【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の分野】この発明は装甲構造に関し、特に、必要とする空間配分が最小であり、高いエネルギの爆風負荷に耐え、かつ高速の弾丸による貫通を防ぐための能力が向上した軽量かつ高強度の構造装甲コンポーネントに関する。 【0002】 【関連技術の説明】典型的に、従来の装甲板はセラミック材料、金属材料、高い伸び率の有機材料かまたはそのうちの2つ以上の組合せから作られる。 従来の装甲の一例はミギュエル(Miguel)に発行された米国特許第4, 404,889号に開示される。 第889号の装甲は、 鋼鉄の装甲板の外部層の間にさまざまな配列で挟まれた、高い密度の鋼鉄ハニカム、バルサ材、および耐弾道ナイロンの層を含む。 【0003】軽量構造装甲における改良点は、フレッド・マックィルキン(Fred McQuilkin)に発行され、ロックウェル・インターナショナル・コーポレイション(Ro ckwell International Corporation)に譲渡された米国特許第5,435,226号に開示される。 第226号の装甲は、研磨材料または積層材料がトラス部材の内部セルまたは溝に設けられた3シート単一トラスコア設計を用いる。 研磨材料または積層材料は、後に取除かれるブラダを接合プロセスの間に膨張させることによって適所に保持される。 【0004】第226号の設計の単一トラス軸は主に1 つの軸に集められた爆風波からエネルギを吸収し、これはおそらくトラスコア部材の軸を横断する軸に大きな構造的な撓みをもたらし得る。 また、破片のエネルギ散逸は、単一の軸においてのみ配向されるトラス部材溝に挿入された積層によって達成される。 破片はおそらくは積層インサートの間を移動でき、こうして積層のエネルギ吸収能力を減少させ得る。 【0005】セラミック材料は、表面積1平方フィートあたりの最低の重量で徹甲弾に打ち勝つことにおいて著しい効率を与える。 一般に、セラミック装甲部分はガラス繊維強化プラスチックのような強靱な支持層上に装着される。 炭化ホウ素、炭化ケイ素およびアルミナが装甲板に通常用いられるセラミックである。 【0006】しかしながら、セラミック板は、装甲を突き刺す弾丸の多数の的中に耐えられず、それに打ち勝つことができないという重大な欠点を有する。 セラミック材料の相対的に大きな部分がこれらの弾丸を止めるために用いられなければならず、かつ弾丸が的中するときにこれらの部分が完全に粉砕されるので、セラミック装甲はそれまでに打撃を受けた所の近くに衝突する次の弾丸に打ち勝つことができない。 さらに、隣接するセラミック部分の共鳴的な粉砕が通常起こり、何回もの打撃によって貫通されるという危険性をさらに高める。 【0007】さらに、セラミック装甲の製造は困難であり、コストがかさむ。 非常に高い製造温度が必要とされるだけではなく、亀裂を防ぐために非常にゆっくりとした冷却が必要なために処理に時間がかかる。 また、セラミック装甲はかなりの構造的負荷を支えることができず、したがって、寄生的な重量を負荷支持構造に加える。 【0008】装甲を突き刺す弾丸の何回もの密接した位置への衝撃に打ち勝つ優れた能力を有するため、金属材料が軽量装甲のアプリケーションのために実現されている。 しかしながら、この種類の材料はしばしば所望であるよりも遙に重く、複雑な輪郭に作製することが困難である。 さらに、典型的に、金属材料の重量のために、ヘリコプターおよび小型船舶のような軽量の可動兵器システムにおける広範囲の使用が妨げられてきた。 【0009】 【発明の目的および概要】したがって、この発明の主な目的は、特に、破片を伴った高強度の爆風の脅威に対する、かつ利用可能な最小の空間を有する構造的なアプリケーションのための、新しい改良された軽量装甲構造を提供することである。 【0010】別の目的は、爆風および破片の類の大きな脅威を受ける航空機ならびに地上および海上の乗物の床および壁のパネルを保護するのに役立つ構造装甲コンポーネントを提供することである。 【0011】別の目的は、耐爆風能力がより小さい既知の同様の構造における不利点および欠点のすべてを克服することである。 【0012】これらおよび他の目的は、二重トラス構造装甲コンポーネントであるこの発明によって達成される。 広い局面では、それは、第1のフェースシートと、 第1のフェースシートに対向する中間シートと、第1のフェースシートと中間シートとの間に挟まれた第1のトラスコア部材と、中間シートに対向する第2のフェースシートと、第2のフェースシートと中間シートとの間に挟まれた第2のトラスコア部材と、第1および第2のトラスコア部材の内部溝内に配置された積層材料とを含む。 第1のトラスコア部材は溝軸を有する。 第2のトラスコア部材の溝軸は、第1のトラスコア部材の溝軸から約45°ないし約90°の範囲に配向される。 このように、二軸的に冗長な負荷経路が形成される。 第1および第2のフェースシートと、中間シートと、第1および第2のトラスコア部材とは高靱性かつ高強度のチタン合金から形成される。 トラスコア部材の内部溝内にある積層材料は、中間シートに隣接する部分の溝に接合される。 積層材料は高いエネルギの遮断特性を有する。 【0013】弾丸破片の衝突の間、一方のフェースシートが破片を減速させ、平らにし、さらに分解する。 結果として生じる破片が積層材料に衝突するとき、そのエネルギは、二軸方向での積層材料の大きな歪変形のために積層材料によって吸収される。 したがって、破片は休止させられ、他方のフェースシートを貫通しないようにされる。 【0014】爆風波の衝突の間、エネルギ波は一方のフェースシートによって部分的に吸収され、トラスコア部材を変形させ、それに負荷を与える。 これらの部材は座屈の態様で二軸方向に変形し、それによって、爆風エネルギをばねのような態様で吸収し、他方のフェースシートの破壊を防ぐ。 【0015】細胞状泡材料が好ましくは内部溝内に配置されて、積層材料を中間シートおよびトラスコア部材に接合する、積層材料の接着剤硬化サイクルの間積層材料に対して圧力を与える。 泡材料はまた、ばねのような態様で泡材料の変形を押しつぶすことによって爆風波エネルギの一部を吸収するのに役立つ。 【0016】上述された第226号の特許に対する、この発明の二重トラス構造装甲設計の主な利点は以下のとおりである。 【0017】1) この発明の積層インサートの二軸配向が、破片を「受止め」かつ積層インサート間での弾丸破片の移動を防ぐエネルギ吸収能力を高める。 また、積層インサートの二重横断配向によって与えられる冗長性が、多数の破片衝突に耐える、装甲の能力を高める。 【0018】2) この発明のトラスコア部材の二軸配向が、パネルの両方の軸において爆風波エネルギを吸収しかつ大きな構造的変形を防ぐ能力を高める。 第226 号特許に開示される単一トラスコア設計がほとんどの設計の脅威に対して効果的であるが、この発明の二重トラス構造装甲は、高度な爆風の脅威と衝突時の爆発の脅威とに打ち勝つのに特に有益である。 【0019】3) 二重トラスコア溝内で膨張し、積層接合サイクルの間溝および中間シートの表面に対して積層を押付ける泡を用いる方法が効率を高めた。 また、泡は、装甲板の爆風エネルギ吸収機構の一部となる。 【0020】この発明の他の目的、利点および新規な特徴は、添付の図面と関連して検討するとこの発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。 【0021】図中の同じ要素または部分が同じ参照番号によって示される。 【0022】 【好ましい実施例の詳細な説明】ここで図とその参照番号とを参照すると、図1は、一般に10として示される、この発明の構造装甲コンポーネントの好ましい実施例を示す。 【0023】コンポーネント10は第1のフェースシート12を含む。 中間シート14が第1のシート12に対向する。 第1のトラスコア部材16が第1のフェースシート12と中間シート14との間に挟まれる。 第1のトラスコア部材は矢印18によって示される溝軸を有する。 第2のフェースシート20が中間シート14に対向する。 第2のトラスコア部材22が第2のフェースシート20と中間シート14との間に挟まれる。 第2のトラスコア部材22は、第1のトラスコア部材16の溝軸1 8にほぼ直交して配向された、矢印24によって示される溝軸を有して、以下に詳細に説明されるような二軸冗長負荷経路を形成する。 【0024】フェースシート12、20と、中間シート14と、トラスコア部材16、22とはすべて高靱性かつ高強度のチタン合金から形成される。 ここで定義されるように、用語「高強度」は約140ksiから約17 5ksiの範囲の究極の引張り強さの特性を指し、「高靱性」は約130ksi−インチ1/2から約185ks i−インチ1/2の範囲の破壊靱性(Kapp)特性を指す。 好ましくは、強度特性は約155ksiから約17 5ksiの範囲であるべきであり、靱性特性は約155 ksi−インチ1/2から約185ksi−インチ1/2の範囲であるべきである。 【0025】チタン合金は好ましくはアルファ−ベータクラスのチタン合金である。 このようなアルファ−ベータクラスのチタン合金はたとえばチタン6242Sまたはチタン6−22−22を含み得る。 このような合金は好ましくは、ロックウェル・インターナショナル・コーポレイションによって製造される、名称RX2(商標) のもとで商標をつけられたような特別な加熱処理プロセスによって高靱性および高強度の状態にプロセスされる。 RX2(商標)のプロセスは、ロックウェル・インターナショナルに譲渡された「機械特性および破壊抵抗を同時に向上させるためにアルファ−ベータチタン合金の微細構造特性最適化を処理するための方法」(“A Me thod for Processing Micro-Structure-Property Optim ization ofAlpha-Beta Titanium Alloys to Obtain Sim ultaneous Improvements in Mechanical Properties an d Fracture Resistance”)と題され、引用により援用される米国特許出願連続番号第08/339,856号において開示され、権利主張される。 【0026】この発明の発明の特徴で利用できる別の高靱性かつ高強度のチタン合金はCorona5(商標) チタンとして知られる合金を含み、4.5重量%のA l、5重量%のMo、および1.5重量%のGrの組成を有し、残りがチタンである。 【0027】積層材料26は第1のトラスコア部材16 と第2のトラスコア部材22との内部溝28内に配置される。 図1では、参照番号28が積層材料の挿入の前の空の溝を示すことに注目されたい。 これらの溝28はわかりやすくするために空で示される。 積層材料は、溝2 8の、中間シート14に隣接する部分に接合される。 したがって、参照番号30で示される位置によって示されるように、1つおきの積層材料26が中間シート14に接合され、一方、たとえば参照番号32によって示される位置での他の1つおきの積層材料が、中間シート14 に接合されるトラスコア部材の溝に接合される。 すなわち、積層材料26は実際には中間シート14上でないとしてもそこに可能な限り密に接着される必要がある。 積層の二軸配向は、弾丸破片がフェースシートによってすり減らされた後でそのエネルギの一部またはすべてを吸収するための「キャッチャーのミット」として材料が作用できるようにする。 積層材料のこの機能局面は以下にさらに詳しく検討される。 【0028】積層材料は、たとえば「Kevlar(登録商標)」および「Spectra(登録商標)」として知られる積層材料のような高強度の合成繊維を含み得る。 この発明によって利用される積層材料は高いエネルギの遮断特性を有することが必要とされる。 ここで定義されるように、用語「高いエネルギの遮断」は1インチあたり .003マイクロインチから1インチあたり約 . 007マイクロインチの範囲を指す。 好ましい範囲は1 インチあたり約 .006マイクロインチから1インチあたり約 .007マイクロインチである。 【0029】細胞状泡材料34は内部溝内で積層材料2 6が占める以外の体積を占有する。 細胞状泡材料34 は、積層材料を中間シート14および/またはトラスコア部材16、22に接合する積層材料26の接着剤硬化サイクルの間積層材料26に対して圧力を与える。 細胞状泡材料34は、加熱硬化サイクルのもとでその厚さの8倍から10倍に発泡する拡張エポキシ合成フィルムを含んでもよい。 このようなフィルムの一例は商標Mic roplyEM3(登録商標)のもとで市場に出されるフィルムである。 泡をもたらすための別の方法は、溝に注がれ、次に化学反応のために細胞状泡に拡張する、商業上入手可能な前発泡液体溶液を用いる。 【0030】装甲10が爆発と弾丸破片の脅威とに打ち勝つ機構は以下のとおりである。 弾丸破片36の衝突の間、フェースシート12は破片36を減速させ、平らにし、さらに分解する。 結果として生じる破片が積層材料26に衝突するとき、そのエネルギは二軸方向でのこれらの材料の大きな歪変形のために積層材料26によって吸収される。 したがって、破片は休止させられ、他のフェースシート20を貫通しないようにされる。 【0031】後の爆風波の衝突の間、エネルギ波はフェースシート12によって部分的に吸収され、トラスコア部材16、22を変形させ、それに負荷を与え、トラスコア部材16、22は座屈の態様で二軸方向に変形し、 それによって、爆風エネルギをばねのような態様で吸収し、他のフェースシート20の破壊を防ぐ。 【0032】泡材料34は、ばねのような態様で泡材料34の変形を押しつぶすことによって爆風波エネルギの一部を吸収するのに役立つ。 【0033】溝軸はほぼ90°で示されているが、これは好ましい配向であり、溝は約45°から約90°の範囲で配向され得ることに注目される。 【0034】フェースシート12、20はモノリシックチタンか、または、部分的に拡散接合されるか接着剤で接合される積層チタンのいずれであってもよい。 積層チタンを用いると、破片の衝突エネルギの横方向の広がりを向上させるという点でモノリシックチタンに勝る利点がもたらされる。 エネルギが横方向に分散するのはエネルギが積層間の接着接合を断つためである。 【0035】パネルの形状は、航空機および陸上の乗物の貨物フロアかまたは海上の乗物のためのエンジンエンクロージャのようなアプリケーションでは平坦であり得る。 または、航空機の胴体のようなアプリケーションかまたは液体酸素ボトルおよび油圧系設備のような重大なサブシステムの周囲のエンクロージャでは、パネルは一軸または二軸方向に湾曲され得る。 トラスコアパネルがさまざまな湾曲形状に形成され得るプロセスはクリープテンパおよび超塑性成形を含む。 【0036】ここで図2を参照すると、この発明の装甲コンポーネント作製プロセスの初期ステップが示される。 【0037】図2は初期の5シート二重横断トラスコアパネルを示す。 第1の製作方法では、パネルは、まず5 枚のシートを拡散接合し、次に超塑性成形膨張プロセスによってパネルを拡張させることによって形成される。 第2の方法では、パネルはレーザビーム溶接され、次に膨張プロセスによって超塑性的に拡張される。 これらのプロセスは航空宇宙産業において周知である。 【0038】ここで図3を参照すると、積層材料26はまずモノリシックシートに形成され、次に、トラスコア部材の内部溝の形状に相応するインサートに切断される。 次に、接着剤がインサートに与えられる。 これらは次に溝に挿入される。 積層26は底部溝の頂部と上部溝の底部とに挿入されて、それらを中間シート14に隣接させる。 【0039】ここで図4を参照すると、エポキシ合成フィルム33または前泡液体が溝の内部に与えられて示される。 図5を参照することによってわかるように、結果して生じる泡34は拡張し、積層材料26を押し、強い接着接合をもたらして、完成したパネルを形成する。 【0040】明らかに、この発明の多くの変更および変化が上の教示を考慮して可能である。 したがって、前掲の特許請求の範囲の範疇内において、この発明は具体的に説明されたのとは異なって実行され得ることを理解されたい。 権利主張され、所望されるものが米国の特許状によって守られる。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の二重トラスコア構造装甲コンポーネントの斜視図である。 【図2】この発明の装甲コンポーネント作製プロセスにおける初期ステップを示す、初期の5シート二重横断トラスコアパネルの斜視図である。 【図3】内部溝への積層材料の挿入を示す図である。 【図4】内部溝への前泡材料の挿入を示す図である。 【図5】溝においてボイドを充填し、完成したパネルを形成するための泡の拡張を示す図である。 【符号の説明】 10 構造装甲コンポーネント 12 第1のフェースシート 14 中間シート 16 第1のトラスコア部材 20 第2のフェースシート 22 第2のトラスコア部材 26 積層材料 34 細胞状泡材料 |