Method for improving fluidity of gypsum

申请号 JP2010019878 申请日 2010-02-01 公开(公告)号 JP2011157227A 公开(公告)日 2011-08-18
申请人 Taiheiyo Cement Corp; 太平洋セメント株式会社; 发明人 IMAI TOSHIO; YAMAGUCHI OSAMU;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To improve fluidity of anhydrous gypsum powder obtained by heat treatment of a waste gypsum board, by adding only water or a relatively small amount of cement or the like.
SOLUTION: This method for improving fluidity of gypsum powder includes: spraying water of 15 to 30 wt.% to type II anhydrous gypsum powder containing type III anhydrous gypsum obtained by heating a waste gypsum board at 150°C or higher; and granulating while producing a hydrate.
COPYRIGHT: (C)2011,JPO&INPIT
权利要求
  • 石膏ボード廃材を150℃以上で加熱することで得られる3型無水石膏を含む2型無水石膏粉末に、その無水石膏粉末に対して15から30重量%の水を噴霧し、水和物を生成しながら造粒することを特徴とする石膏粉末の流動性改質方法。
  • 石膏ボード廃材を400℃以上の温度で加熱しすることで得られる無水石膏粉末に、その無水石膏粉末に対してC Aをクリンカ鉱物として含有するセメントを1から5重量部添加混合し、更に15から30重量%の水を添加して、水和物を生成しながら造粒することを特徴とする石膏粉末流動性改質方法。
  • 石膏ボード廃材を400℃以上の温度で加熱しすることで得られる無水石膏に、水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを添加混合し、更に15から30重量%の水を添加、水和物を生成しながら造粒することを特徴とする石膏粉末流動性改質方法。
  • 说明书全文

    本発明は、石膏の流動性改善方法に関するものである。

    家屋解体に伴って発生する廃棄石膏ボードの最終処分場への埋立処分は、硫化素の発生の懸念から、その埋立方法により厳しい制約が課せられた。 廃棄石膏ボードの発生量は今後ますます増加するいっぽうで、最終処分場が枯渇することも予想されており、従来の埋立最終処分に替わる有効なリサクル方法が求められている。

    そのひとつに、廃棄石膏ボードを加熱処理する無水石膏化があげられる。 石膏ボード中の石膏成分は、二水石膏であるが、350℃以上で加熱すると結晶水が離脱するとともに、石膏ボードの表裏に付着する紙及び含有する有機成分が燃焼するため、比較的安定な無水石膏に変換することができる。

    しかしながら、廃棄石膏ボードの加熱処理によって得られる無水石膏粉末の一次粒子は、5μm未満の微細な針状結晶であるため、その流動性は著しく劣り、貯蔵タンクから排出できないという問題があった。

    特許文献1は、廃棄石膏ボード由来粉末の流動性改善に関するが、新たな天然石膏、排煙脱硫石膏を比較的大量に使用する必要があった。

    特開2008−1567

    本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、廃石膏ボードの加熱処理によって得られた無水石膏粉末の流動性を、水のみ、或いはセメント等の比較的少量の添加で、改善することを目的とする。

    発明者らは、廃石膏ボードの加熱処理によって得られた無水石膏粉末を、水和鉱物の生成をさせながら、造粒することにより、無水石膏粉末の凝集が促進されるのでなく、逆に、凝集粒子を分散させて、無水石膏粉末の流動性を改善できることを見いだした。

    本願第1の発明は、このような課題を解決するために、石膏ボード廃材を150℃以上で加熱することで得られる3型無水石膏を含む2型無水石膏粉末に、その無水石膏粉末に対して15から30重量%の水を噴霧し、水和物を生成しながら造粒することを特徴とする石膏粉末の流動性改質方法、を提供する。

    本願第2の発明は、石膏ボード廃材を400℃以上の温度で加熱することで得られる無水石膏粉末に、その無水石膏粉末に対してC Aをクリンカ鉱物として含有するセメントを1から5重量部添加混合し、更に15から30重量%の水を添加して、水和物を生成しながら造粒することを特徴とする石膏粉末流動性改質方法、を提供する。

    本願第3の発明は、石膏ボード廃材を400℃以上の温度で加熱することで得られる無水石膏に、水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを添加混合し、更に15から30重量%の水を添加、水和物を生成しながら造粒することを特徴とする石膏粉末流動性改質方法、を提供する。

    石膏ボード廃材のリサイクル工場では、受入れた廃石膏ボードを、まず置き場内で重機により粗砕機に供給できるサイズまで圧潰することが通例である。 圧潰した石膏ボードは粗砕機で粉砕され、平織りの振動篩の分離操作で石膏ボードの表裏に付着していたボード原紙およびクロスなどが分離除去される。 この粉砕の分離の操作は異なる粉砕様式や分離径で繰り返すことで、異物の除去精度、二水石膏の回収率の向上が行なわれる。

    分離回収した二水石膏は、続く加熱処理により、約130℃の温度で半水石膏に、約150℃の温度で3型無水石膏に、約330度の温度で比較的安定な2型無水石膏に、更に約1180℃で極めて安定な1型無水石膏へと変化する。 通常は400℃から800℃の加熱処理により、2型無水石膏のかたちで再利用に供されることが多い。

    しかしながら、石膏ボード廃材を加熱することで得られる無水石膏粉末は、一次粒子径が小さいため発塵が発生し易く、流動性も悪いため、ハンドリングの過程で種々のトラブルの原因となっていた。

    本願第1の発明は、3型無水石膏の可逆的水和特性を利用したものである。 石膏ボード廃材を150℃以上400℃未満で加熱すると、加熱処理装置内の温度の不均一のため、得られる無水石膏粉末は3型無水石膏と2型無水石膏とが混在したものとなる。 この無水石膏粉末100重量部に対して15から30重量%の水を噴霧しながら造粒すると、水と接触した3型無水石膏粉末が、再び半水石膏を経て二水石膏に戻る。 この水和粒子がバインダーとなり2型無水石膏粉末の造粒を促し、流動性が発揮された。

    本願第2の発明は、セメントクリンカ鉱物の水和特性を利用したものである。 石膏ボード廃材を400℃以上で加熱すると、得られる無水石膏粉末の大半が比較的安定な2型無水石膏粉末となる。 この無水石膏粉末100重量部に対して1から5重量%のセメントを均一に添加し、水を噴霧しながら造粒すると、水と接触したセメント粒子が水和する。 この水和粒子がバインダーとなり2型無水石膏粉末の造粒を促し、流動性が発揮された。

    セメント粒子に替えてセメント製造工程で得ることができるセメントクリンカを用いることができる。 即ち、セメントは、セメントクリンカに少量の石膏を添加し、粉砕することのみで得られる製品であるため、無水石膏の流動性改善のために添加するクリンカの粒径、ハンドリングなどは、セメント粒子と同様でよい。 また、添加材にトリカルシウムアルミネート(C A)を用いることでも、無水石膏の流動性の改善が達せられた。 添加材がトリカルシウムアルミネートである場合、凝集核となる水和鉱物はエトリンガイトであった。

    本願第3の発明は、水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを添加して、エトリンガイトの水和生成を利用したものである。 石膏ボード廃材を400℃以上で加熱すると、ほぼ全量が比較的安定な2型無水石膏となった。 2型無水石膏であっても、水と接することで水和して二水石膏に転換するが、一定以上の養生期間を必要とする。 ところが、この無水石膏粉末に水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを均一に添加し、水を噴霧しながら造粒すると、水と接触した水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムとが反応して、短時間で二水石膏およびエトリンガイトを生成した。 このエトリンガイトが水和粒子として造粒バインダーとなり、2型無水石膏粉末の造粒を促し、流動性が発揮された。

    通常、硫酸アルミニウムは水和物のかたちで販売されている。 これを水溶液として添加することができる。 まず始めに、無水石膏粉末に水酸化カルシウムを乾式で均一に添加混合し、次に硫酸アルミニウムの水溶液を散布することで、同様の効果が得られた。

    本願発明によれば、水和物(ニ水石膏、エトリンガイト)の生成による造粒バインダーとしての造粒促進効果で、二次凝集粒子を形成させることができた。 水和粒子がバインダーとなり2型無水石膏粉末の造粒を促し、流動性が発揮された。 造粒のために使用する装置の仕様、造粒時間、水分の添加方法および添加率などを変化させることで、無水石膏粉末の粒度分布を任意に設計することができ、その結果流動性を改善することができる。

    本発明における流動性改善方法の対象となる石膏粉末は、石膏ボード廃材由来のものである。 石膏ボードの発生場所は、例えば、石膏ボード製造工場、新築工事現場等であり、石膏ボード製造時の端材、余剰材、建築物解体現場で発生する廃材等も使用することができる。 また、建築物解体現場で発生する廃材は、建築廃材が混入するので、これを極取り除くことが好ましい。 更に、石膏ボード表面に貼付された紙、クロス類は、後工程の加熱処理装置内でも燃焼消失されるが、加熱装置の安定運転を維持するために、できる限り粉砕工程の後の篩い分け等の手段で取り除いておくことが好ましい。

    除去しきれなかった紙やクロス類、芯材の石膏中に含まれる有機混和剤などは、加熱処理装置内で燃焼除去される。 但し、加熱処理温度が低い場合には、未燃焼の炭質物が残留するので、得られる無水石膏粉末は黒味がかったものになる。 加熱処理にあたっては、加熱処理装置に送入できる程度の粒度、好ましくは50mm全通に粗砕して加熱処理される。 粗砕に使用する装置は、所定の粒度に粉砕可能なものであれば特に限定されず、二軸破砕機やジョークラッシャー等が使用できる。

    加熱処理に使用する装置は、特に限定されず、ロータリーキルンやケトル炉、気流焼成炉、流動層焼成炉等が使用できる。 加熱処理温度は、目的とする石膏の形態に応じて設定される。 3型無水石膏粉末を含有する2型無水石膏粉末を得るための加熱処理温度は、150〜300℃である。 ほぼ全量を2型無水石膏粉末とする場合の加熱処理温度は、好ましくは450〜1000℃である。 加熱処理温度が低い場合は、石膏粉末に含まれる有機混和剤や前記篩い分け等によっても除去できなかった石膏ボードに貼り付けられた紙やクロス類が完全に燃焼しないため好ましくなく、得られる無水石膏粉末は黒味がかったものになる。 特に3型無水石膏を含有する2型無水石膏粉末を得る場合、加熱処理に先立ちできる限り紙やクロス類を取り除くことが好ましい。 また、1100℃よりも高いと、石膏が一部分解して硫黄酸化物の発生量が高くなり、加熱処理装置から発生する排ガスの硫黄酸化物濃度が高くなるため好ましくない。

    加熱処理して得られた無水石膏は粉砕することで均斉化する。 粉砕に使用する装置は、目的とする粒度のものが得られれば特に限定されず、ボールミルやアトマイザー、ローラーミル等の一般的な粉砕機を使用することができる。

    均斉化された無水石膏粉末は後段の造粒機、ベルトコンベアを介して製品貯留ホッパ、タンク、置き場施設まで搬送され保管される。 降水の影響を避けるため、屋外で野積みすることは好ましくない。 造粒機はスクリューフィーダー、攪拌転動造粒機、流動造粒機など、市販のものを用いることができるが、石膏粒子に回転運動を与えることができるものであることが好ましい。

    石膏ボード廃材が150℃以上400℃未満で加熱される場合、造粒機の造粒過程で無水石膏粉末100重量部に対して15から30重量%の水を噴霧しながら造粒する。 水の添加率が15%を下回ると造粒効果が低下することに加えて発塵が顕著となるため好ましくない。 逆に30%を超えて添加すると造粒物の最大粒子径が大きくなりすぎて、流動性改善効果が低下する。

    石膏ボード廃材が400℃以上で加熱される場合、無水石膏粉末の粉砕過程でこの無水石膏粉末100重量部に対して1から5重量%のセメントを添加し、混合粉砕する。 続く造粒機の造粒過程で無水石膏粉末100重量部に対して15から30重量%の水を噴霧しながら造粒する。 セメントの添加率が1%を下回ると造粒効果が低下する。 逆に5%を超えて添加しても流動性の更なる改善効果は得られない。

    また、石膏ボード廃材が400℃以上で加熱される場合、無水石膏粉末の粉砕過程でこの無水石膏粉末に対して水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを添加し、混合粉砕する。 続く造粒機の造粒過程で無水石膏粉末100重量部に対して15から30重量%の水を噴霧しながら造粒する。 水酸化カルシウムのみの添加であっても二水石膏が生成し、これが凝集バインダーとして作用するため、無水石膏の流動性は向上する。 さらに硫酸アルミニウムを添加すると、水和生成物がエトリンガイトになるため、より一層の流動性の改善が達せられる。

    造粒機から排出された改質無水石膏粉末は、ベルトコンベアを介して製品保管施設で保管される。 無水石膏粉末に添加される水の割合は、水和物を生成するために必要な量を充足しているので、造粒特性で決まる。 15重量%より少ないと発塵が顕著となる。 30重量%を超えると造粒粒子径が大きくなり過ぎることに加えて装置への付着が顕著となるので好ましくない。 加水、造粒された無水石膏粉末は、水和物生成が終了する程度まで、製品保管施設で保管される。

    このようにして得られた改質無水石膏粉末は流動性が改善され、工業的に使用する際にプロセスラインでの閉塞が起こらず、タンク、サイロやホッパ等からの排出が容易となる。

    本発明の無水石膏粉末は、石膏ボード廃材を有効利用しており、また、水のみ、或いはセメント等の比較的少量の添加で、粉体流動性が良く、工業的なプロセスラインでの閉塞が起こらず、サイロやタンク等からの排出が容易であるという優れた効果を奏する。 その結果、セメントや固化材添加用石膏粉末として使用可能である。

    以下、本発明に係る石膏粉末の流動性を改善する方法の実施形態について詳細に説明する。

    家屋解体業者より石膏ボード廃材を入手し、置き場内で重機による圧潰をおこない、粗砕(一次破砕)機に供給できる大きさにした。 粗砕にはハンマーミルを使用し、その破砕物を目開き30mm程度でふるった通過分と、そのふるい上残分とに分別した(一次ふるい)。 ふるい上残分の大半は粗大な紙およびクロス類であったが、その多くには一次破砕で剥離しなかった石膏ボードが付着残留していた。

    石膏の回収率を向上させるため、石膏ボードが付着残留していたふるい上残分を2軸ロールクラッシャー(二次破砕)に通じ、目開き10mmでふるった通過分とふるい上残分とに分別した(二次ふるい)。 これら2段階の破砕およびふるい操作により、石膏ボード廃材の粗大な紙およびクロス類の大半は分離除去された。

    一次ふるいおよび二次ふるいの通過分を合わせたものを、次の加熱処理に供した。 加熱処理には外部加熱方式の気流焼成炉を用い、380℃および500℃で加熱処理した。

    加熱処理して得られた無水石膏は、ローラーミルにより粉砕することで均斉化した。 粉砕に使用する装置は、目的とする粒度のものが得られ、十分な均斉化が達せられるのであれば特に限定されない。 C Aをクリンカ鉱物として含有するセメント、水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムなどの流動性改質材を乾式で添加する場合には、この粉砕工程で無水石膏と混合粉砕することができる。

    均斉化された無水石膏粉末は、後段の造粒機で水を噴霧しながら造粒、排出し、ベルトコンベアを介して製品保管タンクで保管した。 水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを水溶液として添加する場合には、造粒時に噴霧することもできる。 流動性の向上のためには、できる限り凝集粒子を分散させるほうが望ましいため、造粒のために用いる造粒機はできるだけ小さな造粒物が得られる仕様のものが好ましく、粒子径2mm未満の重量累積百分率が90重量%以上であれば更に好ましい。

    以下、実施例を用いて、造粒過程を中心に本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。

    (1)実施例1〜4
    無水石膏は、石膏ボード廃材のリサイクル施設から、380℃で加熱処理されたものを入手した。 この無水石膏のうちの約20%が3型無水石膏であった。 3型無水石膏を含むことの確認は、下記のようにおこなった。
    1. まず、無水石膏の重量をはかり、これをステンレスバットに広げて湿気箱(20℃、湿度100%)に1日間養生保管した。
    2. 養生後の試料重量をはかり、養生前の重量増加分(3型無水石膏が半水石膏となったときの結晶水分)から半水石膏、およびもとの3型無水石膏を定量した。

    この3型無水石膏粉末を含む無水石膏粉末を、粉研パウテック社のFLOW JET MIXER(フロー ジェット ミキサー)を用い、水を噴霧しながら造粒した。 得られた造粒物の湿潤状態の流動性を円筒回転法安息測定器により安息角を測定したところ、水の添加率を15%から30%の範囲内とすると、発塵もなく流動性が改善できた。 表1に、噴霧水分量を含水率で、コメントとともに、実験結果を取りまとめた。 含水率15%では、発塵はあったが、流動性は満足すべき結果が得られたので、評価は△とした。 比較例1および比較例2は、それぞれ未造粒の3型無水石膏粉末を含む無水石膏粉末およびこれに10%の水を添加しながら、実施例と同様の方法で造粒したものである。 それぞれの安息角は65°および60°であったが、水の添加率を15%以上として造粒したものの安息角は、全て55°以下であった。

    (2)実施例5〜10
    比較例3および実施例5から実施例10では、石膏ボード廃材のリサイクル施設から、500℃で加熱処理されたものを入手し使用した。 3型無水石膏の定量結果から、500℃の加熱処理でえられた無水石膏は、その95%以上が2型無水石膏であった。 実施例6から10は、無水石膏200gに対して普通ポルトランドセメントの添加率をそれぞれ2g、4g、6g、8gおよび10gと変化させて造粒したものである。 同一の無水石膏粉末200gおよび普通ポルトランドセメントを各々別の樹脂袋に収納し、それぞれ水50gを霧吹きを用いて10回に分けて噴霧した。 毎回の噴霧ごとに樹脂袋中で無水石膏粉末を攪拌することで造粒した。 樹脂袋から取り出した無水石膏粉末を、ステンレスバットに広げて自然乾燥させた後、マルチテスター(セイシン企業社製MT−1000)を使用してCarrの指数による粉体物性試験を行なった。 比較例3は500℃で加熱処理された未造粒の無水石膏である。 実施例5は未造粒の無水石膏に水のみを添加し、実施例6から10と同様の方法で造粒したものである。

    (3)実施例11〜15
    無水石膏粉末は、比較例3および実施例5から実施例10と同一のものを使用した。 無水石膏200gに対してそれぞれ表3に示す割合で水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウム14水和物の添加率を変化させて造粒したものである。 まず、実施例11では、無水石膏粉末200gおよび水酸化カルシウム0.708を秤取り樹脂袋に収納した。 一方、硫酸アルミニウムについては、硫酸アルミニウム14水和物0.948gを水50gに溶解させて水溶液とした。 この硫酸アルミニウム水溶液を霧吹きを用いて10回に分けて樹脂袋のなかの無水石膏と水酸化カルシウムの混合物噴霧した。 毎回の噴霧ごとに樹脂袋中で無水石膏粉末を攪拌することで造粒した。 樹脂袋から取り出した無水石膏粉末を、ステンレスバットに広げて自然乾燥させた後、マルチテスター(セイシン企業社製MT−1000)を使用してCarrの指数による粉体物性試験を行なった。
    実施例12から実施例15は、水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウム14水和物の添加率を変化させたのみであり、実施例11と同様にして粉体物性試験を行なった。

    Carrの指数による粉体物性試験は、流動性試験および噴流性試験の二つの試験で構成される。 本願では、流動性試験の安息角、緩嵩比重及び固嵩密度から求めた圧縮度、スパチュラ角および均一度の実測値を所定の換算表を用いて数値化(単位をもたない数値である)し、その合計値(各数値の積算値)をもって流動性指数を算出し、流動性の評価をおこなった。 以下に各測定項目について説明した。

    (1)緩め嵩密度一定容量の容器に粉体試料を充填し、その重量秤量を容積で除することで導き出される測定値である。
    (2)固め嵩密度固め嵩密度は、緩め嵩密度の状態からタッピングすることにより、粉体がより密に充填された状態の見掛密度である。
    (3)圧縮度圧縮度は、緩め嵩密度と固め嵩度の比のことで、圧縮度は粉体の流動性に最も関係の深い因子とされる。 一般的には圧縮度が20%を超える粉体は流動性が悪くなり、ホッパの架橋現象が強くなる。 特に40〜50%の粉体では、ホッパ中に長く静止させるとホッパからの排出が極めて困難となるとされる。
    (4)安息角安息角は、粉体試料を自然落下させた状態で形成される粉体の山の角度(仰角)のことであり、付着凝集性の高い粉体の安息角は大きな値を示し、流動性が悪くなる傾向がある。 一般的に安息角が40°以下の粉体は製造設備中の閉塞が少ないとされる。
    (5)スパチュラ角スパチュラ角とは、静止状態の粉体を運動させるために必要な角度のことであり、スパチュラ角が大きい粉体ほど流動性は悪くなる。 一般的に安息角よりも大きな角度を示す。 一般的に安息角は混合や分級などハンドリング中の挙動を表し、スパチュラ角は貯層サイロのホッパ角度の設計に利用される。
    (6)均一度均一度は粒度分布測定の結果から導かれる数値で、累積累積百分率が60%となる粒子径を累積累積百分率が10%となる粒子径(D60%径/D10%径)で除した値。 均一度が大きいほど粒度分布の幅が広く流動性が悪くなることを示す。

    比較例3の未造粒の無水石膏および実施例5〜実施例15の流動性改質石膏の粒度分布の測定は、セイシン企業社製自動乾式音波篩い分け測定器(ロボシフターRPS−105)によりおこなった。 表5のD10、D50およびD90は、それぞれ累積重量百分率が10%、50%および90%となる粒子径(μm)を表している。

    流動性試験の結果を表4に、粒度測定結果を表5示す。 表4の流動性指数は、前述したとおり、所定の換算表を用いた換算値(単位をもたない数値である)の合計値(各数値の積算値)である。 セメントを添加した方法によれば、比較例3の安息角45°は実施例5〜10の安息角38°以下へ、流動性指数49から60以上となり、流動性が改善されたことが示された(表4および図1)。 また、水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを添加した方法によれば、比較例3の安息角45°は実施例11〜15の安息角37°以下へ、流動性指数49から66以上となり、流動性の改善が達せられた(表4および図1)。 表5の粒度分布測定の結果には、実施例の粒度分布は全て比較例の粒度分布よりも粗粒側にシフトしていることが示されている。 したがって、本願発明の凝集作用が明瞭に示されている。

    凝集粒子の分散により無水石膏粉末の流動性の改善について検討した結果、3型無水石膏を含む場合においては、加水造粒のみにより無水石膏の流動性を向上させることができる(請求項1)ことが示された。 また、3型無水石膏を含まない場合においても、セメントを添加して加水造粒する方法(請求項2)、さらには水酸化カルシウムおよび硫酸アルミニウムを添加し、加水造粒する方法(請求項3)により、石膏ボード廃材を加熱処理することで得られる無水石膏粉末の流動性を向上させることができることが示された。

    加えて、各実験例で、50%通過径(D50)を測定した結果を図2に示した。

    このようにして得られた改質無水石膏粉末は流動性が改善され、工業的に使用する際にプロセスラインでの閉塞が起こらず、タンク、サイロやホッパ等からの排出が容易となる。 石膏ボード廃材が格段に利用しやすくなった。

    本願発明で流動性が改善されたことを示す図である。

    本願発明の造粒品の50%通過径(D50)を測定した結果を示す図である。

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