移動ユニット

申请号 JP2013140367 申请日 2013-07-04 公开(公告)号 JP5995795B2 公开(公告)日 2016-09-21
申请人 THK株式会社; 发明人 望月 廣昭; 保坂 栄二; 栗林 宏臣; 金子 彰斗;
摘要
权利要求

固定部に対して互いに平行に敷設される一対の案内軌道と、各案内軌道に対して少なくとも2基以上組み付けられると共に当該案内軌道に沿って移動自在な複数の移動ブロックと、これら移動ブロックに固定されて前記固定部上を移動自在な可動体と、を備え、 各案内軌道は長手方向に沿って案内面が形成された複数の軌道レールをその端部同士を接続して直列に配置して設けられる一方、前記移動ブロックは直列に配置された複数の軌道レールの継ぎ部隙間を通過しながら前記案内面を走行する接触子を有し、 前記一対の案内軌道に含まれる複数の継ぎ部隙間に関し、いずれか1カ所の継ぎ部隙間上に前記移動ブロックが位置している際に、他の継ぎ部隙間上には前記移動ブロックが位置していないことを特徴とする移動ユニット。各軌道レール同士の継ぎ目隙間には前記接触子の直径よりも大きな隙間が形成されていることを特徴とする請求項1記載の移動ユニット。各軌道レールには長手方向に沿って所定の間隔で複数の固定孔が配列される一方、 前記可動体には前記案内軌道に対する前記可動体の移動を拘束する位置固定部材が設けられ、かかる位置固定部材は前記軌道レールのいずれかの固定孔に抜き差し自在な係止ピンを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の移動ユニット。

说明书全文

本発明は、固定部に対して互いに平行に敷設された一対の案内軌道に沿って各種ユニットやテーブル等の可動体を自在に案内する移動ユニットに関する。

従来、この種の移動ユニットはWO2005/031082に開示されている。同公報に開示される移動ユニットは建物の壁面上にて家具や電化製品等を自在に移動させる用途に用いられており、壁面上に互いに平行に敷設されると共に長手方向に沿って転動体の転走面が形成された一対の軌道レールと、これら軌道レールの転走面上を転動する多数の転動体を介して当該軌道レールに組み付けられた複数の移動ブロックと、前記移動ブロックに固定されて前記壁面上を軌道レールに沿って案内される可動体とを備えている。前記可動体は、テレビなどの電化製品や家具を固定するためのベースプレートであっても良いし、電化製品の筐体そのものであってもよく、前記移動ユニットによれば、かかる可動体を壁面上で自在に移動させることが可能である。

また、この種の移動ユニットの使用例としては、航空機、船舶又は列車の客室内等のような広い空間内において、各種装置やインテリア等を当該空間内の任意の位置に移動させて配置する用途が考えられる。例えば、航空機の客室内においては、個々の座席に対応してサービスユニットが設けられており、このサービスユニットには酸素マスク等の防災具が収納される他、座席番号表示や読書灯等の機器類が装着されている。このサービスユニットを客室内の天井面に沿って移動させ、任意の位置に固定することができれば、当該客室内における座席の配列ピッチの変更を極めて容易なものとすることができる。

この場合、航空機の客室の全長にわたって前記サービスユニットを移動させるためには、複数の軌道レールを直列に配置して長尺な案内軌道を構成し、前記移動ブロックが軌道レールを乗り継ぎながら、前記案内軌道に沿って移動することが必要となる。

WO2005/031082

ここで、航空機や船舶等の大型構造物は複数の分割体に分けて製作され、最終的にそれら分割体を結合することで目的とする大型構造物を完成している場合が多々ある。かかる場合、構造物の最終組立の簡素化を考慮すると、隣接する分割体同士の結合部を跨ぐようにして前記軌道レールを固定することは考え難い。また、旅客機では機体を組み立ててしまった後に客室の内装作業を大がかりに行うのは困難なことから、機体組立前の分割された胴体に対して内装作業の一部を行い、各胴体に対する内装作業がある程度完了した後に、複数の胴体を接合して機体が組み立てられている。このため、大型構造物内で長尺な案内軌道を構成するのであれば、先ずは各分割体に軌道レールを固定し、その後に軌道レールが固定された各分割体同士を結合して前記大型構造物内に長尺な案内軌道を完成させることが想定される。

その結果、分割体同士の結合を考慮すると、結合部を挟んで対峙する軌道レールの端部同士の間には予め隙間を設定しておくことが必要となる。また、航空機、列車又は船舶等の大型構造物では、当該構造物に外が作用した際に、各分割体に異なる変形が生じる可能性があり、仮に案内軌道を構成する複数の軌道レールが端部間に隙間を設けることなく配列されていると、互いに隣接する軌道レールの端部同士が強く干渉してしまう可能性もある。従って、このような観点からも、隣接する軌道レールの継ぎ目には予め隙間を設けておくことが必要とされる場合がある。この隙間の大きさは軌道レールが敷設される構造物の大きさによって異なるが、十数mm程度に設定される場合もあり、前述の移動ブロックに備えられた転動体の直径よりも明らかに大きい。

このように前記案内軌道を構成する軌道レールの継ぎ目に隙間が存在する場合、前記移動ブロックが軌道レールの継ぎ目に到達すると、転動体が当該軌道レールの転走面に接触せずに無負荷状態に陥ってしまう。この状態では当該移動ブロックが可動体の荷重を負荷することができず、軌道レールに対して大きく変位してしまう可能性がある。これにより、前記移動ブロックによって支持された可動体の円滑な移動が阻害されるおそれがある。

尚、ここでは可動体を一定の経路に沿って任意の位置へ案内する装置の例として、特許文献1に示される移動ユニットを例に挙げて説明したが、前述の課題は、低摩擦性の摺接部材を備えた移動ブロックが軌道レール上を滑走するタイプや、軸支されたホイールを有する移動ブロックが当該ホイールを回転させながら軌道レール上を走行するタイプの移動ユニットでも同様に生じると考えられる。

本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、複数の軌道レールを直列に配置して前記可動体を案内する案内軌道を構成する場合に、前記移動ブロックが前記軌道レールの継ぎ目を乗り越えて案内軌道上を円滑に移動することが可能であり、もって固定部に対する可動体の移動を円滑に行うことが可能な移動ユニットを提供することにある。

すなわち、本発明は、固定部に対して互いに平行に敷設される一対の案内軌道と、各案内軌道に対して少なくとも2基以上組み付けられると共に当該案内軌道に沿って移動自在な複数の移動ブロックと、これら移動ブロックに固定されて前記固定部上を移動自在な可動体とを備えた移動ユニットであり、各案内軌道は長手方向に沿って案内面が形成された複数の軌道レールをその端部同士を接続して直列に配置して設けられる一方、前記移動ブロックは直列に配置された複数の軌道レールの継ぎ部隙間を通過しながら前記案内面を走行する接触子を有している。そして、前記一対の案内軌道に含まれる複数の軌道レールの継ぎ部隙間に関し、いずれか1カ所の継ぎ部隙間上に前記移動ブロックが位置している際に、他の継ぎ部隙間上には前記移動ブロックが位置しないように構成されている。

本発明によれば、一対の案内軌道の各々に組み付けられた複数の移動部材のうち、一基の移動部材が直列に配置された軌道レールの継ぎ部隙間上に位置している状態において、当該案内軌道に組み付けられた残余の移動部材は前記軌道レールの継ぎ部隙間上には位置していないので、前記案内軌道に沿って前記可動体を移動させる場合に、少なくとも3基以上の移動ブロックは前記軌道レールの継ぎ部隙間上に存在することなく可動体に作用する荷重を負荷した状態にあり、かかる移動ブロックによって支持された可動体は軌道レールの継ぎ部を乗り越えつつ、安定した姿勢で前記案内軌道に沿って往復動することが可能となる。

本発明の移動ユニットの適用例を示す概略図である。

本発明が適用された移動ユニットの実施形態の一例を示す斜視図である。

本発明が適用された移動ユニットの要部を示す拡大斜視図である。

本発明の移動ユニットに利用可能な移動ブロックと軌道レールとの組み合わせを示す斜視図である。

案内軌道における継ぎ部隙間と可動体に対する移動ブロックとの配置関係を示す模式図である。

可動体に対する移動ブロックの配置の他の例を示す模式図である。

可動体の位置固定部材の実施形態の一例を示す側面断面図である。

図7に示す位置固定部材の作用状態を示す側面断面図である。

案内軌道に対する可動体の位置検出手段を示す概略図である。

以下、添付図面を用いながら本発明を適用した移動ユニットを詳細に説明する。

図1は本発明の一実施形態に係る移動ユニットの使用態様一例を示すものである。例えば、航空機の客室100では、乗客の座席102に対応して当該客室100の天井パネル101にサービスユニット42が配置されている。このサービスユニット42には酸素マスク等の防災具が収納されると共に、座席番号表示や読書灯等の各種表示機器類が設けられている。一般に、航空機の客室100内における座席102の配列間隔は当該航空機を運用する航空会社によって異なることから、航空機の製造会社は航空会社が要求する仕様を満たすように、客室100内に座席102を配列している。このため、航空機の製造会社にとっては、座席102の配列間隔に応じて前記サービスユニット42の配置を自由に調整することができ、また、座席数の増減に対応して前記サービスユニット42を客室100の天井へ自由に着脱することができると、航空機を組み立てる際の利便性が向上する。更に、前記サービスユニット42は防災具も収納することから、当該サービスユニット42そのものも定期的な点検整備が必要であり、この点からもサービスユニット42が自由に着脱できると、機体を運用する航空会社の利便性も向上する。

本発明の移動ユニットはこのような要求を満たすものであり、固定部としての天井パネル101に対して前記サービスユニット42を移動自在に配置し、しかも前記天井パネル101の任意の位置に当該サービスユニット42を固定可能とするものである。しかも、固定部としての天井パネル101に対してサービスユニット42を自由に着脱可能とするものである。

図2及び図3は本発明を適用した移動ユニット1の実施形態の一例を示すものである。図2は移動ユニット1を用い、固定部としての天井パネル101に対して前記サービスユニット24を支持した状態を示す斜視図、図3は前記天井パネル101を取り除いて前記移動ユニット1の主要部を示した斜視図である。

この移動ユニット1は、航空機の客室100内の固定部としての天井パネル101に対して互いに平行に敷設される一対の案内軌道2と、各軌案内軌道2に組み付けられる複数の移動ブロック3と、これら移動ブロック3が固定される可動体41とから構成されている。各案内軌道2は直線状に形成された複数の軌道レール21を直列に敷設して構成されており、直列に敷設する軌道レール21の本数を増やすことにより、天井パネル101の全長に対応した長尺な案内軌道2を構成することが可能となっている。また、複数枚の天井パネル101を直列に配置することにより、更に長尺な案内軌道2を構成することもできる。各軌道レール21はその長手方向に沿って前記移動ブロック3を案内する案内面25を有しており、複数の軌道レール21を直列に敷設した際に、各軌道レール21の案内面25が一直線状に連続し、前記案内軌道2の全長にわたる単一の案内面が構成されるようになっている。

図3に示す例において、一対の案内軌道2は前記案内面25を互いに対向させて配置されており、前記可動体41に固定された前記移動ブロック3は一対の案内軌道2に対してその内側から外側に向けて組み付けられている。各移動ブロック3は前記軌道レール21の案内面25を走行する接触子を備えており、かかる接触子の働きにより、前記移動ブロック21は前記可動体41に作用する荷重を負荷しながら、前記軌道レール21に沿って自在に移動することが可能である。そして、双方の案内軌道2に対して前記移動ブロック3が組み付けられた状態では、前記可動体41が一対の案内軌道2の間から抜け落ちることが防止される。また、前記移動ブロック21は直列に敷設された複数の軌道レール21を順番に乗り移りながら、前記案内軌道2の全長にわたって自在に移動することが可能となっている。

従って、前記移動ブロック3に固定された可動体41は前記案内軌道2に沿って自在に移動可能であり、前記サービスユニット42を前記可動体41に固定することにより、かかるサービスユニット42を長尺な天井パネル101上の任意の位置に自在に移動させることが可能である。前記可動体41は金属材料又は樹脂材料によって成形されている。

尚、図2及び図3に示す例では、前記移動ブロック3を板状の可動体41に固定し、かかる可動体41に対して前記サービスユニット42を固定しているが、前記可動体41をサービスユニット42と一体に形成し、サービスユニット42そのものに対して移動ブロック3を固定するようにしても差し支えない。また、図2及び図3に示す例では、航空機の客室100内におけるサービスユニット42に対して本発明の移動ユニット3を適用したが、前記可動体41に固定する対象は前記サービスユニット42に限られるものではない。更に、以降では軌道レール21が敷設される固定部を天井パネル101として説明するが、軌道レール21の敷設対象はこれに限られるものではなく、例えば壁面や床面、あるいは他の機械設備であっても差し支えない。

図4は前記軌道レール21と前記移動ブロック3との組み合わせの一例を示す斜視図である。この図4に示す例において、前記軌道レール21は長手方向に垂直な断面が略矩形状に形成されている。この軌道レール21には長手方向に沿って所定の間隔をおいて固定ボルトの取付け孔22が形成されており、かかる取付け孔22は当該軌道レール21を固定部としての天井パネル101に敷設する際に利用される。

また、前記軌道レール21の一方の側面には長手方向に沿って凸部23が設けられている。この凸部23の上下には前記案内面25としてボール31の転走面24が一対形成されている。これらボール転走面24は軌道レール21の底面21aに対して45°の度で傾斜しており、ボール31は前記凸部23を挟み込むようにして一対の転走面24を転走する。

更に、前記軌道レール21には長手方向に所定の間隔をおいて複数の固定孔26が設けられている。これら固定孔26は前記凸部23と軌道レール21の底面21aとの間に位置して、当該軌道レール21の側面の間を貫通している。後述するように、この固定孔26は前記軌道レール21上の任意の位置で前記移動ブロック3を固定する際に利用される。

一方、前記移動ブロック3は前記接触子としてのボール31を多数備えており、かかるボール31が前記軌道レール21の転走面24を転走することで、当該移動ブロック3が前記軌道レール21に沿って自在に移動可能となっている。前記移動ブロック3には前記軌道レール21の転走面24と対向する二条の負荷転走面32が形成されており、これら転走面24と負荷転走面32とが対向することにより、前記ボール31が軌道レール21と移動ブロック3との間で荷重を負荷しながら転走する負荷ボール通路が形成される。

更に、前記移動ブロック3には2条の負荷転走面32に対応してボール31の無限循環路33が2系統設けられている。各無限循環路33は各負荷ボール通路の両端を繋ぐと共に、その内径はボール31の直径よりも僅かに大きく設定されている。このため、前記負荷転走面32を転走し終えたボール31は荷重から開放された状態で前記無限循環路33を転走し、再び負荷転走面32に戻される。すなわち、前記無限循環路33を介してボールが負荷ボール通路を繰り返し転走し、これによって移動ブロック3は軌道レール21の長方向の全域にわたって移動することが可能である。尚、図4では、前記移動ブロック3におけるボール31の循環方式を理解し易くするため、移動ブロック3の半分を省略しており、前記ボール31に関しては2系統のうちの一系統のみを描いている。

また更に、前記移動ブロック3には保持プレート34が装着されており、この保持プレート34は当該移動ブロック3と前記軌道レール21との間に位置している。前記保持プレート34には軌道レール21に設けられた一対の転走面24に対向して一対の開口部が設けられており、前記移動ブロック3の負荷転走面32を転走するボール31はこれら開口部から球面の一部を突出させ、突出した球面が軌道レール21の転走面24に接触する。各開口部の幅はボール31の直径よりも狭く設定されており、前記移動ブロック3を軌道レール21から分離した場合でも、前記ボール31は移動ブロック3から脱落することがない。

前述したように、各案内軌道2は複数の軌道レール21を直列に敷設することにより形成されている。例えば、図2においては固定部としての天井パネル101に対して一対の案内軌道2が設けられており、各案内軌道2では2本の軌道レール21が直列に敷設されている。この場合、各案内軌道2を構成する2本の軌道レールは1枚の天井パネル101に対して敷設されているので、これら軌道レール21の接続部、すなわち継ぎ目に対しては何ら隙間を設ける必要はなく、2本の軌道レール21は端部同士を接した状態で天井パネル101に敷設されている。

しかし、天井パネル101に対して軌道レール21を敷設した後に、複数枚の天井パネル101を直列に配置して長尺な案内軌道2を構成する場合、天井パネル101同士の継ぎ目では、図5に示すように、軌道レール21の端部間に隙間が発生してしまう事態が想定される。また、各天井パネル101が個々に変形を生じる可能性を考慮すると、天井パネル101の継ぎ目における軌道レール21の端部同士の干渉を回避するために、これら軌道レール21の端部の間に敢えて隙間L(以下、「継ぎ部隙間L」という)を設けることが必要になる場合もある。

前記可動体41が天井パネル101の継ぎ目を通過して案内軌道2の全長にわたって移動しなければならない場合、当該可動体41に固定された前記移動ブロック3は軌道レール21の継ぎ部隙間Lを通過することになる。しかし、前記継ぎ部隙間Lの大きさは十数mm程度発生し、前記移動ブロック3に備えられた接触子としてのボール31の直径よりも大きい場合が殆どである。このため、前記移動ブロック3が継ぎ部隙間Lに差しかかると、ボール31が軌道レール21の転走面24に接触しない状態が生じ、前記移動ブロック3が可動体41に作用する荷重を負荷できずに、当該可動体41の姿勢が不安定なものになってしまう懸念がある。

このことから、前記可動体41に対する移動ブロック3の固定においては、2基以上の移動ブロック3が同時に軌道レール21の継ぎ部隙間Lに位置することがないよう、かかる可動体41に対する移動ブロック3の配置を決定している。図5に示す例では前記可動体41に対して6基の移動ブロック3A〜3Fが固定され、それぞれが2条の案内軌道2A,2Bのいずれかに組み付けられている。但し、案内軌道2Aに対しては2基の移動ブロック3A,3Bが組み付けられる一方、案内軌道2Bに対しては4基の移動ブロック3C〜3Fが組み付けられている。また、案内軌道2Aに組み付けられた2基の移動ブロック3A,3Bの配列間隔は、案内軌道2Bに組み付けられた4基の移動ブロック3C〜3Fの配列間隔とは異なっており、案内軌道2A側の移動ブロック3A,3Bは案内軌道2B側の移動ブロック3C〜3Fのいずれに対しても変位した位置に設けられている。すなわち、前記案内軌道2A,2Bの長手方向に関して、案内軌道2A側の移動ブロック3A,3と案内軌道2B側の移動ブロック3C〜3Fは位相をずらして前記可動体41に固定されている。より具体的に、図5に示す例では、案内軌道2A側の移動ブロック3A及び案内軌道2B側の移動ブロック3C,3Dが三角形を構成するように前記可動体41に配置され、また、案内軌道2A側の移動ブロック3B及び案内軌道2B側の移動ブロック3E,3Fが三角形を構成するように前記可動体41に配置されている。また、各案内軌道2A,2Bを構成する個々の軌道レール21の長さは、移動ブロック3Cと移動ブロック3Dとの間の距離より長く設定されている。

このため、例えば、案内軌道2B側の移動ブロック3Fが案内軌道2Bの継ぎ部隙間Lを通過する際、案内軌道2A側の移動ブロック3Bは当該案内軌道2Aの継ぎ部隙間Lには進入しておらず、可動体41に固定された6基の移動ブロック3のうち、1基の移動ブロック3Fのみが継ぎ部隙間に位置している。一方、案内軌道2A側の移動ブロック3Bが案内軌道2Aの継ぎ部隙間Lを通過する際、案内軌道2B側の移動ブロック3Fは継ぎ部隙間Lを既に通過しており、移動ブロック3Eは継ぎ部隙間Lに進入していない。つまり、前記可動体に固定された6基の移動ブロックのうち、1基が案内軌道2A,2Bの継ぎ部隙間Lの上に存在しても、他の5基は継ぎ部隙間Lに進入することなく軌道レール21に組み付けられた状態にある。

従って、前記可動体41が継ぎ部隙間Lを通過する際、仮に1基の移動ブロック3が当該継ぎ部隙間Lにおいて荷重を負荷不能な状態に陥ったとしても、残りの移動ブロック3は継ぎ部隙間Lに位置することなく軌道レール21に組み付けられているので、これら移動ブロック3で可動体41に作用する荷重を確実に負荷することができる。これにより、長尺な案内軌道2A,2Bの全長にわたって可動体41を安定した状態で移動させることが可能である。

前記可動体41に対する移動ブロック3の固定数は6基に限定されるものではなく、各案内軌道2A,2Bのそれぞれに対して2基以上組み付けられるのであれば良い。図6は可動体41に対して4基の移動ブロック3A〜3Dを固定した例を示すものである。このように4基の移動ブロック3A〜3Dを用いる場合であっても、案内軌道2Aに組み付けられた2基の移動ブロック3A,3Bの配列間隔は、案内軌道2Bに組み付けられた2基の移動ブロック3C,3Dの配列間隔とは異なっている。すなわち、案内軌道2A側の移動ブロック3A,3Bは案内軌道2B側の移動ブロック3C,3Dに対して位相をずらして前記可動体41に固定されている。

このため、仮に移動ブロック3Dが案内軌道2Aの継ぎ部隙間Lに進入したとしても、そのほかの移動ブロック3A〜3Cは継ぎ部隙間に重なることなく軌道レール21に組み付けられた状態にある。従って、3基の移動ブロック3A〜3Cで可動体41に作用する荷重を負荷することができ、当該可動体41を案内軌道2A,2Bの全長にわたって安定して移動させることが可能である。

図5及び図6に示した例では、一方の案内軌道2Aに組み付けられた複数の移動ブロック3の配列間隔と他方の案内軌道2Bに組み付けられた複数の移動ブロック3の配列間隔を異なるものとし、それによって複数の移動ブロック3が同時に継ぎ部隙間Lに位置するのを回避している。しかし、案内軌道2Aにおける継ぎ部隙間Lの位置と案内軌道2Bにおける継ぎ部隙間の位置を意図的にずらすことで、複数の移動ブロック3が同時に継ぎ部隙間Lに位置するのを回避してもよい。

また、図4には明示していないが、前記軌道レール21の転走面24の長手方向の両端にはボール誘導面が設けられている。このボール誘導面は前記転走面24の端部に対してクラウニング加工を施して形成されており、かかるボール誘導面の形成領域では、前記移動ブロック3と転走面24との間隔が前記軌道レール21の端部に接近するにつれて徐々に拡大するようになっている。このボール誘導面は前記継ぎ部隙間Lでの移動ブロック3の通過を円滑化するために設けられており、前記ボール誘導面が存在することにより、前記移動ブロック3が継ぎ部隙間Lを通過する際には、当該移動ブロック3と軌道レール21との間に存在するボール31の負荷荷重が徐々に軽減され、再び徐々に増加するようになっている。尚、軌道レール21の転走面24に対するこのボール誘導面の形成は任意であり、かかるボール誘導面が形成されない場合でも、前記移動ブロック3は継ぎ部隙間Lを通過することが可能である。

本発明における移動ブロックとしては、図4に示したもの、すなわちボールの無限循環路を備えて当該ボールが軌道レール21の転走面24を転がるタイブに限られない。例えば、低摩擦性の摺接部材を備えた移動ブロックが軌道レール上を滑走するタイプや、軸支されたホイールを有する移動ブロックが当該ホイールを回転させながら軌道レール上を走行するタイプの移動ブロックであっても良い。

次に、前記可動体41を案内軌道2A,2Bの特定の位置で固定するための位置固定部材について説明する。

前述のように前記可動体41は当該案内軌道2A,2Bの任意の位置へ自在に移動することができるが、実際の使用場面においては、前記可動体41を案内軌道2A,2Bに対して移動させながら使用するのではなく、前記可動体41を案内軌道2A,2Bの特定の位置で固定して使用する場合が多いと考えられる。既に説明した航空機の客室100内における使用もその一例である。このため、前記可動体41には位置固定部材を設けることができる。この位置固定部材は前記軌道レール21に一定間隔で設けられた固定孔26を利用して可動体41の移動を拘束するものであり、作業者は案内軌道2A,2B上の特定位置まで前記可動体41を移動させた後、この位置固定部材を作用させることで、可動体41を前記固定孔26に対応した任意の位置で固定することができる。

図7及び図8は前記位置固定部材の実施形態を示すものであり、前記軌道部材2の長手方向から観察した側面断面図である。図7は当該位置固定部材の初期状態を、図8は当該位置固定部材の作用状態を示している。この位置固定部材7は、前記軌道レール21に備えられた固定孔26に抜き差しされる係止ピン72と、当該位置固定部材7を初期状態又は作用状態に切り換える設定ピン71と、前記設定ピン71の動きを前記係止ピン72に伝達する従動板73と、これら設定ピン71、係止ピン72及び従動板73を収納すると共に前記可動体41に固定されるハウジング74とから構成されている。

前記設定ピン71は、前記係止ピン72と直交して設けられると共に前記ハウジング74から突出したシャンク部71aと、このシャンク部71aの一端に回転自在に設けられたカム部71bとから構成されている。前記シャンク部71aは前記可動体41から天井パネル101と反対側に突き出しており、その先端には当該シャンク部71aを軸方向へ押し引きするための他の部材が連結できるよう雌ねじが設けられている。また、この設定ピン71は前記ハウジング74によって前記シャンク部71aの軸方向へ移動自在に保持されている。従って、前記設定ピン71の先端は、例えば図2及び図3に示したサービスユニット42の内部に突き出しており、サービスユニット42の側から前記設定ピンを操作することができる。

一方、前記従動板73は前記設定ピンの軸方向への動きをこれと直交する方向の動きへ変換する部材であり、前記設定ピン71のカム部71bの外周面が摺接する傾斜部73aと、かかるカム部71bの外周面と略同一の曲率半径で凹面状に形成されると共に前記傾斜部73aから連続する保持部73bとを備えている。また、前記係止ピン72は円柱状部材であり、その軸心は前記軌道レール21の固定孔26と略一致すると共に、軸方向へ移動自在に前記ハウジング74に保持されている。この係止ピン72は前記ハウジング74に設けられたコイルスプリング74aによって常に軌道レール21から離れる方向へ付勢されている。また、係止ピン72の後端は前記従動板73に固定されており、従動板73の動きに応じて前記係止ピン72が軌道レール21の固定孔26に出入りする。

図7に示す初期状態において、前記係止ピン72はコイルスプリング74aの働きによって前記軌道レール21の固定孔26から抜け出しており、この状態では位置固定部材7が何ら機能していないので、可動体41は軌道レールの長手方向に沿って自在に移動することが可能である。このとき、前記設定ピン71のカム部71bは前記従動板73の傾斜部73aに接触している。

この初期状態から前記設定ピン71を軸方向へ押圧し、当該設定ピン71を前記ハウジング74の内部に押し込むと、前記カム部71bが従動板73の傾斜部73aに沿って転がり、かかる従動板73がコイルスプリング74aの弾性力に抗して前記係止ピン72と共に移動する。これにより、前記係止ピン72の先端が軌道レール21の固定孔26に挿入される。そして、図8に示すように、前記設定ピン71をハウジング74に対して完全に押し込んだ状態では、前記カム部71bが従動板73の傾斜部73aから凹面状の保持部73bに乗り移り、軌道レール21の固定孔26に対する係止ピン72の進出量は最大となる。また、この状態では、押し縮められたコイルスプリング74aの弾性力によって、凹面状に形成された従動板73の保持部73bが設定ピン71のカム部71bに押しつけられており、設定ピン71のシャンク部71bを意図的に引き戻さない限り、前記カム部71bが従動板73の保持部73bから離脱することはなく、係止ピン72が軌道レール21の固定孔26から抜け出すことはない。

従って、前記可動体41を案内軌道2,2Bに沿って任意の位置へ移動させ、その位置で前記設定ピン71を軸方向へ押し込むと、前記係止ピン72が軌道レール21の固定孔26に挿入され、可動体41が当該位置で固定される。また、前記設定ピン71を引き戻せば、前記カム部71bが従動板73の保持部73bから離脱するので、係止ピン72が引き戻されて軌道レールの固定孔26から抜け出し、再び前記可動体41を案内軌道2A,2Bに沿って移動させることが可能となる。

その一方、前記固定孔26は一定間隔で軌道レール21に設けられているため、前記可動体41を案内軌道2A,2Bの任意の位置へ移動させた場合、その位置において前述の位置固定部材7の係止ピン72を軌道レールの固定孔26に確実に挿入できるか否かは不明である。このため、作業者は前記位置固定部材7を使用するにあたり、可動体41を僅かに前後に移動させながら、係止ピン72と固定孔26の適合位置を探す必要が生じる。このような煩雑な作業を回避する手段として、前記可動体41の停止位置を軌道レール21の固定孔26に正確に対応させる位置検出部材を導入することが考えられる。

図9は前記位置検出部材の一例を示すものである。この位置検出部材8は、各軌道レール21と共に天井プレート101に固定される基準プレート81と、前記可動体41に固定されて当該可動体41と共に案内軌道2A,2Bに沿って移動する弾性プレート82とから構成されている。

前記基準プレート81は前記軌道レール21の長手方向に沿って設けられる長尺な板状部材であり、長手方向に沿って等間隔で複数の係止溝83が形成されている。この係止溝83の形成間隔は前記軌道レール21の固定孔26の形成間隔と同じであり、かかる基準プレート81を軌道レール21と共に天井パネル101に敷設する際には、前記係止溝83の形成位置と前記固定孔26の形成位置が重なるように両者を敷設する。

一方、前記弾性プレート82は薄板を折り曲げて形成され、前記基準プレート81の係止溝83内に嵌合する係止突起84を有している。この弾性プレート82は前記可動体41に固定され、前記係止凸突起84の先端が前記基準プレート81の係止溝83に入り込むように、且つ、前記係止突起84が前記位置固定部材7の係止ピン72と重なるよう、その固定位置が調整されている。前記弾性プレート82は薄板を折り曲げて形成されているので容易に弾性変形し、前記係止突起84が基準プレート81の係止溝83に挿入された状態で前記可動体41を移動させると、かかる係止突起84が係止溝83から抜け出して、当該係止溝83の間に存在する基準プレート81の山部85に乗り上げ、再び次の係止溝83に入り込むようになっている。

従って、前記軌道レール21の長手方向に沿って前記可動体41が移動すると、前記弾性プレート82の係止突起84が前記基準プレート81に沿って移動しながら当該基準プレート81の係止溝83に対して出入りを繰り返すことになる。これにより、可動体41を移動させる作業者は係止突起84が係止溝83に嵌まったか否かを容易に実感することができる。また、係止突起84が係止溝83に嵌まった状態では、前記位置固定部材7の係止ピン72が軌道レール21の固定孔26に対峙することになるので、作業者は前記位置固定部材7の設定ピン71を操作することにより、係止ピン72を軌道レール21の固定孔26へ容易に挿入することができる。すなわち、作業者は、案内軌道2A,2Bに沿って可動体41を移動させ、且つ、所定の位置に当該可動体41を固定するにあたり、軌道レール21の固定孔26の存在位置を容易に認識することができ、前述の位置固定部材7を用いた可動体41の固定作業を容易に行うことができる。

1…移動ユニット、2…案内軌道、3…移動ブロック、41…可動体、21…軌道レール、25…走行面、31…接触子(ボール)、101…天井プレート(固定部)

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