二水石膏の連続式改質方法及び該方法で改質された改質二水石膏 |
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申请号 | JP2010522761 | 申请日 | 2009-07-31 | 公开(公告)号 | JPWO2010013807A1 | 公开(公告)日 | 2012-01-12 |
申请人 | 吉野石膏株式会社; | 发明人 | 横山 至; 至 横山; 浩志 勝本; 浩志 勝本; 保雄 川村; 保雄 川村; | ||||
摘要 | 本発明は、原料とする二 水 石膏 を焼成して半水石膏にする半水化工程と、該半水石膏を水性スラリー中で水和・再結晶化させて、原料とする二水石膏とは別の結晶形態の改質二水石膏とする再結晶化工程とを有し、該再結晶化工程において、再結晶化反応槽中で、水性スラリーを均一になるように撹拌しつつ一定の 温度 に保持し、かつ、再結晶化反応槽への半水石膏の供給量、及び、再結晶化反応槽から再結晶化した改質二水石膏を抜き出す抜き出し量が実質的に等量になるよう制御し、連続して又は間歇して半水石膏の供給及び再結晶化した改質二水石膏の抜き出しを行う二水石膏の連続式改質方法である。上記本発明によれば、出発原料とする二水石膏を、一旦焼成して半水石膏とした後に再結晶化することで、一般的には得ることができない大きい結晶からなる高純度の改質二水石膏にする方法が提供される。 | ||||||
权利要求 | (a)出発原料とする二水石膏を湿式焼成又は乾式焼成して半水石膏にする半水化工程、 (b)上記半水石膏を再結晶化反応槽内の水性スラリーへ供給する仕込み工程、 (c)上記半水石膏を水和・再結晶化させて上記原料とする二水石膏とは別の結晶形態である改質二水石膏とする再結晶化工程、 (d)上記改質二水石膏の一部を上記再結晶化反応槽より抜き出す抜き出し工程を有し、 少なくとも上記(b)乃至(d)の工程を連続的又は間歇的に行うこと、 上記(b)の仕込み工程における半水石膏の供給量と、上記(d)の抜き出し工程における改質二水石膏の抜き出し量とが実質的に等量であること、 上記(c)の再結晶化工程において、再結晶化反応槽中で水性スラリーが固液分離しないよう均一になるように攪拌しつつ一定の温度に保持すること、 を特徴とする二水石膏の連続式改質方法。 前記(b)の仕込み工程における半水石膏の供給量と、前記(d)の抜き出し工程における上記改質二水石膏の抜き出し量がいずれも、一時間当り、前記再結晶化反応槽内の全石膏量の20%以下である請求項1に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記(c)の再結晶化工程における再結晶化反応槽中における水性スラリーの温度が、80℃よりも高く、かつ、90℃以下の温度である請求項1又は2に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記(c)の再結晶化工程における再結晶化反応槽中に、種晶となる二水石膏を、再結晶化反応槽へ供給する半水石膏に対して0.01質量%以上5質量%未満の範囲で、連続または間歇して添加する請求項1〜3のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記種晶として添加する二水石膏の平均粒径が、30μm以下である請求項4に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記(a)の半水化工程において湿式焼成を行う場合の水性スラリー中、又は前記(c)の再結晶化工程における水性スラリー中の少なくとも一方に、前記原料とする二水石膏中に含まれる黒ずみ成分を除去するための界面活性剤及び/又は消泡剤を、前記原料とする二水石膏に対して0.01〜0.2質量%の範囲で添加する請求項1〜5のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記界面活性剤が、アルキルベンゼンスルフォン酸系界面活性剤、アルキルサルフェート系界面活性剤、アルキルエーテルサルフェート系界面活性剤、リグニンスルフォン酸系界面活性剤、ナフタレンスルフォン酸系界面活性剤、ビスフェノール系界面活性剤及びポリカルボン酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記消泡剤が、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル型消泡剤、鉱油配合型消泡剤、シリコーン系消泡剤及びエマルジョン型消泡剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の二水石膏の連続式改質方法。 さらに、前記(c)の再結晶化工程において、再結晶化した二水石膏スラリーを再結晶化反応槽から抜き出した後に、(e)不溶性不純物の少ない、粒径の大きい二水石膏を分別する分別工程、を設けた請求項1〜8のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記(e)の分別工程において、再結晶化した二水石膏スラリーを再結晶化反応槽から抜き出した後に、不溶性不純物の少ない、粒径の大きい二水石膏を分別する工程として、二水石膏を水中で撹拌及び静置し、その沈降速度の速い大きい結晶を分離する工程と、上記で分別した二水石膏を脱水・洗浄して最終生成物とする脱水洗浄工程とを設ける請求項9に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記(a)の半水化工程において、焼成装置を2基以上使用する多段式で、乾式焼成又は湿式焼成を連続的に行う請求項1に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記(c)の再結晶化工程において、再結晶化反応槽を2基以上直列につないで、再結晶化を多段式に行う請求項1〜11のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記(a)の半水化工程で湿式焼成を行う場合の水性スラリー中、又は前記(c)の再結晶化工程における水性スラリー中の少なくとも一方に、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、アクリル酸及びポリカルボン酸又はこれらの塩からなる群から選択されるいずれか1種若しくは2種以上の媒晶剤を、二水石膏に対して0.1〜2.0質量%の範囲で添加する請求項1〜11のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記原料とする二水石膏の平均粒径が、30μm以下の大きさである請求項1〜12のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記改質二水石膏の平均粒径が64μm以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 前記改質二水石膏の軽装嵩密度が0.8以上である請求項1〜15のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 請求項1〜16のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法で改質されてなることを特徴とする二水石膏。 |
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说明书全文 | 本発明は、天然石膏や各種の副生石膏などの既存の二水石膏を一旦焼成して半水石膏とし、得られた半水石膏を再結晶化して、二水石膏を元の結晶形態とは別の結晶形態に連続的に改質する、二水石膏の連続的改質方法及び該方法で改質した改質二水石膏に関する。 従来から、二水石膏は、石膏ボードや石膏プラスターなどの建築材料の原料として多く使用されている。 二水石膏には、天然石膏と化学石膏がある。 化学石膏としては、硫酸と炭酸カルシウムから新たに合成されるものもあるが、その多くは、下記に挙げるような各種の化学プロセスの副産物として得られる副生石膏である。 副生石膏には、排煙脱硫過程で副生する排煙脱硫石膏や、リン鉱石の硫酸分解によって生成するリン酸石膏、酸化チタン製造時などに発生する硫酸を中和して得られる中和石膏、水処理凝集剤であるポリ塩化アルミニウム製造時に副生するポリ塩化アルミニウム副産石膏などがある。 これらの化学石膏の平均粒径は概ね30〜60μmであり、これよりも大きな結晶のものは非常に稀である。 これに対して、平均粒径が60μmよりも大きい結晶の二水石膏が望まれる用途がある。 例えば、二水石膏を焼成してα型半水石膏を生産する際には、平均粒径が60μmよりも大きい結晶からなる二水石膏を材料として使用すると、形状の大きな、形のよいα型半水石膏が得られることが知られている。 しかしながら、天然石膏や上記したような副生石膏、さらには廃石膏などの、原料とする既存の二水石膏を、簡易な方法で連続して、平均粒径が60μmを超える、例えば、平均粒径64μm以上の大きな結晶からなる純度の高い粒径の揃った二水石膏に改質する技術は確立されておらず、このような技術が確立されれば、実用上、極めて有用である。 一方、石膏プラスターなどの石膏製品を使用した際に、石膏原料中に含有されている硫酸カルシウム以外の溶解性または不溶解性の不純物に起因し、石膏製品に黒ずみが生じる場合がある。 これに対して、黒ずみの原因となる不純物を含有しない白色度の高い石膏原料は少なく、天然石膏や副生石膏や廃石膏などを原料とする二水石膏を、純度の高い白色の石膏原料に簡易に改質できる技術が開発されれば、特に、高い白色度が要求される歯科用石膏などの製品を作る原料の提供に対して、非常に有用である。 粒径の大きな二水石膏を製造することに関し、廃硫酸及び炭酸カルシウムから二水石膏を製造する際に、反応槽を2槽にして、反応槽内における石膏の溶質濃度をより均一にし、結晶成長に適切な過飽和度を長時間にわたって保持することが提案されている(特許文献1参照)。 しかしながら、該方法は、化学合成によって二水石膏を得る場合における改良に関するものであり、天然石膏や前記したような副生石膏などの既存の或いは粒径の小さな石膏原料を、結晶粒径の大きな純度の高い二水石膏に改質するものではない。 また、石膏原料中の不純物の除去に関しては、石膏内部に付着、内包或いは固溶されている塩素或いは塩化物を効率的にかつ着実に除去して改質することについての提案がある(特許文献2参照)。 さらに、石膏製品のリサイクルを容易とするために、廃石膏を処理して平均粒径の大きい二水石膏を回収する方法についての提案がある(特許文献3参照)。 これらの技術では、二水石膏を半水石膏とした後に80℃以下の温度で二水石膏化するとしている。 そして、特許文献3には、廃石膏を湿式粉砕処理し、得られたスラリーに炭素数4〜6のオキシカルボン酸アルカリ塩を含有させた後、加圧下、加熱処理して二水石膏を半水石膏とし、該半水石膏スラリーに、平均粒径40〜60μmの二水石膏を混合して二水石膏化することが記載されている。 そして、特許文献3の実施例では、平均粒径42〜62μmの二水石膏が得られたとしている。 しかしながら、上記した特許文献2及び3に記載の技術も、本発明が課題とする天然石膏や副生石膏や廃石膏など既存の二水石膏からなる石膏原料を、広範な用途に適用できる、平均粒径が60μmを超えるような大きな、しかも純度の高い二水石膏に改質するものではなかった。 また、上記に挙げたいずれの発明も処理方法がバッチ式であり、連続的な処理方法ではないため、生産性を高め、安定した工業生産に適用できる技術とする点で、改良すべき問題もある。 さらに、二水石膏を乾式焼成して半水石膏とし、得られた半水石膏をスラリー状にして、10〜60℃の温度で水和して粒径の大きな二水石膏を得ることについての提案がある(特許文献4参照)。 そして、その図1に、好ましい晶析装置が示されており、これを用いることで二水化処理が連続的に行えるとしている。 しかしながら、この技術では半水石膏または半水石膏懸濁液の注入により晶析装置内の懸濁液又は上澄み液をオーバーフローさせているので、オーバーフローしたスラリーを再利用又は処理するための設備が別途必要となる。 また、本発明者らの検討によれば、晶析装置内のスラリーをオーバーフローさせることでスラリーの滞留時間にバラツキが生じ、得られる二水石膏の粒径が安定しないという欠点があった。 さらに、改質した二水石膏が白色ならば、歯科用石膏などの製品を作る原料として利用可能となり、使用用途の拡大につながる。 石膏の白度に関する規格は存在しないが、例えば、紙においては、人が「白い」と感じる白色度はハンター白色度で80程度であるとされている。 なお、この値が大きい程、より白いと判定される。 上記した、特許文献2〜4には、このような技術課題について、何ら記載されていない。 したがって、本発明の目的は、天然石膏や各種の副生石膏及び廃石膏など原料とする二水石膏を、一旦焼成して半水石膏とし、これを連続して再結晶化することで、元の結晶形態とは別の結晶形態の改質二水石膏にする方法であって、特に、一般的には得ることができない60μmよりも大きい、さらには、平均粒径が64μm以上の大きな結晶であって、粒径の揃った95%以上の高純度の二水石膏に連続して改質する、石膏原料の改質方法を提供することにある。 また、本発明の別の目的は、同時に、石膏プラスターなどの石膏製品を製造した場合に、天然石膏や副生石膏や廃石膏などの原料とする石膏中に含有されている硫酸カルシウム以外の不純物に起因して生じる、石膏製品の黒ずみの発生を防止し、純度の高い、結晶粒径の大きい白色の改質二水石膏を、簡易な連続した処理方法で得ることができる二水石膏の改質方法を提供することにある。 上記の目的は、下記の本発明によって達成される。 すなわち、本発明は、(a)出発原料とする二水石膏を湿式焼成又は乾式焼成して半水石膏にする半水化工程、(b)上記半水石膏を再結晶化反応槽内の水性スラリーへ供給する仕込み工程、(c)上記半水石膏を水和・再結晶化させて上記原料とする二水石膏とは別の結晶形態である改質二水石膏とする再結晶化工程、(d)上記改質二水石膏の一部を上記再結晶化反応槽より抜き出す抜き出し工程を有し、少なくとも上記(b)乃至(d)の工程を連続的又は間歇的に行うこと、上記(b)の仕込み工程における半水石膏の供給量と、上記(d)の抜き出し工程における改質二水石膏の抜き出し量とが実質的に等量であること、上記(c)の再結晶化工程において、再結晶化反応槽中で水性スラリーが固液分離しないよう均一になるよう� ��攪拌しつつ一定の温度に保持すること、を特徴とする二水石膏の連続式改質方法、該方法で改質した改質二水石膏を提供する。 上記二水石膏の連続式改質方法のより好ましい形態としては、さらに、上記に加えて下記の要件を満足することが挙げられる。 すなわち、より安定して粒径の大きな、粒径の揃った高純度の二水石膏に改質するためには、上記(b)の仕込み工程における半水石膏の供給量と、上記(d)の抜き出し工程における改質二水石膏の抜き出し量のいずれもが、一時間当り、再結晶化反応槽内における全石膏量の20%以下であるようにすること、或いは、上記(c)の再結晶化工程における再結晶化反応槽中における水性スラリーの温度が、80℃よりも高く、かつ、90℃以下の温度であるようにすること、或いは、上記(c)の再結晶化工程における再結晶化反応槽中に、種晶となる二水石膏を、再結晶化反応槽へ供給する半水石膏に対して0.01質量%以上5質量%未満の範囲で、連続または間歇して添加することが好ましい。 また、上記に加えて、より黒ずみのない白色の二水石膏に改質するためには、上記(a)の半水化工程において湿式焼成を行う場合の水性スラリー中、又は上記(c)の再結晶化工程における水性スラリー中の少なくとも一方に、原料とする二水石膏中に含まれる黒ずみ成分を除去するための界面活性剤及び/又は消泡剤を、原料とする二水石膏に対して0.01〜0.2質量%の範囲で添加することが好ましい。 本発明によれば、天然石膏や各種の副生石膏及び廃石膏などの原料とする二水石膏を、簡易な連続処理で、別の結晶形態の改質二水石膏、例えば、結晶化した平均粒径が60μmよりも大きい、さらには、平均粒径が64μm以上の二水石膏に改質できる連続式改質方法が提供される。 すなわち、一旦焼成して半水石膏とした後に、安定した再結晶化処理を連続して行うことで、別の結晶形態の改質二水石膏、例えば、結晶化した平均粒径が60μmよりも大きく、しかも、純度が、例えば、95%以上と高い、粒径の揃った二水石膏に改質できる連続式改質方法が提供される。 本発明によれば、特に、天然石膏や各種の副生石膏及び廃石膏などの原料とする二水石膏を、平均粒径が64μm以上及び/又は軽装嵩密度が0.8以上の結晶化した二水石膏に改質することができる二水石膏の連続式改質方法が提供される。 また、本発明の好ましい形態によれば、石膏プラスターなどの石膏製品を製造した場合に、石膏原料中に含有されている硫酸カルシウム以外の不純物に起因する石膏製品に黒ずみの発生を防止できる、純度の高い、結晶粒径の大きい白色の改質二水石膏を連続して得ることができる石膏原料の改質方法が提供される。 以下、好ましい形態を挙げて本発明を詳細に説明する。 本発明で改質の対象とする二水石膏は、石膏製品の原料として広く用いられているものをいずれも使用できる。 具体的には、天然石膏、合成石膏、種々の化学プロセスの副産物として得られる各種の副生石膏、廃石膏型、或いは一戸建て、集合住宅若しくはマンション等の新築や解体時に発生する石膏ボード廃材に由来する廃石膏など、二水石膏であれば、いずれのものも原料として使用できる。 本発明では、上記に挙げたような原料とする二水石膏(以下、「原料石膏」と呼ぶ)を、簡易な連続処理方法で、各種用途に最適な石膏原料として利用が可能な、これまで一般的には得ることができなかった大きな結晶粒径を有する純度の高い粒径の揃った二水石膏に改質する。 本発明の方法は、少なくとも、上記に挙げたような原料石膏を焼成して半水石膏にする半水化工程と、上記半水石膏を再結晶反応槽内の水性スラリーへ供給する仕込み工程と、上記半水石膏を水性スラリー中で水和・再結晶化して、原料石膏とは別の結晶形態の改質二水石膏(以下、改質二水石膏と呼ぶ)にする再結晶化工程と、上記改質二水石膏の一部を上記再結晶反応槽より抜き出す抜き出し工程とを有する。 そして、上記再結晶化工程において、上記再結晶化反応槽中で、水性スラリーの固形分と液分が分離せず、均一分散するように撹拌しつつ、一定の温度(好ましくは、80℃よりも高く、かつ、90℃以下の温度)に保持して再結晶化する。 本発明では、上記再結晶化反応槽への半水石膏の供給量及び再結晶化した改質二水石膏の抜き出し量が実質的に等量になるよう制御し、連続して又は間歇して供給及び抜き出しを行い(好ましくは、一時間当りの供給量及び抜き出し量のいずれもが再結晶反応槽内の全石膏量の20%以下となるようにする)、連続処理によって上記半水石膏を水和・再結晶化して改質二水石膏にする。 以下、詳述する。 [原料石膏] [半水化工程] (媒晶剤) (半水石膏の粒径) [再結晶化工程及び抜き出し工程] (スラリー濃度) (温度) (半水石膏の供給と二水石膏の抜き出し) 半水石膏の供給量及び再結晶化した改質二水石膏の抜き出し量の制御においては、一時間当りの供給量及び抜き出し量がいずれも、再結晶化反応槽内の全石膏量の20%以下となるようにすることが好ましい。 また、上記供給量及び抜き出し量の制御方法に特別な制限はない。 例えば、槽内のスラリー濃度を管理しながら、再結晶化反応槽中のスラリー水位でスラリー量を、又は再結晶化反応槽の総重量を連続計測しながら制御する方法があるが、より精密な制御ができるので後者の方がより好ましい。 以上のように構成することで、原料石膏を、連続処理で優れた特性の改質二水石膏に、より安定して改質することができるようになる。 本発明の二水石膏の改質方法の再結晶化工程では、半水石膏スラリーが固液分離しないよう均一になるように撹拌しながら一定の温度に保持するが、この際、石膏を結晶化反応槽内に5時間以上滞留させるように構成することが好ましい。 このような滞留時間は、本発明で規定する半水石膏の供給量及び二水石膏の抜き出し量を、一時間当り20%以下とすることで実現できる。 本発明者らの検討によれば、再結晶化工程の終了後に、その全てが二水石膏になるようにするためには、半水石膏スラリーを、先に述べたように、80℃よりも高い温度で、かつ、90℃以下の温度に維持されるような条件で、5時間以上滞留させることが、特に有効である。 本発明者らの検討によれば、石膏原料の種類や粒度、液温、種晶となる二水石膏の添加量などにもよるが、滞留時間を5時間以上、さらには、5〜10時間の範囲(一時間当りの抜き出し量を10〜20%)とすれば、良好な状態に安定して効率よく改質できる。 滞留時間を長くすることは、再結晶化にはよいが、必要以上に長くすることは、生産性が低下すると共に設備が大型化して不経済である。 (改質の方式) 再結晶化工程で使用する反応槽は、1槽でもよいが、2槽以上を直列または並列で連結して使用し、多段式に処理を行ってもよい(図2参照)。 このようにすることで、より容易に、ほぼ全ての半水石膏を改質二水石膏にすることができ、また、高純度の改質二水石膏が得られるので好ましい。 複数の反応槽で再結晶化させる場合は、各槽中に滞留する合計の滞留時間が、上記した範囲となるように構成すればよい。 本発明者らの検討によれば、直列に連結した2槽目以降の設定温度を1槽目よりも低く設定することで、全体の滞留時間を節減することができる。 この場合、少なくとも1槽目の液温が、80℃よりも高い温度で、かつ、90℃以下の温度に維持されるようにすることが好ましい。 (抜き出し方式) (種晶) また、本発明者らの検討によれば、再結晶化反応槽中に添加する種晶は、再結晶化して得られる改質二水石膏の平均粒径を左右するので、その平均粒径が40μm以下のもの、さらには30μm以下のものであることが好ましい。 このような大きさの種晶を添加すれば、上記した範囲の少量の添加で安定した効果が得られ、再結晶化工程で、安定した平均粒径の改質二水石膏を得ることができる。 これに対して、種晶の粒径が大き過ぎると、添加しても種晶としての効果が小さくなるので好ましくない。 本発明で改質する対象としている原料石膏に、例えば、平均粒径が30μm以下であるような小さな粒径の二水石膏を使用した場合、上記の種晶に、改質する対象の二水石膏を用いることもできる。 しかし、原料石膏が、種晶として適当ではない場合には、半水石膏化工程で前記したように焼成して一旦半水石膏とした後、半水石膏スラリーから再結晶化して得られる初期の小さな粒径の二水石膏を用いてもよい。 例えば、前記で説明した半水化工程で得られた半水石膏スラリーの一部を、再結晶させる反応槽とは別系統の反応槽へと導入し、該反応槽で、70℃以下の温度で結晶化させて得られる小さな粒径の二水石膏スラリーを、再結晶化反応槽に供給する半水石膏に対して、石膏換算で、0.01質量%以上5.0質量%未満の範囲で含有するように添加すればよい。 [より好ましい形態] また、本発明では、天然石膏や各種の副生石膏及び廃石膏などの原料となる二水石膏を半水石膏に転移させるが、その場合に、先に述べたように、乾式焼成してβ型半水石膏を得る方法や、気体水または液体水との接触反応下で転移させてα型半水石膏を得る加圧水溶液法などの加圧焼成法を利用できる。 このうち加圧水溶液法によって半水石膏を得た場合には、半水石膏を含むスラリーとして得られるので、この半水石膏スラリーをそのまま再結晶化反応槽に導入し、引き続き、本発明で規定する条件で再結晶化することで、連続的な処理を行える。 また、乾式焼成してβ型半水石膏を得た場合には、半水石膏を定量的に直接再結晶槽に導入し、これと同時に所定量の温水を加えてスラリーとし、これに続いて本発明で規定した条件で再結晶化して改質二水石膏にすればよい。 (結晶形状調整剤) 本発明者らの検討によれば再結晶化工程では、特に、石膏に対して0.1〜1.0質量%、さらには0.1〜0.7質量%の範囲のコハク酸ナトリウムを添加することが好ましい。 さらに、半水化工程において、石膏原料中に含まれる二水石膏を、気体水または液体水との接触反応下でα型半水石膏に転移させる段階で、コハク酸ナトリウムを0.1〜1.0質量%の範囲で媒晶剤として添加する構成とすることが好ましい。 すなわち、このようにすれば、α型半水石膏への転移が十分に行われ、しかも、このようにして得られるα型半水石膏スラリーを、そのまま引き続き再結晶化工程で連続処理することで、半水石膏は、平均粒径が64μm以上の大きな結晶の改質二水石膏になる。 本発明者らの検討によれば、より好ましい形態として、石膏に対して、溶液中で再結晶させるための結晶形調整薬剤として、0.05%〜0.2質量%の範囲のコハク酸ナトリウムと、0.01〜0.1質量%の範囲のポリカルボン酸系化合物とを併用することが挙げられる。 さらには、上記において、コハク酸ナトリウムを0.07%〜0.15質量%、ポリカルボン酸系化合物を0.01〜0.08質量%で併用するとよい。 また、加圧焼成工程において、石膏原料中に含まれる二水石膏を、気体水または液体水との接触反応下でα型半水石膏に転移させる段階で、上記の結晶調整薬剤を添加する構成とすれば、α型半水石膏への転移が十分に行われ、しかも、得られるα型半水石膏スラリーを、そのまま引き続き再結晶化工程で連続処理することで、半水石膏を平均粒径が64μm以上の大きな結晶の改質二水石膏とできる。 これらの添加量は、少な過ぎると、改質二水石膏のアスペクト比が大きくなるので好ましくない。 多過ぎると、再結晶化が遅くなると共に薬剤にかかるランニングコストも上昇し、経済的でない。 (pH) (界面活性剤及び/又は消泡剤) [白い石膏を得る技術としての分別工程] 本発明者らの検討によれば、天然石膏や各種の副生石膏及び廃石膏などを焼成して半水石膏とし、本発明と同様に、これを水中に入れて再結晶化させることで、結晶内に取り込まれていた汚れ成分を除去することが可能となる。 より具体的には、汚れ成分の分離をよくするため、界面活性剤又は消泡剤の存在下で、半水石膏をスラリー状にし、半水石膏を再結晶化させる際に、半水石膏に付着していた汚れ成分及び半水石膏の結晶内に取り込まれていた汚れ成分を分離する。 この時のスラリー温度は、水和反応が進むのであれば特に限定されない。 その後、上記分別方法を実施すれば、汚れ成分を除去することができる。 再結晶化の際に使用する界面活性剤及び/又は消泡剤は、先に挙げたような界面活性剤及び/又は消泡剤を1種以上、合計で、0.01〜0.2質量%の範囲で含有させることが好ましい。 このようにすれば、色差計で測定し、ハンター白色度で表した場合に、例えば、白色度が80以上の、良好な白色石膏を得ることができる。 天然石膏や各種の副生石膏及び廃石膏などを原料に用いた場合には、従来の方法では白色度の高い製品を容易に得ることができず、その用途が制限されていたが、上記の方法を用いることで用途拡大を実現できるので、リサイクル、環境保全の点からも多大なメリットがある。 (連続システム) [改質二水石膏の特性] 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。 なお、以下の記載で「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。 また、石膏の平均粒径は、「マイクロトラックMK−II粒度分布計」で測定した。 結晶のアスペクト比は、倍率100倍の光学顕微鏡で結晶を写真撮影し、主要な結晶の短径と長径を測定して平均値を求めた。 石膏の純度は、試料を40℃で乾燥した後に電子水分計で化合水を測定し、理論値との比を計算して純度とした。 再結晶化の進行度の検査は、試料を40℃で乾燥した後にX線回折を行ない、二水石膏ピーク及び半水石膏ピークのピーク強度より再結晶化の進行状況を判定した。 石膏の白色度は、色差計で測定し、ハンター白色度で結果を示した。 <実施例1> 得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が97.5%と極めて向上したことを確認した。 白色度は71であった。 また、その平均粒径を測定したところ、処理前が28μmであったのに対して86μmと大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重は、0.9であった。 <実施例2> 得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が99.0%と向上したことを確認した。 また、その平均粒径を測定したところ、処理前が32μmであったのに対して133μmと極めて大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重は1.1と緻密であった。 <実施例3> 得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が98.8%に向上したことを確認した。 また、その平均粒径を測定したところ、処理前が37μmであったのに対して109μmと大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重を調べたところ、1.0であった。 <実施例4> 次に、上記の工程で連続的に得られるα型半水石膏スラリーを、85.2℃に調整したヒーター及び撹拌機付きの反応槽に連続的に定量供給し、さらに、これに改質原料である中和石膏を、供給する半水石膏に対して0.6%になるように連続的に加えてスラリーが均一になるように撹拌しながら、供給する半水石膏スラリーの滞留時間が5.5時間(一時間当りの抜き出し比率18.2%)となるように調整して、再結晶化処理をした。 このようにして24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別した。 この固形物を40℃で乾燥して得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が99.2%に向上したことを確認した。 また、乾燥品を光学顕微鏡で調べた結果、図5に示したように、粒径の揃った大きな粒径で結晶化しており、その平均粒径を測定したところ、処理前が22μmであったのに対して138μmと極めて大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重を調べたところ1.2であり、緻密であった。 また、アスペクト比は約2、ハンター白色度は73であった。 <実施例5> この固形物を40℃で乾燥して得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が99.6%であることを確認した。 また、その平均粒径を測定したところ、処理前が23μmであったのに対して142μmと極めて大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重を調べたところ1.0であり、緻密であった。 <実施例6> 次に、上記の工程で連続的に得られるpH6.9のα型半水石膏スラリーを、ヒーター及び撹拌機付きの85.1℃に調整した反応槽に導入し、これに、石膏の質量比で、改質原料であるポリ塩化アルミニウム副産石膏を0.6%になるように連続的に加えながら定量供給し、スラリーの滞留時間が6時間となるように調整して、スラリーが均一になるように撹拌しながら再結晶化処理をした。 このようにして24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されたスラリーから、水簸法を用いて固形物を分別した。 この固形物を40℃で乾燥して得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が99.1%と極めて向上したことを確認した。 また、その平均粒径を測定したところ、処理前が25μmであったのに対して132μmと極めて大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重を調べたところ1.2であり、アスペクト比は約3であった。 <実施例7> この固形物を40℃で乾燥して得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が99.2%に向上したことを確認した。 また、その平均粒径を測定したところ、処理前が22μmであったのに対して136μmと、極めて大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重を調べたところ1.2であり、アスペクト比は約2、ハンター白色度は90であり、特に白色の石膏に適した原料であった。 <実施例8> この固形物を40℃で乾燥して得られた乾燥品についてX線回折で調べたところ、その全てが二水石膏であり、化合水よりその純度が99.3%に向上したことを確認した。 また、その平均粒径を測定したところ、処理前が22μmであったのに対して137μmと極めて大きなものに改質されていた。 さらに、軽装嵩比重を調べたところ1.2であり、アスペクト比は約2、ハンター白色度は91であり、特に白色の石膏に適した原料であった。 <実施例9> <実施例10> <実施例11> <参考実施例1> <参考実施例2> <参考実施例3> <参考実施例4> <参考実施例5> <比較例> 実施例、参考実施例及び比較例で用いた処理条件を表1に示し、表2に得られた二水石膏の特性をまとめて示した。 |