二相流体を使用する除氷システムを備えた航空機エンジンのためのナセル

申请号 JP2016103094 申请日 2016-05-24 公开(公告)号 JP2017048780A 公开(公告)日 2017-03-09
申请人 フィンメッカニカ・ソシエタ・ペル・アチオニ; FINMECCANICA S P A; 发明人 アントニオ・モスカテッリ; ジャンニ・マンクーゾ;
摘要 【課題】二相 流体 を使用する除氷システムを備えた航空機エンジンのためのナセル。 【解決手段】ナセル(10)は、対向する軸方向の端部で開口した管状ケーシングを備え、管状ケーシングは、内壁(12)と外壁(14)を含み、内壁(12)と外壁(14)は、前縁(16)に沿ったフロントエンドと後縁(18)に沿ったリアエンドで互いに接続されていて、前縁(16)と後縁(18)と共に空洞(20)を囲む。少なくともナセル(10)の前縁(16)のゾーン内に多孔質材で作られた分離部材(22)が空洞(20)内に配置されて、空洞(20)を内壁(12)と部材(22)との間にある内側の空洞(20a)と、外壁(14)と部材(22)との間にある外側の空洞(20b)とに分割し、且つ前縁(16)と 接触 する空洞(20)のフロントゾーン(20c)内だけ内側の空洞(20a)と外側の空洞(20b)とを流体連結し流体が空洞(20)に入っている。 【選択図】図2
权利要求

航空機エンジンのためのエンジンナセル(10)であって、 対向する軸方向の端部で開口した管状ケーシングを備え、 管状ケーシングは、内壁(12)と外壁(14)を含み、内壁(12)と外壁(14)は、前縁(16)に沿ったフロントエンドと後縁(18)に沿ったリアエンドで互いに接続されていて、前縁(16)と後縁(18)と共に空洞(20)を囲み、 ナセル(10)は除氷手段(22)を備えていて、除氷手段(22)は、氷の形成を防ぐために、少なくとも前縁(16)のゾーン内の、ナセル(10)の壁を加熱するように設計されていて、 除氷手段(22)は、空洞(20)の内部に配置された多孔質材の分離部材(22)を含み、空洞(20)を、内壁(12)と分離部材(22)との間にある内側の空洞(20a)と、外壁(14)と分離部材(22)との間にある外側の空洞(20b)とに分割し、前縁(16)と接触する空洞(20)のフロントゾーン(20c)内だけ、内側の空洞(20a)と外側の空洞(20b)とを流体連結した状態にし、二相流体が空洞(20)に入っていることを特徴とする、 エンジンナセル。内側の空洞(20a)及び外側の空洞(20b)と分離部材(22)は、円周方向に連続的に伸びる、請求項1に記載のエンジンナセル。内壁(12)と外壁(14)との間に配置された複数の分離要素(24)をさらに備え、内側の空洞(20a)と外側の空洞(20b)を、互いに直接連通していない対応する複数のセクタに分割し、且つ分離部材(22)を対応する複数の分離部材セクタに分割する、 請求項1に記載のエンジンナセル。

说明书全文

本発明は、航空機エンジンのためのナセルに関し、特に独立請求項1の前置きに記載した特徴を持つジェットエンジンのためのナセルに関する。

用語「エンジンナセル」又はさらに簡単な用語「ナセル」は、航空機エンジンを含むように設計された空気学的形状の管状ケーシングのことを指すことが理解される。ナセルは、一般的に、航空機の翼に取り付けられるけれども、航空機の胴体又は垂直尾翼部品に取り付けられることもある。ナセルは、航空機の長手方向の軸(前後方向)に平行な軸に沿って伸びる。ナセルは、フロントエンドとリアエンドで開口していて、フロントエンド側で空気が入るのを可能にし、リアエンド側で排ガスが出て行くのを可能にしている。ナセルは、一般的に、内壁と外壁を備え、内壁と外壁は、前縁に沿ったフロントエンドと後縁に沿ったリアエンドで、互いに接続されている。内壁と外壁は、前縁と後縁と共に、空洞を囲む。

氷のかけらがナセルの前縁から引き離されて、ジェットエンジンのコンプレッサのブレードに衝突する場合があるため、ナセルの前縁における氷の形成は特に危険であると考えられている。それ故、ナセルの前縁からの氷の分離を促進するように設計された氷の断片化システムが、開発されて、現在使用されている。それらは、例えば、圧縮空気システム又は電気抵抗を使用する加熱システムから成る。しかし、これらの既知のシステムは、氷が既に形成されているときに介入するものであるため、それほど効果的ではなく、前縁から氷を分離させることによって、氷のかけらがコンプレッサのブレードに衝突するリスクをさらに増加させるおそれがある。さらに、既知の除氷システムは、電力消費の観点からも効率があまり良くない。

本発明の目的は、上述した従来の欠点による影響を受けない、航空機エンジンのためのナセルを提供することである。より具体的には、本発明は、エンジンから動力を引き出さず且つ外部電源を必要とせずに、ナセルの前縁における氷の形成を防ぐ除氷システムを備えたエンジンナセルを提供することを目的とする。

この目的及び別の目的は、添付の独立請求項1で定義された特徴を持つ航空機エンジンのためのナセルによって、本発明に従って完全に達成される。

本発明のさらに有利な特徴は、従属請求項に明記されている。従属請求項の内容は、以下の説明の全体を形成し且つ一部分を統合するものとして理解される。

要するに、本発明は、ナセルの内壁と外壁の間に画定された空洞に、二相流体を導き、多孔質材で形成された分離部材をその空洞に挿入して、空洞を、ナセルの内壁と多孔質分離部材の間及びナセルの外壁と多孔質分離部材の間にそれぞれ広がる内側の空洞と外側の空洞に分割し、その内側の空洞と外側の空洞は、空洞のフロントゾーン内、すなわち、ナセルの前縁に接触するゾーン内でだけ、互いに流体連結しているというアイデアに基づいている。空洞の内側に、多孔質分離部材と二相流体があるおかげで、内側の空洞のリアゾーン内で、動作中に、流体は、エンジンから放出される排ガスから熱を受け取って、それにより、蒸発する。気相の流体は、その圧力によって、内側の空洞のフロントゾーンに向かって(すなわち、ナセルの前縁のゾーン内に)移動し、そこで、気相の流体は、気化熱の大部分を放出して、凝縮する。ナセルの前縁のゾーンは、ナセルの最も冷たいゾーンであるため、氷が最も形成されやすい。それ故、ナセルの前縁のゾーンは加熱される。外側の空洞内で再び液相になった流体は、毛細管現象により、多孔質分離部材を通って内側の空洞に向かって移動する。このようにして、流体の連続的な循環が作られ、蒸発と凝縮により、内側の空洞のリアゾーンから前縁とそれから外側の空洞に熱が確実に移動する。容易に理解されうるように、本発明の除氷システムを備えたエンジンナセルは、外部電源を必要とせず、エンジンから動力を引き出さず、機械部品の移動を必要とせず、且つナセルの全体のサイズを大きくすることなく、ナセルの前縁における氷の形成を防ぐことを可能にする。

実施形態によれば、内壁と外壁の間に複数の分離要素が設けられる。複数の分離要素は、内側の空洞と外側の空洞を、互いに直接連通していない対応する複数のセクタに分割し、且つ分離部材を対応する複数の分離部材セクタに分割するように設計される。このようにして、特に円周方向における改善された流体分布と、それに対応して改善された温度分布が得られる。

本発明のさらなる特性と利点は、以下の詳細な説明から、添付の図面を参照した限定しない例だけでより明らかになる。

本発明の実施形態におけるエンジンナセルの側面図である。

図1のエンジンナセルのII−IIで示される軸方向の切断面に沿った軸方向の断面図である。

図1のエンジンナセルのIII−IIIで示される横断面に沿った横断方向の断面図である。

図1のエンジンナセルのIV−IVで示されるさらなる横断面に沿ったさらなる横断方向の断面図である。

本発明のさらなる実施形態におけるエンジンナセルの側面図である。

図5のエンジンナセルのVI−VIで示される軸方向の切断面に沿った軸方向の断面図である。

図5のエンジンナセルのVII−VIIで示される横断面に沿った横断方向の断面図である。

最初に、図1から図4を参照すると、本発明の実施形態における航空機エンジン用のエンジンナセル(以後、簡単に「ナセル」と呼ぶ。)が全体的に符号10で示されている。ナセル10は、航空機エンジン(図示していないが、それ自体は既知のタイプである)、特にジェットエンジンを含むことが意図されている。既知の方法によって、ナセル10は、空気力学的形状の管状ケーシングとして形成される。この管状ケーシングは、航空機の長手方向の軸(前後方向)に平行なx軸に沿って伸び、且つこの軸に対して実質的に対称である。ナセル10は、フロントエンドとリアエンドの両方で開口していて、フロントエンド側で空気がエンジンに入るのを可能にし、リアエンド側でエンジンによって放出される排ガスが出て行くのを可能にしている。ナセル10は、内壁12と外壁14を備え、内壁12と外壁14は、前縁16に沿ったフロントエンドと後縁18に沿ったリアエンドで、互いに接続されている。図2の軸方向の断面図で示されているように、前縁16は丸みを帯びた形状であり、後縁18は鋭いエッジの形状である。内壁12と外壁14は、前縁16と後縁18と共に、空洞20を囲む。

ナセル10の外面で氷が形成されるのを防ぐために、ナセル10は、特に前縁16に、除氷システムを備えている。除氷システムは、基本的に、空洞20内に配置された多孔質材の管状分離部材22を備え、空洞20を内側の空洞20aと外側の空洞20bに分割するように構成されている。さらに具体的には、内側の空洞20aは、内壁12と多孔質分離部材22との間に広がり、外側の空洞20bは、外壁14と多孔質分離部材22との間に広がる。空洞20内の、20cで示されるフロントゾーン内だけにおいて、すなわち、前縁16に沿って、内側の空洞20aと外側の空洞20bは互いに流体連結している。空洞20には二相流体が入っている。二相流体は、例えば、、アンモニア、又はプロピレンであっても良い。動作中、内側の空洞20aのリアゾーンにおいて、流体はエンジンから放出された排ガスから熱を受け取って、それにより、蒸発する。気相の流体は、その圧力によって、空洞のフロントゾーンに向かって、すなわち、前縁16の近傍のゾーン20cに向かって移動し、そこで、気相の流体は、気化熱の大部分を放出して、凝縮する。前縁16は、凝縮する流体によって放出される熱によって、加熱される。それから、液相の流体は、空洞20のゾーン20cから外側の空洞20bに向かって、そしてそこから毛細管現象により多孔質分離部材22を通って内側の空洞20aに向かって移動する。このようにして、流体の連続的な循環が作られて、蒸発及び凝縮の段階により、内側の空洞20aのリアゾーンから空洞20のゾーン20c(前縁16と接触しているゾーン)とそれから外側の空洞20bに、熱が確実に移動する。

次に図5から図7を参照して、本発明のさらなる実施形態について説明する。図5〜図7において、図1〜図4の部品及び要素と同一の又は対応する部品及び要素には、同じ参照符号が付されている。本発明のこのさらなる実施形態は、基本的に以下の点で、図1〜図4の実施形態と異なる。内側の空洞20aと外側の空洞20bは、円周方向において連続的に伸びずに、対応する複数の分離要素24によって、それぞれが複数の軸方向のセクタに分割されている(提案した例では、セクタの数は12であるが、12より多くても少なくても同様にうまくいく)。複数の分離要素24は、内壁12と外壁14の間を放射状に伸び、且つ分離部材22の軸方向の伸長部分全体を軸方向に越えて、又は分離部材22の軸方向の伸長部分のほとんどを少なくとも越えて、伸びる。分離部材22は、図1〜図4の実施形態のように円周方向に連続的に伸びることなく、分離要素24によって、対応する複数の分離部材セクタに分割される。複数の分離部材セクタの各々は、内側の空洞20aのセクタを外側の空洞20bの対応するセクタから分離する。この実施形態によれば、1つの空洞セクタ(内側又は外側)と隣接する空洞セクタとの間は、直接的に流体連結していない。

図1〜図4の実施形態と比較すると、このさらなる実施形態は、空洞の内側の流体の不均一な分布及びそれによる温度の不均一な分布のリスクを避けることができる(実際には、円周方向に連続的に伸びる空洞の場合、流体は、重力により、空洞の底部にたまりやすい)。さらに、ナセルの壁(内壁又は外壁)に損傷が生じた場合、流体の喪失が生じるけれども、このさらなる実施形態であれば、1つの空洞セクタのみ又はどんな場合でも限られた数の空洞セクタのみが空になるだけであり、除氷システムの動作全体に悪影響を及ぼさない。さらなる利点は、先行の実施形態と比較して、組み立てられる部品(特に分離部材セクタ)の寸法がより小さくなるため、構造がより簡単になることである。

上記説明を考慮すると、本発明の除氷システムを備えたエンジンナセルが、外部電源を必要とせず、エンジンから動力を引き出さず、機械部品の移動を必要とせず、且つナセルの全体のサイズを大きくすることなく、ナセルの前縁における氷の形成を防ぐことができることは明らかである。さらに、空洞の内側の流体の循環と、流体とナセルの壁との熱交換は、自動で発生する物理現象によるものであり、操作部材を必要としないため、起こりうる破損に関連するリスクがなく、又は操作部材の製造が不要であるため、除氷システムは極めて信頼性が高い。

当然、実施形態と構造上の細部は、本発明の原理を変更せずに、限定しない例だけによって説明し且つ示したものから大きく変更することができる。

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