Polypeptide cartilage-inducing factor in the bone

申请号 JP15527085 申请日 1985-07-16 公开(公告)号 JPH0794474B2 公开(公告)日 1995-10-11
申请人 セルトリックス ファーマスーティカルズ インク; 发明人 セイド・セイエデイン; トマス・トマス;
摘要 Two polypeptide factors that are found in bone and that have chondrogenic/osteogenic activity and TGF- beta activity are described. Each has a molecular weight of approximately 26,000 daltons by SDS-PAGE. Each reduces to a single polypeptide indicating that the factors are probably homodimers. One has an N-terminal sequence identical to that of human placenta-derived TGF- beta , whereas the other has an N-terminal sequence that is different from that of TGF- beta derived from human placenta. The two factors are purified to homogeneity using RP-HPLC or acetic acid-urea gel electrophoresis.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】(a)哺乳類の骨に存在し、(b)軟骨形成を誘発するための共同因子であり、(c)TGF−βアッセイで活性を示し、(d)SDS−PAGEで測定した分子量が約26,000ダルトンの二量体であって、(e)前記二量体の各々の鎖が以下に示すN末端配列 Ala−Leu−Asp−Ala−Ala−Tyr−Cys−Phe−Arg−Asn−
    Val−Gln−Asp−Asn−Cys−Cys−Leu−Arg−Pro−Leu−
    Tyr−Ile−Asp−Phe−Lys−Arg−Asp−Leu−Gly−Trp− を有することを特徴とする、ポリペプチド軟骨誘導因子。
  • 【請求項2】前記骨が牛骨であることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の因子。
  • 【請求項3】(a)哺乳類の骨に存在し、(b)軟骨形成を誘発するための共同因子であり、(c)TGF−βアッセイで活性を示し、(d)SDS−PAGEで測定した分子量が約26,000ダルトンの二量体であって、(e)前記二量体の各々の鎖が以下に示すN末端配列 Ala−Leu−Asp−Ala−Ala−Tyr−Cys−Phe−Arg−Asn−
    Val−Gln−Asp−Asn−Cys−Cys−Leu−Arg−Pro−Leu−
    Tyr−Ile−Asp−Phe−Lys−Arg−Asp−Leu−Gly−Trp− を有するポリペプチド軟骨誘導因子を少くとも含むことを特徴とする軟骨形成及び骨形成誘導用移植組成物。
  • 【請求項4】前記骨が牛骨であることを特徴とする特許請求の範囲第3項に記載の移植組成物。
  • 【請求項5】(a)哺乳類の骨に存在し、(b)軟骨形成を誘発するための共同因子であり、(c)TGF−βアッセイで活性を示し、(d)SDS−PAGEで測定した分子量が約26,000ダルトンの二量体であって、(e)前記二量体の各々の鎖が以下に示すN末端配列 Ala−Leu−Asp−Ala−Ala−Tyr−Cys−Phe−Arg−Asn−
    Val−Gln−Asp−Asn−Cys−Cys−Leu−Arg−Pro−Leu−
    Tyr−Ile−Asp−Phe−Lys−Arg−Asp−Leu−Gly−Trp− を有するポリペプチド軟骨誘導因子を少くとも含み、該因子の活性化試剤又は共同因子を含まないことを特徴とする結合組織沈着促進用移植組成物。
  • 【請求項6】前記骨が牛骨であることを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の移植組成物。
  • 【請求項7】(a)哺乳類の骨に存在し、軟骨形成を誘発するための共同因子であり、TGF−βアッセイで活性を示し、SDS−PAGEで測定した分子量が約26,000ダルトンの二量体であって、前記二量体の各々の鎖が以下に示すN末端配列 Ala−Leu−Asp−Ala−Ala−Tyr−Cys−Phe−Arg−Asn−
    Val−Gln−Asp−Asn−Cys−Cys−Leu−Arg−Pro−Leu−
    Tyr−Ile−Asp−Phe−Lys−Arg−Asp−Leu−Gly−Trp− を有するポリペプチド軟骨誘導因子を少くとも含み、さらに、 (b)TGF−β活性化試剤を含むことを特徴とする、正常な動物細胞の増殖促進用組成物。
  • 【請求項8】前記骨が牛骨であることを特徴とする特許請求の範囲第7項に記載の組成物。
  • 【請求項9】(a)無機成分を除去した骨を非繊維状蛋白質を可溶化するカオトロピズム抽出剤で処理し、 (b)工程(a)からの抽出物をゲルろ過して分子量1
    0,000〜40,000ダルトンの蛋白質を含むフラクションを回収し、 (c)工程(b)からのフラクションをpH約4.5〜5.5の変性条件下でカルボキシメチルセルロース・カチオン交換体に吸着させ、 (d)前記吸着フラクションを濃度勾配をつけた塩化ナトリウム溶液を使って前記カチオン交換体から溶出し、 (e)塩化ナトリウム濃度約150〜250mMで溶出する工程(d)の溶出物をRP−HPLC又は非変性ゲル電気泳動に供し、そして (f)RP−HPLC又は非変性ゲル電気泳動からポリペプチド軟骨誘導因子を回収する工程から成ることを特徴とする、哺乳類の骨に存在し、軟骨形成を誘発するための共同因子であり、TGF−βアッセイで活性を示し、SDS−PA
    GEで測定した分子量が約26,000ダルトンの二量体であるポリペプチド軟骨誘導因子を骨から単離する方法。
  • 【請求項10】前記ポリペプチド軟骨誘導因子の前記二量体の各々の鎖が以下に示すN末端配列 Ala−Leu−Asp−Thr−Asn−Tyr−Cys−Phe−Ser(Ser)
    Thr−Glu−Lys−Asn−Cys−Cys−Val−Arg−Gln−Leu−
    Tyr−Ile−Asp−Phe−Arg−Lys−Asp−Leu−Gly−Trp− を有することを特徴とする特許請求の範囲第9項記載の方法。
  • 【請求項11】前記ポリペプチド軟骨誘導因子の前記二量体の各々の鎖が以下に示すN末端配列 Ala−Leu−Asp−Ala−Ala−Tyr−Cys−Phe−Arg−Asn−
    Val−Gln−Asp−Asn−Cys−Cys−Leu−Arg−Pro−Leu−
    Tyr−Ile−Asp−Phe−Lys−Arg−Asp−Leu−Gly−Trp− を有することを特徴とする特許請求の範囲第9項記載の方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は蛋白質化学、さらに詳しくは骨中に存在する軟骨形成誘導用の因子で、β型形質転換成長因子(TGF−
    β)アッセイにおいても活性な2種類の蛋白質のうちの特定の一に関する。 本明細書中においてはこれらのポリペプチドを軟骨誘導因子(GIFs)と呼ぶことがある。

    (技術的背景) ヒト血小板、ヒト胎盤、及びウシ腎臓由来のTGF−βが国際特許出願明細書(PCT−US83/01460、1984年3月29
    日公開No.WO 84/01106)及びEPA84450016.5(1984年12
    月19日公開No.0128849)に記載されている。

    米国特許第4,434,094にはカオトロピズム試剤での抽出、カチオン及びアニオン交換カラムでの分画、及びpH
    4.8でCMCに吸着されたフラクションからの活性の回復による骨発生刺激性骨由来蛋白質因子の部分的精製が報告されている。 この新しい蛋白質フラクションは「骨形生因子」(OF)と命名され、分子量約30,000ダルトン未満で、上述の精製工程をたどることを特徴とする。 本発明の蛋白質は米国特許第4,434,094号記載の方法と部分的に同様な精製手順を用いて均質に精製した。

    (発明の開示) 本発明は骨中に豊富に存在する2種類のCIFs、並びにこれらのポリペプチドを骨から実質的に純粋な形で得ることを基本的目的とする。 いずれのCIFsも上皮成長因子(EGF)と組み合わせると、軟寒天中での正常ラット腎臓(NRK)細胞の固定(源)非依存性成長の生体外での誘発に関するTGF−βアッセイに対しても活性を示す。
    本明細書においてはこのアッセイを時にTGF−βアッセイと呼ぶ。 こうした観点においては、TGF−βアッセイに活性な蛋白質の骨中での存在は、従来報告されていない。 本発明のCIFsの一つはCIF−Aといい、ヒト胎盤由来のTGF−βについて文献で報告されているのと同様の部分的(30個のアミノ酸)N末端配列を有する。 また、
    他のCIFはCIF−Bといい、ヒト胎盤由来のTGF−β配列とは異なる部分的N末端配列を有する。 本発明は、ポリペプチド軟骨誘導因子として、このCIF−Bを提供する。

    本発明は更にCIF−BとTGF−β活性化試剤を組み合わせて含む細胞増殖促進用組成物、軟骨形成及び骨形成誘発用移植組成物、並びに、CIF−Bを含むがその活性化試剤又は共同因子は含まない結合組織沈着促進用移植組成物を提供することをも目的とする。

    従って本発明の一つの態様は、(a)骨中に存在し、
    (b)軟骨形成を誘発するための共同因子で、(c)TG
    F−βアッセイに活性を有し、かつ(d)SDS−PAGEによる測定で約26,000ダルトンの二量体であって、(e)前記二量体の各々の鎖が以下に示すN末端配列 Ala−Leu−Asp−Ala−Ala−Tyr−Cys−Phe−Arg−Asn−
    Val−Gln−Asp−Asn−Cys−Cys−Leu−Arg−Pro−Leu−
    Tyr−Ile−Asp−Phe−Lys−Arg−Asp−Leu−Gly−Trp−
    を有することを特徴とするポリペプチド軟骨誘発因子である。

    本発明の骨からのCIF−A及びCIF−Bの前記二つの因子の単離方法は、以下の工程から成ることを特徴とする。

    (a)非繊維状蛋白質を可溶化するカオトロピズム性(解離性)抽出剤を使って、無機成分を除去した骨(DM
    B)から抽出し、 (b)工程(a)からの抽出物をゲルろ過して分子量1
    0,000〜40,000ダルトンの蛋白質を含むフラクションを回収し、 (c)工程(b)によるフラクションをカルボキシメチルセルロース・カチオン交換体にpH約4.5〜5.5の変位条件下で吸着させ、 (d)濃度勾配をつけた塩化ナトリウム溶液を用いて前記カチオン交換体から吸着フラクションを溶出し、 (e)濃度約150〜250mMのNaCl溶液で溶出された工程(d)からの溶出物を逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)又は非変性ゲル電気泳動に供し、 (f)前記RP−HPLC又はゲル電気泳動から前記因子を回収する。

    本発明の軟骨形成/骨形成誘発用移植組成物は、前記CI
    F−Bを有効量含むことを特徴とする。 更に、CIF−Aを同時に配合させることもできる。

    本発明の正常な動物細胞の増殖促進用組成物は、(a)
    前記CIF−B並びに(b)TGF−β活性試剤を有効量含むことを特徴とする。 更に、CIF−Aを同時に配合させることもできる。

    本発明の結合組織沈着促進用移植組成物は、実質的に活性化試剤又は軟骨形成共同因子を含まない、前記CIF−
    Bを有効量含むことを特徴とする。 更に、CIF−Aを同時に配合させることもできる。

    発明の実施態様 本発明のポリペプチドは骨から単離され、この時点で単一の特定の分子配列を有する。 このため、またTGF−β
    の完全なアミノ酸配列はまだ報告されていないことから、本発明のCIFsとTGF−βとの間の主要な構造的関係は完全には判っていない。

    本発明のポリペプチドは軟骨形成を誘発するための共同因子である。 これらのポリペプチドの軟骨形成活性及び軟骨末端からの骨形成様式から考えて、これらは骨形成においても役割を果たすものと期待される。 本発明のポリペプチドはTGF−βアッセイにも活性で、TGF−β活性化試剤を伴わずに結合組織の沈着を促すことが判っている。 ヒト、サル、ウシ、及びラットからの骨誘発性蛋白質は、異種移植物として使用する場合、軟骨末端からの骨形成能に種による特異性がなく(サンパス他,Sampa
    th,TK,etal,Proc Natl Acad S ci(USA)(1983) 8
    0 :6591)、ヒト血小板、ヒト胎盤、及びウシ腎臓起源の
    TGF−βはげっ歯類、ウシ類、及び人類の間で種非特異性であることからして、本発明のポリペプチドは哺乳類間での維持性が極めて高いものと考えられる。 (つまり、種の異なる哺乳類間のポリペプチドのアミノ酸配列には、例えあったとしても分子の非種特異的な活性は維持できる程度の1個以上のアミノ酸残基の付加、欠落、
    又は置換といった変化しかない)。 こうした観点から、
    本発明のポリペプチド軟骨誘導因子は、種又は由来には無関係であって、また天然のものに限らず合成品であっても構わない。 更に、本発明のポリペプチド軟骨誘導因子には、CIFと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むのは勿論のこと、アミノ酸配列が異なる場合でも、その相違は少数のアミノ酸残基の付加、欠落、又は置換といった程度であって、非種特異的な活性は維持しているようなポリペプチドをも含むこととする。 ここで『非種特異的な活性』とは、ポリペプチドが誘発する細胞増殖作用や軟骨形成又は骨形成作用は、ポリペプチドに由来する種の組織に限らないということである。 従って、本発明のポリペプチドは骨や恐らくは多様な動物の組織からも得られるし、或いは組換え体DNA技術によっても得ることができる。 ブタ又はウシの長骨は入手し易く高濃度のペプチドを含むため天然のCIFs源として好ましい。

    骨からCIFsを単離する方法は次の通りである。 骨をまず機械的に又は研摩して清浄にしてから粉砕し、さらに、
    例えば希酸溶液を使って好ましくは低温で洗浄する。
    次に、エーテル又は酢酸エチル等の脂肪親和性溶媒で抽出して脱脂する。 この骨を通常はより強酸を使って抽出して種々の形態で存在するリン酸カルシウムを除去して無機質を除く。 こうして生成した製剤(無機質を除去した骨)が本発明のポリペプチド製剤の出発物質になる。

    最初の抽出は無機質を除去した骨から非繊維状(例えば、非コラーゲン質)蛋白質を除去するために行う。 この処理は(少なくとも約4モルの)グアニジンハイドロクロライド、(8モルの)尿素+塩、又は、(少なくとも1vol%の)ドデシル硫酸ナトリウム等のカオトロピズム試剤を使用して行う。 抽出された蛋白質の消化又は変性の可能性を減少させるため、抽出は好ましくはプロテアーゼ抑制因子の存在下に低温で実施する。 プロテアーゼ抑制因子の例としては、フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、アジ化ナトリウム、N−エチルマレイン酸イミド(NEM)、ベンズアミジン、及び6−アミノヘキサン酸がある。 抽出媒体のpHは用いる抽出剤の種類により、抽出工程には通常約4時間から1日を要する。

    抽出後、抽出剤は(必要であれば限外ろ過して濃縮後、)水に対して透析する等の適当な方法で除去することができる。 塩類も制御条件下での電気泳動又は分子ふるいによって除去できる。 蛋白質の変性を最小限にするためこの工程の間も低温を維持するのが好ましい。

    別法として、抽出剤を除去せずに、例えば限外ろ過によって単に溶液を濃縮するだけでも良い。

    カオトロピズム試剤に溶解又は再溶解した抽出物を限外ろ過し分子量約40,000ダルトン未満のフラクションを得る過程で純度が大きく高まる。 ゲル・サイジングは標準的な方法、好ましくはセファクリル(Sephacryl)カラムを使って室温(10〜25℃)で行う。 低分子量のフラクションは続いて、pH約4.5〜5.5好ましくは約4.8で尿素等のカオトロピズム試剤の存在下にカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いてイオン交換クロマトグラフィーに供する。 ポリアクリルアミド及び架橋デキストランからの誘導体を始めとする他のカチオン交換体も使用できるが、セルロース性カチオン交換体が好ましい。 もちろん、他のイオン交換手順と同様に、溶液中から競合イオンを除いてからカラムに供し、徐々に溶剤の塩濃度を高めて溶出しなければならない。 約150〜250mMのNaCl溶液でCMCから溶出されるフラクション中にCIFsが含まれる。

    カチオン交換クロマトグラフィーからの溶出フラクションを次に最終精製工程としてRP−HPLC又は非変性ゲル電気泳動処理する。 RP−HPLC及びゲル電気泳動は標準的な方法を用いる。 以下の実施例においては市販のRP−HPLC
    カラムを用いた。 この最終精製工程により2種類のポリペプチドが実質的に純粋な形で得られる。 「実質的に純粋な」とはポリペプチドが約5wt%未満しか不純物を含まないことを意味する。

    (実施例) 以下に示す実施例は特定の試料に適用される精製工程を説明するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。

    A.無機成分を除去した骨の調製 屠殺場で屠殺したばかりのの中足骨を求めドライアイスで冷却して輸送した。 この骨の骨髄及び非骨組織で洗浄して除いてから直径1cm未満の小片に破砕後、ミル中で4℃で粉砕した。 粉砕した骨を骨1Kg当り9.4lの2回蒸留水で各15分づつ2回洗浄し、続いて4℃の0.01NHCl
    溶液で終夜洗浄した。 洗浄した骨を容積3倍のエタノールで3回、続いて容積3倍のジエチルエーテルで3回脱脂した。 各洗浄は全て室温で、それぞれ20分間かけて行った。 続いて、得られた脱脂骨粉から4℃の0.5N HCl溶液中(25l/kg脱脂骨)で無機成分を除去した。 酸をデカンテーションで棄て、生成したDMBをpHが4を越えるまで洗浄後、吸引ろ過して乾燥した。

    B.非コラーゲン質蛋白質の抽出 項Aで作製したDMBをDMB1kg当り3.3lの4Mグアニジン・H
    Cl,10mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA),1mMPMSF,10mM
    NEM,pH6.8を使って16時間抽出後、懸濁液を吸引ろ過し、不溶物を再度4時間抽出した。 可溶性のフラクションを合体してアミコン(Amicon)限外ろ過(10K)ユニットを使って限外ろ過して少なくとも5倍に濃縮し、濃縮物を35容量倍の脱イオン水を6回交換して4日間透析後凍結乾燥した。 この項の凍結乾燥以外の工程は全て4
    ℃で行い、凍結乾燥は標準的な凍結乾燥条件で実施した。

    C.ゲルろ過 B項からの抽出物を4Mグアニジン・HCl溶液に再溶解し、これを4Mグアニジン・HCl,0.02%アジ化ナトリウム,10mMEDTA(pH6.8)で平衡させたセファクリルS−20
    0カラムで分画した。 各フラクションについて280nmでの吸光度及びELISA(以下に説明する)による軟骨形成活性を測定し、各フラクションを第1図に示す通りとした。 第1図のフラクションF 2は低分子量(LMW;10,000〜
    40,000ダルトン)蛋白質フラクションで、最大の活性を有する。 これを180容量倍の脱イオン水に対して水を6
    回交換して透析後、凍結乾燥した。 なお、凍結乾燥及び透析(4℃)以外の全ての操作は室温で実施した。

    D.イオン交換クロマトグラフィー C項からのフラクションF 2を6M尿素,10mM NaCl,1mM NE
    M,50mM酢酸ナトリウム(pH4.8)中に溶解し、10,000rpm
    で5分間遠心分離した。 得られた上澄み液を上記の緩衝液で平衡させたCM52(市販のCMC)カラムで分画した。
    上記緩衝液中にNaClを10mM〜400mMの濃度で逐次量を増やして溶解した溶出液を用いて上記カラムから結合している蛋白質を溶出した。 溶出液の流量27ml/hr、全量を3
    50mlとした。 第2図に示すように3個の主要なフラクション、CM−1,CM−2,及びCM−3を補集した。 CM−2及び
    CM−3は約150〜250mM NaCl溶液で溶出された。 各フラクションを容積110倍の脱イオン水に対して6回(4日間)透析後、凍結乾燥した。 上述の操作は、透析(4
    ℃)以外、全て室温で実施した。

    E.RP−HPLC D項からの凍結乾燥したフラクションCM−2とCM−3を合体して0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)に溶解し、この溶液の一部をヴィダック(Vydac)C18 RP−HPLCカラム(内径4.6mm,長さ25cm)に担持後、0.1%TFAを用いて1m
    l/minの速度で5分間洗浄した。 溶出溶媒としては0.1%
    TFA溶液中に0〜60%のアセトニトリルを加えたものを用い、溶出速度は2%/minとした。

    CM−2とCM−3を合体したもののRP−HPLCから2個のピークが得られた(ピークA約29.5分後,ピークB 約31.2
    分後)。 第3図にピークA及びBの吸光度及び電気泳動プロフィル(還元及び非還元状態)を示した。 これらのピークの蛋白質をそれぞれCIF−A及びCIF−Bと呼ぶ。

    これらの蛋白質を使用時まで−20℃で0.1%TFA/アセトニトリル溶出液中に貯蔵した。

    F.ゲル電気泳動法による別の精製方法 凍結乾燥したフラクションCM−2とCM−3を合体し、ペイニム等(Paynim,S.and Chalkley,R.,Arch Bioch Biop
    hys(1969) 130 :337〜346)の一般法を用いて酢酸−尿素ゲル上の電気泳動で分画した。

    G.生体外での軟骨形成活性の測定 精製時にフラクション中に所望の蛋白質が存在することは軟骨特異性プロテオグリカン(PG)の産生の生体外測定で確認し、ELISAで固定した。 この測定はラット胎児の筋肉から単離した間葉細胞を用いるアガロースゲル培養モデルである。 これにより試料のPG生産誘起能力が評価される。 生体外での軟骨誘発と生体内での骨形成の関係はセイデン等(Seyedin,S.et al.J Cell Biol(198
    3) 97 :1950〜1953)が示している。

    細胞培養基は生後19日のスプラク・ダウリー(Spraque
    Dawley)ラット胎児の上肢から無菌的に筋肉組織を切断し、これを細かく切り刻んでから、イーグル最少必須培地(MEM)中で10%ウシ胎児血清(FBS)並びに1ml当りペニシリン50unitとストレプトマイシン50μgを使って培養して作製した。 細胞の成長は通常1週間以内で集密に達するのでここで細胞をトリプシン処理し、1:2に分割して最初の3継代以内に実験に用いた。

    細胞をアガロースゲル培養基中に対照培地又は試験用試料と共に入れた。 手順は基本的にベニヤ等(Benya,et a
    l,Cell(1982) 30 :215)に準じた。 すなわち、細胞の単分子層をトリプシン処理により採取して血球計で計数し、試験用蛋白質フラクションが存在する又は存在しない培地に最終的な細胞濃度の2倍の濃度で再懸濁した。
    対照培地はそれぞれ10%FBS及び抗生物質を含むHamsF−
    12,Dulbecco′s最小必須培地(DMEM)、又はCMRL1066
    (Gibco)とした。 0.01N HCl中の試験用蛋白質フラクションを所望の蛋白質濃度まで直接的に希釈後、F−12中の1%低融点アガロース(Bio−Rad,#162−0017)を等容量使って希釈し、この希釈溶液0.2mlを1%高融点アガロース(Bio−Rad,#162−0100)0.15mlで被覆した17
    mmのウェルに塗布した。 作製した培養基を37℃で5分間培養後4℃で10分間冷却し、続いて1mlの相当する培地(対照又は試験蛋白質)で覆った。 次いで細胞をCO 2
    %,空気95%の湿度を高めた雰囲気中で培養し、その後対照培地で完全に替えて3〜4日ごとに養分を供給した。 7日後に培養基を凍結し、測定まで−80℃で保存した。

    培養基を4℃で融解後、酢酸ナトリウム50nM,EDTA13mM,
    NEM6mM、及びPMSF 3nMを含む4Mグアニジン・HCl溶液中にpH5.8で均等に分散し、さらに4℃で終夜振とう抽出して測定した。 4℃、25,000×gで40分間遠心分離して得た上澄み液を容積50倍の0.2M NaCl,50mM Tris溶液(p
    H7.4)に対して4℃で終夜透析した。 透析した上澄み液をレナルド等(Renard,et al,Anal Biochem(1980) 10
    4 :205,及び米国特許第4,434,094号)の記載に準じてPG
    についてELISA測定した。

    ELISAについて簡単に説明すると、ヒアルロン酸又はラットの骨から抽出されたPGとの交差反応性を示さない標準的な技術を用いてウサギ中でPGに対する抗血清を増大させた。 スォーム(Swarm)ラットの軟骨肉腫組織からの精製PG(Seyedin,S.,et al,前掲)を標準抗原として用いた。 透析した試料をツィーン(Tween)20 0.05%,
    ウシ血清アルブミン(BSA)1mg/mlを含む、リン酸塩で緩衝した食塩水(PBS)(pH7.2)中に加えて1:1(容量)に希釈して測定した。 ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ抱合型(conjugated)ヤギ抗ウサギIgG(Tag
    o)をo−フェニレンジアミンを基質とする第2の抗体とした。

    RP−HPLCで精製したCIF−A及びCIF−BのELISAの結果を第4図に示す。 測定感度は培養基の1〜5ng/ml以内である。

    F項のゲル・スライスについてのELISAの結果を第5図に示す。 これらの結果はRP−HPLCにより得たCIF−A及びCIF−B(ゲル・スライス7と6に相当)の結果と対応する H.精製CIF−A及びCIF−Bの特性付け CIF−Aはラエムリ等(Laemmli,UK,et al,Nature(19
    70) 227 :680)の記載に準じてSDS溶液中の15%Laemmli
    ポリアクリルアミドゲル中での蛋白質の易動度の測定(第3図)から分子量25,800ダルトンで、還元すると分子量14,800ダルトンのポリペプチドになることが判った。 この様にして求めた分子量は概数に過ぎず、これらの値は測定方法によって変化するとはいうまでもない。
    蛋白質の配座がこの系における易動度に影響するので、
    得られる分子量は大体同程度になると考えられるが、他の方法を用いた場合には必ずしも全く同一になるとは限らない。 還元した蛋白質のプロフィルに単一の帯域しか存在しないことは、恐らくこの蛋白質がアミノ酸配列が実質的に等しい2本のポリペプチド鎖から成る二量体(つまり、ホモダイマー)であることを示している。 二量体の実測分子量と個々の鎖の実測分子量の矛盾は測定方法によるものである。

    てCIF−Aは、PBS中での100℃、3分間の加熱、0.1M Tr
    is,pH7.4,5mM CaCl 2 ,0.02mM PMSF中でのコラーゲナーゼによる37℃、2時間の処理(コラーゲンと蛋白質の比は
    400unitsコラーゲン/mg蛋白質とした),及び50mMTris,
    pH7.4,10mM CaCl 2中でのトリプシンによる37℃,2時間の処理(トリプシンと蛋白質の比は100unitsトリプシン/m
    g蛋白質とした)の後でさえも、上記G項のELISA測定の活性を維持した。 しかしながら、ジチオトレイトール(DTT)5mMを含むPBS中、室温で1時間処理すると蛋白質は活性を失い、この試薬はジスルフィド結合を還元するものと考えられた。 同様に、SDS処理するかSDS−PAGE
    で分画すると蛋白質は失活し、これは恐らく変性のためかSDSとの複合体形成のためと考えられる。 CIF−Aの部分的なアミノ酸組成を第1表に示す。

    第1表 アミノ酸 測定値(Mols/100Mols) Asp 9.2 Gln 9.2 Ser 7.0 His 2.7 Gly 16.5 Thr 2.7 Arg 5.9 Ala 6.6 Tyr 3.2 Met 0.0 Val 7.5 Phe 3.0 Ile 3.9 Leu 8.6 Lys 13.9 Pro 検出されず Cys 検出されず Trp 検出されず CIF−Aのアミノ酸配列分析の結果、次の様な単一のN
    末端配列を持つことが判った。

    このN末端配列はヒト胎盤由来のTGF−βについて報告されているものと等しい。

    CIF−Bは同一手順で測定した分子量が若干異なり26,00
    0ダルトンだった。 この差は分析方法に基づくものと考えられる。 従って、いずれの蛋白質もSDS−PAGEで測定した分子量が約26,000ダルトンと見なすことができる。
    この蛋白質のピークBを還元すると分子量約14,200ダルトンの単一の帯が認められ、この蛋白質も恐らくホモダイマーであることを示している。 これは第2表に示すアミノ酸組成を有する。

    第2表 アミノ酸 測定値(Mols/100Mols) Asp 12.0 Glu 8.5 Ser 10.6 His 0.9 Gly 22.0 Thr 0.0 Arg 4.3 Ala 6.7 Tyr 1.9 Met 0.0 Val 2.4 Phe 3.0 Ile 2.2 Leu 8.2 Lys 17.3 Pro 検出されず Cys 検出されず Trp 検出されず アミノ酸配列分析の結果、CIF−Bの単一のN末端配列は以下の通りであることが判った。 この蛋白質について定性的に評価した他の特性は、

    CIF−Aについて上記したことと同様だった。

    I.TGF−β活性の測定 CIF−A及びCIF−Bをバイオアッセイで試験した。 バイオアッセイは「血清を含まない動物細胞の培養に用いる培地、サプリメイト、及び基質の作製方法」( Methods
    for Preparation of Media, Supplements, and Substra
    ta for Serum-free Animal Cell Culture (1984),Alan
    R.Liss, Inc.)の181〜914頁に記載の方法に準じて行った。 分析結果を第6図に示す。 図示したように、いずれの蛋白質もバイオアッセイで明瞭な投与応答を示し、
    活性化には活性化試剤(EGF)の存在を必要とした。 活性水準はヒト血小板、ヒト胎盤,及びウシ腎臓由来のTG
    F−βについての報告値とほぼ等しかった。

    CIFsのトリプシン処理に対する活性維持能力ため、これらは無機成分を除去した骨粉から酵素消化によって単離することができる。 この工程においては、無機成分を除去した骨粉をトリプシン及び/又は本発明の蛋白質を劣化させないような他のプロテアーゼの水溶液で、これらの酵素が活性化する条件下で消化する。 この処理によって骨粉中の他の蛋白質成分の大半が消化される。 目的とする蛋白質は消化後の液から、前述の分画方法(ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、RP−HPLC,又は非変性ゲル電気泳動)の幾つかを用いて精製することができる。 CIFsの骨基質からの遊離の程度、及び他の物質との複合対形成の程度によっては可溶化試剤を用いずに済むこともある。 なお、純粋な蛋白質は実質的に水溶性である。

    本発明CIFsは人間を含む動物の軟骨及び骨組織を補修、
    代替、又は増大させるために軟骨や骨の成長を誘発する効果がある。 軟骨形成及び骨形成に有効な量のCIF−B
    は骨中に存在する軟骨形成及び骨形成共同因子と組み合わせて薬学的、生理学的に適当な液体又は移植用精製コラーゲン等の固形担体と調合することができる。

    また、活性蛋白質としてCIF−BにCIF−Aを組合せて用いることもできる。 担体に対する活性蛋白質の重量比は典型的には1:50〜1:1,000である。 移植物は、活性成分としての注入を含む、通常の外科技術で患者の予め定めた部位に挿入することができる。 活性成分としてCIFしか含まない(つまり、活性化試剤や共同因子を全く含まない)コラーゲン質移植物は、担体に対するCIFの比が約1:6,000を越えると、コラーゲン質結合組織の沈着を促進した。

    本発明のCIFsはヒト血小板、ヒト胎盤、及びウシ腎臓起源のTGF−βと同様に使用して非種特異的細胞増殖を促す(刺激又は支持する)こともできる。 こうした用途では、CIF−BをEGF又はTGF−α等のTGF−β活性化試剤と適当な化学量論比で組み合わせる。

    また、活性蛋白質としてCIF−BにCIF−Aを組合せて用いることもできる。 これらの組成物の細胞増殖活性の医療上への応用方法としては、火傷や傷の治癒のための局所的な投与、組織増強用の移植、及び内傷治療用の系統的投与等がある。 こうした用途ではCIF及び活性化試剤を、特定の投与形態に適する薬学上妥当な担体と共に、
    細胞の増殖を誘発するに十分な量調合する。 局所的な投与では、通常、スプレー、ゲル、又は軟こう等の形に製材する。 また、系統的投与のためには、腸内投与用(例えば、液剤、ピル、錠剤)又は腸管外注入用製剤とする。 これらの用途に用いる投薬量は、細胞増殖の性質並びに傷等の傷害の多様性のため、特定することができない。

    【図面の簡単な説明】

    第1図は実施例C項のゲルろ過フラクションの光学密度(吸光度(280nm))及び体外での軟骨形成活性を示す、セファクリルS−200から抽出された蛋白質のクロマトグラム。 第2図は実施例D項のイオン交換クロマトグラフィーからの溶出フラクションの光学密度(280nm)を示す(セチルメチルセルロース上での低分子量蛋白質のクロマトグラム)。 第3図は実施例E項のRP−HPLCのピークA(CIF−A)
    及びB(CIF−B)についてのUV吸光度並びに電気泳動プロフィルを示す(HPLC逆相カラムでのウシOFの単離)。 第4図は実施例E項のRP−HPLCで得られたCIF−A及びC
    IF−Bの生体外での軟骨形成に関する酵素結合(enzyme
    −linked)イムノソルベント・アッセイ(ELISA)の結果を示す(OFの精製、HPLCフラクションA及びB)。 第5図は実施例F項の酸−尿素ゲル電気泳動フラクションのELISAの結果を示す(酸−尿素ゲルからのOF活性成分の溶出、軟骨プロテグリカンについてのELISA)。 第6図は実施例I項に記載のTGF−βアッセイの結果を示す(軟質寒天培養基中におけるEGF及び、CIF−A又はBで処理したNRK細胞による集落形成)。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 1/26 1/34 (56)参考文献 特開 昭59−190919(JP,A) 国際公開84−01106(WO,A) J. Biol. Chem. 258(1983) P. 7155−7160 Science 221(1983)P. 1292 −1294

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