客室照明方法

申请号 JP2014519904 申请日 2013-05-20 公开(公告)号 JP6070703B2 公开(公告)日 2017-02-01
申请人 コニカミノルタ株式会社; 发明人 岩垣 賢; 與賀田 こずえ; 浅井 知成; 友野 賢史; 好井 康祐;
摘要
权利要求

旅客移動体の客室内の窓パネル部に具備した照明装置による客室照明方法であって、該旅客移動体の窓の外の画像情報を疑似化して、当該疑似化された画像情報を基にして該照明装置を発光させることを特徴とする客室照明方法。前記旅客移動体が、航空機であることを特徴とする請求項1に記載の客室照明方法。前記窓の外の画像情報が、前記旅客移動体に設置されたセンサー部又はカメラ部によって取得され、取得された該画像情報が画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の客室照明方法。前記窓の外の画像情報が、前記旅客移動体の位置情報、時間情報及び天候情報に基づいて解析され、解析された該画像情報に基づいて画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の客室照明方法。前記窓パネル部に具備した照明装置が、複数のブロックに分割して配置された照明部材により構成され、該照明部材が有機エレクトロルミネッセンス素子パネルであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の客室照明方法。前記旅客移動体の窓の外の画像情報を疑似化する工程が、下記1)〜3)の工程を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の客室照明方法。 1)センサー部又はカメラ部により、旅客移動体外部の画像情報を取得する工程、 2)取得した前記画像情報を分割処理する工程、 3)分割した画像部分の代表色を決定する工程。前記有機エレクトロルミネッセンス素子パネルは、非発光状態における波長550nmの光透過率Tが、65%以上であることを特徴とする請求項5に記載の客室照明方法。前記有機エレクトロルミネッセンス素子パネルは、調色可能であることを特徴とする請求項5又は請求項7に記載の客室照明方法。

说明书全文

本発明は、旅客移動体の客室内部に装備した照明装置による客室照明方法に関し、特には、航空機の客室内部の窓パネル部に有機エレクトロルミネッセンス素子パネルを照明部材として装備した照明装置を用い、室内の閉塞感を解消した客室照明方法に関する。

旅客が旅客移動体により移動する場合、通常は狭い移動空間内に長時間にわたり留まることになり、かなりの窮屈を強いられることになる。とりわけ、旅客移動体が航空機である場合には、構造上、窓は小さく設定されているため、これにより受ける閉塞感は大きく、加えて、飛行時間が長くなると、限られたスペースで、一定の姿勢で長時間拘束を受けることになるため、その蓄積するストレスも大きなものとなる。ファーストクラス等の上級クラスでは、ゆとりのあるスペースの座席を確保され、間隔をあけて設置するなどして快適性という観点での向上はある程度図られているが、強い閉塞感を感じる点では、エコノミークラスの客室と同様の環境である。

近年、旅客移動体内での閉塞感を改善し、快適性を高める提案がされている。例えば、エアバス社では、2011年6月14日に、透明な機体の向こう側に広がる夜空を眺めながら、上空1万メートルの旅を楽しむとのコンセプトで、2050年代における旅客機内のイメージを描いた「コンセプト・キャビン」を発表している。そこで提案されたデザインによると、機体の構造は、鳥類の骨格を参考にして強化すると共に、キャビンを従来の小さい窓に代えて、全面を透明な材料で構成することにより、パノラマビューを楽しむものである。確かに、このような仕様とすることにより、開放感が与えられ、閉塞感は解消されるが、全面を透明部材で構成することで、機体の強度を維持する観点から、構成材料が増加し、機体の重さが増加することになる。加えて、機体自身がスケルトン状態で機体周辺の景色を見ることになるため、1万メートルを超える高度を飛行する際、高所が苦手な一部の乗客では、開放感というよりも恐怖感を受ける結果となる。

また、2012年3月27日〜29日にわたり、ドイツのハンブルグで開催された「Aircraft Interiors EXPO 2012」において、BDLI(ドイツ航空機産業協会)のブースでは、機内の側面部に多機能ディスプレイを設置して、外部の実画像を、ディスプレイの全面に表示する方法が示されている。

しかしながら、このような多機能ディスプレイを設置する方法では、ディスプレイ自身がかなりの重さを有しており、そのことが航空機全体の質量の増加をもたらすことになり、安定した飛行に対し、大きな負荷を与えることになり、消費燃料の増大等を招く結果となり、環境上好ましくない。また、機外の画像をそのまま旅客に提供することによる上記のような恐怖感といった悪影響にも対応する必要がある。

また、特許文献1には、有機エレクトロルミネッセンス照明パネルを、航空機の客室の天井部に、機体の軸線に平行な方向に配置して客室内の照明を行う方法が開示されている。特許文献1に記載の方法は、従来、客室照明として用いられていた蛍光灯照明やLED照明に代えて、軽量で消費電が低く、かつ客室の安全性(低発火性等)が高い有機エレクトロルミネッセンスパネルを照明装置として搭載することにより、航空機として高い安全性を確保すると共に、航空機の軽量化と省電力化を達成するものである。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、あくまでも、従来の照明部材に代わる照明部材であり、本発明が目的とする狭い客室内での閉塞感を解消するものではない。

特開2011−140264号公報

本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、旅客移動体の客室内における閉塞感や圧迫感を解消し、快適な旅客移動空間を実現する客室照明方法を提供することである。

本発明者は、上記問題に鑑み鋭意検討を進めた結果、旅客移動体の客室内の窓パネル部に照明装置を具備し、移動している旅客移動体の窓の外の景色等の画像情報を疑似化(非映像化)して、得られた外部の画像情報を基にして、窓パネルに装備した照明装置を所定の条件で発光させて客室内を照明することにより、擬似画像として窓の外の風景に近似した照明を得ることにより、狭い客室空間における閉塞感や圧迫感を解消し、快適で開放的な客室空間を実現することができたものである。

すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。

1.旅客移動体の客室内の窓パネル部に具備した照明装置による客室照明方法であって、該旅客移動体の窓の外の画像情報を疑似化して、当該疑似化された画像情報を基にして該照明装置を発光させることを特徴とする客室照明方法。

2.前記旅客移動体が、航空機であることを特徴とする第1項に記載の客室照明方法。

3.前記窓の外の画像情報が、前記旅客移動体に設置されたセンサー部又はカメラ部によって取得され、取得された該画像情報が画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させることを特徴とする第1項又は第2項に記載の客室照明方法。

4.前記窓の外の画像情報が、前記旅客移動体の位置情報、時間情報及び天候情報に基づいて解析され、解析された該画像情報に基づいて画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させることを特徴とする第1項又は第2項に記載の客室照明方法。

5.前記窓パネル部に具備した照明装置が、複数のブロックに分割して配置された照明部材により構成され、該照明部材が有機エレクトロルミネッセンス素子パネルであることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の客室照明方法。

6.前記旅客移動体の窓の外の画像情報を疑似化する工程が、下記1)〜3)の工程を有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の客室照明方法。 1)センサー部又はカメラ部により、旅客移動体外部の画像情報を取得する工程、 2)取得した前記画像情報を分割処理する工程、 3)分割した画像部分の代表色を決定する工程。

7.前記有機エレクトロルミネッセンス素子パネルは、非発光状態における波長550nmの光透過率Tが、65%以上であることを特徴とする第5項に記載の客室照明方法。

8.前記有機エレクトロルミネッセンス素子パネルは、調色可能であることを特徴とする第5項又は第7項に記載の客室照明方法。

本発明の上記手段により、旅客移動体の客室内における閉塞感や圧迫感を解消し、快適な旅客移動空間を実現する室内照明方法及びそれに用いる有機エレクトロルミネッセンス素子パネルを提供することができる。

本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができたのは、以下の理由によるものと推測している。

従来、旅客移動体、代表的には航空機の客室内は、その大部分は強度を確保するという観点から、不透明の軽量機材、例えばジュラルミン等で構成され、唯一、機体外部の風景等を観察できる手段は、最小限の面積で設けられた極めて小さな窓のみである。

このような閉鎖された空間で長時間過ごすことは、閉塞感や圧迫感を受け、ストレスが蓄積される要因となっている。上記課題に対し、例えば、前述のように、窓パネル部に画像表示パネルを装着し、該画像表示パネルに外部情報を実映像として表示することにより、閉塞感を解消する試みが成されているが、外部映像がそのまま表示されるため、高度を飛行している際の恐怖感を、リアルに乗客に与える結果となっている。

本発明では、上記問題を解決し、狭い客室空間で閉塞感を解消する方法について鋭意検討を行った結果、旅客移動体の客室の窓パネルに、具体的には、複数のブロックに分割した照明部材、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子パネル(以下、有機EL素子パネルと称す。)を配置し、旅客移動体に設置されたセンサー部又はカメラ部によって取得した画像情報、あるいは旅客移動体の位置情報、時間情報及び天候情報に基づいて解析された画像情報を基にして、画像処理部で発光条件を疑似化し、実際の画像ではなく、飛翔している旅客移動体の外部に近い擬似化された画像として、個々の照明部材を特定の発光条件で発光させて、機内を照明することにより、閉鎖された空間における閉塞感から開放し、明るくゆとりある客室環境を提供することができたものである。

旅客移動体である航空機の従来の客室内部の構成の一例を示す概略図

航空機の客室内部の窓パネル部に、実画像を表示する画像表示装置を装備した比較例の照明方法の一例を示す概略図

窓パネル部に、分割された照明部材を具備し、擬似化された情報により発光する本発明の客室照明方法の一例を示す概略図

窓パネル部に、分割された照明部材を具備し、擬似化された情報により発光する本発明の客室照明方法の他の一例を示す概略図

窓パネル部及び窓に、光透過性の高い分割された照明部材を具備し、擬似化された情報により発光する本発明の客室照明方法の一例を示す概略図

外部情報の画像処理、擬似化及び照明部材の発光条件の制御方法の一例を示すフロー図

本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子パネルの構成の一例を示す概略断面図

本発明の客室照明方法(以下、室内照明方法ともいう。)は、旅客移動体の客室内の窓パネル部に具備した照明装置による客室照明方法であって、該旅客移動体の窓の外の画像情報を疑似化して、当該疑似化された画像情報を基にして該照明装置を発光させることを特徴とし、旅客移動体の客室内における閉塞感や圧迫感を解消し、快適な旅客移動空間を実現する客室照明方法を実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項8に係る発明に共通する技術的特徴である。

本発明の実施態様としては、本発明の目的効果をより発現させることができる観点から、前記旅客移動体が、航空機であることが好ましい。

また、客室内の照明条件を決定する方法の一つとして、窓の外の画像情報が、前記旅客移動体に設置されたセンサー部又はカメラ部によって取得され、取得された該画像情報が画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させることが好ましい。また、他の方法としては、窓の外の画像情報が、前記旅客移動体の位置情報、時間情報及び天候情報に基づいて解析され、解析された該画像情報に基づいて画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させることが好ましい。

また、窓パネル部に具備した照明装置が、複数のブロックに分割して配置された照明部材により構成され、該照明部材が有機エレクトロルミネッセンス素子パネルであることが好ましい態様である。

また、前記旅客移動体の窓の外の画像情報を疑似化する工程が、1)センサー部又はカメラ部により、旅客移動体外部の画像情報を取得する工程、2)取得した前記画像情報を分割処理する工程、3)分割した画像部分の代表色を決定する工程から構成されていることが好ましい。

さらには、有機エレクトロルミネッセンス素子パネルが、非発光状態における波長550nmの光透過率Tが、65%以上であることが好ましい。また、有機エレクトロルミネッセンス素子パネルとしては、調色可能であることが好ましい。

以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について、図を交えて詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。

《客室照明方法》 図1は、旅客移動体である航空機の現行の客室内部の構成の一例を示す概略図である。

図1に示すように、従来の航空機の客室1の内部は、座席シート4の一方の壁面側の全面には、窓パネル部2が配置され、その一部に、小さな窓3が設けられている。

図1に示す窓パネル部は、光不透過性の材料で構成された壁構造であり、当然のことながら、外部情報(風景等)を得ることができず、外界の状況を把握する手段は、極めて小さな窓3のみであり、窓側の乗客や内部側に位置している乗客は、狭い閉鎖された空間で長時間過ごすことになり、強い閉塞感を感じることになる。

上記課題に対し、図2に示すような航空機の客室内部に画像表示装置を設ける方法が知られている。

図2は、航空機の客室内部の窓パネル部に、実画像を表示する画像表示装置を装備した比較例の照明方法の一例を示す概略図である。

図2に記載の方法では、旅客移動体である航空機の機体の真下や尾翼の先に設置された外部カメラの映像を、客室1の窓パネル部に設置した画像表示部材5、例えば、液晶表示装置等のモニターに映写し、壁全体を窓3と同じ環境にして、機体構造が擬似スケルトン状態とすることにより、機内での閉塞感を解消しようとするものである。しかしながら、この方法では、実画像が窓パネル部の全面に映写されるため、高度を飛行している際には、開放感ではなく、むしろ恐怖感を与える結果となる。更に、窓パネルの全面に画像表示部材5を配置させるため、その重さにより、機体全体の質量に影響を与えることになり、巡航時の経済性の低下を招く結果となる。

上記課題に対し、本発明の客室照明方法は、旅客移動体の客室内の窓パネル部に具備した照明装置による客室照明方法であって、該旅客移動体の窓の外の画像情報を実画像ではなく、疑似化して、当該疑似化された画像情報を基にして該照明装置を発光させることを特徴とする。本発明でいう旅客移動体とは、大人数の旅客を運ぶ手段をいい、例えば、航空機、旅客列車、大型バス、船舶、あるいはエレベータ等の密閉された空間を有する移動手段であり、好ましくは、航空機である。以下、航空機を代表例として、本発明の客室照明方法を説明する。

図3は、窓パネル部に、分割された照明部材を具備し、擬似化された情報により発光する本発明の客室照明方法の一例を示した概略図である。また、図4は、図3に示す分割された照明部材6Aを、よりサイズの大きい照明部材6Bを配置した例を示す概略図である。

図3及び図4においては、客室1の窓パネル部に、照明部材6A、例えば、有機EL素子パネルを複数のブロックに分割して配置している。旅客移動体に設置されたカメラ情報や、色彩・照度センサーからの情報、過去のフライト記録情報、あるいはコックピットに設置した各種測定機器より入手した航空機の位置情報、時間情報及び天候情報等に基づいて、機体の外部環境の解析を行った後、一定の条件に従って擬似化したのち、擬似化された情報に基づいて、客室1の窓パネル部に配置した有機EL素子パネル6A又は6Bを発光させて、客室内を照明する。このとき、窓パネル部に配置した有機EL素子パネル6A又は6Bにおいて、それぞれが画像ではなく、フラットな単色発光を行うため、図2に示すような実画像を表示するものではないため、閉塞感を解消すると共に、不要な恐怖感を与えることがなく、快適な空間を提供することができる。

本発明の客室照明方法において、窓パネル部に配置した有機EL素子パネル6A又は6Bに擬似化した条件で照明する方法としては、請求項3に係る発明である前記窓の外の画像情報が、前記旅客移動体に設置されたセンサー部又はカメラ部によって取得され、取得された該画像情報が画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させる室内照明方法、あるいは、請求項4に係る前記窓の外の画像情報が、前記旅客移動体の位置情報、時間情報及び天候情報に基づいて解析され、解析された該画像情報が画像処理部によって疑似化され、疑似化された画像情報の色度、明度及び彩度の情報により、窓パネル部に具備した照明装置を発光させる室内照明方法が好ましい。

図6に、外部情報の画像処理と擬似化及び擬似化された情報に基づき、照明部材の発光条件の制御方法の一例を、フロー図を用いて説明する。

旅客移動体の機体に設置されたセンサー部又はカメラ部21で撮影した画像情報、あるいはコックピット22に設置してある各種計器類による航空機の位置情報、時間情報及び天候情報に基づいて解析された情報、あるいは記録部24に保管されている過去のフライト情報を基にして、色度、明度及び彩度に関する情報解析を行い、その解析結果に基づいて、画像処理部23で擬似化処理を行い、画像制御部25で機外の画像情報に適合した発光条件(色度、明度及び彩度)で、窓パネル部2に配置されている複数個の発光部材である有機EL素子パネル6を、最適の条件で発光させる、このとき、各有機EL素子パネル6の発光条件は、それぞれ独立に制御されており、機外の情報に従って、発光量や発光時の色相を最適条件に制御されている。また、発光部材(有機EL素子パネル)6で発光する際には、客室内の主照明装置と連動し、機内照明制御部26により、機内全体の照明量を適宜調整することが好ましい。

本発明でいう窓パネル部2とは、窓3を含む周辺の内壁部分がユニット化された窓パネルユニットをいい、その窓パネル部2の表面に、照明部材を具備したものである。窓パネル部において、照明部材を配置させる範囲としては、下部は旅客の足元、あるいは腰部から、上部は手荷物収納部に至る端までの範囲が好ましく、旅客移動体の窓として開放感が得られる領域であることが好ましい。

窓パネルユニットの表面に具備された窓パネル照明部は、窓パネルユニットごとに1枚の照明で形成されることが好ましいが、図3あるいは図4に示すように、窓パネルユニット上に複数のブロックに分割されて独立に駆動される発光装置としたものがより好ましい。

窓パネルユニット上に複数のブロックとして設置される発光部材としては、薄くて、軽くて、可撓性があって、発熱の少ない有機EL素子パネルであることが好ましい。更には、非発光状態(消灯時)における波長550nmの光透過率Tが、65%以上の高い光透過性を備えた透明型の有機EL素子パネルであることが特に好ましい。透明型の有機EL素子パネルであることによって、窓パネル照明部が作動していない時は、機内の窓パネルユニット内壁材の色や模様や質感を表すことができる。

また、図5に示すように窓部3にも、透明型の有機EL素子パネル6Dを適用する場合は、窓パネルの具備した照明部材が作動していない時は、高い透過性を有しているため、通常通りに窓の外の景色を楽しむこともできる。

本発明の客室照明方法においては、窓パネル部に装備された照明部材(有機EL素子パネル)は、解析情報に基づいて疑似化された照明条件で発光する。本発明でいう疑似化とは、下記の手順で画像処理されることが好ましい。

1)センサー部又はカメラ部21等で取得した機外の画像情報に基づいて、天空部から地表部(または海面部)まで、複数部位に分割処理を行う。

2)分割された各情報部分の代表色を決定する。

3)各情報部分に相当する代表色で、窓パネル部に配置した各照明部材6の平方向が、図3〜図5で示すように、同じ発光条件となるように表示する。

4)窓パネル部2を構成する各照明部材6の天空部から地表部(または海面部)までの色表示は、グラデーションを持って形成させて、連続的な色の変化になるように調整する。

疑似化された画像情報をもとに、窓パネル部に設置された照明部材が発光する。照明部材は、窓パネル部上で、複数のブロックに分割されて配置され、個々の照明部材6の面積は、10〜1000cm2の範囲内であることが好ましく、特に、100〜400cm2の範囲内であることが更に好ましい。

個々の照明部材6の形状としては、特に制限はないが、窓パネル部を隙間なく埋めることができる形状が好ましく、多形(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形)の単独、あるいは異なる多角形の組合せがより好ましい。特に正方形、矩形、およびそれらの組合せが特に好ましい。

照明部材6の発光としては、窓パネル部2上でグラデーションを形成させることが好ましい。例えば、日中の窓の外の画像情報を疑似化した具体例としては、窓パネルの上部は青空を表示し、下部に向かって青色を薄くしていき、中間部分は雲をイメージした白色表示とし、下部に向かって海の青さを次第に濃くしていくような態様である。

また、夕方の窓の外の画像情報を疑似化した具体例としては、窓パネルの上部は青空を表示し、下部に向かって青色を薄くすると同時に夕焼けのオレンジ色を加えて濃くしていき、中間部分の雲は夕日をあびて輝くオレンジ色表示とし、下部に向かって海の青さに夕闇の暗さを加えて、次第に黒くしていく態様である。また、早朝から日中へ、あるいは日中から夕方への、搭乗時間帯における発光の変化は、連続的かつ緩やかに実行されることが好ましい。

窓パネルの水平方向は、同じ発光に揃えて、水平方向の広さ、雄大さを表現することが好ましい。

また、疑似化された窓の外の画像情報は、窓パネル部に具備した照明部材の発光パターンとして再現される。図3及び図4に示すような本発明の客室照明方法においては、窓パネル部に配置した有機EL素子パネル6A又は6Bに擬似化した条件で照明する方法としては、客室内から見た窓の外の画像情報が、座席に着席している客の目線によるものであるように疑似化されて表示する方法が好ましい。したがって、座席に着席している旅客の目線で窓の外を見た場合の水平線あるいは雲海線が、窓パネル部上の照明部材によって形成される発光パターンの水平線あるいは雲海線と一致するように発光させることが好ましい。

本発明においては、図5に示すように、窓パネル部2の照明部材6は、窓(ガラス)部まで含んで設置されていても良い。この場合、照明部材としては、前述のように透明性が高い有機EL素子パネル(有機EL素子の詳細については後述する。)ことが好ましい。すなわち、照明装置がOFFの場合は、有機EL素子パネル自身が透明なので、窓の外の景色を楽しむことが出来る。窓(ガラス)部まで含んで発光する場合は、窓パネル全体が発光して、客室の窓側全体が疑似化された窓の外の画像を表現するので、開放感のある快適な空間を得ることが出来る。

なお、本発明の室内照明方法は、航空機の離発着時には、照明部材をOFFとすることが、安全運行上好ましい。

《有機エレクトロルミネッセンス素子パネル》 (有機EL素子パネルの構成) 本発明に係る有機EL素子パネルは、非発光状態において、波長550nmにおける光透過率TCが、65%以上であることが好ましい。

本発明でいう光透過率TCとは、波長極大が550nmの光で測定したときの透過率をいう。光透過率TCは通常の分光光度計(例えば、日立製作所製U−3300など)を用いて容易に測定することができる。

本発明に係る有機EL素子パネルの非発光状態での光透過率とは、有機EL素子パネルを構成する基板、一対の面電極、有機発光層を含む有機機能層、封止層全体の波長550nmにおける光透過率を意味しており、それを実現するためには、これらの各構成要素の光透過率が高いこと、とりわけ通常では低い光透過性である面電極をより高い光透過性で設計すること、すなわち陽極、陰極、必要に応じて設けられる中間電極のすべてが、光透過率が高いことが、本発明で規定する光透過率TCを実現する上では重要な要件となってくる。加えて、有機発光層などの有機機能層を積層するに際し、光透過率が高くなるように工夫することも好ましい。

有機EL素子パネルを構成する基板及び封止層としては、ガラス、石英、プラスチックフィルムのように、光透過率が高いものを用いることが好ましい。有機EL素子パネルの各構成部材の光透過性を高めることによって、光透過率TCを65%以上とすることが可能となるが、更には、光透過率TCを70〜90%の範囲内に設計することが好ましい。

また、本発明に係る有機EL素子パネルは、調色可能であることによって、疑似化された機外の景色の色を再現することができることが好ましい態様である。

本発明でいう調色可能とは、センサー部又はカメラ部21等で取得した機外の画像情報を擬似化し、その擬似化した情報に従って有機EL素子パネルを発光する際に、任意の色で発光させることが可能であり、光の三原色の他に、各種中間色で発光可能であることを意味する。上記条件を実現する有機EL素子パネルは、白色発光性を備えたパネルで、発光性化合物として、青色発光性化合物、緑色発光性化合物及び赤色発光性化合物を含有する発光層を有する有機EL素子パネルであることが好ましい。

有機EL素子パネルの調色を可能とするための具体的な手段は公知であり、それらを適用することができる。

例えば、 1)有機EL素子パネルが面方向に2次元配列された異なる発光色の画素を有し、それらの画素の発光条件をコントロールして、パネルの発光色を調色する方法、 2)2つ以上の異なる発光色の発光層を積層しておいて、電流や電圧の駆動を調整することによって発光中心を移動させて、発光色をコントロールする方法、 3)2つ以上の異なる発光色の発光層を積層しておいて、該発光層の中間に、エレクトロクロミック素子、フォトクロミック素子及びサーモクロミック素子を設けて調整し、発光色をコントロールする方法、 4)2つ以上の異なる発光色の発光層を有する発光ユニットを複数ユニット分積層しておいて、該発光ユニット間に中間電極を設け、該発光ユニットごとに駆動して、発光色をコントロールする方法、 5)光透過率の高い2以上の有機エレクトロルミネッセンス素子パネルを重ねて設置し、パネル毎に発光駆動を調整して発光色をコントロールする方法、 などが挙げられ、これらの方法を単独、あるいは適宜組み合わせることができる。

有機EL素子パネルの主な構成は、基板上に対となる面電極(陽極、陰極)を有し、該面電極間に有機発光層を含む有機機能層を有してなり、有機機能層としては通常、陽極側から、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などがあるが、用いる材料の特性に応じて複合層として層数を減らしてもよいし、さらに新たな機能層を追加しても良い。有機EL素子パネルの構成については、「有機ELハンドブック」(監修:筒井哲夫;リアライズ理工センター出版)などが参照される。

図7は、本発明に係る有機EL素子パネルの構成の一例を示す概略断面図である。

図7において、有機EL素子パネル6は、光透過性を有するプラスチックフィルムやガラスで構成されている支持基板11上に、例えば、陽極として透明電極12が設けられ、その上に有機機能層ユニットCが形成されている。有機機能層ユニットCは、有機発光層14の他に、例えば、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層等の有機機能層13、15から構成されている。この有機機能層ユニットC上に、例えば、陰極として透明電極16が設けられ、最後に最表層として封止部材(封止層)が設けられている。

従来の有機EL素子パネルにおいては、陽極として構成される透明電極12としては、例えば、ある程度の光透過性を有するインジウム−スズの複合酸化物(以下、ITOと略記。)が用いられていた。一方、陰極である透明電極16としては、アルミニウム等の金属蒸着膜が用いられているが、これらの陰極材料は、光透過性が乏しく、このような構成の有機EL素子パネルでは、光透過率が60%以下であり、図柄発光表示装置に適用する有機EL素子パネルの構成部材として好ましくなかった。

本発明では、図7に示す透明電極12または透明電極16のいずれか一方、好ましくは両方の透明電極を、光透過性にきわめて優れた部材、より詳しくは、厚さが4.0〜10nmの範囲内にある薄膜銀電極で構成することにより、波長550nmにおける光透過率TCが、65%以上となる有機EL素子パネルを実現することができ、客室内の照明部材への適用を可能としたものである。

なお、図7で示した有機EL素子パネルの層構造は単に好ましい具体例を示したものであり、本発明はこれらに限定されない。例えば、本発明に係る有機EL素子パネルの構成としては、下記(i)〜(v)の層構造を有していてもよい。

(i)支持基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極/封止用接着剤/封止部材 (ii)支持基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極/封止用接着剤/封止部材 (iii)支持基板/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極/封止用接着剤/封止部材 (iv)支持基板/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極/封止用接着剤/封止部材 (v)支持基板/陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極/封止用接着剤/封止部材 〔有機EL素子パネルの有機機能層〕 次いで、本発明に係る有機EL素子パネルの各構成部材について説明する。

(1)注入層:正孔注入層、電子注入層 本発明に係る有機EL素子パネルにおいては、注入層は必要に応じて設けることができる。注入層としては電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。

本発明でいう注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機機能層間に設けられる層で、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細が記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。

正孔注入層としては、例えば、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に適用可能な正孔注入材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体等を含むポリマーやアニリン系共重合体、ポリアリールアルカン誘導体、または導電性ポリマーが挙げられ、好ましくはポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体であり、さらに好ましくはポリチオフェン誘導体である。

本発明に係る有機EL素子パネルにおいては、電子注入層は、設けても、あるいは設けなくても、いずれであっても構わない。本発明で適用可能な電子注入層としては、例えば、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。本発明においては、上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムが好ましい。その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲内であり、好ましくは0.1〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは0.5〜10nmの範囲内であり、最も好ましくは0.5〜4nmの範囲内である。

(2)正孔輸送層 本発明に係る正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、上記正孔注入層で適用するのと同様の化合物を使用することができるが、さらには、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。

本発明において、正孔輸送層は、湿式塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法等)を用いて、塗布、乾燥することにより形成することができる。また、その他の正孔輸送層の形成方法としては、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。

(3)電子輸送層 本発明に係る電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔ブロック層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層で用いてもよいし、複数層設けることもできる。例えば、正孔ブロック層/電子輸送層の組み合わせとして用いることができる。

電子輸送層は、単層、あるいは複数層とする場合は、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔ブロック材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、シロール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体等が挙げられる。

(4)発光層 本発明に係る有機EL素子パネルを構成する発光層は、電極または電子輸送層および正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。

発光層は、主にドーパント化合物とホスト化合物とが含有されて構成されている。本発明に係る発光層を形成する材料は、低分子量有機化合物であることを特徴としており、本発明でいう低分子量化合物とは、分子量が1500以下の化合物であると定義する。

以下、ホスト化合物及びドーパント化合物についてそれぞれ説明する。

〈4.1〉ホスト化合物 本発明に係る有機EL素子パネルの発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、非発光性有機材料にはホスト化合物を含んでいてもよい。

公知のホスト化合物と、後述する発光材料とを、複数種用いることにより異なる発光色を得ることが可能となり、これらを混合することにより、任意の発光色、例えば、白色発光等を表現することができる。

公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。

〈4.2〉発光材料 本発明に係る発光材料(発光ドーパント)としては、蛍光性化合物、リン光発光材料(リン光性化合物、リン光発光性化合物、リン光性ドーパント化合物等ともいう。)を用いることができるが、リン光性ドーパント化合物であることが好ましい。

リン光発光材料は、有機EL素子パネルの発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。

(5)透明電極 本発明に係る有機EL素子パネルにおいては、光透過率TCを65%以上とするには、光透過率の高い面電極(透明電極)を適用することが重要である。光透過性の高い面電極としては、一般に透明電極として知られているものを利用できる。例えば、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの金属酸化物電極、例えばポリチオフェン、ポリアニリンなどの導電性ポリマー電極、あるいは銀薄膜、銅薄膜など金属薄膜電極などがあり、1つの透明電極の光透過率TCとして、好ましくは80%以上となるように設計することによって達成できる。

一方で、透明電極には高い導電性が求められる。従来の透明電極の中には、光透過率を高めるために薄く形成すると、導電性が不足してしまうものが多い。本発明においては、高い光透過率を有し、かつ高い導電性を両立できる透明電極として、以下に説明する薄膜銀電極を用いることが好ましい。

本発明に係る透明電極は、表面比抵抗値としては、0.3〜200Ω/□の範囲内であることが好ましく、0.5〜100Ω/□の範囲内であることが更に好ましく、1〜50Ω/□の範囲内であることが特に好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。

〈薄膜銀電極〉 薄膜銀電極は、銀または銀を主成分とした合金を用いて構成された層である。このような薄膜銀電極層の成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。また必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。

薄膜銀電極層を構成する銀(Ag)を主成分とする合金は、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)などが挙げられる。これら、銀または銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。

さらにこの薄膜銀電極層は、膜厚が4〜10nmの範囲内にあることによって光透過率が高く、導電性も確保できるので、有機EL素子パネルに有効に適用することが出来る。本発明では特に、4〜9nmの範囲内にあることが好ましい。膜厚が10nm以下であれば、光の吸収または反射を抑制することができ、透明電極としての所望の透過率を得ることができる。また、膜厚が4nm以上であれば、十分な導電性を得ることができると共に、連続的な薄膜の安定した形成が可能となる。本発明においては、有機EL素子パネルの面電極、すなわち陽極、陰極、必要に応じて設けられる中間電極の少なくとも1つが、薄膜銀電極であることが好ましく、すべての電極が薄膜銀電極であることがより好ましい。

前記薄膜銀電極層は、窒素原子を含んだ化合物を有する下地層の上に、銀または銀を主成分とした合金を、前記の方法で形成することが好ましい。電極層を構成する銀原子が下地層を構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の下地層表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の電極層が得られるようになる。この結果、より薄い膜厚として高い光透過率を保ちつつも、導電性が確保された透明電極とすることができる。

(6)支持基板 本発明に係る有機EL素子パネルに用いることのできる支持基板としては、ガラス、プラスチック等の透明な支持基板を用いる。用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができる。

樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)あるいはアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。

本発明の客室照明方法は、旅客移動体の客室内における閉塞感や圧迫感を解消する客室照明方法として、利用することができる。

1 客室 2 窓パネル部 3 窓 4 座席シート 5 画像表示部材 6、6A、6B、6C、6D 発光部材(有機EL素子パネル) 11 支持基板 12 透明電極(陽極) 13、15 有機機能層 14 有機発光層 16 透明電極(陰極) 17 封止部材 21 センサー部又はカメラ部 22 コックピット 23 画像処理部 24 記録部 25 画像制御部 26 機内照明制御部

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