複合材構造体及び複合材構造体の製造方法

申请号 JP2017016848 申请日 2017-04-27 公开(公告)号 JPWO2018061281A1 公开(公告)日 2018-09-27
申请人 株式会社SUBARU; 发明人 田尻 啓祐; 平木 恵; 秋葉 公三郎; 鶴田 秀;
摘要 実施形態に係る複合材構造体は、複合材で構成され、複数のハット部を有するコルゲートストリンガと、複合材で構成され、コルゲートストリンガと一体化されたパネルを有する。また、実施形態に係る複合材構造体の製造方法は、OoA用のプリプレグの積層体であって硬化前のパネルに対応するプリプレグの積層体の上に、複数のハット部を有するコルゲートストリンガに対応する構造とした織物をセットするステップと、織物がセットされたプリプレグの積層体をバギングフィルムで覆い、バギングフィルムで覆われた空間を 真空 状態にすることによって織物に樹脂を含浸させ、かつ樹脂を含浸した織物がセットされたプリプレグの積層体を加熱硬化することによってパネルの上にコルゲートストリンガが取付けられた構造を有する複合材構造体を製作するステップを有する。
权利要求

複合材で構成され、横断面がハット型の複数の部分を有する波型構造のコルゲートストリンガと、 複合材で構成され、前記コルゲートストリンガと一体化されたパネルと、 を有する複合材構造体。前記横断面がハット型の複数の部分の各内側に発泡コア材を充填した請求項1記載の複合材構造体。前記コルゲートストリンガは、前記コルゲートストリンガの板厚方向及び前記コルゲートストリンガの板厚方向に垂直な方向を含む複数の方向を長さ方向として編み込まれた繊維で強化された複合材で構成される請求項1又は2記載の複合材構造体。前記コルゲートストリンガが、ファスナを使用せずに前記パネルと一体化された請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合材構造体。前記横断面がハット型の複数の部分の両端を閉塞した請求項2記載の複合材構造体。真空圧で繊維に樹脂を含浸させることが可能な脱オートクレーブ成形用のプリプレグの積層体であって硬化前のパネルに対応するプリプレグの積層体の上に、横断面がハット型の複数の部分を有する波型構造のコルゲートストリンガに対応する構造とした織物をセットするステップと、 前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体をバギングフィルムで覆い、前記バギングフィルムで覆われた空間を真空状態にすることによって前記織物に樹脂を含浸させ、かつ前記樹脂を含浸した前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体を加熱硬化することによって前記パネルの上に前記コルゲートストリンガが取付けられた構造を有する複合材構造体を製作するステップと、 を有する複合材構造体の製造方法。少なくとも前記バギングフィルムで覆われた前記空間を真空状態とする前に、前記横断面がハット型の複数の部分の各内側に発泡コア材を充填するステップを更に有する請求項6記載の複合材構造体の製造方法。前記バギングフィルムで覆われた前記空間を真空状態にして加熱することによって、前記織物と前記プリプレグの積層体との間における接合と、前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体の硬化とを行う請求項6又は7記載の複合材構造体の製造方法。前記発泡コア材が各内側に充填された前記横断面がハット型の前記複数の部分の両端を閉塞することによって航空機の燃料タンク用の部品として用いることが可能な複合材構造体を製作する請求項7記載の複合材構造体の製造方法。少なくとも前記バギングフィルムで覆われた前記空間を真空状態とする前に、前記横断面がハット型の複数の部分の各内側に、前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体の硬化後において取外し可能な治具であって前記複数の部分を前記各内側から支える治具を設置し、前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体の硬化後において前記治具を取外すようにした請求項6記載の複合材構造体の製造方法。

複合材で構成され、横断面がハット型の複数の部分を有する波型構造のストリンガと、 複合材で構成され、前記ストリンガと一体化されたパネルと、 を有し、 前記横断面がハット型の複数の部分の各内側に発泡コア材を充填した複合材構造体。複合材で構成され、横断面がハット型の複数の部分を有する波型構造のストリンガと、 複合材で構成され、前記ストリンガと一体化されたパネルと、 を有し、 前記ストリンガは、前記ストリンガの板厚方向及び前記ストリンガの板厚方向に垂直な方向を含む複数の方向を長さ方向として編み込まれた繊維で強化された複合材で構成される複合材構造体。前記横断面がハット型の複数の部分の各内側に発泡コア材を充填した請求項2記載の複合材構造体。前記ストリンガが、ファスナを使用せずに前記パネルと一体化された請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合材構造体。前記横断面がハット型の複数の部分の両端を閉塞した請求項1又は3記載の複合材構造体。真空圧で繊維に樹脂を含浸させることが可能な脱オートクレーブ成形用のプリプレグの積層体であって硬化前のパネルに対応するプリプレグの積層体の上に、横断面がハット型の複数の部分を有する波型構造のストリンガに対応する構造とした織物をセットするステップと、 前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体をバギングフィルムで覆い、前記バギングフィルムで覆われた空間を真空状態にすることによって前記織物に樹脂を含浸させ、かつ前記樹脂を含浸した前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体を加熱硬化することによって前記パネルの上に前記ストリンガが取付けられた構造を有する複合材構造体を製作するステップと、 を有する複合材構造体の製造方法。少なくとも前記バギングフィルムで覆われた前記空間を真空状態とする前に、前記横断面がハット型の複数の部分の各内側に発泡コア材を充填するステップを更に有する請求項6記載の複合材構造体の製造方法。前記バギングフィルムで覆われた前記空間を真空状態にして加熱することによって、前記織物と前記プリプレグの積層体との間における接合と、前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体の硬化とを行う請求項6又は7記載の複合材構造体の製造方法。前記発泡コア材が各内側に充填された前記横断面がハット型の前記複数の部分の両端を閉塞することによって航空機の燃料タンク用の部品として用いることが可能な複合材構造体を製作する請求項7記載の複合材構造体の製造方法。少なくとも前記バギングフィルムで覆われた前記空間を真空状態とする前に、前記横断面がハット型の複数の部分の各内側に、前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体の硬化後において取外し可能な治具であって前記複数の部分を前記各内側から支える治具を設置し、前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体の硬化後において前記治具を取外すようにした請求項6記載の複合材構造体の製造方法。

说明书全文

本発明の実施形態は、複合材構造体及び複合材構造体の製造方法に関する。

従来、航空機構造体等に使用される複合材構造体を製造するための技術としてオートクレーブ成形法の他、RTM(Resin Transfer Molding)法やVaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)法等の様々な技術が提案されている。

複合材をオートクレーブ成形装置を使用せずに成形する工法は、脱オートクレーブ成形法(OoA:Out of autoclave)と呼ばれる。また、OoA用のプリプレグも市販されている。尚、プリプレグは、炭素繊維やガラス繊維等の繊維に樹脂を含浸させた硬化前におけるシート状の素材である。

RTM法は、例えば、熱硬化性樹脂を金型に封入された繊維に含浸させ、加熱硬化することによって複合材を成形する工法である。RTM法では、オートクレーブ成形装置が不要であるため、製造コストを低減させることができる。加えて、RTM法では、プリプレグが使用されないため、プリプレグの積層工程及び賦形工程が不要となる。

具体的な適用例としては、横断面の形状が逆T字型の複数のストリンガ(縦通材)をスキン(外板)に取付けた構造を有する複合材構造体を成形するために、金型を用いてスキン用のプリプレグの積層体の上にストリンガ用に樹脂を含浸させた繊維を配置して加熱硬化する工法が提案されている(例えば特許文献1参照)。

一方、VaRTM法は、真空圧で繊維に樹脂を含浸させるRTM法である(例えば特許文献2参照)。具体的な適用例としては、強化繊維基材を載置した成形型の成形面全体をバギングフィルムで覆い、真空引きを行った後に樹脂を注入して加熱することにより、複数のストリンガをスキンに取り付けた構造を有する複合材構造体を一体成形する工法が提案されている。この工法では、スキン用にOoA用のプリプレグが用いられる一方、ストリンガ用には樹脂を含侵させた強化繊維が用いられている。

特開2012−036295号公報

特開2003−053851号公報

航空機構造体等の複合材構造体の製造においては、生産レートの向上及び製造コストの低減が課題である。特に、複合材製の航空機部品は、部品点数が多い、ファスナを用いた組立作業の労が高い、複合材構造体の構造に合わせて複雑な形状にプリプレグをレイアップする作業に時間を要する。オートクレーブ成形装置をはじめとする過大な設備投資が必須であるといった問題点を抱えている。

そこで、本発明は、複合材構造体の生産レートの向上及び製造コストの低減を目的とする。

本発明の実施形態に係る複合材構造体は、波型構造のコルゲートストリンガと前記コルゲートストリンガと一体化されたパネルとを有する。コルゲートストリンガは、複合材で構成され、横断面がハット型の複数の部分を有する。パネルは、複合材で構成される。

また、本発明の実施形態に係る複合材構造体の製造方法は、真空圧で繊維に樹脂を含浸させることが可能な脱オートクレーブ成形用のプリプレグの積層体であって硬化前のパネルに対応するプリプレグの積層体の上に、横断面がハット型の複数の部分を有する波型構造のコルゲートストリンガに対応する構造とした織物をセットするステップと、前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体をバギングフィルムで覆い、前記バギングフィルムで覆われた空間を真空状態にすることによって前記織物に樹脂を含浸させ、かつ前記樹脂を含浸した前記織物がセットされた前記プリプレグの積層体を加熱硬化することによって前記パネルの上に前記コルゲートストリンガが取付けられた構造を有する複合材構造体を製作するステップとを有するものである。

本発明の第1の実施形態に係る複合材構造体の構造を示す斜視図。

図1の位置A−Aにおける複合材構造体の部分断面図。

図2に示す複合材構造体の硬化前における繊維の向きを説明するための拡大断面図。

図2に示す断面構造を有する複合材構造体を製造する場合における流れを示すフローチャート。

本発明の第2の実施形態に係る複合材構造体の構造を示す側面図。

ブラダーバッグを用いてコルゲートストリンガ及び下面パネルのVaRTM法による一体成形を行う場合における流れを示すフローチャート。

実施形態

本発明の実施形態に係る複合材構造体及び複合材構造体の製造方法について添付図面を参照して説明する。

(第1の実施形態) (複合材構造体の構造) 図1は本発明の第1の実施形態に係る複合材構造体の構造を示す斜視図であり、図2は図1の位置A−Aにおける複合材構造体の部分断面図である。

図1は、典型的な旅客機の尾翼1の構造を示している。尾翼1は、上面パネル2及び下面パネル3を前方側における前桁(フロントスパー)4及び後方側における後桁(リアスパー)5で連結した箱型構造を有する。尾翼1をガラス繊維強化プラスチック(GFRP: Glass fiber reinforced plastics)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の複合材で構成する場合には、例えば、上面パネル2以外の部分を一体成形し、一体成形した下面パネル3側の部分と上面パネル2とを組み立てることによって製造することができる。複合材構造体6は、複合材で構成される複数の部品を組立てて製造される図1に例示されるような尾翼1等の構造体であっても良いし、一体成形によって製造される構造体であってもよい。

図2は、図1の位置A−Aにおける下面パネル3の断面を示している。複合材で構成される下面パネル3は、複合材で構成されるコルゲート(波型)ストリンガ7で補強される。コルゲートストリンガ7は、ファスナを使用せずに下面パネル3と一体化される。

コルゲートストリンガ7は、横断面がハット型の複数の部分(ハット部7a)を連結した波型構造を有する。より具体的には、コルゲートストリンガ7は、隣接する複数のハット部7aを共通の繊維で強化したストリンガである。このため、ストリンガのフランジに相当する部分が複数の補強構造間で共通となっている。

従って、複合材構造体6を補強するためにコルゲートストリンガ7を用いれば、複数のストリンガを用いる場合に比べて部品点数を削減することができる。その結果、ストリンガの一体成形が可能となる。加えて、コルゲートストリンガ7は、ファスナを使用せずにハット型の複数のストリンガを連結した構造を有するため、多数のストリンガを組立てる場合に比べて、組立作業に要する労力を低減し、複合材構造体6の製造コストを削減することができる。しかも、コルゲートストリンガ7の断面二次モーメントはT型ストリンガの断面二次モーメントよりも大きな値となり、重量対強度が良好である。

コルゲートストリンガ7と下面パネル3との間に生じる空隙は、バギング時における部品の変形要因となる。そこで、コルゲートストリンガ7と下面パネル3との間に生じる空隙、すなわち複数のハット部7aの各内側には発泡コア材8が充填される。これにより、コルゲートストリンガ7の成形後における形状を保持することができる。このため、ハット部7aの内側に治具を設置せずに、コルゲートストリンガ7を硬化することが可能となる。

加えて、プリフォームされた三次元織物に樹脂を含浸させて硬化させた複合材でコルゲートストリンガ7を構成することが強度を確保する観点から好ましい。三次元織物は、繊維を平面的ではなく空間的に編み込んだ織物である。例えば、複合材の厚さ方向を法線方向とする平面内において直交するX軸及びY軸と、複合材の厚さ方向に平行なZ軸で空間座標系を定義する場合であれば、三次元織物を構成する繊維の長さ方向は、X軸方向の成分及びY軸方向の成分のみならず、Z軸方向の成分を有する。

すなわち、三次元織物は、厚さ方向における強度を担う繊維を有する。このため、三次元織物を用いて製作された複合材は、厚さ方向における強度が良好となる。尚、厚さ方向における強度を担う繊維は、Z方向における強度を担う繊維であることからZ糸と呼ばれる場合もある。実用的な例としては、複合材の板厚方向が振幅方向となるように一部の繊維を波型に配置した三次元織物が挙げられる。

図3は、図2に示す複合材構造体6の硬化前における繊維の向きを説明するための拡大断面図である。

図3に示すように、ファスナを使用せずに横断面が波型のコルゲートストリンガ7と下面パネル3が一体化される。また、コルゲートストリンガ7の凸構造部分と下面パネル3との間にそれぞれ形成される空隙、すなわちハット部7aの各内側には、発泡コア材8が充填される。

三次元織物に樹脂を含浸させてコルゲートストリンガ7を製作する場合には、コルゲートストリンガ7は、図3に例示されるように、コルゲートストリンガ7の板厚方向及びコルゲートストリンガ7の板厚方向に垂直な方向を含む複数の方向を長さ方向として編み込まれた繊維で強化された複合材で構成されることになる。コルゲートストリンガ7は、板厚方向が波型に周期的に変化する。このため、板厚方向を長さ方向の成分とするZ糸の向きも板厚方向に合わせて変化することになる。例えば、繊維の一部を波型に配置する場合であれば、図3に例示されるように、波型に配置される繊維の振幅方向が板厚方向に合わせて変化するように編み込んだ三次元織物に樹脂を含浸させることによってコルゲートストリンガ7を製作することができる。

他方、下面パネル3は、OoA用のプリプレグを硬化させた複合材で構成することができる。OoA用のプリプレグは、真空圧と大気圧との差圧程度の圧力を負荷することによって繊維に樹脂を含浸させ、オーブンによって樹脂を加熱硬化させることが可能な特性を有するプリプレグである。このような特性を有するOoA用のプリプレグは、プリプレグの製造メーカによって市販されている。

尚、図2及び図3には、コルゲートストリンガ7を下面パネル3と一体成形する例を示したが、もちろん、コルゲートストリンガ7を上面パネル2と一体成形することもできる。また、尾翼1に限らず、主翼や中央翼等の翼構造体を構成する複合材製の所望のパネルとコルゲートストリンガ7を一体化することもできる。

(複合材構造体の製造方法) 次に複合材構造体6の製造方法について説明する。

図4は、図2に示す断面構造を有する複合材構造体6を製造する場合における流れを示すフローチャートである。

まずステップS1において、テーブルT1上に硬化前の下面パネル3に対応するプリプレグの積層体20がセットされる。下面パネル3に対応するプリプレグの積層体20は、真空圧で繊維に樹脂を含浸させることが可能なOoA用のプリプレグを積層して構成される。続いて、プリプレグの積層体20の上に、横断面がハット型の複数の部分(ハット部7a)を有する波型構造のコルゲートストリンガ7に対応する構造となる織物21がセットされる。好ましくは、織物21として、板厚方向における強度が確保されるように3次元的に繊維が編み込まれた波型構造の三次元織物がプリプレグの積層体20の上にセットされる。

次に、ステップS2において、織物21の複数のハット部7aの各内側に発泡コア材8が充填される。これにより、コルゲートストリンガ7に対応する織物21の形状が一層良好に保持される。

次に、ステップS3において、VaRTM法による複合材構造体6の成形が行われる。具体的には、織物21がセットされたプリプレグの積層体20がバギングフィルムT2で覆われる。バギングフィルムT2の縁は、シーラントでテーブルT1に貼りつけることができる。また、バギングフィルムT2内の領域を減圧できるように真空装置T3の口金がバギングフィルムT2に取り付けられる。更に、バギングフィルムT2内の領域に樹脂を供給できるように、樹脂貯留容器T4が供給管を介してバギングフィルムT2内の領域と連結される。

続いて、真空装置T3を用いてバギングフィルムT2で覆われた空間が真空状態とされる。そうすると、樹脂貯留容器T4から負圧状態となったバギングフィルムT2内の空間に樹脂が供給される。これにより、織物21に樹脂を含浸させることができる。

更に、引続き真空圧を負荷しながらオーブンT5で熱をかけることによって、樹脂を含浸した織物21がセットされたプリプレグの積層体20が硬化する。すなわち、バギングフィルムT2で覆われた空間を真空状態にして加熱することによって、織物21とプリプレグの積層体20との間における接合と、織物21がセットされたプリプレグの積層体20の硬化が行われる。

次に、ステップS4において、バギングフィルムT2が除去される。これにより、下面パネル3の上にコルゲートストリンガ7が取付けられた構造を有する複合材構造体6を製品又は半製品として製作することができる。

尚、少なくともバギングフィルムT2で覆われた空間を真空状態とする前に、複数のハット部7aの各内側に発泡コア材8が充填されれば、発泡コア材8の充填タイミングは任意に変えることができる。

(効果) 以上のような複合材構造体6は、コルゲートストリンガ7とパネルとをVaRTM法でコキュア及び一体成形することによって製作したものである。また、樹脂の含浸前におけるコルゲートストリンガ7用の織物21及び硬化前におけるコルゲートストリンガ7に真空圧を負荷する際に、形状を保持できるように発泡コア材8を充填するようにしたものである。

このため、複合材構造体6及び複合材構造体6の製造方法によれば、製造コストを低減させ、かつ、生産レートを向上させることができる。具体的には、オートクレーブ成形装置及び成形型等の治具が不要となるため設備費を削減できる。また、コルゲートストリンガ7の使用及びコルゲートストリンガ7とパネルとのコキュアによって、部品点数を削減し、多数の部品の位置決め作業やリベット等のファスナの使用による組立作業を不要にすることができる。

その結果、複合材構造体6が航空機構造体であれば、アルミ構造並みの低コスト及び高レートで航空機構造体を製造することができる。このため、製造コストの低減及び生産レートの向上が特に望まれる将来の旅客機向けの航空機構造体を提供することが可能となる。

VaRTM法では、従来、成形時において形状保持についての安定性が低いという問題があった。このため、ハット型ストリンガはもちろん、コルゲートストリンガ7をVaRTM法で成形しようとすると、ストリンガ内部の繊維がよれてしまったり、ハット部分が真空圧に耐えられず、潰れてしまう恐れがあった。

これに対して、複合材構造体6及び複合材構造体6の製造方法によれば、ハット部7aの内側に発泡コア材8が充填される。このため、VaRTM法であっても、コルゲートストリンガ7を安定的に成形することが可能となる。更に、コルゲートストリンガ7の素材として三次元織物材を用いれば、コルゲートストリンガ7の形状安定性を一層向上させることができる。このため、高品質で安定的に量産することが求められる航空機構造体の製造が可能となる。

(第2の実施形態) 図5は本発明の第2の実施形態に係る複合材構造体の構造を示す縦断面図である。

図5は、第2の実施形態における複合材構造体6Aの、コルゲートストリンガ7の各ハット部7aの長さ方向に平行で下面パネル3の表面に垂直な面における断面を示している。図5に示された第2の実施形態における複合材構造体6Aでは、コルゲートストリンガ7の両端を閉塞した構成が第1の実施形態における複合材構造体6と相違する。第2の実施形態における複合材構造体6Aの他の構成及び作用については第1の実施形態における複合材構造体6と実質的に異ならないため複合材構造体6Aの縦断面のみ図示し、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。

第2の実施形態における複合材構造体6Aでは、発泡コア材8が各内側に充填された複数のハット部7aの両端が閉塞される。図5に示す例では、複合材や金属等の所望の素材で構成された板材30がシーラントで各ハット部7aの両端に貼り付けられている。尚、板材30を貼り付ける代わりに、シーラントで各ハット部7aの両側を塞ぐようにしてもよい。

このようにコルゲートストリンガ7の発泡コア材8が露出しないように両端を閉塞すると、複合材構造体6Aを航空機の燃料タンク用の部品として用いることが可能となる。すなわち、複合材構造体6Aを燃料タンクの容器の一部として使用しても、燃料が発泡コア材8に浸み込んで発泡コア材8を劣化させるという事態が生じない。このため、例えば、複合材構造体6Aを航空機の燃料タンクを兼ねた主翼の部品として用いることも可能となる。

(第2の実施形態の変形例) 図5には、複合材構造体6Aを航空機の燃料タンクとして使用できるようにコルゲートストリンガ7の両端を閉塞する例を示したが、発泡コア材8を充填しない構成としてもよい。但し、コルゲートストリンガ7の成形時において発泡コア材8を充填せずに形状を維持することが必要となる。そこで、発泡コア材8に代えて、複合材の硬化後において取外し可能な治具を設置するようにしてもよい。複合材の硬化後において取外し可能な治具の例としては、溶性のマンドレルやブラダーバッグ等が挙げられる。

水溶性のマンドレルは、水で溶解させることが可能な硬質のマンドレルである。このため、VaRTM法によるコルゲートストリンガ7の成形時にハット部7aの内側に水溶性のマンドレルを設置し、コルゲートストリンガ7を含む複合材構造体6Aの硬化後にマンドレルを水で溶解させて除去することができる。この場合、コルゲートストリンガ7とパネルとの間は空洞となるため、複合材構造体6Aを燃料タンクの一部として用いることができる。

また、ブラダーバッグは、エアで膨らませることが可能な可撓性を有するソフト治具である。

図6は、ブラダーバッグを用いてコルゲートストリンガ7及び下面パネル3のVaRTM法による一体成形を行う場合における流れを示すフローチャートである。尚、図4に示すステップと同様なステップには同符号を付して詳細な説明を省略する。

まずステップS1においてテーブルT1上に硬化前の下面パネル3に対応するプリプレグの積層体20がセットされ、プリプレグの積層体20上にコルゲートストリンガ7に対応する織物21がセットされる。

次に、ステップS2’において、織物21の複数のハット部7aの各内側にブラダーバッグT10が設置される。これにより、コルゲートストリンガ7に対応する織物21の形状が一層良好に保持される。尚、織物21をセットする前にブラダーバッグT10を設置してもよい。

次に、ステップS3において、VaRTM法による複合材構造体6の成形が行われる。次に、ステップS4において、バギングフィルムT2及びブラダーバッグT10が除去される。これにより、下面パネル3の上にコルゲートストリンガ7が取付けられた構造を有する複合材構造体6を製品又は半製品として製作することができる。

以上のように、少なくともバギングフィルムT2で覆われた空間を真空状態とする前に、複数のハット部7aの各内側に、織物21がセットされたプリプレグの積層体20の硬化後において取外し可能な水溶性マンドレルやブラダーバッグT10等の治具であって複数のハット部7aを各内側から支える治具を設置することができる。そして、織物21がセットされたプリプレグの積層体20の硬化後において治具を取外すことができる。

(他の実施形態) 以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。

QQ群二维码
意见反馈