Spherical hydraulic material and a method of manufacturing the same

申请号 JP51722891 申请日 1991-11-01 公开(公告)号 JP3176919B2 公开(公告)日 2001-06-18
申请人 三菱マテリアル株式会社; 健一 服部; 发明人 健一 服部; 悦郎 朝倉; 康弘 深田; 浩幸 藤澤;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】CaO,SiO 2 ,Al 2 O 3及びFe 2 O 3を主構成成分とする水硬性粉末において、該粉末の表面が溶融平滑化されたのち冷却されており、該粉末の粒径が500μm以下で平均円形度が0.7以上であることを特徴とする球状水硬性物質。
  • 【請求項2】CaO,SiO 2 ,Al 2 O 3及びFe 2 O 3を主構成成分とする球状水硬性粉末を、飛散状態で該粉末の表面を溶融し、飛散状態で冷却固化することを特徴とする球状水硬性物質の製造方法。
  • 【請求項3】溶融状態あるいは500℃以上の製鉄スラク等の高温物質に、CaO,SiO 2 ,Al 2 O 3 ,Fe 2 O 3の1種以上を主成分とする原料の乾燥物,仮焼物,焼結物或いは溶融物を混合して混合溶融物とし、該混合溶融物を飛散し、飛散状態で冷却固化することを特徴とする球状水硬性物質の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、高強度成形体を製造するための球状硬性物質、及びその製造方法に関するものである。

    背景技術 従来の水硬性物質、例えば、セメント、高炉水砕スラグ微粉末などの製造方法は、原料を高温で焼成あるいは溶融して冷却し、得られた塊状あるいは粒状の物質を適宜な副原料を添加して微粉砕する方法である。 そのため、個々の粒子は張った不揃いの形状を示す。

    これらは角張った不揃いの形状をしているため、これを水と混練したものは流動性に優れず、セメントペーストにおいては、成形可能な最低限の流動性を得るための水量は、水セメント比で30%である。 高性能減水剤を用いた場合は更に水量を減じることができるが、それでも水セメント比で25%が限度であった。

    一方、水セメント比を小さくすると硬化後のコンクリート強度が高くなることは周知の事実で、従来より水セメント比をできるだけ小さくし、密実なコンクリートを打設し高強度の硬化体を得るための努がなされている。

    しかし従来の粉砕による製造方法で得られたセメントでは、水セメント比を小さくすることができないためコンクリートの圧縮強度は1200kgf/cm 2程度が限度であった。 したがって、これを構造用のセラミックスや金属の代りとすることは困難であった。

    また水硬性物質、例えばセメントは、一般にCaO,Si
    O 2 ,Al 2 O 3 ,Fe 2 O 3の1種以上を主成分とする原料を調合・
    微粉砕・焼成してクリンカとし、クリンカに石膏を加えて微粉砕して製造されるため、粒子の形状は角張っているだけでなく、焼成に多量の熱量を必要とするとともに2回の微粉砕に多量の電力を必要としている。

    微粉砕された水硬性粉末の球状化を行う方法として、
    例えば特開平2−192439号公報に開示されているような、高速気流中衝撃装置により粒子表面を球状に平滑化する方法があるが、この方法では、水硬性物質のクリンカを焼成する必要があり、球状化の程度及び表面の平滑度が不十分である。 また、この方法によっては従来のセメント製造方法に要した熱消費及び動力消費に加えて更に微小粒子材料に回転衝撃を与えるための動力消費も加える必要がある。

    発明の開示 本発明は、上記従来技術の欠点を解決し、より完成度の高い球状化した水硬性物質、及びその製造方法を提供することを課題とするものである。

    上記課題を達成するため本発明の球状水硬性物質は、
    CaO,SiO 2 ,Al 2 O 3及びFe 2 O 3を主構成成分とする水硬性粉末において、該粉末の表面が溶融されたのち冷却されており、該粉末の粒径が500μm以下で平均円形度が0.7以上であることを特徴とするものである。

    また、上記課題を達成するための本発明の第1の球状水硬性物質の製造方法は、CaO,SiO 2 ,Al 2 O 3及びFe 2 O 3を主構成成分とする水硬性粉末を、飛散状態で該粉末の表面を溶融し、飛散状態で冷却固化することを特徴とするものである。

    さらに、上記課題を達成するための第2の球状水硬性物質の製造方法は、溶融状態あるいは500℃以上の製鉄スラグ等の高温物質の保有熱量の活用に着目し、溶融状態あるいは500℃以上の製鉄スラグ等の高温物質に、Ca
    O,SiO 2 ,Al 2 O 3 ,Fe 2 O 3の1種以上を主成分とする原料の乾燥物,仮焼物,焼結物或いは溶融物を混合して混合溶融物とし、該混合溶融物を飛散し、飛散状態で冷却固化することを特徴とするものである。

    本発明のCaO,SiO 2 ,Al 2 O 3及びFe 2 O 3を主構成成分とする水硬性物質は、上述のように粒径が500μm以下、粒子の平均円形度が0.70以上であることを特徴とする球状水硬性物質である。 ここで、粒子の円形度は、走査電子顕微鏡観察による投影図の輪郭の長さに対する投影面積の等しい円の周長の比で示される。 また、平均円形度は、任意に選んだ50個の粒子の円形度の平均値である。

    本発明の球状水硬性物質の粒径は、500μm以下、望ましくは100μm以下で、粒径が500μmを超える粒子では硬化後の強度が低く、平均円形度が0.7未満では、ペースト、モルタル、コンクリートの流動性が不十分で、
    望ましくは0.9以上である。

    本発明の球状水硬性物質は、粒径3μm以下の球状微粒子とすることができ、これらの球状微粒子は高強度コンクリートに利用されているシリカフュームなどの球状微粒子と同等の作用を果し、水との混練物は流動性向上及び最密充填構造の達成による高強度化、乾燥収縮の低減、高耐久性の作用を生ずる。 適切な粒度を選定し、分散剤を使用して流し込み製品に使用すれば、焼結による酸化物セラミックス成型物に匹敵する高強度が発現するばかりでなく、流し込み後に焼結工程が不要なために酸化物セラミックス焼結物よりも寸法精度に優れた成型物を得ることができる。

    本発明の球状水硬性物質はそのベアリング効果により同一水量での混練でも混練物の流動性が向上する。 すなわち同一流動性を得る場合の水量は格段に低くなる。 さらに、形態が球状であるため、粒子間のすべりがよく自然沈降により密に充填しやすい特性を有する。 これらの効果は、粒子形状が真球に近いほど発揮される。 平均円形度が小さいほど充填密度が低くなり、大きな空隙が残りやすくなる。 平均円形度が0.7以上であれば通常のセメントにない優れた物性が得られる。

    したがって、球状水硬性物質を用いたペースト、モルタル、コンクリートの強度は大幅に改良される。 球形骨材と併用することの効果は論をまたない。 また、本球状水硬性物質をセメント等の通常の水硬性物質と任意の割合で混合使用しても、上記効果が期待できる。

    また、本発明の粒子は、真球に近くて表面が平滑で、
    単位重量当りの表面積が小さいため、分散性を増すために添加する混和剤の吸着量及び吸蔵量が少なくなり、その添加量が少なくて済む利点がある。

    本発明の水硬性物質を使用する際には、必要に応じ形態の異なる石膏、硫酸アルカリ、硫酸マグネシウムなどの硫酸塩物質或は予めこれらの物質を含む水溶液の他に、各種セメント類、シリカヒューム、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、白土類、凝灰岩などの混合材、膨張材、オキシカルボン酸塩、、リグニンスルホン酸塩、
    クエン酸塩、グルコン酸塩、珪弗化マグネシウム、糖類及びその誘導体などの遅延剤、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムなどの硬化促進剤、ナフタリン系、メラミン系、ポリカルボン酸系、精製リグニン系などの分散性を増すための混和剤、樹脂石鹸、ポリオキシエチレン、アルキルアリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルフォン酸塩などの界面活性剤、収縮低減剤、防水剤、防凍剤、中性化防止剤、防錆剤、エフロ防止剤、アルカリ骨剤、反応防止剤、急結剤、分離低減剤、ポリマー混和剤を適宜混合して使用することができる。

    このように、本発明の球状水硬性物質は、表面が平滑で真球に近い球状微粒子であるため、水との混練物が従来のセメントに比較して流動性及び強度発現性に著しく優れている。 従って、高強度コンクリート、セルフレベリング硬化物、流し込み成型品、微細な隙間の充填材などに使用すると、従来にない画期的な性能が発揮される。

    本発明の球状水硬性物質は、これを構成する成分を含有する原料を溶融し、この溶融物を飛散したのち、飛散状態で冷却固化することにより得ることができる。

    溶融・飛散方法及び装置は特に限定されるものではなく、燃焼ガス方式、プラズマ方式、爆発方式等が用いられ、また、電気炉、ガス炉、アーク放電炉、反射炉、微粉炭焚ボイラ、レーザー溶融処理装置等で溶融させたのち、減圧容器中へ飛散させたり、溶融物を流出させながら高圧の空気、不活性ガス、水蒸気等で飛散させたり、
    高速回転体に衝突させたり、高速回転体に入れてその遠心力により球状化させる。 溶融物を飛散状態で冷却固化させるので、本発明の水硬性物質は表面張力により球状となり、粘度が低いほど粒径が小さくなる。 粒径を小さくするため減粘剤として種々のフラックスを用いる。

    原料としては、石灰石、粘土、珪石、スラグ、ボーキサイト、鉄原料など、セメント用原料として通常使用されているものの他、石炭灰、各種焼却灰、下水汚泥灰、
    生石灰、火山灰、赤泥などを適宜組み合わせて使用したり、セメント、セメントクリンカー、スラグなどの水硬性物質を単独あるいは混合して使用することができる。

    球状粒子の粒径、粒度分布、結晶化度は、原料組成の他、添加物、溶融物の温度、表面張力、粘度、飛散及び冷却の条件を変えることにより任意に変えることができ、水硬性物質の性能を多様化しやすい。 本発明による球状水硬性物質は、溶融物の表面張力により球状化するため、溶融物の粘度が冷却後の球状物の粒径、粒度分布、円形度に及ぼす影響は大きい。 溶融物の粘度は、溶融温度、溶融時の酸化・還元雰囲気、原料の化学組成、
    フラックスの添加により制御できる。 また、溶融物を飛散させる気体の種類と濃度を変えたり、適当な化合物を気体中に含ませて高温下で球状粒子に表面処理を施すことができ、流動特性、水和反応性、混和剤の吸着性状を変えることができる。

    なお、粒子が球状化する際に粒子同志が融着しないように、ガスアトマイズ法ではノズルの形状、粒子の濃度、チャージ量、滞留時間及び粒子を飛散させる気体の種類、圧力、温度、量、減圧法では真空度、温度、及びノズルの形状、遠心法では回転数、ディスク半径、溶融物のチャージ量及び落下位置を選択して、適正な分散及び冷却条件をつくる必要がある。

    上記製造方法は、現在のロータリーキルンと粉砕機を使用するセメントの製造方法とは全く異なるため、以下の革新的な技術成果が得られる。 すなわち、ロータリキルンではクリンカーを造粒化させるために、焼成時に液相量が大幅に増えてロータリーキルン内で融着現象を生じたり、あるいは1500℃近辺の焼成温度で焼結しにくくなるような化学組成の原料を使用することはできないが、本発明の方法では溶融することのできる広範囲の化学組成の原料をすべて使用することができる。 従って、
    クリンカー鉱物等の水硬性鉱物の組合せと構成割合を広範囲に任意に設定することが可能となり、従来実生産が困難なものも含めて水硬性物質の性能の多様化を容易に図ることができる。

    また、溶融から球状化までの工程には、通常のセメント製造工程に比較して、可動部分が少なく、監視項目も少ないので、製造装置のメンテナンス及び運転操作の面での利点も大きい。 さらに、仕上粉砕工程が不要となるため、粉砕及び輸送のエネルギーが節約できるとともに、粉塵処理量が減少できる。 また、粉体の嵩比重が大きいので、通常のセメントより同体積での貯蔵重量が増す利点もある。

    以上のように、本発明の方法により、従来のセメントと同一の原料を使用しても、従来のセメントの性能を大幅に改善するにとどまらず、酸化物セラミックス焼結物に類似する新規な性能も発揮する水硬性物質が製造可能となるため、産業上の貢献ははかりしれないものがある。

    また、本発明の球状水硬性物質は、これを構成する成分を含有する水硬性粉末を、飛散状態で少くとも該粉末の表面を溶融し、飛散状態で冷却固化することにより得ることもできる。

    この方法に用いる方法及び装置は特に限定されるものではなく、プラズマ方式、アーク放電方式等を使用することができ、供給する粒子の粒度分布、濃度、分散剤の種類、添加量及び粒子を飛散させる気体の種類、温度、
    量を選択し、適正な分散及び冷却条件を選定する必要がある。

    この方法においても、得られた粒子の少くとも表面は溶融・冷却固化されているので粒子は球状化されており、球状化による効果は、前述の原料による球状化と同様である。

    また本発明の球状水硬性物質は、溶融状態あるいは50
    0℃以上の製鉄スラグ等の高温物質に、CaO,SiO 2 ,Al 2 O 3 ,
    Fe 2 O 3の1種以上を主成分とする原料の乾燥物,仮焼物,焼結物或いは溶融物を混合して混合溶融物とし、該混合溶融物を飛散し、飛散状態で冷却固化することにより得ることもできる。

    この場合に、用いられる製鉄スラグ等の高温物質としては、高炉スラグ、製鋼炉スラグ、石灰灰、下水汚泥灰、各種ゴミ焼却灰、もみ殻灰、マグマ、溶岩等がその組成を勘案して使用され、これ等は溶融状態で用いることもできるのでその保有熱量を活用し得る。

    また、CaO,SiO 2 ,Al 2 O 3 ,Fe 2 O 3の1種以上を主成分とする原料としては、石灰石,生石灰,粘土,珪石,ボーキサイト,鉄鉱石,銅からみ,蛍石等が、製鉄スラグ等の高温物質及び製造されるクリンカの組成を勘案して配合され、配合原料は、乾燥、仮焼、焼結或いは溶融して、
    溶融状態あるいは500℃以上の製鉄スラグ等の高温物質に混合される。

    次いで、製鉄スラグ等の高温物質と配合原料との混合溶融物を飛散し、飛散状態で冷却固化して、粒径が500
    μm以下で平均円形度が0.7以上である粒子とする。

    溶融・飛散方法及び装置は特に限定されるものではないことは前述の通りである。

    この製鉄スラグ等の高温物質を利用する方法を採用した場合は、上述の各効果に加え、クリンカ鉱物生成エネルギとして高温物質の保有熱量が利用できるため、従来の方法と比べて、熱エネルギコストが大幅に低下するという効果も得ることができる。

    図面の簡単な説明 Fig.1は、実施例2で得られた本発明の球状水硬性物質の研磨面の倍率約500倍の顕微鏡写真である。

    発明を実施するための最良の形態 [実施例1,2] 普通ポルトランドセメントクリンカ組成の原料粉末をアーク炉で2000℃に溶融した後、10 -2 mmHgの噴霧タンク中に細いノズルにより噴霧して、直径が60μm以下で平均粒径が約16μmの平均円形度の異なる3種類(実施例
    1,2及び比較例1)の球状水硬性物質を製造した。 これにブレーン値9000cm 2 /gの二水石膏を3重量%添加して供試セメントとした。

    得られた球状水硬性物質には、粒径15μm以下の丸みを帯びたエーライト及び粒径10μm以下のビーライトが多く、通常のクリンカ鉱物より小粒であった。 また、球状粒子の中心部と表面部付近で鉱物の粒径、構成割合に明瞭な差が認められず、粒子全体が均質な鉱物・化学組成になっていた。

    このセメントに、減水剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物(花王社製マイテイ150)を使用してペーストを作成した。

    比較例2として、普通ポルトランドセメントについても同様にペーストを作成した。

    ペーストは手練りとし、JISR5201に規定の練鉢に供試セメント400gを計りとり、ついでマイテイ150の水溶液をマイテイ150の量がセメントに対して2.0%となるように加え、最後に残量の水を加えてペーストの軟度を調節した。 ペーストの軟度は凝結試験の標準軟度に合わせた。

    混練したペーストで2×2×12cmの供試体を作成し、
    脱型の後、常温での水中養生28日強度試験とオートクレーブ養生後の強度試験を行なった。 オートクレーブ養生の条件は179℃、6時間である。

    また、球状水硬性物質を用いたセメントを水・セメント比55%で混練後、回転粘度計内に静置して3時間経過したところ、多量のブリージング水が発生し、ローターを手で抜くのが困難であった。 一方、普通ポルトランドセメントではブリージング水がほとんど認められず、ローターも手で抜くことができた。 球状水硬性物質を用いたセメントでのこの現象は、球状粒子の自然沈降による高度の充填効果によるもので、ハードケーキング現象の積極的な効用を示唆している。

    これら実施例1,2および比較例1,2の強度試験値を表1
    に記す。

    球状水硬性物質を用いた供試セメントは普通ポルトランドより標準軟度水量が少なく、減水効果が大きいことがわかる。 また強度は、供試セメントの方がはるかに高いことがわかる。 平均円形度が0.63(比較例1)のものより、0.84(実施例1),0.92(実施例2)のものの方が優れた物性を示す。

    [実施例3] 周波数が約4MHz、高周波出力が連続50kWの高周波プラズマ発生装置のトーチ内に、アルゴンを65リットル/
    分、窒素を10リットル/分供給しながらプラズマフレームを発生させた。 粒径が約40〜100μmのポルトランドセメントクリンカ粉末を約1g/分の供給速度でプラズマフレーム中を通過させ、その下部ホッパに堆積した冷却した球状粒子を回収した。 平均粒径が約70μmの真球状の粒子を得た。

    図1に、得られた球状粒子の研磨面の倍率約500倍の顕微鏡写真を示す。 全体が溶融した粒子には樹枝状や針状のシリケート相鉱物が生成し、表層部のみが溶融した粒子には、表層部に樹枝状・針状のシリケート相鉱物が、その内側には元のクリンカに含まれていた通常の形態のシリケート相鉱物が観察された。

    得られた球状粒子に二水石膏の微粉末を3重量%添加して供試セメントとした。 JISR5201に規定された凝結試験の標準軟度水量に合せてセメントペーストを混練して2×2×12cmの供試体を作製し、脱型の後、20℃の水中で養生して圧縮強度試験を行った。 比較例3として用いたクリンカ粉末についても同様にペーストを作成した。
    その試験結果を表2に示す。

    球状粒子を用いた供試セメントは、元クリンカに二水石膏の微粉末を3重量%添加した比較用セメントよりも、標準軟度水量が少く減水効果が大きい。 また強度も供試セメントの方がはるかに高いことがわかる。

    [実施例4] 粒径45μm以下の中庸熱ポルトランドセメントクリンカー粒子を、アーク溶射装置に供給して平均粒径が約15
    μmの球状粒子を作製した。

    元のクリンカー粒子(比較例4)と球状粒子に、二水石膏の微粉末を3重量%添加して供試セメントとした。

    これらのセメントに減水剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物(花王社製マイテイ150)を使用してセメントペーストを作製した。 ペーストは手練りとし、JISR5201に規定の練鉢に供試セメント400gを計りとり、次いでマイテイ150の水溶液を、マイテイ150の量がセメントに対して2.3%となるように加え、最後に残量の水を加えてセメントペーストの軟度を調節した。 軟度は、凝結試験の標準軟度に合わせた。

    混練したセメントペーストで2×2×12cm供試体を作製し、脱型の後、20℃で水中養生して材令28日の強度試験を行った。 試験結果を表3に示す。

    球状粒子からなる供試セメントは比較用に用いた上記クリンカ粉末によるセメントと比べて標準軟度水量が少く、強度の発現性が良好である。 従って、低水量で高流動性かつ高強度発現性のペースト、モルタル又はコンクリートを製造することができる。

    [実施例5] 1450℃で溶融している高炉スラグを酸素富化空気を使用するガス化炉に受け、その中に生石灰,珪石,銅からみ,蛍石を徐々に混合しながら1900℃に加熱溶融して、
    普通ポルトランドセメントクリンカの主要化学組成とした。

    次いでこの混合溶融物をガスアトマイズ装置の高周波溶解炉に受け、溶融物を溶解炉から流出させつつ圧力6M
    Paの空気を吹付けて微粒化し、平均粒径が約30μm、平均円形度が0.97の真球状クリンカ粒子を得た。

    得られた球状粒子に、二水石膏の微粉末を3重量%添加して供試セメントとし、JIS R 5201に規定された凝結試験の標準軟度水量に合せてセメントペーストを混練して直径5cm長さ10cmの供試体を作製し、脱型の後、2
    0℃の水中で養生して圧縮強度試験を行った。

    比較例5として、従来のセメント製造方法で作製した組成及び平均粒径が実施例5と同一のクリンカ粒子についても、実施例5と同様に試験した。

    これ等の試験結果を表4に示す。

    実施例による粒子を用いた供試セメントは、比較例によるセメントよりも標準軟度水量が少なくて減水効果が大きく、強度発現性に優れている。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深田 康弘 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社 セメント研究所 内 (72)発明者 藤澤 浩幸 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社 セメント研究所 内 (56)参考文献 特開 平4−42843(JP,A) 特開 平3−295835(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) C04B 5/00 - 7/60 B01J 2/02

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