Ceramic joined body and method for producing the same

申请号 JP2011192800 申请日 2011-09-05 公开(公告)号 JP2013053047A 公开(公告)日 2013-03-21
申请人 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd; 三井金属鉱業株式会社; National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology; 独立行政法人産業技術総合研究所; 发明人 IZUTSU YASUHISA; ARIMA SHUN; KONDO NAOKI; HOTTA MIKINORI; KITA HIDENORI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a ceramic joined body, in which a bonding portion has high joining strength close to the strength of materials to be joined.SOLUTION: The ceramic joined body is obtained by joining silicon nitride ceramic materials to be joined to each other through a bonding portion comprising both silicon nitride particles and a silicon oxynitride glass. The bonding portion has a microstructural texture in which silicon nitride particles and a silicon oxynitride glass are observed. The ratio, based on two-dimensional cross-section observation, of the amount of the silicon oxynitride glass to the total amount of the silicon nitride particles and the silicon oxynitride glass in the field of view of observation is 97:3 to 60:40. The silicon nitride particles contained in the bonding portion are columnar.
权利要求
  • 窒化ケイ素セラミックス被接合材どうしが、窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位を介して接合されてなるセラミックス接合体であって、
    前記接合部位は、その微細構造組織の二次元断面観察において、窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスとの割合が97:3〜60:40であり、
    且つ、前記接合部位に含まれる窒化ケイ素粒子が柱状である、セラミックス接合体。
  • 前記接合部位における前記柱状粒子のアスペクト比(長軸/短軸)が2〜30である請求項1に記載のセラミックス接合体。
  • 窒化ケイ素セラミックス被接合材どうしが、窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位を介して接合されてなるセラミックス接合体の製造方法であって、
    前記被接合材の間に、加熱後に窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位の形成が可能な組成を有する混合粉末を含む接合材を介在させ、
    前記被接合材どうしの接合部位を加圧した状態下に該接合部位を加熱する、セラミックス接合体の製造方法。
  • 前記混合粉末として、平均粒径0.4〜5.0μmである窒化ケイ素粒子を含むものを用いる請求項3に記載のセラミックス接合体の製造方法。
  • 前記被接合材どうしの接合面に直交する軸まわりに該被接合材を回転させながら加熱を行い、
    且つ、前記軸が水平面内に位置するように前記被接合材を回転させる請求項3又は4に記載の製造方法。
  • 前記接合材として、前記混合粉末を含んで形成されたグリーンシートを用いる請求項3ないし5のいずれか一項に記載の製造方法。
  • 前記被接合材が管状又は棒状のものであり、該被接合材の端面間に前記接合材を介在させ、該被接合材の軸まわりに該被接合材を回転させながら加熱を行う請求項3ないし6のいずれか一項に記載の製造方法。
  • 前記被接合材の端面が、該端面どうしを当接させたときに嵌り合って、該被接合材の軸心の位置が合う形状となっている請求項7に記載の製造方法。
  • 前記被接合材の軸心の位置合わせを行うためのインナースリーブを前記接合部位に介在させる請求項7に記載の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、セラミックス接合体及びその製造方法に関する。

    窒化ケイ素系セラミックスからなる被接合材どうしを接合する方法が種々提案されている。 例えば(1)数種類の酸化物ガラス組成である低融点接合材を用いる方法、(2)同じ窒化ケイ素組成接合材を用いる場合には、ホットプレス等の物理的圧着を併用する方法、(3)シリコン金属を直接窒化して母材と一体化させるか、又は低融点金属をろう材とした方法が提案されている。

    具体的には、特許文献1には、焼結助剤としてY 23及びYb 23を含有する窒化ケイ素セラミックスを、Y 23 、Al 23 、SiO 2及びSi 34からなるオキシナイトライドガラスによって接合することが記載されている。

    特許文献2には、円盤状の窒化ケイ素孔あき板の孔部に、窒化ケイ素棒を挿入し、両者のなす円形状の接合部に、CeO 2 、SrCO 3 、MgO、Al 23 、SiO 2及びSi 34からなる接合剤を塗布した後、1500℃で1時間加熱し処理することが記載されている。

    特許文献3には、(a)シリコン粒子を含む第1の原料を調製するステップと、(b)第1の原料から成形体を形成するステップと、(c)前記成形体中のシリコン粒子を反応焼結処理するステップと、(d)第1の原料と同様の第2の原料を調製するステップと、(e)第2の原料からスラリーを調製するステップと、(f)後に接合材が形成される被接合部材どうしの隙間に、前記スラリーを注入して、接合材を形成させるステップと、(g)ステップ(c)と同様の反応焼結処理により、前記接合材中のシリコン粒子を反応焼結処理するステップとを有する接合方法が記載されている。

    特許文献4には、ルテチウムを含む窒化ケイ素質焼結体からなる一対の板状の基体の一方又は両方の主面に、アルミニウム、シリコン、イットリウムを含むガラスを主成分とする接合剤を塗布する工程と、一対の前記基体の主面を重ね合わせ、非酸化性雰囲気にて熱処理して接合する工程とを含むセラミックス接合体の製造方法が記載されている。

    特開平5−4876号公報

    特開平5−270933号公報

    特開2010−138038号公報

    特開2010−150048号公報

    以上のとおり、種々の接合方法が提案されているが、低融点接合材を用いると、接合部位の耐熱性や耐化学反応性が劣りやすい傾向にある。 ホットプレス等の物理的圧着を用いる場合、長尺の管状部材を製造するには、特殊な大型製造装置が必要となってしまう。 シリコン金属を直接窒化する接合材を用いると、窒化不足で耐熱性に劣るシリコン金属が接合材中に残留しやすい。

    したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るセラミックス接合体及びその製造方法を提供することにある。

    本発明は、窒化ケイ素セラミックス被接合材どうしが、窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位を介して接合されてなるセラミックス接合体であって、
    前記接合部位は、その微細構造組織の二次元断面観察において、窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスとの割合が97:3〜60:40であり、
    且つ、前記接合部位に含まれる窒化ケイ素粒子が柱状である、セラミックス接合体を提供するものである。

    また本発明は、前記のセラミックス接合体の好適な製造方法として、窒化ケイ素セラミックス被接合材どうしが、窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位を介して接合されてなるセラミックス接合体の製造方法であって、
    前記被接合材の間に、加熱後に窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位の形成が可能な組成を有する混合粉末を含む接合材を介在させ、
    前記被接合材どうしの接合部位を加圧した状態下に該接合部位を加熱する、セラミックス接合体の製造方法を提供するものである。

    本発明のセラミックス接合体は、接合部位が、被接合材の強度に近い高接合強度を有するものである。 また本発明のセラミックス接合体は、これを高温の酸化性雰囲気下に曝露した後であっても、接合強度を維持し得るものである。

    図1は、グリーンシートからなる接合材を用いて被接合材を接合する状態を示す模式図である。

    図2(a)及び(b)は、嵌合構造を有する被接合材どうしを接合する状態を示す模式図である。

    図2は、インナースリーブを用いて被接合材を接合する状態を示す模式図である。

    図4(a)ないし(d)は、本発明の製造方法の実施に好適に用いられる装置によって、セラミックス接合体を製造する工程を順次示す模式図である。

    以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。 本発明のセラミックス接合体は、窒化ケイ素セラミックス被接合材どうしが、接合部位を介して接合されてなるものである。 接合部位を介して接合される2つの被接合材は、目的とするセラミックス接合体の用途に応じて種々の形状をとり得る。 例えば直方体や立方体等の六面体、平滑な端面を有する棒状体や管状体などの形状をとり得る。 また、被接合材は、中実体及び中空体のいずれであってもよい。 尤も、接合すべき2つの被接合材は、互いに面接触する部位を有していることが好ましい。 当該部位を有していることで、接合部位におけるセラミックス接合体の強度を十分に高めることができる。

    接合部位を介して接合される2つの被接合材は、その形状が同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。 同一の形状の被接合材としては、例えば棒状や管状などの形状が挙げられる。 異なる形状の被接合材としては、例えば、背景技術の項で述べたとおり、中央に孔あき部を有する円盤状の形状と、該孔あき部に挿入可能な断面形状を有する棒状の形状のものが挙げられる。

    接合部位を介して接合される2つの被接合材は、主材料が窒化ケイ素セラミックスである限りにおいて同組成のものでもよく、あるいは少量の第三成分、例えば焼結助剤等を含むことで組成が異なっているものでもよい。

    本発明のセラミックス接合体は、その具体的な用途に応じて、3つ以上の被接合材が接合されたものであってもよい。 その場合には、セラミックス接合体には2箇所以上の接合部位が存在してもよい。

    前記のセラミックス接合体は、その接合部位が、母材である被接合材から連続した化学組成及び微細構造組織を有していることが好ましい。 また、接合部位と接合部位周囲の被接合材との組成差が少ないことが望ましい。 これらの観点から、接合部位は、被接合材の主材料である窒化ケイ素を結晶相の主材料としていることが有利である。 接合部位に含まれる窒化ケイ素には、結晶構造の異なる2種の化合物であるα−窒化ケイ素及びβ−窒化ケイ素の少なくとも1種が存在することが知られている。 また接合部位には、結晶相として、β−窒化ケイ素中のSiの一部がAlに、Oの一部がNに置き換わった物質であるβ−サイアロンが存在することもある。 要するに、接合部位には結晶相として、α−窒化ケイ素、β−窒化ケイ素及びβ−サイアロンの1種以上が存在している。 以下に述べる接合部位の説明に関し、特に断らない限り「窒化ケイ素」とは、α−窒化ケイ素、β−窒化ケイ素及びβ−サイアロンの1種以上を意味する。

    接合部位には少なくともβ−サイアロンの結晶相が含まれていることが、接合部位の強度を高める観点から好ましい。 一般に、接合部位に存在するβ−サイアロンの割合は、該部位に存在する窒化ケイ素の割合よりも低くなっている。 尤も、接合部位に存在するβ−サイアロンの割合や、窒化ケイ素の割合は、本発明の目的を達成する上において、さほど重要な事項ではない。 更に接合部位は、少量の第三成分、例えば焼結助剤等を含んでいてもよい。

    接合部位がα−窒化ケイ素、β−窒化ケイ素又はβ−サイアロンを含んでいる否かは、例えばエックス線回折により、接合部位に含まれる結晶相を同定することによって判断できる。

    接合部位に含まれる窒化ケイ素は難焼結材であるため、ガラス等の酸化物を該接合部位に添加して、窒化ケイ素結晶の粒子間をガラスが埋める構造をもつようにすることが有利である。 窒化ケイ素結晶の粒子間に存在するガラスは、SiO 2ガラス中のOの一部が、窒化ケイ素結晶の中に取り込まれた酸窒化ケイ素ガラスである。

    接合部位は、被接合材の主材料である窒化ケイ素を結晶相の主材料とし、その結晶の粒子間を酸窒化ケイ素ガラスが埋める構造を有していることが望ましい。 窒化ケイ素結晶相としては、上述のとおりα−窒化ケイ素、β−窒化ケイ素及びβ−サイアロンのいずれか1つ、又は複数が存在してよい。 酸窒化ケイ素ガラス中には、他に、Al、Y、Mg、Zr、Ybなど、窒化ケイ素の焼結助剤として一般に用いられる金属元素が同時に1種又は複数種含まれても良い。 窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスとの割合は97:3〜60:40であることが望ましく、95:5〜65:35であることが更に望ましい。 両者の割合をこの範囲内に設定することで、緻密な接合部位が得られやすく、また、接合部位の劣化、例えば高温酸化雰囲気で所定時間保持した後の強度が劣化しにくくなる。 窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスとの割合は、例えば、接合部位を、500〜5000倍程度に拡大した走査型電子顕微鏡(SEM)による二次元断面の組織観察像を、画像解析することによって求めることができる。 画像解析に、例えば市販の各種コンピュータソフトウエアを用いれば、簡便にこの割合を求めることができる。 接合部位を組織観察すると、窒化ケイ素結晶相と酸窒化ケイ素ガラスとの相違は明確に区別できる。

    前記のセラミックス接合体は、その接合部位の微細構造組織にも特徴の一つを有する。 詳細には、この接合部位には、該接合部位を顕微鏡観察したときに、結晶粒として柱状粒子と球状粒子とが観察される。 先に述べたとおり、接合部位は窒化ケイ素やβ−サイアロンを含んで構成されているところ、この柱状粒子及び球状粒子は、結晶相として窒化ケイ素やβ−サイアロンを含んで構成されている。 詳細には、柱状粒子には、結晶相として、主としてβ−窒化ケイ素とβ−サイアロンが含まれている。 一方、球状粒子には、結晶相として、主としてα−窒化ケイ素が含まれている。 柱状粒子及び球状粒子について本発明者らが検討したところ、β−窒化ケイ素とβ−サイアロンを主として含む柱状粒子は、接合部位の強度向上に大きく寄与していることが判明した。 本発明者らが更に検討を推し進めたところ、接合部位における柱状粒子と球状粒子の存在のバランスが、該接合部位の接合強度に大きく影響することが判明した。 詳細には、接合部位が柱状粒子及び球状粒子を所定のバランスで含む場合には、接合部位が、被接合材の強度に近い高接合強度を有するものとなる。 接合部位に含まれる柱状粒子とは、接合部位の断面の組織観察において、アスペクト比(長軸/短軸)が2以上である粒子を意味する。

    接合部位に存在するβ−窒化ケイ素及びβ−サイアロンは主として柱状粒子に含まれるところ、柱状粒子のアスペクト比(長軸/短軸)平均は、好ましくは2〜30であり、更に好ましくは2.7〜20であり、一層好ましくは2.7〜15である。 このようなアスペクト比を有する柱状粒子を接合部位に存在させることで、該接合部位の接合強度や破壊靭性を容易に高めることができる。 柱状粒子の長軸とは、接合部位を顕微鏡観察して得られる柱状粒子の二次元像において、該柱状粒子を横切る線分が最も長くなる当該線分のことをいう。 短軸とは、長軸に直交し、かつ球状粒子を横切る線分が最も長くなる当該成分のことをいう。 柱状粒子のアスペクト比は、例えば、接合部位を、500〜5000倍程度に拡大した走査型電子顕微鏡(SEM)による二次元断面の組織観察を行い、観察視野内の粒子を任意に選択し、そのアスペクト比を測定する。 測定された粒子のうち、アスペクト比が2以上の粒子1000個以上についてアスペクト比の算術平均を求める。

    接合部位に存在する球状粒子は、接合部位を顕微鏡観察して得られる該球状粒子の二次元像が真円であることを要せず、真円とみなせる程度の円形であってもよい。 球状粒子が真円でない場合、該球状粒子のアスペクト比(長軸/短軸)は2未満であればよい。

    接合部位における柱状粒子と球状粒子とのバランスは、観察視野における柱状粒子と球状粒子との合計量に対する柱状粒子の割合を好ましくは10〜30%、更に好ましくは15〜30%に設定することが有利であることが、本発明者らの検討の結果判明した。 この割合は、接合部位を、500〜5000倍程度に拡大した顕微鏡観察で測定される柱状粒子の二次元像の面積及び球状粒子の二次元像の面積の合計面積を算出し、柱状粒子の面積を、該合計面積で除し、100を乗じて算出される。 この割合の算出は、例えば接合部位の顕微鏡観察像を画像解析することで行うことができる。

    接合部位に存在する窒化ケイ素粒子の大きさは、後述する接合材を構成する混合粉末の粒径に依存し、一般には該混合粉末を構成する粒子の粒径と同等又はそれ以上となるが、特に粒径0.7μm以上のものが、体積基準で15%以上存在することが望ましい。

    接合部位の厚み、すなわち、接合すべき2つの被接合材間の距離は、50〜500μm、特に50〜300μm、とりわけ50〜100μmとすることが、均一かつ高接合強度の接合部位を形成し得る観点から好ましい。

    以上の微細構造組織を有する接合部位を形成するには、例えば以下に述べる方法によって本発明のセラミックス接合体を製造すればよい。

    本発明の製造方法を実施するには、被接合材である2つの窒化ケイ素セラミックスを、それらの接合面どうしが対向するように配置する。 また、2つの被接合材間に、加熱後に窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位の形成が可能な組成を有する接合材を介在配置する。 2つの被接合材によって挟まれた接合材を加熱することにより、窒化ケイ素粒子と酸窒化ケイ素ガラスを含む接合部位を形成させ、被接合材を接合する。

    上述した混合粉末は、窒化ケイ素の粒子を含むことが好ましい。 また、酸窒化ケイ素ガラスの生成の観点から、二酸化ケイ素(SiO 2 )の粒子を含むことも好ましい。 また、サイアロンの生成の観点から、アルミナ(Al 23 )の粒子を含むことも好ましい。 混合粉末中に含まれる窒化ケイ素の割合は一般に20〜35質量%であることが好ましい。 二酸化ケイ素の割合は一般に10〜20質量%であることが好ましい。 アルミナの割合は一般に5〜15質量%であることが好ましい。 上述した混合粉末は、これらに加えて、焼結助剤として知られている各種の酸化物、例えばY 23 、CaO、MgO、ZrO 2 、Yb 23などの粉末を含んでいてもよい。 特にYは、窒化ケイ素結晶粒を柱状に伸長させる効果が高い元素である。 これらの各種の酸化物は、その合計量として、混合粉末中に一般に35〜55質量%含まれることが好ましい。

    前記の接合材は、接合を行う高温加熱下での酸窒化ケイ素ガラス形成量に対して、窒化ケイ素粒子が過剰に含有され、窒化ケイ素粒子の一部が酸窒化ケイ素ガラスに固相粒子として残存するような配合とすることが望ましい。 酸窒化ケイ素ガラス中に溶解しきらず、残存した窒化ケイ素粒子は、接合時の加熱保持中に、ガラス中で柱状粒子へと変化する。 後述するとおり、窒化ケイ素粒子としてα−窒化ケイ素を用いる場合、ほぼすべてがβ−窒化ケイ素又はβ−サイアロンに転化するが、温度が低く保持時間が短い場合には、α−窒化ケイ素として一部が残存することがある。 α−窒化ケイ素が残存しても差し支えないが、α−窒化ケイ素は等軸状の粒子形状を有し、結合部位の強度を得るには有利とは言えない。

    特に、酸窒化ケイ素ガラスの生成の観点及び柱状の窒化ケイ素粒子の生成の観点から、窒素が混合粉末中に25当量%以上、特に25〜60当量%、とりわけ35〜55当量%含有されていることが望ましい。 「当量%」とは、ガラス中のイオンの価数を考慮した表記方法であり、酸窒化ケイ素ガラスの組成を示す場合にしばしば用いられる。 ガラス中の陽イオン及び陰イオンのそれぞれについて、原子数と価数との積の合計が100%となるように表記され、合計で200%となる。

    特に本製造方法においては、窒化ケイ素としてα−窒化ケイ素を用いることが有利である。 先に述べたとおり、窒化ケイ素には、結晶構造の異なる2種の化合物であるα−窒化ケイ素とβ−窒化ケイ素が存在することが知られているところ、この2種類の窒化ケイ素のうち、本発明においてはα−窒化ケイ素を用いることが、先に述べた柱状粒子及び球状粒子の双方を含む微細構造組織からなる接合部位を、容易に形成し得る点から有利である。 この理由は、窒化ケイ素としてα−窒化ケイ素を用いると、β−窒化ケイ素を用いた場合に比較して、緻密な構造の接合部位を形成し得るという本発明者らの知見に基づいている。 また、窒化ケイ素としてα−窒化ケイ素を用いると、β−窒化ケイ素を用いた場合に比較して、低温で加熱しても高接合強度の接合部位を形成し得るという本発明者らの知見にも基づいている。 尤も、本発明において、窒化ケイ素としてβ−窒化ケイ素を用いることは妨げられない。

    本製造方法では、接合部位を形成するために用いられる混合粉末として、平均粒径が好ましくは0.4〜5.0μm、更に好ましくは0.4〜3.0μm、一層好ましくは0.4〜2.0μmのものを用いることも有利である。 平均粒径がこの範囲の混合粉末を用いると、加熱によって接合部位を形成するときに、該混合粉末の流動性が適度に高くなり、良好な濡れ性を示すようになるので、流動状態の該混合粉末が2つの被接合材間に十分にいきわたり、隙間の発生が低減されることが本発明者らの検討の結果判明した。 この平均粒径の範囲よりも小粒径の混合粉末を用いると、該混合粉末の流動性が十分に高くならず、濡れ性の低いものとなってしまう場合がある。 また、この平均粒径の範囲よりも大粒径の混合粉末を用いると、接合部位の緻密化が十分でなく、強度が得られないことがある。

    前記の混合粉末の平均粒径は、例えばレーザー回折式による粒度分布測定器を用いて測定される。 前記の混合粉末の平均粒径を上述した範囲に設定するためには、該混合粉末に対してセラミックスボール等を媒体として、ミル等による粉砕などの処理を施せばよい。

    接合を行う高温加熱下において、接合部位に含有される余分な酸窒化ケイ素ガラスが被接合材中に拡散される。 また、高温加熱によって接合部位に生じたβ−窒化ケイ素又はβ−サイアロンの結晶相は、接合時の高温下での加熱保持によって伸長し、粒成長することで、柱状粒子となることが、接合部位の強度を得る観点から望ましい。 接合部位と接合部位周囲の被接合材との組成差を減少させ、接合部位中のβ−窒化ケイ素又はβ−サイアロンの柱状粒子を伸長・粒成長させるには、加熱温度を高くすることや、保持時間を長くすることが有効である。 一方で、窒化ケイ素や酸窒化ケイ素ガラスは高温において、分解蒸発が生じ、これは大気圧窒素雰囲気中では1750℃を超えると顕著に起こる。 また、接合を行う際に、接合不良を生じにくくし、加えて短時間で接合を完了させるには、被接合材どうしの接合面と直交する方向に機械的に圧を加え、被接合材と接合材とを密着させることが有効である。

    接合部位を形成するために用いられる混合粉末は、例えばこれをや有機溶媒等の液体と混合して所定濃度のスラリーを調製し、該スラリーを被接合材の接合面に塗布することができる。 あるいは、該スラリーからグリーンシートを形成し、該グリーンシートを被接合材の接合面に配置することもできる。 作業の容易さや配置の確実性等の観点、及び均一な厚みの接合部位の形成の観点からは、グリーンシートを用いることが有利である。 例えば、図1に示すように、同一形状の管状体からなる被接合材1a、1bの端面どうしを対向させて、端面間に混合粉末からなる接合材2を介在させる場合には、接合材2として、円環状のグリーンシートを用いることができる。

    また、図2(a)及び(b)に示すとおり、管状体や棒状体などの一方向に長い形状を有する2つの被接合材1a、1bを接合する場合、被接合材1a、1bの端面が、該端面どうしを当接させたときに嵌り合って、被接合材1a,1bの軸心の位置が合うようになっていると、両被接合材1a,1bの軸心合わせを容易にできるので好ましい。 具体的には、図2(a)に示すとおり、一方の被接合材1aの端面11aをテーパー状にするとともに、他方の被接合材1bの端面11bを、該テーパー形状の傾斜に対応した傾斜を有するすり鉢状にすることができる。 また、図2(b)に示すとおり、一方の被接合材1aの端面11aを、凸部を有する段差状にするとともに、他方の被接合材1bの端面11bを、該凸部の形状に対応した凹部を有する形状にすることができる。 なお図2(a)及び(b)においては、接合材の図示は省略されている。

    更に、被接合材が管状体や棒状体などの一方向に長い形状を有する場合には、該被接合材の軸心の位置合わせを行うためのインナースリーブを接合部位に介在させることもできる。 このようにしても、2つの被接合材の軸心合わせを容易にできるので好ましい。 また、インナースリーブには、接合部位の補強材としての役割もある。 例えば図3に示すように、2つの被接合材1a,1bが管状体である場合には、該被接合材1a,1bに挿入可能なインナースリーブ3を、両被接合材1a,1bの接合部位に介在させる。 インナースリーブ3は、管状又は棒状のものであり、長手方向に沿った略中央域の側面に、突起部3aを有している。 突起部3aは、インナースリーブ3の周方向の全域にわたって連続して形成されている。 一方、各被接合材1a,1bの端面は、その外周側に位置する第1端面12と、内周側に位置し、かつ第1端面12よりも低い位置にある第2端面13とを有する段差構造になっている。 そして、両被接合材1a,1bの第1端面12どうしを当接させると、第1端面12と第2端面13との段差に起因して、被接合材1a,1bの内壁に薄肉部が形成される。 その薄肉部に、インナースリーブ3の突起部3aが嵌合することで、2つの被接合材1a,1bの軸心合わせが容易に行われる。 なお図3においても、接合材の図示は省略されている。

    インナースリーブ3の材質は、母材である被接合材の材質と同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。 またインナースリーブ3は、加熱によって接合部位を形成した後も残存している材質のものでもよく、あるいは加熱によって消失する材質のものでもよい。

    なお、図2(a)又は(b)に示す嵌合構造と、図3に示すインナースリーブ3とは、これらを組み合わせて用いることもできる。

    2つの被接合材1a,1b間に配置された接合材の加熱は、1500〜1750℃、特に1550〜1730℃、とりわけ1600〜1700℃の範囲で行うことが好ましい。 この範囲の温度で加熱を行うことで、緻密な構造を有する接合部位を生じさせることができる。 加熱雰囲気は、窒素雰囲気とすることが好ましい。

    加熱時間は、加熱温度が上述の範囲内である場合には、0.5〜12時間、とりわけ1〜6時間に設定することが好ましい。 この時間にわたって加熱を行うことで、酸窒化ケイ素ガラスの拡散により接合部位と接合部位周囲の被接合材との組成差が減少し、接合部位中のβ−窒化ケイ素又はβ−サイアロンの柱状粒子のバランスが所望のものとなり、被接合材により近い組成と組織を有する接合部位を首尾良く形成することができる。

    加熱中は、当接した状態にある2つの被接合材を、互いに向き合う方向に加圧しておくことが有利である。 こうすることで、緻密な構造を有する接合部位を首尾良く形成することができる。 この観点から、加圧の圧力は0.01〜5MPa、特に0.1〜5MPa、とりわけ1〜5MPaに設定することが好ましい。

    また、加熱中は、当接した状態にある2つの被接合材を、該被接合材どうしの接合面に直交する軸まわりに同方向に、2つの接合材を同速度で連動させて回転させておくことが好ましい。 この操作は、一方向に長い被接合材を、その長手方向に直列に接合する場合に有効である。 この回転によって、加熱中における高温下での接合材の重力による下方への垂れが抑制され、接合体の曲がりを防ぐことができる。 加えて、接合材が接合部位の下部側に流れ出すことを抑えることができる。 この効果を一層顕著なものとする観点から、回転数は1〜5rpm、とりわけ3〜5rpmという低速にすることが好ましい。 回転を行わない場合、接合材が流れ出し、それに起因して接合材の不足によって強度不足という不良を生じることがある。

    接合材の加熱による接合部位の形成は、1回の加熱のみで完了させてもよく、あるいは必要に応じ2回以上の複数回の加熱を行ってもよい。 一般には、1回の加熱のみで満足すべき微細構造組織を有する接合部位を形成することができる。

    本発明の製造方法によって得られたセラミックス接合体では、接合部位の強度が、母材である被接合材の強度に近いものとなる。 詳細には、本発明の製造方法によって得られたセラミックス接合体では、被接合材の四点曲げ強度(JIS−R1601)に対して、接合部位の四点曲げ強度が、好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、一層好ましくは70%以上になっている。

    更に本発明の製造方法によって得られたセラミックス接合体では、これを900℃の大気雰囲気下に1時間曝露を複数回繰り返した後にも、接合部位において、曝露前と同等の接合強度が維持される。 詳細には、曝露後の四点曲げ強度は、曝露前の四点曲げ強度(JIS R1601)に対して、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、一層好ましくは85%以上になっている。

    図4(a)ないし(d)には、本発明の製造方法の実施に好適に用いられる装置によって、セラミックス接合体を製造する工程が順次模式的に示されている。 同図に示す装置は、管状又は棒状の被接合材の接合に特に好適に用いられるものである。

    まず、図4(a)に示すとおり、接合すべき2つの被接合材1a,1bをそれぞれチャック20によって把持する。 チャック20による把持は、2つの被接合材1a,1bが水平に保持されるように行う。 各チャック20は、台座21上を摺動自在に該台座21に設置されている。 被接合材1a,1bの端面どうしを、所定距離隔てて対向させて、端面間に接合材2を配置したら、一方のチャック20を図4(a)、矢印で示す方向に移動させ、2つの被接合材1a,1bによって接合材2を挟持する。

    被接合材1a,1bが例えば丸管や丸棒などの形状である場合、その外径は5〜60mm、特に10〜45mm、とりわけ10〜30mmであることが、両被接合材1a,1bの確実な接合の点から好ましい。 また、被接合材1a,1bが例えば丸管や丸棒などの形状である場合、その長さの上限値が2000mmという長尺物であっても、接合を行うことができる。 長さの下限値に制限はなく、短いほど容易に接合を行える。

    次いで図4(b)に示すとおり、チャック20に備えられている回転機構(図示せず)によって被接合材1a,1bをその軸まわりに回転させる。 この回転とともに、2つのチャック20を、同図中、矢印で示す方向に移動させて、2つの被接合材1a,1bの当接部位を、加熱炉22内に導入する。 このとき、接合材2の脱落が生じないようにするために、被接合材1a,1bをその軸線方向において互いに向き合う方向に加圧しておくことが有利である。

    2つの被接合材1a,1bの当接部位が加熱炉22内に導入されたら、図4(c)に示すとおり、被接合材1a,1bの回転を継続しつつ、加熱炉22の加熱を開始して、当接部位に位置している接合材2を加熱する。 加熱中は、被接合材1a,1bの回転を継続して行う。 また加熱中は、被接合材1a,1bをその軸線方向において互いに向き合う方向に加圧しておく。 被接合材1a,1bを水平に保持し、その軸まわりに回転させながら加熱することで、所望の微細構造組織を有する接合部位を形成することができる。

    所望の温度及び時間で加熱を行い、目的とする接合部位が形成されたら、加熱炉22による加熱を停止する。 しかし、加熱停止後も、被接合材1a,1bの回転は継続しておく。 加熱炉22が室温まで冷却されたら、被接合材1a,1bの回転を停止し、チャック20を移動させて、接合部位を加熱炉22外へ取り出す。 このようにして、セラミックス接合体が得られる。 このセラミックス接合体の長さを増やしたい場合には、図4(d)に示すように、被接合材1cを用意し、被接合材1cの端面と、被接合材1bの端面とを、所定距離隔てて対向させて両端面間に接合材2を配置する。 その後は、上述した操作と同様の操作を行い、3つの被接合材1a,1b,1cが、それらの長手方向に沿って直列に接続された長尺のセラミックス接合体が得られる。 以上の操作を繰り返し行うことで、所望の長さの長尺のセラミックス接合体が得られる。

    以上のとおり、図4に示す方法によれば、管状や棒状などの一方向に延びる長尺状の形状を有する被接合材を、コンパクトな設備によって容易に製造することができる。

    このようにして得られたセラミックス接合体は、例えばヒーターチューブや熱電対用保護管、ロータリーキルン用炉芯管、ローラーハースキルン用ローラー等の焼成炉部材や、内張り材、ライナー、撹拌羽根材、鋼板の搬送用ローラー等の耐摩耗性機械装置部材、薬品やスラリー等搬送用パイプ部材等の多くの用途に有用である。

    以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。 例えば図4に示す装置においては、被接合材1a,1bどうしの接合面に直交する軸まわりに該被接合材1a,1bを回転させながら加熱を行うことが、目的とするセラミックス接合体を首尾良く形成する観点から有利ではあるが、それ以外の方向に回転させながら加熱を行ってもよい。

    また、図4に示す装置においては、被接合材1a,1bの軸が水平面内に位置するように、該被接合材1a,1bを回転させたが、これに代えて例えば被接合材1a,1bの軸が鉛直面内に位置するように回転を行ってもよい。

    以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。 しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。

    〔実施例1〕
    被接合材として、外径28mm、内径22mm、長さ1000mmの窒化ケイ素製パイプを2本用意した。 これら2本のパイプは図2(b)に示す嵌合構造を有するものであった。 また、図3に示すインナースリーブも用いた。 インナースリーブはパイプと同材質である窒化ケイ素製のものであった。 接合材として、以下の表1に示す組成及び平均粒径を有する混合粉末を用いた。 この混合粉末をエタノールと混合してスラリーを調製し、そのスラリーからグリーンシートを常法によって作製した。 グリーンシートは円環状のものであり、外径30mm、内径20mm、厚さ80μmであった。 これらを用い、図4(a)ないし(d)に示す装置及び工程にしたがいセラミックス接合体を製造した。 製造条件は、以下の表2に示すとおりである。 そして、得られたセラミックス接合体について、以下の表3に示す評価を行った。

    〔実施例2ないし実施例12〕
    表2に示す条件を用いる以外は、実施例1と同様にしてセラミックス接合体を得た。 得られたセラミックス接合体について、実施例1と同様の評価を行った。 その結果を表3に示す。

    〔実施例13及び14〕
    被接合材として、縦30mm、横20mm、高さ20mmの窒化ケイ素製ブロックを用いた。 このブロックにおける30mm×20mmの面どうしを対向させて、その面の間に接合材を介在させた状態下に加熱を行い、セラミックス接合体を得た。 製造条件の詳細は表2に示すとおりである。 得られたセラミックス接合体について、実施例1と同様の評価を行った。 その結果を表3に示す。

    〔比較例1ないし4〕
    表2及び表3に示す条件を用いる以外は、前記の実施例と同様にしてセラミックス接合体を得た。 得られたセラミックス接合体について、実施例1と同様の評価を行った。 その結果を表3に示す。

    以上の表に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られたセラミックス接合体は、接合部位が、被接合材の強度に近い高接合強度を有するものであることが判る。 各実施例で得られたセラミックス接合体は、これを高温の酸化性雰囲気下に曝露した後であっても、接合強度を維持し得るものであることが判る。

    1a,1b 被接合材 2 グリーンシート 3 インナースリーブ

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