複合材構造

申请号 JP2014116041 申请日 2014-06-04 公开(公告)号 JP2015229276A 公开(公告)日 2015-12-21
申请人 三菱重工業株式会社; 发明人 杉山 拓史; 清水 隆之; 阿部 俊夫;
摘要 【課題】発熱体から熱を受ける場合、熱の滞留を抑制しつつ、外 力 による破損を抑制することができる複合材構造を提供する。 【解決手段】複合材構造1は、発熱体24に対向して配置され、PAN系炭素繊維を含む第1複合部材21と、発熱体24と第1複合部材21との間に配置され、ピッチ系炭素繊維を含む第2複合部材22と、第1複合部材21と第2複合部材22との間に設けられ、第1複合部材21及び第2複合部材22にそれぞれ接合されると共に、第1複合部材21及び第2複合部材22よりも低剛性となる緩衝体23と、を備え、第1複合部材21は、隣接する構造体25に連結して設けられる一方で、第2複合部材22及び緩衝体23は、構造体25と分離して設けられる。 【選択図】図2
权利要求

発熱体に対向して配置され、PAN系炭素繊維を含む第1複合部材と、 前記発熱体と前記第1複合部材との間に配置され、ピッチ系炭素繊維を含む第2複合部材と、 前記第1複合部材と前記第2複合部材との間に設けられ、前記第1複合部材及び前記第2複合部材を連結すると共に、前記第1複合部材及び前記第2複合部材よりも低剛性となる緩衝体と、を備え、 前記第1複合部材は、隣接する構造体に連結して設けられる一方で、前記第2複合部材及び前記緩衝体は、前記構造体と分離して設けられることを特徴とする複合材構造。前記緩衝体は、前記第1複合部材に接合される谷部と、前記第2複合部材に接合される山部とが交互に隣接する波板部材であることを特徴とする請求項1に記載の複合材構造。前記緩衝体は、前記第1複合部材に接合される第1接合面と、前記第2複合部材に接合される第2接合面とを有するパッド部材であることを特徴とする請求項1に記載の複合材構造。前記緩衝体は、PAN系炭素繊維を含む複合部材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の複合材構造。前記第2複合部材と対向する前記第1複合部材の対向面内において、前記第1複合部材に生じる荷重の方向を荷重方向とし、前記荷重方向に交わる所定の方向を非荷重方向とすると、 前記緩衝体は、前記荷重方向を繊維方向とする前記PAN系炭素繊維が、前記非荷重方向を繊維方向とする前記PAN系炭素繊維に比して少ないことを特徴とする請求項4に記載の複合材構造。前記第1複合部材と対向する前記第2複合部材の対向面内において、前記発熱体から受けた熱を伝達する所定の方向を伝熱方向とし、前記伝熱方向に交わる所定の方向を非伝熱方向とすると、 前記第2複合部材は、前記伝熱方向を繊維方向とする前記ピッチ系炭素繊維が、前記非伝熱方向を繊維方向とする前記ピッチ系炭素繊維に比して多いことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複合材構造。前記第1複合部材は、前記PAN系炭素繊維を含んで構成される単層のシートを、前記第1複合部材と前記第2複合部材とが対向する方向を積層方向として、疑似等方積層することで形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の複合材構造。前記第2複合部材と対向する前記第1複合部材の対向面内において、前記第1複合部材に生じる荷重の方向を一方の荷重方向とし、一方の前記荷重方向に交わる所定の方向を他方の荷重方向とすると、 前記第2複合部材及び前記緩衝体は、他方の前記荷重方向において、所定の隙間を空けて複数に分割されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の複合材構造。前記緩衝体は、前記第1複合部材側が、前記第2複合部材側に比して大きく変形することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の複合材構造。

说明书全文

本発明は、異なる種類の炭素繊維を用いた複合材構造に関するものである。

従来、ピッチベース炭素繊維を含む第1セル壁と、パンベース炭素繊維を含む第2セル壁とが、選択的かつ必須的に複合して用いられる繊維強化プラスチック製のハニカム構造体が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1には、ピッチベース炭素繊維よりなる繊維強化プラスチックと、パンベース炭素繊維よりなる繊維強化プラスチックとを比較すると、前者が、より熱伝導性が高いのに対し、後者は、より強度が高いことが記載されている。

特開平8−207180号公報

ところで、ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチック(以下、ピッチ系CFRPと言う)と、PAN系炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチック(以下、PAN系CFRPと言う)とを備える複合材構造は、熱を発する発熱体に対向して設けられる場合がある。この場合、複合材構造の熱の滞留を抑制すべく、熱伝導性の高いピッチ系CFRPを強度部材として用いることが考えられる。ピッチ系CFRPを強度部材として用いる場合、ピッチ系CFRPは、隣接する他の構造体に連結される。このため、隣接する他の構造体に連結された状態で、ピッチ系CFRPに外が与えられると、ピッチ系CFRPは、外力により変形する。しかしながら、ピッチ系CFRPは、PAN系CFRPに比して破断歪みが低いことから、PAN系CFRPに比して破断し易いものとなる。

外力による破断を抑制するために、PAN系CFRPを、ピッチ系CFRPと共に、他の構造体に連結することも考えられる。PAN系CFRP及びピッチ系CFRPに外力が与えられると、PAN系CFRP及びピッチ系CFRPは、外力により変形する。このとき、ピッチ系CFRPは、他の構造体を介してPAN系CFRPに連結されていることから、外力によるPAN系CFRPの変形に追従して、ピッチ系CFRPが変形する。しかしながら、ピッチ系CFRPは、PAN系CFRPの変形に追従できず、PAN系CFRPに比して破断し易いものとなる。

そこで、本発明は、発熱体から熱を受ける場合、熱の滞留を抑制しつつ、外力による破損を抑制することができる複合材構造を提供することを課題とする。

本発明の複合材構造は、発熱体に対向して配置され、PAN系炭素繊維を含む第1複合部材と、前記発熱体と前記第1複合部材との間に配置され、ピッチ系炭素繊維を含む第2複合部材と、前記第1複合部材と前記第2複合部材との間に設けられ、前記第1複合部材及び前記第2複合部材を連結すると共に、前記第1複合部材及び前記第2複合部材よりも低剛性となる緩衝体と、を備え、前記第1複合部材は、隣接する構造体に連結して設けられる一方で、前記第2複合部材及び前記緩衝体は、前記構造体と分離して設けられることを特徴とする。

この構成によれば、第1複合部材は、PAN系炭素繊維を含む複合部材となっていることから、外力によって破断し難い部材となる。また、第2複合部材は、ピッチ系炭素繊維を含む複合部材となっていることから、熱伝導性の高い部材となる。このため、第1複合部材に外力が与えられた場合、第1複合部材は破断し難いことから、隣接する構造体に連結して設けることで、強度部材として機能させることができる。また、発熱体から第2複合部材に熱が与えられた場合、第2複合部材は、熱伝導性が高いことから、熱を分散させたり、熱を逃がしたりすることができるため、第1複合部材及び第2複合部材が過剰に加熱されることを抑制することができる。ここで、第2複合部材は、隣接する構造体と分離して設けられていることから、構造体を介して第1複合部材の変形に追従して第2複合部材が変形することを抑制することができる。また、第2複合部材は、緩衝体を介して、第1複合部材と連結されている。ここで、緩衝体は、第1複合部材及び第2複合部材よりも低剛性となっているため、第1複合部材と第2複合部材との相対的な変位を許容することができる。このため、第2複合部材には、第1複合部材の変形による荷重が、緩衝体を介して伝達されることから、第1複合部材の変形に追従して第2複合部材が変形することをより抑制することができる。以上から、発熱体から熱を受ける場合であっても、第2複合部材により発熱体の熱を好適に分散したり、逃がしたりすることで複合材構造及び周囲空間への熱の滞留を抑制しつつ、第1複合部材を強度部材として機能させ、外力による第1複合部材及び第2複合部材の破損を抑制することができる。

また、前記緩衝体は、前記第1複合部材に接合される谷部と、前記第2複合部材に接合される山部とが交互に隣接する波板部材であることが好ましい。

この構成によれば、緩衝体を波板部材とすることにより、緩衝体を山部と谷部とが隣接する方向に変形し易い構成とすることができる。

また、前記緩衝体は、前記第1複合部材に接合される第1接合面と、前記第2複合部材に接合される第2接合面とを有するパッド部材であることが好ましい。

この構成によれば、緩衝体をパッド部材とすることにより、緩衝体を簡易な構成とすることができる。

また、前記緩衝体は、PAN系炭素繊維を含む複合部材であることが好ましい。

この構成によれば、緩衝体を、PAN系炭素繊維を含む複合部材とすることで、第1複合部材と緩衝体とを同程度の強度とすることができる。また、緩衝体は、第1複合部材と同程度の破断歪みとなるため、外力により第1複合部材が変形することによって、第1複合部材と緩衝体との間が破断することを抑制することができる。

また、前記第2複合部材と対向する前記第1複合部材の対向面内において、前記第1複合部材に生じる荷重の方向を荷重方向とし、前記荷重方向に交わる所定の方向を非荷重方向とすると、前記緩衝体は、前記荷重方向を繊維方向とする前記PAN系炭素繊維が、前記非荷重方向を繊維方向とする前記PAN系炭素繊維に比して少ないことが好ましい。

この構成によれば、荷重方向における緩衝体の剛性を、非荷重方向における緩衝体の剛性に比して低くすることができる。このため、緩衝体を非荷重方向に比べて荷重方向に変形し易い構成とすることができ、外力による第1複合部材の変形に好適に追従して、緩衝体を変形させることができる。

また、前記第1複合部材と対向する前記第2複合部材の対向面内において、前記発熱体から受けた熱を伝達する所定の方向を伝熱方向とし、前記伝熱方向に交わる所定の方向を非伝熱方向とすると、前記第2複合部材は、前記伝熱方向を繊維方向とする前記ピッチ系炭素繊維が、前記非伝熱方向を繊維方向とする前記ピッチ系炭素繊維に比して多いことが好ましい。

この構成によれば、第2複合部材の伝熱方向における熱伝導性を、第2複合部材の非伝熱方向における熱伝導性に比して高くすることができるため、発熱体から受けた熱を伝熱方向に逃がし易いものとすることができる。

また、前記第1複合部材は、前記PAN系炭素繊維を含んで構成される単層のシートを、前記第1複合部材と前記第2複合部材とが対向する方向を積層方向として、疑似等方積層することで形成されることが好ましい。

この構成によれば、第1複合部材を、積層方向に直交する直交面内において等方性を有する構成とすることができる。つまり、第1複合部材を、直交面内において均一な強度(引張強度)とすることができるため、構造体に連結される強度部材として好適に機能させることができる。

また、前記第2複合部材と対向する前記第1複合部材の対向面内において、前記第1複合部材に生じる荷重の方向を一方の荷重方向とし、一方の前記荷重方向に交わる所定の方向を他方の荷重方向とすると、前記第2複合部材及び前記緩衝体は、他方の前記荷重方向において、所定の隙間を空けて複数に分割されていることが好ましい。

この構成によれば、他方の荷重方向に第1複合部材が変形する場合であっても、他方の荷重方向に第2複合部材及び緩衝体を分割することで、第1複合部材の変形に追従して第2複合部材が変形することを抑制することができる。

また、前記緩衝体は、前記第1複合部材側が、前記第2複合部材側に比して大きく変形することが好ましい。

この構成によれば、緩衝体を、第1複合部材の変形に追従させ易いものとすることができるため、第1複合部材側の変形を好適に吸収することができる。また、緩衝体を、第1複合部材の変形を第2複合部材に伝え難いものとすることができるため、第2複合部材側との間の相対的な変位を小さいものとすることができ、緩衝体と第2複合部材との間が破断することを抑制することができる。

図1は、実施例1に係る複合材構造を適用したヒートシールドの模式図である。

図2は、実施例1に係る複合材構造の図1のA−A断面図である。

図3は、実施例1に係る複合材構造の変形前後の状態を示す説明図である。

図4は、実施例2に係る複合材構造の図1のA−A断面図である。

図5は、実施例2に係る複合材構造の変形前後の状態を示す説明図である。

図6は、実施例3に係る複合材構造の外観斜視図である。

以下に、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせることも可能である。

図1は、実施例1に係る複合材構造を適用したヒートシールドの模式図である。図2は、実施例1に係る複合材構造の図1のA−A断面図である。図3は、実施例1に係る複合材構造の変形前後の状態を示す説明図である。図1から図3に示す複合材構造1は、異なる種類の炭素繊維を用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)が用いられている。この複合材構造1は、航空機を構成する航空部品として適用可能となっている。航空部品としては、例えば、ナセル12の内側に設けられるヒートシールド10であり、複合材構造1は、ヒートシールド10を構成する構造体となっている。先ず、複合材構造1の説明に先立ち、図1を参照して、ヒートシールド10周りの構造について説明する。

図1に示すように、ヒートシールド10は、航空機に搭載されるガスタービンエンジン11からナセル12に与えられる熱を軽減することで、ナセル12を熱から保護するものとなっている。ナセル12は、円筒形状のハウジングとなっており、その内部にガスタービンエンジン11を格納している。ガスタービンエンジン11は、ナセル12の内部に設けられており、作動することによって発熱する発熱体となっている。

ヒートシールド10は、ナセル12とガスタービンエンジン11との間に設けられ、ナセル12の内周側に設置されている。ヒートシールド10は、ガスタービンエンジン11側に設けられる伝熱部材15と、ナセル12と伝熱部材15との間に設けられる連結部材16とを備えている。伝熱部材15は、ガスタービンエンジン11から与えられる熱を所定の伝熱方向に伝達することで、熱を分散させたり、熱を逃がしたりしている。ここで、ナセル12、伝熱部材15及び連結部材16には、複合材構造1が適用されている。以下、図2を参照して、複合材構造1について説明する。

図2に示すように、複合材構造1は、PAN系炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチック(いわゆるPAN系CFRP)を用いて構成される第1複合部材21と、ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチック(いわゆるピッチ系CFRP)を用いて構成される第2複合部材22と、第1複合部材21と第2複合部材22との間に設けられる緩衝体23とを備えている。この複合材構造1には、発熱体24から熱が与えられると共に、外力が与えられることで、第1複合部材21が変形する。なお、複合材構造1をヒートシールド10に適用する場合には、第1複合部材21がナセル12に対応し、第2複合部材22が伝熱部材15に対応し、緩衝体23が連結部材16に対応し、発熱体24がガスタービンエンジン11に対応する。

ここで、ピッチ系CFRPとPAN系CFRPとについて比較する。PAN系CFRPは、ピッチ系CFRPに比して破断歪みが高いことから、PAN系CFRPは、歪みに対して粘り強く、一方で、ピッチ系CFRPは、歪みに対して脆いものとなる。また、ピッチ系CFRPは、PAN系CFRPに比して熱伝導性(熱伝導率)が高いことから、PAN系CFRPは、熱が伝わり難く、一方で、ピッチ系CFRPは、熱が伝わり易いものとなる。

第1複合部材21は、板状に形成されており、発熱体24に対向して設けられている。なお、第1複合部材21をナセル12に適用する場合、第1複合部材21は、湾曲する板状または円筒形状に形成される。第1複合部材21は、所定の方向における両端部が、隣接する両側の構造体25にそれぞれ連結されている。つまり、第1複合部材21は、一対の構造体25の間に設けられて、一対の構造体25を連結している。なお、第1複合部材21は、一対の構造体25に限らず、他の構造体に連結される場合もある。

この第1複合部材21は、外力が与えられると、第2複合部材22と対向する対向面内において変形する。このとき、外力により第1複合部材21に生じる荷重の方向は、実施例1において、一対の構造体25が対向する方向となる。ここで、外力は、第1複合部材21に直接的に与えられる場合もあれば、構造体25を介して第1複合部材21に間接的に与えられる場合もある。なお、荷重方向は、一方向に限らず、複数の方向となる場合もある。また、第1複合部材21は、荷重方向に交わる所定の方向が非荷重方向となる。非荷重方向は、荷重方向における荷重に比して小さな荷重となる方向である。このため、外力により変形する第1複合部材21は、第2複合部材22と対向する面内において、荷重方向と非荷重方向とが交差することとなる。

ここで、第1複合部材21は、PAN系CFRPが用いられていることから、ピッチ系CFRPが用いられる第2複合部材22に比して破断歪みが高いものとなっている。このため、第1複合部材21は、第2複合部材22に比して変形による破断が生じ難いものとなることから、一対の構造体25に連結して設けられることで、強度部材として機能する。

第2複合部材22は、第1複合部材21と発熱体24との間に設けられている。なお、図2では、第2複合部材22は、板状に形成されているが、この形状に特に限定されない。また、第2複合部材22を伝熱部材15に適用する場合、第1複合部材21と同様に、第2複合部材22は、湾曲する形状または円筒形状に形成される。この第2複合部材22は、第1複合部材21の荷重方向において、その両端部が、隣接する両側の構造体25に対し、所定の隙間を空けてそれぞれ対向して設けられている。つまり、第2複合部材22は、一対の構造体25の間に設けられ、一対の構造体25から分離した状態(非連結の状態)となっている。なお、所定の隙間は、第2複合部材22の変形時において、構造体25に物理的な干渉が生じない隙間となっている。

この第2複合部材22は、一対の構造体25との間にそれぞれ所定の隙間を設けていることから、第1複合部材21の荷重方向における変形が、一対の構造体25を介して第2複合部材22に伝わらない。

ここで、第2複合部材22は、ピッチ系CFRPが用いられていることから、PAN系CFRPが用いられる第1複合部材21に比して熱伝導率の高いものとなっている。このため、第2複合部材22は、第1複合部材21に比して熱を伝え易いものとなることから、発熱体24から与えられた熱を分散させることができ、第1複合部材21に与えられる熱を軽減することができる。なお、第2複合部材22には、第2複合部材22に接続される冷却装置を設けてもよく、この場合、第2複合部材22は、発熱体24から与えられた熱を冷却装置へ向けて逃がすことができる。

緩衝体23は、PAN系CFRPを用いて構成され、第1複合部材21と第2複合部材22とを連結している。また、緩衝体23は、第1複合部材21及び第2複合部材22よりも低剛性に形成される。このため、緩衝体23は、第1複合部材21と第2複合部材22との相対的な変位を許容することができる。

具体的に、緩衝体23は、山部23aと谷部23bとが荷重方向に交互に隣接する波板部材となっている。このため、緩衝体23は、荷重方向における変形が、荷重方向に直交する方向における変形に比して、変形し易いものとなっている。緩衝体23は、その谷部23bが第1複合部材21に接合され、その山部23aが第2複合部材22に接合されている。図3に示すように、緩衝体23は、第1複合部材21が変形すると、第1複合部材21側となる谷部23bの荷重方向における変形量が大きく、第2複合部材22側となる山部23aの荷重方向における変形量が小さくなる。換言すれば、第1複合部材21は、第2複合部材22に比して変形量が大きいものとなる。

ここで、第1複合部材21は、単層のシートを、第1複合部材21と第2複合部材22とが対向する方向を積層方向として、疑似等方積層することで形成される。単層のシートは、例えば、PAN系炭素繊維の繊維方向を所定の方向に並べてエポキシ樹脂等の樹脂を含有させたプリプレグである。疑似等方積層では、シートの繊維方向が、荷重方向と同じ方向となる0°の状態と、荷重方向と45°で交わる45°の状態と、荷重方向と−45°で交わる−45°の状態と、荷重方向と直交する90°の状態となる。そして、疑似等方積層では、0°の状態、45°の状態、−45°の状態及び90°の状態が、それぞれ同じ数となるように、シートが積層方向に積層される。これにより、第1複合部材21は、積層方向に直交する面内において、等方性を有する構成、すなわち、積層方向に直交する面内において、均一な強度(引張強度)の構成となる。

第2複合部材22は、単層のシートを積層方向に複数積層することで形成される。単層のシートは、例えば、ピッチ系炭素繊維の繊維方向を所定の方向に並べてエポキシ樹脂等の樹脂を含有させたプリプレグである。また、ピッチ系炭素繊維は連続繊維を用いる。これにより、熱伝導性を高くすることができる。ここで、第2複合部材22は、第1複合部材21と対向する対向面内において、発熱体24から受けた熱を逃がす所定の方向を伝熱方向とし、伝熱方向に直交する方向を非伝熱方向とする。このとき、第2複合部材22は、伝熱方向を繊維方向とするシートが、非伝熱方向を繊維方向とするシートに比して多くなるように、単層のシートを積層方向に複数積層する。具体的に、伝熱方向を荷重方向に直交する方向とする場合、第2複合部材22は、繊維方向が荷重方向と直交する90°の状態のシートが多くなり、繊維方向が荷重方向と同じ方向となる0°の状態のシートが少なくなるように、シートが積層方向に積層される。これにより、第2複合部材22は、伝熱方向に熱を伝え易く、非伝熱方向に熱を伝え難い構成となる。

緩衝体23は、単層のシートを積層方向に複数積層することで形成される。単層のシートは、第1複合部材21と同様に、PAN系炭素繊維の繊維方向を所定の方向に並べてエポキシ樹脂等の樹脂を含有させたプリプレグである。ここで、緩衝体23を第1複合部材21及び第2複合部材22よりも低剛性にする場合には、PAN系炭素繊維の繊維方向を所定の方向としたり、PAN系炭素繊維の中でも低剛性となる繊維を用いたり、PAN系炭素繊維に浸される樹脂を低剛性のものとしたり、PAN系炭素繊維の含有量を減らしたりする。具体的に、PAN系炭素繊維の繊維方向を所定の方向とすることによって、緩衝体23を低剛性にする場合、緩衝体23は、荷重方向を繊維方向とするシートが、非荷重方向を繊維方向とするシートに比して少なくなるように、単層のシートを積層方向に複数積層する。例えば、一対の構造体25が対向する方向のみが荷重方向である場合、荷重方向に直交する方向が非荷重方向となることから、緩衝体23は、繊維方向が荷重方向と直交する90°の状態のシートが多くなり、繊維方向が荷重方向と同じ方向となる0°の状態のシートが少なくなるように、シートが積層方向に積層される。また、一対の構造体25が対向する方向が一方の荷重方向であり、また、一方の荷重方向に直交する方向が他方の荷重方向である場合、直交する2つの荷重方向に対して±45°に交わる方向が非荷重方向となることから、緩衝体23は、繊維方向が荷重方向と45°で交わる45°及び−45°の状態のシートが多くなり、繊維方向が荷重方向と同じ方向となる0°及び90°の状態のシートが少なくなるように、シートが積層方向に積層される。

以上のように、実施例1によれば、第1複合部材21は、PAN系CFRPを用いているため、外力によって破断し難いものとすることができ、第2複合部材22は、ピッチ系CFRPを用いているため、熱伝導性の高いものとすることができる。このため、第1複合部材21に外力が与えられた場合、第1複合部材21は破断し難いことから、一対の構造体25を連結する強度部材として機能させることができる。また、発熱体24から第2複合部材22に熱が与えられた場合、第2複合部材22は、熱伝導性が高いことから、熱を分散させたり、熱を逃がしたりすることができるため、第1複合部材21及び第2複合部材22が過剰に加熱されることを抑制することができる。ここで、第2複合部材22は、隣接する構造体25と分離して設けられていることから、構造体25を介して第1複合部材21の変形に追従して第2複合部材22が変形することを抑制することができる。また、第2複合部材22は、緩衝体23を介して、第1複合部材21と連結されていることから、第1複合部材21と第2複合部材22との相対的な変位を許容することができる。このため、第2複合部材22には、第1複合部材21の変形による荷重が、緩衝体23を介して伝達されることから、第1複合部材21の変形に追従して第2複合部材22が変形することをより抑制することができる。以上から、発熱体24から熱を受ける場合であっても、第2複合部材22により発熱体24の熱を好適に分散したり、逃がしたりすることで複合材構造1及び周囲空間への熱の滞留を抑制しつつ、第1複合部材21を強度部材として機能させ、外力による第1複合部材21及び第2複合部材22の破損を抑制できる。

また、実施例1によれば、緩衝体23を波板部材とすることにより、一対の構造体25が対向する荷重方向に緩衝体23を変形し易い構造とすることができる。このため、緩衝体23を、第1複合部材21の荷重方向における変形に追従させ易く、第2複合部材22に変形を伝え難い構成とすることができる。

また、実施例1によれば、緩衝体23を、PAN系CFRPとすることで、第1複合部材21と緩衝体23とを同程度の強度とすることができる。また、緩衝体23は、第1複合部材21と同程度の破断歪みとなるため、外力により第1複合部材21が変形することによって、第1複合部材21と緩衝体23との間が破断することを抑制することができる。

また、実施例1によれば、荷重方向における緩衝体23の剛性を、非荷重方向における緩衝体23の剛性に比して低くすることができる。このため、緩衝体23を、非荷重方向に比べて荷重方向に変形し易い構成とすることができ、第1複合部材21の荷重方向における変形に好適に追従して、緩衝体23を変形させることができる。

また、実施例1によれば、第2複合部材22の伝熱方向における熱伝導性を、第2複合部材22の非伝熱方向における熱伝導性に比して高くすることができるため、発熱体24から受けた熱を伝熱方向に逃がし易い構成とすることができる。

また、実施例1によれば、第1複合部材21を、積層方向に直交する直交面内において等方性を有する構成とすることができる。つまり、第1複合部材21を、直交面内において均一な強度に構成することができるため、構造体25に連結される強度部材として好適に機能させることができる。

また、実施例1によれば、第1複合部材21側の緩衝体23の谷部23bを、第2複合部材22側の緩衝体23の山部23aに比して大きく変形させることができる。このため、緩衝体23を、第1複合部材21の変形に追従させ易いものとすることができるため、第1複合部材21側の変形を好適に吸収することができる。また、緩衝体23を、第1複合部材21の変形を第2複合部材22に伝え難いものとすることができるため、第2複合部材22側との間の相対的な変位を小さいものとすることができ、緩衝体23と第2複合部材22との間が破断することを抑制することができる。

なお、実施例1では、複合材構造1をヒートシールド10に適用して説明したが、この構成に特に限定されず、発熱体24からの熱を受ける航空部品であれば、いずれの航空部品にも適用可能である。例えば、高温となる航空用電子機器または各種システム機器に対向して配置される航空部品に適用してもよい。

次に、図4及び図5を参照して、実施例2に係る複合材構造51について説明する。図4は、実施例2に係る複合材構造の図1のA−A断面図である。図5は、実施例2に係る複合材構造の変形前後の状態を示す説明図である。なお、実施例2では、実施例1と重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分についてのみ説明し、実施例1と同様のものについては、同じ符号を付して説明する。実施例1では、緩衝体23として、波状部材を用いたが、実施例2では、緩衝体53として、パッド部材を用いている。以下、実施例2の複合材構造51について説明する。

図4に示すように、複合材構造51は、PAN系CFRPを用いて構成される第1複合部材21と、ピッチ系CFRPを用いて構成される第2複合部材22と、第1複合部材21と第2複合部材22との間に設けられる緩衝体53とを備えている。なお、第1複合部材21及び第2複合部材22は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。

緩衝体53は、実施例1と同様に、PAN系CFRPを用いて構成され、第1複合部材21と第2複合部材22とを連結しており、第1複合部材21及び第2複合部材22よりも低剛性に形成される。このため、緩衝体53は、第1複合部材21と第2複合部材22との相対的な変位を許容することができる。

具体的に、緩衝体53は、第1複合部材21の荷重方向に直交する方向を長手方向とする長方体形状のパッド部材となっている。この緩衝体53は、荷重方向に所定の間隔を空けて並べて複数設けられている。緩衝体53は、第1複合部材21側の面(図4の下面)が、第1複合部材21に接合される第1接合面53bとなっており、第2複合部材22側の面(図4の上面)が、第2複合部材22に接合される第2接合面53aとなっている。

図5に示すように、緩衝体53は、第1複合部材21が変形すると、第1複合部材21側となる第1接合面53bの荷重方向における変形量が大きく、第2複合部材22側となる第2接合面53aの荷重方向における変形量が小さくなる。

この緩衝体53は、実施例1と同様に、単層のシートを積層方向に複数積層することで形成される。単層のシートは、PAN系炭素繊維の繊維方向を所定の方向に並べてエポキシ樹脂等の樹脂を含有させたプリプレグである。ここで、PAN系炭素繊維の繊維方向を所定の方向とすることによって、緩衝体53を低剛性にする場合、緩衝体53は、荷重方向を繊維方向とするシートが、非荷重方向を繊維方向とするシートに比して少なくなるように、単層のシートを積層方向に複数積層する。なお、緩衝体53におけるシートの積層については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。

以上のように、実施例2によれば、緩衝体53をパッド部材とすることで、実施例1に比して、簡易な構造とすることができるため、緩衝体53を容易に形成することが可能となる。

次に、図6を参照して、実施例3に係る複合材構造61について説明する。図6は、実施例3に係る複合材構造の外観斜視図である。なお、実施例3でも、実施例1と重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分についてのみ説明し、実施例1と同様のものについては、同じ符号を付して説明する。実施例3では、一対の構造体25が対向する荷重方向に直交する方向において、第2複合部材22及び緩衝体23が、所定の間隔を空けて複数に分割されている。

図6に示すように、複合材構造61は、PAN系CFRPを用いて構成される第1複合部材21と、ピッチ系CFRPを用いて構成される第2複合部材22と、第1複合部材21と第2複合部材22との間に設けられる緩衝体23とを備えている。この複合材構造61は、外力が与えられると、第1複合部材21に生じる荷重方向は、一対の構造体25が対向する方向が一方の荷重方向となり、一方の荷重方向に直交する方向が他方の荷重方向となる。つまり、第2複合部材22に対向する第1複合部材21の対向面において、第1複合部材21は、直交する2つの荷重方向に変形する。なお、図6に示す複合材構造61を、図1のヒートシールド10に適用する場合、一対の構造体25が対向する一方の荷重方向は、円筒形状のナセル12の軸方向となり、一方の荷重方向に直交する他方の荷重方向は、円筒形状のナセル12の周方向となる。なお、第1複合部材21は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。

第2複合部材22は、一方の荷重方向における長さが長く、他方の荷重方向における長さが短い板状に形成されている。第2複合部材22は、他方の荷重方向に沿って、所定の間隔を空けて複数並べて設けられている。このとき、隣接する第2複合部材22同士の間隔は、変形時において物理的な干渉が生じない間隔となっている。また、第2複合部材22は、実施例1と同様に、一方の荷重方向の両端部が、隣接する両側の構造体25に対し、所定の隙間を空けてそれぞれ対向して設けられている。

緩衝体23は、第1複合部材21と複数の第2複合部材22との間にそれぞれ設けられている。このため、緩衝体23は、複数の第2複合部材22に応じて複数設けられることから、複数の緩衝体23は、複数の第2複合部材22と同様に、他方の荷重方向に沿って、所定の間隔を空けて複数並べて設けられる。また、緩衝体23は、実施例1と同様に、第1複合部材21及び第2複合部材22よりも低剛性に形成される。緩衝体23は、山部23aと谷部23bとが一方の荷重方向に交互に隣接する波板部材となっている。このため、緩衝体23は、一方の荷重方向における変形が、他方の荷重方向における変形に比して、変形し易いものとなっている。

このため、第1複合部材21は、外力が与えられると、一方の荷重方向と他方の荷重方向とに変形する。このとき、第2複合部材22及び緩衝体23は、一対の構造体25との間にそれぞれ所定の隙間を設けていることから、一方の荷重方向において、各第2複合部材22には、第1複合部材21から一対の構造体25を介して荷重が与えられない。また、第2複合部材22及び緩衝体23は、隣接する他の第2複合部材22及び緩衝体23との間にそれぞれ所定の間隔を空けていることから、他方の荷重方向において、各第2複合部材22には、第1複合部材21から与えられる荷重を小さいものとすることができる。

以上のように、実施例3によれば、一方の荷重方向に直交する他方の荷重方向に第1複合部材21が変形する場合であっても、他方の荷重方向に第2複合部材22及び緩衝体23を分割することで、第1複合部材21の変形に追従して第2複合部材22が変形することを抑制することができる。

なお、実施例1から3では、各複合部材21,21及び緩衝体23,53をプリプレグにより形成する方法を説明したが、これに限らず、ドライクロスに樹脂を注入する方法、または不織布にした樹脂と炭素繊維を合わせて積層硬化する方法等により成形してもよい。

1 複合材構造 10 ヒートシールド 11 ガスタービンエンジン 12 ナセル 15 伝熱部材 16 連結部材 21 第1複合部材 22 第2複合部材 23 緩衝体 24 発熱体 25 構造体 51 複合材構造(実施例2) 53 緩衝体(実施例2) 61 複合材構造(実施例3)

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