接合体の製造方法

申请号 JP2013075641 申请日 2013-04-01 公开(公告)号 JP5772861B2 公开(公告)日 2015-09-02
申请人 株式会社デンソー; 发明人 大河内 泰幸; 河本 保典;
摘要
权利要求

セラミック材料からなるセラミック体(11)と金属材料からなる金属体(12)とを接合してなる接合体(1)の製造方法であって、 上記セラミック体(11)と上記金属体(12)との間にギャップ層(4)を配置すると共に、線膨張係数が上記セラミック体(11)と上記金属体(12)との間である第1中間層(31)、第2中間層(32)をそれぞれ上記セラミック体(11)と上記ギャップ層(4)との間、上記金属体(12)と上記ギャップ層(4)との間に配置する配置工程と、 上記セラミック体(11)と上記第1中間層(31)とを拡散接合すると同時に、上記金属体(12)と上記第2中間層(32)とを拡散接合する拡散接合工程と、 上記第1中間層(31)と上記第2中間層(32)との間から上記ギャップ層(4)の少なくとも一部を排出するギャップ層排出工程と、 上記第1中間層(31)と上記第2中間層(32)とを接合する中間層接合工程とを有し、 上記拡散接合工程では、上記ギャップ層(4)によって、上記セラミック体(11)及び上記第1中間層(31)の接合部分と上記金属体(12)及び上記第2中間層(32)の接合部分との間の熱伝導を抑制すると共に、上記第1中間層(31)及び上記第2中間層(32)の上記ギャップ層(4)側の表面(311、321)に形成される酸化膜を除去することを特徴とする接合体(1)の製造方法。請求項1に記載の接合体(1)の製造方法において、上記ギャップ層(4)は、熱伝導率が0.1W/(m・K)以下であることを特徴とする接合体(1)の製造方法。請求項1又は2に記載の接合体(1)の製造方法において、上記ギャップ層(4)は、ステンレス鋼用フラックスからなることを特徴とする接合体(1)の製造方法。請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体(1)の製造方法において、上記第1中間層(31)及び上記第2中間層(32)の少なくとも一方は、上記ギャップ層(4)側の表面(311、312)に突起部を有し、上記ギャップ層排出工程では、上記ギャップ層(4)を介在させた状態で上記第1中間層(31)と上記第2中間層(32)とを圧縮し、上記突起部(33)を塑性流動させることによって上記ギャップ層(4)を上記第1中間層(31)と上記第2中間層(32)との間から排出することを特徴とする接合体(1)の製造方法。

说明书全文

本発明は、セラミック材料からなるセラミック体と金属材料からなる金属体とを接合してなる接合体の製造方法に関する。

セラミック材料からなるセラミック体と金属材料からなる金属体とを接合してなる接合体は、例えば、排ガス浄化用の電気加熱式触媒コンバータ(EHC)、温度センサ素子、セラミックヒータ等に用いられる。 このような接合体において、セラミック体と金属体とは様々な接合方法により接合されている。

例えば、特許文献1には、セラミック体と金属体との間にろう材を介在させ、両者をろう付けにより接合した接合体が開示されている。ところが、ろう材は比較的低融点であるため、接合体を自動車の排気管内等の高温環境下で使用する場合、ろう材の耐クリープ性が問題となり、接合体の使用温度に制限が生じてしまう。

そこで、特許文献2には、セラミック体及び金属体を加熱して拡散接合した接合体が開示されている。これによれば、セラミック体と金属体との界面に拡散層が形成されるため、両者の接合部分を高融点化することができる。よって、高温環境下で使用する場合であっても、耐熱性を十分に確保することができる。

特開2012−76937号公報

特開2005−343768号公報

しかしながら、従来のように、セラミック体と金属体とを単純に拡散接合した場合には、次のような問題が生じる。 すなわち、セラミック体を構成するセラミック材料の熱膨張係数は、一般的に、金属体を構成する金属材料の熱膨張係数よりも小さい。そのため、接合体を高温環境下で使用した場合、セラミック体には、金属体との熱膨張係数差に起因する熱応(引張応力)が発生し、セラミック体や両者の接合部分にクラック等の損傷が生じるおそれがある。

このような問題に対し、例えば、セラミック体と金属体との間に、熱膨張係数がセラミック体と金属体との間である中間層を介在させ、熱膨張係数差に起因する熱応力を低減することが考えられる。しかしながら、セラミック体及び中間層の拡散接合と金属体及び中間層の拡散接合とで加熱温度が異なる場合、一方を加熱して拡散接合した後に他方を加熱して拡散接合しなければならず、工数増加、コストアップ等の問題が生じる。

本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、セラミック体と金属体との接合作業の効率化を図ると共に、接合信頼性を十分に確保することができる接合体の製造方法を提供しようとするものである。

本発明の一の態様は、セラミック材料からなるセラミック体と金属材料からなる金属体とを接合してなる接合体の製造方法であって、 上記セラミック体と上記金属体との間にギャップ層を配置すると共に、線膨張係数が上記セラミック体と上記金属体との間である第1中間層、第2中間層をそれぞれ上記セラミック体と上記ギャップ層との間、上記金属体と上記ギャップ層との間に配置する配置工程と、 上記セラミック体と上記第1中間層とを拡散接合すると同時に、上記金属体と上記第2中間層とを拡散接合する拡散接合工程と、 上記第1中間層と上記第2中間層との間から上記ギャップ層の少なくとも一部を排出するギャップ層排出工程と、 上記第1中間層と上記第2中間層とを接合する中間層接合工程とを有し、 上記拡散接合工程では、上記ギャップ層によって、上記セラミック体及び上記第1中間層の接合部分と上記金属体及び上記第2中間層の接合部分との間の熱伝導を抑制すると共に、上記第1中間層及び上記第2中間層の上記ギャップ層側の表面に形成される酸化膜を除去することを特徴とする接合体の製造方法にある(請求項1)。

上記接合体の製造方法において、上記配置工程では、セラミック体と金属体との間にギャップ層を配置すると共に、第1中間層、第2中間層をそれぞれセラミック体とギャップ層との間、金属体とギャップ層との間に配置する。そして、上記拡散接合工程では、セラミック体と第1中間層とを拡散接合すると同時に、金属体と第2中間層とを拡散接合する。このとき、ギャップ層によって、セラミック体及び第1中間層の接合部分と金属体及び第2中間層の接合部分との間の熱伝導を抑制する。

そのため、両方の拡散接合における加熱温度が異なる場合であっても、それぞれの接合部分をそれぞれ所望の温度に加熱することができ、かつ、その拡散接合を同時に行うことができる。これにより、上記拡散接合工程において、セラミック体及び第1中間層の拡散接合と金属体及び第2中間層の拡散接合とを同時に、精度良く行うことができ、接合作業の効率化を図ることができる。また、これによって工数削減、コストダウン等を図ることもできる。

また、上記拡散接合工程では、ギャップ層によって、第1中間層及び第2中間層のギャップ層側の表面に形成される酸化膜を除去する。すなわち、第1中間層及び第2中間層のギャップ層側の表面に形成される酸化膜を隣接するギャップ層によって還元除去する。そのため、第1中間層及び第2中間層のギャップ層側の表面が活性化された状態となる。これにより、上記中間層接合工程において、第1中間層と第2中間層とをより低温で、精度良く、強固に接合することができる。

また、このようにして製造された接合体は、セラミック体、第1中間層及び第2中間層、金属体の順に熱膨張係数が段階的に高くなる傾斜構造を有すると共に、これらが拡散接合等によって精度良く、強固に接合されている。これにより、接合体を高温環境下で使用した場合に熱膨張係数差に起因して発生する熱応力を十分に低減することができる。また、その熱応力に対する接合信頼性を十分に確保することができる。

このように、セラミック体と金属体との接合作業の効率化を図ると共に、接合信頼性を十分に確保することができる接合体の製造方法を提供することができる。

実施例1における、接合体を示す断面説明図。

実施例1における、配置工程を示す説明図。

実施例1における、拡散接合工程を示す説明図。

実施例1における、ギャップ層排出工程を示す説明図。

実施例1における、中間層接合工程を示す説明図。

実施例1における、拡散接合工程の別例を示す説明図。

実施例2における、第1中間層の突起部を示す断面説明図

実施例2における、ギャップ層排出工程を示す説明図。

実施例3における、電気加熱式触媒コンバータを示す断面説明図。

実施例3における、ハニカム構造体を示す斜視図。

実施例3における、ハニカム構造体の軸方向に直交する断面を示す説明図。

実施例3における、ハニカム構造体の軸方向の断面を示す説明図。

上記接合体の製造方法において、上記拡散接合工程では、上記ギャップ層によって、上記セラミック体及び上記第1中間層の接合部分と上記金属体及び上記第2中間層の接合部分との間の熱伝導を抑制する。したがって、ギャップ層は、一方の拡散接合が他方の拡散接合に影響を与えない程度に両者の間の熱伝導を抑制するものであればよい。

また、上記拡散接合工程では、上記ギャップ層によって、上記第1中間層及び上記第2中間層の上記ギャップ層側の表面に形成される酸化膜を除去する。すなわち、ギャップ層には、第1中間層及び第2中間層の表面に形成される酸化膜を還元除去し、その表面を活性状態にする成分が含有されている。このようなギャップ層の材料としては、例えば、例えば、配合剤としてフッ化物を含有するフッ化物塩基性酸化物系フラックス(成分CaO、MgO、CaF2、MnO、SiO2、CaF2)等がある。

また、上記拡散接合工程では、セラミック体及び第1中間層と金属体及び第2中間層とを別々の温度に加熱して拡散接合を行うことができる。両方の接合部分を別々の温度に加熱して拡散接合を行う方法としては、例えば、抵抗発熱、誘導加熱、レーザ加熱、アークプラズマ加熱等の方法がある。

抵抗発熱においては、セラミック体と第1中間層との界面、金属体と第2中間層との界面を抵抗発熱させることにより、両方の接合部分を別々の温度に加熱することができる。 誘導加熱においては、加熱したい場所に別々のコイルを配置し、それぞれの電流や周波数を変えることにより、両方の接合部分を別々の温度に加熱することができる。また、金属体側の接合部分を誘導加熱し、その輻射熱によってセラミック体側の接合部分を加熱することもできる。

レーザ加熱においては、異なるパワーのレーザを接合界面に照射することにより、両方の接合部分を別々の温度に加熱することができる。 アークプラズマ加熱においては、プラズマが発生している箇所にそれぞれワークを配置し、距離によって異なる温度分布を利用することにより、両方の接合部分を別々の温度に加熱することができる。

また、上記ギャップ層排出工程では、上記第1中間層と上記第2中間層との間から上記ギャップ層の少なくとも一部を排出する。このとき、ギャップ層は、少なくとも、上記中間層接合工程における第1中間層と第2中間層との接合に影響を与えない程度に、つまり第1中間層と第2中間層とを十分に接合することができる程度に排出すればよい。

また、上記ギャップ層は、熱伝導率が0.1W/(m・K)以下であってもよい(請求項2)。 この場合には、上記拡散接合工程において、セラミック体及び第1中間層の拡散接合部分と金属体及び第2中間層の拡散接合部分との間の熱伝導をギャップ層によって十分に抑制することができる。

また、上記ギャップ層は、ステンレス鋼用フラックスからなっていてもよい(請求項3)。 この場合には、上記拡散接合工程において、セラミック体及び第1中間層の拡散接合部分と金属体及び第2中間層の拡散接合部分との間の熱伝導をギャップ層によって十分に抑制することができる。また、第1中間層及び第2中間層のギャップ層側の表面に形成される酸化膜をギャップ層によって十分に還元除去することができる。 なお、上記ギャップ層に用いられるステンレス鋼用フラックスとしては、例えば、配合剤としてフッ化物を含有するフラックス、塩化物・ほう化物を含有するフラックス等がある。

また、上記ギャップ層の厚みは、セラミック体及び第1中間層の接合部分と金属体及び第2中間層の接合部分との間の熱伝導を十分に抑制することができる厚みに設定すればよい。 また、上記ギャップ層の厚みは、上記ギャップ層排出工程において第1中間層と第2中間層との間からギャップ層を除去することを考慮し、例えば、1mm以下とすることができる。

また、上記第1中間層及び上記第2中間層の少なくとも一方は、上記ギャップ層側の表面に突起部を有し、上記ギャップ層排出工程では、上記ギャップ層を介在させた状態で上記第1中間層と上記第2中間層とを圧縮し、上記突起部を塑性流動させることによって上記ギャップ層を上記第1中間層と上記第2中間層との間から排出してもよい(請求項4)。 この場合には、上記ギャップ層排出工程において、ギャップ層を第1中間層と第2中間層との間から容易かつ円滑に排出することができる。これにより、接合作業の効率化をより一層図ることができる。

上記セラミック体を構成するセラミック材料としては、例えば、SiC、Si−SiC、Si3N4等の非酸化物系セラミック材料、アルミナ等の酸化物系セラミック材料等を用いることができる。 上記金属体を構成する金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル合金であるインコネル(登録商標)等を用いることができる。

上記第1中間層を構成する材料としては、線膨張係数が上記セラミック体と上記金属体との間であって、上記セラミック体を構成するセラミック材料への拡散が可能な材料を用いることができる。例えば、上記セラミック体を構成するセラミック材料がSiCの場合には、SiCへの拡散性が良いCrを用いることができる。

上記第2中間層を構成する材料としては、線膨張係数が上記セラミック体と上記金属体との間であって、上記金属体を構成する金属材料への拡散が可能な材料を用いることができる。例えば、上記金属体を構成する金属材料がインコネル(登録商標)の場合には、インコネル(登録商標)への拡散性が良いCrを用いることができる。

上記第1中間層及び上記第2中間層は、同じ材料からなることが好ましい。この場合には、上記中間層接合工程において、第1中間層と第2中間層とを容易かつ強固に接合することができる。 上記第1中間層及び上記第2中間層は、例えば、板材、粉材等によって構成することができる。また、上記セラミック体や上記金属体にスパッタリング等により成膜して構成することもできる。

(実施例1) 上記接合体の製造方法にかかる実施例について、図を用いて説明する。 図1に示すように、本例において製造する接合体1は、セラミック材料からなるセラミック体11と金属材料からなる金属体12とを有する。セラミック体11は、SiCからなる。金属体12は、ニッケル合金であるインコネル(登録商標)からなる。

同図に示すように、セラミック体11と金属体12との間には、第1中間層31及び第2中間層32が配置されている。第1中間層31は、セラミック体11側に配置されており、第2中間層32は、金属体12側に配置されている。第1中間層31及び第2中間層32は、共にCrからなる。第1中間層31と第2中間層32とは、金属結合により接合されている。第1中間層31及び第2中間層32の熱膨張係数は、セラミック体11の熱膨張係数と金属体12の熱膨張係数との間である。

セラミック体11と第1中間層31とは、拡散接合により接合されている。具体的には、セラミック体11と第1中間層31との間に第1拡散層21が形成されている。セラミック体11と第1中間層31とは、この第1拡散層21を介して接合されている。第1拡散層21は、第1中間層31側からセラミック体11側に向かって、セラミック体11の成分割合が徐々に高くなっている(第1中間層31の成分割合が徐々に低くなっている)。第1拡散層21の厚みは約30μmである。

金属体12と第2中間層32とは、拡散接合により接合されている。具体的には、金属体12と第2中間層32との間に第2拡散層22が形成されている。金属体12と第2中間層32とは、この第2拡散層22を介して接合されている。第2拡散層22は、第2中間層32側から金属体12側に向かって、金属体12の成分割合が徐々に高くなっている(第2中間層32の成分割合が徐々に低くなっている)。第2拡散層22の厚みは約30μmである。

そして、接合体1は、セラミック体11、第1拡散層21、第1中間層31及び第2中間層32、第2拡散層22、金属体12の順に熱膨張係数が段階的に高くなる傾斜構造を有する。具体的に、それぞれの熱膨張係数は、セラミック体11が5×10-6/℃、第1拡散層21が7×10-6/℃、第1中間層31及び第2中間層32が8×10-6/℃、第2拡散層22が10×10-6/℃、金属体12が12×10-6/℃である。

次に、本例の接合体1の製造方法について説明する。 図2〜図5に示すように、本例の接合体1の製造方法は、セラミック体11と金属体12との間にギャップ層4を配置すると共に、線膨張係数がセラミック体11と金属体12との間である第1中間層31、第2中間層32をそれぞれセラミック体11とギャップ層4との間、金属体12とギャップ層4との間に配置する配置工程と、セラミック体11と第1中間層31とを拡散接合すると同時に、金属体12と第2中間層32とを拡散接合する拡散接合工程と、第1中間層31と第2中間層32との間からギャップ層4の少なくとも一部を排出するギャップ層排出工程と、第1中間層31と第2中間層32とを接合する中間層接合工程とを有する。

そして、拡散接合工程では、ギャップ層4によって、セラミック体11及び第1中間層31の接合部分と金属体12及び第2中間層32の接合部分との間の熱伝導を抑制すると共に、第1中間層31及び第2中間層32のギャップ層4側の表面311、321に形成される酸化膜を除去する。 以下、これを詳説する。

まず、図2に示すように、セラミック体11と金属体12との間にギャップ層4(厚み約1mm)を配置すると共に、第1中間層31(厚み約0.5mm)、第2中間層32(厚み約0.5mm)をそれぞれセラミック体11とギャップ層4との間、金属体12とギャップ層4との間に配置する(配置工程)。具体的には、セラミック体11、第1中間層31、ギャップ層4、第2中間層32、金属体12の順に、これらを積層する。 本例において、ギャップ層4は、ステンレス鋼用フラックスからなる。ステンレス鋼用フラックスとしては、フッ化物を含有するフッ化物系フラックスを用いている。

ここで、ギャップ層4は、後述する拡散接合工程において、セラミック体11及び第1中間層31の接合部分と金属体12及び第2中間層32の接合部分との間の熱伝導を抑制する機能を有する。ギャップ層4の熱伝導率は、0.1W/(m・K)以下である。具体的に、ギャップ層4の熱伝導率は、0.1W/(m・K)である。

また、ギャップ層4は、後述する拡散接合工程において、第1中間層31及び第2中間層32のギャップ層4側の表面311、321に形成される酸化膜を除去する機能を有する。ギャップ層4には、第1中間層31及び第2中間層32の表面311、321に形成される酸化膜を還元除去し、その表面311、321を活性状態にする成分、具体的にはフラックスが含有されている。

次いで、図3に示すように、セラミック体11と第1中間層31とを拡散接合すると同時に、金属体12と第2中間層32とを拡散接合する(拡散接合工程)。 具体的には、ギャップ層4よりもセラミック体11側において、セラミック体11及び第1中間層31にそれぞれ電極51、52を設置する。また、ギャップ層4よりも金属体12側において、金属体12及び第2中間層32にそれぞれ電極53、54を設置する。

そして、積層方向に圧力Pを加えた状態で、ギャップ層4よりもセラミック体11側において、セラミック体11及び第1中間層31を介して電極51、52間に電流Q1を流し、抵抗発熱によってセラミック体11と第1中間層31との界面を約900℃に加熱する。これにより、セラミック体11と第1中間層31との間に厚み約30μmの第1拡散層21が形成され、この第1拡散層21を介してセラミック体11と第1中間層31とを接合する。

また、これと同時に、ギャップ層4よりも金属体12側において、金属体12及び第2中間層32を介して電極53、54間に電流Q2を流し、抵抗発熱によって金属体12と第2中間層32との界面を約1200℃に加熱する。これにより、金属体12と第2中間層32との間に厚み約30μmの第2拡散層22が形成され、この第2拡散層22を介して金属体12と第2中間層32とを接合する。

この拡散接合工程において、セラミック体11及び第1中間層31と金属体12及び第2中間層32との間に配置されたギャップ層4は、セラミック体11及び第1中間層31の接合部分と金属体12及び第2中間層32の接合部分との間の熱伝導を抑制する。また、ギャップ層4は、第1中間層31及び第2中間層32のギャップ層4側の表面311、321に形成される酸化膜を還元除去し、その表面311、321を活性状態にする。

次いで、図4に示すように、第1中間層31と第2中間層32との間からギャップ層4を排出する(ギャップ層排出工程)。具体的には、第1中間層31に設置した電極52及び第2中間層32に設置した電極54を取り外した後、積層方向に圧力Pを加えて全体を圧縮することにより、第1中間層31と第2中間層32との間からギャップ層4を外側に排出する。排出されたギャップ層4は昇華する。なお、ギャップ層4は、この後の中間層接合工程において第1中間層31と第2中間層32とを十分に接合することができる程度であれば、そのすべてが排出されていなくてもよい。

次いで、図5に示すように、第1中間層31と第2中間層32とを接合する(中間層接合工程)。具体的には、第1中間層31の表面311と第2中間層32の表面321とを接触させる。そして、積層方向に圧力Pを加えた状態で、金属体12、第2中間層32、第1中間層31及びセラミック体11を介して電極51、53間に電流Q3を流し、抵抗発熱によって第1中間層31と第2中間層32との界面を約750℃に加熱する。これにより、第1中間層31と第2中間層32とを金属結合により接合する。 以上により、図1の接合体1を得る。

次に、本例の作用効果について説明する。 本例の接合体1の製造方法において、配置工程では、セラミック体11と金属体12との間にギャップ層4を配置すると共に、第1中間層31、第2中間層32をそれぞれセラミック体11とギャップ層4との間、金属体12とギャップ層4との間に配置する。そして、拡散接合工程では、セラミック体11と第1中間層31とを拡散接合すると同時に、金属体12と第2中間層32とを拡散接合する。このとき、ギャップ層4によって、セラミック体11及び第1中間層31の接合部分と金属体12及び第2中間層32の接合部分との間の熱伝導を抑制する。

そのため、両方の拡散接合における加熱温度が異なる場合であっても、それぞれの接合部分をそれぞれ所望の温度に加熱することができ、かつ、その拡散接合を同時に行うことができる。これにより、拡散接合工程において、セラミック体11及び第1中間層31の拡散接合と金属体12及び第2中間層32の拡散接合とを同時に、精度良く行うことができ、接合作業の効率化を図ることができる。また、これによって工数削減、コストダウン等を図ることもできる。

また、拡散接合工程では、ギャップ層4によって、第1中間層31及び第2中間層32のギャップ層4側の表面311、321に形成される酸化膜を除去する。すなわち、第1中間層31及び第2中間層32の表面311、321に形成される酸化膜を隣接するギャップ層4によって還元除去する。そのため、第1中間層31及び第2中間層32の表面311、321が活性化された状態となる。これにより、中間層接合工程において、第1中間層31と第2中間層32とをより低温で、精度良く、強固に接合することができる。

また、このようにして製造された接合体1は、セラミック体11、第1中間層31及び第2中間層32、金属体12の順に熱膨張係数が段階的に高くなる傾斜構造を有すると共に、これらが拡散接合等によって精度良く、強固に接合されている。これにより、接合体1を高温環境下で使用した場合に熱膨張係数差に起因して発生する熱応力を十分に低減することができる。また、その熱応力に対する接合信頼性を十分に確保することができる。

また、本例において、ギャップ層4は、熱伝導率が0.1W/(m・K)以下である。そのため、拡散接合工程において、セラミック体11及び第1中間層31の拡散接合部分と金属体12及び第2中間層32の拡散接合部分との間の熱伝導をギャップ層4によって十分に抑制することができる。

また、ギャップ層4は、ステンレス鋼用フラックスからなる。そのため、拡散接合工程において、セラミック体11及び第1中間層31の拡散接合部分と金属体12及び第2中間層32の拡散接合部分との間の熱伝導をギャップ層4によって十分に抑制することができる。また、第1中間層31及び第2中間層32のギャップ層4側の表面311、321に形成される酸化膜をギャップ層4によって十分に還元除去することができる。

このように、本例によれば、セラミック体11と金属体12との接合作業の効率化を図ると共に、接合信頼性を十分に確保することができる接合体1の製造方法を提供することができる。

なお、本例では、図3に示すように、拡散接合工程において、セラミック体11及び第1中間層31と金属体12及び第2中間層32とを電極51〜54を用いた抵抗発熱によって所定の温度に加熱したが、例えば、図6に示すように、コイル55、56を用いた誘導加熱によって所定の温度に加熱することもできる。また、その他にも、レーザやアークプラズマを用いて加熱することもできる。

(実施例2) 本例は、図7、図8に示すように、第1中間層31の構成を変更してギャップ層排出工程を行った例である。 図7に示すように、第1中間層31のギャップ層4側の表面311の中央部分には、第2中間層32に向かって突出する突起部33が設けられている。

そして、図8に示すように、ギャップ層排出工程では、積層方向に圧力Pを加え、ギャップ層4を介在させた状態で第1中間層31と第2中間層32とを圧縮する。第1中間層31の突起部33は、塑性流動しながらギャップ層4を外側に押し出し、第1中間層31と第2中間層32との間から排出する。 その他の基本的な製造方法は、実施例1と同様である。また、実施例1と同様の構成については、同様の符号を付し、その説明を省略している。

次に、本例の作用効果について説明する。 本例の場合には、ギャップ層排出工程において、ギャップ層4を第1中間層31と第2中間層32との間から容易かつ円滑に排出することができる。これにより、接合作業の効率化をより一層図ることができる。 その他の基本的な作用効果は、実施例1と同様である。

(実施例3) 本例は、図9〜図12に示すように、接合体1を電気加熱式触媒コンバータ8の一部に用いた例である。 図9に示すように、電気加熱式コンバータ8は、Si−SiCからなる円柱形状のハニカム構造体81を備えている。ハニカム構造体81は、排気管86に連結される筒状のケース87内に挿入されている。

図10〜図12に示すように、ハニカム構造体81は、四形格子状に配された多孔質の隔壁811と、隔壁に囲まれて軸方向伸びる多数のセル812と、外周側面を覆う筒状の外周壁813とを有する。隔壁811には、排ガスの浄化性能を有するPt、Pd、Rh等の三元触媒を担持させることができる。

同図に示すように、ハニカム構造体81の外周壁813には、Si−SiCからなる一対の電極82がハニカム構造体81を挟んで対向するように配設されている。各電極82には、Si−SiCからなる電極端子83が配設されている。各電極端子83の先端には、ニッケル合金であるインコネル(登録商標)からなる金属端子84が配設されている。

本例において、接合体1は、セラミック体11である電極端子83及び金属体12である金属端子84である。接合体1は、実施例1と同様の製造方法により製造されたものである。接合体1の構成は、実施例1と同様である。なお、図10〜図12では、セラミック体11(電極端子83)と金属体12(金属端子84)との間の第1拡散層21、第1中間層31、第2中間層32、第2拡散層22の図示を省略している。

図9に示すように、電気加熱式コンバータ8において、ハニカム構造体81の各金属端子84(図示略)に接続された一対のリード線85は、電源88に接続されている。電気加熱式触媒コンバータ8は、電極82間に電圧を印加してハニカム構造体81を発熱させることにより、ハニカム構造体81に担持された触媒の浄化性能を向上させ、排ガスを浄化することができる。

そして、上記構成の電気加熱式コンバータ8は、600℃以上の高温環境下で使用される。そのため、セラミック体11である電極端子83と金属体12である金属端子84との接合信頼性を十分に確保することが要求される。 したがって、このような部分に、実施例1の製造方法により製造された接合体1を用いることが好適である。

1 接合体 11 セラミック体 12 金属体 31 第1中間層 311 表面(第1中間層のギャップ層側の表面) 32 第2中間層 321 表面(第2中間層のギャップ層側の表面) 4 ギャップ層

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