Manufacturing method and the ceramic substrate of the ceramic substrate

申请号 JP2006535894 申请日 2006-03-29 公开(公告)号 JP3969458B2 公开(公告)日 2007-09-05
申请人 株式会社村田製作所; 发明人 優輝 伊藤; 哲也 池田; 修 近川;
摘要
权利要求
  • (A)未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、前記未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層を密着させ、前記未焼成セラミック体の厚みがその全面でほぼ一定になるように維持しつつ、前記未焼成セラミック体と前記補助層とが密着した状態を保ちながら所定の領域を変形させることにより、両主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
    (B)前記段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、前記補助層を備えた状態のまま、前記未焼成セラミック体が焼結し、前記補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と を具備することを特徴とするセラミック基板の製造方法。
  • 前記補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に、凸部を有する型を合わせてプレスすることにより、前記補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に、前記凸部の外形形状に対応する形状の段差部分を形成することを特徴とする、請求項1に記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に前記凸部を有する型を合わせ、静水圧プレスによる方法、または弾性体を介してプレスを行う方法により、前記補助層付き未焼成セラミック体の前記凸部を有する型を合わせた面と逆の面側から補助層付き未焼成セラミック体に圧力が加わるようにプレスすることを特徴とする、請求項2に記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記凸部を有する型は、平板状支持体と、前記平板状支持体上に配設された、前記未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる凸部構成部材とを備えていることを特徴とする、請求項2または3に記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、前記凸部構成部材が係合した状態のまま焼成することを特徴とする、請求項4に記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記補助層付き未焼成セラミック体の両主面に凸部を有する型をそれぞれ合わせ、前記補助層付き未焼成セラミック体の両主面に、各型における凸部の外形形状に対応する形状の段差部分をそれぞれ形成することを特徴とする、請求項2、4および5のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記凸部を有する型において、前記凸部は複数の段部を有しており、前記補助層付き未焼成セラミック体に、前記複数段の凸部の外形形状に対応する形状の段差部分を形成することを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記凸部を有する型において、少なくとも前記凸部は、前記補助層付き未焼成セラミック体を構成する未焼成セラミック体および補助層のいずれよりも硬く、かつ、弾性を有していることを特徴とする、請求項2〜 のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記凸部を有する型において、前記凸部構成部材は、前記補助層付き未焼成セラミック体を形成する際に与えられた圧力よりも高い圧力を与える工程を経て形成されていることを特徴とする、請求項4〜 のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記補助層付き未焼成セラミック体のうち、前記凸部を有する型における前記凸部に沿って変形する部分の少なくとも一部には、補強材が付与されていることを特徴とする、請求項2〜 のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記未焼成セラミック体は、複数のセラミックグリーンシートを積層してなる未焼成セラミック積層体であって、その内部には、各セラミックグリーンシート層の層間を接続するための層間接続導体パターンおよび各セラミックグリーンシート層の界面に設けられた面内導体パターンが配設されていることを特徴とする、請求項1〜 10のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記補助層が密着付与された補助層付き未焼成セラミック体が、セラミックグリーンシートを積層し、一括して圧着することにより形成されたセラミックグリーンシート積層体に補助層を密着させたものであることを特徴とする、請求項1〜 11のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 前記未焼成セラミック体は、複数の子基板用未焼成セラミック体の集合基板であり、前記焼成の後、得られた集合基板を子基板に分割する工程を備えることを特徴とする、請求項1〜 12のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 焼成後のセラミック基板に、表面実装部品を搭載する工程を備えることを特徴とする、請求項1〜 13のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法。
  • 請求項1〜 14のいずれかに記載の方法により製造されたセラミック基板であって、両主面に段差部分を備えていることを特徴とするセラミック基板。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    本願発明は、セラミック基板およびその製造方法に関し、詳しくは、主面に段差部分を有するセラミック基板の製造方法および該製造方法により製造されるセラミック基板に関する。
    【背景技術】
    【0002】
    セラミック基板には、その表面に段差部分(代表的にはキャビティ)を有する構造のものがある。
    このようなセラミック基板の製造方法として、図26(a),(b),(c)に示すように、第1のセラミックシート51上に開口部53を有する第2のセラミックシート52を積層、圧着して積層体57を形成する工程を経て、段差部分(キャビティ)を有するセラミック多層基板を製造する場合において、開口部53に、開口部53と略同一形状の板材54(セラミックシート56および、離型剤55付きのセラミックシート56)を、その表面54aが、積層体57の表面よりやや高くなるように載置して圧着加工した後、板材54を取り除くことにより、寸法精度の良好なキャビティ58を形成する方法が提案されている(特許文献1)。
    しかしながら、この方法の場合、セラミックシートの打ち抜きに手間がかかるばかりでなく、焼成前のキャビティ部の圧着加工が煩雑で、コストの増大を招くという問題点があり、また、焼成工程でうねりの影響を受けるため、寸法精度の維持が難しいという問題点がある。
    【特許文献1】
    特開平3−169097号公報【発明の開示】
    【発明が解決しようとする課題】
    【0003】
    本願発明は、上記課題を解決するものであり、複雑な製造工程や製造設備を必要とすることなく、所望の形状を有する段差部分を備えたセラミック基板を効率よく製造することが可能なセラミック多層基板の製造方法および該製造方法により製造される形状精度の高いセラミック基板を提供することを目的とする。
    【課題を解決するための手段】
    【0004】
    上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)のセラミック基板の製造方法は、
    (A)未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、前記未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層を密着させ、前記未焼成セラミック体の厚みがその全面でほぼ一定になるように維持しつつ、前記未焼成セラミック体と前記補助層とが密着した状態を保ちながら所定の領域を変形させることにより、両主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
    (B)前記段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、前記補助層を備えた状態のまま、前記未焼成セラミック体が焼結し、前記補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と を具備することを特徴としている。
    【0005】
    また、請求項2のセラミック基板の製造方法は、請求項1の発明の構成において、前記補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に、凸部を有する型を合わせてプレスすることにより、前記補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に、前記凸部の外形形状に対応する形状の段差部分を形成することを特徴としている。
    【0006】
    また、請求項3のセラミック基板の製造方法は、請求項2の発明の構成において、前記補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に前記凸部を有する型を合わせ、静圧プレスによる方法、または弾性体を介してプレスを行う方法により、前記補助層付き未焼成セラミック体の前記凸部を有する型を合わせた面と逆の面側から補助層付き未焼成セラミック体に圧が加わるようにプレスすることを特徴としている。
    【0007】
    また、請求項4のセラミック基板の製造方法は、請求項2または3の発明の構成において、前記凸部を有する型は、平板状支持体と、前記平板状支持体上に配設された、前記未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる凸部構成部材とを備えていることを特徴としている。
    【0008】
    また、請求項5のセラミック基板の製造方法は、請求項4の発明の構成において、前記段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、前記凸部構成部材が係合した状態のまま焼成することを特徴としている。
    【0009】
    また、請求項6のセラミック基板の製造方法は、請求項2、4および5のいずれかの発明の構成において、前記補助層付き未焼成セラミック体の両主面に凸部を有する型をそれぞれ合わせ、前記補助層付き未焼成セラミック体の両主面に、各型における凸部の外形形状に対応する形状の段差部分をそれぞれ形成することを特徴としている。
    【0010】
    また、請求項7のセラミック基板の製造方法は、請求項2〜6のいずれかの発明の構成において、前記凸部を有する型において、前記凸部は複数の段部を有しており、前記補助層付き未焼成セラミック体に、前記複数段の凸部の外形形状に対応する形状の段差部分を形成することを特徴としている。
    【0011】
    また、請求項のセラミック基板の製造方法は、請求項2〜 のいずれかの発明の構成において、前記凸部を有する型において、少なくとも前記凸部は、前記補助層付き未焼成セラミック体を構成するセラミック体および補助層のいずれよりも硬く、かつ、弾性を有していることを特徴としている。
    【0012】
    また、請求項のセラミック基板の製造方法は、請求項4〜 のいずれかの発明の構成において、前記凸部を有する型において、前記凸部構成部材は、前記補助層付き未焼成セラミック体を形成する際に与えられた圧力よりも高い圧力を与える工程を経て形成されていることを特徴としている。
    【0013】
    また、請求項10のセラミック基板の製造方法は、請求項2〜 のいずれかの発明の構成において、
    前記補助層付き未焼成セラミック体のうち、前記凸部を有する型における前記凸部に沿って変形する部分の少なくとも一部には、補強材が付与されていることを特徴としている。
    【0014】
    また、請求項11のセラミック基板の製造方法は、請求項1〜 10のいずれかの発明の構成において、前記未焼成セラミック体は、複数のセラミックグリーンシートを積層してなる未焼成セラミック積層体であって、その内部には、各セラミックグリーンシート層の層間を接続するための層間接続導体パターンおよび各セラミックグリーンシート層の界面に設けられた面内導体パターンが配設されていることを特徴としている。
    【0015】
    また、請求項12のセラミック基板の製造方法は、請求項1〜 11のいずれかの発明の構成において、前記補助層が密着付与された補助層付き未焼成セラミック体が、セラミックグリーンシートを積層し、一括して圧着することにより形成されたセラミックグリーンシート積層体に補助層を密着させたものであることを特徴としている。
    【0016】
    また、請求項13のセラミック基板の製造方法は、請求項1〜 12のいずれかの発明の構成において、前記未焼成セラミック体は、複数の子基板用未焼成セラミック体の集合基板であり、前記焼成の後、得られた集合基板を子基板に分割する工程を備えることを特徴としている。
    【0017】
    また、請求項14のセラミック基板の製造方法は、請求項1〜 13のいずれかの発明の構成において、焼成後のセラミック基板に、表面実装部品を搭載する工程を備えることを特徴としている。
    【0018】
    また、本願発明(請求項15 )のセラミック基板は、請求項1〜 14のいずれかに記載の方法により製造されたセラミック基板であって、両主面に段差部分を備えていることを特徴としている。
    【発明の効果】
    【0019】
    本願発明(請求項1)のセラミック基板の製造方法は、(A)未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層を密着させ、未焼成セラミック体の厚みがその全面でほぼ一定になるように維持しつつ、未焼成セラミック体と補助層とが密着した状態を保ちながら所定の領域を変形させることにより、両主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、(B)段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、補助層を備えた状態のまま、未焼成セラミック体が焼結し、前記補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程とを有しているので、複雑な製造工程や製造設備を必要とせずに、所望の形状を有する段差部分を備えたセラミック基板を効率よく製造することが可能になる。
    【0020】
    すなわち、未焼成セラミック体の少なくとも一方の主面に、未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層を密着させ、未焼成セラミック体の厚みがその全面でほぼ一定になるように維持しつつ、未焼成セラミック体と補助層とが密着した状態を保ちながら所定の領域を変形させることにより、両主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成するようにした場合(例えば、セラミックグリーンシートを積層して圧着した未焼成セラミック体と補助層が密着した状態の補助層付き未焼成セラミック体を、型を用いてプレスすることにより変形させて段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成したり、型の上に補助層用グリーンシートおよびセラミックグリーンシートを一枚または所定の複数枚積層するごとに圧着する逐次圧着の方法で積層、圧着することにより段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成したりした場合)、未焼成セラミック体や、その内部に配設された内部電極パターンなどに折損や破断が発生することを抑制、防止しつつ、両主面に所望の段差部分を備えた未焼成セラミック体を形成することが可能になる。
    【0021】
    また、段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、補助層が密着した状態のまま、未焼成セラミック体が焼結し、補助層が実質的に焼結しない温度で焼成するようにしているので、補助層の、セラミック体の焼結時の収縮や変形を抑制する力(拘束力)により、焼成工程でセラミック体に収縮や変形が生じることを抑制、防止して、未焼成セラミック体の段差形状を保持したまま、形状精度の高いセラミック基板を得ることが可能になる。
    なお、未焼成セラミック体の表面に補助層が配設されているので、曲げ加工時に補助層付き未焼成セラミック体の補助層に表面割れが発生した場合にも、未焼成セラミック体には影響がなく、所望の特性を備えたセラミック基板を得ることが可能になる。
    【0022】
    また、請求項2のセラミック基板の製造方法のように、請求項1の発明の構成において、補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に、凸部を有する型を合わせてプレスすることにより、補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に、凸部の外形形状に対応する形状の段差部分を形成するようにした場合、型の凸部が補助層を介して未焼成セラミック体に当接するため、凸部の形状がある程度シャープであっても、未焼成セラミック体やその内部に配設された内部電極パターンなどの折損や破断の発生を抑制、防止しつつ、所望の段差部分を備えた未焼成セラミック体を形成することが可能になる。
    また、未焼成セラミック体の表面に補助層が配設されているので、曲げ加工時に、補助層の型の凸部が当接する領域に表面割れが発生した場合にも、未焼成セラミック体に影響が及ぶことがなく、所望の特性を備えたセラミック基板を得ることが可能になる。
    また、プレス後に未焼成セラミック体に形成される段差部に型の凸部が密着、係合するため、プレス時に補助層の表面割れが発生したとしても、型の凸部が段差部に係合した状態のまま焼成することにより、補助層による未焼成セラミック体の拘束力を維持することができる。
    【0023】
    また、請求項3のセラミック基板の製造方法のように、請求項2の発明の構成において、補助層付き未焼成セラミック体の補助層が配設された面に凸部を有する型を合わせ、静水圧プレスによる方法、または弾性体を介してプレスを行う方法により、補助層付き未焼成セラミック体の、凸部を有する型を合わせた面と逆の面側から補助層付き未焼成セラミック体に圧力が加わるようにプレスするようにした場合、型の凸部が補助層を介して未焼成セラミック体に当接するとともに、型を合わせた面と逆の面側から補助層付き未焼成セラミック体にほぼ均一に圧力が加わるようにプレスが行われることから、凸部の形状がある程度シャープであっても、未焼成セラミック体やその内部に配設された内部電極パターンなどに折損や破断が発生することを抑制、防止しつつ、所望の段差部分を備えた未焼成セラミック体を形成することが可能になる。
    また、未焼成セラミック体の表面に補助層が配設されているため、曲げ加工時に、型の凸部が当接する補助層に表面割れが発生した場合にも、未焼成セラミック体に影響が及ぶことはない。
    【0024】
    また、請求項4のセラミック基板の製造方法のように、請求項2または3の発明の構成において、凸部を有する型として、平板状支持体と、平板状支持体上に配設された、未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる凸部構成部材とを備えてなる型を用いることにより、プレス(圧着)した際に、凸部構成部材と、補助層付き未焼成セラミック体を一体化することが可能になり、プレス後の補助層付き未焼成セラミック体の、型と接する方の面の形状(型を構成する凸部構成部材を含めた形状)をフラットにすることが可能になり、プレス工程においてはもちろん、プレス工程後においても形状安定性を向上させることが可能になる。
    【0025】
    また、請求項5のセラミック基板の製造方法のように、請求項4の発明の構成において、段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、凸部構成部材が係合した状態のまま焼成するようにした場合、プレス後の補助層付き未焼成セラミック体の、型と接する面側の形状(型を構成する凸部を含めた形状)がフラットになった状態、すなわち、形状安定性に優れ、変形が生じにくい状態で焼成が行われることになるため、寸法精度、形状精度の高いセラミック基板を製造することが可能になる。
    【0026】
    また、請求項6のセラミック基板の製造方法のように、請求項2、4および5のいずれかの発明の構成において、補助層付き未焼成セラミック体の両主面に凸部を有する型をそれぞれ合わせ、補助層付き未焼成セラミック体の両主面に、各型における凸部の外形形状に対応する形状の段差部分をそれぞれ形成するようにした場合、両面に、型の凸部に対応するシャープな形状の段差部分を確実に形成することが可能になり、本願発明をより実効あらしめることが可能になる。
    【0027】
    また、請求項7のセラミック基板の製造方法のように、請求項2〜6のいずれかの発明の構成において、凸部が複数の段部を有する型を用い、補助層付き未焼成セラミック体に、複数段の凸部の外形形状に対応する形状の段差部分を形成するようにした場合、段差部分の形状の自由度に優れ、用途に応じた段差部分を備えたセラミック基板を効率よく製造することが可能になる。
    【0028】
    また、請求項のセラミック基板の製造方法のように、請求項2〜 のいずれかの発明の構成において、型の少なくとも凸部を、補助層付き未焼成セラミック体を構成する未焼成セラミック体および補助層のいずれよりも硬く、かつ、弾性を有するように構成することにより、未焼成セラミック体に、凸部の形状に対応する形状の段差部分を確実に形成することが可能になり、本願発明を実効あらしめることができる。
    なお、凸部を補助層付き未焼成セラミック体を構成する未焼成セラミック体および補助層のいずれよりも硬く、かつ、弾性を有するように構成する方法としては、例えば、補助層を構成する粉体(他の粉体を用いることも可能)にバインダなどを配合してシート状に成形したグリーンシート(補助層用グリーンシート)を打ち抜いて、凸部となるべき部分を残したグリーンシート(型形成用グリーンシート)を積層、圧着する場合に、基板形成用グリーンシートや補助層用グリーンシートを積層、圧着して補助層付き未焼成セラミック体を形成する場合と同じ荷重でプレスして圧着する方法などが挙げられる。 すなわち、同じ荷重でプレスした場合、型形成用グリーンシートには打ち抜かれた部分があるため、基板形成用グリーンシートや補助層用グリーンシートを圧着する場合と同じ荷重で圧着しても、単位面積あたりにかかる圧力が大きくなり、未焼成セラミック体および補助層のいずれよりも硬く、かつ、弾性を有する凸部を備えた型を得ることが可能になる。
    なお、グリーンシートの状態ではなく、粉体のままの状態で加圧成形しても、補助層付き未焼成セラミック体を構成するセラミック体および補助層のいずれよりも硬く、かつ、弾性を有する凸部を形成することは通常困難である。
    【0029】
    また、請求項のセラミック基板の製造方法のように、請求項4〜 のいずれかの発明の構成において、型の凸部を構成する、凸部構成部材を、補助層付き未焼成セラミック体を形成する際に与える圧力よりも高い圧力を与えて形成することにより、上記請求項の発明に関して述べたように、補助層付き未焼成セラミック体を構成するセラミック体および補助層のいずれよりも硬く、かつ、弾性を有する凸部構成部材をより確実に形成することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
    【0030】
    また、請求項10のセラミック基板の製造方法のように、請求項2〜 のいずれかの発明の構成において、補助層付き未焼成セラミック体のうち、型の凸部に沿って変形する部分の少なくとも一部に、補強材を付与するようにした場合、補助層付き未焼成セラミック体に割れなどの欠陥が発生することを効率よく防止することが可能になり、信頼性の高いセラミック基板を歩留まりよく製造することが可能になる。
    すなわち、例えば、深い段差部分を形成しようとすると、補助層付き未焼成セラミック体を強く変形させることが必要になり、補助層付き未焼成セラミック体の表面に深い割れの発生するおそれが大きくなるが、割れが発生しやすい部分(強く変形する部分)に、予め変形や割れに強い補強材(例えば、ガラスペーストや導電性ペーストなど)を配設しておくことにより、欠陥の発生を効率よく防止することが可能になる。
    なお、補強材としては、上述のガラスペーストや導電性ペーストなどの焼成後に残存する材料の他に、脱バインダ時に消失する樹脂材料を用いることが可能であり、その具体的な材料の種類に特別の制約はない。
    【0031】
    また、請求項11のセラミック基板の製造方法のように、請求項1〜 10のいずれかの発明の構成において、未焼成セラミック体が、複数のセラミックグリーンシートを積層してなるものであって、その内部には、各セラミックグリーンシート層の層間を接続するための層間接続導体パターンおよび各セラミックグリーンシート層の界面に設けられた面内導体パターンが配設された構造を有するもの(すなわち、多層セラミック基板用の積層体)である場合にも、本願発明のセラミック基板の製造方法を適用することにより、未焼成セラミック体やその内部に配設された内部電極パターンなどの折損や破断の発生を抑制、防止しつつ、所望の段差部分を備えた未焼成セラミック体を形成することが可能になるとともに、段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を、補助層が密着した状態のまま、未焼成セラミック体が焼結し、補助層が実質的に焼結しない温度で焼成することにより、焼成工程で収縮や変形が生じることを抑制、防止して形状精度の高い多層セラミック基板を効率よく製造することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
    【0032】
    また、請求項12のセラミック基板の製造方法のように、請求項1〜 11のいずれかの発明の構成において、補助層付き未焼成セラミック体が、セラミックグリーンシートを積層し、一括して圧着することにより形成されたセラミックグリーンシート積層体に補助層を密着させたものである場合、すなわち、一括圧着の製造方法により多層セラミック基板を製造する場合に、本願発明は好適に用いることが可能であり、所望の特性を備えた多層セラミック基板を効率よく製造することが可能になる。
    【0036】
    また、請求項13のセラミック基板の製造方法のように、請求項1〜 12のいずれかの発明の構成において、未焼成セラミック体が、複数の子基板用未焼成セラミック体の集合基板である場合に、焼成の後、得られた集合基板を子基板に分割するようにした場合(すなわち、集合基板からの多数個取りの方法を採用した場合)、集合基板を分割して多数の子基板を効率よく得ることが可能になり、コストの低減を図ることが可能になる。
    【0034】
    また、請求項14のセラミック基板の製造方法のように、請求項1〜 13のいずれかの発明の構成において、焼成後の、セラミック基板に、表面実装部品を搭載するようにした場合、段差部分に表面実装部品が搭載された、小型、高密度で、信頼性の高いセラミック基板を効率よく製造することが可能になる。
    【0035】
    また、本願発明(請求項15 )の、両主面に段差部分を備えたセラミック基板は、請求項1〜 14のいずれかに記載のセラミック基板の製造方法により製造されており、段差部分の形状精度や寸法精度が高く、優れた信頼性を備えているので、種々の用途に広く用いることが可能なセラミック基板を提供することが可能になる。
    【図面の簡単な説明】
    【0036】
    【図1】本願発明の実施例(実施例1)において形成した積層体(補助層付き未焼成セラミック体)および変形用の型の構成を示す図である。
    【図2】本願発明の実施例(実施例1)において、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)を、型を用いて、静水圧プレスの方法でプレスしている状態を示す図である。
    【図3】本願発明の実施例(実施例1)のセラミック基板の製造方法における積層体(補助層付き未焼成セラミック体)のプレス方法の変形例を示す図である。
    【図4】本願発明の実施例(実施例1)にかかるセラミック基板の製造方法により製造された、表裏の両主面に段差部分(凹部)を備えた焼結基板(セラミック基板)を示す図である。
    【図5】(a)、(b)、(c)、(d)は、本願発明の実施例(実施例1)にかかるセラミック基板の製造方法により製造されるセラミック基板の構造のバリエーションを示す図である。
    【図6】(a)、(b)、(c)、(d)は、本願発明の実施例(実施例1)にかかるセラミック基板の製造方法により製造されるセラミック基板の使用態様を示す図である。
    【図7】本願発明の実施例(実施例1)の方法により製造されたセラミック基板に多数の電子部品を搭載したモジュール基板を示す図である。
    【図8】本願発明の実施例(実施例1)の方法により製造することが可能なセラミック基板(モジュール基板)の他の例を示す図である。
    【図9】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかるセラミック基板の製造方法の一工程を示す図である。
    【図10】本願発明に関連する参考発明の実施例(実施例3)にかかるセラミック基板の製造方法の一工程を示す図である。
    【図11】(a)は本願発明に関連する参考発明の実施例 (実施例3)にかかるセラミック基板の製造方法の変形例(参考例)を示す図、(b)は(a)の方法により製造されるセラミック基板を示す図である。
    【図12】 本願発明に関連する参考発明の実施例(実施例3 の方法により製造されるセラミック基板の、型と当接しなかった上面側の凹部の深さと、型の凸部の高さおよびセラミック基板の厚みとの関係を説明する図である。
    【図13】本願発明のさらに他の実施例(実施例4)にかかるセラミック基板の製造方法の一工程を示す図である。
    【図14】本願発明のさらに他の実施例(実施例5)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型の構成を示す図である。
    【図15】図14に示した型を用いて段差部分が複数の段部を備えたセラミック基板を製造する方法を示す図である。
    【図16】本願発明の実施例5の方法により製造した、側壁に2つの段部を備えた凹部を有するセラミック基板を示す図である。
    【図17】本願発明に関連する参考発明の実施例(実施例6)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型と、それに対応する形状に成形されたプレス前の補助層付き未焼成セラミック体の構成を示す図である。
    【図18】本願発明に関連する参考発明の実施例(実施例6 において、補助層付き未焼成セラミック体をプレスしている状態を示す図である。
    【図19】本願発明のさらに他の実施例(実施例7)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型と、それに対応する形状に成形されたプレス前の補助層付き未焼成セラミック体の構成を示す図である。
    【図20】本願発明の実施例7において、補助層付き未焼成セラミック体をプレスしている状態を示す図である。
    【図21】本願発明のさらに他の実施例(実施例8)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型およびプレス前の補助層付き未焼成セラミック体の構成を示す図である。
    【図22】図21に示した型を用いてテーパ形状を有する段部を備えたセラミック基板を製造する方法を示す図である。
    【図23】本願発明の実施例8のセラミック電子部品の製造方法により製造されるセラミック基板の要部を拡大して示す断面図である。
    【図24】(a)は図23で示したセラミック基板の上面側の形状を示す斜視図、(b)はその下面側を示す斜視図である。
    【図25】本願発明の実施例8のセラミック電子部品の製造方法により製造されるセラミック基板の変形例の要部を拡大して示す断面図である。
    【図26】(a),(b),(c)は従来の、段差部分を有するセラミック基板の製造方法を示す図である。
    【符号の説明】
    【0037】
    1 基板用グリーンシート 1a 打ち抜き加工された基板用グリーンシート 2 補助層用(拘束層用)グリーンシート 2a 打ち抜き加工された補助層用グリーンシート 3(3a,3b) 型形成用グリーンシート 4 固定面(平板)
    6 可撓性フィルム 7 水 7a 弾性体 8 平板状の圧着用金型 9a,9b 補強層 10 基板用セラミックグリーンシート積層体(未焼成セラミック体)
    11 積層体(補助層付き未焼成セラミック体)
    11a 凹部 13 圧着体 14 焼結基板(セラミック基板)
    15(15a,15b) 段差部分(凹部、キャビティ)
    15a 1 、15a 2段部 16 電子部品 17 半導体素子 17a ワイヤボンディングパッド 18 マザーボード 20 補助層 21 型の凹部 21a,21b 段部 22 型の凸部 22a,22b 段部 30(30a,30b) 型 31 表面導体 32 内層導体 33 ビアホール 34 ビアホール導体 114 モジュール基板 115 凸部 121 凸部 122 凹部の頂上の略平坦面 123 セラミック基板の上面 124 凸部の傾斜部分 131 凹部 132 凹部の底部の略平坦面 133 セラミック基板の下面 134 凹部の内壁面(側壁部分)
    140 段差形成部 A セラミック基板の上面側の凹部の深さ B 型の凸部の高さ T セラミック基板の厚み D 凹部の深さ H 凸部の高さ A1 上面側の凸部の頂上の略平坦面の、セラミック基板の上面と平行な方向の寸法 A2 上面側の凸部の全体の、セラミック基板の上面と平行な方向の寸法 B1 下面側の凹部の底部の略平坦面の、セラミック基板の下面と平行な方向の寸法 B2 下面側の凹部の全体の、セラミック基板の下面と平行な方向の寸法 θA 上面側の凸部の傾斜部分と、セラミック基板の上面とのなす度 θB 下面側の凹部の内壁面(側壁部分)と、セラミック基板の下面とのなす角度【発明を実施するための最良の形態】
    【0038】
    以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
    【実施例1】
    【0039】
    以下に本願発明の一実施例(実施例1)にかかるセラミック基板の製造方法について説明する。
    【0040】
    (1)まず、セラミック材料を含む複数のセラミック基板用のセラミックグリーンシート(以下「基板用グリーンシート」という)を作製する。 手順は以下の通りである。
    CaO:10〜55重量%、SiO 2 :45〜70重量%、Al 23 :0〜30重量%、不純物0〜10重量%、およびB 23 :外掛けで5〜20重量%を含む混合物を1450℃で溶融してガラス化した後、水中で急冷し、これを粉砕して平均粒径が3.0〜3.5μmのCaO−SiO 2 −Al 23 −B 23系ガラス粉末を作製する。
    なお、この実施例1では、CaO−SiO 2 −Al 23 −B 23系ガラスを用いたが、800〜1000℃で焼結する他のガラスを用いてもよい。
    【0041】
    それから、このガラス粉末:50〜65重量%(好ましくは60重量%)と不純物が0〜10重量%のアルミナ粉末:50〜35重量%(好ましくは40重量%)とを混合してセラミック粉末を作製する。 そして、このセラミック粉末に溶剤(例えばトルエン、キシレン、水系など)、バインダ(例えばアクリル、ブチラール系の樹脂など)および可塑剤(例えばジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)など)を加え、十分に混練・分散させて粘度2000〜40000cpsのスラリーを作製し、通常のキャスティング法(例えばドクターブレード法)を用いて、例えば厚み0.01〜0.4mmのグリーンシート(製品であるセラミック基板の主要部を構成する基板用グリーンシート)を作製する。
    【0042】
    なお、この基板用グリーンシートを製造する際に、組成比や添加剤を調整し、下記の補助層用(拘束層用)グリーンシート2よりも、適度に柔らかい性状としておくことにより、後工程の成形加工時に、型30への追随性を向上させ、加工精度を高めることが可能になるとともに、基板用グリーンシートに亀裂、欠けなどが発生することを抑制、防止することが可能になる。
    【0043】
    (2)それから、上記(1)の工程で作製した基板用グリーンシート1(図1)を打ち抜き型やパンチングマシンなどを用いて所定の寸法にカットし、層間接続用のビアホール33(図1)を形成する。
    【0044】
    (3)上記(2)の工程で加工した複数枚の基板用グリーンシートのビアホール33に導体ペーストを充填することによりビアホール導体34を形成する。 さらに、基板用グリーンシート1に導体ペーストを印刷することにより表面導体31,内層導体32などとなる所定の配線パターンを形成する。
    このときに用いる導体ペーストとしては、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt、Cu粉末などを導電成分とする導体ペーストを使用する。 必要に応じて、導体ペーストとともに、あるいは、導体ペーストの代わりに、抵抗ペーストやガラスペーストを印刷することも可能である。
    【0045】
    (4)また、基板用グリーンシート1の焼成温度では焼結しないセラミックを含む、複数の補助層用(拘束層用)グリーンシート2(図1)を作製する。
    補助層用(拘束層用)グリーンシート2は、たとえば、有機ビヒクル中にアルミナ粉末を分散させてスラリーを調製し、これをキャスティング法によってシート状に成形することにより得ることができる。 このようにして得られた補助層用(拘束層用)グリーンシート2の焼結温度は、1500〜1600℃であるため、基板用グリーンシート1が焼結する温度(例えば、800〜1000℃)では焼結せず、この補助層用(拘束層用)グリーンシート2を接合させた状態で基板用グリーンシート1を焼成することにより、基板用グリーンシート1の平面方向に関する収縮を抑制しつつ焼結させることが可能になる。
    なお、この補助層用(拘束層用)グリーンシート2は、プレス時に未焼成セラミック体10を傷めることなく加工することができるように、基板用グリーンシート1よりも、硬くなるように物性を調整したものを用いる。
    【0046】
    (5)また、上記(4)の工程で作製した補助層用(拘束層用)グリーンシート2を、所定の形状に打ち抜き加工した、型を形成するために用いられるグリーンシート(型形成用グリーンシート)3(図1)の主面を、固定面(平板)4(図1)に高い圧力で圧着させることにより、プレス(変形)用の型30(図1)を作製する。
    【0047】
    なお、型形成用グリーンシート3の、打ち抜かれた部分が、プレス用の型30の凹部(型)21となり、打ち抜かれずに残った部分が凸部構成部材となり、この凸部構成部材が、固定面(平板)4に圧着されて、型30の凸部(型)22となる。 この型30の凸部22はグリーンシートの一部であって、ある程度の弾力性を有しているため、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の損傷を抑制しつつ、所望の形状を有する段差部分15(図2,図3)を形成することができる。
    なお、型30を作製するのに用いられる平板4としては、適度な硬さを有する材料(樹脂や金属)からなるものを用いることが好ましい。 また、複数種類の材料を複合させた複合材料からなる平板を用いることも可能である。
    【0048】
    (6)それから、図1に示すように、複数枚の基板用グリーンシート1を積層した基板用セラミックグリーンシート積層体(未焼成セラミック体)10の両主面(上下)に、補助層用(拘束層用)グリーンシート2を複数枚積層して補助層20を形成し、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11(図1)を形成する。 なお、この実施例1では、下側の補助層の厚みを上側の補助層の厚みよりも薄くしている。
    【0049】
    (7)次に、図2に示すように、補助層付き未焼成セラミック体11にプレス(変形)用の型30を貼り付け、可撓性フィルム6を用いて真空パックし、静水圧プレスの方法により、水7を介して補助層付き未焼成セラミック体11の、型30と接しない方の主面から等方的に圧力がかかるようにプレスすることにより補助層付き未焼成セラミック体11を変形させる。
    なお、プレス方法は静水圧プレスの方法に限らず、図3に示すように、弾性体7a(例えばシリコンラバー)を介して平板状の圧着用金型8によりプレスして、補助層付き未焼成セラミック体11を変形させる(段差部分15を形成する)ようにすることも可能である。
    【0050】
    このプレス工程において、水7または弾性体7aは補助層付き未焼成セラミック体11の、型30と接しない方の主面の凹凸形状に沿うように変形するため、補助層付き未焼成セラミック体11は水7または弾性体7aからの圧力によって滑らかに変形し、補助層付き未焼成セラミック体11の、型30と接する方の主面側が、型30の凹部21の内部に入り込んで、平板4の上面に達する。
    その結果、補助層付き未焼成セラミック体11を十分に変形させて、意図する形状を有する段差部分15(15a)を形成することができる。
    なお、型30による補助層付き未焼成セラミック体11のプレスは、100〜2000kg/cm 2 、好ましくは1000〜2000kg/cm 2のプレス圧力で、30〜100℃、好ましくは50〜80℃の温度で実施する。
    【0051】
    このとき、プレス用の型30を構成する型形成用グリーンシート(打ち抜き加工された補助層用(拘束層用)グリーンシート)3は、予め平板4に高い圧力で圧着させているため、上述のようにある程度の弾力性を有している一方で、補助層付き未焼成セラミック体11を変形させるのに十分な硬さを有している。
    また、補助層付き未焼成セラミック体11の主要部を構成する基板用グリーンシート1は、プレス用の型30を構成する型形成用グリーンシート3よりも柔らかいため、未焼成セラミック体10を容易かつ確実に変形させることができる。
    【0052】
    (8)次に、変形させた圧着体(型30を含む補助層付き未焼成セラミック体11)13から固定面として使用した平板4を剥がし、補助層20ならびに凸部22を付けたまま、未焼成セラミック体10が焼結する温度、例えば1000℃以下、好ましくは800〜1000℃の温度で焼成し、両主面に補助層20を備えた状態の焼結基板(セラミック基板)14を得る。
    【0053】
    なお、導体ペーストにCu粉末などの卑金属粉末を導電成分とするものを用いた場合には、酸化防止のため還元雰囲気で焼成することが必要になるが、Ag、Ag−Pd、Ag−Ptなどの貴金属粉末を導電成分とする導電ペーストを用いた場合には大気中で焼成することも可能である。
    【0054】
    (9)それから、焼結していない補助層20を焼結基板(セラミック基板)14の表面から除去することにより、図4に示すような、表裏の両主面に段差部分(凹部)15(15a,15b)を備えた焼結基板(セラミック基板)14を得る。
    なお、補助層20を除去する方法としては、超音波洗浄やアルミナ砥粒を吹き付ける方法などの物理的処理方法や、エッチングなどの化学的処理方法のどちらの方法を用いてもよく、また、物理的処理方法と化学的処理方法を組み合わせて用いることも可能である。
    【0055】
    上述のようにして作製された焼結基板(セラミック基板)14は、両主面(図4においては上面と下面)に、複数の段差部分(凹凸形状を有する部分)が形成された構造を有している。 そして、型30に接していた面においては、段差部分(凹部)15(15a)の側壁が垂直に近く、シャープな形状を有し、かつ、その表面粗さが小さく、滑らかになっており、また、焼結基板(セラミック基板)14の、型30に接していなかった面においては、段差部分(凹部)15(15b)がなだらかに変形し、かつ、その表面粗さが小さく、滑らかになっている。
    そして、このように、補助層付き未焼成セラミック体11の、型30を合わせた面と逆側の面がなだらかに変形するので、型30に接する方の面において、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)を形成するようにした場合にも、型30との接触面に大きな応力がかかることを抑制して、未焼成セラミック体10の破断を引き起こすことなく、意図する形状の段差部分15(15a,15b)を形成することが可能になる。
    【0056】
    この、焼結基板(セラミック基板)14においては、分割する位置と、2つの主面のうち、実装側に使用する面を適宜選択することにより、段差部分(凹部)15の形状と方向に注目した場合、図5(a),(b),(c),(d)に示すように、4種類の構造として利用することができる。
    【0057】
    すなわち、図5(a),(b)に示すように、側面が略垂直でシャープな形状の凹部15(15a)が上面側(図5(a))または下面側(図5(b))となるようなセラミック基板14を作製したり、図5(c),(d)に示すように、なだらかな凹部15(15b)が上面側(図5(c))または下面側(図5(d))になるようなセラミック基板14を作製したりすることが可能である。
    また、図5(a)〜(d)では、1つの凹部(キャビティ)15に着目して説明したが、1つの焼結基板(セラミック基板)14が複数の凹部(キャビティ)15を備えているような構成とすることも可能である。
    【0058】
    そして、図6(a)に示すように、側面が略垂直でシャープな形状の凹部15(15a)が上向きになるようにセラミック基板14を配置し、凹部15(15a)の内部にチップ型コンデンサ、チップ型インダクタ、半導体素子などの電子部品16を実装したり、図6(b)に示すように、マザーボード18に電子部品16を搭載し、その上から、側面が略垂直でシャープな形状の凹部15(15a)を下向きにセラミック基板14を配置して電子部品16を保護するようにしたりすることができる。
    【0059】
    また、図6(c)に示すように、側面がなだらかに傾斜した形状の凹部15(15b)が上向きになるようにセラミック基板14を配置し、その凹部15(15b)の内部に電子部品16を実装したり、図6(d)に示すように、マザーボード18に電子部品16を搭載し、その上から側面がなだらかに傾斜した形状の凹部15(15b)を下向きに配置することにより、電子部品16を保護したりすることができる。
    【0060】
    上記の図6(a),(b),(c),(d)の構成のうち、図6(d)の、傾斜した形状を有する凹部15(15b)が下向きで、かつ、側面が略垂直でシャープな形状を有する、上面の平坦部の面積が大きい凸部115が上向きになるようにした構成の場合、例えば、図7に示すように、セラミック基板14に、多数の電子部品16を搭載した高密度のモジュール基板114を得ることが可能になる点で望ましい。
    【0061】
    なお、焼結基板(セラミック基板)14に各種電子部品を、高い信頼性を備えた態様で実装するためには、表面に露出したビアホール導体34や表面導体31には、めっき膜を形成することが望ましい。
    このとき、めっき膜の材質としては、例えば、Ni−Au、Ni−Pd−Au、Ni−Snなどを使用することが望ましい。 なお、めっき膜の形成方法としては、電解めっき、無電解めっきのいずれを使用することも可能である。
    【0062】
    また、図8は、この実施例1の方法により製造することが可能なセラミック基板の他の例を示す図である。 ここでは、セラミック基板14が複数の凹部(キャビティ)15、および凸部115を備えており、電子部品16や半導体素子17を、焼結基板(セラミック基板)14の両主面の、凹部15や凸部115の表面にめっき膜が形成された表面導体31やビアホール導体34上に実装することにより、製品であるモジュール基板114が形成されている。 このように、この実施例1の方法によれば、両主面に電子部品16や半導体素子17が効率よく配設された高度なモジュール基板114を得ることができる。
    【0063】
    なお、本願発明のセラミック基板の製造方法においては、焼結基板(セラミック基板)に電子部品などを搭載した後、必要に応じて樹脂封止し、個々の製品単位に分割することにより、複数のセラミック基板を同時に得る、いわゆる多数個取りの方法を適用することが可能であり、両主面に電子部品16や半導体素子17が効率よく配設された高度なモジュール基板114を効率よく製造することが可能になる。
    【0064】
    すなわち、この実施例1の構成からは、以下に説明するような特有の作用効果が得られる。
    (1)補助層付き未焼成セラミック体11の、型30を合わせた面と逆側の面がなだらかに変形するので、型30に接する方の面において、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)を形成するようにした場合にも、型30との接触面に大きな応力がかかることを抑制して、未焼成セラミック体10の破断を引き起こすことなく、意図する形状の段差部分15(15a,15b)を形成することが可能になる。
    【0065】
    (2)また、型30の凸部22は、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の表面と同一の補助層用(拘束層用)グリーンシート2を用いて形成されており、弾性を有しているため、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11への加工がソフトになり、特に凸部22のエッジ部分に対応する部分において積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11に割れが発生することを抑制することができる。
    【0066】
    (3)また、この実施例1の場合においても、プレス時に積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の表面に割れが発生する場合もあるが、割れは、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の表面の補助層用(拘束層用)グリーンシート2にとどまり、内部の未焼成セラミック体10には達しないため、最終的に信頼性の高いセラミック基板14を得ることが可能になる。
    【0067】
    (4)また、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11のプレス時に、型30の凸部22と接する部分の補助層20に表面割れが生じても、型30が割れの生じた面に密着するため、焼成時における拘束力が損なわれることはない。
    【0068】
    (5)また、プレス(変形)用の型30の凸部22は、補助層付き未焼成セラミック体11の表面に配設された補助層20と同一の補助層用(拘束層用)グリーンシート2を用いて形成されているため、プレス(圧着)する際に補助層付き未焼成セラミック体11と一体化させることが可能で、変形させた圧着体(型30を含む補助層付き未焼成セラミック体11)13の一方の主面をフラットにすることが可能になるため、平板4により積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11を確実に保持して、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の、脱脂時や焼成時における形状安定性を向上させることが可能になり、加工精度が高く、寸法ひずみの小さい焼結基板(セラミック基板)14を確実に製造することが可能になる。
    【実施例2】
    【0069】
    図9は、この実施例(実施例2)のセラミック基板の製造方法の一工程を示す図である。
    なお、図9において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。
    【0070】
    この実施例2では、プレス(変形)用の型として、適度な硬さを有する材料(この実施例2では樹脂)からなる平板4に、所定の形状の凹部21および凸部22を形成する加工を直接に施すことにより作製した型30を用いる。 その他の構成は上記実施例1と同様である。
    【0071】
    なお、型30としては、上述のような樹脂製のものに限らず、金属製の平板に凹部および凸部を設けた構成のものを用いることも可能である。
    そして、図9に示すような型30を用い、上記実施例1の場合と同様に、未焼成セラミック体10の両面側に補助層20が配設された積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11を静水圧プレス(または弾性体を介しての圧着)の方法によりプレスして所定形状の圧着体13を形成する工程を経て、セラミック基板を製造する。
    【0072】
    この実施例2のように、適度に硬く、弾性を有する樹脂材料からなる平板(樹脂板)4を用いた型30を用いた場合、以下のような作用効果が得られる。
    【0073】
    (1)補助層付き未焼成セラミック体11の、型30を合わせた面と逆側の面をなだらかに変形させる(裏面になだらかな凹部15(15b)を形成する)ことができるので、型30に接する方の面において、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)を形成するようにした場合にも、型30との接触面に大きな応力がかかることを抑制して、未焼成セラミック体10の破断を引き起こすことなく、意図する形状の段差部分15(15a,15b)を形成することができる(実施例1の(1)の効果に相当する効果)。
    【0074】
    (2)また、型30の凸部22は、適度に硬く、弾性を有する樹脂から形成されているので、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11への加工がソフトになり、特に凸部22のエッジ部分に対応する部分において積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11に割れが発生することを抑制することができる(実施例1の(2)の効果の一部に相当する効果)。 また、型30の凹部21の底面(すなわち型30を構成する平板本体)が弾性を有するため、積層体11をプレスして、変形させる場合に、凹部21の底面が変形して下方に盛り上がり、積層体11の変形によるダメージを低減させることができる。
    【0075】
    (3)プレス時に積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の表面に割れが発生した場合にも、割れは、積層体11の表面の補助層用(拘束層用)グリーンシート2にとどまり、内部の未焼成セラミック体10には達しないため、最終的に信頼性の高いセラミック基板14を得ることができる(実施例1の(3)の効果に相当する効果)。
    【0076】
    (4)また、型30は、繰り返し使用が可能であるため、製造コストを削減することが可能になる。 また、平板面も弾性を有するため、積層体11を変形・圧着する場合に、底面から盛り上がり、積層体11の変形によるダメージを低減させることができる。
    【0077】
    また、硬く、弾性を有しない金属材料からなる平板(金属板)4を用いて型30を用いた場合、上記の樹脂からなる型30を用いた場合の(1)〜(4)の効果のうち、 (1),(3),(4)の効果を得ることができる。
    また、金属製の型30を用いた場合、繰り返し使用が可能であるばかりでなく、金属が硬く、表面を平滑するための加工性に優れていることから、加工面をよりフラットにすることが可能になり、精度の高い成型を行うことが可能になる。
    【0078】
    ただし、金属製の型30を用いた場合、凸部22が硬く、弾性がないことから、型が弾性を備えている場合に得られるような上記(2)の効果を得ることはできない。
    【0079】
    また、樹脂または金属からなる型30を用いるようにした場合には、型30の材質が、積層体の材質とは特性が異なるため、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11とは同時に焼成することができず、変形させた圧着体(型30を含む補助層付き未焼成セラミック体11)13から、型30を剥離することが必要になるため、型を合わせる方の面をフラットにした状態で焼成することができず、焼成時における拘束力の点では実施例1の(4)の効果ほどの効果を得ることができないが、補助層(拘束層用グリーンシート)が積層体の表面を覆っているため、従来の製造方法の場合に比べると、形状精度や寸法精度の高いセラミック基板を得ることが可能である。
    【実施例3】
    【0080】
    図10は本願発明に関連する参考発明の実施例(実施例3)にかかるセラミック基板の製造方法の一工程を示す図である。
    なお、図10において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。
    【0081】
    この実施例3では、上記実施例1の型30の場合と同様に、補助層用(拘束層用)グリーンシート2と同じシートを所定の形状に打ち抜き加工した型形成用グリーンシート3を平板4に貼り付けることにより形成した型30を用い、その上に、いわゆる逐次圧着の方法で、基板用グリーンシートの焼成温度では焼結しないセラミックを含む補助層用(拘束層用)グリーンシート2、セラミック基板となる基板用グリーンシート1、および拘束層用グリーンシート2をそれぞれ所定枚数だけ積層、圧着して、未焼成セラミック体10の上下両面側に補助層20を備え、かつ、所望の形状の段差部分を有する圧着体13を形成する。
    【0082】
    すなわち、この実施例3では、補助層用(拘束層用)グリーンシート2、セラミック基板となる基板用グリーンシート1、および拘束層用グリーンシート2を、それぞれ所定枚数だけ積層するにあたって、各グリーンシートを一枚積層するごとに、その上面から弾性体(例えばシリコンラバー)7aを介して平板状の圧着用金型8によりプレスすることにより圧着し、これを繰り返すことにより、圧着体13を形成する。
    【0083】
    なお、プレス圧力は100〜2000kg/cm 2の範囲が好ましく、さらには、1000〜2000kg/cm 2の範囲とすることが好ましい。 また、プレス時の温度は30〜100℃の範囲とすることが好ましく、さらには50〜80℃の範囲とすることが好ましい。
    【0084】
    この実施例3の方法の場合にも、実施例1の場合と同様に、型30と対向する面には、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)が形成され、型30に接していなかった面には、側壁がなだらかに傾斜した段差部分(凹部)15(15b)を備えた、図10に示すような圧着体13を得ることができる。
    【0085】
    また、この実施例3のセラミック基板の製造方法においては、補助層用(拘束層用)グリーンシート2、基板用グリーンシート1を一枚積層するごとに圧着を行う、いわゆる逐次圧着の方法で圧着するようにしているので、圧着のたびごとに弾性体7aが型30の凹凸形状に沿うように変形して、型20の凹部21の内部に各グリーンシートを十分に入り込ませて所望の形状を有する圧着体13を形成することができる。
    その結果、形状精度、寸法精度の高い段差部分(凹凸形状)を有するセラミック基板を確実に製造することが可能になる。
    【0086】
    なお、各グリーンシートを1枚ずつ変形用の型30の凹部21の内部に積層圧着するようにしているため、グリーンシートが徐々に伸びて型30の凹部21を選択的に埋めていくことになり、積層枚数(圧着枚数)が増加するにつれて、型30と対向する面とは逆側の面に形成される凹部15(15b)の深さが浅くなる。 そのため、型30の凹部21の深さが浅く、未焼成セラミック体10の厚みが厚くなる(積層数が多くなる)につれて、型30と対向する面とは逆側の面に形成される凹部15(15b)の深さが浅くなり、ついには、周囲との段差がなくなる。 その結果、図11(a)に示すように、片方の面にのみ、側面が略垂直な段差部分(凹部15(15a))が形成され、他方の面が平坦な圧着体13を得ることが可能になる。 そして、この圧着体13を焼成することにより、図11(b)に示すように、一方の面にのみ段差部分(凹部)15(15a)を有するセラミック基板14を製造することができる。
    【0087】
    なお、図12に示すように、焼成後のセラミック基板14における上面側の凹部15(15b)の深さAと、図10および図11(b)に示す型30の凸部22の高さBおよびセラミック基板14の厚みTとの関係は、表1に示すような関係となる。
    【0088】
    【表1】

    【0089】


    表1に示すように、型30の凸部22の高さBが100μmで、セラミック基板14の厚みTが800μmになると、セラミック基板の上面側の凹部15(15b)の深さAが15μmとなって、セラミック基板14の表面粗さ(10〜20μm)と同等になるため、図11(b)に示すように、片方の面にのみ、側面が略垂直な段差部分(凹部15(15a))が形成され、他方の面が平坦なセラミック基板14を得ることが可能になる。


    【0090】


    また、この実施例3のセラミック基板の製造方法によれば、その他の点においても、上述の実施例1のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。 さらに、この実施例3のセラミック基板の製造方法の構成は、上述の実施例2の構成(適当な硬さを有する樹脂や金属などからなる型30(図9参照)を用いるようにした構成)にも適用することが可能であり、その場合には上述の実施例2のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。


    【0091】


    また、上記の例では、弾性体7aを介して圧着するようにしているが、静水圧プレスの方法で圧着することも可能である。


    また、弾性体7aを介して圧着することにより変形させた圧着体13を、さらに静水圧プレスの方法により圧着するように構成することも可能である。 このとき、変形させた圧着体13において、段差部分(凹部)15(15a)が形成された主面は等方的に圧力がかかるように、変形しやすい弾性体(例えばシリコーンゴム)などで挟み込んで圧着することが好ましい。


    【実施例4】


    【0092】


    図13は、本願発明のさらに他の実施例(実施例4)にかかるセラミック基板の製造方法の一工程を示す図である。


    なお、図13において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。


    また、この実施例4において、以下に説明する構成以外の構成は、上記実施例1の場合と同様である。


    【0093】


    この実施例4では、図13に示すように、未焼成セラミック体10の上下両面側に補助層20を備えた積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の両主面に、一対のプレス(変形)用の型30(30a,30b)を合わせ、上面の型30b側から静水圧プレス(または弾性体を介しての圧着)の方法によりプレスして、段差部分15を備えた圧着体13を形成する。


    なお、この実施例4では、型30として、上記実施例1の場合と同様に、補助層用(拘束層用)グリーンシート2と同じシートを所定の形状に打ち抜き加工した型形成用グリーンシート3を平板4に貼り付けることにより形成した型30(30a,30b)を用いる。


    【0094】


    また、プレス圧力は100〜2000kg/cm

    2の範囲とすることが好ましくは、さらには、1000〜2000kg/cm

    2の範囲で実施することが好ましい。 また、プレス時の温度は30〜100℃の範囲が好ましく、さらには、50〜80℃の範囲が好ましい。


    【0095】


    この実施例4の方法によれば、両面に、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)を備えた圧着体13(変形後の補助層付き未焼成セラミック体11)を確実に作製することができる。 そして、この圧着体13を焼成することにより、両面にシャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)を備えたセラミック基板を得ることができる。


    【0096】


    なお、この実施例4のセラミック基板の製造方法においては、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の両面に、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)を形成するようにしていることから、上述の実施例1〜3の場合に得られるような、「補助層付き未焼成セラミック体11の、一方の主面(型30と当接しない主面)をなだらかに変形させることにより、他方の主面(型と当接する主面)において、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分を形成した場合にかかる応力を緩和する」という作用効果は得られないが、その他の点では、上述の実施例1において得られる作用効果に準じる作用効果を得ることができる。


    【0097】


    さらに、この実施例4のセラミック基板の製造方法の構成は、上述の実施例2および3のセラミック基板の製造方法の構成にも適用することが可能であり、その場合には上述の実施例2および3のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。


    【実施例5】


    【0098】


    図14は、本願発明のさらに他の実施例(実施例5)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型の構成を示す図、図15は図14に示した型を用いて段差部分が複数の段部を備えたセラミック基板を製造する方法を示す図である。 なお、図14,図15において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。


    また、この実施例5において、以下に説明する構成以外の構成は、上記実施例1の場合と同様である。


    【0099】


    この実施例5では、図14に示すように、凹部21が複数(2つ)の段部21a,21bを有し、凸部22が複数(2つ)の段部22a,22bを有する型30を用いる。


    なお、この型30は、凹部21に複数(2つ)の段部21a,21bを形成し、凸部22に複数(2つ)の段部22a,22bを形成することができるように、補助層用(拘束層用)グリーンシート2(図15)と同じシートを、所定の形状に打ち抜き加工して2種類の型形成用グリーンシート3(3a,3b)を形成し、この2種類の型形成用グリーンシート3(3a,3b)を、図14に示すような態様で、型形成用グリーンシート3b,3aの順に平板4に貼り付けることにより作製されている。


    【0100】


    また、補助層用(拘束層用)グリーンシートの打ち抜きパターン(型形成用グリーンシート3)の種類を3種類以上にすることにより、凹部および凸部に3つ以上の段部が設けられた型を形成することも可能である。


    【0101】


    また、型30としては、上記実施例2の型30(図9参照)のように、適度な硬さを有する材料(例えば、樹脂や金属)からなる平板4に、所定の形状の凹部21および凸部22を形成する加工を直接に施すことにより作製した型を用いることも可能である。


    【0102】


    上述のように構成された型30(図14)を用いて、図15に示すような態様で、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11を静水圧プレス(または弾性体を介しての圧着)の方法によりプレスすることにより、型30と当接する面に、側壁に2つの段部15a

    1 ,15a

    2を備えた段差部分15(15a)が形成され、型30と当接しない面にはなだらかな形状の段差部分15(15b)が形成された圧着体13を得ることが可能になり、結果的に、該圧着体13に対応する形状のセラミック基板を得ることが可能になる。


    【0103】


    そして、このようにして作製されるセラミック基板(マザー基板)を、所定の位置でカットすることにより、図16に示すような、側壁に2つの段部15a

    1 ,15a

    2を備えた凹部15aを有するセラミック基板14を得ることができる。


    【0104】


    そして、このセラミック基板14においては、例えば、図16に示すように、半導体素子17を実装する際に必要となるワイヤボンディングパッド17aを、半導体素子17の高さに合わせて形成することが可能になり、安定したワイヤボンディングを行うことが可能になる。


    【0105】


    また、この実施例5のセラミック基板の製造方法によれば、その他の点においても、実施例1のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。 さらに、実施例5のセラミック基板の製造方法の構成は、上述の実施例2〜4のセラミック基板の製造方法の構成にも適用することが可能であり、その場合には上述の実施例2〜4のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。


    【実施例6】


    【0106】


    図17は、本願発明

    に関連する参考発明の実施例(実施例6)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型と、それに対応する形状に成形されたプレス前の補助層付き未焼成セラミック体の構成を示す図、図18は補助層付き未焼成セラミック体をプレスしている状態を示す図である。 なお、図17,図18において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。


    また、この実施例6において、以下に説明する構成以外は、上記実施例1の場合と同様である。


    【0107】


    この実施例6では、まず、実施例1と同様に、補助層用(拘束層用)グリーンシート2と同じシートを所定の形状に打ち抜き加工した型形成用グリーンシート3を平板4に貼り付けることにより形成した、凹部21と凸部22を備えた型30(図17参照)を用意する。


    【0108】


    そして、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11として、打ち抜き加工されていない補助層用(拘束層用)グリーンシート2、打ち抜き加工されていない基板用グリーンシート1を所定枚数積層した後、打ち抜き加工された基板用グリーンシート1aと、打ち抜き加工された補助層用(拘束層用)グリーンシート2aを積層することにより、未焼成セラミック体10の両面側に補助層20が配設され、かつ、型30の凸部22に対向する位置に凹部11aが形成された積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11(図17参照)を作製する。


    【0109】


    なお、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の凹部11aの深さDは、凹部11aの底部が型30の凸部22により押圧(圧着)され、所定の形状の段差部分(凹部)15(15a)が形成されるように、型30の凸部(型)22の高さHに比べて浅くなるようにしている。


    【0110】


    それから、図18に示すように、型30の凸部22と、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の凹部11aが対向するように、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11に型30を合わせ、静水圧プレス(または弾性体を介しての圧着)の方法により、プレスを行う。 これにより、型30と対向する面には、深さが深く、かつ、側壁がほぼ垂直で、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)が形成され、型30に接していなかった面には、側壁がなだらかに傾斜し、型30と接する面に形成された凹部15(15a)よりも深さの浅い段差部分(凹部)15(15b)が形成された圧着体13を得ることができる。


    【0111】


    特に、この実施例6の構成においては、最終的に作製されるセラミック基板において凹部15(15a)が形成されるべき領域に、予め、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の段階で凹部11aを形成するようにしているので、型30を合わせてプレスすることにより、深く、シャープな形状を有し、かつ、凹部15(15a)が形成された部分(凹部15aの底部)の厚みが薄い段差部分(凹部)15(15a)を確実に形成することが可能になる。


    【0112】


    また、予め、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11に凹部11aを形成するようにしているので、型30を用いてプレスを行うことにより、深い凹部15(15a)を形成するようにした場合にも、未焼成セラミック体10の破断を引き起こすことなく、深さが深く、シャープな形状を有し、かつ、凹部15(15a)が形成された部分(凹部15aの底部)の厚みが薄い段差部分(凹部)15(15a)を備えた圧着体13を歩留まりよく作製することが可能になる。


    【0113】


    また、この実施例6のセラミック基板の製造方法によれば、その他の点においても、実施例1のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。 さらに、実施例6のセラミック基板の構成は、上述の実施例2〜5のセラミック基板の製造方法の構成にも適用することが可能であり、その場合には上述の実施例2〜5のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。


    【実施例7】


    【0114】


    図19は、本願発明のさらに他の実施例(実施例7)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型と、それに対応する形状に成形されたプレス前の補助層付き未焼成セラミック体の構成を示す図、図20は補助層付き未焼成セラミック体をプレスしている状態を示す図である。


    なお、図19,図20において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。


    また、この実施例7において、以下に説明する構成以外は、上記実施例1の場合と同様である。


    【0115】


    この実施例7では、まず、実施例1と同様に、補助層用(拘束層用)グリーンシート2と同じシートを所定の形状に打ち抜き加工した型形成用グリーンシート3を平板4に貼り付けることにより形成した、凹部21と凸部22を備えた型30(図19参照)を用意する。


    【0116】


    また、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11として、基板用グリーンシート1、補助層用(拘束層用)グリーンシート2を所定の順に所定枚数ずつ積層することにより、未焼成セラミック体10の両面側に補助層20が配設された積層体11(図19参照)を用意する。


    【0117】


    そして、この実施例7では、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の、型30と対向する側の補助層20の表面、および、未焼成セラミック体10の表面の、型30の凸部22のエッジ部と対向する位置およびその近傍領域、すなわち、プレス時(圧着時)に折れ曲がる部分となる領域に、変形や積層体11の割れに対して強い材料(例えばガラスペーストや金属導体ペースト、有機系緩衝剤など)からなる補強層9a,9bを配設する。


    【0118】


    なお、補強層9a,9bは、補助層用(拘束層用)グリーンシート2および基板用グリーンシート1に、補強層9a,9bを形成するための補強層用ペーストをスクリーン印刷などの方法で、所定の形状となるように塗布することにより形成する。 なお、補強層用ペーストとしては、例えば、表面導体31,内層導体32、ビアホール導体34などに用いられる導体ペーストと同じものを用いることが可能であり、また、異なるものを用いることも可能である。


    【0119】


    それから、図20に示すように、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11に型30を合わせて、静水圧プレス(または弾性体を介しての圧着)を行い、圧着体13を形成する。 これにより、型30と対向する面には、側壁が垂直に近く、シャープな形状を有する段差部分(凹部)15(15a)が形成され、型30に接していなかった面には、側壁がなだらかに傾斜した段差部分(凹部)15(15b)が形成された圧着体13を得ることができる。


    【0120】


    そして、この実施例7の構成においては、プレス(変形)の工程で、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11の、折れ曲がって大きく変形する部分に、予め、積層体11の変形や割れに対して強い材料からなる補強層9a,9bを配設しているので、大きな段差部分を有する圧着体13を形成する場合にも、表面導体や内層導体の破断、未焼成セラミック体10を構成するセラミックグリーンシートの割れなどの欠陥の発生を抑制、防止することが可能になる。


    【0121】


    また、この実施例7のセラミック基板の製造方法によれば、その他の点においても、実施例1のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。 さらに、実施例7のセラミック基板の構成は、上述の実施例2〜6の構成にも適用することが可能であり、その場合には上述の実施例2〜6のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。


    【実施例8】


    【0122】


    図21は、本願発明のさらに他の実施例(実施例8)にかかるセラミック基板の製造方法において用いた型の構成を示す図、図22は図21に示した型を用いてセラミック基板を製造する方法を示す図である。


    なお、図21,図22において、図1,図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。


    また、この実施例8において、以下に説明する構成以外は、上記実施例1の場合と同様である。


    【0123】


    この実施例8では、補助層用(拘束層用)グリーンシート2と同じシートを、側面が斜めになるように所定の形状に打ち抜き加工した、型形成用グリーンシート3を平板4に貼り付けることにより、先細り(裾広がり)のテーパ形状を有する凸部22と、先太り(裾すぼまり)のテーパ形状を有する凹部21を備えた型30(図21参照)を作製する。


    【0124】


    また、基板用グリーンシート1、補助層用(拘束層用)グリーンシート2を所定の順に所定枚数ずつ積層することにより、未焼成セラミック体10の両面側に補助層20が配設された積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11(図21参照)を用意する。


    【0125】


    そして、図22に示すように、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11に型30を合わせ、静水圧プレス(または弾性体を介しての圧着)の方法によりプレスして、段差部分15を備えた圧着体13を形成する。


    【0126】


    これにより、型30と対向する面には、側壁が傾斜し、底部に向かって面積が小さくなるようなシャープなテーパ形状の段差部分(凹部)15(15a)が形成され、型30に接していなかった面には、側壁がなだらかに傾斜した段差部分(凹部)15(15b)が形成された圧着体13を得ることができる。


    【0127】


    なお、実施例1の構成の場合、段差部分(凹部)15(15a)の側壁が略垂直になるのに対して、この実施例8の構成の場合、段差部分(凹部)15(15a)の側壁が傾斜し、底部に向かって面積が小さくなるようなシャープなテーパ形状となる。 したがって、実施例1で形成される段差部分(凹部)15aに比べて、実施例8のセラミック基板の製造方法の場合、凹部15a内の空間の容積や実装面積(底部の面積)が小さくなる。 しかし、実施例1の構成の場合、深い凹部15(15a)を形成しようとすると、積層体11を大きく変形させて(折り曲げて)、積層体11の一部を強く伸ばす加工になることから、積層体11の表面に深い割れが発生するおそれがあるが、この実施例8のセラミック基板の製造方法の場合、型30の凸部22が先細りのテーパ形状を有しているため、積層体(補助層付き未焼成セラミック体)11が折れ曲がる角度を小さくすることが可能になり、積層体11に深い凹部15(15a)を形成する場合にも、積層体11に割れが発生することを確実に抑制、防止することが可能になり、信頼性の高いセラミック基板を、歩留まりよく製造することが可能になる。


    【0128】


    また、図23は、この実施例8のセラミック電子部品の製造方法により製造されたセラミック基板の要部を拡大して示す断面図、図24(a)は図23で示したセラミック基板の上面側の形状を示す斜視図、図24(b)はその下面側の形状を示す斜視図である。


    【0129】


    図23、図24(a),(b)に示すように、この実施例8のセラミック電子部品の製造方法により製造されたセラミック基板14(もしくは圧着体13)において、


    (a)上面側の凸部121の頂上の略平坦面122の、セラミック基板14の上面123と平行な方向の寸法をA1、


    (b)上面側の凸部121の全体の、セラミック基板14の上面123と平行な方向の寸法をA2、


    (c)上面側の凸部121の傾斜部分124と、セラミック基板14の上面123とのなす角度をθA、


    (d)下面側の凹部131の底部の略平坦面132の、セラミック基板14の下面133と平行な方向の寸法をB1、


    (e)下面側の凹部131の全体の、セラミック基板14の下面133と平行な方向の寸法をB2、


    (f)下面側の凹部131の内壁面(側壁部分)134と、セラミック基板14の下面133とのなす角度をθB


    とした場合に、このセラミック基板14(もしくは圧着体13)は、


    A1<B1 ……[1]


    B2<A2 ……[2]


    の条件を満たしている。


    なお、この実施例8において、上記凸部の頂上の略平坦面とは、略平坦面の標高の最も高い位置から、該標高の最も高い位置よりも標高が20μm低い位置までの領域を意味する概念であり、頂上の略平坦面の、セラミック基板の上面と平行な方向の寸法A1とは、この領域のセラミック基板の上面と平行な方向の寸法を意味する概念である。


    また、前記凸部全体の、セラミック基板の上面と平行な方向の寸法A2とは、セラミック基板の上面から10μm以上標高が高くなった領域を凸部とした場合における凸部全体の、セラミック基板の上面と平行な方向の寸法を意味する概念である。


    【0130】


    また、このセラミック基板14(もしくは圧着体13)は、


    θA<θB ……[3]


    の要件を満たしている。


    【0131】


    さらに、このセラミック基板14(もしくは圧着体13)は、


    0°<θB≦90°……[4]


    0°<θA<90°……[5]


    の要件を備えている。


    【0132】


    上述の[1]の要件(A1<B1)および[2]の要件(B2<A2)を満たすことにより、凸部121と凹部131の間の段差形成部140における、収縮方向(図23において矢印23Aで示す方向)の厚みが、セラミック基板14の他の部分の厚みに近似した厚みとなり、焼成工程において絶対収縮量の差が大きくなることを抑制、防止して、歪みや亀裂などの欠陥のないキャビティ構造(凹部131を備えた構造)を有するセラミック基板14を得ることが可能になる。


    【0133】


    また、セラミック基板の焼結時に、圧着体13の両主面に配設した補助層20(拘束層用グリーンシート2)が、その形状を維持しながら、実質的に収縮しないため、補助層20(拘束層用グリーンシート2)と、圧着体13(セラミック基板14)の界面で剥がれが生じることを抑制、防止することが可能になるとともに、圧着体13が、その平面方向には実質的には収縮せず、かつ、その厚み方向への収縮を阻害されることなく焼結するため、寸法精度の高いキャビティ構造(凹部131を備えた構造)を有するセラミック基板14を作製することが可能になる。


    【0134】


    また、キャビティ形成のために特別な工程を追加する必要がないため、キャビティを備えていない平坦なセラミック基板を製造する場合に比べて、製造コストの増大を招くことなく、寸法精度の高いキャビティ構造を有するセラミック基板14を作製することが可能になる。


    【0135】


    また、上記[3]の要件(θA<θB)を満たすようにした場合、セラミック基板14の凸部121と凹部131の間の段差形成部140の厚みを、より確実にセラミック基板14の他の部分の厚みに近似した厚みとすることが可能になり、上述の効果を一層確実に得ることが可能になる。


    【0136】


    さらに、上記[4]の要件(0°<θB≦90°)および[5]の要件(0°<θA<90°)を満たすようにした場合、セラミック基板14の凸部121と凹部131の間の段差形成部140の厚みを、より確実にセラミック基板14の他の部分の厚みに近似した厚みとすることが可能になり、上述の効果を一層確実なものとすることが可能になる。


    なお、30°≦θB≦60°の要件を満たすようにした場合、上述の作用効果をさらに確実なものとすることが可能になる。


    【0137】


    また、本願発明においては、図25に示すように、下面側の凹部131の内壁面134と、セラミック基板14の下面とのなす角度θBを90°とすることも可能である。


    【0138】


    なお、図25の場合、下面側の凹部131の形状に対し、上面側凸部121の形状は滑らかに追随するため、下面側の凹部131と、上面側凸部121の形状のずれは大きくなるものの、頂上の略平坦面122の寸法A1が小さく、凹部131の全体の、セラミック基板14の下面133と平行な方向の寸法(底面の寸法)B2(=B1)が大きいことから、上面側凸部121の傾斜部分124と、セラミック基板14の上面123とのなす角度θAが鋭角になり、セラミック基板14の厚みのばらつきが緩和されるような形状になるため、また、その際には、凸部121と凹部131の周辺の圧着体13を構成する各シートが伸びて、圧着体13に厚みが生じることを緩和する効果が得られるため、凹部131の内壁面134と、セラミック基板14の下面のなす角度θBを90°とした場合にも、この実施例8の構成から得られる作用効果のうちの基本的な作用効果を得ることができる。


    【0139】


    また、この実施例8のセラミック基板の製造方法によれば、その他の点においても、実施例1のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。 さらに、実施例8のセラミック基板の構成は、上述の実施例2〜7のセラミック基板の製造方法にも適用することが可能であり、その場合には上述の実施例2〜7のセラミック基板の製造方法の場合と同様の作用効果を得ることができる。


    【産業上の利用可能性】


    【0140】


    本願発明のセラミック基板の製造方法は、未焼成セラミック体の一方の主面に、未焼成セラミック体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層が密着した状態で、主面に段差部分を有する補助層付き未焼成セラミック体を形成し、この補助層付き未焼成セラミック体を、補助層を備えた状態のまま焼成するようにしているので、複雑な製造工程や製造設備を必要とせずに、所望の形状を有する段差部分を備えたセラミック基板を効率よく製造することが可能になる。


    したがって、本願発明は、種々の用途に用いられるセラミック基板、該セラミック基板に各種の電子部品を搭載したモジュール基板などの分野に広く適用することができる。

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