Automobile

申请号 JP2012121017 申请日 2012-05-28 公开(公告)号 JP2013244898A 公开(公告)日 2013-12-09
申请人 Yoshiyuki Kobayashi; 良幸 小林; 发明人 KOBAYASHI YOSHIYUKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an automobile including main wings which can be expanded to an expanded state for producing lift necessary for flying and can be contracted to a contracted state permitting retraction with respect to a side door.SOLUTION: An automobile 1 includes: a plurality of wheels 3a, 3b rotated by motive power output from a travel motive power source 24; a pair of right and left main wings 5 for producing lift necessary for flying, and a pair of right and left horizontal stabilizers 6; and a propulsion force generating unit 31 for producing propulsion force necessary for flying. The main wings 5 and the horizontal stabilizers 6 are configured to be freely expanded/contracted to a contracted state permitting retraction with respect to a wing retraction chamber 43 of side doors 4 mounted on both side parts of a vehicle body 2, or to an expanded state providing lift necessary for flying the automobile 1.
权利要求
  • 走行用動力源から出力される動力で回転する複数の車輪と、飛行に必要な揚力を発生させる左右一対の主翼と、該飛行に必要な推進力を発生させる推進力発生部とを備えた自動車であって、
    前記車本体の両側部に取り付けたサイドドアに、
    前記主翼の格納が許容される翼格納室と、該翼格納室の開口部に対して開閉自在に取り付けられた格納扉とを備え、
    前記主翼を、
    前記サイドドアの翼格納室に対して格納が許容される収縮状態と、前記飛行に必要な揚力を発生させる展開状態とに伸縮自在に設けるとともに、
    前記主翼に、
    前記車本体の前後方向と交差する第1展開方向に向けて該主翼を展開する翼展開手段を備えた自動車。
  • 前記車本体のフロント側と対応する前記主翼の前部側と、該車本体のリア側と対応する前記主翼の後部側とのうち少なくとも一方に、
    前記主翼の前記第1展開方向に向けて展開されるとともに、該第1展開方向と交差する第2展開方向に向けて展開される翼部を備えた請求項1に記載の自動車。
  • 前記車本体の両側部に、
    展開した状態の前記主翼を支持する翼支持杆を備え、
    前記翼支持杆を、
    前記車本体の側部に格納される格納角度と、前記主翼が展開した状態に支持される支持角度とに、前記車本体の車幅方向に向けて揺動可能に設けるとともに、
    前記翼支持杆の上端に、展開した前記主翼の下面に対して係合される係合部を備えた請求項1又は2に記載の自動車。
  • 前記車本体のフロント側上部に、
    前記左右に展開した主翼を所定の仰角に支持する翼支持手段を備えた請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動車。
  • 前記主翼に、
    前記主翼の第1展開方向に対して所定間隔を隔てて配置され、該主翼の第1展開方向と直交する翼断面形状を前記飛行に必要な揚力が発生しやすい形状に維持する形状維持部材を備えた請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動車。
  • 前記車本体に、
    展開した前記主翼を前記翼格納室に対して格納が許容される収縮状態に該展開した前記主翼を収縮させる翼収縮手段を備えた請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動車。
  • 前記走行用動力源から出力される動力を、前記推進力発生部に伝達する飛行用動力伝達手段を備えた請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動車。
  • 前記車本体のリア側と対応する前記サイドドアの後部側に、前記飛行を安定させるための尾翼を備えた請求項1〜7のいずれか一つに記載の自動車。
  • 前記車本体に、前記自動車の走行時および飛行時において操舵される兼用型の操舵手段を備えた請求項1〜8のいずれか一つに記載の自動車。
  • 说明书全文

    この発明は、自動車に係る技術に関し、とくに走行と飛行とが可能な飛行と走行とが可能な自動車に関する。

    従来、上述のような飛行可能な自動車としては、例えば主翼と、先尾翼と、垂直尾翼とを備えた空飛ぶ自動車が提案されている(特許文献1参照)。 この空飛ぶ自動車は、胴体に取り付けられた主翼と、先尾翼と、垂直尾翼とを該胴体側へ折り畳んだ後、胴体内に収納された各翼をカウリングにて覆うという構成が開示されている。

    しかし、上述の各翼を、胴体内に対して収納が許容される大きさ及び形状に形成する場合、各翼の面積が胴体内に収まる程度の大きさに制限されるため、自動車が飛行するのに必要な揚を確保することが難しい。 また、各翼の面積を大きくすれば必要な揚力を確保することができるが、各翼を収納するためのスペースを胴体内に確保することが難しく、翼の一部が胴体から突出することになる。 この結果、走行時において、自動車が受ける空気抵抗が大きくなり、走行性が悪くなるという問題があった。

    特開2004−82992号公報

    この発明は、飛行に必要な揚力を発生する展開状態に展開することができるとともに、サイドドアに対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる主翼を備えた自動車を提供することを目的とする。

    この発明は、走行用動力源から出力される動力で回転する複数の車輪と、飛行に必要な揚力を発生させる左右一対の主翼と、該飛行に必要な推進力を発生させる推進力発生部とを備えた自動車であって、前記車本体の両側部に取り付けたサイドドアに、前記主翼の格納が許容される翼格納室と、該翼格納室の開口部に対して開閉自在に取り付けられた格納扉とを備え、前記主翼を、前記サイドドアの翼格納室に対して格納が許容される収縮状態と、前記飛行に必要な揚力を発生させる展開状態とに伸縮自在に設けるとともに、前記主翼に、前記車本体の前後方向と交差する第1展開方向に向けて該主翼を展開する翼展開手段を備えたことを特徴とする。

    この発明によれば、左右一対の主翼を、飛行に必要な揚力を発生する展開状態に展開することができるとともに、サイドドアに対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる。

    詳述すると、飛行する際、サイドドアに設けた翼格納室の格納扉を開放して、該翼格納室に格納された主翼を、翼展開手段により車本体の前後方向と交差する第1展開方向に向けて展開するとともに、自動車が飛行するのに必要な揚力を発生することができる展開状態に展開する。

    これにより、左右に展開した主翼により、自動車が飛行するのに必要な揚力を発生させることができ、推進力発生部が発生する推進力により飛行させることができる。

    また、走行する際、左右に展開した主翼を、サイドドアの翼格納室に対して格納が許容される収縮状態に収縮するとともに、該主翼を収縮したまま翼格納室に格納して、翼格納室の開口部を格納扉で閉塞する。

    すなわち、主翼を収縮状態に収縮してサイドドアの翼格納室に格納した後、該翼格納室を格納扉で閉塞するため、走行時において、自動車が受ける空気抵抗を小さくすることができる。

    この結果、飛行に際しては、自動車が飛行するのに必要な揚力が安定して得られる。 また、走行に際しては、自動車が受ける空気抵抗をなるべく小さくして、走行性が低下することを防止し、燃費の向上を図ることができる。

    上述の交差とは、例えば車本体の前後方向に対して鋭に交差する方向、該前後方向に対して直交する方向等を含むものである。 また、走行用動力源は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン、電動モータ等で構成することができる。 また、推進力発生部は、例えばレシプロエンジンや電動モータなどで回転するプロペラ、ジェットエンジン等で構成することができる。

    この発明の態様として、前記車本体のフロント側と対応する前記主翼の前部側と、該車本体のリア側と対応する前記主翼の後部側とのうち少なくとも一方に、前記主翼の前記第1展開方向に向けて展開されるとともに、該第1展開方向と交差する第2展開方向に向けて展開される翼部を備えることができる。
    この発明によれば、翼全体の展開面積を大きくして、飛行に際してより大きな揚力を得ることができる。

    詳述すると、左右一対の主翼を第1展開方向に向けて展開するとともに、主翼の第1展開方向と直交する前部側と後部側との少なくとも一方に配置した翼部を、主翼の展開動作により第1展開方向に向けて一緒に展開する。 さらに、翼部を、主翼の第1展開方向と交差する第2展開方向(具体的には自動車の前後方向)に向けて展開する。

    これにより、例えばサイドドアと対応する幅の翼部を展開した展開面積に比べて、主翼と翼部とを合わせて展開した翼全体の展開面積の方が大きく、飛行に際してより大きな揚力が得られる。
    この結果、小さな推進力で、大きな揚力を発生させることができる。 また、航続時間や航続距離の延長を図ることができる。

    また、この発明の態様として、前記車本体の両側部に、展開した状態の前記主翼を支持する翼支持杆を備え、前記翼支持杆を、前記車本体の側部に格納される格納角度と、前記主翼が展開した状態に支持される支持角度とに、前記車本体の車幅方向に向けて揺動可能に設けるとともに、前記翼支持杆の上端に、展開した前記主翼の下面に対して係合される係合部を備えることができる。

    この発明によれば、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が得られる状態に安定して支持することができる。
    詳述すると、主翼を展開した際、車本体の側部に格納された翼支持杆を、主翼を展開した状態に支持する支持角度に回動し、左右に展開した主翼を翼支持杆の上端に載せて、翼支持杆の係合部を主翼の下面に係合する。 これにより、左右の主翼が展開した状態に支持される。

    この結果、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が効力よく得られる理想的な状態に支持することができる。 また、揚力を得るために必要な強度も確保することができる。 さらに、翼支持杆を、車本体の側部に格納することにより、車本体の側部が補強され、走行に必要な強度を確保することができる。

    また、この発明の態様として、前記車本体のフロント側上部に、前記左右に展開した主翼を所定の仰角に支持する翼支持手段を備えることができる。
    この発明によれば、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が発生しやすい仰角に支持することができる。

    詳述すると、主翼を展開した際、翼支持手段により所定の仰角に支持するので、主翼の上下面に沿って流れる気流が上下非対称となり、主翼の下面よりも上面の方の圧力が低くなるため、自動車が飛行するのに必要なより大きな揚力を発生させることができる。 また、主翼を所定の仰角に支持するのに必要な強度が得られる。

    この結果、自動車が飛行するのに必要な揚力を効率よく発生させることができる。
    上述の翼支持手段は、例えばクランプ部材を備えた支持シャフト、油圧式の支持装置等で構成することができる。

    また、この発明の態様として、前記主翼に、前記主翼の第1展開方向に対して所定間隔を隔てて配置され、該第1展開方向と直交する翼断面形状を前記飛行に必要な揚力が発生しやすい形状に維持する形状維持部材を備えることができる。

    この発明によれば、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が発生しやすい理想的な翼断面形状に維持することができる。
    詳述すると、形状維持部材によって、左右の主翼を、飛行に必要な揚力が発生しやすい理想的な翼断面形状(具体的には流線形状)に維持するため、飛行時において、主翼の翼断面形状が変形しにくく、飛行に必要な揚力を確実に発生させることができる。
    この結果、自動車が飛行するのに必要な揚力が安定して得られるとともに、所定の翼断面形状を維持するのに必要な強度が得られる。

    また、この発明の態様として、前記車本体に、展開した前記主翼を前記翼格納室に対して格納が許容される収縮状態に該展開した前記主翼を収縮させる翼収縮手段を備えることができる。
    この発明によれば、左右に展開した主翼を、サイドドアの翼格納室に格納する動作が機械的に行える。

    詳述すると、左右に展開した主翼を、翼収縮手段により翼格納室に対して格納が許容される収縮状態に収縮するとともに、該主翼を収縮状態のまま翼格納室に格納する。
    この結果、左右の主翼を、運転者の手で収縮状態に収縮して翼格納室に格納するような手間及び作業が省け、翼格納室に格納する動作が機械的に行える。

    また、この発明の態様として、前記走行用動力源から出力される動力を、前記推進力発生部に伝達する飛行用動力伝達手段を備えることができる。
    この発明によれば、自動車に搭載する動力源の数が少なくて済み、自動車全体の構造を簡素化することができる。

    詳述すると、一つの走行用動力源から出力される動力により自動車の駆動用車輪を回転させ、その駆動用車輪の回転により自動車を走行させる。 また、走行用動力源から出力される動力により推進力発生部を駆動して、自動車が飛行するのに必要な推進力を発生させる。
    この結果、例えば走行用動力源と飛行用動力源とを搭載するよりも、自動車全体の重量が軽くなり、航続時間や航続距離をさらに延長することができる。

    また、この発明の態様として、前記車本体のリア側と対応する前記サイドドアの後部側に、前記飛行を安定させるための尾翼を備えることができる。
    この発明によれば、飛行時における操縦性が向上し、安定した飛行が行える。

    詳述すると、左右の主翼を展開した際、左右の尾翼も第1展開方向と第2展開方向とに向けて展開するので、左右の尾翼を所望する角度に操すれば、例えば右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行を制御することができる。

    この結果、飛行時において、自動車を所望する方向に向けて安定して飛行させることができる。
    上述の尾翼は、例えば平尾翼、垂直尾翼のいずれか一方又は両方にて構成することができる。

    また、この発明の態様として、前記車本体に、前記自動車の走行時および飛行時において操舵される兼用型の操舵手段を備えることができる。
    この発明によれば、一つの操舵手段を、走行時において自動車の走行方向を制御するためのステアリングホイールとして操作することができる。 また、飛行時において飛行方向を制御するための操縦桿として操作することができる。
    これにより、走行時用の操舵手段と、飛行時用の操舵手段とを設ける必要がなく、一つの操舵手段を操作するだけで、走行時における走行方向と、飛行時における飛行方向とを制御することができる。

    この結果、走行時及び飛行時において、安全かつ的確に操舵することができ、誤操舵が起きることを防止できる。

    この発明によれば、飛行に必要な揚力を発生する展開状態に展開することができるとともに、サイドドアに対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる主翼を備えた自動車を提供することができる。

    左右の主翼を展開した自動車の平面図。

    左右の主翼を展開した自動車の正面図。

    主翼を展開した自動車の側面図。

    サイドドアの構造説明図。

    左右の主翼を展開する動作及び収縮する動作の説明図。

    左右の主翼をサイドドアに格納した自動車の平面図。

    自動車の走行機能と飛行機能とを説明するブロック図。

    この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
    図1は左右の主翼5を展開した自動車1の平面図、図2は左右の主翼5を展開した自動車1の正面図、図3は主翼5を展開した自動車1の側面図、図4はサイドドア4の構造説明図、図5は左右の主翼5を展開する動作及び収縮する動作の説明図、図6は左右の主翼5をサイドドア4に格納した自動車1の平面図である。

    本実施形態の自動車1は、車本体2のフロント側に配置した左右車輪3a及びリア側に配置した左右車輪3bと、走行時には車本体2の両側部に取り付けたサイドドア4に格納されており、飛行時において飛行に必要な揚力を発生する展開状態に伸縮される左右一対の主翼5及び左右一対の水平尾翼6を備えている。

    主翼5及び水平尾翼6は、サイドドア4の翼格納室43に対して格納が許容される収縮状態(図4〜図6参照)と、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態とに伸縮自在に構成されている(図1〜図3参照)。
    なお、水平尾翼6は、車本体2のリア側と対応するサイドドア4の後部側に配置している。

    サイドドア4は、車本体2の両側部に開口した乗降用開口部2aに対して図示しない連結部材にて前後開閉自在に連結されるとともに、その連結部材を回動中心として、車本体2の前後方向Dに向けて前後開閉自在に取り付けている。 また、サイドドア4は、ドア本体41の内部に配置した仕切り板42により室内側と室外側とに分割している(図4参照)。

    なお、サイドドア4は、4ドアの前部ドアと後部ドアとを合わせて1枚のドアに構成している。 また、サイドドア4は、乗降者の手動操作により上下開閉するが、例えば油圧式の開閉装置により上下開閉してもよい。

    ドア本体41の室内側は、内装を施すなどして、車内の一部を構成している。 一方、ドア本体41の室外側には、主翼5と水平尾翼6との格納が許容される大きさ及び形状に形成した翼格納室43を設けている。

    翼格納室43の開口部には、該翼格納室43の開口部全体が閉塞される大きさ及び形状に形成した格納扉44を開閉自在に取り付けている。
    格納扉44の前縁部は、図示しない連結部材を介して翼格納室43の開口側前縁部に枢着されており、その連結部材を回動中心として、格納扉44を、車本体2の前後方向Dに向けて前後開閉自在に取り付けている。

    さらに、格納扉44の前縁部は、図示しない連結部材(具体的には上下動可能な自在継手)を介して翼格納室43の開口側前縁部に連結されており、その連結部材を回動中心として、車本体2の上下方向に向けて昇降自在に取り付けるとともに、ドアの窓部が車本体2のリア側に向いた倒伏姿勢と、該ドアの窓部が上向きとなる起立姿勢とに前後回動自在に取り付けている(図5参照)。
    これにより、格納扉44を、主翼5の展開が許容される開角度と、翼格納室43が閉塞される閉角度とに上下開閉自在に取り付けている。

    翼格納室43の中央部には、乗降用開口部2aを支持するための強度及び構造を有するセンターピラー45が取り付けられている。 このセンターピラー45は、自動車1の室内側に配置した内側ピラー46と、室外側に配置した外側ピラー47とに分割可能に構成している(図2、図3参照)。

    一方の内側ピラー46は、乗降用開口部2aを支持するのに必要な強度を備えており、該乗降用開口部2aの中央が支持される位置に配置している。
    他方の外側ピラー47は、主翼5が展開した状態に支持される長さ及び剛性を有している。 外側ピラー47の下端部は、図示しない連結部材を介して内側ピラー46の下端部に枢着されており、その連結部材を回動中心として、外側ピラー47を、主翼5が展開した状態に支持される支持角度と、翼格納室43に対して格納される格納角度とに、車本体2の車幅方向Cに向けて左右揺動可能に設けている。

    また、外側ピラー47の上端部には、左右に展開した主翼5の基端側下面部をクランプするためのクランプ部材48を取り付けている。
    すなわち、外側ピラー47を、展開した状態の主翼5を支持する支持角度に回動した際、図示しないストッパにて室外側斜め上方に向けて突出した角度に回動規制される。 また、外側ピラー47を、翼格納室43に対して格納される格納角度に回動した際、図示しないストッパにて内側ピラー46に対して一体的に嵌合した状態に回動規制される。

    詳述すると、主翼5を展開した際、センターピラー45の外側ピラー47を、主翼5が展開した状態に支持される支持角度に回動した後、展開した主翼5を外側ピラー47の上端側に載せて、該主翼5の基端側下面部を外側ピラー47のクランプ部材48にてクランプする。 これにより、左右の主翼5が第1展開方向A1に展開した状態に支持される。

    この結果、左右に展開した主翼5を、自動車1が飛行するのに必要な揚力が効率よく得られる理想的な状態に支持することができる。 また、揚力を得るために必要な強度も確保することができる。

    さらに、外側ピラー47を、翼格納室43に対して格納される格納角度に回動して、内側ピラー46に対して一体的に嵌合することにより、車本体2の乗降用開口部2aが補強され、走行に必要な強度を確保することができる。

    主翼5は、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1に向けて展開される中央翼部51と、車本体2のフロント側と対応して中央翼部51の前部側に配置した前側翼部52と、車本体2のリア側と対応して中央翼部51の後部側に配置した後側翼部53とで構成している。
    また、主翼5の基端部は、乗降用開口部2aの上縁部に対して図示しない連結部材にて連結され、車本体2の車幅方向Cに向けて上下回動自在に取り付けている。

    翼部51,52,53は、自動車1が飛行するのに必要な揚力を発生させる形状に維持するためのリブ54と、車本体2の車幅方向Cと対応する第1展開方向A1及び前後方向Dと対応する第2展開方向A2に向けて展開するための復元力が蓄積された複数のばね55と、主翼5全体を覆う大きさに形成した柔軟な薄さを有するシート56とを備えている。
    なお、中央翼部51の車本体2の前後方向Dと対応する幅は、サイドドア4のドア幅と対応する寸法に形成している。

    リブ54は、翼部51〜53の内部に複数配置され、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1に対して所定間隔を隔てて配列している。 また、リブ54は、主翼5の第1展開方向A1から見て滑らかな流線形状に形成している。

    すなわち、リブ54は、主翼5の第1展開方向A1と直交する翼断面形状を、飛行に必要な揚力が発生しやすい理想的な流線形状を維持するとともに、その流線形状を維持するために必要な復元力と剛性を有している。

    ばね55は、翼部51〜53内部に配列したリブ54の間に配置され、上述の第1展開方向A1に対して所定間隔を隔てて配列している。 また、ばね55の第1展開方向A1と対応する端部は、図示しない蝶番にて連結している。 さらに、ばね55には、翼部51〜53を車本体2の車幅方向C及び前後方向Dと対応する方向に向けて展開するのに必要な復元力が蓄積されている。

    すなわち、主翼5は、ばね55の復元力により、車本体2の車幅方向Cと平行する第1展開方向A1に向けて段階的(具体的には2段階、3段階)に展開される。 さらに、上述の第1展開方向A1と直交する方向、すなわち、車本体2の前後方向Dと対応する第2展開方向A2にも展開される(図1〜図5参照)。

    これにより、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態に展開(具体的には片翼6m)される。 また、ばね55の復元力により、主翼5全体が展開した状態に維持される。

    また、主翼5は、ばね55の復元力に抗して、車本体2の車幅方向Cと平行する収縮方向Bに向けて収縮可能で、サイドドア4の翼格納室43に対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる。

    詳述すると、主翼5の中央翼部51が、ばね55の復元力により、車本体2の車幅方向Cと平行する第1展開方向A1に向けて展開されると、前側翼部52及び後側翼部53も、中央翼部51と一緒にばね55の復元力により第1展開方向A1に向けて展開される。 なお、後側翼部53は、飛行機のフラップとしての機能を備えている。

    さらに、翼部51〜53は、上述の第1展開方向A1と直交する方向、すなわち、車本体2の前後方向Dと対応する第2展開方向A2にも展開される。

    上述のように、主翼5全体は、サイドドア4のドア幅よりも幅広に展開されるので、サイドドア4と対応する幅の中央翼部51のみを展開した展開面積に比べて、中央翼部51と、前側翼部52と、後側翼部53とを展開した主翼5全体の展開面積の方が大きく、飛行に際してより大きな揚力を得ることができる。
    この結果、小さな推進力で、大きな揚力を発生させることができる。 また、航続時間や航続距離の延長を図ることができる。

    水平尾翼6は、上述の主翼5と同様に、リブ54と、ばね55と、シート56とを備えており、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態と、サイドドア4の翼格納室43の後部側に対して格納が許容される収縮状態とに伸縮自在に構成している。

    詳述すると、主翼5を左右に展開した際、サイドドア4の翼格納室43に格納した水平尾翼6も、ばね55の復元力により、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1と、第1展開方向A1と直交する第2展開方向A2(車本体2の前後方向D)とに向けて展開される。
    これにより、自動車1の飛行を制御するのに必要な揚力が得られ、自動車1の右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行動作を制御することができる。

    また、ばね55の復元力に抗して、車本体2の車幅方向Cと平行する収縮方向Bに向けて収縮すれば、翼格納室43の後部側に対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる。
    なお、実施形態において、自動車1の飛行を水平尾翼6のみで安定させるが、垂直尾翼を備えてもよく、飛行をより安定させることができる。

    車本体2のフロント側上部には、左右に展開した主翼5を所定の仰角に支持するための支持シャフト7をそれぞれ配置している。 また、支持シャフト7の主翼5と対応する側に突出される突出側端部には、展開した主翼5の前部側をクランプするためのクランプ部材71を取り付けている。

    すなわち、主翼5を左右に展開した際、左右の支持シャフト7を主翼5と対応する方向に向けて所定長さ突出し、クランプ部材71を、左右に展開した主翼5の前部側がクランプされる位置に移動する。

    左右に展開した主翼5を支持シャフト7の突出側端部に載せた際、左右に展開した主翼5の前部側を支持シャフト7のクランプ部材71にてクランプする。 これにより、左右の主翼5を、車本体2のフロント側と対応する主翼5の前部側が高く、後部側が低くなる所定の仰角に支持することができる。

    この結果、主翼5の上下面に沿って流れる気流が上下非対称となり、主翼5の下面よりも上面の方の圧力が低くなるため、自動車1が飛行するのに必要な揚力を効率よく発生させることができる。

    次に、図7を用いて、走行機能と飛行機能とを備えた自動車1の具体的な機能について説明する。 図7は自動車1の走行機能と飛行機能とを説明するブロック図である。

    自動車1は、自動車1を走行させるための走行ユニット20と、自動車1を飛行させるための飛行ユニット30とを備えている。

    走行ユニット20は、走行時および飛行時に操作される兼用型の操作部21と、走行用操舵力伝達機構22と、駆動部23と、走行用動力源24と、モード切替部25とで構成している。

    操作部21は、具体的にステアリングホイールなどで構成され、自動車1に乗り込んだ運転者により操作される。 また、操作部21は、モード切替部25を走行モードに切替え操作した際、自動車1を操舵するためのステアリングホイール(具体的にはハンドル)として機能する。 一方、モード切替部25を飛行モードに切替え操作した際、飛行機を操舵するための操縦桿として機能する。

    走行用操舵力伝達機構22は、操作部21の操作をフロント側の左右車輪3aに伝達し、運転者による操作部21の操作に応じて左右車輪3aを操舵する。
    駆動部23は、具体的にミッションやデファレンシャルギアなどの機構で構成され、走行用動力源24から出力される動力で左右車輪3aを回転する。 なお、フロント側の左右車輪3a及びリア側の左右車輪3bには、図示しないブレーキが備えられている。

    走行用動力源24は、具体的にガソリンエンジンやディーゼルエンジン、電動モータなどの動力発生源で構成され、左右車輪3aを回転するための動力を駆動部23に出力する。
    モード切替部25は、運転者による走行モードと飛行モードとの切替え操作を受け付けるとともに、その切替え操作に応じて、走行ユニット20と飛行ユニット30とに切替え動作する。

    飛行ユニット30は、推進力発生部31と、飛行用動力伝達機構32と、状態検出部33と、動力制御部34と、舵制御部35と、飛行用操舵力伝達機構36と、翼収縮装置37とを備えている。

    推進力発生部31は、車本体2のフロント側に配置した左右車輪3aと対応して、左右前照灯1aの後方側にそれぞれ配置している。 また、推進力発生部31は、飛行用動力伝達機構32により伝達される車輪3aの回転力を利用してプロペラ311を回転させ、自動車が飛行するのに必要な推進力を発生させる。

    飛行用動力伝達機構32は、左右車輪3aの周面に対してそれぞれ押し付けられる一対の動力伝達輪321と、動力伝達輪321を車輪3aの周面に対して接離される方向に相対移動する動力伝達装置322(具体的には油圧シリンダ)とを備えている。

    動力伝達装置322は、車本体2のフロント側に配置した左右車輪3aと対応して該左右車輪3aの後方側上部にそれぞれ配置している。 また、動力伝達装置322は、モード切替部25を走行モードに切替え操作した際、動力伝達輪321を、車輪3aの周面から離間される方向へ移動させ、車輪3aの回転力の伝達が遮断される位置に待機させる。

    一方、モード切替部25を飛行モードに切替え操作した際、動力伝達装置322は、動力伝達輪321を車輪3aの周面に対して押し付けられる方向へ移動させ、車輪3aの回転力が動力伝達輪321に対して伝達される押し付け状態を維持する。 これにより、動力伝達輪321に伝達された車輪3aの回転力が推進力発生部31に伝達される。

    また、動力伝達輪321を車輪3aに押し付ける際、車輪3aを、例えば13cm程度、上方へ移動させて、動力伝達輪321に押し付けてもよい。
    状態検出部33は、走行速度、飛行速度、高度、加速度、走行中、飛行中などを検出し、その検出情報を動力制御部34および舵制御部35に出力する。

    動力制御部34は、状態検出部33から出力される検出情報に基づいて、飛行用動力伝達機構32の制御を行う。 モード切替部25を走行モードから飛行モードへ切替える際、離陸に必要な速度になるまで走行用動力源24を駆動するとともに、車輪3aの回転力を、動力伝達輪321を介して推進力発生部31へ伝達する。 なお、推進力発生部31は、飛行中において、走行用動力源24から出力される動力により連続して駆動される。

    また、モード切替部25を飛行モードから走行モードへ切替える際、着陸時において、急なエンジンブレーキがかからないように走行用動力源24の出力や回転数、駆動部23の変速調整などを行う。

    具体的には、着陸直後において、自動車1の速度が減速するのに伴い、駆動部23の変速比を低くすることで効率的な減速が可能であり、飛行から着陸そして走行へスムーズに移行することができる。

    舵制御部35は、状態検出部33により検出された状態と、操作部21からの操作指示に基づいて水平尾翼6を制御する。 飛行中において、舵制御部35は、運転者による操作部21の操作に応じて、左右一対の水平尾翼6を、右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行動作に適した角度に制御する。
    飛行用操舵力伝達機構36は、操作部21の操作を水平尾翼6に伝達し、運転者による操作部21の操作に応じて水平尾翼6を動作する。

    翼収縮装置37は、主翼5及び水平尾翼6の翼先端に連結されたワイヤ371と、ワイヤ371を巻き取るための巻取り装置372とで構成している。 また、巻取り装置372に巻き取られるワイヤ371は、主翼5及び水平尾翼6の展開動作に応じて第1展開方向A1に向けて繰り出し可能に設けている。

    詳述すると、モード切替部25を走行モードに切替え操作した際、巻取り装置372の駆動により、主翼5及び水平尾翼6に連結したワイヤ371が巻き取られ、その巻取り動作により、ばね55の復元力に抗して、主翼5及び水平尾翼6が収縮方向Bに向けて牽引される。

    これにより、主翼5及び水平尾翼6がサイドドア4の翼格納室43に対して格納が許容される収縮状態に収縮されるとともに、サイドドア4のドア幅よりも幅狭に収縮したまま翼格納室43に格納される。

    一方、モード切替部25を飛行モードに切替え操作した際、巻取り装置372がフリー回転可能となり、主翼5及び水平尾翼6の展開動作に応じてワイヤ371が所定長さ繰り出されるため、主翼5及び水平尾翼6を、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態に展開することができる。

    次に、自動車1を走行形態から飛行形態へ移行する際の動作を説明する。
    先ず、モード切替部25を走行モードから飛行モードに切替え操作して、巻取り装置372をフリー回転可能に設定した後、サイドドア4に設けた翼格納室43の格納扉44を開放して、該翼格納室43に格納された主翼5を、ばね55の復元力により第1展開方向A1に向けて段階的に展開する。

    さらに、上述の第1展開方向A1と直交する方向、すなわち、車本体2の前後方向Dと対応する第2展開方向A2にも展開して、自動車1が飛行するのに必要な揚力を発生させる大きさに展開する(図1〜図5参照)。

    同時に、翼格納室43に格納された水平尾翼6を、ばね55の復元力により、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1と、該第1展開方向A1と直交する第2展開方向A2とに展開して、右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行を制御するのに適した大きさに展開する。

    また、左右に展開した主翼5は、リブ54によって、自動車1が飛行するのに必要な揚力を得ることができる理想的な流線形状に維持されるため、飛行時において、主翼5の翼断面形状が変形しにくく、飛行に必要な揚力を確実に発生させることができる。
    この結果、自動車1が飛行するのに必要な揚力が安定して得られるとともに、所定の翼断面形状を維持するのに必要な強度が得られる。

    また、主翼5を左右に展開した際、左右の支持シャフト7を車幅方向Cに向けて所定長さ突出し、クランプ部材71を、主翼5の前部側がクランプされる位置に移動する。 左右に展開した主翼5を支持シャフト7の突出側端部に載せて、主翼5の前部側を支持シャフト7のクランプ部材71にてクランプする。
    これにより、左右の主翼5が所定の仰角に支持されるので、自動車1が飛行するのに必要な揚力を効率よく発生させることができる。

    さらに、センターピラー45の外側ピラー47を、室外側に向けて主翼5が支持される角度に回動した後、展開した主翼5を外側ピラー47の上端側に載せて、該主翼5の基端側下面部を外側ピラー47のクランプ部材48にてクランプする。 これにより、左右の主翼5が、車本体2の車幅方向Cに展開した状態に支持される。

    次に、自動車1を飛行形態から走行形態へ移行する際、モード切替部25を飛行モードから走行モードに切替え操作して、翼収縮装置37により主翼5及び水平尾翼6に連結したワイヤ371を巻き取るとともに、左右に展開した主翼5及び水平尾翼6を、ばね55の復元力に抗して、車本体2の車幅方向Cと平行する収縮方向Bに向けて収縮する。

    上述のように収縮した主翼5及び水平尾翼6を、収縮状態に収縮したままサイドドア4の翼格納室43に格納し、翼格納室43を格納扉44で閉塞する(図4〜図6参照)。
    つまり、左右の主翼5及び水平尾翼6を収縮状態に収縮してサイドドア4の翼格納室43に格納した後、該翼格納室43を格納扉44で閉塞するため、走行時において、自動車1が受ける空気抵抗をなるべく小さくすることができ、自動車1の走行性が低下することを防止できる。

    さらに、兼用型の操作部21を、走行時及び飛行時において操作するので、走行時用及び飛行時用の操舵手段を独立して設ける必要がなく、操作部21を操作するだけで、走行時における走行方向と、飛行時における飛行方向とを制御することができる。
    この結果、走行時及び飛行時において、安全かつ的確に操舵することができ、誤操舵が起きることを防止できる。

    加えて、道路交通法(交通ルール)が定められているように、本実施形態の自動車1にて飛行する際の高度にもルール(東西南北100m〜200mの違い)を設定すれば、ナビゲーションシステムにより道路上空を飛行するように案内するだけで、飛行時において衝突することを回避できる。
    また、あらたな航路等を設定せずとも安全に運航できる。 この場合、このように、道路上空を飛行し、インターチェンジにて上昇下降するように飛行すれば、自動車1のライセンスを取得するだけで、飛行することが可能となる。
    つまり、操作部21(具体的にはハンドルを引くと上昇し、ハンドルを倒せば下降する)の操作により全自動で飛行すれば、飛行時に事故が起きることを防止できる。
    この結果、上述のルールをもとに、走行機能と飛行機能とを備えた自動車1を運転するためのライセンスを作り、ライセンス取得者に対して許可を与えるようにすれば、所定の交通ルールに従って安全に飛行することができる。

    この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
    この発明の翼展開手段は、ばね55に対応し、
    以下同様に、
    尾翼は、水平尾翼6に対応し、
    翼支持手段は、支持シャフト7に対応し、
    操舵手段は、操作部21に対応し、
    飛行用動力伝達手段は、飛行用動力伝達機構32に対応し、
    翼部は、前側翼部52と、後側翼部53に対応し、
    形状維持部材は、リブ54に対応し、
    翼収縮手段は、翼収縮装置37に対応し、
    翼支持杆は、外側ピラー47に対応し、
    係合部は、クランプ部材48に対応するも、
    この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。

    上述の実施形態では、フロント側の左右車輪3aと、推進力発生部31のプロペラ311とを、一つの走行用動力源24から出力される動力で回転する例を説明したが、例えば左右車輪3aを回転する走行用動力源と、推進力発生部31のプロペラ311を回転する飛行用動力源とを独立して設けてもよい。

    また、左右車輪3aの回転力を動力源として、推進力発生部31のプロペラ311を回転するが、例えばレシプロエンジン、電動モータ等を動力源としてプロペラ311を回転するもよく、また、推進力発生部31を、ジェットエンジンで構成してもよい。

    さらに、左右一対のプロペラ311を、車本体2のリア側に配置してもよい。 さらに、自動車1が飛行するのに必要な推進力を発生させることができる一つのプロペラを、車本体2のフロント側あるいはリア側に配置してもよく、自動車1が飛行するのに必要な推進力を発生させることが可能であれば、実施形態の枚数や配置に限定されるものではない。
    左右のプロペラ311が接触するような大きさであれば、前後方向Dに対して互い違いに配置してもよい。
    さらにまた、主翼5の展開サイズ(例えば車本体2の前後方向Dに展開される幅)は、自動車1の車種によって変更することができる。

    A1…第1展開方向 A2…第2展開方向 B…収縮方向 1…自動車 2…車本体 3a,3b…車輪 4…サイドドア 41…ドア本体 43…翼格納室 44…格納扉 47…外側ピラー 5…主翼 51…中央翼部 52…前側翼部 53…後側翼部 54…リブ 55…ばね 6…水平尾翼 7…支持シャフト 20…走行ユニット 21…操作部 22…走行用操舵力伝達機構 23…駆動部 24…走行用動力源 25…モード切替部 30…飛行ユニット 31…推進力発生部 311…プロペラ 32…飛行用動力伝達機構 321…動力伝達輪 322…動力伝達装置 33…状態検出部 34…動力制御部 35…舵制御部 36…飛行用操舵力伝達機構 37…翼収縮装置

    この発明は、自動車に係る技術に関し、とくに走行と飛行とが可能自動車に関する。

    従来、上述のような飛行可能な自動車としては、例えば主翼と、先尾翼と、垂直尾翼とを備えた空飛ぶ自動車が提案されている(特許文献1参照)。 この空飛ぶ自動車は、胴体に取り付けられた主翼と、先尾翼と、垂直尾翼とを該胴体側へ折り畳んだ後、胴体内に収納された各翼をカウリングにて覆うという構成が開示されている。

    しかし、上述の各翼を、胴体内に対して収納が許容される大きさ及び形状に形成する場合、各翼の面積が胴体内に収まる程度の大きさに制限されるため、自動車が飛行するのに必要な揚力を確保することが難しい。 また、各翼の面積を大きくすれば必要な揚力を確保することができるが、各翼を収納するためのスペースを胴体内に確保することが難しく、翼の一部が胴体から突出することになる。 この結果、走行時において、自動車が受ける空気抵抗が大きくなり、走行性が悪くなるという問題があった。

    特開2004−82992号公報

    この発明は、飛行に必要な揚力を発生する展開状態に展開することができるとともに、サイドドアに対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる主翼を備えた自動車を提供することを目的とする。

    この発明は、走行用動力源から出力される動力で回転する複数の車輪と、飛行に必要な揚力を発生させる左右一対の主翼と、該飛行に必要な推進力を発生させる推進力発生部とを備えた自動車であって、前記車本体の両側部に取り付けたサイドドアに、前記主翼の格納が許容される翼格納室と、該翼格納室の開口部に対して開閉自在に取り付けられた格納扉とを備え、前記主翼を、前記サイドドアの翼格納室に対して格納が許容される収縮状態と、前記飛行に必要な揚力を発生させる展開状態とに伸縮自在に設けるとともに、前記主翼に、前記車本体の前後方向と交差する第1展開方向に向けて該主翼を展開する翼展開手段を備え、前記車本体のフロント側と対応する前記主翼の前部側と、該車本体のリア側と対応する前記主翼の後部側とのうち少なくとも一方に、前記主翼の前記第1展開方向に向けて展開されるとともに、該第1展開方向と交差する第2展開方向に向けて展開される翼部を備えたことを特徴とする。

    この発明によれば、左右一対の主翼を、飛行に必要な揚力を発生する展開状態に展開することができるとともに、サイドドアに対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる。

    詳述すると、飛行する際、サイドドアに設けた翼格納室の格納扉を開放して、該翼格納室に格納された主翼を、翼展開手段により車本体の前後方向と交差する第1展開方向に向けて展開するとともに、自動車が飛行するのに必要な揚力を発生することができる展開状態に展開する。

    左右一対の主翼を第1展開方向に向けて展開する際、主翼の第1展開方向と直交する前部側と後部側との少なくとも一方に配置した翼部を、主翼の展開動作により第1展開方向に向けて一緒に展開するとともに、翼部を、主翼の第1展開方向と交差する第2展開方向(具体的には自動車の前後方向)に向けて展開する。

    これにより、左右に展開した主翼により、自動車が飛行するのに必要な揚力を発生させることができ、推進力発生部が発生する推進力により飛行させることができる。

    さらに、例えばサイドドアと対応する幅の翼部を展開した展開面積に比べて、主翼と翼部とを合わせて展開した翼全体の展開面積の方が大きく、飛行に際してより大きな揚力が得られる。

    したがって、小さな推進力で、大きな揚力を発生させることができる。 また、航続時間や航続距離の延長を図ることができる。

    また、走行する際、左右に展開した主翼を、サイドドアの翼格納室に対して格納が許容される収縮状態に収縮するとともに、該主翼を収縮したまま翼格納室に格納して、翼格納室の開口部を格納扉で閉塞する。

    すなわち、主翼を収縮状態に収縮してサイドドアの翼格納室に格納した後、該翼格納室を格納扉で閉塞するため、走行時において、自動車が受ける空気抵抗を小さくすることができる。

    この結果、飛行に際しては、自動車が飛行するのに必要な揚力が安定して得られる。 また、走行に際しては、自動車が受ける空気抵抗をなるべく小さくして、走行性が低下することを防止し、燃費の向上を図ることができる。

    上述の交差とは、例えば車本体の前後方向に対して鋭角に交差する方向、該前後方向に対して直交する方向等を含むものである。 また、走行用動力源は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン、電動モータ等で構成することができる。 また、推進力発生部は、例えばレシプロエンジンや電動モータなどで回転するプロペラ、ジェットエンジン等で構成することができる。

    の発明の態様として、前記車本体の両側部に、展開した状態の前記主翼を支持する翼支持杆を備え、前記翼支持杆を、前記車本体の側部に格納される格納角度と、前記主翼が展開した状態に支持される支持角度とに、前記車本体の車幅方向に向けて揺動可能に設けるとともに、前記翼支持杆の上端に、展開した前記主翼の下面に対して係合される係合部を備えることができる。

    この発明によれば、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が得られる状態に安定して支持することができる。
    詳述すると、主翼を展開した際、車本体の側部に格納された翼支持杆を、主翼を展開した状態に支持する支持角度に回動し、左右に展開した主翼を翼支持杆の上端に載せて、翼支持杆の係合部を主翼の下面に係合する。 これにより、左右の主翼が展開した状態に支持される。

    この結果、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が効力よく得られる理想的な状態に支持することができる。 また、揚力を得るために必要な強度も確保することができる。 さらに、翼支持杆を、車本体の側部に格納することにより、車本体の側部が補強され、走行に必要な強度を確保することができる。

    また、この発明の態様として、前記車本体のフロント側上部に、前記左右に展開した主翼を所定の仰角に支持する翼支持手段を備えることができる。
    この発明によれば、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が発生しやすい仰角に支持することができる。

    詳述すると、主翼を展開した際、翼支持手段により所定の仰角に支持するので、主翼の上下面に沿って流れる気流が上下非対称となり、主翼の下面よりも上面の方の圧力が低くなるため、自動車が飛行するのに必要なより大きな揚力を発生させることができる。 また、主翼を所定の仰角に支持するのに必要な強度が得られる。

    この結果、自動車が飛行するのに必要な揚力を効率よく発生させることができる。
    上述の翼支持手段は、例えばクランプ部材を備えた支持シャフト、油圧式の支持装置等で構成することができる。

    また、この発明の態様として、前記主翼に、前記主翼の第1展開方向に対して所定間隔を隔てて配置され、該第1展開方向と直交する翼断面形状を前記飛行に必要な揚力が発生しやすい形状に維持する形状維持部材を備えることができる。

    この発明によれば、左右に展開した主翼を、自動車が飛行するのに必要な揚力が発生しやすい理想的な翼断面形状に維持することができる。
    詳述すると、形状維持部材によって、左右の主翼を、飛行に必要な揚力が発生しやすい理想的な翼断面形状(具体的には流線形状)に維持するため、飛行時において、主翼の翼断面形状が変形しにくく、飛行に必要な揚力を確実に発生させることができる。
    この結果、自動車が飛行するのに必要な揚力が安定して得られるとともに、所定の翼断面形状を維持するのに必要な強度が得られる。

    また、この発明の態様として、前記車本体に、展開した前記主翼を前記翼格納室に対して格納が許容される収縮状態に該展開した前記主翼を収縮させる翼収縮手段を備えることができる。
    この発明によれば、左右に展開した主翼を、サイドドアの翼格納室に格納する動作が機械的に行える。

    詳述すると、左右に展開した主翼を、翼収縮手段により翼格納室に対して格納が許容される収縮状態に収縮するとともに、該主翼を収縮状態のまま翼格納室に格納する。
    この結果、左右の主翼を、運転者の手で収縮状態に収縮して翼格納室に格納するような手間及び作業が省け、翼格納室に格納する動作が機械的に行える。

    また、この発明の態様として、前記走行用動力源から出力される動力を、前記推進力発生部に伝達する飛行用動力伝達手段を備えることができる。
    この発明によれば、自動車に搭載する動力源の数が少なくて済み、自動車全体の構造を簡素化することができる。

    詳述すると、一つの走行用動力源から出力される動力により自動車の駆動用車輪を回転させ、その駆動用車輪の回転により自動車を走行させる。 また、走行用動力源から出力される動力により推進力発生部を駆動して、自動車が飛行するのに必要な推進力を発生させる。
    この結果、例えば走行用動力源と飛行用動力源とを搭載するよりも、自動車全体の重量が軽くなり、航続時間や航続距離をさらに延長することができる。

    また、この発明の態様として、前記車本体のリア側と対応する前記サイドドアの後部側に、前記飛行を安定させるための尾翼を備えることができる。
    この発明によれば、飛行時における操縦性が向上し、安定した飛行が行える。

    詳述すると、左右の主翼を展開した際、左右の尾翼も第1展開方向と第2展開方向とに向けて展開するので、左右の尾翼を所望する角度に操舵すれば、例えば右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行を制御することができる。

    この結果、飛行時において、自動車を所望する方向に向けて安定して飛行させることができる。
    上述の尾翼は、例えば水平尾翼、垂直尾翼のいずれか一方又は両方にて構成することができる。

    また、この発明の態様として、前記車本体に、前記自動車の走行時および飛行時において操舵される兼用型の操舵手段を備えることができる。
    この発明によれば、一つの操舵手段を、走行時において自動車の走行方向を制御するためのステアリングホイールとして操作することができる。 また、飛行時において飛行方向を制御するための操縦桿として操作することができる。
    これにより、走行時用の操舵手段と、飛行時用の操舵手段とを設ける必要がなく、一つの操舵手段を操作するだけで、走行時における走行方向と、飛行時における飛行方向とを制御することができる。

    この結果、走行時及び飛行時において、安全かつ的確に操舵することができ、誤操舵が起きることを防止できる。

    この発明によれば、飛行に必要な揚力を発生する展開状態に展開することができるとともに、サイドドアに対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる主翼を備えた自動車を提供することができる。

    左右の主翼を展開した自動車の平面図。

    左右の主翼を展開した自動車の正面図。

    主翼を展開した自動車の側面図。

    サイドドアの構造説明図。

    左右の主翼を展開する動作及び収縮する動作の説明図。

    左右の主翼をサイドドアに格納した自動車の平面図。

    自動車の走行機能と飛行機能とを説明するブロック図。

    この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
    図1は左右の主翼5を展開した自動車1の平面図、図2は左右の主翼5を展開した自動車1の正面図、図3は主翼5を展開した自動車1の側面図、図4はサイドドア4の構造説明図、図5は左右の主翼5を展開する動作及び収縮する動作の説明図、図6は左右の主翼5をサイドドア4に格納した自動車1の平面図である。

    本実施形態の自動車1は、車本体2のフロント側に配置した左右車輪3a及びリア側に配置した左右車輪3bと、走行時には車本体2の両側部に取り付けたサイドドア4に格納されており、飛行時において飛行に必要な揚力を発生する展開状態に伸縮される左右一対の主翼5及び左右一対の水平尾翼6を備えている。

    主翼5及び水平尾翼6は、サイドドア4の翼格納室43に対して格納が許容される収縮状態(図4〜図6参照)と、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態とに伸縮自在に構成されている(図1〜図3参照)。
    なお、水平尾翼6は、車本体2のリア側と対応するサイドドア4の後部側に配置している。

    サイドドア4は、車本体2の両側部に開口した乗降用開口部2aに対して図示しない連結部材にて前後開閉自在に連結されるとともに、その連結部材を回動中心として、車本体2の前後方向Dに向けて前後開閉自在に取り付けている。 また、サイドドア4は、ドア本体41の内部に配置した仕切り板42により室内側と室外側とに分割している(図4参照)。

    なお、サイドドア4は、4ドアの前部ドアと後部ドアとを合わせて1枚のドアに構成している。 また、サイドドア4は、乗降者の手動操作により上下開閉するが、例えば油圧式の開閉装置により上下開閉してもよい。

    ドア本体41の室内側は、内装を施すなどして、車内の一部を構成している。 一方、ドア本体41の室外側には、主翼5と水平尾翼6との格納が許容される大きさ及び形状に形成した翼格納室43を設けている。

    翼格納室43の開口部には、該翼格納室43の開口部全体が閉塞される大きさ及び形状に形成した格納扉44を開閉自在に取り付けている。
    格納扉44の前縁部は、図示しない連結部材を介して翼格納室43の開口側前縁部に枢着されており、その連結部材を回動中心として、格納扉44を、車本体2の前後方向Dに向けて前後開閉自在に取り付けている。

    さらに、格納扉44の前縁部は、図示しない連結部材(具体的には上下動可能な自在継手)を介して翼格納室43の開口側前縁部に連結されており、その連結部材を回動中心として、車本体2の上下方向に向けて昇降自在に取り付けるとともに、ドアの窓部が車本体2のリア側に向いた倒伏姿勢と、該ドアの窓部が上向きとなる起立姿勢とに前後回動自在に取り付けている(図5参照)。
    これにより、格納扉44を、主翼5の展開が許容される開角度と、翼格納室43が閉塞される閉角度とに上下開閉自在に取り付けている。

    翼格納室43の中央部には、乗降用開口部2aを支持するための強度及び構造を有するセンターピラー45が取り付けられている。 このセンターピラー45は、自動車1の室内側に配置した内側ピラー46と、室外側に配置した外側ピラー47とに分割可能に構成している(図2、図3参照)。

    一方の内側ピラー46は、乗降用開口部2aを支持するのに必要な強度を備えており、該乗降用開口部2aの中央が支持される位置に配置している。
    他方の外側ピラー47は、主翼5が展開した状態に支持される長さ及び剛性を有している。 外側ピラー47の下端部は、図示しない連結部材を介して内側ピラー46の下端部に枢着されており、その連結部材を回動中心として、外側ピラー47を、主翼5が展開した状態に支持される支持角度と、翼格納室43に対して格納される格納角度とに、車本体2の車幅方向Cに向けて左右揺動可能に設けている。

    また、外側ピラー47の上端部には、左右に展開した主翼5の基端側下面部をクランプするためのクランプ部材48を取り付けている。
    すなわち、外側ピラー47を、展開した状態の主翼5を支持する支持角度に回動した際、図示しないストッパにて室外側斜め上方に向けて突出した角度に回動規制される。 また、外側ピラー47を、翼格納室43に対して格納される格納角度に回動した際、図示しないストッパにて内側ピラー46に対して一体的に嵌合した状態に回動規制される。

    詳述すると、主翼5を展開した際、センターピラー45の外側ピラー47を、主翼5が展開した状態に支持される支持角度に回動した後、展開した主翼5を外側ピラー47の上端側に載せて、該主翼5の基端側下面部を外側ピラー47のクランプ部材48にてクランプする。 これにより、左右の主翼5が第1展開方向A1に展開した状態に支持される。

    この結果、左右に展開した主翼5を、自動車1が飛行するのに必要な揚力が効率よく得られる理想的な状態に支持することができる。 また、揚力を得るために必要な強度も確保することができる。

    さらに、外側ピラー47を、翼格納室43に対して格納される格納角度に回動して、内側ピラー46に対して一体的に嵌合することにより、車本体2の乗降用開口部2aが補強され、走行に必要な強度を確保することができる。

    主翼5は、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1に向けて展開される中央翼部51と、車本体2のフロント側と対応して中央翼部51の前部側に配置した前側翼部52と、車本体2のリア側と対応して中央翼部51の後部側に配置した後側翼部53とで構成している。
    また、主翼5の基端部は、乗降用開口部2aの上縁部に対して図示しない連結部材にて連結され、車本体2の車幅方向Cに向けて上下回動自在に取り付けている。

    翼部51,52,53は、自動車1が飛行するのに必要な揚力を発生させる形状に維持するためのリブ54と、車本体2の車幅方向Cと対応する第1展開方向A1及び前後方向Dと対応する第2展開方向A2に向けて展開するための復元力が蓄積された複数のばね55と、主翼5全体を覆う大きさに形成した柔軟な薄さを有するシート56とを備えている。
    なお、中央翼部51の車本体2の前後方向Dと対応する幅は、サイドドア4のドア幅と対応する寸法に形成している。

    リブ54は、翼部51〜53の内部に複数配置され、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1に対して所定間隔を隔てて配列している。 また、リブ54は、主翼5の第1展開方向A1から見て滑らかな流線形状に形成している。

    すなわち、リブ54は、主翼5の第1展開方向A1と直交する翼断面形状を、飛行に必要な揚力が発生しやすい理想的な流線形状を維持するとともに、その流線形状を維持するために必要な復元力と剛性を有している。

    ばね55は、翼部51〜53内部に配列したリブ54の間に配置され、上述の第1展開方向A1に対して所定間隔を隔てて配列している。 また、ばね55の第1展開方向A1と対応する端部は、図示しない蝶番にて連結している。 さらに、ばね55には、翼部51〜53を車本体2の車幅方向C及び前後方向Dと対応する方向に向けて展開するのに必要な復元力が蓄積されている。

    すなわち、主翼5は、ばね55の復元力により、車本体2の車幅方向Cと平行する第1展開方向A1に向けて段階的(具体的には2段階、3段階)に展開される。 さらに、上述の第1展開方向A1と直交する方向、すなわち、車本体2の前後方向Dと対応する第2展開方向A2にも展開される(図1〜図5参照)。

    これにより、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態に展開(具体的には片翼6m)される。 また、ばね55の復元力により、主翼5全体が展開した状態に維持される。

    また、主翼5は、ばね55の復元力に抗して、車本体2の車幅方向Cと平行する収縮方向Bに向けて収縮可能で、サイドドア4の翼格納室43に対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる。

    詳述すると、主翼5の中央翼部51が、ばね55の復元力により、車本体2の車幅方向Cと平行する第1展開方向A1に向けて展開されると、前側翼部52及び後側翼部53も、中央翼部51と一緒にばね55の復元力により第1展開方向A1に向けて展開される。 なお、後側翼部53は、飛行機のフラップとしての機能を備えている。

    さらに、翼部51〜53は、上述の第1展開方向A1と直交する方向、すなわち、車本体2の前後方向Dと対応する第2展開方向A2にも展開される。

    上述のように、主翼5全体は、サイドドア4のドア幅よりも幅広に展開されるので、サイドドア4と対応する幅の中央翼部51のみを展開した展開面積に比べて、中央翼部51と、前側翼部52と、後側翼部53とを展開した主翼5全体の展開面積の方が大きく、飛行に際してより大きな揚力を得ることができる。
    この結果、小さな推進力で、大きな揚力を発生させることができる。 また、航続時間や航続距離の延長を図ることができる。

    水平尾翼6は、上述の主翼5と同様に、リブ54と、ばね55と、シート56とを備えており、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態と、サイドドア4の翼格納室43の後部側に対して格納が許容される収縮状態とに伸縮自在に構成している。

    詳述すると、主翼5を左右に展開した際、サイドドア4の翼格納室43に格納した水平尾翼6も、ばね55の復元力により、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1と、第1展開方向A1と直交する第2展開方向A2(車本体2の前後方向D)とに向けて展開される。
    これにより、自動車1の飛行を制御するのに必要な揚力が得られ、自動車1の右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行動作を制御することができる。

    また、ばね55の復元力に抗して、車本体2の車幅方向Cと平行する収縮方向Bに向けて収縮すれば、翼格納室43の後部側に対して格納が許容される収縮状態に収縮することができる。
    なお、実施形態において、自動車1の飛行を水平尾翼6のみで安定させるが、垂直尾翼を備えてもよく、飛行をより安定させることができる。

    車本体2のフロント側上部には、左右に展開した主翼5を所定の仰角に支持するための支持シャフト7をそれぞれ配置している。 また、支持シャフト7の主翼5と対応する側に突出される突出側端部には、展開した主翼5の前部側をクランプするためのクランプ部材71を取り付けている。

    すなわち、主翼5を左右に展開した際、左右の支持シャフト7を主翼5と対応する方向に向けて所定長さ突出し、クランプ部材71を、左右に展開した主翼5の前部側がクランプされる位置に移動する。

    左右に展開した主翼5を支持シャフト7の突出側端部に載せた際、左右に展開した主翼5の前部側を支持シャフト7のクランプ部材71にてクランプする。 これにより、左右の主翼5を、車本体2のフロント側と対応する主翼5の前部側が高く、後部側が低くなる所定の仰角に支持することができる。

    この結果、主翼5の上下面に沿って流れる気流が上下非対称となり、主翼5の下面よりも上面の方の圧力が低くなるため、自動車1が飛行するのに必要な揚力を効率よく発生させることができる。

    次に、図7を用いて、走行機能と飛行機能とを備えた自動車1の具体的な機能について説明する。 図7は自動車1の走行機能と飛行機能とを説明するブロック図である。

    自動車1は、自動車1を走行させるための走行ユニット20と、自動車1を飛行させるための飛行ユニット30とを備えている。

    走行ユニット20は、走行時および飛行時に操作される兼用型の操作部21と、走行用操舵力伝達機構22と、駆動部23と、走行用動力源24と、モード切替部25とで構成している。

    操作部21は、具体的にステアリングホイールなどで構成され、自動車1に乗り込んだ運転者により操作される。 また、操作部21は、モード切替部25を走行モードに切替え操作した際、自動車1を操舵するためのステアリングホイール(具体的にはハンドル)として機能する。 一方、モード切替部25を飛行モードに切替え操作した際、飛行機を操舵するための操縦桿として機能する。

    走行用操舵力伝達機構22は、操作部21の操作をフロント側の左右車輪3aに伝達し、運転者による操作部21の操作に応じて左右車輪3aを操舵する。
    駆動部23は、具体的にミッションやデファレンシャルギアなどの機構で構成され、走行用動力源24から出力される動力で左右車輪3aを回転する。 なお、フロント側の左右車輪3a及びリア側の左右車輪3bには、図示しないブレーキが備えられている。

    走行用動力源24は、具体的にガソリンエンジンやディーゼルエンジン、電動モータなどの動力発生源で構成され、左右車輪3aを回転するための動力を駆動部23に出力する。
    モード切替部25は、運転者による走行モードと飛行モードとの切替え操作を受け付けるとともに、その切替え操作に応じて、走行ユニット20と飛行ユニット30とに切替え動作する。

    飛行ユニット30は、推進力発生部31と、飛行用動力伝達機構32と、状態検出部33と、動力制御部34と、舵制御部35と、飛行用操舵力伝達機構36と、翼収縮装置37とを備えている。

    推進力発生部31は、車本体2のフロント側に配置した左右車輪3aと対応して、左右前照灯1aの後方側にそれぞれ配置している。 また、推進力発生部31は、飛行用動力伝達機構32により伝達される車輪3aの回転力を利用してプロペラ311を回転させ、自動車が飛行するのに必要な推進力を発生させる。

    飛行用動力伝達機構32は、左右車輪3aの周面に対してそれぞれ押し付けられる一対の動力伝達輪321と、動力伝達輪321を車輪3aの周面に対して接離される方向に相対移動する動力伝達装置322(具体的には油圧シリンダ)とを備えている。

    動力伝達装置322は、車本体2のフロント側に配置した左右車輪3aと対応して該左右車輪3aの後方側上部にそれぞれ配置している。 また、動力伝達装置322は、モード切替部25を走行モードに切替え操作した際、動力伝達輪321を、車輪3aの周面から離間される方向へ移動させ、車輪3aの回転力の伝達が遮断される位置に待機させる。

    一方、モード切替部25を飛行モードに切替え操作した際、動力伝達装置322は、動力伝達輪321を車輪3aの周面に対して押し付けられる方向へ移動させ、車輪3aの回転力が動力伝達輪321に対して伝達される押し付け状態を維持する。 これにより、動力伝達輪321に伝達された車輪3aの回転力が推進力発生部31に伝達される。

    また、動力伝達輪321を車輪3aに押し付ける際、車輪3aを、例えば13cm程度、上方へ移動させて、動力伝達輪321に押し付けてもよい。
    状態検出部33は、走行速度、飛行速度、高度、加速度、走行中、飛行中などを検出し、その検出情報を動力制御部34および舵制御部35に出力する。

    動力制御部34は、状態検出部33から出力される検出情報に基づいて、飛行用動力伝達機構32の制御を行う。 モード切替部25を走行モードから飛行モードへ切替える際、離陸に必要な速度になるまで走行用動力源24を駆動するとともに、車輪3aの回転力を、動力伝達輪321を介して推進力発生部31へ伝達する。 なお、推進力発生部31は、飛行中において、走行用動力源24から出力される動力により連続して駆動される。

    また、モード切替部25を飛行モードから走行モードへ切替える際、着陸時において、急なエンジンブレーキがかからないように走行用動力源24の出力や回転数、駆動部23の変速調整などを行う。

    具体的には、着陸直後において、自動車1の速度が減速するのに伴い、駆動部23の変速比を低くすることで効率的な減速が可能であり、飛行から着陸そして走行へスムーズに移行することができる。

    舵制御部35は、状態検出部33により検出された状態と、操作部21からの操作指示に基づいて水平尾翼6を制御する。 飛行中において、舵制御部35は、運転者による操作部21の操作に応じて、左右一対の水平尾翼6を、右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行動作に適した角度に制御する。
    飛行用操舵力伝達機構36は、操作部21の操作を水平尾翼6に伝達し、運転者による操作部21の操作に応じて水平尾翼6を動作する。

    翼収縮装置37は、主翼5及び水平尾翼6の翼先端に連結されたワイヤ371と、ワイヤ371を巻き取るための巻取り装置372とで構成している。 また、巻取り装置372に巻き取られるワイヤ371は、主翼5及び水平尾翼6の展開動作に応じて第1展開方向A1に向けて繰り出し可能に設けている。

    詳述すると、モード切替部25を走行モードに切替え操作した際、巻取り装置372の駆動により、主翼5及び水平尾翼6に連結したワイヤ371が巻き取られ、その巻取り動作により、ばね55の復元力に抗して、主翼5及び水平尾翼6が収縮方向Bに向けて牽引される。

    これにより、主翼5及び水平尾翼6がサイドドア4の翼格納室43に対して格納が許容される収縮状態に収縮されるとともに、サイドドア4のドア幅よりも幅狭に収縮したまま翼格納室43に格納される。

    一方、モード切替部25を飛行モードに切替え操作した際、巻取り装置372がフリー回転可能となり、主翼5及び水平尾翼6の展開動作に応じてワイヤ371が所定長さ繰り出されるため、主翼5及び水平尾翼6を、自動車1が飛行するのに必要な揚力が得られる展開状態に展開することができる。

    次に、自動車1を走行形態から飛行形態へ移行する際の動作を説明する。
    先ず、モード切替部25を走行モードから飛行モードに切替え操作して、巻取り装置372をフリー回転可能に設定した後、サイドドア4に設けた翼格納室43の格納扉44を開放して、該翼格納室43に格納された主翼5を、ばね55の復元力により第1展開方向A1に向けて段階的に展開する。

    さらに、上述の第1展開方向A1と直交する方向、すなわち、車本体2の前後方向Dと対応する第2展開方向A2にも展開して、自動車1が飛行するのに必要な揚力を発生させる大きさに展開する(図1〜図5参照)。

    同時に、翼格納室43に格納された水平尾翼6を、ばね55の復元力により、車本体2の前後方向Dと交差する第1展開方向A1と、該第1展開方向A1と直交する第2展開方向A2とに展開して、右旋回、左旋回、上昇、下降などの飛行を制御するのに適した大きさに展開する。

    また、左右に展開した主翼5は、リブ54によって、自動車1が飛行するのに必要な揚力を得ることができる理想的な流線形状に維持されるため、飛行時において、主翼5の翼断面形状が変形しにくく、飛行に必要な揚力を確実に発生させることができる。
    この結果、自動車1が飛行するのに必要な揚力が安定して得られるとともに、所定の翼断面形状を維持するのに必要な強度が得られる。

    また、主翼5を左右に展開した際、左右の支持シャフト7を車幅方向Cに向けて所定長さ突出し、クランプ部材71を、主翼5の前部側がクランプされる位置に移動する。 左右に展開した主翼5を支持シャフト7の突出側端部に載せて、主翼5の前部側を支持シャフト7のクランプ部材71にてクランプする。
    これにより、左右の主翼5が所定の仰角に支持されるので、自動車1が飛行するのに必要な揚力を効率よく発生させることができる。

    さらに、センターピラー45の外側ピラー47を、室外側に向けて主翼5が支持される角度に回動した後、展開した主翼5を外側ピラー47の上端側に載せて、該主翼5の基端側下面部を外側ピラー47のクランプ部材48にてクランプする。 これにより、左右の主翼5が、車本体2の車幅方向Cに展開した状態に支持される。

    次に、自動車1を飛行形態から走行形態へ移行する際、モード切替部25を飛行モードから走行モードに切替え操作して、翼収縮装置37により主翼5及び水平尾翼6に連結したワイヤ371を巻き取るとともに、左右に展開した主翼5及び水平尾翼6を、ばね55の復元力に抗して、車本体2の車幅方向Cと平行する収縮方向Bに向けて収縮する。

    上述のように収縮した主翼5及び水平尾翼6を、収縮状態に収縮したままサイドドア4の翼格納室43に格納し、翼格納室43を格納扉44で閉塞する(図4〜図6参照)。
    つまり、左右の主翼5及び水平尾翼6を収縮状態に収縮してサイドドア4の翼格納室43に格納した後、該翼格納室43を格納扉44で閉塞するため、走行時において、自動車1が受ける空気抵抗をなるべく小さくすることができ、自動車1の走行性が低下することを防止できる。

    さらに、兼用型の操作部21を、走行時及び飛行時において操作するので、走行時用及び飛行時用の操舵手段を独立して設ける必要がなく、操作部21を操作するだけで、走行時における走行方向と、飛行時における飛行方向とを制御することができる。
    この結果、走行時及び飛行時において、安全かつ的確に操舵することができ、誤操舵が起きることを防止できる。

    加えて、道路交通法(交通ルール)が定められているように、本実施形態の自動車1にて飛行する際の高度にもルール(東西南北100m〜200mの違い)を設定すれば、ナビゲーションシステムにより道路上空を飛行するように案内するだけで、飛行時において衝突することを回避できる。
    また、あらたな航路等を設定せずとも安全に運航できる。 この場合、このように、道路上空を飛行し、インターチェンジにて上昇下降するように飛行すれば、自動車1のライセンスを取得するだけで、飛行することが可能となる。
    つまり、操作部21(具体的にはハンドルを引くと上昇し、ハンドルを倒せば下降する)の操作により全自動で飛行すれば、飛行時に事故が起きることを防止できる。
    この結果、上述のルールをもとに、走行機能と飛行機能とを備えた自動車1を運転するためのライセンスを作り、ライセンス取得者に対して許可を与えるようにすれば、所定の交通ルールに従って安全に飛行することができる。

    この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
    この発明の翼展開手段は、ばね55に対応し、
    以下同様に、
    尾翼は、水平尾翼6に対応し、
    翼支持手段は、支持シャフト7に対応し、
    操舵手段は、操作部21に対応し、
    飛行用動力伝達手段は、飛行用動力伝達機構32に対応し、
    翼部は、前側翼部52と、後側翼部53に対応し、
    形状維持部材は、リブ54に対応し、
    翼収縮手段は、翼収縮装置37に対応し、
    翼支持杆は、外側ピラー47に対応し、
    係合部は、クランプ部材48に対応するも、
    この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。

    上述の実施形態では、フロント側の左右車輪3aと、推進力発生部31のプロペラ311とを、一つの走行用動力源24から出力される動力で回転する例を説明したが、例えば左右車輪3aを回転する走行用動力源と、推進力発生部31のプロペラ311を回転する飛行用動力源とを独立して設けてもよい。

    また、左右車輪3aの回転力を動力源として、推進力発生部31のプロペラ311を回転するが、例えばレシプロエンジン、電動モータ等を動力源としてプロペラ311を回転するもよく、また、推進力発生部31を、ジェットエンジンで構成してもよい。

    さらに、左右一対のプロペラ311を、車本体2のリア側に配置してもよい。 さらに、自動車1が飛行するのに必要な推進力を発生させることができる一つのプロペラを、車本体2のフロント側あるいはリア側に配置してもよく、自動車1が飛行するのに必要な推進力を発生させることが可能であれば、実施形態の枚数や配置に限定されるものではない。
    左右のプロペラ311が接触するような大きさであれば、前後方向Dに対して互い違いに配置してもよい。
    さらにまた、主翼5の展開サイズ(例えば車本体2の前後方向Dに展開される幅)は、自動車1の車種によって変更することができる。

    A1…第1展開方向 A2…第2展開方向 B…収縮方向 1…自動車 2…車本体 3a,3b…車輪 4…サイドドア 41…ドア本体 43…翼格納室 44…格納扉 47…外側ピラー 5…主翼 51…中央翼部 52…前側翼部 53…後側翼部 54…リブ 55…ばね 6…水平尾翼 7…支持シャフト 20…走行ユニット 21…操作部 22…走行用操舵力伝達機構 23…駆動部 24…走行用動力源 25…モード切替部 30…飛行ユニット 31…推進力発生部 311…プロペラ 32…飛行用動力伝達機構 321…動力伝達輪 322…動力伝達装置 33…状態検出部 34…動力制御部 35…舵制御部 36…飛行用操舵力伝達機構 37…翼収縮装置

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