他の方法は、末端堆積並びに溝結合の特徴を兼ね備えた分子を作ることである。 臭化エチジウムが二重鎖DNAに結合するのと同様に、結合様式の組合せを通じて四重鎖を結合させる末端堆積分子に溝バインダを結合させることが可能である。 この手法の延長は、適切な長さの溝結合分子を使用し、末端結合分子を各末端に共有結合させて、二重鎖ビスインターカレータと同様にして、テロメアDNAに結合する「分子クランプ」を作る。

    ヒトテロメアDNAへの化合物8の添加は、DNA吸光度の波長領域におけるCD信号にも影響を与える(図4)。 DNAは、290nm付近にピークを有し、265nm付近により小さいピークを有する。 CDスペクトルの解釈は、パターン認識に大いに基づく。 多くの平行型四重鎖は、264nmに特徴的な強い正のCD帯域を有し、240nmに負の帯域を有するのに対して、逆平行四重鎖は、通常は、290nmと295nmの間に正の帯域を有し、260から265nmに負の帯域を有する(非特許文献61及び非特許文献62参照)。 確立されたCDパタ−ン認識に基づいて、これは、これらの条件下にあるヒトテロメアDNA配列の構造は、平行構造と逆平行構造の両方を有するハイブリッド構造であり得る、又は溶液中で構造体の混合物として存在し得ることを示唆する。 化合物8を添加すると、290nmのピークが小さくなり、265nmのピークが大きくなる。 これは、化合物8が、DNAの平行構造を誘発又は捕捉していることを示唆する。

    ヒトテロメア配列に対するCDスペクトルは、ナトリウムイオンの存在下とカリウムイオンの存在下とでは異なることが既に示されている(非特許文献63参照)。 これは、このDNA配列が、これらの対イオンの各々の存在下で異なる構造を示すことを示唆する。 ナトリウムイオン及びカリウムイオンの存在下で得られた異なるNMR及び結晶構造は、それぞれ、このイオン依存構造を支える。 カリウムイオンの存在下でのd[AG (T AG ](配列番号:1)のNMR構造は、逆平行籠状構造である(非特許文献10参照)。 ナトリウムイオンの存在下で得られたこの配列の結晶構造は、平行のプロペラ状構造を有する(非特許文献9参照)。 逆平行椅子型構造(非特許文献64、非特許文献65及び非特許文献66参照)並びに混合型平行/逆平行ハイブリッド構造(非特許文献37参照)を含む他の構造が、カリウムの存在下に存在することが提案されている。 図1も参照されたい。

    化合物8の結合に対するDNA構造の影響を調べるために、異なる塩条件下でヒトテロメアDNAに対するCD滴定を行って、化合物8が、このDNA配列の異なる構造に対して二量体として結合するかどうかを判断した。 図5a及び5bは、それぞれ50mMのナトリウム及び50mMのリチウムの存在下で、化合物8で滴定したd[AG (T AG ](配列番号:1)に対するCDスペクトルを示す図である。 リチウムは、四重鎖構造に対する非安定化効果を有することが示された(非特許文献67参照)。 カチオンが存在するにもかかわらず、エキシトン分裂が生じ、カリウムが存在する場合のように、290nmのピークが小さくなって、265nmのピークが大きくなる。 これは、DNAの開始構造にかかわらず、化合物8は、DNAの平行構造の形成を誘発し、二量体に対する最適な結合を形成する。 PIPER及びテロメスタチンのみが、ヒトテロメアDNAにおける四重鎖形成を誘発することが示された(非特許文献38及び非特許文献68参照)。

    様々な構造の他のDNA配列、並びに異なる塩基において改造され、様々な長さを有するヒトテロメア配列(表1)について、化合物8に対するCDスペクトル(図6〜11及び13〜17)を得た。 化合物8がエキシトン分裂を示した唯一の配列は、テトラヒメナテロメア及び改造ヒトテロメア配列である。 化合物8についてのd[TGGGGT](配列番号:13)のCDスペクトル(図17)は、例えば、誘発CD又はエキシトン分裂を一切示さず、化合物8はこの配列に結合しないことを示唆している。 テトラヒメナテロメアは、1つのプロペラループ及び2つの平行ループを有する混合型平行/逆平行ハイブリッド構造を有することがNMRによって示された。 これは、実際にヒトテロメアが混合型ハイブリッド四重鎖として存在すれば、化合物8は、二量体として非常に選択的にこの種の四重鎖構造に結合することを示唆する。

    式(I)から(IV)のいくつかの化合物のG−四重鎖結合に関するCDデータを以下の表2に要約する。 いくつかの化合物は、誘発CDによって証明されるように、テロメアG−四重鎖DNA配列d[AG (T AG ](配列番号:1)に結合すると思われたが、スペクトルは、エキシトン分裂を示さなかった。 誘発CDの相対的強度は、(+)マークの数によって示される。 化合物8、17、49及び51を含む他の化合物は、右側の欄の1以上の(+)マークによって示されるように、エキシトン分裂を誘発した。

    ヒトテロメアDNAに結合したときの化合物8のスペクトル特性の変化を監視するために吸光度滴定を行った。 DNAを添加する前は、化合物8単量体の吸光度ピークは、370nmに現れている。 DNAを添加すると、この単量体ピークは、強度が低下し、二量体の形成に対応する新たなピークが425nm付近に形成される。 図12を参照されたい。 この深色シフトは、J−集合体の形成を表す。 J−集合体において、二量体内の2つの発色団の遷移双極子単量体は、並進偏移により配向している。 最も低いエキシトン状態への電子遷移が可能になって、吸光度最大値の赤方偏移をもたらす(非特許文献69及び非特許文献70参照)。 化合物8の場合は、この二量体構造の偏移は、末端の正電荷アミジンが、隣接分子上のアミジンの間により大きな距離を有することを可能にし、H−集合体(非偏移)構造に存在する電子反発力を低下させる。 滴定スペクトルは、また、二状態遷移を表す等吸収点を395nmに示す。 これは、この系に存在する唯一の種が、未結合単量体及び結合二量体であることを示唆する。

    表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて、化合物8とヒトテロメアDNAの間の相互作用を定量的に評価した。 SPRは、分子反応をリアルタイムで監視するための有力な技術で、化合物と四重鎖DNAとの相互作用を調べるのに既に用いられている。 テロメア配列d[AG (T AG ](配列番号:1)を固定し、一定の範囲の濃度の化合物8(2nMから10μM)を注入して、DNAとの相互作用を定量的に評価した。 二重鎖ヘアピンd[CGAATTCGTCTCCGAATTCG](配列番号:8)を形成する第2のオリゴヌクレオチドを第2の流動セルに固定して、四重鎖DNAと二重鎖DNAに対する化合物8の選択性を評価した。 緩衝剤を流すことによるブランク注入も実施し、得られたセンソグラムを化合物のセンソグラムから差し引いて、最終的な濃度依存グラフを得た。 センソグラムの定常領域における応答値を流動溶液における化合物8の未結合濃度(Cr)に対してプロットした。 結合の化学量論比は、化合物8の濃度が増加するにつれて近づくRU値から生じた。 ヒトテロメア配列と二重鎖配列に対する限定的なRU値の著しい差は、テロメアに対する結合化学量論比が2:1で、二重鎖に対する結合化学量論比が1:1であると定めるものであった。 ヒトテロメア配列に対する化合物8の化学量論比が2:1であることは、二量体としての結合を示唆するCD及び吸光度結果と一致する。

    より高い濃度では大きな信号増加は認められず、それは、化合物の集合が認められないことを示す。 この種の集合は、二量体及びより高次の集合体の形成が可能であるポリフィリン及びカルボシアニンなどの分子に認められる。 化合物8の結合部位は、その部位を二量体に限定する幾何学的なサイズ拘束を提供し得る。 化合物8の分子が、G−四分体の末端に外的に堆積すると、さらなる分子が二量体に堆積し、より大きい集合体をもたらし、化学量論比が2:1より大きくなることになる。 溝結合又はインターカレーション結合様式は、この種の制限環境を提供する可能性が高い。 しかし、リガンドのサイズと比較して四分体間の距離が小さいために、共面二量体のインターカレーションの可能性は極めて低い。 したがって、溝結合は、化合物8の二量体のヒトテロメア配列に対する結合のための最も信頼性のあるモデルである。

    化合物8のヒトテロメア配列並びに二重鎖配列との結合親和性を判断するのにもSPRを用いた(図18)。 RU対C のプロットを、1以上の結合部位を有する結合モデルに適合させた。 ヒトテロメア配列の場合は、K =4.7×10 −1及びK =4.5×10 −1である。 化合物8のヒトテロメアDNAに対する結合親和性は、295nmで監視される50mMのKClを含むHEPES緩衝剤における約10℃のΔT によっても裏づけられる(データは示されていない)。 二重鎖配列については、単一部位に対する結合定数は、K=1.3×10 −1であり、化合物8のヒトテロメア四重鎖に対する選択性は、二重鎖DNAに比べて約4倍であることを示していた。

    ヒトテロメア配列に対する化合物8の結合については、第2の結合部位に対する結合定数は、第1の部位に対する結合定数より一桁小さく、負の協同性を示す。 これは、誘発領域において正の協同性を示す思われるCDスペクトルと矛盾するように思われる。 しかし、エキシトン分裂は、二量体分子間の相互作用からのみ生じ、単量体結合からは生じないため、エキシトン分裂は、第2の分子の結合に際してのみ認められることになり、それは、SPRで示されるように結合が負の協同性で生じたとしても、正の協同性の様相を与えることになる。

    DNAを化合物8の溶液に滴定することによって蛍光滴定を行った。 データのスキャッチャードプロットを図19に示す。 rが小さいときの初期領域における曲線を外挿し、x軸との交点を求めることによって、化学量論比を図から求めることができる。 この場合、線はr=2付近で交差し、化学量論比は、DNAの分子1つ当たり化合物8の分子が2つであることを示しており、それは、SPR実験から得られた化学量論比と一致する。 そのプロットの下方の曲率は、結合が負の協同性で生じることを示しており、それも、SPRデータとも一致する。

    DNA塩基から結合した化合物8の二量体へのエネルギー伝達の規模を測定するために蛍光エネルギー伝達試験を行った。 四重鎖末端への堆積又は四分体内のインターカレーションは、DNAの吸光度に起因するピークを励起スペクトルの260nmに出現させるエネルギー伝達を可能にする。 d[AG (T AG ](配列番号:1)を化合物8に添加すると、蛍光は、すべての波長にわたって低下し、260nmのピークは出現しない(図20)。 これは、化合物8の二量体が、DNAからのエネルギー伝達を防止する方位で四重鎖溝に位置することを示唆する。

    カリウムの存在下での配列d[TAGGGUTAGGGT](配列番号:9)に対するNMR試験は、その配列が二量体ヘアピン型平行構造を形成することを示唆する他の研究者による先の試験と一致することを示した(非特許文献71参照)。 改造ヒトテロメアのイミノプロトンスペクトルは、DNAは、平行(プロペラ)又は逆平行(籠)の双方の形態で存在することが可能であり、温度が上昇するに従って、平行形態が好ましくなることを示している。 様々な改造ヒトテロメア配列による化合物8の滴定試験は、化合物は、構造体の混合物のうち極めて選択的に平行構造体に結合することを示す。 化合物8で滴定すると、逆平行種に対応するピーク強度が低下し、化合物が平行形態に結合し、それを安定化させることを示す。 図21、22及び23を参照されたい。

    遊離d[TAGGGUUAGGGT](配列番号:10)のウラシルH5〜H6のTOCSYスペクトル(図24)は、構造体の混合物の存在を示す。 7.86ppmのピークは、U H5〜H6交差ピークに対応するのに対して、7.80ppmの交差ピークは、U H5〜H6プロトンに対応する。 これら2つの交差ピークは、主要な形態を構成するのに対して、他の2つの7.7及び7.5ppmの交差ピークは、副次的な種のU 及びU に対応する。 化合物8で滴定した後に、副次的な種からの2つのピーク、7.7及び7.5ppmの強度は著しく低下し、これは、化合物が単一構造を好むことを示すものでもある。

    遊離d[TAGGGUUAGGGT](配列番号:10)のTOCSYスペクトルのT−メチル領域(図25)は、構造体の混合物の存在を示す。 7.5ppmのピークを詳細に観察すると、この位置における2つのピークは互いに重複し、平行種のT1及びT12メチルプロトンに対応するのに対して、7.3ppmのピークは副次的な(逆平行)形態に対応することがわかる。 化合物8を添加した後に、ピークの1つが7.44ppmの新たな位置に移動するのに対して、他のピークは7.5ppmに留まる。 d[TAGGGUTAGGGU](配列番号:11)のウラシルH5〜H6プロトンのTOCSYスペクトル(図26a〜26c)は、化合物8の割合が増加するに従って、副次的な種の交差ピークが消え、化合物が単一構造に選択的に結合することを示唆することを示す。

    (実施例17)
    (ジカチオンポリアリールのインビトロ抗原虫活性)
    確立されたプロトコルに従ってインビトロ抗原虫活性を測定した(非特許文献72及び非特許文献73(レーシュマニアドノヴァニに対するインビトロ分析)参照)。 トリパノソーマブルーセイローデシエンス(T.b.r.)及びプラスモジウムファルシパルム(P.f.)に対するフラミジン及び化合物8、17、45〜47、49及び51〜53の活性を表3に示す。

    (実施例18)
    (ジカチオンポリアリールのインビボ抗原虫活性)
    マウスモデルにおけるトリパノソーマブルーセイローデシエンス(T.b.r.)のSTIB900株に対するフラミジン及び化合物8、17、45〜47及び51〜53の活性も表3に示す。 タンザニアの患者を起源とする2×10 の血流形態のT. b. r. STIB900を4匹のマウスのグループに腹腔内感染させた。 感染後3、4、5及び6日目に、腹腔内経路、又はプロドラッグについては経口経路によってそれらの実験グループを薬剤で処理した。 通常は、前毒性学的実験で決定された最大許容投与量を用いた。 マウスの寄生虫血を感染後14日目まで毎日調べ、その後は60日目まで1週間に2回ずつ調べた。 1グループのマウスを処理せず、対照として利用した。 再発性マウスについては、死亡日を記録し、生存期間を求めた。

    本明細書に開示される主題の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される主題の様々な詳細を変更できることが理解されるであろう。 また、先述の説明は、例示のみを目的とし、限定することを目的とするものではない。
    (図面の簡単な説明)

    図1は、分子内G−四重鎖によって形成された様々な二次構造の概略図である。

    図2Aは、二対の平行DNA鎖を含有するハイブリッドG−四重鎖における溝サイズを示す先行技術の図である。 鎖の極性は、ヌクレオチド糖を表す楕円体における(+)及び(・)で示される。 図2Bは、逆平行G−四重鎖における相対的溝サイズを示す先行技術の図である。

    図3は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で3.29μMのd[AG

    (T

    AG

    ](配列番号:1)に滴定された本明細書に開示される化合物8の円二色性(CD)スペクトルである。 化合物:DNA比は、0.5:1から5:1の範囲である。

    図4は、図3のCDスペクトルのDNA領域の拡大図である。

    図5Aは、50mMのNaClを含有するHEPES緩衝液中で3.23μMのd[AG

    (T

    AG

    ](配列番号:1)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から5:1の範囲である。

    図5Bは、50mMのLiClを含有するHEPES緩衝液中で3.45μMのd[AG

    (T

    AG

    ](配列番号:1)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から5:1の範囲である。

    図6は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で2.30μMのc−MYC、d[AG

    TG

    AG

    TG

    A](配列番号:2)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から5:1の範囲である。

    図7は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で9.40μMのテトラヒメナテロメア、d[(T

    ](配列番号:4)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から5:1の範囲である。

    図8は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で1.83μMのオキシトリカテロメア、d[G

    (T

    ](配列番号:3)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から5:1の範囲である。

    図9は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で5.63μMのd[(GC)

    ](配列番号:5)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から5:1の範囲である。

    図10は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で4.59μMのd[GCGAATTCGC](配列番号:6)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から5:1の範囲である。

    図11は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で3.32μMのトロンビン結合アプタマー、d[G

    TGTG

    ](配列番号:7)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 化合物:DNA比は、1:1から4:1の範囲である。

    図12は、50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で8.2μMの本明細書に開示される化合物8を含むキュベットに滴定されたd[AG

    (T

    AG

    ](配列番号:1)の、4.4μMの最終DNA濃度までの吸光スペクトルである。

    図13は、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、及びpH7.0に調整された0.1mMのEDTAの存在下で、d[TAGGGUTAGGGT](配列番号:9)ヘアピン二量体(四重鎖濃度4μM)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 全K

    濃度は、70mMである。

    図14は、50mMのNaCl、10mMのNa

    HPO

    、及びpH7.0に調整された0.1mMのEDTAの存在下で、d[TAGGGUTAGGGT](配列番号:9)ヘアピン二量体(四重鎖濃度4μM)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 全Na

    濃度は、70mMである。

    図15は、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、及びpH7.0に調整された0.1mMのEDTAの存在下で、d[TAGGGUUAGGGT](配列番号:10)ヘアピン二量体(四重鎖濃度4μM)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 全K

    濃度は、70mMである。

    図16は、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、及びpH7.0に調整された0.1mMのEDTAの存在下で、d[TTAGGGT](配列番号:12;一本鎖濃度16μM)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 全濃度は、70mMである。

    図17は、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、及びpH7.0に調整された0.1mMのEDTAの存在下で、d[TGGGGT](配列番号:13;一本鎖濃度16μM)に滴定された本明細書に開示される化合物8のCDスペクトルである。 全K

    濃度は、70mMである。

    図18は、200mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で得られたd[AG

    (T

    AG

    ](配列番号:1)及びヘアピン二重鎖d[CGAATTCGTCTCCGAATTCG](配列番号:8)に対する、本明細書に開示される化合物8の表面プラズモン共鳴(SPR)定常結合プロットを示す図である。 濃度軸は、流動溶液における非結合化合物8の濃度であり、RUは、計器応答(共鳴単位)を表す。 ランダム点分散による固定誤差は、±5%未満である。

    図19は、蛍光滴定のスキャッチャードプロットである。 励起は393.5nmに設定し、放射は、蛍光ピーク(469nm)において監視した。 50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中で本明細書に開示される化合物8を4.975μM含むキュベットにd[AG

    (T

    AG

    ](配列番号:1)を、4.04μMの全DNA濃度まで漸増的に添加した。 C

    は、非結合化合物8の濃度と定義され、rは、結合化合物8の濃度をDNAの濃度で割ったものと定義される。

    図20は、0.3μMの本明細書に開示される化合物8の単独の、かつ50mMのKClを含有するHEPES緩衝液中での8μMのd[AG

    (T

    AG

    ](配列番号:1)の存在下における蛍光励起スペクトルである。 放射波長を469nmに設定した。

    図21は、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSにおいて35℃で得られた本明細書に開示される化合物8のモル比が0:1、1:1及び2:1(下から上)のときのd[TAGGGUTAGGGT](配列番号:9)ヘアピン二量体(0.1mMの四重鎖濃度)のイミノプロトンを示すH

    NMRスペクトルである。 G−四分体形成に関わるグアニンイミノプロトンは、12.5ppmと10.5ppmの間で共鳴する。 スペクトルを記録する前に、遊離DNAを一晩アニールさせた。

    図22は、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSにおいて35℃で得られた本明細書に開示される化合物8のモル比が0:1、1:1及び2:1(下から上)のときのd[TAGGGUUAGGGT](配列番号:10)ヘアピン二量体(0.1mMの四重鎖濃度)のイミノプロトンを示すH

    NMRスペクトルである。 G−四分体形成に関わるグアニンイミノプロトンは、12.5ppmと10.5ppmの間で共鳴する。 スペクトルを得る前に、遊離DNAを2時間アニールさせた。

    図23は、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSにおいて35℃で得られた本明細書に開示される化合物8のモル比が0:1、1:1及び2:1(下から上)のときのd[TAGGGUTAGGGU](配列番号:11)ヘアピン二量体(0.1mMの四重鎖濃度)のイミノプロトンを示すH

    NMRスペクトルである。 G−四分体形成に関わるグアニンイミノプロトンは、12.5ppmと10.5ppmの間で共鳴する。 スペクトルを回収する前に、遊離DNAを一晩アニールさせた。

    図24は、本明細書に開示される化合物8のDNAに対するモル比が0:1及び2:1のときのd[TAGGGUUAGGGT](配列番号:10;0.1から0.5mM四重鎖濃度)に対する35℃でのウラシルH5〜H6交差ピークの拡張TOCSY(60ms混合時間)スペクトルを示す図である。 U6及びU7標示されたピークは、大きな平行形に対応するのに対して、他の2つのピークは、小さな逆平行形に対応する。 化合物で滴定した後に、逆平行形の交差ピーク強度は低下するが、それは、化合物が平行形に優先的に結合し、それを安定化させることを示唆する下部スペクトルにおいて明らかである。 スペクトルは、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSの存在下における35℃で60msの混合時間により得られた。

    図25は、DNAに対する化合物の比が0:1及び2:1のときのd[TAGGGUUAGGGT](配列番号:10)及び本明細書に開示される化合物8のTOCSY NMRスペクトルの一部を示す図である。 交差ピークは、C5のCH

    プロトン、及びチミン残基のH6プロトンに対応する。 上部スペクトルの左側のピークは、大きな平行種のT1及びT12に対応する重複ピークであるのに対して、右側のピークは、小さな逆平行形に対応する重複ピークである。 化合物8で滴定した後に、大きな種のピークの1つは、下部スペクトル上の矢印で示された新たな位置へ上方移動する。 スペクトルは、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSの存在下における35℃で60msの混合時間により得られた。

    図26Aは、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSの存在下における35℃のd[TAGGGUTAGGGU](配列番号:11)配列のウラシルH5〜H6に対するTOCSYスペクトルである。

    図26Bは、化合物8のモル比が1:1のときの35℃におけるd[TAGGGUTAGGGU](配列番号:11)のウラシルH5〜H6に対するTOCSYスペクトルである。 スペクトルは、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSの存在下における35℃で60msの混合時間により得られた。

    図26Cは、本明細書に開示される化合物8のモル比が2:1のときの35℃におけるd[TAGGGUTAGGGU](配列番号:11)のウラシルH5〜H6に対するTOCSYスペクトルである。 スペクトルは、内部標準として、50mMのKCl、10mMのK

    HPO

    、0.1mMのEDTA及び0.05mMのDSSの存在下における35℃で60msの混合時間により得られた。

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